説明

通信サーバおよび通信接続方法

【課題】 ユーザの行動に応じてその通信相手をフレキシブルに選択して通信接続することができる通信サーバおよび通信接続方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 位置情報保持サーバ402に複数の通信端末100の位置を記憶しておき、例えば、一の通信端末101からの接続要求を受信すると、記憶されている複数の通信端末のうち、予め定められた範囲に位置する通信端末102および103をグループ化通信端末としてグループ化決定部203が決定し、PoCサーバ300は決定されたグループ化通信端末102および103に対して接続することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の通信端末同士を通信接続するための通信サーバおよび通信接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、トランシーバのように複数人同士で通話することができるPoC(Push To Talk Over Cellular)が一般に使用されている。このPoCでは、ユーザが通信接続する複数の通信相手を通信端末に登録することにより、複数人同士の接続処理を実現している。例えば、ユーザはPoC通信のためのアドレス帳を通信端末に登録することで、簡単な操作で複数の通信相手と通信接続することができる。例えば、特許文献1には、PTTにおいて通話グループを登録することが記載されており、さらに具体的には通信端末の位置に応じてそのグループを変えることが記載されている。
【特許文献1】特開2006−191563号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述特許文献1に記載の技術においては、登録されている通信相手が固定されており、使い勝手の悪いものであった。すなわち、特許文献1に記載の技術では、通信端末の位置に応じて接続することができるグループが定められており、ユーザの行動にしたがってそのグループを可変に設定するという点では同じではあるものの、ユーザの行動に応じてその通信相手が変わっていくということはなく、使い勝手の悪いものであった。例えばユーザの近くにいる通信端末と連絡がとりたいといった場合には、特許文献1に記載の技術では、対応することができない。
【0004】
そこで上述の課題を解決するために、本発明では、ユーザの行動に応じてその通信相手をフレキシブルに選択して通信接続することができる通信サーバおよび通信接続方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の課題を解決するために、本発明の通信サーバは、複一の通信端末からの接続要求を受信すると、複数の通信端末の位置を記憶する位置情報記憶手段から、予め定められた範囲に位置する通信端末をグループ化通信端末として抽出する抽出手段とを備えている。
【0006】
また、本発明の通信接続方法は、一の通信端末からの接続要求を受信すると、複数の通信端末の位置を記憶する位置情報記憶手段から、予め定められた範囲に位置する通信端末をグループ化通信端末として抽出する抽出ステップと、前記抽出ステップにより抽出されたグループ化通信端末に対して接続する接続ステップと、を備えている。
【0007】
この発明によれば、一の通信端末からの接続要求を受信すると、予め記憶されている複数の通信端末のうち、予め定められた範囲に位置する通信端末をグループ化通信端末として抽出し、抽出されたグループ化通信端末に対して接続することができる。これにより、例えば、自分の周囲にいる人、自分が行こうとしている目的地を同じにする人などと簡単に連絡を取ることができ、より親密なコミュニケーションを実現することができる。
【0008】
また、本発明の通信サーバにおける抽出手段は、前記一の通信端末の位置に対して予め定められた範囲内に位置する通信端末をグループ化通信端末として抽出することが好ましい。
【0009】
この発明によれば、一の通信端末の位置に対して予め定められた範囲内に位置する通信端末をグループ化通信端末として抽出することができ、自分の周囲にいる人と簡単に連絡を取ることができ、より親密なコミュニケーションを実現することができる。
【0010】
また、本発明の通信サーバにおける抽出手段は、前記一の通信端末から指定された範囲を示す位置情報にしたがって、当該位置情報で示される範囲に位置する通信端末をグループ化通信端末として抽出することが好ましい。
【0011】
この発明によれば、一の通信端末から指定された範囲を示す位置情報にしたがって、当該位置情報で示される範囲に位置する通信端末をグループ化通信端末として抽出することができ、自分が行こうとしている目的地などを同じにする人などと簡単に連絡を取ることができ、より親密なコミュニケーションを実現することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、ユーザの行動に応じてその通信相手をフレキシブルに選択して通信接続することができ、使い勝手のよい通信を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、一実施形態のために示された添付図面を参照して以下の詳細な記述を考慮することによって容易に理解することができる。引き続いて、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0014】
