通信装置、ネットワーク及びそれらに用いる通信方法
【課題】 CCM占有帯域以外に新たな帯域を使用せず、CCM以外のデータを通信することが可能な通信装置を提供する。
【解決手段】 通信装置(1)は、対向装置から所定の周期で送信されるCCMの受信間隔を監視し、CCMを所定の周期で受信している場合にCCMが経由した伝送路に問題がないと判断する。通信装置(1)は、CCMと任意の情報が重畳されたCCMとを作成する作成手段(CCM送信部11)と、作成手段にて作成されたCCMと任意の情報が重畳されたCCMとをそれぞれ予め設定された間隔で対向装置に送信する手段(CCM送信部11)とを有する。
【解決手段】 通信装置(1)は、対向装置から所定の周期で送信されるCCMの受信間隔を監視し、CCMを所定の周期で受信している場合にCCMが経由した伝送路に問題がないと判断する。通信装置(1)は、CCMと任意の情報が重畳されたCCMとを作成する作成手段(CCM送信部11)と、作成手段にて作成されたCCMと任意の情報が重畳されたCCMとをそれぞれ予め設定された間隔で対向装置に送信する手段(CCM送信部11)とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信装置、ネットワーク及びそれらに用いる通信方法に関し、特に現用系の伝送路及び予備系の伝送路を使用する通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上述した冗長構成のネットワークの構成例を図11に示す。図11において、上述したネットワークは、中継装置4と中継装置5とを2つの伝送路201,202によって接続して構成されている。ここで、伝送路201は現用系として使用されており、伝送路202は予備系となっている。
【0003】
中継装置4及び中継装置5は、伝送路201,202を介して、対抗の通信装置に対してイーサネット(登録商標)OAM(Operations,Administration and Maintenance)のCCM(Continuity Check Message)を所定の周期で送信している(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0004】
そのCCMを受信した中継装置4及び中継装置5は、そのCCMの受信間隔を監視し、所定の周期で受信している場合、経由した伝送路に問題がないと判断している。
【0005】
中継装置4及び中継装置5は、もしCCMをあるタイムアウト時間以上受信できない場合、その伝送路に何らかの障害が生じていることを検出することができる。現用系の伝送路201で異常を検出した場合は、伝送路202を予備系から現用系へと切替え(プロテクション切替え)を行うことができる。
【0006】
このイーサネット(登録商標)OAMを用いたネットワーク冗長手法の例としては、ITU−T(International Telecommunication Union−Telecommunication Standardization Sector) G.8031『Ethernet(登録商標) linear protection switching』や、ITU−T G.8032『Ethernet(登録商標) ring protection switching』がある。
【0007】
このネットワーク冗長手法においては、CCMの送受信周期が短いほど早く障害検出を行えるため、早期に回復が必要なネットワークにおいてはCCMの送受信周期は短いことが求められる。イーサネット(登録商標)OAM勧告における最短周期の1/300秒(3.33ミリ秒)が選択されていることも少なくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−194623号公報
【特許文献2】特開2009−200849号公報
【特許文献3】特開2011−010047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した冗長構成のネットワークでは、DSL(Digital Subscriber Line)や無線等の低速な伝送路で、プロテクション切替えを行うための短周期CCMを使用する場合、そのCCMの送受信によって帯域を圧迫するという問題がある。
【0010】
例を挙げると、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.3のイーサネット(登録商標)で、短周期1/300秒でのCCM送受信で使用する帯域は、271kbps以上である。これは、数Mbpsの伝送路において、常に数%以上の帯域がCCMに占有されることになる。
【0011】
ここで、CCM送受信で使用する帯域は、
Ethernet(登録商標)フレーム(untag)+CCM:93 octets
プリアンブル+SFD:8 octets
最小IFG:12 octets
として、
(93+8+12)×8(bit)×300(フレーム毎秒)
=271kbps
と算出される。
【0012】
また、MEG(Maintenance Entity Group) ID(IDentifier)とMEP(MEG End Point) IDは、ITU−T Y.1731での名称である。
【0013】
これらは、IEEE802.1agにおいて、それぞれ、Maintenance Association Identifier(MAID)と、Maintenance association End Point Identifierという名称である。
【0014】
DSLや無線等の低速な伝送路でプロテクション切替えを行うために短周期CCMを使用する場合、そのCCMの送受信によって帯域が圧迫されるという問題がある。
【0015】
そこで、本発明の目的は上記の問題点を解消し、CCM占有帯域以外に新たな帯域を使用せず、CCM以外のデータを通信することができる通信装置、ネットワーク及びそれらに用いる通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明による通信装置は、対向装置から所定の周期で送信されるCCM(Continuity Check Message)の受信間隔を監視し、前記CCMを所定の周期で受信している場合に前記CCMが経由した伝送路に問題がないと判断する通信装置であって、
前記CCMと任意の情報が重畳されたCCMとを作成する作成手段と、
前記作成手段にて作成された前記CCMと前記任意の情報が重畳されたCCMとをそれぞれ予め設定された間隔で対向装置に送信する手段とを備えている。
【0017】
本発明によるネットワークは、上記の通信装置を含むことを特徴とする。
【0018】
本発明による通信方法は、対向装置から所定の周期で送信されるCCM(Continuity Check Message)の受信間隔を監視し、前記CCMを所定の周期で受信している場合に前記CCMが経由した伝送路に問題がないと判断する通信装置に用いる通信方法であって、
前記通信装置が、前記CCMと任意の情報が重畳されたCCMとを作成する作成処理と、前記作成処理にて作成された前記CCMと前記任意の情報が重畳されたCCMとをそれぞれ予め設定された間隔で対向装置に送信する処理とを実行している。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、上記のような構成及び動作とすることで、CCM占有帯域以外に新たな帯域を使用せず、CCM以外のデータを通信することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による通信装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明で用いるITU−T Y.1731勧告におけるCCMフォーマットを示す図である。
