説明

透明導電性フィルム

【課題】面全体が導電性を有し、高い導電性と良好な透明性と表面平滑性を併せ持つ透明導電性フィルムを提供する。
【解決手段】透明フィルム支持体上に、少なくとも金属ナノワイヤと透明樹脂とを含有し、該金属ナノワイヤの少なくとも一部が表面に露出した金属ナノワイヤ含有透明樹脂層を有し、さらに、該金属ナノワイヤ含有透明樹脂層の上に導電性層を有する透明導電性フィルム。金属ナノワイヤ含有透明樹脂層において、表面に露出している部分の金属ナノワイヤの比率が、全金属ナノワイヤの投影面積の10%以上あることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示素子、有機発光素子、無機電界発光素子、太陽電池、電磁波シールド、タッチパネル等の各種分野において好適に用いることができる、面全体が導電性を有し、高い導電性と良好な透明性と表面平滑性を併せ持つ透明導電性フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
透明導電性フィルムは、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロクロミックディスプレイ、太陽電池、タッチパネル、電子ペーパー等の透明電極、ならびに電磁波シールド材等に用いられている。
【0003】
一般に透明導電材料としては、例えば金属酸化物が用いられており、具体的には、錫や亜鉛をドープした酸化インジウム(ITO、IZO)、アルミニウムやガリウムをドープした酸化亜鉛(AZO、GZO)、フッ素やアンチモンをドープした酸化錫(FTO、ATO)等が挙げられる。一般に、金属酸化物透明導電膜の作製には、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の気相製膜法が用いられる。しかしながら、これらの製膜方法は真空環境を必要とするため装置が大掛りかつ複雑なものとなり、また製膜に大量のエネルギーを消費するため、製造コストや環境負荷を軽減できる技術の開発が求められていた。また、一方で、液晶ディスプレイやタッチディスプレイに代表されるように、透明導電材料の大面積化が指向されており、それに伴い透明導電材料の軽量化や柔軟性に対する要請が高まっていた。さらに、大面積の透明電極においては、透明電極の電圧降下の影響が大きくなることから、さらなる低抵抗化が求められてきた。
【0004】
これに対して、バルク状態での導電率が1×10S/m以上の金属元素のナノワイヤを、液相法や気相法等の色々な方法で作製できることが報告されている。例えば、Agナノワイヤの製造方法としては非特許文献1を参考にできる。
【0005】
また、具体的に低抵抗高透明導電性フィルムに用いられる透明導電材料技術として、金属ナノワイヤやカーボンナノチューブを導電体として用いる方法が提案されている(特許文献1、2参照)。こうした金属ナノワイヤやカーボンナノチューブは単独では強固な膜にはならないために、樹脂と併用することも提案されている。さらに、特許文献1、2においては、樹脂と併用する場合は、金属ナノワイヤやカーボンナノチューブの少なくとも一部が表面に露出していることが紹介されている。しかしながら、この技術では、金属ナノワイヤの存在しない部分は電気が流れにくいために、微小なスケールでみると面電極として利用できないといった問題がある。また、金属ナノワイヤの膜厚よりも樹脂層の膜厚を薄く設定する方法は、4端子法で測定される抵抗値は小さな値になっていても、表面に薄く樹脂が残って、電極として使用した場合、均一な導電性が得られないことがあった。さらに、金属ナノワイヤの少なくとも一部を表面に露出させると表面が凸凹になるため、平坦性が求められる用途には利用できない問題もあった。
【0006】
また、カーボンナノチューブは安定して低抵抗の膜を形成することが難しく、特に、高い透過率と低抵抗を安定して両立するにはまだまだ課題が多い。これに対して、金属ナノワイヤ技術は、高い光透過性と低抵抗の両立が容易に可能である。しかしながら、金属ナノワイヤ技術では、高い導電性を得るためにはワイヤ径が数十nm以上必要となり、ワイヤ径が数nm程度であるカーボンナノチューブの場合と比べると、凹凸のレベルはオーダーが異なるために、カーボンナノチューブで紹介されている技術は金属ナノワイヤの系では単純には適用できない。
【特許文献1】米国特許第2007/0074316A1号明細書
【特許文献2】特開2005−255985号公報
【非特許文献1】Adv.Mater.,2002,14,833〜837
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、面全体が導電性を有し、高い導電性と良好な透明性と表面平滑性を併せ持つ透明導電性フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記課題は、以下の構成により達成することができる。
【0009】
1.透明フィルム支持体上に、少なくとも金属ナノワイヤと透明樹脂とを含有し、該金属ナノワイヤの少なくとも一部が表面に露出した金属ナノワイヤ含有透明樹脂層を有し、さらに、該金属ナノワイヤ含有透明樹脂層の上に導電性層を有することを特徴とする透明導電性フィルム。
【0010】
2.前記金属ナノワイヤ含有透明樹脂層において、金属ナノワイヤが完全に埋もれてしまう膜厚を基準膜厚とした時、透明樹脂の膜厚が、該基準膜厚の0.5〜1.2倍の範囲であることを特徴とする前記1記載の透明導電性フィルム。
【0011】
3.前記金属ナノワイヤ含有透明樹脂層において、表面に露出している部分の金属ナノワイヤの比率が、全金属ナノワイヤの投影面積の10%以上であることを特徴とする前記1記載の透明導電性フィルム。
【0012】
4.前記導電性層が液相成膜法により形成されていることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項記載の透明導電性フィルム。
【0013】
5.前記金属ナノワイヤの少なくとも一部を表面に露出させる処理が、透明樹脂固化前に磁場を印加する処理であることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項記載の透明導電性フィルム。
【0014】
6.前記金属ナノワイヤが磁性を有する成分を少なくとも一部に含むことを特徴とする前記5記載の透明導電性フィルム。
【0015】
7.前記金属ナノワイヤの少なくとも一部を表面に露出させる処理が、放電処理またはプラズマ処理であることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項記載の透明導電性フィルム。
【0016】
8.前記プラズマ処理が大気圧プラズマ処理であることを特徴とする前記7記載の透明導電性フィルム。
【0017】
