説明

通信ネットワークシステム、通信ネットワークシステムにおけるトラフィック軽減方法、通信制御装置およびその制御方法と制御プログラム、および、通信端末

【課題】本来であれば通信端末と通信端末との間で交換する端末能力交換を呼セッション制御機能部にて終端することにより、トラフィックを軽減すること。
【解決手段】IMSネットワークを含む通信ネットワークシステムであって、呼セッション制御機能(CSCF)部と、呼セッション制御機能部の処理領域に在圏する通信端末とを備え、呼セッション制御機能部は、通信端末の能力情報を前記通信端末に対応付けて登録する登録部と、登録部に登録された能力情報を用いて、呼セッション制御機能部を介した通信端末への能力情報の問い合わせに対する応答を、通信端末に代替して行なう代替部と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IMS(IP Multimedia Subsystem)を含む通信ネットワークシステムにおけるトラフィック軽減技術に関する。
【背景技術】
【0002】
上記技術分野において、特許文献1に示されているように、通信を行なう端末と端末とが、複数のIMSを経由してOPTIONSメッセージによって相手端末との端末能力情報交換をする技術が知られている。また、特許文献2には、S−SCSF(サービング・呼セッション制御機能:Serving call session control function)がIMSクライアントの機能情報を保持することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2008-546347号公報
【特許文献2】特開2010-239292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、端末と端末との間の頻繁な能力情報交換が実施されるため、トラフィックが増大する可能性がある。その結果、VoIP(Voice over Internet Protocol)などによる他サービスに影響を与えることが想定される。一方、特許文献2では、保持されているIMSクライアントの機能情報はルーティングに使用するのみである。したがって、上記文献に記載の技術では、上記トラフィックの増大を改善することができなかった。
【0005】
本発明の目的は、上述の課題を解決する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係るシステムは、
IMS(IP Multimedia Subsystem)ネットワークを含む通信ネットワークシステムであって、
呼セッション制御機能(CSCF:call session control function)部と、
前記呼セッション制御機能部の処理領域に在圏する通信端末と、
を備え、
前記呼セッション制御機能部は、
前記通信端末の能力情報を前記通信端末に対応付けて登録する登録手段と、
前記登録手段に登録された能力情報を用いて、前記呼セッション制御機能部を介した前記通信端のう末への能力情報の問い合わせに対する応答を、前記通信端末に代替して行なう代替手段と、
を有することを特徴とする。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る方法は、
IMS(IP Multimedia Subsystem)ネットワークを含む通信ネットワークシステムにおけるトラフィック軽減方法であって、前記通信ネットワークシステムが、呼セッション制御機能(CSCF:call session control function)部と、前記呼セッション制御機能部の処理領域に在圏する通信端末と、を備え、
前記呼セッション制御機能部が、前記通信端末の能力情報を前記通信端末に対応付けて登録手段に登録する登録ステップと、
前記呼セッション制御機能部が、前記登録手段に登録された能力情報を用いて、前記呼セッション制御機能部を介した前記通信端末への能力情報の問い合わせに対する応答を、前記通信端末に代替して行なう代替ステップと、
を含むことを特徴とする。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る装置は、
IMS(IP Multimedia Subsystem)ネットワークを含む通信ネットワークシステムにおいて呼セッション制御機能を果たす通信制御装置であって、
通信端末の能力情報を前記通信端末に対応付けて登録する登録手段と、
前記登録手段に登録された能力情報を用いて、前記通信制御装置を介した前記通信端末への能力情報の問い合わせに対する応答を、前記通信端末に代替して行なう代替手段と、
を有することを特徴とする。
【0009】
IMS(IP Multimedia Subsystem)ネットワークを含む通信ネットワークシステムにおいて呼セッション制御機能を果たす通信制御装置の制御方法であって、
通信端末の能力情報を前記通信端末に対応付けて登録手段に登録する登録ステップと、
前記登録手段に登録された能力情報を用いて、前記通信制御装置を介した前記通信端末への能力情報の問い合わせに対する応答を、前記通信端末に代替して行なう代替ステップと、
を含むことを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係るプログラムは、
IMS(IP Multimedia Subsystem)ネットワークを含む通信ネットワークシステムにおいて呼セッション制御機能を果たす通信制御装置の制御プログラムであって、
通信端末の能力情報を前記通信端末に対応付けて登録手段に登録する登録ステップと、
前記登録手段に登録された能力情報を用いて、前記通信制御装置を介した前記通信端末への能力情報の問い合わせに対する応答を、前記通信端末に代替して行なう代替ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る装置は、
IMS(IP Multimedia Subsystem)ネットワークを含む通信ネットワークシステムに呼セッション制御機能(CSCF:call session control function)部を介して接続された通信端末であって、
在圏登録時に、登録リクエスト(REGISTER REQUEST)のメッセージに前記通信端末の能力情報を付加する付加手段と、
前記通信端末の能力情報が付加された前記登録リクエストを前記呼セッション制御機能部に送信する送信手段と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、本来であれば通信端末と通信端末との間で交換する端末能力交換を呼セッション制御機能部にて終端することにより、トラフィック軽減ができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係る通信ネットワークシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る通信ネットワークシステムの構成を示すブロック図である。
【図3A】本発明の第2実施形態に係る通信ネットワークシステムの端末能力の登録および問合せの動作手順を示すシーケンス図である。
【図3B】本発明の第2実施形態に係る通信ネットワークシステムの端末能力問合せの動作手順を示すシーケンス図である。
【図4A】本発明の第2実施形態に係る登録リクエストの構成を示す図である。
【図4B】本発明の第2実施形態に係る登録レスポンスの構成を示す図である。
【図5A】本発明の第2実施形態に係る端末能力問合リクエストの構成を示す図である。