【図3】本発明におけるCCM送信周期を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態によるネットワークの構成例を示すブロック図である。
【図5】本発明を使用していない場合のMEP ID情報及びMEG ID情報の送信の仕方を示す図である。
【図6】本発明を用いている場合のMEP ID情報及びMEG ID情報の送信の仕方を示す図である。
【図7】ITU−T Y.1731勧告におけるMEP IDフィールドのフォーマットを示す図である。
【図8】本発明の実施の形態におけるMEP ID情報及びMEG ID情報を含まないCCMのMEP IDフィールドのフォーマットを示す図である。
【図9】本発明の実施の形態によるCCM送信部の動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態によるCCM受信部の動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明に関連する冗長構成のネットワークの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。まず、本発明による通信装置の概要について説明する。本発明による通信装置では、イーサネット(登録商標)上の通信装置で使用されているイーサネット(登録商標)OAM(Operations,Administration and Maintenance)において、CCM(Continuity Check Message)に任意の情報を重畳することを特徴としている。
【0022】
ITU−T(International Telecommunication Union−Telecommunication Standardization Sector) Y.1731勧告におけるCCMのフォーマット中のMEG(Maintenance Entity Group) ID(IDentifier)フィールドとMEP(MEG End Point) IDフィールドとには、誤接続や通信装置間でのイーサネット(登録商標)OAM設定ミスを検出するための情報が格納されている。
【0023】
しかしながら、実用開始後のネットワークを考えると、誤接続や誤設定の監視を3.33ミリ秒周期等の短周期で行う必要性がない場合がある。そこで、MEG IDフィールドとMEP IDフィールドとについて、本来の誤接続や誤設定の異常検出用の情報についてはその検出性を著しく損なわない範囲で間欠的に含まれることを許容し、含まれない場合の空きフィールドには任意の情報の格納を可能にすることで、その追加帯域分をCCM以外のアプリケーションで活用できるようにしている。
【0024】
図1は本発明による通信装置の構成例を示すブロック図であり、図2は本発明で用いるITU−T Y.1731勧告におけるCCMフォーマットを示す図であり、図3は本発明におけるCCM送信周期を示す図である。
【0025】
図1において、通信装置1は、イーサネット(登録商標)上に配置され、イーサネット(登録商標)OAMを解析する機能を持つ、レイヤ2スイッチ等の通信装置である。
【0026】
また、通信装置1は、CCM送信部11と、CCM受信部12と、イーサネット(登録商標)OAM設定情報格納部(以下、OAM設定情報格納部とし、下記で説明する図においてもOAM設定情報格納部と表記する)13とを備えている。
【0027】
CCM送信部11は、OAM設定情報格納部13内に予め定められた情報を基にCCMを生成し、他の装置への送信を行う。但し、このとき、生成するCCMのMEP IDフィールド及びMEG IDフィールド(図2のITU−T Y.1731勧告におけるCCMフォーマット中のMEP IDフィールド及びMEG IDフィールド)については、以下のように生成を行う。
【0028】
(1)ITU−T Y.1731において、本来入力するよう勧告されているMEP ID情報及びMEG ID情報を含むCCMは、図3に示すように、間欠的に生成する。
【0029】
(2)上記の(1)以外の期間では、MEP ID情報及びMEG ID情報を含まず、その空きフィールドに(1)で生成するCCMと区別するためのフラグ情報と任意の情報を格納したCCMとを生成する。
【0030】
CCM受信部12は、OAM設定情報格納部13内に予め定められた情報を基に、他の装置から受信したCCMから自装置MEP宛てのCCMを抽出する。また、抽出を行った自装置MEP宛てのCCMについては、以下の処理を行う。
【0031】
(1)MEP ID情報及びMEG ID情報を含む(フラグ情報を持たない)CCMについては、OAM設定情報格納部13内に予め定められた情報に対して、「同じMEG Levelだが、受信したMEP自身が持つMEG IDと異なるMEG IDを持つCCMフレームの受信(Mismerge)」、「同じMEG Levelで正しいMEG IDを持つが、受信したMEP自身のMEP IDと異なる宛て先MEP IDのCCMフレームの受信(Unexpected MEP)」という2つの異常がないかの確認を行う。
【0032】
(2)MEP ID情報及びMEG ID情報を含まない(フラグ情報を持つ)CCMについては、上記の「Mismerge」及び「Unexpected MEP」の検出を行わない。また、このCCMについては、MEP IDフィールド及びMEG IDフィールドに格納された任意の情報を抽出する。
【0033】
このようにして、本発明では、CCMの誤接続や誤設定を検出するための情報が間欠的に格納されることを許容し、CCMに任意の情報を重畳する機能を持つことで、その重畳分の帯域をCCM以外のアプリケーションで活用することができる。
【0034】
図4は本発明の実施の形態によるネットワークの構成例を示すブロック図である。図4においては、本実施の形態として、CCMに装置制御情報を重畳することにより、新たに使用帯域を増やすことなく、ネットワーク上の装置管理を可能にした構成を示している。
【0035】
図4において、通信装置1は、通信装置2と伝送路101を経由してイーサネット(登録商標)OAMのCCM送受信を行い、接続性の継続監視を行っている。また、通信装置1は、制御端末3からの制御情報を通信装置2に中継する役割も持つ。
【0036】
通信装置2は、通信装置1と伝送路101とを経由してイーサネット(登録商標)OAMのCCM送受信を行い、接続性の継続監視を行っている。また、通信装置2は、制御端末3からの制御情報を基に、自装置状態を転送したり、自装置の機能を変更することができる。
【0037】
制御端末3は、通信装置2の装置状態取得や機能変更を行うための制御情報を生成する機能を持つ。
【0038】
ここでいう制御情報の例としては、SNMP(Simple Network Management Protocol)でのMIB(Management Information Base)情報を挙げることができるが、本発明とは直接関係しないので、その説明については省略する。
【0039】
伝送路101及び伝送路102は、隣接する装置あるいは端末間の通信情報を媒介する手段である。伝送路101及び伝送路102としては、光ファイバやツイストペアケーブル、同軸ケーブル等があげられるが、無線の場合は空気も含まれるため、特にその形態については限定しない。
【0040】
通信装置1のCCM送信部11は、OAM設定情報格納部13に予め設定された情報を基にCCMを生成し、通信装置2のCCM受信部22に向けて送信する機能を持つ。但し、CCMのフォーマット中のMEG IDフィールド及びMEP IDフィールドについては、3回に1回の割合で、MEP ID情報及びMEG ID情報を埋め込むこととする。
