説明

透明基板のための検査手法

【課題】透明基板を検査する方法において、十分なスピードを提供し、高度に仕上げられた表面を必要とせず、薄いガラスシートに限定されず、混入物の場所を特定の位置に識別し、極めて小さい混入物を検出するに十分な感度を示す、ガラス基板基材のバルクまたは内体積の正確な検査を可能にする。
【解決手段】屈折率整合光カプラと透明基板の表面の間に屈折率整合液を与える。透明基板の表面に沿う2つないしさらに多くの位置において、(i)光カプラを通して透明基板にリボン光を導き入れる工程によって透明基板内の検査体積を光照射する工程、および (ii)検査体積と光学的に共役な検出器において検査体積からの散乱光を検出する工程、を反復する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、2007年5月31日に出願された、米国特許出願第11/809091号の優先権の恩典を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は全般的には透明基板のための検査方法に関し、さらに詳しくは、ガラス及びその他の透明材料内の混入物を検出するために無研磨基板内の体積を走査する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
ガラス及びその他の透明基板の製造においては、欠陥について透明固体材料体を検査する必要があることが多い。特に、ガラスの体積内にある小さな混入物の検出は、混入物の大きさがマイクロメートルオーダー、さらにはサブマイクロメートルオーダーである場合、かなり達成困難な課題を提示する。ガラス基材内の混入物は概ね、未融解材料または異質材料の細片で形成される固体混入物及び通常は気泡で形成される混入空孔の2群に分類することができる。固体混入物は、ガラスを形成するために融解された出発材料内の微小不純物、ガラスがその中で作成される容器の壁体からの耐火材料の細片、またはそうではなくともガラス製造中に導入される不純物によって形成され得る。固体混入物は半透明または透明でありうる。混入空孔、すなわち気泡も、目視検査での検出が困難である。
【0004】
混入物は、例えば、微細リソグラフィ露光マスク及びフォトマスクの基板としてはたらくガラスのような、高純度ガラスにとって特に問題になり得る。気相成長によるような、フロープロセス法以外のプロセスを用いて作成される場合、このタイプのガラス材料は作成に非常に費用がかかることが多い。このようにして製造されたガラスブールから最終製品を得るためには、費用と時間がかかる仕上げプロセスが必要であることが多い。
【0005】
このタイプの高価ガラス基板に適する混入物検査システムは以下の性能規準:
(i) 十分なスピード。この要件はガラス基板の相対寸法及び体積が大きくなるにしたがって益々重要になる;
(ii) ある範囲にわたる基板厚に適合可能;
(iii)高い位置特定性。混在物の位置を特定できる確度は高いほど良い。検出位置を正確に特定することができれば、影響を受ける基板領域を周囲の検査合格領域から除去できる;
(iv) 混入物に対する高い感度。高品質ガラス基材のための検査システムはマイクロメートルレベル及びサブマイクロメートルレベルの混入物を検出できるべきである;
(v) 表面品質の影響を受けない。表面が精密研磨されるかまたはそうではなくとも光学仕上げを得るために処理される前の、表面仕上げサイクルにおいて可能な限り早期にガラスの体積内の混入物を検出することが有益である;
を満たさなければならない。
【0006】
これらの要件の内のいくつかが相反し得る場合には、妥当なバランスが達成されなければならない。例えば、上述した規準を参照すれば、感度の最大化(iv)はスピード(i)及び表面品質に対するロバスト性(v)を弱め得るであろう。逆に、スピードの最大化(i)は感度(iv)及び位置特定性(iii)の両者に対して悪影響を与え得るであろう。
【0007】
これまでにところ、ガラス混入物に対する従来の検査方策はこれらの性能要件の内の1つまたは2つを満たすことはできているが、5つ全てを満たすことはできていない。例えば、多くの特製ガラス製造環境においては混入物検査のためにマニュアル検査方法が用いられてきたし、用いられ続けている。そのような方法を用いるため、ガラス表面は初めに光学仕上げまで研磨される。次いで高輝度光ワンドを用いてガラスの内部体積が苦労して検査される。この方法には多くの短所がある。スピード(i)は重大な欠点である。別の欠点は、規準(v)に述べたような、仕上げ表面に対する要件である。作業者の安全を考慮すれば、利用できる光のタイプと強度には制限がある。さらなる問題は高コスト及び比較的低い反復精度に関する。
【0008】
光学顕微鏡も混入物を検出するために用いられてきた。顕微鏡法の特徴は、高倍率における極めて浅い被写界深度及び小サンプリング面積である。この方策は感度に対して最適化されるが、その低スピード(i)は重大な短所であり、大体積バルクガラス材料の検査に対して顕微鏡法を非実用的にし得る。
【0009】
混入物検出のためにこれまで開発された自動化方法にも動作上及び性能上の短所がある。自動化混入物検出のために提案された手法の中に、全反射(TIR)を用いる手法がある。TIR法は検査下にある材料の導波路特性を用いる。実用上、TIR法はガラス基材が比較的薄い場合に限り適している。これらの方法も、高度に仕上げられた表面を必要とし、厚い基板では有効に用いることができず、項目(ii),(iii)及び(v)の下で先に認定した性能規準を満たすことができていない。移動している薄いガラスウエブに対してTIRを用いるこの従来方法の実例の1つが、名称を「移動しているガラスウエブを光学的に検査する方法及び装置(Method and Apparatus for Optically Inspecting a Moving Web of Glass)」とする、デハイザー(Dehuysser)の特許文献1に説明されている。航空機用ガラスを検査するための別の例が、名称を「光学素子を特性決定するための装置(Apparatus for Characterizing an Optic)」とする、デイブ(Dave)の特許文献2に与えられている。
【0010】