【図5B】本発明の第2実施形態に係る端末能力問合レスポンスの構成を示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るサービング・呼セッション制御機能(S−CSCF)部の機能構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係るサービング・呼セッション制御機能(S−CSCF)部のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る端末能力登録テーブルの構成を示す図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係るサービング・呼セッション制御機能(S−CSCF)部の処理手順を示すフローチャートである。
【図10A】本発明の第2実施形態に係る登録(REGISTER)処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図10B】本発明の第2実施形態に係る端末能力問合(OPTIONS)に対する端末能力代替応答処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図11A】本発明の第2実施形態に係る通信端末の機能構成を示すブロック図である。
【図11B】本発明の第2実施形態に係る通信端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る通信端末の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第3実施形態に係る通信ネットワークシステムの端末能力の登録および問合せの動作手順を示すシーケンス図である。
【図14】本発明の第4実施形態に係る通信ネットワークシステムの端末能力の登録および問合せの動作手順を示すシーケンス図である。
【図15】本発明の第5実施形態に係る通信ネットワークシステムの構成を示すブロック図である。
【図16】本発明の第5実施形態に係る通信ネットワークシステムの端末能力の登録および問合せの動作手順を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施の形態に記載されている構成要素は単なる例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0015】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態としての通信ネットワークシステム100について、図1を用いて説明する。通信ネットワークシステム100は、IMS(IP Multimedia Subsystem)ネットワーク101を含むシステムである。
【0016】
図1に示すように、通信ネットワークシステム100は、呼セッション制御機能(CSCF:call session control function)部110と、呼セッション制御機能部110の処理領域に在圏する通信端末121〜123と、を含む。そして、呼セッション制御機能部110は、通信端末121〜123の能力情報を通信端末121〜123に対応付けて登録する登録部111と、登録部111に登録された能力情報を用いて、呼セッション制御機能部110を介した通信端末121〜123への能力情報の問い合わせに対する応答を、通信端末121〜123に代替して行なう代替部112と、を有する。
【0017】
本実施形態によれば、本来であれば通信端末と通信端末との間で交換する端末能力交換を呼セッション制御機能部にて終端することにより、トラフィック軽減ができる。
【0018】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る通信ネットワークシステムについて説明する。まず、本実施形態の概要を示す。
【0019】
《本実施形態の概要》
VoIPをはじめとするマルチメディアサービスを提供するIMSネットワークにおいて、通信端末間で能力交換のための信号送受信を実施することが、GSMA RCS(R1-4)、RCS-e(v1.1)(Global System for Mobile communications Association, Revision Control System)などの標準勧告にて規定されている。通信端末の電話帳に記載されたすべての通信端末に対してこのような信号の送受信が実施される場合があり、トラフィックの増大によりVoIPサービスに影響を及ぼすことが想定される。
【0020】
本実施形態では、通信端末間の能力交換実施時に、通信端末間で流通している信号をネットワークノードで終端することにより、IMSネットワークにおけるトラフィックを軽減することを可能とする。たとえば、3GPP(Third Generation Partnership Project) TS24.229(v11.00)に従い、通信端末UE(User Equipment)_Aの位置登録(REGISTER)時に、S−CSCF(Serving call session control function)_Aが通信端末から付与されたその通信端末の能力を示す能力情報を保持する。通信端末UA_Bからの能力交換信号を受信したS−CSCF_Aは、本来であれば信号を通信端末UA−A向けに透過する。しかしながら、本実施形態では能力交換信号をS−CSC_Aで終端し、REGISTER時に取得して保持している通信端末UA_Aの能力情報を通信端末UA_B向けにレスポンス信号として送出する。
【0021】
本実施形態によれば、能力交換時における、着側のS−CSCF_Aを経由して通信端末UA_Aまで送出されるリクエスト信号および通信端末UA_AからS−CSCFへのレスポンス信号を削減することが可能となる。
【0022】
《通信ネットワークシステムの構成》
図2は、本実施形態に係る通信ネットワークシステム200の構成を示すブロック図である。なお、本実施形態では、IMSネットワーク201によってVoIPなどマルチメディアサービスを実現する場合を対象とする。
【0023】
図2において、IMSネットワーク201には、2つのサービスエリアに対してそれぞれセッション制御を行なうCSCF(call session control function)が配置されている。CSCF(call session control function)には、上記S−CSCFの他にI−CSCFとP−CSCFとがある。また、HSSが接続されている。各機能構成部の機能概要は下記の通りである(3GPP TS29.228参照)。
【0024】
S−CSCFは、セッション制御を行なうサービング・呼セッション制御機能(Serving call session control function)である。HSSから取得した加入者情報を基に呼制御を行う。また、位置登録(認証含む)やルーティング、サービス制御を行うSIP(Session Initiation Protocol)セッション制御サーバである。
【0025】
また、P−CSCFは、通信端末がアクセスするプロキシ・呼セッション制御機能(Proxy call session control function)である。通信端末からのアクセスポイントとして、SIP信号をS−CSCFへ転送するセッション制御サーバである。
【0026】
また、I−CSCFは、他のネットワークとのゲートウェイ機能を持つインテロゲイティング・セッション制御機能(Interogatinge call session control function)である。他のIPネットワークとのインタフェースをもち、入呼の場合はS−CSCFへのルーティングを行って、他のネットワークへの接続時にはネットワークトポロジーの隠蔽を行う。
【0027】
また、HSSは、サービスエリアをホームとする加入者を登録するホーム加入者サーバ(HSS:Home Subscriber Server)である。格納されている加入者データを用いて、認証情報やサービス情報、ルーティング情報の提供を行う。
【0028】
