通信システム
【課題】パケット転送到達性確認を実行してサービス性の向上を図る。
【解決手段】入口転送制御部2aと出口転送制御部2bとの間で、プロバイダドメイン20内に、重要フロー転送用コネクションCを確立し、入口転送制御部2aは、送信元ユーザ端末1aから転送されたユーザフローパケットが、重要フローパケットf1であるか、一般フローパケットf2であるかを判別する。重要フローパケットf1には、カプセリングを行ってカプセル化重要フローパケットcpを生成し、カプセル化重要フローパケットcpを重要フロー転送用コネクションCを通じて転送する。出口転送制御部2bは、重要フロー転送用コネクションCを通じて受信したカプセル化重要フローパケットcpをデカプセリングし、デカプセリング後の重要フローパケットf1を宛先ユーザ端末3aへ転送する。
【解決手段】入口転送制御部2aと出口転送制御部2bとの間で、プロバイダドメイン20内に、重要フロー転送用コネクションCを確立し、入口転送制御部2aは、送信元ユーザ端末1aから転送されたユーザフローパケットが、重要フローパケットf1であるか、一般フローパケットf2であるかを判別する。重要フローパケットf1には、カプセリングを行ってカプセル化重要フローパケットcpを生成し、カプセル化重要フローパケットcpを重要フロー転送用コネクションCを通じて転送する。出口転送制御部2bは、重要フロー転送用コネクションCを通じて受信したカプセル化重要フローパケットcpをデカプセリングし、デカプセリング後の重要フローパケットf1を宛先ユーザ端末3aへ転送する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IP(Internet Protocol)ネットワーク上で通信を行う通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
通信ネットワークでは、特定の通信のための帯域を予約し、一定の通信速度や品質を保障する技術であるQoS(Quality of Service)が行われており、ユーザに対して満足度の高い通信サービスを提供するために、QoS保障のニーズが高まっている。QoSの主な制御としては、転送QoS制御およびパケット転送障害検出制御がある。
【0003】
(1)転送QoS制御について。
X.25(コネクション型のデータ通信を行うパケット交換用のプロトコル体系)によるOSI(Open Systems Interconnection)ネットワークでは、エンドノード(X.25端末)と、ネットワークノード(X.25交換機)とに、X.25シグナリングによる呼制御機能が実装されて、転送QoS制御が行われている。
【0004】
転送QoS制御の具体的な内容としては、特定の呼を優先して転送する優先転送制御、呼毎に転送帯域を制御する転送帯域制御、特定の呼が相手先に到達したか否かを確認する転送到達性確認制御があり、これら3つの制御がOSIネットワーク上で実現される。
【0005】
一方、現在の一般的なIPネットワークで行われる転送QoS制御では、上記の優先転送制御は、Diffserv(Differentiated Services)制御に置き換わり、転送帯域制御は、RSVP(Resource reSerVation Protocol)シグナリングによるIntserv(Integrated Services)制御に置き換わり、転送到達性確認制御は、トランスポート層によるTCP(Transmission Control Protocol)制御に置き換わっている。
【0006】
ここで、Diffservは、複数の通信フローをまとめてクラスを作り、クラス毎にQoSを保障するもので、複数のクラス間で相対的な転送性能差をつけることによって、トラフィックの優先転送制御を行うものである。
【0007】
具体的には、エンドノード(IP端末)では、フローの種類によるクラス分けを行い、IPv4の場合、IPパケットの8ビットのTOS(Type of Service)フィールドの6ビットを使って、クラス分け情報であるDSCP(DiffServ Code Point)を書きこむ(これをマーキングという)。
【0008】
そして、ネットワークノード(IPルータ)では、DSCP値を参照し、DSCP値により定義されるPHB(Per-Hop Behavior:Diffserv対応ノードの動作に関する規則を記述したもの)に応じてクラス分けを行ってパケット転送を行う。
【0009】
また、Intservは、通信フロー毎にQoSを保障するものであり、エンドノードとネットワークノードとの間で、ネットワークの帯域を予約するシグナリング・プロトコルであるRSVPを使用して、転送帯域を確保する。
【0010】
さらに、トランスポート層のTCP制御では、エンドノードとネットワークノード間にコネクションを確立し、パケットを受信したことを示すACKを送信することで、転送到達性の確認を行う。
【0011】
(2)パケット転送障害検出制御について。
OSIネットワークは、呼の状態が監視されており、呼状態に応じて、パケットを転送するか否かの判断を行うことができる。例えば、呼が設定状態ならば、パケットの転送を可とし、呼が切断状態ならば、パケットの転送を不可とする。
【0012】
一方、IPネットワークは、転送パケットの宛先(デスティネーションアドレス)とルーティングテーブル上のネクストホップとを各ノード上で照合判定して転送していくHOP by HOPが行われる。
【0013】
また、障害発生時には、障害検出プロトコルとして、経路に位置するルータが送信元に対して障害を知らせるためのICMP(Internet Control Message Protocol)が用いられる。
【0014】
HOP by HOPのパケット転送時に、経路上のノードで“宛先到達不能”と判定が下された場合、判定したノードは、ICMP宛先到達不能メッセージ(ICMP Unreachable)を生成し、判定対象となったパケットの転送元ノード(ソースアドレス)へ送信する。これにより、ICMP Unreachableを受信した転送元ノードが、パケット転送障害が発生したことを検出することができる。
【0015】
従来のQoS保障に関する技術として、カプセル化したIPパケットを、プロトコル制御プログラムをスルーして、アプリケーションプログラムに透過的に転送することで、プラットフォームに依存しないプロトコル処理を行う技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0016】
また、パケット内の格納データ種別に応じた優先度を設定して、ネットワークへ送出することで、重要な情報を含むパケットの優先的な処理を行う技術が提案されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−159021号公報(段落番号〔0019〕、第1図)
【特許文献2】特開2002−141945号公報(段落番号〔0011〕、〔0012〕、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ネットワーク管理ドメインを意識して、上記の転送QoS制御について考える。ネットワーク管理ドメインをサービスプロバイダとユーザとに分離した場合、OSIネットワークで実行される、上述した優先転送制御、転送帯域制御および転送到達性確認制御については、サービスプロバイダの介在を無くしては制御することはできない。
【0018】
また、IPネットワークについても、Diffservベースの優先転送制御およびRSVPの帯域制御に関しては、サービスプロバイダの介在を要するが、TCP制御による転送到達性確認については、プロバイダの介在は全く必要としない。
【0019】
その結果、サービスプロバイダは、OSIネットワークにおいては転送到達性をユーザにコミットすることが可能であるが、IPネットワークにおいてはコミットすることができないことになる。
【0020】
すなわち、X.25など従来のネットワーク技術では、呼制御やコネクションの状態をネットワーク側で把握していたため、ユーザ通信(ユーザデータの到達性)を通信キャリア/サービスプロバイダが保障できていた。しかし、IPネットワーク上では、プロバイダは、X.25などのネットワーク技術で保障できていたユーザデータの到達性を保障できないといった問題があった。
【0021】
次にネットワーク管理ドメインを意識して、上記のパケット転送障害検出制御について考える。ネットワーク管理ドメインをサービスプロバイダとユーザとに分離した場合、OSIネットワークでは、呼の状態をプロバイダとユーザとで情報を共有している。
【0022】
このため、呼が切断しているか否かを、ユーザとプロバイダとは同時に検出することができ、また、パケットを転送するか否かの判断についても、ユーザとプロバイダとは同時に認識することができる(すなわち、OSIネットワークでは、プロバイダおよびユーザともに、パケット転送可否判断が可能)。
【0023】
一方、IPネットワークでは、上述したように、パケットが転送されていく経路上のネットワークノードにて、“宛先到達不能”と判定が下されると、エンドノードへICMP Unreachableが送信され、エンドノードがICMP Unreachableを受信する、といった流れで、ユーザとプロバイダとが共に障害を検出する。
【0024】
IPネットワークの場合は、各ノードのルーティングテーブルは動的に変更されることが想定されており、「次のユーザパケット転送時には宛先到達不能ではなくなる(=新たなネクストホップが見つかる)」ことを想定した制御であるため、経路上のノードが転送したパケットが“宛先到達不能”だからといって、継続的にIPネットワークがパケット転送障害になる(常にパケット転送が不可となる)というわけではない。
【0025】
このように、IPネットワークでは、転送パケットに対する「宛先到達不能」は判明するのだが、宛先到達不能後に次のパケットを転送する場合や、しばらく転送すべきパケットが存在しなかった後にパケットを転送する場合などでは、パケット転送が可能であるか否かの判断がされることがないため、パケット転送可否判断ができないといった問題があった。
【0026】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、IPネットワーク上におて、パケット転送の到達性確認およびパケット転送の可否判断を可能にして、ネットワーク品質およびサービス性の向上を図った通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
上記課題を解決するために、ネットワーク上で通信を行う通信システムが提供される。この通信システムは、送信元ユーザ端末と、宛先ユーザ端末と、前記送信元ユーザ端末から転送されたパケットの転送制御を行う入口転送制御部を含み、プロバイダドメインの入口エッジに配置される入口エッジノードと、前記入口エッジノードから転送された前記パケットの転送制御を行う出口転送制御部を含み、前記プロバイダドメインの出口エッジに配置される出口エッジノードとを備える。
【0028】