側方照明法はガラス検査のために提案された別の従来方法である。この方法は光照射路の不等性及び、仕上げ表面に対する要件、高輝度光源に対する要件及びガラス縁端におけるいくらかの固有回折及び散乱のような、その他の問題によって阻害される。入射光に対して、平坦で研磨された縁端が必要とされる。ガラスシートの寸法が大きくなると、長辺の弓反りがさらに問題を生じさせ得る。この結果、この方法は制限された寸法の長さ及び幅を有するガラス体に限定される。すなわち、側方照明法は先に挙げた検査基準(ii),(iv)及び(v)を満たすことができず、ガラスブールに対して、またガラスの長さが約20インチ(約50cm)をこえる場合には、非実用的である。側方照明法の一例は、名称を「ガラスシート内の欠陥及び不整を自動的に検出する方法及び装置(Method and Apparatus for Automatically Detecting Defects and Irregularities in Glass Sheet)」とする、ナガエ(Nagae)の特許文献3に説明されている。
【0011】
別の手法は、光を基板内に導き、混入物により生じた散乱光を除く、センサで検出可能な全ての光を遮断することであった。このタイプの手法は、例えば、共に譲渡された2つの特許の、名称を「透明シート内の混入物検出(Detecting Inclusion in Transparent Sheet)」とする、スティーブンス(Stevens)らの特許文献4及び、名称を「透明基材用暗視野検査システム(Dark View Inspection System for Transparent Media)」とする、ワイス(Weiss)等の特許文献5に説明されている。これらの手法はある寸法より大きな混入物を検出できるが、混入物の深さに関する正確な情報は提供できず、したがって、規準(ii),(iii),(iv)及び(v)を満たすことができない。
【0012】
また別の手法は、名称を「ガラス検査のためのプロセス及びデバイス(Process and Device fir the Inspection of Glass)」とする、ヴェネイユ(Venaille)等の特許文献6に説明されているように、HeNeレーザ光のカーテンをガラス表面に導き入れ、1台ないしさらに多くのカメラを斜角に構えて混入物からの散乱光を検出することであった。このタイプの手法は粗表面にはそれほど適しておらず、上面からの二次散乱が発生しやすいため、規準(ii)として先に与えた要件を満たすことができず、真の混入物の表面欠陥からの分別が困難になっている。この手法は感度要件(iv)を満たすこともできない。表面湾曲があると、その結果生じる屈折のため、ガラス基板の全体積を空白域なしに完全に走査することが困難になり得る。上面及び下面のいずれもが湾曲していると、センシング光学系の視野内で多重反射がおこり得る。要約すれば、ヴェネイユ等の特許文献6に説明されているような手法は、大体積ガラスのための混入物検査システムについて、規準(i),(ii),(iv)及び(v)を満たすことができない。
【0013】
先に述べた手法の全てが、規準(v)を満たすことができないという、同じ重大な限界の問題をかかえている。すなわち、これらの従来手法には、高度に仕上げられた、光学品質表面が必要である。このことは、ガラスが製造プロセスの全サイクルを通過してからでなければ混入物についてガラスを検査できないことを意味する。このことは、混入物がガラスシートまたはガラス基材のある部分を目的とされる用途に対して役に立たなくし、この欠陥はかなりの量の価値付加製造プロセスをガラス基板に施してからでなければ見いだすことができないから、費用がさらに課され、労力が無駄に費やされてしまう場合もあることは当然である。
【0014】
先に述べたように、従来手法のその他の関係する短所には、上掲したような、TIR及び側方照明を用いる方法で特に深刻な、光損失、強度変動及び寸法制限のような問題による期待に沿わない性能がある。従来の手法は、フロープロセスで作成されたガラスのような、比較的仕上げられた状態にある表面を有するガラスに対して開発され、用いられているが、表面を適切に調整するために仕上げ及び研磨の手順シーケンスが必要とされ得る堆積またはその他の別のプロセスを用いて形成された高品質ガラスのためのさらに過酷な検査要件は満たさない。
【特許文献1】米国特許第4401893号明細書
【特許文献2】米国特許第5517301号明細書
【特許文献3】米国特許第3737665号明細書
【特許文献4】米国特許第6388745号明細書
【特許文献5】米国特許第6633377号明細書
【特許文献6】米国特許第5459330号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
先に挙げた性能規準(i)〜(v)に関し、従来の手法はこれらの要件の内少なくとも1つないしさらに多くには不十分であることがわかった。したがって、十分なスピードを提供し、高度に仕上げられた表面を必要とせず、薄いガラスシートに限定されず、混入物の場所を特定の位置に識別し、極めて小さい混入物を検出すに十分な感度を示す、ガラス基板基材のバルクまたは内体積の正確な検査を可能にするガラス検査方法及び装置が必要とされていることは当然である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の目的はガラス検査の技術を前進させることである。この目的を考慮して、本発明は、透明基板を検査するための、
(a)屈折率整合光カプラーと透明基板の表面の間に屈折率整合液を与える工程、及び
(b)透明基板の表面に沿う2つないしさらに多くの位置において、
(i)光カプラーを通して透明基板にリボン光を導き入れることによって透明基板内の検査体積を光照射する工程、及び
(ii)検査体積と光学的に共役な検出器において検査体積からの散乱光を検出する工程、
を反復する工程、
を含む。
【0017】
基板に照射光を導き入れるため及び解析して混入物による光散乱を明示することができる画像を得るために屈折率整合光学コンポーネントを用いることが本発明の特徴である。
【0018】
基材の表面の仕上げを必要とせずに透明基材のバルクの検査を可能にすることが本発明の利点である。本発明の方法及び装置により、表面処理が完了する前に、様々な幅及び寸法のバルク基板内の混入物に対する検査が可能になる。
【0019】
