説明

通信システム、画像形成装置、管理装置及びファックス受信の異常復帰方法

【課題】ファックス受信異常の解消の手間を低減し、ファックス機能の使い勝手を向上させる。
【解決手段】管理装置、当該管理装置と第1通信網を介してファックス送受信可能に接続され、第2通信網を介して通信可能に接続された画像形成装置を備えた通信システムにおいて、画像形成装置は、ファックス受信の異常に係る複数のチェック項目の指示を取得する操作表示部又は画像読取部により取得された各チェック項目の指示に基づいてファックス受信異常状態を判別し、当該判別したファックス受信異常状態に応じてモデムの通信接続設定を変更して管理装置に対してファックス送信要求メールをNICより送信させ、管理装置は、画像形成装置から第2通信網を介してネットワークI/Fにより受信したファックス送信要求メールに応じて第1通信網を介してモデムによりファックスを送信させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、画像形成装置、管理装置及びファックス受信の異常復帰方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ファックス、プリント、コピー及びスキャナ等、多くの機能を持つ個人ユーザ向けの小型の画像形成装置がある。このような画像形成装置は、企業向けの大型の画像形成装置に比べ安価である故、販売台数に限りがあり、定期的なメンテナンスを行なうサービスが無いことが多い。そのため、トラブルが発生した場合には、ユーザ自身が解決する必要がある。
【0003】
画像形成装置に異常が発生した場合には、画像形成装置に設けられた操作表示部に異常が発生した旨を報知する機能が備えられており、ユーザは、当該報知機能に基づいて対処することとなる。しかし、ファックス機能の通信設定は非常に複雑であり、ユーザが独自に解決することは困難である。
【0004】
そこで、LAN(Local Area Network)等のコンピュータ通信網を介して管理端末等の他の端末にエラーを通知する手段を備えたファクシミリサーバが開示されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−33876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、ファクシミリサーバ内で発生したエラーをネットワーク上の管理端末へ通知するに留まり、その後の対応は、管理端末側の管理者に委ねられることとなる。そのため、ユーザ自身では異常を解消することができない。
そのため、ファックス受信の通信接続設定にトラブルが発生した場合には、管理者が対応するまでファックスの受信を行なうことができず、使い勝手が悪いという問題が残る。
【0006】
本発明の課題は、上記問題に鑑みて、ファックス受信異常の解消の手間を低減し、ファックス機能の使い勝手を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、管理装置と、前記管理装置と第1通信網を介してファックス送受信可能に接続され、第2通信網を介して通信可能に接続された画像形成装置と、を備えた通信システムにおいて、前記画像形成装置は、予め設定された通信接続設定で前記第1通信網を介して前記管理装置とファックス送受信を行う第1通信部、前記第2通信網を介して前記管理装置と通信を行う第2通信部、前記ファックス受信の異常に係る複数のチェック項目の指示を取得する取得部、前記取得部により取得された各チェック項目の指示に基づいてファックス受信異常状態を判別し、当該判別したファクス受信異常状態に応じて前記管理装置に対してファックスの送信要求信号を前記第2通信部より送信させる制御部、を有し、前記管理装置は、前記第1通信網を介して前記画像形成装置とファックス送受信を行う第3通信部、前記第2通信網を介して前記画像形成装置と通信を行い、前記ファックスの送信要求信号を受信する第4通信部、前記画像形成装置から受信した前記ファックスの送信要求信号に応じて、前記第1通信網を介して前記第3通信部によりファックスを送信させるファックス送信制御部、を有する。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の通信システムにおいて、前記制御部は、前記判別したファックス受信異常状態に応じて前記第1通信部の通信接続設定を変更した後、前記管理装置に対してファックスの送信要求信号を前記第2通信部より送信させる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の通信システムにおいて、前記ファクス送信制御部は、前記ファックスの送信要求信号に応じてファックス送信が完了しない場合、前記第1通信網を介して前記第3通信部によりファックスを予め設定された回数、繰り返しファックス送信を実行させ、前記予め設定された回数送信してもファックス送信が未完了である場合、前記第2通信網を介して前記第4通信部によりファックス送信不可を示す信号を前記画像形成装置に送信させ、前記制御部は、前記ファックスの送信要求信号に応じて前記管理装置から送信されたファックスを前記第1通信部により受信するまで、又は、前記管理装置から前記第2通信網を介してファックス送信不可を示す信号を前記第2通信部により受信するまで、前記ファックスの送信要求信号の送信を繰り返す。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の通信システムにおいて、前記取得部は、前記複数のチェック項目から成るチェック画像が形成された用紙であって当該チェック項目に印が付加された用紙を読み取り、当該読み取った各チェック項目に付加された印をチェック項目の指示として取得する読取部である。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の通信システムにおいて、前記取得部は、前記複数のチェック項目から成るチェック画像を表示する表示部と、当該表示部に表示されたチェック画像の各チェック項目を選択する入力部と、を有し、前記入力部により選択されたチェック項目を前記チェック項目の指示として取得する。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の通信システムにおいて、前記画像形成装置は、報知部を備え、前記制御部は、前記ファックス受信異常状態がファックス送受信を実行する際の取扱設定異常である場合、当該取扱設定異常を解消する新たな取扱設定の内容を前記報知部により報知させる。
【0013】
