説明

通信用管路とハンドホールとの接続構造

【課題】 さや管ダクトスリーブの配列を常に一定に保持するとともに、その移動を確実に防止する一方、現場で簡単に施工可能な通信用管路とハンドホールとの接続構造を提供する。
【解決手段】ハンドホール4の側壁41に形成された貫通孔41aに、受け口を外方に向けて基側本体管ダクトスリーブ5の一端部が固定され、また、固定板9の各固定穴9aに対応するさや管ダクトスリーブ7の縮径部がそれぞれ嵌挿されるとともに、各縮径部にスリーブ8がそれぞれ嵌合固定され、該複数本のさや管ダクトスリーブ7を固定した固定板9が基側本体管ダクトスリーブ5に嵌挿されるとともに、先側本体管ダクトスリーブ6の差し口が基側本体管ダクトスリーブ5の受け口に嵌合固定されて、固定板9が基側本体管ダクトスリーブ5の段差部と先側本体管ダクトスリーブ6の端部との間に挟み込まれて固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光通信ケーブルが挿通された小径の複数本のさや管を大径の本体管内に挿入して構成される通信用管路とハンドホールとを接続する構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、光通信ケーブルがそれぞれ挿通された小径の複数本の樹脂製さや管を大径の樹脂製本体管の内部に挿入して構成される通信用管路を地中に埋設し、光通信ケーブルによるネットワークを構築して情報通信を行うようになっている。
【0003】
このような通信用管路を用いると、小さな断面積中に多数の光通信ケーブルを敷設することができるので、掘削などの手間が少なくてすみ、したがって、工期を短縮することができるとともに、コストを抑えることができる、といった利点があるため、広く採用されている。
【0004】
このような通信用管路においては、通常、敷設された光通信ケーブルの点検や、別に敷設された光通信ケーブルとの接続や分岐、あるいは、敷設方向の変更などの作業を必要とする地点にハンドホールが設けられる。
【0005】
通信用管路をハンドホールに接続するには、例えば、ハンドホールの側壁に形成された貫通孔に本体管ダクトスリーブを固定する一方、本体管内に挿入されるさや管の本数と同数の固定穴を形成した固定板を本体管の一端に固定するとともに、さや管を摺動自在に嵌合可能な受け口がハンドホールから外側向きとなるように、固定板の各固定穴にさや管ダクトスリーブをそれぞれ固定してなるロータス管をハンドホールに固定された本体管ダクトスリーブに嵌挿した後、通信用管路を構成するさや管の差し口を各さや管ダクトスリーブの受け口に摺動自在に嵌合するともに、その本体管の差し口をロータス管を構成する本体管の受け口に嵌合するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、ハンドホールの側壁に形成された貫通孔に本体管ダクトスリーブを固定する一方、複数本のさや管ダクトスリーブを本体管の内部に挿入してその一端部を結束具で束ねた後、さや管ダクトスリーブ束および本体管を本体管ダクトスリーブに順に挿入し、次いで、通信用管路を構成するさや管の差し口を各さや管ダクトスリーブの受け口に摺動自在に嵌合するともに、その本体管の差し口を本体管ダクトスリーブの受け口に嵌合することも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−10460号公報
【特許文献2】特開2004−282891号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に開示された接続構造においては、ロータス管は、本体管、固定板および複数本のさや管ダクトスリーブを一体化して製作されるため、地盤変動などにより本体管が移動すると、さや管ダクトスリーブも一体に移動する。したがって、本体管がさや管ダクトスリーブ奥部へ移動した場合、さや管ダクトスリーブも一緒に移動し、点検作業などを行うことが困難になるという問題がある。
【0008】
一方、特許文献2に開示された接続構造においては、結束具で結束されたさや管ダクトスリーブ束は本体管に対して固定されていないため、管軸方向に摺動可能である。したがって、光通信ケーブルの引き込みに際して、摩擦抵抗により移動したり、回転することがあり、施工しにくいという欠点がある。また、さや管ダクトスリーブ束が本体管に対して移動した場合、結束具を構成するゴムバンドが本体管の端部または本体管ダクトスリーブの段付き面に当接し、それ以上の移動が阻止されるように設定されているが、ゴムバンドによる巻き方(さや管ダクトスリーブの束ね方やゴムバンドの巻き厚み)によっては、本体管の端部や段付き面に当接することなく移動し、ハンドホールからさや管ダクトスリーブ束が遠くに離れてその端部(光通信ケーブルの挿通孔)が見えなくなったり、逆に、ハンドホール内にさや管ダクトスリーブ束が飛び出して、光通信ケーブルを損傷するおそれがある。このような傾向は、本体管に収容可能な最大本数のさや管ダクトスリーブよりも少ない本数のさや管ダクトスリーブを束ねて施工する場合に特に顕著となる。このため、少ない本数のさや管ダクトスリーブに合わせた巻き状態を別途検討しなければならず、施工が煩雑となる。
