透明導電性積層体の製造方法ならびに静電容量式タッチパネル
【課題】短い製造工程で、基板の両面に異なる形状の微細パターンを同時に形成することができ、微細パターンであっても位置合わせが容易な透明導電性積層体及びその製造方法並びに静電容量式タッチパネルを提供する。
【解決手段】透明導電性積層体10は、透明基板層1と、透明基板層1の両面に形成された第一の導電性パターン領域4a及び第一の非導電性パターン領域4bを有する第一の透明導電層1aと、第一の導電性パターン領域4a及び第一の非導電性パターン領域4bを有する第二の透明導電層1bとからなり、第一の透明導電層1aと第二の透明導電層1bとの間に形成された少なくとも1の層が光を吸収する機能を有する。
【解決手段】透明導電性積層体10は、透明基板層1と、透明基板層1の両面に形成された第一の導電性パターン領域4a及び第一の非導電性パターン領域4bを有する第一の透明導電層1aと、第一の導電性パターン領域4a及び第一の非導電性パターン領域4bを有する第二の透明導電層1bとからなり、第一の透明導電層1aと第二の透明導電層1bとの間に形成された少なくとも1の層が光を吸収する機能を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明導電性積層体の製造方法およびこの製造方法で製造された透明導電性積層体を用いた静電容量式タッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な電子機器のディスプレイ上に入力デバイスとして、透明なタッチパネルが取り付けられている。タッチパネルの方式としては、抵抗膜式、静電容量式などが挙げられる。特に、静電容量式はマルチタッチが可能であり、モバイル機器などの用途に多く採用されている。
【0003】
静電容量式のタッチパネルは、パターンを形成した透明導電層を用いる。この透明導電層にパターンを形成する方法として、例えば、特許文献1から3のようにレジストを用いてパターンを形成するようなフォトリソグラフィによる方法がある。他の方法としては、特許文献4のように、導電膜形成用組成物として、光に反応する官能基或いは部位を有するインジウム化合物及び同様な官能基或いは部位を有する錫化合物を用い、パターン露光を行う方法や、特許文献5のように、レーザー光によるパターン形成を行う方法などがある。
【0004】
また、静電容量式のタッチパネルは、ディスプレイ上に用いることから、透明導電層のパターン形状が目立つと視認性が低下する問題がある。そのため、ディスプレイの画質を低下させないように、特許文献6のように透明導電層以外に光学調整層を形成することにより、透過率を高めたタッチパネル用透明導電性積層体が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1−197911号公報
【特許文献2】特開平2−109205号公報
【特許文献3】特開平2−309510号公報
【特許文献4】特開平9−142884号公報
【特許文献5】特開2008−140130号公報
【特許文献6】特開平11−286066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1から3のようなフォトリソグラフィによる方法は、多くの製造工程を要することが多い。特に、基板の両面に透明導電層を設けてパターンを形成する場合、片面ずつレジスト塗布、露光、現像などの工程を経るため、製造工程が煩雑になる。また、視認性の低下の問題を解決するために、特許文献6のように透明導電層以外に光学調整層を形成する場合にも、さらに製造工程を増やす必要があるため、さらに製造工程が煩雑になる。
【0007】
また、特許文献4又は5のような方法は、レジストを用いることがなく、製造工程を短縮することが可能であるが、特許文献4の方法では、基板の両面に透明導電層を設けてパターンを形成する場合、基板の両面に形成するパターンの位置を合わせることが困難である。特に、基板の両面に微細なパターンを形成しようとする場合、パターンの位置を合わせることが大きな課題となる。一方、特許文献5の方法では、レーザー光により基板の両面に同じパターンを形成することはできるが、基板の両面に異なるパターンを形成する場合は適用できないという点で問題がある。
【0008】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑みてなされたもので、その目的は、レジストを用いて透明導電層にパターンを形成する方法を用いても、短い製造工程で基板の両面に異なる形状のパターンを同時に形成することができ、基板の両面に形成されたパターンが微細なものであっても位置合わせが容易であり、さらに、パターン形状を目立たなくする上で有利な透明導電性積層体及びその製造方法並びに静電容量式タッチパネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、透明基板層の両面に少なくとも第一の透明導電層及び第二の透明導電層を形成する工程と、前記第一の透明導電層及び前記第二の透明導電層の表面にレジストを塗布する工程と、前記第一の透明導電層にパターンを形成するための光源とマスクと、前記第二の透明導電層にパターンを形成するための光源とマスクとを、それぞれ光源側から順に配置し、前記第一の透明導電層の表面に塗布した前記レジストと前記第二の透明導電層の表面に塗布した前記レジストとを同時に露光する工程と、感光した前記レジストを現像する工程と、前記レジストに覆われていない前記第一の透明導電層及び前記第二の透明導電層をエッチングする工程と、前記レジストを剥離する工程と、を含み、前記第一の透明導電層と前記第二の透明導電層との間に形成された少なくとも1の層が光を吸収する層であることを特徴とする透明導電性積層体の製造方法である。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、前記透明基板層が光を吸収する層であり、前記透明基板層が紫外線吸収剤又は紫外線吸収機能を有する樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の透明導電性積層体の製造方法である。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、前記透明基板層の両面に樹脂層を形成する工程と、前記樹脂層の表面に第一の透明導電層と前記第二の透明導電層とを形成する工程をさらに含み、前記樹脂層が光を吸収する層であり、前記樹脂層が紫外線吸収剤又は紫外線吸収機能を有する樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の透明導電性積層体の製造方法である。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、第一の透明基板層の片面に少なくとも第一の透明導電層を形成する工程と、第二の透明基板層の片面に少なくとも第二の透明導電層を形成する工程と、前記第一の透明導電層及び前記第二の透明導電層を外側にして、前記第一の透明基板層と前記第二の透明基板層とを粘着層で貼り合わせる工程と、前記第一の透明導電層及び前記第二の透明導電層の表面にレジストを塗布する工程と、前記第一の透明導電層にパターンを形成するための光源とマスクと、前記第二の透明導電層にパターンを形成するための光源とマスクとを、それぞれ光源側から順に配置し、前記第一の透明導電層の表面に塗布した前記レジストと前記第二の透明導電層の表面に塗布した前記レジストとを同時に露光する工程と、感光した前記レジストを現像する工程と、前記レジストに覆われていない前記第一の透明導電層及び前記第二の透明導電層をエッチングする工程と、前記レジストを剥離する工程と、を含み、前記第一の透明導電層と前記第二の透明導電層との間に形成された少なくとも1の層が光を吸収する層であることを特徴とする透明導電性積層体の製造方法である。
【0013】
また、請求項5に記載の発明は、前記粘着層が光を吸収する層であり、前記粘着層が紫外線吸収剤又は紫外線吸収機能を有する樹脂を含むことを特徴とする請求項4に記載の透明導電性積層体の製造方法である。
【0014】
また、請求項6に記載の発明は、前記レジストが波長370nm以下の光に対して感光するレジストであることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の透明導電性積層体の製造方法である。
【0015】
また、請求項7に記載の発明は、前記光を吸収する層の光の吸収領域が370nm以下であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の透明導電性積層体の製造方法である。
【0016】
また、請求項8に記載の発明は、前記透明基板層に前記透明導電層を形成する工程から前記レジストを剥離する工程までをロールトゥロール方式により行うことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の透明導電性積層体の製造方法である。
【0017】
また、請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の製造方法によって製造された透明導電性積層体を用いた静電容量式タッチパネルである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、透明基板層、樹脂層又は粘着層のいずれかが光を吸収する層であることにより、透明基板層の両面に形成した透明導電層について両面同時に異なるパターンを形成しても、互いのパターンの写りこみを防止することができる。また、透明基板層の両面に異なる形状のパターンを同時に形成することができるため、パターンが微細なものであっても位置合わせを容易に行うことができる。さらに、透明基板層の両面に精度よく微細なパターンを形成することができるため、微細パターンによってパターン形状の目立たなくすることができ、結果として視認性の高い透明導電性積層体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の透明導電性積層体の断面例1の説明図である。
【図2】本発明の透明導電性積層体の断面例2の説明図である。
【図3】本発明の透明導電性積層体の断面例3の説明図である。
【図4】本発明の透明導電性積層体の断面例4の説明図である。
【図5】本発明の透明導電性積層体の断面例5の説明図である。
【図6】本発明の透明導電性積層体の断面例6の説明図である。
【図7】本発明の透明導電性積層体の断面例7の説明図である。
【図8】本発明の透明導電性積層体の断面例8の説明図である。
【図9】透明導電層のパターン例(X座標)の説明図である。
【図10】透明導電層のパターン例(Y座標)の説明図である。
【図11】透明導電層のパターン例のX座標とY座標との位置関係の説明図である。
【図12】本発明の透明導電性積層体の露光工程例の説明図である。
【図13】本発明の透明導電性積層体のパターン形成工程例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を用いながら説明する。なお、本発明は、以下に記載する実施の形態に限定されうるものではなく、当業者の知識に基づいて設計の変更などの変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれるものである。
【0021】
図1は、本発明の透明導電性積層体の断面例1の説明図である。透明導電性積層体10は、透明基板1の両面に設けられた導電性パターン領域4a及び非導電性パターン領域4bを形成した第一の透明導電層3aと、導電性パターン領域4a及び非導電性パターン領域4bを形成した第二の透明導電層3bとから構成される。ここで、導電性パターン領域とは、透明導電層のうち、導電性を有する部分のことをいい、非導電性パターン領域とは、透明導電層のうち、導電性を有する部分を除いた導電性を有しない部分のことをいう。
【0022】
図2は、本発明の透明導電性積層体の断面例2の説明図である。図2のように、図1に示した透明導電性積層体10の透明基板1と第一の透明導電層3aとの間及び透明基板1と第二の透明導電層3bとの間に、それぞれ光学調整層2a、2bを設けてもよい。その他の実施形態としては、透明基板1と第一の透明導電層3aとの間又は透明基板1と第二の透明導電層3bとの間のどちらか一方のみに、光学調整層を設けてもよい。
【0023】
