通信品質測定装置、通信品質測定方法及びコンピュータプログラム
【課題】安価な装置であっても、ハードウェア資源への負荷によるパケットの取得漏れが発生しないようにでき、装置のコスト削減及び測定精度保持の両立を図ることができる通信品質測定装置、通信品質測定方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】自らが備えるハードウェア資源に対する負荷の大きさに応じて解析すべきパケットの取得をパケットを取得する取得状態又はパケットを取得しない休止状態に切替えるようにしてある。
【解決手段】自らが備えるハードウェア資源に対する負荷の大きさに応じて解析すべきパケットの取得をパケットを取得する取得状態又はパケットを取得しない休止状態に切替えるようにしてある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パケット交換網を介して転送されるパケットを取得し、取得したパケットを解析してパケット交換網におけるパケットの消失、遅延などの通信品質を測定する通信品質測定装置、通信品質測定方法及びコンピュータプログラムに関し、特に、安価な装置であっても装置が有するハードウェア資源の負荷に応じた通信品質の測定が可能な通信品質測定装置、通信品質測定方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報技術の進歩に伴い、パケット交換網を介した双方向通信が活発となり、例えば、パケット化した音声データをパケット交換網を介して送受信することにより、インターネット経由での音声通話を可能とするVoIP(Voice over Internet Protocol)機能を有するIP電話が普及している。
【0003】
ところで、人間の聴覚は音声の途切れ、雑音に対して敏感であるため、パケット交換網における音声パケットの消失はIP電話の品質に大きな影響を与える。従って、IP電話においては、QoS(Quality of Service)保証機能に対する要求が非常に高い。
【0004】
そこで、従来、IP電話を提供するためのパケット交換網において、パケットの消失、遅延又はジッタなどを検出して通信品質を測定する通信品質測定装置などが種々提案された。例えば、パケット交換網を転送されるパケットを全て取得し、取得した全てのパケットのヘッダ部を解析し、パケットの消失、遅延などを検出することにより通信品質を特定する装置が一般的に利用されていた。また、パケット交換網にテストパケットを周期的に送出し、送出したパケットを全て取得できるか否かを判断することにより通信品質を測定する装置が新たに提案された(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2005−236909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一般的な装置にあっては、全てのパケットを取得して解析できる高価な高スペックの汎用機又は専用機を用いる必要があり、設備コストが高騰するという問題を有している。また、特許文献1に記載された装置にあっては、自らが送出したテストパケットのみの取得を検出するにすぎないので、高価な装置を用いる必要はない。しかし、この装置にあっては、テストパケットの未取得がパケット交換網の転送中に消失したことによるものであるのか、又は取得したパケットを装置内に蓄積できない取得漏れによるものであるのかを区別することができないため、通信品質の測定精度を保持できないという問題を有している。このように、通信品質測定装置において、コストと計測精度とはトレードオフの関係にある。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、自らが備えるハードウェア資源に対する負荷の大きさに応じてパケットを取得する取得状態又はパケットを取得しない休止状態に切替えるようにしてあることにより、安価な装置であっても、ハードウェア資源への負荷によるパケットの取得漏れが発生しないようにでき、装置のコスト削減及び測定精度保持の両立を図ることができる通信品質測定装置、通信品質測定方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明の他の目的は、ハードウェア資源に対する負荷の大きさを判断するための所定値に上限値及び下限値と設けることにより、状態の切替判断に猶予を設けることができる通信品質測定装置を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明の他の目的は、取得したパケットに前記蓄積手段で蓄積できないパケットが存在する取得漏れを検知したとき、パケットを取得しないようにすることにより、安価な低スペックの装置であっても測定精度を極力保持することができる通信品質測定装置を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明の他の目的は、パケットの蓄積量に対応する負荷の大きさをハードウェア資源に対する負荷の大きさとみなし、ハードウェア資源に対する負荷の大きさに応じてパケットを取得する取得状態又はパケットを取得しない休止状態に切替えるようにしてあることにより、安価な低スペックの装置であっても、ハードウェア資源への負荷によるパケットの取得漏れが発生しないようにでき、装置のコスト削減及び測定精度保持の両立を図ることができる通信品質測定装置を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明の他の目的は、取得した所定期間でのハードウェア資源の使用率に対応する負荷の大きさをハードウェア資源に対する負荷の大きさとみなし、ハードウェア資源に対する負荷の大きさに応じてパケットを取得する取得状態又はパケットを取得しない休止状態に切替えるようにしてあることにより、安価な低スペックの装置であっても、ハードウェア資源への負荷によるパケットの取得漏れが発生しないようにでき、装置のコスト削減及び測定精度保持の両立を図ることができる通信品質測定装置を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明の他の目的は、算出した所定の単位時間当たりに取得したパケットの取得量に対応する負荷の大きさをハードウェア資源に対する負荷の大きさとみなし、ハードウェア資源に対する負荷の大きさに応じてパケットを取得する取得状態又はパケットを取得しない休止状態に切替えるようにしてあることにより、安価な低スペックの装置であっても、ハードウェア資源への負荷によるパケットの取得漏れが発生しないようにでき、装置のコスト削減及び測定精度保持の両立を図ることができる通信品質測定装置を提供することを目的とする。
【0012】
更にまた、本発明の他の目的は、算出したパケットの消失率及び誤差を対応付けて出力するようにしてあることにより、安価な低スペックの装置であっても測定精度に対する信頼性を向上させることができる通信品質測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1発明に係る通信品質測定装置は、パケット交換網に接続する手段と、前記パケット交換網を転送されるパケットを取得する取得手段と、取得したパケットを蓄積する蓄積手段とを備え、蓄積したパケットを解析することにより前記パケット交換網における通信品質を測定する通信品質測定装置において、前記取得手段によるパケットの取得を、パケットを取得する取得状態又はパケットを取得しない休止状態へ切替える制御手段と、自身が備えるハードウェア資源に対する負荷の大きさが予め設定してある所定値よりも大きいか否かを判断する判断手段とを備え、前記制御手段は、負荷の大きさが前記所定値よりも大きいと前記判断手段が判断した場合にパケットの取得を前記休止状態へ切替え、負荷の大きさが前記所定値以下であると前記判断手段が判断した場合にパケットの取得を前記取得状態に切替えるようにしてあることを要件とする。
【0014】
また、第2発明に係る通信品質測定装置は、前記所定値は、上限値及び下限値を有し、前記制御手段は、負荷の大きさが前記上限値よりも大きいと前記判断手段が判断した場合にパケットの取得を前記休止状態へ切替え、負荷の大きさが前記下限値以下であると前記判断手段が判断した場合にパケットの取得を前記取得状態へ切替えるようにしてあることを要件とする。
【0015】
また、第3発明に係る通信品質測定装置は、前記取得手段が取得したパケットの内に前記蓄積手段が蓄積できないパケットが存在する取得漏れを検知する検知手段を更に備え、前記制御手段は、前記検知手段が取得漏れを検知した場合、パケットの取得を前記休止状態へ切替えるようにしてあることを要件とする。
【0016】
また、第4発明に係る通信品質測定装置は、前記蓄積手段が蓄積したパケットの蓄積量を算出する手段を更に備え、前記判断手段は、算出したパケットの蓄積量に対応する負荷の大きさが前記所定値よりも大きいか否かを判断するようにしてあることを要件とする。
【0017】
また、第5発明に係る通信品質測定装置は、所定期間でのハードウェア資源の使用率を取得する手段を更に備え、前記判断手段は、取得したハードウェア資源の使用率に対応する負荷の大きさが前記所定値よりも大きいか否かを判断するようにしてあることを要件とする。
【0018】
また、第6発明に係る通信品質測定装置は、前記取得手段が所定の単位時間当たりに取得したパケットの取得量を算出する手段を更に備え、前記判断手段は、算出したパケットの取得量に対応する負荷の大きさが前記所定値よりも大きいか否かを判断するようにしてあることを要件とする。
【0019】
また、第7発明に係る通信品質測定装置は、前記取得手段が取得したパケットの取得数及び前記パケット交換網を転送中に消失したパケットの消失数を計測する手段と、計測したパケットの取得数及び消失数に基づいて、前記パケット交換網を転送されるパケット数に対するパケットの消失数の比率であるパケットの消失率及び該消失率に対する誤差を算出する手段と、算出したパケットの消失率及び誤差を対応付けて出力する手段とを備えることを要件とする。
【0020】
また、第8発明に係る通信品質測定方法は、パケット交換網に接続し、前記パケット交換網を転送されるパケットを取得し、取得したパケットを蓄積し、蓄積したパケットを解析することにより前記パケット交換網における通信品質を測定する通信品質測定方法において、自身が備えるハードウェア資源に対する負荷の大きさが予め設定してある所定値よりも大きいか否かを判断し、前記パケット交換網からのパケットの取得を、パケットを取得する取得状態又はパケットを取得しない休止状態へ切替えるとき、負荷の大きさが前記所定値よりも大きいと判断した場合、パケットの取得を前記休止状態へ切替え、負荷の大きさが前記所定値以下であると判断した場合、パケットの取得を前記取得状態へ切替えることを要件とする。
【0021】
更にまた、第9発明に係るコンピュータプログラムは、パケット交換網に接続してあるコンピュータに、前記パケット交換網を転送されるパケットを取得し、取得したパケットを蓄積し、蓄積したパケットを解析させることにより前記パケット交換網における通信品質を測定させるコンピュータプログラムにおいて、コンピュータが備えるハードウェア資源に対する負荷の大きさが予め設定してある所定値よりも大きいか否かを判断させるステップと、前記パケット交換網からのパケットの取得を、パケットを取得する取得状態又はパケットを取得しない休止状態へ切替えるとき、負荷の大きさが前記所定値よりも大きいと判断した場合、パケットの取得を前記休止状態へ切替えさせるステップと、負荷の大きさが前記所定値以下であると判断した場合、パケットの取得を前記取得状態へ切替えさせるステップとをコンピュータに実行させることを要件とする。
【0022】
第1発明、第8発明及び第9発明では、負荷の大きさが所定値よりも大きいと判断した場合にパケットの取得を休止状態へ切替え、負荷の大きさが所定値以下であると判断した場合にパケットの取得を取得状態に切替えることにより、安価な低スペックの装置であっても、ハードウェア資源への負荷によるパケットの取得漏れを極力発生させない。
【0023】
また第2発明では、ハードウェア資源に対する負荷の大きさを判断するための所定値に上限値及び下限値と設けることにより、状態の切替判断に猶予を設け、パケット取得の実行状態又は休止状態への切替処理に対する負荷を極力を抑え、安価な低スペックの装置であっても、ハードウェア資源への負荷によるパケットの取得漏れを極力発生させない。
【0024】
また第3発明では、取得したパケットに蓄積できないパケットが存在する取得漏れを検知したときにはパケットを取得しないようにすることにより、パケットの取得漏が発生したときに通信品質の測定を行わないようにする。
【0025】
また、第4発明では、パケットの蓄積量を負荷の大きさとみなし、負荷の大きさが所定値よりも大きいと判断した場合にパケットの取得を休止状態へ切替え、負荷の大きさが所定値以下であると判断した場合にパケットの取得を取得状態に切替えることにより、安価な低スペックの装置であっても、ハードウェア資源への負荷によるパケットの取得漏れを極力発生させない。
【0026】
また第5発明では、取得したハードウェア資源の使用率を負荷の大きさとみなし、負荷の大きさが所定値よりも大きいと判断した場合にパケットの取得を休止状態へ切替え、負荷の大きさが所定値以下であると判断した場合にパケットの取得を取得状態に切替えることにより、安価な低スペックの装置であっても、ハードウェア資源への負荷によるパケットの取得漏れを極力発生させない。
【0027】
また第6発明では、算出したパケットの取得量を負荷の大きさとみなし、負荷の大きさが所定値よりも大きいと判断した場合にパケットの取得を休止状態へ切替え、負荷の大きさが所定値以下であると判断した場合にパケットの取得を取得状態に切替えることにより、安価な低スペックの装置であっても、ハードウェア資源への負荷によるパケットの取得漏れを極力発生させない。
【0028】
更にまた第7発明では、算出したパケットの消失率及び誤差を対応付けて出力することにより、消失率に対する誤差をユーザに視認させ、測定精度に対する信頼性を向上させる。
【発明の効果】
【0029】
本発明にあっては、安価な低スペックの装置であっても、ハードウェア資源への負荷によるパケットの取得漏れを極力発生させないようにできる。また、仮にパケットの取得漏れが発生した場合は、通信品質の測定を行わないようにして測定精度を保持することができる。更にまた、測定精度に対する信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
実施の形態1.
以下、本発明に係る通信品質測定装置、通信品質測定方法及びコンピュータプログラムについて、実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は実施の形態1における通信品質測定装置がパケット交換網に接続された状態でIP電話サービスの品質を測定するための構成を概念的に表す模式図である。
尚、実施の形態1では、IP電話サービスの品質を測定するための構成を一例として説明する。しかし、本発明は、これに限定されるものでなく、動画データなどのストリーミングデータの配信するサービスの品質を測定するための構成であってもよい。
【0031】
図1中、1は本発明に係る通信品質測定装置である。通信品質測定装置1は、ルータ及びスイッチングハブなどの装置(図示せず。以下同様。)を介してパケット交換網21に接続されている。図1中、3、3、…は、IP電話機能を有する電話機であり、夫々所属するネットワーク22、22、…にルータ及びスイッチングハブなどの装置を介して接続されている。
【0032】
各電話機3は、SIP(Session Initiation Protocol)サーバ(図示せず。以下同様。)により呼接続が確立され、更にRTP(Real-time Transport Protocol)セッションが確立されることにより、音声データを運ぶパケットが送受信される。その結果、各電話機3によるIP電話サービスが実現される。図1中の矢印は、音声データを運ぶパケットの流れを表している。
【0033】
通信品質測定装置1は、RTPセッションにより送受信されるパケットを取得する。通信品質測定装置1は、取得したパケットのRTPヘッダを読み出し、読み出したRTPヘッダを解析することにより、欠落したパケットの有無を判定し、又はパケットの遅延の判断を行い、パケット交換網21におけるIP電話サービスの品質を測定する。
【0034】
次に通信品質測定装置1の構成及び作用について説明する。図2は実施の形態1における通信品質測定装置1の構成を示すブロック図である。通信品質測定装置1は、動作を制御する制御部10と、磁気記憶方式のハードディスクに相当する記憶部11と、RAM(Random Access Memory)に相当する一時記憶領域12と、液晶モニタに相当する表示部13と、パケット交換網21又はネットワーク22に接続するための通信部14とを備える。尚、表示部13は、表示を行わない場合は、備えなくても良い。
【0035】
制御部11には、制御プログラム1Pが記憶されている。制御部10は、制御部11に記憶してある制御プログラム1Pを一時記憶領域12へ読み出し、読み出した制御プログラム1Pを実行することにより、通信品質測定装置1の動作を制御する。制御プログラム1Pには、複数のモジュールが含まれ、制御プログラム1Pに従う制御部10は、各モジュールに応じた機能を実現させる。かかる機能の詳細は、後述にて説明する。
【0036】
一時記憶領域12は、記憶部11から読み出した制御プログラム1Pを記憶するための記憶手段として利用されるのみならず、制御部10が制御プログラム1Pを実行することにより発生する各種情報を記憶するための記憶手段としても利用される。
【0037】
表示部13は、制御部10により出力された各種情報を画像出力するためのインタフェースである。表示部13は、制御部10により取得され解析されたパケットに関する情報を出力する。
【0038】
通信部14は、パケット交換網21又はネットワーク22に接続するためのインタフェースである。通信部14は、制御プログラム1Pに含まれるドライバを介して制御部10により制御され、パケット交換網21を転送されるパケットを取得し、制御部10へ出力する。
【0039】
次に制御部10の機能について説明する。図3は実施の形態1における通信品質測定装置1の制御部10の機能ブロック図である。制御部10は、制御プログラム1Pを実行することにより、通信部14を介して取得したパケットを蓄積するパケット取得手段101と、パケット取得手段101によるパケットの取得を実行又は休止するための制御を行う取得制御手段102と、パケット取得手段101により蓄積したパケットを解析してパケットの消失及び遅延などを判断する品質解析手段103と、品質解析手段103により得られたパケットに関する情報を表示部13へ出力するためのGUI(Graphic User Interface)である解析結果表示手段104として機能する。
【0040】
制御部10は、パケット取得手段101として機能するとき、一時記憶領域12内にパケット蓄積領域121を確保し、確保したパケット蓄積領域121に通信部14を介して取得したパケットを蓄積する。
【0041】
制御部10は、パケット取得手段101として機能するとき、取得したパケットの取得数、及び取得したがパケット蓄積領域121に蓄積できなかったパケット数を示す取得漏れ数を計数する。例えば、制御部10は、取得の都度パケットに取得番号を付与し、取得番号に基づいてパケットの取得数を計数する。また、制御部10は、パケット蓄積領域121へ蓄積したパケットの取得番号の飛躍を検出することにより、取得漏れ数を計数する。制御部10は、一時記憶領域12内に取得統計情報記憶領域122を確保し、確保した取得統計情報記憶領域122に計数した取得数及び取得漏れ数を記憶する。制御部10は、取得制御手段102として機能するとき、パケット取得手段101へ指示を与え、取得統計情報記憶領域122に記憶してあるパケットの取得数及び取得漏れ数を初期化する。
【0042】
制御部10は、パケット取得手段101としてパケットを取得する都度、取得の完了通知を取得制御手段102へ出力する。制御部10は、取得制御手段102としてパケット取得手段101から出力された通知を受け付ける都度、取得の完了通知を品質解析手段103へ出力する。そして、制御部10は、品質解析手段103として機能するとき、取得制御手段102から出力された通知を受け付ける都度、パケット蓄積領域121に記憶してあるパケットを読み出し、読み出したパケットを解析する。尚、取得制御手段102から品質解析手段103への取得の完了通知は、パケット取得手段101から出力された通知を受け付ける都度ではなく、パケット取得手段101からの所定回数の通知を受けた場合、又は所定時間が経過した場合に行うようにしても良い。
【0043】
