説明

通信ユニット、通信システムおよび通信ユニットの制御方法

【課題】クロックの周波数が異なる機器間であっても通信を適切に行えるようにする通信ユニット、通信システムおよび通信ユニットの制御方法を提供する。
【解決手段】クロックアイソレーション機能によりPCI Expressブリッジチップ13のカードエッジ側ポートと光ケーブル側ポートとを別々のクロックで動作する領域として分離し、光ケーブル側ポートで用いるクロック(第1のクロック)を、PCI Express/光ケーブル変換ボード10上のクロック源14から供給する。そして、通信の接続先となるプリンタ400のクロック(第2のクロック)を取得し、クロック源14が発生する第1のクロックの周波数が第2のクロックの周波数と異なる場合に、周波数調整部15が、第1のクロックの周波数を第2のクロックの周波数と一致するように調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の機器に装着され、該第1の機器を第2の機器に対して通信可能に接続するための通信ユニット、通信システムおよび通信ユニットの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高速シリアルインターフェースの規格として、PCI Express(登録商標)が知られている。PCI Expressは、高いデータ転送速度と様々なアプリケーションに適合できる柔軟性を兼ね備えており、グラフィックスカードなどの拡張ボードに広く利用されている。また、近年では、異なるシステム間の通信にもPCI Expressの通信プロトコルが使われ始めており、PCI Express規格のカードエッジを有する通信アダプタ(通信ユニット)も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のPCI Express規格のカードエッジを有する通信ユニットは、該通信ユニットが装着される機器(第1の機器)のクロック周波数と、通信の相手方となる機器(第2の機器)のクロック周波数とが一致していることを前提として構成されている。このため、第2の機器のクロック周波数が第1の機器のクロック周波数と異なる場合には、同期がとれずに通信に失敗するといった問題があった。
【0004】
PCI Expressの基本仕様によると、クロック周波数については規定されていないが、その安定性について送受信のデータレートは600ppm以内で一致しなければならないと規定されている。また、PCI Express CEM仕様書によると、クロックの周波数は通常100MHz±300ppmと規定されている。しかしながら、実際にはこのような規定を満たしていない機器も存在するため、通信を行う機器同士でクロックの周波数が異なる場合もあり、その場合には同期がとれず通信に失敗することになる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、クロックの周波数が異なる機器間であっても通信を適切に行えるようにする通信ユニット、通信システムおよび通信ユニットの制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る通信ユニットは、第1の機器に装着され、該第1の機器を第2の機器に対して通信可能に接続するための通信ユニットであって、第1のクロックを発生するクロック源と、前記第1のクロックに基づいて、前記第2の機器から前記第1の機器への転送データを受信するとともに、前記第1の機器からの転送データを前記第2の機器に送信するデータ転送手段と、前記第2の機器から該第2の機器のクロックである第2のクロックを取得するクロック取得手段と、前記第1のクロックの周波数を、前記第2のクロックの周波数に一致するように調整するクロック周波数調整手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る通信システムは、第1の機器と、第2の機器と、前記第1の機器に装着されるとともに通信ケーブルを介して前記第2の機器に接続されて前記第1の機器と前記第2の機器との間の通信を中継する通信ユニットと、を備えた通信システムであって、前記通信ユニットは、第1のクロックを発生するクロック源と、前記第1のクロックに基づいて、前記第2の機器から前記第1の機器への転送データを受信するとともに、前記第1の機器からの転送データを前記第2の機器に送信するデータ転送手段と、前記第2の機器から該第2の機器のクロックである第2のクロックを取得するクロック取得手段と、前記第1のクロックの周波数を、前記第2のクロックの周波数に一致するように調整するクロック周波数調整手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る通信ユニットの制御方法は、第1