説明

通信装置、通信媒体、及び通信方法

【課題】受信エラー発生に起因したコマンド処理時間の短縮化に優れた通信装置を提供すること。
【解決手段】通信装置は、通信媒体と通信する通信手段と、前記通信手段により前記通信媒体に対してコマンドを含む第1の情報を送信し、前記コマンドに対する前記通信媒体からの応答の受信エラーの検出に対応して、応答要求及び前記コマンドを含む第2の情報を送信する通信制御手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカード等の通信媒体と通信する通信装置に関する。また、本発明は、オペレータが操作する通信端末等の通信装置と通信する通信媒体に関する。また、本発明は、これら通信装置及び通信媒体に適用可能な通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な機能を備えたICカードが登場している。例えば、金属端子等により構成される接触インターフェースと電波を送受信するためのアンテナ等により構成される非接触インターフェースを備えたICカードが登場している(特許文献1参照)。
【0003】
また、複数の通信プロトコルに対応可能なICカードも登場している。例えばTCP/IPとISO7816のどちらの通信プロトコルにも対応可能なICカードが提案されている(特許文献2参照)。
【0004】
これらICカードの登場によりICカードの用途は広がり、例えば、ICカードは、クレジットカード、定期券、旅券、免許証、その他の商取引の決済に使われるだけでなく、社員証、会員証、保険証などのIDカードとしても様々な分野で使われるようになっている。
【0005】
例えば、ICカードを処理する端末は、ICカードに対してコマンドを送信し、ICカードからのコマンド実行結果(レスポンス)を待つ。ICカードは、端末から送信されるコマンドを受信し、受信コマンドに基づく動作を実行し、コマンド実行結果(レスポンス)を端末へ送信する。
【0006】
ICカードと端末とがコマンドを送受信する場合、受信エラーが発生することがあり、非接触通信の場合、受信エラー発生の傾向は高くなる。例えば、端末が、ICカードからのレスポンスの受信エラーを検出すると、端末は、ICカードに対して応答要求を送信する。ICカードは、端末からの応答要求を受信し、レスポンスの受信エラーの発生を検出し、端末に対してコマンド再送要求を送信する。端末は、ICカードからのコマンド再送要求を受信すると、ICカードに対してコマンドを再送信する。ICカードは、端末から再送信されたコマンドを受信し、受信コマンドに基づく動作を実行し、コマンド実行結果を端末へ送信する。
【0007】
このように、受信エラーが発生すると、端末とICカードとの間の通信処理が増えて、結果的にコマンド処理時間が長くなることがある。ICカード事業者又はICカードユーザからは、より使い勝手の良いICカードが要求されており、コマンド処理時間の短縮化は重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−216234号公報
【特許文献2】特開2004−151864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記した特許文献1、2の何れにも、上記したような受信エラー発生に起因したコマンド処理時間の短縮化に関する技術は開示されていない。
【0010】
本発明の目的は、受信エラー発生に起因したコマンド処理時間の短縮化に優れた通信装置、通信媒体、及び通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態係る通信装置は、通信媒体と通信する通信手段と、前記通信手段により前記通信媒体に対してコマンドを含む第1の情報を送信し、前記コマンドに対する前記通信媒体からの応答の受信エラーの検出に対応して、応答要求及び前記コマンドを含む第2の情報を送信する通信制御手段と、を備える。
【0012】
本発明の一実施形態係る通信媒体は、通信装置と通信する通信手段と、前記通信手段により前記通信装置からの第1の処理識別情報及びコマンドを含む第1の情報の受信エラーの検出に対応して、第2の処理識別情報を更新せずに維持し、前記通信手段により前記通信装置からの前記第1の処理識別情報、応答要求、及び前記コマンドを含む第2の情報を受信した場合、前記第2の情報に含まれた前記コマンドに対応した処理を実行し、コマンド実行結果を送信し、前記第2の処理識別情報を第3の処理識別情報へ更新する応答処理を実行するコマンド処理手段と、を備える。
【0013】
