説明

通信システム及びその通信方法

【課題】制御対象を、迅速且つ確実に親局が指定する状態とする。
【解決手段】制御対象を指定する状態とするための第1信号を送信した後、制御対象が第1信号に応じて前記状態となっているか否かを確認するための第2信号を、制御対象が第1信号に応じて前記状態となっていないときに制御対象を前記状態とするための第3信号とともに送信する親局と、第1信号、第2信号、及び第3信号を受信し、第2信号に基づいて、制御対象が第1信号に応じて前記状態になっているか否かを判別し、制御対象が第1信号に応じて前記状態となっていないときには、第3信号に応じて前記状態になっているか否かを判別し、親局に対し、制御対象が第1信号に応じて前記状態となっていること、又は、制御対象が第3信号に応じて前記状態となっていること、又は、制御対象が第3信号に応じて前記状態となっていないことを示す第4信号を返信する子局と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親局と、制御対象に対して親局が指定する状態となることを指示する子局とを備えた通信システム及びその通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
相互に通信機能を持つ親局と子局を有する通信システムにおいて、親局が子局を通じて制御対象の状態を指定するものがある。そして、前述の通信システムにおいて制御対象の状態を監視する方法として、親局は子局に対して制御対象の状態の確認を要求するポーリング信号を送信し、子局は、ポーリング信号を受信すると制御対象の状態を示すポーリング応答信号を親局に返信するポーリング方式が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図7を参照しつつ、従来の通信システムの通信方法について説明する。同図は、従来の通信システムの通信方法を説明するためのタイムチャートの一例である。尚、同図において親局は、制御対象を指定する状態とするための制御信号、及び、制御対象が制御信号に応じた状態となっているか否かを確認するためのポーリング信号を、子局に送信するものとする。また、子局は、例えば制御対象の近傍に設けられ、制御信号を受信すると制御信号に基づいて制御対象を親局の指定する状態となることを指示し、ポーリング信号を受信すると、制御対象の状態を判別し、その結果を親局に返信するものとする。
【0004】
図7において、親局は、子局に対し、制御対象の状態を指定する制御信号を送信する(時刻t0)。
【0005】
所定時間(t1−t0)が経過した後、親局は、前述したポーリング信号を子局に送信する(時刻t1)。尚、子局が制御信号を受信してから、制御対象が制御信号によって指定された状態となるまで、ある程度時間がかかることがある。このような場合、制御信号とポーリング信号との送信時間の間隔が短いと、子局は、制御対象の状態を誤って判別をする可能性がある。所定時間(t1−t0)は、前記のように子局制が制御対象の状態を誤って判別しないように、制御信号の送信からポーリング信号の送信までに予め設定された時間である。
【0006】
親局から送信されたポーリング信号は、通信システムに起因する伝送遅延時間(t2−t1)だけ遅れて子局に受信される(時刻t2)。
【0007】
子局は、ポーリング信号を受信すると、当該子局に対する制御対象の状態を確認する。そして、子局は、例えば制御対象から当該制御対象の状態を示す信号を受信することによって、制御対象の状態を判別し、当該状態を示すポーリング応答信号を親局に返信する(時刻t3)。尚、t3−t2は、子局が制御対象の状態を判別するのに要する時間であり、例えば、子局が制御対象から、当該制御対象の状態を示す信号を受信するまでの時間である。ポーリング応答信号は、前述した伝送遅延時間だけ遅れて親局に受信される(時刻t4)。
【0008】
親局は、ポーリング応答信号を受信すると、このポーリング応答信号に基づいて制御対象の状態を判別する。そして、親局は、ポーリング応答信号から制御対象が制御信号によって指定した状態であることを判別した場合、当該制御対象の状態の確認を終了する。
【0009】
このような親局と子局を有する通信システムの適用例として、電力会社が供給する商用ラインである配電系統における配電自動化システムがある。配電自動化システムは、相互に通信可能な親局及び子局を備えており、例えば電力会社の営業所から、例えば配電線の所定区間に設置される開閉器の開閉の状態を制御する。尚、開閉器が閉の状態(以下、入りとする)とは、当該開閉器が配電線と接続された状態、つまり当該開閉器に隣接する配電線と配電線とが接続された状態である。また、開閉器が開の状態(以下、切りとする)とは、当該開閉器が配電線と遮断された状態、つまり当該開閉器に隣接する配電線と配電線とが遮断された状態である。子局は、開閉器の近傍に設置され、当該開閉器に入り又は切りの状態となることを指示する。親局は、例えば電力会社の営業所に設置され、子局を通じて開閉器の入り又は切りの状態の制御及び監視を行う。
【0010】
また、前述した開閉器と同様の機能を有する開閉器が配電線と分散型電源との間、例えば需要家宅にも設置されている。尚、分散型電源とは、工場やビル、一般住宅等の需要家宅において、例えば太陽光発電システム、風力発電システム、コジェネレーション設備等の発電システムを商用電源の配電系統に連系させる電源を意味する。また連系とは、分散型電源と、配電系統とが電気的に接続し、この分散型電源と配電系統とが連系動作することを意味する。この場合も、親局は、例えば電力会社の営業所に設置され、子局は、例えば需要家宅内の開閉器に対して設置されている。親局は、子局を通じて分散型電源が設置される需要家宅の開閉器に、分散型電源と配電線とが接続された状態(以下、入りとする)又は、分散型電源と配電線とが遮断された状態(以下、切りとする)となることを指定する。
【0011】