制御部10は、パケット取得手段101として機能するとき、取得制御手段102からの制御によりパケットの取得を実行又は休止する。制御部10は、取得制御手段102として機能するとき、パケット取得手段101によるパケットの取得の実行及び休止を所定の基準処理期間単位で制御する。即ち、制御部10は、パケットを取得する取得期間(以下、「取得期間Tcap」という。)及び取得を休止する休止期間(以下、「休止期間Tint」という。)を基準処理期間(以下、「基準処理期間Tu」という。)単位で反復して間欠的にパケットを取得する。この場合、取得制御手段102として機能する制御部10は、Tu=Tcap+Tintが成り立つように基準処理期間Tu、取得期間Tcap及び休止期間Tintを分配して設定し、パケット取得手段101によるパケットの取得を制御する。制御部10は、所定の単位期間(以下、「単位期間Td」という。)を単位として基準処理期間Tuを設定し、例えば、基準処理期間Tuを単位期間Tdの10倍に設定する。取得期間Tcapには、Tcap=Tuが初期設定され、休止期間Tintには、0が初期設定される。単位期間Td、基準処理期間Tu、取得期間Tcap及び休止期間Tintは、一時記憶領域12に記憶され、制御部10により適宜参照される。
【0044】
制御部10は、品質解析手段103として機能するとき、パケット蓄積領域121に記憶してあるパケットを読み出し、読み出したパケットからRTPヘッダを抽出する。RTPヘッダには、各RTPセッションにおけるシーケンス番号及び時刻情報が格納されている。制御部10は、RTPヘッダを解析し、例えば、シーケンス番号の飛躍を検出する。その後、制御部10は、消失したパケットの有無を判断してパケットの消失数を計数し、パケットの消失率を算出する。また、制御部10は、時刻情報を検出することにより、パケットの遅延の有無を判断する。
【0045】
制御部10は、解析結果表示手段104として機能するとき、品質解析手段103により解析して得られたパケットに関する情報(RTPヘッダの情報など)を表示部13を介して画像出力し、算出したパケット消失率及び/又は該消失率に対する誤差を画像出力する。
【0046】
次に制御部10がパケット取得手段101、取得制御手段102、品質解析手段103及び解析結果表示手段104として機能するときの各処理の手順を説明する。図4は実施の形態1における通信品質測定装置1の制御部10がパケット取得手段101としてパケットを取得する処理の手順を示すフローチャート、図5は実施の形態1における通信品質測定装置1の制御部10が取得制御手段102としてパケットの取得を実行又は休止する制御処理の手順を示すフローチャート、図6は実施の形態1における通信品質測定装置1の制御部10が取得制御手段102として機能することにより、負荷の大きさに応じてどのようにパケットを取得するかを概念的に示す説明図、図7は実施の形態1における通信品質測定装置1の制御部10が品質解析手段103としてパケット消失率を算出する処理の手順を示すフローチャートである。制御部10は、パケット取得処理、取得制御処理及び品質解析処理を夫々スレッドとし、並行して実行する。制御部10は、スレッドで用いるための記憶領域を共有し、スレッド相互で通知しあうことにより処理のタイミングを合わせ、並行処理を実行する。
【0047】
先ずパケット取得処理の手順について説明する(図4参照)。通信品質測定装置1の制御部10は、パケット取得手段101として機能するとき、取得統計情報記憶領域122に記憶してあるパケットの取得数及び取得漏れ数に0を代入して初期化を行う(S101)。制御部10は、取得制御手段102で取得の実行を示す実行通知を出力したか否かを判断し(S102)、取得制御手段102で実行通知を出力していないと判断した場合(S102でNO)、ステップS102に戻り、処理を繰り返す。
【0048】
一方、制御部10は、取得制御手段102で実行通知を出力したと判断した場合(S102でYES)、通信部14を介してパケットの取得を開始する(S103)。制御部10は、パケットの取得を開始した後、パケットの取得数及び取得漏れ数を随時計数し、取得統計情報記憶領域122に記憶する(S104)。
【0049】
制御部10は、取得制御手段102で取得の休止を示す休止通知を出力したか否かを判断し(S105)、取得制御手段102で休止通知を出力していないと判断した場合(S105でNO)、ステップS104へ戻り、処理を繰り返す。
【0050】
一方、制御部10は、取得制御手段102で休止通知を出力したと判断した場合(S105でYES)、パケットの取得を停止する(S106)。制御部10は、取得制御手段102で初期化通知を出力したか否かを更に判断し(S107)、取得制御手段102で初期化通知を出力していないと判断した場合(S107でNO)、ステップS107へ戻り、処理を繰り返す。
【0051】
一方、制御部10は、取得制御手段102で初期化通知を出力したと判断した場合(S107でYES)、ステップS101へ戻り、処理を繰り返す。制御部10は、外部から終了通知を受け付けたと判断した場合、又は処理のエラーが発生した場合、パケット取得処理を終了する。
【0052】
次に取得制御処理の手順について説明する(図5参照)。取得制御処理は、制御部10のパケット取得手段101によるパケット取得処理に対して実行通知、休止通知及び初期化通知を出力する処理である。
【0053】
制御部10は、取得制御手段102として機能するとき、一時記憶領域12に記憶してある単位期間Td、基準処理期間Tu、取得期間Tcap及び休止期間Tintを初期設定する(S201)。実施の形態1では、単位期間Tdを100msecと予め設定し、基準処理期間Tuを単位期間Tdの10倍である1000msecとし、取得期間TcapをTuとし、休止期間Tintを0とするように初期設定を行う。
【0054】
制御部10は、パケット取得手段101に対して実行通知を出力し(S202)、取得期間Tcapが経過するまで待機する(S203)。制御部10は、取得期間Tcapの間、パケット取得手段101としてパケットを取得する。
【0055】
制御部10は、取得期間Tcapを経過したとき、パケット取得手段101に対して休止通知を出力し(S204)、休止期間Tintが経過するまで待機する(S205)。制御部10は、休止期間Tintの間、パケット取得手段101としてパケットの取得を休止する。
【0056】
制御部10は、休止期間Tintを経過したとき、取得統計情報記憶領域122に記憶してある取得数及び取得漏れ数を読み出し(S206)、読み出した取得数及び取得漏れ数に基づいて、パケットの取得漏れが存在するか否かを判断する(S207)。その結果、制御部10は、パケットの取得漏れが存在すると判断した場合(S207でYES)、通信品質測定装置1のハードウェア資源に対する負荷が大きいと判断する。
【0057】
このとき、制御部10は、基準処理期間Tuに対する休止期間Tintが大きくなるように取得期間Tcap及び休止期間Tintを設定する(S208)。制御部10は、例えば、ステップS208における取得期間Tcap及び休止期間Tintの設定において、取得期間Tcapを単位期間Tdだけ短縮(Tcap←Tcap−Td)し、休止期間Tintを単位期間Tdだけ延長(Tint←Tint+Td)するように設定する。
【0058】
一方、制御部10は、パケットの取得漏れがなかったと判断した場合(S207でNO)、取得期間Tcap及び休止期間Tintを変更することなしにステップS209へ処理を進める。
【0059】
制御部10は、ステップS208の処理を実行した後、又はパケットの取得漏れがなかったと判断した場合(S207でNO)、パケット取得の完了を示す完了通知を品質解析手段103へ出力し(S209)、初期化通知をパケット取得手段101へ出力する(S210)。制御部10は、ステップS202へ戻り、処理を繰り返す。尚、制御部10は、2巡目以降、ステップS201の初期設定を実行しない。また、制御部10は、外部から終了通知を受け付けたと判断した場合、又は処理のエラーが発生した場合、取得制御処理を終了する。
【0060】
尚、本発明は、上述した取得制御処理に限定されるものでなく、例えば、品質解析手段103への完了通知の出力(S209参照)は、パケット取得手段101への初期化通知の出力(S210参照)の後に実行されてもよい。また、取得期間Tcap及び休止期間Ttinの設定(S208参照)は、取得漏れ数を読み出した(S206参照)後に取得漏れの有無を記憶しておき、実行通知を再度出力する(S202)前に取得漏れの有無に応じて取得期間Tcap及び休止期間Tintの単位時間Td単位での増減を行うことによりなされてもよい。
【0061】
このように、通信品質測定装置1の制御部10は、パケット取得処理(図4参照)及び取得制御処理(図5参照)により、通信部14を介したパケットの取得を間欠的に行うことができ、取得漏れがあると判断する場合、パケットの取得期間を短縮し、休止期間を延長することができる。
【0062】
ここで本発明の通信品質測定装置1の制御部10が取得制御手段102として機能することにより、負荷の大きさに応じてどのようにパケットを取得するかを概念的に説明する(図6参照)。図6(a)に示すグラフの横軸は、時間の経過を表し、縦軸は、通信品質測定装置1が通信部14を介して取得したパケットで得られる通話のセッション数、言い換えれば、通信されるトラフィックの総量を表す。即ち、図6(a)に示すグラフは、時間経過に対するセッション数を示している。また、図6の一点鎖線は、通信品質測定装置1の制御部10がパケットの取得及び解析できるセッション数の限界である所定値を示している。セッション数が所定値を超えた場合、通信品質測定装置1は、処理能力が不足し、パケット取得手段101によるパケットの取得に取得漏れを生じる。
【0063】
図6中、通信品質測定装置1は、t0 からt1 までの間、t2 からt3 までの間、及びt4 以降、処理能力が十分であり取得漏れを生じさせない。一方、通信品質測定装置1は、t1 からt2 までの間、及びt3 からt4 までの間、処理能力に対するセッション数が限界を超えているので、取得漏れを生じさせる。
【0064】
また、図6(b)に示すグラフの横軸は、時間の経過を表し、図6(a)の時間の経過に対応する。また、図6(b)に示す四角形は、夫々のタイミングにおいて取得されたパケットを表す。
【0065】
図6中、通信品質測定装置1は、t0 からt1 までの間、全てのパケットを取得する。つまり、通信品質測定装置1は、取得期間Tcapは基準処理期間Tuと等しいため、基準処理期間Tuの全てのパケットを取得する。
【0066】
通信品質測定装置1は、続くt1 からt2 までの間、パケットを間欠的に取得する。つまり、通信品質測定装置1は、セッション数が処理能力を超え、パケットの取得漏れを生じさせているので、取得期間Tcapが単位期間Td単位で短縮し、休止期間Tintが単位期間Td単位で延長し、パケットを取得しないタイミングを生じさせる。
【0067】
通信品質測定装置1は、続くt2 からt3 までの間、最初はパケットを間欠的に取得しているが途中から全てのパケットを取得する。つまり、通信品質測定装置1は、パケットの取得漏れが無くなったので、取得期間Tcapを基準処理期間Tuに等しくなるように延長し、全てのパケットを取得する。尚、通信品質測定装置1は、処理の関係上、セッション数の変化とパケットの取得状況との間に時差を生じさせている。
【0068】
通信品質測定装置1は、続くt3 からt4 までの間、セッション数が所定値を大きく超えているため、取得期間Tcapが単位期間Td単位で短縮し、休止期間Tintが単位期間Td単位で延長し、パケットを間欠的に取得する。しかし、通信品質測定装置1は、大きな取得漏れを生じさせているので、t1 からt2 までの間より休止期間Tintが大幅に延長され、パケットの取得の間隔が大きくなっている。つまり、通信品質測定装置1は、パケットの取得漏れを生じさせていると判断し、取得期間Tcapを短縮したが、その後もパケットの取得漏れが続いていると判断し、取得期間Tcapを更に短縮した。
【0069】
通信品質測定装置1は、続くt4 以降、最初はパケットを間欠的に取得しているが途中から全てのパケットを取得する。つまり、通信品質測定装置1は、パケットの取得漏れが無くなったので、取得期間Tcapを基準処理期間Tuに等しくなるように再度延長し、全てのパケットを取得する。
【0070】
このように、本発明に係る通信品質測定装置1は、パケット取得処理(図4参照)及び取得制御処理(図5参照)により、自らの処理能力に応じてパケットを取得するので、取得漏れを極力防止することができ、処理能力に見合った品質測定を行うことができる。通信品質測定装置1は、品質解析処理の行うことにより、品質測定を行う。
【0071】
ここで品質解析処理について説明する(図7参照)。品質解析処理は、制御部10のパケット取得手段101により取得したパケットを品質解析手段103の機能により解析し、パケットの消失率などの情報を出力する。
【0072】
通信品質測定装置1の制御部10は、品質解析手段103として機能するとき、パケット交換網21で転送されたパケットの転送数(以下、「転送数nvr」という。)及びパケット交換網内で消失したパケットの消失数(以下、「消失数nvl」という。)を計数するための転送総数Nvrのカウンタ及び消失総数Nvlのカウンタを0とするように初期設定する(S301)。
【0073】
制御部10は、取得制御手段102で完了通知を出力したか否かを判断し(S302)、取得制御手段102で完了通知を出力していないと判断した場合(S302でNO)、ステップS302へ戻り、処理を繰り返す。
【0074】
一方、制御部10は、取得制御手段102で完了通知を出力したと判断した場合(S302でYES)、パケット蓄積領域121からパケットをRTPセッション毎に読み出し(S303)、転送数nvr及び消失数nvlを計数する(S304)。制御部10は、ステップS304における転送数nvr及び消失数nvlの計数において、RTPセッション毎に連続すべきシーケンス番号をRTPヘッダから読み出し、読み出したシーケンス番号に基づいて取得数を計数すると共に、読み出したシーケンス番号の飛躍箇所を検知することにより消失数を計数する。
【0075】
制御部10は、RTPセッション毎に計数した転送数nvrを転送総数Nvrに累積し、計数した消失数nvlを消失総数Nvlに累積する(S305)。
【0076】
制御部10は、パケット累積領域121に蓄積してあるパケットに対応する全セッションに対して、パケットを読み出したか否かを判断する(S306)。その結果、制御部10は、全セッションに対してパケットを読み出していないと判断した場合(S306でNO)、ステップS303へ戻り、処理を繰り返し、次のRTPセッションについてのパケットの読み出し、転送数nvr及び消失数nvlの計数、及び累積を行う。
【0077】
一方、制御部10は、全セッションに対してパケットを読み出したと判断した場合(S306でYES)、累積した転送総数Nvr及び消失総数Nvlに基づいて消失率(以下、「消失率p」という。)及びその誤差(以下、「誤差e」という。)を算出する(S307)。
【0078】
制御部10は、ステップS307における消失率pを下記式(1)に基づいて算出する。このように、消失率pは、各基準処理期間Tuの間の取得期間Tcapに取得した全ての取得数に対する消失率である。言い換えれば、消失率pは、基準処理期間Tuを経過する都度、各基準処理期間Tuにおける消失率pとして算出される。また、制御部10は、各基準処理期間Tuの取得期間Tcap内に取得した全てのパケット(母集団)から間欠的に取得したサンプルパケットを抽出した場合に用いられる一般的な統計誤差の算出方法、即ち下記式(2)に基づいて誤差eを算出する。
【0079】
【数1】
【0080】
制御部10は、消失率p及び誤差eを算出した後、ステップS302へ戻り、処理を繰り返し、次の基準処理期間Tuを対象とした消失率pの算出を行う。尚、実施の形態1において、制御部10は、基準処理期間Tu毎に消失率pを算出する。しかし、本発明は、これに限定されるものでなく、例えば、数周期分の消失率pを算出する構成であってもよい。
【0081】
制御部10は、品質解析手段103の機能により算出した消失率p及び誤差eを対応付けて表示部13へ出力する。表示部13は、制御部10から出力された消失率p及び誤差eを受け付け、受け付けた消失率p及び誤差eを表示する。図8は実施の形態1における通信品質測定装置1の制御部10からの出力に基づいて表示部13に表示される品質解析結果の例を示す説明図である。
【0082】
表示部13は、消失率pの下段に括弧書きにした誤差eを表示する。図8(a)は、パケットの取得期間Tcapが基準処理期間Tuと等しく全てのパケットを取得している場合の表示例であり、図8(b)は、パケットの休止期間Tintが0でない場合の表示例であり、図8(c)は、休止期間Tintを更に延長した場合の表示例を示す。
【0083】
図8の表示例は、時間経過に対するパケットの取得のタイミングの変化を示す図6(b)に対応する。図8(a)は、図6(b)のt0 からt1 までの間における消失率pを示す。図8(b)は、図6(b)のt1 からt2 までの間における消失率pを示す。図8(c)は、図6(b)のt3 からt4 までの間における消失率pを示す。図8(c)は、t3 からt4 までの間の取得期間Tcapが最短であって、計数した取得数も最小であるため、表示する誤差eが図8(b)の誤差eより大きくなっている。
【0084】
このように、本発明の通信品質測定装置1の制御部10は、パケットの消失率p及び消失率pに対する誤差eを対応付けて表示部13に表示する。その結果、ユーザは、出力された消失率pの誤差eが0であるか否かを視認することができ、通信品質測定装置1が処理能力の不足状態にあり、パケットを間欠的に取得しているか否かを確認すると共に、誤差eを把握することができ、出力された消失率pに対して高い信頼を持つことができる。
【0085】
実施の形態2.
上述した実施の形態1では、通信品質測定装置1の制御部10でパケット取得手段101によるパケット取得に取得漏れがあると判断した場合、パケットを取得する基準処理期間Tuの内の取得期間Tcapを単位期間Td単位で短縮し、休止期間Tintを単位期間Td単位で延長する一例を説明した。しかし、本発明は、これに限定されるものでなく、例えば、制御部10で基準処理期間Tuの間に取得したパケット数とパケット長から基準処理期間Tu間での音声データの受信バイト数を算出し、パケット取得手段101の機能によるパケットの取得に取得漏れがあると判断した場合、算出した受信バイト数が所定値に近づくように取得期間Tcapを設定するようにしてもよい。実施の形態2では、その内容を説明する。
【0086】
実施の形態2における通信品質測定装置1は、制御部10の取得制御手段102による取得期間Tcap及び休止期間Tintの設定処理(図5のS208参照)が実施の形態1と異なる。実施の形態2では、その内容を説明する。尚、実施の形態2における通信品質測定装置1の構成及び作用は、実施の形態1における通信品質測定装置1と同様であるので、対応する箇所に同一符号を付してその説明を省略する。
【0087】
実施の形態2における通信品質測定装置1は、取得期間Tcap及び休止期間Tintを設定する処理(図5のステップS208参照)を以下の手順に置き換えて実行する。図9は実施の形態2における通信品質測定装置1の制御部10がハードウェア資源に対する負荷が大きいと判断した場合に取得期間Tcap及び休止期間Tintを設定する処理の手順を示すフローチャートである。
【0088】
通信品質測定装置1の制御部10は、読み出したパケットの取得数及びパケットの長さ(バイト)に基づいて基準処理期間Tuに通信部14を介して受信したデータ量Vを算出し、算出したデータ量Vを基準処理期間Tuで除算することにより受信データレートSを算出する(S401)。制御部10は、所定値Scを受信データレートSで除算した値(比率)を前回から設定してある取得期間Tcapに乗算することにより新たな取得期間Tcapを設定(Tcap←Tcap×Sc/S)する(S402)。但し、制御部10は、取得期間Tcapが基準処理期間Tuよりも大きい値として算出された場合、取得期間Tcapを基準処理期間Tuと等しく設定(Tcap←Tu)する。
【0089】
制御部10は、休止期間TintをステップS402で新たに設定した取得期間Tcapの基準処理期間Tuからの差分として設定(Tint←Tu−Tcap)する(S403)。
【0090】
実施の形態2における通信品質測定装置1の制御部10が取得期間TcapをステップS402の如く処理するのは、以下の理由による。
【0091】
通信品質測定装置1の処理能力は、通信部14を介して受信することが可能な単位時間(例えば1秒間)当たりのデータ量、即ち受信データレートSで表すことができる。制御部10は、受信データレートSが所定値Sc付近である場合、パケットの取得及び蓄積してあるパケットの解析処理を十分に実行することができる。従って、実施の形態2における通信品質測定装置1の制御部10は、前回から設定してある取得期間Tcapでの受信データレートSを所定値Sc付近で維持するため、受信データレートSに対する所定値Scの比率を前回から設定してある取得期間Tcapに乗算することにより、新たな取得期間Tcapを設定する。
【0092】
実施の形態3.