請求項7に記載の発明は、予め設定された通信接続設定で第1通信網を介して管理装置とファックス送受信を行う第1通信部と、第2通信網を介して前記管理装置と通信を行う第2通信部と、前記ファックス受信の異常に係る複数のチェック項目の指示を取得する取得部と、前記取得部により取得された各チェック項目の指示に基づいてファックス受信異常状態を判別し、当該判別したファックス受信異常状態に応じて前記管理装置に対してファックスの送信要求信号を前記第2通信部より送信させる制御部と、を備える画像形成装置である。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の画像形成装置において、前記制御部は、前記判別したファックス受信異常状態に応じて前記第1通信部の通信接続設定を変更した後、前記管理装置に対してファックスの送信要求信号を前記第2通信部より送信させる。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項7又は8に記載の画像形成装置において、前記制御部は、前記ファックスの送信要求信号に応じて前記管理装置から送信されたファックスを前記第1通信部により受信するまで、又は、前記管理装置から前記第2通信網を介してファックス送信不可を示す信号を前記第2通信部により受信するまで、前記ファックスの送信要求信号の送信を繰り返す。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項7から9のいずれか一項に記載の画像形成装置において、前記取得部は、前記複数のチェック項目から成るチェック画像が形成された用紙であって当該チェック項目に印が付加された用紙を読み取り、当該読み取った各チェック項目に付加された印をチェック項目の指示として取得する読取部である。
【0017】
請求項11に記載の発明は、請求項7から10のいずれか一項に記載の画像形成装置において、前記取得部は、前記複数のチェック項目から成るチェック画像を表示する表示部と、当該表示部に表示されたチェック画像の各チェック項目を選択する入力部と、を有し、前記入力部により選択されたチェック項目を前記チェック項目の指示として取得する。
【0018】
請求項12に記載の発明は、請求項7から11のいずれか一項に記載の画像形成装置において、報知部を備え、前記制御部は、前記ファックス受信異常状態がファックス送受信を実行する際の取扱設定異常である場合、当該取扱設定異常を解消する新たな取扱設定の内容を前記報知部により報知させる。
【0019】
請求項13に記載の発明は、第1通信網を介して画像形成装置とファックス送受信を行う第3通信部と、第2通信網を介して前記画像形成装置と通信を行い、ファックスの送信要求信号を受信する第4通信部と、前記画像形成装置から受信した前記ファックスの送信要求信号に応じて、前記第1通信網を介して前記第3通信部によりファックスを送信させるファックス送信制御部と、を備える管理装置である。
【0020】
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の管理装置において、前記ファクス送信制御部は、前記ファックスの送信要求信号に応じてファックス送信が完了しない場合、前記第1通信網を介して前記第3通信部によりファックスを予め設定された回数、繰り返しファックス送信を実行させ、前記予め設定された回数送信してもファックス送信が未完了である場合、前記第2通信網を介して前記第4通信部によりファックス送信不可を示す信号を前記画像形成装置に送信させる。
【0021】
請求項15に記載の発明は、管理装置と第1の通信網を介してファックス送受信可能に接続され、第2の通信網を介して通信可能に接続された画像形成装置を備えた通信システムにおけるファックス受信の異常復帰方法において、ファックス受信の異常に係る複数のチェック項目の指示を取得する工程と、前記取得された各チェック項目の指示に基づいてファックス受信異常状態を判別する工程と、当該判別したファックス受信異常状態に応じて前記第2通信網を介してファックスの送信要求信号を前記管理装置に送信する工程と、前記ファックスの送信要求信号に応じて前記第1通信網を介して前記管理装置から前記画像形成装置へファックスを送信する工程と、前記ファックスの送信要求信号に応じて送信されたファックスを受信する工程と、を含むファックス受信の異常復帰方法。
【発明の効果】
【0022】
請求項1、15に記載の発明によれば、取得したチェック項目の指示に基づいて判別したファックス受信異常状態に応じて画像形成装置が管理装置からのファックスが受信できるかを確認できるため、ユーザでは解消し難いファックス受信異常の原因追求ができ、ファックス受信異常の解消の手間を低減し、ファックス機能の使い勝手を向上させることができる。
【0023】
請求項2、8に記載の発明によれば、請求項1、7と同様の効果を得られるのは勿論のこと、取得したチェック項目の指示に基づいて判別したファックス受信異常状態に応じて管理装置とファックス送受信を行う第1通信部の通信接続設定を変更し、当該通信接続設定にて画像形成装置が管理装置からのファックスが受信できるかを確認できるため、ユーザでは解消し難いファックス機能の通信接続設定の異常の解消の手間を低減できる。
【0024】
請求項3、9に記載の発明によれば、請求項1又は2、7又は8と同様の効果を得られるのは勿論のこと、管理装置からのファックスの受信の試行を複数回実行することができる。
【0025】
請求項4、10に記載の発明によれば、請求項1から3、7から9のいずれか一項と同様の効果を得られるのは勿論のこと、チェック項目の指示として、用紙上に形成されたチェック画像に付加された印を読み取ることで取得することができる。
【0026】
請求項5、11に記載の発明によれば、請求項1から4、7から10のいずれか一項と同様の効果を得られるのは勿論のこと、チェック項目の指示として、表示部に表示されたチェック画像のチェック項目が選択されることにより取得することができる。
【0027】
請求項6、12に記載の発明によれば、請求項1から5、7から11のいずれか一項と同様の効果を得られるのは勿論のこと、ファックス送受信を実行する際の取扱設定異常である場合には、新たな取扱設定の内容を報知できる。そのため、ユーザ自身でファックス受信異常状態を解消することができる。
【0028】
請求項7に記載の発明によれば、取得したチェック項目の指示に基づいて判別したファックス受信異常状態に応じて管理装置からのファックスの受信ができるかを確認できるため、ユーザでは解消し難いファックス機能の通信設定の異常の原因追求ができ、ファックス機能を有した画像形成装置の使い勝手を向上させることができる。
【0029】
請求項13に記載の発明によれば、画像形成装置からの要求に応じてファックスを送信することができるため、画像形成装置のファックスの受信確認のために管理装置側のユーザと画像形成装置側のユーザが行なうべきファックス送信の手間を省くことができ、ファックス機能を有した画像形成装置の使い勝手を向上させることができる。
【0030】
請求項14に記載の発明によれば、請求項13と同様の効果を得られるのは勿論のこと、画像形成装置からのファックス送信要求信号に応じたファックスの送信を、複数回実行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
まず、構成を説明する。
図1に、本実施の形態における通信システムAの構成を示す。
【0032】