【0009】
さらに、さや管ダクトスリーブを結束具で束ねた場合、ゴムバンドに接触するさや管ダクトスリーブについては、それらの摩擦抵抗により管軸方向に移動することはないが、内部に配置されてゴムバンドに接触することのないさや管ダクトスリーブは、滑って移動する可能性がある。このため、両面テープを介してさや管ダクトスリーブを互いに粘着するようにしているが、このような状態で本体管に挿入するさや管ダクトスリーブの断面を揃えるとともに、端面を揃えてさや管ダクトスリーブを束ねるには、大きな手間を必要とする。しかも、このようにさや管ダクトスリーブを束ねたとしても、地下水の発生している現場や雨中での作業の場合、両面テープによる粘着力が減少して期待通りの粘着力が得られないことがある。すなわち、光通信ケーブルの引き込み時に発生する抵抗以上の粘着力が得られないときには、個別にさや管ダクトスリーブが移動し、前述した問題を発生することになる。
【0010】
しかも、全てのハンドホールにおいて、同じ配列状況でさや管ダクトスリーブを束ねることは困難であり、光通信ケーブルの引き込み時に始点側のさや管ダクトスリーブに対して到達側のさや管ダクトスリーブを認識することはできない他、さや管の接続間違いも確認できない可能性がある。
【0011】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、さや管ダクトスリーブの移動を確実に防止するとともに、その配列を常に一定に保持することのできる通信用管路とハンドホールとの接続構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、それぞれに光通信ケーブルが挿通された複数本のさや管が大径の本体管内に挿入された通信用管路とハンドホールとの接続構造において、一端部近傍に段差部を有するとともに、他端部に受け口を有する基側本体管ダクトスリーブと、該基側本体管ダクトスリーブの受け口に嵌合可能な差し口を一端部に有するとともに、本体管の差し口が嵌合可能な受け口を他端部に有する先側本体管ダクトスリーブと、さや管の差し口が摺動自在に嵌合可能な受け口を有するさや管ダクトスリーブと、基側本体管ダクトスリーブの段差部に係止可能な外径を有するとともに、さや管ダクトスリーブの外径に対応する複数個の固定穴が形成された固定板とからなり、ハンドホールの側壁に形成された貫通孔に、受け口を外方に向けて基側本体管ダクトスリーブの一端部が固定され、また、固定板の各固定穴にさや管ダクトスリーブがそれぞれ嵌挿固定され、該複数本のさや管ダクトスリーブを固定した固定板が基側本体管ダクトスリーブの段差部に係止されるとともに、端部を固定板に当接させて先側本体管ダクトスリーブの差し口が基側本体管ダクトスリーブの受け口に嵌合固定されることを特徴とするものである。
【0013】
本発明において、さや管としては、内部に挿通された光通信ケーブルを保護する機能を有するものであればよく、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどの熱可塑性樹脂管や、繊維強化された熱硬化性樹脂管を採用することができるが、施工のし易さと価格の点から、ポリ塩化ビニル管が好ましい。
【0014】
なお、複数本のさや管は、全て同一の外径であっても、異なる外径の組み合わせであってもよい。
【0015】
また、本体管は、複数本のさや管を内部に収容して地中に埋設されることから、耐水性、耐圧性、耐蝕性に優れたものが用いられる。例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどの熱可塑性合成樹脂類、ガラス繊維、カーボン繊維、延伸樹脂の繊維、液晶樹脂の繊維などの無機または有機繊維類と熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂とを複合して用いた繊維補強合成樹脂類、レジンコンクリートなどからなる管が用いられる。
【0016】