【0041】
図5は本発明を使用していない場合のMEP ID情報及びMEG ID情報の送信の仕方を示す図であり、図6は本発明を用いている場合のMEP ID情報及びMEG ID情報の送信の仕方を示す図である。
【0042】
通常のITU−T Y.1731勧告で定められたCCMフォーマットでは、送信される全てのCCMにMEP ID情報及びMEG ID情報が含まれている。
【0043】
一方、本実施の形態では、3回に1回だけMEP ID情報及びMEG ID情報を含むCCM(白棒)を生成する。これは、OAM設定情報格納部13に設定されたCCM送信周期と比較して、MEP ID情報及びMEG ID情報の送信周期を3倍に設定したことを想定した例であるためである。
【0044】
残りの2回のMEP ID情報及びMEG ID情報を含まないCCM(黒棒)に対しては、空きフィールドとなったMEP IDフィールド及びMEG IDフィールドに対して、制御端末3から通信装置2宛ての制御情報と、MEP ID情報及びMEG ID情報を含まないCCMであることを対向装置に通知するためのフラグ情報とを埋め込む。
【0045】
図7はITU−T Y.1731勧告におけるMEP IDフィールドのフォーマットを示す図である。図7において、MEP ID情報は、13bitの整数で表しているため、第9オクテットのMSB(Most Significant Bit)から3bitは“0”固定と定められている。
【0046】
図8は本発明の実施の形態におけるMEP ID情報及びMEG ID情報を含まないCCMのMEP IDフィールドのフォーマットを示す図である。図8において、フラグ情報としては、第9オクテットのMSBから3bitを“1”とする。
【0047】
第9オクテットの残りの5bitである機能IDは、CCMに重畳されたデータの種別を表しており、通信装置のどの機能部宛ての情報なのかを表す。また、機能IDが“0”の場合は、特別に重畳データ自体が無いことを表すこととする。
【0048】
第10オクテットのシーケンス番号は、CCMに重畳されたデータの復元順序を表している。重畳するデータのサイズが大きい場合は、CCM送信側で1つのCCMに収まるサイズに小分けにする必要がある。小分けにされたデータを受信したCCM受信側で元のデータ順序で復元できるように用いられる。
【0049】
また、本実施の形態でのMEP ID情報及びMEG ID情報を含まないCCMのMEG IDフィールドについては、全てデータ格納用として用いており、ITU−T Y.1731勧告におけるMEG IDフィールドのフォーマットとは関連性がない。
【0050】
通信装置1のCCM受信部12は、OAM設定情報格納部13内に予め設定された情報を基に、他の装置から受信したCCMから自装置MEP宛てのCCMを抽出する機能を持つ。また、CCM受信部12は、ETH−CC本来の接続性チェックを行う機能も持つ。
【0051】
具体的には、CCMを最後に受信してからの時間がCCM送受信周期の3.5倍を超えた場合にLOC(Loss of Continuity)異常を検出する。
【0052】
さらに、自装置MEP宛てのCCMのMEP IDフィールドの第9オクテットのMSBから3bitが“0”の場合は、MEP ID情報及びMEG ID情報を含むCCMと判断し、そのCCMの情報がOAM設定情報格納部13に予め設定された情報と合致するかどうかを確認する。
【0053】
本実施の形態では、「同じMEG Levelだが、受信したMEP自身が持つMEG IDと異なるMEG IDを持つCCMフレームの受信(Mismerge)」、「同じMEG Levelで正しいMEG IDを持つが、受信したMEP自身のMEP IDと、異なる宛て先MEP IDのCCMフレームの受信(Unexpected MEP)」という2つの異常を検出することができる。
【0054】
自装置MEP宛てのCCMのMEP IDフィールドの第9オクテットのMSBから3bitが“1”の場合は、MEP ID情報及びMEG ID情報を含まないCCMと判断し、上記の異常検出を行わない。その代わりに、CCM受信部12は、重畳されたデータを抽出する動作を行う。
【0055】
その後、CCM受信部12は、MEPフィールドの機能IDによって定められた適切な機能部宛てにMEG IDフィールド内のデータを転送する動作を行う。本実施の形態では、データとして制御端末3宛ての制御情報を抽出し、制御端末3に向けて送信する動作を行う。
【0056】
OAM設定情報格納部13,23は、「自装置MEPのMEG Level」、「自装置MEPのMEG ID」、「自装置MEPのMEP ID」、「自装置MEPのPeer MEP ID」、「自装置MEPのCCM送受信周期」という情報の読み書きが可能なメモリである。
【0057】
通信装置2のCCM送信部21は、上述した通信装置1のCCM送信部11と同様の機能を持つ。CCM送信部21は、OAM設定情報格納部23に予め設定された情報を基にCCMを生成し、通信装置1のCCM受信部12に向けて送信する機能を持つ。また、本実施の形態では、CCMに重畳するデータは装置制御部24から受信した制御端末3宛ての制御情報である。
【0058】
通信装置2のCCM受信部22は、上述した通信装置1のCCM受信部12と同様の機能を持つ。CCM受信部22は、OAM設定情報格納部23内に予め設定された情報を基に、他の装置から受信したCCMから自装置MEP宛てのCCMを抽出する機能を持つ。また、本実施の形態では、CCMに重畳されたデータが装置制御部24宛ての制御情報である。
【0059】
通信装置2の装置制御部24は、CCM受信部22から受信した制御情報を基に、装置状態の取得、装置の機能変更を行う機能を持つ。また、装置制御部24は、その機能を行った結果を含む制御情報を、CCM送信部21に送信する機能を持つ。
【0060】
図9は本発明の実施の形態によるCCM送信部の動作を示すフローチャートであり、図10は本発明の実施の形態によるCCM受信部の動作を示すフローチャートである。これら図1〜図10を参照して本発明の実施の形態によるCCM送信及びCCM受信部の動作について説明する。
【0061】
まず、図9を参照して図4に示す通信装置1のCCM送信部11及び通信装置2のCCM送信部21の動作について説明する。
【0062】
CCM送信部11,21は、CCMの送信を開始する際、まずOAM設定情報格納部13,23からCCMフォーマットの各フィールドに格納する情報を取得する(図9ステップS1)。
【0063】
また、CCM送信部11,21は、3回に1回だけMEP ID情報及びMEG ID情報を持つCCMを送信するため、何回目のCCMなのかを判別するためのカウンタN(図示せず)を持つ。ステップS1の処理では、このカウンタNの初期値設定も実施している。
【0064】
次に、CCM送信部11,21は、Period waitにおいて、イーサネット(登録商標)OAM設定のCCM送受信周期でCCMを送信するためのウェイトを実施する(図9ステップS2)。
【0065】
CCM送信部11,21は、Period wait後、2つの条件式によって、3通りのCCMを生成して送信する。つまり、CCM送信部11,21は、「N=3」の場合(図9ステップS3のYES)、ITU−T Y.1731フォーマットに準拠した、MEP ID情報、MEG ID情報を持つCCMを生成して送信する(図9ステップS4)。
【0066】
