説明

通信プログラムおよび携帯端末装置

【課題】外部装置と近距離無線接続によって連携して動作する携帯端末装置において、外部装置との連携状況に応じて適切な動作を自動選択すること。
【解決手段】携帯端末10は、携帯電話キャリアが提供するネットワークを介してセンタサーバ20と接続しており、さらに車両C1に搭載された車載装置と近距離無線接続可能である。そして携帯端末10は、車載装置と接続中でない場合には、自端末の情報である携帯電話プロファイルのみをサーバに送信するが、車載装置と接続中である場合には、車載装置から取得した車両プロファイルと携帯電話プロファイルを共にセンタサーバ20に送信し、送信したプロファイルに適合したデータを受け取る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の通信手段を備えた携帯端末装置およびその通信プログラムに関し、特に、通信によって外部装置と連携して動作可能な携帯端末装置およびその通信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯端末装置、特に無線で電話回線に接続可能な携帯電話端末が広く利用されてきた。また、近年携帯電話端末の性能が向上し、データ通信や音楽再生、汎用アプリケーションの実行機能など、様々な機能が追加されている。
【0003】
このように追加された機能の一つに、Bluetoothなどを利用した近距離無線やUSBケーブルを介した通信機能がある。この通信機能を利用することで、携帯端末装置を他の装置と連携させて動作させることが可能となる。
【0004】
例えば特許文献1では、携帯電話を車載端末に接続し、連携して動作させることで、車載端末を通話回線網に接続可能とする技術を開示している。
【0005】
【特許文献1】特開2004−102332号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来技術では、車載装置は携帯電話を通信手段として利用することでセンタサーバと接続可能となり、センタサーバから車載装置のユーザの嗜好などに適合した操作用メニューを受信する。
【0007】
このように、従来の技術では、携帯端末を他の装置と連携させる場合はその通信機能のみを提供し、主要な処理は連携先の他の装置で実行されることが一般的であった。
【0008】
しかしながら、携帯端末装置の処理能力の向上に従い、携帯端末装置に主要な処理を実行させ、連携先の装置を表示出力や音声出力など副次的に使用する構成が検討されている。
【0009】
携帯端末装置は利用者の周囲に常に在ることが期待できるので、携帯端末装置がメインとして機能することにより、ユーザ周辺の状況の変化に適応して適切なサービスを選択して実行可能となる。また、携帯端末装置をメインとすることで、連携先の装置のコスト削減や、性能の陳腐化の抑制を図ることが出来る。
【0010】
そこで、他の装置との連携状態に基づいて適切な動作を自動選択する携帯端末装置および通信プログラムの実現が、重要な課題となっていた。
【0011】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、外部装置と連携して動作する携帯端末装置において、外部装置との連携状況に応じて適切な動作を自動選択する携帯端末装置およびその通信プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明にかかる携帯端末装置および通信プログラムでは、第二通信手段を使用して所定の通信先に対して情報送信する場合に、他の装置と通信を行なう第一通信手段が接続中であるか否かを検知し、第一通信手段が接続中でない場合には自装置に関する情報から作成した情報を送信し、第一通信手段が接続中である場合には第一通信手段の通信相手に関する情報と自装置に関する情報から作成した情報を送信し、送信した情報に適合したデータを所定の通信先から受信する。
【0013】
また、第一通信手段が接続中である場合に該第一通信手段の通信相手に関する情報を取得し、当該取得した情報に基づいて第一通信手段の通信相手に関する情報を送信する情報とするか否かを判定するように構成してもよい。
【0014】