図2においては、2つのサービスエリアにサービスを提供するそれぞれを、P−CSCF_A(210−A)、S−CSCF_A(220−A)、I−CSCF_A(230−A)、HSS_A(240−A)の組みと、P−CSCF_A(210−A)、S−CSCF_A(220−A)、I−CSCF_A(230−A)、HSS_A(240−A)の組みと、で表わしている。なお、サービスエリアの数を2つとしたのは説明を簡略化するためであって、2つに限定されるものではない。
【0029】
それぞれ、P−CSCF_A(210−A)には、IPコアネットワーク202−Aを介して、このサービスエリアに在圏する通信端末251〜253が接続されている。また、P−CSCF_B(210−B)には、IPコアネットワーク202−Bを介して、このサービスエリアに在圏する通信端末261〜263が接続されている。この内、通信端末251と252とは、P−CSCF_A(210−A)とS−CSCF_A(220−A)とを経由して、サービスエリア内での通信が行なわれている。また、通信端末262と263とは、P−CSCF_B(210−B)とS−CSCF_B(220−B)とを経由して、サービスエリア内での通信が行なわれている。一方、通信端末253と261とは、P−CSCF_A(210−A)とS−CSCF_A(220−A)とS−CSCF_B(220−B)とP−CSCF_B(210−B)とを経由して、サービスエリア間での通信が行なわれている。
【0030】
《通信ネットワークシステムの動作手順》
図3Aは、本実施形態に係る通信ネットワークシステム200の端末能力の登録および問合せの動作手順301を示すシーケンス図である。なお、図3Aにおいては、説明の煩雑さを避けるために、I−CSCFやHSSの動作については削除している。
【0031】
まず、ステップS311において、UE_Aは、在圏登録時にSIP信号の登録リクエスト(SIP_REGISTER)によって、P−CSCF_Aを介してS−CSCF_Aに対して、UE_Aおよびその能力情報の登録を要求する(図4A参照)。ステップS311において、登録リクエストを受信したS−CSCF_Aは、UE_Aの登録処理の実行と共に、受信したUE_Aの能力情報をUE_Aに対応付けて保持する(図8参照)。そして、ステップS315において、UE_Aおよびその能力情報の登録の結果をUE_Aに通知する。なお、図3Aには、正常登録の応答である200_OK(以下、明細書および図面では200OKと記載する)が示されている(図4B参照)。なお、リクエストおよび応答のSIP信号の詳細については、IETF(Internet Engineering Task Force)による技術仕様であるRFC(Request for Comments)3261を参照されたい。
【0032】
その後、所定のタイミングで、UE_Bから、UE_Aの端末能力を問い合わせる能力問合リクエスト(SIP_OPTIONSの1つ)が、P−CSCF_BおよびS−CSCF_Bを経由してサービスエリアA側に送信される(図5A参照)。能力問合リクエストを受信したS−CSCF_Aは、ステップS319において、この能力問合リクエストをUE_Aに透過転送するのではなく終端する。そして、ステップS321において、ステップS313で保持したUE_Aの能力情報を正常応答信号SIP_200OKに付与する。ステップS323においては、UE_Aの能力情報が付与されたSIP_200OKを、S−CSCF_BおよびP−CSCF_Bを経由してUE_Bに返送する。
【0033】
図3Bは、本実施形態に係る通信ネットワークシステム200の端末能力問合せの動作手順302を示すシーケンス図である。図3Bは、通信端末UE_Bがどのようなタイミングで、他機(本実施形態ではUE_A)の通信端末能力を問い合わせるかの数例を示している。したがって、図3BにおいてはUE_Aの処理については簡略化しており、図3Aと同様であるので説明は省略する。また、S−CSCF_Aの処理についても、図3Aと同様であるので簡略化して示す。
【0034】
まず、第1のタイミングは、UE_Bの電源ONのタイミングである。ステップS331において、UE_Bが電源ONされる。ステップS333において、UE_Bは自機に登録されている電話帳などを参照して、他機の端末能力問合を行なう。その一部として、UE_Aへの問合せをSIP_OPTIONSリクエストにより行なう。このSIP_OPTIONSリクエストは、S−CSCF_Aで終端されて、保持されているUE_Aの能力情報が正常応答信号SIP_200OKに付与され、ステップS335においてUE_Bに返送される。
【0035】
次に、第2のタイミングは、UE_Bに設定された所定時間経過毎のタイミングである。ステップS337において、UE_Bは所定時間の経過を監視する。なお、所定経過時間に限定はない。通信回線のトラフィックの状況により変更される。所定時間が経過すると、ステップS339において、他機の端末能力問合を行なう。その一部として、UE_Aへの問合せをSIP_OPTIONSリクエストにより行なう。このSIP_OPTIONSリクエストは、S−CSCF_Aで終端されて、保持されているUE_Aの能力情報が正常応答信号SIP_200OKに付与され、ステップS341においてUE_Bに返送される。所定時間が経過してなければステップS343以降の能力変更時の処理に進む。
【0036】
さらに、第3のタイミングは、UE_Bにおいて、アプリケーションの追加や更新によって能力が変更されたタイミングである。ステップS343において、UE_Bの能力変更を監視する。能力変更があれば、ステップS343およびS345において、S−CSCF_Bに変更された能力情報が登録される。そして、ステップS347において、他機の端末能力問合を行なう。その一部として、UE_Aへの問合せをSIP_OPTIONSリクエストにより行なう。このSIP_OPTIONSリクエストは、S−CSCF_Aで終端されて、保持されているUE_Aの能力情報が正常応答信号SIP_200OKに付与され、ステップS347においてUE_Bに返送される。能力変更が無い場合、あるいは変更処理が終了した場合には、ステップS337に戻って、処理が繰り返される。
【0037】
なお、他機の通信端末能力を問い合わせるタイミングは上記例に限定されない。本実施形態のS−CSCF_Aによる終端と応答の代替とは、どのタイミングにおいても有効である。
【0038】
《登録メッセージ》
以下、図4Aおよび図4Bに従って、端末の登録(REGISTER)処理におけるメッセージの構成を示す。
【0039】
(登録リクエスト)
図4Aは、本実施形態に係る登録リクエスト410の構成を示す図である。なお、本実施形態に関連する部分のみを説明する。他については、IETFによる技術仕様であるRFC3261を参照されたい。
【0040】
図4Aは、図3AのUE_Aに相当する、東京(Tokyo)エリアに在圏する太郎(Taro)の通信端末が、東京エリアのS−CSCF_Aに自機を登録するための登録リクエスト(REGISTER)のフォーマット例である。ここで、411に、通信端末の能力情報が付加されている。
【0041】
図4Aの例では、能力情報として、応答可能なリクエスト(Allow)、応答可能なアプリケーション(Accept)、復号可能な符号化(Accept-Encoding)、利用可能な言語(Accept-Language)、サポートしている変数(Supported)が記述されている。さらに、SDP(service delivery platform)への対応が記述されてよい。
【0042】