本発明の一実施形態係る通信方法は、通信媒体に対してコマンドを含む第1の情報を送信し、前記コマンドに対する前記通信媒体からの応答の受信エラーの検出に対応して、応答要求及び前記コマンドを含む第2の情報を送信する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、受信エラー発生に起因したコマンド処理時間の短縮化に優れた通信装置、通信媒体、及び通信方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るICカードシステムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すICカードシステムのカードリーダ/ライタの概略構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示すICカードシステムのICカードの概略構成を示すブロック図である。
【図4】第1のエラー処理(ICカードがコマンドを正しく受信できなかった場合のエラー処理)の一例を示す図である。
【図5】第2のエラー処理(ICカードがコマンドを正しく受信できなかった場合のエラー処理)の一例を示す図である。
【図6】第3のエラー処理(端末がコマンドを正しく受信できなかった場合のエラー処理)の一例を示す図である。
【図7】第4のエラー処理(端末がコマンドを正しく受信できなかった場合のエラー処理)の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係るICカードシステム(別称、スマートカードシステム)の概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、ICカードシステムは、端末1(通信装置)及びICカード2(通信媒体)により構成される。端末1は、本体(上位装置)11、ディスプレイ12、キーボード13、カードリーダ/ライタ14を備えている。端末1はICカード2と通信可能に構成されており、端末1はICカード2に対してデータを送信したり、ICカード2からのデータを受信したりする。
【0018】
本体11は、複数の通信方式及び複数のアプリケーションを選択的に実行することができる。ディスプレイ12は、ICカード2との通信結果及び認証結果等を表示する。キーボード13は、本体11に対して文字や数字等を入力する。カードリーダ/ライタ14は、ICカード2と通信する。
【0019】
なお、本実施形態では、ICカード2が、非接触式のカードであるケースについて説明するが、ICカード2は、非接触式及び接触式の両者をサポートするコンビ型のカードであってもよい。
【0020】
図2は、本発明の一実施形態に係るカードリーダ/ライタ14の概略構成を示すブロック図である。図2に示すように、カードリーダ/ライタ14は、アンテナ141、通信I/F142、CPU143、データメモリ144、RAM145、ROM146を備えている。CPU143は、例えば通信制御手段として機能し、ICカード2に対してコマンドを含む情報の送信を制御したり、ICカード2からの応答の受信エラー(タイムアウト又はエラーチェックコードに基づくエラー)を検出したり、後述するBlock Numberの設定、維持、及び更新を制御したりする。また、データメモリ144は、設定、維持、又は更新されるBlock Numberを記憶する。
【0021】
図3は、本発明の一実施形態に係るICカードの概略構成を示すブロック図である。図3に示すように、ICカード2は、例えばプラスチックカードであり、ICチップ20(ICモジュール)を備え、ICチップ20は、通信I/F201、CPU204、データメモリ205、RAM206、ROM207を備えている。さらに、図3に示すように、ICカード2は、アンテナ21を備えている。CPU204は、例えばコマンド処理手段として機能し、端末1から送信されるコマンドを解釈し、実行したり、端末2に対してコマンド実行結果の返信を制御したり、後述するBlock Numberの設定、維持、及び更新を制御したりする。また、データメモリ205は、設定、維持、又は更新されるBlock Numberを記憶する。
【0022】
次に、エラーの発生が無いケースのコマンド処理の一例について説明する。
【0023】