図1は、本実施形態のグループ化サーバ200を含んだ通信システム1のシステム構成図、およびグループ化サーバ200の機能ブロック図である。この通信システム1は、通信端末100(通信端末101〜103)、グループ化サーバ200、PoCサーバ300(接続手段)、位置情報登録サーバ401、位置情報保持サーバ402(位置情報記憶手段)を含んで構成されている。
【0015】
この通信システム1における通信端末100は、例えばPoCによる通信を行うことができる携帯電話であって、PoCサーバ300を用いて、複数人が通話を行うことができるPoC通信を行うことができる。また、この通信端末100は位置情報登録サーバ401を介して位置情報保持サーバ402に、それぞれの通信端末100の現在位置またはユーザの目的地(そのほか任意の位置情報)を記憶させることができる。
【0016】
なお、位置情報保持サーバ402には、通信端末100の現在位置として、移動通信網を構成する基地局を用いた位置情報であってもよいし、GPS、ICタグなどを用いて得られた位置情報であってもよい。さらに、通信端末100が非接触ICカードを内蔵し、その非接触ICカードを利用してゲートを通過して所定のエリアに入場した場合、そのエリアを示すエリア情報であってもよい。
【0017】
また、位置情報保持サーバ402には、通信端末100の経路探索機能においてユーザにより入力された駅名が目的地として登録されてもよいし、カーナビゲーションシステムにおいて設定された地名が目的地に設定されてもよいし、また、ユーザの操作により目的地が設定されてもよい。さらに、通信端末100が非接触ICカードを内蔵し、その非接触ICカードを利用した電子定期券である場合、定期券で示される区間のいずれかの駅を目的地として設定されてもよい。
【0018】
グループ化サーバ200は、通信端末100のいずれか一つから接続要求であるグループ化リクエストを受信すると、位置情報保持サーバ402に記憶されている、各通信端末100の現在位置または目的地に基づいて、通信端末100のグループ化を行う。なお、ここでのグループ化とは、現在位置または目的地に基づいて、通信接続する通信端末を選択することをいう。このグループ化サーバ200の詳細な構成および処理については後述する
【0019】
PoCサーバ300は、グループ化サーバ200においてグループ化されたグループ化通信端末に対して通信接続処理を行い、通話処理を行う。
【0020】
このように通信システム1が構成されていることで、通信端末100の一つから通信接続要求を受けると、その要求をした通信端末100の現在位置または目的地に基づいて、どの通信端末100に接続するかをグループ化サーバ200が選択し、PoCサーバ300は選択された通信端末100に対して通信接続し、通信端末100に対して通話を実行させることができる。なお、グループ化サーバ200には、位置情報保持サーバ402、PoCサーバ300の機能を備えるようにしてもよい。すなわち、グループ化サーバ200に、通信端末の位置情報を記憶する記憶手段、グループ化通信端末に対してPoC通信のための接続手段を備えてもよい。
【0021】
つぎに、グループ化サーバ200の構成について説明する。図1に示すとおり、グループ化サーバ200は、目的地情報取得部201、位置情報取得部202、およびグループ決定部203(抽出手段)を含んで構成されている。
【0022】
このグループ化サーバ200のハードウェア構成について説明する。図2は、グループ化サーバ200のハードウェア構成図である。グループ化サーバ200は、物理的には、図2に示すように、CPU11、主記憶装置であるRAM12及びROM13、ネットワークカード等のデータ送受信デバイスである通信モジュール14、ハードディスク等の補助記憶装置15、入力デバイスであるキーボード及びマウス等の入力装置16、ディスプレイ等の出力装置17などを含むコンピュータシステムとして構成されている。図2において説明した各機能は、図2に示すCPU11、RAM12等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU11の制御のもとで通信モジュール14、入力装置16、出力装置17を動作させるとともに、RAM12や補助記憶装置15におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。以下、図1に示す機能ブロックに基づいて、各機能ブロックを説明する。
【0023】
目的地情報取得部201は、一の通信端末100(例えば、通信端末101)からグループ化リクエストを受信すると、一の通信端末100の目的地情報を位置情報保持サーバ402から取得する部分である。具体的には、グループ化リクエストに含まれている、一の通信端末100の電話番号、ユーザIDなどの識別情報を用いて、当該識別情報に対応する目的地情報を位置情報保持サーバ402から取得する。