図1に示すように、通信システムAは、管理装置1と画像形成装置2と端末装置3を備え、管理装置1と画像形成装置2とは第1通信網N1及び第2通信網N2を介して通信可能に接続され、画像形成装置2と端末装置3とは第3通信網N3を介して通信可能に接続されている。なお、図1には、各装置が1台の例を示したが、各装置の設置台数は特に限定しない。
【0033】
管理装置1は、画像形成装置2の保守管理を行うことを目的とし、例えば、画像形成装置2から送信された信号に基づいて第1通信網N1を介してファックスを送信したり、画像形成装置2に発生した異常を管理する。管理装置1としては、例えば、汎用のPC等の情報処理装置が適用可能である。
【0034】
画像形成装置2は、原稿の画像を読み取るスキャナ機能と、用紙上に画像を形成する画像形成機能と、第1通信網N1を介してファックスの送受信を行うファックス機能と、第2通信網N2を介して電子メールの送受信を行なう電子メール機能等を併せ持ち、装置本体に設けられた操作表示部からの設定指示、又は、管理装置1又は端末装置3から送信される各種設定指示に従って各機能を実現する装置である。
【0035】
端末装置3は、画像形成装置2を遠隔操作することを目的とし、例えば、端末装置3は、各種設定条件及び画像データを画像形成装置2に送信し、画像形成装置2を制御して画像形成処理を実行させる。端末装置3としては、例えば、汎用のPC等の情報処理装置が適用可能である。
【0036】
第1通信網N1は、管理装置1と画像形成装置2とがファックス送受信を行う通信網であり、例えば、アナログ電話回線網、ISDN(Integrated Services Digital Network)回線網等の公衆回線網である。
【0037】
第2通信網N2は、管理装置1と画像形成装置2とが電子メール等のデータの送受信を行う通信網であり、例えば、電話回線網、ISDN(Integrated Services Digital Network)回線網、専用線、移動体通信網、通信衛星回線、CATV(Community Antenna Television)回線、光通信回線、無線通信回線等と、それらを接続するインターネットサービスプロバイダ基地局などから構成されている。なお、第2通信網がこれに限らず、管理装置1と画像形成装置2とが互いに通信可能である構成であればよく、警報線や専用線等であってもよい。
【0038】
第3通信網N3は、画像形成装置2と端末装置3とが通信を行う通信網であり、例えば、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等である。
【0039】
まず、管理装置1について説明する。
図2に、管理装置1の制御ブロック図を示す。
図2に示すように、管理装置1は、制御部10、RAM(Random Access Memory)11、HDD(Hard Disk Drive)12、表示部13、操作部14、モデム15、ネットワークI/F16等を備え、各部はバス17等を介して互いに通信可能に接続されている。
【0040】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)等を備え、HDD12に記憶されているシステムプログラム、各種制御プログラム、各種データ等をRAM11内に展開し、これらのプログラム及びデータとの協働により、管理装置1の動作全般を統括的に制御する。また、制御部10は、RAM11に展開したプログラムに従って各種処理を実行し、その処理結果をRAM11に格納するとともに、表示部13に表示させる。そして、RAM11に格納した処理結果をHDD12の所定の保存先に保存させる。
【0041】
また、制御部10は、画像形成装置2から第2通信網N2を介してネットワークI/F16により受信したファックスの送信要求信号に応じて、第1通信網N1を介してモデム15によりファックスを送信させるファックス送信制御部として機能する。
制御部10は、ファックスの送信要求信号に応じてファックスを送信する際、ファックスの送信要求信号に応じてファックス送信が完了できない場合、第1通信網N1を介してモデム15によりファックスを予め設定された回数、繰り返しファックス送信を実行させ、予め設定された回数送信してもファックス送信が未完了である場合、第2通信網N2を介してネットワークI/F16によりファックス送信不可を示す信号を画像形成装置2に送信させる。
【0042】
RAM11は、制御部10によって実行される各種プログラム及びこれらに係るデータを一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0043】
HDD12は、制御部10により実行されるシステムプログラム、各種制御プログラム、各種アプリケーションプログラム、電子メールソフトウェア、Webブラウザプログラムを始めとする各種プログラムや、本実施の形態における確認ファックス送信処理のプログラム及び各種データが記憶されていると共に、これらのプログラムに係るデータ等を記憶している。なお、HDD12は、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性の記憶媒体であってもよい。
【0044】
表示部13は、LCD(Liquid Crystal Display)等を備えて構成され、制御部10から入力される表示信号に従って表示画面上に各種設定画面の表示を行う。
【0045】
操作部14は、数字キー、文字キー、カーソル移動キー及び各種機能キー等から構成されたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスとを備えて構成される。操作部14は、キーボードによる押下信号とマウスによる操作信号とを入力信号として制御部10に出力する。
【0046】
モデム15は、第1通信網N1を介して画像形成装置2とファックス送受信を行う変調復調装置(MODEM:MOdulator-DEModulator)であり、第3通信部として機能する。
【0047】
ネットワークI/F16は、ネットワークインターフェースカード(NIC;Network Interface Card)等の各種インターフェイスを備えて構成され、第2通信網N2を介して画像形成装置2と相互に電子メール等のデータ信号の送受信等の通信を行い、ファックスの送信要求信号を示す電子メールを受信する第4通信部として機能する。
【0048】
図3に、画像形成装置2の制御ブロック図を示す。
図3に示すように、画像形成装置2は、制御部20、RAM21、ROM22、操作表示部23、画像読取部24、画像処理部25、画像メモリ25a、プリント部26、モデム27、NIC(Network Interface Card)28、USB(Universal Serial Bus)I/F29、モータドライバ30等を備えて構成されている。
【0049】
