説明

通信端末装置

【課題】本発明は、パケット通信に利用可能な空きスロットが無い場合でもパケット通信に利用するスロットを決定することを目的とする。
【解決手段】本発明は、自車両Aに搭載された通信端末装置1の車車間通信情報処理部11が、パケット通信に利用できるFREEスロットが無いと判定した場合、GPSアンテナ2aが取得した位置情報、受信状態信号解析部8がして得られた周囲の車両の位置情報に基づいて、自車両Aの後方にある車両Dと車両Eのスロットの利用状況を重み付けしてパケット通信に利用するスロットを決定することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車々間通信に用いられる通信端末装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、事故低減、衝突回避につながる予防安全技術として、車々間通信を用いた安全運転支援システムが検討されている。この車々間通信では、自律分散型の通信プロトコルが用いられる(例えば非特許文献1を参照)。
【0003】
各車両に搭載された通信端末装置は、過去1フレーム分のスロットの利用状況を観察し、この利用状況をフレーム情報であるFI(Frame Information)として自身の送信パケットに含めて周囲の他の通信端末装置にパケット送信する。各通信端末装置は、周囲の通信端末装置から受信したパケットに含まれるFIにより、自身の通信の成否や、空きスロットを把握する。FIには、たとえば、受信成功(ACK)、受信失敗(NACK)、パケット衝突(RTC)、空き(FREE)の情報が含まれる。
【0004】
快適な車々間通信のためには、パケットの衝突確率を下げることが必要である。パケットの衝突確率を下げるには、GPSの時刻などに同期したスロット通信が好ましい(例えば、非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】原田知育、鈴木徳祥、牧戸知史、伊藤修朗、林宏明、寺田重雄「自律分散型TDMA車車間通信システムの開発」(情報処理学会研究報告Vol.2007 No.116 Nov2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、非特許文献1では、自車両の周囲に総スロットを超える車両が存在する場合に空きスロットが無いために、パケット通信を行うことができなくなることがあった。
【0007】
この問題について、図5〜図7を用いて具体的に説明する。
【0008】
図5は、各車両に搭載された通信端末装置1の構成を示すブロック図である。図5に示すように、通信端末装置1は、アンテナ2と、GPSアンテナ2aと、無線受信部3と、無線送信部4と、アクセス制御部5と、スイッチ6と、受信ベースバンド部7と、受信状態信号解析部8と、受信状態信号生成部9と、送信ベースバンド部10と、車車間通信情報処理部11とを備える。アンテナ2は、スイッチ6を介して無線受信部3または無線送信部4との接続を切り替えられる。GPSアンテナ2aは、GPS衛星から位置情報を受信する。無線受信部3は、アンテナ2を介して、他車両に搭載された別の通信端末装置からパケット情報を受信する。無線送信部4は、アンテナ2を介して、他車両に搭載された別の通信端末装置にフレームのスロットを利用したパケット情報を送信する。アクセス制御部5は、無線受信部3および無線送信部4と接続し、スイッチ6によるアンテナ2と無線受信部3および無線送信部4との接続の切り替えを制御する。受信ベースバンド部7は、無線受信部3と接続され、無線受信部3が受信したパケット情報を復調する。受信状態信号解析部8は、受信ベースバンド部7と接続され、受信ベースバンド部7によって復調されたパケット情報に含まれるFI情報を解析する。受信状態信号解析部8は、アクセス制御部5に接続され、解析結果に基づいてスイッチ6を切り替える。これにより、無線受
信部3と無線送信部4を制御することができる。受信状態信号生成部9は、アクセス制御部5に接続され、受信状態信号解析部8の解析結果に基づいて、受信状態信号を生成する。車車間通信情報処理部11は、GPSアンテナ2a、受信ベースバンド部7、受信状態信号解析部8、受信状態信号生成部9、および、送信ベースバンド部10と接続され、FI情報に基づいて送信スロットを決定して通信端末装置1における送信処理と受信処理の管理を行う。車車間通信情報処理部11は、受信ベースバンド部7から得たパケット情報を処理し、外部に送信するためのパケット情報を送信ベースバンド部10に送る。なお、外部に送信するためのパケット情報には、GPSアンテナ2aから得た通信端末装置1自身の位置情報も含んでいる。送信ベースバンド部10では、車車間通信情報処理部11から得たパケット情報と、受信状態信号生成部9から得た受信信号とを変調して、無線送信部4にこの変調信号を送る。無線送信部4は、アンテナ2を介してこの変調信号を外部に送信する。
