説明

通信装置および多機能通信装置

【課題】複数のDHCPサーバが接続されているネットワークにおいても通信可能な通信装置を提供すること。
【解決手段】MFPおよびBOXは、第1ネットワークアドレスを有するIPアドレスを割り当てるブロードバンドルータと、第2ネットワークアドレスを有するIPアドレスを割り当てる無線LANルータを備えるネットワークに接続されている。MFPは、第1のIPアドレス設定命令を受信することに応じて、第1ネットワークアドレスを有する第1のIPアドレスを、MFPのIPアドレスに設定する。MFPは、第1ネットワークアドレスを有する第2のIPアドレスをBOXのIPアドレスに設定する旨の第2のIPアドレス設定命令を、BOXへ送信する。BOXは、第2のIPアドレス設定命令を受信することに応じて、第2のIPアドレスを、BOXのIPアドレスに設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、他のデバイスとネットワークを介して接続される通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、LAN(Local Area Network)に接続されているコンピュータとプリンタとの間の通信を可能にするための技術が開示されている。コンピュータおよびプリンタには、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバ等によって、IPアドレスが割り当てられる。コンピュータは、プリンタとユニキャスト通信を実行すべき際に、プリンタのIPアドレスを用いて、プリンタとユニキャスト通信を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−330742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プリンタとセットになって、プリンタとの間で通信を行うことで各種の処理を実行する外部装置が、LANに接続される場合がある。また、複数のDHCPサーバが、同一のLANに接続される場合がある。このような場合、あるDHCPサーバが、第1のネットワークアドレスを含むIPアドレスをプリンタおよび外部装置に割り当てる一方で、他のDHCPサーバが、第1のネットワークアドレスと異なる第2のネットワークアドレスを含むIPアドレスをコンピュータに割り当てる可能性がある。このような状況が発生すると、プリンタおよび外部装置のIPアドレスのネットワークアドレスは、コンピュータのIPアドレスのネットワークアドレスと異なることになる。すると、コンピュータとプリンタとがユニキャスト通信を実行することができなくなるおそれがある。また、プリンタのIPアドレスのネットワークアドレスを、コンピュータのIPアドレスのネットワークアドレスと一致するように変更する場合には、プリンタのIPアドレスのネットワークアドレスと外部装置のIPアドレスのネットワークアドレスとが異なることになる。すると、外部装置とプリンタとが互いに通信を実行することができなくなるおそれがある。本明細書では、このような不便性を解消することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の通信装置は、通信データを相互に通信する第1通信器と第2通信器とを備える通信装置である。第1通信器および第2通信器は、第1ネットワークアドレスを有するIPアドレスを割り当てる機能を有する第1ルータと、第1ネットワークアドレスと異なる第2ネットワークアドレスを有するIPアドレスを割り当てる機能を有する第2ルータを備えるネットワークに接続されている。第1通信器および第2通信器は、ネットワークを介して通信データを通信している。ネットワークには、第1ルータによって第1ネットワークアドレスを有する情報処理装置IPアドレスが割り当てられた情報処理装置が接続されている。第1通信器は、第1のIPアドレス設定命令を受信することに応じて、第1ネットワークアドレスを有し情報処理装置IPアドレスのホストアドレスと異なるホストアドレスを有する第1のIPアドレスを、第1通信器のIPアドレスに設定する第1設定手段と、第1ネットワークアドレスを有し情報処理装置IPアドレスのホストアドレスおよび第1のIPアドレスのホストアドレスと異なるホストアドレスを有する第2のIPアドレスを第2通信器のIPアドレスに設定する旨の第2のIPアドレス設定命令を、第2通信器へ送信する送信手段と、を備える。第2通信器は、第2のIPアドレス設定命令を受信することに応じて、第2のIPアドレスを、第2通信器のIPアドレスに設定する第2設定手段を備えることを特徴とする。
【0006】
第1通信器と第2通信器とは、通信データを相互に通信する装置である。第1通信器と第2通信器とはセットになり、各種の処理を実行する。第1通信器の例としては、印刷処理やスキャナ処理等の各種機能処理を行う、多機能通信装置が挙げられる。第2通信器の例としては、多機能通信装置と通信回線との間の通信データの中継を行う、回線制御装置が挙げられる。通信データの例としては、FAXデータが挙げられる。また、第1通信器と第2通信器との通信は、無線通信のみならず、有線通信であってもよい。なお、第1通信器と第2通信器との数の対応は1対1に限られず、複数対1の場合も含まれる。複数対1の場合の例としては、第1通信器が多機能通信装置であり、第2通信器が回線制御装置であり、1台の回線制御装置に複数台の多機能通信装置が通信可能に接続されている場合が挙げられる。IPアドレスを割り当てる機能としては、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)が挙げられる。IPアドレスは、ネットワークアドレスとホストアドレスを含んでいる。ネットワークアドレスは、ネットワークを識別するための情報である。また、ホストアドレスは、ネットワーク内の個々のノードを識別するための情報である。
