説明

通信シミュレーション装置及び方法、並びに、ネットワーク装置

【課題】 ネットワーク装置の移動計画が事前に分かっている場合、その移動計画を基に時間経過に従って移動するネットワークの通信状態の変化を予測できるようにする。
【解決手段】少なくともネットワーク装置の通信可能距離情報とネットワーク装置の移動ルートを特定する位置情報とを入力する入力手段1−3,1−5と、これらの入力情報に基づいて、移動ルート上でのネットワーク装置の移動に伴うネットワーク装置間の通信状態の変化をシミュレーションするシミュレーション管理手段1−2と、このシミュレーション管理手段1−2によるシミュレーション結果を提示する提示手段1−1とをそなえる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信シミュレーション及び方法、並びに、ネットワーク装置に関し、例えば、モバイル無線ルータを使ったアドホックネットワークを構築する際に用いて好適なシミュレーション技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モバイル無線ルータ等の移動可能なネットワーク装置を使ったアドホックネットワークの実用化の検討が進んでいる。アドホックネットワークとは、一時的に構築されるネットワークのことを指す。アドホックネットワークの特徴としては、
(1)事前にネットワーク装置(モバイル無線ルータなど)に設定がいらない(他のネットワーク装置の存在を知らなくて良い)、
(2)自律的にネットワークを構成する、
(3)新たなネットワーク装置の接続/切断などネットワークトポロジの動的変化があること、
などが挙げられる。
【0003】
かかるアドホックネットワークは、離島や山岳地帯など、携帯電話等の移動通信ネットワーク、IP(Internet Protocol)ネットワークのインフラが整備されていない地域、土木開発事業などの工事、非常災害時など、移動通信ネットワークやIPネットワークに接続できない場所でのネットワークとして期待されている他、イベント会場での一時的なネットワークや、ネットワーク装置を車載することによる、ネットワーク自体が移動する移動ネットワークなど幅広く用途が期待されている。これは、メールや現場の写真をやりとりする他、近年ではVoIP(Voice over IP)を使った音声通信を行なうために不可欠なインフラとなってきているからである。
【0004】
さて、アドホックネットワークの特徴の1つである「新たなネットワーク装置の接続/切断など、ネットワークトポロジの動的変化がある」ということは、アドホックネットワークを構成するネットワーク装置は移動が前提ということである。ゆえに、広範囲で通信網を構築するためには多くの設備が必要となる(点在させる必要がある)。そのため、できるだけ最小限の設備で済むよう予め設置シミュレーションを行なうのが望ましい。
【0005】
ここで、従来、移動するネットワークの通信を管理する方法として、移動中のモバイル無線ルータから位置や電波状況などの情報を受信し、それを基に適切な基幹IP網のアクセスポイント(移動ルータ)を選択するものがある(例えば、下記特許文献1参照)。
また、新たに設置した基地局のサービスエリア測定、最適化、管理等を効率良く実施することが可能なサービスエリア試験システムとして、例えば下記特許文献2により提案されているシステムがある。このシステムでは、予め実施したシミュレーション結果からサービスエリアを予測し、予測したサービスエリアにおいてエリア測定装置が移動しながら受信電界強度やビットエラーレート(BER)等を測定し、その測定データをサーバに送り、当該サーバにおいて測定データの解析を行ない、その解析結果を上記エリア測定装置に返送し、この返送情報に基づいて移動通信システムを遠隔制御して、新設基地局のパラメータやアンテナチルト等の調整を行なう。これにより、新設基地局のサービスエリア測定、最適化、管理等を効率良く行なうことが可能になる。
【0006】
さらに、移動通信網のシミュレーション方法として、下記特許文献3により提案されている技術がある。この技術は、システム構成の代替案を総合的にさらに地域条件に即しより正確に評価することを目的としている。より詳細には、移動通信網について呼損率等のサービス品質を予測し、かつ移動通信網システムを実現するのに必要な網コストを同時に算出することにより、システム構成の代替案を総合的に評価できるようにする。また、無線基地局の位置、建物等の設置状況といった地理的条件及び場所によるトラヒック条件をシミュレーションの入力条件として考慮することにより、実際の地域において移動通信網のシステム構成を総合的にかつ正確に評価できるようにする。
【0007】
そのため、この特許文献3の技術では、移動通信システムにおいて、オブジェクト指向技術を用いて、システムを構成する要素をオブジェクトとして記述し、構成要素の状態変化を計算機上で模擬することにより、無線基地局における呼損率等のサービス品質を予測し、かつそのシステム構成を実現するのに必要な網コストを同時に算出して、移動通信システムを総合的に評価することが行なわれる。
【特許文献1】特開2004−120322号公報
【特許文献2】特開2004−8498号公報
【特許文献3】特開平7−283778号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
アドホックネットワークが実現すると、自律的に形成される移動ネットワークがいつ、どこでどのようなネットワーク構成になるか、即ち、通信状態はどのように変化するかを事前に知りたくなる場合がある。エンタプライズが効果的にアドホックネットワークを利用しようとすると、モバイル無線ルータ等のネットワーク装置をいくつ用意すればよいのか、当該ネットワーク装置の移動ルートとしてどのようなルートを採るのが効果的なのか、人件費・設備費などのコストはどの程度必要なのか等を意識するからである。
【0009】
しかしながら、上述した従来の技術では、移動の始点から終点の間でいくつかのポイントを設け、そのポイントにおける状況をシミュレーションすることになる。移動するネットワーク装置は複数あるため、精度を高めようとすると、ポイントの数を多くする必要があり、非常に多くの工数を要するという課題がある。また、ネットワークの利用者が不特定多数であった場合、シミュレーション結果(通信接続/切断の時間帯の情報など)を利用者へ周知することも困難である。