の機器に装着されるとともに通信ケーブルを介して第2の機器に接続され、第1のクロックを発生するクロック源と、前記第1のクロックに基づいて、前記第2の機器から前記第1の機器への転送データを受信するとともに、前記第1の機器からの転送データを前記第2の機器に送信するデータ転送手段と、を備えた通信ユニットの制御方法であって、前記第2の機器から該第2の機器のクロックである第2のクロックを取得するステップと、前記第1のクロックの周波数を、前記第2のクロックの周波数に一致するように調整するステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、クロックの周波数が異なる機器間で適切に通信を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、実施の形態のプリントシステムの概略構成図である。
【図2】図2は、サーバおよびプリンタにおけるPCI Express規格のツリー構造を説明する図である。
【図3】図3は、サーバおよびプリンタにおけるPCI Express規格のツリー構造を説明する図である。
【図4】図4は、サーバとプリンタとの間の伝送路を説明する図である。
【図5】図5は、第1の実施の形態のPCI Express/光ケーブル変換ボードを説明する図である。
【図6】図6は、PCI Express/光ケーブル変換ボードにおける具体的な部品レイアウトの一例を示す平面図である。
【図7】図7は、PCI Express/光ケーブル変換ボード上のクロック源が発生するクロック(第1のクロック)の周波数を調整する処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】図8は、第2の実施の形態のPCI Express/光ケーブル変換ボードを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る通信ユニット、通信システムおよび通信ユニットの制御方法の最良な実施の形態を詳細に説明する。以下では、通信ユニットを含む情報機器としてのサーバおよびプリンタを備えるプリントシステムを例に説明する。なお、適用可能な装置(システム)はこれらに限られるものではない。
【0012】
(第1の実施の形態)
図1は、本実施の形態のプリントシステム100の概略構成図である。このプリントシステム100は、サーバ200と、光アクティブケーブル300によってサーバ200と接続されたプリンタ400とを備える。サーバ200は、いわゆるプリントサーバであり、ネットワーク500を介して複数の端末(例えば、PC)600と接続されている。
【0013】
サーバ200およびプリンタ400は、一例として図2に示すように、それぞれ、PCI Expressの規格にて規定されたツリー構造のトポロジに従って接続されたデバイス群を有する。PCI Expressの規格にて規定されたツリー構造のトポロジとは、一例として図3に示すように、ルートコンプレックスを頂点としたツリー型の構成であり、ルートコンプレックスとエンドポイントとが接続されるトポロジである。
【0014】
サーバ200は、図4に示すように、そのマザーボード210にPCI Expressの規格に準拠したソケット(PCI Expressソケット220)が搭載されている。そして、このPCI Expressソケット220には、通信ユニットであるカードアダプタ230が装着されている。
【0015】
プリンタ400は、図4に示すように、そのマザーボード410にPCI Expressの規格に準拠したソケット(PCI Expressソケット420)が搭載されている。そして、このPCI Expressソケット420には、カードアダプタ430が装着されている。
【0016】
サーバ200側のカードアダプタ230とプリンタ400側のカードアダプタ430とは、光トランシーバを内蔵した光アクティブケーブル300によって相互に接続されている。これにより、サーバ200とプリンタ400とが光アクティブケーブル300を介して光通信可能に接続され、サーバ200とプリンタ400との間で光を媒体とした高速の情報伝送が行われる。
【0017】
ここでは、画像情報(ブラックの画像情報、シアンの画像情報、マゼンタの画像情報、およびイエローの画像情報)が、ラスターイメージの可逆圧縮データの形で、サーバ200からプリンタ400に伝送される。そして、プリンタ400は、受信した画像情報に応じてカラーの画像を形成する。
【0018】
以上のように構成されるプリントシステム100において、本実施の形態では、サーバ200側のカードアダプタ(通信ユニット)230として、以下のようなPCI Express/光ケーブル変換ボードが用いられる。
【0019】
