説明

通信放送連携システムにおけるエリア毎の発信接続制御方法、発信制御サーバ及びプログラム

【課題】通信放送連携システムについて、一部のエリアで許容接続数を超えた発信接続が発生した場合であっても、システム全体として、サービス提供設備の限界接続数付近まで全発信接続数を維持することができる発信接続方法等を提供する。
【解決手段】サービス提供設備に対する発信接続数をモニタする発信制御サーバを有する。発信制御サーバは、サービス提供設備に対する全発信接続数が、サービス提供設備の限界接続数となるように、エリア毎に許容接続数を決定する。次に、端末から現実に発生しているエリア毎のエリア発信接続数を推定し、エリア発信接続数が許容接続数を越えた高輻輳エリアが発生した際に、エリア発信接続数が許容接続数を越えていない低輻輳エリアにおける許容接続数を増分して設定する。そして、エリア毎の許容接続数を含む制御情報を生成し、その制御情報を端末の全てに送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信放送連携システムにおけるエリア毎の発信接続制御方法、発信制御サーバ及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザは、パーソナルコンピュータ又は携帯電話機のような端末を用いて、アクセスネットワークを介してインターネットに接続することができる。インターネットには、WWW(World Wide Web)コンテンツサーバのようなサービス提供設備が接続されており、端末は、そのコンテンツサーバに発信接続することができる。
【0003】
近年、膨大な数の端末から特定のコンテンツサーバに対して、アクセスが短時間に集中する傾向がある。これは、端末として、例えば、ワンセグ(1seg)機能付き携帯電話機、地上波デジタル放送受信機能付きパーソナルコンピュータ、BS(Broadcasting Satellite)デジタル放送受信機能付き情報家電機器、デジタル放送対応テレビのような機器の普及に一因がある。
【0004】
例えば、視聴者参加型放送番組(視聴者アンケート、クイズ、テレビショッピング等)又は災害時放送番組が放送された直後に、ユーザは、各端末を用いて、特定のコンテンツサーバにアクセスしようとする。従って、放送番組に連動して、短時間に特定のコンテンツサーバに対して大量の発信接続が発生することとなる。急激な発信接続数(アクセス数やコネクション数)の増加は、そのコンテンツサーバの輻輳負荷状態を急激に悪化させ、最悪の場合、コンテンツサーバの運用停止へ追い込むこととなる。
【0005】
図1は、従来技術における通信放送連携システムの構成図である。
【0006】
図1によれば、各端末1は、放送局サーバ3から放送データを受信すると共に、無線を介して基地局6に接続することができる。基地局6は、移動アクセスネットワークに接続されており、その移動アクセスネットワークは、インターネット4と相互接続されている。また、インターネット4には、通信データを送受信するコンテンツサーバ2が接続されている。従って、端末1は、基地局6を介してインターネット4に接続し、コンテンツサーバ2に発信接続することができる。端末1は、放送局サーバ3から受信した放送データの内容に基づいて、コンテンツサーバ2との間で、通信データを送受信することができる。
【0007】
これに対し、コンテンツサーバ2は、発信してくる複数の端末1に対してコネクションを同時に設定し、通信データを送受信する。サービス提供事業者(コンテンツプロバイダ、通信(放送)事業者等)としては、同時に発生する発信接続数を軽減するために、端末自体に、発信制御機能を搭載することを薦めている場合が多い(尚、サーバ又は中間ノードで発信接続制御をする場合もある)。発信制御としては、例えば、発信規制や遅延制御がある。このような端末の発信制御機能によって、サービス提供設備に係る負荷を低減させている。ここで、「サービス提供設備」とは、コンテンツサーバであってもよいし、通信(放送)設備であってもよい。明確には、端末から発信された呼情報を受け付けるサービス提供事業者側設備を意味する。
【0008】
また、サービス提供事業者としては、全端末からの全発信接続数を推定することは重要である。同時に発生する現実の全発信接続数が、サービス提供設備の限界接続数を越える場合には、その設備増強計画も必要となる。
【0009】
トラヒックを推定する方法としては、ニューラルネットワークを用いて、過去のトラヒックデータに基づいてカレンダ情報から、トラヒックを時系列推定する技術がある(例えば特許文献1参照)。また、推定されたトラヒックに基づいて、閾値を越えるデータが従う確率分布を推定し、ピークトラヒックとして推定する技術もある(例えば特許文献2参照)。更に、交換機の負荷を測定し、負荷状況に応じて通信トラヒックを推定する技術もある(例えば特許文献3参照)。
【0010】
例えば端末が発信制御機能を有する場合、ある時点で同時に発生し且つコンテンツサーバに到着する発信接続数は、既に発信制御が適用されたものである。それは、発信制御が適用される前の、現実に端末に発生した真の全発信接続数ではない。しかしながら、真の全発信接続数を発生させることも好ましくない。もし発生させた場合、サーバに対する過負荷や、ネットワークに対する輻輳が発生し、サービス品質が劣化するからである。
【0011】
【特許文献1】特開2004−23114号公報
【特許文献2】特開2006−48276号公報
