説明

通信装置および共有フォルダ接続方法

【課題】 ユーザがアクセス設定をすることなく容易にフォルダの共有を行うことができる通信端末および共有フォルダ接続方法を提供すること。
【解決手段】 検索部102が、当該移動機100から所定範囲内に位置する移動機200を検索し、取得部103は、検索された移動機200の識別IDを取得する。そして、許可テーブル106は、取得部103により取得された移動機200の識別IDを記憶しておく。許可部109は、許可テーブル106に記憶されている識別IDを有する移動機200から共有フォルダに対するアクセス要求を受けると、当該アクセス要求を許可する。これにより、ユーザ設定を行うことなく共有フォルダに対するアクセスの設定を行うことができ、使い勝手のよい装置を実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共有フォルダを有する通信装置および共有フォルダ接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の端末においてデータを共有することができるように、他の端末からのアクセスを許可する共有フォルダが一般に知られている。この共有フォルダは、サーバに保持されているファイル等を記憶するものであって、複数の端末からアクセス可能に設定されている。例えば、下記特許文献1には、一次ファイルをメモリに格納することなく、サーバに格納したままで利用することができる仮想データ共有システムについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−284407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数の端末でデータを共有する共有フォルダを生成するに当たっては、事前にアクセス設定をしておく必要があり、ユーザにとって手間のかかるものであった。
【0005】
そこで、ユーザがアクセス設定をすることなく容易にフォルダの共有を行うことができる通信装置および共有フォルダ接続方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するために、本発明の通信装置は、共有フォルダを記憶可能な共有フォルダ記憶手段と、所定範囲内に位置する他の通信装置を検索する検索手段と、前記検索手段により検索された他の通信装置の識別IDを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された識別IDを記憶する識別ID記憶手段と、前記識別ID記憶手段に記憶されている識別IDを有する他の通信装置から前記共有フォルダ記憶手段に記憶されている共有フォルダに対するアクセス要求を受けると、当該アクセス要求を許可する許可手段と、を備えている。
【0007】
また、本発明の共有フォルダ接続方法は、共有フォルダを記憶可能な共有フォルダ記憶手段を備える通信装置における共有ファイル接続方法において、所定範囲内に位置する他の通信装置を検索する検索ステップと、前記検索ステップにより検索された他の通信装置の識別IDを取得する取得ステップと、前記取得ステップにより取得された識別IDを識別ID記憶手段に記憶する識別ID記憶ステップと、前記識別ID記憶手段に記憶されている識別IDを有する他の通信装置から前記共有フォルダ記憶手段に記憶されている共有フォルダに対するアクセス要求を受けると、当該アクセス要求を許可する許可ステップと、を備えている。
【0008】
この発明によれば、所定範囲内に位置する他の通信装置を検索し、検索された他の通信装置の識別IDを取得する。そして、取得された識別IDを記憶しておき、この記憶されている識別IDを有する他の通信装置から共有フォルダに対するアクセス要求を受けると、当該アクセス要求を許可する。これにより、ユーザ設定を行うことなく共有フォルダに対するアクセスの設定を行うことができ、使い勝手のよい装置を実現することができる。
【0009】
また、本発明の通信装置は、前記識別ID記憶手段に識別IDが記憶されると、当該識別IDを有する他の通信装置からのアクセスを可能にさせる共有フォルダを前記フォルダ記憶手段に生成する生成手段をさらに備えることが好ましい。
【0010】
この発明によれば、識別IDが記憶されると、その識別IDを有する移動機からのアクセスを可能にさせる共有フォルダを生成することにより、共有フォルダの生成までを含めてユーザが設定することなく自動的な設定処理を行うことを可能にさせる。
【0011】
また、本発明の通信装置は、電話帳データを記憶する電話帳データ記憶手段と、前記取得手段により識別IDとともに取得された他の通信装置の電話番号は、前記電話帳データ記憶手段に記憶されている電話番号に含まれているか否かを判断する判断手段と、をさらに備え、前記識別ID記憶手段は、前記判断手段により含まれていると判断された電話番号に対応する識別IDを記憶することが好ましい。
【0012】
この発明によれば、電話発信などに使用される電話帳データを予め記憶しておき、識別IDとともに取得された電話番号が電話帳データに含まれたものであるかが判断される。そして、電話帳データに含まれたものであると判断されると、その電話番号に対応する識別IDを記憶する。これにより、電話帳データを用いてアクセス許可する他の通信装置を限定するため、不特定多数のユーザからアクセスを許可することがなく、セキュリティを向上させることができる。
