通信ケーブル
【課題】 結束用テープや結束用バンドを用いることなく複数のケーブルを一束にまとめることができ、しかも複数のケーブルのうち一部のケーブルのみを容易に分離させることが可能な通信ケーブルを提供する。
【解決手段】 信号が伝達可能な1つ以上の信号線4を有する単ケーブル3を軸方向に沿って互いに接合することにより単ケーブル3が複数集合した一束のケーブル群2を形成し、単ケーブル3を任意の本数をもって一束のケーブル群2に対して接合部3aから分離可能とした。
【解決手段】 信号が伝達可能な1つ以上の信号線4を有する単ケーブル3を軸方向に沿って互いに接合することにより単ケーブル3が複数集合した一束のケーブル群2を形成し、単ケーブル3を任意の本数をもって一束のケーブル群2に対して接合部3aから分離可能とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報通信に用いられる通信ケーブルに関し、とくに結束用テープや結束用バンドを用いることなく複数のケーブルを一束にまとめることが可能な通信ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータネットワーク等を形成する際には、通信ケーブルを介してコンピュータ同士またはコンピュータとサーバー同士を接続する必要がある。図14は、従来の通信ケーブル100の一例を示している。通信ケーブル100は、独立した複数のUTP(LAN)ケーブル101から構成されており、各UTPケーブル101の端部には、コネクタ102が取付けられている。図14に示すように、複数のUTPケーブル101を用いる場合は、UTPケーブル101を敷設するラック内等の収納スペースがUTPケーブル101によって占有される場合がある。すなわち、ラック内等の収納スペースが十分でない場合は、UTPケーブル101同士が絡まった状態や重なり合った状態で敷設されることになり、UTPケーブル101に想定外の荷重が作用し、通信障害が起きるおそれがある。そのため、ラック内等の収納スペースを効率的に使用するためには、複数のケーブルを一束にまとめてラック内等に収納する必要がある。
【0003】
そこで、複数の通信ケーブルを粘着式テープで一束にまとめることができる結束用テープ(例えば、特許文献1参照。)や複数の通信ケーブル同士を一ヶ所で締めて固定する結束用バンド(例えば、特許文献2参照。)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08−045357号公報
【特許文献2】特開平08−034409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の結束用テープや特許文献2の結束用バンドは、複数のケーブルを一束にまとめて敷設することができる利点を持つが、結束されているケーブルから一部のケーブルを抜き取る際に、その結束用テープや結束用バンドを一度はずさなければならないという問題がある。また、この場合は、その他の通信ケーブルが結束用テープや結束用バンドから外れて分散してしまうので、再度通信ケーブルを結束用テープや結束用バンドで結束しなおさなければならず、配線作業の能率が低下する。
【0006】
そこで本発明は、結束用テープや結束用バンドを用いることなく複数のケーブルを一束にまとめることができ、しかも複数のケーブルのうち一部のケーブルのみを容易に分離させることが可能な通信ケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、信号が伝達可能な1つ以上の信号線を有する単ケーブルを軸方向に沿って互いに接合することにより前記単ケーブルが複数集合した一束のケーブル群を形成し、前記単ケーブルを任意の本数をもって前記一束のケーブル群に対して前記接合部位から分離可能としたことを特徴とする通信ケーブルである。
【0008】
この発明によれば、単ケーブルの接合部位を引き裂くことにより、単ケーブルをケーブル群から分離することが可能となる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の通信ケーブルにおいて、前記単ケーブルの外周面には、符号が付されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の通信ケーブルにおいて、前記単ケーブルは、4本の信号線を有しており、前記単ケーブルの両端部には前記4本の信号線と接続されるコネクタが取付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、単ケーブルを軸方向に沿って互いに接合することにより単ケーブルが複数集合した一束のケーブル群を形成しているので、結束用テープや結束用バンドを用いることなく複数の単ケーブルを一束にまとめることができる。