図5は、サーバ200側のカードアダプタ(通信ユニット)230として用いられるPCI Express/光ケーブル変換ボード10の構成例を説明する図である。PCI Express/光ケーブル変換ボード10は、PCI Express規格(PCI Express−Gen1/Gen2−x1,2,4,8,16等)に準拠したPCI Expressカードエッジコネクタ11と、例えばSFP,QSFP,XFP等の規格に準拠した光ケーブル用コネクタ12と、クロックアイソレーション機能を有するPCI Expressブリッジチップ(転送手段)13とを備えている。なお、クロックアイソレーション機能とは、PCI Expressブリッジチップ13の動作領域を個別のクロックで動作する複数の領域に分離する機能である。
【0020】
PCI Expressカードエッジコネクタ11は、基板上に形成されたシリアル信号線により、PCI Expressブリッジチップ13のカードエッジ側ポートに接続されている。PCI Expressブリッジチップ13は、このPCI Expressカードエッジコネクタ11を介して、サーバ200のマザーボード210に接続される。
【0021】
光ケーブル用コネクタ12は、基板上に形成されたシリアル信号線により、PCI Expressブリッジチップ13の光ケーブル側ポートに接続されている。この光ケーブル用コネクタ12には、例えば、光トランシーバを内蔵した通信ケーブル、つまり電気/光変換機能を有する光アクティブケーブル300の一端側が装着される。光アクティブケーブル300の他端側は、プリンタ400側に接続されている。PCI Expressブリッジチップ13は、光ケーブル用コネクタ12および光アクティブケーブル300を介して、プリンタ400に接続されることになる。
【0022】
図6は、PCI Express/光ケーブル変換ボード10における具体的な部品レイアウトの一例を示す平面図である。
【0023】
PCI Express/光ケーブル変換ボード10は、基板10a上に、上述した光ケーブル用コネクタ12やPCI Expressブリッジチップ13のほか、クロック送信ケーブル用コネクタ16、コネクタ17などが実装されている。PCI Expressカードエッジコネクタ11は、基板10aの一端部近傍の両面に形成されている。なお、図6における符号L11およびL12は、例えば105mmおよび130mmである。
【0024】
また、図6には、基板10a上におけるシリアル信号線が最優先で配線されている領域がハッチングで示されている。このシリアル信号線とは、PCI Expressの伝送路であり、上述したように、PCI Expressカードエッジコネクタ11とPCI Expressブリッジチップ13との間、および、PCI Expressブリッジチップ13と光ケーブル用コネクタ12との間の配線である。なお、該配線領域に対応する裏面側の領域も配線領域である。
【0025】
クロック送信ケーブル用コネクタ16は、後述するクロック送信ケーブル350(例えば、Ethernet(登録商標)ケーブル等)が装着されるコネクタ(例えば、RJ45等)である。
【0026】
コネクタ17は、冷却ファンを取り付ける際に、該冷却ファンに電力を供給するためのコネクタである。なお、該電力は、PCI Expressカードエッジコネクタ11を介してサーバ200から供給される。
【0027】
さらに、PCI Express/光ケーブル変換ボード10には、図5に示すように、クロック源14と周波数調整部15とが設けられている。
【0028】
クロック源14は、PCI Expressブリッジチップ13の光ケーブル側ポートに供給するクロックを発生するものである。つまり、PCI Expressブリッジチップ13は、上述したクロックアイソレーション機能により、カードエッジ側ポートと光ケーブル側ポートとをそれぞれ別々のクロックで動作する領域として分離している。そして、光ケーブル側ポートで用いるクロック(第1のクロック)を、このクロック源14から供給している。第1のクロックを発生するクロック源14としては、例えば、クロックシンセサイザやパルスジェネレータなど、周波数可変のクロック発生器が用いられる。一方、カードエッジ側ポートのクロックは、サーバ200のマザーボード210上のクロック源250から、PCI Expressカードエッジコネクタ11を介して供給される(第3のクロック)。
【0029】
PCI Expressブリッジチップ13の光ケーブル側ポートは、クロック源14が発生する第1のクロックに基づいて、プリンタ400から光アクティブケーブル300を介して送信されたサーバ200への転送データを受信するとともに、サーバ200からの転送データを、光アクティブケーブル300を介してプリンタ400へと送信する処理を行う。また、PCI Expressブリッジチップ13のカードエッジ側ポートでは、サーバ200から供給される第3のクロックに基づいて、サーバ200からプリンタ400への転送データを入力するとともに、プリンタ400からの転送データを、PCI Expressカードエッジコネクタ11を介してサーバ200に出力する。