本発明において、ハンドホールとは、光通信ケーブルを接続し、分岐し、合線したり、点検するために管路中に設置されるマンホールをいう。ハンドホールは、通常、鉄筋コンクリートまたはレジンコンクリートなどで製作され、その側壁には貫通孔が設けられている。そして、予めハンドホールの貫通孔に基側本体管ダクトスリーブの一端部が固定されて、設置現場に搬入される。ただし、ハンドホールが大きい場合などでは、設置現場でコンクリート打ちを行ったり、あるいは、レジンコンクリート製ハンドホールを埋設し、その側壁に所定の大きさの孔を開けて基側本体管ダクトスリーブを取り付けることもある。
【0017】
本発明において、基側本体管ダクトスリーブおよび先側本体管ダクトスリーブは、耐水性、耐圧性、耐蝕性に優れたものであれば特に限定されない。例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどの熱可塑性合成樹脂類、ガラス繊維、カーボン繊維、延伸樹脂の繊維、液晶樹脂の繊維などの無機または有機繊維類と熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂とを複合して用いた繊維補強合成樹脂類、レジンコンクリート、ステンレス鋼、耐蝕加工を施した鋼などの金属類が用いられる。
【0018】
基側本体管ダクトスリーブの受け口の長さとしては、先側本体管ダクトスリーブの差し口が嵌合され、接着剤を介して固定された際に、接合強度を発現できる長さがあればよい。このため、ハンドホールの貫通孔に基側本体管ダクトスリーブの一端部を固定して現場に輸送する際、ハンドホール外面からの基側本体管ダクトスリーブの突出長さを可及的に小さくすることができ、運搬が容易になるとともに、運搬時の破損を削減することができる。また、基側本体管ダクトスリーブの一端部近傍には段差部が形成されており、この段差部に、後述する固定板が係止され、それ以上ハンドホール側に移動しないように規制する。
【0019】
先側本体管ダクトスリーブは、基側本体管ダクトスリーブの受け口に嵌合可能な差し口と、通信用管路を構成する本体管の差し口が嵌合可能な受け口を有し、その受け口としては、一般的な耐震離脱防止構造であればよく、特に限定されない。例えば、先側本体管ダクトスリーブの受け口を本体管が摺動可能であり、かつ、外部からの水の浸入を防止するように、止水用ゴムリングを用いた耐震離脱防止構造などが挙げられる。また、先側本体管ダクトスリーブの差し口は、基側本体管ダクトスリーブの受け口に嵌合固定されて、その段差部との間で固定板を挟み込んだ際、接合強度を確保できる長さがあればよい。
【0020】
なお、先側本体管ダクトスリーブは、直管であっても、曲管であってもかまわない。
【0021】
本発明において、さや管ダクトスリーブとしては、前述したさや管と同一の材質、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどの熱可塑性樹脂管や、繊維強化された熱硬化性樹脂管を採用することができるが、施工のし易さと価格の点から、ポリ塩化ビニル管が好ましい。そして、さや管ダクトスリーブの受け口にはさや管の差し口が摺動自在に嵌合され、さや管が熱伸縮した際に、その内部を摺動する。
【0022】
本発明において、固定板は、基側本体管ダクトスリーブの受け口に嵌挿可能で、その段差部に係止可能な外径に形成される。そして、固定板には、各さや管ダクトスリーブの外径に対応する穴径の複数個、例えば、最大個数の固定穴が形成されている。このため、複数本のさや管ダクトスリーブがそれぞれ対応する固定板の各固定穴に嵌挿され、例えば、接着剤を介して、あるいは、熱融着により固定される。
【0023】
本発明によれば、受け口を外方に向けて基側本体管ダクトスリーブの一端部を側壁の貫通孔に固定して、ハンドホールを現場に設置する一方、各固定穴に対応するさや管ダクトスリーブをそれぞれ嵌挿し、接着剤などを介して固定し、複数本のさや管ダクトスリーブを固定した固定板を形成する。そして、複数本のさや管ダクトスリーブが固定された固定板を基側本体管ダクトスリーブに挿入し、その段差部に係止させた後、先側本体管ダクトスリーブを接着剤を塗布して基側本体管ダクトスリーブに嵌合し、固定する。この際、先側本体管ダクトスリーブの端部を、基側本体管ダクトスリーブの段差部に係止されている固定板に当接させることで、固定板を先側本体管ダクトスリーブの端部と基側本体管ダクトスリーブの段差部との間に固定する。次いで、通信用管路を構成するさや管の差し口を各さや管ダクトスリーブの受け口にそれぞれ嵌合した後、その本体管の差し口を本体管ダクトスリーブの受け口に嵌合する。
【0024】
