説明

通信回線を用いた情報供給システム

【課題】常時接続回線を利用しているにも関わらず、一元的にIPアドレスが管理され、利用者が、きわめて迅速に設置端末と接続できるようにした通信回線を用いた情報供給システムを提供する。
【解決手段】設置端末は、当該設置端末のIPアドレスが振り直されたことによる古いIPアドレスと新しく与えられたIPアドレスとの違いを判断し、相違する場合は、管理コンピュータに対して自ら接続処理し、自己の設置端末IDを基に新たなIPアドレスを更新登録するよう要求する自己接続機能を有し、一方管理コンピュータ側は設置端末のIPアドレスを管理するため、利用者の情報端末が該当する設置端末にインターネットでリンク出来るようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信回線を用いて屋内等に設置された設置端末を、利用者が所有する電話やパソコン等の情報端末を用いて、外出先から接続することを可能とする通信回線を用いた情報供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば従来より、家を留守にした場合、泥棒の侵入や火気の始末を気にしなければならず、今日のような治安情勢の悪化に伴い、ますますこのような心配は増すばかりである。そのため、近年警備会社と契約を行うことにより、泥棒の侵入や火災等の発生を未然に防止する警備代行業務を行ってもらう個人宅、会社等が増加している。
【0003】
現状の警備システムとして、所定のセンサー等を配備した家屋等に泥棒が侵入した場合、センサーの反応による警備会社への通報で警備会社の警備員がその家屋に急行するシステムがある。
【0004】
しかし、このようなマンパワーを利用するシステムであっては、警備員の人件費が極めて高い割合を占めるため、加入契約料が一般大衆にとって多大なものとなり、これ以上の急激な増加は望めないのが現状である。
【0005】
このため、通信回線(有線、無線を含む)を利用して、必要な時、また心配になった時に限らず、頻繁に断続的にでも特定領域である離れた場所の端末にアクセスしたいといった要求がある。
【0006】
しかしながら、上記通信回線を利用して屋内等の端末を外部から扱う場合を例にとると、ISPの都合、停電や一時的回線切断等が生じると、ISPであるプロバイダーは次に常時接続の状態に処理する際など、アクセスされる端末側に新たなIPアドレスを振り直すことが多々生じる。そのため、一元的にIPアドレスが管理される仕組みが切望されていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
よって、本発明は上記した問題点に着目してなされたもので、常時接続回線を利用しているにも関わらず、一元的にIPアドレスが管理され、利用者が、きわめて迅速に設置端末と接続できるようにした通信回線を用いた情報供給システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の通信回線を用いた情報供給システムは、インターネットや電話網からなる通信回線網の中に設置され、アクセスしてくる情報端末に対して該情報端末と設置端末側とをインターネットを用いたピアツウピアの通信方式によるリンクで直接接続させるべく前記設置端末側のIPアドレスを与える管理コンピュータに於ける通信回線を用いた情報供給システムであって、
前記管理コンピュータ側には、設置端末側の設置端末IDと、最新のデータとして更新登録されている設置端末側のIPアドレスとが対応付けられた利用者データベースを備え、
前記管理コンピュータ側は、
設置端末側から送信される設置端末IDと設置端末のIPアドレスを受け付ける際、前記利用者データベースに登録されている設置端末IDを受け付け、この設置端末IDが適正な場合のみ、対応する設置端末のIPアドレスを更新処理する手段を備え、
前記設置端末側は、
当該設置端末のIPアドレスが同一プロバイダーにより振り直されたことによる古いIPアドレスと新しく与えられたIPアドレスとの違いを判断し、相違する場合、管理コンピュータ側のグローバルIPアドレスに対して自ら接続処理し、自己の設置端末IDを基に新たなIPアドレスを更新処理するように要求できる自己接続機能を有していることを特徴としている。
この特徴によれば、管理コンピュータが、利用者のアクセスに瞬時に対応が出来るように多数の利用者に対し多数の設置端末を一元的に管理できるようになっており、また設置端末のIPアドレスを、前記アクセスしてきた利用者の情報端末に与え、この利用者の情報端末が該当する設置端末にインターネットでリンク出来るようになる。このため、利用者の情報端末と設置端末とのデータのやり取りの為の接続に関しては、管理コンピュータ側の回線を利用することがなく、管理コンピュータ側の回線を占有されることがなく、大容量の回線を必要としない。