上述した実施の形態1では、通信品質測定装置1の制御部10でパケット取得手段101によるパケット取得に取得漏れがあると判断した場合、パケットを取得する基準処理期間Tuの取得期間Tcapを単位期間Td単位で短縮し、休止期間Tintを単位期間Td単位で延長する一例を説明した。また、実施の形態2では、取得期間Tcapを受信データレートが所定のレートに収束するように設定する一例を説明した。しかし、本発明は、これに限定されるものでなく、例えば、通信品質測定装置1の制御部10でパケット取得手段101の機能によるパケットの取得に取得漏れがあると判断した場合、基準処理期間Tuにおけるハードウェア資源の使用率が所定値に近づくように取得期間Tcapを設定するようにしてもよい。実施の形態3では、その内容を説明する。
【0093】
実施の形態3における通信品質測定装置1は、制御部10の取得制御手段102による取得期間Tcap及び休止期間Tintの設定処理(図5のS208参照)が実施の形態1及び2と異なる。実施の形態3では、その内容を説明する。尚、実施の形態3における通信品質測定装置1の構成及び作用は、実施の形態1及び2における通信品質測定装置1と同様であるので、対応する箇所に同一符号を付してその説明を省略する。
【0094】
実施の形態3における通信品質測定装置1は、取得期間Tcap及び休止期間Tintを設定する処理(図5のステップS208参照)を以下の手順に置き換えて実行する。図10は実施の形態3における通信品質測定装置1の制御部10がハードウェア資源に対する負荷が大きいと判断した場合に取得期間Tcap及び休止期間Tintを設定する処理の手順を示すフローチャートである。
【0095】
通信品質測定装置1の制御部10は、ハードウェア資源の使用率としてCPU使用率Wを取得する(S501)。制御部10は、取得したCPU使用率Wで所定値Wcを除算し、除算した値を前回から設定してある取得期間Tcapに乗算することにより、新たな取得期間Tcapを設定(Tcap←Tcap×Wc/W)する(S502)。但し、制御部10は、取得期間Tcapが基準処理期間Tuよりも大きい値として算出した場合、取得期間Tcapを基準処理期間Tuと等しく設定(Tcap←Tu)する。
【0096】
制御部10は、休止期間TintをステップS502で新たに設定した取得期間Tcapの基準処理期間Tuからの差分として設定(Tint←Tu−Tcap)する(S503)。
【0097】
実施の形態3における通信品質測定装置1の制御部10が取得期間TcapをステップS502の如く処理するのは、以下の理由による。
【0098】
通信品質測定装置1の処理能力は、パケット取得及び品質解析中の通信品質測定装置1のCPU使用率Wで表すことができる。制御部10は、CPU使用率Wが所定値Wc付近である場合、パケットの所得及び蓄積してあるパケットの解析処理を十分に実行することができる。従って、実施の形態3における通信品質測定装置1の制御部10は、前回から設定してある取得期間TcapでのCPU使用率Wを所定値Wc付近で維持するため、CPU使用率Wに対する所定値Wcの比率を前回から設定してある取得期間Tcapに乗算することにより、新たな取得期間Tcapを設定する。
【0099】
その結果、取得期間Tcap及び休止期間Tintが通信品質測定装置1のCPU使用率Wが最適なCPU使用率Wに収束するので、通信品質測定装置1は、処理能力に見合った品質測定を実行することができる。
【0100】
実施の形態4.
上述した実施の形態1では、通信品質測定装置1の制御部10でパケット取得手段101によるパケット取得に取得漏れがあると判断した場合、パケットを取得する基準処理期間Tuの取得期間Tcapを単位期間Td単位で短縮し、休止期間Tintを単位期間Td単位で延長する一例を説明した。また、実施の形態2では、取得期間Tcapを受信データレートが所定のレートに収束するように設定する一例を説明した。更にまた、実施の形態3では、通信品質測定装置1の制御部10でパケット取得手段101の機能によるパケットの取得に取得漏れがあると判断した場合、基準処理期間Tuにおけるハードウェア資源の使用率Wが所定値Wcに近づくように取得期間Tcapを設定する一例を説明した。しかし、本発明は、これに限定されるものでなく、例えば、通信品質測定装置1の制御部10で基準処理期間Tuとは関係なく、ハードウェア資源の使用率Wが所定値よりも大きいか否かに応じてパケットの取得を取得状態又は休止状態へ切り替えるようにしてもよい。このように、取得期間Tcap及び休止期間Tintを延長・短縮する、期間の設定処理を省略することにより、通信品質測定装置1の制御部10の処理の負担をさらに軽減することができ、パケットの取得漏れの発生を抑えることができる。実施の形態4では、その内容を説明する。
【0101】
実施の形態4における通信品質測定装置1の制御部10は、パケット取得手段101として機能するとき、取得制御手段102からの指示に従ってパケットの取得を実行又は休止する。即ち、制御部10は、パケット取得の取得状態である取得期間と、休止状態である休止期間とを反復しながら間欠的にパケットを取得する。パケット取得の取得状態又は休止状態を示すパケットサンプリングの状態は、一時記憶領域12に記憶され、制御部10により適宜参照される。
【0102】
尚、実施の形態4における通信品質測定装置1のその他の構成及び作用は、実施の形態1乃至3における通信品質測定装置1と同様であるので、対応する箇所に同一符号を付してその説明を省略する。
【0103】
また、実施の形態4における通信品質測定装置1は、制御部10が取得制御手段102として機能するときの取得制御処理(図5参照)が実施の形態1と異なる。実施の形態4では、その内容を説明する。図11は実施の形態4における通信品質測定装置1の制御部10が取得制御手段102によりパケットの取得の実行・休止を制御する処理の手順を示すフローチャートである。
【0104】
通信品質測定装置1の制御部10は、取得制御手段102として機能するとき、処理に必要な変数の初期化を行う(S601)。制御部10は、例えば、一時記憶領域12に記憶してあるパケットの蓄積数を0とする初期設定を行う。
【0105】
制御部10は、一時記憶領域12に記憶してあるパケットサンプリングの状態をパケットの取得状態とし(S602)、パケットの取得を開始する。このときの制御部10は、パケット取得手段101として機能し、常に取得期間Tcapとして取り扱う。
【0106】
尚、本発明は、これに限定されることなく、例えば、制御部10は、パケット取得手段101が行う、パケットキャプチャをオンにする、又はオフにするためのフラグを有する設定手段(図示せず、以下同様)に対して設定変更の指示を出力するようにしてもよい。
【0107】
また、制御部10は、単にキャプチャに対するオン又はオフのスイッチ機能を備え、適宜キャプチャをオンにする処理を実行するようにしてもよい。この場合、通信品質測定装置1は、設定手段が省略された構成となる。
【0108】
制御部10は、パケット取得手段101に対して実行通知を出力し(S603)、パケットの取得を指示する。
【0109】
制御部10は、パケット取得手段101によるパケット取得において取得漏れを検知し(S604)、取得漏れを検知できない場合(S604でNO)、パケット蓄積領域121に記憶してあるパケットの蓄積数が第1所定値(この場合、蓄積数の上限値を示す。以下同様。)よりも大きいか否かを判断する(S605)。
【0110】
その結果、制御部10は、蓄積数が第1所定値以下と判断した場合(S605でNO)、取得したパケットをパケット取得領域121へ記憶することを示す蓄積通知をパケット取得手段101へ出力する(S606)。即ち、制御部10は、ハードウェア資源への負担が小さいとして取得状態を続行する。
【0111】
制御部10は、ステップS604へ戻り、ステップS602〜ステップS606の処理を繰り返す。
【0112】
一方、制御部10は、ステップS604において、取得漏れを検知した場合(S604でYES)、一時記憶領域12に記憶してあるパケットサンプリングの状態をパケットの休止状態にする(S607)。即ち、制御部10は、蓄積数に関係することなく、ハードウェア資源への負担が大きいとして休止状態へ切り替える。
【0113】
制御部10は、パケット取得手段101に対して休止通知を出力し(S608)、パケットの取得を休止する。制御部10は、パケット取得手段101に対して常に休止期間Tintと取り扱うように制御する。
【0114】
尚、本発明は、これに限定されることなく、例えば、制御部10は、パケット取得手段101が行う、パケットキャプチャをオンにする、又はオフにするためのフラグを有する設定手段に対して設定変更の指示を出力するようにしてもよい。また、制御部10は、単にキャプチャに対するオン又はオフのスイッチ機能を備え、適宜キャプチャをオフにする処理を実行するのみであってもよい。この場合、通信品質測定装置1は、設定手段が省略された構成となる。
【0115】
制御部10は、品質解析処理を実行するための所定期間を経過したか否かを判断し(S609)、所定期間を経過していないと判断した場合(S609でNO)、ステップS602へ戻り、処理を繰り返す。即ち、制御部10は、所定期間中、パケット取得手段101及び取得制御手段102を一時停止し、品質解析手段103としてパケット蓄積領域121に記憶してあるパケットを読み出し、読み出したパケットに対してVoIPなどのストリーム品質に関する品質解析処理を実行する。パケット蓄積領域121に記憶してある蓄積数は、品質解析処理の進捗状況に応じて減少する。
【0116】
一方、制御部10は、所定期間に到達したと判断した場合(S609でYES)、パケット蓄積領域121に記憶してある蓄積数が第2所定値(この場合、蓄積数の下限を示す。以下同様。)以下であるか否かを判断する(S610)。
【0117】
その結果、制御部10は、蓄積数が第2所定値よりも大きいと判断した場合(S610でNO)、ステップS609へ戻り、処理を繰り返す。即ち、制御部10は、ハードウェア資源への負担が大きいとして休止状態を継続する。
【0118】
一方、制御部10は、蓄積数が第2所定値以下であると判断した場合(S610でYES)、ステップS602へ戻り、処理を繰り返す。即ち、制御部10は、ハードウェア資源への負担が小さいとして取得状態へ切り替える。
【0119】
このように、制御部10は、ステップS602〜ステップS610を繰り返すことにより、能動的にパケットの取得を取得状態又は休止状態へ切り替える。
【0120】
制御部10は、外部から完了通知を受け付けたと判断した場合、受け付けた完了通知を品質解析手段103へ出力し、更に初期化通知をパケット取得手段101へ出力する。
【0121】
一方、制御部10は、ステップS605において蓄積数が第1所定値よりも大きいと判断した場合(S605でYES)、一時記憶領域12に記憶してあるパケットサンプリングの状態をパケットの休止状態にする(S607)。即ち、制御部10は、ハードウェア資源への負担が大きいとして休止状態へ切り替える。
ステップS607以降の処理は、上述したステップと同様である。
【0122】
このように、本発明に係る通信品質測定装置1は、一時記憶領域12の蓄積数からハードウェア資源の負荷が所定値よりも大きいか否かを判断し、パケットの取得を取得状態又は休止状態へ切り替えることにより、一時記憶領域12の蓄積量が少ない安価な通信品質測定装置であっても、測定精度を極力保持することができる。
【0123】
実施の形態5.
上述した実施の形態4では、例えば、通信品質測定装置1の制御部10で一時記憶領域12へのパケットの蓄積数と所定値とを比較することにより、ハードウェア資源の負荷が所定値よりも大きいか否かを判断し、パケットの取得を取得状態又は休止状態へ切り替える一例を説明した。しかし、本発明は、これに限定されるものでなく、例えば、直近の単位時間当たりで取得した取得数と所定値とを比較することにより、ハードウェア資源の負荷が所定値よりも大きいか否かを判断し、パケットの取得を取得状態又は休止状態へ切り替えるようにしてもよい。実施の形態5では、実施の形態4と異なる箇所のみを説明する。
【0124】
実施の形態5における通信品質測定装置1の制御部10は、直近の単位時間を計時し、計時した単位時間当たりで取得したパケットの取得数を計数し、計数した取得数が第1所定値(この場合、パケットの取得数の上限を示す。以下同様。)よりも大きいか否かを判断する(図11のステップS605参照)。
【0125】
その結果、制御部10は、取得数が第1所定値以下であると判断した場合(図11のステップS605でNOを参照)、取得したパケットをパケット取得領域121へ記憶することを示す蓄積通知をパケット取得手段101へ出力する(図11のステップS606参照)。即ち、制御部10は、ハードウェア資源への負担が小さいとして取得状態を続行する。
【0126】
一方、制御部10は、取得数が第1所定値よりも大きいと判断した場合(図11のステップS605でYESを参照)、一時記憶領域12に記憶してあるパケットサンプリングの状態をパケットの休止状態にする(図11のステップS607参照)。即ち、制御部10は、ハードウェア資源への負担が大きいとして休止状態へ切り替える。
【0127】
また、制御部10は、取得数が第2所定値(この場合、パケットの取得数の下限を示す。以下同様。)以下であるか否かを判断する(図11のステップS610参照)。
【0128】
その結果、制御部10は、取得数が第2所定値よりも大きいと判断した場合(図11のステップS610でNOを参照)、図11のステップS609に相当する手順へ戻り、処理を繰り返す。即ち、制御部10は、ハードウェア資源への負担が大きいとして休止状態を継続する。
【0129】
一方、制御部10は、取得数が第2所定値以下であると判断した場合(図11のステップS610でYESを参照)、図11のステップS602に相当する手順へ戻り、処理を繰り返す。即ち、制御部10は、ハードウェア資源への負担が小さいとして取得状態へ切り替える。
【0130】
尚、実施の形態5における通信品質測定装置1のその他の構成及び作用は、実施の形態4における通信品質測定装置1と同様であるので、対応する箇所に同一符号を付してその説明を省略する。また、実施の形態5における通信品質測定装置1の制御部10が実行する処理の手順は、実施の形態4における通信品質測定装置1の制御部10が実行する処理の手順と同様であるので、対応する箇所に同一番号を付してその説明を省略する。
【0131】
このように、本発明に係る通信品質測定装置1は、パケットの取得数からハードウェア資源の負荷が所定値よりも大きいか否かを判断し、パケットの取得を取得状態又は休止状態へ切り替えることにより、CPUの処理能力の低い安価な通信品質測定装置であっても、測定精度を極力保持することができる。
【0132】
実施の形態6.
上述した実施の形態4では、例えば、通信品質測定装置1の制御部10で一時記憶領域12へのパケットの蓄積数と所定値とを比較することにより、一時記憶領域12の蓄積数からハードウェア資源の負荷が所定値よりも大きいか否かを判断し、パケットの取得を取得状態又は休止状態へ切り替えるようにした。また、実施の形態5では、例えば、直近の単位時間当たりで受信した取得数と所定値とを比較することにより、ハードウェア資源の負荷が所定値よりも大きいか否かを判断し、パケットの取得を取得状態又は休止状態へ切り替えるようにした。しかし、本発明は、これに限定されるものでなく、例えば、直近のある一定期間のハードウェア資源の使用率と所定値とを比較することにより、パケットの取得を取得状態又は休止状態へ切り替えるようにしてもよい。実施の形態6では、実施の形態4と異なる箇所のみを説明する。
【0133】
実施の形態6における通信品質測定装置1の制御部10は、直近のある一定期間を計時し、計時した一定期間内でCPUのハードウェア資源の使用率を取得し、取得したハードウェア資源の使用率が第1所定値(この場合、ハードウェア資源の使用率の上限を示す。以下、同様。)よりも大きいか否かを判断する(図11のステップS605参照)。
【0134】
その結果、制御部10は、ハードウェア資源の使用率が第1所定値以下であると判断した場合(S605でNOを参照)、取得したパケットをパケット取得領域121へ記憶することを示す蓄積通知をパケット取得手段101へ出力する(図11のステップS606参照)。即ち、制御部10は、ハードウェア資源への負担が小さいとして取得状態を続行する。
【0135】
一方、制御部10は、ハードウェア資源の使用率が第1所定数よりも大きいと判断した場合(図11のステップS605でYESを参照)、一時記憶領域12に記憶してあるパケットサンプリングの状態をパケットの休止状態にする(図11のステップS607参照)。即ち、制御部10は、ハードウェア資源への負担が大きいとして休止状態へ切り替える。
【0136】
また、制御部10は、ハードウェア資源の使用率が第2所定値(この場合、ハードウェア資源の使用率の下限を示す。以下、同様。)以下であるか否かを判断する(図11のステップS610参照)。
【0137】
その結果、制御部10は、ハードウェア資源の使用率が第2所定値よりも大きいと判断した場合(図11のステップS610でNOを参照)、図11のステップS609に相当する手順へ戻り、処理を繰り返す。即ち、制御部10は、ハードウェア資源への負担が大きいとして休止状態を継続する。
【0138】
一方、制御部10は、ハードウェア資源の使用率が第2所定値以下であると判断した場合(S605でYESを参照)、図11のステップS602に相当する手順へ戻り、処理を繰り返す。即ち、制御部10は、ハードウェア資源への負担が小さいとして取得状態へ切り替える。
【0139】
尚、実施の形態6における通信品質測定装置1のその他の構成及び作用は、実施の形態4における通信品質測定装置1と同様であるので、対応する箇所に同一符号を付してその説明を省略する。また、実施の形態6における通信品質測定装置1の制御部10が実行する処理の手順は、実施の形態4における通信品質測定装置1の制御部10が実行する処理の手順と同様であるので、対応する箇所に同一番号を付してその説明を省略する。
【0140】
このように、本発明に係る通信品質測定装置1は、CPUのハードウェア資源の使用率が所定値よりも大きいか否かを判断し、パケットの取得を取得状態又は休止状態へ切り替えることにより、CPUの処理能力の低い安価な通信品質測定装置であっても、測定精度を極力保持することができる。
【0141】
図12は実施の形態1乃至6における時間の設定方法を示す説明図、図13は実施の形態4乃至6における通信品質測定装置1の制御部10が取得制御手段102として機能することにより、負荷の大きさに応じてどのようにパケットを取得するかを概念的に示す説明図である。上述した実施の形態1乃至3において、通信品質測定装置1は、基準処理期間Tuを設定し、該基準処理期間Tu内を取得期間Tcap及び休止期間Tintに振り分けるように制御する(図12(a)参照)。
【0142】
上述した実施の形態4乃至6において、通信品質測定装置1は、基準処理期間Tuとは関係なく、取得期間Tcap又は休止期間Tintとなるように切り替える(図12(b)参照)。従って、実施の形態4乃至6では、実施の形態1乃至3と異なり、期間の設定処理を省略することができ、通信品質測定装置1の構成をより簡略化し、通信品質測定装置1の処理の負担を軽減し、安価な装置とすることができる。
また、通信品質測定装置1は、ハードウェア資源の使用率Wが第1所定値より大きいと判断した場合、パケットの取得を休止状態へ切り替え、ハードウェア資源の使用率Wが第2所定値以下と判断した場合、パケットの取得を取得状態へ切り替える(図13参照)。従って、実施の形態4乃至6では、第1所定値乃至第2所定値の間で切替判断の猶予期間を設けることができ、通信品質測定装置1がパケットの取得の実行・休止への切替を頻繁に実行する必要がなく、ハードウェア資源への負荷を極力減らすことができる。
【0143】
尚、上述した実施の形態4乃至6において、第1所定値と、第1所定値と異なる第2所定値とを用いる一例を説明したが、本発明は、これに限定することなく、例えば、第1所定値及び第2所定値が同じ、言い換えれば、上限値及び下限値を用いないようにしてもよい。
【0144】
上述した実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0145】
(付記1)パケット交換網に接続する手段と、前記パケット交換網を転送されるパケットを取得する取得手段と、取得したパケットを蓄積する蓄積手段とを備え、蓄積したパケットを解析することにより前記パケット交換網における通信品質を測定する通信品質測定装置において、
前記取得手段によるパケットの取得を、パケットを取得する取得状態又はパケットを取得しない休止状態へ切替える制御手段と、
自身が備えるハードウェア資源に対する負荷の大きさが予め設定してある所定値よりも大きいか否かを判断する判断手段と