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)等から構成され、ROM22に格納されているシステムプログラム及び各種アプリケーションプログラムの中から指定されたプログラムを読み出してRAM21に展開し、RAM21に展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行し、画像形成装置2の各部を集中制御する。
例えば、操作表示部23から入力される指示信号に従って、コピーモード、プリンタモード、スキャナモード、ファックスモード、電子メール送受信モード等の各種モードを切り替え、複写、プリント、画像データの読取、ファックスの送受信、電子メールの送受信等の制御を行う。
【0050】
また、制御部20は、操作表示部23又は画像読取部24により取得されたファックス受信の異常に係る複数のチェック項目の指示に基づいてファックス受信異常状態を判別し、当該判別したファックス受信異常状態に応じてモデム27の通信接続設定を変更し、管理装置1に対してファックスの送信要求信号を示す電子メール(ファックス送信要求メール)をNIC28より送信させる。そして、ファックスの送信要求信号に応じて送信されたファックスをモデム27により受信するまで、又は、管理装置1から第2回線網を介してファックス送信不可を示す信号を示す電子メールをNIC28により受信するまで、モデム27の通信接続設定の変更及びファックスの送信要求信号の送信を繰り返す機能を実現する。
【0051】
RAM21は、制御部20により実行される各種プログラム及びこれらプログラムに係る各種データ等を一時的に記憶するワークエリアを形成すると共に、操作表示部23により受け付けられた各種設定情報等を記憶する。
【0052】
ROM22は、制御部10により実行されるシステムプログラム、各種制御プログラム、各種アプリケーションプログラム、電子メールソフトウェア、Webブラウザプログラムを始めとする各種プログラムや、本実施の形態におけるファックス受信復帰処理のプログラム及び複数のチェック項目から成るチェック画像の画像データ(チェック画像データ)、解決策対応テーブル、コード対応表、各種データが記憶されていると共に、これらのプログラムに係るデータ等を記憶している。なお、ROM22、HDD等の不揮発性の記憶媒体であってもよい。
【0053】
図4に、チェック画像データに基づくチェック画像が形成された用紙(チェックシート)の例を示す。
図4に示すように、チェックシートPには、読取方向指示領域E1と、バーコードE2と、基準位置マークMと、が設けられており、PTT国設定領域E3、ファックス受信状態領域E4、ファックス設定領域E5等の複数のチェック項目からなるチェック画像が形成されている。
【0054】
読取方向指示領域E1は、画像読取部24にてチェックシートPを読み取る際に当該チェックシートPの読取方向をユーザに報知するための記号や文字等が記載されている領域である。
【0055】
バーコードE2は、当該チェックシートPが本実施の形態におけるファックス受信復帰処理において用いられる用紙、即ち、複数のチェック項目からなるチェック画像が形成された用紙である旨を示すものであり、画像読取部24において当該バーコードE2が読み取られることによりチェックシートであることが判別される。
なお、バーコードに限らず、QRコード、PDF417、Data Matrix、Maxi Code等の2次元コードであってもよい。
【0056】
基準位置マークMは、チェックシートPの予め設定された位置(例えば、用紙の四隅)に設けられたマークであり、チェック画像に含まれる各チェック項目の印(以下、チェックマークともいう)の位置を検出する際の基準位置となる。
【0057】
PTT国設定領域E3は、画像形成装置2が設置されている国を指定するための複数のチェック項目と当該チェック項目に対応した各チェックボックスB3が設けられており、チェックボックスB3のいずれか一つにチェックマーク(例えば、×印、レ点、塗りつぶし等)がユーザによって付加される。
【0058】
ファックス受信状態領域E4は、ファックス受信異常状態がファックスの受信ができないものなのか(図4の(2−1))、ファックス受信後のものであるのか(図4の(2−2))を判別するためのチェック項目と、当該チェック項目に対応した各チェックボックスB4が設けられており、チェックボックスB4のいずれか一方にチェックマークがユーザによって付加される。
【0059】
ファックス設定領域E5は、ファックス受信状態領域E4における各チェック項目に対する詳細なファックス送受信を実行する際の設定項目を示すチェック項目(図4の(3−1−1)・・・、(3−2−1)・・・)と、当該チェック項目に対応した各チェックボックスB5が設けられており、ファックス受信状態領域E4においてチェックマークが付加されたチェック項目に対応する複数のチェック項目のうちいずれか一つのチェック項目に対応するチェックボックスB5にチェックマークがユーザによって付加される。
【0060】
図5に、解決策対応テーブルの例を示す。
図5に示すように、解決策対応テーブルTは、チェックシートPのファックス受信状態領域E4の各チェック項目((2−1)、(2−2))を横軸、ファックス設定領域E5の各チェック項目((3−1−1)・・・、(3−2−1)・・・)を横軸としたテーブルであり、各チェック項目に対応する解決策を示すコード番号が設定されている。
【0061】
例えば、ファックス受信状態領域E4ではチェック項目(2−1)のチェックボックスB4にチェックマークが付加され、ファックス設定領域E5ではチェック項目(3−1−6)のチェックボックスB5にチェックマークが付加されている場合には、解決策のコード番号として(2131−6)が設定されている。
【0062】
図6に、コード対応表の例を示す。
図6に示すように、コード対応表Cは、コード番号と、各コード番号に対応するファックス受信異常状態の解決策の内容情報と、フラグから構成されている。解決策の内容情報は、ファックス受信異常状態の内容(エラー内容)の情報と、当該エラー内容を解決するための設定変更指示情報が含まれている。フラグは、ファックス受信異常状態がファックス送受信を実行する際の取扱設定異常、即ち、解決策の内容情報がユーザによって設定変更が可能である内容である場合には1を示すフラグである。
【0063】
例えば、コード番号(2131−1)は、ファックスの受信ができず(2−1)、電話線がLineコネクタに接続されていない(3−1−1)の場合である。このコード番号には、エラー内容の情報として「ファックス受信条件を満たしていない。」、設定変更指示情報として「電話線をLineコネクタに接続する。」が設定されている。このコード番号(2131−1)の解決策の内容情報は、ファックス送受信を実行する際の取扱設定異常でありユーザによって設定変更が可能である内容であるため、フラグが1に設定されている。
【0064】
コード番号(2131−6)は、ファックスの受信ができず(2−1)、構内回線を使用している(3−1−6)の場合である。このコード番号には、エラー内容の情報として「リング間隔とリング検知設定にミスマッチの可能性あり。」、設定変更指示情報として「a;リング検知設定をxx[ms]短くする、b;リングさせないでファックス自動切替にする」のa、b、2つの通信接続設定の切り替え指示が設定されている。このコード番号(2131−6)の解決策の内容情報は、ユーザによって設定変更が不可能である内容であるため、フラグが0に設定されている。