【特許文献3】特開平10−314592号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、コンサートホールや野球場などのイベント会場では、同じ時間帯に、多数の発信トラヒックが発生する場合がある。この場合、それら全ての端末は、そのエリアをカバーする1つの基地局に集中的に接続しようとする。このとき、その基地局は、許容所定接続数以上の数の端末から接続された場合、その呼を取りこぼし、オーバフローを発生させることなる。結局、このようなイベント会場に位置する端末は、発信接続ができない場合が多くなる。基地局における許容接続数に制限がある以上、多数の端末からの発信接続数によっては、常にこのようなオーバフローの状態は発生する可能性がある。
【0013】
ここで問題となることは、端末に対する発信制御は、コンテンツサーバの限界接続数に基づいて決定されることにある。即ち、全発信接続数が限界接続数付近に維持されるように、発信制御のための制御情報は生成されている。それにも拘わらず、基地局でオーバフローが発生し、一部の呼を取りこぼした場合、全発信接続数は、限界接続数よりも少なくなる。これは、一部の基地局における輻輳状態によって、システム全体の全発信接続数を過剰に制御したことを意味する。即ち、コンテンツサーバとしては、限界接続数付近まで発信接続を受け付けることはなく、負荷的に余裕のある状態におかれる。
【0014】
そこで、本発明は、通信放送連携システムについて、一部のエリアで許容接続数を超えた発信接続が発生した場合であっても、システム全体として、サービス提供設備の限界接続数付近まで全発信接続数を維持することができる発信接続制御方法、発信制御サーバ及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によれば、通信ネットワークに接続される基地局と、該基地局に無線を介して接続する複数の端末と、該端末から基地局を介して発信接続を受け付けるサービス提供設備とを有するシステムにおける端末の発信接続制御方法であって、
サービス提供設備に対する発信接続数をモニタする発信制御サーバを更に有し、
発信制御サーバは、
サービス提供設備に対する全発信接続数が、サービス提供設備の限界接続数となるように、エリア毎に許容接続数を決定する第1のステップと、
端末から現実に発生しているエリア毎のエリア発信接続数を推定する第2のステップと、
エリア発信接続数が許容接続数を越えた高輻輳エリアが発生した際に、エリア発信接続数が許容接続数を越えていない低輻輳エリアにおける許容接続数を増分して設定する第3のステップと、
エリア毎の許容接続数を含む制御情報を生成する第4のステップと、
制御情報を端末の全てに送信する第5のステップと
を有し、
端末が、制御情報に基づいてサービス提供設備に対する発信接続を制御することを特徴とする。
【0016】
本発明の発信接続制御方法における他の実施形態によれば、第3のステップについて、更に、高輻輳エリアにおける許容接続数を減分して設定することも好ましい。
【0017】
本発明の発信接続制御方法における他の実施形態によれば、第3のステップについて、許容接続数を増分して設定した低輻輳エリアは、高輻輳エリアの周辺エリア、高輻輳エリアの次に、エリア発信接続数が高いエリア、又は、予め指定されたエリアとすることも好ましい。
【0018】
本発明の発信接続制御方法における他の実施形態によれば、第3のステップについて、高輻輳エリアにおけるエリア発信接続数と許容接続数との差分接続数を測定し、該差分接続数の分を、低輻輳エリアにおける許容接続数に加算して設定することも好ましい。
【0019】
本発明の発信接続制御方法における他の実施形態によれば、
システムは、通信放送連携システムであって、放送データを放送する放送局サーバを更に備えており、
第5のステップについて、発信制御サーバは、制御情報を放送局サーバへ送信し、放送局サーバは、制御情報を含む放送データを放送し、端末は、放送局サーバから放送データを受信し且つ制御情報を取得する
ことも好ましい。
【0020】
本発明の発信接続制御方法における他の実施形態によれば、
第2のステップについて、発信制御サーバがエリア毎のエリア発信接続数を推定するために、
制御情報は、全端末数に対する所定の割合値を含んでおり、
端末が、割合値と当該端末の固有値とを比較し、測定対象か否かを判定し、
測定対象となった端末が、発信動作を発生した際に、エリア情報と共にサービス提供設備へ発信し、
発信制御サーバが、サービス提供設備に対して、測定対象となった全ての端末からの部分発信接続数をエリア毎に測定し、
発信制御サーバが、部分発信接続数及び割合値に基づいて、エリア毎のエリア発信接続数を算出する
ことも好ましい。
【0021】
本発明の発信接続制御方法における他の実施形態によれば、
固有値は、乱数発生部によって発生させた乱数値、又は、端末に固有の識別情報値であることも好ましい。
【0022】
本発明によれば、通信ネットワークに接続される基地局と、該基地局に無線を介して接続する複数の端末と、端末から基地局を介して発信接続を受け付けるサービス提供設備とを有するシステムに更に備えられる発信制御サーバであって、
サービス提供設備に対する発信接続数をモニタする発信接続数モニタ手段と、
端末から現実に発生しているエリア毎のエリア発信接続数を推定するエリア発信接続数推定手段と、
