透明被膜、成膜装置、および透明被膜の製造方法
【課題】プロジェクタ用光源装置のリフレクタに用いても、高温環境で結晶化して剥離等の劣化を引き起こすことのない、ニオブ酸化物を主体とした非晶質構造の透明被膜、およびこの透明被膜を製造するための成膜装置、また、この透明被膜の製造方法を提供する。
【解決手段】透明被膜17を構成する低屈折率層17aと高屈折率層17bのうち、高屈折率層17bをニオブ酸化物を主体として、Tiまたはその酸化物を含ませることによって、ニオブ酸化物の結晶化温度を少なくとも600℃以上にすることができる。
【解決手段】透明被膜17を構成する低屈折率層17aと高屈折率層17bのうち、高屈折率層17bをニオブ酸化物を主体として、Tiまたはその酸化物を含ませることによって、ニオブ酸化物の結晶化温度を少なくとも600℃以上にすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパッタリング法によって成膜された透明被膜、およびこの透明被膜を成膜する成膜装置、ならびに透明被膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、液晶プロジェクタの光源装置は、ランプと、このランプの近傍に配され、ランプの光を一方向(表示パネル)に集光させるリフレクタ(反射板)とを備えている。こうした液晶プロジェクタの光源装置を構成するランプは、点灯中は高熱となるため、ランプの光の熱線(赤外線)まで全てリフレクタによって反射、集光させると、液晶表示パネルが高温となり好ましくない。このため、リフレクタの表面は、熱線(赤外線)だけを透過させてリフレクタの背面から放熱し、可視光を液晶表示パネルに向けて反射させる、いわゆるコールドミラーとなっている。
【0003】
このようなリフレクタは、ランプの光を一方向に集光させる形状、即ち湾曲面をもつ基板と、この基板の湾曲面に成膜された透明被膜(誘電体多層膜)とからなる。透明被膜は、高屈折率層(例えばニオブ酸化物)と低屈折率層(例えばシリコン酸化物)とを、スパッタリング法によって交互に数十層積層して得られる非晶質(アモルファス)構造とされる。
【0004】
ところで、こうした液晶プロジェクタの光源装置は、高輝度のランプを使用するために、ランプに近接して設けられるリフレクタは高温環境に晒される。このため、液晶プロジェクタ用光源装置のリフレクタは、600℃程度まで高温になる場合がある。
【0005】
しかし、従来のリフレクタは、550〜560℃程度で、表面を覆う透明被膜を構成している非晶質構造の酸化ニオブ層が結晶化してしまう。非晶質構造の酸化ニオブ層が結晶化すると、体積や応力に変化が生じ多層膜である透明被膜は、この結晶化した酸化ニオブ層から剥離、割れが発生するという課題があった。
【0006】
このような、熱による誘電体多層膜の劣化を防止するものとして、例えば、特許文献1には、酸化タンタルと酸化シリコンを用いた誘電体多層膜が記載されている。また、特許文献2には、酸化ジルコニウムと酸化シリコンをを用いた誘電体多層膜が記載されている。
【特許文献1】米国特許第4,633,557号
【特許文献2】特表2001−508190号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1や特許文献2に記載された誘電体多層膜では、層間の屈折率差が酸化ニオブと酸化シリコンにおける差ほど大きくない。そのため、リフレクタの透明被膜として同等の光学特性を得ようとすると1.5倍から2倍の層数が必要となり、透明被膜の加工時間が増加し、ひいては製造コストの増加につながる。また、液晶プロジェクタ用光源装置のリフレクタのような、600℃以上となる高温環境で用いた場合、非晶質構造が結晶化することに起因する多層膜の剥離を確実に防止することが困難であった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、プロジェクタ用光源装置のリフレクタに用いても、高温環境で結晶化して剥離等の劣化を引き起こすことのない、ニオブ酸化物を主体とした非晶質構造の透明被膜、およびこの透明被膜を製造するための成膜装置、ならびに、この透明被膜の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は次のような透明被膜を提供した。すなわち、本発明の透明被膜は、プロジェクタ向け光源装置のリフレクタを構成し、ニオブ酸化物を主体とした非晶質構造の透明被膜であって、
Si,Ti,Ta,Zrのうち、少なくとも1種の金属またはその酸化物を含み、少なくとも600℃以上で非晶質構造を維持することを特徴とする。
【0010】
前記透明被膜を構成する金属原子の総数に対して、Si,Ti,Ta,Zrの原子の総数が3%以上40%以下であればよい。また、前記透明被膜は多層膜であればよい。
【0011】
また、本発明は次のような成膜装置を提供した。すなわち、チャンバ内に保持された基板の表面に、反応性スパッタリングによりニオブ酸化物を主体とした非晶質構造の透明被膜を成膜する成膜装置であって、
スパッタリング用ガスと反応用ガスの流量をそれぞれ個別に制御可能であり、
カソードを成す一対のターゲット部材の間に交流電圧を印加するターゲットユニットを複数備え、
前記ターゲットユニットは、それぞれ独立して交流電圧を制御可能とされ、
前記ターゲットユニットのうち、少なくとも1つのターゲットユニットを構成するターゲット部材はニオブまたはその酸化物を含み、かつ、他のターゲットユニットを構成するターゲット部材はSi,Ti,Ta,Zrのうち、少なくとも1種の金属またはその酸化物を含むことを特徴とする。
【0012】
前記ターゲットユニットを構成する一対のターゲット部材のうち、一方のターゲット部材はニオブまたはその酸化物を含み、他方のターゲット部材はSi,Ti,Ta,Zrのうち、少なくとも1種の金属またはその酸化物を含むことが好ましい。
【0013】
さらに、本発明は次のような透明被膜の製造方法を提供した。すなわち、基板の表面に、反応性スパッタリングによりニオブ酸化物を主体とした非晶質構造の透明被膜を成膜する透明被膜の製造方法であって、
カソードを成す一対のターゲット部材の間に交流電圧を印加するターゲットユニットを複数備え、前記ターゲットユニットは、それぞれ独立して交流電圧を制御可能とされ、前記ターゲットユニットのうち、少なくとも1つのターゲットユニットを構成するターゲット部材はニオブまたはその酸化物を含み、かつ、他のターゲットユニットを構成するターゲット部材はSi,Ti,Ta,Zrのうち、少なくとも1種の金属またはその酸化物を含む成膜装置を用い、
前記ターゲットユニットに交流電圧を印加して、Si,Ti,Ta,Zrのうち、少なくとも1種の金属またはその酸化物を含み、ニオブ酸化物を主体とした非晶質構造の透明被膜を成膜することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の透明被膜によれば、透明被膜を構成するニオブ酸化物にTiおよびその酸化物を含ませることによって、ニオブ酸化物の結晶化温度を少なくとも600℃以上にすることができる。これによって、例えば液晶プロジェクタなどの高輝度のランプを備えた光源装置のリフレクタに用いても、高温化によって非晶質構造の酸化物層の結晶化による、透明被膜の剥離を確実に防止することが可能になる。