また、送信した情報に適合したデータを受信した後、そのデータを出力する際に、第一通信手段の接続相手を出力手段として使用するように構成しても良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば携帯端末装置および通信プログラムは、第1の通信機能によって連携する他装置との接続状態に応じて異なる情報を第2の通信機能によって送信し、送信した情報に適合したデータを所定の通信先から受信するので、外部装置との連携状況に応じて適切な動作を自動選択する携帯端末装置およびその通信プログラムを得ることができることができるという効果を奏する。
【0016】
また、通信で取得した通信先の相手装置に関する情報に基づいて、第2の通信機能によるデータの要求を行なうか否かを選択することで、必要な場合にのみ第二通信先との通信接続を行なう携帯端末装置およびその通信プログラムを得ることができることができるという効果を奏する。
【0017】
また、送信した情報に適合したデータを受信した後、そのデータを出力する際に、第一通信手段の通信相手を出力手段として使用するように構成すれば、外部装置の画面やスピーカを利用した出力を行なう携帯端末装置およびその通信プログラムを得ることができることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る通信プログラムおよび携帯端末装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【実施例】
【0019】
1.発明の概要
まず、図1を参照し、本発明の概要について説明する。本発明において、携帯端末10は、携帯電話キャリアが提供する携帯電話回線網を介してサーバ20と接続している。携帯電話10は、このサーバ10に対して自端末の識別情報や位置情報などのプロファイルを送信し、送信したプロファイルに適合したデータをサーバ20から受信する。
【0020】
また、携帯端末10は、BluetoothやUSBケーブルなどを利用した通信機能を有し、車両に搭載された車載装置などの外部装置と接続可能である。そして携帯端末10は、外部装置と接続中でない場合には、自端末の情報である携帯電話プロファイルのみをサーバに送信するが、外部装置と接続中である場合には、外部装置から取得した外部装置の情報と自端末の情報とを共にサーバ20に送信する。
【0021】
同図では、携帯端末10が車両C1と接続中である場合には、携帯端末10は車両C1の情報、もしくは車両C1に搭載された車載装置の情報である車両プロファイルを取得し、自端末の情報である携帯電話プロファイルと共にサーバ20に送信する。
【0022】
このように、携帯端末10が近距離無線による外部装置との接続状態に基づいて異なる情報をサーバ20に送信し、送信した情報に適合したデータをサーバ20から受信することで、外部装置との連携状況に応じて適切な動作を自動選択する点に本発明の主たる特徴がある。
【0023】
2.本発明の構成例
つづいて、図2を参照し、本発明の主要な機能構成について説明する。本発明における機能要素は、その一部をソフトウェア的に実現可能であるが、同図に示した構成では、その機能をハードウェア、ソフトウェアのいずれで実現するかは適宜選択可能である。
【0024】
同図に示す様に携帯端末10は、携帯電話キャリアが提供するネットワークN1を介してセンタサーバ20に接続し、近距離無線通信によって車載装置40と接続している。なお、本実施例では、携帯端末10と車載装置40とは近距離無線通信によって接続する例を述べるが、本願はこの形態に限るものではなく、ネットワークN1に対する通信と同時に実行できる他の通信機能であれば、近距離無線通信に限るものではない。
【0025】
センタサーバ20は、その内部にプロファイル判断部21と提供データ作成部22とを有する。プロファイル判断部21は、ネットワークN1を介してプロファイルを受信し、その内容を判断する。そして、提供データ作成部22は、そのプロファイルに適合したデータを提供データとして作成し、ネットワークN1を介して携帯端末10に送信する。
【0026】
車載装置40は、車両に搭載される装置であり、その内部に主制御部41、近距離無線通信部42、プロファイル記憶部43、ディスプレイ44およびスピーカ45を有する。
【0027】
主制御部41は、車載装置40を全体制御する制御部であり、近距離無線通信部42は、携帯端末2と無線通信する通信処理部である。プロファイル記憶部43は、車載装置40や車両に関する情報を車両プロファイルとして記憶する記憶手段であり、ディスプレイ44およびスピーカ45はそれぞれ表示出力および音声出力を行なう出力手段である。