また、単ケーブルは、任意の本数をもって一束のケーブル群に対して接合部位から分離可能であるので、任意の本数の単ケーブルをケーブル群から分離させる際にも、結束用テープや結束用バンドを用いる従来技術のように他のケーブルが分散することがなく、配線作業の能率を高めることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、単ケーブルの外周面に符号を付すようにしたので、複数の単ケーブルのうちの特定の単ケーブルを目視にて容易に把握することができ、配線作業の能率をさらに高めることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、単ケーブルは4本の信号線を有しており、単ケーブルの両端部には4本の信号線と接続されるコネクタが取付けられているので、単ケーブルをUTP(LAN)ケーブルとして使用することができる。UTPケーブルは、8本の信号線のうち実際には4本のみが使用されているので、4本の信号線を有する単ケーブルをUTPケーブルとして使用することで、従来のUTPケーブルに比べて一束の径を小とすることができ、ラック内等の収納スペースが狭い場合であっても通信ケーブルの敷設が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態1に係わる通信ケーブルの単ケーブルをケーブル群から分離する状態を示す斜視図である。
【図2】図1の通信ケーブルの拡大断面図である。
【図3】図1の通信ケーブルにおける単ケーブルの両端にコネクタを取り付けた平面図である。
【図4】図3の単ケーブルにおけるコネクタの近傍を示す拡大平面図である。
【図5】図1の通信ケーブルを用いた情報通信装置の接続状態を示す正面図である。
【図6】図5の情報通信装置の部分拡大正面図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係わる通信ケーブルの拡大断面図である。
【図8】図7の通信ケーブルの変形例を示す拡大断面図である。
【図9】図7の通信ケーブルの別の変形例を示す拡大断面図である。
【図10】図7の通信ケーブルのさらに別の変形例を示す拡大断面図である。
【図11】本発明の実施の形態3に係わる通信ケーブルの斜視図である。
【図12】図11の通信ケーブルの拡大断面図である。
【図13】本発明の実施の形態4に係わる通信ケーブルの拡大断面図である。
【図14】従来の通信ケーブルの一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、この発明の実施の形態について、図面を用いて詳しく説明する
【0016】
(実施の形態1)
図1ないし図6は、本発明の実施の形態1を示している。図5で示すように、ラック10には、情報通信装置11が収納されている。情報通信装置11を構成する上部スイッチングハブ11b側と下部スイッチングハブ11c側は、通信ケーブル1を介して電気的に接続されている。通信ケーブル1におけるケーブル群2は、ラック10の側面部に形成されたダクト10aに収納されている。
【0017】
図1および図2に示すように、通信ケーブル1は、複数の単ケーブル3を有している。単ケーブル3は、電気信号が伝達可能な4つの信号線4と、この信号線4を保護する外皮3fを有している。信号線4は、電線4aと、この電線4aの外周側を絶縁する被覆4bから構成されている。電線4aは、例えば2本の細い銅線からなり、2本の銅線はノイズの影響を受けにくくするため、撚り合わされている。外皮3fは、合成樹脂からなり、4つの信号線4を半径方向の中心部に集合させるとともに、4つの信号線4を外力から保護する機能を有している。4つの信号線4は、被覆4bが互いに接合されておらず、分離が容易となっている。
【0018】
単ケーブル3の外皮3fの外周面には、隣接する単ケーブル3同士を軸方向に沿って互いに接合ずる接合部3aが形成されている。接合部3aは、隣接する単ケーブル3同士を線接触によって接合する部位であり、外力によって引き裂くことが可能となっている。接合部3aは、隣接する単ケーブル3の外皮3f同士の熱溶着によって形成されている。これにより、通信ケーブル1には、接合部3aによって複数の単ケーブル3が集合した一束のケーブル群2が形成されている。
【0019】
接合部3aの引張り強度は、単ケーブル3自体の引張り強度に比べて著しく小となっている。これにより、単ケーブル3は、一束のケーブル群2に対して接合部3aから外力によって容易に分離可能となっている。また、接合部3aを除く単ケーブル3同士の間には、空間部(隙間)5が形成されている。
【0020】
図3は、通信ケーブル1の各単ケーブル3の両端にコネクタ6を取付けた状態を示している。単ケーブル3は、分岐部1aによって両端部が一束のケーブル群2から分離されている。コネクタ6は、本体部がプラスチックから構成されており、内部に接続用の接点(図示略)を有している。4本の信号線4の電線4aは、コネクタ6の接点と電気的に接続されている。
【0021】