ここで、入口転送制御部と出口転送制御部との間で、プロバイダドメイン内に、重要フロー転送用コネクションを確立し、入口転送制御部は、送信元ユーザ端末から転送されたユーザフローパケットが、重要フローパケットであるか、一般フローパケットであるかを判別して、重要フローパケットには、カプセリングを行ってカプセル化重要フローパケットを生成し、カプセル化重要フローパケットを重要フロー転送用コネクションを通じて転送する。出口転送制御部は、重要フロー転送用コネクションを通じて受信したカプセル化重要フローパケットをデカプセリングし、デカプセリング後の重要フローパケットを宛先ユーザ端末へ転送する。
【発明の効果】
【0029】
IPネットワーク上のプロバイダドメイン内で、パケット転送の到達性確認を実行して、ネットワーク品質およびサービス性の向上を図る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は通信システムの原理図である。通信システム1は、ユーザドメイン10、30、プロバイダドメイン20を含むIPネットワーク上で通信を行うシステムであり、送信元ユーザ端末1a、宛先ユーザ端末3a、入口エッジノード2−1、出口エッジノード2−2から構成される(なお、本発明が対象とするパケットは、IPパケットであり非IPパケットは対象としない)。
【0031】
送信元ユーザ端末1aは、ユーザドメイン10内に位置する端末であり、入口エッジノード2−1と接続する。宛先ユーザ端末3aは、ユーザドメイン30内に位置する端末であり、出口エッジノード2−2と接続する。
【0032】
入口エッジノード2−1は、入口転送制御部2aを含み、プロバイダドメイン20の入口エッジに配置される。入口転送制御部2aは、送信元ユーザ端末1aから転送されたパケットの転送制御を行う。
【0033】
出口エッジノード2−2は、出口転送制御部2bを含み、プロバイダドメイン20の出口エッジに配置される。出口転送制御部2bは、入口エッジノード2−1から転送されたパケットの転送制御を行う。
【0034】
ここで、入口転送制御部2aと出口転送制御部2bとの間で、プロバイダドメイン20内に、論理的なコネクションである重要フロー転送用コネクションCが確立される。
入口転送制御部2aは、送信元ユーザ端末1aから転送された、ユーザパケットのトラフィックフローであるユーザフローパケットを受信すると、そのユーザフローパケットが、重要フローパケットf1であるか、または一般フローパケットf2であるかを判別する。
【0035】
重要フローパケットf1には、カプセリングを行って、カプセル化重要フローパケットcpを生成し、カプセル化重要フローパケットcpを重要フロー転送用コネクションCを通じて転送する。なお、一般フローパケットf2の場合は、通常のIPルーティングによるHOP by HOP転送によって、宛先ユーザ端末3aへ転送する。
【0036】
出口転送制御部2bは、重要フロー転送用コネクションCを通じて受信したカプセル化重要フローパケットcpをデカプセリングし、デカプセリング後の重要フローパケットf1を宛先ユーザ端末3aへ転送する。
【0037】
なお、重要フローパケットf1とは、あらかじめユーザとプロバイダ間で契約された、転送到達性を保障すべきユーザフローパケットのことであり、重要フロー定義情報(以下、単に重要フロー定義)が記載されたパケットである。
【0038】
また、重要フローパケットf1は、プロバイダドメイン20内では、カプセル化されて転送されるため、転送到達性が保障されるだけでなく、秘匿性も確保される。なお、一般フローパケットf2とは、重要フローパケットf1以外のユーザフローパケットのことである。
【0039】
図2は重要フローパケットf1と一般フローパケットf2の転送の流れを示す概念図である。ステップS1〜S4は、重要フローパケットf1の流れを示し、ステップS5、S6は一般フローパケットf2の流れを示す。
【0040】
〔S1〕入口エッジノード2−1内の入口転送制御部2aには、受信したユーザフローパケットが、重要フローパケットf1であるか否かを検索するための重要フロー定義が、ACL(Access Control List:特定のユーザ端末からのパケット送信を許可したり、拒否したりすることが記述された条件文のリスト)に設定される。
【0041】
重要フロー定義としては、例えば、入口エッジノード2−1および出口エッジノード2−2のユーザ側I/F(インタフェース)のIPアドレス(送信元ユーザ端末1aと接続する入口エッジノード2−1のユーザ側I/Fアドレスと、宛先ユーザ端末3aと接続する出口エッジノード2−2のユーザ側I/Fアドレス)や、重要フローの契約関係者のe−mailアドレス(ユーザ担当者、ユーザ担当のプロバイダ営業者、プロバイダ保守者など)がある。なお、重要フロー定義についてまとめた内容を図3に示す。
【0042】
〔S2〕入口エッジノード2−1に重要フロー定義が設定されると、入口転送制御部2aは、入口エッジノード2−1から出口エッジノード2−2の方向へ、プロバイダドメイン20内部のネットワークであるプロバイダネットワーク20−1間において、重要フロー転送用コネクションCを確立する。
【0043】
具体的には、重要フロー定義が入口エッジノード2−1へ投入されることにより、出口エッジノード2−2のユーザ側I/FのIPアドレスを宛先とした重要フロー転送用コネクションCが自動設定される。
【0044】
重要フロー転送用コネクションCが設定されると、重要フロー転送用コネクションCのTCPポート(ポート番号)が、入口エッジノード2−1の入口転送制御部2aと出口エッジノード2−2の出口転送制御部2bに記憶される。
【0045】
記憶された重要フロー転送用コネクションTCPポートは、入口エッジノード2−1においては、重要フロー転送用コネクションヘッダHに反映され、出口エッジノード2−2においては、受信パケットが重要フローパケットf1であるか否かの判定に用いられる。
【0046】
〔S3〕入口転送制御部2aは、送信元ユーザ端末1aから転送されたユーザフローパケットを受信すると、重要フロー定義にもとづいて、重要フローパケットf1を抽出する。そして、重要フロー転送用コネクションヘッダHを付加して、重要フローパケットf1をカプセル化し、カプセル化重要フローパケットcpを生成し、カプセル化重要フローパケットcpを重要フロー転送用コネクションCを通じて転送する。
【0047】
〔S4〕出口転送制御部2bは、重要フロー転送用コネクションCを通じて受信したカプセル化重要フローパケットcpをデカプセリングし、デカプセリング後の重要フローパケットf1を宛先ユーザ端末3aへ転送する。
【0048】
〔S5〕送信元ユーザ端末1aは、入口エッジノード2−1に、一般フローパケットf2を転送し、入口転送制御部2aは、送信元ユーザ端末1aから転送された一般フローパケットf2を受信すると、通常のIPルーティングにより、プロバイダネットワーク20−1へ転送する。
【0049】
〔S6〕出口転送制御部2bは、IPルーティングにより、プロバイダネットワーク20−1内を転送された一般フローパケットf2を受信すると、一般フローパケットf2を宛先ユーザ端末3aへ転送する。
【0050】
次にIPネットワーク上における通信システム1の具体的な構成例について説明する。図4は通信システムの全体構成を示す図である。通信システム1−1は、ユーザドメイン10、30、プロバイダドメイン20を含むIPネットワーク上で通信を行うシステムである。
【0051】
ユーザドメイン10−1〜10−3は、プロバイダドメイン20に対して、UNI(User Network Interface:プロバイダの通信設備とユーザの通信設備との接続点)1を介して接続する。また、ユーザドメイン30−1、30−2は、プロバイダドメイン20に対して、UNI2を介して接続する。
【0052】
プロバイダドメイン20には、ルーティング機能を有する、エッジノード21−1、21−2、22−1、22−2およびコアノードR1〜R5が含まれる。エッジノード21−1、21−2は、UNI1側のエッジに位置し、エッジノード22−1、22−2は、UNI2側のエッジに位置する。
【0053】
ユーザドメイン10−1〜10−3の内部それぞれは、バス形態のネットワークで構成されており、ユーザドメイン10−1には、基幹業務系システムセンタ11が配置し、ユーザドメイン10−2には、ユーザ端末12が配置し、ユーザドメイン10−3には、ユーザ端末13が配置している。そして、基幹業務系システムセンタ11は、エッジノード21−1に接続し、ユーザ端末12、13は、エッジノード21−2に接続する。
【0054】
ユーザドメイン30−1、30−2の内部それぞれは、バス形態のネットワークで構成されており、ユーザドメイン30−1には、基幹業務系システムセンタ31とユーザ端末32が配置し、ユーザドメイン30−2には、ユーザ端末33、34およびルータ35が配置して、ユーザ端末33、34は、ルータ35と接続している。そして、基幹業務系システムセンタ31とユーザ端末32は、エッジノード22−1に接続し、ルータ35は、エッジノード22−2に接続する。
【0055】
エッジノード21−1は、図1で示した入口転送制御部2aおよび出口転送制御部2bの両方の機能を持つ転送制御部21aを有する。エッジノード22−1は、図1で示した入口転送制御部2aおよび出口転送制御部2bの両方の機能を持つ転送制御部22aを有する。なお、エッジノード21−2、22−2も同様の転送制御部を有するが、図示は省略している。
【0056】
ここで、エッジノード21−1の転送制御部21aに重要フロー定義がACLに設定されると、エッジノード21−1からエッジノード22−1の方向に、重要フロー転送用コネクションC1が自動的に確立する。
【0057】
重要フロー転送用コネクションC1は、エッジノード21−1からエッジノード22−1へ重要フローパケットf1を転送するTCPコネクションであり、プロバイダドメイン20内で通過するノードは、エッジノード21−1、コアノードR1、R2、エッジノード22−1の順となっている。
【0058】
また、エッジノード22−1の転送制御部22aに重要フロー定義がACLに設定されると、エッジノード22−1からエッジノード21−1の方向に、重要フロー転送用コネクションC2が自動的に確立する。
【0059】
重要フロー転送用コネクションC2は、エッジノード22−1からエッジノード21−1へ重要フローパケットf1を転送するTCPコネクションであり、プロバイダドメイン20内で通過するノードは、エッジノード22−1、コアノードR3、R4、エッジノード21−1の順となっている。
【0060】
このように、重要フロー転送用コネクションは、片方向ずつ設定して、プロバイダドメイン20を通過するユーザフローパケットの転送到達性の保障サービスを実現する。ただし、対象とするユーザフローパケットは、ユーザとプロバイダとの間で契約した重要フローパケットf1に限定する。
【0061】
(1)基幹業務系システムセンタ11からユーザ端末32へ重要フローパケットを転送する場合について。
基幹業務系システムセンタ11は、ユーザフローパケットf0をエッジノード21−1へ転送する。エッジノード21−1内の転送制御部21aは、あらかじめ設定された重要フロー定義によって、受信したユーザフローパケットf0の中から、重要フローパケットf1と一般フローパケットf2とに振り分ける。
【0062】
一般フローパケットf2は、通常のIPルーティングで転送されるが、重要フローパケットf1は、転送制御部21aにて重要フロー転送用コネクションヘッダでカプセリングされ、重要フロー転送用コネクションC1上を転送される。