【0028】
車載装置40は、近距離無線通信によって、プロファイル記憶部43に記憶した車両プロファイルを携帯端末10に送信することが出来る。また、同じく近距離無線通信によって受信した表示データや音声データをディスプレイ44やスピーカ45から出力することで、携帯端末10の外部出力手段として機能することも出来る。
【0029】
携帯端末10は、その内部に主制御部11、近距離無線通信部12、プロファイル記憶部13、回線接続部16、ディスプレイ14およびスピーカ15を有する。
【0030】
近距離無線通信部12は、車載装置40と無線通信する第一通信手段である。これに対し、回線接続部16は、ネットワークN1に接続する第二通信手段である。またプロファイル記憶部13は、自端末に関する情報を携帯電話プロファイルとして記憶する記憶手段であり、ディスプレイ14およびスピーカ15はそれぞれ表示出力および音声出力を行なう出力手段である。
【0031】
主制御部11は、携帯端末10を全体制御する制御部であり、その内部に無線通信検知部11a、依頼メッセージ作成部11bおよび出力処理部11cを有する。
【0032】
無線通信検知部11aは、近距離無線通信部12が車載装置40と通信中であるか否かを検知する通信検知手段である。依頼メッセージ作成部11bは携帯端末10がセンタサーバ20に対して送信するプロファイルを選択し、依頼メッセージを作成する処理を行なう。
【0033】
ここで、依頼メッセージ作成部11bは、近距離無線通信部12の検知結果を基に、車載装置40と接続中でない場合には、プロファイル13が記憶する携帯電話プロファイルのみを用いてセンタサーバ20に送信する依頼メッセージを作成する。一方、車載装置40と接続中である場合には、依頼メッセージ作成部11bは、プロファイル記憶部13が記憶する携帯電話プロファイルと、車載装置40から受信した車両プロファイルとを共に用いてセンタサーバ20に送信する依頼メッセージを作成する。
【0034】
センタサーバ20は、受信した依頼メッセージのプロファイルに適合した提供データを作成して携帯端末10に送信するので、携帯端末10は、この提供データを受信して処理することで、車載装置40と通信中であるか否かによって異なる処理を実行することとなる。
【0035】
出力処理部11cは、携帯端末10からの出力を制御する処理部である。携帯端末10が車載装置40と接続でない場合には、出力処理部11cは、ディスプレイ14およびスピーカ15を用いて出力を行なう。また車載装置40と接続中である場合には、出力処理部11cは、車載装置40のディスプレイ44およびスピーカ45を用いて出力を行なうこともできる。さらに、出力内容が車載装置40からの出力のみを想定している場合には、車載装置40からの出力が出来ない場合に出力内容を破棄するようにしてもよい。
【0036】
つづいて、図3および図4を参照し、携帯端末10の処理動作について説明する。図3は、携帯端末10がセンタサーバ20との通信を開始する際の処理内容を説明するフローチャートであり、携帯端末10のメイン処理として、もしくはその一部として繰り返し実行することが好適である。
【0037】
まず、携帯端末10は、無線通信検知部11aの出力から車載装置40と接続中であるか否かを確認し(ステップS101)、接続中である場合(ステップS101,Yes)には自動的にセンタ接続処理(ステップS103)を実行する。
【0038】
また、車載装置40と接続中でない(ステップS102,No)場合であっても、ユーザからセンタ接続を要求する操作を受け付けた場合(ステップS102,Yes)にはセンタ接続処理(ステップS103)を実行する。
【0039】
図4は、このセンタ接続処理の具体例を説明するフローチャートである。同図に示す様に、携帯端末10は、まず車載装置40と接続中であるか否かを判定し(ステップS201)、車載装置40と接続中である場合には近距離無線通信を介して車両プロファイルを取得する(ステップS202)。
【0040】
また、車両プロファイルの取得(ステップS202)の後、もしくは車載装置と接続中でない場合(ステップS201,No)に、携帯端末のプロファイルである携帯電話プロァイルを取得する(ステップS203)。
【0041】
そして、取得したプロファイルを用いて依頼メッセージを作成し、センタサーバ20に送信する(ステップS204)。
【0042】