分散型電源が連系している配電系統の事故にともない作業員が復旧作業を行う場合、もし、分散型電源が動作していると、たとえ配電線に設置される開閉器を切りにしていても、この分散型電源から配電系統に逆潮流が発生し作業員が感電する虞があるので、分散型電源を配電系統から遮断する必要がある。そこで、親局は、例えば配電系統に事故があった場合、当該配電系統に接続された分散型電源に対する開閉器を切りに指定することで、分散型電源を配電系統から解列させる。尚、解列とは、分散型電源が配電系統から遮断されることである。
【0012】
このように、親局と子局を有する通信システムでは、親局は子局を通じて制御対象の状態を制御および監視することができる。そして、この通信システムを適用した配電自動化システムでは、親局は、子局を通じて開閉器の入り又は切り等の状態を指定することができる。よって、例えば、配電系統の事故発生時に現地作業が省力化される。
【特許文献1】特開平7−39089号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、前述した通信システムで前述の通信を行う際に、例えば制御信号の送信時における通信エラーや、制御対象の異常などが発生する場合がある。その場合、親局は、子局に対して制御信号を送信しても、実際には制御対象の状態を制御できない虞がある。
【0014】
例えば、図7の時刻t0で親局が子局に制御信号を送信する際に通信エラーが発生した場合、制御対象は親局が指定する状態になっていないことになる。すると、親局は、ポーリング応答信号から当該状態ではないことを判別し、同図に示すように、親局は、制御信号を子局に再度送信する(時刻t5)。この制御信号は、前述した伝送遅延時間だけ遅れて子局に受信される(時刻t6)。そして、制御信号の通信が正常に行われると、子局は、再送された制御信号に基づいて、制御対象に親局の指定する状態となることを指示し、制御対象は、当該状態となる(時刻t7)。尚、t7−t6は子局が制御対象に状態を指示してから制御対象が指定された状態になるまでに要する処理時間である。
【0015】
このように、従来の通信システムでは、親局が子局に対して制御信号を送信したにもかかわらず、実際には制御対象が親局の指定する状態になっていない場合、親局は、子局からのポーリング応答信号を受信してから、子局に対して再度制御信号を送信していた。
【0016】
例えば、前述の配電自動化システムにおいて、図7に示す時刻t0で親局から送信される制御信号が開閉器を切りにするものである場合、時刻t4で親局が、開閉器が切りの状態であることを示すポーリング応答信号を受信すると、そこで当該開閉器に対する状態の確認が終わる。しかし、開閉器が入りの状態であることを示すポーリング応答信号を、時刻t4で親局が受信すると、親局は時刻t5で開閉器を切りに指定する制御信号を再送信することになる。この制御信号は、時刻t6で子局に受信される。そして、開閉器は、時刻t7で再送された制御信号に基づいて切りとなる。従って、この場合、開閉器が入りの状態であることを示すポーリング応答信号を親局が受信してから、開閉器を切りとするまでの時間(t7−t4)を少なくとも余分に要する事になる。このことは、配電系統の迅速な復旧及び顧客に対する電力供給の信頼度の向上につながらない。
【0017】
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、開閉器などの制御対象を、迅速且つ確実に親局が指定する状態とすることができる通信システム及びその通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記課題を解決するための発明は、制御対象を指定する状態とするための第1信号を送信した後、前記制御対象が前記第1信号に応じて前記状態となっているか否かを確認するための第2信号を、前記制御対象が前記第1信号に応じて前記状態となっていないときに前記制御対象を前記状態とするための第3信号とともに送信する親局と、前記第1信号、前記第2信号、及び前記第3信号を受信し、前記第2信号に基づいて、前記制御対象が前記第1信号に応じて前記状態になっているか否かを判別し、前記制御対象が前記第1信号に応じて前記状態となっていないときには、前記第3信号に応じて前記状態になっているか否かを判別し、前記親局に対し、前記制御対象が前記第1信号に応じて前記状態となっていること、又は、前記制御対象が前記第3信号に応じて前記状態となっていること、又は、前記制御対象が前記第3信号に応じて前記状態となっていないことを示す第4信号を返信する子局と、を備えてなる。
【0019】
子局は、親局から送信される制御対象の状態を確認するための第2信号と、制御対象が第1信号で指定した状態となっていないときに当該制御対象を第1信号で指定する状態に指示するための第3信号とを、ともに受信することによって、制御対象の状態の確認を行うとともに、制御対象が指定された状態となっていない場合、制御対象を親局が指定する状態となるように再度指示することができる。従って、親局が子局に第1信号を再度送信する場合に比べて、制御対象を迅速且つ確実に親局が指定する状態とすることができる。
【0020】
また、かかる通信システムにおいて、前記制御対象は、配電線に対する分散型電源の接続又は遮断を制御する開閉器であり、前記状態は、前記開閉器が前記分散型電源と前記配電線とを接続した状態、又は、前記開閉器が前記分散型電源と前記配電線とを遮断した状態である、ことが好ましい。
【0021】
また、かかる通信システムにおいて、前記制御対象は、分散型電源の電圧を昇圧又は降圧させる電圧調整部であり、前記状態は、前記電圧調整部が前記分散型電源の電圧を昇圧した状態、又は、前記電圧調整部が前記分散型電源の電圧を降圧した状態である、ことが好ましい。
【0022】
また、かかる通信システムにおいて、前記制御対象は、配電線に設置された開閉器であり、前記状態は、前記開閉器が前記配電線と接続された状態、又は、前記開閉器が前記配電線と遮断された状態である、ことが好ましい。
【0023】
また、かかる通信システムにおいて、前記子局は、複数の前記制御対象に対して複数設けられ、前記第2信号と前記第3信号の少なくとも一方は、複数の前記子局のうちの何れかを選択するための識別情報を含む、ことが好ましい。
【0024】