【0013】
また、本発明の通信装置は、前記識別ID記憶手段に記憶されている識別IDを有する他の通信装置が所定範囲に存在しないと判断すると、前記識別ID記憶手段から存在しない他の通信装置の識別IDを削除するとともに、前記識別ID記憶手段に全ての他の通信装置の識別IDが削除された場合に、対応する共有フォルダを前記共有フォルダ記憶手段から削除する削除手段をさらに備えることが好ましい。
【0014】
この発明によれば、予め記憶されている識別IDを有する他の通信装置が所定範囲に存在しないと判断すると、存在しない他の通信装置の識別IDを削除するとともに、全ての他の通信装置の識別IDが削除された場合に、その識別IDに対応する共有フォルダを削除することができる。これによりアクセス要求の許可対象となる他の通信装置が存在しない場合には、当該他の通信装置のための共有フォルダを削除することで、記憶領域を効率的に使用することができる。
【0015】
また、本発明の通信装置は、前記共有フォルダ記憶手段に記憶されている共有フォルダに対する接続条件をユーザから受け付けるフォルダ条件設定手段をさらに備え、前記許可手段は、前記フォルダ条件設定手段により設定された接続条件にしたがってアクセス要求を許可することが好ましい。
【0016】
この発明によれば、共有フォルダに対する接続条件をユーザから受け付け、その接続条件に基づいてアクセス要求に対する許可を行うことができる。よって、さらにセキュリティを向上させることができる。例えば、接続条件としては、アクセスできる時間帯や、スケジューラに設定された予定行動(滞在予定の位置など)である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ユーザ設定を行うことなく共有フォルダに対するアクセスの設定を行うことができ、使い勝手のよい装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態の移動機100を含んだ通信システムのシステム構成を示すシステム構成図である。
【図2】管理サーバ300が記憶している位置情報テーブルを示す説明図である。
【図3】移動機100の機能を示すブロック図である。
【図4】許可テーブル106の具体例を示す説明図である。
【図5】共有フォルダを作成する処理を示すフローチャートである。
【図6】移動機200が移動機100に生成された共有フォルダに対するアクセス許可の処理を示すフローチャートである。
【図7】共有フォルダを削除するときの処理を示すフローチャートである。
【図8】接続条件を付与して共有フォルダを生成するときの処理を示すフローチャートである。
【図9】接続条件が設定された共有フォルダに対する接続処理を行う処理を示すフローチャートである。
【図10】移動機100、移動機200および管理サーバ300の処理を示すシーケンス図である。
【図11】変形例における移動機100aを含んだ通信システムのシステム構成を示すシステム構成図である。
【図12】変形例である無線LANを用いた通信システムにおける移動機100、移動機200、およびAP500aの処理を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
添付図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0020】
図1は、本実施形態の通信装置である移動機100を含んだ通信システムのシステム構成を示すシステム構成図である。この通信システムは、移動機100、移動機200、管理サーバ300、およびGPS衛星を含んで構成されている。移動機100および移動機200は、GPS衛星を利用して自機の位置を測位し、位置情報を取得する。そして、移動機100および移動機200は、ネットワークNWを介して、管理サーバ300に自機の位置情報、電話番号、および識別IDをそれぞれ対応付けて所定のタイミングで送信する。管理サーバ300は、移動機100および移動機200から送信された位置情報を記憶する。
【0021】
本実施形態においては、移動機100に共有フォルダが生成されており、他の通信装置である移動機200は移動機100の所定範囲である領域Aに入ったときにのみ共有フォルダに対してアクセス可能とすることができ、逆に移動機200は領域A外に移動するとアクセス不可とすることができる。
【0022】
図2は、管理サーバ300が記憶している位置情報テーブルを示す説明図である。図2に示されるとおり、管理サーバ300は、移動機100および移動機200の電話番号、識別ID、および位置情報を対応付けて記憶する。これら情報は、周期的に移動機100および移動機200から送信される情報である。
【0023】
図3は、移動機100の機能を示すブロック図である。図3に示すように、移動機100は、通信部101、検索部102、取得部103、判断部104、電話帳データ記憶部105、許可テーブル106、生成部107、フォルダ記憶部108、許可部109、接続条件設定部111、接続条件記憶部112および削除部113を含んで構成されている。
【0024】