本発明の上記及びその他の態様、目的、特徴及び利点は、以下の好ましい実施形態の詳細な説明及び添付される特許請求の範囲を精読し、添付図面を参照することによって、一層明瞭に理解され、認識されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本開示に関し、術語「上」と「下」は相対的であり、表面のいかなる必要な方位も示さないが、コンポーネントまたは透明材料のブロックについての対向する表面を単に指し、また弁別するために用いられることがあり得る。本開示を通して、術語「基板」、「基材」または「材料」は、検査されている、ガラスのような、固体の透明材料を識別するために互換態様で用いられることがあり得る。
【0021】
本明細書に示され、説明される図は、枢要な動作原理及び本発明にしたがうそれぞれの光路に沿うコンポーネント関係を説明するために与えられ、実際の寸法または尺度を示すことは目的とせずに描かれている。基本的な構造的関係または動作原理を強調するためにはいくらかの誇張が必要であり得る。説明される実施形態の実施に必要とされるであろう、例えば、アクチュエータ、光学マウント、または所要の支持構造体のような、いくつかの従来のコンポーネントは、本発明自体の説明に集中するために図面には示されていない。
【0022】
本開示に関し、術語「斜角」は、直角(90°)より大きいかまたは小さく、基準に対して平行ではないとする、通常の意味を有する。
【0023】
ガラス基板あるいはその他の透明基板に適用されるような、術語「仕上げ」及び「無仕上げ」は、フロープロセスで作成されることはほとんどなく、むしろ、ガラス製造技術の当業者には周知の、堆積のような様々な手法を用いてブールとして形成される、背景技術の章で先に説明したような、特製ガラスの相対的な状態を指す。仕上げ処理において、ガラスブールはスライスされ、次いで一般には、光学表面を有するガラス基板体が形成されるまで、連続する段階において研削及び研磨される。先に述べたように、従来のガラス検査手法では、混入物についての検査に対する条件としてガラスが光学仕上げを有することが必要である。しかし、本発明の装置及び方法は、ガラスが、ブール段階にあるかあるいは粒度120程度の粗さないしさらに微細に研磨されたときのように、比較的無仕上げ状態の表面を有するガラスに用いることができる。
【0024】
術語「光学接触」は、2つの表面を通って進行する光に関して、2つないしさらに多くの素子及びそれらの間の連結材料から単一の「モノリシック」光学素子を形成する、両表面の間の光連続性条件を示すために光学技術の当業者によって従来用いられている。通常の言葉を用いれば、2つの表面間の光学接触には、界面における表面の直接接触、あるいは界面における透明な連結液体が、界面での屈折、吸収、反射またはその他の不要な光学効果を有効に排除するか、あるいはそれらを無視可能なレベルまで低減する接触がある。いくつかのタイプの光学コンポーネントについては、光学接着剤が連結液体としてはたらく。しかし、この連結液体は、接着特性を有する必要はなく、例えば油またはゲル材料を含む、ある範囲の可能な粘度を有する、屈折率整合液とすることもできる。本開示に関して用いられるように、界面における光学コンポーネントに関して屈折率整合された、この透明連結液体は様々な深さを有することができ、それでも光連続性に対する上記要件を満たす光学接触を提供することができる。光学技術の当業者には当然であるように、2つの表面を連結する屈折率整合液体の深さは変わることができ、それでも光学接触を維持できる。
【0025】
ある体積内におかれている異質粒子を検出する様々な手法に対して2つの主要な照明手法が用いられてきている。明視野像形成法では照明光が検出光学系に導き入れられ、粒子による光の散乱または遮断の結果生じる少量のエネルギー損失が測定される。しかし、小さな粒子によって生じる戻りエネルギーの少量の減少では小さな粒子またはその他の混入物の検出が困難になることが多い。さらに、小さな粒子またはその他の混入物からのエネルギーの少量の減少は、明るい周囲背景の変動によって実効的にマスクされることがあり得る。この結果、明視野照明を用いた場合には、数多くの偽検出を生じずに混入物を検出することは困難であるかまたは不可能であり得る。
【0026】
別の手法であって、顕微鏡測定及びその他の分野で広く用いられている、暗視野像形成法は、検出光学系からそれる角度に向けられた、斜め照射光を用いる。暗視野像形成装置は物平面内の粒子によって散乱または回折された光から像を得る。一般に、暗視野照明は、散乱させている粒子またはその他の混入物による高いコントラストを与え、高い信号対雑音比をもたらすから、相対する明視野照明より感度が高い。これにより、低倍率における感度の向上が可能になり、限界寸法欠陥に対する検査スピードを上げることが可能になる。暗視野像形成法は信号対雑音比を高めるためのフーリエフィルタリング及びその他の手法にもより容易に対応する。
【0027】
本発明の方法は明視野照明または暗視野照明のいずれとの使用にも適用することができる。説明の目的のため、本開示では主として暗視野照明を用いる様々な実施形態が示され、説明される。しかし、光学設計技術の当業者であれば、別途明視野照明法も、これらの実施形態の多くに対し、照明方位及び検出光学系に対応する変更を行って、用い得るであろうことを理解することができる。
【0028】
本発明の方法及び装置は、ガラスまたはその他の透明基板基材の、表面の検査ではなく、バルクの検査に向けられる。ガラス基材が仕上げされた表面を有することが必要な従来の混入物検出手法とは異なり、本発明では表面が、留保無しに、無仕上げであることが可能になる。すなわち、本発明は、表面仕上げ処理を含む最終段階の前の、以前可能であった段階より早いガラス処理段階における混入物検査が可能になる点で、有利である。
【0029】
単純化された形態の、さしあたり屈折を無視している、図1A,1B及び1Cは、以降で説明する実施形態のそれぞれで用いられる本発明の基本原理を示す。ガラスのような、透明基板10の内体積またはバルクが、混入物について検査されることになる。ガラスの表面は粗面または無仕上げとすることができ、表面下に微小クラックを有することさえあり得る。光のリボン状ビーム、すなわちリボン光12が光源16から透明基板10内に導き入れられる。検出器装置20は検出器22及び、導光器24として示される、光を導くための光学系を有する。一般に、導光器24は2つないしさらに多くのレンズを有するが、以降でさらに詳細に説明されるように、多くの可能な光学コンポーネント配置のいずれかを有することができる。
【0030】