【0065】
ユーザによって設定変更が不可能である場合の他の例としては、ファックスの受信はできるが用紙上に形成される画像に欠陥があり(2−2)、白紙の用紙が出力される(3−2−3)の場合を示すコード番号(2232−3)である。この場合、エラー内容の情報として「ファックス送信元の画像読取装置、原稿の向きに問題がある可能性あり。」、設定変更指示情報がない、即ち、通信接続設定の切り替えなしに設定されている。
【0066】
操作表示部23は、LCD(Liquid Crystal Display)、LCDを覆うように設けられたタッチパネル、テンキー、リセットキー等の各種操作キー群から構成される。操作表示部23は、制御部20から入力される表示信号に従って、各種設定条件を入力するための各種画面や、ウェブブラウザを用いて管理装置1が管理する複数のチェック項目から成るチェック画像を表示するチェック画面や、各種処理結果等をLCDに表示させる。また、操作表示部23は、各種スイッチやボタン、テンキー、操作キー群又はタッチパネルから入力される操作信号を制御部20に出力する。
【0067】
即ち、操作表示部23は、チェック画面を表示する表示部、チェック画面上の各チェック項目の選択指示がタッチパネルから入力される入力部、として機能する。
なお、チェック画面の例は、図4に示すチェック画像(PTT国設定領域E3、ファックス受信状態領域E4、ファックス設定領域E5)と同様の内容が表示されるものであるため、図示及び説明は省略する。
【0068】
画像読取部24は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿送り部と、CCD(Charge Coupled Device)を有する読取部とを備え、操作表示部23による指示に基づいてチェックシートを含む原稿の画像を読み取る。自動原稿送り部の原稿トレイに載置された原稿は、読取個所であるコンタクトガラスに搬送され、光学系により原稿の片面又は両面の画像が読み取られ、CCDにより原稿の画像が読み取られる。ここで、画像とは、図形や写真等のイメージデータに限らず、文字や記号等のテキストデータ等も含む意である。そして、画像読取部24により読み取られた画像データは、画像処理部25に出力される。即ち、画像読取部24は、チェック項目にチェックマークが付加されたチェックシートの画像を読み取り、当該読み取った画像データに含まれる各チェック項目に付加されたチェックマークをチェック項目の指示として取得する読取部として機能する。
【0069】
画像処理部25は、制御部20からの指示に基づいて、画像読取部24から入力された画像データやUSBI/F29又はNIC28を介して入力された画像データを圧縮して、画像メモリ25aの圧縮メモリに圧縮画像データとして書き込んで一時的に記憶させる。また、画像処理部25は、制御部20から画像データの読み出し指示があると、画像メモリ25aに記憶した圧縮画像データを伸長し、画像メモリ25aに一旦記憶させる。そして、制御部20から画像形成指示があると、非圧縮の画像データをページ単位で読み出し、拡縮や方向転換等の画像処理を行い、当該画像処理を施した画像データをプリント部26に出力する。また、制御部20からファックス送信指示があると、非圧縮の画像データに対して拡縮や方向転換等の画像処理を行いモデム27に出力する。
【0070】
画像メモリ25aは、DRAM(Dynamic RAM)により構成され、圧縮された画像データを一時的に記憶する圧縮メモリと、画像形成前にプリント部26やモデム27に出力される非圧縮の画像データを一時的に格納するページメモリとを有する。
【0071】
プリント部26は、入力されたプリントデータに基づいて、電子写真方式の画像形成処理を行うものであり、給紙部、給紙搬送部、画像形成部、搬出部等を備えて構成される。
【0072】
給紙部は、複数の給紙トレイ、給紙手段、手差しトレイ等を備える。給紙トレイは、給紙トレイ毎に用紙の種類毎に予め識別された用紙が収容されており、給紙手段によって用紙を最上部から一枚ずつ給紙搬送部に向けて搬送する。手差しトレイは、ユーザのニーズに合わせて様々な種類の用紙を積載可能となっており、給紙ローラによって積載された用紙を最上部から一枚ずつ給紙搬送部に向けて搬送する。
【0073】
給紙搬送部は、給紙トレイ又は手差しトレイから搬送された用紙を、複数の中間ローラ、レジストローラ等を経て転写装置へと搬送する。また、給紙搬送部は、搬送路切換板により、片面画像形成処理済みの用紙を両面搬送路に搬送し、再び中間ローラ、レジストローラを経て転写装置へと搬送する。
【0074】
画像形成部は、感光体ドラム、帯電装置、画像データに基づくレーザ光を出力するレーザ出力部とレーザ光を主走査方向に走査させるポリゴンミラーとを有する露光装置、現像装置、転写装置、クリーニング部、定着装置を備え、ジョブ情報に基づいて用紙に画像を形成する機能を実現する。具体的には、帯電装置により帯電された感光体ドラムに露光装置でレーザ光を照射して静電潜像を形成する。そして、現像装置は、静電潜像が形成された感光体ドラムの表面に帯電したトナーを付着させて静電潜像を現像する。現像装置により感光体ドラム上に形成されたトナー像は、転写装置において用紙に転写される。また、用紙にトナー像が転写された後、感光体ドラムの表面の残留トナー等は、クリーニング部により除去される。
【0075】
定着装置は、給紙搬送部によって搬送された用紙に転写されたトナー像を熱定着する。定着処理された用紙は、搬出部の排紙ローラに挟持されて搬出口から排紙トレイに搬送される。
【0076】
また、プリント部26は、操作表示部23又はUSBI/F29を介して接続された端末装置3からの指示に基づいて、チェック画像データに基づいてチェックシートを出力する。
【0077】
モデム27は、第1通信網N1を介して管理装置1とファックスの送受信を行う変調復調装置(MODEM:MOdulator-DEModulator)であり、第1通信部として機能する。
【0078】
NIC28は、各種インターフェイスを備えて構成され、第2通信網N2を介して管理装置1と相互に電子メールの送受信等の通信を行い、ファックスの送信要求信号を示す電子メールを送信する第2通信部として機能する。
【0079】
USBI/F29は、各種インターフェイスを備えて構成され、第3通信網N3を介して端末装置3と相互に情報の通信を行う。
【0080】
モータドライバ30は、制御部20からの指示に基づいて、画像形成装置2内に設けられた各種モータ等の駆動手段の制御を行なう。
【0081】
次に、本実施の形態の動作を説明する。
図7及び図8に、本実施の形態におけるファックス受信復帰処理のフローチャートを示す。本処理は、画像形成装置2の制御部20と各部とが協働して実行するものである。
【0082】