エリア発信接続数が許容接続数を越えた高輻輳エリアが発生した際に、エリア発信接続数が許容接続数を越えていない低輻輳エリアにおける許容接続数を増分して設定する許容接続数設定手段と、
エリア毎の許容接続数を含む制御情報を生成する制御情報生成手段と、
制御情報を端末の全てに送信する制御情報送信手段と
を有することを特徴とする。
【0023】
本発明の発信制御サーバにおける他の実施形態によれば、許容接続数設定手段は、更に、高輻輳エリアにおける許容接続数を減分して設定することも好ましい。
【0024】
本発明の発信制御サーバにおける他の実施形態によれば、
許容接続数設定手段は、許容接続数を増分して設定した低輻輳エリアは、高輻輳エリアの周辺エリア、高輻輳エリアの次に、エリア発信接続数が高いエリア、又は、予め指定されたエリアとすることも好ましい。
【0025】
本発明の発信制御サーバにおける他の実施形態によれば、
許容接続数設定手段は、高輻輳エリアにおけるエリア発信接続数と許容接続数との差分接続数を測定し、該差分接続数の分を、低輻輳エリアにおける許容接続数に加算して設定することも好ましい。
【0026】
本発明の発信制御サーバにおける他の実施形態によれば、
システムは、通信放送連携システムであって、放送データを放送する放送局サーバを更に備えており、
制御情報送信手段は、制御情報を放送局サーバへ送信する
ことも好ましい。
【0027】
本発明の発信制御サーバにおける他の実施形態によれば、
制御情報は、全端末数に対する所定の割合値を含んでおり、
全発信接続数推定手段は、
端末が、割合値と当該端末の固有値とを比較し、測定対象か否かを判定し、
測定対象となった端末が、発信動作を発生した際に、エリア情報と共にサービス提供設備へ発信し、
発信制御サーバが、サービス提供設備に対して、測定対象となった全ての端末からの部分発信接続数をエリア毎に測定し、
発信制御サーバが、部分発信接続数及び割合値に基づいて、エリア毎のエリア発信接続数を算出する
ことの好ましい。
【0028】
本発明の発信制御サーバにおける他の実施形態によれば、固有値は、乱数発生部によって発生させた乱数値、又は、端末に固有の識別情報値であることも好ましい。
【0029】
本発明によれば、通信ネットワークに接続される基地局と、該基地局に無線を介して接続する複数の端末と、端末から基地局を介して発信接続を受け付けるサービス提供設備とを有するシステムに更に備えられるサーバに搭載されたコンピュータを機能させる発信制御用プログラムであって、
サービス提供設備に対する発信接続数をモニタする発信接続数モニタ手段と、
端末から現実に発生しているエリア毎のエリア発信接続数を推定するエリア発信接続数推定手段と、
エリア発信接続数が許容接続数を越えた高輻輳エリアが発生した際に、エリア発信接続数が許容接続数を越えていない低輻輳エリアにおける許容接続数を増分して設定する許容接続数設定手段と、
エリア毎の許容接続数を含む制御情報を生成する制御情報生成手段と、
制御情報を端末の全てに送信する制御情報送信手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明の発信接続制御方法、発信制御サーバ及びプログラムによれば、通信放送連携システムについて、一部のエリアで許容接続数を超えた発信接続が発生した場合であっても、システム全体として、サービス提供設備の限界接続数付近まで全発信接続数を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下では、図面を用いて、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0032】
図2は、現実に発生している全発信接続数のグラフである。
【0033】
図2によれば、時間経過に伴う全発信接続数が表されている。この全発信接続数は、端末による発信制御がなされていない、現実に発生している真の全発信接続数である。図2によれば、この真の全発信接続数は、サービス提供設備の限界接続数を越えており、現実に発生させることは好ましくない。サービス提供設備としては、例えば、通信設備、放送設備、コンテンツサーバ等がある。そのようなサービス提供設備の容量を超える発信接続数が発生した場合、過負荷や輻輳が発生し、サービス品質が劣化することとなる。
【0034】
図3は、発信制御がなされた全発信接続数のグラフである。
【0035】
全発信接続数が、サービス提供設備の限界接続数以下となるように、端末に対して発信制御をする必要がある。端末が発信制御機能を有する場合、どの程度の発信制御を実現するかは、サービス提供事業者ネットワークからの指示に基づく。通常、限界接続数を越える発信接続数は、発信規制や遅延制御によって制御される。図3に表されるとおり、全発信接続数が、サービス提供設備の限界接続数になるように発信制御をすることによって、サービス品質を劣化させることなく(過負荷又は輻輳を発生させず)、且つ、システムのリソースを十分に利用した運用が可能となる。これにより、サービス提供設備のシステムダウンも回避できる。
【0036】
ここで、サービス提供設備の限界接続数に対する全発信接続数を十分に制御したとしても、一部の基地局(エリア)に対して多数の端末からの発信接続が集中した場合、オーバフローによって呼を取りこぼすことが生じる。このとき、全発信接続数は、サービス提供設備の限界接続数よりも少なくなる。全発信接続数は、限界接続数になるように制御しようとしているにも拘わらず、結局、限界接続数よりも少なくなる。