【0010】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、ネットワークを構成するネットワーク装置の移動計画が事前に分かっている場合、その移動計画を基に時間経過に従って移動するネットワークの通信状態の変化を予測(シミュレーション)できるようにすることを目的とする。また、そのシミュレーション結果に基づき、ネットワークに接続している通信装置に通信状況の変化予測を通知できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明の通信シミュレーション装置(請求項1)は、複数の移動可能なネットワーク装置で構成されるネットワークの、該ネットワーク装置の移動に伴う該ネットワークの通信環境の変化をシミュレーションする装置であって、少なくとも該ネットワーク装置の通信可能距離情報と該ネットワーク装置の移動ルートを特定する位置情報とを入力する入力手段と、該入力手段により入力された該通信可能距離情報及び該位置情報に基づいて、該移動ルート上での該ネットワーク装置の移動に伴う該ネットワーク装置間の通信状態の変化をシミュレーションするシミュレーション管理手段と、該シミュレーション管理手段によるシミュレーション結果を提示する提示手段とをそなえたことを特徴としている。
【0012】
ここで、該シミュレーション結果提示手段は、該シミュレーション結果に基づいて、該ネットワーク装置の該移動ルート上の移動とともに該ネットワーク装置間の通信可否の変化を表示するシミュレーション表示手段として構成されていてもよい(請求項2)。
また、該シミュレーション表示手段は、該ネットワーク装置間が通信可能であるときには、当該ネットワーク装置間に接続線を引いてその旨を表示するように構成してもよい(請求項3)。
【0013】
さらに、本発明のネットワーク装置(請求項4)は、複数の移動可能なネットワーク装置で構成されるネットワークの、該ネットワーク装置の移動に伴う該ネットワークの通信環境の変化を少なくとも該ネットワーク装置の通信可能距離情報と該ネットワーク装置の移動ルートを特定する位置情報とに基づいてシミュレーションする通信シミュレーション装置に接続される該ネットワーク装置であって、上記シミュレーション結果を該通信シミュレーション装置から受信する受信手段と、該受信手段で受信した該シミュレーション結果に基づいて、自己の通信状態の変化予測を自己に接続している他の通信装置に提示する通信状態予測提示手段とをそなえたことを特徴としている。
【0014】
また、本発明の通信シミュレーション方法(請求項5)は、複数の移動可能なネットワーク装置で構成されるネットワークの、該ネットワーク装置の移動に伴う該ネットワークの通信環境の変化をシミュレーションする方法であって、少なくとも該ネットワーク装置の通信可能距離情報と該ネットワーク装置の移動ルートを特定する位置情報とに基づいて、該移動ルート上での該ネットワーク装置の移動に伴う該ネットワーク装置間の通信状態の変化をシミュレーションし、そのシミュレーション結果を提示することを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
上記の本発明によれば、主として、次のような効果ないし利点が得られる。
(1)ネットワーク装置の移動計画(移動ルートや移動開始時刻など)に関する情報(位置情報)とネットワーク装置の通信可能距離情報とを入力すれば、時間の経過に伴いネットワーク装置がどのように移動しながらネットワークを形成し、どのような通信状態の変化を辿るか(ネットワークの移動に伴う通信環境の変化)をシミュレーション(予測)することができる。したがって、実際にネットワーク装置を現地で移動させてネットワークを構築する前に、通信状態を把握(予測)することができるため、現地で通信可能な地点を調査する必要がなく、また、評価にかかる時間も大幅に短縮することができるため、人件費、設備費を抑えることができる。
【0016】
(2)ネットワーク装置にシミュレーション結果を送信することができるので、予めシミュレーション結果を知らない利用者でも、上記通信装置をネットワーク(ネットワーク装置)に接続することで、移動に伴うネットワークの通信状態の変化を予測することができるため、ネットワークを使った作業を計画的に行なうことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
〔A〕第1実施形態の説明
図1は本発明の第1実施形態としての通信シミュレーション装置の構成を示す機能ブロック図で、この図1に示す通信シミュレーション装置1−11は、シミュレーション表示部1−1,シミュレーション管理部1−2,ルータ固定情報入力部1−3,ルータ情報管理部1−4,ルータ移動計画情報入力部1−5,シミュレーション結果情報記憶部1−6,ルータ固定情報記憶部1−7,ルータ移動計画情報記憶部1−8及びルータ位置情報記憶部1−9をそなえて構成されている。
【0018】
ここで、ルータ固定情報入力部1−3は、モバイル無線ルータ(アドホックネットワークを構成するネットワーク装置)を登録するとともに、当該モバイル無線ルータ(以下、単に「ルータ」ともいう)に関する固定情報を入力するための機能を有するものである。前記固定情報は、例えば、ルータ識別子、電波到達距離(通信可能距離)、その他のルータに関する属性(ルータの名称など)を含んで構成される。
【0019】
ルータ移動計画情報入力部1−5は、モバイル無線ルータが何処から何処へどのような経路(ルート)を通って移動するかという情報(ルータ移動計画情報)を入力するための機能を有するものである。ルータ移動計画情報18は、例えば、ルータ識別子、移動開始時刻、移動速度、移動ルートに関する情報を含んで構成される。また、上記「移動ルート」は、ルータ移動計画情報入力部1−5で入力された位置情報の集合で特定(定義)される。
【0020】
つまり、上記のルータ固定情報入力部1−3及びルータ移動計画情報入力部1−5は、少なくともモバイル無線ルータの通信可能距離情報とモバイル無線ルータの移動ルートを特定する位置情報とを入力する入力手段として機能する。
ルータ情報管理部1−4は、ルータ固定情報入力部1−3及びルータ移動計画情報入力部1−5から受け取った入力情報を基に、例えば、図2に示すようなルータ固定情報17及び図3に示すようなルータ移動計画情報18を作成する機能を有するものである。なお、ルータ固定情報17は、ルータ固定情報記憶部1−7に記憶(保存)され、ルータ移動計画情報18は、ルータ移動計画情報記憶部1−8に保存される。
【0021】
シミュレーション表示部(シミュレーション結果提示手段、シミュレーション表示手段)1−1は、シミュレーション管理部1−2によるシミュレーション結果(シミュレーション結果情報16)に基づいて、複数のモバイル無線ルータの移動状況、モバイル無線ルータ間の通信状態(通信可否)の変化(つまり、アドホックネットワークの移動に伴う通信環境の変化)を時間の経過に沿って表示(アニメーション表示)する機能を有するものである。また、このシミュレーション表示部1−1は、シミュレーション管理者1−10からのシミュレーション実行トリガを受け付ける機能も有している。
【0022】