【0063】
エッジノード22−1内の転送制御部22aは、パケットを受信すると、あらかじめ記憶された重要フロー転送用コネクションTCPポートによって、受信パケットが重要フローパケットであるか否かを判別する。カプセリングされた重要フローパケットであれば、重要フロー転送用コネクションヘッダをデカプセリングし、デカプセリング後の重要フローパケットf1をユーザ端末32へ転送する。
【0064】
(2)基幹業務系システムセンタ31から基幹業務系システムセンタ11へユーザフローを転送する場合について。
基幹業務系システムセンタ31は、ユーザフローパケットf0をエッジノード22−1へ転送する。エッジノード22−1内の転送制御部22aは、あらかじめ設定された重要フロー定義によって、受信したユーザフローパケットf0の中から、重要フローパケットf1と一般フローパケットf2とに振り分ける。
【0065】
一般フローパケットf2は、通常のIPルーティングで転送されるが、重要フローパケットf1は、転送制御部22aにて重要フロー転送用コネクションヘッダでカプセリングされ、重要フロー転送用コネクションC2上を転送される。
【0066】
エッジノード21−1内の転送制御部21aは、パケットを受信すると、あらかじめ記憶された重要フロー転送用コネクションTCPポートによって、受信パケットが重要フローパケットであるか否かを判別する。カプセリングされた重要フローパケットであれば、重要フロー転送用コネクションヘッダをデカプセリングし、デカプセリング後の重要フローパケットf1を基幹業務系システムセンタ11へ転送する。
【0067】
なお、片方向ずつ重要フロー転送用コネクションを確立するので、フロー振り分けに用いる重要フロー定義は、プロバイダドメイン20の入口側のエッジノードにのみ設定すればよい。図4に示す例では、双方向で重要フロー転送用コネクションC1、C2を確立して通信を行うので、エッジノード21−1、22−1に対して、互いに独立に重要フロー定義を設定することになる。
【0068】
次に重要フロー転送用コネクションCの自動設定について説明する。図5は重要フロー転送用コネクションCが自動設定されるまでのシーケンスを示す図である。
〔S11〕プロバイダ保守者等によって、入口エッジノード2−1の入口転送制御部2aに対して、ACLエントリとして、重要フロー定義が設定される。
【0069】
〔S12〕入口転送制御部2aは、重要フロー定義が設定されると、確認要求(SYN)を出口エッジノード2−2の出口転送制御部2bに転送する。
〔S13〕出口転送制御部2bは、SYNおよび確認応答(ACK)を入口転送制御部2aへ転送する。
【0070】
〔S14〕入口転送制御部2aは、SYNを出口エッジノード2−2の出口転送制御部2bに転送する。
〔S15〕入口転送制御部2aおよび出口転送制御部2bは、重要フロー転送用コネクションCのTCPポートを記憶する。このような流れにより、重要フロー定義に記載されている、入口エッジノード2−1のユーザ側I/Fアドレスと、出口エッジノード2−2のユーザ側I/Fアドレスとの間に、重要フロー転送用コネクションCが自動的に確立される。
【0071】
次にフロー判別後のパケット処理についてフローチャートを用いて説明する。上述の図4では、プロバイダドメイン20内のノードに対して、エッジノード(プロバイダのネットワークエッジに配置され、転送制御部を含み、ユーザ側I/Fの機能を持つノード)と、コアノード(プロバイダのネットワーク内部に配置され、フォワーディング機能を持つノード)とに区別して説明したが、実際は、エッジノードとコアノードの機能は、1つのノードに含めることが可能である。このようなノードをプロバイダノードとし、プロバイダノードにおけるフロー転送の流れについて図6に示す。
【0072】
図6はフロー判別後のパケット処理のフローチャートを示す図である。
〔S21〕プロバイダノードは、パケットを受信する。
〔S22〕プロバイダノードは、受信パケットが自宛か否かを判断する。自宛でない場合はステップS23へいき、自宛の場合はステップS27へいく。
【0073】
〔S23〕プロバイダノードで受信されたパケットが自宛でないということは、その受信パケットは、ユーザトラフィック(ユーザが送出したパケット)ということである。プロバイダノードは、ACLエントリ(重要フロー定義)を検索し、検索の結果、受信パケットが重要フローパケットf1か否かを判断する。重要フローパケットf1でなければ、ステップS24へ、重要フローパケットf1ならばステップS25へいく。
【0074】
〔S24〕プロバイダノードは、受信パケットを一般フローパケットf2として転送する(一般フローパケットf2は、IPルーティングによるHOP by HOPによって転送される)。
【0075】
〔S25〕プロバイダノードは、受信パケットに重要フロー転送用コネクションヘッダHを付与してカプセリングし、カプセル化重要フローパケットcpを生成する。
〔S26〕プロバイダノードは、カプセル化重要フローパケットcpを重要フロー転送用コネクションCを通じて送信する。
【0076】
〔S27〕プロバイダノードは、受信パケットのヘッダを検索して、現在確立している重要フロー転送用コネクションC用のTCPポートのポート番号が記載されているか否かを検索する。重要フロー転送用コネクションC用のTCPポートのポート番号が記載されていなければステップS28へいき、記載されていればステップS29へいく。
【0077】
〔S28〕受信パケットは、制御トラフィック(制御パケット)であるので、プロバイダノードは、制御パケット用の通常の処理を行う。
〔S29〕プロバイダノードは、重要フロー転送用コネクションヘッダHを削除してデカプセリングし、デカプセリング後の重要フローパケットf1をユーザサイトへ転送する。
【0078】
次にACLエントリを用いて重要フローパケットであることの検索を行う場合について具体例を挙げて説明する。図7は重要フローパケットの検索処理を説明するための図である。
【0079】
重要フローである条件(重要フロー定義項目)を例えば、Destination IP Addressが送信元ユーザ端末1aのIPアドレス(192.168.10.10)であり、かつType of Serviceフィールド(8ビット)の低遅延(low delay)ビットと高信頼性(reliability)ビットが立っていることとする(低遅延ビットはType of Serviceの4ビット目、高信頼性ビットはType of Serviceの6ビット目である)。入口転送制御部2aは、この重要フロー定義が記載されたACLエントリを保持する。
【0080】
入口転送制御部2aは、送信元ユーザ端末1aから送信されたユーザパケットの受信時、パケットヘッダを読み取り、ACLエントリによって検索する。パケットヘッダのDestination IP Addressが11000000 10101000 00001010 00001010(=192.168.10.10)であり、Type of Serviceが00010100であれば、受信したユーザパケットは重要フローパケットf1であることを認識して、重要フローパケットf1のための転送処理を行う。
【0081】
次に重要フロー転送用コネクションヘッダHについて説明する。図8は重要フロー転送用コネクションヘッダHを示す図ある。重要フロー転送用コネクションヘッダHは、IPヘッダ部h1、TCPヘッダ部h2および拡張部h3から構成され、カプセリング時に、重要フローパケットf1であるユーザパケットに対して付加される。図8に示すように、重要フロー転送用コネクションヘッダHは、汎用的なIPヘッダやTCPヘッダを流用したものである。
【0082】
IPヘッダ部h1のSource IP Addressのフィールドには、重要フロー定義の定義項目である、入口エッジノード2−1のユーザ側I/Fアドレスが記載される。また、Destination IP Addressのフィールドには、重要フロー定義の定義項目である、出口エッジノード2−2のユーザ側I/Fアドレスが記載される。
【0083】
TCPヘッダ部h2のSource Portのフィールドには、重要フロー転送用コネクションCのソースTCPポートの番号が記載され、Destination Portのフィールドには、重要フロー転送用コネクションCのデスティネーションTCPポートの番号が記載される。
【0084】
なお、拡張部h3には、Service-Flow-Import Timeというデータが記載されているが、これは、入口エッジノード2−1がユーザパケットを受信したときの受信時刻を記載するものである。
【0085】
次に転送到達性確認処理および転送障害検出処理について説明する。図9はユーザパケット通信時の転送到達性確認処理および転送障害検出処理を示すシーケンス図である。
〔S31〕入口エッジノード2−1と出口エッジノード2−2との間に重要フロー転送用コネクションCが確立する。
【0086】
〔S32〕入口転送制御部2aは、重要フローパケットp1、p2を、重要フロー転送用コネクションCを通じて、出口エッジノード2−2へ転送する。
〔S33〕出口転送制御部2bは、重要フローパケットp1を受信したことを示すACK1と、重要フローパケットp2を受信したことを示すACK2とを入口エッジノード2−1へ送信する。入口転送制御部2aは、内部にACK待ちタイマを有しており、規定時間内にACK1、2を受信することで、重要フローパケットp1、p2が正常に転送されたことを確認する。
【0087】
〔S34〕入口転送制御部2aは、重要フローパケットp3、p4を、重要フロー転送用コネクションCを通じて、出口エッジノード2−2へ転送する。
〔S35〕出口転送制御部2bは、重要フローパケットp3を受信したことを示すACK3と、重要フローパケットp4を受信したことを示すACK4とを入口エッジノード2−1へ送信する。入口転送制御部2aは、規定時間内にACK3、4を受信することで、重要フローパケットp3、p4が正常に転送されたことを確認する。
【0088】
〔S36a〕入口転送制御部2aは、重要フローパケットp5を、重要フロー転送用コネクションCを通じて、出口エッジノード2−2へ転送する。
〔S36b〕入口転送制御部2aは、規定時間に達しても、ACKを受信できないので、再度、重要フローパケットp5を、重要フロー転送用コネクションCを通じて、出口エッジノード2−2へ転送する。
【0089】
〔S37〕入口転送制御部2aは、重要フローパケットp5の確認応答であるACKを受信できずタイムアウトとなり、転送障害が発生したことを認識する。
〔S38〕入口転送制御部2aは、転送障害検出回数をインクリメントして、統計情報である転送障害ログ情報を障害検出時刻とともに保存する。
【0090】
〔S39〕入口転送制御部2aは、重要フロー契約した重要フローパケットの転送到達性確認が取れない場合(転送障害を検出した場合)、重要フロー定義を参照して、契約関係者にe−mailで通知する。転送障害検出の情報が関係者に通知されることにより、ユーザは、パケット転送の可否判断を行うことが可能になる。
【0091】
ここで、転送障害ログ情報は、SLA(Service Level Agreement:ユーザとプロバイダとの間で、サービスの内容、範囲、品質に対する要求水準を明確にして、それが達成できなかった場合のルールを含めて、あらかじめ合意した契約)にもとづく指標データとして、IPネットワークを管理するためのネットワーク管理システム(NMS:Network Management System)から定期的に収集される。