なお、通信端末の能力情報については、図4Aに限定されない。例えば、ITU H.245における能力交換情報などを含んでもよい。例えば、多重化能力(MultiplexCapability)、ビデオ符号化能力(VideoCapability)、オーディオ符号化能力(AudioCapability)、各種データ転送プロトコル(DataApplicationCapability)、セキュリティ・暗号化能力(EncryptionCapability)、ユーザ入力メッセージ能力(UserInputCapability)などが含まれる。
【0043】
(登録レスポンス)
図4Bは、本実施形態に係る登録レスポンス420の構成を示す図である。なお、本実施形態に関連する部分のみを説明する。他については、IETFによる技術仕様であるRFC3261を参照されたい。
【0044】
図4Bは、UE_Aの在圏と能力情報との登録処理が、S−CSCF_Aで正常に完了したことを示す、200_OKのフォーマットである。
【0045】
《端末能力問合メッセージ》
次に、端末能力問合せ(OPTIONS)処理におけるメッセージの構成を示す。
【0046】
(端末能力問合リクエスト)
図5Aは、本実施形態に係る端末能力問合リクエスト510の構成を示す図である。なお、本実施形態に関連する部分のみを説明する。他については、IETFによる技術仕様であるRFC3261を参照されたい。
【0047】
図5Aは、図3AのUE_Bに相当する、大坂(Osaka)エリアに在圏する花子(Hanako)の通信端末が、東京エリアに在圏する太郎がの通信端末UE_Aの能力を問い合わせるための、オプションズリクエスト(OPTIONS)のフォーマット例である。
【0048】
(端末能力問合レスポンス)
図5Bは、本実施形態に係る端末能力問合レスポンス520の構成を示す図である。なお、本実施形態に関連する部分のみを説明する。他については、IETFによる技術仕様であるRFC3261を参照されたい。
【0049】
図5Bは、図5AのOPTIONSリクエストをS−CSCF_Aで終端して、S−CSCF_AでUE_Aの能力情報を付加して、代替応答する200_OKのフォーマットである。ここで、521に、通信端末の能力情報が付加されている。能力情報521は図4Aの能力情報411と同様であるので、説明は省略する。
【0050】
なお、図4Aでも記載した如く、通信端末の能力情報については、図4Aに限定されない。例えば、ITU H.245における能力交換情報などを含んでもよい。
【0051】
《S−CSCFの構成》
本実施形態において、通信端末への端末能力問合せを終端して、通信端末に代替して応答する通信制御装置であるS−CSCFの構成について説明する
(機能構成)
図6は、本実施形態に係るサービング・呼セッション制御機能(S−CSCF)部210の機能構成を示すブロック図である。なお、図6では、S−SCSF_Aを代表して説明するが、S−SCSF_Bも同様である。
【0052】
S−SCSF_A(210−A)は、通信端末251〜153との通信をP−CSCF_A(220−A)を介して制御する端末側通信制御部611を有する。また、本実施形態においては、他のサービスエリアにあるS−CSCF_Bとの通信を制御する網側通信制御部612を有する。また、I−SCSF_A(230−A)やHSS_A(240−A)との通信を制御する通信情報通信制御部613を有する。
【0053】
また、端末側通信制御部611または網側通信制御部612を介して受信したSIPリクエストの種別を判別するリクエスト判別部614を有する。リクエスト判別部614の判定により、SIPリクエストがトランザクション開始のための処理を要求するINVITEリクエストと判別された場合は、セッション制御部615がセッションを開始する。なお、本実施形態において、INVITEリクエストは関連が少ないので、詳細な説明は省略する。
【0054】
リクエスト判別部614の判定により、SIPリクエストがREGISTERリクエストと判別された場合は、SIP登録制御部618がリクエスト元の通信端末を在圏端末として登録部619に登録する。同時に、能力情報登録制御部616がREGISTERリクエストに含まれる能力情報を、リクエスト元の通信端末に対応付けて登録部619に登録する。そして、レスポンス生成部617が、処理の結果を応答メッセージとしてリクエスト元の通信端末に返信する。
【0055】
リクエスト判別部614の判定により、SIPリクエストがOPTIONSリクエストで端末能力問合と判別された場合は、レスポンス生成部617が登録部619に登録された情報を応答メッセージ(200OK)に付与してリクエスト元の通信端末に返信する。
【0056】
なお、図6のS−CSCF_Aの機能構成部はその一例であって、これに限定されない。
【0057】
(ハードウェア構成)
図7は、本実施形態に係るサービング・呼セッション制御機能(S−CSCF)部210のハードウェア構成を示すブロック図である。なお、図7には、本実施形態に関連する構成を示し、関連の少ない構成については削除されている。
【0058】
図7で、CPU710は演算制御用のプロセッサであり、プログラムを実行することで図6のS−CSCF_A(210−A)およびS−CSCF_B(210−B)の各機能構成部を実現する。ROM720は、初期データおよびプログラムなどの固定データおよびプログラムを記憶する。また、通信制御部611〜613は図6に示した各通信制御部である。図7のように、1つの通信制御部で構成されてもよい。
【0059】
RAM740は、CPU710が一時記憶のワークエリアとして使用するランダムアクセスメモリである。RAM740には、本実施形態の実現に必要なデータを記憶する領域が確保されている。741は、受信したSIPリクエストメッセージである。742は、判別したリクエスト種別である。743は、REGISTERリクエストに含まれる、リクエスト元の端末IDと登録する端末能力情報とである。744は、受信したSIPリクエストメッセージに対して応答するためのレスポンスメッセージである。745は、OPTIONSリクエストに応答するレスポンスメッセージに記述される、リクエスト元(レスポンス先)の端末IDと応答する端末能力情報である。
【0060】
ストレージ750は、データベースや各種のパラメータ、あるいは本実施形態の実現に必要な以下のデータまたはプログラムが記憶されている。619aは、SIP登録部である。619bは、通信端末IDに対応付けて端末能力情報を登録する端末能力登録部である。619aと619bとは、図6の登録部619に含まれる。751は、リクエストメッセージを判別するために使用すると共に、レスポンスメッセージを生成するために使用するメッセージフォーマットである。
【0061】
ストレージ750には、以下のプログラムが格納される。752には、S−CSCF_A(210−A)およびS−CSCF_B(210−B)の全体を制御する通信制御プログラムが格納される。753には、通信制御プログラム752において、SIPリクエストを判別するリクエスト判別モジュールが格納される。754には、通信制御プログラム752において、SIPリクエストに応答するレスポンスを生成するレスポンス生成モジュールが格納される。755には、通信制御プログラム752において、REGISTERリクエストに含まれる端末能力を登録する端末能力登録モジュールである。
【0062】
なお、図7には、本実施形態に必須なデータやプログラムのみが示されており、本実施形態に関連しないデータやプログラムは図示されていない。
【0063】
(端末能力登録テーブル)
図8は、本実施形態に係る端末能力登録テーブル619bの構成を示す図である。なお、端末能力登録テーブル619bの構成は、図8に限定されない。
【0064】
図8の端末能力登録テーブル619bは、通信端末ID801に対応付けて、図4Aおよび図5Bで上述した、応答可能なリクエスト(Allow)802、応答可能なアプリケーション(Accept)803、復号可能な符号化(Accept-Encoding)804、利用可能な言語(Accept-Language)805、サポートしている変数(Supported)806、SDPへの対応807が記憶されている。