例えば、上記した端末1(CPU143、通信I/F142、アンテナ141)は、初期値としてBlock Number = 0(処理識別情報 = 0)を設定し、ICカード2に対して第1のコマンドを含む第1の情報を送信し、ICカード2からの第1のコマンド実行結果(レスポンス)を待つ。第1の情報は、設定されたBlock Number = 0、第1のコマンド、エラーチェックコードなどを含む。エラーチェックコードは、第1の情報に含まれたデータのエラーをチェックするために利用されるコードであり、例えば、エラーチェックコードとして、CRC(Cyclic Redundancy Check)コード又はパリティコードがある。
【0024】
ICカード2(CPU204、通信I/F201、アンテナ21)は、初期値としてBlock Number = 1(処理識別情報 = 1)を設定し、端末1から送信される第1のコマンドを受信し、第1のコマンドを解釈、実行し、Block Number = 1をBlock Number = 0へ更新し、第1のコマンド実行結果(レスポンス)を端末1へ送信する。第1のコマンド実行結果は、更新されたBlock Number = 0、エラーチェックコードなどを含む。エラーチェックコードは、第1のコマンド実行結果に含まれたデータのエラーをチェックするために利用されるコードであり、例えば、エラーチェックコードとして、CRCコード又はパリティコードがある。
【0025】
端末1(CPU143、通信I/F142、アンテナ141)は、ICカード2からの第1のコマンド実行結果(レスポンス)を受信し、Block Number = 0をBlock Number = 1へ更新し、ICカード2に対して第2のコマンドを含む第2の情報を送信し、ICカード2からの第2のコマンド実行結果(レスポンス)を待つ。第2の情報は、更新されたBlock Number = 1、第2のコマンド、エラーチェックコードなどを含む。
【0026】
なお、端末1とICカード2とが通信し、上記したように、端末1の初期値として設定されるBlock Numberと、ICカード2の初期値として設定されるBlock Numberとは、異なる値となる。また、端末1で設定されたBlock Numberは、処理の進行とともに“0”→“1”→“0”と切り替わるフラグであり、同様に、ICカード2で設定されたBlock Numberも、処理の進行とともに、“1”→“0”→“1”と切り替わるフラグである。
【0027】
例えば、上記したように、端末1は、初期値としてBlock Number = 0 を設定し、ICカード2に対する最初のコマンド送信処理では、初期値としてのBlock Number = 0を維持し、2回目以降のコマンド送信処理では、コマンド送信処理に応じてBlock Numberを“0”→“1”→“0”と切り替える。一方のICカードは、初期値としてBlock Number = 1 を設定し、端末1に対する最初のレスポンス送信処理では、初期値としてのBlock Number = 1を維持し、2回目以降のレスポンス送信処理では、レスポンス送信処理に応じてBlock Numberを“1”→“0”→“1”と切り替える。これにより、正常なコマンド処理では、端末1から送信される所定コマンドに含まれるBlock Numberと、ICカード2から前記所定コマンドに対するレスポンスに含まれるBlock Numberとが、同じになる。
【0028】
次に、図4〜図8を参照して、第1〜第4のエラー処理の一例について説明する。なお、図4〜図7に示す略記はISOに従った記載で、略記の意味は、以下の通りである。
【0029】
PCB:Protocol Control Byte
CID:Card Identifier
NAD:Node Address
INF:Information Field
CRC:Cyclic Redundancy Check
C-APDU:Command Application Protocol Data
I-Block:Information Block
R-APDU:Response Application Protocol Data
R-Block:Receive ready Block
最初に、図4を参照して、第1のエラー処理について説明する。図4は、第1のエラー処理(ICカード2がコマンドを正しく受信できなかった場合のエラー処理)の一例を示す図である。この第1のエラー処理は、ISO1443-4に規定されているコマンド送受信時の通信処理に対応する。
【0030】
上記した端末1とICカード2との通信方式がT=CLプロトコルの場合、図4に示すように、仮に、ICカード2が、端末1から送信される第1の情報(第1のコマンド)を正しく受信できなかった場合、ICカード2(CPU204)は、受信エラーを検出し無応答状態となる。このとき、ICカード2は、初期値として設定されたBlock Number = 1を更新せずに維持する。なお、図4のケースでは、第1の情報は、端末1において初期値として設定されたBlock Number = 0 を含むPCB、CID、NAD、INF、CRCにより構成されており、ICカード2は、端末1から送信される第1の情報に含まれたエラーチェックコード(例えばCRCコード)に基づいて受信エラーを検出している。