【0092】
SLAとしては、上記のステップS39のように、「転送到達性確認が取れない場合は、関係者にメールで通知する」といった他にも、例えば、「平日の時刻7:00−22:00における年間の転送障害検出回数を12回以下とする」、「平日の時刻7:00−22:00における年間の平均網内遅延時間を1秒以下とする」などがある。転送障害ログ情報は、定期的に保守者に収集され、かつユーザに対してもSLAの証明データとして開示されて、SLAが満たされているかの状態確認が行われる。
【0093】
図10はユーザパケット無通信時の転送到達性確認処理および転送障害検出処理を示すシーケンス図である。重要フローパケットf1が通信されていない時間帯においても、転送到達性確認処理および転送障害検出処理を継続的に実施するために、入口エッジノード2−1からからダミーパケット(例えば、keep aliveパケット)を生成して送信する。
【0094】
〔S41〕入口エッジノード2−1と出口エッジノード2−2との間に重要フロー転送用コネクションCが確立する。
〔S42〕入口エッジノード2−1の入口転送制御部2aは、keep aliveパケットp11を、重要フロー転送用コネクションCを通じて、出口エッジノード2−2へ転送する。
【0095】
〔S43〕出口エッジノード2−2の出口転送制御部2bは、keep aliveパケットp11を受信したことを示すACK11を入口エッジノード2−1へ送信する。入口転送制御部2aは、内部にACK待ちタイマを有しており、規定時間内にACK11を受信することで、keep aliveパケットp11が正常に転送されたことを確認する。
【0096】
〔S44a〕入口転送制御部2aは、keep aliveパケットp12を、重要フロー転送用コネクションCを通じて、出口エッジノード2−2へ転送する。
〔S44b〕入口転送制御部2aは、規定時間に達しても、ACKを受信できないので、再度、keep aliveパケットp12を、重要フロー転送用コネクションCを通じて、出口エッジノード2−2へ転送する。
【0097】
〔S45〕入口転送制御部2aは、keep aliveパケットp12の確認応答であるACKを受信できずタイムアウトとなり、転送障害が発生したことを認識する。
〔S46〕入口転送制御部2aは、転送障害検出回数をインクリメントして、転送障害ログ情報を障害検出時刻とともに保存する。
【0098】
〔S47〕入口転送制御部2aは、重要フロー契約したユーザパケットの転送到達性確認が取れない場合(転送障害を検出した場合)、重要フロー定義を参照して、契約関係者にe−mailで通知する。
【0099】
次にパケット転送時間の計測処理について説明する。図11はパケット転送時間の計測処理を示すシーケンス図である。
〔S51〕入口エッジノード2−1と出口エッジノード2−2との間に重要フロー転送用コネクションCが確立する。
【0100】
〔S52〕入口転送制御部2aは、送信元ユーザ端末1aから送信された重要フローパケットの受信時刻Ts1を計測する。
〔S53〕入口転送制御部2aは、受信時刻Ts1をヘッダに付与して、重要フローパケットp21を出口エッジノード2−2へ転送する。
【0101】
〔S54a〕出口転送制御部2bは、重要フローパケットp21を受信すると、受信時刻Tr1を計測する。
〔S54b〕出口転送制御部2bは、転送時間T1(=Tr1−Ts1)を算出して保存する。
【0102】
〔S55〕入口転送制御部2aは、送信元ユーザ端末1aから送信された重要フローパケットの受信時刻Ts2を計測する。
〔S56〕入口転送制御部2aは、受信時刻Ts2をヘッダに付与して、重要フローパケットp22を出口エッジノード2−2へ転送する。
【0103】
〔S57a〕出口転送制御部2bは、重要フローパケットp22を受信すると、受信時刻Tr2を計測する。
〔S57b〕出口転送制御部2bは、転送時間T2(=Tr2−Ts2)を算出して保存する。
【0104】
〔S58〕出口転送制御部2bは、転送時間T1、T2、・・・Tnに対して、単位時間当たりの平均値を算出して、その平均値である平均網内遅延時間を統計情報として記憶する。平均網内遅延時間は、SLAにもとづく指標データとして、IPネットワークを管理するためのNMSから定期的に収集される。
【0105】
例えば、SLAにおいて、「平日の時刻7:00−22:00における年間の平均網内遅延時間を1秒以下とする」とした項目があれば、平均網内遅延時間は定期的に保守者に収集され、かつユーザに対してもSLAの証明データとして開示されて、SLAが満たされているかの状態確認が行われる。
【0106】
以上説明したように、通信システム1では、プロバイダドメイン20内の転送到達性確認処理を実行するので、OSIネットワークと同様にIPネットワークにおいても、サービスプロバイダとしてユーザフローの転送到達性をユーザにコミットすることが可能になる。
【0107】
また、OSIネットワークと同様にIPネットワークにおいても、サービスプロバイダとしてユーザフローの転送障害を検出でき、その結果、ユーザへの転送障害や転送不可状態の通知、ユーザとのサービスレベル契約(SLA)にもとづく指標データ(転送障害ログ情報)の採取が可能となる。
【0108】
さらに、サービスプロバイダとしてユーザフローの網内伝送時間を計測でき、その結果、ユーザとのサービスレベル契約(SLA)に基づく指標データ(平均網内遅延時間)の採取が可能となる。
【0109】
また、ユーザとのサービス契約で対象ユーザフローを決定(重要フロー契約)することにより、サービスプロバイダとしてサービスメニューの多様化が図れる。
さらにまた、NGN(Next Generation Network)のU-Planeの基盤になっているMPLS(Multi Protocol Label Switching)ネットワークの場合、設備更新時には、コアルータを含むすべてのプロバイダドメイン20内の設備更新が必要であるが、通信システム1の機能を適用することにより、プロバイダドメイン20内の設備の更新は、重要フロー契約ユーザを収容するエッジルータだけで済むことができ、スモールスタート(サービス開発の際、最初から大規模・多機能化をせずに、シンプルな設備でスタートさせる)が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】通信システムの原理図である。
【図2】重要フローパケットと一般フローパケットの転送の流れを示す概念図である。
【図3】重要フロー定義の内容を示す図である。
【図4】通信システムの全体構成を示す図である。
【図5】重要フロー転送用コネクションが自動設定されるまでのシーケンスを示す図である。
【図6】フロー判別後のパケット処理のフローチャートを示す図である。
【図7】重要フローパケットの検索処理を説明するための図である。
【図8】重要フロー転送用コネクションヘッダを示す図ある。
【図9】ユーザパケット通信時の転送到達性確認処理および転送障害検出処理を示すシーケンス図である。
【図10】ユーザパケット無通信時の転送到達性確認処理および転送障害検出処理を示すシーケンス図である。
【図11】パケット転送時間の計測処理を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0111】
1 通信システム
10、30 ユーザドメイン
20 プロバイダドメイン
1a 送信元ユーザ端末
3a 宛先ユーザ端末
2−1 入口エッジノード
2a 入口転送制御部
2−2 出口エッジノード
2b 出口転送制御部
C 重要フロー転送用コネクション
cp カプセル化重要フローパケット
f1 重要フローパケット
f2 一般フローパケット
【技術分野】
【0001】
本発明は、IP(Internet Protocol)ネットワーク上で通信を行う通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
通信ネットワークでは、特定の通信のための帯域を予約し、一定の通信速度や品質を保障する技術であるQoS(Quality of Service)が行われており、ユーザに対して満足度の高い通信サービスを提供するために、QoS保障のニーズが高まっている。QoSの主な制御としては、転送QoS制御およびパケット転送障害検出制御がある。
【0003】
(1)転送QoS制御について。
X.25(コネクション型のデータ通信を行うパケット交換用のプロトコル体系)によるOSI(Open Systems Interconnection)ネットワークでは、エンドノード(X.25端末)と、ネットワークノード(X.25交換機)とに、X.25シグナリングによる呼制御機能が実装されて、転送QoS制御が行われている。
【0004】
転送QoS制御の具体的な内容としては、特定の呼を優先して転送する優先転送制御、呼毎に転送帯域を制御する転送帯域制御、特定の呼が相手先に到達したか否かを確認する転送到達性確認制御があり、これら3つの制御がOSIネットワーク上で実現される。
【0005】
一方、現在の一般的なIPネットワークで行われる転送QoS制御では、上記の優先転送制御は、Diffserv(Differentiated Services)制御に置き換わり、転送帯域制御は、RSVP(Resource reSerVation Protocol)シグナリングによるIntserv(Integrated Services)制御に置き換わり、転送到達性確認制御は、トランスポート層によるTCP(Transmission Control Protocol)制御に置き換わっている。
【0006】
ここで、Diffservは、複数の通信フローをまとめてクラスを作り、クラス毎にQoSを保障するもので、複数のクラス間で相対的な転送性能差をつけることによって、トラフィックの優先転送制御を行うものである。
【0007】
具体的には、エンドノード(IP端末)では、フローの種類によるクラス分けを行い、IPv4の場合、IPパケットの8ビットのTOS(Type of Service)フィールドの6ビットを使って、クラス分け情報であるDSCP(DiffServ Code Point)を書きこむ(これをマーキングという)。
【0008】
そして、ネットワークノード(IPルータ)では、DSCP値を参照し、DSCP値により定義されるPHB(Per-Hop Behavior:Diffserv対応ノードの動作に関する規則を記述したもの)に応じてクラス分けを行ってパケット転送を行う。
【0009】
また、Intservは、通信フロー毎にQoSを保障するものであり、エンドノードとネットワークノードとの間で、ネットワークの帯域を予約するシグナリング・プロトコルであるRSVPを使用して、転送帯域を確保する。
【0010】
さらに、トランスポート層のTCP制御では、エンドノードとネットワークノード間にコネクションを確立し、パケットを受信したことを示すACKを送信することで、転送到達性の確認を行う。
【0011】
(2)パケット転送障害検出制御について。
OSIネットワークは、呼の状態が監視されており、呼状態に応じて、パケットを転送するか否かの判断を行うことができる。例えば、呼が設定状態ならば、パケットの転送を可とし、呼が切断状態ならば、パケットの転送を不可とする。