図4に示すように、単ケーブル3のコネクタ6の近傍には、そのケーブル固有の符号7が付されている。これにより、複数の単ケーブル3のうち特定の単ケーブル3を目視にて容易に把握することが可能となっている。符号7は、図1に示すように、単ケーブル3の軸方向に沿って連続的に付すことにより、単ケーブル3を任意の長さに切断した場合でも、特定の単ケーブル3を容易に把握することが可能となる。
【0022】
次に、実施の形態1における通信ケーブル1の使用方法と作用について説明する。
【0023】
まず、通信ケーブル1の各単ケーブル3の分離について説明する。図1に示すように、ケーブル群2から1つの単ケーブル3を分離させる際には、単ケーブル3の接合部3aに例えばカッタ等の刃をあて、接合部3に数ミリ程度の切れ目を入れる。つぎに、分離させる単ケーブル3をケーブル群2から引き離す方向に引張ることにより、熱溶着によって形成された接合部3aが切り裂かれ、単ケーブル3をケーブル群2から分離させることが可能となる。このようにして、各単ケーブル3を1本ずつケーブル群2から分離させる。その後、各単ケーブル3の両端部にコネクタ6を取付け、4本の信号線4の電線4aとコネクタ6の接点との接続を行う。
【0024】
つぎに、上記の通信ケーブル1を用いてラック10内の情報通信装置11の接続を行う。ここで、通信ケーブル1は、図3に示すようにすべての単ケーブル3の両端部がケーブル群2から分離されているので、単ケーブル3の両端部を自由に移動させることができ、コネクタ6を上部スイッチングハブ11bのポート11b1や下部スイッチングハブ11cのポート11b2に差し込むことができる。これにより、情報通信装置11の上部スイッチングハブ11b側と下部スイッチングハブ11c側とが電気的に接続される。また、分離した単ケーブル3の端部を適切な長さに切断し、分岐部1aからのコネクタ6までの長さを最適な長さに調整することにより、ラック10内での単ケーブル3の弛みや干渉を回避することが可能となる。
【0025】
このように、単ケーブル3を軸方向に沿って互いに接合し単ケーブル3が複数集合した一束のケーブル群2を形成しているので、結束用テープや結束用バンドを用いることなく複数の単ケーブル3を一束にまとめることができる。また、単ケーブル3は、任意の本数をもって一束のケーブル群2に対して接合位置から分離可能であるので、結束用テープや結束用バンドを用いる従来技術のように他のケーブルが分散することがなく、配線作業の能率を高めることができる。さらに、単ケーブル3に符号を付すようにしたので、複数の単ケーブルをのうちの特定の単ケーブル3を目視によって容易に把握することができ、配線作業の能率をさらに高めることができる。
【0026】
また、単ケーブル3は、4本の信号線4を有しているので、単ケーブル3をUTP(LAN)ケーブルとして使用することができる。したがって、4本の信号線4を有する単ケーブル3をUTPケーブルとして使用した場合は、従来のUTPケーブルに比べてケーブル群2の径を小とすることができ、ラック10内等のダクト10aの収納スペースが狭い場合であっても通信ケーブル1の敷設が容易となる。
【0027】
(実施の形態2)
図7ないし図10は、本発明の実施の形態2を示している。実施の形態2が実施の形態1と異なるところは、単ケーブル3の使用本数および単ケーブル3の接合形状のみであり、その他の部分は実施の形態1に準じるので、準じる部分については実施の形態1と同一の符号を付すことにより、その説明を省略する。後述する他の実施の形態も同様とする。
【0028】
図7においては、16本の単ケーブル3を一束にしている。単ケーブル3は、上下方向に直線状に4本並んで配置されており、これが横方向に4列並んだ状態で配置されている。16本の単ケーブル3は、接合部3bと接合部3cとによって接合されている。接合部3bの引張り強度は、接合部3cの強度よりも大に設定されている。16本の単ケーブル3は、分離線A1〜A3を基準として4つに分離可能となっている。すなわち、分離線A1〜A3は、接合部3cを通る線であり、4本の単ケーブル3が接合部3cから容易に分離可能となっている。
【0029】
図8は、図7の変形例を示している。図8に示すように、単ケーブル3は、中心が互いに横方向にずれた状態で配置されている。16本の単ケーブル3は、接合部3bと接合部3dとによって接合されている。接合部3bの引張り強度は、接合部3dの強度よりも大に設定されている。16本の単ケーブル3は、分離線B1〜B3を基準として4つに分離可能となっている。すなわち、分離線B1〜B3は、接合部3dを通る線であり、4本の単ケーブル3が接合部3dから容易に分離可能となっている。
【0030】
図9は、図7の別の変形例を示している。図9に示すように、ケーブル群2の断面形状が菱形となっている。16本の単ケーブル3は、分離線C1、C2を基準として4つに分離可能となっている。すなわち、分離線C1、C2上に位置する接合部3eの引張り強度は、他の接合部3bの引張り強度よりも小に設定されており、4本の単ケーブル3が接合部3eから容易に分離可能となっている。