その結果、センタサーバからデータが送られてきたならば(ステップS205,Yes)、受信したデータを用いた処理を実行し(ステップS206)、処理を終了する。
【0043】
続いて、本発明の具体的な適用例について説明する。図5は、車載装置40のディスプレイ上にナビゲーションや位置情報など車両用サービスのメニューを表示する場合の処理例である。
【0044】
車両の中では車載装置を使ってナビゲーションや位置情報、アドレス帳、メールなど様々なサービスを使うことができる。ここで、1人で複数のクルマを所有している場合、それらの車載装置40に表示されるメニューの形式が異なり、両方の使い方を覚えるのは面倒である。また、レンタカーを借りた場合も、普段自分が乗っている車両の車載メニューとは異なっていて使いづらい可能性がある。
【0045】
さらに、1人で複数の車両を利用する場合とは逆に、1台のクルマを複数の人が運転する場合や、複数の目的で乗る場合もある。例えば、1台のクルマを業務で乗ったり、個人の移動手段として乗ったりする場合、車載装置のメニューには業務で使うメニューと個人で使うメニューを両方表示する必要があり、またアドレス帳に内容についても業務で訪ねる顧客の情報と、個人的な知り合いの情報を混在して格納することになり、切り分けて使うことが難しくなる。
【0046】
そこで、図5に示したように、車内に持ち込んだ携帯電話と車載器をBluetoothなどの近距離無線通信で接続し、携帯電話とセンタサーバをキャリア網の通信手段で接続して、次の手順で車載装置用のメニューを表示する。
(1) 車載装置のプロファイルを携帯電話に送信。
なお、車両プロファイルとしては、車種を特定する車種情報や車載装置のディスプレイの大きさを示す画面サイズ情報など、車両や車載装置に関する任意の情報を設定することができる。
(2) ユーザの情報も含む携帯電話のプロファイル及び車載装置のプロファイルをセンタサーバに送信。
なお、ユーザプロファイルとしては、例えば携帯端末の種類を示す機種情報やユーザを識別するためのユーザIDなど携帯端末やユーザに関する任意の情報を設定することが出来る。
(3) センタサーバはメニュー取り出しのアクセス情報(URL)を送信
(4) 携帯電話はURLにアクセスしてメニュー画面取り出し
(5) 携帯電話でメニュー画面作成(レンダリング)
(6) メニュー画面を携帯電話から車載装置に送信
(7) 車載装置でメニュー画面を表示
【0047】
このような処理によって、車載装置および携帯電話のプロファイルに基づいた車載メニューを表示することができるようになる。
【0048】
また、センタサーバにてある携帯電話に対する車載メニューの画面配置を編集する機能を提供することにより、そのユーザに合った車載メニューが表示できる他、別の車に乗った場合も同じ車載メニューが表示できるようになる。
【0049】
そのため、車載装置が自分で車載メニューを表示する方法に比べ、1人で複数のクルマに乗る場合にどのクルマでもその人が使い慣れた車載メニューを表示することができるようになる。また、1台のクルマを複数の人が運転する場合や、業務用・個人用と複数の目的で乗る場合にも、車内に持ち込む携帯電話を業務用または個人用と使い分けることにより、その場に合った車載メニューを表示することができるようになる。
【0050】
なお、図5の(3)〜(5)の処理は、この通りに行われなくてもよく、例えば、(3)でセンタサーバからメニュー画面データを携帯電話へ送信し、(4)と(5)の処理を飛ばして(6)で受信したメニュー画面を携帯電話から車載装置へ送信しても構わない。
【0051】
図6は、センタサーバからアプリケーションを取得する場合における処理例である。携帯電話ではメールやナビゲーション、業務支援システムといった様々なアプリケーションを利用することが出来る。しかしながら運転中に携帯電話を操作するのは危険なため車内でこれらのアプリケーションをそのまま使うことはできない。
【0052】
ここで、ハンズフリーでの入出力などに対応したアプリケーションがネットワークで提供されていれば、それをダウンロードして車内で利用することができるが、それをネットワークから探してダウンロードして起動しなければならず面倒である。また、この他通常の携帯電話のアプリケーションも使える状態にあるので危険である。
【0053】
例えば、携帯電話に音楽をダウンロードしてから自分の車に乗った場合、その音楽を車載オーディオで聴ければ便利だが、携帯電話の音楽を車載オーディオで再生するアプリケーションを探してダウンロードし、起動する必要がある。