【0015】
また、本発明の成膜装置によれば、複数のターゲットユニットのそれぞれをカソードとし、一対のターゲット部材を形成したので、2種類の互いに異なる組成の層を交互に多数積層した多層膜を容易に成膜可能である。しかも、それぞれのカソードとして、一対のターゲット部材を備え、それぞれ独立して制御可能に交流電圧を印加できるので、多層膜を構成するいずれかの層が複数種の金属からなる複合組成層であっても、容易に成膜することができる。
【0016】
さらに、本発明の透明被膜の成膜方法によれば、多層膜を構成するいずれかの層が、複数種の金属からなる複合組成層であっても、容易に成膜することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る透明被膜の最良の形態について、図面に基づき説明する。なお、本実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0018】
図1は、本発明の透明被膜を表面に形成したリフレクタを備えた液晶プロジェクタの概要を示す概略図である。また、図2は、本発明の透明被膜の構造を示す拡大断面図である。
液晶プロジェクタ10は、液晶表示パネル11と、コンデンサレンズ15と、この液晶表示パネル11の光源装置12とを備えている。光源装置12は、光源であるランプ13と、このランプ13の光を液晶表示パネル11に向けて反射、集光させるリフレクタ(反射板)14からなる。
【0019】
リフレクタ(反射板)14は、液晶表示パネル11に向けてランプ13の光を集光させるように、表面が湾曲した基板16と、この基板の表面に形成された透明被膜17とからなる。図2に示すように、透明被膜17は、互いに異なる組成の層を多数、交互に重ねた多層膜を成す。例えば透明被膜17は、全体が非晶質構造(アモルファス)を成し、SiO2からなる低屈折率層17aと、ニオブ酸化物を主体として、Tiを含んだNbx−Tiy−Ozからなる高屈折率層17bとを交互に40層程度重ねた多層膜からなる。このような透明被膜17は、可視光域の光線を反射させ、赤外域の光線を透過させるという特性を備える。
【0020】
上述した透明被膜17を有するリフレクタ(反射板)14に、可視光線と熱線(赤外線)とを含むランプ13の光が入射すると、透明被膜17によって可視光線Lは液晶表示パネル11に向けて反射、集光される。そして、熱線Rは透明被膜17をそのまま透過して、リフレクタ14の背面側から放熱される。これにより、液晶表示パネル11に熱線が集中して液晶表示パネル11が高温になることを防止する。
【0021】
ランプ13は、液晶表示パネル11を高輝度にするために、できるだけ輝度の高いランプを用いることが好ましい。しかしながら、輝度の高いランプは、放射される熱線の量も多く、リフレクタ14が高温に晒されることになる。リフレクタの透明被膜としてニオブ酸化物層を使用する場合、ランプの加熱によって550℃程度で非晶質構造(アモルファス)のニオブ酸化物が結晶化し、このニオブ酸化物層から剥離が生じる。
【0022】
しかし、本発明では、透明被膜17を構成する低屈折率層17aと高屈折率層17bのうち、高屈折率層17bとして、ニオブ酸化物を主体としてTiまたはその酸化物を含ませることによって、ニオブ酸化物の結晶化温度を少なくとも600℃以上にすることができる。一般的に、液晶プロジェクタの光源装置は、高輝度のランプであっても600℃程度であるから、ニオブを主体とした酸化物層にTiまたはその酸化物を含ませることによって、ほぼ全てのプロジェクタにおいて、非晶質構造の高屈折率層17bの結晶化による透明被膜17の剥離を確実に防止することが可能になる。
【0023】
このようなニオブ酸化物を主体とした非晶質構造の酸化物層において、結晶化温度を上げるための添加物としては、上述したTiおよびその酸化物以外にも、Si,Ta,Zrのうち、少なくとも1種の金属またはその酸化物を含ませればよい。これにより、ニオブ酸化物を主体とした酸化物層の結晶化温度を、少なくとも600℃以上にすることができる。
【0024】
また、こうしたニオブ酸化物を主体とした高屈折率層17bに添加するSi,Ti,Ta,Zrの量は、透明被膜17を構成する金属原子の総数に対して、Si,Ti,Ta,Zrの原子の総数が3%以上40%以下の範囲であればよく、好ましくは20%以上30%以下の範囲である。
【0025】
なお、上述した実施形態では、透明被膜の例として、低屈折率層17aをSiO2、高屈折率層17bをTi添加のニオブ酸化物として交互に成膜した多層膜を例示したが、本発明の透明被膜は、多層膜に限定されるものではない。例えば、ニオブ酸化物を主体とし、これにSi,Ti,Ta,Zrのうち、少なくとも1種の金属またはその酸化物を含むものであれば、単層膜であってもよい。
【0026】
次に、上述した透明被膜を形成する成膜装置の概要について説明する。図3は、本発明の成膜装置の概要を示す概略図である。成膜装置20は、耐圧のチャンバ21と、このチャンバ21の内部を減圧環境にするポンプ22とを有する。ポンプ22は、例えば、ターボ分子ポンプであれば良い。
【0027】
チャンバ21の内部には、基板ホルダ23が形成されている。この基板ホルダ23は、略円筒形を成し、外周面に透明被膜を形成する基板が保持される。基板ホルダ23は、成膜時に例えば30rpm程度で軸心回りに回転する。また、チャンバ21には、こうした基板ホルダ23に支持された基板を加熱するヒータ24が形成されている。ヒータ24は、例えば、ランプヒータであればよい。
【0028】
更に、チャンバ21には、2つのガス供給手段28、29が接続される。これらガス供給手段28、29のうち、一方のガス供給手段28には、例えば、スパッタリング用ガスが供給される。また、他方のガス供給手段29には、例えば、反応用ガスが供給される。これらガス供給手段28と、ガス供給手段29とは、互いに独立して構成され、スパッタリング用ガスと反応用ガスの流量(供給量)は、それぞれ個別に制御可能とされている。
【0029】
チャンバ21には、第一のターゲットユニット26、および第二のターゲットユニット27がそれぞれ形成されている。第一のターゲットユニット26は、カソードを成す一対のターゲット部材26a,26bから構成される。同様に、第二のターゲットユニット27も、カソードを成す一対のターゲット部材27a,27bから構成される。これらターゲット部材26aと26bとの間、およびターゲット部材27aと27bとの間には、それぞれ独立した交流電源29a,29bが接続される。これにより、第一のターゲットユニット26、および第二のターゲットユニット27は、それぞれ個別に交流電圧および交流電圧の周波数等が制御可能である。
【0030】