【0031】
図10は、図7のさらなる変形例を示している。図10に示すように、ケーブル群2の断面形状が螺旋状となっている。16本の単ケーブル3は、分離線D1、D2、D3を基準として4つに分離可能となっている。すなわち、分離線D1、D2、D3上に位置する接合部3fの引張り強度は、他の接合部3bの引張り強度よりも小に設定されており、4本の単ケーブル3が接合部3fから容易に分離可能となっている。
【0032】
このように、図7ないし図10においては、特定の接合部位から単ケーブル3を4本単位で容易に分離させることが可能となる。そして、一般的な情報通信装置は、スイッチングハブが4ポートずつに区画されているため、単ケーブル3を4本単位で分離させることで、情報通信装置への接続が容易となる。
【0033】
(実施の形態3)
図11ないし図12は、本発明の実施の形態3を示している。図12に示すように、通信ケーブル21は、平板状の8本の単ケーブル23を有している。各単ケーブル23は、厚み方向に積層された状態で接合されている。単ケーブル23は、4本の信号線4を有しており、各信号線4は横並びに配置されている。4本の信号線4は、横並びに配置された状態で合成樹脂からなる外皮23fによって覆われている。外皮23fには、隣接する単ケーブル23同士を軸方向に沿って互いに接合する接合部23aが形成されている。
【0034】
このように構成された実施の形態4においては、単ケーブル23を略平板状に形成することで、実施の形態1において単ケーブル3同士が接合部3aで接合された場合に生じる空間部5がなくなる。そのため実施の形態1に比べ、通信ケーブル21全体をよりコンパクトにすることが可能となる。
【0035】
(実施の形態4)
図13は、本発明の実施の形態4を示している。実施の形態1〜3は、信号線4を使用し電気信号を伝達する構成としたが、実施の形態4では光通信が可能な信号線34を用いた構成としている。図13に示すように、通信ケーブル31は、複数の単ケーブル33を有している。単ケーブル33は、光信号が伝達可能な1つの信号線34とテンションメンバー35を有している。信号線34は、光ファイバーから構成されており、両側に位置するテンションメンバー35によって補強されている。
【0036】
単ケーブル33の外皮には、隣接する単ケーブル33同士を軸方向に沿って互いに接合ずる接合部33aが形成されている。接合部33aは、隣接する単ケーブル33同士を線接触によって接合する部位であり、外力によって引き裂くことが可能となっている。通信ケーブル31には、接合部33aによって複数の単ケーブル33が集合した一束のケーブル群32が形成されている。接合部33aは、隣接する単ケーブル33の外皮同士の溶着によって形成されている。
【0037】
このように構成された実施の形態4においては、分離線Eに沿って特定の単ケーブル33のみを一束のケーブル群32から分離させることができ、光通信ケーブルの機能をさらに高めることが可能となる。
【0038】
以上、この発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、実施の形態1〜3における単ケーブル3同士の接合は、合成樹脂を融着させて接合する構成としているが、例えば面ファスナーや粘着材などを用いた接合構造を採用してもよい。また、実施の形態1においては、一本ずつ単ケーブル3をケーブル群2から分離させる場合を説明したが、任意の数の単ケーブル3をまとめた状態でケーブル群2から分離できることは勿論である。
【符号の説明】
【0039】
1 通信ケーブル
2 ケーブル群
3 単ケーブル
3a 接合部(接合部位)
4 信号線
5 空間部
6 コネクタ
7 符号
10 ラック
11 情報通信装置
21 通信ケーブル
22 ケーブル群
23 単ケーブル
23a 接合部(接合部位)
31 通信ケーブル
32 ケーブル群
33 単ケーブル
33a 接合部(接合部位)
34 光ファイバー(信号線)
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報通信に用いられる通信ケーブルに関し、とくに結束用テープや結束用バンドを用いることなく複数のケーブルを一束にまとめることが可能な通信ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータネットワーク等を形成する際には、通信ケーブルを介してコンピュータ同士またはコンピュータとサーバー同士を接続する必要がある。図14は、従来の通信ケーブル100の一例を示している。通信ケーブル100は、独立した複数のUTP(LAN)ケーブル101から構成されており、各UTPケーブル101の端部には、コネクタ102が取付けられている。図14に示すように、複数のUTPケーブル101を用いる場合は、UTPケーブル101を敷設するラック内等の収納スペースがUTPケーブル101によって占有される場合がある。すなわち、ラック内等の収納スペースが十分でない場合は、UTPケーブル101同士が絡まった状態や重なり合った状態で敷設されることになり、UTPケーブル101に想定外の荷重が作用し、通信障害が起きるおそれがある。そのため、ラック内等の収納スペースを効率的に使用するためには、複数のケーブルを一束にまとめてラック内等に収納する必要がある。