【0009】
図6は、通信端末装置1が搭載された各車両の位置関係を説明する図である。以下、各車両が「通信する」とは、各車両に搭載された通信端末装置1が無線受信部3および無線送信部4を用いて通信することを意味する。図6において、紙面の下から上に向かう方向が車両Aの進行方向である。また、範囲61は、車両Aが直接パケット通信可能な範囲である。すなわち、車両Aは、車両Bと車両Dと直接パケット通信可能であるが車両Cと車両Eとは直接パケット通信できない。図7は、車両A〜Eが送信するFI情報に含まれるスロットの利用状況の一例を説明する図である。車両Aは、スロット2を送信スロットとして利用している。また、車両Aは、スロット4とスロットNでパケットを受信していない。図6に示されるように、車両Aは、車両Bと車両Dからスロットの利用状況を含むFI情報を受信することができる。車両Aの車車間通信情報処理部11は、現在送信スロットとして利用しているスロット2がなんらかの理由で使用不能になった場合(たとえば受信状態信号解析部8が、範囲61に入ってきた他の車両から、スロット2がRTCスロットであると判定した場合)、受信状態信号生成部9が生成した受信状態信号を解析する。具体的には、車両Aの車車間通信情報処理部11は、FREEスロットがあるか否かを解析する。車両Aの車車間通信情報処理部11は、スロット4とスロットNがFREEスロットであるので、受信状態信号解析部8に、車両Bと車両Dから得たFI情報に含まれるスロット4とスロットNの利用状況を解析させる。具体的には、受信状態信号解析部8は、スロット4またはスロットNについて、車両Bから得たFI情報と車両Dから得たFI情報がともにFREEスロットであるか否かを判定する。ここで、受信状態信号解析部8は、車両Bから得たFI情報、車両Dから得たFI情報ともにFREEスロットであるのはスロット4であると判定する。この解析結果にもとづいて、車両Aの車車間通信情報処理部11は、スロット4を送信スロットに設定する。
【0010】
しかし、車両Bと車両Dから得たFI情報においてともにFREEスロットであるスロットが無いと受信状態信号解析部8が判定した場合、車車間通信情報処理部11は、送信スロットを設定することができない。図8は、車両A〜Gが送信するFI情報に含まれるスロットの利用状況の別な例を説明する図である。図8によれば、車両Gがスロット4を送信スロットに利用していることにより、車両DのFI情報においてスロット4がNACKスロットとなっている。このため、車両Aの受信状態信号解析部8は、車両BのFI情報ではスロット4もスロットNもFREEスロットだが、車両DのFI情報ではスロット4もスロットNもNACKスロットでありFREEスロットではないことを解析する。そして、車両Aの受信状態信号解析部8は、車両Bから得たFI情報と車両Dから得たFI情報がともにFREEスロットであるFREEスロット無しと判定する。したがって、車両Eや車両Gのように、車両が増加すると、パケット送信を行うことができなくなるという問題があった。また、車両Eや車両G以外にも車両が増え、スロット数を超える車両が周囲に存在するとパケット衝突により通信効率が急激に低下する。
【0011】
本発明の目的は、パケット通信に利用可能な空きスロットが無い場合でもパケット通信に利用するスロットを決定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一局面である通信端末装置は、判定手段が、パケット通信に利用できる空きスロットが無いと判定した場合、取得手段が取得した位置情報に基づいて、自装置後方にある別の通信端末装置のフレームにおけるスロットの利用状況を重み付けしてパケット通信に利用するスロットを決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、スロット数に対して車両台数が増えた場合であっても各車両に搭載された通信端末装置からパケット送信を行うことができ、通信効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態1の通信端末装置の構成を説明するブロック図
【図2】本発明の実施の形態1の通信端末装置が搭載された各車両の位置関係を説明する図
【図3】本発明の実施の形態1の車車間通信情報処理部による送信スロットを決定する処理のフローチャート図
【図4】本発明の実施の形態1の車両A〜Eに搭載された各通信端末装置が送信するFI情報とスロットの重み付けを説明する図
【図5】従来の通信端末装置の構成を説明するブロック図
【図6】従来の通信端末装置が搭載された各車両の位置関係を説明する図
【図7】従来の車両A〜Eが送信するFI情報に含まれるスロットの利用状況の一例を説明する図