を備え、
前記制御手段は、負荷の大きさが前記所定値よりも大きいと前記判断手段が判断した場合にパケットの取得を前記休止状態へ切替え、負荷の大きさが前記所定値以下であると前記判断手段が判断した場合にパケットの取得を前記取得状態に切替えるようにしてあることを特徴とする通信品質測定装置。
【0146】
(付記2)前記所定値は、上限値及び下限値を有し、
前記制御手段は、負荷の大きさが前記上限値よりも大きいと前記判断手段が判断した場合にパケットの取得を前記休止状態へ切替え、負荷の大きさが前記下限値以下であると前記判断手段が判断した場合にパケットの取得を前記取得状態へ切替えるようにしてあることを特徴とする付記1に記載の通信品質測定装置。
【0147】
(付記3)前記取得手段が取得したパケットの内に前記蓄積手段が蓄積できないパケットが存在する取得漏れを検知する検知手段を更に備え、
前記制御手段は、前記検知手段が取得漏れを検知した場合、パケットの取得を前記休止状態へ切替えるようにしてあることを特徴とする付記1又は2に記載の通信品質測定装置。
【0148】
(付記4)前記蓄積手段が蓄積したパケットの蓄積量を算出する手段を更に備え、
前記判断手段は、算出したパケットの蓄積量に対応する負荷の大きさが前記所定値よりも大きいか否かを判断するようにしてあることを特徴とする付記1乃至3の何れかに記載の通信品質測定装置。
【0149】
(付記5)所定期間でのハードウェア資源の使用率を取得する手段を更に備え、
前記判断手段は、取得したハードウェア資源の使用率に対応する負荷の大きさが前記所定値よりも大きいか否かを判断するようにしてあることを特徴とする付記1乃至3の何れかに記載の通信品質測定装置。
【0150】
(付記6)前記取得手段が所定の単位時間当たりに取得したパケットの取得量を算出する手段を更に備え、
前記判断手段は、算出したパケットの取得量に対応する負荷の大きさが前記所定値よりも大きいか否かを判断するようにしてあることを特徴とする付記1乃至3の何れかに記載の通信品質測定装置。
【0151】
(付記7)前記取得手段が取得したパケットの取得数及び前記パケット交換網を転送中に消失したパケットの消失数を計測する手段と、
計測したパケットの取得数及び消失数に基づいて、前記パケット交換網を転送されるパケット数に対するパケットの消失数の比率であるパケットの消失率及び該消失率に対する誤差を算出する手段と、
算出したパケットの消失率及び誤差を対応付けて出力する手段と
を備えることを特徴とする付記1乃至6の何れかに記載の通信品質測定装置。
【0152】
(付記8)パケット交換網に接続する手段と、前記パケット交換網を転送されるパケットを取得する取得手段と、取得したパケットを蓄積する蓄積手段とを備え、蓄積したパケットを解析することにより前記パケット交換網における通信品質を特定する通信品質測定装置において
前記取得手段によるパケットの取得を、パケットを取得する取得期間及びパケットを取得しない休止期間からなる基準処理期間単位で反復させる制御手段と、
各基準処理期間の内の取得期間及び休止期間を設定する設定手段と、
自身が備えるハードウェア資源に対する負荷の大きさが所定値よりも大きいか否かを判断する判断手段と
を備え、
前記設定手段は、負荷の大きさが前記所定値よりも大きいと前記判断手段が判断した場合、各基準処理期間に対する休止期間の割合を大きく設定し、負荷の大きさが前記所定値以下であると前記判断手段が判断した場合、各基準処理期間に対する休止期間の割合を小さく設定することを特徴とする通信品質測定装置。
【0153】
(付記9)前記取得手段が取得したパケットの内に前記蓄積手段が蓄積できないパケットが存在する取得漏れを検知する検知手段を更に備え、
前記判断手段は、前記検知手段が取得漏れを検知した場合、ハードウェア資源に対する負荷の大きさが前記所定値よりも大きいと判断するようにしてあることを特徴とする付記8に記載の通信品質測定装置。
【0154】
(付記10)前記取得手段により取得したパケット数及びパケット長から所定の単位時間当たりに取得したデータ量を算出する手段と、
算出したデータ量が所定量以上であるか否かを判定する手段と
を更に備え、
前記判断手段は、算出したデータ量が所定量以上であると判定した場合、ハードウェア資源に対する負荷の大きさが前記所定値よりも大きいと判断するようにしてあることを特徴とする付記8又は9に記載の通信品質測定装置。
【0155】
(付記11)自身が備えるハードウェア資源の使用率を取得する手段と、
取得した使用率が所定率以上であるか否かを判定する手段と
を更に備え、
前記判断手段は、前記使用率が前記所定率以上であると判定した場合、ハードウェア資源に対する負荷の大きさが前記所定値よりも大きいと判断するようにしてあることを特徴とする付記8乃至10の何れかに記載の通信品質測定装置。
【0156】
(付記12)前記取得期間及び休止期間は、1基準処理期間を等分した単位時間を単位として設定してあり、
前記設定手段は、負荷の大きさが前記所定値よりも大きいと前記判断手段が判断した場合、前記取得期間を前記単位時間単位で短縮し、前記休止期間を前記取得期間の短縮期間と同一期間だけ前記単位時間単位で延長するようにしてあり、負荷の大きさが前記所定値以下であると前記判断手段が判断した場合、前記取得期間を前記単位時間単位で延長し、前記休止期間を前記取得期間の延長期間と同一期間だけ前記単位期間単位で短縮するようにしてあることを特徴とする付記8乃至11の何れかに記載の通信品質測定装置。
【0157】
(付記13)前記設定手段は、前記取得手段が所定の単位時間当たりに取得したパケットの取得量を算出する手段と、
算出した取得量に対する所定値の比率を算出する手段と
を備え、
基準処理期間に対する取得期間を、該取得期間に前記比率を乗算した期間に変更して設定するようにしてあることを特徴とする付記8乃至11の何れかに記載の通信品質測定装置。
【0158】
(付記14)前記設定手段は、所定期間でのハードウェア資源の使用率を取得する手段と、
取得したハードウェア資源の使用率に対する所定値の比率を算出する手段と
を更に備え、
基準処理期間に対する取得期間を、該取得期間に前記比率を乗算した期間に変更して設定するようにしてあることを特徴とする付記8乃至11の何れかに記載の通信品質測定装置。
【0159】
(付記15)前記取得手段が取得したパケットの取得数及び前記パケット交換網を転送中に消失したパケットの消失数を計数する手段と、
計測したパケットの取得数及び消失数に基づいて、前記パケット交換網を転送されるパケット数に対するパケットの消失数の比率であるパケットの消失率及び該消失率に対する誤差を算出する手段と、
算出したパケットの消失率及び誤差を対応付けて出力する手段と
を備えることを特徴とする付記8乃至14の何れかに記載の通信品質測定装置。
【0160】
(付記16)前記取得手段が取得したパケットの内の前記蓄積手段が蓄積できないパケット数である取得漏れ数を計測する手段と、
計測した取得漏れ数に基づいて前記取得数に対する誤差を算出する手段と、
算出した誤差に基づいて前記パケットの消失率に対する誤差を算出する手段と
を更に備えることを特徴とする付記15に記載の通信品質測定装置。
【0161】
(付記17)パケット交換網に接続し、前記パケット交換網を転送されるパケットを取得し、取得したパケットを蓄積し、蓄積したパケットを解析することにより前記パケット交換網における通信品質を測定する通信品質測定方法において、
自身が備えるハードウェア資源に対する負荷の大きさが予め設定してある所定値よりも大きいか否かを判断し、
前記パケット交換網からのパケットの取得を、パケットを取得する取得状態又はパケットを取得しない休止状態へ切替えるとき、負荷の大きさが前記所定値よりも大きいと判断した場合、パケットの取得を前記休止状態へ切替え、負荷の大きさが前記所定値以下であると判断した場合、パケットの取得を前記取得状態へ切替えることを特徴とする通信品質測定方法。
【0162】
(付記18)前記所定値は、上限値及び下限値を有し、
負荷の大きさが前記上限値より大きいと判断した場合、パケットの取得を前記休止状態へ切替え、負荷の大きさが前記下限値以下であると判断した場合、パケットの取得を前記取得状態へ切替えることを特徴とする付記17に記載の通信品質測定方法。
【0163】
(付記19)前記パケット交換網から取得したパケットの内に自身が蓄積できないパケットが存在する取得漏れを検知し、
該取得漏れを検知したとき、パケットの取得を前記休止状態へ切替えることを特徴とする付記17又は18に記載の通信品質測定方法。
【0164】
(付記20)自身が蓄積したパケットの蓄積量を算出し、
算出したパケットの蓄積量に対応する負荷の大きさが前記所定値よりも大きいか否かを判断することを特徴とする付記17乃至19の何れかに記載の通信品質測定方法。
【0165】
(付記21)所定期間でのハードウェア資源の使用率を取得し、
取得したハードウェア資源の使用率に対応する負荷の大きさが前記所定値よりも大きいか否かを判断することを特徴とする付記17乃至19の何れかに記載の通信品質測定方法。
【0166】
(付記22)所定の単位時間当たりに取得したパケットの取得量を算出し、
算出したパケットの取得量に対応する負荷の大きさが前記所定値よりも大きいか否かを判断することを特徴とする付記17乃至19の何れかに記載の通信品質測定方法。
【0167】
(付記23)前記パケット交換網から取得したパケットの取得数及び前記パケット交換網を転送中に消失したパケットの消失数を計測し、
計測したパケットの取得数及び消失数に基づいて、前記パケット交換網を転送されるパケット数に対するパケットの消失数の比率であるパケットの消失率及び該消失率に対する誤差を算出し、
算出したパケットの消失率及び誤差を対応付けて出力することを特徴とする付記17乃至22の何れかに記載の通信品質測定方法。
【0168】
(付記24)パケット交換網に接続し、前記パケット交換網を転送されるパケットを取得し、取得したパケットを蓄積し、蓄積したパケットを解析することにより前記パケット交換網における通信品質を測定する通信品質測定方法において、
パケットを取得する取得期間及びパケットを取得しない休止期間を基準処理期間に設定し、
自身が備えるハードウェア資源に対する負荷の大きさが予め設定してある所定値よりも大きいか否かを判断し、
前記パケット交換網からのパケットの取得を、前記基準処理期間単位で反復させるとき、負荷の大きさが前記所定値よりも大きいと判断した場合、各基準処理期間に対する休止期間の割合を大きく設定し、負荷の大きさが前記所定値以下であると判断した場合、各基準処理期間に対する休止期間の割合を小さく設定することを特徴とする通信品質測定方法。
【0169】
(付記25)パケット交換網に接続してあるコンピュータに、前記パケット交換網を転送されるパケットを取得し、取得したパケットを蓄積し、蓄積したパケットを解析させることにより前記パケット交換網における通信品質を測定させるコンピュータプログラムにおいて、
コンピュータが備えるハードウェア資源に対する負荷の大きさが予め設定してある所定値よりも大きいか否かを判断させるステップと、
前記パケット交換網からのパケットの取得を、パケットを取得する取得状態又はパケットを取得しない休止状態へ切替えるとき、負荷の大きさが前記所定値よりも大きいと判断した場合、パケットの取得を前記休止状態へ切替えさせるステップと、
負荷の大きさが前記所定値以下であると判断した場合、パケットの取得を前記取得状態へ切替えさせるステップと
をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【0170】
(付記26)前記所定値は、上限値及び下限値を有し、
負荷の大きさが前記上限値よりも大きいと判断した場合、パケットの取得を前記休止状態へ切替えさせるステップと、
負荷の大きさが前記下限値以下であると判断した場合、パケットの取得を前記取得状態へ切替えさせるステップと
をコンピュータに実行させることを特徴とする付記25に記載のコンピュータプログラム。
【0171】
(付記27)前記パケット交換網から取得したパケットの内にコンピュータが蓄積できないパケットが存在する取得漏れを検知させるステップと、
該取得漏れを検知したとき、パケットの取得を前記休止状態へ切替えさせるステップと
をコンピュータに実行させることを特徴とする付記25又は26に記載のコンピュータプログラム。
【0172】
(付記28)コンピュータが蓄積したパケットの蓄積量を算出させるステップと、
算出した蓄積量に対する負荷の大きさが前記所定値よりも大きいか否かを判断させるステップと
をコンピュータに実行させることを特徴とする付記25乃至27の何れかに記載のコンピュータプログラム。
【0173】
(付記29)所定期間でのハードウェア資源の使用率を取得させるステップと、
取得したハードウェア資源の使用率に対応する負荷の大きさが前記所定値よりも大きいか否かを判断させるステップと
をコンピュータに実行させることを特徴とする付記25乃至27の何れかに記載のコンピュータプログラム。
【0174】
(付記30)所定の単位時間当たりに取得したパケットの取得量を算出させるステップと、
算出したパケットの取得量に対応する負荷の大きさが前記所定値よりも大きいか否かを判断させるステップと
をコンピュータに実行させる異を特徴とする付記25乃至27の何れかに記載のコンピュータプログラム。
【0175】
(付記31)前記パケット交換網から取得したパケットの取得数及び前記パケット交換網を転送中に消失したパケットの消失数を計測させるステップと、
計測したパケットの取得数及び消失数に基づいて、前記パケット交換網を転送されるパケット数に対するパケットの消失数の比率であるパケットの消失率及び該消失率に対する誤差を算出させるステップと、
算出したパケットの消失率及び誤差を対応付けて出力させるステップと
をコンピュータに実行させることを特徴とする付記25乃至30の何れかに記載のコンピュータプログラム。
【0176】
(付記32)パケット交換網に接続してあるコンピュータに、前記パケット交換網を転送されるパケットを取得し、取得したパケットを蓄積し、蓄積したパケットを解析させることにより前記パケット交換網における通信品質を測定させるコンピュータプログラムにおいて、
パケットを取得する取得期間及びパケットを取得しない休止期間を基準処理期間に設定させるステップと、
コンピュータが備えるハードウェア資源に対する負荷の大きさが予め設定してある所定値よりも大きいか否かを判断させるステップと、
前記パケット交換網からのパケットの取得を、前記基準処理期間単位で反復させるとき、負荷の大きさが前記所定値よりも大きいと判断した場合、各基準処理期間に対する休止期間の割合を大きく設定させるステップと、
負荷の大きさが前記所定値以下である判断した場合、各基準処理期間に対する休止期間の割合を小さく設定させるステップと
をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【図面の簡単な説明】
【0177】
【図1】実施の形態1における通信品質測定装置がパケット交換網に接続された状態でIP電話サービスの品質を測定するための構成を概念的に表す模式図である。
【図2】実施の形態1における通信品質測定装置の構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態1における通信品質測定装置の制御部の機能ブロック図である。
【図4】実施の形態1における通信品質測定装置の制御部がパケット取得手段としてパケットを取得する処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態1における通信品質測定装置の制御部が取得制御手段としてパケットの取得を実行又は休止する制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】実施の形態1における通信品質測定装置の制御部が取得制御手段として機能することにより、負荷の大きさに応じてどのようにパケットを取得するかを概念的に示す説明図である。
【図7】実施の形態1における通信品質測定装置の制御部が品質解析手段としてパケット消失率を算出する処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】実施の形態1における通信品質測定装置の制御部からの出力に基づいて表示部に表示される品質解析結果の例を示す説明図である。
【図9】実施の形態2における通信品質測定装置の制御部がハードウェア資源に対する負荷が大きいと判断した場合に取得期間及び休止期間を設定する処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】実施の形態3における通信品質測定装置の制御部がハードウェア資源に対する負荷が大きいと判断した場合に取得期間及び休止期間を設定する処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】実施の形態4における通信品質測定装置の制御部が取得制御手段によりパケットの取得の実行・休止を制御する処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】実施の形態1乃至6における時間の設定方法を示す説明図である。
【図13】実施の形態4乃至6における通信品質測定装置の制御部が取得制御手段として機能することにより、負荷の大きさに応じてどのようにパケットを取得するかを概念的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0178】
1 通信品質測定装置
10 制御部
101 パケット取得手段
102 取得制御手段
103 品質解析手段
104 解析結果表示手段
11 記憶部
12 一時記憶領域
121 パケット蓄積領域
122 取得統計情報記憶領域
13 表示部
14 通信部
21 パケット交換網
22 ネットワーク
3 電話機
【技術分野】
【0001】
本発明は、パケット交換網を介して転送されるパケットを取得し、取得したパケットを解析してパケット交換網におけるパケットの消失、遅延などの通信品質を測定する通信品質測定装置、通信品質測定方法及びコンピュータプログラムに関し、特に、安価な装置であっても装置が有するハードウェア資源の負荷に応じた通信品質の測定が可能な通信品質測定装置、通信品質測定方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報技術の進歩に伴い、パケット交換網を介した双方向通信が活発となり、例えば、パケット化した音声データをパケット交換網を介して送受信することにより、インターネット経由での音声通話を可能とするVoIP(Voice over Internet Protocol)機能を有するIP電話が普及している。
【0003】
ところで、人間の聴覚は音声の途切れ、雑音に対して敏感であるため、パケット交換網における音声パケットの消失はIP電話の品質に大きな影響を与える。従って、IP電話においては、QoS(Quality of Service)保証機能に対する要求が非常に高い。
【0004】