【0003】
そこで、複数の通信ケーブルを粘着式テープで一束にまとめることができる結束用テープ(例えば、特許文献1参照。)や複数の通信ケーブル同士を一ヶ所で締めて固定する結束用バンド(例えば、特許文献2参照。)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08−045357号公報
【特許文献2】特開平08−034409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の結束用テープや特許文献2の結束用バンドは、複数のケーブルを一束にまとめて敷設することができる利点を持つが、結束されているケーブルから一部のケーブルを抜き取る際に、その結束用テープや結束用バンドを一度はずさなければならないという問題がある。また、この場合は、その他の通信ケーブルが結束用テープや結束用バンドから外れて分散してしまうので、再度通信ケーブルを結束用テープや結束用バンドで結束しなおさなければならず、配線作業の能率が低下する。
【0006】
そこで本発明は、結束用テープや結束用バンドを用いることなく複数のケーブルを一束にまとめることができ、しかも複数のケーブルのうち一部のケーブルのみを容易に分離させることが可能な通信ケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、信号が伝達可能な1つ以上の信号線を有する単ケーブルを軸方向に沿って互いに接合することにより前記単ケーブルが複数集合した一束のケーブル群を形成し、前記単ケーブルを任意の本数をもって前記一束のケーブル群に対して前記接合部位から分離可能としたことを特徴とする通信ケーブルである。
【0008】
この発明によれば、単ケーブルの接合部位を引き裂くことにより、単ケーブルをケーブル群から分離することが可能となる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の通信ケーブルにおいて、前記単ケーブルの外周面には、符号が付されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の通信ケーブルにおいて、前記単ケーブルは、4本の信号線を有しており、前記単ケーブルの両端部には前記4本の信号線と接続されるコネクタが取付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、単ケーブルを軸方向に沿って互いに接合することにより単ケーブルが複数集合した一束のケーブル群を形成しているので、結束用テープや結束用バンドを用いることなく複数の単ケーブルを一束にまとめることができる。また、単ケーブルは、任意の本数をもって一束のケーブル群に対して接合部位から分離可能であるので、任意の本数の単ケーブルをケーブル群から分離させる際にも、結束用テープや結束用バンドを用いる従来技術のように他のケーブルが分散することがなく、配線作業の能率を高めることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、単ケーブルの外周面に符号を付すようにしたので、複数の単ケーブルのうちの特定の単ケーブルを目視にて容易に把握することができ、配線作業の能率をさらに高めることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、単ケーブルは4本の信号線を有しており、単ケーブルの両端部には4本の信号線と接続されるコネクタが取付けられているので、単ケーブルをUTP(LAN)ケーブルとして使用することができる。UTPケーブルは、8本の信号線のうち実際には4本のみが使用されているので、4本の信号線を有する単ケーブルをUTPケーブルとして使用することで、従来のUTPケーブルに比べて一束の径を小とすることができ、ラック内等の収納スペースが狭い場合であっても通信ケーブルの敷設が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態1に係わる通信ケーブルの単ケーブルをケーブル群から分離する状態を示す斜視図である。
【図2】図1の通信ケーブルの拡大断面図である。
【図3】図1の通信ケーブルにおける単ケーブルの両端にコネクタを取り付けた平面図である。
【図4】図3の単ケーブルにおけるコネクタの近傍を示す拡大平面図である。