【0024】
そして、目的地情報取得部201は、取得した目的地情報を用いて位置情報保持サーバ402から、一の通信端末100と同じ目的に設定されている他の通信端末100(グループ化通信端末)を抽出する。具体的には、目的地情報を含んだ検索要求を位置情報保持サーバ402に対して出力し、位置情報保持サーバ402では検索要求に含まれている目的地情報を用いて対応する通信端末100を抽出する。
【0025】
ここで位置情報保持サーバ402には、在圏情報および目的地情報が記憶されている。図3は、位置情報保持サーバ402に記憶されている情報を示す説明図である。図3に示すように位置情報保持サーバ402には、一のグループにおける各メンバ(ユーザ1〜ユーザ4)の在圏情報および目的地情報が記憶されている。ここで在圏情報とは、現在位置を示す情報であり、目的地情報とは各メンバが行こうとしている目的地を示す情報である。図3では、例えば、ユーザ1は、渋谷に現在位置しており、その目的地は東京に設定されていることが示されている。また、ユーザ4については、在圏情報は圏外に設定されており、目的地情報は設定されていないことが示されている。
【0026】
位置情報取得部202は、一の通信端末100(例えば、通信端末101)からグループ化リクエストを受信すると、その一の通信端末100の現在位置情報を位置情報保持サーバ402から取得する部分である。そして、位置情報取得部202は、取得した位置情報を用いて位置情報保持サーバ402から、一の通信端末100の現在位置に対して予め定められた範囲に位置する他の通信端末100を抽出する。なお、上述の現在の位置情報の取得処理、他の通信端末100の抽出処理は、目的地情報取得部201と同様の処理により実現される。
【0027】
なお、通信端末100から発信者の目的地に基づいてグループ化するか、発信者の現在位置に基づいてグループ化するか、が指示され、その指示に基づいて目的地情報取得部201または位置情報取得部202のいずれかが動作することになる。
【0028】
グループ決定部203は、目的地情報取得部201または位置情報取得部202において選択された通信端末100のうち、グループ化が可であるとの応答をした通信端末100に対して、グループ化を実行する。すなわち、グループ化が可であるとの応答をした各通信端末100を特定する識別情報を含んだグループ情報を生成する。そして、グループ決定部203は、PoCサーバ300にグループ化した通信端末100を示すグループ情報を出力する。
【0029】
PoCサーバ300における通信接続部301(接続手段)は、グループ情報を受信し、このグループ情報で示されている通信端末100に対してPoC通信を行うことができるよう通信接続処理を行う。
【0030】
つぎに、このように構成された通信システム1の動作について説明する。図4は、本実施形態におけるグループ化サーバ200を備えた通信システム1における現在位置に基づいたグループ化処理を示すシーケンス図である。
【0031】
通信端末100(101〜103)から位置登録が位置情報登録サーバ401に行われる。この位置登録のタイミングは、ユーザの操作により、または所定のタイミングで行われる。位置情報登録サーバ401では、通信端末100から送信された位置登録情報が位置情報保持サーバ402に送信され、位置情報保持サーバ402において各通信端末100の位置情報が記憶される(S101)。
【0032】
位置情報保持サーバ402において、各通信端末100の位置情報を登録した後、一の通信端末100(本実施形態では通信端末101)からグループ化リクエストを含んだ発呼要求が、グループ化サーバ200に送信される(S102)。このグループ化リクエストには、一の通信端末100の現在位置に基づいたグループ化を行うことを示す指示情報が含まれている。
【0033】
グループ化サーバ200では、グループリクエストを送信した通信端末101の識別情報を用いて、その通信端末101に対応する位置情報が位置情報保持サーバ300から取得される(S103)。
【0034】
グループ化サーバ200では、通信端末101の位置情報が用いられて位置情報保持サーバ402に対する検索要求が行われる(S104)。位置情報保持サーバ402では、通信端末101の位置情報で示される位置に対して所定範囲以内に位置する他の通信端末(通信端末102および103)が検索される(S105)。そして、位置情報保持サーバ402では、この検索により取得された通信端末102および103に対してグループ化要求が送信され、その要求に対する可否を示す応答が取得される(S106)。各通信端末102および103では、グループ化要求に対して、ユーザの操作によりグループ化の可否が選択され、可否応答がグループ化サーバ200に送信される(S107)。
【0035】
グループ化サーバ200では、可否応答に基づいて、通信接続するための通信端末100に対するグループ化処理が行われ、通信接続する通信端末100を特定するグループ情報が生成される(S108)。そして、グループ化サーバ200から、生成されたグループ情報がPoCサーバ300に送信され(S109)、PoCサーバ300ではグループ情報で示されている通信端末100に対して通信接続するための接続処理が行われる(S110)。接続処理後、各通信端末100ではPoC通信が開始される(S111)。図4では、PoCサーバ300と通信端末102とが通信しているように便宜上記載しているが、PoC300を介して、通信端末101、102、および103とが互いに通信接続している。