【0037】
図4は、発信接続数を制御するエリア構成図である。
【0038】
図4によれば、基地局を中心とした複数のエリアによって、地域全体がカバーされている。ここで、エリア10の発信接続数が、エリア10の許容接続数を越えたとする。このとき、基地局の限界接続数を越えた分の呼は、取りこぼすこととなる。尚、図4によれば、エリア10の周囲は、エリア7、8、9、11、12、13によって配置されている。エリア10が高輻輳となった場合、その周囲のエリアにおける発信接続数も比較的多いものと想定される。
【0039】
図5は、本発明における発信制御を表すグラフである。
【0040】
図5によれば、横軸に図4に対応するエリアが表されており、縦軸に発信接続数が表されている。図4でも説明したように、エリア10では、基地局の限界接続数を越えた発信接続数が推定されたとする。
【0041】
ここで、エリア毎の発信接続数を表すエリア発信接続数は、サンプルトラヒック(部分発信接続数)によって推定される。例えば、測定対象端末の割合値x(例えば10%)とし、非測定対象端末の割合値(1−x)(例えば90%)とする。そして、測定対象端末からの部分発信接続数ρ(例えば1,000コール)のみを測定する。測定対象端末の割合値xと、そのエリアにおける測定対象端末からの部分発信接続数ρとを用いて、次式によって、エリア発信接続数Aを推定することができる。
A=ρ・100/x(%)
(例えばA=1,000(ρ)・100/10(x)=10,000コール)
【0042】
基地局には、限界接続数が規定されている。図5によれば、全てのエリアに配置された基地局の限界接続数は同じとする。限界接続数を越えた分の発信接続数は、取りこぼされることとなる。
【0043】
また、許容接続数も規定される。「許容接続数」とは、サービス提供設備の限界接続数に基づいて、エリア毎に許容される発信接続数を意味する。エリア発信接続数が許容接続数を越えた高輻輳エリア(例えばエリア10)が発生した際に、エリア発信接続数が許容接続数を越えていない低輻輳エリアにおける許容接続数を増分して設定する。また、高輻輳エリアにおける許容接続数を減分して設定することも好ましい。既に呼の取りこぼしを生じているために、その高輻輳エリアにおける許容接続数を減分した分も、他の低輻輳エリアに配分することができる。
【0044】
図5によれば、許容接続数を増分して設定した低輻輳エリアは、高輻輳エリア(例えばエリア10)の周辺エリアとなっている。高輻輳エリアの周囲のエリアについても、その発信接続数は比較的多いものと想定されるからである。他の選択としては、高輻輳エリアの次に、エリア発信接続数が高いエリアにおける許容接続数を増分して設定してもよい。更に、予め指定されたエリアにおける許容接続数を増分して設定してもよい。
【0045】
具体的には、高輻輳エリアにおけるエリア発信接続数と許容接続数との差分接続数を測定し、その差分接続数の分を、低輻輳エリアにおける許容接続数に加算して設定する。
【0046】
図6は、本発明を適用した通信放送連携システムの構成図である。
【0047】
図6によれば、図1と比較して、発信制御サーバ5が更に備えられている。発信制御サーバ5は、端末1とコンテンツサーバ2との間の発信接続をモニタしているだけであり、コンテンツサーバ2と比較して負荷が軽い。勿論、発信制御サーバ5の機能が、コンテンツサーバ2に含まれて、一体となっていてもよい。
【0048】
また、図1及び図6によれば、放送局サーバ3が備えられているが、本発明によれば、これを必須構成要素としなくてもよい。発信制御サーバ5によって生成された制御情報が、全端末へ送信されればよいのであって、放送局サーバ以外の他の方法、例えば発信制御サーバ5が全端末へ直接的に制御情報を送信するものであってもよい。
【0049】
図6のシステムにおける各装置の機能構成について説明する。
【0050】
図6によれば、発信制御サーバ5は、発信接続数モニタ部51と、エリア発信接続数推定部52と、全発信接続数推定部53と、許容接続数設定部54と、制御情報生成部55と、制御情報送信部56とを有する。これら機能部は、サーバに搭載されたコンピュータを機能させる発信制御用プログラムを実行することによって実現できる。
【0051】
発信接続数モニタ部51は、サービス提供設備に対する発信接続数をモニタする。これにより、測定対象端末からの部分発信接続数ρを測定できる。測定対象端末は、発信要求があると即時に発信するが、非測定対象端末は、発信要求があっても一旦保留して発信制御される。
【0052】
尚、発信接続数モニタ部51が、一度、測定対象端末からの発信接続を受け付け、その発信をコンテンツサーバ2へ転送するものであってもよい。代理サーバのような機能を有し、端末1とコンテンツサーバ2との間の通信を中継する。
【0053】
エリア発信接続数推定部52は、エリア毎に、端末から現実に発生している発信接続数を推定する。部分発信接続数ρと割合値xとに応じて、エリア発信接続数Aを算出できる。エリア毎に推定された発信接続数は、全発信接続数推定部53へ出力される。
【0054】
例えば、制御情報に、割合値xが含まれているとする。割合値xは、全端末数に対する、測定対象端末の割合を表す。割合値xを大きい値にするほど、発信制御サーバ5によってモニタされる端末数が増加し且つ負荷が増大するものの、現実に近い発信接続数を推定することができる。一方で、割合値xを小さい値にするほど、発信制御サーバ5によってモニタされる端末数が減少し且つ負荷が低減するものの、誤差を多く含む発信接続数しか推定することができない。但し、発信接続する端末数が多い場合、統計学上の原理より、たとえxが小さくても全発信接続数を精度高く推定することができる。