また、前記課題を解決するための発明は、親局と、前記親局の指定する状態となることを制御対象に指示する子局と、の間の通信方法であって、前記親局は、前記子局に対し、前記制御対象を前記状態とするための第1信号を送信した後、前記制御対象が前記第1信号に応じて前記状態となっているか否かを確認するための第2信号を、前記制御対象が前記第1信号に応じて前記状態となっていないときに前記制御対象を前記状態とするための第3信号とともに送信し、前記子局は、前記親局に対し、前記第2信号に基づいて、前記制御対象が前記第1信号に応じて前記状態となっていること、又は、前記制御対象が前記第3信号に応じて前記状態となっていること、又は、前記制御対象が前記第3信号に応じて前記状態となっていないことを示す第4信号を返信する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、制御対象を迅速且つ確実に親局が指定する状態とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0027】
===通信システムの通信方法===
図1および図2を参照しつつ、本発明の通信システムにより実行される通信方法について説明する。図1は本発明の通信システムの通信方法を説明するためのタイムチャートの一例である。図2(a)は、本発明のポーリング信号の伝送フォーマットの一例であり、図2(b)は、本発明のポーリング応答信号の伝送フォーマットの一例である。図2(c)は、制御コードの一例である。
【0028】
本発明の通信システムでは相互に通信機能を持つ親局と子局を有している。子局は、例えば制御対象の近傍に設けられ、制御対象に親局が指定する状態となることを指示するものである。親局は、子局に対して制御信号およびポーリング信号を送信することによって制御対象の状態を制御及び監視するものである。
【0029】
図1に示すように親局は、子局に対し、制御対象の状態を指定する制御信号(第1信号)を送信する(時刻t0)。
【0030】
所定時間(t1−t0)が経過した後、親局は、制御対象の状態を確認するための信号(第2信号)と、制御対象の状態が指定した状態となっていない場合に制御対象に当該状態となることを指示する信号(第3信号)とを、ポーリング信号としてともに子局に送信する(時刻t1)。尚、子局が制御信号を受信してから、制御対象が指定された状態となるまで、ある程度時間がかかることがある。このような場合、制御信号とポーリング信号との送信時間の間隔が短いと、子局は、制御対象の状態を誤って判別をする可能性がある。所定時間(t1−t0)は、前記のように子局制が制御対象の状態を誤って判別しないように、制御信号の送信からポーリング信号の送信までに予め設定された時間である。また、本実施の形態におけるポーリング信号は、例えば図2(a)に示すような伝送フォーマットで構成される。
【0031】
図2(a)において、パケット長30aは、送信されるポーリング信号のパケットの長さを示すデータである。アドレス30bは、制御対象に割り当てられるアドレス(識別情報)である。パケット種別30cは、親局から子局に送信されるパケットの種類を示すデータであり、制御対象が、例えば開閉器である場合、一斉解列や選択・制御などの種類を示すデータが入力される。伝送時刻30dは、送信の時刻を示すデータである。制御コード30eは、制御対象の状態が指定された状態となっていない場合、制御対象に制御信号で指定する状態となることを指示させるためのものである。例えば、制御対象が開閉器であり、制御信号が開閉器を切りの状態に指定するものである場合、図2(c)より、制御コード30eには(101)が入力される。
【0032】
尚、図2(a)に示す伝送フォーマットにおいて、パケット長30a、アドレス30b、パケット種別30c、伝送時刻30dは制御対象の状態を確認するための信号であり、制御コード30eは、制御対象の状態が指定した状態となっていない場合に制御対象に当該状態となることを指示する信号である。
【0033】
このポーリング信号は、通信システムの遅延による伝送遅延(t2−t1)だけ遅れて、子局で受信される(時刻t2)。
【0034】
子局は、ポーリング信号を受信すると、まず、制御対象の状態が制御信号で指定された状態であるかどうかを確認する。
【0035】
そして、子局は、例えば制御対象から当該制御対象の状態を示す信号を受信する。子局は、制御対象から受信した信号によって、制御対象の状態が制御信号で指定される状態であると判別した場合、制御対象の状態が正常であることを示すポーリング応答信号を親局に返信する。一方、制御対象の状態が制御信号で指定される状態でないと判別した場合、子局は、ポーリング信号に制御コード30eの状態となることを制御対象に指示する。そして、子局は、再度制御対象の状態を確認し、制御対象の状態を示すポーリング応答信号(第4信号)を親局に返信する(時刻t3)。つまり、ポーリング応答信号は、制御対象が、制御信号に応じて親局の指定する状態となっていること、又は、ポーリング信号の制御コード30eに応じて親局の指定する状態となっていること、又は、制御コード30eに応じて親局の指定する状態となっていないことを示す信号となる。
【0036】
ここで、ポーリング応答信号は、例えば図2(b)に示すような伝送フォーマットで構成される。パケット長32aは、ポーリング応答信号のパケットの長さを示すデータである。アドレス32bは、制御対象に割り当てられるアドレスであり、アドレス30bと同じデータが入力される。パケット種別32cは、子局から親局に送信されるパケットの種類を示すデータであり、例えば制御対象が開閉器の場合、選択や、入り又は切りの制御などの種類を示すデータが入力される。伝送時刻32dには、送信の時刻を示すデータが入力され、制御コード32eには、制御コード30eと同じデータが入力される。選択・制御結果32fは、制御対象が制御コード30eに応じて親局から指定された状態となっているか否かの判別結果を示すデータである。機器状態32gは、制御対象の状態を示すデータであり、例えば制御対象が開閉器である場合、開閉器の入り又は切りの状態を示すデータが入力される。
【0037】
尚、図1において、t3−t2は子局で制御対象の状態の制御及び判別を行うのに要する時間である。このポーリング応答信号は、前述した伝送遅延時間だけ遅れて、親局に受信される(時刻t4)。