図3は、本発明の透明導電性積層体の断面例3の説明図である。透明導電性積層体10は、透明基板1の両面に設けられた導電性パターン領域4a及び非導電性パターン領域4bを形成した第一の透明導電層3aと、導電性パターン領域4a及び非導電性パターン領域4bを形成した第二の透明導電層3bと、透明基板1と第一の透明導電層3aとの間及び透明基板1と第二の透明導電層3bとの間にそれぞれ設けた樹脂層5a、5bとから構成される。その他の実施形態としては、透明基板1と第一の透明導電層3aとの間又は透明基板1と第二の透明導電層3bとの間のどちらか一方のみに、樹脂層を設けてもよい。
【0024】
図4は、本発明の透明導電性積層体の断面例4の説明図である。図4のように、図3に示した透明導電性積層体10の樹脂層5aと第一の透明導電層3aとの間及び樹脂層5bと第二の透明導電層3bとの間に、それぞれ光学調整層2a、2bを設けてもよい。その他の実施形態としては、樹脂層5aと第一の透明導電層3aとの間又は樹脂層5bと第二の透明導電層3bとの間のどちらか一方のみに、光学調整層を設けてもよい。また、透明基板1と樹脂層5aとの間又は透明基板1と樹脂層5bの間に光学調整層を設けてもよい。
【0025】
図5は、本発明の透明導電性積層体の断面例5の説明図である。透明導電性積層体10は、第一の透明基板1aの片面に設けられた導電性パターン領域4a及び非導電性パターン領域4bを形成した第一の透明導電層3aと、第二の透明基板1bの片面に設けられた導電性パターン領域4a及び非導電性パターン領域4bを形成した第二の透明導電層3bと、第一の透明導電層3aと第二の透明導電層3bを外側にして、第一の透明基板1aと第二の透明基板1bとの間に設けた粘着層6とから構成される。
【0026】
図6は、本発明の透明導電性積層体の断面例6の説明図である。図6のように、図5に示した透明導電性積層体10の第一の透明基板1aと第一の透明導電層3aとの間及び第二の透明基板1bと第二の透明導電層3bとの間に、それぞれ光学調整層2a、2bを設けてもよい。その他の実施形態としては、第一の透明基板1aと第一の透明導電層3aとの間又は第二の透明基板1bと第二の透明導電層3bとの間のどちらか一方のみに、光学調整層を設けてもよい。
【0027】
図7は、本発明の透明導電性積層体の断面例7の説明図である。透明導電性積層体10は、第一の透明基板1aと第一の透明導電層3aとの間及び第二の透明基板1bと第二の透明導電層3bとの間に、それぞれ樹脂層5a、5bを設けてもよい。その他の実施形態としては、第一の透明基板1aと第一の透明導電層3aとの間又は第二の透明基板1bと第二の透明導電層3bとの間のどちらか一方のみに、樹脂層を設けてもよい。
【0028】
図8は、本発明の透明導電性積層体の断面例8の説明図である。図8のように、図7に示した透明導電性積層体10の樹脂層5aと第一の透明導電層3aとの間及び樹脂層5bと第二の透明導電層3bとの間に、それぞれ光学調整層2a、2bを設けてもよい。その他の実施形態としては、樹脂層5aと第一の透明導電層3aとの間又は樹脂層5bと第二の透明導電層3bとの間のどちらか一方のみに、光学調整層を設けてもよい。また、第一の透明基板1aと樹脂層5aとの間又は第二の透明基板1bと樹脂層5bの間に光学調整層を設けてもよい。
【0029】
本発明で用いる透明基板層1、1a及び1bは、ガラスの他に、樹脂からなるプラスチックフィルムが用いられる。プラスチックフィルムとしては、成膜工程及び後工程において十分な強度があり、表面の平滑性が良好であれば、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリアリレートフィルム、環状ポリオレフィンフィルム、ポリイミドフィルムなどが挙げられる。その厚さは部材の薄型化と基材の可撓性とを考慮し、10μm以上200μm以下程度のものが用いられる。
【0030】
本発明で用いる透明基板層1、1a及び1bは、光を吸収することが好ましい。光を吸収することにより、透明基板層1の両面の透明導電層にパターンを形成する場合、透明基板層1の一方の面側から照射された光のうち、レジストに吸収されなかった光を透明基板層1で吸収し、透明基板層1の他方の面側のレジストに光が到達することを防ぐことができるからである。特に、透明基板層1の両面で異なるパターンを同時に形成する場合、一方の面側のレジストのみを露光することができるため、一方の面のパターンが他方の面のパターンと重なることを防止することができる。同様の理由で、透明基板層1a及び1bも光を吸収することが好ましい。
【0031】
上記のように、透明基板層1、1a及び1bは、レジストを露光するための光を吸収することが好ましい。レジストを露光するための光は、レジストの種類又は光源の種類によっても異なるが、紫外領域の波長(約200nm〜360nm)と可視領域の波長(約360nm〜780nm)の光を用いることが多いことから、透明基板層1はこれらの領域の光を吸収することが好ましい。特に、実用性を考慮し、透明基板層1は紫外領域の370nm以下の光を吸収することが好ましい。
【0032】
紫外光を吸収するために用いられる光吸収材料としては、紫外線吸収剤や紫外線吸収機能を有する樹脂などが挙げられ、透明基板層に紫外線吸収剤を添加させたり、透明基板層を構成する樹脂と紫外線吸収機能を有する樹脂とを共重合させたりすることができる。
【0033】
透明基板層1、1a及び1bに含有される紫外線吸収剤は、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、サリシレート系、トリアジン系、シアノアクリルレート系などが挙げられる。具体的には、例えばベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールなどやこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体などが挙げられる。また、例えばトリアジン系紫外線吸収剤としては、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−イソ−オクチルオキシフェニル)−s−トリアジンなどやこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体などが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、また、複数を混合して使用してもよい。
【0034】
また、紫外線吸収機能を有する樹脂は、上記で挙げたベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、サリシレート系、トリアジン系、シアノアクリルレート系などの非反応性紫外線吸収剤に、ビニル基やアクリロイル基、メタアクリロイル基などの重合性二重結合を有する官能基や、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基などを導入したものである。これらの樹脂と、透明基板層1、1a及び1bに含有される樹脂を共重合させて紫外線吸収機能を有する透明基板層として用いることができる。
【0035】
上記で挙げた光吸収材料は、単独で用いるだけでなく複数組み合わせて用いてもよい。例えば、吸収できる光の波長が異なる複数の光吸収材料を用いることで、広い波長領域で不要な光を吸収することができる。
【0036】
光吸収材料の含有量は、透明基板層1、1a及び1bの一方の面のレジストに吸収されなかった光が他方の面のレジストに到達することを防止できれば特に限定されないが、透明基板層1、1a及び1bを構成する樹脂に対して、0.01重量%以上20重量%以下含有することが好ましい。下限値より小さい場合、不要な光を十分吸収することができず好ましくない。また、上限値を超える場合、透明基板層1、1a及び1bの透明性が低下し、外観上好ましくない。
【0037】
透明基板層1、1a及び1bに含有される材料としては、上記材料の他に、周知の種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、可塑剤、滑剤、易接着剤などが使用されてもよい。各層との密着性を改善するため、前処理としてコロナ処理、低温プラズマ処理、イオンボンバード処理、薬品処理などを施してもよい。
【0038】
本発明で用いる樹脂層5a、5bは、透明導電性積層体10に機械的強度を持たせるために設けられる。用いられる樹脂としては、特に限定はしないが、透明性と適度な硬度と機械的強度を持つ樹脂が好ましい。具体的には3次元架橋の期待できる3官能以上のアクリレートを主成分とするモノマー又は架橋性オリゴマーのような光硬化性樹脂が好ましい。
【0039】
3官能以上のアクリレートモノマーとしては、トリメチロールプロパントリアクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ポリエステルアクリレートなどが好ましい。特に好ましいのは、イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート及びポリエステルアクリレートである。これらは単独で用いても良いし、2種以上併用しても構わない。また、これら3官能以上のアクリレートの他にエポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリオールアクリレートなどのいわゆるアクリル系樹脂を併用することが可能である。
【0040】
架橋性オリゴマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートなどのアクリルオリゴマーが好ましい。具体的にはポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシアクリレート、ポリウレタンのジアクリレート、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレートなどがある。
【0041】
樹脂層5a、5bは、その他に粒子、光重合開始剤などの添加剤を含有してもよい。
【0042】
添加する粒子としては、有機又は無機の粒子が挙げられるが、透明性を考慮すれば、有機粒子を用いることが好ましい。有機粒子としては、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂及びフッ素樹脂などからなる粒子が挙げられる。
【0043】
粒子の平均粒径は、樹脂層5a、5bの厚みによって異なるが、ヘイズ等の外観上の理由により、下限として2μm以上、より好ましくは5μm以上、上限としては30μm以下、好ましくは15μm以下のものを使用する。また、粒子の含有量も同様の理由で、樹脂に対し、0.5重量%以上5重量%以下であることが好ましい。
【0044】
光重合開始剤を添加する場合、ラジカル発生型の光重合開始剤として、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルメチルケタールなどのベンゾインとそのアルキルエーテル類、アセトフェノン、2、2、−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、などのアセトフェノン類、メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−アミルアントラキノンなどのアントラキノン類、チオキサントン、2、4−ジエチルチオキサントン、2、4−ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどのケタール類、ベンゾフェノン、4、4−ビスメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類及びアゾ化合物などがある。これらは単独または2種以上の混合物として使用でき、さらにはトリエタノールアミン、メチルジエタノールアミンなどの第3級アミン、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチルなどの安息香酸誘導体などの光開始助剤などと組み合わせて使用することができる。
【0045】
上記光重合開始剤の添加量は、主成分の樹脂に対して0.1重量%以上5重量%以下であり好ましくは0.5重量%以上3重量%以下である。下限値未満ではハードコート層の硬化が不十分となり好ましくない。また、上限値を超える場合は、ハードコート層の黄変を生じたり、耐候性が低下したりするため好ましくない。光硬化型樹脂を硬化させるのに用いる光は紫外線、電子線、あるいはガンマ線などであり、電子線あるいはガンマ線の場合、必ずしも光重合開始剤や光開始助剤を含有する必要はない。これらの線源としては高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプや加速電子などが使用できる。