この結果、ハンドホールに固定された基側本体管ダクトスリーブおよび該基側本体管ダクトスリーブに嵌合固定された先側本体管ダクトスリーブに挟まれて固定板が固定されるとともに、固定板に対して各さや管ダクトスリーブが固定されるため、さや管ダクトスリーブは、ハンドホールに対して管軸方向および周方向にずれることがなく、常に一定位置に保持される。したがって、光通信ケーブルの敷設作業や点検作業などを容易に、かつ、確実に行うことができる。この際、作業状況に関係なく固定板およびさや管ダクトスリーブを常に一定の接合強度で固定することができる。
【0025】
さらに、本体管ダクトスリーブを基側本体管ダクトスリーブと先側本体管ダクトスリーブとに二分割したことにより、ハンドホールに基側本体管ダクトスリーブを固定して現場に輸送する際、ハンドホールからの突出長さを可及的に小さくすることができ、輸送し易くなるとともに、輸送時の損傷を削減することができる。また、先側本体管ダクトスリーブを曲管に形成することにより、作業環境に応じてハンドホールから直ちに曲げることができる。
【0026】
本発明において、前記さや管ダクトスリーブの一端部に縮径部が形成され、また、固定板の固定穴がさや管ダクトスリーブの縮径部の外径よりも大径で、さや管ダクトスリーブの縮径部に嵌合可能なスリーブの外径よりも小径であり、固定板の固定穴に嵌挿されたさや管ダクトスリーブの縮径部にスリーブが嵌合固定されて、固定板の各固定穴にさや管ダクトスリーブがそれぞれ固定されることが好ましい。
【0027】
このように構成することにより、さや管ダクトスリーブ、スリーブおよび固定板を現場に持ち込んで固定板にさや管ダクトスリーブを簡単に固定することができるため、工場などにおいて、各さや管ダクトスリーブの外径に合わせて固定穴を固定板に形成し、それらを一体に固定して現場に輸送する必要がなくなり、作業性を大幅に向上させることができるとともに、予め最大個数の固定穴が形成されている場合には、さや管の本数の変更にも現場で簡単に対応することができる利点がある。
【0028】
さや管ダクトスリーブおよびスリーブを用いて固定板に固定するには、接着剤を介して固定することが一般的であるが、さや管ダクトスリーブの縮径部およびスリーブにそれぞれ雄ねじおよび雌ねじを形成し、ねじ結合してもよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、さや管ダクトスリーブの移動を確実に防止するとともに、その配列を常に一定に保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0031】
図1には、本発明の通信用管路とハンドホールとの接続構造の一実施形態が示されている。
【0032】
この接続構造は、通信用管路1と、RC(鉄筋コンクリート)製のハンドホール4の側壁41に形成された貫通孔41aに固定される基側本体管ダクトスリーブ5および該基側本体管ダクトスリーブ5に嵌合可能な先側本体管ダクトスリーブ6と、さや管ダクトスリーブ7および該さや管ダクトスリーブ7に接続可能なスリーブ8と、固定板9と、から構成されている。
【0033】
通信用管路1は、本体管2の内部に複数本のさや管3が挿入され、各さや管3には、光通信ケーブル(図示せず)がそれぞれ挿通されている。そして、本体管2は、これまでと同様に、ハンドレイアップなどによって成形されたFRP管であって、一端部に差し口を、他端部に受け口をそれぞれ有し、一の本体管2の受け口に他の本体管2の差し口が嵌合されて延設されている。
【0034】
ここで、地盤変動などによっても一の本体管2の受け口から他の本体管2の差し口が離脱しないように嵌合長さが設定されている。また、さや管3も、一端部に差し口を、他端部に受け口をそれぞれ有し、一のさや管3の受け口に他のさや管3の差し口が嵌合させるとともに、接着剤を介して固定される。
【0035】
基側本体管ダクトスリーブ5および先側本体管ダクトスリーブ6は、塩化ビニル製であって、基側本体管ダクトスリーブ5は、図2に示すように、一端近傍の周方向に段差部51を有するとともに、他端部に受け口5aを有し、受け口5aを外方に向けた状態で、かつ、段差部51をハンドホール4の側壁41の外面に接近した状態で、その一端部がハンドホール4の貫通孔41aに固定されている。
【0036】
ここで、基側本体管ダクトスリーブ5の受け口5aには、後述するように、先側本体管ダクトスリーブ6の差し口6bが接着剤を介して嵌合固定されるようになっており、ハンドホール4の外面より突出する基側本体管ダクトスリーブ5の長さは、先側本体管ダクトスリーブ6の差し口6bとの接着代、例えば、10cmに相当する長さだけあればよい。このため、予め基側本体管ダクトスリーブ5をハンドホール4に固定して現場に輸送する場合、ハンドホール4からの基側本体管ダクトスリーブ5の突出長さを可及的に小さくすることができ、輸送が容易になるとともに、輸送時の破損などを削減することができる。