【0038】
親局は、制御対象の状態が制御信号で指定した状態であることを示すポーリング応答信号を受信した場合、当該制御対象の状態の確認を終了する。このことにより、例えば通信エラーが発生することによって、図7に示すように制御信号を再送信する場合に比べて(t7−t4)の時間を短縮することができる。
【0039】
また、親局は、子局から制御対象の状態が指定した状態となっていないことを示すポーリング応答信号を受信した場合、ポーリング信号を再度当該子局に送信する。そして、親局は、例えば、予め設定された回数、制御対象の状態が指定する状態となっていないことを示すポーリング応答信号を受信した場合、制御対象の異常又は通信エラーによって制御対象を指定する状態とすることができないと判別する。
【0040】
尚、制御対象が複数存在し、複数の制御対象に対して子局が複数存在している場合には、ある子局について制御対象の状態が正常であることを確認してから、次の子局にポーリング信号を送信する。
【0041】
また、制御対象が重要な機器である場合、制御対象そのものを間違えて制御しないように、最初に制御する機器であるか否かの確認をした上で、当該制御対象に対する子局にポーリング信号を送信することも可能である。制御対象を確認する場合、ポーリング信号の制御コード30eには、図2(c)に示す選択(000)が入力され、パケット種別30cには選択であることを示すデータが入力される。そして、子局から親局に送信されるポーリング応答信号のパケット種別32cには選択であることを示すデータが入力される。また、選択・制御結果32fには、選択が正常に行われたか否かのデータが入力される。尚、このとき機器状態32のデータの入力は不要である。親局は、子局から受信したポーリング応答信号が、正常に選択されたことを示すものであると確認した上で、例えば制御コード30eを切り(101)としたポーリング信号を当該子局に送信する。
【0042】
本実施の形態では、子局は、制御対象の状態が制御信号によって指定される状態でないと判別した場合に、制御対象に制御コード30eで指定される状態になるように一回指示することとしたが、ポーリング応答信号を親局に返信するまでに、ポーリング信号の制御コード30eの状態となることを制御対象に複数回指示するようにしてもよい。複数回指示するようにすることで、より確実に制御対象の状態を親局の指定する状態とすることができる。
【0043】
===配電自動化システムの構成===
図3を参照しつつ、本実施の形態の通信システムを適用した配電自動化システムの構成例について説明する。図3(a)は、本実施の形態の通信システムを適用した配電自動化システムのブロック図である。図3(b)は需要家宅内の複数の分散型電源と該当のPLCモデムとの対応例を示す図表である。ここで、「PLC」とは、電力線通信(Power Line Communication)の略称である。
【0044】
本実施の形態では、情報処理装置10は、例えば電力会社の営業所に設置されているものとする。柱上変圧器40は、変電所20からの電力が供給される商用ラインである配電系統1に設置され、変電所20からの高圧(例えば6.6kV)配電線210の電圧を降圧し低圧(例えば210V)配電線220を通じて需要家宅へ配電するためものである。
【0045】
柱上開閉器41は、柱上変圧器40の近傍に設置され、高圧配電線210における当該柱上開閉器41の上流と下流を接続又は遮断するものである。配電遠方監視制御装置の子局(以下、遠制子局と略称する)42は、光通信線310及び電力会社が管轄する通信網300を介して情報処理装置10と通信可能に接続されている。また、遠制子局42は、柱上開閉器41の近傍に設けられ、情報処理装置10からの制御信号に従って柱上開閉器41の入り又は切りを指示する。
【0046】
また、情報処理装置10と需要家宅とは、光通信線320、通信網300、メディア・コンバータ(以下、M/Cと称する)34、PLCモデム331を介して接続されている。
【0047】
尚、本実施の形態では光回線の光通信線310および光通信線320を使用することとするが、光通信線310、320をメタル回線の通信線としてもよい。
【0048】
≪需要家宅の構成≫
需要家宅には、低圧配電線220がPLCモデム331を介して低圧配電線230として引き込まれている。分散型電源301は低圧配電線230に対して、分散型電源遠方監視制御装置の子局(以下、遠制子局と略称する)311及びPLCモデム321を介して接続されている。また、分散型電源302は、低圧配電線230に対して、遠制子局312及びPLCモデム322を介して接続されている。また、分散型電源303は、低圧配電線230に対して、遠制子局313及びPLCモデム323を介して接続されている。そして、図3に示す分散型電源301、302、303は、低圧配電線230及び低圧配電線220を介して配電系統1と連系可能となっている。
【0049】
遠制子局311は、例えば、当該遠制子局311が分散型電源301と低圧配電線230とを遮断した状態(以下、切りとする)又は分散型電源301と低圧配電線230とを接続した状態(以下、入りとする)とする周知の開閉器(不図示)、分散型電源301の出力電圧を検出する周知の検出部(不図示)等を備え、これら開閉器の状態や検出部等を制御する機能を有する装置である。遠制子局312は、例えば、分散型電源302と低圧配電線230とを入り又は切りとする周知の開閉器(不図示)、分散型電源302の出力電圧を検出する周知の検出部(不図示)等を備え、これら開閉器の状態や検出部等を制御する機能を有する装置である。遠制子局313は、例えば、分散型電源303と低圧配電線230とを入り又は切りとする周知の開閉器(不図示)、分散型電源303の出力電圧を検出する周知の検出部(不図示)等を備え、これら開閉器の状態や検出部等を制御する機能を有する装置である。また、遠制子局311、312、313は、情報処理装置10からポーリング信号を受信すると、各々対応する開閉器の入り又は切りの状態の判別を行う。そして前記開閉器の状態が指定された状態でない場合は、当該開閉器をポーリング信号で指定される状態となるように指示する。そして、遠制子局311、312、313は、対応する開閉器の状態の結果を示すポーリング応答信号を情報処理装置10に返信する。