【0065】
なお、図4Aおよび図5Bでも記載した如く、通信端末の能力情報については、図4Aに限定されない。例えば、ITU H.245における能力交換情報などを含んでもよい。
【0066】
《S−CSCFの処理手順》
図9は、本実施形態に係るサービング・呼セッション制御機能(S−CSCF)部の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、図7のCPU710により、RAM740を使用しながら実行され、図6の各機能構成部を実現する。
【0067】
まず、ステップS911においては通信端末からのP−CSCFを介した受信か否かを判定する。また、ステップS921においては、網側あるいは他のS−CSCFからの受信か否かを判定する。いずれでもない場合は、ステップS931において他の処理を行なう。
【0068】
通信端末からの受信であればステップS913に進んで、登録(REGISTER)リクエストか否かを判定する。登録(REGISTER)リクエストであればステップS915に進んで、登録(REGISTER)処理を行なう(図10A参照)。登録(REGISTER)リクエストでなければステップS917に進んで、他のリクエスト処理を行なう。
【0069】
網側あるいは他のS−CSCFからの受信であればステップS923に進んで、OPTIONSリクエストか否かを判定する。OPTIONSリクエストであればステップS925に進んで、通信端末に代わって端末能力の代替応答処理を行なう(図10B)。登録(REGISTER)リクエストでない場合、あるいは端末能力の問合せでない場合は、ステップS927において、他のリクエスト処理を行なう。
【0070】
(登録処理:REGISTER)
図10Aは、本実施形態に係る登録(REGISTER)処理S915の処理手順を示すフローチャートである。
【0071】
まず、ステップS1011において、リクエスト元の通信端末の端末IDを取得してSIP登録部619aに登録する。続いて、ステップS1013において、ユーザIDを取得して登録する。次に、ステップS1015において、現在位置情報を取得して保持する。
【0072】
ステップS1017において、REGISTERメッセージに能力情報が含まれているかを判定する。能力情報が含まれていればステップS1019に進んで、能力情報を取得して端末能力登録テーブル619bに登録する。次に、ステップS1021において、登録処理が正常完了したか否かを判定する。正常完了であればステップS1023に進んで、レスポンス(200OK)をREGISTERリクエスト元の通信端末に返信する。一方、正常完了でなければステップS1025に進んで、REGISTERリクエスト元の通信端末にエラーレスポンスを行なう。
【0073】
(問合せ処理:OPTIONS)
図10Bは、本実施形態に係る端末能力問合(OPTIONS)に対する端末能力代替応答処理S925の処理手順を示すフローチャートである。
【0074】
まず、ステップS1031において、OPTIONSリクエストをした通信端末の端末IDを取得する。ステップS1033においては、取得した端末IDの能力情報が登録されているかを判定する。能力情報が登録されていればステップS1035に進んで、端末能力をレスポンスするメッセージを生成する(図5B参照)。そして、ステップS1037において、問合せ元の通信端末に問合せ先の端末能力を含んだレスポンス(200OK)を返信する。一方、ステップS1033の判定で能力情報が登録されてなければステップS1039に進んで、OPTIONSリクエストの宛先の通信端末に、P−CSCFを介して転送する。
【0075】
《通信端末の構成》
本実施形態における、通信端末の構成について説明する
(機能構成)
図11Aは、本実施形態に係る通信端末251〜253,261〜263の機能構成を示すブロック図である。
【0076】
通信端末251〜253,261〜263は、P−CSCF_A/B(220−A/B)との通信を制御する通信制御部1101を有する。また、通信制御部1101を介して受信したSIPリクエストの種別を判別するリクエスト判別部1102を有する。リクエスト判別部1102の判別したリクエストに対応するレスポンスを生成するレスポンス生成部1103を有する。例えば、OPTIONSリクエストで端末能力問合せであれば、能力情報登録制御部1106の制御により登録1107部に登録された自機の能力情報を返信する。
【0077】
また、通信制御部1101を介して送信するSIPリクエストを生成するリクエスト生成部1104を有する。ここで生成されるSIPリクエストが、本実施形態のREGISTERリクエストの場合は、登録1107部に登録された自機の能力情報を付加して送信する。また、通信制御部1101を介して受信したレスポンスの種別を判定するレスポンス判定部1105を有する。リクエスト生成部1104で生成したSIPリクエストが、本実施形態のOPTINSリクエストの他機の端末能力問合せの場合は、そのレスポンスが200OKであって他機の端末能力情報を有するレスポンスであれば、能力情報登録制御部1106の制御により登録1107部に他機の端末IDに対応付けて登録する。
【0078】
入出力インタフェース1170は、入出力機器との入出力データをインタフェースする。入出力インタフェース1170には、表示部1171、タッチパネル1172、キーボード1173、スピーカ1174、マイク1175、ポインティングデバイス1176が接続される。入出力機器は上記例に限定されない。
【0079】
なお、図11Aの通信端末の機能構成部はその一例であって、これに限定されない。
【0080】
(ハードウェア構成)
図11Bは、本実施形態に係る通信端末251〜253,261〜263のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0081】
図11Bで、CPU1110は演算制御用のプロセッサであり、プログラムを実行することで通信端末の各機能構成部を実現する。ROM1120は、初期データおよびプログラムなどの固定データおよびプログラムを記憶する。また、通信制御部1130は通信制御部であり、本実施形態においては、P−CSCFと通信する。
【0082】
RAM1140は、CPU1110が一時記憶のワークエリアとして使用するランダムアクセスメモリである。RAM1140には、本実施形態の実現に必要なデータを記憶する領域が確保されている。1141は、自機の端末IDおよびユーザIDである。1142は、現在位置情報である。1143は、受信したリクエストメッセージである。1144は、送信するレスポンスメッセージである。1145は、送信するリクエストメッセージであり、自機能力情報を登録する登録(REGISTER)リクエスト1145aや、他機能力を問い合わせるOPTIONSリクエスト1145bなどが記憶される。1146は、受信したレスポンスメッセージであり、本実施形態においては、200OKのメッセージに他機の能力情報が含まれている。
【0083】
ストレージ1150は、データベースや各種のパラメータ、あるいは本実施形態の実現に必要な以下のデータまたはプログラムが記憶されている。1151は、通信先に対応付けて電話番号およびメールアドレスを登録する電話帳DBである。1152は、自機の能力情報である。1153は、問合せに対して他機から返信された他機の能力情報を他機の端末IDに対応して記憶する他機能力情報テーブルである。1154は、リクエストメッセージを判別するために使用すると共に、レスポンスメッセージを生成するために使用するメッセージフォーマットである。
【0084】