【0031】
上記したように、ICカード2が無応答状態となると、端末1(CPU143)は、ICカード2に対してコマンドを送信した後、レスポンスの受信エラー(レスポンスのタイムアウト)を検出し、端末1は、ICカード2に対して、PCB、CID、CRCにより構成される応答要求を送信する。応答要求のPCBは、初期値として設定されたBlock Number = 0を含む。
【0032】
ICカード2は、応答要求を受信し、前回に正しく受信できなかった第1の情報に含まれたBlock Number = 0と、今回受信した応答要求に含まれたBlock Number = 0とが同一であることから(Block Numberが切り替わっていないことから)、コマンド受信異常に対応した応答要求であることを認識し、また、初期値として設定されたICカード2のBlock Numberが更新されていないことから、コマンド受信異常に対応した応答要求であることを認識し、端末1に対して、PCB、CID、CRCにより構成されるコマンド再送要求を送信する。
【0033】
端末1は、ICカード2からのコマンド再送要求を受信し、ICカード2に対して、再び第1の情報を送信する。第1の情報は、端末1において初期値として設定されたBlock Number = 0 を含むPCB、CID、NAD、INF、CRCにより構成されている。
【0034】
上記した第1のエラー処理では、端末1とICカード2との間の通信処理が増えるため、結果的にコマンド処理時間が長くなることがある。
【0035】
そこで、図5を参照して説明する第2のエラー処理により、コマンド処理時間の短縮化を図ることができる。以下、第2のエラー処理について説明する。
【0036】
上記した端末1とICカード2との通信方式がT=CLプロトコルの場合、図5に示すように、仮に、ICカード2が、端末1から送信される第1の情報(第1のコマンド)を正しく受信できなかった場合、ICカード2(CPU204)は、受信エラーを検出し無応答状態となる。このとき、ICカード2は、初期値として設定されたBlock Number = 1を更新せずに維持する。なお、図5のケースでは、第1の情報は、端末1において初期値として設定されたBlock Number = 0 を含むPCB、CID、NAD、INF、CRCにより構成されており、ICカード2は、端末1から送信される第1の情報に含まれたエラーチェックコード(例えばCRCコード)に基づいて受信エラーを検出している。
【0037】
上記したように、ICカード2が無応答状態となると、端末1(CPU143)は、ICカード2に対してコマンドを送信した後、レスポンスの受信エラー(レスポンスのタイムアウト)を検出する。このとき、端末1は、ICカード2に対して、応答要求及び第1のコマンドを含む第2の情報を送信する。第2の情報は、PCB、CID、PCB、CID、NAD、INF、CRC等により構成されている。具体的には、第2の情報は、初期値として設定されたBlock Number = 0、応答要求、及び第1のコマンド、エラーチェックコードなどを含む。エラーチェックコードは、第2の情報に含まれたデータのエラーをチェックするために利用されるコードである。
【0038】
ICカード2は、第2の情報を受信し、前回に正しく受信できなかった第1の情報に含まれたBlock Number = 0と、今回受信した第2の情報に含まれたBlock Number = 0とが同一であることから(Block Numberが切り替わっていないことから)、コマンド受信異常に対応した応答要求であることを認識し、また、初期値として設定されたICカード2のBlock Numberが更新されていないことから、コマンド受信異常に対応した応答要求であることを認識する。ICカード2は、第2の情報に含まれた第1のコマンドを解釈し、実行し、Block Number = 1をBlock Number = 0へ更新し、Block Number = 0を含む第1のコマンド実行結果(レスポンス)を端末1へ送信する。第1のコマンド実行結果は、例えばPCB、CID、NAD、INF、CRCにより構成されている。
【0039】