例えば、この成膜装置20を用いて、低屈折率層(SiO2)と、ニオブ酸化物を主体としてTiを添加した高屈折率層(Nbx−Tiy−Oz)とを交互に多数積層して、高温でも非晶質構造が保たれる透明被膜を形成する場合、第一のターゲットユニット26は、ターゲット部材26aをNb,ターゲット部材26bをTiとした一対のカソードを用いればよい。また、第二のターゲットユニット27は、ターゲット部材27a,27bを両方ともSiとした一対のカソードを用いればよい。
【0031】
以上のような構成の成膜装置20によれば、2つのターゲットユニット26、27のそれぞれのカソードとして、一対のターゲット部材26a,26bおよび27a,27bを形成したので、2種類の互いに異なる組成の層を交互に多数積層した多層膜を、容易に成膜可能である。しかも、それぞれのカソードとして、一対のターゲット部材を備え、それぞれ独立して制御可能に交流電圧を印加できるので、多層膜を構成するいずれかの層が複数種の金属からなる複合組成層であっても、容易に成膜することができる。
【0032】
なお、上述した実施形態ではターゲットユニットを2つとしたが、ターゲットユニットの数は、多層膜を構成する層の種類の数に応じて、2つ以上複数形成すればよい。上述した実施形態では、第一のターゲットユニット26を構成する一方のターゲット部材26aをNb,他方のターゲット部材26bをTiとしたが、これ以外にも、一方のターゲット部材としてニオブまたはその酸化物を含み、他方のターゲット部材はSi,Ta,Zrのうち、少なくとも1種の金属またはその酸化物を含む構成であればよい。
【0033】
次に、上述したような成膜装置を用いた、本発明の成膜方法について簡潔に述べる。なお以下の実施形態では、被成膜物として、SiO2層(低屈折率層)とニオブ酸化物にチタンを添加したNbx−Tiy−Oz層(高屈折率層)とを交互に積層してなる透明被膜を例示する。透明被膜の成膜にあたっては、図3に示す本発明の成膜装置20を用いる。このとき、カソードとして、第一のターゲットユニット26を構成する一対のターゲット部材のうち、ターゲット部材26aをNb,ターゲット部材26bをTiとする。また、第二のターゲットユニット27を構成する一対のターゲット部材27a,27bは両方ともSiとする。
【0034】
チャンバ21内の基板ホルダ23に透明被膜を成膜する基板をセットし、ポンプ22でチャンバ21内を所定の減圧環境にする。また、一方のガス供給手段28からスパッタリングガス、例えばアルゴンガスを供給する。また、他方のガス供給手段29から反応性ガス、例えば酸素ガスを供給する。そして、基板ホルダ23を所定の回転数、例えば30rpm程度で回転させる。
【0035】
そして、第一のターゲットユニット26および第二のターゲットユニット27に、それぞれ独立して交流電圧を印加する。第一のターゲットユニット26に交流電圧が印加されると、交流電圧の周波数に応じてターゲット部材26aからニオブ酸化物が、またターゲット部材26bからチタン酸化物が交互にスパッタリングされる。また、第二のターゲットユニット27に交流電圧が印加されると、交流電圧の周波数に応じて一対のターゲット部材27a,27bから交互にシリコン酸化物がスパッタリングされる。
【0036】
ニオブ酸化物を主体としてチタンが添加されたNbx−Tiy−Ozからなる高屈折率層の成膜工程は、回転する基板ホルダ23にセットされた基板が第一のターゲットユニット26に対面する位置に達するたびに、ターゲット部材26aからニオブ酸化物が、またターゲット部材26bからチタン酸化物がスパッタリングされ所望の膜厚まで成膜される。また、シリコン酸化物からなる低屈折率層の成膜工程は、回転する基板ホルダ23にセットされた基板が第二のターゲットユニット27に対面する位置に達するたびに、ターゲット部材27a,27bから交互にシリコン酸化物がスパッタリングされ所望の膜厚まで成膜される。
【0037】
これら成膜工程を繰り返すことにより、基板上にニオブ酸化物にTiを含んだ高屈折率層とシリコン酸化物からなる低屈折率層とを交互に積層した透明被膜が形成される。所望の構成に従って、該高屈折率層と低屈折率層との積層数だけ繰り返しさせればよい。透明被膜は、例えば、ニオブ酸化物にTiを含んだ高屈折率層とシリコン酸化物からなる低屈折率層とを合計で40層重ねた多層膜からなる。
【0038】
なお、成膜装置20の第一のターゲットユニット26と第二のターゲットユニット27とは、互いに独立して制御可能な交流電源に接続されているため、ニオブ酸化物にTiを含んだ高屈折率層とシリコン酸化物からなる低屈折率層との膜厚を異ならせることも容易である。また、第一のターゲットユニット26と基板との間に開口を有する部材を設けてその開口面積を変えたり、ターゲット部材26aのNbの含有量や、ターゲット部材26bのTiの含有量を変えることによって、高屈折率層を構成するNbとTiとの含有割合も自在に変えることが可能である。
【実施例】
【0039】
以下、本発明の透明被膜のより具体的な実施例および、その効果を検証した。
まず、Si,Tiなどを含まない従来のニオブ酸化物層の結晶化温度を調べた。検証にあたって、基板に非晶質構造(アモルファス)のNb2O5単層膜を成膜し、熱処理なし、大気中500℃−30分加熱、大気中600℃−30分加熱の試料を形成し、それぞれ試料をX線結晶回折によって結晶化の状態を調べた。こうした検証結果を図4に示す。なお、熱処理は全て大気中で行った。
【0040】
図4に示す結果によれば、熱処理なし、および500℃−30分加熱の試料は結晶化する傾向は見られなかったが、600℃−30分加熱の試料は、結晶化を示すピークが生じており、600℃ではNb2O5は結晶化することが判明した。
【0041】
次に、Nb2O5に対してSiO2を12重量%添加したNb2O5−SiO2膜について、大気中660℃−30分および大気中680℃−30分加熱の試料を形成した。このそれぞれ試料をX線結晶回折によって結晶化の状態を調べた。同様に、Nb2O5に対してSiO2を26重量%添加したNb2O5−SiO2膜について、大気中700℃−30分および大気中720℃−30分加熱の試料を形成し、それぞれ試料をX線結晶回折によって結晶化の状態を調べた。これらの検証結果を図5,図6にそれぞれ示す。
【0042】
図5に示す結果によれば、Nb2O5に対してSiO2を12重量%添加したNb2O5−SiO2膜では、660℃では結晶化を示すピークが見られず、680℃で結晶化を示すピークが生じている。この結果から、少なくともNb2O5に対してSiO2を12重量%添加すれば、Nb2O5の結晶化温度を660℃まで引き上げられることが確認された。更に、図6に示す結果によれば、Nb2O5に対してSiO2を26重量%添加すれば、Nb2O5の結晶化温度を少なくとも700℃まで引き上げられることが確認された。Nb2O5に対するSiO2の添加量が増加するほど、結晶化の温度を引き上げられることが確認された。
【0043】
以上のまとめとして、Nb2O5に対するSiO2の添加量と結晶化温度との関係を図7に示す。また、Nb2O5に対するSiO2の添加量と屈折率との関係を図8に示す。図7および図8によれば、Nb2O5に対してSiO2の添加量が増加するほど、結晶化の温度を引き上げられるが、一方でSiO2の添加量が増加するほど透明被膜の屈折率が低下する。このため、リフレクタの透明被膜として用いる場合、図7、図8中の丸印を付した範囲、即ち3%以上が好適である。なお、SiO2の添加量が20重量%以上では結晶化温度は飽和する傾向を有し、SiO2は非晶質材料であることから添加量を40重量%程度まで増加させてもNb2O5の結晶化温度を低下させることはない。