そこで、従来、IP電話を提供するためのパケット交換網において、パケットの消失、遅延又はジッタなどを検出して通信品質を測定する通信品質測定装置などが種々提案された。例えば、パケット交換網を転送されるパケットを全て取得し、取得した全てのパケットのヘッダ部を解析し、パケットの消失、遅延などを検出することにより通信品質を特定する装置が一般的に利用されていた。また、パケット交換網にテストパケットを周期的に送出し、送出したパケットを全て取得できるか否かを判断することにより通信品質を測定する装置が新たに提案された(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2005−236909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一般的な装置にあっては、全てのパケットを取得して解析できる高価な高スペックの汎用機又は専用機を用いる必要があり、設備コストが高騰するという問題を有している。また、特許文献1に記載された装置にあっては、自らが送出したテストパケットのみの取得を検出するにすぎないので、高価な装置を用いる必要はない。しかし、この装置にあっては、テストパケットの未取得がパケット交換網の転送中に消失したことによるものであるのか、又は取得したパケットを装置内に蓄積できない取得漏れによるものであるのかを区別することができないため、通信品質の測定精度を保持できないという問題を有している。このように、通信品質測定装置において、コストと計測精度とはトレードオフの関係にある。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、自らが備えるハードウェア資源に対する負荷の大きさに応じてパケットを取得する取得状態又はパケットを取得しない休止状態に切替えるようにしてあることにより、安価な装置であっても、ハードウェア資源への負荷によるパケットの取得漏れが発生しないようにでき、装置のコスト削減及び測定精度保持の両立を図ることができる通信品質測定装置、通信品質測定方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明の他の目的は、ハードウェア資源に対する負荷の大きさを判断するための所定値に上限値及び下限値と設けることにより、状態の切替判断に猶予を設けることができる通信品質測定装置を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明の他の目的は、取得したパケットに前記蓄積手段で蓄積できないパケットが存在する取得漏れを検知したとき、パケットを取得しないようにすることにより、安価な低スペックの装置であっても測定精度を極力保持することができる通信品質測定装置を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明の他の目的は、パケットの蓄積量に対応する負荷の大きさをハードウェア資源に対する負荷の大きさとみなし、ハードウェア資源に対する負荷の大きさに応じてパケットを取得する取得状態又はパケットを取得しない休止状態に切替えるようにしてあることにより、安価な低スペックの装置であっても、ハードウェア資源への負荷によるパケットの取得漏れが発生しないようにでき、装置のコスト削減及び測定精度保持の両立を図ることができる通信品質測定装置を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明の他の目的は、取得した所定期間でのハードウェア資源の使用率に対応する負荷の大きさをハードウェア資源に対する負荷の大きさとみなし、ハードウェア資源に対する負荷の大きさに応じてパケットを取得する取得状態又はパケットを取得しない休止状態に切替えるようにしてあることにより、安価な低スペックの装置であっても、ハードウェア資源への負荷によるパケットの取得漏れが発生しないようにでき、装置のコスト削減及び測定精度保持の両立を図ることができる通信品質測定装置を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明の他の目的は、算出した所定の単位時間当たりに取得したパケットの取得量に対応する負荷の大きさをハードウェア資源に対する負荷の大きさとみなし、ハードウェア資源に対する負荷の大きさに応じてパケットを取得する取得状態又はパケットを取得しない休止状態に切替えるようにしてあることにより、安価な低スペックの装置であっても、ハードウェア資源への負荷によるパケットの取得漏れが発生しないようにでき、装置のコスト削減及び測定精度保持の両立を図ることができる通信品質測定装置を提供することを目的とする。
【0012】
更にまた、本発明の他の目的は、算出したパケットの消失率及び誤差を対応付けて出力するようにしてあることにより、安価な低スペックの装置であっても測定精度に対する信頼性を向上させることができる通信品質測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1発明に係る通信品質測定装置は、パケット交換網に接続する手段と、前記パケット交換網を転送されるパケットを取得する取得手段と、取得したパケットを蓄積する蓄積手段とを備え、蓄積したパケットを解析することにより前記パケット交換網における通信品質を測定する通信品質測定装置において、前記取得手段によるパケットの取得を、パケットを取得する取得状態又はパケットを取得しない休止状態へ切替える制御手段と、自身が備えるハードウェア資源に対する負荷の大きさが予め設定してある所定値よりも大きいか否かを判断する判断手段とを備え、前記制御手段は、負荷の大きさが前記所定値よりも大きいと前記判断手段が判断した場合にパケットの取得を前記休止状態へ切替え、負荷の大きさが前記所定値以下であると前記判断手段が判断した場合にパケットの取得を前記取得状態に切替えるようにしてあることを要件とする。
【0014】
また、第2発明に係る通信品質測定装置は、前記所定値は、上限値及び下限値を有し、前記制御手段は、負荷の大きさが前記上限値よりも大きいと前記判断手段が判断した場合にパケットの取得を前記休止状態へ切替え、負荷の大きさが前記下限値以下であると前記判断手段が判断した場合にパケットの取得を前記取得状態へ切替えるようにしてあることを要件とする。
【0015】
また、第3発明に係る通信品質測定装置は、前記取得手段が取得したパケットの内に前記蓄積手段が蓄積できないパケットが存在する取得漏れを検知する検知手段を更に備え、前記制御手段は、前記検知手段が取得漏れを検知した場合、パケットの取得を前記休止状態へ切替えるようにしてあることを要件とする。
【0016】
また、第4発明に係る通信品質測定装置は、前記蓄積手段が蓄積したパケットの蓄積量を算出する手段を更に備え、前記判断手段は、算出したパケットの蓄積量に対応する負荷の大きさが前記所定値よりも大きいか否かを判断するようにしてあることを要件とする。
【0017】
また、第5発明に係る通信品質測定装置は、所定期間でのハードウェア資源の使用率を取得する手段を更に備え、前記判断手段は、取得したハードウェア資源の使用率に対応する負荷の大きさが前記所定値よりも大きいか否かを判断するようにしてあることを要件とする。
【0018】
また、第6発明に係る通信品質測定装置は、前記取得手段が所定の単位時間当たりに取得したパケットの取得量を算出する手段を更に備え、前記判断手段は、算出したパケットの取得量に対応する負荷の大きさが前記所定値よりも大きいか否かを判断するようにしてあることを要件とする。
【0019】
また、第7発明に係る通信品質測定装置は、前記取得手段が取得したパケットの取得数及び前記パケット交換網を転送中に消失したパケットの消失数を計測する手段と、計測したパケットの取得数及び消失数に基づいて、前記パケット交換網を転送されるパケット数に対するパケットの消失数の比率であるパケットの消失率及び該消失率に対する誤差を算出する手段と、算出したパケットの消失率及び誤差を対応付けて出力する手段とを備えることを要件とする。
【0020】
また、第8発明に係る通信品質測定方法は、パケット交換網に接続し、前記パケット交換網を転送されるパケットを取得し、取得したパケットを蓄積し、蓄積したパケットを解析することにより前記パケット交換網における通信品質を測定する通信品質測定方法において、自身が備えるハードウェア資源に対する負荷の大きさが予め設定してある所定値よりも大きいか否かを判断し、前記パケット交換網からのパケットの取得を、パケットを取得する取得状態又はパケットを取得しない休止状態へ切替えるとき、負荷の大きさが前記所定値よりも大きいと判断した場合、パケットの取得を前記休止状態へ切替え、負荷の大きさが前記所定値以下であると判断した場合、パケットの取得を前記取得状態へ切替えることを要件とする。
【0021】
更にまた、第9発明に係るコンピュータプログラムは、パケット交換網に接続してあるコンピュータに、前記パケット交換網を転送されるパケットを取得し、取得したパケットを蓄積し、蓄積したパケットを解析させることにより前記パケット交換網における通信品質を測定させるコンピュータプログラムにおいて、コンピュータが備えるハードウェア資源に対する負荷の大きさが予め設定してある所定値よりも大きいか否かを判断させるステップと、前記パケット交換網からのパケットの取得を、パケットを取得する取得状態又はパケットを取得しない休止状態へ切替えるとき、負荷の大きさが前記所定値よりも大きいと判断した場合、パケットの取得を前記休止状態へ切替えさせるステップと、負荷の大きさが前記所定値以下であると判断した場合、パケットの取得を前記取得状態へ切替えさせるステップとをコンピュータに実行させることを要件とする。
【0022】
第1発明、第8発明及び第9発明では、負荷の大きさが所定値よりも大きいと判断した場合にパケットの取得を休止状態へ切替え、負荷の大きさが所定値以下であると判断した場合にパケットの取得を取得状態に切替えることにより、安価な低スペックの装置であっても、ハードウェア資源への負荷によるパケットの取得漏れを極力発生させない。
【0023】
また第2発明では、ハードウェア資源に対する負荷の大きさを判断するための所定値に上限値及び下限値と設けることにより、状態の切替判断に猶予を設け、パケット取得の実行状態又は休止状態への切替処理に対する負荷を極力を抑え、安価な低スペックの装置であっても、ハードウェア資源への負荷によるパケットの取得漏れを極力発生させない。
【0024】
また第3発明では、取得したパケットに蓄積できないパケットが存在する取得漏れを検知したときにはパケットを取得しないようにすることにより、パケットの取得漏が発生したときに通信品質の測定を行わないようにする。
【0025】
また、第4発明では、パケットの蓄積量を負荷の大きさとみなし、負荷の大きさが所定値よりも大きいと判断した場合にパケットの取得を休止状態へ切替え、負荷の大きさが所定値以下であると判断した場合にパケットの取得を取得状態に切替えることにより、安価な低スペックの装置であっても、ハードウェア資源への負荷によるパケットの取得漏れを極力発生させない。
【0026】
また第5発明では、取得したハードウェア資源の使用率を負荷の大きさとみなし、負荷の大きさが所定値よりも大きいと判断した場合にパケットの取得を休止状態へ切替え、負荷の大きさが所定値以下であると判断した場合にパケットの取得を取得状態に切替えることにより、安価な低スペックの装置であっても、ハードウェア資源への負荷によるパケットの取得漏れを極力発生させない。
【0027】
また第6発明では、算出したパケットの取得量を負荷の大きさとみなし、負荷の大きさが所定値よりも大きいと判断した場合にパケットの取得を休止状態へ切替え、負荷の大きさが所定値以下であると判断した場合にパケットの取得を取得状態に切替えることにより、安価な低スペックの装置であっても、ハードウェア資源への負荷によるパケットの取得漏れを極力発生させない。
【0028】
更にまた第7発明では、算出したパケットの消失率及び誤差を対応付けて出力することにより、消失率に対する誤差をユーザに視認させ、測定精度に対する信頼性を向上させる。
【発明の効果】
【0029】
本発明にあっては、安価な低スペックの装置であっても、ハードウェア資源への負荷によるパケットの取得漏れを極力発生させないようにできる。また、仮にパケットの取得漏れが発生した場合は、通信品質の測定を行わないようにして測定精度を保持することができる。更にまた、測定精度に対する信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
実施の形態1.
以下、本発明に係る通信品質測定装置、通信品質測定方法及びコンピュータプログラムについて、実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は実施の形態1における通信品質測定装置がパケット交換網に接続された状態でIP電話サービスの品質を測定するための構成を概念的に表す模式図である。
尚、実施の形態1では、IP電話サービスの品質を測定するための構成を一例として説明する。しかし、本発明は、これに限定されるものでなく、動画データなどのストリーミングデータの配信するサービスの品質を測定するための構成であってもよい。
【0031】
図1中、1は本発明に係る通信品質測定装置である。通信品質測定装置1は、ルータ及びスイッチングハブなどの装置(図示せず。以下同様。)を介してパケット交換網21に接続されている。図1中、3、3、…は、IP電話機能を有する電話機であり、夫々所属するネットワーク22、22、…にルータ及びスイッチングハブなどの装置を介して接続されている。
【0032】
各電話機3は、SIP(Session Initiation Protocol)サーバ(図示せず。以下同様。)により呼接続が確立され、更にRTP(Real-time Transport Protocol)セッションが確立されることにより、音声データを運ぶパケットが送受信される。その結果、各電話機3によるIP電話サービスが実現される。図1中の矢印は、音声データを運ぶパケットの流れを表している。
【0033】
通信品質測定装置1は、RTPセッションにより送受信されるパケットを取得する。通信品質測定装置1は、取得したパケットのRTPヘッダを読み出し、読み出したRTPヘッダを解析することにより、欠落したパケットの有無を判定し、又はパケットの遅延の判断を行い、パケット交換網21におけるIP電話サービスの品質を測定する。
【0034】
次に通信品質測定装置1の構成及び作用について説明する。図2は実施の形態1における通信品質測定装置1の構成を示すブロック図である。通信品質測定装置1は、動作を制御する制御部10と、磁気記憶方式のハードディスクに相当する記憶部11と、RAM(Random Access Memory)に相当する一時記憶領域12と、液晶モニタに相当する表示部13と、パケット交換網21又はネットワーク22に接続するための通信部14とを備える。尚、表示部13は、表示を行わない場合は、備えなくても良い。
【0035】
制御部11には、制御プログラム1Pが記憶されている。制御部10は、制御部11に記憶してある制御プログラム1Pを一時記憶領域12へ読み出し、読み出した制御プログラム1Pを実行することにより、通信品質測定装置1の動作を制御する。制御プログラム1Pには、複数のモジュールが含まれ、制御プログラム1Pに従う制御部10は、各モジュールに応じた機能を実現させる。かかる機能の詳細は、後述にて説明する。
【0036】
一時記憶領域12は、記憶部11から読み出した制御プログラム1Pを記憶するための記憶手段として利用されるのみならず、制御部10が制御プログラム1Pを実行することにより発生する各種情報を記憶するための記憶手段としても利用される。
【0037】
表示部13は、制御部10により出力された各種情報を画像出力するためのインタフェースである。表示部13は、制御部10により取得され解析されたパケットに関する情報を出力する。
【0038】
通信部14は、パケット交換網21又はネットワーク22に接続するためのインタフェースである。通信部14は、制御プログラム1Pに含まれるドライバを介して制御部10により制御され、パケット交換網21を転送されるパケットを取得し、制御部10へ出力する。
【0039】
次に制御部10の機能について説明する。図3は実施の形態1における通信品質測定装置1の制御部10の機能ブロック図である。制御部10は、制御プログラム1Pを実行することにより、通信部14を介して取得したパケットを蓄積するパケット取得手段101と、パケット取得手段101によるパケットの取得を実行又は休止するための制御を行う取得制御手段102と、パケット取得手段101により蓄積したパケットを解析してパケットの消失及び遅延などを判断する品質解析手段103と、品質解析手段103により得られたパケットに関する情報を表示部13へ出力するためのGUI(Graphic User Interface)である解析結果表示手段104として機能する。
【0040】
制御部10は、パケット取得手段101として機能するとき、一時記憶領域12内にパケット蓄積領域121を確保し、確保したパケット蓄積領域121に通信部14を介して取得したパケットを蓄積する。
【0041】
制御部10は、パケット取得手段101として機能するとき、取得したパケットの取得数、及び取得したがパケット蓄積領域121に蓄積できなかったパケット数を示す取得漏れ数を計数する。例えば、制御部10は、取得の都度パケットに取得番号を付与し、取得番号に基づいてパケットの取得数を計数する。また、制御部10は、パケット蓄積領域121へ蓄積したパケットの取得番号の飛躍を検出することにより、取得漏れ数を計数する。制御部10は、一時記憶領域12内に取得統計情報記憶領域122を確保し、確保した取得統計情報記憶領域122に計数した取得数及び取得漏れ数を記憶する。制御部10は、取得制御手段102として機能するとき、パケット取得手段101へ指示を与え、取得統計情報記憶領域122に記憶してあるパケットの取得数及び取得漏れ数を初期化する。
【0042】
制御部10は、パケット取得手段101としてパケットを取得する都度、取得の完了通知を取得制御手段102へ出力する。制御部10は、取得制御手段102としてパケット取得手段101から出力された通知を受け付ける都度、取得の完了通知を品質解析手段103へ出力する。そして、制御部10は、品質解析手段103として機能するとき、取得制御手段102から出力された通知を受け付ける都度、パケット蓄積領域121に記憶してあるパケットを読み出し、読み出したパケットを解析する。尚、取得制御手段102から品質解析手段103への取得の完了通知は、パケット取得手段101から出力された通知を受け付ける都度ではなく、パケット取得手段101からの所定回数の通知を受けた場合、又は所定時間が経過した場合に行うようにしても良い。
【0043】
制御部10は、パケット取得手段101として機能するとき、取得制御手段102からの制御によりパケットの取得を実行又は休止する。制御部10は、取得制御手段102として機能するとき、パケット取得手段101によるパケットの取得の実行及び休止を所定の基準処理期間単位で制御する。即ち、制御部10は、パケットを取得する取得期間(以下、「取得期間Tcap」という。)及び取得を休止する休止期間(以下、「休止期間Tint」という。)を基準処理期間(以下、「基準処理期間Tu」という。)単位で反復して間欠的にパケットを取得する。この場合、取得制御手段102として機能する制御部10は、Tu=Tcap+Tintが成り立つように基準処理期間Tu、取得期間Tcap及び休止期間Tintを分配して設定し、パケット取得手段101によるパケットの取得を制御する。制御部10は、所定の単位期間(以下、「単位期間Td」という。)を単位として基準処理期間Tuを設定し、例えば、基準処理期間Tuを単位期間Tdの10倍に設定する。取得期間Tcapには、Tcap=Tuが初期設定され、休止期間Tintには、0が初期設定される。単位期間Td、基準処理期間Tu、取得期間Tcap及び休止期間Tintは、一時記憶領域12に記憶され、制御部10により適宜参照される。
【0044】
制御部10は、品質解析手段103として機能するとき、パケット蓄積領域121に記憶してあるパケットを読み出し、読み出したパケットからRTPヘッダを抽出する。RTPヘッダには、各RTPセッションにおけるシーケンス番号及び時刻情報が格納されている。制御部10は、RTPヘッダを解析し、例えば、シーケンス番号の飛躍を検出する。その後、制御部10は、消失したパケットの有無を判断してパケットの消失数を計数し、パケットの消失率を算出する。また、制御部10は、時刻情報を検出することにより、パケットの遅延の有無を判断する。
【0045】
制御部10は、解析結果表示手段104として機能するとき、品質解析手段103により解析して得られたパケットに関する情報(RTPヘッダの情報など)を表示部13を介して画像出力し、算出したパケット消失率及び/又は該消失率に対する誤差を画像出力する。
【0046】
次に制御部10がパケット取得手段101、取得制御手段102、品質解析手段103及び解析結果表示手段104として機能するときの各処理の手順を説明する。図4は実施の形態1における通信品質測定装置1の制御部10がパケット取得手段101としてパケットを取得する処理の手順を示すフローチャート、図5は実施の形態1における通信品質測定装置1の制御部10が取得制御手段102としてパケットの取得を実行又は休止する制御処理の手順を示すフローチャート、図6は実施の形態1における通信品質測定装置1の制御部10が取得制御手段102として機能することにより、負荷の大きさに応じてどのようにパケットを取得するかを概念的に示す説明図、図7は実施の形態1における通信品質測定装置1の制御部10が品質解析手段103としてパケット消失率を算出する処理の手順を示すフローチャートである。制御部10は、パケット取得処理、取得制御処理及び品質解析処理を夫々スレッドとし、並行して実行する。制御部10は、スレッドで用いるための記憶領域を共有し、スレッド相互で通知しあうことにより処理のタイミングを合わせ、並行処理を実行する。
【0047】
先ずパケット取得処理の手順について説明する(図4参照)。通信品質測定装置1の制御部10は、パケット取得手段101として機能するとき、取得統計情報記憶領域122に記憶してあるパケットの取得数及び取得漏れ数に0を代入して初期化を行う(S101)。制御部10は、取得制御手段102で取得の実行を示す実行通知を出力したか否かを判断し(S102)、取得制御手段102で実行通知を出力していないと判断した場合(S102でNO)、ステップS102に戻り、処理を繰り返す。
【0048】