ストレージ1150には、以下のプログラムが格納される。1155には、通信端末UEの全体を制御する通信制御プログラムが格納される。1156には、通信制御プログラム1155において、S−CSCFに自機の能力情報を登録する能力情報登録モジュールが格納される。1157には、通信制御プログラム1155において、他機の能力情報を問い合わせる能力情報問合モジュールが格納される。
【0085】
GPS(Global Positioning System)現在位置取得部1160は、GPS衛星からの信号に基づいて現在位置を取得する。入出力インタフェース1170および接続された入出力機器1171〜1176については、図11Aと同ようなので説明は省略する。
【0086】
なお、図11Bには、本実施形態に必須なデータやプログラムのみが示されており、本実施形態に関連しないデータやプログラムは図示されていない。
【0087】
《通信端末の処理手順》
図12は、本実施形態に係る通信端末の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、図11BのCPU1110により、RAM1140を使用しながら実行され、通信端末の各機能構成部を実現する。なお、図12には、本実施形態に直接関連の小さい処理は図示されていない。
【0088】
まず、ステップS1211において、電源ONか否かを判定する。また、ステップS1221において、自機の能力変更か否かを判定する。また、ステップS1231において、在圏エリアの変更か否かを判定する。さらに、ステップS1241において、所定時間が経過したか否かを判定する。いずれの判定にも合致しなかった場合は、ステップS1251において他の処理を行なう。
【0089】
電源ONである場合、または自機能力変更の場合、または在圏エリアの変更の場合は、ステップS1213において、自機の能力情報をS−CSCFに登録する。続いて、ステップS1215において、電話帳に登録されている他機の能力情報を問い合わせる。そして、返信された他機の能力情報を端末IDに対応付けて保持する。また、所定時間が経過した場合は、上記ステップS1215とS1217を実行する。
【0090】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る通信ネットワークシステムについて説明する。本実施形態に係る通信ネットワークシステムは、上記第2実施形態と比べると、異なるサービスエリア間での通信端末能力の問合せではなく、同じサービスエリア内での通信端末能力の問合せである点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、その詳しい説明を省略する。
【0091】
本実施形態によれば、能力交換時における、S−CSCF_AからP−CSCF_Aを経由して通信端末UA_A1まで送出される通信端末UA_A2のリクエスト信号、および通信端末UA_A1からS−CSCF_Aへのレスポンス信号を削減することが可能となる。
【0092】
《通信ネットワークシステムの端末能力の登録および問合せの動作手順》
図13は、本実施形態に係る通信ネットワークシステムの端末能力の登録および問合せの動作手順1300を示すシーケンス図である。なお、ステップS311〜S315までは、UE_AをUE_A1としたのみで図3Aと同様であるので説明は省略する。
【0093】
ステップS1311〜S1315においては、ステップS311〜S315と同様のシーケンスで、UE_A2の能力情報をS−CSCF_Aに保持する。
【0094】
ステップS1317において、UE_A2がOPTIONSリクエストによりUE_A1の通信端末能力を問い合わせる。S−CSCF_Aは、ステップS1319において、この問合せを終端する。そして、ステップS1321において、ステップS313で保持したUE_A1の能力情報をレスポンス200OKに付与して、ステップS1323において、UE_A1に代わってUE_A2に返送する。
【0095】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係る通信ネットワークシステムについて説明する。本実施形態に係る通信ネットワークシステムは、上記第2実施形態と比べると、端末能力の登録をS−CSCFからの要求で行なう点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、その詳しい説明を省略する。
【0096】
本実施形態によれば、通信端末の機能(アップリケーアション)を一切変更せずに、S−CSCFの機能(アップリケーアション)の追加のみで、端末能力応答の代替が可能になる。
【0097】
《通信ネットワークシステムの端末能力の登録および問合せの動作手順》
図14は、本実施形態に係る通信ネットワークシステムの端末能力の登録および問合せの動作手順1400を示すシーケンス図である。
【0098】
まず、ステップS1411においては、従来の能力情報を付与されていないREGISTERリクエストがUE_AからS−CSCF_Aに送信される。S−CSCF_Aにおいては、ステップS1413において、UE_Aの登録のみが実施される。そして、S−CSCF_Aは、ステップS1415において、UE_Aの登録完了を200OKによりUE_Aに通知する。さらに、S−CSCF_Aは、ステップS1417において、OPTIONSリクエストによりUE_Aの通信端末能力を問い合わせる。ステップS1419において、UE_Aからのレスポンス200OKに付与された能力情報を取得し、ステップS1421において、UE_Aの端末IDに対応付けて保持する。
【0099】
以下、ステップS317〜S323は、第2実施形態の図3Aと同様であるので、説明は省略する。
【0100】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態に係る通信ネットワークシステムについて説明する。本実施形態に係る通信ネットワークシステムは、上記第2実施形態と比べると、端末能力を問い合わせる元がアプリケーションサーバ(AP:Application Server)である点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0101】
本実施形態によれば、通信端末間の能力情報問合に加えて、アプリケーションサーバからの端末能力問合せについても、端末能力応答の代替が可能になる。
【0102】
《通信ネットワークシステムの構成》
図15は、本実施形態に係る通信ネットワークシステム1500の構成を示すブロック図である。なお、図15において、第2実施形態の図2と同様の機能要素には同じ参照番号を付して、説明は省略する。
【0103】
図15において、図2との相違点は、AP_A(1501−A)とAP_B(1501−B)とが追加された点である。APは、IMSネットワークを介して通信端末に種々のアプリケーションをサービスする。図15においては、AP_A(1501−A)とAP_B(1501−B)とが通信端末253にサービスしている状態を示している。そのため、通信端末253と通信端末261との通信は解除されている。
【0104】
《通信ネットワークシステムの端末能力の登録および問合せの動作手順》
図16は、本実施形態に係る通信ネットワークシステム1500の端末能力の登録および問合せの動作手順1600を示すシーケンス図である。なお、ステップS311〜S315については、図3Aと同様の動作であるので、説明を省略する。
【0105】
ステップS1621において、AS−AからOPTINSリクエストによる通信端末UE_Aの能力問合せを受信する。能力問合リクエストを受信したS−CSCF_Aは、ステップS1623において、この能力問合リクエストをUE_Aに透過転送するのではなく終端する。そして、ステップS1625において、ステップS313で保持したUE_Aの能力情報を正常応答信号SIP_200OKに付与する。ステップS1627においては、UE_Aの能力情報が付与されたSIP_200OKを、S−CSCF_BおよびP−CSCF_Bを経由してAS_Aに返送する。