【0046】
また、樹脂層5a、5bの厚みは、特に限定されないが、0.5μm以上15μm以下の範囲が好ましい。また、透明基板層1と屈折率が同じかもしくは近似していることがより好ましく、1.45以上1.75以下程度が好ましい。
【0047】
樹脂層5a、5bの形成方法は、主成分である樹脂等を溶剤に溶解させ、ダイコーター、カーテンフローコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター、スピンコーター、マイクログラビアコーターなどの公知の塗布方法で形成する。
【0048】
溶剤については、上記の主成分の樹脂等を溶解するものであれば特に限定しない。具体的には、溶剤として、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、ベンゼン、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、乳酸エチル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、などが挙げられる。これらの溶剤は1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0049】
本発明の樹脂層5a、5bは、透明基板層1、1a及び1bと同様の理由により、レジストを露光するための光、特に、紫外光を吸収することが好ましい。紫外光を吸収する樹脂層としては、紫外線吸収剤を含有させた樹脂層や、紫外線吸収機能を有する樹脂を含有させた樹脂層などが挙げられ、具体的な光吸収材料としては、透明基板層1、1a及び1bに含有させる材料と同じ材料が挙げられる。また、光吸収材料の含有量も、透明基板層1、1a及び1bへの含有量と同程度含有することが好ましい。
【0050】
樹脂層5a、5bは、樹脂層単独で光を吸収する機能を有してもよく、また、透明基板層1、1a及び1bと共に光を吸収する機能を有してもよい。樹脂層5a、5b及び透明基板層1、1a及び1bの両方が光を吸収する機能を有することにより、透明基板層の一方の面のレジストに吸収されなかった光を十分吸収することができ、一方の面のパターンが他方の面のパターンと重なることを、より防止することができる。
【0051】
また、樹脂層5a、5b及び透明基板層1、1a及び1bの両方が光を吸収する機能を有し、かつ、樹脂層5a、5bと透明基板層1、1a及び1bとで吸収できる光の波長を変えてもよい。これにより、波長領域の広い光源を用いた場合、広い波長領域で不要な光を吸収することができる。
【0052】
本発明の粘着層6は、第一の透明基板1aと第二の透明基板1bとを接着するための層である。粘着層6に用いられる樹脂としては、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ゴム系樹脂などが挙げられ、クッション性や透明性に優れた樹脂を用いることが好ましい。
【0053】
本発明の粘着層6は、透明基板層1、1a及び1bと同様の理由により、レジストを露光するための光、特に、紫外光を吸収することが好ましい。紫外光を吸収する樹脂層としては、紫外線吸収剤を含有させた樹脂層や、紫外線吸収機能を有する樹脂を含有させた樹脂層などが挙げられ、具体的な光吸収材料としては、透明基板層1、1a及び1bに含有させる材料と同じ材料が挙げられる。また、光吸収材料の含有量も、透明基板層1、1a及び1bへの含有量と同程度含有することが好ましい。
【0054】
粘着層6は、粘着層単独で光を吸収する機能を有してもよく、また、透明基板層1、1a及び1b又は樹脂層5a、5bと共に光を吸収する機能を有してもよい。透明基板層1、1a及び1b又は樹脂層5a、5bと共に光を吸収する機能を有することにより、透明基板層の一方の面のレジストに吸収されなかった光を十分吸収することができ、一方の面のパターンが他方の面のパターンと重なることを、より防止することができる。
【0055】
また、粘着層6、透明基板層1、1a及び1b及び樹脂層5a、5b全てが光を吸収する機能を有し、かつ、粘着層6、透明基板層1、1a及び1b及び樹脂層5a、5bが互いに吸収できる光の波長を変えてもよい。これにより、波長領域の広い光源を用いた場合、広い波長領域で不要な光を吸収することができる。
【0056】
光学調整層2a、2bは、第一の透明導電層3a及び第二の透明導電層3bに形成されたパターンを目立たなくする機能を有し、視認性を向上させるための層である。光学調整層2a、2bとして無機化合物を用いる場合、酸化物、硫化物、フッ化物、窒化物などの材料が使用可能である。上記無機化合物からなる薄膜は、その材料により屈折率が異なり、その屈折率の異なる薄膜を特定の膜厚で形成することにより、光学特性を調整することが可能となる。なお、光学機能層の層数としては、目的とする光学特性に応じて、複数層あってもよい。
【0057】
屈折率の低い材料としては、酸化マグネシウム(1.6)、二酸化珪素(1.5)、フッ化マグネシウム(1.4)、フッ化カルシウム(1.3〜1.4)、フッ化セリウム(1.6)、フッ化アルミニウム(1.3)などが挙げられる。また、屈折率の高い材料としては、酸化チタン(2.4)、酸化ジルコニウム(2.4)、硫化亜鉛(2.3)、酸化タンタル(2.1)、酸化亜鉛(2.1)、酸化インジウム(2.0)、酸化ニオブ(2.3)、酸化タンタル(2.2)が挙げられる。但し、上記括弧内の数値は屈折率を表す。
【0058】
第一の透明導電層3a及び第二の透明導電層3bは、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズのいずれか、または、それらの2種類もしくは3種類の混合酸化物、さらには、その他添加物が加えられた物などが挙げられるが、目的・用途により種々の材料が使用でき、特に限定されるものではない。現在のところ、最も信頼性が高く、多くの実績のある材料は酸化インジウムスズ(ITO)である。
【0059】
最も一般的な透明導電膜である酸化インジウムスズ(ITO)を第一の透明導電層3a及び第二の透明導電層3bとして用いる場合、酸化インジウムにドープされる酸化スズの含有比はデバイスに求められる仕様に応じて、任意の割合を選択する。例えば、透明基板がプラスチックフィルムの場合、機械強度を高める目的で薄膜を結晶化させるために用いるスパッタリングターゲット材料は、酸化スズの含有比が10重量%未満であることが好ましく、薄膜をアモルファス化しフレキシブル性を持たせるためには、酸化スズの含有比は10重量%以上が好ましい。また、薄膜に低抵抗が求められる場合は、酸化スズの含有比は3重量%から20重量%の範囲が好ましい。
【0060】
光学調整層2a、2b及び第一の透明導電層3a及び第二の透明導電層3bの製造方法としては、膜厚の制御が可能であればいかなる成膜方法でも良く、なかでも薄膜の形成乾式法が優れている。これには真空蒸着法、スパッタリングなどの物理的気相析出法やCVD法のような化学的気相析出法を用いることができる。特に大面積に均一な膜質の薄膜を形成するために、プロセスが安定し、薄膜が緻密化するスパッタリング法が好ましい。
【0061】
第一の透明導電層3a及び第二の透明導電層3bには、図9又は図10のように、X座標及びY座標のパターンを施す。図9又は図10のように、形成されるパターンは、黒色で表した導電性パターン領域4aと、白色で表した非導電性パターン領域4bとからなる。さらに、図示しないが、導電性パターン領域4aは電流変化を検知できる回路に接続されている。人の指などが検出電極である導電性パターン領域4aに接近すると、全体の静電容量が変化することから回路に電流が流れ、接触位置の判定ができる。図9と図10のパターンをそれぞれ透明基板層の両面に設け、X座標及びY座標のパターンを図11のように組み合わせ、電流変化検知回路と接続することにより、2次元の位置情報が得られる。なお、図11の黒色で表したパターンが透明基板層の表側に形成された導電性パターン領域4aであり、灰色で表したパターンが透明基板層の裏側に形成された導電性パターン領域4aである。
【0062】
第一の透明導電層3a及び第二の透明導電層3bのパターン形状は、図9及び図10のようなダイヤモンド型パターンのほかに、メッシュ型パターンなどがあり、2次元の位置情報を正確に読み取るためには、可能な限り微細なパターンを形成し、かつ、透明基板層の両面に設けたパターンについて正確に位置合わせを行うことが必要である。
【0063】
第一の透明導電層3a及び第二の透明導電層3bのパターン形成方法としては、第一の透明導電層3a及び第二の透明導電層3b上にレジストを塗布し、パターンを露光・現像により形成した後に透明導電層を化学的に溶解させるフォトリソグラフィによる方法、真空中で化学反応により気化させる方法、レーザーにより透明導電層を昇華させる方法、などが挙げられる。パターン形成方法は、パターンの形状、精度などにより適宜選択できるが、第一の透明導電層3a及び第二の透明導電層3bについて互いに異なるパターンを同時に形成するために、フォトリソグラフィによる方法を用いることが好ましい。
【0064】
本発明の透明導電性積層体のフォトリソグラフィによる露光工程を、図1に示す透明導電性積層体10を例に、図12に示す。透明導電性積層体10の第一の透明導電層3a及び第二の透明導電層3bに形成された導電性パターン領域4a及び非導電性パターン領域4bの形成方法は、まず、第一の透明導電層3aの表面にレジスト7aを、第二の透明導電層3bの表面にレジスト7bを、それぞれ塗布する。次いで、第一の透明導電層3aにパターンを形成するための光源8aと、マスク9aとを、それぞれ光源8a側から順に配置し、第二の透明導電層3bにパターンを形成するための光源8bと、マスク9bとを、それぞれ光源8b側から順に配置する。その後、光源8a及び光源8bの光によりレジスト7a及び7bを同時に露光する。
【0065】
このとき、レジスト7a及び7bが370nm以下の波長帯にのみ反応する化学増幅型レジストを用いることにより、透明基板1は370nm以下の波長の光を吸収する機能を有するため、レジスト7aに吸収されなかった光を透明基板層1により吸収し、第二の透明導電層3bの表面に塗布されたレジスト7bが露光されることを防ぐことができる。反対に、レジスト7bに吸収されなかった光を透明基板層1により吸収し、第一の透明導電層3aの表面に塗布されたレジスト7aが露光されることを防ぐことができ、光源波長の特定波長域をカットするための光学フィルターは不要となり、光源光量を低下させることはなくなる。なお、一般的に用いられる光源である、高圧水銀ランプのi線の波長は波長365nmであることから、この波長で一方の面のみ感光させることができ、有利である。
【0066】
また、本発明の透明導電性積層体のフォトリソグラフィによる露光工程は、透明基板1の両面に同時にパターンを形成することができるため、両面に形成されたパターンの位置合わせを容易に行うことができる。透明基板1の両面のパターンを片面ずつ行う場合、一方の面にパターンを形成した後、そのパターンの位置に合わせて他方の面にパターンを形成しなければならず、位置の調整が難しい。特に、2次元の位置情報を正確に読み取るため、又はパターンの視認性を向上させるために微細なパターンを形成する場合、片面ずつのパターン形成では精度よく位置合わせを行うことができない。
【0067】
例えば、透明基板層1、1a及び1b、樹脂層5a、5b又は粘着層6が紫外線吸収剤を含有する場合、透明基板層の一方の面のレジストを露光する。透明基板層の一方の面のレジストによって吸収されなかった光は、透明基板層1、1a及び1b、樹脂層5a、5b又は粘着層6に含有される紫外線吸収剤によって吸収され、他方の面のレジストが感光することを防止する。
【0068】
また、マスク9a及び9bとは、レジスト7a及び7bにパターンを形成するためのマスクであり、具体的には、図9又は10に示したパターンなどを形成するために用いる。
【0069】
図2から8に示した本発明の透明導電性積層体も同様に、上記露光工程により、第一の透明導電層3a及び第二の透明導電層3bに形成された導電性パターン領域4a及び非導電性パターン領域4bを形成することができる。
【0070】