【0050】
PLCモデム321は、遠制子局311の開閉器の入り又は切りの旨を示すポーリング応答信号や、遠制子局311の検出部により検出された出力電圧を示すデータ等を、分散型電源301の運転状態を示す情報信号として、低圧配電線230の電力信号に重畳させる機能を有する伝送モデムである。PLCモデム322は、遠制子局312の開閉器の入り又は切りの旨を示すポーリング応答信号や、遠制子局312の検出部により検出された出力電圧を示すデータ等を、分散型電源302の運転状態を示す情報信号として、低圧配電線230の電力信号に重畳させる機能を有する伝送モデムである。PLCモデム323は、遠制子局313の開閉器の入り又は切りの旨を示すポーリング応答信号や、遠制子局313の検出部により検出された出力電圧を示すデータ等を、分散型電源303の運転状態を示す情報信号として、低圧配電線230の電力信号に重畳させる機能を有する伝送モデムである。また、このPLCモデム321、322、323は、後述する需要家宅外に設けられたPLCモデム331により情報信号が重畳された電力信号からこれら2つを分離する機能を有する伝送モデムでもある。尚、PLCモデム321、322、323は、需要家宅内に供給コンセントとして設けられ、例えばこの需要家宅内の通信にも使用し得る一般的なPLCモデムでもある。
【0051】
≪情報処理装置10の構成≫
情報処理装置10は、主として、配電用サーバ110と、監視制御用端末120と、分散型電源遠方監視制御装置の親局(以下、分散型電源遠制親局と略称する)130と、配電遠方監視制御装置の親局(以下、配電遠制親局と略称する)150と、データベース管理サーバ170とがLAN等の通信線160により相互に通信可能に接続されて構成されたものである。
【0052】
配電用サーバ110は、主として、分散型電源遠制親局130や配電遠制親局150等を統括管理して制御する機能を有するものである。監視制御用端末120は、例えば電力会社の営業所の運転員が配電用サーバ110にデータを入力したり、配電用サーバ110から出力されたデータを表示したりするための端末である。
【0053】
配電遠制親局150は、遠制子局42に例えば柱上開閉器41の入り又は切りの状態を指定する制御信号を送信する機能を有する装置である。また、データベース管理サーバ170は、図3に示すPLCモデム331が複数存在する場合、それぞれについてのデータベース(例えば親モデムデータベース171、172)を管理するものであり、親モデムデータベース171、172におけるデータの入出力を制御する機能を有している。親モデムデータベース171、172は、情報処理装置10が監視する分散型電源が複数の需要家宅に渡り分散している場合、これら分散型電源の所在情報を需要家宅毎に記憶するデータベースである。
【0054】
分散型電源遠制親局(親局)130は、これに更に接続されたメディア・コンバータ(M/C)140を通じて、遠制子局(子局)311、312、313に、開閉器(制御対象)を、入り又は切りとするための制御信号(第1信号)を送信する機能を有する装置である。また、分散型電源遠制親局130は、ポーリング通信機能を有しており、遠制子局311、312、313に、ポーリング信号を送信する。尚、本実施の形態にかかる分散型電源遠制親局130は、例えば開閉器が入りか切りかの状態を確認する信号(第2信号)と、開閉器の状態が指定した状態でない場合に、当該開閉器を制御信号で指定する状態に指示する信号(第3信号)とを、ポーリング信号としてともに遠制子局311、312、313に送信する。また、分散型電源遠制親局130は、遠制子局311、312、313から返信されるポーリング応答信号(第4信号)を受信することにより、遠制子局311、312、313に対応する開閉器の状態を確認する。尚、分散型電源遠制親局130は、例えば、制御信号を送信してからポーリング信号を送信するまでの時間を計測する第1タイマ131、ポーリング信号を送信したにもかかわらず、子局からの返信が無い無応答の異常を判別するための第2タイマ132、及びポーリング応答信号の受信回数をカウントするカウンタ133を有している。
【0055】
前述したように、営業所の情報処理装置10と、需要家宅のPLCモデム321、322、323とは、PLCモデム331、M/C34、光通信線320、通信網300を介して相互に通信可能に接続されている。このPLCモデム331は、前述した遠制子局311、312、313に設けられる開閉器を入り又は切りとするための制御信号等の情報信号を、低圧配電線220の電力信号に重畳させる機能を有する伝送モデムである。また、このPLCモデム331は、前述したPLCモデム321、322、323から伝送された電力信号と情報信号とを分離する機能を有する伝送モデムでもある。尚、このPLCモデム331は、需要家宅外に設けられ、前述したPLCモデム321、322、323を子局モデムとして統括する一般的な親局のモデムである。
【0056】
情報処理装置10によって監視される分散型電源が複数の需要家宅に渡り分散している場合、親モデムデータベース171、172に記憶されたデータベースにより、これら分散型電源の所在を需要家宅毎に識別することができる。具体的には、各需要家宅は、そこに設けられた親局のPLCモデム331により識別する。また、需要家宅における分散型電源は、或る親局のPLCモデム(例えばPLCモデム331)に対する子局のPLCモデム(例えば、PLCモデム321、322、323)により識別する。
【0057】
情報処理装置10の親モデムデータベース171は、例えばPLCモデム331に対応する子モデムデータ171aを記憶している。この子モデムデータ171aは、上記の複数の分散型電源301、302、303を示す情報に、複数のPLCモデム321、322、323を示す情報をそれぞれ対応付けたものである。(図3(b)参照)。尚、図3(b)は、需要家宅内の複数の分散型電源と該当のPLCモデムとの対応例を示す図表である。