【0036】
以上説明したとおり、グループ化リクエストを行った通信端末100の位置に対して所定範囲内にいる他の通信端末100に対してPoC通信を行うことができる。これにより、例えば、自分の周囲にいる人と簡単に連絡を取ることができ、より親密なコミュニケーションを実現することができる。
【0037】
なお、図4においては、現在の位置情報に基づいてグループ化する処理について説明したが、現在の位置情報にかえて各通信端末100のユーザにより設定された移動先、すなわち目的地を示す目的地情報に基づいてグループ化処理を行うようにしてもよい。また、ユーザはWebなどを用いて目的地を指定して、その目的地に向かっているユーザの通信端末のグループ化を行うようにしてもよい。その場合、S102では、Webを介して通信端末100において指定された目的地に設定された通信端末に対してグループ化を行う旨の指示が送信されることになる。
【0038】
つぎに、本実施形態の通信システム1の作用効果について説明する。この通信システム1によれば、位置情報保持サーバ402に複数の通信端末100の位置を記憶しておき、例えば、一の通信端末101からの接続要求を受信すると、位置情報保持サーバ402に記憶されている複数の通信端末のうち、予め定められた範囲に位置する通信端末102および103をグループ化通信端末としてグループ化決定部203が決定し、PoCサーバ300は決定されたグループ化通信端末102および103に対して接続することができる。これにより、例えば、自分の周囲にいる人、自分が行こうとしている目的地を同じにする人などと簡単に連絡を取ることができ、より親密なコミュニケーションを実現することができる。
【0039】
本実施形態においては、グループ化決定部203は、位置情報取得部202により通信端末101の位置に基づいてその位置に対して所定範囲にいる他の通信端末102および103を抽出することができる。この場合、自分の周囲にいる人と簡単に連絡を取ることができる。
【0040】
また、グループ化決定部203は、目的情報取得部201により通信端末101のユーザが指定した目的地と同じにする人と簡単に連絡を取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本実施形態のグループ化サーバ200を含んだ通信システム1のシステム構成図である。
【図2】グループ化サーバ200のハードウェア構成図である。
【図3】位置情報保持サーバ402に記憶されている情報を示す説明図である。
【図4】本実施形態におけるグループ化サーバ200によるグループ化処理を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0042】
1…通信システム、100…通信端末、101…通信端末、200…グループ化サーバ、201…目的地情報取得部、202…位置情報取得部、203…グループ決定部、300…PoCサーバ、300…位置情報保持サーバ、301…通信接続部、401…位置情報登録サーバ、402…位置情報保持サーバ。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一の通信端末からの接続要求を受信すると、複数の通信端末の位置を記憶する位置情報記憶手段から、予め定められた範囲に位置する通信端末をグループ化通信端末として抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出されたグループ化通信端末に対して接続する接続手段と、
を備える通信サーバ。
【請求項2】
前記抽出手段は、前記一の通信端末の位置に対して予め定められた範囲内に位置する通信端末をグループ化通信端末として抽出することを特徴とする請求項1に記載の通信サーバ。
【請求項3】
前記抽出手段は、前記一の通信端末から指定された範囲を示す位置情報にしたがって、当該位置情報で示される範囲に位置する通信端末をグループ化通信端末として抽出することを特徴とする請求項1に記載の通信サーバ。
【請求項4】
一の通信端末からの接続要求を受信すると、複数の通信端末の位置を記憶する位置情報記憶手段から、予め定められた範囲に位置する通信端末をグループ化通信端末として抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップにより抽出されたグループ化通信端末に対して接続する接続ステップと、
を備える通信接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−244856(P2008−244856A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−82688(P2007−82688)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】