シミュレーション管理部1−2は、ルータ情報管理部1−4を介して取得したルータ移動計画情報18を基に、例えば図4に示すようなルータ位置情報19を作成する機能を有するものである。このルータ位置情報19は、モバイル無線ルータの移動開始時刻から一定時刻ごとの位置情報の集合であり、ルータ位置情報記憶部1−9に記憶される。また、このシミュレーション管理部1−2は、ルータ位置情報19とルータ情報管理部1−4を介して取得したルータ固定情報17とを基に、シミュレーション結果情報16を作成する機能も有する。シミュレーション結果情報16は、ルータ識別子の数(つまり、登録されたモバイル無線ルータの数)だけ存在し、例えば図5に示すように、時刻、位置、通信可能ルータ識別子に関する情報を含んで構成され、シミュレーション結果情報記憶部1−6に記憶される。
【0023】
なお、上記の各種記憶部1−6〜1−9は、ハードディスクやRAM等の所要の記録媒体により構成することができ、それぞれ個別の記録媒体で構成してもよいし、単一あるいは複数の記録媒体の記憶領域を記憶すべき情報によって分割して使用するようにしてもよい。
以下、上述のごとく構成された本実施形態の通信シミュレーション装置1−11の動作(処理の流れ)について説明する。
【0024】
・動作概要
まず、シミュレーション管理者1−10がルータ固定情報入力部1−3からモバイル無線ルータに関する固定情報を入力すると、入力された当該固定情報を基にルータ情報管理部1−4がルータ固定情報17を作成する。
次に、シミュレーション管理者1−10がルータ移動計画情報入力部1−5からモバイル無線ルータの移動計画情報を入力すると、入力された情報を基にルータ情報管理部1−4がルータ移動計画情報18を作成する。
【0025】
次に、シミュレーション管理者1−10からシミュレーション実行要求をシミュレーション表示部1−1が受け取ると、その旨をシミュレーション管理部1−2に通知する。シミュレーション管理部1−2は、ルータ情報管理部1−4を介してルータ移動計画情報18を取得し、当該ルータ移動計画情報18を基に、前記ルータ位置情報19を作成する。即ち、シミュレーション管理部1−2は、移動開始時刻から一定時間経過後にどのルータ識別子のルータがどの位置に存在するかを移動速度に関する情報と位置の集合情報とから算出してルータ位置情報19を作成する。
【0026】
ルータ位置情報19の作成が完了すると、シミュレーション管理部1−2は、次に、シミュレーション結果情報16を作成する。例えば、シミュレーション管理者1−10から指定されたシミュレーション開始時刻から一定時刻ごと(図5中の時刻A1、時刻A2、時刻A3等参照)のルータ識別子の位置(図5中の位置A1、位置A2、位置A3等参照)を算出してシミュレーション結果情報16(図5参照)を作成し、これをシミュレーション結果情報記憶部1−6に保存する。
【0027】
次に、シミュレーション管理部1−2は、ルータ情報管理部1−4を介してルータ固定情報記憶部1−7からルータ識別子に対応する電波到達距離を取得し、ルータ位置情報記憶部1−9から各時刻における当該ルータ識別子の電波到達距離範囲に位置する他のルータ(通信可能ルータ)を検出し、その識別子(通信可能ルータ識別子)をシミュレーション結果情報16に書き込む(図5中の識別子X1、識別子Y1等参照)。つまり、シミュレーション管理部1−2は、入力手段としての各入力部1−3,1−5により入力された情報(電波到達距離情報及び移動ルートを特定する位置情報)に基づいて、前記移動ルート上でのルータ間の通信可否を判断する機能を有している。
【0028】
シミュレーション結果情報16の作成が完了すると、シミュレーション管理部1−2は、シミュレーション表示部1−1にシミュレーション結果情報16を渡し、シミュレーション表示部1−1は、渡された結果をシミュレーション管理者1−10に表示する。このとき、ルータ情報管理部1−4を介してルータ固定情報17をルータ固定情報記憶部1−7から取得し、付帯情報として同時に表示することもできる。
【0029】
・具体例
モバイル無線ルータを搭載した車両が2台(以降、ルータX、ルータYと呼ぶ)が存在し、A地点からB地点にルータXとルータYとの間でIP通信を行ないながら別々のルート(例えば図14中の経路200,300参照)で移動する計画があったと仮定する。以下では、その際のシミュレーションを例に説明する。
【0030】
まず、シミュレーション管理者1−10より、ルータ登録要求を受け取ると、ルータ固定情報入力部1−3は、ルータ固定情報入力画面を表示する。本例では、ルータ識別子としてIPアドレス、電波到達距離の他に、属性として名称(ルータX、ルータY等)を入力項目とする。入力された情報は、ルータ情報管理部1−4に入力され、当該ルータ情報管理部1−4によりルータ固定情報17が作成されルータ固定情報記憶部1−7に登録される。その登録例を図6に示す。図6では、IPアドレス“10.43.206.190”のルータXの電波到達距離が半径18.0[km]、IPアドレス“10.43.206.189”のルータYの電波到達距離が半径20.0[km]であるとしてそれぞれ登録されている。
【0031】
次に、シミュレーション管理者1−10より、ルータ移動計画情報入力要求を受け取ると、ルータ移動計画情報入力部1−5は、登録されているルータを表示し、ルータ毎に移動計画の入力を促す。例えば、ルータXについてルータ移動計画情報を入力する場合、ルータ移動計画情報入力部1−5は、地図を表示し、当該地図上でルータXの移動ルートをマウスによるドラッグ操作等でなぞらせることで移動ルートを記録する(図7,図8,図9参照)。また、移動開始時刻と移動速度については、例えば図10に示すごとく、別途、入力画面101を表示(ポップアップ表示)する。
【0032】
これにより作成されるルータ移動計画情報18の例を図11に示す。図11では、ルータX(IPアドレス=10.43.206.190)が、時速60.0[km]で“2004/07/12 13:00”(年/月/日/時刻)に移動を開始し、位置(42.59.15,141.21.25),位置(42.59.17,141.21.16),・・・,位置(43.49.15,144.6.39)という経路(緯度、経度)(例えば、図14〜図16の経路200参照)を辿って移動することを表している。また、ルータY(IPアドレス=10.43.206.189)は、時速65.0[km]で“2004/07/12 13:10”(年/月/日/時刻)に移動を開始し、位置(42.61.17,141.20.16),位置(42.61.20,141.20.06),・・・,位置(43.49.15,144.6.39)という別の経路(緯度、経度)(例えば、図14〜図16の経路300参照)を辿って移動することを表している。
【0033】