【0007】
ネットワークには、第1ネットワークアドレスと異なる第2ネットワークアドレスを有するIPアドレスを割り当てる機能を有する、第2ルータが備えられている。第2ルータは、ネットワークに複数接続されていてもよい。情報処理装置には、第1ルータによって、第1ネットワークアドレスを有するIPアドレスが割り当てられている。そして、第1通信器および第2通信器に、第2ルータによって第1ネットワークアドレスと異なる第2ネットワークアドレスを有するIPアドレスが割り当てられている場合には、情報処理装置のネットワークアドレスと、第1通信器および第2通信器のネットワークアドレスとが異なることになる。すると、情報処理装置と第1通信器および第2通信器との間では、同一ネットワークに接続されているにも関わらず、互いに通信することができない。
【0008】
第1通信器の第1設定手段は、第1のIPアドレス設定命令を受信することに応じて、第1のIPアドレスを第1通信器のIPアドレスに設定する。第1のIPアドレスは、第1ネットワークアドレスを有し、情報処理装置IPアドレスのホストアドレスと異なるホストアドレスを有するIPアドレスである。第1のIPアドレス設定命令は、例えば情報処理装置から出力されるとしてもよい。これにより、情報処理装置および第1通信器に設定されるIPアドレスは、ネットワークアドレスが同一となり、ホストアドレスが異なることになる。よって、情報処理装置と第1通信器との間で、ネットワークを介した通信を行うことが可能となる。しかしこの段階では、第1通信器および第2通信器に設定されるIPアドレスは、ネットワークアドレスが異なることになるため、第1通信器と第2通信器との間で、ネットワークを介した通信を行うことができなくなる。
【0009】
第1通信器の送信手段は、第2のIPアドレスを第2通信器のIPアドレスに設定する旨の第2のIPアドレス設定命令を、第2通信器へ送信する。第2のIPアドレスは、第1ネットワークアドレスを有している。また、第2のIPアドレスは、情報処理装置IPアドレスのホストアドレスおよび第1のIPアドレスのホストアドレスと異なるホストアドレスを有している。第2通信器の第2設定手段は、第2のIPアドレス設定命令を受信することに応じて、第2のIPアドレスを、第2通信器のIPアドレスに設定する。これにより、情報処理装置、第1通信器および第2通信器に設定されるIPアドレスは、ネットワークアドレスが同一となり、ホストアドレスが互いに異なることになる。よって、互いにネットワークを介して通信を行うことが可能となる。
【0010】
以上より、第1通信器のIPアドレスのネットワークアドレスを、情報処理装置のIPアドレスと一致するように変更した場合に、第1通信器と第2通信器の間でネットワークを介したデータ送信が可能となるように、第2通信器のIPアドレスのネットワークアドレスを、第1通信器から変更する。これにより、情報処理装置と第1通信器と第2通信器の間で、ネットワークを介した通信を行うことが可能となるように、IPアドレスを自動で変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】通信システム2のブロック図である。
【図2】MFPの動作フロー図(その1)である。
【図3】MFPの動作フロー図(その2)である。
【図4】BOXの動作フロー図である。
【図5】PCの動作フロー図である。
【図6】通信システム2aの構成図である。
【図7】通信システム2の構成図(その1)である。
【図8】通信システム2の構成図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面を参照して実施例を説明する。図1に示されるように、通信システム2は、PC90、ブロードバンドルータ82、無線LANルータ81、分散構成多機能周辺装置1、を備える。無線LANルータ81には、無線通信201および202によって、MFP10およびBOX31が接続されている。また、ブロードバンドルータ82には、有線通信211によって無線LANルータ81が接続されるとともに、有線通信212によってPC90が接続されている。ブロードバンドルータ82は、さらに、インターネット101に接続されている。
【0013】
分散構成多機能周辺装置1は、多機能周辺装置(以下「MFP」と称す)10と、回線制御装置(以下「BOX」と称す)31と、子機60を備える。BOX31は、電話回線47を使用した通信の制御を行う通信装置である。MFP10は、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、ファクシミリ機能などを備える。MFP10とBOX31とは、互いに通信することでペアとなる機器である。MFP10とBOX31とは、無線LANルータ81を介したインフラストラクチャーモードの無線通信201および202により、互いに通信を行うことが可能とされている。
【0014】
MFP10の構成について説明する。MFP10は、CPU11、ROM12、RAM13、EEPROM14、無線LAN送受信部15、無線LANアンテナ部16、ボタン入力部17、パネル18、プリンタ19、スキャナ20、スロット部21、を主に備えている。これらの構成要素は、入出力ポート22を介して互いに通信可能に接続されている。
【0015】