【図8】従来の車両A〜Gが送信するFI情報に含まれるスロットの利用状況の別な例を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1について図面を用いて説明する。なお、従来例と同じ構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0016】
まず、本発明の通信端末装置1の構成について、図1を用いて説明する。
【0017】
図1は、本発明の通信端末装置1の構成を説明するブロック図である。
【0018】
図1に示されるように、車車間通信情報処理部11は、重み付け処理部12を備える。重み付け処理部12は、車車間通信情報処理部11が送信スロットを決定する際に、アンテナ2、無線受信部3やGPSアンテナ2aを介して取得した各種情報を用いてスロットの重み付けを行う。すなわち、重み付け処理部12は、GPSアンテナ2aから得た自車両の位置情報や受信状態信号生成部9で生成した自装置のFIスロットの利用状況、無線受信部3が受信したFI情報を受信状態信号解析部8が解析することによって得た他車両の位置情報やスロットの利用状況に基づいて、スロットの重み付けを行う。車車間通信情報処理部11は、この重み付け処理部12の処理結果によって、送信スロットを決定する。
【0019】
図2は、通信端末装置1が搭載された各車両の位置関係を説明する図である。
【0020】
本実施の形態では、図2に示される車両Aを「自車両」とし、他の車両を「周囲の車両」とする。また、車両B、車両Cは、自車両Aの前方に位置する。一方、車両D、車両Eは、自車両Aの後方に位置する。自車両Aの進行方向は、車両Bと車両Dの進行方向と同じであり、車両Cと車両Eの進行方向とは逆である。自車両Aは、通信可能範囲21内に存在する車両B、車両Dとパケット通信することができるが、通信可能範囲21外に存在する車両C、車両Eとはパケット通信できない。
【0021】
次に、車車間通信情報処理部11が送信スロットを決定する処理について説明する。
【0022】
図3は、車車間通信情報処理部11による送信スロットを決定する処理のフローチャート図である。
【0023】
まず、図3のステップS31に示すように、車車間通信情報処理部11は、受信状態信号解析部8に自身が保持しているFI情報を解析させて、周囲の車両とパケット通信することができるか否かを確認する。ステップS31でNOの場合、すなわち、受信状態信号解析部8が、周囲の車両とパケット通信できていないと判定すると、ステップS32に示すように、車者間通信情報処理部11は任意のスロットを送信スロットに決定して無線送信部4にパケット送信を開始させる。一方、ステップS31でYESの場合、すなわち、受信状態信号解析部8が、周囲の車両とパケット通信できていると判定すると、ステップS33に示すように、車車間通信情報処理部11は、受信状態信号解析部8に自車両Aがパケットを受信しなかったFREEスロットを集計させる(A群)。
【0024】
次に、ステップS34に示すように、車車間通信情報処理部11は、受信状態信号解析部8に周囲の車両のFI情報を解析させる。そして、車車間通信情報処理部11は、全てのFI情報でFREEのスロットを集計する(A’群)。すなわち、車車間通信情報処理部11は、受信状態信号解析部8に周囲の車両B〜EのFI情報を解析させる。車車間通信情報処理部11は、この解析結果から、車両B〜E全てに共通するFREEスロットを集計する。
【0025】
次に、ステップS35に示すように、車車間通信情報処理部11は、A群とA’群でともにFREEのスロットが存在するか否かを判定する。ステップS35でYESの場合、すなわち、車車間通信情報処理部11は、A群とA’群でともにFREEのスロットが存在すると判定した場合、ステップS36に示すように、A群、A’群ともにFREEのスロットのうち任意のスロットを送信スロットに決定して無線送信部4にパケット送信を開始させる。一方、ステップS35でNOの場合、すなわち、車車間通信情報処理部11は、A群とA’群でともにFREEのスロットが存在せず、パケット通信に利用可能なFREEスロット(空きスロット)が存在しないと判定した場合、ステップS37に示すように、周囲の車両のうち自車両の進行方向に位置する車両のFI情報のみを受信状態信号解析部8に解析させる。そして、車車間通信情報処理部11は、全てのFI情報でFREEのスロットを集計する(B群)。すなわち、車車間通信情報処理部11は、GPSアンテナ2aが受信した自車両の位置情報と、受信状態信号解析部8が解析して得た周囲の各車両の位置情報とに基づいて、自車両Aの前方車両が車両Bと車両Cであることを判定する。そして、自車両Aの受信状態信号解析部8に自車両Aの前方車両である車両Bと車両CのFI情報を解析させる。車車間通信情報処理部11は、この解析結果から、車両Bと車両Cで共通するFREEスロットを集計する。
【0026】
次にステップS38に示すように、車車間通信情報処理部11は、受信状態信号解析部8に自車両の進行方向以外に位置する車両のFI情報を解析させる。そして、この解析されたFI情報について、重み付け処理部12は、重み付けを行う。車車間通信情報処理部11は重み付け処理部12の重み付けにより閾値に達したスロットを集計する(C群)。