次に、シミュレーション表示部1−1がシミュレーション管理者1−10からシミュレーション実行要求を受け取ると、シミュレーション表示部1−1は、シミュレーション管理部1−2にその旨を通知する。シミュレーション管理部1−2は、ルータ情報管理部1−4にルータ移動計画情報要求を通知し、ルータ情報管理部1−4からルータ移動計画情報18を取得する。
【0034】
シミュレーション管理部1−2は、取得したルータ移動計画情報18からルータ位置情報19を作成する。本例では、シミュレーション開始時刻とシミュレーションの時刻の刻みは、シミュレーション管理者1−10からシミュレーション実行要求時に通知することができる。ルータ位置情報19の例を図12に示す。この図12に示す例は、シミュレーション開始時刻が“2004/07/12 13:00”、シミュレーションの時刻の刻みが10分として通知されたときの例である。
【0035】
ルータ位置情報19の作成が完了すると、次にシミュレーション管理部1−2は、ルータ情報管理部1−4にルータ固定情報要求を通知し、ルータ情報管理部1−4からルータ固定情報17を取得する。シミュレーション管理部1−2は、ルータ固定情報17の電波到達距離と、ルータ位置情報19とからシミュレーション結果情報16を作成する。このとき作成されるシミュレーション結果情報16の例を図13に示す。この図13では、ルータ識別子“10.43.206.190”は時刻13:00と時刻13:20の時点では通信可能な他ルータは存在せず、時刻13:10にはルータ識別子“10.43.206.190”のルータXがルータ識別子“10.43.206.189”のルータYと通信可能であることを示している。位置はそれぞれのルータの緯度、経度で表されている。
【0036】
シミュレーション管理部1−2は、シミュレーション結果情報16の作成が完了すると、その旨をシミュレーション表示部1−1に通知する。シミュレーション表示部1−1は、シミュレーション結果情報16をアニメーションのように表示する。シミュレーション結果の表示例を図14〜図16に示す。本例では、通信可能な状態にあるルータ同士は接続線が引かれるように表示する。なお、これらの図14〜図16において、符号400はルータXの電波到達距離(通信可能エリア)、符号500はルータYの電波到達距離(通信可能エリア)をそれぞれ示している。つまり、シミュレーション管理部1−2は、前記電波到達距離情報に応じた電波到達距離も併せてシミュレーション表示部1−1に表示させることができる。
【0037】
例えば、図14に示すように、時刻13:00にはルータXとルータYとは通信可能距離にはいない(互いの通信可能エリア400,500に入っていない)ので、ルータXとルータYとの間に接続線は引かれない。このとき、ルータXとルータYとの間の通信は不能であることをその日時とともに表示することができる(図14の符号600参照)。
しかし、図15に示すように、その後の時刻13:10にはルータXとルータYとが接近し、通信可能距離にいるため、ルータXとルータYとの間に通信可能な状態であることを表す接続線100が引かれる(表示される)。このとき、併せて、ルータXとルータYとの間の通信が可能である旨をその日時とともに表示することができる(図15の符号601参照)。
【0038】
さらに、その後、図16に示すように、時刻13:20には、再び、ルータXとルータYとは通信可能距離を超えてしまうので、ルータXとルータYとの間に接続線は引かれない。この場合も、ルータXとルータYとの間の通信は不能であることをその日時とともに表示することができる(図16の符号602参照)。
このように、シミュレーション結果情報16を時間経過とともにアニメーションのように連続で表示する。即ち、ルータX,Yの移動とともに、ルータX,Y間で接続線100が現れたり消えたりするように表示することで、何時頃、どの場所で通信ができなくなるか確認(予測)することができる。もっとも、通信可能状態の表示はかかる接続線表示に限定されず、他の表示方法を用いることもできる。なお、シミュレーション結果情報16は、シミュレーション結果情報記憶部1−6に保存されているので、何度でも再生可能であり、一次停止なども可能となる。
【0039】
以上のように、本実施形態によれば、モバイル無線ルータの移動計画(移動ルートや移動開始時刻など)に関する情報(位置情報)と電波到達距離情報とを入力すれば、時間経過に伴いモバイル無線ルータがどのように移動しながらネットワークを形成し、どのような通信状態の変化を辿るか(つまり、アドホックネットワークの移動に伴う通信環境の変化)を予測することができる。したがって、実際にモバイル無線ルータを現地で移動させてアドホックネットワークを構築する前に、通信状態を把握(予測)することができるため、現地で通信可能な地点を調査する必要がなく、また、評価にかかる時間も大幅に短縮することができるため、人件費、設備費を抑えることができる。
【0040】
〔B〕第2実施形態の説明
図17は本発明の第2実施形態としての通信シミュレーション装置の構成を示す機能ブロック図で、この図17に示す通信シミュレーション装置1−11は、第1実施形態にて上述したものに比して、シミュレーション情報通信部2−1,ルータ向けシミュレーション情報(全ルータ分)記憶部2−2及び通知情報定義情報記憶部2−8が付加されている。なお、この図17において、符号2−3はモバイル無線ルータを示し、符号2−7はこのモバイル無線ルータ2−3に有線あるいは無線により接続されるPCやPDA等のIP通信が可能な通信装置(IP装置)を示しており、モバイル無線ルータ2−3は、ルータ本体部2−4,通信可否通知判定部2−5及びルータ向けシミュレーション情報(自ルータ分)記憶部2−6をそなえて構成されている。
【0041】
なお、シミュレーション表示部1−1、シミュレーション管理部1−2、ルータ固定情報入力部1−3、ルータ情報管理部1−4、ルータ移動計画情報入力部1−5、シミュレーション結果情報記憶部1−6、ルータ固定情報記憶部1−7、ルータ移動計画情報記憶部1−8、ルータ位置情報記憶部1−9については、特に断らない限り、第1実施形態にて上述したものと同一若しくは同様のものである。
【0042】
ここで、通信シミュレーション装置1−11において、シミュレーション情報通信部2−1は、シミュレーション管理部1−2を介して取得したシミュレーション結果情報16を基に、ルータ向けシミュレーション情報(全ルータ分)22を作成する機能を有するものである。また、このルータ向けシミュレーション情報(全ルータ分)22からルータ向けシミュレーション情報(自ルータ分)26をルータ識別子毎に作成し、各ルータ識別子をもつモバイル無線ルータ2−3に送信する機能も有している。つまり、本シミュレーション情報通信部2−1は、シミュレーション結果情報16をモバイル無線ルータ2−3へ送信するシミュレーション結果送信手段としての機能を果たすのである。
【0043】