【0054】
業務に関するアプリケーションについても、訪問すべき顧客の住所を携帯電話で確認した後に車に乗った場合、自動的にその住所へのナビの経路設定が行われれば便利であるが、やはりユーザが操作をしなければならない。
【0055】
このように、車外で使った携帯電話のソリューションを車の中で使うのに、従来は大きな手間がかかるという問題があった。
【0056】
そこで、図6に示した処理では、車載装置40と携帯端末10を近距離無線通信で接続することで、車の種類やサイズといった静的な情報および車速などの動的な情報を車両プロファイルとして車載機から携帯電話に送信する。なお、送信する車両プロファイルとしては、この他にも業務用か、私用か、レンタカーか、また重量、シフト状態、ハンドル角、車両の動作状態に関する情報など、任意の情報を用いることができる。
【0057】
また携帯端末10とセンタサーバ20をキャリア網で接続し、携帯端末10で使っているアプリケーションの情報(業務用、私用の分類など)やアプリケーションの利用履歴、車内で使うか使わないかおよび優先度などの携帯電話のプロファイルを、車両プロファイルと合わせてセンタサーバ20に送信する。また、運転免許情報など携帯端末の所有者に関する情報についても携帯電話プロファイルとして取り扱うことが可能である。
【0058】
センタサーバ20は、車両および携帯電話のプロファイルから、業務用の車に乗っているのか個人用の車に乗っているのかといったことや、今提供すべき車内ソリューションは何かといったユーザの状況を判断し、それに合った車内用アプリケーションを携帯端末10に送信する。
【0059】
携帯端末10は車内アプリケーションを受信し自動的に起動する。ここで携帯端末10の入出力インタフェースを車載装置40のものと共有し、車載装置40で携帯電話アプリケーションが表示できるようにする。また、これに加えて、同時に車外で使う通常の携帯電話アプリケーションを利用不可能な状態にすることが望ましい。
【0060】
このように処理を行なうことで、車両プロファイルおよび携帯電話プロファイルから自動的に車内ソリューションが提供され、携帯電話のアプリケーションが車内でスムーズに使えるようになる。また、従来は通常の携帯電話アプリケーションが車内でも使える状態になっていて危険だったが、本システムでは車内では通常の携帯電話アプリケーションの利用が規制され安全である。
【0061】
図7は、携帯端末での車両用ナビゲーションを行なう際の情報収集における処理例である。近年、携帯電話にGPSを実装し、この位置情報を利用するナビゲーションシステムが開発されている。しかし、位置情報にGPS測位を利用しているため、見通しの悪いビル影やトンネル内では利用が困難であった。
【0062】
車載装置として実装されている車載ナビは車から車速を検知する信号(車速センサー)を受信しGPS測位が困難な場所においても車速センサ情報とMapマッチング技術を使って自律測位を実現させ、位置標定を補完している。
【0063】
そこで、携帯電話に車速情報を入力すれば車載装置におけるナビと同精度の自律測位ができるはずである。
【0064】
しかし、携帯電話では、該携帯電話を保持した利用者がどの様な車両に乗るのかわからない為、その車両における車速センサー出力のパルス幅と移動量及び、車両の初期位置などがわからない。そのため、実際の正しい情報を出力するには、GPS測位による移動量とパルス幅による移動量の計測及び、GPS測位による初期位置把握が必要となり、それには多くの時間が必要であった。
【0065】
ところで、基本的に車両は停止した場所と起動する場所は同じ場所である。(停止時に車両を移動させなければ、起動時は最終停車時と同じ位置である。)従って、車両に搭載されるカ−ナビゲーションシステムなどは、電源投入時は最終切断時の位置をそのまま表示する事ができる。
【0066】
しかし、携帯電話に実装されたナビゲーションシステムの場合、車両を特定する事は困難である。そこで、携帯電話で測位した最終車両停車位置を、携帯電話もしくはセンタサーバで記憶する事によって、次回携帯電話接続時に多くの時間をかけずに初期位置を把握する事が可能となる。
【0067】
また、その際、車両特有の情報、例えば、車速パルス単位あたりの移動距離なども合わせて記憶する事でさらに短時間に車両に合わせた位置補正が可能となる。
