説明

透明液状皮膚外用剤

【課題】高い抗酸化作用や肌荒れ改善効果、血行促進作用等有するトコフェリルリン酸エステルおよび/またはその塩類を、安定に配合した透明液状皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】(A)トコフェリルリン酸エステルおよび/またはその塩類、(B)分子内にポリオキシプロピレン基を有する水溶性物並びに(C)2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールまたは水酸化カリウムを含有し、pHを8.2以上にすることで安定性の高い透明液状皮膚外用剤を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明液状皮膚外用剤に関し、更に詳しくはトコフェリルリン酸エステルおよび/またはその塩類を含有する安定性の高い透明液状皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
トコフェロールはビタミンEとして広く認知されており、多岐に渡る研究から、その安全性が証明されるとともに、高い抗酸化作用や肌荒れ改善効果、血行促進作用等の機能が明らかにされ、現在では医薬品、化粧品、飼料等に幅広く使用されている。また、その誘導体であるトコフェリルリン酸エステルおよび/またはその塩類は、生体において代謝されることにより、トコフェロールと同等またはそれ以上の効果や作用を発揮すると報告されており、今後もその利用価値は大きくなるものと考えられる。
【0003】
トコフェリルリン酸エステルおよび/またはその塩類はトコフェロールと比較して高い水溶性を示すものの、水溶液または乳化系において白濁や凝集沈殿等を起こし、安定に配合することが非常に困難であった。このような問題に対し、トコフェリルリン酸エステルおよび/またはその塩類を安定に配合する研究がいくつかなされてきた。
【0004】
特許文献1では、非イオン界面活性剤を配合することで、トコフェロールリン酸エステルの水溶液の凍結融解後の安定性を高めている。また特許文献2では、両性界面活性剤を配合することでトコフェリルリン酸エステルおよび/またはその塩類を含有した低刺激でかつ安定性の高い皮膚外用剤を得ている。さらに特許文献3では多価アルコールおよびリン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、グリチルリチン酸ジカリウムの三種から選ばれる1種または2種以上を併用することで、トコフェリルリン酸エステルおよび/またはその塩類を含有した皮膚外用剤の安定性を高めている。しかし、このような発明がなされてはいるが、トコフェリルリン酸エステルおよび/またはその塩類を配合した透明液状皮膚外用剤の安定性は完全に改良されたわけではない。特に高温部では白濁や沈殿が生じ、依然としてその安定性は不十分であり、さらなる発明が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭59−44375号広報
【特許文献2】特開平9−309813号広報
【特許文献3】特開2006−232767号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、安定性が改善されたトコフェリルリン酸エステルおよび/またはその塩類が配合された透明液状皮膚外用剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、このような事情に際して安定性の高い透明液状皮膚外用剤を提供すべく鋭意研究を行った結果、(A)トコフェリルリン酸エステルおよび/またはその塩類、(B)分子内にポリオキシプロピレン基を有する水溶性物質並びに(C)2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールまたは水酸化カリウム含有し、pHを8.2以上にすると、透明液状皮膚外用剤の安定性が高まるという新たな知見を見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、(A)トコフェリルリン酸エステルおよび/またはその塩類、(B)分子内にポリオキシプロピレン基を有する水溶性物質、並びに(C)2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールまたは水酸化カリウム含有し、pHを8.2以上にすると、トコフェリルリン酸エステルおよび/またはその塩類を配合した安定性の良好な透明液状皮膚外用剤が得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の構成について詳述する。本発明で用いられるトコフェリルリン酸エステルおよび/またはその塩類は何でもよいが、好ましくはモノエステル、塩はナトリウム塩、ジナトリウム塩、カリウム塩、ジカリウム塩、トリエタノールアミン塩である。さらに好ましくはナトリウム塩である。トコフェリルリン酸エステルおよび/またはその塩類の含有量は、特に限定されるものではないが、0.01〜3.0重量%とすることが好ましい。0.01重量%未満では肌荒れ改善効果、抗酸化能、血行促進作用等の生理活性が発現しない場合があり、3.0重量%を超えても効果の増強がなく不経済である。
【0010】
本発明で用いられる分子内にポリオキシプロピレン基を有する水溶性物質は何でもよいが、好ましくはポリオキシプロピレン(10)メチルグルコシド、ポリオキシプロピレン(20)メチルグルコシド、ポリオキシブチレン(3)ポリオキシエチレン(8)ポリオキシプロピレン(5)グリセリルエーテル、ポリオキシプロピレン(9)ジグリセリルエーテル、ポリオキシプロピレン(14)ジグリセリルエーテルである。分子内にポリオキシプロピレン基を有する水溶性物質の含有量は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.2〜15.0重量%、より好ましくは0.5〜10.0重量%である。0.2重量%未満では安定性を高める効果が発現しない場合があり、15.0重量%を超えても効果の増強が見られず不経済である。
【0011】