CCM送信部11,21は、「N=3」以外の場合(図9ステップS3のNO)、かつ送信しなければならないデータがある場合(図9ステップS6のYES)、そのデータを重畳したMEP ID情報、MEG ID情報を持たないCCMを生成して送信する(図9ステップS7)。
【0067】
CCM送信部11,21は、「N=3」以外の場合(図9ステップS3のNO)、かつ送信しなければならないデータがない場合(図9ステップS6のNO)、データが重畳されておらず、MEP ID情報、MEG ID情報も持たないCCMを生成して送信する(図9ステップS8)。
【0068】
CCM送信部11,21は、ITU−T Y.1731フォーマットに準拠したCCMを送信した後、カウンタをクリアして再度CCM送受信周期間隔分のウェイトを実施する(図9ステップS5)。また、CCM送信部11,21は、それ以外のCCMを送信した場合は、カウンタを1つ回し、再度、CCM送受信周期のウェイトを実施する(図9ステップS9)。
【0069】
次に、図10を参照して図4に示す通信装置1のCCM受信部12及び通信装置2のCCM受信部22の動作について説明する。
【0070】
CCM受信部12,22は、CCMの受信を開始する際、まずOAM設定情報格納部13,23から、自装置MEP宛てのCCMを抽出するための情報を取得する(図10ステップS11)。
【0071】
その後、CCM受信部12,22は、自装置MEP宛てのCCMを受信した時点で、2つの条件式によって、3通りの処理を実施する。つまり、CCM受信部12,22は、フラグ情報を持たない場合(本実施の形態では、CCMフォーマットの第9オクテットのMSBから3bitが“0”の場合)(図10ステップS14のYES)、ITU−T Y.1731フォーマットに準拠したCCMと判断し、MEP ID情報及びMEG ID情報の確認も含めて、ITU−T Y.1731の勧告通りの受信処理を行う(図10ステップS15)。
【0072】
CCM受信部12,22は、フラグ情報を持つ場合(本実施の形態の場合、CCMフォーマットの第9オクテットのMSBから3bitが“1”の場合)(図10ステップS14のNO)、かつ重畳されたデータがあると判断した場合(本実施の形態では、機能IDが“0”以外の場合)(図10ステップS16のYES)、CCMから重畳されたデータを抽出し、対象の装置内ブロックにそのデータを送信する処理を行う(図10ステップS17)。
【0073】
CCM受信部12,22は、フラグ情報を持つ場合(図10ステップS14のNO)、かつ重畳されたデータが存在しないと判断した場合(本実施の形態では、機能IDが“0”の場合)(図10ステップS16のNO)、データ抽出は行わない(図10ステップS18)。
【0074】
CCM受信部12,22は、処理完了後、再度自装置MEP宛てのCCMを待つ。また、CCM受信部12,22は、自装置MEP宛てのCCMを待つ処理中において、CCM送受信周期の3.5倍以上の期間、受信しなかった場合(図10ステップS13のYES)、LOC(Loss of Continuity)異常を検出する。
【0075】
このように、本実施の形態では、CCMの余剰帯域にデータを重畳しているため、従来のCCM占有帯域以外に新たな帯域を使用せず、CCM以外のデータを通信することができる。
【0076】
また、本実施の形態では、CCM内のMEP IDフィールド及びMEG IDフィールドと自装置のイーサネット(登録商標)OAM設定情報との不一致異常を検出する機能をスキップ可能にしているので、CPU(中央処理装置)やメモリ等の装置リソースの負荷軽減を目的に実装することができる。
【0077】
本発明の実施の形態では、MEP ID情報及びMEG ID情報を含むCCMの送信間隔を、CCM送受信周期の3倍周期に設定している。しかしながら、本発明は、送信間隔の周期的、非周期的に関わらず、効果を発揮することができるため、図3に示すような規則性のない混在も可能である。
【0078】
規則性のない混在例として、通信する必要があるデータが無い場合には、極力、ITU−T Y.1731の勧告フォーマットのCCMを送信する実装が考えられる。
【0079】
また、本発明を用いていない装置(従来装置)と本発明を用いている装置とを対向させる場合、従来装置がCCM送信し、本発明による装置がCCM受信する方向については互換性がある。但し、本発明による装置がCCM送信し、従来装置がCCM受信する方向については互換性が無い。
【0080】
本発明による装置においては、従来技術の動作と本発明の動作とを切替え可能にする実装が当然考えられる。または、互換性があるCCM受信方向のみの動作を実装すること、逆に、互換性がないCCM送信方向のみの動作を実装することも当然考えられる。
【符号の説明】
【0081】
1,2 通信装置
3 制御端末
11,21 CCM送信部
12,22 CCM受信部
13,23 イーサネット(登録商標)OAM設定情報格納部
24 装置制御部
101,102 伝送路
【技術分野】
【0001】
本発明は通信装置、ネットワーク及びそれらに用いる通信方法に関し、特に現用系の伝送路及び予備系の伝送路を使用する通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上述した冗長構成のネットワークの構成例を図11に示す。図11において、上述したネットワークは、中継装置4と中継装置5とを2つの伝送路201,202によって接続して構成されている。ここで、伝送路201は現用系として使用されており、伝送路202は予備系となっている。
【0003】
中継装置4及び中継装置5は、伝送路201,202を介して、対抗の通信装置に対してイーサネット(登録商標)OAM(Operations,Administration and Maintenance)のCCM(Continuity Check Message)を所定の周期で送信している(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0004】
そのCCMを受信した中継装置4及び中継装置5は、そのCCMの受信間隔を監視し、所定の周期で受信している場合、経由した伝送路に問題がないと判断している。
【0005】
中継装置4及び中継装置5は、もしCCMをあるタイムアウト時間以上受信できない場合、その伝送路に何らかの障害が生じていることを検出することができる。現用系の伝送路201で異常を検出した場合は、伝送路202を予備系から現用系へと切替え(プロテクション切替え)を行うことができる。
【0006】
このイーサネット(登録商標)OAMを用いたネットワーク冗長手法の例としては、ITU−T(International Telecommunication Union−Telecommunication Standardization Sector) G.8031『Ethernet(登録商標) linear protection switching』や、ITU−T G.8032『Ethernet(登録商標) ring protection switching』がある。
【0007】
このネットワーク冗長手法においては、CCMの送受信周期が短いほど早く障害検出を行えるため、早期に回復が必要なネットワークにおいてはCCMの送受信周期は短いことが求められる。イーサネット(登録商標)OAM勧告における最短周期の1/300秒(3.33ミリ秒)が選択されていることも少なくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−194623号公報
【特許文献2】特開2009−200849号公報