【0037】
先側本体管ダクトスリーブ6は、図3に示すように、一端部に基側本体管ダクトスリーブ5の受け口5aに嵌合可能な差し口6bを有するとともに、他端部に通信用管路1を構成する本体管2の差し口2bが嵌合可能な受け口6aを有し、該受け口6aには、本体管2の地盤変動などによっても本体管2が抜け出さない範囲内に位置して止水用ゴムリング10が装着されている。
【0038】
さや管ダクトスリーブ7は、図4(a)に示すように、一端部に後述する固定板9の固定穴9aに嵌挿可能な縮径部7aを有し、他端部を通して通信用管路1を構成するさや管3の差し口が摺動自在に嵌合されるように設定されている。また、スリーブ8は、図4(b)に示すように、さや管ダクトスリーブ7の縮径部7aに嵌合可能な内径を有する短管である。
【0039】
固定板9は、図5に示すように、さや管ダクトスリーブ7の縮径部7aを嵌挿可能な最大個数の固定穴9aを形成したもので、後述するように、基側本体管ダクトスリーブ5の段差部51と先側本体管ダクトスリーブ6の差し口6bの端部との間で挟み込まれて固定されるようになっている。このように、固定板を機械的に固定するため、素材の制約は発生せず、これまでと同様に塩化ビニルの他、鋼板やFRP板などを採用することができる。
【0040】
この場合、固定穴9aとして、穴径の異なる場合を例示したが、同一の穴径の固定穴9aであってもよい。
【0041】
次に、このように構成された接続構造の施工手順について説明する。
【0042】
まず、受け口5aを外方に向けて基側本体管ダクトスリーブ5の一端部が貫通孔41aに固定されたハンドホール4を予め製作し、これを敷設現場に設置し、発進側ハンドホールとする。また、先側本体管ダクトスリーブ6、さや管ダクトスリーブ7、スリーブ8、固定板9、通信用管路1を構成する複数本の本体管2およびさや管3を敷設現場に運び込んでおく。
【0043】
次いで、固定板9の各固定穴9aに、対応する直径のさや管ダクトスリーブ7の縮径部7aをそれぞれ嵌挿するとともに、該さや管ダクトスリーブ7の縮径部7aに接着剤を塗布してスリーブ8を嵌合し、固定板9に対してさや管ダクトスリーブ7をスリーブ8を介して固定する(図6参照)。
【0044】
この際、固定板9に形成し得る最大個数の固定穴9aを開けておくと、さや管3の増設が必要になったときにおいて、固定穴9aに余裕があれば、現場でさや管3に対応するさや管ダクトスリーブ7を固定板9にスリーブ8を介して固定することができる。
【0045】
固定板9の必要とする固定穴9aについて、スリーブ8を介してさや管ダクトスリーブ7をそれぞれ固定したならば、さや管ダクトスリーブ7を固定した固定板9を基側本体管ダクトスリーブ5の受け口5aからその段差部51に当接するまで挿入する(図7参照)。次いで、先側本体管ダクトスリーブ6の差し口6bに接着剤を塗布して基側本体管ダクトスリーブ5の受け口5aから挿入し、その端部を固定板9に当接させる。この際、基側本体管ダクトスリーブ5の受け口5aと、先側本体管ダクトスリーブ6の差し口6bとが接着剤を介して固定されるとともに、接着剤が固定板9の外周縁部に付着し、固定板9は、基側本体管ダクトスリーブ5の段差部51と、先側本体管ダクトスリーブ6の差し口6bの端部に挟み込まれて固定される(図8参照)。
【0046】
この後、さや管ダクトスリーブ6に対して短尺、具体的には、1m程度の長さのさや管3A(図1参照)の差し口を摺動自在に嵌合し、短尺なさや管3Aの受け口に定尺、具体的には、5m程度の長さのさや管3の差し口を接着剤を介して嵌合固定する。次いで、先側本体管ダクトスリーブ6の受け口6aに、本体管2の差し口を嵌合する。以下同様に、先に施工されたさや管3の受け口に、次段のさや管3の差し口を嵌合固定する一方、先に施工された本体管2の受け口に、次段の本体管2の差し口を嵌合することを交互に繰り返し、到達側ハンドホール4に向けて延設する。
【0047】
ここで、さや管ダクトスリーブ7に、短尺なさや管3Aを摺動自在に嵌合することにより、さや管3が熱伸縮した際に、その受け口がさや管ダクトスリーブ7の先端に当接し、それ以上の移動が阻止される。したがって、到達側ハンドホール4のさや管ダクトスリーブ7からのさや管3の抜け出しを防止することができる。
【0048】