すなわち、車車間通信情報処理部11は、GPSアンテナ2aから取得した自車両の位置情報と受信状態信号解析部8の解析により取得した周囲の各車両の位置情報とに基づいて、自車両Aの後方車両が車両Dと車両Eであることを判定する。そして、車車間通信情報処理部11は、受信状態信号解析部8に自車両Aの後方車両である車両Dと車両EのFI情報を解析させる。この解析結果を用いて、重み付け処理部12は、車両Dと車両EのFI情報について重み付けを行う。車車間通信情報処理部11は、この重み付けされたスロットのうち閾値に達したスロットを集計する。
【0027】
次に、ステップS39に示すように、車車間通信情報処理部11は、A群、B群ともにFREEのスロットがあり、かつ、そのスロットがC群に含まれるか否かを判定する。ステップS39でYESの場合、ステップS40に示すように、車車間通信情報処理部11は、該当するスロットのうち任意のスロットを送信スロットに決定して無線送信部4にパケット送信を開始させる。なお、重み付けが閾値以上のスロットが複数ある場合、車車間通信情報処理部11は、任意のスロットを送信スロットに設定してもよいし、重み付けが最も大きいスロットを送信スロットに設定してもよい。一方、ステップS39でNOの場合、ステップS41に示すように、車車間通信情報処理部11は、任意時間待機して再度ステップS31の処理を行う。
【0028】
以上の処理により、自車両と周囲の全車両で共通するFREEスロットが無い場合であっても、パケット衝突の危険性を抑えつつスループットを向上させることができる。車車間通信情報処理部11が送信スロットを決定するに際し、ステップS37において、自車両の前方車両について共通するFREEスロットであることを条件としたのは、自車両の前方車両については今後自車両と近接する可能性が高く、FREEスロット以外のスロットを送信スロットにするとパケット衝突が起こる可能性が高いからである。また、ステップS38において、自車両の後方車両についてFREEスロット以外のスロットであっても送信スロットに決定することを可能としたのは、後方車両であれば今後自車両と距離が離れていく可能性が高く、FREEスロットを送信スロットに用いなくても前方車両と比較してパケット衝突が起こる可能性が低いからである。
【0029】
次に、車両A〜EのFI情報に基づいて自車両Aの通信端末装置1が送信スロットを決定する処理を図4を用いて説明する。
【0030】
図4は、車両A〜Eに搭載された各通信端末装置が送信するFI情報とスロットの重み付けを説明する図である。各通信端末装置1の受信状態情報解析部8で解析されるスロット数はNである。
【0031】
図4に示されるように、自車両Aがパケットを受信しなかったスロット(FREEスロット)は、スロット4とスロットNである。したがって、ステップS33で車車間通信情報処理部11は、スロット4とスロットNをA群に集計する。
【0032】
また、ステップS34で車車間通信情報処理部11は、周囲の全車両B〜EでFREEとなるスロットをA’群に集計するが、図4に示されるように、A’群に集計されるスロットは存在しない。
【0033】
次に、ステップS37で車車間通信情報処理部11は、受信状態情報解析部8に前方車両である車両B、車両Cについて共通するFREEスロットを解析させる。図4に示されるように、車車間通信情報処理部11は、スロット4とスロットNをB群に集計する。
【0034】
次に、ステップS38で車車間通信情報処理部11は、受信状態情報解析部8に後方車両である車両D、車両Eについて解析させる。そして、重み付け処理部12は、FI情報
からこの車両D、車両Eの各スロットについて重み付けを行う。重み付け処理部12は、重み付け量を送信スロットのとき「−3」、ACKのとき「−1」、NACKやRTCのとき「2」、FREEのとき「3」に設定する。また、重み付け処理部12は、C群に含めるか否かの重み付け閾値を「0」に設定する。なお、重み付け処理部12は、重み付け量や重み付け閾値の値を任意に設定できる。重み付け処理部12によって、図4に示されるように、スロット1の重み付け量は「5」、スロット2の重み付け量は「2」、スロット3の重み付け量は「5」、スロット4の重み付け量は「1」…スロットN−1の重み付け量は「−1」、スロットN−1の重み付け量は「−1」に設定される。したがって、ステップS38で車車間通信情報処理部11は、重み付け閾値「0」以上のスロット1〜スロット4をC群に集計する。
【0035】
そして、ステップS39で車車間通信情報処理部11は、A群、B群ともにFREEであり、かつ、C群に含まれるスロットが「スロット4」であると判定する。この判定結果からステップS40で車車間通信情報処理部11は、「スロット4」を送信スロットに設定して無線送信部4にパケット送信を開始させる。