このように、第2のエラー処理では、端末1が、応答要求とコマンドとを併せて送信し、ICカード2が、応答要求とコマンドとを併せて受信し、コマンドを解釈し実行しコマンド実行結果を返信することができる。よって、第2のエラー処理は、第1のエラー処理に比べて、端末1とICカード2との間の通信処理(時間)を減らすことができ、結果的にコマンド処理時間の短縮化を図ることができる。また、第2のエラー処理は、第1のエラー処理に比べて、通信処理(時間)を減らすことができるので、消費電力を抑えることもできる。
【0040】
次に、図6を参照して、第3のエラー処理について説明する。図6は、第3のエラー処理(端末1がコマンドを正しく受信できなかった場合のエラー処理)の一例を示す図である。この第3のエラー処理は、ISO1443-4に規定されているコマンド送受信時の通信処理である。
【0041】
ICカード2が、端末1から送信される第1の情報(第1のコマンド)を正しく受信すると、ICカード2は、第1のコマンドを解釈、実行し、初期値として設定されたBlock Number = 1をBlock Number = 0へ更新し、第1のコマンド実行結果(レスポンス)を端末1へ送信する。第1のコマンド実行結果は、更新されたBlock Number = 0、エラーチェックコードなどを含む。なお、ICカード2は、この第1のコマンド実行結果を所定期間にわたり記憶する。図6のケースでは、第1の情報は、端末1において初期値として設定されたBlock Number = 0 を含むPCB、CID、NAD、INF、CRCにより構成されており、ICカード2は、端末1から送信される第1の情報に含まれたエラーチェックコード(例えばCRCコード)に基づいて受信エラーを検出している。また、第1のコマンド実行結果は、ICカード2において初期値として設定されたBlock Number = 1 を含むPCB、CID、NAD、INF、CRCにより構成されている。
【0042】
仮に、端末1が、ICカード2から送信された第1のコマンド実行結果を正しく受信できなかった場合、端末1は、受信エラーを検出し、ICカード1に対してPCB、CID、CRCにより構成された応答要求を送信する。応答要求のPCBは、端末1において初期値として設定されたBlock Number = 0を含む。なお、図6のケースでは、端末1が、ICカード2から送信される第1のコマンド実行結果に含まれたエラーチェックコード(例えばCRCコード)に基づいて受信エラーを検出している。
【0043】
ICカード2は、端末1からの応答要求を受信し、前回受信した第1の情報に含まれたBlock Number = 0と、今回受信した応答要求に含まれたBlock Number = 0とが同一であることから(Block Numberが切り替わっていないことから)、コマンド受信異常に対応した応答要求であることを認識し、また、初期値として設定されたICカード2のBlock Numberが更新されていることから、端末2側のコマンド受信異常であることを認識し、第1の情報に含まれた第1のコマンドに対応した処理は実行済みと判断し、第1のコマンドに対応した処理を実行せずに、記憶した第1のコマンド実行結果を端末1へ送信する。このように、ICカード2は、第1のコマンドに対応した処理を実行しないので、Block Numberも更新せずに、Block Number = 0を維持する。よって、第1のコマンド実行結果は、Block Number = 0を含む。
【0044】
端末1は、ICカード2からの第1のコマンド実行結果を受信する。端末1は、第1のコマンド実行結果を正しく受信することができると、初期値として設定されたBlock Number = 0をBlock Number = 1へ更新し、ICカード2に対して第2のコマンドを含む第2の情報を送信する。第2の情報は、更新されたBlock Number = 1、第2のコマンド、及びエラーチェックコードなどを含む。
【0045】
ICカード2は、端末1からの第2の情報を正しく受信することができると、第2の情報に含まれた第2のコマンドを解釈、実行し、Block Number = 1をBlock Number = 0へ更新し、第2のコマンド実行結果(レスポンス)を端末1へ送信する。第2のコマンド実行結果は、更新されたBlock Number = 0、エラーチェックコードなどを含む。なお、ICカード2は、この第2のコマンド実行結果を所定期間にわたり記憶する。
【0046】
次に、図7を参照して、第4のエラー処理について説明する。図7は、第4のエラー処理(端末1がコマンドを正しく受信できなかった場合のエラー処理)の一例を示す図である。
【0047】