9.前記放電処理がコロナ放電処理であることを特徴とする前記7記載の透明導電性フィルム。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、面全体が導電性を有し、高い導電性と良好な透明性と表面平滑性を併せ持つ透明導電性フィルムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明においては、金属ナノワイヤによって高い光透過率と低い面抵抗を達成しており、さらに、金属ナノワイヤ含有透明樹脂層の上に導電性層を形成することにより、微小スケールで見たときに、金属ナノワイヤが存在しない窓部においても導電性を確保することが可能となった。さらに、金属ナノワイヤ含有透明樹脂層において、金属ナノワイヤの少なくとも一部が表面を露出していることにより、金属ナノワイヤと上部に設けた導電性層との間の導電性を確保することが可能となった。また、上部に導電性層を設けることで、金属ナノワイヤの少なくとも一部が表面に露出していることにより生じた表面の凹凸を平坦化することが可能となることを見出して本発明に至った。
【0020】
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための最良の形態等について詳細な説明をする。
【0021】
《金属ナノワイヤ》
本発明の透明導電性フィルムにおいて、金属ナノワイヤは主要な導電体として機能する。本発明では、金属ナノワイヤの金属元素として、バルク状態での導電率が1×10S/m以上の元素を用いることができる。本発明で好ましく用いることができる金属ナノワイヤの金属元素として具体例としては、Ag、Cu、Au、Al、Rh、Ir、Co、Zn、Ni、In、Fe、Pd、Pt、Sn、Ti等を挙げることができる。本発明においては2種類以上の金属ナノワイヤを組み合わせて用いることもできるが、導電性の観点から、少なくともAg、Cu、Au、Al、Coより選択される元素を用いることが好ましい。
【0022】
本発明において金属ナノワイヤの製造手段には特に制限はなく、例えば、液相法や気相法等の公知の手段を用いることができる。また、具体的な製造方法にも特に制限はなく、公知の製造方法を用いることができる。例えば、Agナノワイヤの製造方法としては、Adv.Mater.,2002,14,833〜837;Chem.Mater.,2002,14,4736〜4745等、Auナノワイヤの製造方法としては特開2006−233252号公報等、Cuナノワイヤの製造方法としては特開2002−266007号公報等、Coナノワイヤの製造方法としては特開2004−149871号公報等を参考にすることができる。特に、上述した、Adv.Mater.及びChem.Mater.で報告されたAgナノワイヤの製造方法は、水系で簡便にかつ大量にAgナノワイヤを製造することができ、また銀の導電率は金属中で最大であることから、本発明に関わる金属ナノワイヤの製造方法として好ましく適用することができる。
【0023】
本発明において金属ナノワイヤの平均直径は、透明性の観点から200nm以下であることが好ましく、導電性の観点から10nm以上であることが好ましい。平均直径が200nm以下であれば光散乱の影響を軽減でき、平均直径がより小さい方が光透過率低下やヘイズ劣化を抑制することができるため好ましい。一方で、平均直径が10nm以上であれば導電体としての機能を有意に発現でき、平均直径がより大きい方が導電性が向上するため好ましい。従って、より好ましくは20〜150nmであり、40〜150nmであることがさらに好ましい。
【0024】
本発明において金属ナノワイヤの平均長さは、導電性の観点から1μm以上であることが好ましく、凝集による透明性への影響から100μm以下であることが好ましい。より好ましくは1〜50μmであり、3〜50μmであることがさらに好ましい。
【0025】
本発明において上記金属ナノワイヤの平均直径及び平均長さは、SEMやTEMを用いて十分な数のナノワイヤについて電子顕微鏡写真を撮影し、個々のナノワイヤ像の計測値の算術平均から求めることができる。ナノワイヤの長さは、本来直線状に伸ばした状態で求めるべきであるが、現実には屈曲している場合が多いため、電子顕微鏡写真から画像解析装置を用いてナノワイヤの投影径及び投影面積を算出し、円柱体を仮定して算出する(長さ=投影面積/投影径)ものとする。計測対象のナノワイヤ数は、少なくとも100個以上が好ましく、300個以上のナノワイヤを計測するのがさらに好ましい。
【0026】
本発明において、金属ナノワイヤの換算膜厚は、導電性と透明性の関係から1〜100nmであることが好ましく、3〜50nmであることがより好ましい。ここで換算膜厚とは、透明導電素子単位面積当たりの金属ナノワイヤ及び金属微粒子の平均質量と等しい質量を有する均一な金属膜の厚みを意味する。
【0027】
《透明樹脂》
本発明に係る金属ナノワイヤ含有透明樹脂層は、少なくとも金属ナノワイヤと透明樹脂を含有する。該透明樹脂としては、塗布液を形成できる透明な樹脂であれば特に制限はないが、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、ブチラール系樹脂等を単独あるいは複数併用して用いることができる。
【0028】
これらは、金属ナノワイヤを含有する塗布液に含有させて塗布膜とすることもできるが、別の塗布液として準備して、金属ナノワイヤ塗布層にオーバーコートしてもよい。金属ナノワイヤー同士を接触させて導電性を確保する視点からは、金属ナノワイヤ塗布層にオーバーコートする方法がより好ましい。後述する金属ナノワイヤの少なくとも一部が表面に露出する処理が、樹脂固化前に強磁場を印加する処理である場合は、金属ナノワイヤ塗布層にオーバーコートする方法が好ましく、透明樹脂が電子線、UV光、熱等の何らかのエネルギーを与えることで硬化する樹脂であることが好ましく、強磁場を印加しながら、あるいは、印加直後に硬化させることが好ましい。
【0029】
透明樹脂の膜厚としては、金属ナノワイヤが完全に埋もれてしまう膜厚を基準膜厚とした時、基準膜厚の0.5〜1.2倍であることが好ましく、0.7〜0.9倍であることがより好ましい。1.2倍を超えると金属ナノワイヤの一部を表面に露出させることが難しくなったり、表面に露出させることができても、凹凸が強くなるために平滑性が低下する。また、0.5倍未満では金属ナノワイヤの保持性が悪くなったり、あるいは、後述する金属ナノワイヤ含有透明樹脂層の上に設ける導電性層が平滑性達成のためには、塗工量が多く必要となり、透明性が劣化してしまう。
【0030】
また、本発明に係る金属ナノワイヤ含有透明樹脂層は、目的に応じて分散剤、活性剤、可塑剤、酸化防止剤、硫化防止剤等の安定剤、マイグレーション防止剤、染料や顔料等の着色剤等の添加物を含有してもよい。
【0031】
《金属ナノワイヤ含有透明樹脂層の金属ナノワイヤの少なくとも一部を表面に露出させる処理》
金属ナノワイヤ含有透明樹脂層の金属ナノワイヤの少なくとも一部を表面に露出させる処理としては、この目的を達成できる処理であれば特に限定されないが、金属ナノワイヤの膜厚よりも透明樹脂の膜厚を薄くするだけの方法では不十分である。好適な方法としては、例えば、金属ナノワイヤ含有透明樹脂層の表面を溶剤で洗う処理、コロナ放電等の放電処理、酸素アッシングプラズマ処理等の真空系を利用したプラズマ処理、大気圧近傍下で行う大気圧プラズマ処理、あるいは、樹脂固化前に強磁場を印加する処理、樹脂液に対する金属ナノワイヤの濡れ性を低下させてはじかせる処理等を挙げることができる。
【0032】