【0058】
以上から、例えば配電用サーバ110が、データベース管理サーバ170を通じて、例えば親モデムデータベース171に記憶された子モデムデータ171aを参照することにより、PLCモデム331及びPLCモデム321、322、323を介して、各分散型電源301、302、303を認識でき、複数の需要家宅に渡り分散された複数の分散型電源を個別に監視できる。
【0059】
===配電自動化システムの動作===
次に、図1乃至図5を参照しつつ、本発明の通信システムが適用された配電自動化システムの動作について説明する。図4は、本発明の通信システムにおいて、分散型電源遠制親局130が遠制子局311の開閉器を切りの状態に設定する場合の分散型電源遠制親局130の動作の一例を示すフローチャートであり、図5は、そのときの遠制子局311の動作の一例を示すフローチャートである。
【0060】
例えば配電線の事故が発生した場合、監視制御端末120にデータが入力されることによって、分散型電源遠制親局130が配電用サーバ110から通信線160を介して分散型電源301、302、303の開閉器を切りにする信号を受信する(S301)。すると、分散型電源遠制親局130は、遠制子局311、312、313に各々の開閉器を切りにする制御信号を送信する。また同時に第1タイマ131をスタートする(S302)。
【0061】
遠制子局311は、分散型電源遠制親局130から、当該遠制子局311に設けられた開閉器(不図示)を切りにする制御信号を受信すると(S401)、前記開閉器に切りとなることを指示する(S402)。
【0062】
分散型電源遠制親局130は、第1タイマ131の経過時間がT1未満の場合(S303:No)は、再度第1タイマ131の経過時間を確認する。そして、第1タイマ131の経過時間がT1以上と判別すると(S303:Yes)、遠制子局311に、図2(c)の制御コード30eを切り(101)としたポーリング信号を送信し、同時に第2タイマ132をスタートする(S304)。尚、図1において、t1−t0=T1となる。
【0063】
遠制子局311は、制御コード30eが切り(101)のポーリング信号を受信すると(S403)、前記開閉器が切りか否かの判別を行う(S404)。遠制子局311は、前記開閉器が切りであると判別した場合(S404:Yes)には、前記開閉器の状態の制御が正常であることを示すポーリング応答信号を分散型電源遠制親局130に返信する(S405)。一方、ステップS404で、前記開閉器が切りでない、つまり前記開閉器が入りであると判別した場合(S404:No)には、遠制子局311はポーリング信号の制御コード30eに従って前記開閉器に切りとなることを指示する(S406)。その後、前記開閉器が切りか否かの判別を再度行う(S407)。
【0064】
ステップS407において前記開閉器が切りであると遠制子局311が判別した場合(S407:Yes)には、遠制子局311は前記開閉器の制御が正常であることを示すポーリング応答信号を分散型電源遠制親局130に返信する(S405)。一方、前記開閉器が切りでないと判別した場合(S407:No)には、遠制子局311は、前記開閉器の制御が異常であることを示すポーリング応答信号を分散型電源遠制親局130に返信する(S408)。
【0065】
例えば、前述のように図2(a)の制御コード30eが、例えば切りを示す(101)のポーリング信号を遠制子局311が受信すると、前記開閉器の状態の判別結果が切りである場合、図2(b)におけるポーリング応答信号の選択・制御結果32fには、開閉器の制御が正常に行われたことを示す、例えば(00)が入力され、機器状態32gには前記開閉器が切りであることを示すデータが入力される。また、前記開閉器の状態の判別結果が入りである場合、ポーリング応答信号の選択・制御結果32fには、前記開閉器の状態の制御が異常であることを示す、例えば(11)のデータが入力され、機器状態32gには前記開閉器が入りの状態であることを示すデータが入力される。
【0066】
分散型電源遠制親局130は、第2タイマ132の経過時間がT2以上であると判別した際に(S305:Yes)、遠制子局311からポーリング応答信号を受信していない場合(S306:No)には、配電用サーバ110に、遠制子局311からの返信が無い無応答の異常である旨を報告する(S311)。また、分散型電源遠制親局130は、遠制子局311からポーリング応答信号を受信した場合(S306:Yes)には、前記開閉器が切りの状態を示すポーリング応答信号であるか否かの判別を行う(S307)。
【0067】
前記開閉器が切りであることを示すポーリング応答信号の場合(S307:Yes)、分散型電源遠制親局130は、配電用サーバ110に前記開閉器の入り又は切りの状態が正常である旨を報告する(S308)。一方、前記開閉器が切りでないことを示すポーリング応答信号の場合(S307:No)、ポーリング応答信号の受信がN回目(N<N1)であると(S309:No)分散型電源遠制親局130は、カウンタ133をN+1として(S310)、ポーリング信号を送信するステップS304を再度実行する。
そして、分散型電源遠制親局130は、前記開閉器が切りでないことを示すポーリング応答信号をN1回受信した場合(S309:Yes)、配電用サーバ110に前記開閉器の異常、又は通信エラーなどによって前記開閉器を切りとできない旨を報告する(S311)。
【0068】
尚、本実施の形態では、図5のステップS404において、前記開閉器が切りでない場合(S404:No)、前記開閉器を切りに指示する動作を1回実行する(S406)こととしたが、ポーリング応答信号を返信するまでに、制御コード30eに基づいて開閉器を切りに指示する動作(S406)及び開閉器の状態確認(S407)を複数回実行するようにしてもよい。複数回実行するようにすると、開閉器の入り又は切りをより確実に行うことができる。
【0069】
また、本実施の形態のように1つの分散型電源遠制親局130に対して遠制子局311、312、313が複数存在する場合でも、図2(a)に示すようにポーリング信号には、複数の子局に対する各開閉器のアドレスが割り当てられているので、対応する開閉器の入り又は切りの状態を指定することができる。