ICカード2が、端末1から送信される第1の情報(第1のコマンド)を正しく受信すると、ICカード2は、第1のコマンドを解釈、実行し、初期値として設定されたBlock Number = 1をBlock Number = 0へ更新し、第1のコマンド実行結果(レスポンス)を端末1へ送信する。第1のコマンド実行結果は、更新されたBlock Number = 0、エラーチェックコードなどを含む。なお、ICカード2は、この第1のコマンド実行結果を所定期間にわたり記憶する。図7のケースでは、第1の情報は、端末1において初期値として設定されたBlock Number = 0 を含むPCB、CID、NAD、INF、CRCにより構成されており、ICカード2は、端末1から送信される第1の情報に含まれたエラーチェックコード(例えばCRCコード)に基づいて受信エラーを検出している。また、第1のコマンド実行結果は、ICカード2において初期値として設定されたBlock Number = 1 を含むPCB、CID、NAD、INF、CRCにより構成されている。
【0048】
仮に、端末1が、ICカード2から送信された第1のコマンド実行結果を正しく受信できなかった場合、端末1は、受信エラーを検出し、ICカード1に対して応答要求及び第1のコマンドを含む第2の情報を送信する。第2の情報は、PCB、CID、PCB、CID、NAD、INF、CRC等により構成されている。具体的には、第2の情報は、端末1において初期値として設定されたBlock Number = 0を含む。
【0049】
ICカード2は、端末1からの第2の情報を受信し、前回受信した第1の情報に含まれたBlock Number = 0と、今回受信した第2の情報に含まれたBlock Number = 0とが同一であることから(Block Numberが切り替わっていないことから)、コマンド受信異常に対応した応答要求であることを認識し、また、初期値として設定されたICカード2のBlock Numberが更新されていることから、端末2側のコマンド受信異常であることを認識し、第1の情報に含まれた第1のコマンドに対応した処理は実行済みと判断し、第1のコマンドに対応した処理を実行せずに、記憶した第1のコマンド実行結果を端末1へ送信する。このように、ICカード2は、第1のコマンドに対応した処理を実行しないので、Block Numberも更新せずに、Block Number = 0を維持する。よって、第1のコマンド実行結果は、Block Number = 0を含む。
【0050】
端末1は、ICカード2からの第1のコマンド実行結果を受信する。端末1は、第1のコマンド実行結果を正しく受信することができると、初期値として設定されたBlock Number = 0をBlock Number = 1へ更新し、ICカード2に対して第2のコマンドを含む第3の情報を送信する。第3の情報は、更新されたBlock Number = 1、第2のコマンド、及びエラーチェックコードなどを含む。
【0051】
ICカード2は、端末1からの第3の情報を正しく受信することができると、第2の情報に含まれた第2のコマンドを解釈、実行し、Block Number = 1をBlock Number = 0へ更新し、第2のコマンド実行結果(レスポンス)を端末1へ送信する。第2のコマンド実行結果は、更新されたBlock Number = 0、エラーチェックコードなどを含む。なお、ICカード2は、この第2のコマンド実行結果を所定期間にわたり記憶する。
【0052】
このように、第4のエラー処理により、端末1が、応答要求とコマンドとを併せて送信し、ICカード2が、応答要求とコマンドとを併せて受信しても、コマンドを実行することなく、記憶したコマンド実行結果を返信することができる。これにより、ICカード2は、応答要求とコマンドとを併せて受信した場合に、適切に対応することができる。
【0053】
なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0054】
1…端末、2…ICカード、3…ICカードホルダ、11…本体、12…ディスプレイ、13…キーボード、14…カードリーダ/ライタ、20…ICチップ、21…アンテナ、141…アンテナ、142…通信I/F、143…CPU、144…データメモリ、145…RAM、146…ROM、201…通信I/F、204…CPU、205…データメモリ、206…RAM、207…ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信媒体と通信する通信手段と、