この移動機100は、CPU、RAM、ROM、および無線通信モジュール等を含んだコンピュータシステムから構成されているものであり、ROMに記憶されているプログラムにしたがってCPUが実行することにより、以下の機能を実現することができる。
【0025】
通信部101は、ネットワークNWを介して管理サーバ300と無線通信により通信接続する部分である。
【0026】
検索部102は、通信部101を介して管理サーバ300に対して他の通信装置である一または複数の移動機200の検索を行う部分である。具体的には、自機である移動機100の所定半径内に位置する一または複数の移動機200を検索するために、通信部101を用いて、移動機100の電話番号および識別ID(例えばMACアドレス)を管理サーバ300に送信し、その応答として管理サーバ300において記憶している移動機100の所定半径内に存在する一または複数の移動機200の電話番号および識別IDを受信する。
【0027】
取得部103は、検索部102により受信された一または複数の移動機200の電話番号および識別IDを取得する部分である。取得部103は、取得した電話番号および識別IDを判断部104に出力する。
【0028】
判断部104は、取得部103により取得された一または複数の移動機200の電話番号が電話帳データ記憶部105に記憶されている電話帳データに含まれているか否かを判断する部分である。判断部104は、電話帳データに含まれている電話番号であることを判断すると、許可テーブル106に、取得部103で取得した一または複数の移動機200の電話番号および識別IDを記憶させる。電話帳データに登録されている電話番号は、知人等の電話番号であり、見知らぬ者の電話番号ではないことから、共有フォルダにアクセスを許可してもよいと判断できる。
【0029】
電話帳データ記憶部105は、電話番号とその名称とを対応付けて記憶する部分であり、電話発信時に宛先入力を行わせるために利用される情報である。
【0030】
許可テーブル106は、判断部104において判断された結果に基づいて、共有フォルダに対するアクセスを許可する一または複数の移動機200の識別IDおよびそのアクセス対象となる共有フォルダのフォルダIDを記憶する部分である。図4は、許可テーブル106の具体例を示す説明図である。図4に示すように、フォルダを一意に特定するフォルダIDに対応付けて、その許可された一または複数の移動機200を示す電話番号、識別ID、および当該許可テーブル106に記憶された時刻を対応付けて記憶している。なお、ここでの時刻は、管理サーバ300に対して検索処理を行った時刻となり、検索部102は、この時刻を用いて所定周期ごとに一または複数の移動機200の検索処理を繰り返し行うことができる。
【0031】
生成部107は、判断部104によりアクセスしてもよい一または複数の移動機200が存在していると判断される場合には、その移動機200がアクセス可能とする共有フォルダを生成する部分である。この生成部107は、フォルダIDを共有フォルダに割り当てて、共有フォルダを生成するとともに、当該フォルダIDを許可テーブル106に、アクセス許可された一または複数の移動機200の識別IDに対応付けて記憶させる。
【0032】
フォルダ記憶部108は、共有フォルダを記憶する部分である。このフォルダ記憶部108は、複数の共有フォルダをフォルダIDごとに区別して記憶することができる。また、共有フォルダは、ファイルを保持するとともに、さらに別の下位フォルダを保持することができる。なお、このフォルダ記憶部108に記憶されている共有フォルダは、上述生成部107により生成されたものでもよいし、予め生成されたものであってもよい。
【0033】
許可部109は、通信部101を介して、一の移動機200がアクセス要求(当該一の移動機200の識別IDを含む)をした場合、当該一の移動機200の識別IDが許可テーブル106に記憶されている識別IDと一致するか否かを判断し、アクセスの可否を判断する部分である。ここでアクセスを許可した場合には、フォルダ記憶部108に記憶されている共有フォルダへのアクセスを許可する。すなわち、許可部109は、共有フォルダに保持されているファイルまたは下位フォルダを一の移動機200において閲覧可能に送信することができる。また、一の移動機200からのアクセスを拒否した場合には、フォルダ記憶部108の共有フォルダへのアクセスを拒否し、その旨を一の移動機200に送信する。
【0034】
なお、フォルダ記憶部108には、複数の共有フォルダが記憶されている場合があり、その場合には、許可部109は、許可テーブル106において一の移動機200の識別IDに対応付けられているフォルダIDを有する共有フォルダに対してアクセスを許可する。
【0035】
また、許可部109は、許可テーブル106に記憶されている一または複数の移動機200の識別IDに対応付けられているフォルダIDに対してそのアクセスを可能にさせているが、これに限るものではなく、共有フォルダに序列を付けておき、通信相手に応じてアクセス許可する共有フォルダを代えてもよい。例えば、序列は、移動機100に対する通信量が多い順に決めてもよい。
【0036】