【0068】
具体的には、携帯端末10がナビゲーションを行なった場合、その最終位置と車両(車載装置40)を識別するID、また車速パルス間隔などの情報を対応付けて記憶しておくとともに、センタサーバ20に登録する。そして、車載装置40には最後に接続した携帯端末を識別するIDを最終リンク携帯IDとして記憶させておく。
【0069】
その後、再び携帯端末10が車載装置40と近距離無線接続した際に、車載装置40から最終リンク携帯IDを取得し、そのIDが自端末のIDとを比較する。このIDが一致すれば、その車載装置40が搭載された車両は、前回携帯端末10が記憶した位置から移動していないと考えることが出来る。
【0070】
また、最終リンク携帯IDと自端末のIDが一致しない場合には、他の携帯端末と接続して前回記憶した位置から移動した(もしくは自端末が過去に接続したことの無い車両である)可能性があるので、センタサーバ20から車両位置や車速パルス間隔を取得する。
【0071】
この場合の携帯端末10の処理は図7に示すように、まず、車載装置40から車両プロファイルを取得する。そして、この車両プロファイルに含まれている最終リンクIDを読み出し、最終リンクIDと自端末のIDとを比較する。
【0072】
その結果、最終リンクIDと自端末のIDとが一致する場合には自端末内に記憶した最終位置と車速パルスを読み出してナビゲーションサービスに使用するが、最終リンクIDが自端末のIDと異なることを確認した場合には、携帯端末10からセンタサーバ20に対して(少なくとも車両を特定する情報を含む)車両プロファイルと携帯電話プロファイルとをセンタサーバ20に送信する。
【0073】
センタサーバ20は、受信した情報をキーに車両の最終位置情報など検索し、携帯端末10に送信する。
【0074】
携帯端末10は、取得した最終位置情報を現在位置としてナビゲーションサービスを開始する。ここで、携帯端末10は、現在位置の特定や走行予定経路の探索、地図画面出力および案内音声出力の作成は自端末で行なうが、地図画面出力および案内音声出力の出力内容は車載装置40に近距離無線通信で送信し、車載装置40のディスプレイおよびスピーカを用いて出力する。
【0075】
このような処理により、その車両との接続実績がない場合や、自端末との接続後に他の携帯端末と接続して走行した車両に対しても、ナビゲーション処理を行なう際の初期位置を速やかに設定するとともに、車速パルスなどの車両毎の差異に適合させることができる。
【0076】
なお、車両は携帯端末と接続することなく走行してその停車位置が変化することがあるので、走行開始時点で携帯端末と接続していなければ、最終リンク携帯IDをクリアするように設定しても良い。
【0077】
以上説明してきたように、本実施例にかかる携帯端末10は、車載装置40などの外部装置と接続可能であり、その接続状態に基づいて異なる情報をサーバ20に送信し、送信した情報に適合したデータをサーバ20から受信することで、外部装置との連携状況に応じて適切な動作を自動選択する。
【0078】
そのため、接続先装置と自端末とに適合した操作メニューやアプリケーションを自動取得し、またナビゲーションなどのサービスを高速化するために必要な情報を適宜取得することができる。
【0079】
なお、本実施例に示した構成および動作はなくまでも一例であり、本発明はこれに限定されることなく適宜変形して実施することができる。
【0080】
例えば、本実施例では携帯端末が車載装置と近距離無線接続する場合を例に説明を行なったが、電車などの任意の移動体に搭載された外部装置であってもよいし、ディスプレイなどを有する公共使用可能な端末を外部装置として使用してもよい。
【0081】
また、本実施例では、携帯端末として車両運転者が所有する携帯電話端末を使用する場合を想定し、車載装置のディスプレイおよびスピーカを携帯端末の出力デバイスとして使用する処理動作について説明したが、例えば車載装置を外部装置として使用する場合であっても、車両の後部座席乗員が所有する携帯電話端末での動作に本発明を適用するならば、携帯電話端末自体のディスプレイおよびスピーカを使用することが好適である。
【産業上の利用可能性】
【0082】
以上のように、本発明にかかる通信プログラムおよび携帯端末装置は、外部装置と連携した携帯端末装置による各種サービスの提供に有用であり、特に外部装置との連携状況に応じた適切な動作の自動選択に適している。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の概要について説明する説明図である。