【0055】
全発信接続数推定部53は、エリア発信接続数推定部52から受け取ったエリア毎の発信接続数を総計することによって、特定のサービス提供設備に対する全発信接続数が推定される。
【0056】
許容接続数設定部54は、エリア発信接続数が許容接続数を越えた高輻輳エリアが発生した際に、エリア発信接続数が許容接続数を越えていない低輻輳エリアにおける許容接続数を増分して設定する。また、許容接続数設定部54は、高輻輳エリアにおける許容接続数を減分して設定することも好ましい。更に、許容接続数設定部54は、許容接続数を増分して設定した低輻輳エリアは、高輻輳エリアの周辺エリア、高輻輳エリアの次に、エリア発信接続数が高いエリア、又は、予め指定されたエリアとする。具体的には、許容接続数設定部54は、高輻輳エリアにおけるエリア発信接続数と許容接続数との差分接続数を測定し、その差分接続数の分を、低輻輳エリアにおける許容接続数に加算して設定する。
【0057】
ここで、許容接続数設定部54は、エリア毎に「最大接続数」の情報を、データベースに予め記憶しておくことも好ましい。「最大接続数」は、そのエリアで接続できる最大数であって、前述した基地局の限界接続数と同様であってもよい。低輻輳エリアについては、許容接続数が増分されることとなるが、許容接続数が最大接続数を越えることはできない。エリア毎に、許容接続数が最大接続数を越えるような場合、その分の接続数は、他のエリアへ振り分けるべきである。
【0058】
制御情報生成部55は、エリア毎の許容接続数を含む制御情報を生成する。制御情報は、用途に応じたデータ形態にすることができる。例えば、1つの制御情報を放送データによって全ての端末に一律に送信し、端末自身が、次のスロットで発信可能か否かを判断してもよい。また、制御情報の中で、次のスロットで発信可能な端末を特定してもよい。
【0059】
制御情報送信部56は、制御情報を、放送局サーバ3へ送信する。尚、制御情報は、端末1へ直接的に送信されるものであってもよい。
【0060】
図6によれば、端末1は、放送受信部11と、通信インタフェース部12と、制御情報取得部13と、発信制御部14とを有する。これら機能部は、端末に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによっても実現できる。
【0061】
放送受信部11は、放送局サーバ3から放送される放送データを受信する。放送データには、制御情報が含まれる。また、放送データには、発信制御サーバ5のアドレスが含まれているものであってもよい。これにより、測定対象端末は、コンテンツサーバ2のアドレスを知ることができる。
【0062】
通信インタフェース部12は、基地局6との間で、無線リンクを介して通信する。通信インタフェース部12は、発信制御部14からの発信接続要求を、コンテンツサーバ2へ送信する。尚、発信制御の有無のフラグを、データに含めることも好ましい。
【0063】
制御情報取得部13は、放送データから制御情報を取得する。制御情報は、割合値xを含むものであってもよいし、測定対象端末を指定する情報であってもよい。ここで、放送データから、更に、発信制御サーバ5のアドレスを取得することも好ましい。
【0064】
発信制御部14は、ユーザによって発信接続要求が発生した際に、エリア情報と共に発信制御を実行する。「エリア情報」は、基地局識別子であってもよいし、GPS(Global Positioning System)によって取得された緯度・経度情報であってもよい。緯度・経度情報である場合、発信制御サーバ5によってエリアを特定する。
【0065】
制御情報に、発信接続数の推定のための割合値xを含む場合、発信制御部14は、乱数値rを発生させることも好ましい。乱数値r(固有値)と割合値xとを比較し、具体的には、乱数値rが割合値x以下(又は以上)である場合、測定対象端末であると決定する。例えば、割合値30%が指定され、乱数値(1〜100の範囲)が「30」以下である場合、測定対象端末であると判定される。逆に、非測定対象端末であると判定されてもよい。測定対象端末であれば発信制御を無効とし、非測定対象端末であれば発信制御を有効とする。発信制御が有効となった端末は、一旦保留した後、制御情報に基づいてその発生時刻に応じて順次保留解除することもできる。
【0066】
また、乱数値rの代わりに、固有の識別情報値(固有値)であってもよい。固有の識別情報値とは、具体的には、電話番号、MAC(Media Access Control)アドレス、識別番号(ハードウェアID、地上波デジタル放送で規定されている固有ID)、又はこれら識別情報値の組み合わせ等である。このように固有値と、割合値xとを比較することにより、全端末数に対する一定の割合値の数の端末を、測定対象端末とすることができる。例えば、電話番号であれば、末尾1桁「0」〜「9」のうち、1つの番号(例えば「9」)を割合値に指定することによって、10%の測定対象端末が選択されることとなる。また、割合値を「奇数」と指定することによって、50%の測定対象端末が選択されることとなる。
【0067】