【図5】図1の通信ケーブルを用いた情報通信装置の接続状態を示す正面図である。
【図6】図5の情報通信装置の部分拡大正面図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係わる通信ケーブルの拡大断面図である。
【図8】図7の通信ケーブルの変形例を示す拡大断面図である。
【図9】図7の通信ケーブルの別の変形例を示す拡大断面図である。
【図10】図7の通信ケーブルのさらに別の変形例を示す拡大断面図である。
【図11】本発明の実施の形態3に係わる通信ケーブルの斜視図である。
【図12】図11の通信ケーブルの拡大断面図である。
【図13】本発明の実施の形態4に係わる通信ケーブルの拡大断面図である。
【図14】従来の通信ケーブルの一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、この発明の実施の形態について、図面を用いて詳しく説明する
【0016】
(実施の形態1)
図1ないし図6は、本発明の実施の形態1を示している。図5で示すように、ラック10には、情報通信装置11が収納されている。情報通信装置11を構成する上部スイッチングハブ11b側と下部スイッチングハブ11c側は、通信ケーブル1を介して電気的に接続されている。通信ケーブル1におけるケーブル群2は、ラック10の側面部に形成されたダクト10aに収納されている。
【0017】
図1および図2に示すように、通信ケーブル1は、複数の単ケーブル3を有している。単ケーブル3は、電気信号が伝達可能な4つの信号線4と、この信号線4を保護する外皮3fを有している。信号線4は、電線4aと、この電線4aの外周側を絶縁する被覆4bから構成されている。電線4aは、例えば2本の細い銅線からなり、2本の銅線はノイズの影響を受けにくくするため、撚り合わされている。外皮3fは、合成樹脂からなり、4つの信号線4を半径方向の中心部に集合させるとともに、4つの信号線4を外力から保護する機能を有している。4つの信号線4は、被覆4bが互いに接合されておらず、分離が容易となっている。
【0018】
単ケーブル3の外皮3fの外周面には、隣接する単ケーブル3同士を軸方向に沿って互いに接合ずる接合部3aが形成されている。接合部3aは、隣接する単ケーブル3同士を線接触によって接合する部位であり、外力によって引き裂くことが可能となっている。接合部3aは、隣接する単ケーブル3の外皮3f同士の熱溶着によって形成されている。これにより、通信ケーブル1には、接合部3aによって複数の単ケーブル3が集合した一束のケーブル群2が形成されている。
【0019】
接合部3aの引張り強度は、単ケーブル3自体の引張り強度に比べて著しく小となっている。これにより、単ケーブル3は、一束のケーブル群2に対して接合部3aから外力によって容易に分離可能となっている。また、接合部3aを除く単ケーブル3同士の間には、空間部(隙間)5が形成されている。
【0020】
図3は、通信ケーブル1の各単ケーブル3の両端にコネクタ6を取付けた状態を示している。単ケーブル3は、分岐部1aによって両端部が一束のケーブル群2から分離されている。コネクタ6は、本体部がプラスチックから構成されており、内部に接続用の接点(図示略)を有している。4本の信号線4の電線4aは、コネクタ6の接点と電気的に接続されている。
【0021】
図4に示すように、単ケーブル3のコネクタ6の近傍には、そのケーブル固有の符号7が付されている。これにより、複数の単ケーブル3のうち特定の単ケーブル3を目視にて容易に把握することが可能となっている。符号7は、図1に示すように、単ケーブル3の軸方向に沿って連続的に付すことにより、単ケーブル3を任意の長さに切断した場合でも、特定の単ケーブル3を容易に把握することが可能となる。
【0022】
次に、実施の形態1における通信ケーブル1の使用方法と作用について説明する。
【0023】
まず、通信ケーブル1の各単ケーブル3の分離について説明する。図1に示すように、ケーブル群2から1つの単ケーブル3を分離させる際には、単ケーブル3の接合部3aに例えばカッタ等の刃をあて、接合部3に数ミリ程度の切れ目を入れる。つぎに、分離させる単ケーブル3をケーブル群2から引き離す方向に引張ることにより、熱溶着によって形成された接合部3aが切り裂かれ、単ケーブル3をケーブル群2から分離させることが可能となる。このようにして、各単ケーブル3を1本ずつケーブル群2から分離させる。その後、各単ケーブル3の両端部にコネクタ6を取付け、4本の信号線4の電線4aとコネクタ6の接点との接続を行う。
【0024】
つぎに、上記の通信ケーブル1を用いてラック10内の情報通信装置11の接続を行う。ここで、通信ケーブル1は、図3に示すようにすべての単ケーブル3の両端部がケーブル群2から分離されているので、単ケーブル3の両端部を自由に移動させることができ、コネクタ6を上部スイッチングハブ11bのポート11b1や下部スイッチングハブ11cのポート11b2に差し込むことができる。これにより、情報通信装置11の上部スイッチングハブ11b側と下部スイッチングハブ11c側とが電気的に接続される。また、分離した単ケーブル3の端部を適切な長さに切断し、分岐部1aからのコネクタ6までの長さを最適な長さに調整することにより、ラック10内での単ケーブル3の弛みや干渉を回避することが可能となる。