【特許文献3】特開2011−010047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した冗長構成のネットワークでは、DSL(Digital Subscriber Line)や無線等の低速な伝送路で、プロテクション切替えを行うための短周期CCMを使用する場合、そのCCMの送受信によって帯域を圧迫するという問題がある。
【0010】
例を挙げると、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.3のイーサネット(登録商標)で、短周期1/300秒でのCCM送受信で使用する帯域は、271kbps以上である。これは、数Mbpsの伝送路において、常に数%以上の帯域がCCMに占有されることになる。
【0011】
ここで、CCM送受信で使用する帯域は、
Ethernet(登録商標)フレーム(untag)+CCM:93 octets
プリアンブル+SFD:8 octets
最小IFG:12 octets
として、
(93+8+12)×8(bit)×300(フレーム毎秒)
=271kbps
と算出される。
【0012】
また、MEG(Maintenance Entity Group) ID(IDentifier)とMEP(MEG End Point) IDは、ITU−T Y.1731での名称である。
【0013】
これらは、IEEE802.1agにおいて、それぞれ、Maintenance Association Identifier(MAID)と、Maintenance association End Point Identifierという名称である。
【0014】
DSLや無線等の低速な伝送路でプロテクション切替えを行うために短周期CCMを使用する場合、そのCCMの送受信によって帯域が圧迫されるという問題がある。
【0015】
そこで、本発明の目的は上記の問題点を解消し、CCM占有帯域以外に新たな帯域を使用せず、CCM以外のデータを通信することができる通信装置、ネットワーク及びそれらに用いる通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明による通信装置は、対向装置から所定の周期で送信されるCCM(Continuity Check Message)の受信間隔を監視し、前記CCMを所定の周期で受信している場合に前記CCMが経由した伝送路に問題がないと判断する通信装置であって、
前記CCMと任意の情報が重畳されたCCMとを作成する作成手段と、
前記作成手段にて作成された前記CCMと前記任意の情報が重畳されたCCMとをそれぞれ予め設定された間隔で対向装置に送信する手段とを備えている。
【0017】
本発明によるネットワークは、上記の通信装置を含むことを特徴とする。
【0018】
本発明による通信方法は、対向装置から所定の周期で送信されるCCM(Continuity Check Message)の受信間隔を監視し、前記CCMを所定の周期で受信している場合に前記CCMが経由した伝送路に問題がないと判断する通信装置に用いる通信方法であって、
前記通信装置が、前記CCMと任意の情報が重畳されたCCMとを作成する作成処理と、前記作成処理にて作成された前記CCMと前記任意の情報が重畳されたCCMとをそれぞれ予め設定された間隔で対向装置に送信する処理とを実行している。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、上記のような構成及び動作とすることで、CCM占有帯域以外に新たな帯域を使用せず、CCM以外のデータを通信することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による通信装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明で用いるITU−T Y.1731勧告におけるCCMフォーマットを示す図である。
【図3】本発明におけるCCM送信周期を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態によるネットワークの構成例を示すブロック図である。
【図5】本発明を使用していない場合のMEP ID情報及びMEG ID情報の送信の仕方を示す図である。
【図6】本発明を用いている場合のMEP ID情報及びMEG ID情報の送信の仕方を示す図である。
【図7】ITU−T Y.1731勧告におけるMEP IDフィールドのフォーマットを示す図である。
【図8】本発明の実施の形態におけるMEP ID情報及びMEG ID情報を含まないCCMのMEP IDフィールドのフォーマットを示す図である。
【図9】本発明の実施の形態によるCCM送信部の動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態によるCCM受信部の動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明に関連する冗長構成のネットワークの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。まず、本発明による通信装置の概要について説明する。本発明による通信装置では、イーサネット(登録商標)上の通信装置で使用されているイーサネット(登録商標)OAM(Operations,Administration and Maintenance)において、CCM(Continuity Check Message)に任意の情報を重畳することを特徴としている。
【0022】
ITU−T(International Telecommunication Union−Telecommunication Standardization Sector) Y.1731勧告におけるCCMのフォーマット中のMEG(Maintenance Entity Group) ID(IDentifier)フィールドとMEP(MEG End Point) IDフィールドとには、誤接続や通信装置間でのイーサネット(登録商標)OAM設定ミスを検出するための情報が格納されている。
【0023】
しかしながら、実用開始後のネットワークを考えると、誤接続や誤設定の監視を3.33ミリ秒周期等の短周期で行う必要性がない場合がある。そこで、MEG IDフィールドとMEP IDフィールドとについて、本来の誤接続や誤設定の異常検出用の情報についてはその検出性を著しく損なわない範囲で間欠的に含まれることを許容し、含まれない場合の空きフィールドには任意の情報の格納を可能にすることで、その追加帯域分をCCM以外のアプリケーションで活用できるようにしている。
【0024】
図1は本発明による通信装置の構成例を示すブロック図であり、図2は本発明で用いるITU−T Y.1731勧告におけるCCMフォーマットを示す図であり、図3は本発明におけるCCM送信周期を示す図である。
【0025】
図1において、通信装置1は、イーサネット(登録商標)上に配置され、イーサネット(登録商標)OAMを解析する機能を持つ、レイヤ2スイッチ等の通信装置である。
【0026】
また、通信装置1は、CCM送信部11と、CCM受信部12と、イーサネット(登録商標)OAM設定情報格納部(以下、OAM設定情報格納部とし、下記で説明する図においてもOAM設定情報格納部と表記する)13とを備えている。
【0027】
CCM送信部11は、OAM設定情報格納部13内に予め定められた情報を基にCCMを生成し、他の装置への送信を行う。但し、このとき、生成するCCMのMEP IDフィールド及びMEG IDフィールド(図2のITU−T Y.1731勧告におけるCCMフォーマット中のMEP IDフィールド及びMEG IDフィールド)については、以下のように生成を行う。
【0028】