接続条件設定部111は、共有フォルダに対するアクセス条件の設定を受け付ける部分であり、ユーザ操作によりその設定入力が受け付けられる。さらに、接続条件設定部111として、移動機100に備えられているスケジューラを利用してもよく、このスケジューラによるスケジュール情報に基づいて許可部109は、アクセス許可を行うようにしてもよい。すなわち、スケジュール情報により定められた行動予定(何時に何処にいるかなど)を利用して、同じ行動予定をとるユーザ(移動機200)を識別し、そのユーザ(移動機200)からのアクセス要求を許可するようにしてもよい。このスケジュール情報が同じであるかなどの識別方法は、管理サーバ300側で、移動機100等の識別IDとスケジュール情報とを記憶しておき、移動機100からの検索要求に応じて同じスケジュール情報を有する移動機200を許可対象とする。また、移動機100のスケジュール情報に、待ち合わせ相手、打ち合わせ相手などを特定するための電話番号または識別IDを記述しておき、その情報を用いてもよい。なお、ここではスケジューラとは、時刻と場所とを記述するスケジュール情報を作成するアプリケーションである。
【0037】
接続条件記憶部112は、接続条件設定部111により受け付けられた設定を記憶する部分である。例えば、接続条件として、接続可能な時間帯またはスケジュール情報などがあげられる。
【0038】
削除部113は、所定条件にしたがってフォルダ記憶部108に記憶されている共有フォルダを削除する部分であり、検索部102により周期的に一または複数の他の移動機200の存在の有無を検索し、一または複数の他の移動機200が全ていなくなった場合には、他の移動機200に対応付けられたフォルダIDで示される共有フォルダを削除する。また、削除部113は、スケジューラと連動して動作することもでき、例えば、スケジューラにより定められた会議の終了時刻に基づいて、その会議の出席者のための共有フォルダならびにそのアクセス許可のための許可テーブル106におけるフォルダIDおよび識別IDを削除するようにしてもよい。
【0039】
測位部114は、所定周期ごとに移動機100の位置測位を行う部分である。測位した情報は、通信部101を介して管理サーバ300に送信され、位置情報テーブルに記憶される。
【0040】
このような構成により、移動機200からアクセス要求を受けた移動機100はそのアクセス要求に対する許可を行うことができる。なお、移動機200からのアクセス要求は、ここでは通信部101を介して行われているが、これに限るものではなく、例えば、ブルートゥース等の近距離無線通信により一の移動機200とPeer to Peerで通信接続することによりアクセス要求を受け付けることができるようにしてもよい。
【0041】
このように構成された移動機100について、共有フォルダを作成する処理について説明する。図5は、共有フォルダを作成する処理を示すフローチャートである。ユーザにより検索操作がなされると、検索部102により一または複数の移動機200の検索要求が送信される(S101)。ここでは、検索部102により移動機100の識別IDおよび電話番号を含んだ検索要求が管理サーバ300に送信される。
【0042】
管理サーバ300では、送信された移動機100の識別IDまたは電話番号に基づいて移動機100の位置情報が抽出され、その移動機100の位置情報に基づいて所定範囲内にいる一または複数の移動機200を示す電話番号および識別IDが抽出され、その電話番号および識別IDが返信される。移動機100においては、通信部101を介して検索部102により、管理サーバ300から移動機200の電話番号および識別IDを含んだ確認結果が受信される(S102)。
【0043】
そして、受信された一または複数の移動機200の電話番号が、電話帳データ記憶部105に記憶されている電話番号であるか否かが、判断部104により判断される(S103)。ここで、電話帳データ記憶部105に記憶されている電話番号であると判断されると、一または複数の移動機200を示す移動機リストとともに、アクセス許可の対象となる一または複数の移動機200を選択させる画面が表示部(図示せず)に表示される(S104)。
【0044】
ここで、操作部(図示せず)がユーザにより操作され、アクセス許可される移動機200が選択されると(S105:YES)、判断部104により、接続を許可する一または複数の移動機200の電話番号および識別IDが許可テーブル106に記憶される(S106)。これら電話番号および識別IDが記憶されるとともに、生成部107によりフォルダ記憶部108に共有フォルダが生成され、記憶される(S107)。この共有フォルダの記憶処理とともに生成した共有フォルダを一意に識別可能なフォルダIDが許可テーブル106に選択された移動機200の識別IDに対応付けて記憶される。
【0045】
このようにして、自機である移動機100から所定範囲にいる移動機200がアクセス可能な共有フォルダはフォルダ記憶部108に記憶される。ここで、不特定多数の者にアクセスされないように、電話帳データを用いてアクセス許可される移動機200は限定される。
【0046】