【0012】
一方、IPネットワークは、転送パケットの宛先(デスティネーションアドレス)とルーティングテーブル上のネクストホップとを各ノード上で照合判定して転送していくHOP by HOPが行われる。
【0013】
また、障害発生時には、障害検出プロトコルとして、経路に位置するルータが送信元に対して障害を知らせるためのICMP(Internet Control Message Protocol)が用いられる。
【0014】
HOP by HOPのパケット転送時に、経路上のノードで“宛先到達不能”と判定が下された場合、判定したノードは、ICMP宛先到達不能メッセージ(ICMP Unreachable)を生成し、判定対象となったパケットの転送元ノード(ソースアドレス)へ送信する。これにより、ICMP Unreachableを受信した転送元ノードが、パケット転送障害が発生したことを検出することができる。
【0015】
従来のQoS保障に関する技術として、カプセル化したIPパケットを、プロトコル制御プログラムをスルーして、アプリケーションプログラムに透過的に転送することで、プラットフォームに依存しないプロトコル処理を行う技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0016】
また、パケット内の格納データ種別に応じた優先度を設定して、ネットワークへ送出することで、重要な情報を含むパケットの優先的な処理を行う技術が提案されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−159021号公報(段落番号〔0019〕、第1図)
【特許文献2】特開2002−141945号公報(段落番号〔0011〕、〔0012〕、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ネットワーク管理ドメインを意識して、上記の転送QoS制御について考える。ネットワーク管理ドメインをサービスプロバイダとユーザとに分離した場合、OSIネットワークで実行される、上述した優先転送制御、転送帯域制御および転送到達性確認制御については、サービスプロバイダの介在を無くしては制御することはできない。
【0018】
また、IPネットワークについても、Diffservベースの優先転送制御およびRSVPの帯域制御に関しては、サービスプロバイダの介在を要するが、TCP制御による転送到達性確認については、プロバイダの介在は全く必要としない。
【0019】
その結果、サービスプロバイダは、OSIネットワークにおいては転送到達性をユーザにコミットすることが可能であるが、IPネットワークにおいてはコミットすることができないことになる。
【0020】
すなわち、X.25など従来のネットワーク技術では、呼制御やコネクションの状態をネットワーク側で把握していたため、ユーザ通信(ユーザデータの到達性)を通信キャリア/サービスプロバイダが保障できていた。しかし、IPネットワーク上では、プロバイダは、X.25などのネットワーク技術で保障できていたユーザデータの到達性を保障できないといった問題があった。
【0021】
次にネットワーク管理ドメインを意識して、上記のパケット転送障害検出制御について考える。ネットワーク管理ドメインをサービスプロバイダとユーザとに分離した場合、OSIネットワークでは、呼の状態をプロバイダとユーザとで情報を共有している。
【0022】
このため、呼が切断しているか否かを、ユーザとプロバイダとは同時に検出することができ、また、パケットを転送するか否かの判断についても、ユーザとプロバイダとは同時に認識することができる(すなわち、OSIネットワークでは、プロバイダおよびユーザともに、パケット転送可否判断が可能)。
【0023】
一方、IPネットワークでは、上述したように、パケットが転送されていく経路上のネットワークノードにて、“宛先到達不能”と判定が下されると、エンドノードへICMP Unreachableが送信され、エンドノードがICMP Unreachableを受信する、といった流れで、ユーザとプロバイダとが共に障害を検出する。
【0024】
IPネットワークの場合は、各ノードのルーティングテーブルは動的に変更されることが想定されており、「次のユーザパケット転送時には宛先到達不能ではなくなる(=新たなネクストホップが見つかる)」ことを想定した制御であるため、経路上のノードが転送したパケットが“宛先到達不能”だからといって、継続的にIPネットワークがパケット転送障害になる(常にパケット転送が不可となる)というわけではない。
【0025】
このように、IPネットワークでは、転送パケットに対する「宛先到達不能」は判明するのだが、宛先到達不能後に次のパケットを転送する場合や、しばらく転送すべきパケットが存在しなかった後にパケットを転送する場合などでは、パケット転送が可能であるか否かの判断がされることがないため、パケット転送可否判断ができないといった問題があった。
【0026】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、IPネットワーク上におて、パケット転送の到達性確認およびパケット転送の可否判断を可能にして、ネットワーク品質およびサービス性の向上を図った通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
上記課題を解決するために、ネットワーク上で通信を行う通信システムが提供される。この通信システムは、送信元ユーザ端末と、宛先ユーザ端末と、前記送信元ユーザ端末から転送されたパケットの転送制御を行う入口転送制御部を含み、プロバイダドメインの入口エッジに配置される入口エッジノードと、前記入口エッジノードから転送された前記パケットの転送制御を行う出口転送制御部を含み、前記プロバイダドメインの出口エッジに配置される出口エッジノードとを備える。
【0028】
ここで、入口転送制御部と出口転送制御部との間で、プロバイダドメイン内に、重要フロー転送用コネクションを確立し、入口転送制御部は、送信元ユーザ端末から転送されたユーザフローパケットが、重要フローパケットであるか、一般フローパケットであるかを判別して、重要フローパケットには、カプセリングを行ってカプセル化重要フローパケットを生成し、カプセル化重要フローパケットを重要フロー転送用コネクションを通じて転送する。出口転送制御部は、重要フロー転送用コネクションを通じて受信したカプセル化重要フローパケットをデカプセリングし、デカプセリング後の重要フローパケットを宛先ユーザ端末へ転送する。
【発明の効果】
【0029】
IPネットワーク上のプロバイダドメイン内で、パケット転送の到達性確認を実行して、ネットワーク品質およびサービス性の向上を図る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は通信システムの原理図である。通信システム1は、ユーザドメイン10、30、プロバイダドメイン20を含むIPネットワーク上で通信を行うシステムであり、送信元ユーザ端末1a、宛先ユーザ端末3a、入口エッジノード2−1、出口エッジノード2−2から構成される(なお、本発明が対象とするパケットは、IPパケットであり非IPパケットは対象としない)。
【0031】
送信元ユーザ端末1aは、ユーザドメイン10内に位置する端末であり、入口エッジノード2−1と接続する。宛先ユーザ端末3aは、ユーザドメイン30内に位置する端末であり、出口エッジノード2−2と接続する。
【0032】
入口エッジノード2−1は、入口転送制御部2aを含み、プロバイダドメイン20の入口エッジに配置される。入口転送制御部2aは、送信元ユーザ端末1aから転送されたパケットの転送制御を行う。
【0033】
出口エッジノード2−2は、出口転送制御部2bを含み、プロバイダドメイン20の出口エッジに配置される。出口転送制御部2bは、入口エッジノード2−1から転送されたパケットの転送制御を行う。
【0034】
ここで、入口転送制御部2aと出口転送制御部2bとの間で、プロバイダドメイン20内に、論理的なコネクションである重要フロー転送用コネクションCが確立される。
入口転送制御部2aは、送信元ユーザ端末1aから転送された、ユーザパケットのトラフィックフローであるユーザフローパケットを受信すると、そのユーザフローパケットが、重要フローパケットf1であるか、または一般フローパケットf2であるかを判別する。
【0035】
重要フローパケットf1には、カプセリングを行って、カプセル化重要フローパケットcpを生成し、カプセル化重要フローパケットcpを重要フロー転送用コネクションCを通じて転送する。なお、一般フローパケットf2の場合は、通常のIPルーティングによるHOP by HOP転送によって、宛先ユーザ端末3aへ転送する。
【0036】
出口転送制御部2bは、重要フロー転送用コネクションCを通じて受信したカプセル化重要フローパケットcpをデカプセリングし、デカプセリング後の重要フローパケットf1を宛先ユーザ端末3aへ転送する。
【0037】
なお、重要フローパケットf1とは、あらかじめユーザとプロバイダ間で契約された、転送到達性を保障すべきユーザフローパケットのことであり、重要フロー定義情報(以下、単に重要フロー定義)が記載されたパケットである。
【0038】
また、重要フローパケットf1は、プロバイダドメイン20内では、カプセル化されて転送されるため、転送到達性が保障されるだけでなく、秘匿性も確保される。なお、一般フローパケットf2とは、重要フローパケットf1以外のユーザフローパケットのことである。
【0039】
図2は重要フローパケットf1と一般フローパケットf2の転送の流れを示す概念図である。ステップS1〜S4は、重要フローパケットf1の流れを示し、ステップS5、S6は一般フローパケットf2の流れを示す。
【0040】
〔S1〕入口エッジノード2−1内の入口転送制御部2aには、受信したユーザフローパケットが、重要フローパケットf1であるか否かを検索するための重要フロー定義が、ACL(Access Control List:特定のユーザ端末からのパケット送信を許可したり、拒否したりすることが記述された条件文のリスト)に設定される。
【0041】
重要フロー定義としては、例えば、入口エッジノード2−1および出口エッジノード2−2のユーザ側I/F(インタフェース)のIPアドレス(送信元ユーザ端末1aと接続する入口エッジノード2−1のユーザ側I/Fアドレスと、宛先ユーザ端末3aと接続する出口エッジノード2−2のユーザ側I/Fアドレス)や、重要フローの契約関係者のe−mailアドレス(ユーザ担当者、ユーザ担当のプロバイダ営業者、プロバイダ保守者など)がある。なお、重要フロー定義についてまとめた内容を図3に示す。
【0042】
〔S2〕入口エッジノード2−1に重要フロー定義が設定されると、入口転送制御部2aは、入口エッジノード2−1から出口エッジノード2−2の方向へ、プロバイダドメイン20内部のネットワークであるプロバイダネットワーク20−1間において、重要フロー転送用コネクションCを確立する。
【0043】
具体的には、重要フロー定義が入口エッジノード2−1へ投入されることにより、出口エッジノード2−2のユーザ側I/FのIPアドレスを宛先とした重要フロー転送用コネクションCが自動設定される。
【0044】