本発明の透明導電性積層体のフォトリソグラフィによるパターン形成方法の各工程を図13に示す。図13は、例として図1の透明導電性積層体10を製造する各工程を表している。まず、透明基板1を用意し(工程(a))、その両面に第一の透明導電層3a及び第二の透明導電層3bを形成する(工程(b))。さらに、第一の透明導電層3a及び第二の透明導電層3bの表面に、それぞれレジスト7a、7bを塗布する(工程(c))。その後、図12で示した光源8a、8b、マスク9a、9bを用いてレジスト7a、7bを露光する(工程(d))。なお、7cは、光により感光したレジストである。次いで、感光していないレジストを現像液により除去し(工程(e))、第一の透明導電層3a及び第二の透明導電層3bの露出部分をエッチングする(工程(f))。最後に感光したレジスト7cを剥離して透明導電性積層体10を得る。
【0071】
すなわち、図1の透明導電性積層体10は、透明基板層の両面に少なくとも第一の透明導電層及び第二の透明導電層を形成する工程と、前記第一の透明導電層及び前記第二の透明導電層の表面にレジストを塗布する工程と、前記第一の透明導電層にパターンを形成するための光源とマスクと、前記第二の透明導電層にパターンを形成するための光源とマスクとを、それぞれ光源側から順に配置し、前記第一の透明導電層の表面に塗布した前記レジストと前記第二の透明導電層の表面に塗布した前記レジストとを同時に露光する工程と、感光した前記レジストを現像する工程と、前記レジストに覆われていない前記第一の透明導電層及び前記第二の透明導電層をエッチングする工程と、前記レジストを剥離する工程と、によって得られ、前記第一の透明導電層と前記第二の透明導電層との間に形成された少なくとも1の層が光を吸収する層である。
【0072】
図13は、ネガ型のレジストを用いてパターンを形成する方法の各工程を示した図であるが、ポジ型のレジストを用いてパターンを形成してもよい。
【0073】
図2から8に示した本発明の透明導電性積層体も同様に、上記各工程により、第一の透明導電層3a及び第二の透明導電層3bに形成された導電性パターン領域4a及び非導電性パターン領域4bを形成することができる。
【0074】
なお、図5の透明導電性積層体10は、第一の透明基板1aの片面に第一の透明導電層3aを、第二の透明基板1bの片面に第二の透明導電層3bを形成し、第一の透明導電層3aと第二の透明導電層3bを外側にして、第一の透明基板1aと第二の透明基板1bとを粘着層6で貼り合わせた後、図13の工程(c)以降の処理を行う。
【0075】
すなわち、図5の透明導電性積層体10は、第一の透明基板層の片面に少なくとも第一の透明導電層を形成する工程と、第二の透明基板層の片面に少なくとも第二の透明導電層を形成する工程と、前記第一の透明導電層及び前記第二の透明導電層を外側にして、前記第一の透明基板層と前記第二の透明基板層とを粘着層で貼り合わせる工程と、前記第一の透明導電層及び前記第二の透明導電層の表面にレジストを塗布する工程と、前記第一の透明導電層にパターンを形成するための光源とマスクと、前記第二の透明導電層にパターンを形成するための光源とマスクとを、それぞれ光源側から順に配置し、前記第一の透明導電層の表面に塗布した前記レジストと前記第二の透明導電層の表面に塗布した前記レジストとを同時に露光する工程と、感光した前記レジストを現像する工程と、前記レジストに覆われていない前記第一の透明導電層及び前記第二の透明導電層をエッチングする工程と、前記レジストを剥離する工程と、によって得られ、前記第一の透明導電層と前記第二の透明導電層との間に形成された少なくとも1の層が光を吸収する層である。
【0076】
また、本発明の透明導電性積層体10は、透明基板層に透明導電層を形成する工程から前記レジストを剥離する工程までをロールトゥロール方式により行うことが好ましい。これにより、製造時間を大幅に短縮することができる。
【0077】
本発明の透明導電性積層体10は、波長400nmにおける光線透過率が60%以上であることが好ましい。この範囲である場合、タッチパネルを透過した透過光色相がニュートラルに感じられ、導電性パターン領域と非導電性パターン領域の境界が認識し難くなる。
【0078】
特に、透明導電性積層体10を構成する透明基板層1、1a及び1b、樹脂層5a、5b又は粘着層6の波長400nmにおける光線透過率が80%以上であることが好ましい。
【0079】
また、本発明の透明導電性積層体10は、導電性パターン領域と非導電性パターン領域との全光線透過率の差が1.5%以下であり、かつ透過色相b*の差が2.0以下であることが好ましい。この範囲である場合、透明導電性積層体の両面に異なるパターンを形成しても、パターン形状が目立たなくなり、視認性が向上する。
【0080】
また、本発明の透明導電性積層体10は、150℃30分間における熱収縮率が0.5%以下であることが好ましい。この範囲である場合、第一の透明導電層3a及び第二の透明導電層3bを形成する工程やレジスト7a、7bを乾燥させる工程において加わる熱による収縮を抑えることができ、第一の透明導電層3a及び第二の透明導電層3bに形成したパターンの位置のずれを防止することができる。
【実施例】
【0081】
次に実施例及び比較例について説明する。
【0082】
<実施例1>
透明基板として紫外線吸収機能を有するポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製、厚み:100μm)を用い、透明基板の両面に、下記組成の樹脂層形成用塗液をマイクログラビアコーターで塗布し、60℃で1分間乾燥させ、紫外線により硬化させることで、樹脂層を形成した。
【0083】
[樹脂層形成用塗液の組成]
樹脂 : 紫光 UV−7605B(日本合成化学社製) 100重量部
開始剤 : イルガキュア184(チバ・ジャパン社製) 4重量部
溶剤 : 酢酸メチル 100重量部
【0084】
次に、透明基板の両面に形成した樹脂層の両表面に、スパッタリング法により透明導電層としてITOを30nm成膜した。その後、図12及び13に示したフォトリソグラフィによる方法を用いて、以下の露光条件にて両面同時に図9及び10に示したパターンを形成し、透明導電層に導電性パターン領域と非導電性パターン領域を形成した。
【0085】
[露光条件]
光源:超高圧水銀ランプ(ウシオ電機社製)
レジスト:370nm以下の波長に対して感光する、化学増幅型レジスト
マスク:図9及び10に示したダイヤモンド型パターン
【0086】
<実施例2>
透明基板として紫外線吸収機能を有さないポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製、厚み:100μm)を用い、樹脂層形成用塗液に、トリアジン系紫外線吸収剤(2−〔4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン)を0.5重量部含有させた以外は、実施例1と同じ条件及び方法で透明導電層に導電性パターン領域と非導電性パターン領域を形成した。
【0087】
<比較例>
レジストとして、可視光域を含む波長域でも感光するレジストを用いた以外は、実施例1と同じ条件及び方法で透明導電層に導電性パターン領域と非導電性パターン領域を形成した。
【0088】
得られた透明導電性積層体を下記評価方法にて評価した。
【0089】
[評価方法]
光線透過率:得られた透明導電性積層体の透過率を、分光光度計(日立ハイテク社製)を用いて波長400nm及び370nmにおける光線透過率について測定した。
外観:得られた透明導電性積層体を目視にて色味評価した。
パターンニング:得られた透明導電性積層体の両面のパターン形状を目視にて確認し、一方のパターン形状が他方のパターン形状に写りこんでいるか否かを評価した。
【0090】
実施例1及び2により得られた透明導電性積層体は、400nm及び370nmにおける光線透過率が、実施例1の透明導電性積層体でそれぞれ61%及び0%、実施例2の透明導電性積層体でそれぞれ65%及び0%であり、透明導電性積層体の両面の異なるパターンを同時に露光することができることがわかった。また、外観も黄色味などの欠陥はなく、両面のパターンも互いのパターンの写りこみがなかった。
一方、比較例により得られた透明導電性積層体は、400nm及び370nmにおける光線透過率が、実施例1と同じ61%及び0%で、外観については、黄色味などの欠陥はなかったが、両面のパターンについては互いのパターンの写りこみが顕著に存在し、透明導電性積層体の両面の異なるパターンを同時に露光することができないことがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、電子機器のディスプレイ上に入力デバイスとして取り付けられる透明なタッチパネルに用いられる。特に、マルチタッチが可能なモバイル機器などに用いられる。
【符号の説明】
【0092】
1…透明基板層、1a…第一の透明基板層、1b…第二の透明基板層、2a、2b…光学調整層、3a…第一の透明導電層、3b…第二の透明導電層、4a…導電性パターン領域、4b…非導電性パターン領域、5a、5b…樹脂層、6…粘着層、7a、7b…レジスト、7c…感光したレジスト、8a、8b…光源、9a、9b…マスク、10…透明導電性積層体。
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明導電性積層体の製造方法およびこの製造方法で製造された透明導電性積層体を用いた静電容量式タッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な電子機器のディスプレイ上に入力デバイスとして、透明なタッチパネルが取り付けられている。タッチパネルの方式としては、抵抗膜式、静電容量式などが挙げられる。特に、静電容量式はマルチタッチが可能であり、モバイル機器などの用途に多く採用されている。
【0003】
静電容量式のタッチパネルは、パターンを形成した透明導電層を用いる。この透明導電層にパターンを形成する方法として、例えば、特許文献1から3のようにレジストを用いてパターンを形成するようなフォトリソグラフィによる方法がある。他の方法としては、特許文献4のように、導電膜形成用組成物として、光に反応する官能基或いは部位を有するインジウム化合物及び同様な官能基或いは部位を有する錫化合物を用い、パターン露光を行う方法や、特許文献5のように、レーザー光によるパターン形成を行う方法などがある。
【0004】
また、静電容量式のタッチパネルは、ディスプレイ上に用いることから、透明導電層のパターン形状が目立つと視認性が低下する問題がある。そのため、ディスプレイの画質を低下させないように、特許文献6のように透明導電層以外に光学調整層を形成することにより、透過率を高めたタッチパネル用透明導電性積層体が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1−197911号公報
【特許文献2】特開平2−109205号公報
【特許文献3】特開平2−309510号公報
【特許文献4】特開平9−142884号公報
【特許文献5】特開2008−140130号公報
【特許文献6】特開平11−286066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1から3のようなフォトリソグラフィによる方法は、多くの製造工程を要することが多い。特に、基板の両面に透明導電層を設けてパターンを形成する場合、片面ずつレジスト塗布、露光、現像などの工程を経るため、製造工程が煩雑になる。また、視認性の低下の問題を解決するために、特許文献6のように透明導電層以外に光学調整層を形成する場合にも、さらに製造工程を増やす必要があるため、さらに製造工程が煩雑になる。
【0007】
また、特許文献4又は5のような方法は、レジストを用いることがなく、製造工程を短縮することが可能であるが、特許文献4の方法では、基板の両面に透明導電層を設けてパターンを形成する場合、基板の両面に形成するパターンの位置を合わせることが困難である。特に、基板の両面に微細なパターンを形成しようとする場合、パターンの位置を合わせることが大きな課題となる。一方、特許文献5の方法では、レーザー光により基板の両面に同じパターンを形成することはできるが、基板の両面に異なるパターンを形成する場合は適用できないという点で問題がある。