つぎに、移動機200が移動機100に生成された共有フォルダに対するアクセス許可の処理について説明する。図6は、このアクセス許可の処理を示すフローチャートである。通信部101により、一の移動機200からアクセス要求が受信されると、Peer to Peerでコネクションが張られる(S201)。そして、コネクションが張られる際に送信された一の移動機200の識別IDが、許可テーブル106に記憶される識別IDと一致しているか否かが、許可部109により判断される(S202)。ここで一致したと判断されると、許可部109により、一の移動機200から、その一致した識別IDに対応付けられているフォルダIDの共有フォルダへのアクセス要求は許可され、当該フォルダIDの共有フォルダ内の任意のファイルが移動機200に送信され、移動機200において閲覧可能にされる(S203)。
【0047】
このようにして移動機100は、移動機200からの共有フォルダに対するアクセス要求を許可することができ、移動機200は共有フォルダに保持されているファイルを閲覧することができる。
【0048】
つぎに、共有フォルダを削除する処理について説明する。共有フォルダは、移動機100から所定範囲に一または複数の移動機200が存在していた場合に、生成されるものであることから、その移動機200すべてが存在しなくなった場合には不要となる。よって、一または複数の移動機200のすべてが移動機100からの所定範囲外に移動した場合に共有フォルダを削除することが好ましい。ここではこのように共有フォルダを削除するときの処理について説明する。図7は、共有フォルダを削除するときの処理を示すフローチャートである。
【0049】
移動機100における検索部102により、所定のタイミングで一または複数の移動機200の検索要求が管理サーバ300に送信され(S301)、その管理サーバ300から一または複数の移動機200の電話番号および識別IDを含んだ確認結果が受信される(S302)。そして、その確認結果に基づいて移動機100の近隣(所定範囲内)に存在する移動機200が判断部104により判断される(S303)。
【0050】
ここで、一または複数の移動機200のすべてが存在すると判断されると、S301に戻り、所定周期ごとに検索要求が行われる(S301)。また、一または複数の移動機200の一部または全てが存在しないと判断されると、削除部113により許可テーブル106から、存在しない移動機200の識別IDが削除される(S304)。すなわち、確認結果に含まれている移動機200の識別IDと許可テーブル106に記憶されている識別IDとを比較し、全て一致する場合には、移動機200の全ては存在すると判断される。また、確認結果に含まれていなかった識別IDが許可テーブル106に存在すると判断されると、その含まれていなかった識別IDが削除部113により許可テーブル106から削除される。
【0051】
そして、削除部113により、許可テーブル106の一の共有フォルダのフォルダIDに対応付けられた識別IDが全て削除されたと判断されると(S306:YES)、該当する共有フォルダはフォルダ記憶部108から削除される(S108)。また、全ての識別IDが削除されていないと判断されると(S306:NO)、S301に戻り、所定周期ごとに検索要求が行われる(S301)。
【0052】
このような処理により、移動機100の所定範囲内である近隣エリアに存在しない移動機200の識別IDを許可テーブル106から順次削除するとともに、全ての移動機200の識別IDが許可テーブル106から削除された場合には、フォルダ記憶部108から対応する共有フォルダが削除される。
【0053】
つぎに、図5で示した共有フォルダ生成方法の変形例について説明する。図8は、接続条件を付与して共有フォルダを生成するときの処理を示すフローチャートである。
【0054】
図8に示されるように、移動機100において近隣に移動機200の存在を確かめるための検索処理がなされ、管理サーバ300から移動機リストが送信され、ユーザにより任意の移動機が選択されると、許可テーブル106にその選択された移動機の識別IDが記憶されるとともにフォルダIDを有する共有フォルダが生成される(S401−S407)。これら処理は、図5におけるS101−S107と同じである。
【0055】
共有フォルダが生成されると、接続条件設定部111により共有フォルダに接続するための条件の付与を行うか否かをユーザに対しての問合せが表示部(図示せず)に表示されることにより行われる。ここで付与する旨の指示がユーザによりなされると(S408:YES)、接続条件設定部111によりフォルダ条件選択画面が表示部に表示され、フォルダ条件の入力がユーザによりなされ(S409)、そして、フォルダ条件が接続条件記憶部112に記憶され、接続条件が設定される(S410)。この接続条件とは、例えば移動機200が移動機100に対して接続できる時間帯などである。
【0056】
つぎに、このように接続条件が設定された共有フォルダに対する接続処理を行うときの処理について説明する。図9は、接続条件が設定された共有フォルダに対する接続処理を行う処理を示すフローチャートである。
【0057】