図6によれば、放送局サーバ3について、制御情報付加部32が、発信制御サーバ5から受信した制御情報を、放送データ蓄積部31から放送される放送データに付加する。ここで、発信制御サーバ5から更に、その発信制御サーバ5のアドレス(URL)を受信し、放送データにそのアドレスも含めてもよい。
【0068】
放送データは、例えばBML(Broadcast Markup Language)で記述されている。BMLは、ARIB(社団法人電波産業会)によって規定された、XMLに基づくデータ放送向けのページ記述言語である。BMLによって、制御情報や、コンテンツサーバのURL(Uniform Resource Locator)などの情報を記述することができる。
【0069】
その放送データは、放送データ送信部33から、放送波によって膨大な数の端末1へ放送される。これにより、端末1は、制御情報(割合値xや、発信制御サーバ5のアドレスを含む)を知ることができる。
【0070】
前述したように、測定対象端末と非測定対象端末とに区分することによって、全発信接続数を推定することができる。しかし、「全発信接続数は限界接続数よりも少なくなり、結局、過剰制御となる」という理由について、以下で説明する。
【0071】
従来技術によれば、現実に発生する全発信接続数に対して、十分に大きい発信可能チャネル(無線リソース)を備えることを前提にしている。具体的には、端末とコンテンツサーバとの間に介在する基地局が、十分に大きい許容接続数を備えることを前提としている。しかしながら、1つの基地局に、多数の端末が接続しようとした場合、無線リソースの物理的な理由によって、接続できない場合がある。
【0072】
1つの基地局セル内について、「負荷率」及び「サンプル率」は、以下のように表される。
「負荷率」 =使用チャネル数/最大物理チャネル数 式(1)
「サンプル率」=サンプルコール数/潜在コール数 式(2)
一般的には、以下の式が成立している。
「最大物理チャネル数」≧「潜在コール数」 式(3)
【0073】
式(3)を、式(1)及び(2)によって解くと、以下のようになる。
(使用チャネル数/負荷率)≧(サンプルコール数/サンプル率)
(使用チャネル数*サンプル率)/(サンプルコール数)≧「負荷率」
【0074】
基地局エリアでの発信が、ほとんどサンプルコールの場合は、以下のように見なせる。
使用チャネル数/サンプルコール数=1
【0075】
このような場合、以下の式(4)が成立する。
「サンプル率」≧「負荷率」 式(4)
【0076】
例えば、サンプル率=10%及びサンプルコール数=1,000コールの場合、現実に発生する発信接続数=10,000コールとなる。もし、コンテンツサーバの限界接続数=5,000コールの場合、「50%許容」の制御情報が生成される。
【0077】
しかしながら、一部の基地局に、多数の端末からの接続が集中し、オーバフローを発生しているとする。このとき、「50%許容」であっても、その基地局セルにおける最大物理チャネル数の制限によって、実際にその基地局からは、例えば「20%」しか発信できないような状態になる場合もある。そのような場合、エリア毎の許容接続数は、そのコンテンツサーバの限界接続数よりも少なくなり、結局、過剰制御したこととなる。
【0078】
図7は、本発明におけるシーケンス図である。
【0079】
最初に、基本シーケンスを説明する。
(S701)発信制御サーバ5は、端末から現実に発生しているエリア毎のエリア発信接続数を総計して、全発信接続数を推定する。そして、発信制御サーバ5は、コンテンツサーバ2に対する全発信接続数が、コンテンツサーバ2の限界接続数以下となるように、エリア毎に許容接続数を決定する。許容接続数は、基地局の限界接続数以下であって、且つ、全ての基地局における許容接続数を総計した全発信接続数が、コンテンツサーバ2の限界接続数以下である。
【0080】
(S702)発信制御サーバ5は、エリア毎の許容接続数を含む制御情報を生成する。
(S703)発信制御サーバ5は、制御情報を放送局サーバ3へ送信する。
(S704)放送局サーバ3は、制御情報を含む放送データを放送する。端末1は、放送データを受信した際に、その制御情報を取得する。
(S705)複数の端末1は、基地局6の配下にあって、ユーザからの発信操作が同時に発生したとする。
(S706)各端末1は、放送データによって受信した制御情報に基づいて、発信接続をし始める。例えば、イベント会場のような場所では、多数の端末が、同時に1つの基地局6に対して接続しようとする。このとき、基地局6は、そのエリアの許容接続数以上の数の端末1から発信接続されたとする。
(S707)複数の端末1は、基地局6を介して、コンテンツサーバ2へ発信接続する。この発信接続数は、発信制御サーバ5によってモニタされている。このとき、発信制御サーバ5は、モニタされた部分発信接続数に基づいて、端末から現実に発生しているエリア毎のエリア発信接続数を推定する。
【0081】
S701〜S707の基本シーケンスは、一定間隔、例えば1秒毎に、繰り返されている。
【0082】
(S708)発信制御サーバ5は、全てのエリアについて、推定されたエリア発信接続数が、そのエリアの許容接続数を越えていないか否かを判定する。
(S709)一部のエリアについて、そのエリアの許容接続数を越えた数の発信接続があったとする。このとき、発信制御サーバ5は、その高輻輳エリアにおけるエリア発信接続数と許容接続数との差分接続数を測定する。