特に、前記設置端末は、当該設置端末のIPアドレスが振り直されたことによる古いIPアドレスと新しく与えられたIPアドレスとの違いを判断し、相違する場合は、管理コンピュータに対して自ら接続処理し、自己の設置端末IDを基に新たなIPアドレスを更新登録するように要求できるので、管理コンピュータが設置端末のIPアドレスを管理できることになる。
さらに、管理コンピュータは設置端末側から送信される設置端末情報と設置端末のIPアドレスを受け付ける際、利用者データベースに登録されている設置端末情報を受け付け、この設置端末情報が適正な場合のみ対応する設置端末のIPアドレスを更新処理するため、設置端末がいかなる場所に設置されていても確実なIPアドレスの管理ができることになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例における特定領域の監視システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例における特定領域の監視システムの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施例において用いた監視ユニットを示す外観斜視図である。
【図4】本発明の実施例において用いた監視端末の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施例において用いた管理コンピュータの構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施例において用いた利用者が携帯する情報端末としての携帯電話を示す外観図である。
【図7】本発明の実施例の特定領域監視システムにおける監視処理の流れを示すフロー図である。
【図8】本発明の実施例における監視端末側の処理フロー図である。
【図9】本発明の実施例における管理コンピュータ側の処理フロー図である。
【図10】本発明の実施例において用いた通信手段であるDSLの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0011】
まず、図1、図2は、本実施例の特定領域の監視システムの構成を示すブロック図であり、図3は、本実施例の特定領域の監視システムに用いた監視端末を示す外観斜視図であり、図4は、前記本実施例において用いた監視端末の構成を示すブロック図であり、図5は、本実施例において用いた管理コンピュータの構成を示すブロック図であり、図6は、本実施例の管理コンピュータからの監視画像並びに音声を出力可能とされた利用者が携帯する携帯電話を示す外観図であり、第7図は、本発明の実施例の特定領域監視システムにおける監視処理の流れを示すフロー図であり、第8図は、本発明の実施例における監視端末側の処理フロー図であり、第9図は、本発明の実施例における管理コンピュータ側の処理フロー図であり、第10図は、本発明の実施例において用いた通信手段であるDSLの構成を示すブロック図である。
【0012】
まず、本実施例の特定領域の監視システムは、図1に示すように、登録している多数の利用者(A.B.C...Z...)が個々に監視したい場所、例えば自宅等の被監視領域(a.b.c...z...)に設置される監視端末4(4a.4b.4c...4z...)と、該監視端末4並びにサービス利用者が所有する情報端末とに通信回線網5を介してデータ通信可能なサービス提供者が所有する管理コンピュータ3と、各監視端末側と基本的に常時接続されたインターネットサービスプロバイダー(ISP)である中継サーバ6、監視サービスの利用者が操作するパソコン14やノートパソコン15や携帯電話11等の情報端末と、から主に構成されている。
【0013】
また、本実施例に用いた監視端末4(4a.4b.4c...4z...)は、図1に示すように、主に通信回線網5を介してサービス提供者が所有する前記管理コンピュータ3と原則、常時接続されている。この例によると、監視端末4a〜4cは、ネットワークを介して管理コンピュータ3と常時接続を可能とするADSL(DSL)、いわゆる非対称デジタル加入者線方式で接続されており、監視端末4a〜4cは、データの送受信を実施する通信装置であるセットトップボックス2と、該セットトップボックス2に接続されて特定領域の画像や音等の監視情報を収集する監視ユニット1とから構成されている。なお図2はワイヤレスインターネット等無線を利用した通信構成の例である。
【0014】