重要フロー転送用コネクションCが設定されると、重要フロー転送用コネクションCのTCPポート(ポート番号)が、入口エッジノード2−1の入口転送制御部2aと出口エッジノード2−2の出口転送制御部2bに記憶される。
【0045】
記憶された重要フロー転送用コネクションTCPポートは、入口エッジノード2−1においては、重要フロー転送用コネクションヘッダHに反映され、出口エッジノード2−2においては、受信パケットが重要フローパケットf1であるか否かの判定に用いられる。
【0046】
〔S3〕入口転送制御部2aは、送信元ユーザ端末1aから転送されたユーザフローパケットを受信すると、重要フロー定義にもとづいて、重要フローパケットf1を抽出する。そして、重要フロー転送用コネクションヘッダHを付加して、重要フローパケットf1をカプセル化し、カプセル化重要フローパケットcpを生成し、カプセル化重要フローパケットcpを重要フロー転送用コネクションCを通じて転送する。
【0047】
〔S4〕出口転送制御部2bは、重要フロー転送用コネクションCを通じて受信したカプセル化重要フローパケットcpをデカプセリングし、デカプセリング後の重要フローパケットf1を宛先ユーザ端末3aへ転送する。
【0048】
〔S5〕送信元ユーザ端末1aは、入口エッジノード2−1に、一般フローパケットf2を転送し、入口転送制御部2aは、送信元ユーザ端末1aから転送された一般フローパケットf2を受信すると、通常のIPルーティングにより、プロバイダネットワーク20−1へ転送する。
【0049】
〔S6〕出口転送制御部2bは、IPルーティングにより、プロバイダネットワーク20−1内を転送された一般フローパケットf2を受信すると、一般フローパケットf2を宛先ユーザ端末3aへ転送する。
【0050】
次にIPネットワーク上における通信システム1の具体的な構成例について説明する。図4は通信システムの全体構成を示す図である。通信システム1−1は、ユーザドメイン10、30、プロバイダドメイン20を含むIPネットワーク上で通信を行うシステムである。
【0051】
ユーザドメイン10−1〜10−3は、プロバイダドメイン20に対して、UNI(User Network Interface:プロバイダの通信設備とユーザの通信設備との接続点)1を介して接続する。また、ユーザドメイン30−1、30−2は、プロバイダドメイン20に対して、UNI2を介して接続する。
【0052】
プロバイダドメイン20には、ルーティング機能を有する、エッジノード21−1、21−2、22−1、22−2およびコアノードR1〜R5が含まれる。エッジノード21−1、21−2は、UNI1側のエッジに位置し、エッジノード22−1、22−2は、UNI2側のエッジに位置する。
【0053】
ユーザドメイン10−1〜10−3の内部それぞれは、バス形態のネットワークで構成されており、ユーザドメイン10−1には、基幹業務系システムセンタ11が配置し、ユーザドメイン10−2には、ユーザ端末12が配置し、ユーザドメイン10−3には、ユーザ端末13が配置している。そして、基幹業務系システムセンタ11は、エッジノード21−1に接続し、ユーザ端末12、13は、エッジノード21−2に接続する。
【0054】
ユーザドメイン30−1、30−2の内部それぞれは、バス形態のネットワークで構成されており、ユーザドメイン30−1には、基幹業務系システムセンタ31とユーザ端末32が配置し、ユーザドメイン30−2には、ユーザ端末33、34およびルータ35が配置して、ユーザ端末33、34は、ルータ35と接続している。そして、基幹業務系システムセンタ31とユーザ端末32は、エッジノード22−1に接続し、ルータ35は、エッジノード22−2に接続する。
【0055】
エッジノード21−1は、図1で示した入口転送制御部2aおよび出口転送制御部2bの両方の機能を持つ転送制御部21aを有する。エッジノード22−1は、図1で示した入口転送制御部2aおよび出口転送制御部2bの両方の機能を持つ転送制御部22aを有する。なお、エッジノード21−2、22−2も同様の転送制御部を有するが、図示は省略している。
【0056】
ここで、エッジノード21−1の転送制御部21aに重要フロー定義がACLに設定されると、エッジノード21−1からエッジノード22−1の方向に、重要フロー転送用コネクションC1が自動的に確立する。
【0057】
重要フロー転送用コネクションC1は、エッジノード21−1からエッジノード22−1へ重要フローパケットf1を転送するTCPコネクションであり、プロバイダドメイン20内で通過するノードは、エッジノード21−1、コアノードR1、R2、エッジノード22−1の順となっている。
【0058】
また、エッジノード22−1の転送制御部22aに重要フロー定義がACLに設定されると、エッジノード22−1からエッジノード21−1の方向に、重要フロー転送用コネクションC2が自動的に確立する。
【0059】
重要フロー転送用コネクションC2は、エッジノード22−1からエッジノード21−1へ重要フローパケットf1を転送するTCPコネクションであり、プロバイダドメイン20内で通過するノードは、エッジノード22−1、コアノードR3、R4、エッジノード21−1の順となっている。
【0060】
このように、重要フロー転送用コネクションは、片方向ずつ設定して、プロバイダドメイン20を通過するユーザフローパケットの転送到達性の保障サービスを実現する。ただし、対象とするユーザフローパケットは、ユーザとプロバイダとの間で契約した重要フローパケットf1に限定する。
【0061】
(1)基幹業務系システムセンタ11からユーザ端末32へ重要フローパケットを転送する場合について。
基幹業務系システムセンタ11は、ユーザフローパケットf0をエッジノード21−1へ転送する。エッジノード21−1内の転送制御部21aは、あらかじめ設定された重要フロー定義によって、受信したユーザフローパケットf0の中から、重要フローパケットf1と一般フローパケットf2とに振り分ける。
【0062】
一般フローパケットf2は、通常のIPルーティングで転送されるが、重要フローパケットf1は、転送制御部21aにて重要フロー転送用コネクションヘッダでカプセリングされ、重要フロー転送用コネクションC1上を転送される。
【0063】
エッジノード22−1内の転送制御部22aは、パケットを受信すると、あらかじめ記憶された重要フロー転送用コネクションTCPポートによって、受信パケットが重要フローパケットであるか否かを判別する。カプセリングされた重要フローパケットであれば、重要フロー転送用コネクションヘッダをデカプセリングし、デカプセリング後の重要フローパケットf1をユーザ端末32へ転送する。
【0064】
(2)基幹業務系システムセンタ31から基幹業務系システムセンタ11へユーザフローを転送する場合について。
基幹業務系システムセンタ31は、ユーザフローパケットf0をエッジノード22−1へ転送する。エッジノード22−1内の転送制御部22aは、あらかじめ設定された重要フロー定義によって、受信したユーザフローパケットf0の中から、重要フローパケットf1と一般フローパケットf2とに振り分ける。
【0065】
一般フローパケットf2は、通常のIPルーティングで転送されるが、重要フローパケットf1は、転送制御部22aにて重要フロー転送用コネクションヘッダでカプセリングされ、重要フロー転送用コネクションC2上を転送される。
【0066】
エッジノード21−1内の転送制御部21aは、パケットを受信すると、あらかじめ記憶された重要フロー転送用コネクションTCPポートによって、受信パケットが重要フローパケットであるか否かを判別する。カプセリングされた重要フローパケットであれば、重要フロー転送用コネクションヘッダをデカプセリングし、デカプセリング後の重要フローパケットf1を基幹業務系システムセンタ11へ転送する。
【0067】
なお、片方向ずつ重要フロー転送用コネクションを確立するので、フロー振り分けに用いる重要フロー定義は、プロバイダドメイン20の入口側のエッジノードにのみ設定すればよい。図4に示す例では、双方向で重要フロー転送用コネクションC1、C2を確立して通信を行うので、エッジノード21−1、22−1に対して、互いに独立に重要フロー定義を設定することになる。
【0068】
次に重要フロー転送用コネクションCの自動設定について説明する。図5は重要フロー転送用コネクションCが自動設定されるまでのシーケンスを示す図である。
〔S11〕プロバイダ保守者等によって、入口エッジノード2−1の入口転送制御部2aに対して、ACLエントリとして、重要フロー定義が設定される。
【0069】
〔S12〕入口転送制御部2aは、重要フロー定義が設定されると、確認要求(SYN)を出口エッジノード2−2の出口転送制御部2bに転送する。
〔S13〕出口転送制御部2bは、SYNおよび確認応答(ACK)を入口転送制御部2aへ転送する。
【0070】
〔S14〕入口転送制御部2aは、SYNを出口エッジノード2−2の出口転送制御部2bに転送する。
〔S15〕入口転送制御部2aおよび出口転送制御部2bは、重要フロー転送用コネクションCのTCPポートを記憶する。このような流れにより、重要フロー定義に記載されている、入口エッジノード2−1のユーザ側I/Fアドレスと、出口エッジノード2−2のユーザ側I/Fアドレスとの間に、重要フロー転送用コネクションCが自動的に確立される。
【0071】
次にフロー判別後のパケット処理についてフローチャートを用いて説明する。上述の図4では、プロバイダドメイン20内のノードに対して、エッジノード(プロバイダのネットワークエッジに配置され、転送制御部を含み、ユーザ側I/Fの機能を持つノード)と、コアノード(プロバイダのネットワーク内部に配置され、フォワーディング機能を持つノード)とに区別して説明したが、実際は、エッジノードとコアノードの機能は、1つのノードに含めることが可能である。このようなノードをプロバイダノードとし、プロバイダノードにおけるフロー転送の流れについて図6に示す。
【0072】
図6はフロー判別後のパケット処理のフローチャートを示す図である。
〔S21〕プロバイダノードは、パケットを受信する。
〔S22〕プロバイダノードは、受信パケットが自宛か否かを判断する。自宛でない場合はステップS23へいき、自宛の場合はステップS27へいく。
【0073】
〔S23〕プロバイダノードで受信されたパケットが自宛でないということは、その受信パケットは、ユーザトラフィック(ユーザが送出したパケット)ということである。プロバイダノードは、ACLエントリ(重要フロー定義)を検索し、検索の結果、受信パケットが重要フローパケットf1か否かを判断する。重要フローパケットf1でなければ、ステップS24へ、重要フローパケットf1ならばステップS25へいく。
【0074】
〔S24〕プロバイダノードは、受信パケットを一般フローパケットf2として転送する(一般フローパケットf2は、IPルーティングによるHOP by HOPによって転送される)。
【0075】
〔S25〕プロバイダノードは、受信パケットに重要フロー転送用コネクションヘッダHを付与してカプセリングし、カプセル化重要フローパケットcpを生成する。
〔S26〕プロバイダノードは、カプセル化重要フローパケットcpを重要フロー転送用コネクションCを通じて送信する。
【0076】