【0044】
また、図9に、Nb2O5の結晶化温度に対するSiO2の添加量の依存性をまとめた結果を示す。図9によれば、Nb2O5にSiO2を全く添加しない場合は、540℃から560℃にかけて急激に結晶化が進行している。一方、SiO2添加量を12%,26%と増やすに従って、温度を600℃以上にしても結晶化の進行を抑えられることが確認された。
【0045】
図10、図11は、Nb2O5にTiを29重量%添加したNbx−Tiy−Oz膜を、大気中600℃−30分、および大気中720℃−30分加熱した試料を作成し、それぞれの試料についてX線結晶回析によって結晶化の状態を調べた測定結果である。
【0046】
図10、図11に示す結果によれば、Nb2O5にTiを29重量%添加したNbx−Tiy−Oz膜は、720℃においても結晶化は認められず、720℃まで結晶化の温度を引き上げられることが確認された。なお、Tiの添加量を29重量%以上としても同様な結果は得られるが、Ti酸化物の結晶成長が問題とならない40重量%程度まで添加上限とするのが好ましい。
【0047】
次に、Nb2O5層とSiO2層とを交互に積層した従来の透明被膜の反射率、およびNb2O5にTiを加えたNbx−Tiy−Oz層(高屈折率層)とSiO2層(低屈折率層)とを交互に積層した本発明の透明被膜の反射率を、加熱前と加熱後でそれぞれ測定した。この測定結果を図12、図13にそれぞれ示す。
【0048】
図12に示す従来の透明被膜では、600℃の加熱後は波長が500nm〜1000nmの範囲で、加熱前よりも反射率が低下している。特に波長500nm〜750nmの範囲での低下が著しい。これは、加熱によって非晶質構造(アモルファス)のNb2O5の結晶化が進み、膜中での光散乱が増加したためと考えられる。一方、図11に示す本発明の透明被膜では、測定した波長域の全域に渡って、加熱前と加熱後とで反射率は変化していない。これは、加熱によってもNb2O5の結晶化が起こらず、非晶質構造が維持されているものと考えられる。ニオブ酸化物にTiを加えたNbx−Tiy−Oz層とすることで、高温環境下でも高屈折率層を結晶化させず、非晶質構造が維持できることが確認された。
【0049】
次に、Nb2O5層とSiO2層とを交互に積層した従来の透明被膜と、ニオブ酸化物にTiを加えたNbx−Tiy−Oz層とSiO2層とを交互に積層した本発明の透明被膜について、剥離性を検証した。剥離性の検証にあたっては、成膜後のそれぞれの試料を600℃で15分加熱後、室温に15分置き、さらに純水で1分間煮沸した後、テープ剥離試験を行った。この検証結果を表1に示す。剥離検証比較は、多層膜の剥離面積の総和をもって評価した。
【0050】
【表1】
【0051】
表1に示す結果によれば、Tiを含まない各比較例では、総剥離面積が255〜799mm2であるのに対して、Tiを加えた本実施例では剥離面積が0となった。Nb2O5にTiを加えることで、600℃においても高屈折率層の結晶化を抑制し、剥離を確実に防止できることが確認された。
【0052】
表2に、本発明の透明被膜を構成するニオブ酸化物にTiを29重量%加えたNbx−Tiy−Oz層と、シリコン酸化物層(SiO2)の好ましい成膜条件の一例を挙げる。この成膜条件の際にはターゲットユニットにおける一方のターゲットをNb、もう一方のターゲットをTiとした。また、表3に、40層の多層膜からなる本発明の透明被膜の好ましい構成例を挙げる。
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の透明被膜を備えたリフレクタを示す概略図である。
【図2】本発明の透明被膜を示す拡大断面図である。
【図3】本発明の成膜装置を示す概略図である。
【図4】本発明の検証結果を示すグラフである。
【図5】本発明の検証結果を示すグラフである。
【図6】本発明の検証結果を示すグラフである。
【図7】本発明の検証結果を示すグラフである。
【図8】本発明の検証結果を示すグラフである。
【図9】本発明の検証結果を示すグラフである。
【図10】本発明の検証結果を示すグラフである。
【図11】本発明の検証結果を示すグラフである。
【図12】本発明の検証結果を示すグラフである。
【図13】本発明の検証結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0056】
14 リフレクタ(反射板)
17 透明被膜
20 成膜装置
26,27 ターゲットユニット
26a,26b,27a,27b ターゲット部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパッタリング法によって成膜された透明被膜、およびこの透明被膜を成膜する成膜装置、ならびに透明被膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、液晶プロジェクタの光源装置は、ランプと、このランプの近傍に配され、ランプの光を一方向(表示パネル)に集光させるリフレクタ(反射板)とを備えている。こうした液晶プロジェクタの光源装置を構成するランプは、点灯中は高熱となるため、ランプの光の熱線(赤外線)まで全てリフレクタによって反射、集光させると、液晶表示パネルが高温となり好ましくない。このため、リフレクタの表面は、熱線(赤外線)だけを透過させてリフレクタの背面から放熱し、可視光を液晶表示パネルに向けて反射させる、いわゆるコールドミラーとなっている。
【0003】
このようなリフレクタは、ランプの光を一方向に集光させる形状、即ち湾曲面をもつ基板と、この基板の湾曲面に成膜された透明被膜(誘電体多層膜)とからなる。透明被膜は、高屈折率層(例えばニオブ酸化物)と低屈折率層(例えばシリコン酸化物)とを、スパッタリング法によって交互に数十層積層して得られる非晶質(アモルファス)構造とされる。
【0004】
ところで、こうした液晶プロジェクタの光源装置は、高輝度のランプを使用するために、ランプに近接して設けられるリフレクタは高温環境に晒される。このため、液晶プロジェクタ用光源装置のリフレクタは、600℃程度まで高温になる場合がある。
【0005】
しかし、従来のリフレクタは、550〜560℃程度で、表面を覆う透明被膜を構成している非晶質構造の酸化ニオブ層が結晶化してしまう。非晶質構造の酸化ニオブ層が結晶化すると、体積や応力に変化が生じ多層膜である透明被膜は、この結晶化した酸化ニオブ層から剥離、割れが発生するという課題があった。
【0006】
このような、熱による誘電体多層膜の劣化を防止するものとして、例えば、特許文献1には、酸化タンタルと酸化シリコンを用いた誘電体多層膜が記載されている。また、特許文献2には、酸化ジルコニウムと酸化シリコンをを用いた誘電体多層膜が記載されている。
【特許文献1】米国特許第4,633,557号