通信部101により、一の移動機200からアクセス要求が受信されると、Peer to Peerでコネクションが張られる(S501)。そして、コネクションが張られる際に送信された一の移動機200の識別IDが、許可テーブル106に記憶される識別IDと一致しているか否かが、許可部109により判断される(S502)。ここで一致したと判断されると、さらに、許可部109により、共有フォルダに対する接続条件があるか否かが判断され(S503)、接続条件がある場合には、接続条件を満たしているか否かが判断される(S504)。ここで接続条件を満たしている(S504:YES)、または接続条件が設定されていない(S503:NO)と許可部109により判断されると、一または複数の移動機200からのアクセス要求は許可され、フォルダ記憶部108に記憶されている共有フォルダ内の任意のファイルが移動機200に送信され、移動機200において閲覧可能にされる(S505)。上述S502およびS504において、それぞれ許可テーブルと不一致であったり、接続条件を満たしていなかった場合には、教諭フォルダの閲覧は許可されない。
【0058】
このようにして移動機100は、接続条件を用いて移動機200からの共有フォルダに対するアクセス要求を許可することができ、接続条件を満たした移動機200のみが共有フォルダに保持されているファイルを閲覧することができる。
【0059】
つぎに、これら全体処理の概要について説明する。図10は、移動機100、移動機200および管理サーバ300の処理を示すシーケンス図である。
【0060】
移動機100から管理サーバ300に対して検索要求が送信され(S601)、その応答として確認結果が返信される(S602)。そして、移動機100では、その確認結果に基づいて共有フォルダの生成処理が行われる(S603)。
【0061】
その後、Peerto Peerで移動機200から移動機100に対してアクセス要求が送信されると(S605)、移動機100においてはこのアクセス要求に対する許可処理がなされ、共有フォルダに保持されているファイル等のデータが移動機200に送信され、移動機200において閲覧が可能となる(S607)。
【0062】
その後、移動機100においては、周期的に管理サーバ300にアクセスして、移動機200の位置確認のための検索要求が行われ(S608)、ここでは移動機200は、移動機100の所定範囲内にいると判断され、その応答として移動機200の電話番号および識別IDを含んだ確認結果が返信される(S609)。ここで許可テーブル106に記憶されている識別IDとの比較を行い、全て一致していることが判断されると、OKであると判断される。
【0063】
その後、移動機200は、移動機100の所定範囲外である近隣エリア外に移動すると(S610)、その位置情報が管理サーバ300に送信され、位置情報テーブルに移動機200の移動後の位置情報が記憶される(S611)。例えば、図1に示されるように、領域Aの外に移動機200が移動した場合である。
【0064】
そして、移動機100から周期的に行われる検索要求が実行されると、管理サーバ300においては、移動機200はその位置情報に基づいて所定範囲外にいることが判断され、当該移動機200の識別IDを含んでいない確認結果が、移動機100に送信される。移動機100においては許可テーブル106に記憶されている識別IDとの比較を行い、不一致の場合には、確認結果に含まれているが、許可テーブル106に含まれていない一の移動機200の識別IDが削除される。(S613)。
【0065】
移動後の位置から移動機200が移動機100に対してアクセス要求を出力すると(S614)、移動機100においては移動機200の識別IDは許可テーブルから削除されているものであることから、不許可である旨を出力する(S615)。
【0066】
以上の通り、移動機200は、移動機100の所定範囲内にいる場合には、移動機100に生成されている共有フォルダに対してアクセスできるが、所定範囲外に移動した場合には、その共有フォルダに対するアクセスは許可されない。
【0067】
つぎに、本実施形態の変形例について説明する。図11は、変形例における移動機100aを含んだ通信システムのシステム構成を示すシステム構成図である。図11に示すように、この変形例における通信システムは、AP(Access Point)500aおよびAP500bを含んで構成された無線LANシステムを用いたものである。
【0068】
移動機100aおよび移動機200aは、それぞれ無線LANを用いた通信を行うことができ、AP500aまたはAP500bにより形成されたアクセスポイントに在圏する場合には、そのAP500aおよびAP500bに、移動機100aおよび移動機200aの電話番号と識別ID(MACアドレス)とを在圏情報として記憶させることができる。そして、AP500aは、移動機100からの検索要求を受けると、記憶している在圏情報を確認結果として返信することができる。移動機100aは、その在圏情報に基づいて許可テーブル106に移動機200aの識別IDを記憶させ、そして、移動機200aからの共有フォルダへのアクセス要求に対する許可処理を行うことができる。
【0069】
この移動機100aは、図2のブロック図にて示されている移動機100とほぼ同様の構成をとるものであるが、通信部101としての機能は主に無線LAN通信を実行するものであることが異なる。検索部102が検索要求を送信する相手として管理サーバ300であったものが、AP500aとなる。また、測位部114は必須ではなく、位置情報を管理させる代わりに在圏情報をAP500a、AP500bに管理させることにより、共有フォルダへのアクセスを可能にする所定範囲(図1における領域A)を定めるものである。