この図1に示した本実施例において用いた監視ユニット1は、図3に示すように、天井等に配置可能な箱状の筐体50の下面に、透明なドーム状のカバー68が形成されているとともに、該カバー68の内部には監視手段である監視用CCDカメラ55と、該監視用CCDカメラ55の監視方向を左右上下に変更可能な方向変更装置58が内在されているとともに、前記筐体50の側面からは、前記セットトップボックス2と接続される通信ケ−ブル51が導出され、更に他の側面には、監視領域の音を集音可能な集音マイク53が設けられている。
【0015】
また、この監視ユニット1の筐体50内部の構成は、図4に示すように、デ−タ通信を行う通信部71と、後述するMPU65が行う制御においてワ−クメモリとして使用されるとともに、後述するデジタルシグナルプロセッサ(DSP)56にて圧縮された画像デ−タ或いは音声デ−タを一時記憶するSRAM70と、前記集音マイク53に接続されて入力音をデジタルデータに変換するA/DコンバータであるPCMコーデック52と、内部にレンズにて結像された画像をデジタルのデータ列として出力可能な電荷結合素子(CCD)54を内蔵する監視用CCDカメラ55と、前記PCMコーデック52並びに電荷結合素子(CCD)54より出力された音声データ並びに画像データを所定の圧縮アルゴリズム(MPEG,JPEG等の方式)にて圧縮処理するデジタルシグナルプロセッサ(DSP)56や、前記監視用CCDカメラ55の撮影方向の移動を行う方向変更装置58や、パイロットランプ(LED)69の点灯するドライバ59や、これら各部に図4に示すように接続され、各部の制御等の処理を実施するMPU65とからから構成されている。
【0016】
該MPU65内部には、ADSL送受信機に与えられたIPアドレスを認識しており内部ROM66に記録された管理コンピュータの固定IPアドレスに対して自己のIDと共に自発的に接続要求していくプログラム(IPアドレス変更要求機能)、管理コンピュータの固定IPアドレスを識別して、管理コンピュータから事前に送信されてくる所定の暗号化されたパスワードを復号化して待機し、そのパスワードで正規利用者からアクセスがあった時だけインターネット接続を許可するプログラム(接続許可機能)、該MPU65が実施する前記監視用CCDカメラ55や方向変更装置58並びに集音マイク53等の監視手段並びに監視手段の周辺デバイスの起動や停止等の制御内容が記述された制御プログラム等が記憶された内部ROM66を有している。尚、前記接続許可機能として、利用者から送信されてくるパスワードが暗号化されている場合、これを復号する復号化手段を有していればより安全性の高いシステムとなる。図4において白矢印は制御信号を示し、黒矢印は主にデータ信号を示す。
【0017】
また前記MPU65内部には、後述するように接続許可を得た後、インターネット接続完了した携帯電話11やパーソナルコンピュータ14,15,PDAとのピアツウピアの状態で両者の通信を可能とするプログラムも有している。
【0018】
また、本実施例の監視ユニット1には、電力手段としての電池67が搭載されており、該電池にて動作可能とされていて、該監視ユニット1を電力が得られない場所にも容易に設置できるようになっているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら電力をコンセント等より得られる交流電流を所定の直流電流に変換して使用するようにしても良い。
【0019】
尚本実施例では、前記のようにDSP56を用いて画像データ並びに音声データをMPEG等の方式によりデータ圧縮して送信しており、これらデータ圧縮を行うことは、伝送するデータ容量を小さくすることで伝送負荷を低減できるとともに、前記管理コンピュータ3において必要とされる通信容量を低減でき、回線コストを安価とすることが可能となることから好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、リアルプレーヤー、メディアプレーヤーのエンコーダによるストリーミング配信方式を利用することもできる。
【0020】
また、本実施例では、監視手段として、一個の前記監視用CCDカメラ55や集音マイク53を設けているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら監視手段として、電荷結合素子(CCD)54を内蔵する監視用CCDカメラ55を複数個設け、これらをそれぞれデジタルシグナルプロセッサ(DSP)56に接続し、これら複数の監視用CCDカメラ55にアドレスを振り、MPU65によって一括管理するようにし、インターネットで利用者側の端末で種々選択閲覧できるようにしても良い。また例えば動物等が発する赤外線を感知可能な赤外線センサーや、設置場所の雰囲気温度を測定可能な温度監視センサーや(温度による火災監視センサーを含む)、煙監視センサー等を用いるようにしても良く、これら使用する監視手段は、監視目的に応じて適宜に選択すれば良い。