【特許文献2】特表2001−508190号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1や特許文献2に記載された誘電体多層膜では、層間の屈折率差が酸化ニオブと酸化シリコンにおける差ほど大きくない。そのため、リフレクタの透明被膜として同等の光学特性を得ようとすると1.5倍から2倍の層数が必要となり、透明被膜の加工時間が増加し、ひいては製造コストの増加につながる。また、液晶プロジェクタ用光源装置のリフレクタのような、600℃以上となる高温環境で用いた場合、非晶質構造が結晶化することに起因する多層膜の剥離を確実に防止することが困難であった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、プロジェクタ用光源装置のリフレクタに用いても、高温環境で結晶化して剥離等の劣化を引き起こすことのない、ニオブ酸化物を主体とした非晶質構造の透明被膜、およびこの透明被膜を製造するための成膜装置、ならびに、この透明被膜の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は次のような透明被膜を提供した。すなわち、本発明の透明被膜は、プロジェクタ向け光源装置のリフレクタを構成し、ニオブ酸化物を主体とした非晶質構造の透明被膜であって、
Si,Ti,Ta,Zrのうち、少なくとも1種の金属またはその酸化物を含み、少なくとも600℃以上で非晶質構造を維持することを特徴とする。
【0010】
前記透明被膜を構成する金属原子の総数に対して、Si,Ti,Ta,Zrの原子の総数が3%以上40%以下であればよい。また、前記透明被膜は多層膜であればよい。
【0011】
また、本発明は次のような成膜装置を提供した。すなわち、チャンバ内に保持された基板の表面に、反応性スパッタリングによりニオブ酸化物を主体とした非晶質構造の透明被膜を成膜する成膜装置であって、
スパッタリング用ガスと反応用ガスの流量をそれぞれ個別に制御可能であり、
カソードを成す一対のターゲット部材の間に交流電圧を印加するターゲットユニットを複数備え、
前記ターゲットユニットは、それぞれ独立して交流電圧を制御可能とされ、
前記ターゲットユニットのうち、少なくとも1つのターゲットユニットを構成するターゲット部材はニオブまたはその酸化物を含み、かつ、他のターゲットユニットを構成するターゲット部材はSi,Ti,Ta,Zrのうち、少なくとも1種の金属またはその酸化物を含むことを特徴とする。
【0012】
前記ターゲットユニットを構成する一対のターゲット部材のうち、一方のターゲット部材はニオブまたはその酸化物を含み、他方のターゲット部材はSi,Ti,Ta,Zrのうち、少なくとも1種の金属またはその酸化物を含むことが好ましい。
【0013】
さらに、本発明は次のような透明被膜の製造方法を提供した。すなわち、基板の表面に、反応性スパッタリングによりニオブ酸化物を主体とした非晶質構造の透明被膜を成膜する透明被膜の製造方法であって、
カソードを成す一対のターゲット部材の間に交流電圧を印加するターゲットユニットを複数備え、前記ターゲットユニットは、それぞれ独立して交流電圧を制御可能とされ、前記ターゲットユニットのうち、少なくとも1つのターゲットユニットを構成するターゲット部材はニオブまたはその酸化物を含み、かつ、他のターゲットユニットを構成するターゲット部材はSi,Ti,Ta,Zrのうち、少なくとも1種の金属またはその酸化物を含む成膜装置を用い、
前記ターゲットユニットに交流電圧を印加して、Si,Ti,Ta,Zrのうち、少なくとも1種の金属またはその酸化物を含み、ニオブ酸化物を主体とした非晶質構造の透明被膜を成膜することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の透明被膜によれば、透明被膜を構成するニオブ酸化物にTiおよびその酸化物を含ませることによって、ニオブ酸化物の結晶化温度を少なくとも600℃以上にすることができる。これによって、例えば液晶プロジェクタなどの高輝度のランプを備えた光源装置のリフレクタに用いても、高温化によって非晶質構造の酸化物層の結晶化による、透明被膜の剥離を確実に防止することが可能になる。
【0015】
また、本発明の成膜装置によれば、複数のターゲットユニットのそれぞれをカソードとし、一対のターゲット部材を形成したので、2種類の互いに異なる組成の層を交互に多数積層した多層膜を容易に成膜可能である。しかも、それぞれのカソードとして、一対のターゲット部材を備え、それぞれ独立して制御可能に交流電圧を印加できるので、多層膜を構成するいずれかの層が複数種の金属からなる複合組成層であっても、容易に成膜することができる。
【0016】
さらに、本発明の透明被膜の成膜方法によれば、多層膜を構成するいずれかの層が、複数種の金属からなる複合組成層であっても、容易に成膜することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る透明被膜の最良の形態について、図面に基づき説明する。なお、本実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0018】
図1は、本発明の透明被膜を表面に形成したリフレクタを備えた液晶プロジェクタの概要を示す概略図である。また、図2は、本発明の透明被膜の構造を示す拡大断面図である。
液晶プロジェクタ10は、液晶表示パネル11と、コンデンサレンズ15と、この液晶表示パネル11の光源装置12とを備えている。光源装置12は、光源であるランプ13と、このランプ13の光を液晶表示パネル11に向けて反射、集光させるリフレクタ(反射板)14からなる。
【0019】
リフレクタ(反射板)14は、液晶表示パネル11に向けてランプ13の光を集光させるように、表面が湾曲した基板16と、この基板の表面に形成された透明被膜17とからなる。図2に示すように、透明被膜17は、互いに異なる組成の層を多数、交互に重ねた多層膜を成す。例えば透明被膜17は、全体が非晶質構造(アモルファス)を成し、SiO2からなる低屈折率層17aと、ニオブ酸化物を主体として、Tiを含んだNbx−Tiy−Ozからなる高屈折率層17bとを交互に40層程度重ねた多層膜からなる。このような透明被膜17は、可視光域の光線を反射させ、赤外域の光線を透過させるという特性を備える。
【0020】
上述した透明被膜17を有するリフレクタ(反射板)14に、可視光線と熱線(赤外線)とを含むランプ13の光が入射すると、透明被膜17によって可視光線Lは液晶表示パネル11に向けて反射、集光される。そして、熱線Rは透明被膜17をそのまま透過して、リフレクタ14の背面側から放熱される。これにより、液晶表示パネル11に熱線が集中して液晶表示パネル11が高温になることを防止する。
【0021】
ランプ13は、液晶表示パネル11を高輝度にするために、できるだけ輝度の高いランプを用いることが好ましい。しかしながら、輝度の高いランプは、放射される熱線の量も多く、リフレクタ14が高温に晒されることになる。リフレクタの透明被膜としてニオブ酸化物層を使用する場合、ランプの加熱によって550℃程度で非晶質構造(アモルファス)のニオブ酸化物が結晶化し、このニオブ酸化物層から剥離が生じる。