本発明の透明液状皮膚外用剤のpHは8.2以上が好ましい。pHを調整するアルカリ剤は2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、水酸化カリウムが好ましい。L−アルギニンの様な塩基性アミノ酸や、トリエタノールアミンでは満足な安定性が得られない。またpHの調整には酸を用いることもでき、その酸は何でもよいが、クエン酸、乳酸、リンゴ酸などの有機酸が好ましい。
【0012】
本発明の透明液状皮膚外用剤は、上述した成分を必須の構成成分とするが、当該組成物には本発明の目的を損なわない範囲で、他の成分、例えば、エタノール、多価アルコールなどのアルコール類、両性界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒアルロン酸などの高分子類、塩類、色素、ビタミン類、ホルモン剤、香料、抗酸化剤、中和剤、pH調整剤、防腐剤、キレート剤等の成分を適宜配合することができる。
【0013】
以下に他の配合成分の具体例を示すが、これらに限られるものではない。
【0014】
非イオン界面活性剤としては、例えば、モノオレイン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類;モノステアリン酸グリセリル、ヤシ油脂肪酸グリセリル、オレイン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル等のグリセリン脂肪酸エステル等のポリグリセリン脂肪酸エステル;モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類;ステアリン酸メチルグルコシド、ステアリン酸エチルグルコシド、ステアリン酸プロピルグルコシド、オレイン酸メチルグルコシド等の脂肪酸アルキルグルコシド;硬化ヒマシ油誘導体;グリセリンアルキルエーテル;POEソルビタンモノオレエート、POEソルビタンモノステアレート、POEソルビタンテトラオレエート等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類;POEグリセリンモノステアレート、POEグリセリンモノイソステアレート、POEグリセリントリイソステアレート等のPOEグリセリン脂肪酸エステル類;POEモノオレエート、POEジステアレート、POEモノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等のPOE脂肪酸エステル類;POEラウリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル等のPOEアルキルエーテル類;POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE硬化ヒマシ油マレイン酸等のPOEヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体;ショ糖モノステアレート、ショ糖ジステアレート、ショ糖トリステアレート等のショ糖脂肪酸エステル;ポリエーテル変性シリコーン、アルコール変性シリコーン等のシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。
【0015】
アニオン界面活性剤としては、例えば、セッケン用素地、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、ステアリン酸カリウム等の脂肪酸セッケン;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等の高級アルキル硫酸エステル塩;ステアロイル乳酸ナトリウム、イソステアロイル乳酸ナトリウム等のアシル乳酸塩;アルキルPOEラウリル硫酸トリエタノールアミン、POEラウリル硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸エステル塩;ラウロイルサルコシンナトリウム等のN−アシルサルコシン酸;N−ミリストイル−N−メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリッドナトリウム、ラウリルメチルタウリッドナトリウム等の高級脂肪酸アミドスルホン酸塩;POEオレイルエーテルリン酸ナトリウム、POEステアリルエーテルリン酸等のリン酸エステル塩;ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩;リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;N−ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N−ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸モノナトリウム等のN−アシルグルタミン酸塩;硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等の高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩;POEアルキルエーテルカルボン酸;POEアルキルアリルエーテルカルボン酸塩;α−オレフィンスルホン酸塩;高級脂肪酸エステルスルホン酸塩;二級アルコール硫酸エステル塩;高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;N−パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン;カゼインナトリウム;スルホン酸変性シリコーン等のシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。
【0016】
カチオン界面活性剤としては、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩;塩化ジステアリルジメチルアンモニウム等のジアルキルジメチルアンモニウム塩;アルキル四級アンモニウム塩;アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩;アルキルイソキノリニウム塩;ジアルキルモリホニウム塩;POEアルキルアミン;アルキルアミン塩;ポリアミン脂肪酸誘導体;アミルアルコール脂肪酸誘導体;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