なお、本実施の形態では、チェック項目の指示として、チェックシートに付加されたチェックマークを読み取ることで取得する場合を例に挙げて説明するが、操作表示部23に表示されたチェック画面上のチェック項目に対応する釦が押下されて選択されることにより取得する場合であってもよい。
【0083】
まず、画像形成装置2の状態が待機状態(ステップS1)の後、制御部20は、操作表示部23からの指示に基づいて画像読取部24により原稿の読取を開始させる(ステップS2)。
【0084】
制御部20は、画像読取部24により読み取られ取得された画像データにチェックシートである旨を示すバーコードを検出できたか否かを判別し(ステップS3)、バーコードが検出できない場合には読み取った原稿はチェックシートでないと判別し(ステップS3;No)、操作表示部23からの指示に基づいて読み取った画像データに基づいて、原稿の読取処理の続行又は読み取った画像データに基づく画像形成処理を実行させ(ステップS4)、ステップS1に戻る。
【0085】
制御部20は、取得した画像データにバーコードが検出できた場合には読み取った原稿はチェックシートであると判別し(ステップS3;Yes)、取得した画像データから基準位置マークと、各チェック項目に対応するチェックボックスに付加されたチェックマークとを検出し、検出した基準位置マークの位置を基準として、チェックボックスに付加されたチェックマークの位置を算出する(ステップS5)。
【0086】
制御部20は、算出したチェックボックスに付加されたチェックマークの位置に基づいてチェック項目(即ち、ユーザがチェックマークを付加したチェック項目)を特定し、特定したチェック項目と解決策対応テーブルとを照合し、特定したチェック項目に対応するコード番号を特定する(ステップS6)。
【0087】
制御部20は、ユーザがチェックボックスに付加したチェックマークの位置が検出できない場合、又は、コード番号に対応する解決策内容が「組合せが存在しない」である組合無効である場合、か否かを判別する(ステップS7)。
【0088】
制御部20は、チェックマークの位置が検出できない場合、又は組合無効である場合(ステップS7;Yes)、チェックマークの位置が検出できない旨やチェックマークの組み合わせが適切ではない旨を示すチェックマーク無効画面(不図示)を操作表示部23に表示させ(ステップS8)、操作表示部23のリセットキーが押下されたか否かを判別する(ステップS9)。
【0089】
制御部20は、リセットキーが押下されていない場合(ステップS9;No)、ステップS9に戻り、リセットキーが押下された場合(ステップS9;Yes)、ステップS1に戻る。
【0090】
制御部20は、チェックマークの位置が検出でき、組合無効でない場合(ステップS7;No)、コード対応表を参照してコード番号に対応するフラグが1であるか否か、即ち、解決策の内容情報がユーザによって設定変更が可能である内容であるか否かを判別する(ステップS10)。
【0091】
制御部20は、コード番号に対応するフラグが1である場合、即ち、解決策の内容情報がユーザによって設定変更が可能である内容である場合(ステップS10;Yes)、コード番号に対応する解決策の内容情報に基づいて、エラー内容情報と設定変更指示情報とが表示された画面を操作表示部23に表示、又は、エラー内容情報と設定変更指示情報とを示す画像が形成された用紙をプリント部26により出力させ、ファックス送受信を実行する際の取扱設定異常を解消する新たな取扱設定の内容を報知させ(ステップS11)、ステップS9に進む。
即ち、操作表示部23又はプリント部がファックス送受信を実行する際の取扱設定異常を解消する新たな取扱設定の内容を報知する報知部として機能する。
【0092】
ファックス送受信を実行する際の取扱設定異常である場合には、新たな取扱設定の内容を報知できるため、ユーザ自身で容易にファックス受信異常状態を解消することができる。
【0093】
制御部20は、コード番号に対応するフラグが1でない場合、即ち、解決策の内容情報がユーザによって設定変更が可能である内容でない場合(ステップS10;No)、コード番号に対応する解決策の内容情報に含まれる設定変更指示情報に基づいて、モデム27の通信接続設定の切り替えを行なう(ステップS12)。なお、通信接続設定の切り替え指示がない場合、例えば、コード番号(2232−3)の場合には、現状の通信接続設定とする。
【0094】
制御部20は、通信接続設定の切り替えを行なった後(ステップS12後)、電子メールソフトウェアを起動させ、電子メールの宛先アドレスに管理装置1のアドレスを設定し、本文部分に当該画像形成装置2の識別番号とファックス電話番号及びファックスの送信要求を示す情報等を含む情報を設定して、ファックス送信要求メールを送信する(ステップS13)。
【0095】
制御部20は、ファックス送信要求メールの送信が完了できたか否かを判別し(ステップS14)、送信が完了できない場合(ステップS14;No)、ステップS11に進む。
【0096】
制御部20は、ステップS14において送信したメールに応じて送信されたファックス画像データをモデム27により受信完了できたか否かを判別し(ステップS15)、受信完了できた場合(ステップS15;Yes)、受信したファックス画像データに基づく画像をプリント部26により出力させ(ステップS16)、ステップS1に戻る。
【0097】
制御部20は、ステップS14において送信したメールに応じて送信されたファックス画像データをモデム27により受信完了できない場合(ステップS15;No)、管理装置1からファックス送信失敗メールを受信したか否かを判別し(ステップS17)、ファックス送信失敗メールを受信していない場合(ステップS17;No)、ステップS15に戻る。
【0098】
制御部20は、管理装置1からファックス送信失敗メールを受信した場合(ステップS17;Yes)、コード番号に対応する解決策の内容情報に含まれる設定変更指示情報に他の通信接続設定があるか否かを判別し(ステップS18)、他の通信接続設定がある場合(ステップS18;Yes)、モデム27の通信接続設定を他の通信接続設定に切り替え(ステップS19)、ステップS13に進む。
【0099】
制御部20は、コード番号に対応する解決策の内容情報に含まれる設定変更指示情報に他の通信接続設定がない場合(ステップS18;No)、モデム27の通信接続設定を本処理実行前の状態に戻し(ステップS20)、電子メールソフトウェアを起動させ、電子メールの宛先アドレスに管理装置1のアドレスを設定し、本文部分に当該画像形成装置2の識別番号及びファックス受信機能に異常が発生した旨の情報と、試行した通信接続設定の情報、即ち、コード番号に対応する解決策の内容情報とを設定したエラー状況報知メールを送信し(ステップS21)、ステップS9に進む。
【0100】
図9に、本実施の形態における確認ファックス送信処理のフローチャートを示す。本処理は、管理装置1の制御部10と各部とが協働して実行するものである。
【0101】