【0022】
しかし、本発明では、透明被膜17を構成する低屈折率層17aと高屈折率層17bのうち、高屈折率層17bとして、ニオブ酸化物を主体としてTiまたはその酸化物を含ませることによって、ニオブ酸化物の結晶化温度を少なくとも600℃以上にすることができる。一般的に、液晶プロジェクタの光源装置は、高輝度のランプであっても600℃程度であるから、ニオブを主体とした酸化物層にTiまたはその酸化物を含ませることによって、ほぼ全てのプロジェクタにおいて、非晶質構造の高屈折率層17bの結晶化による透明被膜17の剥離を確実に防止することが可能になる。
【0023】
このようなニオブ酸化物を主体とした非晶質構造の酸化物層において、結晶化温度を上げるための添加物としては、上述したTiおよびその酸化物以外にも、Si,Ta,Zrのうち、少なくとも1種の金属またはその酸化物を含ませればよい。これにより、ニオブ酸化物を主体とした酸化物層の結晶化温度を、少なくとも600℃以上にすることができる。
【0024】
また、こうしたニオブ酸化物を主体とした高屈折率層17bに添加するSi,Ti,Ta,Zrの量は、透明被膜17を構成する金属原子の総数に対して、Si,Ti,Ta,Zrの原子の総数が3%以上40%以下の範囲であればよく、好ましくは20%以上30%以下の範囲である。
【0025】
なお、上述した実施形態では、透明被膜の例として、低屈折率層17aをSiO2、高屈折率層17bをTi添加のニオブ酸化物として交互に成膜した多層膜を例示したが、本発明の透明被膜は、多層膜に限定されるものではない。例えば、ニオブ酸化物を主体とし、これにSi,Ti,Ta,Zrのうち、少なくとも1種の金属またはその酸化物を含むものであれば、単層膜であってもよい。
【0026】
次に、上述した透明被膜を形成する成膜装置の概要について説明する。図3は、本発明の成膜装置の概要を示す概略図である。成膜装置20は、耐圧のチャンバ21と、このチャンバ21の内部を減圧環境にするポンプ22とを有する。ポンプ22は、例えば、ターボ分子ポンプであれば良い。
【0027】
チャンバ21の内部には、基板ホルダ23が形成されている。この基板ホルダ23は、略円筒形を成し、外周面に透明被膜を形成する基板が保持される。基板ホルダ23は、成膜時に例えば30rpm程度で軸心回りに回転する。また、チャンバ21には、こうした基板ホルダ23に支持された基板を加熱するヒータ24が形成されている。ヒータ24は、例えば、ランプヒータであればよい。
【0028】
更に、チャンバ21には、2つのガス供給手段28、29が接続される。これらガス供給手段28、29のうち、一方のガス供給手段28には、例えば、スパッタリング用ガスが供給される。また、他方のガス供給手段29には、例えば、反応用ガスが供給される。これらガス供給手段28と、ガス供給手段29とは、互いに独立して構成され、スパッタリング用ガスと反応用ガスの流量(供給量)は、それぞれ個別に制御可能とされている。
【0029】
チャンバ21には、第一のターゲットユニット26、および第二のターゲットユニット27がそれぞれ形成されている。第一のターゲットユニット26は、カソードを成す一対のターゲット部材26a,26bから構成される。同様に、第二のターゲットユニット27も、カソードを成す一対のターゲット部材27a,27bから構成される。これらターゲット部材26aと26bとの間、およびターゲット部材27aと27bとの間には、それぞれ独立した交流電源29a,29bが接続される。これにより、第一のターゲットユニット26、および第二のターゲットユニット27は、それぞれ個別に交流電圧および交流電圧の周波数等が制御可能である。
【0030】
例えば、この成膜装置20を用いて、低屈折率層(SiO2)と、ニオブ酸化物を主体としてTiを添加した高屈折率層(Nbx−Tiy−Oz)とを交互に多数積層して、高温でも非晶質構造が保たれる透明被膜を形成する場合、第一のターゲットユニット26は、ターゲット部材26aをNb,ターゲット部材26bをTiとした一対のカソードを用いればよい。また、第二のターゲットユニット27は、ターゲット部材27a,27bを両方ともSiとした一対のカソードを用いればよい。
【0031】
以上のような構成の成膜装置20によれば、2つのターゲットユニット26、27のそれぞれのカソードとして、一対のターゲット部材26a,26bおよび27a,27bを形成したので、2種類の互いに異なる組成の層を交互に多数積層した多層膜を、容易に成膜可能である。しかも、それぞれのカソードとして、一対のターゲット部材を備え、それぞれ独立して制御可能に交流電圧を印加できるので、多層膜を構成するいずれかの層が複数種の金属からなる複合組成層であっても、容易に成膜することができる。
【0032】
なお、上述した実施形態ではターゲットユニットを2つとしたが、ターゲットユニットの数は、多層膜を構成する層の種類の数に応じて、2つ以上複数形成すればよい。上述した実施形態では、第一のターゲットユニット26を構成する一方のターゲット部材26aをNb,他方のターゲット部材26bをTiとしたが、これ以外にも、一方のターゲット部材としてニオブまたはその酸化物を含み、他方のターゲット部材はSi,Ta,Zrのうち、少なくとも1種の金属またはその酸化物を含む構成であればよい。
【0033】
次に、上述したような成膜装置を用いた、本発明の成膜方法について簡潔に述べる。なお以下の実施形態では、被成膜物として、SiO2層(低屈折率層)とニオブ酸化物にチタンを添加したNbx−Tiy−Oz層(高屈折率層)とを交互に積層してなる透明被膜を例示する。透明被膜の成膜にあたっては、図3に示す本発明の成膜装置20を用いる。このとき、カソードとして、第一のターゲットユニット26を構成する一対のターゲット部材のうち、ターゲット部材26aをNb,ターゲット部材26bをTiとする。また、第二のターゲットユニット27を構成する一対のターゲット部材27a,27bは両方ともSiとする。
【0034】
チャンバ21内の基板ホルダ23に透明被膜を成膜する基板をセットし、ポンプ22でチャンバ21内を所定の減圧環境にする。また、一方のガス供給手段28からスパッタリングガス、例えばアルゴンガスを供給する。また、他方のガス供給手段29から反応性ガス、例えば酸素ガスを供給する。そして、基板ホルダ23を所定の回転数、例えば30rpm程度で回転させる。
【0035】
そして、第一のターゲットユニット26および第二のターゲットユニット27に、それぞれ独立して交流電圧を印加する。第一のターゲットユニット26に交流電圧が印加されると、交流電圧の周波数に応じてターゲット部材26aからニオブ酸化物が、またターゲット部材26bからチタン酸化物が交互にスパッタリングされる。また、第二のターゲットユニット27に交流電圧が印加されると、交流電圧の周波数に応じて一対のターゲット部材27a,27bから交互にシリコン酸化物がスパッタリングされる。
【0036】