【0070】
また、本実施の形態では、遠制子局311の開閉器を切りにする場合について説明したが、前記開閉器を入りにする場合も同様に前記開閉器の制御及び監視を行うことができる。この場合、図2(a)の制御コード30eを図2(c)に示す(011)とすればよい。分散型電源遠制親局130と遠制子局311との通信方法は、前述の前記開閉器を切りにする場合と同じである。
【0071】
このように、例えば配電線の事故等が発生した場合などにおいて、営業所に設けられる分散電源遠制親局130から遠制子局311、312、313にそれぞれ対応する開閉器を、迅速且つ確実に入り又は切りに設定することができる。従って、例えば営業所から需要家宅の分散型電源301、302、303と低圧配電線230とを迅速且つ確実に接続又は遮断することができる。
【0072】
また、本発明の通信システムは、例えば、電力会社と顧客との間で予め定められた取り決め等に基づいて、情報処理装置10から分散型電源301、302、303の電圧を昇圧または降圧させる制御にも適用することができる。例えば、分散型電源301の出力電圧をモニタしつつ当該出力電圧を制御するためには、この分散型電源301が備えた周知の電圧調整部(不図示)を制御する制御部(不図示)等を、遠制子局311に対して新たに設ければよい。この制御部(不図示)は例えば前述した開閉器(不図示)と同様に周知のものである。この場合にも、前述の開閉器を入り又は切りとする場合と同様に、図2(a)の制御コード30eに出力電圧の昇圧または降圧に対するコードを設定することによって、分散型電源301の電圧を昇圧又は降圧させることができる。従って、例えば電力会社の営業所などの遠隔から、例えば分散型電源301の出力電圧を迅速且つ確実に昇圧または降圧させることができる。
【0073】
===その他の実施形態===
本発明の通信システムは、例えば配電線に設置される開閉器の入り又は切りの状態を指定する場合にも適用することができる。
【0074】
図6を参照しつつ、本発明の他の実施の形態について説明する。図6は、本発明の他の実施の形態について説明するためのブロック図である。
【0075】
変電所20からの高圧配電線210は、柱上開閉器11a、11b、11cの近傍にそれぞれ設けられた柱上変圧器(不図示)を介して需要家宅(不図示)へ低圧配電線(不図示)として引き込まれている。
【0076】
柱上開閉器11aは、高圧配電線210に設置され、当該柱上開閉器11aが高圧配電線210と接続された状態(以下、入りとする)、又は当該柱上開閉器11aが高圧配電線210と遮断された状態(以下、切りとする)とする機能を有するものである。柱上開閉器11bは、高圧配電線210に設置され、入り又は切りの状態とする機能を有するものである。柱上開閉器11cは、高圧配電線210に設置され、入り又は切りの状態とする機能を有するものである。
【0077】
遠制子局12aは、柱上開閉器11aの近傍に設けられ、柱上開閉器11aの入り又は切りを指示するものである。遠制子局12bは、柱上開閉器11bの近傍に設けられ、柱上開閉器11bの入り又は切りを指示するものである。遠制子局12cは、柱上開閉器11cの近傍に設けられ、柱上開閉器11cの入り又は切りを指示するものである。
【0078】
情報処理装置50は、例えば電力会社の営業所に設置され、主として、配電用サーバ18と、監視制御用端末16と、配電遠制親局14とがLAN等の通信線19により相互に通信可能に接続されて構成されたものである。
【0079】
配電遠制親局14は、光通信線310、及び通信網300を介し、更に遠制子局12a、12b、12cをそれぞれ介して柱上開閉器11a、11b、11cの入り又は切りを制御及び監視している。尚、光通信線310をメタル回線の通信線としてもよい。この配電遠制親局14は、遠制子局12aに柱上開閉器11aの状態を指定する制御信号を送信する機能、及び遠制子局12aとポーリング通信を行う機能を有している。また、配電遠制親局14は、遠制子局12bに柱上開閉器11bの状態を指定する制御信号を送信する機能、及び遠制子局12bとポーリング通信を行う機能を有している。さらに、配電遠制親局14は、遠制子局12cに柱上開閉器11cの状態を指定する制御信号を送信する機能、及び遠制子局12cとポーリング通信を行う機能を有している。尚、配電遠制親局14は、例えば柱上開閉器11aが入りか切りかの状態を確認する信号と、柱上開閉器11aが指定した状態でない場合に、柱状開閉器11aを制御信号で指定する状態に指示する信号とを、ポーリング信号としてともに送信する。
【0080】
配電用サーバ18は、主として、配電遠制親局14等を統括管理して制御する機能を有するものである。監視制御用端末16は、例えば営業所の運転員が配電用サーバ18にデータを入力したり、配電用サーバ18から出力されたデータを表示したりするための端末である。
【0081】
以上の構成の配電遠制親局14と遠制子局12a、12b、12cにおいても、前述の分散型電源の開閉器の時と同様の動作で柱上開閉器11a、11b、11cの入り又は切りの状態を制御及び監視することができる。
【0082】
例えば、配電線の事故発生などで、柱上開閉器11aを切りにする場合、配電遠制親局14から、遠制子局12aに柱上開閉器11aを切りにする制御信号を送信した後、図2(a)において制御コード30eを切り(101)としたポーリング信号を遠制子局12aに送信すればよい。前述の制御信号の送信時の通信エラー又は柱上開閉器11aの異常などが発した場合でも、図2(a)の制御コード30eに切りの(101)を入力したポーリング信号を送信することによって、柱上開閉器11aを切りの状態に指示することが可能となる。よって、配電遠制親局14がポーリング応答信号を受信してから再度遠制子局12aに制御信号を送信する場合に比べて、図7に示す(t7−t4)の時間を短縮でき、迅速且つ確実に柱上開閉器11aを切りとすることができる。
【0083】