なお、前述した実施形態においては、さや管ダクトスリーブ7の一端部に縮径部7aを形成する一方、このさや管ダクトスリーブ7の縮径部7aに嵌合可能なスリーブ8を用意し、また、固定板9の各固定穴9aを、さや管ダクトスリーブ7の縮径部7aの外径よりも大きく、スリーブ8の外径よりも小さく形成して、現場にて固定板9に対してさや管ダクトスリーブ7をスリーブ8を利用して固定する構造としたが、工場などで固定板9に対してさや管ダクトスリーブ7を固定する場合は、さや管ダクトスリーブ7に縮径部7aを形成したり、該縮径部7aに合わせてスリーブ8を用いる必要はない。すなわち、直管状のさや管ダクトスリーブ7の外径に合わせて固定穴9aを固定板9に形成することができるときには、さや管ダクトスリーブ7の一端部を固定板9の各固定穴9aに嵌合し、接着剤などを利用して固定するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
以上のように本発明によれば、さや管ダクトスリーブの配列を常に一定に保持できるとともに、その移動を確実に防止でき、光通信ケーブルの敷設に要する工期を大幅に短縮することができ、高速通信網の構築に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の通信用管路とハンドホールとの接続構造の一実施形態を示す断面図である。
【図2】ハンドホールの貫通孔に固定された基側本体管ダクトスリーブの断面図である。
【図3】先側本体管ダクトスリーブの断面図である。
【図4】さや管ダクトスリーブおよびスリーブの断面図である。
【図5】固定板の正面図および側面図である。
【図6】固定板に対してさや管ダクトスリーブをスリーブを介して固定した工程を説明する断面図およびそのA部拡大図である。
【図7】さや管ダクトスリーブを固定した固定板を基側本体管ダクトスリーブに嵌挿した工程を説明する断面図である。
【図8】基側本体管ダクトスリーブに先側本体管ダクトスリーブを嵌合固定するとともに、固定板を固定する工程を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 通信用管路
2 本体管
3,3A さや管
4 ハンドホール
41 側壁
41a 貫通孔
5 基側本体管ダクトスリーブ
5a 受け口
51 段差部
6 先側本体管ダクトスリーブ
6a 受け口
6b 差し口
7 さや管ダクトスリーブ
7a 縮径部
8 スリーブ
9 固定板
9a 固定穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれに光通信ケーブルが挿通された複数本のさや管が大径の本体管内に挿入された通信用管路とハンドホールとの接続構造において、一端部近傍に段差部を有するとともに、他端部に受け口を有する基側本体管ダクトスリーブと、該基側本体管ダクトスリーブの受け口に嵌合可能な差し口を一端部に有するとともに、本体管の差し口が嵌合可能な受け口を他端部に有する先側本体管ダクトスリーブと、さや管の差し口が摺動自在に嵌合可能な受け口を有するさや管ダクトスリーブと、基側本体管ダクトスリーブの段差部に係止可能な外径を有するとともに、さや管ダクトスリーブの外径に対応する複数個の固定穴が形成された固定板とからなり、ハンドホールの側壁に形成された貫通孔に、受け口を外方に向けて基側本体管ダクトスリーブの一端部が固定され、また、固定板の各固定穴にさや管ダクトスリーブがそれぞれ嵌挿固定され、該複数本のさや管ダクトスリーブを固定した固定板が基側本体管ダクトスリーブの段差部に係止されるとともに、端部を固定板に当接させて先側本体管ダクトスリーブの差し口が基側本体管ダクトスリーブの受け口に嵌合固定されることを特徴とする通信用管路とハンドホールとの接続構造。
【請求項2】
前記さや管ダクトスリーブの一端部に縮径部が形成され、また、固定板の固定穴がさや管ダクトスリーブの縮径部の外径よりも大径で、さや管ダクトスリーブの縮径部に嵌合可能なスリーブの外径よりも小径であり、固定板の固定穴に嵌挿されたさや管ダクトスリーブの縮径部にスリーブが嵌合固定されて、固定板の各固定穴にさや管ダクトスリーブがそれぞれ固定されることを特徴とする請求項1記載の通信用管路とハンドホールとの接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−300188(P2006−300188A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−121468(P2005−121468)
【出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】