(1)ITU−T Y.1731において、本来入力するよう勧告されているMEP ID情報及びMEG ID情報を含むCCMは、図3に示すように、間欠的に生成する。
【0029】
(2)上記の(1)以外の期間では、MEP ID情報及びMEG ID情報を含まず、その空きフィールドに(1)で生成するCCMと区別するためのフラグ情報と任意の情報を格納したCCMとを生成する。
【0030】
CCM受信部12は、OAM設定情報格納部13内に予め定められた情報を基に、他の装置から受信したCCMから自装置MEP宛てのCCMを抽出する。また、抽出を行った自装置MEP宛てのCCMについては、以下の処理を行う。
【0031】
(1)MEP ID情報及びMEG ID情報を含む(フラグ情報を持たない)CCMについては、OAM設定情報格納部13内に予め定められた情報に対して、「同じMEG Levelだが、受信したMEP自身が持つMEG IDと異なるMEG IDを持つCCMフレームの受信(Mismerge)」、「同じMEG Levelで正しいMEG IDを持つが、受信したMEP自身のMEP IDと異なる宛て先MEP IDのCCMフレームの受信(Unexpected MEP)」という2つの異常がないかの確認を行う。
【0032】
(2)MEP ID情報及びMEG ID情報を含まない(フラグ情報を持つ)CCMについては、上記の「Mismerge」及び「Unexpected MEP」の検出を行わない。また、このCCMについては、MEP IDフィールド及びMEG IDフィールドに格納された任意の情報を抽出する。
【0033】
このようにして、本発明では、CCMの誤接続や誤設定を検出するための情報が間欠的に格納されることを許容し、CCMに任意の情報を重畳する機能を持つことで、その重畳分の帯域をCCM以外のアプリケーションで活用することができる。
【0034】
図4は本発明の実施の形態によるネットワークの構成例を示すブロック図である。図4においては、本実施の形態として、CCMに装置制御情報を重畳することにより、新たに使用帯域を増やすことなく、ネットワーク上の装置管理を可能にした構成を示している。
【0035】
図4において、通信装置1は、通信装置2と伝送路101を経由してイーサネット(登録商標)OAMのCCM送受信を行い、接続性の継続監視を行っている。また、通信装置1は、制御端末3からの制御情報を通信装置2に中継する役割も持つ。
【0036】
通信装置2は、通信装置1と伝送路101とを経由してイーサネット(登録商標)OAMのCCM送受信を行い、接続性の継続監視を行っている。また、通信装置2は、制御端末3からの制御情報を基に、自装置状態を転送したり、自装置の機能を変更することができる。
【0037】
制御端末3は、通信装置2の装置状態取得や機能変更を行うための制御情報を生成する機能を持つ。
【0038】
ここでいう制御情報の例としては、SNMP(Simple Network Management Protocol)でのMIB(Management Information Base)情報を挙げることができるが、本発明とは直接関係しないので、その説明については省略する。
【0039】
伝送路101及び伝送路102は、隣接する装置あるいは端末間の通信情報を媒介する手段である。伝送路101及び伝送路102としては、光ファイバやツイストペアケーブル、同軸ケーブル等があげられるが、無線の場合は空気も含まれるため、特にその形態については限定しない。
【0040】
通信装置1のCCM送信部11は、OAM設定情報格納部13に予め設定された情報を基にCCMを生成し、通信装置2のCCM受信部22に向けて送信する機能を持つ。但し、CCMのフォーマット中のMEG IDフィールド及びMEP IDフィールドについては、3回に1回の割合で、MEP ID情報及びMEG ID情報を埋め込むこととする。
【0041】
図5は本発明を使用していない場合のMEP ID情報及びMEG ID情報の送信の仕方を示す図であり、図6は本発明を用いている場合のMEP ID情報及びMEG ID情報の送信の仕方を示す図である。
【0042】
通常のITU−T Y.1731勧告で定められたCCMフォーマットでは、送信される全てのCCMにMEP ID情報及びMEG ID情報が含まれている。
【0043】
一方、本実施の形態では、3回に1回だけMEP ID情報及びMEG ID情報を含むCCM(白棒)を生成する。これは、OAM設定情報格納部13に設定されたCCM送信周期と比較して、MEP ID情報及びMEG ID情報の送信周期を3倍に設定したことを想定した例であるためである。
【0044】
残りの2回のMEP ID情報及びMEG ID情報を含まないCCM(黒棒)に対しては、空きフィールドとなったMEP IDフィールド及びMEG IDフィールドに対して、制御端末3から通信装置2宛ての制御情報と、MEP ID情報及びMEG ID情報を含まないCCMであることを対向装置に通知するためのフラグ情報とを埋め込む。
【0045】
図7はITU−T Y.1731勧告におけるMEP IDフィールドのフォーマットを示す図である。図7において、MEP ID情報は、13bitの整数で表しているため、第9オクテットのMSB(Most Significant Bit)から3bitは“0”固定と定められている。
【0046】
図8は本発明の実施の形態におけるMEP ID情報及びMEG ID情報を含まないCCMのMEP IDフィールドのフォーマットを示す図である。図8において、フラグ情報としては、第9オクテットのMSBから3bitを“1”とする。
【0047】
第9オクテットの残りの5bitである機能IDは、CCMに重畳されたデータの種別を表しており、通信装置のどの機能部宛ての情報なのかを表す。また、機能IDが“0”の場合は、特別に重畳データ自体が無いことを表すこととする。
【0048】
第10オクテットのシーケンス番号は、CCMに重畳されたデータの復元順序を表している。重畳するデータのサイズが大きい場合は、CCM送信側で1つのCCMに収まるサイズに小分けにする必要がある。小分けにされたデータを受信したCCM受信側で元のデータ順序で復元できるように用いられる。
【0049】
また、本実施の形態でのMEP ID情報及びMEG ID情報を含まないCCMのMEG IDフィールドについては、全てデータ格納用として用いており、ITU−T Y.1731勧告におけるMEG IDフィールドのフォーマットとは関連性がない。
【0050】
通信装置1のCCM受信部12は、OAM設定情報格納部13内に予め設定された情報を基に、他の装置から受信したCCMから自装置MEP宛てのCCMを抽出する機能を持つ。また、CCM受信部12は、ETH−CC本来の接続性チェックを行う機能も持つ。
【0051】
具体的には、CCMを最後に受信してからの時間がCCM送受信周期の3.5倍を超えた場合にLOC(Loss of Continuity)異常を検出する。
【0052】
さらに、自装置MEP宛てのCCMのMEP IDフィールドの第9オクテットのMSBから3bitが“0”の場合は、MEP ID情報及びMEG ID情報を含むCCMと判断し、そのCCMの情報がOAM設定情報格納部13に予め設定された情報と合致するかどうかを確認する。
【0053】
本実施の形態では、「同じMEG Levelだが、受信したMEP自身が持つMEG IDと異なるMEG IDを持つCCMフレームの受信(Mismerge)」、「同じMEG Levelで正しいMEG IDを持つが、受信したMEP自身のMEP IDと、異なる宛て先MEP IDのCCMフレームの受信(Unexpected MEP)」という2つの異常を検出することができる。