一方、制御部10は、取得制御手段102で実行通知を出力したと判断した場合(S102でYES)、通信部14を介してパケットの取得を開始する(S103)。制御部10は、パケットの取得を開始した後、パケットの取得数及び取得漏れ数を随時計数し、取得統計情報記憶領域122に記憶する(S104)。
【0049】
制御部10は、取得制御手段102で取得の休止を示す休止通知を出力したか否かを判断し(S105)、取得制御手段102で休止通知を出力していないと判断した場合(S105でNO)、ステップS104へ戻り、処理を繰り返す。
【0050】
一方、制御部10は、取得制御手段102で休止通知を出力したと判断した場合(S105でYES)、パケットの取得を停止する(S106)。制御部10は、取得制御手段102で初期化通知を出力したか否かを更に判断し(S107)、取得制御手段102で初期化通知を出力していないと判断した場合(S107でNO)、ステップS107へ戻り、処理を繰り返す。
【0051】
一方、制御部10は、取得制御手段102で初期化通知を出力したと判断した場合(S107でYES)、ステップS101へ戻り、処理を繰り返す。制御部10は、外部から終了通知を受け付けたと判断した場合、又は処理のエラーが発生した場合、パケット取得処理を終了する。
【0052】
次に取得制御処理の手順について説明する(図5参照)。取得制御処理は、制御部10のパケット取得手段101によるパケット取得処理に対して実行通知、休止通知及び初期化通知を出力する処理である。
【0053】
制御部10は、取得制御手段102として機能するとき、一時記憶領域12に記憶してある単位期間Td、基準処理期間Tu、取得期間Tcap及び休止期間Tintを初期設定する(S201)。実施の形態1では、単位期間Tdを100msecと予め設定し、基準処理期間Tuを単位期間Tdの10倍である1000msecとし、取得期間TcapをTuとし、休止期間Tintを0とするように初期設定を行う。
【0054】
制御部10は、パケット取得手段101に対して実行通知を出力し(S202)、取得期間Tcapが経過するまで待機する(S203)。制御部10は、取得期間Tcapの間、パケット取得手段101としてパケットを取得する。
【0055】
制御部10は、取得期間Tcapを経過したとき、パケット取得手段101に対して休止通知を出力し(S204)、休止期間Tintが経過するまで待機する(S205)。制御部10は、休止期間Tintの間、パケット取得手段101としてパケットの取得を休止する。
【0056】
制御部10は、休止期間Tintを経過したとき、取得統計情報記憶領域122に記憶してある取得数及び取得漏れ数を読み出し(S206)、読み出した取得数及び取得漏れ数に基づいて、パケットの取得漏れが存在するか否かを判断する(S207)。その結果、制御部10は、パケットの取得漏れが存在すると判断した場合(S207でYES)、通信品質測定装置1のハードウェア資源に対する負荷が大きいと判断する。
【0057】
このとき、制御部10は、基準処理期間Tuに対する休止期間Tintが大きくなるように取得期間Tcap及び休止期間Tintを設定する(S208)。制御部10は、例えば、ステップS208における取得期間Tcap及び休止期間Tintの設定において、取得期間Tcapを単位期間Tdだけ短縮(Tcap←Tcap−Td)し、休止期間Tintを単位期間Tdだけ延長(Tint←Tint+Td)するように設定する。
【0058】
一方、制御部10は、パケットの取得漏れがなかったと判断した場合(S207でNO)、取得期間Tcap及び休止期間Tintを変更することなしにステップS209へ処理を進める。
【0059】
制御部10は、ステップS208の処理を実行した後、又はパケットの取得漏れがなかったと判断した場合(S207でNO)、パケット取得の完了を示す完了通知を品質解析手段103へ出力し(S209)、初期化通知をパケット取得手段101へ出力する(S210)。制御部10は、ステップS202へ戻り、処理を繰り返す。尚、制御部10は、2巡目以降、ステップS201の初期設定を実行しない。また、制御部10は、外部から終了通知を受け付けたと判断した場合、又は処理のエラーが発生した場合、取得制御処理を終了する。
【0060】
尚、本発明は、上述した取得制御処理に限定されるものでなく、例えば、品質解析手段103への完了通知の出力(S209参照)は、パケット取得手段101への初期化通知の出力(S210参照)の後に実行されてもよい。また、取得期間Tcap及び休止期間Ttinの設定(S208参照)は、取得漏れ数を読み出した(S206参照)後に取得漏れの有無を記憶しておき、実行通知を再度出力する(S202)前に取得漏れの有無に応じて取得期間Tcap及び休止期間Tintの単位時間Td単位での増減を行うことによりなされてもよい。
【0061】
このように、通信品質測定装置1の制御部10は、パケット取得処理(図4参照)及び取得制御処理(図5参照)により、通信部14を介したパケットの取得を間欠的に行うことができ、取得漏れがあると判断する場合、パケットの取得期間を短縮し、休止期間を延長することができる。
【0062】
ここで本発明の通信品質測定装置1の制御部10が取得制御手段102として機能することにより、負荷の大きさに応じてどのようにパケットを取得するかを概念的に説明する(図6参照)。図6(a)に示すグラフの横軸は、時間の経過を表し、縦軸は、通信品質測定装置1が通信部14を介して取得したパケットで得られる通話のセッション数、言い換えれば、通信されるトラフィックの総量を表す。即ち、図6(a)に示すグラフは、時間経過に対するセッション数を示している。また、図6の一点鎖線は、通信品質測定装置1の制御部10がパケットの取得及び解析できるセッション数の限界である所定値を示している。セッション数が所定値を超えた場合、通信品質測定装置1は、処理能力が不足し、パケット取得手段101によるパケットの取得に取得漏れを生じる。
【0063】
図6中、通信品質測定装置1は、t0 からt1 までの間、t2 からt3 までの間、及びt4 以降、処理能力が十分であり取得漏れを生じさせない。一方、通信品質測定装置1は、t1 からt2 までの間、及びt3 からt4 までの間、処理能力に対するセッション数が限界を超えているので、取得漏れを生じさせる。
【0064】
また、図6(b)に示すグラフの横軸は、時間の経過を表し、図6(a)の時間の経過に対応する。また、図6(b)に示す四角形は、夫々のタイミングにおいて取得されたパケットを表す。
【0065】
図6中、通信品質測定装置1は、t0 からt1 までの間、全てのパケットを取得する。つまり、通信品質測定装置1は、取得期間Tcapは基準処理期間Tuと等しいため、基準処理期間Tuの全てのパケットを取得する。
【0066】
通信品質測定装置1は、続くt1 からt2 までの間、パケットを間欠的に取得する。つまり、通信品質測定装置1は、セッション数が処理能力を超え、パケットの取得漏れを生じさせているので、取得期間Tcapが単位期間Td単位で短縮し、休止期間Tintが単位期間Td単位で延長し、パケットを取得しないタイミングを生じさせる。
【0067】
通信品質測定装置1は、続くt2 からt3 までの間、最初はパケットを間欠的に取得しているが途中から全てのパケットを取得する。つまり、通信品質測定装置1は、パケットの取得漏れが無くなったので、取得期間Tcapを基準処理期間Tuに等しくなるように延長し、全てのパケットを取得する。尚、通信品質測定装置1は、処理の関係上、セッション数の変化とパケットの取得状況との間に時差を生じさせている。
【0068】
通信品質測定装置1は、続くt3 からt4 までの間、セッション数が所定値を大きく超えているため、取得期間Tcapが単位期間Td単位で短縮し、休止期間Tintが単位期間Td単位で延長し、パケットを間欠的に取得する。しかし、通信品質測定装置1は、大きな取得漏れを生じさせているので、t1 からt2 までの間より休止期間Tintが大幅に延長され、パケットの取得の間隔が大きくなっている。つまり、通信品質測定装置1は、パケットの取得漏れを生じさせていると判断し、取得期間Tcapを短縮したが、その後もパケットの取得漏れが続いていると判断し、取得期間Tcapを更に短縮した。
【0069】
通信品質測定装置1は、続くt4 以降、最初はパケットを間欠的に取得しているが途中から全てのパケットを取得する。つまり、通信品質測定装置1は、パケットの取得漏れが無くなったので、取得期間Tcapを基準処理期間Tuに等しくなるように再度延長し、全てのパケットを取得する。
【0070】
このように、本発明に係る通信品質測定装置1は、パケット取得処理(図4参照)及び取得制御処理(図5参照)により、自らの処理能力に応じてパケットを取得するので、取得漏れを極力防止することができ、処理能力に見合った品質測定を行うことができる。通信品質測定装置1は、品質解析処理の行うことにより、品質測定を行う。
【0071】
ここで品質解析処理について説明する(図7参照)。品質解析処理は、制御部10のパケット取得手段101により取得したパケットを品質解析手段103の機能により解析し、パケットの消失率などの情報を出力する。
【0072】
通信品質測定装置1の制御部10は、品質解析手段103として機能するとき、パケット交換網21で転送されたパケットの転送数(以下、「転送数nvr」という。)及びパケット交換網内で消失したパケットの消失数(以下、「消失数nvl」という。)を計数するための転送総数Nvrのカウンタ及び消失総数Nvlのカウンタを0とするように初期設定する(S301)。
【0073】
制御部10は、取得制御手段102で完了通知を出力したか否かを判断し(S302)、取得制御手段102で完了通知を出力していないと判断した場合(S302でNO)、ステップS302へ戻り、処理を繰り返す。
【0074】
一方、制御部10は、取得制御手段102で完了通知を出力したと判断した場合(S302でYES)、パケット蓄積領域121からパケットをRTPセッション毎に読み出し(S303)、転送数nvr及び消失数nvlを計数する(S304)。制御部10は、ステップS304における転送数nvr及び消失数nvlの計数において、RTPセッション毎に連続すべきシーケンス番号をRTPヘッダから読み出し、読み出したシーケンス番号に基づいて取得数を計数すると共に、読み出したシーケンス番号の飛躍箇所を検知することにより消失数を計数する。
【0075】
制御部10は、RTPセッション毎に計数した転送数nvrを転送総数Nvrに累積し、計数した消失数nvlを消失総数Nvlに累積する(S305)。
【0076】
制御部10は、パケット累積領域121に蓄積してあるパケットに対応する全セッションに対して、パケットを読み出したか否かを判断する(S306)。その結果、制御部10は、全セッションに対してパケットを読み出していないと判断した場合(S306でNO)、ステップS303へ戻り、処理を繰り返し、次のRTPセッションについてのパケットの読み出し、転送数nvr及び消失数nvlの計数、及び累積を行う。
【0077】
一方、制御部10は、全セッションに対してパケットを読み出したと判断した場合(S306でYES)、累積した転送総数Nvr及び消失総数Nvlに基づいて消失率(以下、「消失率p」という。)及びその誤差(以下、「誤差e」という。)を算出する(S307)。
【0078】
制御部10は、ステップS307における消失率pを下記式(1)に基づいて算出する。このように、消失率pは、各基準処理期間Tuの間の取得期間Tcapに取得した全ての取得数に対する消失率である。言い換えれば、消失率pは、基準処理期間Tuを経過する都度、各基準処理期間Tuにおける消失率pとして算出される。また、制御部10は、各基準処理期間Tuの取得期間Tcap内に取得した全てのパケット(母集団)から間欠的に取得したサンプルパケットを抽出した場合に用いられる一般的な統計誤差の算出方法、即ち下記式(2)に基づいて誤差eを算出する。
【0079】
【数1】
【0080】
制御部10は、消失率p及び誤差eを算出した後、ステップS302へ戻り、処理を繰り返し、次の基準処理期間Tuを対象とした消失率pの算出を行う。尚、実施の形態1において、制御部10は、基準処理期間Tu毎に消失率pを算出する。しかし、本発明は、これに限定されるものでなく、例えば、数周期分の消失率pを算出する構成であってもよい。
【0081】
制御部10は、品質解析手段103の機能により算出した消失率p及び誤差eを対応付けて表示部13へ出力する。表示部13は、制御部10から出力された消失率p及び誤差eを受け付け、受け付けた消失率p及び誤差eを表示する。図8は実施の形態1における通信品質測定装置1の制御部10からの出力に基づいて表示部13に表示される品質解析結果の例を示す説明図である。
【0082】
表示部13は、消失率pの下段に括弧書きにした誤差eを表示する。図8(a)は、パケットの取得期間Tcapが基準処理期間Tuと等しく全てのパケットを取得している場合の表示例であり、図8(b)は、パケットの休止期間Tintが0でない場合の表示例であり、図8(c)は、休止期間Tintを更に延長した場合の表示例を示す。
【0083】
図8の表示例は、時間経過に対するパケットの取得のタイミングの変化を示す図6(b)に対応する。図8(a)は、図6(b)のt0 からt1 までの間における消失率pを示す。図8(b)は、図6(b)のt1 からt2 までの間における消失率pを示す。図8(c)は、図6(b)のt3 からt4 までの間における消失率pを示す。図8(c)は、t3 からt4 までの間の取得期間Tcapが最短であって、計数した取得数も最小であるため、表示する誤差eが図8(b)の誤差eより大きくなっている。
【0084】
このように、本発明の通信品質測定装置1の制御部10は、パケットの消失率p及び消失率pに対する誤差eを対応付けて表示部13に表示する。その結果、ユーザは、出力された消失率pの誤差eが0であるか否かを視認することができ、通信品質測定装置1が処理能力の不足状態にあり、パケットを間欠的に取得しているか否かを確認すると共に、誤差eを把握することができ、出力された消失率pに対して高い信頼を持つことができる。
【0085】
実施の形態2.
上述した実施の形態1では、通信品質測定装置1の制御部10でパケット取得手段101によるパケット取得に取得漏れがあると判断した場合、パケットを取得する基準処理期間Tuの内の取得期間Tcapを単位期間Td単位で短縮し、休止期間Tintを単位期間Td単位で延長する一例を説明した。しかし、本発明は、これに限定されるものでなく、例えば、制御部10で基準処理期間Tuの間に取得したパケット数とパケット長から基準処理期間Tu間での音声データの受信バイト数を算出し、パケット取得手段101の機能によるパケットの取得に取得漏れがあると判断した場合、算出した受信バイト数が所定値に近づくように取得期間Tcapを設定するようにしてもよい。実施の形態2では、その内容を説明する。
【0086】
実施の形態2における通信品質測定装置1は、制御部10の取得制御手段102による取得期間Tcap及び休止期間Tintの設定処理(図5のS208参照)が実施の形態1と異なる。実施の形態2では、その内容を説明する。尚、実施の形態2における通信品質測定装置1の構成及び作用は、実施の形態1における通信品質測定装置1と同様であるので、対応する箇所に同一符号を付してその説明を省略する。
【0087】
実施の形態2における通信品質測定装置1は、取得期間Tcap及び休止期間Tintを設定する処理(図5のステップS208参照)を以下の手順に置き換えて実行する。図9は実施の形態2における通信品質測定装置1の制御部10がハードウェア資源に対する負荷が大きいと判断した場合に取得期間Tcap及び休止期間Tintを設定する処理の手順を示すフローチャートである。
【0088】
通信品質測定装置1の制御部10は、読み出したパケットの取得数及びパケットの長さ(バイト)に基づいて基準処理期間Tuに通信部14を介して受信したデータ量Vを算出し、算出したデータ量Vを基準処理期間Tuで除算することにより受信データレートSを算出する(S401)。制御部10は、所定値Scを受信データレートSで除算した値(比率)を前回から設定してある取得期間Tcapに乗算することにより新たな取得期間Tcapを設定(Tcap←Tcap×Sc/S)する(S402)。但し、制御部10は、取得期間Tcapが基準処理期間Tuよりも大きい値として算出された場合、取得期間Tcapを基準処理期間Tuと等しく設定(Tcap←Tu)する。
【0089】
制御部10は、休止期間TintをステップS402で新たに設定した取得期間Tcapの基準処理期間Tuからの差分として設定(Tint←Tu−Tcap)する(S403)。
【0090】
実施の形態2における通信品質測定装置1の制御部10が取得期間TcapをステップS402の如く処理するのは、以下の理由による。
【0091】
通信品質測定装置1の処理能力は、通信部14を介して受信することが可能な単位時間(例えば1秒間)当たりのデータ量、即ち受信データレートSで表すことができる。制御部10は、受信データレートSが所定値Sc付近である場合、パケットの取得及び蓄積してあるパケットの解析処理を十分に実行することができる。従って、実施の形態2における通信品質測定装置1の制御部10は、前回から設定してある取得期間Tcapでの受信データレートSを所定値Sc付近で維持するため、受信データレートSに対する所定値Scの比率を前回から設定してある取得期間Tcapに乗算することにより、新たな取得期間Tcapを設定する。
【0092】
実施の形態3.
上述した実施の形態1では、通信品質測定装置1の制御部10でパケット取得手段101によるパケット取得に取得漏れがあると判断した場合、パケットを取得する基準処理期間Tuの取得期間Tcapを単位期間Td単位で短縮し、休止期間Tintを単位期間Td単位で延長する一例を説明した。また、実施の形態2では、取得期間Tcapを受信データレートが所定のレートに収束するように設定する一例を説明した。しかし、本発明は、これに限定されるものでなく、例えば、通信品質測定装置1の制御部10でパケット取得手段101の機能によるパケットの取得に取得漏れがあると判断した場合、基準処理期間Tuにおけるハードウェア資源の使用率が所定値に近づくように取得期間Tcapを設定するようにしてもよい。実施の形態3では、その内容を説明する。
【0093】
実施の形態3における通信品質測定装置1は、制御部10の取得制御手段102による取得期間Tcap及び休止期間Tintの設定処理(図5のS208参照)が実施の形態1及び2と異なる。実施の形態3では、その内容を説明する。尚、実施の形態3における通信品質測定装置1の構成及び作用は、実施の形態1及び2における通信品質測定装置1と同様であるので、対応する箇所に同一符号を付してその説明を省略する。
【0094】
実施の形態3における通信品質測定装置1は、取得期間Tcap及び休止期間Tintを設定する処理(図5のステップS208参照)を以下の手順に置き換えて実行する。図10は実施の形態3における通信品質測定装置1の制御部10がハードウェア資源に対する負荷が大きいと判断した場合に取得期間Tcap及び休止期間Tintを設定する処理の手順を示すフローチャートである。
【0095】
通信品質測定装置1の制御部10は、ハードウェア資源の使用率としてCPU使用率Wを取得する(S501)。制御部10は、取得したCPU使用率Wで所定値Wcを除算し、除算した値を前回から設定してある取得期間Tcapに乗算することにより、新たな取得期間Tcapを設定(Tcap←Tcap×Wc/W)する(S502)。但し、制御部10は、取得期間Tcapが基準処理期間Tuよりも大きい値として算出した場合、取得期間Tcapを基準処理期間Tuと等しく設定(Tcap←Tu)する。
【0096】
制御部10は、休止期間TintをステップS502で新たに設定した取得期間Tcapの基準処理期間Tuからの差分として設定(Tint←Tu−Tcap)する(S503)。
【0097】
実施の形態3における通信品質測定装置1の制御部10が取得期間TcapをステップS502の如く処理するのは、以下の理由による。
【0098】
通信品質測定装置1の処理能力は、パケット取得及び品質解析中の通信品質測定装置1のCPU使用率Wで表すことができる。制御部10は、CPU使用率Wが所定値Wc付近である場合、パケットの所得及び蓄積してあるパケットの解析処理を十分に実行することができる。従って、実施の形態3における通信品質測定装置1の制御部10は、前回から設定してある取得期間TcapでのCPU使用率Wを所定値Wc付近で維持するため、CPU使用率Wに対する所定値Wcの比率を前回から設定してある取得期間Tcapに乗算することにより、新たな取得期間Tcapを設定する。
【0099】
その結果、取得期間Tcap及び休止期間Tintが通信品質測定装置1のCPU使用率Wが最適なCPU使用率Wに収束するので、通信品質測定装置1は、処理能力に見合った品質測定を実行することができる。
【0100】
実施の形態4.