【0017】
両性界面活性剤としては、例えば、アルキルグリシン塩;カルボキシメチルグリシン塩;N−アシルアミノエチル−N−2−ヒドロキシエチルグリシン塩;アルキルポリアミノポリカルボキシグリシン塩;アルキルアミノプロピオン酸塩;アルキルイミノジプロピオン酸塩;N−アシルアミノエチル−N−2−ヒドロキシエチルプロピオン酸塩;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン;脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン;アルキルジヒドロキシエチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。
【0018】
水性物質としては、本発明の効果を失わない範囲で、通常化粧料に用いられる各種原料を使用できる。例えば、低級アルコールとしては、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等がある。多価アルコールは、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ジグリセリン等がある。その他保湿剤としてソルビトール、キシリトール、マルチトール、マルトース、D−マンニット、エリスリトール、トレハロース、水アメ、ブドウ糖、果糖、乳糖、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸塩、グルコサミン、シクロデキストリン等がある。水溶性高分子としては、アラビアゴム、グァーガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、アルゲコロイド(褐藻エキス)、ローカストビーンガム等の植物系高分子;キサンタンガム、ジェランガム、プルラン等の微生物系高分子;コラーゲン、カゼイン等の動物系高分子;カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子;メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース系高分子;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子;ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子;ポリオキシエチレン系高分子;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体系高分子、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子;カチオンポリマー;ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等の無機系水溶性高分子等がある。薬剤としては、ビタミンA油、レチノール、パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール、イノシット、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、パントテン酸、ビオチン等のビタミン類;エストラジオール、エチニルエストラジオール等のホルモン;アルギニン、アスパラギン酸、シスチン、システイン、メチオニン、セリン、ロイシン、トリプトファン等のアミノ酸;アラントイン、グリチルレチン酸、アズレン等の坑炎症剤;アルブチン、アスコルビン酸マグネシウム、アスコルビン酸ナトリウム等の美白剤;タンニン酸、ミョウバン等の収斂剤;L−メントール、カンフル等の清涼剤;塩化リゾチーム、塩酸ピリドキシン、γ−オリザノール等がある。各種の抽出液としては、ドクダミエキス、オウバクエキス、メリロートエキス、オドリコソウエキス、カンゾウエキス、シャクヤクエキス、サボンソウエキス、ヘチマエキス、キナエキス、ユキノシタエキス、クララエキス、セージエキス、タイムエキス、茶エキス、海藻エキス、キューカンバーエキス、チョウジエキス、キイチゴエキス、メリッサエキス、ニンジンエキス、キャロットエキス、マロニエエキス、桃葉エキス、クワエキス、ヤグルマギクエキス、ハマメリス抽出液、シルク抽出液等がある。その他、安息香酸塩、パラオキシ安息香酸エステル、サリチル酸、フェノキシエタノール等の防腐剤;α−トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤;アラニン、エデト酸ナトリウム塩、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸等のキレート剤;安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、ケイ皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤;炭酸ナトリウム、乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、dl−リンゴ酸、およびこれらの塩、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等のpH調整剤;タール色素、香料、殺菌剤等を使用できる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種以上組み合わせて用いても良い。また、その他の配合成分に関しても、上記の成分に限らず、通常皮膚外用剤に用いられている無機塩類、動物・植物抽出液、色素類、香料等の公知の成分を配合することができる。
【実施例】
【0019】
本発明による効果を具体的な実施例を挙げ説明する。これらの実施例は効果を具体的に説明するもので、発明の範囲を限定するものではない。各実施例・比較例中の配合量は重量%である。
【0020】
表1〜5の実施例1〜15及び比較例1〜14の化粧水を、各成分を混合溶解して調製し、60℃2週間の経時安定性を下記評価基準に基づき評価した。
【0021】
安定性4段階評価基準
:(評価)
非常に良好(変色及び白濁なし): ◎
良好(やや褐変) : ○
やや不良(褐変、やや白濁) : △
不良(白濁、沈澱) : ×
【0022】
【表1】