中でもコロナ放電処理や大気圧近傍下で行う大気圧プラズマ処理は、真空プロセスが不要で工程が簡素化できるメリットがある。さらに、透明樹脂層表面の透明樹脂を除去する効果に加えて、金属ナノワイヤ間に微小な放電も生じることが可能で、これによってより効果的に金属ナノワイヤ表面の透明樹脂を除去し、また、金属ナノワイヤ間の接触抵抗を下げる効果も期待できるので、本発明のより好ましい実施形態の一つである。
【0033】
また、樹脂固化前に強磁場を印加する処理も真空プロセスが不要で工程が簡素化できるメリットがある。この方法は、必要以上に樹脂を取り除いたり、金属ナノワイヤにダメージを与えたりすることがないので、本発明のより好ましい実施形態の一つである。
【0034】
なお、金属ナノワイヤ含有透明樹脂層において、表面に露出している部分の金属ナノワイヤの比率は、全金属ナノワイヤの投影面積の10%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましい。10%未満では上に設ける導電性層との導電性確保が不十分となり導電性の面均一性が劣ったものとなる。
【0035】
表面に露出している部分の金属ナノワイヤの比率は、例えば、スパッタリング処理をしながらTOF−SIMS(Time−Of−Flight Secondary Ion Spectrometry:飛行時間型二次イオン質量分析法)で、導電剤、金属ナノワイヤ、透明樹脂に起因するフラグメントの質量でそれぞれのマッピングを行い、金属ナノワイヤ上に透明樹脂の成分が検出される部分と、されない部分の比率を求めることで測定できる。製造段階であれば、金属ナノワイヤ塗布段階での金属ナノワイヤの投影面積を電子顕微鏡によって求め、さらに、金属ナノワイヤの少なくとも一部を表面に露出させる処理を施した後の金属ナノワイヤ含有透明樹脂層の表面を電子顕微鏡観察して求める、あるいは、TOF−SIMSで金属ナノワイヤに起因するフラグメントの質量でマッピングすることで表面に露出した金属ナノワイヤの投影面積をもとめる、その結果から比率をとることで求めることもできる。
【0036】
(コロナ放電処理)
コロナ放電処理は、古くから表面を親水化する処理としてよく知られている方法であり、こうした従来公知の何れの方法も適用できる。例えば特公昭48−5043号、同47−51905号、特開昭47−28067号、同49−83769号、同51−41770号、同51−131576号等の公報に開示された方法により達成することができる。
【0037】
放電周波数は50Hz〜5000kHz、好ましくは5kHz〜数100kHzが適当である。放電周波数が小さすぎると、安定な放電が得られず好ましくない。また周波数が高すぎると、インピーダンスマッチングのための特別な装置が必要となり、装置の価格が大となり、好ましくない。
【0038】
(大気圧プラズマ処理)
大気圧プラズマ処理は公知の方法を用いることができる。以下に、実施の形態を図を用いて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、また、以下の説明では、用語等に対する断定的な表現があるが、本発明の好ましい例を示すものであり、本発明の用語の意義や技術的な範囲を限定するものではない。
【0039】
図1は、プラズマ放電処理装置10に用いられるプラズマ放電処理容器20の一例を示す概略図である。図1において、長尺フィルム状の基材Fは搬送方向(図中、時計回り)に回転するロール電極21に巻回されながら搬送される。固定されている電極(固定電極)22は複数の円筒から構成され、ロール電極21に対向して設置される。ロール電極21に巻回された基材Fは、ニップローラ23a、23bで押圧され、また、ガイドローラ24で規制されて、プラズマ放電処理容器20によって確保された放電処理空間に搬送される。そして、放電処理空間内で放電プラズマ処理され、次いで、ガイドローラ25を介して次工程に搬送される。また、仕切板26はニップローラ23bに近接して配置され、基材Fに同伴する空気がプラズマ放電処理容器20内に進入するのを抑制する。
【0040】
この同伴される空気は、プラズマ放電処理容器20内の気体の全体積に対し、1体積%以下に抑えることが好ましく、0.1体積%以下に抑えることがより好ましい。前記ニップローラ23bにより、それを達成することが可能である。
【0041】
なお、放電プラズマ処理に用いられる混合ガスは、給気口27からプラズマ放電処理容器20に導入され、処理後のガスは排気口28から排気される。図3(a)、(b)は、上述の円筒型のロール電極21の一例を示す概略図、図4(a)、(b)は、円筒型の固定電極22の一例を示す概略図、図5(a)、(b)は、角柱型の固定電極29の一例を示す概略図である。
【0042】
ロール電極21及び固定電極29の構成について説明すると、図3(a)において、アース電極であるロール電極21は、金属等の導電性母材21a(以下、「電極母材」ともいう。)に対しセラミックスを溶射後、無機材料を用いて封孔処理したセラミック被覆処理誘電体21b(以下、単に「誘電体」ともいう。)を被覆した組み合わせで構成されている。セラミック被覆処理誘電体21bを片肉で被覆し、アースに接地してある。また、図3(b)に示すように、金属等の導電性母材21Aへライニングにより無機材料を設けたライニング処理誘電体21Bを被覆した組み合わせでロール電極21を構成してもよい。
【0043】
図4(a)は、印加電極である円筒型の固定電極22であり、上記記載のロール電極21と同様に、金属等の導電性母材22aに対しセラミックスを溶射後、無機材料を用いて封孔処理したセラミック被覆処理誘電体22bを被覆した組み合わせで構成されている。
【0044】
電源50(図6を参照)としては、特に限定はないが、パール工業製高周波電源(200kHz)、パール工業製高周波電源(800kHz)、日本電子製高周波電源(13.56MHz)、パール工業製高周波電源(150MHz)等が使用できる。
【0045】
図6は、プラズマ放電処理装置10の一例を示す概念図である。図6において、プラズマ放電処理容器20は図2の記載と同様であるが、さらに、ガス発生装置40、電源50、電極冷却ユニット70等が装置構成として配置されている。電極冷却ユニット70の冷却剤としては、蒸留水、油等の絶縁性材料が用いられる。
【0046】
プラズマ放電処理装置10による大気圧プラズマ処理について説明すると、プラズマ放電処理容器20内にロール電極21、固定電極29を所定位置に配置し、ガス発生装置40で発生させた混合ガスを流量制御し、ガス充填手段41を介して給気口27よりプラズマ放電処理容器20内に入れ、プラズマ放電処理容器20内をプラズマ処理に用いる混合ガスで充填し排気口28より排気する。次に電源50により電極21、29に電圧を印加し、ロール電極21はアースに接地し、放電プラズマを発生させる。ここでロール状の元巻き基材60より基材Fを供給し、ガイドローラ24を介して、プラズマ放電処理容器20内の電極21、29間を片面接触(ロール電極21に接触している)の状態で搬送する。そして、基材Fは搬送中に放電プラズマにより表面が不均一に放電処理され、表面に混合ガス中の反応性ガス由来の成分を含有した薄膜であって、その表面に凹凸及び空隙を備えた薄膜が形成された後、ガイドローラ25を介して、次工程に搬送される。ここで、基材Fはロール電極21に接触していない面のみ放電処理がなされる。