通知情報定義情報記憶部2−8は、モバイル無線ルータ2−3がIP装置2−7にどういう契機でどのような通知を行なうかを定義した情報(通知情報定義情報)28を記憶するものである。
なお、上記のルータ向けシミュレーション情報(全ルータ分)22とは、例えば図18に示すように、全ルータのルータ識別子毎に、シミュレーション結果情報16に登録されている時刻に、モバイル無線ルータ2−3がIP装置2−7に通知する情報(種別Z1、種別Z2、種別Z3等)を記載した情報であり、ルータ向けシミュレーション情報(全ルータ分)記憶部2−2に記憶される。
【0044】
また、上記のルータ向けシミュレーション情報(自ルータ分)26とは、例えば図19に示すように、シミュレーション結果情報16に登録されている時刻に自ルータ2−3に接続しているIP装置2−7に通知する情報(種別Z1、種別Z2、種別Z3等)を記載した情報であり、モバイル無線ルータ2−3のルータ向けシミュレーション情報(自ルータ分)記憶部2−6に保存される。
【0045】
一方、図17に示すモバイル無線ルータ2−3において、ルータ本体部2−4は、一般的なモバイル無線ルータの本体であり、無線通信機能やWebサーバ等の公知の機能を有し、前記無線通信機能により通信シミュレーション装置1−11(シミュレーション情報通信部2−1)からシミュレーション結果情報16を受信することができ、また、Web(ウェブ)サーバとしての機能により、自ルータ2−3に接続しているIP装置2−7(2台以上接続される場合もある)に対して、受信したシミュレーション結果情報16に基づく自ルータ2−3の通信状態の変化(切断、復旧等)の予測を通知(提示)することができるようになっている。
【0046】
つまり、このルータ本体部2−4は、通信シミュレーション装置1−11でのシミュレーション結果を通信シミュレーション装置1−11から受信する受信手段としての機能と、この受信手段で受信したシミュレーション結果に基づいて、自己の通信状態の変化予測を自己に接続している他のIP装置2−7に提示する通信状態予測提示手段としての機能を果たすものである。
【0047】
通信可否通知判定部2−5は、定期的にルータ向けシミュレーション情報(自ルータ分)記憶部2−6におけるルータ向けシミュレーション情報(自ルータ分)26を参照し、参照した時刻に通知情報が記載されているか判定し、記載されていれば記載内容に沿った通知をルータ本体部2−4経由で当該モバイル無線ルータ2−3に接続している全てのIP装置2−7に通知する機能を有するものである。
【0048】
ルータ向けシミュレーション情報(自ルータ分)記憶部2−6は、通信シミュレーション装置1−11から送信されてくる上記ルータ向けシミュレーション情報(自ルータ分)26を記憶、保存するものである。
・動作概要
以下、上述のごとく構成された本実施形態の通信シミュレーション装置1−11,モバイル無線ルータ2−3及びIP装置2−7の動作(処理の流れ)について説明する。
【0049】
まず、シミュレーション管理者1−10より、シミュレーションデータ送信要求を通信シミュレーション装置1−11において、シミュレーション情報通信部2−1が受け取ると、当該シミュレーション情報通信部2−1は、シミュレーション管理部1−2を介してシミュレーション結果情報記憶部1−6からシミュレーション結果情報16を取得する。
シミュレーション情報通信部2−1は、通知情報定義情報記憶部2−8における通知情報定義情報28に基づき、ルータ向けシミュレーション情報(全ルータ分)22(図18参照)を作成する。シミュレーション情報通信部2−1は、作成した情報をモバイル無線ルータ2−3に送信する。このときモバイル無線ルータ2−3に送信する情報は、当該モバイル無線ルータ2−3のルータ識別子が付与された情報のみである。
【0050】
モバイル無線ルータ2−3は、上記情報を受信すると、当該受信情報を、ルータ本体部2−4を介して通信可否通知判定部2−5に渡す。通信可否通知判定部2−5は、渡された情報をルータ向けシミュレーション情報(自ルータ分)26(図19参照)としてルータ向けシミュレーション情報(自ルータ分)記憶部2−6に保存する。
通信可否通知判定部2−5は、定期的に当該記憶部2−6におけるルータ向けシミュレーション情報(自ルータ分)26を参照し、参照した時刻の通信種別に記述があれば、その記述に沿った通知をルータ本体部2−4経由でIP装置2−7に対して行なう。
【0051】
・具体例
次に、第1実施形態にて上述したシミュレーションの結果に基づき、ルータX及びルータYが、実際にA地点からB地点にIP通信を行ないながら別々のルートで移動している例について説明する。
まず、第1実施形態で作成されシミュレーション結果情報記憶部1−6に保存されているシミュレーション結果情報16からモバイル無線ルータ2−3に送信する情報を作成する例を図20に示す。
【0052】
シミュレーション管理者1−10からモバイル無線ルータ2−3へのシミュレーション情報転送要求をシミュレーション情報通信部2−1が受け取ると、シミュレーション情報通信部2−1は、シミュレーション管理部1−2を介してシミュレーション結果情報記憶部1−6からシミュレーション結果情報16を取得する。
シミュレーション情報通信部2−1は、通知情報定義情報記憶部2−8における通知情報定義情報28に記載されているルールに従い、ルータ向けシミュレーション情報(全ルータ分)22を作成する。このルータ向けシミュレーション情報(全ルータ分)22の作成方法を以降に説明する。
【0053】
シミュレーション結果情報16のルータ識別子(IPアドレス)“10.43.206.190”の日時“2004/07/12 13:00”の通信可能ルータ識別子を参照すると、通信可能ルータ識別子が存在しないことが分かる。つまり切断中である。通知情報定義情報28を参照すると、「現在切断中で10分後に通信可能ルータがある場合は復旧を通知」と記載されているので、日時“2004/07/12 13:10”の通信可能ルータ識別子を参照すると、IPアドレスが記載されているので、通知情報としては「13:10に復旧」となる。よって、ルータ向けシミュレーション情報(全ルータ分)22のルータ識別子“10.43.206.190”の日時“2004/07/12 13:00”の通知情報は「復旧,13:10」となる。
【0054】
これらの処理を全時刻分、全ルータ識別子分行なう。
ルータ向けシミュレーション情報(全ルータ分)22の作成が完了すると、シミュレーション情報通信部2−1は、例えば、IPアドレス“10.43.206.190”のルータXの分のみをルータXに送信する。
ルータXは、情報を受信すると、ルータ本体部2−4を介して通信可否通知判定部2−5に情報を渡し、通信可否通知判定部2−5は、その情報をルータ向けシミュレーション情報(自ルータ分)26としてルータ向けシミュレーション情報(自ルータ分)記憶部2−6に保存する。