【0030】
周波数調整部15は、クロック源14が発生する第1のクロックの周波数を調整するものである。この周波数調整部15は、クロック送信ケーブル用コネクタ16に接続されている。クロック送信ケーブル350は、プリンタ400のクロック源450が発生するクロック(第2のクロック)をPCI Expressブリッジチップ13に供給するために用いられる通信ケーブルであり、一端側がクロック送信ケーブル用コネクタ16に装着され、他端側はプリンタ400に接続されている。
【0031】
周波数調整部15は、クロック送信ケーブル350を介してプリンタ400から送信される第2のクロックをクロック送信ケーブル用コネクタ16から入力し、第2のクロックの周波数を検知する。そして、周波数調整部15は、クロック源14が発生する第1のクロックの周波数が、クロック送信ケーブル350を介してプリンタ400から取得された第2のクロックの周波数と異なる場合に、第1のクロックの周波数を、第2のクロックの周波数と一致するように調整する。そして、周波数が調整された第1のクロックを、PCI Expressブリッジチップ13の光ケーブル側ポートに供給する。
【0032】
本実施の形態においては、サーバ200とプリンタ400との間の通信を中継するPCI Express/光ケーブル変換ボード10が、クロック源14が発生する第1のクロックを用いてPCI Expressブリッジチップ13の光ケーブル側ポートを動作させるようにしている。したがって、プリンタ400のクロック(クロック源450が発生する第2のクロック)の周波数と、PCI Express/光ケーブル変換ボード10上のクロック源14が発生する第1のクロックの周波数とが異なると、通信に失敗することになる。そこで、PCI Express/光ケーブル変換ボード10は、クロック送信ケーブル用コネクタ16に装着されたクロック送信ケーブル350を介して、プリンタ400から第2のクロックを取得し、クロック源14が発生する第1のクロックが第2のクロックの周波数と一致するように、周波数調整部15によって、第1のクロックの周波数を調整するようにしている。
【0033】
図7は、クロック源14が発生する第1のクロックの周波数を調整する処理の一例を示すフローチャートである。PCI Express/光ケーブル変換ボード10上のクロック源14が発生する第1のクロックが例えば100.0MHzであり、プリンタ400のクロック(第2のクロック)が例えば100.1MHzの場合、PCI Express/光ケーブル変換ボード10の光ケーブル側ポートを周波数100.0MHzの第1のクロックを用いて動作させると、同期がとれずに通信に失敗する。そこで、本実施の形態では、PCI Express/光ケーブル変換ボード10が例えば図7のフローチャートで示す処理を実行し、周波数調整部15によりクロック源14が発生する第1のクロックの周波数を、プリンタ400のクロックである100.1MHzに合わせることで通信を可能にする。
【0034】
図7のフローチャートで示す処理は、例えば、光アクティブケーブル300およびクロック送信ケーブル350を用いてプリンタ400がPCI Express/光ケーブル変換ボード10に接続されたときに開始される。
【0035】
処理が開始されると、まずステップS101において、周波数調整部15が、所定のメモリに記憶されているクロックの周波数値(過去に通信を行ったデバイスのクロックの周波数値)の読み込みを行うかどうかを判断する。そして、読み込みを行うと判断した場合は(ステップS101:YES)、周波数調整部15は、ステップS102において、メモリに記憶されている周波数値を読み込んで、クロック源14が発生する第1のクロックの周波数を、読み込んだ周波数と一致するように調整する。一方、メモリに記憶されている周波数値の読み込みを行わないと判断した場合は(ステップS101:NO)、ステップS102の処理が省略される。
【0036】
上記のステップS101およびS102の処理は、過去に通信が確立した経験のあるクロックの周波数値をメモリに保持しておくようにして、必要に応じてこの周波数値を読み出して第1のクロックの周波数値を調整することで、リンクトレーニングが始まる前に第1のクロックの周波数値の調整を行い、素早く通信を確立できるようにするためのものである。なお、過去の周波数値を読み込むかどうかは、例えば、クロック送信ケーブル用コネクタ16にクロック送信ケーブル350が装着されているか否かによって判断すればよい。すなわち、クロック送信ケーブル用コネクタ16にクロック送信ケーブル350が装着されていない場合は、過去にプリンタ400を接続した経験があるためにユーザが意図的にクロック送信ケーブル350を装着しないでメモリに記憶された値を用いて調整を行おうとしている可能性が高いので、このような場合には、メモリに記憶されている周波数値の読み出しを行う。