【0021】
尚、この監視ユニット1の設置場所としては、利用者が特に監視したいと望むエリヤの画像や、温度、音、または煙の確認を実施できるための好適な場所を選択すれば良く、本実施例のように障害物の少ない天井等とし、監視方向を適宜に移動できるようにすることで、より緻密な監視を実施できるようになることから好ましい。
【0022】
次いで、この監視ユニット1に接続されるとともに、前記通信回線網5(ADSL回線)に接続されて、管理コンピュ−タ3との間にてデ−タの送受信を行う通信手段であるセットトップボックス2の構成は、図10に示すように、前記監視ユニット1である監視端末や、パーソナルコンピュータを接続するADSL送受信機、およびアナログ電話機を接続する端子が設けられ、これらは交換局に繋がる電話回線にフィルタを介して接続されている。ここで交換局においては、周波数帯域を基準にして電話交換機もしくはADSL送受信機(モデムやルータ)とにフィルターを介して振り分けられる。
【0023】
また、本実施例の監視ユニット1は例えば全国的に散在した種々の場所に配置され、前述のようにそれぞれ通信部71を有しており、各監視端末側にはISPによってIPアドレスが割り当てられており、管理コンピュ−タ3と常時ネットワークを張るようにしても良いし、また常時はネットワークを張らずに監視端末側のIPアドレスの変更時のみ、管理コンピュ−タ3とネットワークを張るようにしても良い。このIPアドレスは監視領域の特定とそのアクセスに非常に重要な役目を果たすことになる。
【0024】
次いで、これら監視ユニット1とセットトップボックス2とから構成される各監視端末4(4a.4b.4c...4z...)と、中継サーバ6を介してインターネット網でネットワークを張れるようになっている前記管理コンピュータ3の構成は、図5に示すように、コンピュ−タ内部にて比較的高速にてデ−タの送受を行うデ−タバス30に、利用者からの接続による認証処理や、該利用者IDに対応して登録されている監視端末のIPアドレス(ここではグローバルIP)を検索する検索処理や、利用者データベースの自動更新処理や、該利用者の情報端末である例えば携帯電話11に対して該当監視端末4のアドレスを示してこれら情報端末が直接的に監視端末にアクセス可能にするリンク処理や、パスワード(ここではワンタイムパスワード)の一括処理、等を実施可能な演算能力に優れた中央演算処理装置(CPU)31や、前記CPU31のワークメモリ等に使用されるRAM32や、ディスプレイ等の表示装置34や、キーボードやマウス等の入力装置36や、接続サービスの実施履歴等の登録に使用される現在の時刻情報や任意の年月日の曜日等のカレンダ−情報を出力可能なリアルタイムクロック(RTC)37、前記監視端末を構成するセットトップボックス2のADSL送受信機とのデータ通信を比較的高速にて実施可能な回線が接続可能とされた監視端末用通信回線基板38と、利用者の情報端末である携帯電話11等とのデータ通信を比較的高速にて実施可能な通信回線が接続可能とされた利用者用通信回線基板33と、磁気ディスクや光磁気ディスクから成り、利用者を識別可能な識別符号(ID)に対応付けて該利用者が監視したい場所に設置されている監視端末側に付与されている監視端末IDと最新のデータとして更新登録されているIPアドレスとに基づいた利用者データベース(DB)(なお、利用者を識別可能な識別符号IDの基になるデータは、利用者の電話番号、ID番号、アドレスデータ、パスワード、さらには暗号、人体の一部の違いを表現する指紋など)や、前記種々のデータ処理内容が記述されたデータ処理プログラム等が記憶されている記憶装置35と、が接続された比較的処理能力に優れたコンピュ−タとされている。
【0025】
尚、本実施例に用いた前記通信回線基板33からは、利用者が所持する情報端末である携帯電話11等からのアクセス時において、記憶装置35に登録されたデジタルデ−タに基づき、該利用者へ利用者IDと暗証番号との入力を促すガイダンスが送信されるようになっている。なお携帯電話やPCが所有するID(グローバルIPアドレス、利用者ID)がアクセス信号に乗調されて送られ、管理コンピュータ3へのアクセス時に管理コンピュータ3がこのデータを受け取れるものであれば、利用者への負担をかけずにその利用者の権能やその利用者に対応する監視端末を検索できることになる。また所定のガイダンスを、音声として発呼者である利用者に送信することも出来、その場合、音声のデジタルデ−タをアナログの音声に変換して送信可能なA/D変換部(図示略)を設けるとよい。
【0026】