CPU11は、ROM12等に記憶されるプログラムや、無線LAN送受信部15を介して送受信される各種信号などに従って、各機能の制御を行う。ROM12は、MFP10で実行される制御プログラムなどを格納した書換不能なメモリであり、各種のプログラムが格納されている。RAM13は、書換可能な揮発性のメモリである。EEPROM14は、書換可能な不揮発性のメモリである。EEPROM14には、MFP10に設定されている、IPアドレス、MACアドレス、サブネットマスク、ゲートウェイアドレスなどが記憶される。MACアドレス(Media Access Control address)は、ネットワーク上で、各ノードを識別するために設定されている、ハードウェア固有の物理アドレスである。またEEPROM14には、ユーザ等によって予め設定されたリトライ回数や、MFP10と通信のペアとなる機器が存在するか否かのフラグ情報などが保持される。
【0016】
無線LAN送受信部15は、無線LANアンテナ部16を介して、無線通信201を行う。そして、無線LAN送受信部15により、各種のデータを構成するデジタル信号が送受信される。ボタン入力部17は、MFP10の各機能を実行するためのキーである。パネル18は、MFP10の各種機能情報を表示する。プリンタ19は、印刷を実行する部位である。スキャナ20は、読み取りを実行する部位である。スロット部21は、メモリカードなどの外部記憶装置が接続される部位である。
【0017】
BOX31の構成について説明する。BOX31は、CPU32、ROM33、RAM34、EEPROM35、無線LAN送受信部36、無線LANアンテナ部37、操作キー38、パネル39、モデム40、電話回線接続部41、DCL送受信部45、DCLアンテナ部46を主に備えている。
【0018】
モデム40は、電話回線接続部41および電話回線47を介して、電話回線網100に接続されている。モデム40は、ファクシミリ機能によって送信する原稿データを、電話回線47に伝送可能な信号に変調して電話回線接続部41を介して送信したり、電話回線47から電話回線接続部41を介して入力された信号を受信し、原稿データへ復調するものである。
【0019】
無線LAN送受信部36は、無線LANアンテナ部37を介して、無線LANルータ81と無線通信202を行う。そして、無線LAN送受信部36により、各種のデータを構成するデジタル信号が送受信される。また、DCL送受信部45は、DCLアンテナ部46を介して、子機60と無線通信203を行う。そして、DCL送受信部45により、音声通話信号が送受信される。
【0020】
EEPROM35には、BOX31に設定されている、IPアドレス、MACアドレス、サブネットマスク、ゲートウェイアドレスなどが記憶される。なお、BOX31のその他の構成は、上述したMFP10の構成と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0021】
分散構成多機能周辺装置1について説明する。分散構成多機能周辺装置1は、BOX31およびMFP10を備えることによって、物理的に分離した構成とされる。これにより、電話回線47のコネクタ部にMFP10を直接に接続する必要がないため、MFP10のレイアウト性を高めることができ、ユーザの利便性を高めることができる。
【0022】
また例えば、分散構成多機能周辺装置1でファクシミリ機能を実行する場合には、MFP10のスキャナ20で生成されたFAXデータが、BOX31を介して電話回線47へ送信される。また、BOX31が電話回線47から受信したデータが、MFP10で受信され、プリンタ19で印刷される。また、分散構成多機能周辺装置1で電話機能を実行する場合には、子機60と電話回線網100との間の音声データの送受信が、BOX31を介して行なわれる。
【0023】
PC90は、CPU91、記憶部92、操作部93、表示部94を備える。記憶部92は、RAM、ROM、不揮発性記憶装置(ハードディスクドライブやEEPROMなど)を備えている。記憶部92には、PC90に設定されている、IPアドレス、MACアドレス、サブネットマスク、ゲートウェイアドレスなどが記憶される。また、MFP10のIPアドレスおよびMACアドレスなどが記憶される。
【0024】
ブロードバンドルータ82は、通信システム2のネットワークに接続されているPC90、MFP10、BOX31の間の通信をルーティングする機能を有する。またブロードバンドルータ82は、通信システム2のネットワークに接続されているPC90、MFP10、BOX31の各々にIPアドレスを割り当てることが可能な、DHCP機能を備えている。ブロードバンドルータ82は、インターネット101に接続されており、通信システム2のネットワーク側とWAN側(インターネット101側)との間の通信を中継する機能を有する。
【0025】
なお、本実施例では、通信システム2のネットワークで利用されているサブネットマスクは、「255.255.255.0」である。即ち、通信システム2のネットワークで利用されているサブネットマスクは、最初の24ビットをマスクするためのサブネットマスクである。従って、ブロードバンドルータ82が割り当て可能なIPアドレス「192.168.1.2〜254」のうち、最初の24ビット(「192.168.1」の部分)が、ネットワークアドレスに相当する。そして、最後の8ビットが、ホストアドレスに相当する。
【0026】
無線LANルータ81は、ブロードバンドルータ82と同様に、通信システム2のネットワークに接続されているデバイス群の間の通信をルーティングする機能を有する。また無線LANルータ81も、DHCP機能を備えている。また無線LANルータ81は、無線通信デバイス群の間の無線通信を中継する機能を有する。
【0027】