上述した実施の形態1では、通信品質測定装置1の制御部10でパケット取得手段101によるパケット取得に取得漏れがあると判断した場合、パケットを取得する基準処理期間Tuの取得期間Tcapを単位期間Td単位で短縮し、休止期間Tintを単位期間Td単位で延長する一例を説明した。また、実施の形態2では、取得期間Tcapを受信データレートが所定のレートに収束するように設定する一例を説明した。更にまた、実施の形態3では、通信品質測定装置1の制御部10でパケット取得手段101の機能によるパケットの取得に取得漏れがあると判断した場合、基準処理期間Tuにおけるハードウェア資源の使用率Wが所定値Wcに近づくように取得期間Tcapを設定する一例を説明した。しかし、本発明は、これに限定されるものでなく、例えば、通信品質測定装置1の制御部10で基準処理期間Tuとは関係なく、ハードウェア資源の使用率Wが所定値よりも大きいか否かに応じてパケットの取得を取得状態又は休止状態へ切り替えるようにしてもよい。このように、取得期間Tcap及び休止期間Tintを延長・短縮する、期間の設定処理を省略することにより、通信品質測定装置1の制御部10の処理の負担をさらに軽減することができ、パケットの取得漏れの発生を抑えることができる。実施の形態4では、その内容を説明する。
【0101】
実施の形態4における通信品質測定装置1の制御部10は、パケット取得手段101として機能するとき、取得制御手段102からの指示に従ってパケットの取得を実行又は休止する。即ち、制御部10は、パケット取得の取得状態である取得期間と、休止状態である休止期間とを反復しながら間欠的にパケットを取得する。パケット取得の取得状態又は休止状態を示すパケットサンプリングの状態は、一時記憶領域12に記憶され、制御部10により適宜参照される。
【0102】
尚、実施の形態4における通信品質測定装置1のその他の構成及び作用は、実施の形態1乃至3における通信品質測定装置1と同様であるので、対応する箇所に同一符号を付してその説明を省略する。
【0103】
また、実施の形態4における通信品質測定装置1は、制御部10が取得制御手段102として機能するときの取得制御処理(図5参照)が実施の形態1と異なる。実施の形態4では、その内容を説明する。図11は実施の形態4における通信品質測定装置1の制御部10が取得制御手段102によりパケットの取得の実行・休止を制御する処理の手順を示すフローチャートである。
【0104】
通信品質測定装置1の制御部10は、取得制御手段102として機能するとき、処理に必要な変数の初期化を行う(S601)。制御部10は、例えば、一時記憶領域12に記憶してあるパケットの蓄積数を0とする初期設定を行う。
【0105】
制御部10は、一時記憶領域12に記憶してあるパケットサンプリングの状態をパケットの取得状態とし(S602)、パケットの取得を開始する。このときの制御部10は、パケット取得手段101として機能し、常に取得期間Tcapとして取り扱う。
【0106】
尚、本発明は、これに限定されることなく、例えば、制御部10は、パケット取得手段101が行う、パケットキャプチャをオンにする、又はオフにするためのフラグを有する設定手段(図示せず、以下同様)に対して設定変更の指示を出力するようにしてもよい。
【0107】
また、制御部10は、単にキャプチャに対するオン又はオフのスイッチ機能を備え、適宜キャプチャをオンにする処理を実行するようにしてもよい。この場合、通信品質測定装置1は、設定手段が省略された構成となる。
【0108】
制御部10は、パケット取得手段101に対して実行通知を出力し(S603)、パケットの取得を指示する。
【0109】
制御部10は、パケット取得手段101によるパケット取得において取得漏れを検知し(S604)、取得漏れを検知できない場合(S604でNO)、パケット蓄積領域121に記憶してあるパケットの蓄積数が第1所定値(この場合、蓄積数の上限値を示す。以下同様。)よりも大きいか否かを判断する(S605)。
【0110】
その結果、制御部10は、蓄積数が第1所定値以下と判断した場合(S605でNO)、取得したパケットをパケット取得領域121へ記憶することを示す蓄積通知をパケット取得手段101へ出力する(S606)。即ち、制御部10は、ハードウェア資源への負担が小さいとして取得状態を続行する。
【0111】
制御部10は、ステップS604へ戻り、ステップS602〜ステップS606の処理を繰り返す。
【0112】
一方、制御部10は、ステップS604において、取得漏れを検知した場合(S604でYES)、一時記憶領域12に記憶してあるパケットサンプリングの状態をパケットの休止状態にする(S607)。即ち、制御部10は、蓄積数に関係することなく、ハードウェア資源への負担が大きいとして休止状態へ切り替える。
【0113】
制御部10は、パケット取得手段101に対して休止通知を出力し(S608)、パケットの取得を休止する。制御部10は、パケット取得手段101に対して常に休止期間Tintと取り扱うように制御する。
【0114】
尚、本発明は、これに限定されることなく、例えば、制御部10は、パケット取得手段101が行う、パケットキャプチャをオンにする、又はオフにするためのフラグを有する設定手段に対して設定変更の指示を出力するようにしてもよい。また、制御部10は、単にキャプチャに対するオン又はオフのスイッチ機能を備え、適宜キャプチャをオフにする処理を実行するのみであってもよい。この場合、通信品質測定装置1は、設定手段が省略された構成となる。
【0115】
制御部10は、品質解析処理を実行するための所定期間を経過したか否かを判断し(S609)、所定期間を経過していないと判断した場合(S609でNO)、ステップS602へ戻り、処理を繰り返す。即ち、制御部10は、所定期間中、パケット取得手段101及び取得制御手段102を一時停止し、品質解析手段103としてパケット蓄積領域121に記憶してあるパケットを読み出し、読み出したパケットに対してVoIPなどのストリーム品質に関する品質解析処理を実行する。パケット蓄積領域121に記憶してある蓄積数は、品質解析処理の進捗状況に応じて減少する。
【0116】
一方、制御部10は、所定期間に到達したと判断した場合(S609でYES)、パケット蓄積領域121に記憶してある蓄積数が第2所定値(この場合、蓄積数の下限を示す。以下同様。)以下であるか否かを判断する(S610)。
【0117】
その結果、制御部10は、蓄積数が第2所定値よりも大きいと判断した場合(S610でNO)、ステップS609へ戻り、処理を繰り返す。即ち、制御部10は、ハードウェア資源への負担が大きいとして休止状態を継続する。
【0118】
一方、制御部10は、蓄積数が第2所定値以下であると判断した場合(S610でYES)、ステップS602へ戻り、処理を繰り返す。即ち、制御部10は、ハードウェア資源への負担が小さいとして取得状態へ切り替える。
【0119】
このように、制御部10は、ステップS602〜ステップS610を繰り返すことにより、能動的にパケットの取得を取得状態又は休止状態へ切り替える。
【0120】
制御部10は、外部から完了通知を受け付けたと判断した場合、受け付けた完了通知を品質解析手段103へ出力し、更に初期化通知をパケット取得手段101へ出力する。
【0121】
一方、制御部10は、ステップS605において蓄積数が第1所定値よりも大きいと判断した場合(S605でYES)、一時記憶領域12に記憶してあるパケットサンプリングの状態をパケットの休止状態にする(S607)。即ち、制御部10は、ハードウェア資源への負担が大きいとして休止状態へ切り替える。
ステップS607以降の処理は、上述したステップと同様である。
【0122】
このように、本発明に係る通信品質測定装置1は、一時記憶領域12の蓄積数からハードウェア資源の負荷が所定値よりも大きいか否かを判断し、パケットの取得を取得状態又は休止状態へ切り替えることにより、一時記憶領域12の蓄積量が少ない安価な通信品質測定装置であっても、測定精度を極力保持することができる。
【0123】
実施の形態5.
上述した実施の形態4では、例えば、通信品質測定装置1の制御部10で一時記憶領域12へのパケットの蓄積数と所定値とを比較することにより、ハードウェア資源の負荷が所定値よりも大きいか否かを判断し、パケットの取得を取得状態又は休止状態へ切り替える一例を説明した。しかし、本発明は、これに限定されるものでなく、例えば、直近の単位時間当たりで取得した取得数と所定値とを比較することにより、ハードウェア資源の負荷が所定値よりも大きいか否かを判断し、パケットの取得を取得状態又は休止状態へ切り替えるようにしてもよい。実施の形態5では、実施の形態4と異なる箇所のみを説明する。
【0124】
実施の形態5における通信品質測定装置1の制御部10は、直近の単位時間を計時し、計時した単位時間当たりで取得したパケットの取得数を計数し、計数した取得数が第1所定値(この場合、パケットの取得数の上限を示す。以下同様。)よりも大きいか否かを判断する(図11のステップS605参照)。
【0125】
その結果、制御部10は、取得数が第1所定値以下であると判断した場合(図11のステップS605でNOを参照)、取得したパケットをパケット取得領域121へ記憶することを示す蓄積通知をパケット取得手段101へ出力する(図11のステップS606参照)。即ち、制御部10は、ハードウェア資源への負担が小さいとして取得状態を続行する。
【0126】
一方、制御部10は、取得数が第1所定値よりも大きいと判断した場合(図11のステップS605でYESを参照)、一時記憶領域12に記憶してあるパケットサンプリングの状態をパケットの休止状態にする(図11のステップS607参照)。即ち、制御部10は、ハードウェア資源への負担が大きいとして休止状態へ切り替える。
【0127】
また、制御部10は、取得数が第2所定値(この場合、パケットの取得数の下限を示す。以下同様。)以下であるか否かを判断する(図11のステップS610参照)。
【0128】
その結果、制御部10は、取得数が第2所定値よりも大きいと判断した場合(図11のステップS610でNOを参照)、図11のステップS609に相当する手順へ戻り、処理を繰り返す。即ち、制御部10は、ハードウェア資源への負担が大きいとして休止状態を継続する。
【0129】
一方、制御部10は、取得数が第2所定値以下であると判断した場合(図11のステップS610でYESを参照)、図11のステップS602に相当する手順へ戻り、処理を繰り返す。即ち、制御部10は、ハードウェア資源への負担が小さいとして取得状態へ切り替える。
【0130】
尚、実施の形態5における通信品質測定装置1のその他の構成及び作用は、実施の形態4における通信品質測定装置1と同様であるので、対応する箇所に同一符号を付してその説明を省略する。また、実施の形態5における通信品質測定装置1の制御部10が実行する処理の手順は、実施の形態4における通信品質測定装置1の制御部10が実行する処理の手順と同様であるので、対応する箇所に同一番号を付してその説明を省略する。
【0131】
このように、本発明に係る通信品質測定装置1は、パケットの取得数からハードウェア資源の負荷が所定値よりも大きいか否かを判断し、パケットの取得を取得状態又は休止状態へ切り替えることにより、CPUの処理能力の低い安価な通信品質測定装置であっても、測定精度を極力保持することができる。
【0132】
実施の形態6.
上述した実施の形態4では、例えば、通信品質測定装置1の制御部10で一時記憶領域12へのパケットの蓄積数と所定値とを比較することにより、一時記憶領域12の蓄積数からハードウェア資源の負荷が所定値よりも大きいか否かを判断し、パケットの取得を取得状態又は休止状態へ切り替えるようにした。また、実施の形態5では、例えば、直近の単位時間当たりで受信した取得数と所定値とを比較することにより、ハードウェア資源の負荷が所定値よりも大きいか否かを判断し、パケットの取得を取得状態又は休止状態へ切り替えるようにした。しかし、本発明は、これに限定されるものでなく、例えば、直近のある一定期間のハードウェア資源の使用率と所定値とを比較することにより、パケットの取得を取得状態又は休止状態へ切り替えるようにしてもよい。実施の形態6では、実施の形態4と異なる箇所のみを説明する。
【0133】
実施の形態6における通信品質測定装置1の制御部10は、直近のある一定期間を計時し、計時した一定期間内でCPUのハードウェア資源の使用率を取得し、取得したハードウェア資源の使用率が第1所定値(この場合、ハードウェア資源の使用率の上限を示す。以下、同様。)よりも大きいか否かを判断する(図11のステップS605参照)。
【0134】
その結果、制御部10は、ハードウェア資源の使用率が第1所定値以下であると判断した場合(S605でNOを参照)、取得したパケットをパケット取得領域121へ記憶することを示す蓄積通知をパケット取得手段101へ出力する(図11のステップS606参照)。即ち、制御部10は、ハードウェア資源への負担が小さいとして取得状態を続行する。
【0135】
一方、制御部10は、ハードウェア資源の使用率が第1所定数よりも大きいと判断した場合(図11のステップS605でYESを参照)、一時記憶領域12に記憶してあるパケットサンプリングの状態をパケットの休止状態にする(図11のステップS607参照)。即ち、制御部10は、ハードウェア資源への負担が大きいとして休止状態へ切り替える。
【0136】
また、制御部10は、ハードウェア資源の使用率が第2所定値(この場合、ハードウェア資源の使用率の下限を示す。以下、同様。)以下であるか否かを判断する(図11のステップS610参照)。
【0137】
その結果、制御部10は、ハードウェア資源の使用率が第2所定値よりも大きいと判断した場合(図11のステップS610でNOを参照)、図11のステップS609に相当する手順へ戻り、処理を繰り返す。即ち、制御部10は、ハードウェア資源への負担が大きいとして休止状態を継続する。
【0138】
一方、制御部10は、ハードウェア資源の使用率が第2所定値以下であると判断した場合(S605でYESを参照)、図11のステップS602に相当する手順へ戻り、処理を繰り返す。即ち、制御部10は、ハードウェア資源への負担が小さいとして取得状態へ切り替える。
【0139】
尚、実施の形態6における通信品質測定装置1のその他の構成及び作用は、実施の形態4における通信品質測定装置1と同様であるので、対応する箇所に同一符号を付してその説明を省略する。また、実施の形態6における通信品質測定装置1の制御部10が実行する処理の手順は、実施の形態4における通信品質測定装置1の制御部10が実行する処理の手順と同様であるので、対応する箇所に同一番号を付してその説明を省略する。
【0140】
このように、本発明に係る通信品質測定装置1は、CPUのハードウェア資源の使用率が所定値よりも大きいか否かを判断し、パケットの取得を取得状態又は休止状態へ切り替えることにより、CPUの処理能力の低い安価な通信品質測定装置であっても、測定精度を極力保持することができる。
【0141】
図12は実施の形態1乃至6における時間の設定方法を示す説明図、図13は実施の形態4乃至6における通信品質測定装置1の制御部10が取得制御手段102として機能することにより、負荷の大きさに応じてどのようにパケットを取得するかを概念的に示す説明図である。上述した実施の形態1乃至3において、通信品質測定装置1は、基準処理期間Tuを設定し、該基準処理期間Tu内を取得期間Tcap及び休止期間Tintに振り分けるように制御する(図12(a)参照)。
【0142】
上述した実施の形態4乃至6において、通信品質測定装置1は、基準処理期間Tuとは関係なく、取得期間Tcap又は休止期間Tintとなるように切り替える(図12(b)参照)。従って、実施の形態4乃至6では、実施の形態1乃至3と異なり、期間の設定処理を省略することができ、通信品質測定装置1の構成をより簡略化し、通信品質測定装置1の処理の負担を軽減し、安価な装置とすることができる。
また、通信品質測定装置1は、ハードウェア資源の使用率Wが第1所定値より大きいと判断した場合、パケットの取得を休止状態へ切り替え、ハードウェア資源の使用率Wが第2所定値以下と判断した場合、パケットの取得を取得状態へ切り替える(図13参照)。従って、実施の形態4乃至6では、第1所定値乃至第2所定値の間で切替判断の猶予期間を設けることができ、通信品質測定装置1がパケットの取得の実行・休止への切替を頻繁に実行する必要がなく、ハードウェア資源への負荷を極力減らすことができる。
【0143】
尚、上述した実施の形態4乃至6において、第1所定値と、第1所定値と異なる第2所定値とを用いる一例を説明したが、本発明は、これに限定することなく、例えば、第1所定値及び第2所定値が同じ、言い換えれば、上限値及び下限値を用いないようにしてもよい。
【0144】
上述した実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0145】
(付記1)パケット交換網に接続する手段と、前記パケット交換網を転送されるパケットを取得する取得手段と、取得したパケットを蓄積する蓄積手段とを備え、蓄積したパケットを解析することにより前記パケット交換網における通信品質を測定する通信品質測定装置において、
前記取得手段によるパケットの取得を、パケットを取得する取得状態又はパケットを取得しない休止状態へ切替える制御手段と、
自身が備えるハードウェア資源に対する負荷の大きさが予め設定してある所定値よりも大きいか否かを判断する判断手段と
を備え、
前記制御手段は、負荷の大きさが前記所定値よりも大きいと前記判断手段が判断した場合にパケットの取得を前記休止状態へ切替え、負荷の大きさが前記所定値以下であると前記判断手段が判断した場合にパケットの取得を前記取得状態に切替えるようにしてあることを特徴とする通信品質測定装置。
【0146】
(付記2)前記所定値は、上限値及び下限値を有し、
前記制御手段は、負荷の大きさが前記上限値よりも大きいと前記判断手段が判断した場合にパケットの取得を前記休止状態へ切替え、負荷の大きさが前記下限値以下であると前記判断手段が判断した場合にパケットの取得を前記取得状態へ切替えるようにしてあることを特徴とする付記1に記載の通信品質測定装置。
【0147】
(付記3)前記取得手段が取得したパケットの内に前記蓄積手段が蓄積できないパケットが存在する取得漏れを検知する検知手段を更に備え、
前記制御手段は、前記検知手段が取得漏れを検知した場合、パケットの取得を前記休止状態へ切替えるようにしてあることを特徴とする付記1又は2に記載の通信品質測定装置。
【0148】
(付記4)前記蓄積手段が蓄積したパケットの蓄積量を算出する手段を更に備え、
前記判断手段は、算出したパケットの蓄積量に対応する負荷の大きさが前記所定値よりも大きいか否かを判断するようにしてあることを特徴とする付記1乃至3の何れかに記載の通信品質測定装置。
【0149】
(付記5)所定期間でのハードウェア資源の使用率を取得する手段を更に備え、
前記判断手段は、取得したハードウェア資源の使用率に対応する負荷の大きさが前記所定値よりも大きいか否かを判断するようにしてあることを特徴とする付記1乃至3の何れかに記載の通信品質測定装置。
【0150】
(付記6)前記取得手段が所定の単位時間当たりに取得したパケットの取得量を算出する手段を更に備え、
前記判断手段は、算出したパケットの取得量に対応する負荷の大きさが前記所定値よりも大きいか否かを判断するようにしてあることを特徴とする付記1乃至3の何れかに記載の通信品質測定装置。
【0151】
(付記7)前記取得手段が取得したパケットの取得数及び前記パケット交換網を転送中に消失したパケットの消失数を計測する手段と、
計測したパケットの取得数及び消失数に基づいて、前記パケット交換網を転送されるパケット数に対するパケットの消失数の比率であるパケットの消失率及び該消失率に対する誤差を算出する手段と、
算出したパケットの消失率及び誤差を対応付けて出力する手段と
を備えることを特徴とする付記1乃至6の何れかに記載の通信品質測定装置。
【0152】
(付記8)パケット交換網に接続する手段と、前記パケット交換網を転送されるパケットを取得する取得手段と、取得したパケットを蓄積する蓄積手段とを備え、蓄積したパケットを解析することにより前記パケット交換網における通信品質を特定する通信品質測定装置において
前記取得手段によるパケットの取得を、パケットを取得する取得期間及びパケットを取得しない休止期間からなる基準処理期間単位で反復させる制御手段と、
各基準処理期間の内の取得期間及び休止期間を設定する設定手段と、
自身が備えるハードウェア資源に対する負荷の大きさが所定値よりも大きいか否かを判断する判断手段と
を備え、
前記設定手段は、負荷の大きさが前記所定値よりも大きいと前記判断手段が判断した場合、各基準処理期間に対する休止期間の割合を大きく設定し、負荷の大きさが前記所定値以下であると前記判断手段が判断した場合、各基準処理期間に対する休止期間の割合を小さく設定することを特徴とする通信品質測定装置。
【0153】
(付記9)前記取得手段が取得したパケットの内に前記蓄積手段が蓄積できないパケットが存在する取得漏れを検知する検知手段を更に備え、
前記判断手段は、前記検知手段が取得漏れを検知した場合、ハードウェア資源に対する負荷の大きさが前記所定値よりも大きいと判断するようにしてあることを特徴とする付記8に記載の通信品質測定装置。
【0154】
(付記10)前記取得手段により取得したパケット数及びパケット長から所定の単位時間当たりに取得したデータ量を算出する手段と、
算出したデータ量が所定量以上であるか否かを判定する手段と
を更に備え、
前記判断手段は、算出したデータ量が所定量以上であると判定した場合、ハードウェア資源に対する負荷の大きさが前記所定値よりも大きいと判断するようにしてあることを特徴とする付記8又は9に記載の通信品質測定装置。
【0155】
(付記11)自身が備えるハードウェア資源の使用率を取得する手段と、
取得した使用率が所定率以上であるか否かを判定する手段と
を更に備え、
前記判断手段は、前記使用率が前記所定率以上であると判定した場合、ハードウェア資源に対する負荷の大きさが前記所定値よりも大きいと判断するようにしてあることを特徴とする付記8乃至10の何れかに記載の通信品質測定装置。
【0156】
(付記12)前記取得期間及び休止期間は、1基準処理期間を等分した単位時間を単位として設定してあり、
前記設定手段は、負荷の大きさが前記所定値よりも大きいと前記判断手段が判断した場合、前記取得期間を前記単位時間単位で短縮し、前記休止期間を前記取得期間の短縮期間と同一期間だけ前記単位時間単位で延長するようにしてあり、負荷の大きさが前記所定値以下であると前記判断手段が判断した場合、前記取得期間を前記単位時間単位で延長し、前記休止期間を前記取得期間の延長期間と同一期間だけ前記単位期間単位で短縮するようにしてあることを特徴とする付記8乃至11の何れかに記載の通信品質測定装置。
【0157】
(付記13)前記設定手段は、前記取得手段が所定の単位時間当たりに取得したパケットの取得量を算出する手段と、