また前記通信回線基板33には、アクセス者の電話番号デ−タを取り出す電話情報受信手段としてのコ−ルID検出部(図示略)を設けることもでき、アクセス者の電話番号デ−タを前記中央演算処理装置(CPU)31に対して出力して利用者IDを確認することもできる。
【0027】
また、本発明において利用者が使用する情報端末としては、前記管理コンピュータ3にアクセスしてデータ圧縮された画像データ並びに音データを受信し、圧縮データを解凍して再生、出力可能なものであれば良く、本実施例では図1、図2に示すように、パソコン14や、ノートパソコン15並びに携帯電話11のいずれからでも利用者が前記管理コンピュータ3にアクセスして前記監視端末1からの画像データ並びに音データを入手して、監視を実施できるようになっており、本実施例に用いた携帯電話11は、図6に示すように、監視画像が表示可能な比較的大きな表示画面16を有し、前記圧縮データの解凍処理を実施可能なマイコンを搭載しているものとされおり、イアホン端子口17にイアホンを接続することで、画面を見ながら音も聞くことができるようになっている。
【0028】
以下、本実施例の監視システムにおける監視処理の流れについて、図7のフロー図に基づき説明すると、まず利用者Aは、遠隔地や外出先等において、監視端末1が設置されている自宅の様子が不安になった場合に、例えば自分が所持している携帯電話11から前記監視サービス提供者が所有する管理コンピュータ3にインターネットアクセスし、ガイダンスに従って自分の利用者IDと暗証番号とを、携帯電話11を操作して入力する。なお携帯電話やPCが所有するID(グローバルIPアドレス、利用者ID)が、アクセス信号に乗調されて送られ、管理コンピュータ3へのアクセス時に管理コンピュータ3にこのデータが届けば、特別なガイダンスに従う認証処理は利用者側には必要ない。
【0029】
管理コンピュータ3側においては、利用者Aの前記携帯電話11より送信されてきた利用者IDと暗証番号とを、前記記憶装置35に記憶されている利用者DBの登録データと比較し、比較が一致して正規利用者と判断された場合において、管理コンピュータは、該利用者DBを用いて検索エンジンで検索を行い、この利用者DBに利用者IDに対応付けて登録されている監視端末側のIPアドレス(常時接続のISPが割り振っているアドレス)を抽出する。利用者に対応する監視端末または監視ユニットの拠点(IPアドレス)が複数あるか否かを検索し、複数ある場合、利用者に対してアクセス可能な監視端末または監視ユニットの拠点のメニューを表示し、得たい拠点情報の選択を促すようになっている。
【0030】
例えば利用者Aに対応する監視端末4a(エリア毎に与えられたIPアドレス)が複数あり、利用者Aがそのいずれかを選択した場合、該当する監視端末4aを構成するここでは監視ユニット1に対して、通常常時接続状態のインターネット回線を利用して監視端末側のIPアドレスに暗号化したパスワードを送信する(その他特別なコマンドデータである制御信号を送信して、所定の時間内のみアクセスを許す処理をするように監視端末に情報を与えることもできる)と共に、監視端末4aにインターネット接続(リンク)可能なように利用者の情報端末にIPアドレスを与える。このリンク先のIPアドレスには監視端末側の接続許可を得るための暗号化したパスワードが同時に送信されるように処理を施しておく。このシステムは、ワンタイムパスワードが好ましい。監視端末側から送信される画像等の情報に関しては、不正取得防止のために暗号化され、利用者の情報端末側で復号化処理をすると好ましい。
【0031】
前記パスワードを受け取った監視端末側は、この暗号化されたパスワードを複合化し利用者のアクセスを待つことになる、次に利用者からのアクセスでパスワードを受け取るとこれを複合化し、利用者からのパスワードと管理コンピュータからのパスワードとが一致した場合、インターネット接続を受け付け、いわゆるピアツウピアの状態で監視ユニットと情報端末とが繋がることになり、これら起動状態にある監視用CCDカメラ55により撮影された画像データ、並びに前記集音マイク53により集音され前記PCMコーデック52によりデジタル化された音データを利用者の情報端末で収集できることになる。もちろん監視ユニットにコマンド信号を送ることによって種々の操作が可能となる。
【0032】
本例では、監視ユニット側に常時固定のIPアドレスが存在していない場合を想定している。すなわち、中継サーバ6が一般の常時接続ISP業務として、監視ユニット側に特定のIPアドレスを保証してインターネット網に向けて前記管理コンピュータのアドレス、すなわちIPアドレスと交信を可能にしているが、これは動的IPアドレスであり常に同じとは限らず、管理コンピュ−タ3側の監視端末用通信回線基板38およびCPU31によって、接続されている各監視端末4の特定を行っている。なお、VPNを利用した互いの通信環境を利用するとより安定した接続環境を作ることもできる。