【0070】
図12にその詳細処理を示す。図12は、無線LANを用いた通信システムにおける移動機100、移動機200、およびAP500aの処理を示すシーケンス図である。
【0071】
図12に示されるように、移動機100aおよび移動機200aは、AP500aに在圏すると、AP500aは在圏情報として移動機100aおよび移動機200aの識別IDおよび電話番号を記憶する(S701)。
【0072】
移動機100aからAP500aに対して検索要求が送信され(S702)、その応答として確認結果が返信される(S703)。そして、移動機100aでは、その確認結果に基づいて共有フォルダの生成処理が行われる(S704)。
【0073】
その後、Peerto Peerで移動機200aから移動機100aに対してアクセス要求が送信されると(S705)、移動機100aにおいてはこのアクセス要求に対する許可処理がなされ、共有フォルダに保持されているファイル等のデータが移動機200aに送信され、移動機200aにおいて閲覧が可能となる(S708)。
【0074】
その後、移動機100aにおいては、周期的にAP500aにアクセスして、移動機200aの位置確認のための検索要求が行われ(S709)、ここでは移動機200aは、AP500aに在圏していると判断され、その応答として移動機200aの電話番号および識別IDを含んだ確認結果が返信される(S710)。ここで許可テーブル106に記憶されている識別IDとの比較を行い、全て一致していることが判断されると、OKであると判断される。
【0075】
その後、移動機200aは、AP500aからAP500bに移動すると(S711)、AP500aではその旨を検出し、在圏情報から移動機200aが削除される(S712)。例えば、図11において、移動機200aはAP500aからAP500bに移動した場合などで、在圏情報が削除される。
【0076】
そして、移動機100aから周期的に行われる検索要求が実行されると、AP500aにおいては、在圏情報に移動機200aが存在しないことから、当該移動機200を含まない確認結果が、移動機100aに送信される。移動機100aにおいては許可テーブル106に記憶されている識別IDとの比較を行い、不一致の場合には、確認結果に含まれているが、許可テーブル106に含まれていない一の移動機200の識別IDが削除される。(S714)。
【0077】
移動後のAP500bの在圏下にいる移動機200aが移動機100aに対してアクセス要求を出力すると(S715)、移動機100aにおいては移動機200aの識別IDは許可テーブルから削除されているものであることから、不許可である旨を出力する(S716)。
【0078】
このような処理により、移動機200bがAP500aに在圏した場合には、移動機200bの電話番号が在圏情報ととともにAP500aに登録され、そして移動機100aがAP500aに登録されている在圏情報に基づいて移動機200aからのアクセス要求を許可することができる。よって、ユーザによる設定を行うことなく、共有フォルダの設定を行うことができ、使い勝手のよい装置を実現することができる。
【0079】
つぎに、本実施形態の移動機100aの作用効果について説明する。本実施形態の移動機100において、検索部102が、当該移動機100から所定範囲内に位置する他の通信装置である移動機200を検索し、取得部103は、検索された移動機200の識別IDを取得する。そして、許可テーブル106は、取得部103により取得された移動機200の識別IDを記憶しておく。許可部109は、許可テーブル106に記憶されている識別IDを有する移動機200から共有フォルダに対するアクセス要求を受けると、当該アクセス要求を許可する。これにより、ユーザ設定を行うことなく共有フォルダに対するアクセスの設定を行うことができ、使い勝手のよい装置を実現することができる。
【0080】
また、本実施形態の移動機100において、許可テーブル106に移動機200の識別IDが記憶されると、生成部107は、その識別IDを有する移動機200からのアクセスを可能にさせる共有フォルダを生成することにより、共有フォルダの生成までを含めてユーザが設定することなく自動的な設定処理を行うことを可能にさせる。
【0081】
また、本実施形態の移動機100において、電話帳データ記憶部105が電話発信などに使用される電話帳データを予め記憶しておく。そして、取得部103は、検索部102により検索された移動機200の識別IDおよび電話番号を取得し、判断部104は、取得された電話番号が電話帳データに含まれたものであるかを判断する。そして、判断部104により電話帳データに含まれたものであると判断されると、許可テーブル106はその電話番号に対応する識別IDを記憶する。これにより、電話帳データを用いてアクセス許可する移動機200を限定するため、不特定多数のユーザからアクセスを許可することがなく、セキュリティを向上させることができる。
【0082】