【0047】
電源50より固定電極29に印加される電圧の値は適宜決定されるが、例えば、電圧が0.5〜10kV程度で、電源周波数は100kHzを越えて150MHz以下に調整される。ここで電源の印加法に関しては、連続モードと呼ばれる連続サイン波状の連続発振モードとパルスモードと呼ばれるON/OFFを断続的に行う断続発振モードのどちらを採用してもよい。
【0048】
なお、大気圧近傍とは、20〜110kPaの圧力を表すが、本発明に記載の効果を好ましく得るためには、93〜104kPaが好ましい。
【0049】
本発明において使用するガスは、基本的に、不活性ガスと有機フッ素化合物等の反応性ガスの混合ガスである。反応性ガスは、混合ガスに対し0.01〜10体積%含有させることが好ましい。
【0050】
上記不活性ガスとは、周期表の第18属元素、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等が挙げられるが、本発明に記載の効果を得るためには、ヘリウム、アルゴンが好ましく用いられる。
【0051】
また、混合ガス中に酸素、オゾン、過酸化水素、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、窒素から選択される成分を0.01〜5体積%含有させることにより、反応を促進させることができる。
【0052】
(樹脂固化前に磁場を印加する処理)
磁化率の高い金属部分を選択的に開口して絶縁膜を設ける方法が、マイクロモーゼ効果を利用した半導体開口部の形成方法として、第一回日本磁気科学会年次大会プログラム・要旨集P.69−70や特開2005−317930号公報に開示されている。これらの技術は数μmの電極に利用した技術であるが、本発明のような100nm前後の金属ナノワイヤにも有効であることが分かった。この方法であれば、真空プロセスが必要なく工程が簡素化できるメリットがある。また、エッチング効果を利用するのではないので、樹脂や金属ナノワイヤにダメージを与えない、除去した樹脂や劣化物が再付着してトラブルになることがない等のメリットもあることから、本発明のより好ましい実施形態である。
【0053】
前述の文献に記載のように、ガラスや紙、水のような弱磁性体は自発磁化がなく、磁場によって誘起される磁気相互作用も非常に小さいため、物質移動に利用できるほどの力は発生しない。従って、弱磁性体を磁場によって物質移動させて利用する技術は、ほとんど用いられていない。しかし、強磁場を用いると、磁場中で誘起された磁気相互作用が大きくなるため、流動性のある物質に強磁場を印加する場合には、弱磁性体であっても自身の形状を変える駆動力になる。
【0054】
例えば、樹脂成分が反磁性(磁化率χ<0)を示し、磁場を概略垂直方向に印加するケースについて説明すると、磁化率の異なる2以上の物質を含む基板に強磁場を印加すると、磁化率の最も高い物質に磁力線が集中した磁束密度分布を有する磁場が形成される。樹脂性分は磁力線が集中した部分から遠ざかるように力を受けて、導電性金属パターン部上の樹脂がはじかれる。なお、塗料が常磁性(χ>0)を示す場合は磁場を概略平行方向に印加すればよい。
【0055】
本発明で使用する磁場強度としては、磁束密度は2T(テスラ)以上であることが好ましく、さらに好ましくは10T以上である。その効果は、磁場の強さの2乗に比例するため、より強力な磁場を用いることによって強磁性体以外の物質に対する本発明の適応範囲が広がる。
【0056】
また、金属ナノワイヤーにニッケル金属等の磁化率の高い材料を含有させると、より磁束密度が集中し強い力を発生させることが可能となり、好ましく用いることができる。その場合は使用する磁場強度としては、0.1T程度から利用可能となる。金属ナノワイヤーに含有させる磁化率の高い材料としては、例えば鉄、コバルト、ニッケル、ガドリニウムを挙げることができる。こうした材料単独で金属ナノワイヤを形成できれば、最も好ましいが、例えば、銀や銅のナノワイヤを作製して、これらの表面に前述の磁化率の高い材料をコートすることも好ましい実施形態である。コートする方法としては、金属ナノワイヤ分散液に、無電解メッキの方法を利用してコートする方法や、金属ナノワイヤ塗布膜を形成したところで無電解メッキや電解メッキ処理をする方法等を挙げることができる。
【0057】
金属ナノワイヤをコートする材料としては、前述の中でもニッケルは酸化耐性も高く、メッキ等で容易に被膜作製できることから好ましく利用できる。ニッケルメッキとしてはリンを含有する無電解ニッケルメッキがよく知られているが、リンを含有する無電解ニッケルメッキで作製されるニッケル被膜は、高温の熱処理をしなければ強磁性体とならないため、透明フィルム基材を用いる本発明においては基材の劣化から適用することが難しい。無電解メッキでは磁性体となるリンを含有しない処理やNi−B処理が好ましい。あるいは、同じく磁性体となるニッケル電解メッキを用いることが好ましい。
【0058】
《導電性層》
本発明においては、微小スケールで見たときに金属ナノワイヤが存在しない窓部においても導電性を確保すること、及び、金属ナノワイヤの少なくとも一部が表面を露出する処理を施すことにより生じた表面の凹凸を容易に平滑化する目的で、金属ナノワイヤ含有樹脂層上導電性層を設ける。このとき、蒸着タイプの導電層では真空系が必要なため工程が煩雑になることに加えて、比較的表面の凹凸に追随して膜が形成されるために、凹凸を平坦化する効果が小さい。これに対して、液相成膜により形成する方法であれば、製造装置が簡素化できることに加えて、より平坦化が可能であることから、本発明において、より好ましい実施形態である。
【0059】
本発明においては、導電性は基本的に金属ナノワイヤで達成できているために、導電性層に求められる導電性は、金属ナノワイヤが存在しない窓部の微小領域の導電性確保ができればよい。そのために、10Ω/□程度の帯電防止剤レベルの導電材料でも利用可能である。もちろん導電性がより高い剤であることがより好ましい。また、必要となる導電性、平滑性を達成する膜厚で透明であることが必要である。
【0060】
こうした導電材料としては、例えば、特公昭60−51693号、特開昭61−223736号及び同62−9346号等の公報に記載の第4級アンモニウム基を側鎖に持つ架橋型共重合体粒子、特開平7−28194号公報に記載のアイオネン重合体架橋型あるいはアイオネン重合体を側鎖に持つ共重合体粒子等のカチオン帯電防止剤等のイオン性帯電防止剤、アクリル酸ナトリウムやスチレンスルホン酸ナトリウム、マレイン酸ナトリウム等を共重合成分に有するイオン性帯電防止剤、あるいは、ZrO、CeO、ZnO、TiO、SnO、Al、In、SiO、MgO、BaO、MoO、V等の金属酸化物微粒子やこれらの複合酸化物微粒子や異種原子をドーピングした複合金属酸化物微粒子、あるいはこれらの金属酸化物ゾル、あるいは、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリアズレン、ポリイソチアナフテン、ポリカルバゾール、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、ポリフェニルアセチレン、ポリジアセチレン及びポリナフタレン等のπ電子系の導電性高分子やこれらにドープ処理を施した導電性高分子等を挙げることができる。