【0055】
次に、ルータ向けシミュレーション情報(自ルータ分)26を基に、ルータXが接続しているIP装置2−7に情報通知する仕組みの例を図21に示す。
ルータXは、ルータ向けシミュレーション情報(自ルータ分)26の時刻間隔を当該情報受信時に記録し、その時刻間隔で当該情報を参照する。例えば、現在時刻が図21にあるように“2004/07/12 13:10”だったとすると、通信可否通知判定部2−5は、通知情報に「切断,13:20」と記載されているので、例えば「13:20頃に他ルータとの通信が切断されます。」というHTML(Hyper Text Markup Language)ファイル2−13を作成し、これをウェブ(Web)サーバ2−10により公開する。近年のほとんどのルータはメンテナンス用にWebサーバ2−10を搭載しているため、その機能を利用することができる。
【0056】
IP装置2−7では、Webブラウザ2−11を常に起動しておき、当該HTMLファイル2−13のURLのページを開いておく。HTMLファイル2−13に自ページを定期的に更新するスクリプトを組み込んでおくことで、IP装置2−7のWebブラウザ2−11では当該URLが定期的に更新されるため、IP装置2−7の利用者はメッセージが変わっても、その旨を自らWebブラウザ2−11を操作しなくても知ることができる。もっとも、Webサーバ2−10、Webブラウザ2−11をあえても利用しなくても、公知の通信機能を用いて通信状態の変化予測をIP装置2−7へ通知することは実現可能である。
【0057】
なお、ルータXがルータYと通信接続/切断を繰り返しながら移動するとき、ルータXに接続するIP装置2−7にどのようにメッセージが表示されるか、図22〜図25に表示イメージを示す。
即ち、図22では現在時刻が13:00の時に「13:10頃他ルータとの通信が復旧します。」とのメッセージがWebブラウザ2−11に表示され、図23では現在時刻が13:10の時に「13:20頃他ルータとの通信が切断されます。」とのメッセージがWebブラウザ2−11に表示され、図24では、図21にあるルータ向けシミュレーション情報(自ルータ分)26の現在時刻13:20に通知情報のエントリがない(つまり、10分後には通信状態に変化がない)ので、Webブラウザ2−11にメッセージは表示されない。もっとも、この場合、通信状態に変化がない旨をメッセージとして表示してもよい。図25では現在時刻が13:30の時に「13:40頃他ルータとの通信が復旧します。」とのメッセージがWebブラウザ2−11に表示される。
【0058】
以上のように、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果が得られるほか、予めシミュレーション結果を知らない利用者でも、IP装置2−7をアドホックネットワーク(モバイル無線ルータ2−3)に接続することで、移動に伴うアドホックネットワークの通信状態の変化を予測することができるようになるため、アドホックネットワークを使った作業を計画的に行なうことができるようになる。
【0059】
〔C〕変形例の説明
上述した実施形態では、いずれもシミュレーション結果情報16を表示する際、モバイル無線ルータの電波到達距離は当該ルータの移動に伴って変化していない(一定である)が、当該ルータの送信電力制御機能によって電波到達距離が変化する場合には、これも併せて表示することができる。ここで、送信電力制御機能は、例えば、CDMA方式を採用する移動通信システムやアドホックモードを有する移動端末におけるものと同等の機能を採用することで実現できる。
【0060】
即ち、ルータは、パイロット信号や管理メッセージ(ビーコンメッセージ)を周囲に送信することにより通信エリアを形成するが、受信側ルータでの当該パイロット信号や管理メッセージ(ビーコンメッセージ)の受信電力が所定電力よりも低い場合、送信側ルータへ送信電力を上げるよう要求し、送信側ルータは当該要求に応じてパイロット信号や管理メッセージ(ビーコンメッセージ)の送信電力を上げることができる。
【0061】
このような場合、シミュレーション管理部1−2は、例えば図26〜図29に示すように、ルータの移動に伴って電波到達距離(通信可能エリア)の変化も併せてシミュレーション表示部1−1に表示させることができる。
即ち、図26に示すように、ルータXとルータYとが最大送信電力でも互いの電波到達距離内に存在しないことがルータ位置情報19により予測されている場合には、送信電力を零あるいは車両周辺のみをカバーする送信電力に抑え(符号400,500参照)、その後、図27に示すように、各ルータX,Yの移動に伴って互いが接近して最大電波到達距離内に位置することが予測されれば、その位置において各ルータX,Yの送信電力制御により送信電力が増大して各ルータX,Yの電波到達距離(通信可能エリア)400,500を拡大して表示する。このとき、各ルータX,Yが互いに通信可能な状態であれば、前述したごとく例えば各ルータX,Y間に接続線100も表示される。
【0062】
さらにその後、各ルータX,Yの移動に伴って再び互いの電波到達距離外に各ルータX,Yが離れると、図26に示す場合と同様に、通信可能エリア400,500を縮小表示し、同様に、図29に示すように、各ルータX,Yの移動に伴って互いが接近すると、その位置において各ルータX,Yの通信可能エリア400,500を拡大表示する。
このように、本変形例では、ルータX(又はY)が、他のルータY(又はX)との距離に応じて変化する受信電力に応じて自己の送信電力を変化させる送信電力制御機能を有する場合に、シミュレーション結果として、それぞれの通信可能距離を他のルータとの距離に応じて変化させて表示することができる。即ち、各ルータX,Yの移動表示に伴って、各ルータX,Yの位置情報に基づいて、各ルータX,Yの通信可否の時間変化、および、各ルータX,Yの送信電力制御による通信可能エリア400,500の変化も併せて表示することができる。したがって、ルータX,Yの電力消費量を予測することが可能となり、ルータX,Yに最低限必要なバッテリ量を予測することが可能となる。
【0063】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、一時的なネットワークを構成するネットワーク装置がモバイル無線ルータである場合について説明したが、本発明は同等のネットワークを形成可能な無線装置であれば同様に適用され、上述した実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0064】
また、上述した実施形態では、2台のルータが別々の移動ルート200,300を移動する場合のシミュレーションについて説明したが、本発明は、3台以上のルータがそれぞれ別々のルートあるいは一部又は全部のルータが同じルートを移動する場合にも同様に適用され、上述した実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