いくらかの厚さtを有するリボン光12が、基板10の体内の、対応するリボン状光照射領域を照明する。リボン光12は主光照射軸Iに沿って導かれ、軸Iは図示される軸設定にしたがうx-z平面に平行である。検出器装置20の視野に対応する、この光照射領域と検出器装置20の検出体積の交差領域が検査体積14を形成する。図1A〜1Cに示されるような、軸対称光学系においては、検査体積14が一焦平面にあって、検出器22が共役焦平面にあるように、導光器24が配置される。すなわち、この構成では、導光器24が検査体積14の像を検出器22上に形成する。これにより検出器を、例えば、CCD(電荷結合素子)検出器アレイまたはCMOS(相補型金属−酸化物-半導体)検出器アレイまたはカメラ装置とすることが可能になるであろう。より一般的な場合、導光器24は軸対称である必要はなく、より概念的にいえば、検査体積14からの光を検出器22に導けばよい。導光器24を用いることにより、検査体積14は検出器22に共役になる。すなわち、像形成アレイを備える代りに、検出器22は1つないしさらに多くのフォトダイオードまたは別のタイプの個別センサとすることができるであろう。検出器22は、検査体積14からの像を表示するかまたは散乱光から得られるデータを解析する、検査技術の当業者には良く知られているマシン-ビジョンシステムのような、様々なタイプのシステムのいずれかに接続することができる。
【0031】
図1Aに示されているように、検査体積14は一般に透明基板10の総体積の小部分しか占めていない。検査体積14内の混入物26は光を散乱させて、参照数字11で示される散乱光を生じ、散乱光11のいくらかの部分が検出器22に導かれて検出器22で検知される。透明基板10の全体積を検査するため、本発明の方法は、対応する検出コンポーネントとともに、透明基材を通る1つないしさらに多くの方向に、検査体積14を平行移動すなわち走査する。図1Bに示されるように、搬送装置18が、バルク体積の走査に必要な、透明基板10と検出器装置20の間の相対運動を提供する。図1Bの例においては、搬送装置18が透明基板10を左方向に移動させ、実効的に検査体積14を、透明基材を通して右方向に平行移動させる。図1Bに示される座標軸設定にしたがえば、この移動はx軸方向での走査を提供する。図1Cに示されるように、本構成によりy軸方向の走査も可能である。
【0032】
多くの様々な周知の搬送機構及び手法のいずれかを用いて走査を実施できることが光学技術の当業者には当然である。図1Bは、例えばx方向の走査を提供するために作動可能なローラーまたはベルト駆動アクチュエータを示唆している。図1Cは、y方向に検出器装置20を移動させるために作動可能な親ねじまたはその他の機構を示唆している。明らかに、搬送機構18は静止している透明基板10本体にかけていずれの方向にも検出器装置20を移動させることによって動作することができるであろう。あるいは検出器装置を、20を静止させておき、透明基板を様々な方向に移動させて、走査を実行することができるであろう。また別の代替として、検査体積14及び対応する検出コンポーネントの平行移動を実施するため、搬送装置は基板10及び検出器装置20をともに移動させることができるであろう。
【0033】
透明基材10の移動は、搬送装置18が検査体積14を平滑で連続的な移動で透明基板の体積を通して平行移動させるように、連続的とすることができる。あるいは、対応する移動パターンを必要とする、ステップアンドリピート法を検査のために用いることができるであろう。
【0034】
説明したばかりの図1A〜1Cに示される態様での透明基板10の体積の走査には、検査体積14及び検査体積14に光学的に共役な検出器22がそれぞれの位置及び相互の位置関係を維持しながら実効的に一緒に移動するように、コンポーネントが、機械的に結合されることによるような、それぞれの固定された位置を維持することが必要であることを看取することが重要である。
【0035】
したがって、図1A〜1Cに示される基本的な検査及び操作シーケンスにおいては、検査体積14が材料のバルク内に形成され、光が検査体積14から検出器22上に導かれる。検査体積14は少なくとも第2の位置に平行移動されるが、より一般的には基板内のその他の多くの位置に平行移動され、検出器22の位置が、この第2の位置及び以降の位置における検査体積14からの光を受け取るために、対応してシフトされる。これと同じ動作シーケンスは、以降で説明されるように、多くの様々な実施形態を用いて実施され、仕上げられた表面を必要としない、ガラス材料またはその他の透明バルク材料の体積のバルク検査のための方法を提供する。
【0036】
先に強調したように、図1A〜1Cの説明では、本発明の基礎をなす方法をより明確に示すために屈折が無視されている。しかし、本発明のいずれの装置実施形態についても、屈折を無視することはできない。図2を参照すれば、屈折を考慮に入れた本発明の一実施形態が、簡略な側面図の形態で、示されている。図3はこの実施形態の光学コンポーネントを斜視図で示す。光学装置40において、この実施形態及びその他の実施形態においてプリズムとして示される、屈折率整合光カプラ30を通る主照射光軸Iに沿って光源16がリボン光12を供給する。屈折率整合液28が屈折率整合光カプラ30の下面32と透明基板10の表面の間にあり、よって屈折率整合光カプラ30と基板10の間に光学接触が与えられる。屈折率整合液28は、例えば、浸漬油とすることができる。図2に示されるように、透明基板10の下の槽または容器64内に屈折率整合液28を入れておくこともできる。一般に、容器64の内面は基板10を通過する光からの不要な反射を防止するための光吸収コーティングを有する。簡単のため、以降の図では容器64を示さないが、この構成は説明される横型実施形態のいずれでも用いることができる。
【0037】
屈折率整合光カプラ30は、リボン光12の主軸Iに実質的に垂直な光照射面34を有する。屈折率整合光カプラ30は検査体積34と検出器22の間の光路に光を導くための導光面36も有する。検出器装置20が、図3に示されるように検出器軸Dに関して対称な、放射型対称である場合、導光面36は検出器軸Dに垂直である。しかし、以降で説明されるように、放射形対称ではない別の構成を屈折率整合光カプラ30から光を導くために用いることができる。
【0038】
屈折率整合光カプラ30は感度向上のために散乱光の不要部分を吸収または遮断する構造を有することができる。図2に示されるように、例えば、導光器24からのいかなる迷光も遮断及び吸収するための光吸収構造62を表面32上に形成することができる。屈折率整合光カプラ30は基板10に用いられるガラスと同じタイプのガラスとすることができる。別の材料が用いられる場合、その材料は光源16からの光照射に用いられる1つまたは複数の波長において同じ屈折率nを示さなければならない。