まず、管理装置1の状態が待機状態(ステップS31)の後、制御部10は、ネットワークI/F16からファックス送信要求メールを受信したか否かを判別し(ステップS32)、ファックス送信要求メールを受信していない場合(ステップS32;No)、ステップS31に戻る。
【0102】
制御部10は、ファックス送信要求メールを受信した場合、即ち、受信したメールの本文にファックス送信要求を示す情報が含まれている場合(ステップS32;Yes)、当該受信したファックス送信要求メールの本文に設定されている画像形成装置2の識別情報に応じたファックス画像データをモデム15を介して画像形成装置2に送信する(ステップS33)。
【0103】
制御部10は、ファックスの送信が完了できたか否かを判別し(ステップS34)、ファックスの送信が完了できた場合(ステップS34;Yes)、ステップS31に戻る。
【0104】
制御部10は、ファックスの送信が完了できない場合(ステップS34;No)、ファックス送信要求メールに対するファックス送信回数が予め設定された所定回数以下であるか否かを判別し(ステップS35)ファックス送信回数が所定回数以下である場合(ステップS35;Yes)、ステップS33に戻る。
【0105】
制御部10は、ファックス送信回数が所定回数以下でない場合(ステップS3;No)、電子メールソフトウェアを起動させ、電子メールの宛先アドレスに受信したファックス送信要求メールの画像形成装置2のアドレスを設定し、本文部分に当該画像形成装置2の識別番号及びファックス送信失敗(送信不可)を示す情報を設定したファックス送信失敗メールを送信し(ステップS36)、ステップS31に戻る。
【0106】
このように管理装置1は、画像形成装置2からの要求に応じてファックスを送信することができるため、画像形成装置2のファックスの受信確認のために管理装置1側のユーザと画像形成装置2側のユーザが行なうべきファックス送信の手間を省くことができ、ファックス機能を有した画像形成装置の使い勝手を向上させることができる。また、画像形成装置からのファックス送信要求信号に応じたファックスの送信を、複数回実行することができる。
【0107】
本実施の形態によれば、取得したチェック項目の指示(チェックマーク)に基づいて判別したファックス受信異常状態に応じて画像形成装置2が管理装置1からのファックスが受信できるかを確認できるため、ユーザでは解消し難いファックス受信異常の原因追求ができ、ファックス受信異常の解消の手間を低減し、ファックス機能の使い勝手を向上させることができる。
【0108】
更に、取得したチェック項目の指示に基づいて判別したファックス受信異常状態に応じて管理装置とファックス送受信を行う第1通信部の通信接続設定を変更し、当該通信接続設定にて画像形成装置が管理装置からのファックスが受信できるかを確認できるため、ユーザでは解消し難いファックス機能の通信接続設定の異常の解消の手間を低減できる。
【0109】
また、管理装置1は、ファックス送信要求メールに応じて第1通信網N1を介してモデム15によりファックス送信が完了するまでファックスを予め設定された回数送信し、画像形成装置2は、ファックス送信要求メールに応じて送信されたファックスをモデム27により受信するまで、又は、管理装置1から第2通信網N2を介してファックス送信失敗メールをNIC28により受信するまで、ファックス送信要求メールの送信を繰り返すことができるため、管理装置からのファックスの受信の試行を複数回実行することができる。従って、通信接続設定が複数設定されている場合には、複数の通信接続設定で管理装置からのファックスの受信の可否を確認することができる。
【0110】
また、チェック項目の指示として、チェックシートに付加された印(チェックマーク)を画像読取部24により読み取ることで取得したり、操作表示部23に表示されたチェック画面のチェック項目に対応する釦が押下されて選択されることにより取得したりすることができる。
【0111】
以上の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体としてHDDやROMを使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も本発明に適用される。
【0112】
また、本発明は、上記実施の形態の内容に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】通信システムの構成を示す図である。
【図2】管理装置の制御ブロック図である。
【図3】画像形成装置の制御ブロック図である。
【図4】チェックシートの例を示す図である。
【図5】解決策対応テーブルの例を示す図である。
【図6】コード対応表の例を示す図である。
【図7】ファックス受信復帰処理のフローチャートである。
【図8】ファックス受信復帰処理のフローチャートである(図7の続き)。
【図9】確認ファックス送信処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0114】
1 管理装置
2 画像形成装置
3 端末装置
10 制御部
11 RAM
12 HDD
13 表示部
14 操作部
15 モデム
16 ネットワークI/F
17 バス
20 制御部
21 RAM
22 ROM
23 操作表示部
24 画像読取部
25 画像処理部
25a 画像メモリ
26 プリント部
27 モデム
28 NIC
29 USBI/F
30 モータドライバ
A 通信システム
B3、B4、B5 チェックボックス
C コード対応表
E1 読取方向指示領域
E2 バーコード
E3 PTT国設定領域
E4 ファックス受信状態領域
E5 ファックス設定領域
M 基準位置マーク
N1 第1通信網
N2 第2通信網
N3 第3通信網
P チェックシート
T 解決策対応テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理装置と、前記管理装置と第1通信網を介してファックス送受信可能に接続され、第2通信網を介して通信可能に接続された画像形成装置と、を備えた通信システムにおいて、
前記画像形成装置は、
予め設定された通信接続設定で前記第1通信網を介して前記管理装置とファックス送受信を行う第1通信部、
前記第2通信網を介して前記管理装置と通信を行う第2通信部、
前記ファックス受信の異常に係る複数のチェック項目の指示を取得する取得部、
前記取得部により取得された各チェック項目の指示に基づいてファックス受信異常状態を判別し、当該判別したファックス受信異常状態に応じて前記管理装置に対してファックスの送信要求信号を前記第2通信部より送信させる制御部、を有し、
前記管理装置は、
前記第1通信網を介して前記画像形成装置とファックス送受信を行う第3通信部、
前記第2通信網を介して前記画像形成装置と通信を行い、前記ファックスの送信要求信号を受信する第4通信部、
前記画像形成装置から受信した前記ファックスの送信要求信号に応じて、前記第1通信網を介して前記第3通信部によりファックスを送信させるファックス送信制御部、を有する。
【請求項2】