【0037】
次に、ステップS103において、PCI Expressブリッジチップ13の光ケーブル側ポートにより、プリンタ400との間でのリンクトレーニングが開始される。リンクトレーニングは、通信の相手方(本実施の形態の場合、プリンタ400)との間で決まったパターンのシンボルを送受信して、データが正しく伝送されるかを確認する処理であり、通信の相手方との間で通信リンクを確立するための処理である。このリンクトレーニングを実施している間に、プリンタ400は、クロック源450が発生するプリンタ400のクロック(第2のクロック)を、クロック送信ケーブル350を介してPCI Express/光ケーブル変換ボード10に送信する。PCI Express/光ケーブル変換ボード10では、このプリンタ400から送られる第2のクロックが取得され、周波数調整部15に供給される(ステップS104)。周波数調整部15は、プリンタ400から送られた第2のクロックの周波数を確認する。
【0038】
次に、PCI Expressブリッジチップ13の光ケーブル側ポートでは、ステップS105において、リンクトレーニングの結果、プリンタ400との間での通信リンクが確立したか否かが判断される。そして、通信リンクが確立した場合には(ステップS105:YES)、ステップS106において、そのときのクロック源14が発生する第1のクロックの周波数値が所定のメモリに記憶され、第1のクロックの周波数を調整する処理が終了する。
【0039】
一方、通信リンクが確立した場合には(ステップS105:NO)、周波数調整部15が、リンクトレーニング中にプリンタ400から取得された第2のクロックの周波数値をもとに、クロック源14が発生する第1のクロックの周波数を、第2のクロックの周波数と一致するように調整する(ステップS107)。そして、ステップS103に戻り、周波数が調整された第1のクロックを用いてリンクトレーニングが実施され、プリンタ400との間での通信リンクが確立するまで、以上の処理が繰り返される。
【0040】
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施の形態によれば、クロックアイソレーション機能によってPCI Expressブリッジチップ13のカードエッジ側ポートと光ケーブル側ポートとをそれぞれ別々のクロックで動作する領域として分離し、光ケーブル側ポートで用いるクロック(第1のクロック)を、PCI Express/光ケーブル変換ボード10上のクロック源14から供給するようにしている。そして、通信の接続先となるプリンタ400のクロック(第2のクロック)を取得し、クロック源14が発生する第1のクロックの周波数が、取得した第2のクロックの周波数と異なる場合には、周波数調整部15が、第1のクロックの周波数を第2のクロックの周波数と一致するように調整している。したがって、プリンタ400のクロックの周波数が予め定められた周波数値になっていない場合でも、このプリンタ400との間での通信を適切に行うことができ、クロックの周波数が異なる機器同士を通信可能に接続することができる。
【0041】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。図8は、第2の実施の形態におけるPCI Express/光ケーブル変換ボード10の構成例を説明する図である。本実施の形態は、プリンタ400からPCI Express/光ケーブル変換ボード10に対して、所定比率で分周した第2のクロックを送信し、分周された第2のクロックをPCI Express/光ケーブル変換ボード10において所定比率で逓倍して復元するようにした例である。これを実現するため、本実施の形態では、プリンタ400側に、クロック源450が発生する第2のクロックの周波数を所定比率で分周する分周部460が設けられている。また、PCI Express/光ケーブル変換ボード10には、プリンタ400からクロック送信ケーブル350を介して送信され、クロック送信ケーブル用コネクタ16から入力される第2のクロックの周波数を所定比率で逓倍して復元する逓倍部18が設けられている。なお、その他の構成については、上述した第1の実施の形態と同様である。
【0042】