【0033】
つまりは、前記において管理コンピュ−タ3が本来アクセス可能な所定の監視端末4aからの画像情報などを、監視端末側に振られたIPアドレスに基づいて、対応するアクセス者(利用者A)がデータを直接取得できるようにしている。そのため一度アクセス者(利用者A)に監視端末側から接続許可が与えられた場合、管理コンピュータ側の専用線を経由せず互いの情報のやりとりが行われるため、管理コンピュータ側の負担がない。なお、情報端末と監視端末とがインターネットで繋がっており、相互通信で互いにコミュニケーション状態であるため、前記コマンドデータに続いていろいろなコマンドを相互にやりとりできることは明らかである。
【0034】
この監視端末4aは、インターネットを介してアクセスしてきた情報端末の機種情報(携帯電話、PCなど)を得ると共に、この得られる情報に基づきアクセスしてくる利用者(ここでは利用者A)の情報端末の機種情報(携帯電話、PCなど)に対応させて画像フレーム調整などを施し、更に、利用者の情報端末へ、前記一時記憶(蓄積)された圧縮データが適宜なファイル形式、例えば携帯電話にあってはC-HTML、パーソナルコンピュータにあってはHTML等に変換して送信できるように、MPU65はデータ変換表示機能を有している。
【0035】
また、前記MPU65は、圧縮データを記憶装置に一時記憶し、前記アクセスしてくる利用者の情報端末例えば携帯電話11への通信回線のデータ伝送速度に合わせて、前記一時記憶された圧縮データを送信するようになっている。
【0036】
これら利用者の情報端末である携帯電話11のブラウザで得られた前記圧縮データを含む変換データは、適宜に解凍されて画像データが表示画面16に表示されるとともに、音データがD/A変換されて前記イアホン端子口17より出力することもできる。
【0037】
なお、始めに監視端末4が管理コンピュ−タ3と回線接続を行う際、予め監視端末側にはIDが振られており、管理コンピュ−タ3側の監視端末用通信回線基板38は、監視端末側から接続要求があった際、そこに振られたIPアドレスや所定のIDを受け付け、監視端末側に振られた所定のIDが登録されている利用者データベース(DB)を利用して、前記CPU31で検索し、この送信内容が正規の監視端末4aからのものであるかを確認して回線接続を完了する。
【0038】
ここで、前記したように監視端末側はISPからIPアドレスが割り振られているが、ISPの都合や、停電や、一時的回線切断等が生じると、ISPであるプロバイダーは次に常時接続の状態に処理する際、監視端末側に新たなIPアドレスを振り直すことが多々生じる。このような事態になると、すでに管理コンピュータ側の利用者DBに登録された監視端末の住所であるIPアドレスの変更を余技なすされることになる。そこで監視ユニット1内の前記MPU65は、基本的に通信部71の制御を行っているわけであるが、IPアドレスの管理(図7に示されるIPアドレス管理部としての機能)も行っており、現在与えられたIPアドレスを常時メモリーして更新登録するようになっている。
【0039】
一時的回線切断時にあっては、このMPU65は、前述の接続開始時の処理と同様、インターネットの再接続時、必ず内部ROM66にメモリーされた管理コンピュータ3のグローバルIPアドレスに対して自ら接続処理する機能が設けられており、新たなIPアドレスを登録するように要求できる自己接続機能を有している。
【0040】
すなわちIPアドレスが変更された場合は、MPU65は、この新しいIPアドレスをメモリーし、更新処理を行うとともに、管理コンピュータ3のグローバルIPアドレスに対して自ら接続処理を開始する。この接続処理にあっては、利用者データベース(DB)に記録されている監視端末側に振られたIPアドレスとともに登録された所定のID、すなわち監視端末IDを接続用のパラメータとして管理コンピュータに送り、新たなIPアドレスを登録するように要求する。
【0041】
種々の接続状態が考えられるが、ある接続状態でIPアドレスが変更された場合は、前記MPU65は、現在のIPアドレスと新しく与えられたIPアドレスとの違いを判断し、相違する場合は、内部ROM66にメモリーされた管理コンピュータ3のグローバルIPアドレスに対して自ら監視端末IDを接続用のパラメータとして送り、接続要求処理して新たなIPアドレスを登録するように要求できる自己接続機能を有していることが好ましい。
【0042】