【0061】
中でも、塩が他の素子部分に悪影響を与える懸念が少ない電子あるいはホール伝導性の導電剤であることが好ましい。さらに、導電性や透明性の点から、錫や亜鉛をドープした酸化インジウム(ITO、IZO)、アルミニウムやガリウムをドープした酸化亜鉛(AZO、GZO)、フッ素やアンチモンをドープした酸化錫(FTO、ATO)等の微粒子、長鎖スルホン酸等によりドープ処理されたポリアニリン系あるいはポリチオフェン系化合物がより好ましい。
【0062】
平坦化をより確実にするためには、こうした導電剤を含有する導電性層自身が平坦であることが必要である。具体的には、導電性層単独の表面粗さがJIS B601(1994)に準じて求めた算術平均粗さRaで30nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましく、5nmであることが最も好ましい(表面粗さの測定法は後述する)。ここで導電性層単独の表面粗さとは、金属ナノワイヤが存在しない窓部での導電性層の粗さであり、また、PETベース等の平滑な支持体上に金属ナノワイヤ層を設けずに、直接導電性層を設けた時の粗さで代用することもできる。
【0063】
導電性層自身を平坦とするためには、導電剤が塗布溶剤に溶解するタイプであるか、導電剤が粒子径0.5μm以下の微粒子であることが好ましく、導電剤が微粒子である場合は、さらに0.1μm以下であることがより好ましく、0.05μm以下であることが最も好ましい。
【0064】
また、平坦化を促進する、膜強度や接着性等の機械強度改善、さらにはひび割れを防止する視点等から、導電性層には透明樹脂を併用してもよい。透明樹脂としては前述の金属ナノワイヤ含有透明樹脂層に利用する樹脂を挙げることができる。なお、導電性確保の視点から、樹脂の含有量は導電剤がパーコレーション転移を起こす量以下であることが必要である。
【0065】
また、導電性を阻害しない範囲で、目的に応じて分散剤、活性剤、可塑剤、酸化防止剤、硫化防止剤等の安定剤、マイグレーション防止剤、染料や顔料等の着色剤等の添加物を含有してもよい。
【0066】
導電性層としての膜厚は、目的とする導電性と平滑性が確保でき、光透過率が劣化しない範囲で適宜決めることができるが、例えば、0.01〜5μm程度、より好ましくは0.05〜1μmである。
【0067】
導電性層の成膜は公知の液相成膜法を利用でき、例えば、公知の塗布法や印刷法を利用できる。塗布法としては、ロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法、押出しコート法等を用いることができる。印刷法としては、凸版(活版)印刷法、孔版(スクリーン)印刷法、平版(オフセット)印刷法、凹版(グラビア)印刷法、スプレー印刷法、インクジェット印刷法等を用いることができる。
【0068】
(平坦性)
本発明の透明導電性フィルムの表面粗さは、用途によって求められるレベルは変化するが、例えば、表面粗さがJIS B601(1994)に準じて求めた算術平均粗さRaで50nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましく、また、3nm以下であれば、平坦性がシビヤな用途にも利用することができ、最も好ましい。
【0069】
こうした表面粗さは市販の原子間力顕微鏡を利用して測定することができ、例えば、以下の方法で測定できる。
【0070】
原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy:AFM)は、セイコーインスツルメンツ社製SPI3800Nプローブステーション及びSPA400多機能型ユニットを使用し、約1cm角の大きさに切り取った試料を、ピエゾスキャナー上の水平な試料台上にセットし、カンチレバーを試料表面にアプローチし、原子間力が働く領域に達したところで、XY方向にスキャンし、その際の試料の凹凸をZ方向のピエゾの変位で捉える。ピエゾスキャナーは、XY20μm、Z2μmが走査可能なものを使用する。カンチレバーは、セイコーインスツルメンツ社製シリコンカンチレバーSI−DF20で、共振周波数120〜150kHz、バネ定数12〜20N/mのものを用い、DFMモード(Dynamic Force Mode)で測定する。測定領域10μm角を、走査周波数1Hzで測定する。
【0071】
《透明フィルム支持体》
透明フィルム支持体には特に制限はなく、その材料、形状、構造、厚み等については公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂フィルム、ポリサルホン(PSF)樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂フィルム、ポリカーボネート(PC)樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂フィルム等を挙げることができるが、可視域の波長(380〜780nm)における透過率が80%以上である樹脂フィルムであれば、本発明に係る透明フィルム支持体に好ましく適用することができる。中でも透明性、耐熱性、取り扱いやすさ、強度及びコストの点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリカーボネートフィルムであることが好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムであることがより好ましい。
【0072】
透明フィルム支持体には、塗布液の濡れ性や接着性を確保するために、表面処理を施すことや下引き層を設けることができる。表面処理や下引き層については従来公知の技術を使用できる。例えば、表面処理とは、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等の表面活性化処理を挙げることができる。また、下引き層としてはポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ビニル系共重合体、ブタジエン系共重合体、アクリル系共重合体、ビニリデン系共重合体、エポキシ系共重合体、ゼラチン等を挙げることができる。透明フィルム支持体が二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである場合は、フィルムに隣接する下引き層の屈折率を1.57〜1.63とすることで、フィルム基材と下引き層との界面反射を低減して透過率を向上させることができるのでより好ましい。屈折率を調整する方法としては、酸化スズゾルや酸化セリウムゾル等の比較的屈折率の高い酸化物ゾルとバインダー樹脂との比率を適宜調整して塗設することで作製できる。下引き層は単層でもよいが、接着性を向上させるためには2層以上の構成にしてもよい。
【0073】
(透明導電性フィルム)