【0036】
以上により、本発明の通信端末装置1によれば、車車間通信情報処理部11が、パケット通信に利用できる空きスロット(FREEスロット)が無いと判定した場合であっても、GPSアンテナ2aから取得した自車両の位置情報と、受信状態信号解析部8の解析により取得した周囲の各車両の位置情報とに基づいて、自車両より後方の車両の通信端末装置1のフレームにおけるスロットの利用状況を重み付けして、パケット通信に利用するスロットを決定することができる。これにより、スロット数に対して、車両台数が増えた場合であっても、各車両がパケット送信することができる機会が増え、スループットを向上させることができる。
【0037】
(変形例1)
本実施の形態1の車車間通信情報処理部11は、GPSアンテナ2aからの位置情報と受信状態信号解析部8の解析により取得した周囲の各車両の位置情報とに基づいて自車両Aの周囲の車両が前方車両であるか後方車両であるかを判断したが、変形例1では、さらに詳細な判断を行ってもよい。すなわち、車車間通信情報処理部11は、GPSアンテナ2aからの位置情報と受信状態信号解析部8が解析した周囲の各車両の位置情報とを周期的に得て時間的な変化を演算することで、自車両Aに周囲の車両が近づいているのか遠ざかっているのか、換言すれば、進行方向が同じか否かを判断することができる。この場合、ステップS37でいう「自車両の進行方向に位置する車両」を「前方車両」、および、「後方車両でかつ進行方向が自車両と同じ車両」に変更してもよい。このとき、ステップS38でいう「自車両の進行方向以外に位置する車両」は、「後方車両でかつ進行方向が自車両と異なる車両」となる。「後方車両でかつ進行方向が自車両と異なる車両」であれば、今後自車両と離れていくので、自車両に搭載された通信端末装置1の車車間通信情報処理部11が決定するスロットが、「後方車両でかつ進行方向が自車両と異なる車両」に搭載された通信端末装置1にとってFREEスロットでなくても、パケット衝突が起こる可能性は低くなる。したがって、本変形例によれば、車車間通信情報処理部11が「後方車両」のスロットについて重み付けを行う実施の形態1の通信端末装置1よりも、パケット衝突する可能性を低くすることができる。
【0038】
(変形例2)
変形例1では、ステップS37、ステップS38で判定対象とする車両を変更したが、変形例2では、重み付け処理部12が重み付けに軽重をつけてもよい。すなわち、重み付け処理部12は、「自車両より後方車両でかつ進行方向が自車両と同じ車両」については通常の重み付けを行い、「自車両より後方車両でかつ進行方向が自車両と異なる車両」については、例えば全体的に重み付けを倍にするなど、通常より重み付けを大きくしてもよ
い。本変形例2によっても、車車間通信情報処理部11が「後方車両」のスロットについて重み付けを行う実施の形態1の通信端末装置1よりも、パケット衝突する可能性を低くすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明に係る通信端末装置は、自律分散型の車々間通信に有用である。
【符号の説明】
【0040】
1 通信端末装置
2 アンテナ
2a GPSアンテナ
3 無線受信部
4 無線送信部
8 受信状態情報解析部
11 車車間通信情報処理部
12 重み付け処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両に搭載されて周囲の他の各車両と自律分散型の車々間通信を行う通信端末装置であって、
フレームにおける特定のスロットを利用して別の通信端末装置とパケット通信する通信手段と、
自装置と前記別の通信装置の位置情報、および、前記別の通信装置による前記フレームにおけるスロットの利用状況を示した情報を取得する取得手段と、
この取得手段によって取得された情報に基づいて前記フレームにおけるスロットの利用状況を判定する判定手段とを備え、
前記判定手段は、パケット通信に利用できる空きスロットが無いと判定した場合、前記取得手段が取得した位置情報に基づいて、自装置後方にある前記別の通信端末装置のフレームにおけるスロットの利用状況を重み付けしてパケット通信に利用するスロットを決定する
ことを特徴とする通信端末装置。
【請求項2】
前記判定手段は、自装置と進行方向が異なり、かつ、後方にある前記別の通信端末装置のフレームにおけるスロットの利用状況を重み付けしてパケット通信に利用するスロットを決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−109357(P2011−109357A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−261539(P2009−261539)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】