〔D〕付記
(付記1)
複数の移動可能なネットワーク装置で構成されるネットワークの、該ネットワーク装置の移動に伴う該ネットワークの通信環境の変化をシミュレーションする通信シミュレーション装置であって、
少なくとも該ネットワーク装置の通信可能距離情報と該ネットワーク装置の移動ルートを特定する位置情報とを入力する入力手段と、
該入力手段により入力された該通信可能距離情報及び該位置情報に基づいて、該移動ルート上での該ネットワーク装置の移動に伴う該ネットワーク装置間の通信状態の変化をシミュレーションするシミュレーション管理手段と、
該シミュレーション管理手段によるシミュレーション結果を提示する提示手段とをそなえたことを特徴とする、通信シミュレーション装置。
【0065】
(付記2)
該シミュレーション結果提示手段が、
該シミュレーション結果に基づいて、該ネットワーク装置の該移動ルート上の移動とともに該ネットワーク装置間の通信可否の変化を表示するシミュレーション表示手段として構成されていることを特徴とする、付記1記載の通信シミュレーション装置。
【0066】
(付記3)
該シミュレーション表示手段が、
該ネットワーク装置間が通信可能であるときには、当該ネットワーク装置間に接続線を引いてその旨を表示するように構成されたことを特徴とする、付記2記載の通信シミュレーション装置。
【0067】
(付記4)
該シミュレーション表示手段が、
該通信可能距離情報に応じた該ネットワーク装置の通信可能距離を併せて表示するように構成されたことを特徴とする、付記2又は付記3に記載の通信シミュレーション装置。
(付記5)
該ネットワーク装置が、他のネットワーク装置との距離に応じて変化する受信電力に応じて自己の送信電力を変化させる送信電力制御機能を有する場合に、
該シミュレーション表示手段が、
該位置情報に基づいて、該通信可能距離を上記他のネットワーク装置との距離に応じて変化させて表示するように構成されたことを特徴とする、付記4記載の通信シミュレーション装置。
【0068】
(付記6)
該入力手段が、
地図表示上での該移動ルートをなぞる操作により該移動ルートを特定する該位置情報の集合が入力されるように構成されたことを特徴とする、付記1記載の通信シミュレーション装置。
【0069】
(付記7)
該シミュレーション結果を該ネットワーク装置へ送信するシミュレーション結果送信手段をさらにそなえたことを特徴とする、付記1記載の通信シミュレーション装置。
(付記8)
複数の移動可能なネットワーク装置で構成されるネットワークの、該ネットワーク装置の移動に伴う該ネットワークの通信環境の変化を少なくとも該ネットワーク装置の通信可能距離情報と該ネットワーク装置の移動ルートを特定する位置情報とに基づいてシミュレーションする通信シミュレーション装置に接続される該ネットワーク装置であって、
上記シミュレーション結果を該通信シミュレーション装置から受信する受信手段と、
該受信手段で受信した該シミュレーション結果に基づいて、自己の通信状態の変化予測を自己に接続している他の通信装置に提示する通信状態予測提示手段とをそなえたことを特徴とする、ネットワーク装置。
【0070】
(付記9)
複数の移動可能なネットワーク装置で構成されるネットワークの、該ネットワーク装置の移動に伴う該ネットワークの通信環境の変化をシミュレーションする通信シミュレーション方法であって、
少なくとも該ネットワーク装置の通信可能距離情報と該ネットワーク装置の移動ルートを特定する位置情報とに基づいて、該移動ルート上での該ネットワーク装置の移動に伴う該ネットワーク装置間の通信状態の変化をシミュレーションし、
そのシミュレーション結果を提示することを特徴とする、通信シミュレーション方法。
【0071】
(付記10)
該シミュレーション結果結果に基づいて、該ネットワーク装置の該移動ルート上の移動とともに該ネットワーク装置間の通信可否の変化を表示することを特徴とする、付記9記載の通信シミュレーション方法。
(付記11)
該ネットワーク装置間が通信可能であるときには、当該ネットワーク装置間に接続線を引いてその旨を表示することを特徴とする、付記10記載の通信シミュレーション方法。
【0072】
(付記12)
該通信可能距離情報に応じた該ネットワーク装置の通信可能距離を併せて表示するように構成されたことを特徴とする、付記11又は付記12に記載の通信シミュレーション方法。
(付記13)
該ネットワーク装置が、他のネットワーク装置との距離に応じて変化する受信電力に応じて自己の送信電力を変化させる送信電力制御機能を有する場合に、
該位置情報に基づいて、該通信可能距離を上記他のネットワーク装置との距離に応じて変化させて表示することを特徴とする、付記12記載の通信シミュレーション方法。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の第1実施形態としての通信シミュレーション装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】図1に示すルータ固定情報の一例を示す図である。
【図3】図1に示すルータ移動計画情報の一例を示す図である。
【図4】図1に示すルータ位置情報の一例を示す図である。
【図5】図1に示すシミュレーション結果情報の一例を示す図である。
【図6】図1に示すルータ固定情報の一例を示す図である。
【図7】図1に示す通信シミュレーション装置の動作(ルータ移動計画情報入力操作)を説明するための図である。
【図8】図1に示す通信シミュレーション装置の動作(ルータ移動計画情報入力操作)を説明するための図である。
【図9】図1に示す通信シミュレーション装置の動作(ルータ移動計画情報入力操作)を説明するための図である。
【図10】図1に示す通信シミュレーション装置の動作(ルータ移動計画情報入力操作)を説明するための図である。
【図11】図1に示す通信シミュレーション装置の動作を説明すべく図1に示すルータ移動計画情報の具体例を示す図である。
【図12】図1に示す通信シミュレーション装置の動作を説明すべく図1に示すルータ位置情報の具体例を示す図である。
【図13】図1に示す通信シミュレーション装置の動作を説明すべく図1に示すシミュレーション結果情報の具体例を示す図である。
【図14】図1に示す通信シミュレーション装置によるシミュレーション結果の表示例を示す図である。
【図15】図1に示す通信シミュレーション装置によるシミュレーション結果の表示例を示す図である。
【図16】図1に示す通信シミュレーション装置によるシミュレーション結果の表示例を示す図である。
【図17】本発明の第2実施形態としての通信シミュレーション装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図18】図17に示すルータ向けシミュレーション情報(全ルータ分)の一例を示す図である。