本発明の透明導電性フィルムにおける電気抵抗値としては、表面抵抗率として10Ω/□以下であることが好ましく、10Ω/□以下であることがより好ましく、10Ω/□以下であることが特に好ましい。表面抵抗率は、例えば、JIS K6911、ASTM D257、等に準拠して測定することができ、また市販の表面抵抗率計を用いて簡便に測定することができる。
【0074】
また、本発明の透明導電性フィルムにおける全光透過率は60%以上であることが好ましく、70%以上あることがより好ましく、80%以上であることが最も好ましい。全光透過率は、分光光度計やヘイズメーター等を用いた公知の方法に従って測定することができる。
【0075】
本発明の透明導電性フィルムは、後述の各種透明電極や電磁波シールドフィルムとして好ましく用いることができる。
【0076】
(フレキシブル透明面電極)
本発明の透明導電性フィルムは、フレキシブル透明面電極として好ましく使用でき、例えば、有機ELや無機ELディスプレイや照明、各種電子ペーパー、太陽電池等の透明電極として好ましく使用できる。特に、10cm程度、あるいはそれ以上といった大きな面積の電極として使用する場合、従来のITOフィルム等では給電からの距離が遠い部分では電極でのわずかな電圧降下が無視できなくなり悪影響が出る。一方、本発明のフレキシブル透明面電極では、低抵抗の金属ナノワイヤ部により給電から遠い部分にもほとんど電圧降下なく電流を供給できることから、本発明が特に有効となる。
【実施例】
【0077】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」を表す。
【0078】
実施例
《透明導電性フィルムの作製》
(下引き済みPETフィルムの作製)
100μmの二軸延伸PETフィルムの両面に12W・min/mのコロナ放電処理を施し、それぞれの面に下記下引き塗布液B−1を乾燥膜厚が0.1μmになるように塗布し、さらに、それぞれの面のB−1乾燥膜上に12W・min/mのコロナ放電処理を施し、下記下引き塗布液B−2を乾燥膜厚が0.2μmになるように塗布した。その後、120℃で1.5分の熱処理を実施し、下引き済みPETフィルムを得た。
【0079】
〈下引き塗布液B−1〉
スチレン20質量部、グリシジルメタクリレート40質量部、ブチルアクリレート40質量部の共重合体ラテックス液(固形分質量30%) 50g
下記SnOゾル(A) 440g
化合物(UL−1) 0.2g
水で1000mlに仕上げる
〈下引き塗布液B−2〉
下記変性ポリエステルA(固形分18%) 215g
化合物(UL−2) 0.4g
真球状シリカマット剤 シーホスターKE−P50(日本触媒社製) 0.3g
水で1000mlに仕上げる
(SnOゾル(A)の合成)
SnCl・5HO 65gを蒸留水2000mlに溶解して均一溶液とし、次いでこれを煮沸し沈澱物を得た。生成した沈澱物をデカンテーションにより取り出し、蒸留水にて何度も水洗した。沈澱を水洗した蒸留水中に硝酸銀を滴下し、塩素イオンの反応がないことを確認後、洗浄した沈澱物に蒸留水を添加し全量を2000mlとした。これに30%アンモニア水40mlを加え加温することにより、均一なゾルを得た。さらに、アンモニア水を添加しながらSnOの固型分濃度が8.3質量%になるまで加熱濃縮し、SnOゾル(A)を得た。
【0080】
【化1】

【0081】
(変性水性ポリエステルAの合成)
重縮合用反応容器に、テレフタル酸ジメチル35.4質量部、イソフタル酸ジメチル33.63質量部、5−スルホ−イソフタル酸ジメチルナトリウム塩17.92質量部、エチレングリコール62質量部、酢酸カルシウム一水塩0.065質量部、酢酸マンガン四水塩0.022質量部を投入し、窒素気流下において、170〜220℃でメタノールを留去しながらエステル交換反応を行った後、リン酸トリメチル0.04質量部、重縮合触媒とし三酸化アンチモン0.04質量部及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸6.8質量部を加え、220〜235℃の反応温度で、ほぼ理論量の水を留去しエステル化を行った。その後、さらに反応系内を約1時間かけて減圧、昇温し、最終的に280℃、133Pa以下で約1時間重縮合を行い、変性水性ポリエステルAの前駆体を得た。前駆体の固有粘度は0.33であった。
【0082】
攪拌翼、環流冷却管、温度計を付した2Lの三つ口フラスコに、純水850mlを入れ、攪拌翼を回転させながら、150gの上記前駆体を徐々に添加した。室温でこのまま30分間攪拌した後、1.5時間かけて内温が98℃になるように加熱し、この温度で3時間加熱溶解した。加熱終了後、1時間かけて室温まで冷却し、一夜放置して、固形分濃度が15質量%の溶液を調製した。
【0083】
攪拌翼、環流冷却管、温度計、滴下ロートを付した3Lの四つ口フラスコに、上記前駆体溶液1900mlを入れ、攪拌翼を回転させながら、内温度を80℃まで加熱した。この中に、過硫酸アンモニウムの24%水溶液を6.52ml加え、単量体混合液(メタクリル酸グリシジル28.5g、アクリル酸エチル21.4g、メタクリル酸メチル21.4g)を30分間かけて滴下し、さらに3時間反応を続けた。その後、30℃以下まで冷却し、濾過して、固形分濃度が18質量%の変性水性ポリエステルAの溶液を調製した(ポリエステル成分/アクリル成分=80/20)。
【0084】
〔透明導電性フィルム101の作製〕
(銀ナノワイヤ分散液M−1の調製)
参考文献「Adv.Mater.,2002,14,833〜837」に記載の方法を参考に、還元剤としてエチレングリコール(EG、関東化学社製)を、形態制御剤兼保護コロイド剤としてポリビニルピロリドン(PVP:平均分子量130万、アルドリッチ社製)を使用し、かつ核形成工程と粒子成長工程とを分離して粒子形成を行い、銀ナノワイヤ分散液M−1を調製した。
【0085】
(核形成工程)
反応容器内で160℃に保持したEG液100mlを攪拌しながら、硝酸銀のEG溶液(硝酸銀濃度:1.0モル/L)2.0mlを一定の流量で1分間かけて添加した後、160℃で10分間保持し、銀イオンを還元して銀の核粒子を形成した。反応液は、ナノサイズの銀微粒子の表面プラズモン吸収に由来する薄黄色を呈しており、銀イオンが還元されて銀の微粒子(核粒子)が形成されたことが確認できた。続いて、PVPのEG溶液(PVP濃度:3.0×10−1モル/L)10.0mlを一定の流量で10分間かけて添加した。
【0086】
(粒子成長工程)
上記核形成工程終了後の核粒子を含む反応液を攪拌しながら160℃に保持し、硝酸銀のEG溶液(硝酸銀濃度:1.0×10−1モル/L)100mlと、PVPのEG溶液(PVP濃度:3.0×10−1モル/L)100mlを、ダブルジェット法を用いて一定の流量で120分間かけて添加した。粒子成長工程において、30分毎に反応液を採取して電子顕微鏡で確認したところ、核形成工程で形成された核粒子が時間経過に伴ってワイヤ状の形態に成長しており、粒子成長工程における新たな微粒子の生成は認められなかった。最終的に得られた銀ナノワイヤについて、電子顕微鏡写真を撮影し、300個の銀ナノワイヤ粒子像の長軸方向及び短軸方向の粒径を測定して算術平均を求めた。短軸方向の平均粒径は100nm、長軸方向の平均粒径は40μmであった。