【0008】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑みてなされたもので、その目的は、レジストを用いて透明導電層にパターンを形成する方法を用いても、短い製造工程で基板の両面に異なる形状のパターンを同時に形成することができ、基板の両面に形成されたパターンが微細なものであっても位置合わせが容易であり、さらに、パターン形状を目立たなくする上で有利な透明導電性積層体及びその製造方法並びに静電容量式タッチパネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、透明基板層の両面に少なくとも第一の透明導電層及び第二の透明導電層を形成する工程と、前記第一の透明導電層及び前記第二の透明導電層の表面にレジストを塗布する工程と、前記第一の透明導電層にパターンを形成するための光源とマスクと、前記第二の透明導電層にパターンを形成するための光源とマスクとを、それぞれ光源側から順に配置し、前記第一の透明導電層の表面に塗布した前記レジストと前記第二の透明導電層の表面に塗布した前記レジストとを同時に露光する工程と、感光した前記レジストを現像する工程と、前記レジストに覆われていない前記第一の透明導電層及び前記第二の透明導電層をエッチングする工程と、前記レジストを剥離する工程と、を含み、前記第一の透明導電層と前記第二の透明導電層との間に形成された少なくとも1の層が光を吸収する層であることを特徴とする透明導電性積層体の製造方法である。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、前記透明基板層が光を吸収する層であり、前記透明基板層が紫外線吸収剤又は紫外線吸収機能を有する樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の透明導電性積層体の製造方法である。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、前記透明基板層の両面に樹脂層を形成する工程と、前記樹脂層の表面に第一の透明導電層と前記第二の透明導電層とを形成する工程をさらに含み、前記樹脂層が光を吸収する層であり、前記樹脂層が紫外線吸収剤又は紫外線吸収機能を有する樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の透明導電性積層体の製造方法である。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、第一の透明基板層の片面に少なくとも第一の透明導電層を形成する工程と、第二の透明基板層の片面に少なくとも第二の透明導電層を形成する工程と、前記第一の透明導電層及び前記第二の透明導電層を外側にして、前記第一の透明基板層と前記第二の透明基板層とを粘着層で貼り合わせる工程と、前記第一の透明導電層及び前記第二の透明導電層の表面にレジストを塗布する工程と、前記第一の透明導電層にパターンを形成するための光源とマスクと、前記第二の透明導電層にパターンを形成するための光源とマスクとを、それぞれ光源側から順に配置し、前記第一の透明導電層の表面に塗布した前記レジストと前記第二の透明導電層の表面に塗布した前記レジストとを同時に露光する工程と、感光した前記レジストを現像する工程と、前記レジストに覆われていない前記第一の透明導電層及び前記第二の透明導電層をエッチングする工程と、前記レジストを剥離する工程と、を含み、前記第一の透明導電層と前記第二の透明導電層との間に形成された少なくとも1の層が光を吸収する層であることを特徴とする透明導電性積層体の製造方法である。
【0013】
また、請求項5に記載の発明は、前記粘着層が光を吸収する層であり、前記粘着層が紫外線吸収剤又は紫外線吸収機能を有する樹脂を含むことを特徴とする請求項4に記載の透明導電性積層体の製造方法である。
【0014】
また、請求項6に記載の発明は、前記レジストが波長370nm以下の光に対して感光するレジストであることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の透明導電性積層体の製造方法である。
【0015】
また、請求項7に記載の発明は、前記光を吸収する層の光の吸収領域が370nm以下であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の透明導電性積層体の製造方法である。
【0016】
また、請求項8に記載の発明は、前記透明基板層に前記透明導電層を形成する工程から前記レジストを剥離する工程までをロールトゥロール方式により行うことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の透明導電性積層体の製造方法である。
【0017】
また、請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の製造方法によって製造された透明導電性積層体を用いた静電容量式タッチパネルである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、透明基板層、樹脂層又は粘着層のいずれかが光を吸収する層であることにより、透明基板層の両面に形成した透明導電層について両面同時に異なるパターンを形成しても、互いのパターンの写りこみを防止することができる。また、透明基板層の両面に異なる形状のパターンを同時に形成することができるため、パターンが微細なものであっても位置合わせを容易に行うことができる。さらに、透明基板層の両面に精度よく微細なパターンを形成することができるため、微細パターンによってパターン形状の目立たなくすることができ、結果として視認性の高い透明導電性積層体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の透明導電性積層体の断面例1の説明図である。
【図2】本発明の透明導電性積層体の断面例2の説明図である。
【図3】本発明の透明導電性積層体の断面例3の説明図である。
【図4】本発明の透明導電性積層体の断面例4の説明図である。
【図5】本発明の透明導電性積層体の断面例5の説明図である。
【図6】本発明の透明導電性積層体の断面例6の説明図である。
【図7】本発明の透明導電性積層体の断面例7の説明図である。
【図8】本発明の透明導電性積層体の断面例8の説明図である。
【図9】透明導電層のパターン例(X座標)の説明図である。
【図10】透明導電層のパターン例(Y座標)の説明図である。
【図11】透明導電層のパターン例のX座標とY座標との位置関係の説明図である。
【図12】本発明の透明導電性積層体の露光工程例の説明図である。
【図13】本発明の透明導電性積層体のパターン形成工程例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を用いながら説明する。なお、本発明は、以下に記載する実施の形態に限定されうるものではなく、当業者の知識に基づいて設計の変更などの変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれるものである。
【0021】
図1は、本発明の透明導電性積層体の断面例1の説明図である。透明導電性積層体10は、透明基板1の両面に設けられた導電性パターン領域4a及び非導電性パターン領域4bを形成した第一の透明導電層3aと、導電性パターン領域4a及び非導電性パターン領域4bを形成した第二の透明導電層3bとから構成される。ここで、導電性パターン領域とは、透明導電層のうち、導電性を有する部分のことをいい、非導電性パターン領域とは、透明導電層のうち、導電性を有する部分を除いた導電性を有しない部分のことをいう。
【0022】
図2は、本発明の透明導電性積層体の断面例2の説明図である。図2のように、図1に示した透明導電性積層体10の透明基板1と第一の透明導電層3aとの間及び透明基板1と第二の透明導電層3bとの間に、それぞれ光学調整層2a、2bを設けてもよい。その他の実施形態としては、透明基板1と第一の透明導電層3aとの間又は透明基板1と第二の透明導電層3bとの間のどちらか一方のみに、光学調整層を設けてもよい。
【0023】
図3は、本発明の透明導電性積層体の断面例3の説明図である。透明導電性積層体10は、透明基板1の両面に設けられた導電性パターン領域4a及び非導電性パターン領域4bを形成した第一の透明導電層3aと、導電性パターン領域4a及び非導電性パターン領域4bを形成した第二の透明導電層3bと、透明基板1と第一の透明導電層3aとの間及び透明基板1と第二の透明導電層3bとの間にそれぞれ設けた樹脂層5a、5bとから構成される。その他の実施形態としては、透明基板1と第一の透明導電層3aとの間又は透明基板1と第二の透明導電層3bとの間のどちらか一方のみに、樹脂層を設けてもよい。
【0024】
図4は、本発明の透明導電性積層体の断面例4の説明図である。図4のように、図3に示した透明導電性積層体10の樹脂層5aと第一の透明導電層3aとの間及び樹脂層5bと第二の透明導電層3bとの間に、それぞれ光学調整層2a、2bを設けてもよい。その他の実施形態としては、樹脂層5aと第一の透明導電層3aとの間又は樹脂層5bと第二の透明導電層3bとの間のどちらか一方のみに、光学調整層を設けてもよい。また、透明基板1と樹脂層5aとの間又は透明基板1と樹脂層5bの間に光学調整層を設けてもよい。
【0025】
図5は、本発明の透明導電性積層体の断面例5の説明図である。透明導電性積層体10は、第一の透明基板1aの片面に設けられた導電性パターン領域4a及び非導電性パターン領域4bを形成した第一の透明導電層3aと、第二の透明基板1bの片面に設けられた導電性パターン領域4a及び非導電性パターン領域4bを形成した第二の透明導電層3bと、第一の透明導電層3aと第二の透明導電層3bを外側にして、第一の透明基板1aと第二の透明基板1bとの間に設けた粘着層6とから構成される。
【0026】
図6は、本発明の透明導電性積層体の断面例6の説明図である。図6のように、図5に示した透明導電性積層体10の第一の透明基板1aと第一の透明導電層3aとの間及び第二の透明基板1bと第二の透明導電層3bとの間に、それぞれ光学調整層2a、2bを設けてもよい。その他の実施形態としては、第一の透明基板1aと第一の透明導電層3aとの間又は第二の透明基板1bと第二の透明導電層3bとの間のどちらか一方のみに、光学調整層を設けてもよい。
【0027】
図7は、本発明の透明導電性積層体の断面例7の説明図である。透明導電性積層体10は、第一の透明基板1aと第一の透明導電層3aとの間及び第二の透明基板1bと第二の透明導電層3bとの間に、それぞれ樹脂層5a、5bを設けてもよい。その他の実施形態としては、第一の透明基板1aと第一の透明導電層3aとの間又は第二の透明基板1bと第二の透明導電層3bとの間のどちらか一方のみに、樹脂層を設けてもよい。
【0028】
図8は、本発明の透明導電性積層体の断面例8の説明図である。図8のように、図7に示した透明導電性積層体10の樹脂層5aと第一の透明導電層3aとの間及び樹脂層5bと第二の透明導電層3bとの間に、それぞれ光学調整層2a、2bを設けてもよい。その他の実施形態としては、樹脂層5aと第一の透明導電層3aとの間又は樹脂層5bと第二の透明導電層3bとの間のどちらか一方のみに、光学調整層を設けてもよい。また、第一の透明基板1aと樹脂層5aとの間又は第二の透明基板1bと樹脂層5bの間に光学調整層を設けてもよい。
【0029】
本発明で用いる透明基板層1、1a及び1bは、ガラスの他に、樹脂からなるプラスチックフィルムが用いられる。プラスチックフィルムとしては、成膜工程及び後工程において十分な強度があり、表面の平滑性が良好であれば、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリアリレートフィルム、環状ポリオレフィンフィルム、ポリイミドフィルムなどが挙げられる。その厚さは部材の薄型化と基材の可撓性とを考慮し、10μm以上200μm以下程度のものが用いられる。
【0030】
本発明で用いる透明基板層1、1a及び1bは、光を吸収することが好ましい。光を吸収することにより、透明基板層1の両面の透明導電層にパターンを形成する場合、透明基板層1の一方の面側から照射された光のうち、レジストに吸収されなかった光を透明基板層1で吸収し、透明基板層1の他方の面側のレジストに光が到達することを防ぐことができるからである。特に、透明基板層1の両面で異なるパターンを同時に形成する場合、一方の面側のレジストのみを露光することができるため、一方の面のパターンが他方の面のパターンと重なることを防止することができる。同様の理由で、透明基板層1a及び1bも光を吸収することが好ましい。
【0031】
上記のように、透明基板層1、1a及び1bは、レジストを露光するための光を吸収することが好ましい。レジストを露光するための光は、レジストの種類又は光源の種類によっても異なるが、紫外領域の波長(約200nm〜360nm)と可視領域の波長(約360nm〜780nm)の光を用いることが多いことから、透明基板層1はこれらの領域の光を吸収することが好ましい。特に、実用性を考慮し、透明基板層1は紫外領域の370nm以下の光を吸収することが好ましい。