【0039】
光学接触は、液体、油、または米国ニュージャージー州シダーグローブ(Cedar Grove)のCargille Laboratories, Inc.で製造されている屈折率整合タイプの透明ゲルを用いて、屈折率整合光カプラ30の表面と基板10の表面の間に与えられる。
【0040】
検査体積14は透明基板10の表面に対して傾斜角をなして示されている。この傾斜配向は必要ではないが、散乱光の検出に多くの利点を提供する。図2及び3に示されるような放射形対称または軸対称の像形成構成では、検査体積14の傾斜配向により、導光器24光学系の焦平面に検査体積14を配置することが可能になる。したがって、検査体積14の像を検出器22に形成できる。この光学的に共役な関係にある検査体積14及び検出器22により、検査体積14の二次元像を得ることができる。これは、検出器22がカメラあるいは、CCDまたはCMOS撮像アレイを用いる、その他の撮像デバイスである場合に有利な構成である。斜角が45°である必要はなく、他の角度が有利な場合があり得ることに注意されたい。
【0041】
図2,3,または以降の図には、光学装置40の位置決め及び位置合せに用いることができるであろう、いずれの機械的結合構成も示されていない。すなわち、ブラケット、支持具または多くの別のタイプのいずれかの取付手段を、光学装置40のコンポーネント、光源16,屈折率整合光カプラ30及び、導光器24及び検出器22を含む、検出器装置20のコンポーネントを、これらのコンポーネントが相互に位置合せされて一緒に進むように、機械的に結合するために用いることができる。光学装置40の光学コンポーネントを取り付けるための代替手段は光学機械技術で周知である。いずれか特定の実施形態で選ばれる代替取付手段は、図1B及び1Cを参照して先に説明したような、用いられる搬送装置18のタイプに、ある程度は依存するであろう。
【0042】
言葉が含意するように、リボン光12は、入射方向に直交する方向に細長く、ただしかなり薄い、光として特徴付けられる。図1Aの斜視図において、厚さ寸法tは、リボン光12がx-z平面に対してある小さま厚さ寸法tを有し、概ねy軸方向に広がっていることを示す。実際上、厚さtは、導光器24の被写界深度より若干小さいか、または少なくともこえないように寸法が定められるべきである。過剰な厚さは、検査体積14の外側にある混入物からの散乱光を生じさせ得るであろうから、望ましくないであろう。
【0043】
様々な光源からリボン光12を形成するには多くの手法がある。光源16にはあらかじめ定められたパターンで走査するレーザまたは1つないしさらに多くの円柱レンズを通して導かれるときに再整形されたビームを有するレーザを含めることができよう。レーザ光照射技術の当業者によって実施されている別の手段として、ホログラフディフューザを円柱レンズと組み合わせて用いることができるであろう。非レーザ源を、リボン光12を形成するに適する光学系とともに、用いることもできるであろう。例えば、LEDまたはストロボ光源または、白熱灯のような、あるタイプのフィラメントベースランプを含む、ランプをそのような照射光を発生するために用いることができるであろう。背景技術の章で先に説明した実施形態のような、ガラス検査のための従来の実施形態とは異なり、本発明の検査方法及び装置には波長の制限はない。光は、単色光または広帯域光、可視光または可視範囲の外側の光とすることができる。屈折率整合液28を用いて得られる屈折率整合条件が用いられる(1つまたは複数の)波長に対応しなければならないことに注意することが重要である。
【0044】
コリメート光が有利であるが、リボン光12の形成には必要ではない。コリメート光は明確に定められた検査体積を与え、ガラスまたはその他の透明基材のバルク内の迷光の不要な効果を最小化するに役立つ。リボン光12は図1A〜1Cの軸設定にしたがうy方向において縦方向にも広がり得るであろうし、この方向において導光器24の光学系の視野をこえ得るであろう。一実施形態において、リボン光12は、主照光射軸の方向に、透明基板10の全長にわたって広がり、よって検出器装置20は実効的にy方向に沿って走査しているときにその視野内にあるリボン光12の部分として検査体積14を定める。この実施形態では、前述したばかりのような利点をもつコリメート光を与えるかまたは迷光による問題を補償することが挑戦課題になり得る。そのような実施形態において、光源16はx軸方向に検出装置20のコンポーネントとともに移動させるために機械的に結合されることになろう。
【0045】
これまで説明した実施形態については、光学装置40のコンポーネントの全てが透明基板10に対して同じ側にある。この構成はいくつかの用途において有利であり得るが、必要ではなく、以降で説明される光学装置40のいくつかの実施形態は透明基板10の両側にコンポーネントを有する。
【0046】
本発明の重要な態様の1つは屈折率整合に関する。光カプラ30及び屈折率整合液28はいずれも透明基板10と同じ屈折率nを有する。一目見るだけで、図2及び3の構成による屈折率整合により、整合されていなければ図示される照射光及び検出光路に沿うコンポーネントの間の界面において生じるであろう、反射または屈折のような問題が最小化または排除されることが光学技術の当業者には容易に理解され得る。垂直入射光は表面34または36において屈折を受けないであろう。
【0047】
屈折率整合液28を用いる屈折率整合は透明基板10の表面に沿う屈折率整合光カプラ30の移動に対する潤滑剤として作用するという利点を有する。さらに、屈折率整合液28の使用は無仕上げ基板表面におけるある程度の大きさの粗さを補償するにも役立つ。透明基板10の全表面にわたって屈折率整合液28の層を与えることができるであろうし、あるいは、任意選択の、同じく光学装置40に結合された供給源から、屈折率整合液28を供給することができるであろう。
【0048】
図4の側面図は縦型光学装置40の一実施形態を示す。この実施形態は、屈折率整合光カプラ30と透明基板10の間に光学接触を与えるに必要な屈折率整合液28を供給するための液体源42及びチューブまたはその他のコンジット38も有する。この場合、屈折率整合液28は屈折率整合光カプラ30のオリフィスを通して供給される。別の構成を代りに用いることもできるであろう。
【0049】