ブロードバンドルータ82および無線LANルータ81が、DHCP機能によって割り当て可能なIPアドレスの範囲は、工場出荷時に設定される初期設定値などにより、予め決定されている。本実施形態の例では、ブロードバンドルータ82のIPアドレス(ゲートウェイアドレス)が「192.168.1.1」とされており、ブロードバンドルータ82が「192.168.1.2〜254」の範囲内のIPアドレスを割り当て可能である場合を説明する。また、無線LANルータ81のIPアドレス(ゲートウェイアドレス)が「192.168.2.1」とされており、無線LANルータ81が「192.168.2.2〜254」の範囲内のIPアドレスを割り当て可能である場合を説明する。即ち、無線LANルータ81が割り当て可能なIPアドレスのネットワークアドレス「192.168.2」と、ブロードバンドルータ82が割り当て可能なIPアドレスのネットワークアドレス「192.168.1」とが異なっている場合を説明する。
【0028】
本実施形態に係る通信システム2の動作の具体例を、図2ないし図5のフローを用いて説明する。通信システム2のネットワークの通信状態について説明する。まず、対比となる通信システム2aの構成について、図6を用いて説明する。図6の通信システム2aは、通信システム2に比して、無線LANルータ81が備えられていない通信システムである。図6に示す通信システム2aでは、1個のDHCPサーバ(ブロードバンドルータ82)のみがネットワークに接続されている。そして、ブロードバンドルータ82に、PC90、MFP10およびBOX31が接続されている。よってブロードバンドルータ82が、PC90、MFP10およびBOX31のそれぞれに、「192.168.1」のネットワークアドレスを含むIPアドレスを割り当てる。本実施形態の例では、PC90に「192.168.1.2」が割り当てられ、MFP10に「192.168.1.3」が割り当てられ、BOX31に「192.168.1.4」が割り当てられる場合を説明する。PC90、MFP10およびBOX31が共通するネットワークアドレス(「192.168.1」)を有するために、PC90とMFP10との通信301、および、MFP10とBOX31との通信302が、共に可能となる。
【0029】
次に、通信システム2のネットワークの通信状態について、図7を用いて説明する。通信システム2は、通信システム2aに対して、無線LANルータ81を追加した構成を有する。通信システム2aから通信システム2への変更は、例えば、ユーザがPC90と分散構成多機能周辺装置1とを無線LANで接続したいと考える場合に、増設用の無線LANルータ81を通信システム2aに追加する場合などに行われる。通信システム2では、2個のDHCPサーバ(ブロードバンドルータ82及び無線LANルータ81)がネットワークに接続されている。このような構成を有するネットワークでは、例えば、ブロードバンドルータ82が「192.168.1」のネットワークアドレスを含むIPアドレスをPC90に割り当てる一方、無線LANルータ81が「192.168.2」のネットワークアドレスを含むIPアドレスをMFP10およびBOX31に割り当てるような状況が発生する場合がある。本実施形態の例では、図7に示すように、ブロードバンドルータ82によってPC90に「192.168.1.2」が割り当てられ、無線LANルータ81によってMFP10に「192.168.2.2」が割り当てられ、無線LANルータ81によってBOX31に「192.168.2.3」が割り当てられる場合を説明する。この場合に、PC90からMFP10へ印刷を実行させる場合には、MFP10のIPアドレス「192.168.2.2」を送信先として、PC90から印刷データを送信する必要がある。この印刷データは、PC90のゲートウェイであるブロードバンドルータ82に送信される。ブロードバンドルータ82は、自身のネットワークアドレス「192.168.1」と、印刷データの送信先のネットワークアドレス「192.168.2」とが異なるために、印刷データをWAN側(インターネット101側)に送信してしまう。この場合、PC90とMFP10との間では、同一ネットワークに接続されているにも関わらず、通信不可状態となる。よって、MFP10で印刷データを印刷することができない。
【0030】
以下、図2ないし図5のフローを用いて、図7に示すようなネットワーク接続環境が発生した場合において、PC90、MFP10およびBOX31の間で通信を行うことが可能となるように、ネットワークアドレスを変更する動作を説明する。
【0031】
図5を用いて、PC90の動作を説明する。図5は、PC90での第1のIPアドレス設定命令の発行処理を示すフローチャートである。第1のIPアドレス設定命令の発行処理は、図7のネットワーク接続環境が発生し、PC90とMFP10との間が通信不可状態となった場合に行われる処理である。S221において、CPU91は、MFP10のIPアドレスを変更する旨の、IPアドレス変更命令の入力を受け付けたか否かを判断する。IPアドレス変更命令は、例えば、PC90とMFP10との間が通信不可状態となった場合に、ユーザがPC90の操作部93を操作することで入力されてもよい。また例えば、PC90とMFP10との間が通信不可状態となったことがPC90で検出された場合に、PC90がIPアドレス変更命令を自動で発行して入力するとしてもよい。IPアドレス変更命令の入力が受け付けられない場合(S221:NO)にはS221へ戻って待機し、入力が受け付けられた場合(S221:YES)にはS223へ進む。
【0032】
S223において、CPU91は、MFP10のMACアドレスを取得済みであるか否かを判断する。具体的には、記憶部92にMFP10のMACアドレスが記憶されているか否かを確認する。MFP10のMACアドレスを取得済みである場合(S223:YES)には、S225をスキップしてS227へ進む。一方、取得済みではない場合(S223:NO)には、S225へ進む。