【0032】
紫外光を吸収するために用いられる光吸収材料としては、紫外線吸収剤や紫外線吸収機能を有する樹脂などが挙げられ、透明基板層に紫外線吸収剤を添加させたり、透明基板層を構成する樹脂と紫外線吸収機能を有する樹脂とを共重合させたりすることができる。
【0033】
透明基板層1、1a及び1bに含有される紫外線吸収剤は、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、サリシレート系、トリアジン系、シアノアクリルレート系などが挙げられる。具体的には、例えばベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールなどやこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体などが挙げられる。また、例えばトリアジン系紫外線吸収剤としては、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−イソ−オクチルオキシフェニル)−s−トリアジンなどやこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体などが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、また、複数を混合して使用してもよい。
【0034】
また、紫外線吸収機能を有する樹脂は、上記で挙げたベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、サリシレート系、トリアジン系、シアノアクリルレート系などの非反応性紫外線吸収剤に、ビニル基やアクリロイル基、メタアクリロイル基などの重合性二重結合を有する官能基や、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基などを導入したものである。これらの樹脂と、透明基板層1、1a及び1bに含有される樹脂を共重合させて紫外線吸収機能を有する透明基板層として用いることができる。
【0035】
上記で挙げた光吸収材料は、単独で用いるだけでなく複数組み合わせて用いてもよい。例えば、吸収できる光の波長が異なる複数の光吸収材料を用いることで、広い波長領域で不要な光を吸収することができる。
【0036】
光吸収材料の含有量は、透明基板層1、1a及び1bの一方の面のレジストに吸収されなかった光が他方の面のレジストに到達することを防止できれば特に限定されないが、透明基板層1、1a及び1bを構成する樹脂に対して、0.01重量%以上20重量%以下含有することが好ましい。下限値より小さい場合、不要な光を十分吸収することができず好ましくない。また、上限値を超える場合、透明基板層1、1a及び1bの透明性が低下し、外観上好ましくない。
【0037】
透明基板層1、1a及び1bに含有される材料としては、上記材料の他に、周知の種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、可塑剤、滑剤、易接着剤などが使用されてもよい。各層との密着性を改善するため、前処理としてコロナ処理、低温プラズマ処理、イオンボンバード処理、薬品処理などを施してもよい。
【0038】
本発明で用いる樹脂層5a、5bは、透明導電性積層体10に機械的強度を持たせるために設けられる。用いられる樹脂としては、特に限定はしないが、透明性と適度な硬度と機械的強度を持つ樹脂が好ましい。具体的には3次元架橋の期待できる3官能以上のアクリレートを主成分とするモノマー又は架橋性オリゴマーのような光硬化性樹脂が好ましい。
【0039】
3官能以上のアクリレートモノマーとしては、トリメチロールプロパントリアクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ポリエステルアクリレートなどが好ましい。特に好ましいのは、イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート及びポリエステルアクリレートである。これらは単独で用いても良いし、2種以上併用しても構わない。また、これら3官能以上のアクリレートの他にエポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリオールアクリレートなどのいわゆるアクリル系樹脂を併用することが可能である。
【0040】
架橋性オリゴマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートなどのアクリルオリゴマーが好ましい。具体的にはポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシアクリレート、ポリウレタンのジアクリレート、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレートなどがある。
【0041】
樹脂層5a、5bは、その他に粒子、光重合開始剤などの添加剤を含有してもよい。
【0042】
添加する粒子としては、有機又は無機の粒子が挙げられるが、透明性を考慮すれば、有機粒子を用いることが好ましい。有機粒子としては、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂及びフッ素樹脂などからなる粒子が挙げられる。
【0043】
粒子の平均粒径は、樹脂層5a、5bの厚みによって異なるが、ヘイズ等の外観上の理由により、下限として2μm以上、より好ましくは5μm以上、上限としては30μm以下、好ましくは15μm以下のものを使用する。また、粒子の含有量も同様の理由で、樹脂に対し、0.5重量%以上5重量%以下であることが好ましい。
【0044】
光重合開始剤を添加する場合、ラジカル発生型の光重合開始剤として、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルメチルケタールなどのベンゾインとそのアルキルエーテル類、アセトフェノン、2、2、−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、などのアセトフェノン類、メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−アミルアントラキノンなどのアントラキノン類、チオキサントン、2、4−ジエチルチオキサントン、2、4−ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどのケタール類、ベンゾフェノン、4、4−ビスメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類及びアゾ化合物などがある。これらは単独または2種以上の混合物として使用でき、さらにはトリエタノールアミン、メチルジエタノールアミンなどの第3級アミン、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチルなどの安息香酸誘導体などの光開始助剤などと組み合わせて使用することができる。
【0045】
上記光重合開始剤の添加量は、主成分の樹脂に対して0.1重量%以上5重量%以下であり好ましくは0.5重量%以上3重量%以下である。下限値未満ではハードコート層の硬化が不十分となり好ましくない。また、上限値を超える場合は、ハードコート層の黄変を生じたり、耐候性が低下したりするため好ましくない。光硬化型樹脂を硬化させるのに用いる光は紫外線、電子線、あるいはガンマ線などであり、電子線あるいはガンマ線の場合、必ずしも光重合開始剤や光開始助剤を含有する必要はない。これらの線源としては高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプや加速電子などが使用できる。
【0046】
また、樹脂層5a、5bの厚みは、特に限定されないが、0.5μm以上15μm以下の範囲が好ましい。また、透明基板層1と屈折率が同じかもしくは近似していることがより好ましく、1.45以上1.75以下程度が好ましい。
【0047】
樹脂層5a、5bの形成方法は、主成分である樹脂等を溶剤に溶解させ、ダイコーター、カーテンフローコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター、スピンコーター、マイクログラビアコーターなどの公知の塗布方法で形成する。
【0048】
溶剤については、上記の主成分の樹脂等を溶解するものであれば特に限定しない。具体的には、溶剤として、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、ベンゼン、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、乳酸エチル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、などが挙げられる。これらの溶剤は1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0049】
本発明の樹脂層5a、5bは、透明基板層1、1a及び1bと同様の理由により、レジストを露光するための光、特に、紫外光を吸収することが好ましい。紫外光を吸収する樹脂層としては、紫外線吸収剤を含有させた樹脂層や、紫外線吸収機能を有する樹脂を含有させた樹脂層などが挙げられ、具体的な光吸収材料としては、透明基板層1、1a及び1bに含有させる材料と同じ材料が挙げられる。また、光吸収材料の含有量も、透明基板層1、1a及び1bへの含有量と同程度含有することが好ましい。
【0050】
樹脂層5a、5bは、樹脂層単独で光を吸収する機能を有してもよく、また、透明基板層1、1a及び1bと共に光を吸収する機能を有してもよい。樹脂層5a、5b及び透明基板層1、1a及び1bの両方が光を吸収する機能を有することにより、透明基板層の一方の面のレジストに吸収されなかった光を十分吸収することができ、一方の面のパターンが他方の面のパターンと重なることを、より防止することができる。
【0051】
また、樹脂層5a、5b及び透明基板層1、1a及び1bの両方が光を吸収する機能を有し、かつ、樹脂層5a、5bと透明基板層1、1a及び1bとで吸収できる光の波長を変えてもよい。これにより、波長領域の広い光源を用いた場合、広い波長領域で不要な光を吸収することができる。
【0052】
本発明の粘着層6は、第一の透明基板1aと第二の透明基板1bとを接着するための層である。粘着層6に用いられる樹脂としては、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ゴム系樹脂などが挙げられ、クッション性や透明性に優れた樹脂を用いることが好ましい。
【0053】
本発明の粘着層6は、透明基板層1、1a及び1bと同様の理由により、レジストを露光するための光、特に、紫外光を吸収することが好ましい。紫外光を吸収する樹脂層としては、紫外線吸収剤を含有させた樹脂層や、紫外線吸収機能を有する樹脂を含有させた樹脂層などが挙げられ、具体的な光吸収材料としては、透明基板層1、1a及び1bに含有させる材料と同じ材料が挙げられる。また、光吸収材料の含有量も、透明基板層1、1a及び1bへの含有量と同程度含有することが好ましい。
【0054】
粘着層6は、粘着層単独で光を吸収する機能を有してもよく、また、透明基板層1、1a及び1b又は樹脂層5a、5bと共に光を吸収する機能を有してもよい。透明基板層1、1a及び1b又は樹脂層5a、5bと共に光を吸収する機能を有することにより、透明基板層の一方の面のレジストに吸収されなかった光を十分吸収することができ、一方の面のパターンが他方の面のパターンと重なることを、より防止することができる。
【0055】
また、粘着層6、透明基板層1、1a及び1b及び樹脂層5a、5b全てが光を吸収する機能を有し、かつ、粘着層6、透明基板層1、1a及び1b及び樹脂層5a、5bが互いに吸収できる光の波長を変えてもよい。これにより、波長領域の広い光源を用いた場合、広い波長領域で不要な光を吸収することができる。
【0056】
光学調整層2a、2bは、第一の透明導電層3a及び第二の透明導電層3bに形成されたパターンを目立たなくする機能を有し、視認性を向上させるための層である。光学調整層2a、2bとして無機化合物を用いる場合、酸化物、硫化物、フッ化物、窒化物などの材料が使用可能である。上記無機化合物からなる薄膜は、その材料により屈折率が異なり、その屈折率の異なる薄膜を特定の膜厚で形成することにより、光学特性を調整することが可能となる。なお、光学機能層の層数としては、目的とする光学特性に応じて、複数層あってもよい。