【0054】
自装置MEP宛てのCCMのMEP IDフィールドの第9オクテットのMSBから3bitが“1”の場合は、MEP ID情報及びMEG ID情報を含まないCCMと判断し、上記の異常検出を行わない。その代わりに、CCM受信部12は、重畳されたデータを抽出する動作を行う。
【0055】
その後、CCM受信部12は、MEPフィールドの機能IDによって定められた適切な機能部宛てにMEG IDフィールド内のデータを転送する動作を行う。本実施の形態では、データとして制御端末3宛ての制御情報を抽出し、制御端末3に向けて送信する動作を行う。
【0056】
OAM設定情報格納部13,23は、「自装置MEPのMEG Level」、「自装置MEPのMEG ID」、「自装置MEPのMEP ID」、「自装置MEPのPeer MEP ID」、「自装置MEPのCCM送受信周期」という情報の読み書きが可能なメモリである。
【0057】
通信装置2のCCM送信部21は、上述した通信装置1のCCM送信部11と同様の機能を持つ。CCM送信部21は、OAM設定情報格納部23に予め設定された情報を基にCCMを生成し、通信装置1のCCM受信部12に向けて送信する機能を持つ。また、本実施の形態では、CCMに重畳するデータは装置制御部24から受信した制御端末3宛ての制御情報である。
【0058】
通信装置2のCCM受信部22は、上述した通信装置1のCCM受信部12と同様の機能を持つ。CCM受信部22は、OAM設定情報格納部23内に予め設定された情報を基に、他の装置から受信したCCMから自装置MEP宛てのCCMを抽出する機能を持つ。また、本実施の形態では、CCMに重畳されたデータが装置制御部24宛ての制御情報である。
【0059】
通信装置2の装置制御部24は、CCM受信部22から受信した制御情報を基に、装置状態の取得、装置の機能変更を行う機能を持つ。また、装置制御部24は、その機能を行った結果を含む制御情報を、CCM送信部21に送信する機能を持つ。
【0060】
図9は本発明の実施の形態によるCCM送信部の動作を示すフローチャートであり、図10は本発明の実施の形態によるCCM受信部の動作を示すフローチャートである。これら図1〜図10を参照して本発明の実施の形態によるCCM送信及びCCM受信部の動作について説明する。
【0061】
まず、図9を参照して図4に示す通信装置1のCCM送信部11及び通信装置2のCCM送信部21の動作について説明する。
【0062】
CCM送信部11,21は、CCMの送信を開始する際、まずOAM設定情報格納部13,23からCCMフォーマットの各フィールドに格納する情報を取得する(図9ステップS1)。
【0063】
また、CCM送信部11,21は、3回に1回だけMEP ID情報及びMEG ID情報を持つCCMを送信するため、何回目のCCMなのかを判別するためのカウンタN(図示せず)を持つ。ステップS1の処理では、このカウンタNの初期値設定も実施している。
【0064】
次に、CCM送信部11,21は、Period waitにおいて、イーサネット(登録商標)OAM設定のCCM送受信周期でCCMを送信するためのウェイトを実施する(図9ステップS2)。
【0065】
CCM送信部11,21は、Period wait後、2つの条件式によって、3通りのCCMを生成して送信する。つまり、CCM送信部11,21は、「N=3」の場合(図9ステップS3のYES)、ITU−T Y.1731フォーマットに準拠した、MEP ID情報、MEG ID情報を持つCCMを生成して送信する(図9ステップS4)。
【0066】
CCM送信部11,21は、「N=3」以外の場合(図9ステップS3のNO)、かつ送信しなければならないデータがある場合(図9ステップS6のYES)、そのデータを重畳したMEP ID情報、MEG ID情報を持たないCCMを生成して送信する(図9ステップS7)。
【0067】
CCM送信部11,21は、「N=3」以外の場合(図9ステップS3のNO)、かつ送信しなければならないデータがない場合(図9ステップS6のNO)、データが重畳されておらず、MEP ID情報、MEG ID情報も持たないCCMを生成して送信する(図9ステップS8)。
【0068】
CCM送信部11,21は、ITU−T Y.1731フォーマットに準拠したCCMを送信した後、カウンタをクリアして再度CCM送受信周期間隔分のウェイトを実施する(図9ステップS5)。また、CCM送信部11,21は、それ以外のCCMを送信した場合は、カウンタを1つ回し、再度、CCM送受信周期のウェイトを実施する(図9ステップS9)。
【0069】
次に、図10を参照して図4に示す通信装置1のCCM受信部12及び通信装置2のCCM受信部22の動作について説明する。
【0070】
CCM受信部12,22は、CCMの受信を開始する際、まずOAM設定情報格納部13,23から、自装置MEP宛てのCCMを抽出するための情報を取得する(図10ステップS11)。
【0071】
その後、CCM受信部12,22は、自装置MEP宛てのCCMを受信した時点で、2つの条件式によって、3通りの処理を実施する。つまり、CCM受信部12,22は、フラグ情報を持たない場合(本実施の形態では、CCMフォーマットの第9オクテットのMSBから3bitが“0”の場合)(図10ステップS14のYES)、ITU−T Y.1731フォーマットに準拠したCCMと判断し、MEP ID情報及びMEG ID情報の確認も含めて、ITU−T Y.1731の勧告通りの受信処理を行う(図10ステップS15)。
【0072】
CCM受信部12,22は、フラグ情報を持つ場合(本実施の形態の場合、CCMフォーマットの第9オクテットのMSBから3bitが“1”の場合)(図10ステップS14のNO)、かつ重畳されたデータがあると判断した場合(本実施の形態では、機能IDが“0”以外の場合)(図10ステップS16のYES)、CCMから重畳されたデータを抽出し、対象の装置内ブロックにそのデータを送信する処理を行う(図10ステップS17)。
【0073】
CCM受信部12,22は、フラグ情報を持つ場合(図10ステップS14のNO)、かつ重畳されたデータが存在しないと判断した場合(本実施の形態では、機能IDが“0”の場合)(図10ステップS16のNO)、データ抽出は行わない(図10ステップS18)。
【0074】
CCM受信部12,22は、処理完了後、再度自装置MEP宛てのCCMを待つ。また、CCM受信部12,22は、自装置MEP宛てのCCMを待つ処理中において、CCM送受信周期の3.5倍以上の期間、受信しなかった場合(図10ステップS13のYES)、LOC(Loss of Continuity)異常を検出する。
【0075】
このように、本実施の形態では、CCMの余剰帯域にデータを重畳しているため、従来のCCM占有帯域以外に新たな帯域を使用せず、CCM以外のデータを通信することができる。
【0076】
また、本実施の形態では、CCM内のMEP IDフィールド及びMEG IDフィールドと自装置のイーサネット(登録商標)OAM設定情報との不一致異常を検出する機能をスキップ可能にしているので、CPU(中央処理装置)やメモリ等の装置リソースの負荷軽減を目的に実装することができる。
【0077】
本発明の実施の形態では、MEP ID情報及びMEG ID情報を含むCCMの送信間隔を、CCM送受信周期の3倍周期に設定している。しかしながら、本発明は、送信間隔の周期的、非周期的に関わらず、効果を発揮することができるため、図3に示すような規則性のない混在も可能である。
【0078】
規則性のない混在例として、通信する必要があるデータが無い場合には、極力、ITU−T Y.1731の勧告フォーマットのCCMを送信する実装が考えられる。