【0033】
S225において、CPU91は、MFP10のMACアドレスを取得する。MFP10のMACアドレスの取得方法は、各種の方法が挙げられる。例えば、後述するように、PC90とMFP10とがブロードキャスト通信することにより、MFP10からMACアドレスを取得するとしてもよい。また例えば、表示部94にMFP10のMACアドレスを入力する旨を表示し、操作部93を操作してMFP10のMACアドレスを入力することを、ユーザに促してもよい。また例えば、MFP10の製造番号等とMACアドレスとの対応一覧をサーバに記憶しておき、インターネット101を介して当該サーバにアクセスすることで、MACアドレスを検索し、取得してもよい。
【0034】
S227において、CPU91は、第1のIPアドレス設定命令をMFP10へ送信する。第1のIPアドレス設定命令には、設定IPアドレス、送信先特定情報としてのMACアドレス、サブネットマスク、ゲートウェイアドレス、IP取得方法(静的)、が含まれている。設定IPアドレスは、PC90とMFP10との通信を正常化するために、MFP10に設定するIPアドレスである。設定IPアドレスは、ブロードバンドルータ82が割り当てるネットワークアドレス「192.168.1」を有し、PC90のIPアドレスのホストアドレスと異なるホストアドレスを有する。本実施形態の例では、例として、設定IPアドレスが「192.168.1.3」である場合を説明する。なお、設定IPアドレスの決め方は、S53で後述する、仮IPアドレスの決め方を用いればよい。
【0035】
送信先特定情報は、第1のIPアドレス設定命令の送信先を特定するための情報である。本実施形態の例では、第1のIPアドレス設定命令をMFP10に送信する場合を説明しているため、送信先特定情報は、MFP10のMACアドレスとされる。サブネットマスクは、「255.255.255.0」である。ゲートウェイアドレスは、ブロードバンドルータ82のIPアドレス「192.168.1.1」である。IP取得方法は、MFP10がIPアドレスを取得する方法を決定するための情報である。IPアドレスを取得する方法には、IPアドレスがDHCP機能によって割り当てられる動的な取得方法と、IPアドレスが指定される静的な取得方法が存在する。動的な取得方法では、IPアドレスは一定期間ごとに更新され、更新の前後で同じIPアドレスが割り当てられる保証はない。本実施形態では、MFP10のIPアドレスとして設定IPアドレスが指定される場合を説明しているため、IPアドレスを取得する方法として、静的な取得方法が用いられる。
【0036】
また、第1のIPアドレス設定命令をMFP10へ送信する際には、ブロードキャストが用いられる。ブロードキャストは、宛先が不特定である通信であるため、MFP10とPC90のネットワークアドレスが異なりユニキャスト送信を実施できない場合においても、第1のIPアドレス設定命令を送信することが可能となる。
【0037】
図2および図3を用いて、第1のIPアドレス設定命令の受信時における、MFP10の動作を説明する。MFP10の電源がONされると、S31において、CPU11は、第1のIPアドレス設定命令の受信を監視する。第1のIPアドレス設定命令を受信していない場合(S31:NO)にはS31へ戻って待機し、受信した場合(S31:YES)にはS33へ進む。S33において、CPU11は、受信した第1のIPアドレス設定命令から、設定IPアドレスを抽出する。
【0038】
S35において、CPU11は、MFP10と通信のペアとなる機器(BOX31)が存在するか否かを判断する。具体的には、EEPROM14に、MFP10と通信のペアとなる機器が存在する旨のフラグ情報が保持されているか否かを確認する。BOX31が存在しないと判断される場合(S35:NO)には、MFP10自身がモデム40を備えており、MFP10が単体でFAX送受信を実施可能な場合であると判断され、フローを終了する。一方、BOX31が存在すると判断される場合(S35:YES)には、MFP10とBOX31とがペアとなってFAX送受信が実施可能な場合であると判断され、S37へ進む。
【0039】
S37において、CPU11は、BOX31のMACアドレスを取得済みであるか否かを判断する。取得済みでないと判断される場合(S37:NO)には、S39へ進む。S39において、CPU11は、BOX31に対して、MACアドレスをMFP10へ送信する旨のMACアドレス送信命令を送信する。図7に示すネットワーク接続環境では、MFP10とBOX31とは同一のネットワークアドレスを有しているため、MACアドレスを送信する旨の命令は、ユニキャストにより送信される。
【0040】
S41においてCPU11は、BOX31のMACアドレスが、BOX31から返信されてきたか否かを判断する。返信されてこない場合(S41:NO)にはS42へ進む。
【0041】
S42において、CPU11は、第1のIPアドレス設定命令に含まれている送信先特定情報のMACアドレスが、MFP10のMACアドレスに一致するか否かを判断する。一致しない場合(S42:NO)には、ブロードキャストされてきた第1のIPアドレス設定命令が、MFP10に対する命令ではないと判断され、フローを終了する。一方、一致する場合(S42:YES)には、第1のIPアドレス設定命令がMFP10に対する命令であると判断し、S43へ進む。
【0042】