【0106】
また、ステップS1631において、AS−BからOPTINSリクエストによる通信端末UE_Aの能力問合せを受信する。能力問合リクエストを受信したS−CSCF_Aは、ステップS1633において、この能力問合リクエストをUE_Aに透過転送するのではなく終端する。そして、ステップS1635において、ステップS313で保持したUE_Aの能力情報を正常応答信号SIP_200OKに付与する。ステップS1637においては、UE_Aの能力情報が付与されたSIP_200OKを、S−CSCF_BおよびP−CSCF_Bを経由してAS_Bに返送する。
【0107】
[他の実施形態]
なお、通信端末の能力情報応答の代替は、P−CSCF、I−CSCF、HSSなどで行なっても構わない。しかしながら、リクエストの転送ルートであり、通信端末を管理しSIP登録サーバとして機能するS−CSCFで端末能力応答を代替するのが望ましい。
【0108】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステムまたは装置も、本発明の範疇に含まれる。
【0109】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用されてもよいし、単体の装置に適用されてもよい。さらに、本発明は、実施形態の機能を実現する情報処理プログラムが、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給される場合にも適用可能である。したがって、本発明の機能をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされる制御プログラム、あるいはその制御プログラムを格納した媒体、その制御プログラムをダウンロードさせるWWW(World Wide Web)サーバも、本発明の範疇に含まれる。
【0110】
[実施形態の他の表現]
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
IMS(IP Multimedia Subsystem)ネットワークを含む通信ネットワークシステムであって、
呼セッション制御機能(CSCF:call session control function)部と、
前記呼セッション制御機能部の処理領域に在圏する通信端末と、
を備え、
前記呼セッション制御機能部は、
前記通信端末の能力情報を前記通信端末に対応付けて登録する登録手段と、
前記登録手段に登録された能力情報を用いて、前記呼セッション制御機能部を介した前記通信端のう末への能力情報の問い合わせに対する応答を、前記通信端末に代替して行なう代替手段と、
を有することを特徴とする通信ネットワークシステム。
(付記2)
前記呼セッション制御機能部は、
前記通信端末がアクセスするプロキシ・呼セッション制御機能(P−CSCF:Proxy call session control function)部と、
他のネットワークとのゲートウェイ機能を持つインテロゲイティング・セッション制御機能(I−CSCF:Interogatinge call session control function)部と、
セッション制御を行なうサービング・呼セッション制御機能(S−CSCF:Serving call session control function)部と、
を含み、
前記サービング・呼セッション制御機能部が、前記登録手段と前記代替手段とを有することを特徴とする付記1に記載の通信ネットワークシステム。
(付記3)
前記代替手段は、オプションズリクエスト(OPTIONS REQUEST)による前記通信端末への能力情報のリクエストを判定する判定手段を有し、
前記判定手段が前記通信端末への能力情報のリクエストであると判定した場合に、前記通信端末の能力情報の問い合わせへの応答を前記通信端末に代替して行なうことを特徴とする付記1または2に記載の通信ネットワークシステム。
(付記4)
前記登録手段は、前記通信端末からの登録リクエスト(REGISTER REQUEST)に基づいて、前記通信端末の能力情報を前記通信端末に対応付けて登録することを特徴とする付記1乃至3のいずれか1項に記載の通信ネットワークシステム。
(付記5)
前記通信端末の能力情報は、少なくとも、応答可能なリクエストと、応答可能なアプリケーションと、復号可能な符号化と、利用可能な言語と、サポートしている変数と、SDP(service delivery platform)への対応と、を含むことを特徴とする付記1乃至4のいずれか1項に記載の通信ネットワークシステム。
(付記6)
IMS(IP Multimedia Subsystem)ネットワークを含む通信ネットワークシステムにおけるトラフィック軽減方法であって、前記通信ネットワークシステムが、呼セッション制御機能(CSCF:call session control function)部と、前記呼セッション制御機能部の処理領域に在圏する通信端末と、を備え、
前記呼セッション制御機能部が、前記通信端末の能力情報を前記通信端末に対応付けて登録手段に登録する登録ステップと、
前記呼セッション制御機能部が、前記登録手段に登録された能力情報を用いて、前記呼セッション制御機能部を介した前記通信端末への能力情報の問い合わせに対する応答を、前記通信端末に代替して行なう代替ステップと、
を含むことを特徴とする通信ネットワークシステムにおけるトラフィック軽減方法。
(付記7)
IMS(IP Multimedia Subsystem)ネットワークを含む通信ネットワークシステムにおいて呼セッション制御機能を果たす通信制御装置であって、
通信端末の能力情報を前記通信端末に対応付けて登録する登録手段と、
前記登録手段に登録された能力情報を用いて、前記通信制御装置を介した前記通信端末への能力情報の問い合わせに対する応答を、前記通信端末に代替して行なう代替手段と、
を有することを特徴とする通信制御装置。
(付記8)
IMS(IP Multimedia Subsystem)ネットワークを含む通信ネットワークシステムにおいて呼セッション制御機能を果たす通信制御装置の制御方法であって、
通信端末の能力情報を前記通信端末に対応付けて登録手段に登録する登録ステップと、
前記登録手段に登録された能力情報を用いて、前記通信制御装置を介した前記通信端末への能力情報の問い合わせに対する応答を、前記通信端末に代替して行なう代替ステップと、
を含むことを特徴とする通信制御装置の制御方法。
(付記9)
IMS(IP Multimedia Subsystem)ネットワークを含む通信ネットワークシステムにおいて呼セッション制御機能を果たす通信制御装置の制御プログラムであって、
通信端末の能力情報を前記通信端末に対応付けて登録手段に登録する登録ステップと、
前記登録手段に登録された能力情報を用いて、前記通信制御装置を介した前記通信端末への能力情報の問い合わせに対する応答を、前記通信端末に代替して行なう代替ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする制御プログラム。
(付記10)
IMS(IP Multimedia Subsystem)ネットワークを含む通信ネットワークシステムに呼セッション制御機能(CSCF:call session control function)部を介して接続された通信端末であって、
在圏登録時に、登録リクエスト(REGISTER REQUEST)のメッセージに前記通信端末の能力情報を付加する付加手段と、