前記通信手段により前記通信媒体に対してコマンドを含む第1の情報を送信し、前記コマンドに対する前記通信媒体からの応答の受信エラーの検出に対応して、応答要求及び前記コマンドを含む第2の情報を送信する通信制御手段と、
を備えた通信装置。
【請求項2】
前記通信制御手段は、前記コマンドに対する前記通信媒体からの応答の受信待ち時間のタイムアウトの検出に対応して、前記第2の情報を送信することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記通信制御手段は、前記コマンドに対する前記通信媒体からの応答に含まれたエラーチェックコードに基づくエラー検出に対応して、前記第2の情報を送信することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記通信制御手段は、前記受信エラーの検出前に送信する前記第1の情報に含まれた第1の処理識別情報と、前記受信エラーの検出後に送信する前記第2の情報に含まれた第2の処理識別情報とを同一の処理識別情報に制御することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
通信装置と通信する通信手段と、
前記通信手段により前記通信装置からの第1の処理識別情報及びコマンドを含む第1の情報の受信エラーの検出に対応して、第2の処理識別情報を更新せずに維持し、前記通信手段により前記通信装置からの前記第1の処理識別情報、応答要求、及び前記コマンドを含む第2の情報を受信した場合、前記第2の情報に含まれた前記コマンドに対応した処理を実行し、コマンド実行結果を送信し、前記第2の処理識別情報を第3の処理識別情報へ更新する応答処理を実行するコマンド処理手段と、
を備えた通信媒体。
【請求項6】
通信装置と通信する通信手段と、
前記通信手段により前記通信装置からの第1の処理識別情報及びコマンドを含む第1の情報の受信に対応して、前記第1の情報に含まれた前記コマンドに対応した処理を実行し、第2の処理識別情報を第3の処理識別情報へ更新し、コマンド実行結果を送信する第1の応答処理を実行し、前記通信手段により前記通信装置からの前記第1の処理識別情報、応答要求、及び前記コマンドを含む第2の情報を受信した場合、前記第2の情報に含まれた前記コマンドに対応した処理を実行することなく、前記コマンド実行結果を送信する第2の応答処理を実行するコマンド処理手段と、
を備えた通信媒体。
【請求項7】
前記コマンド処理手段は、前記第2の応答処理において前記第3の処理識別情報を更新せずに維持することを特徴とする請求項6に記載の通信媒体。
【請求項8】
前記コマンド処理手段は、前記第2の情報を受信した場合に、前記第1の情報に含まれた前記第1の処理識別情報と前記第2の情報に含まれた前記第1の処理識別情報とが同一であり、且つ前記第2の処理識別情報が前記第3の処理識別情報へ更新されていることから、前記第2の応答処理を実行することを特徴とする請求項6に記載の通信媒体。
【請求項9】
通信媒体に対してコマンドを含む第1の情報を送信し、
前記コマンドに対する前記通信媒体からの応答の受信エラーの検出に対応して、応答要求及び前記コマンドを含む第2の情報を送信する通信方法。
【請求項10】
通信装置からの第1の処理識別情報及びコマンドを含む第1の情報の受信エラーの検出に対応して、第2の処理識別情報を更新せずに維持し、
前記通信装置からの前記第1の処理識別情報、応答要求、及び前記コマンドを含む第2の情報を受信した場合、前記第2の情報に含まれた前記コマンドに対応した処理を実行し、前記第2の処理識別情報を第3の処理識別情報へ更新し、コマンド実行結果を送信する応答処理を実行する通信方法。
【請求項11】
通信装置からの第1の処理識別情報及びコマンドを含む第1の情報の受信に対応して、前記第1の情報に含まれた前記コマンドに対応した処理を実行し、コマンド実行結果を送信する第1の応答処理を実行し、第2の処理識別情報を第3の処理識別情報へ更新する第1の応答処理を実行し、
前記通信装置からの前記第1の処理識別情報、応答要求、及び前記コマンドを含む第2の情報を受信し、前記第2の情報に含まれた前記コマンドに対応した処理を実行することなく、前記コマンド実行結果を送信する第2の応答処理を実行する通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−150597(P2011−150597A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−12283(P2010−12283)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】