【0023】
(A)トコフェリルリン酸エステルおよび/またはその塩類、(B)分子内にポリオキシプロピレン基を有する水溶性物並びに(C)2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールを配合し、pHが8.2以上の実施例1〜6は良好な安定性を示した。一方pHが8.2未満の比較例1及び2は白濁し安定性は良くなかった。
【0024】
【表2】

【0025】
本願発明の(B)成分の配合量を変化させた実施例7〜10は、どれも良好な安定性を示した。中でも(B)成分の配合量が0.5重量%以上の実施例8〜10は非常に高い安定性を示した。
【0026】
【表3】

【0027】
本願発明の(B)成分の種類を変えた実施例11〜13は、どれも良好な安定性を示した。一方で(B)成分を(B)成分以外のものに変えた比較例3〜7はいずれも安定性は良くなかった。
【0028】
【表4】

【0029】
本願発明の(C)成分が水酸化カリウムである実施例14、15は、いずれも良好な安定性を示した。一方で(C)成分をL−アルギニン若しくはトリエタノールアミンに変えた比較例8〜11はいずれも安定性は良くなかった。
【0030】
【表5】

【0031】
(A)トコフェリルリン酸エステルおよび/またはその塩類に、非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油を添加した比較例12、両性界面活性剤である水素添加大豆リン脂質を添加した比較例13、1,3−ブチレングリコール及びグリチルリチン酸ジカリウムを添加した比較例14はいずれも安定性は良くなかった。
【0032】
*1:ビタミンEリン酸ナトリウム(昭和電工製)
*2:マクビオブライドMG−20P(日油製)
*3:マクビオブライドMG−10P(日油製)
*4:ウィルブライドS−753(日油製)
*5:SY−DP14T(阪本薬品工業製)
*6:SY−DP9(阪本薬品工業製)
*7:マクビオブライドMG−10E(日油製)
【0033】
表1〜表5より、本発明の透明液状皮膚外用剤である実施例1〜15は、本発明の構成要件を満たさない比較例1〜14の透明液状皮膚外用剤と比較して、非常に安定性の高い透明液状皮膚外用剤が得られたことがわかる。
【0034】
(実施例16)
下記に示す組成のpH8.5の化粧水を常法により調製した。上記安定性に関して評価したところ、非常に安定性が高いことが確認された。
(化粧水1) (重量%)
(1)トコフェリルリン酸ナトリウム(*1)(A) 2.0
(2)エタノール 5.0
(3)1,2−ペンタンジオール 1.0
(4)ポリオキシプロピレン(20)メチルグルコシド(*2)(B) 2.0
(5)1,3−ブチレングリコール 1.0
(6)グリセリン 6.0
(7)クエン酸 0.3
(8)2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール(C) pH調整量
(9)エデト酸四ナトリウム四水塩 0.1
(10)メチルパラベン 適量
(11)香料 適量
(12)精製水 残余
合計 100
【0035】
(実施例17)
下記に示す組成のpH8.7の化粧水を常法により調製した。上記安定性に関して評価したところ、非常に安定性が高いことが確認された。
(化粧水2) (重量%)
(1)トコフェリルリン酸ナトリウム(*1)(A) 0.01
(2)エタノール 2.0
(3)1,2−ペンタンジオール 2.0
(4)ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油 1.0
(5)ポリオキシプロピレン(10)メチルグルコシド(*3)(B) 5.0
(6)グリセリン 5.0
(7)ジプロピレングリコール 5.0
(8)チンピ抽出液 0.2
(9)クエン酸 0.3
(10)水酸化カリウム(C) pH調整量
(11)エデト酸四ナトリウム四水塩 0.1
(12)メチルパラベン 適量
(13)香料 適量
(14)精製水 残余
合計 100
【0036】
(実施例18)
下記に示す組成のpH8.2の化粧水を常法により調製した。上記安定性に関して評価したところ、非常に安定性が高いことが確認された。
(化粧水3) (重量%)
(1)トコフェリルリン酸カリウム(A) 2.0
(2)エタノール 2.0
(3)1,2−ペンタンジオール 2.0
(4)PEG−11メチルエーテルジメチコン(*2) 1.0
(5)ポリオキシプロピレン(14)ジグリセリルエーテル(*5)(B)2.0
(6)グリセリン 8.0
(7)ジグリセリン 2.0
(8)キサンタンガム 0.05
(10)アラントイン 0.10
(11)クエン酸 0.3
(12)2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール(C) pH調整量
(13)エデト酸四ナトリウム四水塩 0.1
(14)メチルパラベン 適量
(15)香料 適量
(16)精製水 残余
合計 100
【産業上の利用可能性】
【0037】
(A)トコフェリルリン酸エステルおよび/またはその塩類、(B)分子内にポリオキシプロピレン基を有する水溶性物並びに(C)2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールまたは水酸化カリウムを含有し、pHを8.2以上にすると、安定性の優れた透明液状皮膚外用剤を提供できる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)トコフェリルリン酸エステルおよび/またはその塩類、(B)分子内にポリオキシプロピレン基を有する水溶性物並びに(C)2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールまたは水酸化カリウムを含有し、pHが8.2以上であることを特徴とする透明液状皮膚外用剤。
【請求項2】
(A)トコフェリルリン酸エステルおよび/またはその塩類の含有量が0.01〜3.0重量%、(B)分子内にポリオキシプロピレン基を有する水溶性物の含有量が0.2〜15.0重量%であることを特徴とする請求項1記載の透明液状皮膚外用剤。
【請求項3】
トコフェリルリン酸エステルおよび/またはその塩類がナトリウム塩またはジナトリウム塩であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の透明液状皮膚外用剤。
【請求項4】
(B)分子内にポリオキシプロピレン基を有する水溶性物が、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド、ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルからなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1〜3何れか1項記載の透明液状皮膚外用剤。


【公開番号】特開2011−201820(P2011−201820A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−71778(P2010−71778)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(592262543)日本メナード化粧品株式会社 (223)
【Fターム(参考)】