【図19】図17に示すルータ向けシミュレーション情報(自ルータ分)の一例を示す図である。
【図20】図17に示す通信シミュレーション装置で用いられるシミュレーション結果情報,ルータ向けシミュレーション情報(全ルータ分),ルータ向けシミュレーション情報(自ルータ分)及び通知情報定義情報の具体例を示す図である。
【図21】図1に示すモバイル無線ルータが通信シミュレーション装置からシミュレーション結果情報を受けて自ルータに接続しているIP装置に通信状態の変化予測を通知する動作を説明するための図である。
【図22】図1に示すモバイル無線ルータが通信シミュレーション装置からシミュレーション結果情報を受けて自ルータに接続しているIP装置に通信状態の変化予測を通知する動作を説明するための図である。
【図23】図1に示すモバイル無線ルータが通信シミュレーション装置からシミュレーション結果情報を受けて自ルータに接続しているIP装置に通信状態の変化予測を通知する動作を説明するための図である。
【図24】図1に示すモバイル無線ルータが通信シミュレーション装置からシミュレーション結果情報を受けて自ルータに接続しているIP装置に通信状態の変化予測を通知する動作を説明するための図である。
【図25】図1に示すモバイル無線ルータが通信シミュレーション装置からシミュレーション結果情報を受けて自ルータに接続しているIP装置に通信状態の変化予測を通知する動作を説明するための図である。
【図26】第1及び第2実施形態の変形例としてモバイル無線ルータの移動に伴って電波到達距離の変化も併せて表示する例を示す図である。
【図27】第1及び第2実施形態の変形例としてモバイル無線ルータの移動に伴って電波到達距離の変化も併せて表示する例を示す図である。
【図28】第1及び第2実施形態の変形例としてモバイル無線ルータの移動に伴って電波到達距離の変化も併せて表示する例を示す図である。
【図29】第1及び第2実施形態の変形例としてモバイル無線ルータの移動に伴って電波到達距離の変化も併せて表示する例を示す図である。
【符号の説明】
【0074】
1−1 シミュレーション表示部(シミュレーション結果提示手段、シミュレーション表示手段)
1−2 シミュレーション管理部
1−3 ルータ固定情報入力部(入力手段)
1−4 ルータ情報管理部
1−5 ルータ移動計画情報入力部(入力手段)
1−6 シミュレーション結果情報記憶部
1−7 ルータ固定情報記憶部
1−8 ルータ移動計画情報記憶部
1−9 ルータ位置情報記憶部
1−10 シミュレーション管理者
1−11 通信シミュレーション装置
2−1 シミュレーション情報通信部(シミュレーション結果送信手段)
2−2 ルータ向けシミュレーション情報(全ルータ分)
2−3 モバイル無線ルータ(ネットワーク装置)
2−4 ルータ本体部(受信手段、通信状態予測提示手段)
2−5 通信可否通知判定部
2−6 ルータ向けシミュレーション情報(自ルータ分)記憶部
2−7 通信装置(IP装置)
2−8 通知情報定義情報記憶部
2−9 無線通信/ルータ部
2−10 ウェブ(Web)サーバ
2−11 ウェブ(Web)ブラウザ
2−13 HTMLファイル
16 シミュレーション結果情報
17 ルータ固定情報
18 ルータ移動計画情報
19 ルータ位置情報
22 ルータ向けシミュレーション情報(全ルータ分)
26 ルータ向けシミュレーション情報(自ルータ分)
28 通知情報定義情報
100 接続線
101 入力画面
200,300 経路(移動ルート)
400,500 電波到達距離(通信可能エリア)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動可能なネットワーク装置で構成されるネットワークの、該ネットワーク装置の移動に伴う該ネットワークの通信環境の変化をシミュレーションする通信シミュレーション装置であって、
少なくとも該ネットワーク装置の通信可能距離情報と該ネットワーク装置の移動ルートを特定する位置情報とを入力する入力手段と、
該入力手段により入力された該通信可能距離情報及び該位置情報に基づいて、該移動ルート上での該ネットワーク装置の移動に伴う該ネットワーク装置間の通信状態の変化をシミュレーションするシミュレーション管理手段と、
該シミュレーション管理手段によるシミュレーション結果を提示する提示手段とをそなえたことを特徴とする、通信シミュレーション装置。
【請求項2】
該シミュレーション結果提示手段が、
該シミュレーション結果に基づいて、該ネットワーク装置の該移動ルート上の移動とともに該ネットワーク装置間の通信可否の変化を表示するシミュレーション表示手段として構成されていることを特徴とする、請求項1記載の通信シミュレーション装置。
【請求項3】
該シミュレーション表示手段が、
該ネットワーク装置間が通信可能であるときには、当該ネットワーク装置間に接続線を引いてその旨を表示するように構成されたことを特徴とする、請求項2記載の通信シミュレーション装置。
【請求項4】
複数の移動可能なネットワーク装置で構成されるネットワークの、該ネットワーク装置の移動に伴う該ネットワークの通信環境の変化を少なくとも該ネットワーク装置の通信可能距離情報と該ネットワーク装置の移動ルートを特定する位置情報とに基づいてシミュレーションする通信シミュレーション装置に接続される該ネットワーク装置であって、
上記シミュレーション結果を該通信シミュレーション装置から受信する受信手段と、
該受信手段で受信した該シミュレーション結果に基づいて、自己の通信状態の変化予測を自己に接続している他の通信装置に提示する通信状態予測提示手段とをそなえたことを特徴とする、ネットワーク装置。
【請求項5】
複数の移動可能なネットワーク装置で構成されるネットワークの、該ネットワーク装置の移動に伴う該ネットワークの通信環境の変化をシミュレーションする通信シミュレーション方法であって、
少なくとも該ネットワーク装置の通信可能距離情報と該ネットワーク装置の移動ルートを特定する位置情報とに基づいて、該移動ルート上での該ネットワーク装置の移動に伴う該ネットワーク装置間の通信状態の変化をシミュレーションし、
そのシミュレーション結果を提示することを特徴とする、通信シミュレーション方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2006−165870(P2006−165870A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−352754(P2004−352754)
【出願日】平成16年12月6日(2004.12.6)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】