多くの様々なタイプの支援光学コンポーネントを、システム動作の改善または様々な条件に対する性能の微調整のために備えることができる。一例が図5に示される。この場合、レンズ44または、より一般的には、屈折構造または素子が、導光面36のある部分または全面に取り付けられるかまたは導光面36のある部分または全面を覆って形成される。レンズ44は、例えば、検出光路に沿うテレセントリック系を与えることで役立ち得る。両テレセントリック系は改善された像形成を与えるために有益であろう。表面34がある程度の曲率も有することができるか、そうではなくとも、照射光路を調節するための処理もできるであろうことにも注意すべきである。
【0050】
混入物の偏光特性も感度を高めるために用いることができる。この目的のため、光源16は偏光を供給できるであろう。次いで、検出光学系における偏光の処理及び使用のために、偏光フィルム及びその他のコンポーネントを用いることができるであろう。例えば、1つの偏波状態を有する偏光を光源16によって供給して、検査体積14内の散乱を示す、直交偏波状態の偏光を検出器22で検出できるであろう。光学技術の当業者に知られる手法を用い、偏光を供給及び検出するために、偏光子と検光子を組み合せて用いることができるであろう。
【0051】
照射光の供給には多くの選択肢がある。リボン光12は透明基板10の同じ側から、または反対側から、供給することができる。図6を参照すれば、検出器光学コンポーネント及び光照射コンポーネントを透明基板10の対向面のそれぞれに有する実施形態が示されている。透明基板10のそれぞれの面上に屈折率整合光カプラ30があり、検出器光学コンポーネントと光照射コンポーネントの間に機械的結合が維持されている。基板10の表面とそれぞれの光カプラ30の対面表面の間に屈折率整合液28が用いられる。
【0052】
透明基板10のそれぞれの表面での反射による迷光は、不要な効果及び偽の読みを生じさせ得る。無視できるレベルまで迷光を減じるため、基板10の反対側表面に光吸収コーティング46またはその他の処理を加えることができる。光吸収材処理には、例えば、塗料またはその他の被着材料を含めることができるであろう。
【0053】
先に述べたように、検査体積14はいくらかの厚さを有し、したがって、基板内の光分散因子として、透明基板10内でいくらかの体積を占めると言うことができる。読みの効率及び確度の向上のため、それぞれの導光器24の被写界深度は検査体積14の厚さにほぼ一致すべきである。
【0054】
検出感度の向上は多くの手段で達成することができる。図7の側面図で示される実施形態においては、透明基板10のそれぞれの側に1つの2つの検出器22が検出器装置20に用いられている。同様に、2つないしさらに多くの光照射路をもつ構成を用いることもできるであろう。これは、測定スピードを高めるためにも、一致検出を利用して改善された表面弁別及び感度を得るためにも、役立ち得るであろう。2つの検出器装置20を用いる別の実施形態において、それぞれの検出器装置20は基板10の異なる深さに沿う光を検出するために位置合せすることができるであろう。
【0055】
いくつかのタイプの混入物、特に針様形状を有し、光源に向けて配向している混入物は、光源からの散乱光を用いる検出が困難であり得る。図8Aの斜視図は、複数の光源16a,16b及び16cを用い、対応するリボン光12a,12b及び12cを供給する、光学装置40の一実施形態を示す。光源16a,16b及び16cは異なる角度で扇形に配置される。この場合、光源16a,16b及び16cは同一平面上にあり、全てがそれぞれの光を、図8Bの側面図に示されるように、主照射光軸Iを含む同じ平面P内に向ける。図8Cの平面Pの平面図が示すように、リボン光12bには屈折はなく、リボン光12a及び12cにはいくらかの屈折がある。基板10の体積内のリボン光12a,12b及び12cの交差により、検査体積14に対応する光照射体積が与えられる。照射光が主照射光軸Iに沿い、屈折率整合光カプラ30を用いて適切に結合されるならば、図8A及び8Cに示されるよりも大きい相対角をなす複数の光源からの光を用いることができるであろう。
【0056】
変動する深さに対する調節
図1A〜1Cのシーケンスは、本発明の装置がx軸方向及びy軸方向において透明基板10の体積にわたりどのように走査できるかを示した。この能力に加えて、本発明の方法及び装置は走査深さを変えることができる能力も有する。図9A及び9Bを参照すれば、2つの位置48a及び48bのそれぞれにかけて像を形成するために移動可能であり、したがって2つの異なる深さにおいて検査体積14の像を形成できる、検出器装置20を含む側面図が示されている。図9Bの影線で示されるように、この深さ調節では、それぞれの位置における表面36までの必要距離を維持しながら、x-z平面内で表面36に概ね平行な方向に短い距離にわたり検出器装置20を単に平行移動させる。この能力を用いれば、様々な厚さのガラスまたはその他の透明基板10の体積を検査することができる。すなわち、本発明では、漸次厚くなる基板を検査するために、検出器装置20の光学コンポーネントの寸法を拡大する必要はない。検出器装置20のコンポーネントの必要な平行移動を与えるために多くのタイプのアクチュエータのいずれかを用いることができるであろう。この平行移動は搬送装置で実施することもできるであろう。あるいは、この位置の手動調節を用いることができるであろう。
【0057】
図10A及び10Bは、屈折率整合光カプラ30と基板10の表面の間にある屈折率整合液28の厚さを変える、深さ調節のための別の実施形態を示す。図示されるように、基板10の高さは上下方向に調節することができるであろう。あるいは、屈折率整合光カプラ30を屈折率整合液18内に降ろすためにカプラ支持体60を用いることができる。また別の代替実施形態として、結合された光カプラ30,検出器装置20及び光源26を屈折率整合液28内に降ろすことができる。これにより、カプラ面34及び36の寸法が実効的に小さくなる。
【0058】
図16A及び16Bは、深さ調節を可能にする、また別の代替実施形態を示す。この場合、検出路にある屈折率整合光カプラ30は検出器装置20とともに移動することができ、一方検査体積14は静止したままである。図16Aは、上位深さ位置48Aにおいて検査するために用いられる構成を示し、屈折率整合光カプラ30は第1の位置13にあり、焦点距離はFである。図16Bは、どのようにして、別の位置13'への移動及び異なる焦点距離F'への調節により下位深さ位置48bにおける検査が可能になるかを示す。アクチュエータ15によって焦点距離Fの変更が可能になる。あるいは、焦点の手動調節を用いることができるであろう。