以上説明したように、本発明の通信システムでは、親局から子局に、制御対象の状態を確認する信号と、制御対象が指定した状態となっていない場合に当該制御対象を指定する状態に指示する信号とを、ポーリング信号としてともに送信するので、迅速且つ確実に制御対象を親局が指定する状態とすることができる。よって、例えば配電自動化システムにおいて、例えば開閉器の入り又は切りの制御を迅速且つ確実に実行でき、顧客に対する電力供給の信頼度を向上させることができる。
【0084】
前述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく変更、改良されるとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の通信システムの通信方法を説明するためのタイムチャートの一例である。
【図2】(a)は、本発明のポーリング信号の伝送フォーマットの一例である。(b)は、本発明のポーリング応答信号の伝送フォーマットの一例である。(c)は、制御コードの一例である。
【図3】(a)は、本発明の通信システムが適用される配電自動化システムの一例を示すブロック図である。(b)は需要家宅内の複数の分散電源と該当のPLCモデムとの対応例を示す図表である。
【図4】本発明の通信システムにおける親局の動作の一例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の通信システムにおける子局の動作の一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の他の実施の形態について説明するためのブロック図である。
【図7】従来の通信システムを説明するためのタイムチャートの一例である。
【符号の説明】
【0086】
10、50 情報処理装置
11a、11b、11c、41 柱上開閉器
12a、12b、12c、42、311、312、313 遠制子局
14、150 配電遠制親局
16、120 監視制御用端末
18、110 配電用サーバ
20 変電所
34、140 M/C
40 柱上変圧器
130 分散型電源遠制親局
131 第1タイマ
132 第2タイマ
133 カウンタ
19、160 通信線
170 データベース管理サーバ
171、172 親モデムデータベース
171a、172a 子モデムデータベース
210 高圧配電線
220、230 低圧配電線
300 通信網
301、302、303 分散型電源
310、320 光通信線
321、322、313、331 PLCモデム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象を指定する状態とするための第1信号を送信した後、前記制御対象が前記第1信号に応じて前記状態となっているか否かを確認するための第2信号を、前記制御対象が前記第1信号に応じて前記状態となっていないときに前記制御対象を前記状態とするための第3信号とともに送信する親局と、
前記第1信号、前記第2信号、及び前記第3信号を受信し、前記第2信号に基づいて、前記制御対象が前記第1信号に応じて前記状態になっているか否かを判別し、前記制御対象が前記第1信号に応じて前記状態となっていないときには、前記第3信号に応じて前記状態になっているか否かを判別し、前記親局に対し、前記制御対象が前記第1信号に応じて前記状態となっていること、又は、前記制御対象が前記第3信号に応じて前記状態となっていること、又は、前記制御対象が前記第3信号に応じて前記状態となっていないこと、を示す第4信号を返信する子局と、
を備えたことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記制御対象は、
配電線に対する分散型電源の接続又は遮断を制御する開閉器であり、
前記状態は、
前記開閉器が前記分散型電源と前記配電線とを接続した状態、又は、前記開閉器が前記分散型電源と前記配電線とを遮断した状態である、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記制御対象は、
分散型電源の電圧を昇圧又は降圧させる電圧調整部であり、
前記状態は、
前記電圧調整部が前記分散型電源の電圧を昇圧した状態、又は、前記電圧調整部が前記分散型電源の電圧を降圧した状態である、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項4】
前記制御対象は、
配電線に設置された開閉器であり、
前記状態は、
前記開閉器が前記配電線と接続された状態、又は、前記開閉器が前記配電線と遮断された状態である、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項5】
前記子局は、複数の前記制御対象に対して複数設けられ、
前記第2信号と前記第3信号の少なくとも一方は、複数の前記子局のうちの何れかを選択するための識別情報を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の通信システム。
【請求項6】
親局と、前記親局の指定する状態となることを制御対象に指示する子局とを備えた通信システムの通信方法であって、
前記親局は、
前記子局に対し、前記制御対象を前記状態とするための第1信号を送信した後、前記制御対象が前記第1信号に応じて前記状態となっているか否かを確認するための第2信号を、前記制御対象が前記第1信号に応じて前記状態となっていないときに前記制御対象を前記状態とするための第3信号とともに送信し、
前記子局は、
前記親局に対し、前記第2信号に基づいて、前記制御対象が前記第1信号に応じて前記状態となっていること、又は、前記制御対象が前記第3信号に応じて前記状態となっていること、又は、前記制御対象が前記題3信号に応じて前記状態となっていないことを示す第4信号を返信する、
ことを特徴とする通信方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−124738(P2007−124738A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−309824(P2005−309824)
【出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】