S43において、CPU11は、第1のIPアドレス設定命令に含まれている設定IPアドレスを、MFP10のIPアドレスとして新たに設定する。また、第1のIPアドレス設定命令に含まれているサブネットマスクおよびゲートウェイアドレスを、MFP10のサブネットマスクおよびゲートウェイアドレスとして新たに設定する。具体的な設定内容の例は、後述するS51の設定内容と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。これにより、PC90とMFP10との間でネットワークアドレスが同一となるため、PC90とMFP10との通信が可能となる。しかし、MFP10とBOX31の間でネットワークアドレスが異なることとなるため、MFP10とBOX31との通信が不可能となる。また、S41においてBOX31のMACアドレスが入手できないため、BOX31へ対してネットワークアドレスを変更させる命令を出すことが出来ず、MFP10とBOX31との通信を回復させることが不可能な状態である。よってS45において、CPU11は、MFP10とBOX31との通信を行うことが出来ない旨のエラーを、パネル18へ表示する。そしてフローを終了する。
【0043】
一方、S37においてBOX31のMACアドレスが取得済みであると判断される場合(S37:YES)や、S41においてBOX31のMACアドレスが取得できたと判断される場合(S41:YES)には、S47へ進む。S47において、CPU11は、第1のIPアドレス設定命令に含まれている送信先特定情報のMACアドレスが、MFP10のMACアドレスに一致するか否かを判断する。一致しない場合(S47:NO)には、ブロードキャストされてきた第1のIPアドレス設定命令が、MFP10に対する命令ではないと判断され、フローを終了する。一方、一致する場合(S47:YES)には、第1のIPアドレス設定命令がMFP10に対する命令であると判断し、S51へ進む。
【0044】
S51において、CPU11は、第1のIPアドレス設定命令に含まれている設定IPアドレスを、MFP10のIPアドレスとして新たに設定する。また、第1のIPアドレス設定命令に含まれているサブネットマスクおよびゲートウェイアドレスを、MFP10のサブネットマスクおよびゲートウェイアドレスとして新たに設定する。本実施形態の例では、図8の領域R1に示すように、MFP10のIPアドレスが、「192.168.2.2」から「192.168.1.3」へ変更される。また、MFP10のサブネットマスクは、変更前後で同一であるため、「255.255.255.0」の設定が維持される。また、MFP10に設定されているゲートウェイアドレスが、「192.168.2.1」から「192.168.1.1」へ変更される。
【0045】
これにより、PC90のIPアドレス「192.168.1.2」と、MFP10のIPアドレス「192.168.1.3」は、ネットワークアドレスが同一となり、ホストアドレスが異なることになる。よって、PC90とMFP10との間で、ネットワークを介した通信301を行うことが可能となる。しかしこの段階では、MFP10のIPアドレス「192.168.1.3」と、BOX31のIPアドレス「192.168.2.3」は、ネットワークアドレスが異なることになるため、MFP10とBOX31との間で、ネットワークを介した通信302を行うことができなくなる。よって、MFP10とBOX31との間で通信302を可能とするための処理(S53〜S99)を、以下に説明する。
【0046】
図3のS53において、CPU11は、仮IPアドレスを生成する。仮IPアドレスは、MFP10とBOX31との通信を正常化するために、BOX31に設定するIPアドレスである。仮IPアドレスは、ブロードバンドルータ82が割り当てるネットワークアドレス「192.168.1」を有し、PC90のIPアドレスのホストアドレスおよび設定IPアドレスのホストアドレスと異なるホストアドレスを有している。仮IPアドレスの決定方法としては、MFP10に設定された設定IPアドレスのホストアドレスに、所定値を加算していく方法が用いられる。本実施形態の例では、設定IPアドレス「192.168.1.3」のホストアドレスに「2」が加算され、仮IPアドレス「192.168.1.5」が生成される。なお、所定値は「2」に限られず、様々な値を使用しうる。また所定値を可算するのみならず、減算していく方法であってもよい。
【0047】
S55において、CPU11は、生成した仮IPアドレスを送信先として、Ping(Packet INternet Groper)信号をユニキャスト送信する。S57において、CPU11は、Ping信号に対する応答信号を受信したか否かを判断する。受信した場合(S57:YES)には、仮IPアドレスと同一のIPアドレスを使用している機器が、同一ネットワーク内に存在する場合であると判断され、S59へ進む。S59において、CPU11は、仮IPアドレスの生成回数が、EEPROM14に保持されているリトライ回数に到達したか否かを判断する。リトライ回数に到達している場合(S59:YES)には、仮IPアドレスの生成に失敗したと判断される。よってS61へ進み、CPU11は、BOX31と通信を行うことが出来ない旨のエラーを、パネル18に表示する。そしてフローを終了する。一方、リトライ回数に到達していない場合(S59:NO)にはS53へ戻り、次の仮IPアドレスを生成する。例えば、S57において、仮IPアドレス「192.168.1.5」が他の機器で使用中であると判断された場合には、当該仮IPアドレスのホストアドレスに「2」が可算され、新たな仮IPアドレス「192.168.1.7」が生成される。そして再度S55において、新たな仮IPアドレスが他の機器で使用中であるか否かが確認される。
【0048】