〔S27〕プロバイダノードは、受信パケットのヘッダを検索して、現在確立している重要フロー転送用コネクションC用のTCPポートのポート番号が記載されているか否かを検索する。重要フロー転送用コネクションC用のTCPポートのポート番号が記載されていなければステップS28へいき、記載されていればステップS29へいく。
【0077】
〔S28〕受信パケットは、制御トラフィック(制御パケット)であるので、プロバイダノードは、制御パケット用の通常の処理を行う。
〔S29〕プロバイダノードは、重要フロー転送用コネクションヘッダHを削除してデカプセリングし、デカプセリング後の重要フローパケットf1をユーザサイトへ転送する。
【0078】
次にACLエントリを用いて重要フローパケットであることの検索を行う場合について具体例を挙げて説明する。図7は重要フローパケットの検索処理を説明するための図である。
【0079】
重要フローである条件(重要フロー定義項目)を例えば、Destination IP Addressが送信元ユーザ端末1aのIPアドレス(192.168.10.10)であり、かつType of Serviceフィールド(8ビット)の低遅延(low delay)ビットと高信頼性(reliability)ビットが立っていることとする(低遅延ビットはType of Serviceの4ビット目、高信頼性ビットはType of Serviceの6ビット目である)。入口転送制御部2aは、この重要フロー定義が記載されたACLエントリを保持する。
【0080】
入口転送制御部2aは、送信元ユーザ端末1aから送信されたユーザパケットの受信時、パケットヘッダを読み取り、ACLエントリによって検索する。パケットヘッダのDestination IP Addressが11000000 10101000 00001010 00001010(=192.168.10.10)であり、Type of Serviceが00010100であれば、受信したユーザパケットは重要フローパケットf1であることを認識して、重要フローパケットf1のための転送処理を行う。
【0081】
次に重要フロー転送用コネクションヘッダHについて説明する。図8は重要フロー転送用コネクションヘッダHを示す図ある。重要フロー転送用コネクションヘッダHは、IPヘッダ部h1、TCPヘッダ部h2および拡張部h3から構成され、カプセリング時に、重要フローパケットf1であるユーザパケットに対して付加される。図8に示すように、重要フロー転送用コネクションヘッダHは、汎用的なIPヘッダやTCPヘッダを流用したものである。
【0082】
IPヘッダ部h1のSource IP Addressのフィールドには、重要フロー定義の定義項目である、入口エッジノード2−1のユーザ側I/Fアドレスが記載される。また、Destination IP Addressのフィールドには、重要フロー定義の定義項目である、出口エッジノード2−2のユーザ側I/Fアドレスが記載される。
【0083】
TCPヘッダ部h2のSource Portのフィールドには、重要フロー転送用コネクションCのソースTCPポートの番号が記載され、Destination Portのフィールドには、重要フロー転送用コネクションCのデスティネーションTCPポートの番号が記載される。
【0084】
なお、拡張部h3には、Service-Flow-Import Timeというデータが記載されているが、これは、入口エッジノード2−1がユーザパケットを受信したときの受信時刻を記載するものである。
【0085】
次に転送到達性確認処理および転送障害検出処理について説明する。図9はユーザパケット通信時の転送到達性確認処理および転送障害検出処理を示すシーケンス図である。
〔S31〕入口エッジノード2−1と出口エッジノード2−2との間に重要フロー転送用コネクションCが確立する。
【0086】
〔S32〕入口転送制御部2aは、重要フローパケットp1、p2を、重要フロー転送用コネクションCを通じて、出口エッジノード2−2へ転送する。
〔S33〕出口転送制御部2bは、重要フローパケットp1を受信したことを示すACK1と、重要フローパケットp2を受信したことを示すACK2とを入口エッジノード2−1へ送信する。入口転送制御部2aは、内部にACK待ちタイマを有しており、規定時間内にACK1、2を受信することで、重要フローパケットp1、p2が正常に転送されたことを確認する。
【0087】
〔S34〕入口転送制御部2aは、重要フローパケットp3、p4を、重要フロー転送用コネクションCを通じて、出口エッジノード2−2へ転送する。
〔S35〕出口転送制御部2bは、重要フローパケットp3を受信したことを示すACK3と、重要フローパケットp4を受信したことを示すACK4とを入口エッジノード2−1へ送信する。入口転送制御部2aは、規定時間内にACK3、4を受信することで、重要フローパケットp3、p4が正常に転送されたことを確認する。
【0088】
〔S36a〕入口転送制御部2aは、重要フローパケットp5を、重要フロー転送用コネクションCを通じて、出口エッジノード2−2へ転送する。
〔S36b〕入口転送制御部2aは、規定時間に達しても、ACKを受信できないので、再度、重要フローパケットp5を、重要フロー転送用コネクションCを通じて、出口エッジノード2−2へ転送する。
【0089】
〔S37〕入口転送制御部2aは、重要フローパケットp5の確認応答であるACKを受信できずタイムアウトとなり、転送障害が発生したことを認識する。
〔S38〕入口転送制御部2aは、転送障害検出回数をインクリメントして、統計情報である転送障害ログ情報を障害検出時刻とともに保存する。
【0090】
〔S39〕入口転送制御部2aは、重要フロー契約した重要フローパケットの転送到達性確認が取れない場合(転送障害を検出した場合)、重要フロー定義を参照して、契約関係者にe−mailで通知する。転送障害検出の情報が関係者に通知されることにより、ユーザは、パケット転送の可否判断を行うことが可能になる。
【0091】
ここで、転送障害ログ情報は、SLA(Service Level Agreement:ユーザとプロバイダとの間で、サービスの内容、範囲、品質に対する要求水準を明確にして、それが達成できなかった場合のルールを含めて、あらかじめ合意した契約)にもとづく指標データとして、IPネットワークを管理するためのネットワーク管理システム(NMS:Network Management System)から定期的に収集される。
【0092】
SLAとしては、上記のステップS39のように、「転送到達性確認が取れない場合は、関係者にメールで通知する」といった他にも、例えば、「平日の時刻7:00−22:00における年間の転送障害検出回数を12回以下とする」、「平日の時刻7:00−22:00における年間の平均網内遅延時間を1秒以下とする」などがある。転送障害ログ情報は、定期的に保守者に収集され、かつユーザに対してもSLAの証明データとして開示されて、SLAが満たされているかの状態確認が行われる。
【0093】
図10はユーザパケット無通信時の転送到達性確認処理および転送障害検出処理を示すシーケンス図である。重要フローパケットf1が通信されていない時間帯においても、転送到達性確認処理および転送障害検出処理を継続的に実施するために、入口エッジノード2−1からからダミーパケット(例えば、keep aliveパケット)を生成して送信する。
【0094】
〔S41〕入口エッジノード2−1と出口エッジノード2−2との間に重要フロー転送用コネクションCが確立する。
〔S42〕入口エッジノード2−1の入口転送制御部2aは、keep aliveパケットp11を、重要フロー転送用コネクションCを通じて、出口エッジノード2−2へ転送する。
【0095】
〔S43〕出口エッジノード2−2の出口転送制御部2bは、keep aliveパケットp11を受信したことを示すACK11を入口エッジノード2−1へ送信する。入口転送制御部2aは、内部にACK待ちタイマを有しており、規定時間内にACK11を受信することで、keep aliveパケットp11が正常に転送されたことを確認する。
【0096】
〔S44a〕入口転送制御部2aは、keep aliveパケットp12を、重要フロー転送用コネクションCを通じて、出口エッジノード2−2へ転送する。
〔S44b〕入口転送制御部2aは、規定時間に達しても、ACKを受信できないので、再度、keep aliveパケットp12を、重要フロー転送用コネクションCを通じて、出口エッジノード2−2へ転送する。
【0097】
〔S45〕入口転送制御部2aは、keep aliveパケットp12の確認応答であるACKを受信できずタイムアウトとなり、転送障害が発生したことを認識する。
〔S46〕入口転送制御部2aは、転送障害検出回数をインクリメントして、転送障害ログ情報を障害検出時刻とともに保存する。
【0098】
〔S47〕入口転送制御部2aは、重要フロー契約したユーザパケットの転送到達性確認が取れない場合(転送障害を検出した場合)、重要フロー定義を参照して、契約関係者にe−mailで通知する。
【0099】
次にパケット転送時間の計測処理について説明する。図11はパケット転送時間の計測処理を示すシーケンス図である。
〔S51〕入口エッジノード2−1と出口エッジノード2−2との間に重要フロー転送用コネクションCが確立する。
【0100】
〔S52〕入口転送制御部2aは、送信元ユーザ端末1aから送信された重要フローパケットの受信時刻Ts1を計測する。
〔S53〕入口転送制御部2aは、受信時刻Ts1をヘッダに付与して、重要フローパケットp21を出口エッジノード2−2へ転送する。
【0101】
〔S54a〕出口転送制御部2bは、重要フローパケットp21を受信すると、受信時刻Tr1を計測する。
〔S54b〕出口転送制御部2bは、転送時間T1(=Tr1−Ts1)を算出して保存する。
【0102】
〔S55〕入口転送制御部2aは、送信元ユーザ端末1aから送信された重要フローパケットの受信時刻Ts2を計測する。
〔S56〕入口転送制御部2aは、受信時刻Ts2をヘッダに付与して、重要フローパケットp22を出口エッジノード2−2へ転送する。
【0103】
〔S57a〕出口転送制御部2bは、重要フローパケットp22を受信すると、受信時刻Tr2を計測する。
〔S57b〕出口転送制御部2bは、転送時間T2(=Tr2−Ts2)を算出して保存する。
【0104】
〔S58〕出口転送制御部2bは、転送時間T1、T2、・・・Tnに対して、単位時間当たりの平均値を算出して、その平均値である平均網内遅延時間を統計情報として記憶する。平均網内遅延時間は、SLAにもとづく指標データとして、IPネットワークを管理するためのNMSから定期的に収集される。
【0105】
例えば、SLAにおいて、「平日の時刻7:00−22:00における年間の平均網内遅延時間を1秒以下とする」とした項目があれば、平均網内遅延時間は定期的に保守者に収集され、かつユーザに対してもSLAの証明データとして開示されて、SLAが満たされているかの状態確認が行われる。
【0106】
以上説明したように、通信システム1では、プロバイダドメイン20内の転送到達性確認処理を実行するので、OSIネットワークと同様にIPネットワークにおいても、サービスプロバイダとしてユーザフローの転送到達性をユーザにコミットすることが可能になる。
【0107】