【0059】
再訪特性決定計測器を用いる実施形態
図11の側面図に示されるように、顕微鏡あるいはカメラまたはその他の検査装置のような、再訪特性決定計測器50を光学装置40とともに組み込むことができる。図11に示される構成を用いれば、初めに検出器装置20を用いて混入物の場所を決定することができる。次いで、再訪特性決定計測器50を用いてその場所の精密検査を行うことができる。再訪特性決定計測器50は、偏光鏡、フーリエ変換赤外(FTIR)分光器または何か別の適する検査装置とすることができる。リング照明のような支援照明を備えることもできる。
【0060】
本発明により、検出装置20の導光器24のために、放射形対称ではない実施形態を含む、多くの様々な光学構成の使用が可能になる。図12及び13の簡略な側面図は、例として、光学装置40の2つの別の構成を示す。初めに図12を参照すれば、屈折率整合光カプラ52が屈折率整合液28を用いて透明基板10の表面と光学接触している。光カプラ52は、名称を「単位倍率像形成カトプトリックアナスチグマート(Unit Power Imaging Catoptric Anastigmat)」とする、オフナー(Offner)の米国特許第3748015号明細書に開示されているような光学構成の利点を用いる、同じ曲率中心を有する一対の球面反射面54及び56を有する。光照射された体積からの光カプラー52を通る光に対する光路が、図12に破線で示される。この構成には、屈折率整合が維持されれば異なる波長の使用が可能になる、色消しであるという利点がある。図13は、屈折率整合光カプラ62と随伴反射面58の組合せを用いる、別の実施形態を示す。この場合、光源16からの照射光は透明基板10の下面から導かれる。検出器22への出力光の光路は光カプラ62内で折り返すことができる。図13に検出光の基本光路が同じく破線で示される。
【0061】
図1Aから13の実施形態に示されるような、基板10の表面に対して斜角をなす検査体積14を形成することには利点があるが、代りに表面に垂直に検査体積14を形成することが望ましいことがある。図14は検査体積14が垂直に、すなわち斜角をなさずに、形成される実施形態を示す。それぞれの導光器24を通して散乱光を得るために2つの検出器22が用いられるが、必要に応じて、単一の検出器22及び導光器24を用いることができるであろう。この光学構成においては、それぞれの検出器の角方位を調節することで、非平行のレンズ及び像平面によって生じるシャインプルーフ歪の補償が得られることに注意されたい。
【0062】
本発明のまた別の実施形態は、検出器装置20が1つより多くの導光器24及び検出器22を有する組合せを用いる。図15の斜視図は、2つないしさらに多くの導光器24を並べて配置することによって走査体積を拡大する、一検査システム実施形態を示す。それぞれの導光器24及び検出器22が専用の光源16をもつか、あるいは、検出器装置20のそれぞれの導光器24に役立つ1つのリボン光12を単一光源16が供給することができる。複数の光カプラ30または図15に示されるように単一の光カプラ30を用いることができるであろう。同様の構成(図示せず)において透明基板10の異なる深さに検査体積14を有するように配された、2つないしさらに多くの導光器24を検出器装置20に用いることができるであろう。
【0063】
様々な厚さのガラス体、プラスチック体またはその他の透明材料体におけるバルク材料の検査に本発明の方法及び装置を適合させ得ることは当然である。従来の検査方法とは異なり、基板表面の仕上げ及び/または研磨は表面下にある材料の検査に必要ではない。実際上、このことは、混入物欠陥についての基板の検査を作成サイクルの初期に行うことができ、そうでなければ欠陥のある材料片の仕上げに浪費され得る時間と労力を低減できることを意味する。本発明の装置及び方法により、ガラス表面が粒度120程度の粗さに研削されている状態でのマイクロメートル範囲の寸法を有する混入物の正確な検出が可能になる。本発明の一利点はあらかじめ定められた深さにおける基板の内体積を走査できる能力に関する。ガラス製造のいくつかの事例において、例えば、ガラス表面に最も近い領域は、仕上げプロセスが材料のこの領域を除去してしまうから、検査で注視する必要はほとんどない。本発明により、表面近傍領域のような基板の使用できない部分との相互作用は最小にして、材料の使用できる部分の検査が可能になる。また別の利点は混入物の場所を正確に決定できる能力に関する。これは、より大きな基板ブロックからの最終部分の一層効率的な分割取出しを可能にすることにより、材料収率の向上に役立つ。
【0064】
本発明は大寸基板に用い得ることができる点で有意義である。多くの様々なタイプの搬送装置に適合できる能力により、本発明の方法及び装置のフレキシブルな適用が可能になり、様々な基板製造環境での使用が可能になる。
【0065】
本発明の装置は様々なタイプのガラスの検査に容易に適合させることができる。本発明の検査装置を異なるタイプのガラスに用いるように用意するためにカップリングコンポーネント及び屈折率整合液が変更されるであろう。さらに、本発明の装置及び方法は多くの既存の検査条件下で用いることができる。本方法は、例えば、屈折率整合液で満たされた浸漬槽の使用に適合できる。検査されているガラスまたはその他の基板の周囲に光吸収表面を設ける標準的な常用技法が、先に述べたように、迷光の影響を低減するに役立つ。
【0066】
本発明の基本構成には本発明の範囲を逸脱しない多くの改変が可能である。例えば、白色光源16は可視光を供給できるが、電磁スペクトルの別の部分からの放射エネルギーを代りに用いることができるであろう。検査体積14は、適切なカップリング素子、屈折率整合素子及び検出素子と組み合せて、いずれか適するタイプの電磁放射のリボンを用いて形成することができるであろう。
【0067】
以上、仕上げ表面を必要としない、透明基板のバルクの検査のための装置及び方法を提供した。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1A】本発明の方法を用いてどのように検査体積が形成されて検出されるかを示す斜視図である
【図1B】x軸に沿う方向における検査体積の走査を示す斜視図である
【図1C】y軸に沿う方向における検査体積の走査を示す斜視図である
【図2】一実施形態における透明基板の体積を走査するためのコンポーネントを示す簡略な断面図である