すなわち図8に示されるように、MPU65の機能として、IPアドレスに変更が発生したか否かの判断をする。変更がない時には、待機状態を維持する。変更された場合は、この新しいIPアドレスをメモリーし、更新処理を行う。続いて管理コンピュータ3のグローバルIPアドレスに対して自ら接続処理を開始する。この接続処理にあっては、利用者データベース(DB)に記録されている監視端末側に振られた登録された所定のID、すなわち監視端末IDを接続用のパラメータとして管理コンピュータに送り、新たなIPアドレスを登録するように要求する。
【0043】
管理コンピュータ側は、図9に示されるように、監視端末側からの接続に際して監視端末IDである接続用のパラメータの有無を判断する。接続用のパラメータが送られてこない場合は、アクセスの拒否を行う。接続用のパラメータが送られて来ており、この監視端末IDが利用者データベース(DB)に登録されている場合は、接続処理を行う。つづいて利用者データベース(DB)から対象の監視端末データを検索、抽出する。さらに利用者データベース(DB)に登録されている古いIPアドレスに代えて新たなIPアドレスとし、データをを更新処理する。
【0044】
また、監視端末が、常時接続状態のままIPアドレスが変更された場合、またはインターネットの再接続可能時、その内部にメモリーされた管理コンピュータのグローバルIPアドレスに対して自ら接続処理する際、監視端末IDではなく、自己の古いIPアドレスを認証のデータとし、その時点で新しく付与されたIPアドレスを更新登録するように要求できる自己接続機能を持たせることもできる。この例の場合は、既に利用者データベース(DB)に、監視端末に対応する古いIPアドレスがメモリーされており、これによっても接続してくる監視端末の認証が可能である為、この認証でIPアドレスを更新登録要求に応じても良いことになる。
【0045】
これら利用者の情報端末である携帯電話11へ送信された前記圧縮データを含む変換データは、適宜に解凍されて画像データが表示画面16に表示されるとともに、音データがD/A変換されて前記イアホン端子口17より出力される様になっているが、インタ−ネットで監視端末と接続された利用者Aは、撮影されている監視方向を変えるために、携帯電話11に設けられている十字キー等を操作すると、該操作データが中継サーバ6を介して監視端末4aに送信され、該送信に基づく方向変更装置58の制御指示データが作成され、利用者が見たい方向に適宜に撮影方向を上下左右に移動させることが可能とされている。また監視端末のハードやソフトを拡張することでカメラのズーム作動、音声増幅、また利用者端末からの音声を監視端末側からスピーカで流したりと、いろいろな機能追加が出来る。
【0046】
管理コンピュータのグローバルIPアドレスに対して自ら接続処理し、その時点で新しく付与されたIPアドレスを更新登録するように要求する際、監視端末IDや、自己の古いIPアドレスを認証のデータとして送信する場合などにおいても暗号化して送信し、管理コンピュータ側で復号化するようにすると、より安全性が向上する。VPNサーバを利用したネット接続が好ましい。
【0047】
以上、本発明を図面により説明してきたが、本発明はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれることは言うまでもない。
【0048】
例えば、前記実施例では、前記監視端末4を天井に設置可能な形状としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら監視端末を壁掛け型としたり、その他の設置場所に合わせた適宜な形状としても良いことは言うまでもない。
【0049】
また、前記実施例では、監視端末を監視ユニット1とセットトップボックス2とから構成しているが、これらを1つの筐体内部に収容して監視端末を構成するようにしても良い。
【0050】
また、前記実施例では、セットトップボックス2に1つの監視ユニット1を接続しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、同一のセットトップボックス2の送受信機であるルータに複数の監視ユニット1それぞれにアドレス(プライベートアドレス)を振り接続するようにしても良い。さらに、電荷結合素子(CCD)54を内蔵する監視用CCDカメラ55を一つの監視カメラユニットとし、このような監視カメラユニットの複数をそれぞれアドレス(ここでは接続ポートのナンバー)管理できるようにし、セットトップボックス2に接続された監視ユニット1に、複数個の監視カメラユニット(4aa.4ab.4ac.4ba等)を繋ぐようにして、それぞれの監視カメラユニット(4aa.4ab.4ac.4ba等)の情報を選択的に監視ユニット1側へ与えるようにしてもよい。