前記制御部は、
前記判別したファックス受信異常状態に応じて前記第1通信部の通信接続設定を変更した後、前記管理装置に対してファックスの送信要求信号を前記第2通信部より送信させる、
請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記ファックス送信制御部は、
前記ファックスの送信要求信号に応じてファックス送信が完了しない場合、前記第1通信網を介して前記第3通信部によりファックスを予め設定された回数、繰り返しファックス送信を実行させ、前記予め設定された回数送信してもファックス送信が未完了である場合、前記第2通信網を介して前記第4通信部によりファックス送信不可を示す信号を前記画像形成装置に送信させ、
前記制御部は、
前記ファックスの送信要求信号に応じて前記管理装置から送信されたファックスを前記第1通信部により受信するまで、又は、前記管理装置から前記第2通信網を介してファックス送信不可を示す信号を前記第2通信部により受信するまで、前記ファックスの送信要求信号の送信を繰り返す、
請求項1又は2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記取得部は、
前記複数のチェック項目から成るチェック画像が形成された用紙であって当該チェック項目に印が付加された用紙を読み取り、当該読み取った各チェック項目に付加された印をチェック項目の指示として取得する読取部である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項5】
前記取得部は、
前記複数のチェック項目から成るチェック画像を表示する表示部と、
当該表示部に表示されたチェック画像の各チェック項目を選択する入力部と、
を有し、
前記入力部により選択されたチェック項目を前記チェック項目の指示として取得する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項6】
前記画像形成装置は、報知部を備え、
前記制御部は、
前記ファックス受信異常状態がファックス送受信を実行する際の取扱設定異常である場合、当該取扱設定異常を解消する新たな取扱設定の内容を前記報知部により報知させる、
請求項1から5のいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項7】
予め設定された通信接続設定で第1通信網を介して管理装置とファックス送受信を行う第1通信部と、
第2通信網を介して前記管理装置と通信を行う第2通信部と、
前記ファックス受信の異常に係る複数のチェック項目の指示を取得する取得部と、
前記取得部により取得された各チェック項目の指示に基づいてファックス受信異常状態を判別し、当該判別したファックス受信異常状態に応じて前記管理装置に対してファックスの送信要求信号を前記第2通信部より送信させる制御部と、
を備える画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記判別したファックス受信異常状態に応じて前記第1通信部の通信接続設定を変更した後、前記管理装置に対してファックスの送信要求信号を前記第2通信部より送信させる、
請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記ファックスの送信要求信号に応じて前記管理装置から送信されたファックスを前記第1通信部により受信するまで、又は、前記管理装置から前記第2通信網を介してファックス送信不可を示す信号を前記第2通信部により受信するまで、前記ファックスの送信要求信号の送信を繰り返す、
請求項7又は8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記取得部は、
前記複数のチェック項目から成るチェック画像が形成された用紙であって当該チェック項目に印が付加された用紙を読み取り、当該読み取った各チェック項目に付加された印をチェック項目の指示として取得する読取部である、
請求項7から9のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記取得部は、
前記複数のチェック項目から成るチェック画像を表示する表示部と、
当該表示部に表示されたチェック画像の各チェック項目を選択する入力部と、
を有し、
前記入力部により選択されたチェック項目を前記チェック項目の指示として取得する、
請求項7から10のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
報知部を備え、
前記制御部は、
前記ファックス受信異常状態がファックス送受信を実行する際の取扱設定異常である場合、当該取扱設定異常を解消する新たな取扱設定の内容を前記報知部により報知させる、
請求項7から11のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
第1通信網を介して画像形成装置とファックス送受信を行う第3通信部と、
第2通信網を介して前記画像形成装置と通信を行い、ファックスの送信要求信号を受信する第4通信部と、
前記画像形成装置から受信した前記ファックスの送信要求信号に応じて、前記第1通信網を介して前記第3通信部によりファックスを送信させるファックス送信制御部と、
を備える管理装置。
【請求項14】
前記ファックス送信制御部は、
前記ファックスの送信要求信号に応じてファックス送信が完了しない場合、前記第1通信網を介して前記第3通信部によりファックスを予め設定された回数、繰り返しファックス送信を実行させ、前記予め設定された回数送信してもファックス送信が未完了である場合、前記第2通信網を介して前記第4通信部によりファックス送信不可を示す信号を前記画像形成装置に送信させる、
請求項13に記載の管理装置。
【請求項15】
管理装置と第1の通信網を介してファックス送受信可能に接続され、第2の通信網を介して通信可能に接続された画像形成装置を備えた通信システムにおけるファックス受信の異常復帰方法において、
ファックス受信の異常に係る複数のチェック項目の指示を取得する工程と、
前記取得された各チェック項目の指示に基づいてファックス受信異常状態を判別する工程と、
当該判別したファックス受信異常状態に応じて前記第2通信網を介してファックスの送信要求信号を前記管理装置に送信する工程と、
前記ファックスの送信要求信号に応じて前記第1通信網を介して前記管理装置から前記画像形成装置へファックスを送信する工程と、
前記ファックスの送信要求信号に応じて送信されたファックスを受信する工程と、
を含むファックス受信の異常復帰方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−34670(P2010−34670A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−192245(P2008−192245)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】