また、S57において、Ping信号に対する応答信号を受信していない場合(S57:NO)には、仮IPアドレスと同一のIPアドレスを使用している機器が同一ネットワーク内に存在しないと判断され、S71へ進む。このように、S55およびS57によって、ネットワーク内の他の機器で使用されているIPアドレスと同一のIPアドレスが、仮IPアドレスとして選択されてしまう事態を防止できる。よって、ネットワーク内での通信状態を正常に維持することが可能となる。
【0049】
S71において、CPU11は、第2のIPアドレス設定命令をBOX31へ送信する。第2のIPアドレス設定命令には、仮IPアドレス、送信先特定情報としてのMACアドレス、サブネットマスク、ゲートウェイアドレス、IP取得方法(静的)、が含まれている。本実施形態の例では、第2のIPアドレス設定命令をBOX31に送信する場合を説明しているため、送信先特定情報は、BOX31のMACアドレスとされる。サブネットマスクは、「255.255.255.0」である。ゲートウェイアドレスは、ブロードバンドルータ82のIPアドレス「192.168.1.1」である。また、第2のIPアドレス設定命令をBOX31への送信する際には、ブロードキャストが用いられる。これにより、MFP10とBOX31のネットワークアドレスが異なりユニキャスト送信を実施できない場合においても、第2のIPアドレス設定命令を送信することが可能となる。
【0050】
S73において、CPU11は、BOX31のIPアドレスとして仮IPアドレスが設定されるまで、所定時間待機する。S75において、CPU11は、仮IPアドレスを送信先として、Ping信号をユニキャスト送信する。S77において、CPU11は、Ping信号に対する応答信号を受信したか否かを判断する。受信していない場合(S77:NO)には、BOX31のIPアドレスが、仮IPアドレスに変更されていない場合であると判断され、S79へ進む。S79において、CPU11は、第2のIPアドレス設定命令の送信回数が、EEPROM14に保持されているリトライ回数に到達したか否かを判断する。リトライ回数に到達している場合(S59:YES)には、BOX31のIPアドレスに仮IPアドレスを設定することに失敗したと判断される。よってS81へ進み、CPU11は、BOX31と通信を行うことが出来ない旨のエラーを、パネル18に表示する。そしてフローを終了する。一方、S79において、第2のIPアドレス設定命令の送信回数がリトライ回数に到達していない場合(S79:NO)にはS71へ戻り、第2のIPアドレス設定命令の送信を再度実行する。
【0051】
また、S77において、Ping信号に対する応答信号を受信した場合(S77:YES)には、BOX31のIPアドレスが仮IPアドレスに変更されていると判断され、S91へ進む。S91において、CPU11は、所定の接続確認データを、BOX31へユニキャスト送信する。接続確認データの例としては、テスト用のFAXデータが挙げられる。
【0052】
S93において、CPU11は、接続確認データに対する応答信号を、BOX31から受信したか否かを判断する。受信していない場合(S93:NO)には、MFP10とBOX31との通信回線が接続されていない場合であると判断され、S95へ進む。S95において、CPU11は、接続確認データの送信回数がリトライ回数に到達したか否かを判断する。リトライ回数に到達している場合(S95:YES)には、MFP10とBOX31との通信の接続に失敗したと判断される。よってS97へ進み、CPU11は、BOX31と通信を行うことが出来ない旨のエラーを、パネル18に表示する。そしてフローを終了する。一方、リトライ回数に到達していない場合(S95:NO)にはS91へ戻り、接続確認データの送信を再度実行する。
【0053】
また、S93において、接続確認データに対する応答信号を受信した場合(S93:YES)には、MFP10とBOX31との通信の接続が完了した場合であると判断され、S99へ進む。S99において、CPU11は、BOX31と通信を行うことが可能である旨の表示をパネル18に表示する。そしてフローを終了する。
【0054】
図4を用いて、BOX31の動作を説明する。図4は、BOX31での第2のIPアドレス設定命令の受信処理を示すフローチャートである。受信処理は、MFP10から送信されてくる第2のIPアドレス設定命令を受信した場合に、その要求に応じた処理を実行するための処理である。図4の処理は、BOX31の主電源が投入されてから主電源が遮断されるまで、繰り返し実行される処理である。S121において、CPU32は、MACアドレス送信命令を受信したか否かを判断する。MACアドレス送信命令を受信していない場合(S121:NO)には、S123をスキップしてS125へ進む。一方、受信した場合(S121:YES)にはS123へ進み、CPU32は、BOX31のMACアドレスをMFP10へユニキャスト送信する。
【0055】
S125において、CPU32は、第2のIPアドレス設定命令を受信したか否かを判断する。受信していない場合(S125:NO)にはS125へ戻って待機し、受信した場合(S125:YES)にはS127へ進む。
【0056】
S127において、CPU32は、第2のIPアドレス設定命令に含まれている送信先特定情報のMACアドレスと、BOX31のMACアドレスが一致するか否かを判断する。一致しない場合(S127:NO)には、ブロードキャストされてきた第2のIPアドレス設定命令が、BOX31に対する命令ではないと判断され、S125へ戻る。一方、一致する場合(S127:YES)には、第2のIPアドレス設定命令がBOX31に対する命令であると判断し、S129へ進む。
【0057】