【0051】
また、前記実施例では、セットトップボックス2と監視ユニット1を通信ケーブル51にて接続しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらセットトップボックス2と監視ユニット1とを無線通信、例えば無線LAN等により接続するものであっても良い。ここで使用している「接続」は、有線、無線による接続を全て含んでいる。
【0052】
ここで、監視端末4側と管理コンピュ−タ3とがADSL回線を利用して接続されているが、管理コンピュ−タ3との間にてデ−タの送受信を行う通信回線として、CATV回線、更には専用回線、ワイヤレスインターネット網、光ファイバーを介して常時接続状態で利用することができる。
【0053】
また、前記実施例では、監視端末用通信回線基板38と利用者用通信回線基板33とを個別としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらに代えて多数の回線を接続可能な同一の通信回線基板を使用するようにしても良い。
【0054】
なお、監視端末側がIPアドレスとして固定IPアドレスを有している場合は、管理コンピュータにおける利用者データベースのIPアドレスを一々更新する必要はない。
【符号の説明】
【0055】
1 監視ユニット
2 セットトップボックス(通信手段)
3 管理コンピュータ
4a 監視端末(設置端末)
4b 監視端末(設置端末)
4c 監視端末(設置端末)
5 通信回線網
11 携帯電話
14 パソコン
15 ノートパソコン
16 表示画面
17 イアホン端子口
30 データバス
31 中央演算処理装置(CPU)
32 RAM
33 通信回線基板
34 表示装置
35 記憶装置
36 入力装置
37 リアルタイムクロック(RTC)
38 監視端末用通信回線基板
50 筐体
51 通信ケーブル
52 PCMコーデック
53 集音マイク
55 監視用CCDカメラ
56 デジタルシグナルプロセッサ(DSP)
58 方向変更装置
59 ドライバ
65 MPU
66 内部ROM
67 電池
68 カバー
69 パイロットランプ(LED)
70 SRAM
71 通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターネットや電話網からなる通信回線網の中に設置され、アクセスしてくる情報端末に対して該情報端末と設置端末側とをインターネットを用いたピアツウピアの通信方式によるリンクで直接接続させるべく前記設置端末側のIPアドレスを与える管理コンピュータに於ける通信回線を用いた情報供給システムであって、
前記管理コンピュータ側には、設置端末側の設置端末IDと、最新のデータとして更新登録されている設置端末側のIPアドレスとが対応付けられた利用者データベースを備え、
前記管理コンピュータ側は、
設置端末側から送信される設置端末IDと設置端末のIPアドレスを受け付ける際、前記利用者データベースに登録されている設置端末IDを受け付け、この設置端末IDが適正な場合のみ、対応する設置端末のIPアドレスを更新処理する手段を備え、
前記設置端末側は、
当該設置端末のIPアドレスが同一プロバイダーにより振り直されたことによる古いIPアドレスと新しく与えられたIPアドレスとの違いを判断し、相違する場合、管理コンピュータ側のグローバルIPアドレスに対して自ら接続処理し、自己の設置端末IDを基に新たなIPアドレスを更新処理するように要求できる自己接続機能を有していることを特徴としている
ことを特徴とする通信回線を用いた情報供給システム。
【請求項2】
前記設置端末側の前記ユニットをインターネットに新たに接続または再接続する際、前記ユニットは、管理コンピュータ側のグローバルIPアドレスに対して自ら接続処理する機能が設けられており、自己の設置端末IDを基にその時点で付与されているIPアドレスを登録または更新登録するように要求できる自己接続機能を有している請求項1に記載の通信回線を用いた情報供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−139466(P2011−139466A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290490(P2010−290490)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【分割の表示】特願2001−247279(P2001−247279)の分割
【原出願日】平成13年8月16日(2001.8.16)
【出願人】(500036244)株式会社アイペックス (9)
【Fターム(参考)】