(S710)そして、発信制御サーバ5は、エリア発信接続数が許容接続数を越えていない低輻輳エリアにおける許容接続数を増分して設定する。ここで、許容接続数を増分して設定した低輻輳エリアは、例えば高輻輳エリアの周辺エリアとする。具体的には、差分接続数の分を、低輻輳エリアにおける許容接続数に加算して設定する。また、発信制御サーバ5は、高輻輳エリアにおける許容接続数を減分して設定する。
【0083】
(S711)全てのエリアについて、推定されたエリア発信接続数が、そのエリアの許容接続数を越えていない場合、許容接続数を初期設定に戻す。具体的には、コンテンツサーバ2の限界発信接続数のみに基づいて決定できる許容接続数へ戻す。
【0084】
その後、S702へ移行する。これによって、エリア毎の許容接続数が再設定されつつ、制御情報が生成され、端末に対する発信制御が実行される。
【0085】
以上、詳細に説明したように、本発明の発信接続制御方法、発信制御サーバ及びプログラムによれば、通信放送連携システムについて、一部のエリアで許容接続数を超えた発信接続が発生した場合であっても、システム全体として、サービス提供設備の限界接続数付近まで全発信接続数を維持することができる。特に、イベント会場のように多数の端末が、1つの基地局を介して特定のコンテンツサーバに同時に発信接続するような場合に、他の基地局(例えば高輻輳エリアの隣接エリアに配置)配下の他の端末からの発信接続の機会を高めることができる。尚、高輻輳エリアに在圏する多数の端末については、そのエリアの許容接続数以上の発信接続は、サービス提供設備に到達しないために、結局、システム全体として、コンテンツサーバの限界接続数以下に収まる。
【0086】
前述した本発明における種々の実施形態によれば、当業者は、本発明の技術思想及び見地の範囲における種々の変更、修正及び省略を容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】従来技術における通信放送連携システムの構成図である。
【図2】現実に発生している全発信接続数のグラフである。
【図3】発信制御がなされた全発信接続数のグラフである。
【図4】発信接続数を制御するエリア構成図である。
【図5】本発明における発信制御を表すグラフである。
【図6】本発明を適用した通信放送連携システムの構成図である。
【図7】本発明におけるシーケンス図である。
【符号の説明】
【0088】
1 端末
11 放送受信部
12 通信インタフェース部
13 制御情報取得部
14 発信制御部
2 コンテンツサーバ、サービス提供設備
3 放送局サーバ
31 放送データ蓄積部
32 制御情報付加部
33 放送データ送信部
4 インターネット
5 発信制御サーバ
51 発信接続数モニタ部
52 エリア発信接続数推定部
53 全発信接続数推定部
54 許容接続数設定部
55 制御情報生成部
56 制御情報送信部
6 基地局

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークに接続される基地局と、該基地局に無線を介して接続する複数の端末と、該端末から前記基地局を介して発信接続を受け付けるサービス提供設備とを有するシステムにおける前記端末の発信接続制御方法であって、
前記サービス提供設備に対する発信接続数をモニタする発信制御サーバを更に有し、
前記発信制御サーバは、
前記サービス提供設備に対する全発信接続数が、前記サービス提供設備の限界接続数となるように、エリア毎に許容接続数を決定する第1のステップと、
前記端末から現実に発生している前記エリア毎のエリア発信接続数を推定する第2のステップと、
前記エリア発信接続数が前記許容接続数を越えた高輻輳エリアが発生した際に、前記エリア発信接続数が前記許容接続数を越えていない低輻輳エリアにおける前記許容接続数を増分して設定する第3のステップと、
前記エリア毎の前記許容接続数を含む制御情報を生成する第4のステップと、
前記制御情報を前記端末の全てに送信する第5のステップと
を有し、
前記端末が、前記制御情報に基づいて前記サービス提供設備に対する発信接続を制御することを特徴とする発信接続制御方法。
【請求項2】
第3のステップについて、更に、前記高輻輳エリアにおける前記許容接続数を減分して設定することを特徴とする請求項1に記載の発信接続制御方法。
【請求項3】
第3のステップについて、前記許容接続数を増分して設定した前記低輻輳エリアは、
前記高輻輳エリアの周辺エリア、
前記高輻輳エリアの次に、前記エリア発信接続数が高いエリア、又は、
予め指定されたエリア
とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の発信接続制御方法。
【請求項4】
第3のステップについて、前記高輻輳エリアにおける前記エリア発信接続数と前記許容接続数との差分接続数を測定し、該差分接続数の分を、前記低輻輳エリアにおける前記許容接続数に加算して設定することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の発信接続制御方法。
【請求項5】
前記システムは、通信放送連携システムであって、放送データを放送する放送局サーバを更に備えており、
第5のステップについて、前記発信制御サーバは、前記制御情報を前記放送局サーバへ送信し、前記放送局サーバは、前記制御情報を含む前記放送データを放送し、前記端末は、前記放送局サーバから前記放送データを受信し且つ前記制御情報を取得する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の発信接続制御方法。