【0087】
(脱塩水洗工程)
上記粒子形成工程を終了した反応液を室温まで冷却した後、分画分子量0.2μmの限外濾過膜を用いて脱塩水洗処理を施すと共に、溶媒をエタノールに置換した。最後に液量を100mlまで濃縮して、銀ナノワイヤのエタノール分散液W−10(銀ナノワイヤ含有量0.5質量%)を調製した。
【0088】
銀ナノワイヤ分散液W−10を、前述の下引き済みPETフィルム上に換算膜厚が20nmになるように塗布した後、80℃にて乾燥処理した。このフィルムに公知のニッケル電解メッキを施して、銀ナノワイヤ表面に10nmのニッケル被膜を設けた(これをWCF−1とする)。その後、下記UV硬化透明樹脂液1をWCF−1上に乾燥後の膜厚さが基準膜厚の1.0倍になるように押出しコート法により塗布して80℃で1分間乾燥し、引き続いて、5Tの磁場を垂直方向に5分印加した後に120mmJ/cmの紫外線を高圧水銀灯で照射して固化した(これをPCF−1とする)。電子顕微鏡によりWCF−1、PCF−1の表面を観察したところ、PCF−1では一部のワイヤの表面が露出して固化していた。また、それぞれからワイヤの全投影面積、表面に露出した部分のワイヤの投影面積を求める露出したワイヤの比率は60%であった。
【0089】
〈UV硬化透明樹脂液1〉
SP−1(旭電化社製) 3質量部
EP−1 20質量部
OXT221(東亞合成社製) 40.4質量部
OXT212(東亞合成社製) 25質量部
OXT101(東亞合成社製) 3質量部
プロピレンカーボネート 3質量部
トリイソプロパノールアミン 0.1質量部
X−22−4272(信越シリコーン社製) 0.5質量部
ARUFON UP1021(東亞合成社製) 5質量部
アセトン 12000質量部
メタノール 2900質量部
導電性層塗布液としてPEDOT:PSS=1:2.5の分散液であるBaytron PH510(H.C.Starck社製)にジメチルスルホキシドを5質量%、UL−1を0.1質量%添加した液を準備して、PCF−1上に乾燥膜厚が130nmとなるように押出しコート法により塗布して80℃で2分間乾燥して、透明導電性フィルム101を作製した。
【0090】
なお、東洋紡社製光学用PETフィルムA4100の下引き加工をしていない面にコロナ放電処理をして、透明導電性フィルム101に使用した導電性層塗布液を同様に塗布乾燥したフィルム(CCF−1)を作製した。
【0091】
【化2】

【0092】
〔透明導電性フィルム102の作製〕
透明導電性フィルム101の作製において、ニッケル電解メッキを省略し、磁場を印加せずに樹脂層を硬化させた後、図6に示したプラズマ放電処理装置10を用いて、下記の処理条件で大気圧プラズマ処理をした以外は同様にして透明導電性フィルム102を作製した。プラズマ処理後、透明樹脂層の膜厚は基準膜厚の0.55倍となっており、露出したワイヤの比率は70%であった。
【0093】
(プラズマ電源周波数とメーカー)
13.56MHz(パール工業製)
(放電出力条件)
4W/cm なお、単位のW/cmとは印加出力(単位W)を放電面積(cm)で除したもの。
【0094】
(ガス条件)
ガス1:アルゴン 8.00体積%
ガス2:CF 混合ガス全体に対して1.0体積%
ガス3:酸素 混合ガス全体に対して1.0体積%
(処理時間)
0.4秒
〔透明導電性フィルム103の作製〕
透明導電性フィルム102の作製において、透明樹脂の膜厚を基準膜厚の0.9倍とし、大気圧プラズマ処理の代わりに、30W・min/mのコロナ放電処理を施した以外は同様にして透明導電性フィルム103を作製した。コロナ処理後、透明樹脂層の膜厚は基準膜厚の0.9倍となっており、露出したワイヤの比率は15%であった。
【0095】
〔透明導電性フィルム104の作製〕
透明導電性フィルム101の作製において、銀ナノワイヤ塗布膜にニッケル電解メッキを施す代わりに、粒子成長工程後の銀ナノワイヤに公知の方法でNi−B無電解メッキよってニッケルを10nm被覆した以外は同様にして透明導電性フィルム104を作製した。このフィルムの露出したワイヤの比率は60%であった。
【0096】
〔透明導電性フィルム105の作製〕
透明導電性フィルム101の作製において、導電性層として、スルホン酸系ドーパントを含有する導電性ポリアニリンの分散液ORMECON D1033(ドイツ オルメコン社製)を用いて、乾燥膜厚が130nmとなるように作製した以外は同様にして透明導電性フィルム105を作製した。
【0097】
〔透明導電性フィルム106の作製〕
透明導電性フィルム101の作製において、導電性層として、下記導電性層塗布液B−3を乾燥膜厚が1μmとなるように作製した以外は同様にして透明導電性フィルム106を作製した。
【0098】
〈導電性層塗布液B−3〉
SbドープSnO微粒子((株)石原産業製SN100D、固形分30%)
110g
化合物(UL−1) 0.2g
変性ポリエステルA(固形分18%) 10g
水で1000mlに仕上げる
〔透明導電性フィルム107の作製〕
透明導電性フィルム101の作製において、導電性層として、導電性ポリアニリンの分散液ORMECON NX−C001(ドイツ オルメコン社製)を用いて、乾燥膜厚が500nmとなるように作製した以外は同様にして透明導電性フィルム107を作製した。
【0099】
〔透明導電性フィルム108の作製〕
透明導電性フィルム102の作製において、プラズマ放電処理時間を0.5秒にした以外は同様にして透明導電性フィルム108を作製した。プラズマ処理後、透明樹脂層の膜厚は基準膜厚の0.4となっており、露出したワイヤの比率は80%であった。
【0100】
〔透明導電性フィルム109の作製〕
透明導電性フィルム108の作製において、導電性層の膜厚を300nmにした以外は同様にして透明導電性フィルム109を作製した。
【0101】
〔透明導電性フィルム110の作製〕
透明導電性フィルム101の作製において、透明樹脂の塗布膜厚を基準膜厚の1.3とした以外は同様にして透明導電性フィルム110を作製した。このフィルムの露出したワイヤの比率は8%であった。
【0102】
〔透明導電性フィルム111の作製〕
透明導電性フィルム103の作製において、コロナ放電強度を15W・min/mとした以外は同様にして導電性フィルム111を作製した。コロナ処理後、透明樹脂層の膜厚は基準膜厚の0.9倍となっており、露出したワイヤの比率は7%であった。
【0103】
〔透明導電性フィルム112の作製〕
透明導電性フィルム102の作製において、導電性層を公知のスパッタリング法でITO膜を作製した(ITO単独での導電性は100Ω/□であった)以外は同様にして透明導電性フィルム112を作製した。
【0104】
〔透明導電性フィルム201の作製〕
透明導電性フィルム103の作製において、コロナ放電処理をしなかった以外は同様にして比較の透明導電性フィルム201を作製した。このフィルムは金属ナノワイヤは表面付近も薄く樹脂が覆っていた。
【0105】
〔透明導電性フィルム202の作製〕
透明導電性フィルム103の作製において、導電性層を設けなかった以外は同様にして比較の透明導電性フィルム202を作製した。
【0106】
〔透明導電性フィルム203の作製〕