また、OSIネットワークと同様にIPネットワークにおいても、サービスプロバイダとしてユーザフローの転送障害を検出でき、その結果、ユーザへの転送障害や転送不可状態の通知、ユーザとのサービスレベル契約(SLA)にもとづく指標データ(転送障害ログ情報)の採取が可能となる。
【0108】
さらに、サービスプロバイダとしてユーザフローの網内伝送時間を計測でき、その結果、ユーザとのサービスレベル契約(SLA)に基づく指標データ(平均網内遅延時間)の採取が可能となる。
【0109】
また、ユーザとのサービス契約で対象ユーザフローを決定(重要フロー契約)することにより、サービスプロバイダとしてサービスメニューの多様化が図れる。
さらにまた、NGN(Next Generation Network)のU-Planeの基盤になっているMPLS(Multi Protocol Label Switching)ネットワークの場合、設備更新時には、コアルータを含むすべてのプロバイダドメイン20内の設備更新が必要であるが、通信システム1の機能を適用することにより、プロバイダドメイン20内の設備の更新は、重要フロー契約ユーザを収容するエッジルータだけで済むことができ、スモールスタート(サービス開発の際、最初から大規模・多機能化をせずに、シンプルな設備でスタートさせる)が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】通信システムの原理図である。
【図2】重要フローパケットと一般フローパケットの転送の流れを示す概念図である。
【図3】重要フロー定義の内容を示す図である。
【図4】通信システムの全体構成を示す図である。
【図5】重要フロー転送用コネクションが自動設定されるまでのシーケンスを示す図である。
【図6】フロー判別後のパケット処理のフローチャートを示す図である。
【図7】重要フローパケットの検索処理を説明するための図である。
【図8】重要フロー転送用コネクションヘッダを示す図ある。
【図9】ユーザパケット通信時の転送到達性確認処理および転送障害検出処理を示すシーケンス図である。
【図10】ユーザパケット無通信時の転送到達性確認処理および転送障害検出処理を示すシーケンス図である。
【図11】パケット転送時間の計測処理を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0111】
1 通信システム
10、30 ユーザドメイン
20 プロバイダドメイン
1a 送信元ユーザ端末
3a 宛先ユーザ端末
2−1 入口エッジノード
2a 入口転送制御部
2−2 出口エッジノード
2b 出口転送制御部
C 重要フロー転送用コネクション
cp カプセル化重要フローパケット
f1 重要フローパケット
f2 一般フローパケット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク上で通信を行う通信システムにおいて、
送信元ユーザ端末と、
宛先ユーザ端末と、
前記送信元ユーザ端末から転送されたパケットの転送制御を行う入口転送制御部を含み、プロバイダドメインの入口エッジに配置される入口エッジノードと、
前記入口エッジノードから転送された前記パケットの転送制御を行う出口転送制御部を含み、前記プロバイダドメインの出口エッジに配置される出口エッジノードと、
を備え、
前記入口転送制御部と前記出口転送制御部との間で、前記プロバイダドメイン内に、重要フロー転送用コネクションを確立し、
前記入口転送制御部は、前記送信元ユーザ端末から転送されたユーザフローパケットが、重要フローパケットであるか、一般フローパケットであるかを判別して、前記重要フローパケットには、カプセリングを行ってカプセル化重要フローパケットを生成し、前記カプセル化重要フローパケットを前記重要フロー転送用コネクションを通じて転送し、
前記出口転送制御部は、前記重要フロー転送用コネクションを通じて受信した前記カプセル化重要フローパケットをデカプセリングし、デカプセリング後の前記重要フローパケットを前記宛先ユーザ端末へ転送する、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記入口転送制御部は、前記送信元ユーザ端末と接続する前記入口エッジノードのユーザ側インタフェースアドレスと、前記宛先ユーザ端末と接続する前記出口エッジノードのユーザ側インタフェースアドレスとが記載された、前記ユーザフローパケットが前記重要フローパケットであるか否かを検索するための重要フロー定義情報が設定されると、
双方の前記ユーザ側インタフェースアドレスの間で、前記重要フロー転送用コネクションが自動的に確立し、
前記入口転送制御部および前記出口転送制御部は、前記重要フロー転送用コネクションのポート番号を記憶し、
前記入口転送制御部は、前記ポート番号を含むヘッダを前記重要フローパケットに付与して、前記カプセル化重要フローパケットを生成し、
前記出口転送制御部は、受信パケットに前記ポート番号が含まれている場合には、前記受信パケットが前記カプセル化重要フローパケットであると認識してデカプセリングする、
ことを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項3】
前記入口転送制御部は、前記重要フロー転送用コネクションを介して前記重要フローパケットを転送した場合に、前記出口転送制御部から送信されるべき確認応答を規定時間内に受信できない場合には、前記重要フローパケットの転送契約を行った関係者に対して、転送到達性を確認できない旨を通知することを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項4】
前記入口転送制御部は、無通信時にも前記重要フロー転送用コネクションを介してダミーパケットを転送して転送到達性の確認を行い、前記出口転送制御部から送信されるべき確認応答を規定時間内に受信できない場合には、前記重要フローパケットの転送契約を行った関係者に対して、転送到達性を確認できない旨を通知することを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項5】
前記入口転送制御部は、前記送信元ユーザ端末から送信された前記重要フローパケットの受信時刻である第1の受信時刻を計測し、前記第1の受信時刻を前記重要フローパケットに付加して、前記重要フロー転送用コネクションを通じて転送し、
前記出口転送制御部は、前記重要フロー転送用コネクションを通じて受信した前記重要フローパケットの受信時刻である第2の受信時刻を計測し、前記第2の受信時刻から前記第1の受信時刻の差分である転送時間を求め、n個の前記重要フローパケットに対して求めた前記転送時間を平均化して平均網内遅延時間を算出して、保守側に通知することを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項1】
ネットワーク上で通信を行う通信システムにおいて、
送信元ユーザ端末と、
宛先ユーザ端末と、
前記送信元ユーザ端末から転送されたパケットの転送制御を行う入口転送制御部を含み、プロバイダドメインの入口エッジに配置される入口エッジノードと、
前記入口エッジノードから転送された前記パケットの転送制御を行う出口転送制御部を含み、前記プロバイダドメインの出口エッジに配置される出口エッジノードと、
を備え、
前記入口転送制御部と前記出口転送制御部との間で、前記プロバイダドメイン内に、重要フロー転送用コネクションを確立し、
前記入口転送制御部は、前記送信元ユーザ端末から転送されたユーザフローパケットが、重要フローパケットであるか、一般フローパケットであるかを判別して、前記重要フローパケットには、カプセリングを行ってカプセル化重要フローパケットを生成し、前記カプセル化重要フローパケットを前記重要フロー転送用コネクションを通じて転送し、
前記出口転送制御部は、前記重要フロー転送用コネクションを通じて受信した前記カプセル化重要フローパケットをデカプセリングし、デカプセリング後の前記重要フローパケットを前記宛先ユーザ端末へ転送する、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記入口転送制御部は、前記送信元ユーザ端末と接続する前記入口エッジノードのユーザ側インタフェースアドレスと、前記宛先ユーザ端末と接続する前記出口エッジノードのユーザ側インタフェースアドレスとが記載された、前記ユーザフローパケットが前記重要フローパケットであるか否かを検索するための重要フロー定義情報が設定されると、
双方の前記ユーザ側インタフェースアドレスの間で、前記重要フロー転送用コネクションが自動的に確立し、
前記入口転送制御部および前記出口転送制御部は、前記重要フロー転送用コネクションのポート番号を記憶し、
前記入口転送制御部は、前記ポート番号を含むヘッダを前記重要フローパケットに付与して、前記カプセル化重要フローパケットを生成し、
前記出口転送制御部は、受信パケットに前記ポート番号が含まれている場合には、前記受信パケットが前記カプセル化重要フローパケットであると認識してデカプセリングする、
ことを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項3】
前記入口転送制御部は、前記重要フロー転送用コネクションを介して前記重要フローパケットを転送した場合に、前記出口転送制御部から送信されるべき確認応答を規定時間内に受信できない場合には、前記重要フローパケットの転送契約を行った関係者に対して、転送到達性を確認できない旨を通知することを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項4】
前記入口転送制御部は、無通信時にも前記重要フロー転送用コネクションを介してダミーパケットを転送して転送到達性の確認を行い、前記出口転送制御部から送信されるべき確認応答を規定時間内に受信できない場合には、前記重要フローパケットの転送契約を行った関係者に対して、転送到達性を確認できない旨を通知することを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項5】
前記入口転送制御部は、前記送信元ユーザ端末から送信された前記重要フローパケットの受信時刻である第1の受信時刻を計測し、前記第1の受信時刻を前記重要フローパケットに付加して、前記重要フロー転送用コネクションを通じて転送し、
前記出口転送制御部は、前記重要フロー転送用コネクションを通じて受信した前記重要フローパケットの受信時刻である第2の受信時刻を計測し、前記第2の受信時刻から前記第1の受信時刻の差分である転送時間を求め、n個の前記重要フローパケットに対して求めた前記転送時間を平均化して平均網内遅延時間を算出して、保守側に通知することを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−45605(P2010−45605A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−208345(P2008−208345)
【出願日】平成20年8月13日(2008.8.13)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月13日(2008.8.13)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]