【0057】
屈折率の低い材料としては、酸化マグネシウム(1.6)、二酸化珪素(1.5)、フッ化マグネシウム(1.4)、フッ化カルシウム(1.3〜1.4)、フッ化セリウム(1.6)、フッ化アルミニウム(1.3)などが挙げられる。また、屈折率の高い材料としては、酸化チタン(2.4)、酸化ジルコニウム(2.4)、硫化亜鉛(2.3)、酸化タンタル(2.1)、酸化亜鉛(2.1)、酸化インジウム(2.0)、酸化ニオブ(2.3)、酸化タンタル(2.2)が挙げられる。但し、上記括弧内の数値は屈折率を表す。
【0058】
第一の透明導電層3a及び第二の透明導電層3bは、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズのいずれか、または、それらの2種類もしくは3種類の混合酸化物、さらには、その他添加物が加えられた物などが挙げられるが、目的・用途により種々の材料が使用でき、特に限定されるものではない。現在のところ、最も信頼性が高く、多くの実績のある材料は酸化インジウムスズ(ITO)である。
【0059】
最も一般的な透明導電膜である酸化インジウムスズ(ITO)を第一の透明導電層3a及び第二の透明導電層3bとして用いる場合、酸化インジウムにドープされる酸化スズの含有比はデバイスに求められる仕様に応じて、任意の割合を選択する。例えば、透明基板がプラスチックフィルムの場合、機械強度を高める目的で薄膜を結晶化させるために用いるスパッタリングターゲット材料は、酸化スズの含有比が10重量%未満であることが好ましく、薄膜をアモルファス化しフレキシブル性を持たせるためには、酸化スズの含有比は10重量%以上が好ましい。また、薄膜に低抵抗が求められる場合は、酸化スズの含有比は3重量%から20重量%の範囲が好ましい。
【0060】
光学調整層2a、2b及び第一の透明導電層3a及び第二の透明導電層3bの製造方法としては、膜厚の制御が可能であればいかなる成膜方法でも良く、なかでも薄膜の形成乾式法が優れている。これには真空蒸着法、スパッタリングなどの物理的気相析出法やCVD法のような化学的気相析出法を用いることができる。特に大面積に均一な膜質の薄膜を形成するために、プロセスが安定し、薄膜が緻密化するスパッタリング法が好ましい。
【0061】
第一の透明導電層3a及び第二の透明導電層3bには、図9又は図10のように、X座標及びY座標のパターンを施す。図9又は図10のように、形成されるパターンは、黒色で表した導電性パターン領域4aと、白色で表した非導電性パターン領域4bとからなる。さらに、図示しないが、導電性パターン領域4aは電流変化を検知できる回路に接続されている。人の指などが検出電極である導電性パターン領域4aに接近すると、全体の静電容量が変化することから回路に電流が流れ、接触位置の判定ができる。図9と図10のパターンをそれぞれ透明基板層の両面に設け、X座標及びY座標のパターンを図11のように組み合わせ、電流変化検知回路と接続することにより、2次元の位置情報が得られる。なお、図11の黒色で表したパターンが透明基板層の表側に形成された導電性パターン領域4aであり、灰色で表したパターンが透明基板層の裏側に形成された導電性パターン領域4aである。
【0062】
第一の透明導電層3a及び第二の透明導電層3bのパターン形状は、図9及び図10のようなダイヤモンド型パターンのほかに、メッシュ型パターンなどがあり、2次元の位置情報を正確に読み取るためには、可能な限り微細なパターンを形成し、かつ、透明基板層の両面に設けたパターンについて正確に位置合わせを行うことが必要である。
【0063】
第一の透明導電層3a及び第二の透明導電層3bのパターン形成方法としては、第一の透明導電層3a及び第二の透明導電層3b上にレジストを塗布し、パターンを露光・現像により形成した後に透明導電層を化学的に溶解させるフォトリソグラフィによる方法、真空中で化学反応により気化させる方法、レーザーにより透明導電層を昇華させる方法、などが挙げられる。パターン形成方法は、パターンの形状、精度などにより適宜選択できるが、第一の透明導電層3a及び第二の透明導電層3bについて互いに異なるパターンを同時に形成するために、フォトリソグラフィによる方法を用いることが好ましい。
【0064】
本発明の透明導電性積層体のフォトリソグラフィによる露光工程を、図1に示す透明導電性積層体10を例に、図12に示す。透明導電性積層体10の第一の透明導電層3a及び第二の透明導電層3bに形成された導電性パターン領域4a及び非導電性パターン領域4bの形成方法は、まず、第一の透明導電層3aの表面にレジスト7aを、第二の透明導電層3bの表面にレジスト7bを、それぞれ塗布する。次いで、第一の透明導電層3aにパターンを形成するための光源8aと、マスク9aとを、それぞれ光源8a側から順に配置し、第二の透明導電層3bにパターンを形成するための光源8bと、マスク9bとを、それぞれ光源8b側から順に配置する。その後、光源8a及び光源8bの光によりレジスト7a及び7bを同時に露光する。
【0065】
このとき、レジスト7a及び7bが370nm以下の波長帯にのみ反応する化学増幅型レジストを用いることにより、透明基板1は370nm以下の波長の光を吸収する機能を有するため、レジスト7aに吸収されなかった光を透明基板層1により吸収し、第二の透明導電層3bの表面に塗布されたレジスト7bが露光されることを防ぐことができる。反対に、レジスト7bに吸収されなかった光を透明基板層1により吸収し、第一の透明導電層3aの表面に塗布されたレジスト7aが露光されることを防ぐことができ、光源波長の特定波長域をカットするための光学フィルターは不要となり、光源光量を低下させることはなくなる。なお、一般的に用いられる光源である、高圧水銀ランプのi線の波長は波長365nmであることから、この波長で一方の面のみ感光させることができ、有利である。
【0066】
また、本発明の透明導電性積層体のフォトリソグラフィによる露光工程は、透明基板1の両面に同時にパターンを形成することができるため、両面に形成されたパターンの位置合わせを容易に行うことができる。透明基板1の両面のパターンを片面ずつ行う場合、一方の面にパターンを形成した後、そのパターンの位置に合わせて他方の面にパターンを形成しなければならず、位置の調整が難しい。特に、2次元の位置情報を正確に読み取るため、又はパターンの視認性を向上させるために微細なパターンを形成する場合、片面ずつのパターン形成では精度よく位置合わせを行うことができない。
【0067】
例えば、透明基板層1、1a及び1b、樹脂層5a、5b又は粘着層6が紫外線吸収剤を含有する場合、透明基板層の一方の面のレジストを露光する。透明基板層の一方の面のレジストによって吸収されなかった光は、透明基板層1、1a及び1b、樹脂層5a、5b又は粘着層6に含有される紫外線吸収剤によって吸収され、他方の面のレジストが感光することを防止する。
【0068】
また、マスク9a及び9bとは、レジスト7a及び7bにパターンを形成するためのマスクであり、具体的には、図9又は10に示したパターンなどを形成するために用いる。
【0069】
図2から8に示した本発明の透明導電性積層体も同様に、上記露光工程により、第一の透明導電層3a及び第二の透明導電層3bに形成された導電性パターン領域4a及び非導電性パターン領域4bを形成することができる。
【0070】
本発明の透明導電性積層体のフォトリソグラフィによるパターン形成方法の各工程を図13に示す。図13は、例として図1の透明導電性積層体10を製造する各工程を表している。まず、透明基板1を用意し(工程(a))、その両面に第一の透明導電層3a及び第二の透明導電層3bを形成する(工程(b))。さらに、第一の透明導電層3a及び第二の透明導電層3bの表面に、それぞれレジスト7a、7bを塗布する(工程(c))。その後、図12で示した光源8a、8b、マスク9a、9bを用いてレジスト7a、7bを露光する(工程(d))。なお、7cは、光により感光したレジストである。次いで、感光していないレジストを現像液により除去し(工程(e))、第一の透明導電層3a及び第二の透明導電層3bの露出部分をエッチングする(工程(f))。最後に感光したレジスト7cを剥離して透明導電性積層体10を得る。
【0071】
すなわち、図1の透明導電性積層体10は、透明基板層の両面に少なくとも第一の透明導電層及び第二の透明導電層を形成する工程と、前記第一の透明導電層及び前記第二の透明導電層の表面にレジストを塗布する工程と、前記第一の透明導電層にパターンを形成するための光源とマスクと、前記第二の透明導電層にパターンを形成するための光源とマスクとを、それぞれ光源側から順に配置し、前記第一の透明導電層の表面に塗布した前記レジストと前記第二の透明導電層の表面に塗布した前記レジストとを同時に露光する工程と、感光した前記レジストを現像する工程と、前記レジストに覆われていない前記第一の透明導電層及び前記第二の透明導電層をエッチングする工程と、前記レジストを剥離する工程と、によって得られ、前記第一の透明導電層と前記第二の透明導電層との間に形成された少なくとも1の層が光を吸収する層である。
【0072】
図13は、ネガ型のレジストを用いてパターンを形成する方法の各工程を示した図であるが、ポジ型のレジストを用いてパターンを形成してもよい。
【0073】
図2から8に示した本発明の透明導電性積層体も同様に、上記各工程により、第一の透明導電層3a及び第二の透明導電層3bに形成された導電性パターン領域4a及び非導電性パターン領域4bを形成することができる。
【0074】
なお、図5の透明導電性積層体10は、第一の透明基板1aの片面に第一の透明導電層3aを、第二の透明基板1bの片面に第二の透明導電層3bを形成し、第一の透明導電層3aと第二の透明導電層3bを外側にして、第一の透明基板1aと第二の透明基板1bとを粘着層6で貼り合わせた後、図13の工程(c)以降の処理を行う。
【0075】
すなわち、図5の透明導電性積層体10は、第一の透明基板層の片面に少なくとも第一の透明導電層を形成する工程と、第二の透明基板層の片面に少なくとも第二の透明導電層を形成する工程と、前記第一の透明導電層及び前記第二の透明導電層を外側にして、前記第一の透明基板層と前記第二の透明基板層とを粘着層で貼り合わせる工程と、前記第一の透明導電層及び前記第二の透明導電層の表面にレジストを塗布する工程と、前記第一の透明導電層にパターンを形成するための光源とマスクと、前記第二の透明導電層にパターンを形成するための光源とマスクとを、それぞれ光源側から順に配置し、前記第一の透明導電層の表面に塗布した前記レジストと前記第二の透明導電層の表面に塗布した前記レジストとを同時に露光する工程と、感光した前記レジストを現像する工程と、前記レジストに覆われていない前記第一の透明導電層及び前記第二の透明導電層をエッチングする工程と、前記レジストを剥離する工程と、によって得られ、前記第一の透明導電層と前記第二の透明導電層との間に形成された少なくとも1の層が光を吸収する層である。
【0076】
また、本発明の透明導電性積層体10は、透明基板層に透明導電層を形成する工程から前記レジストを剥離する工程までをロールトゥロール方式により行うことが好ましい。これにより、製造時間を大幅に短縮することができる。
【0077】
本発明の透明導電性積層体10は、波長400nmにおける光線透過率が60%以上であることが好ましい。この範囲である場合、タッチパネルを透過した透過光色相がニュートラルに感じられ、導電性パターン領域と非導電性パターン領域の境界が認識し難くなる。
【0078】
特に、透明導電性積層体10を構成する透明基板層1、1a及び1b、樹脂層5a、5b又は粘着層6の波長400nmにおける光線透過率が80%以上であることが好ましい。
【0079】
また、本発明の透明導電性積層体10は、導電性パターン領域と非導電性パターン領域との全光線透過率の差が1.5%以下であり、かつ透過色相b*の差が2.0以下であることが好ましい。この範囲である場合、透明導電性積層体の両面に異なるパターンを形成しても、パターン形状が目立たなくなり、視認性が向上する。
【0080】
また、本発明の透明導電性積層体10は、150℃30分間における熱収縮率が0.5%以下であることが好ましい。この範囲である場合、第一の透明導電層3a及び第二の透明導電層3bを形成する工程やレジスト7a、7bを乾燥させる工程において加わる熱による収縮を抑えることができ、第一の透明導電層3a及び第二の透明導電層3bに形成したパターンの位置のずれを防止することができる。