【図2】本発明にかかる携帯端末および車載装置の概要構成を説明する概要構成図である。
【図3】携帯端末がセンタサーバとの通信を開始する際の処理内容を説明するフローチャートである。
【図4】センタ接続処理の具体例を説明するフローチャートである。
【図5】車両用サービスのメニューを表示する場合の処理例を示す図である。
【図6】センタサーバからアプリケーションを取得する場合における処理例を示す図である。
【図7】携帯端末で車両用ナビゲーションを行なう際の情報収集における処理例を示す図である。
【符号の説明】
【0084】
10 携帯端末
11 近距離無線通信部
11a 無線通信検知部
11b 依頼メッセージ策西部
11c 出力処理部
12 近距離無線通信部
13 プロファイル記憶部
14 ディスプレイ
15 スピーカ
20 センタサーバ
21 プロファイル判断部
22 提供データ作成部
40 車載装置
41 主制御部
42 近距離無線通信部
43 プロファイル記憶部
44 ディスプレイ
45 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の装置と通信を行なう第一通信手段と、所定の通信先に対して情報送信し、当該送信した情報に適合するデータを受信する第二通信手段とを備えた携帯端末装置上で動作する通信プログラムであって、該携帯端末装置に
前記第一通信手段が接続中であるか否かを検知する通信検知ステップと、
前記通信検知ステップによる検知結果に基づいて、前記第一通信手段が接続中でない場合には自装置に関する情報に基づいて、前記第一通信手段が接続中である場合には該第一通信手段の接続相手に関する情報と自装置に関する情報とに基づいて、情報を作成し、該作成した情報を前記第二通信手段により、送信する送信情報作成ステップと、
を実行させることを特徴とする通信プログラム。
【請求項2】
前記送信情報作成ステップは、前記第一通信手段が接続中である場合に該第一通信手段の接続相手に関する情報を取得し、当該取得した情報に基づいて前記第一通信手段の接続相手に関する情報を前記第二通信手段により送信する情報とするか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の通信プログラム。
【請求項3】
前記第二通信手段によって取得したデータを出力する際に、前記第一通信手段の接続相手である装置を出力手段として使用する出力処理ステップをさらに含んだことを特徴とする請求項1または2に記載の通信プログラム。
【請求項4】
他の装置と通信を行なう第一通信手段と、
前記第一通信手段が接続中であるか否かを検知する通信検知手段と、
所定の通信先に対して情報送信し、当該送信した情報に適合するデータを受信する第二通信手段と、
前記通信検知手段による検知結果に基づいて、前記第一通信手段が接続中でない場合には自装置に関する情報に基づいて、前記第一通信手段が接続中である場合には該第一通信手段の接続相手に関する情報と自装置に関する情報とに基づいて、情報を作成し、該作成した情報を前記第二通信手段が送信する送信情報作成手段と
を備えたことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項5】
前記送信情報作成手段は、前記第一通信手段が接続中である場合に該第一通信手段の接続相手に関する情報を取得し、当該取得した情報に基づいて前記第一通信手段の接続相手に関する情報を前記第二通信手段により送信する情報とするか否かを判定することを特徴とする請求項4に記載の携帯端末装置。
【請求項6】
前記第二通信手段によって取得したデータを出力する際に、前記第一通信手段の接続相手である装置を出力手段として使用する出力処理手段をさらに備えたことを特徴とする請求項4または5に記載の携帯端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−193337(P2008−193337A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−24581(P2007−24581)
【出願日】平成19年2月2日(2007.2.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】