【0079】
また、本発明を用いていない装置(従来装置)と本発明を用いている装置とを対向させる場合、従来装置がCCM送信し、本発明による装置がCCM受信する方向については互換性がある。但し、本発明による装置がCCM送信し、従来装置がCCM受信する方向については互換性が無い。
【0080】
本発明による装置においては、従来技術の動作と本発明の動作とを切替え可能にする実装が当然考えられる。または、互換性があるCCM受信方向のみの動作を実装すること、逆に、互換性がないCCM送信方向のみの動作を実装することも当然考えられる。
【符号の説明】
【0081】
1,2 通信装置
3 制御端末
11,21 CCM送信部
12,22 CCM受信部
13,23 イーサネット(登録商標)OAM設定情報格納部
24 装置制御部
101,102 伝送路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向装置から所定の周期で送信されるCCM(Continuity Check Message)の受信間隔を監視し、前記CCMを所定の周期で受信している場合に前記CCMが経由した伝送路に問題がないと判断する通信装置であって、
前記CCMと任意の情報が重畳されたCCMとを作成する作成手段と、
前記作成手段にて作成された前記CCMと前記任意の情報が重畳されたCCMとをそれぞれ予め設定された間隔で対向装置に送信する手段とを有することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記CCMのフォーマット中のMEG(Maintenance Entity Group) ID(IDentifier)フィールドとMEP(MEG End Point) IDフィールドとに誤接続や装置間でのOAM(Operations,Administration and Maintenance)設定ミスを検出するための情報を間欠的に格納し、当該情報が含まれない場合の空きフィールドに前記任意の情報を格納することを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
前記CCMと前記任意の情報が重畳されたCCMとを周期的または非周期的に送信することを特徴とする請求項1または請求項2記載の通信装置。
【請求項4】
通信する必要があるデータが無い場合に、前記任意の情報が重畳されてないCCMを送信することを特徴とする請求項3記載の通信装置。
【請求項5】
上記の請求項1から請求項4のいずれかに記載の通信装置を含むことを特徴とするネットワーク。
【請求項6】
対向装置から所定の周期で送信されるCCM(Continuity Check Message)の受信間隔を監視し、前記CCMを所定の周期で受信している場合に前記CCMが経由した伝送路に問題がないと判断する通信装置に用いる通信方法であって、
前記通信装置が、前記CCMと任意の情報が重畳されたCCMとを作成する作成処理と、前記作成処理にて作成された前記CCMと前記任意の情報が重畳されたCCMとをそれぞれ予め設定された間隔で対向装置に送信する処理とを実行することを特徴とする通信方法。
【請求項7】
前記CCMのフォーマット中のMEG(Maintenance Entity Group) ID(IDentifier)フィールドとMEP(MEG End Point) IDフィールドとに誤接続や装置間でのOAM(Operations,Administration and Maintenance)設定ミスを検出するための情報を間欠的に格納し、当該情報が含まれない場合の空きフィールドに前記任意の情報を格納することを特徴とする請求項6記載の通信方法。
【請求項8】
前記CCMと前記任意の情報が重畳されたCCMとを周期的または非周期的に送信することを特徴とする請求項6または請求項7記載の通信方法。
【請求項9】
通信する必要があるデータが無い場合に、前記任意の情報が重畳されてないCCMを送信することを特徴とする請求項8記載の通信方法。
【請求項1】
対向装置から所定の周期で送信されるCCM(Continuity Check Message)の受信間隔を監視し、前記CCMを所定の周期で受信している場合に前記CCMが経由した伝送路に問題がないと判断する通信装置であって、
前記CCMと任意の情報が重畳されたCCMとを作成する作成手段と、
前記作成手段にて作成された前記CCMと前記任意の情報が重畳されたCCMとをそれぞれ予め設定された間隔で対向装置に送信する手段とを有することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記CCMのフォーマット中のMEG(Maintenance Entity Group) ID(IDentifier)フィールドとMEP(MEG End Point) IDフィールドとに誤接続や装置間でのOAM(Operations,Administration and Maintenance)設定ミスを検出するための情報を間欠的に格納し、当該情報が含まれない場合の空きフィールドに前記任意の情報を格納することを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
前記CCMと前記任意の情報が重畳されたCCMとを周期的または非周期的に送信することを特徴とする請求項1または請求項2記載の通信装置。
【請求項4】
通信する必要があるデータが無い場合に、前記任意の情報が重畳されてないCCMを送信することを特徴とする請求項3記載の通信装置。
【請求項5】
上記の請求項1から請求項4のいずれかに記載の通信装置を含むことを特徴とするネットワーク。
【請求項6】
対向装置から所定の周期で送信されるCCM(Continuity Check Message)の受信間隔を監視し、前記CCMを所定の周期で受信している場合に前記CCMが経由した伝送路に問題がないと判断する通信装置に用いる通信方法であって、
前記通信装置が、前記CCMと任意の情報が重畳されたCCMとを作成する作成処理と、前記作成処理にて作成された前記CCMと前記任意の情報が重畳されたCCMとをそれぞれ予め設定された間隔で対向装置に送信する処理とを実行することを特徴とする通信方法。
【請求項7】
前記CCMのフォーマット中のMEG(Maintenance Entity Group) ID(IDentifier)フィールドとMEP(MEG End Point) IDフィールドとに誤接続や装置間でのOAM(Operations,Administration and Maintenance)設定ミスを検出するための情報を間欠的に格納し、当該情報が含まれない場合の空きフィールドに前記任意の情報を格納することを特徴とする請求項6記載の通信方法。
【請求項8】
前記CCMと前記任意の情報が重畳されたCCMとを周期的または非周期的に送信することを特徴とする請求項6または請求項7記載の通信方法。
【請求項9】
通信する必要があるデータが無い場合に、前記任意の情報が重畳されてないCCMを送信することを特徴とする請求項8記載の通信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−5123(P2013−5123A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132766(P2011−132766)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
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