【実施例】
【0081】
次に実施例及び比較例について説明する。
【0082】
<実施例1>
透明基板として紫外線吸収機能を有するポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製、厚み:100μm)を用い、透明基板の両面に、下記組成の樹脂層形成用塗液をマイクログラビアコーターで塗布し、60℃で1分間乾燥させ、紫外線により硬化させることで、樹脂層を形成した。
【0083】
[樹脂層形成用塗液の組成]
樹脂 : 紫光 UV−7605B(日本合成化学社製) 100重量部
開始剤 : イルガキュア184(チバ・ジャパン社製) 4重量部
溶剤 : 酢酸メチル 100重量部
【0084】
次に、透明基板の両面に形成した樹脂層の両表面に、スパッタリング法により透明導電層としてITOを30nm成膜した。その後、図12及び13に示したフォトリソグラフィによる方法を用いて、以下の露光条件にて両面同時に図9及び10に示したパターンを形成し、透明導電層に導電性パターン領域と非導電性パターン領域を形成した。
【0085】
[露光条件]
光源:超高圧水銀ランプ(ウシオ電機社製)
レジスト:370nm以下の波長に対して感光する、化学増幅型レジスト
マスク:図9及び10に示したダイヤモンド型パターン
【0086】
<実施例2>
透明基板として紫外線吸収機能を有さないポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製、厚み:100μm)を用い、樹脂層形成用塗液に、トリアジン系紫外線吸収剤(2−〔4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン)を0.5重量部含有させた以外は、実施例1と同じ条件及び方法で透明導電層に導電性パターン領域と非導電性パターン領域を形成した。
【0087】
<比較例>
レジストとして、可視光域を含む波長域でも感光するレジストを用いた以外は、実施例1と同じ条件及び方法で透明導電層に導電性パターン領域と非導電性パターン領域を形成した。
【0088】
得られた透明導電性積層体を下記評価方法にて評価した。
【0089】
[評価方法]
光線透過率:得られた透明導電性積層体の透過率を、分光光度計(日立ハイテク社製)を用いて波長400nm及び370nmにおける光線透過率について測定した。
外観:得られた透明導電性積層体を目視にて色味評価した。
パターンニング:得られた透明導電性積層体の両面のパターン形状を目視にて確認し、一方のパターン形状が他方のパターン形状に写りこんでいるか否かを評価した。
【0090】
実施例1及び2により得られた透明導電性積層体は、400nm及び370nmにおける光線透過率が、実施例1の透明導電性積層体でそれぞれ61%及び0%、実施例2の透明導電性積層体でそれぞれ65%及び0%であり、透明導電性積層体の両面の異なるパターンを同時に露光することができることがわかった。また、外観も黄色味などの欠陥はなく、両面のパターンも互いのパターンの写りこみがなかった。
一方、比較例により得られた透明導電性積層体は、400nm及び370nmにおける光線透過率が、実施例1と同じ61%及び0%で、外観については、黄色味などの欠陥はなかったが、両面のパターンについては互いのパターンの写りこみが顕著に存在し、透明導電性積層体の両面の異なるパターンを同時に露光することができないことがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、電子機器のディスプレイ上に入力デバイスとして取り付けられる透明なタッチパネルに用いられる。特に、マルチタッチが可能なモバイル機器などに用いられる。
【符号の説明】
【0092】
1…透明基板層、1a…第一の透明基板層、1b…第二の透明基板層、2a、2b…光学調整層、3a…第一の透明導電層、3b…第二の透明導電層、4a…導電性パターン領域、4b…非導電性パターン領域、5a、5b…樹脂層、6…粘着層、7a、7b…レジスト、7c…感光したレジスト、8a、8b…光源、9a、9b…マスク、10…透明導電性積層体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板層の両面に少なくとも第一の透明導電層及び第二の透明導電層を形成する工程と、
前記第一の透明導電層及び前記第二の透明導電層の表面にレジストを塗布する工程と、
前記第一の透明導電層にパターンを形成するための光源とマスクと、前記第二の透明導電層にパターンを形成するための光源とマスクとを、それぞれ光源側から順に配置し、前記第一の透明導電層の表面に塗布した前記レジストと前記第二の透明導電層の表面に塗布した前記レジストとを同時に露光する工程と、
感光した前記レジストを現像する工程と、
前記レジストに覆われていない前記第一の透明導電層及び前記第二の透明導電層をエッチングする工程と、
前記レジストを剥離する工程と、を含み、
前記第一の透明導電層と前記第二の透明導電層との間に形成された少なくとも1の層が光を吸収する層であることを特徴とする透明導電性積層体の製造方法。
【請求項2】
前記透明基板層が光を吸収する層であり、前記透明基板層が紫外線吸収剤又は紫外線吸収機能を有する樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の透明導電性積層体の製造方法。
【請求項3】
前記透明基板層の両面に樹脂層を形成する工程と、前記樹脂層の表面に第一の透明導電層と前記第二の透明導電層とを形成する工程をさらに含み、
前記樹脂層が光を吸収する層であり、前記樹脂層が紫外線吸収剤又は紫外線吸収機能を有する樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の透明導電性積層体の製造方法。
【請求項4】
第一の透明基板層の片面に少なくとも第一の透明導電層を形成する工程と、
第二の透明基板層の片面に少なくとも第二の透明導電層を形成する工程と、
前記第一の透明導電層及び前記第二の透明導電層を外側にして、前記第一の透明基板層と前記第二の透明基板層とを粘着層で貼り合わせる工程と、
前記第一の透明導電層及び前記第二の透明導電層の表面にレジストを塗布する工程と、
前記第一の透明導電層にパターンを形成するための光源とマスクと、前記第二の透明導電層にパターンを形成するための光源とマスクとを、それぞれ光源側から順に配置し、前記第一の透明導電層の表面に塗布した前記レジストと前記第二の透明導電層の表面に塗布した前記レジストとを同時に露光する工程と、
感光した前記レジストを現像する工程と、
前記レジストに覆われていない前記第一の透明導電層及び前記第二の透明導電層をエッチングする工程と、
前記レジストを剥離する工程と、を含み、
前記第一の透明導電層と前記第二の透明導電層との間に形成された少なくとも1の層が光を吸収する層であることを特徴とする透明導電性積層体の製造方法。
【請求項5】
前記粘着層が光を吸収する層であり、前記粘着層が紫外線吸収剤又は紫外線吸収機能を有する樹脂を含むことを特徴とする請求項4に記載の透明導電性積層体の製造方法。
【請求項6】
前記レジストが波長370nm以下の光に対して感光するレジストであることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の透明導電性積層体の製造方法。
【請求項7】
前記光を吸収する層の光の吸収領域が370nm以下であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の透明導電性積層体の製造方法。
【請求項8】
前記透明基板層に前記透明導電層を形成する工程から前記レジストを剥離する工程までをロールトゥロール方式により行うことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の透明導電性積層体の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の製造方法によって製造された透明導電性積層体を用いた静電容量式タッチパネル。
【請求項1】
透明基板層の両面に少なくとも第一の透明導電層及び第二の透明導電層を形成する工程と、
前記第一の透明導電層及び前記第二の透明導電層の表面にレジストを塗布する工程と、
前記第一の透明導電層にパターンを形成するための光源とマスクと、前記第二の透明導電層にパターンを形成するための光源とマスクとを、それぞれ光源側から順に配置し、前記第一の透明導電層の表面に塗布した前記レジストと前記第二の透明導電層の表面に塗布した前記レジストとを同時に露光する工程と、
感光した前記レジストを現像する工程と、
前記レジストに覆われていない前記第一の透明導電層及び前記第二の透明導電層をエッチングする工程と、
前記レジストを剥離する工程と、を含み、
前記第一の透明導電層と前記第二の透明導電層との間に形成された少なくとも1の層が光を吸収する層であることを特徴とする透明導電性積層体の製造方法。
【請求項2】
前記透明基板層が光を吸収する層であり、前記透明基板層が紫外線吸収剤又は紫外線吸収機能を有する樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の透明導電性積層体の製造方法。
【請求項3】
前記透明基板層の両面に樹脂層を形成する工程と、前記樹脂層の表面に第一の透明導電層と前記第二の透明導電層とを形成する工程をさらに含み、
前記樹脂層が光を吸収する層であり、前記樹脂層が紫外線吸収剤又は紫外線吸収機能を有する樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の透明導電性積層体の製造方法。
【請求項4】
第一の透明基板層の片面に少なくとも第一の透明導電層を形成する工程と、
第二の透明基板層の片面に少なくとも第二の透明導電層を形成する工程と、
前記第一の透明導電層及び前記第二の透明導電層を外側にして、前記第一の透明基板層と前記第二の透明基板層とを粘着層で貼り合わせる工程と、
前記第一の透明導電層及び前記第二の透明導電層の表面にレジストを塗布する工程と、
前記第一の透明導電層にパターンを形成するための光源とマスクと、前記第二の透明導電層にパターンを形成するための光源とマスクとを、それぞれ光源側から順に配置し、前記第一の透明導電層の表面に塗布した前記レジストと前記第二の透明導電層の表面に塗布した前記レジストとを同時に露光する工程と、
感光した前記レジストを現像する工程と、
前記レジストに覆われていない前記第一の透明導電層及び前記第二の透明導電層をエッチングする工程と、
前記レジストを剥離する工程と、を含み、
前記第一の透明導電層と前記第二の透明導電層との間に形成された少なくとも1の層が光を吸収する層であることを特徴とする透明導電性積層体の製造方法。
【請求項5】
前記粘着層が光を吸収する層であり、前記粘着層が紫外線吸収剤又は紫外線吸収機能を有する樹脂を含むことを特徴とする請求項4に記載の透明導電性積層体の製造方法。
【請求項6】
前記レジストが波長370nm以下の光に対して感光するレジストであることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の透明導電性積層体の製造方法。
【請求項7】
前記光を吸収する層の光の吸収領域が370nm以下であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の透明導電性積層体の製造方法。
【請求項8】
前記透明基板層に前記透明導電層を形成する工程から前記レジストを剥離する工程までをロールトゥロール方式により行うことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の透明導電性積層体の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の製造方法によって製造された透明導電性積層体を用いた静電容量式タッチパネル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−109682(P2013−109682A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255779(P2011−255779)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
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