また、本実施形態の移動機100において、検索部102は周期的に管理サーバ300またはAP500aに対して所定範囲にいる移動機200の検索処理を実行する。そして、この周期的に行われた検索の結果、判断部104が、許可テーブル106に記憶されている識別IDを有する移動機200が所定範囲に存在しないと判断すると、削除部113は、存在しない移動機200の識別IDを許可テーブル106から削除する。そして、削除の結果、全ての移動機200の識別IDが許可テーブル106から削除された場合に、削除部113は、その識別IDに対応するフォルダIDの共有フォルダを削除することができる。これによりアクセス要求の許可対象となる移動機200が存在しない場合には、当該移動機200のための共有フォルダを削除することで、記憶領域を効率的に使用することができる。
【0083】
また、本実施形態の移動機100において、接続条件設定部111は、共有フォルダに対する接続条件をユーザから受け付け、それを接続条件記憶部112に記憶しておく。そして、許可部109は、許可テーブル106に記憶されている識別IDおよびその接続条件に基づいてアクセス要求に対する許可を行うことができる。よって、さらにセキュリティを向上させることができる。例えば、接続条件としては、アクセスできる時間帯や、スケジューラに設定された予定行動(滞在予定の位置など)である。
【符号の説明】
【0084】
100…移動機、100a…移動機、101…通信部、102…検索部、103…取得部、104…判断部、105…電話帳データ記憶部、106…許可テーブル、107…生成部、108…フォルダ記憶部、109…許可部、111…接続条件設定部、112…接続条件記憶部、113…削除部、114…測位部、200…移動機、200a…移動機、200b…移動機、300…管理サーバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共有フォルダを記憶可能な共有フォルダ記憶手段と、
所定範囲内に位置する他の通信装置を検索する検索手段と、
前記検索手段により検索された他の通信装置の識別IDを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された識別IDを記憶する識別ID記憶手段と、
前記識別ID記憶手段に記憶されている識別IDを有する他の通信装置から前記共有フォルダ記憶手段に記憶されている共有フォルダに対するアクセス要求を受けると、当該アクセス要求を許可する許可手段と、
を備える通信装置。
【請求項2】
前記識別ID記憶手段に識別IDが記憶されると、当該識別IDを有する他の通信装置からのアクセスを可能にさせる共有フォルダを前記フォルダ記憶手段に生成する生成手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
電話帳データを記憶する電話帳データ記憶手段と、
前記取得手段により識別IDとともに取得された他の通信装置の電話番号は、前記電話帳データ記憶手段に記憶されている電話番号に含まれているか否かを判断する判断手段と、をさらに備え、
前記識別ID記憶手段は、前記判断手段により含まれていると判断された電話番号に対応する識別IDを記憶することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記識別ID記憶手段に記憶されている識別IDを有する他の通信装置が所定範囲に存在しないと判断すると、前記識別ID記憶手段から存在しない他の通信装置の識別IDを削除するとともに、前記識別ID記憶手段に全ての他の通信装置の識別IDが削除された場合に、対応する共有フォルダを前記共有フォルダ記憶手段から削除する削除手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記共有フォルダ記憶手段に記憶されている共有フォルダに対する接続条件をユーザから受け付けるフォルダ条件設定手段をさらに備え、
前記許可手段は、前記フォルダ条件設定手段により設定された接続条件にしたがってアクセス要求を許可することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項6】
共有フォルダを記憶可能な共有フォルダ記憶手段を備える通信装置における共有ファイル接続方法において、
所定範囲内に位置する他の通信装置を検索する検索ステップと、
前記検索ステップにより検索された他の通信装置の識別IDを取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得された識別IDを識別ID記憶手段に記憶する識別ID記憶ステップと、
前記識別ID記憶手段に記憶されている識別IDを有する他の通信装置から前記共有フォルダ記憶手段に記憶されている共有フォルダに対するアクセス要求を受けると、当該アクセス要求を許可する許可ステップと、
を備える共有フォルダ接続方法。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−239365(P2010−239365A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−84754(P2009−84754)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】