【0025】
このように、単ケーブル3を軸方向に沿って互いに接合し単ケーブル3が複数集合した一束のケーブル群2を形成しているので、結束用テープや結束用バンドを用いることなく複数の単ケーブル3を一束にまとめることができる。また、単ケーブル3は、任意の本数をもって一束のケーブル群2に対して接合位置から分離可能であるので、結束用テープや結束用バンドを用いる従来技術のように他のケーブルが分散することがなく、配線作業の能率を高めることができる。さらに、単ケーブル3に符号を付すようにしたので、複数の単ケーブルをのうちの特定の単ケーブル3を目視によって容易に把握することができ、配線作業の能率をさらに高めることができる。
【0026】
また、単ケーブル3は、4本の信号線4を有しているので、単ケーブル3をUTP(LAN)ケーブルとして使用することができる。したがって、4本の信号線4を有する単ケーブル3をUTPケーブルとして使用した場合は、従来のUTPケーブルに比べてケーブル群2の径を小とすることができ、ラック10内等のダクト10aの収納スペースが狭い場合であっても通信ケーブル1の敷設が容易となる。
【0027】
(実施の形態2)
図7ないし図10は、本発明の実施の形態2を示している。実施の形態2が実施の形態1と異なるところは、単ケーブル3の使用本数および単ケーブル3の接合形状のみであり、その他の部分は実施の形態1に準じるので、準じる部分については実施の形態1と同一の符号を付すことにより、その説明を省略する。後述する他の実施の形態も同様とする。
【0028】
図7においては、16本の単ケーブル3を一束にしている。単ケーブル3は、上下方向に直線状に4本並んで配置されており、これが横方向に4列並んだ状態で配置されている。16本の単ケーブル3は、接合部3bと接合部3cとによって接合されている。接合部3bの引張り強度は、接合部3cの強度よりも大に設定されている。16本の単ケーブル3は、分離線A1〜A3を基準として4つに分離可能となっている。すなわち、分離線A1〜A3は、接合部3cを通る線であり、4本の単ケーブル3が接合部3cから容易に分離可能となっている。
【0029】
図8は、図7の変形例を示している。図8に示すように、単ケーブル3は、中心が互いに横方向にずれた状態で配置されている。16本の単ケーブル3は、接合部3bと接合部3dとによって接合されている。接合部3bの引張り強度は、接合部3dの強度よりも大に設定されている。16本の単ケーブル3は、分離線B1〜B3を基準として4つに分離可能となっている。すなわち、分離線B1〜B3は、接合部3dを通る線であり、4本の単ケーブル3が接合部3dから容易に分離可能となっている。
【0030】
図9は、図7の別の変形例を示している。図9に示すように、ケーブル群2の断面形状が菱形となっている。16本の単ケーブル3は、分離線C1、C2を基準として4つに分離可能となっている。すなわち、分離線C1、C2上に位置する接合部3eの引張り強度は、他の接合部3bの引張り強度よりも小に設定されており、4本の単ケーブル3が接合部3eから容易に分離可能となっている。
【0031】
図10は、図7のさらなる変形例を示している。図10に示すように、ケーブル群2の断面形状が螺旋状となっている。16本の単ケーブル3は、分離線D1、D2、D3を基準として4つに分離可能となっている。すなわち、分離線D1、D2、D3上に位置する接合部3fの引張り強度は、他の接合部3bの引張り強度よりも小に設定されており、4本の単ケーブル3が接合部3fから容易に分離可能となっている。
【0032】
このように、図7ないし図10においては、特定の接合部位から単ケーブル3を4本単位で容易に分離させることが可能となる。そして、一般的な情報通信装置は、スイッチングハブが4ポートずつに区画されているため、単ケーブル3を4本単位で分離させることで、情報通信装置への接続が容易となる。
【0033】
(実施の形態3)
図11ないし図12は、本発明の実施の形態3を示している。図12に示すように、通信ケーブル21は、平板状の8本の単ケーブル23を有している。各単ケーブル23は、厚み方向に積層された状態で接合されている。単ケーブル23は、4本の信号線4を有しており、各信号線4は横並びに配置されている。4本の信号線4は、横並びに配置された状態で合成樹脂からなる外皮23fによって覆われている。外皮23fには、隣接する単ケーブル23同士を軸方向に沿って互いに接合する接合部23aが形成されている。
【0034】