ニオブ酸化物を主体としてチタンが添加されたNbx−Tiy−Ozからなる高屈折率層の成膜工程は、回転する基板ホルダ23にセットされた基板が第一のターゲットユニット26に対面する位置に達するたびに、ターゲット部材26aからニオブ酸化物が、またターゲット部材26bからチタン酸化物がスパッタリングされ所望の膜厚まで成膜される。また、シリコン酸化物からなる低屈折率層の成膜工程は、回転する基板ホルダ23にセットされた基板が第二のターゲットユニット27に対面する位置に達するたびに、ターゲット部材27a,27bから交互にシリコン酸化物がスパッタリングされ所望の膜厚まで成膜される。
【0037】
これら成膜工程を繰り返すことにより、基板上にニオブ酸化物にTiを含んだ高屈折率層とシリコン酸化物からなる低屈折率層とを交互に積層した透明被膜が形成される。所望の構成に従って、該高屈折率層と低屈折率層との積層数だけ繰り返しさせればよい。透明被膜は、例えば、ニオブ酸化物にTiを含んだ高屈折率層とシリコン酸化物からなる低屈折率層とを合計で40層重ねた多層膜からなる。
【0038】
なお、成膜装置20の第一のターゲットユニット26と第二のターゲットユニット27とは、互いに独立して制御可能な交流電源に接続されているため、ニオブ酸化物にTiを含んだ高屈折率層とシリコン酸化物からなる低屈折率層との膜厚を異ならせることも容易である。また、第一のターゲットユニット26と基板との間に開口を有する部材を設けてその開口面積を変えたり、ターゲット部材26aのNbの含有量や、ターゲット部材26bのTiの含有量を変えることによって、高屈折率層を構成するNbとTiとの含有割合も自在に変えることが可能である。
【実施例】
【0039】
以下、本発明の透明被膜のより具体的な実施例および、その効果を検証した。
まず、Si,Tiなどを含まない従来のニオブ酸化物層の結晶化温度を調べた。検証にあたって、基板に非晶質構造(アモルファス)のNb2O5単層膜を成膜し、熱処理なし、大気中500℃−30分加熱、大気中600℃−30分加熱の試料を形成し、それぞれ試料をX線結晶回折によって結晶化の状態を調べた。こうした検証結果を図4に示す。なお、熱処理は全て大気中で行った。
【0040】
図4に示す結果によれば、熱処理なし、および500℃−30分加熱の試料は結晶化する傾向は見られなかったが、600℃−30分加熱の試料は、結晶化を示すピークが生じており、600℃ではNb2O5は結晶化することが判明した。
【0041】
次に、Nb2O5に対してSiO2を12重量%添加したNb2O5−SiO2膜について、大気中660℃−30分および大気中680℃−30分加熱の試料を形成した。このそれぞれ試料をX線結晶回折によって結晶化の状態を調べた。同様に、Nb2O5に対してSiO2を26重量%添加したNb2O5−SiO2膜について、大気中700℃−30分および大気中720℃−30分加熱の試料を形成し、それぞれ試料をX線結晶回折によって結晶化の状態を調べた。これらの検証結果を図5,図6にそれぞれ示す。
【0042】
図5に示す結果によれば、Nb2O5に対してSiO2を12重量%添加したNb2O5−SiO2膜では、660℃では結晶化を示すピークが見られず、680℃で結晶化を示すピークが生じている。この結果から、少なくともNb2O5に対してSiO2を12重量%添加すれば、Nb2O5の結晶化温度を660℃まで引き上げられることが確認された。更に、図6に示す結果によれば、Nb2O5に対してSiO2を26重量%添加すれば、Nb2O5の結晶化温度を少なくとも700℃まで引き上げられることが確認された。Nb2O5に対するSiO2の添加量が増加するほど、結晶化の温度を引き上げられることが確認された。
【0043】
以上のまとめとして、Nb2O5に対するSiO2の添加量と結晶化温度との関係を図7に示す。また、Nb2O5に対するSiO2の添加量と屈折率との関係を図8に示す。図7および図8によれば、Nb2O5に対してSiO2の添加量が増加するほど、結晶化の温度を引き上げられるが、一方でSiO2の添加量が増加するほど透明被膜の屈折率が低下する。このため、リフレクタの透明被膜として用いる場合、図7、図8中の丸印を付した範囲、即ち3%以上が好適である。なお、SiO2の添加量が20重量%以上では結晶化温度は飽和する傾向を有し、SiO2は非晶質材料であることから添加量を40重量%程度まで増加させてもNb2O5の結晶化温度を低下させることはない。
【0044】
また、図9に、Nb2O5の結晶化温度に対するSiO2の添加量の依存性をまとめた結果を示す。図9によれば、Nb2O5にSiO2を全く添加しない場合は、540℃から560℃にかけて急激に結晶化が進行している。一方、SiO2添加量を12%,26%と増やすに従って、温度を600℃以上にしても結晶化の進行を抑えられることが確認された。
【0045】
図10、図11は、Nb2O5にTiを29重量%添加したNbx−Tiy−Oz膜を、大気中600℃−30分、および大気中720℃−30分加熱した試料を作成し、それぞれの試料についてX線結晶回析によって結晶化の状態を調べた測定結果である。
【0046】
図10、図11に示す結果によれば、Nb2O5にTiを29重量%添加したNbx−Tiy−Oz膜は、720℃においても結晶化は認められず、720℃まで結晶化の温度を引き上げられることが確認された。なお、Tiの添加量を29重量%以上としても同様な結果は得られるが、Ti酸化物の結晶成長が問題とならない40重量%程度まで添加上限とするのが好ましい。
【0047】
次に、Nb2O5層とSiO2層とを交互に積層した従来の透明被膜の反射率、およびNb2O5にTiを加えたNbx−Tiy−Oz層(高屈折率層)とSiO2層(低屈折率層)とを交互に積層した本発明の透明被膜の反射率を、加熱前と加熱後でそれぞれ測定した。この測定結果を図12、図13にそれぞれ示す。
【0048】
図12に示す従来の透明被膜では、600℃の加熱後は波長が500nm〜1000nmの範囲で、加熱前よりも反射率が低下している。特に波長500nm〜750nmの範囲での低下が著しい。これは、加熱によって非晶質構造(アモルファス)のNb2O5の結晶化が進み、膜中での光散乱が増加したためと考えられる。一方、図11に示す本発明の透明被膜では、測定した波長域の全域に渡って、加熱前と加熱後とで反射率は変化していない。これは、加熱によってもNb2O5の結晶化が起こらず、非晶質構造が維持されているものと考えられる。ニオブ酸化物にTiを加えたNbx−Tiy−Oz層とすることで、高温環境下でも高屈折率層を結晶化させず、非晶質構造が維持できることが確認された。
【0049】
次に、Nb2O5層とSiO2層とを交互に積層した従来の透明被膜と、ニオブ酸化物にTiを加えたNbx−Tiy−Oz層とSiO2層とを交互に積層した本発明の透明被膜について、剥離性を検証した。剥離性の検証にあたっては、成膜後のそれぞれの試料を600℃で15分加熱後、室温に15分置き、さらに純水で1分間煮沸した後、テープ剥離試験を行った。この検証結果を表1に示す。剥離検証比較は、多層膜の剥離面積の総和をもって評価した。
【0050】
【表1】
【0051】
表1に示す結果によれば、Tiを含まない各比較例では、総剥離面積が255〜799mm2であるのに対して、Tiを加えた本実施例では剥離面積が0となった。Nb2O5にTiを加えることで、600℃においても高屈折率層の結晶化を抑制し、剥離を確実に防止できることが確認された。