算出した取得量に対する所定値の比率を算出する手段と
を備え、
基準処理期間に対する取得期間を、該取得期間に前記比率を乗算した期間に変更して設定するようにしてあることを特徴とする付記8乃至11の何れかに記載の通信品質測定装置。
【0158】
(付記14)前記設定手段は、所定期間でのハードウェア資源の使用率を取得する手段と、
取得したハードウェア資源の使用率に対する所定値の比率を算出する手段と
を更に備え、
基準処理期間に対する取得期間を、該取得期間に前記比率を乗算した期間に変更して設定するようにしてあることを特徴とする付記8乃至11の何れかに記載の通信品質測定装置。
【0159】
(付記15)前記取得手段が取得したパケットの取得数及び前記パケット交換網を転送中に消失したパケットの消失数を計数する手段と、
計測したパケットの取得数及び消失数に基づいて、前記パケット交換網を転送されるパケット数に対するパケットの消失数の比率であるパケットの消失率及び該消失率に対する誤差を算出する手段と、
算出したパケットの消失率及び誤差を対応付けて出力する手段と
を備えることを特徴とする付記8乃至14の何れかに記載の通信品質測定装置。
【0160】
(付記16)前記取得手段が取得したパケットの内の前記蓄積手段が蓄積できないパケット数である取得漏れ数を計測する手段と、
計測した取得漏れ数に基づいて前記取得数に対する誤差を算出する手段と、
算出した誤差に基づいて前記パケットの消失率に対する誤差を算出する手段と
を更に備えることを特徴とする付記15に記載の通信品質測定装置。
【0161】
(付記17)パケット交換網に接続し、前記パケット交換網を転送されるパケットを取得し、取得したパケットを蓄積し、蓄積したパケットを解析することにより前記パケット交換網における通信品質を測定する通信品質測定方法において、
自身が備えるハードウェア資源に対する負荷の大きさが予め設定してある所定値よりも大きいか否かを判断し、
前記パケット交換網からのパケットの取得を、パケットを取得する取得状態又はパケットを取得しない休止状態へ切替えるとき、負荷の大きさが前記所定値よりも大きいと判断した場合、パケットの取得を前記休止状態へ切替え、負荷の大きさが前記所定値以下であると判断した場合、パケットの取得を前記取得状態へ切替えることを特徴とする通信品質測定方法。
【0162】
(付記18)前記所定値は、上限値及び下限値を有し、
負荷の大きさが前記上限値より大きいと判断した場合、パケットの取得を前記休止状態へ切替え、負荷の大きさが前記下限値以下であると判断した場合、パケットの取得を前記取得状態へ切替えることを特徴とする付記17に記載の通信品質測定方法。
【0163】
(付記19)前記パケット交換網から取得したパケットの内に自身が蓄積できないパケットが存在する取得漏れを検知し、
該取得漏れを検知したとき、パケットの取得を前記休止状態へ切替えることを特徴とする付記17又は18に記載の通信品質測定方法。
【0164】
(付記20)自身が蓄積したパケットの蓄積量を算出し、
算出したパケットの蓄積量に対応する負荷の大きさが前記所定値よりも大きいか否かを判断することを特徴とする付記17乃至19の何れかに記載の通信品質測定方法。
【0165】
(付記21)所定期間でのハードウェア資源の使用率を取得し、
取得したハードウェア資源の使用率に対応する負荷の大きさが前記所定値よりも大きいか否かを判断することを特徴とする付記17乃至19の何れかに記載の通信品質測定方法。
【0166】
(付記22)所定の単位時間当たりに取得したパケットの取得量を算出し、
算出したパケットの取得量に対応する負荷の大きさが前記所定値よりも大きいか否かを判断することを特徴とする付記17乃至19の何れかに記載の通信品質測定方法。
【0167】
(付記23)前記パケット交換網から取得したパケットの取得数及び前記パケット交換網を転送中に消失したパケットの消失数を計測し、
計測したパケットの取得数及び消失数に基づいて、前記パケット交換網を転送されるパケット数に対するパケットの消失数の比率であるパケットの消失率及び該消失率に対する誤差を算出し、
算出したパケットの消失率及び誤差を対応付けて出力することを特徴とする付記17乃至22の何れかに記載の通信品質測定方法。
【0168】
(付記24)パケット交換網に接続し、前記パケット交換網を転送されるパケットを取得し、取得したパケットを蓄積し、蓄積したパケットを解析することにより前記パケット交換網における通信品質を測定する通信品質測定方法において、
パケットを取得する取得期間及びパケットを取得しない休止期間を基準処理期間に設定し、
自身が備えるハードウェア資源に対する負荷の大きさが予め設定してある所定値よりも大きいか否かを判断し、
前記パケット交換網からのパケットの取得を、前記基準処理期間単位で反復させるとき、負荷の大きさが前記所定値よりも大きいと判断した場合、各基準処理期間に対する休止期間の割合を大きく設定し、負荷の大きさが前記所定値以下であると判断した場合、各基準処理期間に対する休止期間の割合を小さく設定することを特徴とする通信品質測定方法。
【0169】
(付記25)パケット交換網に接続してあるコンピュータに、前記パケット交換網を転送されるパケットを取得し、取得したパケットを蓄積し、蓄積したパケットを解析させることにより前記パケット交換網における通信品質を測定させるコンピュータプログラムにおいて、
コンピュータが備えるハードウェア資源に対する負荷の大きさが予め設定してある所定値よりも大きいか否かを判断させるステップと、
前記パケット交換網からのパケットの取得を、パケットを取得する取得状態又はパケットを取得しない休止状態へ切替えるとき、負荷の大きさが前記所定値よりも大きいと判断した場合、パケットの取得を前記休止状態へ切替えさせるステップと、
負荷の大きさが前記所定値以下であると判断した場合、パケットの取得を前記取得状態へ切替えさせるステップと
をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【0170】
(付記26)前記所定値は、上限値及び下限値を有し、
負荷の大きさが前記上限値よりも大きいと判断した場合、パケットの取得を前記休止状態へ切替えさせるステップと、
負荷の大きさが前記下限値以下であると判断した場合、パケットの取得を前記取得状態へ切替えさせるステップと
をコンピュータに実行させることを特徴とする付記25に記載のコンピュータプログラム。
【0171】
(付記27)前記パケット交換網から取得したパケットの内にコンピュータが蓄積できないパケットが存在する取得漏れを検知させるステップと、
該取得漏れを検知したとき、パケットの取得を前記休止状態へ切替えさせるステップと
をコンピュータに実行させることを特徴とする付記25又は26に記載のコンピュータプログラム。
【0172】
(付記28)コンピュータが蓄積したパケットの蓄積量を算出させるステップと、
算出した蓄積量に対する負荷の大きさが前記所定値よりも大きいか否かを判断させるステップと
をコンピュータに実行させることを特徴とする付記25乃至27の何れかに記載のコンピュータプログラム。
【0173】
(付記29)所定期間でのハードウェア資源の使用率を取得させるステップと、
取得したハードウェア資源の使用率に対応する負荷の大きさが前記所定値よりも大きいか否かを判断させるステップと
をコンピュータに実行させることを特徴とする付記25乃至27の何れかに記載のコンピュータプログラム。
【0174】
(付記30)所定の単位時間当たりに取得したパケットの取得量を算出させるステップと、
算出したパケットの取得量に対応する負荷の大きさが前記所定値よりも大きいか否かを判断させるステップと
をコンピュータに実行させる異を特徴とする付記25乃至27の何れかに記載のコンピュータプログラム。
【0175】
(付記31)前記パケット交換網から取得したパケットの取得数及び前記パケット交換網を転送中に消失したパケットの消失数を計測させるステップと、
計測したパケットの取得数及び消失数に基づいて、前記パケット交換網を転送されるパケット数に対するパケットの消失数の比率であるパケットの消失率及び該消失率に対する誤差を算出させるステップと、
算出したパケットの消失率及び誤差を対応付けて出力させるステップと
をコンピュータに実行させることを特徴とする付記25乃至30の何れかに記載のコンピュータプログラム。
【0176】
(付記32)パケット交換網に接続してあるコンピュータに、前記パケット交換網を転送されるパケットを取得し、取得したパケットを蓄積し、蓄積したパケットを解析させることにより前記パケット交換網における通信品質を測定させるコンピュータプログラムにおいて、
パケットを取得する取得期間及びパケットを取得しない休止期間を基準処理期間に設定させるステップと、
コンピュータが備えるハードウェア資源に対する負荷の大きさが予め設定してある所定値よりも大きいか否かを判断させるステップと、
前記パケット交換網からのパケットの取得を、前記基準処理期間単位で反復させるとき、負荷の大きさが前記所定値よりも大きいと判断した場合、各基準処理期間に対する休止期間の割合を大きく設定させるステップと、
負荷の大きさが前記所定値以下である判断した場合、各基準処理期間に対する休止期間の割合を小さく設定させるステップと
をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【図面の簡単な説明】
【0177】
【図1】実施の形態1における通信品質測定装置がパケット交換網に接続された状態でIP電話サービスの品質を測定するための構成を概念的に表す模式図である。
【図2】実施の形態1における通信品質測定装置の構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態1における通信品質測定装置の制御部の機能ブロック図である。
【図4】実施の形態1における通信品質測定装置の制御部がパケット取得手段としてパケットを取得する処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態1における通信品質測定装置の制御部が取得制御手段としてパケットの取得を実行又は休止する制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】実施の形態1における通信品質測定装置の制御部が取得制御手段として機能することにより、負荷の大きさに応じてどのようにパケットを取得するかを概念的に示す説明図である。
【図7】実施の形態1における通信品質測定装置の制御部が品質解析手段としてパケット消失率を算出する処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】実施の形態1における通信品質測定装置の制御部からの出力に基づいて表示部に表示される品質解析結果の例を示す説明図である。
【図9】実施の形態2における通信品質測定装置の制御部がハードウェア資源に対する負荷が大きいと判断した場合に取得期間及び休止期間を設定する処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】実施の形態3における通信品質測定装置の制御部がハードウェア資源に対する負荷が大きいと判断した場合に取得期間及び休止期間を設定する処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】実施の形態4における通信品質測定装置の制御部が取得制御手段によりパケットの取得の実行・休止を制御する処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】実施の形態1乃至6における時間の設定方法を示す説明図である。
【図13】実施の形態4乃至6における通信品質測定装置の制御部が取得制御手段として機能することにより、負荷の大きさに応じてどのようにパケットを取得するかを概念的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0178】
1 通信品質測定装置
10 制御部
101 パケット取得手段
102 取得制御手段
103 品質解析手段
104 解析結果表示手段
11 記憶部
12 一時記憶領域
121 パケット蓄積領域
122 取得統計情報記憶領域
13 表示部
14 通信部
21 パケット交換網
22 ネットワーク
3 電話機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パケット交換網に接続する手段と、前記パケット交換網を転送されるパケットを取得する取得手段と、取得したパケットを蓄積する蓄積手段とを備え、蓄積したパケットを解析することにより前記パケット交換網における通信品質を測定する通信品質測定装置において、
前記取得手段によるパケットの取得を、パケットを取得する取得状態又はパケットを取得しない休止状態へ切替える制御手段と、
自身が備えるハードウェア資源に対する負荷の大きさが予め設定してある所定値よりも大きいか否かを判断する判断手段と
を備え、
前記制御手段は、負荷の大きさが前記所定値よりも大きいと前記判断手段が判断した場合にパケットの取得を前記休止状態へ切替え、負荷の大きさが前記所定値以下であると前記判断手段が判断した場合にパケットの取得を前記取得状態に切替えるようにしてあることを特徴とする通信品質測定装置。
【請求項2】
前記所定値は、上限値及び下限値を有し、
前記制御手段は、負荷の大きさが前記上限値よりも大きいと前記判断手段が判断した場合にパケットの取得を前記休止状態へ切替え、負荷の大きさが前記下限値以下であると前記判断手段が判断した場合にパケットの取得を前記取得状態へ切替えるようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の通信品質測定装置。
【請求項3】
前記取得手段が取得したパケットの内に前記蓄積手段が蓄積できないパケットが存在する取得漏れを検知する検知手段を更に備え、
前記制御手段は、前記検知手段が取得漏れを検知した場合、パケットの取得を前記休止状態へ切替えるようにしてあることを特徴とする請求項1又は2に記載の通信品質測定装置。
【請求項4】
前記蓄積手段が蓄積したパケットの蓄積量を算出する手段を更に備え、
前記判断手段は、算出したパケットの蓄積量に対応する負荷の大きさが前記所定値よりも大きいか否かを判断するようにしてあることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の通信品質測定装置。
【請求項5】
所定期間でのハードウェア資源の使用率を取得する手段を更に備え、
前記判断手段は、取得したハードウェア資源の使用率に対応する負荷の大きさが前記所定値よりも大きいか否かを判断するようにしてあることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の通信品質測定装置。
【請求項6】
前記取得手段が所定の単位時間当たりに取得したパケットの取得量を算出する手段を更に備え、
前記判断手段は、算出したパケットの取得量に対応する負荷の大きさが前記所定値よりも大きいか否かを判断するようにしてあることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の通信品質測定装置。
【請求項7】
前記取得手段が取得したパケットの取得数及び前記パケット交換網を転送中に消失したパケットの消失数を計測する手段と、
計測したパケットの取得数及び消失数に基づいて、前記パケット交換網を転送されるパケット数に対するパケットの消失数の比率であるパケットの消失率及び該消失率に対する誤差を算出する手段と、
算出したパケットの消失率及び誤差を対応付けて出力する手段と
を備えることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の通信品質測定装置。
【請求項8】
パケット交換網に接続し、前記パケット交換網を転送されるパケットを取得し、取得したパケットを蓄積し、蓄積したパケットを解析することにより前記パケット交換網における通信品質を測定する通信品質測定方法において、
自身が備えるハードウェア資源に対する負荷の大きさが予め設定してある所定値よりも大きいか否かを判断し、
前記パケット交換網からのパケットの取得を、パケットを取得する取得状態又はパケットを取得しない休止状態へ切替えるとき、負荷の大きさが前記所定値よりも大きいと判断した場合、パケットの取得を前記休止状態へ切替え、負荷の大きさが前記所定値以下であると判断した場合、パケットの取得を前記取得状態へ切替えることを特徴とする通信品質測定方法。
【請求項9】
パケット交換網に接続してあるコンピュータに、前記パケット交換網を転送されるパケットを取得し、取得したパケットを蓄積し、蓄積したパケットを解析させることにより前記パケット交換網における通信品質を測定させるコンピュータプログラムにおいて、
コンピュータが備えるハードウェア資源に対する負荷の大きさが予め設定してある所定値よりも大きいか否かを判断させるステップと、
前記パケット交換網からのパケットの取得を、パケットを取得する取得状態又はパケットを取得しない休止状態へ切替えるとき、負荷の大きさが前記所定値よりも大きいと判断した場合、パケットの取得を前記休止状態へ切替えさせるステップと、
負荷の大きさが前記所定値以下であると判断した場合、パケットの取得を前記取得状態へ切替えさせるステップと
をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項1】
パケット交換網に接続する手段と、前記パケット交換網を転送されるパケットを取得する取得手段と、取得したパケットを蓄積する蓄積手段とを備え、蓄積したパケットを解析することにより前記パケット交換網における通信品質を測定する通信品質測定装置において、
前記取得手段によるパケットの取得を、パケットを取得する取得状態又はパケットを取得しない休止状態へ切替える制御手段と、
自身が備えるハードウェア資源に対する負荷の大きさが予め設定してある所定値よりも大きいか否かを判断する判断手段と
を備え、
前記制御手段は、負荷の大きさが前記所定値よりも大きいと前記判断手段が判断した場合にパケットの取得を前記休止状態へ切替え、負荷の大きさが前記所定値以下であると前記判断手段が判断した場合にパケットの取得を前記取得状態に切替えるようにしてあることを特徴とする通信品質測定装置。
【請求項2】
前記所定値は、上限値及び下限値を有し、
前記制御手段は、負荷の大きさが前記上限値よりも大きいと前記判断手段が判断した場合にパケットの取得を前記休止状態へ切替え、負荷の大きさが前記下限値以下であると前記判断手段が判断した場合にパケットの取得を前記取得状態へ切替えるようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の通信品質測定装置。
【請求項3】
前記取得手段が取得したパケットの内に前記蓄積手段が蓄積できないパケットが存在する取得漏れを検知する検知手段を更に備え、
前記制御手段は、前記検知手段が取得漏れを検知した場合、パケットの取得を前記休止状態へ切替えるようにしてあることを特徴とする請求項1又は2に記載の通信品質測定装置。
【請求項4】
前記蓄積手段が蓄積したパケットの蓄積量を算出する手段を更に備え、
前記判断手段は、算出したパケットの蓄積量に対応する負荷の大きさが前記所定値よりも大きいか否かを判断するようにしてあることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の通信品質測定装置。
【請求項5】
所定期間でのハードウェア資源の使用率を取得する手段を更に備え、
前記判断手段は、取得したハードウェア資源の使用率に対応する負荷の大きさが前記所定値よりも大きいか否かを判断するようにしてあることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の通信品質測定装置。
【請求項6】
前記取得手段が所定の単位時間当たりに取得したパケットの取得量を算出する手段を更に備え、
前記判断手段は、算出したパケットの取得量に対応する負荷の大きさが前記所定値よりも大きいか否かを判断するようにしてあることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の通信品質測定装置。
【請求項7】
前記取得手段が取得したパケットの取得数及び前記パケット交換網を転送中に消失したパケットの消失数を計測する手段と、
計測したパケットの取得数及び消失数に基づいて、前記パケット交換網を転送されるパケット数に対するパケットの消失数の比率であるパケットの消失率及び該消失率に対する誤差を算出する手段と、
算出したパケットの消失率及び誤差を対応付けて出力する手段と
を備えることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の通信品質測定装置。
【請求項8】
パケット交換網に接続し、前記パケット交換網を転送されるパケットを取得し、取得したパケットを蓄積し、蓄積したパケットを解析することにより前記パケット交換網における通信品質を測定する通信品質測定方法において、
自身が備えるハードウェア資源に対する負荷の大きさが予め設定してある所定値よりも大きいか否かを判断し、
前記パケット交換網からのパケットの取得を、パケットを取得する取得状態又はパケットを取得しない休止状態へ切替えるとき、負荷の大きさが前記所定値よりも大きいと判断した場合、パケットの取得を前記休止状態へ切替え、負荷の大きさが前記所定値以下であると判断した場合、パケットの取得を前記取得状態へ切替えることを特徴とする通信品質測定方法。
【請求項9】
パケット交換網に接続してあるコンピュータに、前記パケット交換網を転送されるパケットを取得し、取得したパケットを蓄積し、蓄積したパケットを解析させることにより前記パケット交換網における通信品質を測定させるコンピュータプログラムにおいて、
コンピュータが備えるハードウェア資源に対する負荷の大きさが予め設定してある所定値よりも大きいか否かを判断させるステップと、
前記パケット交換網からのパケットの取得を、パケットを取得する取得状態又はパケットを取得しない休止状態へ切替えるとき、負荷の大きさが前記所定値よりも大きいと判断した場合、パケットの取得を前記休止状態へ切替えさせるステップと、
負荷の大きさが前記所定値以下であると判断した場合、パケットの取得を前記取得状態へ切替えさせるステップと
をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−219869(P2008−219869A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−14110(P2008−14110)
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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