通常、例えば100mを超えるような長距離通信をする際、クロック送信ケーブル350として安価なメタルケーブルを用いると、100MHzもの高周波数のクロックを正常に送受信することは難しい。クロック送信ケーブル350として光ケーブルを用いるようにすれば、高周波数のクロックであっても正常に送受信可能となるが、コスト高になるといった問題がある。そこで、本実施の形態では、プリンタ400からPCI Express/光ケーブル変換ボード10に対して第2のクロックを送信する際に、プリンタ400側に設けた分周部460により第2のクロックの周波数を所定比率で分周(1/n倍)した上で、クロック送信ケーブル350を介してPCI Express/光ケーブル変換ボード10に送信するようにしている。そして、PCI Express/光ケーブル変換ボード10側では、プリンタ400からクロック送信ケーブル350を介して取得した第2のクロックの周波数を、逓倍部18により所定比率で逓倍(n倍)して復元し、周波数調整部15に供給するようにしている。なお、分周・逓倍を行う際の所定比率は、予め規定値として定めて分周部460および逓倍部18に設定しておけばよい。
【0043】
本実施の形態では、プリンタ400のクロック源450から発生する第2のクロックが、その周波数を分周部460で1/n(例えば1/10)に分周した上で、クロック送信ケーブル350を介してPCI Express/光ケーブル変換ボード10側に送信される。この分周された第2のクロックは、クロック送信ケーブル用コネクタ16から逓倍部18に入力され、逓倍部18において、周波数がn倍(例えば10倍)に逓倍されて復元され、周波数調整部15に供給される。そして、周波数調整部15は、復元された第2のクロックの周波数と、PCI Express/光ケーブル変換ボード10上のクロック源14が発生する第1のクロックの周波数とを比較して、両者の周波数値が異なる場合に、第1のクロックの周波数を第2のクロックの周波数と一致するように調整する。これにより、クロック送信ケーブル350としてEthernet(登録商標)ケーブルのような安価なメタルケーブルを用いながら、プリンタ400側からPCI Express/光ケーブル変換ボード10側へと第2のクロックを適切に送信することが可能となり、100mを超える長距離通信を低コストで実現することができる。
【0044】
なお、上記のような方法により第2のクロックを送受信すると、第2のクロックの波形が多少乱れてしまう可能性がある。しかしながら、第2のクロックは、PCI Express/光ケーブル変換ボード10においてクロックそのものとして利用するものではなく、クロック源14が発生する第1のクロックの周波数を調整するための情報として用いるものであり、PCI Express/光ケーブル変換ボード10側では、第2のクロックの周波数値が判別できればよいので、多少の波形の乱れは問題とならない。
【0045】
以上、本発明の一適用例として第1の実施の形態および第2の実施の形態を具体的に説明したが、本発明は、上記の実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で様々な変形や変更を加えて具体化することができる。例えば、上記実施の形態では、プリンタ400側の構成を簡略的に説明したが、プリンタ400側にも、サーバ200に装着されるPCI Express/光ケーブル変換ボード10と同様のカードアダプタ(通信ユニット)が装着されていてもよい。この場合、サーバ200側とプリンタ400側とのいずれか一方のカードアダプタにおいて、PCI Expressブリッジチップ13のクロックアイソレーション、クロック源14からの第1のクロックの供給、周波数調整部15による第1のクロックの周波数の調整を行えばよい。また、この場合には、第2の実施の形態で説明した分周部460と逓倍部18との双方の機能をカードアダプタ上に設けておき、クロック(第2のクロック)を送信する側と受信する側とで、分周部460と逓倍部18とを使い分けるようにすればよい。
【0046】
また、以上は光アクティブケーブル300を用いて光通信を行う通信システムについて説明したが、本発明は、光通信に限らず、様々な通信形態の通信システムに広く適用することができる。例えば、光アクティブケーブル300を用いる代わりに、PCI Express規格に準拠した銅線ケーブルや、その他の高速差動信号を伝送可能なケーブルを用いて通信を行う通信システムに対しても、本発明は有効に適用可能である。また、上記実施の形態では、PCI Express規格に準拠した情報通信を行う場合について説明したが、これに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0047】
10 PCI Express/光ケーブル変換ボード
11 PCI Expressカードエッジコネクタ
12 光ケーブル用コネクタ
13 PCI Expressブリッジチップ
14 クロック源
15 周波数調整部
16 クロック送信ケーブル用コネクタ
18 逓倍部
200 サーバ
210 マザーボード
250 クロック源
300 光アクティブケーブル