【図3】一実施形態における検査コンポーネントを示す斜視図である
【図4】縦型配置検査装置の側面図である
【図5】結合プリズムの光方向転換出力面にレンズが付加されている、一実施形態における透明基板の体積を走査するためのコンポーネントを示す簡略な断面図である
【図6】基板の対向する面のそれぞれに光照射コンポーネント及び検出コンポーネントをもつ検査装置の側面図である
【図7】一実施形態における複数の導光器及び検出器を示す検査装置の側面図である
【図8A】同じ平面内にあるが角度を若干異ならせて扇形に配置された複数の光源を用いる、一実施形態の斜視図である
【図8B】図8Aに示される実施形態の側面図である
【図8C】図8Aの実施形態に用いられる光照射面の平面図である
【図9A】透明基板内の異なる深さにおいて走査を実施するためにどのように検出器装置コンポーネントの移動を用いることができるかを示す
【図9B】透明基板内の異なる深さにおいて走査を実施するためにどのように検出器装置コンポーネントの移動を用いることができるかを示す
【図10A】透明基板内の異なる深さにおいて走査を実施するために用いることができる別の方法を示す
【図10B】透明基板内の異なる深さにおいて走査を実施するために用いることができる別の方法を示す
【図11】より精密な検査のために検出された混入物の場所を再訪するために用いられる顕微鏡またはその他の再訪特性決定計測器を有する、検査のための光学装置を示す簡略な断面図である
【図12】一実施形態における非放射形対称光検出器を示す簡略な断面図である
【図13】別の実施形態における非放射形対称光検出器を示す簡略な断面図である
【図14】検査体積が表面に垂直に形成される、光学装置の一実施形態を示す簡略な断面図である
【図15】一実施形態にしたがう検出器装置において一組の複数の導光器及び検出器を用いる光学装置の斜視図である
【図16A】異なる深さにおける透明基板の検査のための別の実施形態を示す側面図である
【図16B】異なる深さにおける透明基板の検査のための別の実施形態を示す側面図である
【符号の説明】
【0069】
10 透明基板
12 リボン光
14 検査体積
16 光源
18 搬送装置
20 検出器装置
22 検出器
24 導光器
26 混入物
28 屈折率整合液
30 屈折率整合光カプラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板を検査するための検査装置において、
(a)光学装置であって、
(i) 主光照射方向に沿って前記基板に向けてリボン光を導くために配置された少なくとも1つの光源、
(ii) 検出器及び前記リボン光から散乱された光を前記検出器に向かう光路に沿って導くために配置された導光器を有する少なくとも1つの検出器装置、
(iii)前記リボン光を前記透明基板に導き入れ、前記散乱光を前記基板から導き出すために配置された屈折率整合光カプラであって、前記主光照射方向に実質的に垂直な第1の表面を有し、前記導光器の前記光路に実質的に垂直な第2の表面を有し、第3の表面を有し、前記透明基板の屈折率に等しい屈折率nを有する、屈折率整合光カプラ、
を有する光学装置、
(b)前記屈折率nを有し、前記屈折率整合光カプラの前記第3の表面と前記透明基板の表面の間に光学接触を与える、屈折率整合液、及び
(c)前記光学装置と前記透明基板の間の相対運動を与えるために作動可能な搬送装置、
を備えることを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記導光器が屈折素子及び少なくとも1つの湾曲反射面の内の少なくとも一方を有することを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記光学装置が1つないしさらに多くの偏光子素子をさらに有することを特徴とする請求項1または2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記光カプラの前記第1の表面及び前記第2の表面の内の少なくとも一方が屈折面を有することを特徴とする請求項1,2または3に記載の検査装置。
【請求項5】
前記基板が前記屈折率整合液の容器内に配置されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項6】
前記屈折率整合光カプラの前記第3の表面の少なくとも一部分が不要な散乱光の検出を弱めるために処理されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項7】
透明基板を検査する方法において、
(a)屈折率整合光カプラと前記透明基板の表面の間に屈折率整合液を与える工程、及び
(b)前記透明基板の前記表面に沿う2つないしさらに多くの位置において、
(i)前記光カプラを通して前記透明基板にリボン光を導き入れる工程によって前記透明基板内の検査体積を光照射する工程、および
(ii)前記検査体積と光学的に共役な検出器において前記検査体積からの散乱光を検出する工程、
を反復する工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
前記リボン光を導く工程が、レーザ、発光ダイオード、ストロボ光源及びランプからなる群から選ばれる光源を作動させる工程を含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記透明基板の前記表面に沿う第1の位置にあるときに、前記検出器は前記基板の前記表面から第1の深さにある前記検査体積と光学的に共役であり、前記透明基板の前記表面に沿う第2の位置にあるときに、前記検出器は前記基板の前記表面から第2の深さにある前記検査体積と光学的に共役であることを特徴とする請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記検査体積を光照射する工程が偏光を与える工程を含むことを特徴とする請求項7,8または9に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【公開番号】特開2008−298780(P2008−298780A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−144214(P2008−144214)
【出願日】平成20年6月2日(2008.6.2)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】