このように構成された実施の形態4においては、単ケーブル23を略平板状に形成することで、実施の形態1において単ケーブル3同士が接合部3aで接合された場合に生じる空間部5がなくなる。そのため実施の形態1に比べ、通信ケーブル21全体をよりコンパクトにすることが可能となる。
【0035】
(実施の形態4)
図13は、本発明の実施の形態4を示している。実施の形態1〜3は、信号線4を使用し電気信号を伝達する構成としたが、実施の形態4では光通信が可能な信号線34を用いた構成としている。図13に示すように、通信ケーブル31は、複数の単ケーブル33を有している。単ケーブル33は、光信号が伝達可能な1つの信号線34とテンションメンバー35を有している。信号線34は、光ファイバーから構成されており、両側に位置するテンションメンバー35によって補強されている。
【0036】
単ケーブル33の外皮には、隣接する単ケーブル33同士を軸方向に沿って互いに接合ずる接合部33aが形成されている。接合部33aは、隣接する単ケーブル33同士を線接触によって接合する部位であり、外力によって引き裂くことが可能となっている。通信ケーブル31には、接合部33aによって複数の単ケーブル33が集合した一束のケーブル群32が形成されている。接合部33aは、隣接する単ケーブル33の外皮同士の溶着によって形成されている。
【0037】
このように構成された実施の形態4においては、分離線Eに沿って特定の単ケーブル33のみを一束のケーブル群32から分離させることができ、光通信ケーブルの機能をさらに高めることが可能となる。
【0038】
以上、この発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、実施の形態1〜3における単ケーブル3同士の接合は、合成樹脂を融着させて接合する構成としているが、例えば面ファスナーや粘着材などを用いた接合構造を採用してもよい。また、実施の形態1においては、一本ずつ単ケーブル3をケーブル群2から分離させる場合を説明したが、任意の数の単ケーブル3をまとめた状態でケーブル群2から分離できることは勿論である。
【符号の説明】
【0039】
1 通信ケーブル
2 ケーブル群
3 単ケーブル
3a 接合部(接合部位)
4 信号線
5 空間部
6 コネクタ
7 符号
10 ラック
11 情報通信装置
21 通信ケーブル
22 ケーブル群
23 単ケーブル
23a 接合部(接合部位)
31 通信ケーブル
32 ケーブル群
33 単ケーブル
33a 接合部(接合部位)
34 光ファイバー(信号線)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号が伝達可能な1つ以上の信号線を有する単ケーブルを軸方向に沿って互いに接合することにより前記単ケーブルが複数集合した一束のケーブル群を形成し、前記単ケーブルを任意の本数をもって前記一束のケーブル群に対して前記接合部から分離可能としたことを特徴とする通信ケーブル。
【請求項2】
前記単ケーブルの外周面には、符号が付されていることを特徴とする請求項1に記載の通信ケーブル。
【請求項3】
前記単ケーブルは、4本の信号線を有しており、前記単ケーブルの両端部には前記4本の信号線と接続されるコネクタが取付けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の通信ケーブル。
【請求項1】
信号が伝達可能な1つ以上の信号線を有する単ケーブルを軸方向に沿って互いに接合することにより前記単ケーブルが複数集合した一束のケーブル群を形成し、前記単ケーブルを任意の本数をもって前記一束のケーブル群に対して前記接合部から分離可能としたことを特徴とする通信ケーブル。
【請求項2】
前記単ケーブルの外周面には、符号が付されていることを特徴とする請求項1に記載の通信ケーブル。
【請求項3】
前記単ケーブルは、4本の信号線を有しており、前記単ケーブルの両端部には前記4本の信号線と接続されるコネクタが取付けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の通信ケーブル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−159438(P2011−159438A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18623(P2010−18623)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(503320061)株式会社エネルギア・コミュニケーションズ (92)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(503320061)株式会社エネルギア・コミュニケーションズ (92)
【Fターム(参考)】
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