350 クロック送信ケーブル
400 プリンタ
450 クロック源
460 分周部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0048】
【特許文献1】特開2010−45763号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の機器に装着され、該第1の機器を第2の機器に対して通信可能に接続するための通信ユニットであって、
第1のクロックを発生するクロック源と、
前記第1のクロックに基づいて、前記第2の機器から前記第1の機器への転送データを受信するとともに、前記第1の機器からの転送データを前記第2の機器に送信するデータ転送手段と、
前記第2の機器から該第2の機器のクロックである第2のクロックを取得するクロック取得手段と、
前記第1のクロックの周波数を、前記第2のクロックの周波数に一致するように調整するクロック周波数調整手段と、を備えることを特徴とする通信ユニット。
【請求項2】
前記第1の機器のマザーボードに接続されるカードエッジコネクタと、
前記第2の機器との間の通信媒体として使用する通信ケーブルが装着されるケーブル用コネクタとをさらに備え、
前記データ転送手段は、前記ケーブル用コネクタ側のポートにおいて前記第1のクロックに基づき前記第2の機器から受信した転送データを、前記カードエッジコネクタ側のポートから、前記第1の機器から供給される第3のクロックに基づいて前記第1の機器に対して出力するとともに、前記カードエッジコネクタ側のポートにおいて前記第3のクロックに基づき前記第1の機器から入力した前記転送データを、前記ケーブル用コネクタ側のポートから、前記第1のクロックに基づいて前記第2の機器に送信すること、を特徴とする請求項1に記載の通信ユニット。
【請求項3】
前記カードエッジコネクタは、PCI Expressの規格に準拠したPCI Expressカードエッジコネクタであること、を特徴とする請求項2に記載の通信ユニット。
【請求項4】
前記通信ケーブルは、電気/光変換機能を有する光アクティブケーブルであること、を特徴とする請求項2または3に記載の通信ユニット。
【請求項5】
前記第2のクロックは、前記第2の機器からクロック送信ケーブルを介して送信され、
前記クロック取得手段は、前記クロック送信ケーブルが装着されるクロック送信ケーブル用コネクタを有すること、を特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の通信ユニット。
【請求項6】
前記第2のクロックは、所定比率で分周して前記第2の機器から前記クロック送信ケーブルを介して送信され、
前記クロック取得手段により取得された前記第2のクロックを前記所定比率で逓倍して復元する逓倍手段をさらに備えること、を特徴とする請求項5に記載の通信ユニット。
【請求項7】
第1の機器と、第2の機器と、前記第1の機器に装着されるとともに通信ケーブルを介して前記第2の機器に接続されて前記第1の機器と前記第2の機器との間の通信を中継する通信ユニットと、を備えた通信システムであって、
前記通信ユニットは、
第1のクロックを発生するクロック源と、
前記第1のクロックに基づいて、前記第2の機器から前記第1の機器への転送データを受信するとともに、前記第1の機器からの転送データを前記第2の機器に送信するデータ転送手段と、
前記第2の機器から該第2の機器のクロックである第2のクロックを取得するクロック取得手段と、
前記第1のクロックの周波数を、前記第2のクロックの周波数に一致するように調整するクロック周波数調整手段と、を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項8】
第1の機器に装着されるとともに通信ケーブルを介して第2の機器に接続され、第1のクロックを発生するクロック源と、前記第1のクロックに基づいて、前記第2の機器から前記第1の機器への転送データを受信するとともに、前記第1の機器からの転送データを前記第2の機器に送信するデータ転送手段と、を備えた通信ユニットの制御方法であって、
前記第2の機器から該第2の機器のクロックである第2のクロックを取得するステップと、
前記第1のクロックの周波数を、前記第2のクロックの周波数に一致するように調整するステップと、を含むことを特徴とする通信ユニットの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−23571(P2012−23571A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−160047(P2010−160047)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】