前記通信端末の能力情報が付加された前記登録リクエストを前記呼セッション制御機能部に送信する送信手段と、
を有することを特徴とする通信端末。
(付記11)
IMS(IP Multimedia Subsystem)ネットワークを含む通信ネットワークシステムに呼セッション制御機能(CSCF:call session control function)部を介して接続された通信端末の制御方法であって、
在圏登録時に、登録リクエスト(REGISTER REQUEST)のメッセージに前記通信端末の能力情報を付加する付加ステップと、
前記通信端末の能力情報が付加された前記登録リクエストを前記呼セッション制御機能部に送信する送信ステップと、
を含むことを特徴とする通信端末の制御方法。
(付記12)
IMS(IP Multimedia Subsystem)ネットワークを含む通信ネットワークシステムに呼セッション制御機能(CSCF:call session control function)部を介して接続された通信端末の制御プログラムであって、
在圏登録時に、登録リクエスト(REGISTER REQUEST)のメッセージに前記通信端末の能力情報を付加する付加ステップと、
前記通信端末の能力情報が付加された前記登録リクエストを前記呼セッション制御機能部に送信する送信ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする制御プログラム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IMS(IP Multimedia Subsystem)ネットワークを含む通信ネットワークシステムであって、
呼セッション制御機能(CSCF:call session control function)部と、
前記呼セッション制御機能部の処理領域に在圏する通信端末と、
を備え、
前記呼セッション制御機能部は、
前記通信端末の能力情報を前記通信端末に対応付けて登録する登録手段と、
前記登録手段に登録された能力情報を用いて、前記呼セッション制御機能部を介した前記通信端のう末への能力情報の問い合わせに対する応答を、前記通信端末に代替して行なう代替手段と、
を有することを特徴とする通信ネットワークシステム。
【請求項2】
前記呼セッション制御機能部は、
前記通信端末がアクセスするプロキシ・呼セッション制御機能(P−CSCF:Proxy call session control function)部と、
他のネットワークとのゲートウェイ機能を持つインテロゲイティング・セッション制御機能(I−CSCF:Interogatinge call session control function)部と、
セッション制御を行なうサービング・呼セッション制御機能(S−CSCF:Serving call session control function)部と、
を含み、
前記サービング・呼セッション制御機能部が、前記登録手段と前記代替手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の通信ネットワークシステム。
【請求項3】
前記代替手段は、オプションズリクエスト(OPTIONS REQUEST)による前記通信端末への能力情報のリクエストを判定する判定手段を有し、
前記判定手段が前記通信端末への能力情報のリクエストであると判定した場合に、前記通信端末の能力情報の問い合わせへの応答を前記通信端末に代替して行なうことを特徴とする請求項1または2に記載の通信ネットワークシステム。
【請求項4】
前記登録手段は、前記通信端末からの登録リクエスト(REGISTER REQUEST)に基づいて、前記通信端末の能力情報を前記通信端末に対応付けて登録することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の通信ネットワークシステム。
【請求項5】
前記通信端末の能力情報は、少なくとも、応答可能なリクエストと、応答可能なアプリケーションと、復号可能な符号化と、利用可能な言語と、サポートしている変数と、SDP(service delivery platform)への対応と、を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の通信ネットワークシステム。
【請求項6】
IMS(IP Multimedia Subsystem)ネットワークを含む通信ネットワークシステムにおけるトラフィック軽減方法であって、前記通信ネットワークシステムが、呼セッション制御機能(CSCF:call session control function)部と、前記呼セッション制御機能部の処理領域に在圏する通信端末と、を備え、
前記呼セッション制御機能部が、前記通信端末の能力情報を前記通信端末に対応付けて登録手段に登録する登録ステップと、
前記呼セッション制御機能部が、前記登録手段に登録された能力情報を用いて、前記呼セッション制御機能部を介した前記通信端末への能力情報の問い合わせに対する応答を、前記通信端末に代替して行なう代替ステップと、
を含むことを特徴とする通信ネットワークシステムにおけるトラフィック軽減方法。
【請求項7】
IMS(IP Multimedia Subsystem)ネットワークを含む通信ネットワークシステムにおいて呼セッション制御機能を果たす通信制御装置であって、
通信端末の能力情報を前記通信端末に対応付けて登録する登録手段と、
前記登録手段に登録された能力情報を用いて、前記通信制御装置を介した前記通信端末への能力情報の問い合わせに対する応答を、前記通信端末に代替して行なう代替手段と、
を有することを特徴とする通信制御装置。
【請求項8】
IMS(IP Multimedia Subsystem)ネットワークを含む通信ネットワークシステムにおいて呼セッション制御機能を果たす通信制御装置の制御方法であって、
通信端末の能力情報を前記通信端末に対応付けて登録手段に登録する登録ステップと、
前記登録手段に登録された能力情報を用いて、前記通信制御装置を介した前記通信端末への能力情報の問い合わせに対する応答を、前記通信端末に代替して行なう代替ステップと、
を含むことを特徴とする通信制御装置の制御方法。
【請求項9】
IMS(IP Multimedia Subsystem)ネットワークを含む通信ネットワークシステムにおいて呼セッション制御機能を果たす通信制御装置の制御プログラムであって、
通信端末の能力情報を前記通信端末に対応付けて登録手段に登録する登録ステップと、
前記登録手段に登録された能力情報を用いて、前記通信制御装置を介した前記通信端末への能力情報の問い合わせに対する応答を、前記通信端末に代替して行なう代替ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする制御プログラム。
【請求項10】
IMS(IP Multimedia Subsystem)ネットワークを含む通信ネットワークシステムに呼セッション制御機能(CSCF:call session control function)部を介して接続された通信端末であって、
在圏登録時に、登録リクエスト(REGISTER REQUEST)のメッセージに前記通信端末の能力情報を付加する付加手段と、
前記通信端末の能力情報が付加された前記登録リクエストを前記呼セッション制御機能部に送信する送信手段と、
を有することを特徴とする通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−115448(P2013−115448A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256830(P2011−256830)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】