【請求項6】
第2のステップについて、前記発信制御サーバが前記エリア毎のエリア発信接続数を推定するために、
前記制御情報は、全端末数に対する所定の割合値を含んでおり、
前記端末が、前記割合値と当該端末の固有値とを比較し、測定対象か否かを判定し、
前記測定対象となった前記端末が、発信動作を発生した際に、エリア情報と共に前記サービス提供設備へ発信し、
前記発信制御サーバが、前記サービス提供設備に対して、前記測定対象となった全ての前記端末からの部分発信接続数を前記エリア毎に測定し、
前記発信制御サーバが、前記部分発信接続数及び前記割合値に基づいて、前記エリア毎のエリア発信接続数を算出する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の発信接続制御方法。
【請求項7】
前記固有値は、乱数発生部によって発生させた乱数値、又は、前記端末に固有の識別情報値であることを特徴とする請求項6に記載の発信接続制御方法。
【請求項8】
通信ネットワークに接続される基地局と、該基地局に無線を介して接続する複数の端末と、前記端末から前記基地局を介して発信接続を受け付けるサービス提供設備とを有するシステムに更に備えられる発信制御サーバであって、
前記サービス提供設備に対する発信接続数をモニタする発信接続数モニタ手段と、
前記端末から現実に発生している前記エリア毎のエリア発信接続数を推定するエリア発信接続数推定手段と、
前記エリア発信接続数が前記許容接続数を越えた高輻輳エリアが発生した際に、前記エリア発信接続数が前記許容接続数を越えていない低輻輳エリアにおける前記許容接続数を増分して設定する許容接続数設定手段と、
前記エリア毎の前記許容接続数を含む制御情報を生成する制御情報生成手段と、
前記制御情報を前記端末の全てに送信する制御情報送信手段と
を有することを特徴とする発信制御サーバ。
【請求項9】
前記許容接続数設定手段は、更に、前記高輻輳エリアにおける前記許容接続数を減分して設定することを特徴とする請求項8に記載の発信制御サーバ。
【請求項10】
前記許容接続数設定手段は、前記許容接続数を増分して設定した前記低輻輳エリアは、
前記高輻輳エリアの周辺エリア、
前記高輻輳エリアの次に、前記エリア発信接続数が高いエリア、又は、
予め指定されたエリア
とすることを特徴とする請求項8又は9に記載の発信制御サーバ。
【請求項11】
前記許容接続数設定手段は、前記高輻輳エリアにおける前記エリア発信接続数と前記許容接続数との差分接続数を測定し、該差分接続数の分を、前記低輻輳エリアにおける前記許容接続数に加算して設定することを特徴とする請求項8から10のいずれか1項に記載の発信制御サーバ。
【請求項12】
前記システムは、通信放送連携システムであって、放送データを放送する放送局サーバを更に備えており、
前記制御情報送信手段は、前記制御情報を前記放送局サーバへ送信する
ことを特徴とする請求項8から11のいずれか1項に記載の発信制御サーバ。
【請求項13】
前記制御情報は、全端末数に対する所定の割合値を含んでおり、
前記全発信接続数推定手段は、
前記端末が、前記割合値と当該端末の固有値とを比較し、測定対象か否かを判定し、
前記測定対象となった前記端末が、発信動作を発生した際に、エリア情報と共に前記サービス提供設備へ発信し、
前記発信制御サーバが、前記サービス提供設備に対して、前記測定対象となった全ての前記端末からの部分発信接続数を前記エリア毎に測定し、
前記発信制御サーバが、前記部分発信接続数及び前記割合値に基づいて、前記エリア毎のエリア発信接続数を算出する
ことを特徴とする請求項8から12のいずれか1項に記載の発信制御サーバ。
【請求項14】
前記固有値は、乱数発生部によって発生させた乱数値、又は、前記端末に固有の識別情報値であることを特徴とする請求項13に記載の発信制御サーバ。
【請求項15】
通信ネットワークに接続される基地局と、該基地局に無線を介して接続する複数の端末と、前記端末から前記基地局を介して発信接続を受け付けるサービス提供設備とを有するシステムに更に備えられるサーバに搭載されたコンピュータを機能させる発信制御用プログラムであって、
前記サービス提供設備に対する発信接続数をモニタする発信接続数モニタ手段と、
前記端末から現実に発生している前記エリア毎のエリア発信接続数を推定するエリア発信接続数推定手段と、
前記エリア発信接続数が前記許容接続数を越えた高輻輳エリアが発生した際に、前記エリア発信接続数が前記許容接続数を越えていない低輻輳エリアにおける前記許容接続数を増分して設定する許容接続数設定手段と、
前記エリア毎の前記許容接続数を含む制御情報を生成する制御情報生成手段と、
前記制御情報を前記端末の全てに送信する制御情報送信手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする発信制御用プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−239780(P2009−239780A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−85328(P2008−85328)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】