透明導電性フィルム103の作製において、コロナ放電処理を施さず、さらに導電性層を設けなかった以外は同様にして比較の透明導電性フィルム203を作製した。
【0107】
《透明導電性フィルムの評価》
(透過率)
作製した各透明導電性フィルムの表面抵抗率及び全光透過率(以下、単に「透過率」という。)を、各々JIS K 7194:1994準拠した方法で測定した。
【0108】
(表面比抵抗の測定)
抵抗率計(ロレスタGP(MCP−T610型):(株)ダイヤインスツルメンツ社製)を用いて表面比抵抗を測定した。
【0109】
(表面粗さ)
前述の方法で、各透明導電性フィルム、さらに導電膜単独(透明導電性フィルム101に対応するCCF−1及び他の導電性フィルムに対応する同様のフィルム)の表面粗さを前述の一般記載に記載した方法で測定した。
【0110】
上記評価の結果を表1に示す。
【0111】
《表示素子の作製》
〔表示素子S−101の作製〕
(透明面電極101の作製)
透明導電性フィルム101を10cm×12cm切り出して、透明面電極101とした。
【0112】
(電解質溶液1の調製)
ジメチルスルホキシド2.5g中に、ヨウ化ナトリウム90mg、ヨウ化銀75mgを加えて完全に溶解した後、酸化チタン0.5gを加えて超音波分散機にて酸化チタンを分散した。この溶液にポリビニルアルコール(ケン化度約87〜89%、重合度4500)を150mg加えて120℃に加熱しながら1時間攪拌し、電解質溶液1を得た。
【0113】
(金属電極の作製)
厚さ1.5mmで10cm×12cmのガラス基板上に、公知のスパッタリング法でCu膜を全面に形成した後、電解メッキによりCu極上に銀を10μm堆積させて、銀電極(電極2)を得た。
【0114】
(表示素子S−101の作製)
上記調製した電解質溶液1に、平均粒子径が20μmのポリアクリル製の球形ビーズを体積分率として4体積%になるように加えて攪拌した溶液を、上記電極2の上に塗布し、その上から透明面電極101を直角方向に組合せて表示素子S−101を作製した。重ね合わされた10cm×10cmの部分が表示部(黒/白ベタ)であり、残りの部分がリード部として用いられる。リード部には十分な量の銀ペーストを塗布した。
【0115】
〔表示素子S−102〜S−112、S−201〜S−203の作製〕
表示素子S−101の作製において、透明導電性フィルム101を透明導電性フィルム102〜112、201〜203に代えた以外は同様にしてて、それぞれ表示素子S−102〜S−112、S−201〜S−203を作製した。
【0116】
《表示素子の評価》
作製した各表示素子について、1.0Vの直流電源を用いて、透明電極側に−、電極2側に+を接続して黒ベタ表示とした。この時の白から黒に変わる様子をルーペ観察し、以下の基準で評価した。4以上が好ましい。
【0117】
5:電流を流してすぐに全面均一に黒化した
4:全面黒化はしたが、少し時間がかかった
3:黒化に時間がかかり、また、場所によって濃淡ができた
2:ワイヤのある部分しか黒化しなかった
1:まばらにしか黒化しなかった
評価の結果を表1に示す。
【0118】
【表1】

【0119】
表より、本発明の透明導電性フィルムは、比較例に比べ、高い導電性と良好な透明性と表面平滑性を併せ持つことが分かる。
【0120】
また、本発明の透明導電性フィルムを透明面電極に用いた表示素子は全面が黒化した。これは、全面で均一な導電性があることを意味し、本発明の透明導電性フィルムが面電極として優れていることが分かる。これに対し、比較の透明導電性フィルムを透明面電極に用いた表示素子は、場所によって濃淡ができたり、黒化しない部分があり、NGである。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】プラズマ放電処理容器の一例を示す概略図である。
【図2】プラズマ放電処理容器の他の一例を示す概略図である。
【図3】円筒型のロール電極の一例を示す斜視図(a)及び(b)である。
【図4】固定型の円筒型電極の一例を示す斜視図(a)及び(b)である。
【図5】固定型の角柱型電極の一例を示す斜視図(a)及び(b)である。
【図6】プラズマ放電処理装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0122】
F 基材
20 処理容器
21、22、29 電極
21a、21A、22a、22A、29a、29A 金属等の導電性母材
21b、22b、29b セラミック被覆処理誘電体
21B、22B、29B ライニング処理誘電体
23a、23b ニップローラー
24、25 ガイドローラー
26 仕切板
27 給気口
28 排気口
40 ガス発生装置
41 ガス充填手段
50 電源
70 電極冷却ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明フィルム支持体上に、少なくとも金属ナノワイヤと透明樹脂とを含有し、該金属ナノワイヤの少なくとも一部が表面に露出した金属ナノワイヤ含有透明樹脂層を有し、さらに、該金属ナノワイヤ含有透明樹脂層の上に導電性層を有することを特徴とする透明導電性フィルム。
【請求項2】
前記金属ナノワイヤ含有透明樹脂層において、金属ナノワイヤが完全に埋もれてしまう膜厚を基準膜厚とした時、透明樹脂の膜厚が、該基準膜厚の0.5〜1.2倍の範囲であることを特徴とする請求項1記載の透明導電性フィルム。
【請求項3】
前記金属ナノワイヤ含有透明樹脂層において、表面に露出している部分の金属ナノワイヤの比率が、全金属ナノワイヤの投影面積の10%以上であることを特徴とする請求項1記載の透明導電性フィルム。
【請求項4】
前記導電性層が液相成膜法により形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の透明導電性フィルム。
【請求項5】
前記金属ナノワイヤの少なくとも一部を表面に露出させる処理が、透明樹脂固化前に磁場を印加する処理であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の透明導電性フィルム。
【請求項6】
前記金属ナノワイヤが磁性を有する成分を少なくとも一部に含むことを特徴とする請求項5記載の透明導電性フィルム。
【請求項7】
前記金属ナノワイヤの少なくとも一部を表面に露出させる処理が、放電処理またはプラズマ処理であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の透明導電性フィルム。
【請求項8】
前記プラズマ処理が大気圧プラズマ処理であることを特徴とする請求項7記載の透明導電性フィルム。
【請求項9】
前記放電処理がコロナ放電処理であることを特徴とする請求項7記載の透明導電性フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−252437(P2009−252437A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−96957(P2008−96957)
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】