【0052】
表2に、本発明の透明被膜を構成するニオブ酸化物にTiを29重量%加えたNbx−Tiy−Oz層と、シリコン酸化物層(SiO2)の好ましい成膜条件の一例を挙げる。この成膜条件の際にはターゲットユニットにおける一方のターゲットをNb、もう一方のターゲットをTiとした。また、表3に、40層の多層膜からなる本発明の透明被膜の好ましい構成例を挙げる。
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の透明被膜を備えたリフレクタを示す概略図である。
【図2】本発明の透明被膜を示す拡大断面図である。
【図3】本発明の成膜装置を示す概略図である。
【図4】本発明の検証結果を示すグラフである。
【図5】本発明の検証結果を示すグラフである。
【図6】本発明の検証結果を示すグラフである。
【図7】本発明の検証結果を示すグラフである。
【図8】本発明の検証結果を示すグラフである。
【図9】本発明の検証結果を示すグラフである。
【図10】本発明の検証結果を示すグラフである。
【図11】本発明の検証結果を示すグラフである。
【図12】本発明の検証結果を示すグラフである。
【図13】本発明の検証結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0056】
14 リフレクタ(反射板)
17 透明被膜
20 成膜装置
26,27 ターゲットユニット
26a,26b,27a,27b ターゲット部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロジェクタ向け光源装置のリフレクタを構成し、ニオブ酸化物を主体とした非晶質構造の透明被膜であって、
Si,Ti,Ta,Zrのうち、少なくとも1種の金属またはその酸化物を含み、少なくとも600℃以上で非晶質構造を維持することを特徴とする透明被膜。
【請求項2】
前記透明被膜を構成する金属原子の総数に対して、Si,Ti,Ta,Zrの原子の総数が3%以上40%以下であることを特徴とする請求項1記載の透明被膜。
【請求項3】
前記透明被膜は多層膜であることを特徴とする請求項1または2記載の透明被膜。
【請求項4】
チャンバ内に保持された基板の表面に、反応性スパッタリングによりニオブ酸化物を主体とした非晶質構造の透明被膜を成膜する成膜装置であって、
スパッタリング用ガスと反応用ガスの流量をそれぞれ個別に制御可能であり、
カソードを成す一対のターゲット部材の間に交流電圧を印加するターゲットユニットを複数備え、
前記ターゲットユニットは、それぞれ独立して交流電圧を制御可能とされ、
前記ターゲットユニットのうち、少なくとも1つのターゲットユニットを構成するターゲット部材はニオブまたはその酸化物を含み、かつ、他のターゲットユニットを構成するターゲット部材はSi,Ti,Ta,Zrのうち、少なくとも1種の金属またはその酸化物を含むことを特徴とする成膜装置。
【請求項5】
前記ターゲットユニットを構成する一対のターゲット部材のうち、一方のターゲット部材はニオブまたはその酸化物を含み、他方のターゲット部材はSi,Ti,Ta,Zrのうち、少なくとも1種の金属またはその酸化物を含むことを特徴とする請求項4記載の成膜装置。
【請求項6】
基板の表面に、反応性スパッタリングによりニオブ酸化物を主体とした非晶質構造の透明被膜を成膜する透明被膜の製造方法であって、
カソードを成す一対のターゲット部材の間に交流電圧を印加するターゲットユニットを複数備え、前記ターゲットユニットは、それぞれ独立して交流電圧を制御可能とされ、前記ターゲットユニットのうち、少なくとも1つのターゲットユニットを構成するターゲット部材はニオブまたはその酸化物を含み、かつ、他のターゲットユニットを構成するターゲット部材はSi,Ti,Ta,Zrのうち、少なくとも1種の金属またはその酸化物を含む成膜装置を用い、
前記ターゲットユニットに交流電圧を印加して、Si,Ti,Ta,Zrのうち、少なくとも1種の金属またはその酸化物を含み、ニオブ酸化物を主体とした非晶質構造の透明被膜を成膜することを特徴とする透明被膜の製造方法。
【請求項1】
プロジェクタ向け光源装置のリフレクタを構成し、ニオブ酸化物を主体とした非晶質構造の透明被膜であって、
Si,Ti,Ta,Zrのうち、少なくとも1種の金属またはその酸化物を含み、少なくとも600℃以上で非晶質構造を維持することを特徴とする透明被膜。
【請求項2】
前記透明被膜を構成する金属原子の総数に対して、Si,Ti,Ta,Zrの原子の総数が3%以上40%以下であることを特徴とする請求項1記載の透明被膜。
【請求項3】
前記透明被膜は多層膜であることを特徴とする請求項1または2記載の透明被膜。
【請求項4】
チャンバ内に保持された基板の表面に、反応性スパッタリングによりニオブ酸化物を主体とした非晶質構造の透明被膜を成膜する成膜装置であって、
スパッタリング用ガスと反応用ガスの流量をそれぞれ個別に制御可能であり、
カソードを成す一対のターゲット部材の間に交流電圧を印加するターゲットユニットを複数備え、
前記ターゲットユニットは、それぞれ独立して交流電圧を制御可能とされ、
前記ターゲットユニットのうち、少なくとも1つのターゲットユニットを構成するターゲット部材はニオブまたはその酸化物を含み、かつ、他のターゲットユニットを構成するターゲット部材はSi,Ti,Ta,Zrのうち、少なくとも1種の金属またはその酸化物を含むことを特徴とする成膜装置。
【請求項5】
前記ターゲットユニットを構成する一対のターゲット部材のうち、一方のターゲット部材はニオブまたはその酸化物を含み、他方のターゲット部材はSi,Ti,Ta,Zrのうち、少なくとも1種の金属またはその酸化物を含むことを特徴とする請求項4記載の成膜装置。
【請求項6】
基板の表面に、反応性スパッタリングによりニオブ酸化物を主体とした非晶質構造の透明被膜を成膜する透明被膜の製造方法であって、
カソードを成す一対のターゲット部材の間に交流電圧を印加するターゲットユニットを複数備え、前記ターゲットユニットは、それぞれ独立して交流電圧を制御可能とされ、前記ターゲットユニットのうち、少なくとも1つのターゲットユニットを構成するターゲット部材はニオブまたはその酸化物を含み、かつ、他のターゲットユニットを構成するターゲット部材はSi,Ti,Ta,Zrのうち、少なくとも1種の金属またはその酸化物を含む成膜装置を用い、
前記ターゲットユニットに交流電圧を印加して、Si,Ti,Ta,Zrのうち、少なくとも1種の金属またはその酸化物を含み、ニオブ酸化物を主体とした非晶質構造の透明被膜を成膜することを特徴とする透明被膜の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−35787(P2009−35787A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−202258(P2007−202258)
【出願日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]