S129において、CPU32は、第2のIPアドレス設定命令に含まれている仮IPアドレスを、BOX31のIPアドレスとして新たに設定する。また、第2のIPアドレス設定命令に含まれているサブネットマスクおよびゲートウェイアドレスを、BOX31のサブネットマスクおよびゲートウェイアドレスとして新たに設定する。本実施形態の例では、図8の領域R2に示すように、BOX31のIPアドレスが、「192.168.2.3」から「192.168.1.5」へ変更される。また、BOX31サブネットマスクは、変更前後で同一であるため、「255.255.255.0」の設定が維持される。また、BOX31に設定されているゲートウェイアドレスが、「192.168.2.1」から「192.168.1.1」へ変更される。このように、S127およびS129において、第2のIPアドレス設定命令にBOX31のMACアドレスが含まれていることを検出することを条件として、仮IPアドレスをBOX31のIPアドレスに設定する。よって、ブロードキャストで送信されてきた第2のIPアドレス設定命令が、BOX31に対して送られてきた命令であることを確認した上で、第2のIPアドレス設定命令を実行することができる。これにより、MFP10からBOX31へ、第2のIPアドレス設定命令を確実に送信することができる。
【0058】
S131において、CPU32は、Ping信号をMFP10から受信したか否かを判断する。Ping信号を受信した場合(S131:YES)には、S133へ進む。S133において、CPU32は、応答信号をMFP10へユニキャスト送信する。そしてS135へ進む。一方、Ping信号を受信していない場合(S131:NO)には、S133をスキップしてS135へ進む。
【0059】
S135において、CPU32は、MFP10から接続確認データを受信したか否かを判断する。受信していない場合(S135:NO)にはフローを終了し、受信している場合(S135:YES)にはS137へ進む。S137において、CPU32は、確認応答をMFP10へユニキャスト送信する。そしてフローが終了する。
【0060】
以上説明した、本実施形態の説明例に係る分散構成多機能周辺装置1の効果を説明する。本実施形態の説明例に係る分散構成多機能周辺装置1では、MFP10のIPアドレスのネットワークアドレスを、PC90のIPアドレスと一致するように変更した場合に、MFP10とBOX31の間でネットワークを介したデータ送信が可能となるように、BOX31のIPアドレスのネットワークアドレスを、MFP10から変更する。これにより、PC90とMFP10とBOX31の間で、ネットワークを介した通信を行うことが可能となるように、IPアドレスを自動で変更することができる。これにより、ネットワークにルータを複数接続して使用する場合に通信ができなくなる事態を、ユーザに煩雑な設定操作を強いることやユーザに専門知識を要求することなく、防止することができる。
【0061】
また、本実施形態の説明例に係る分散構成多機能周辺装置1では、S35においてMFP10と通信のペアとなる機器(BOX31)が存在することが確認されることを条件として、S71において第2のIPアドレス設定命令をBOX31へ送信する。これにより、MFP10と通信のペアとなる機器(BOX31)が存在しない場合に、第2のIPアドレス設定命令が送信されることで、時間等のロスが発生してしまう事態を防止することができる。
【0062】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【0063】
MFP10とBOX31との数の対応は1対1に限られず、複数対1の場合も含まれる。複数対1の場合の例としては、1台のBOX31に複数台のMFPが通信可能に接続されている場合が挙げられる。
【0064】
また本実施形態では、PC90から出力された第1のIPアドレス設定命令がMFP10に入力される場合を説明したが、この形態に限られない。例えば、MFP10のボタン入力部17をユーザが操作することにより、第1のIPアドレス設定命令がMFP10に入力されてもよい。
【0065】
また、MFP10と無線LANルータ81との通信や、BOX31と無線LANルータ81との通信は、無線通信のみならず、有線通信であってもよい。
【0066】
なお、MFP10は第1通信器の一例である。BOX31は第2通信器の一例である。分散構成多機能周辺装置1は通信装置の一例である。ブロードバンドルータ82は第1ルータの一例である。無線LANルータ81は第2ルータの一例である。PC90は情報処理装置の一例である。
【0067】
また、S51を実行する制御部は第1設定手段の一例である。S71を実行する制御部は送信手段の一例である。S129を実行する制御部は第2設定手段の一例である。S35を実行する制御部は第1確認手段の一例である。S53を実行する制御部は生成手段の一例である。S55を実行する制御部は第2確認手段の一例である。S39を実行する制御部は取得手段の一例である。
【符号の説明】
【0068】
1 分散構成多機能周辺装置
2 通信システム
10 MFP
31 BOX
81 無線LANルータ
82 ブロードバンドルータ
90 PC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信データを相互に通信する第1通信器と第2通信器とを備える通信装置であって、
前記第1通信器および前記第2通信器は、第1ネットワークアドレスを有するIPアドレスを割り当てる機能を有する第1ルータと、前記第1ネットワークアドレスと異なる第2ネットワークアドレスを有するIPアドレスを割り当てる機能を有する第2ルータを備えるネットワークに接続されており、
前記第1通信器および前記第2通信器は、前記ネットワークを介して前記通信データを通信しており、
前記ネットワークには、前記第1ルータによって前記第1ネットワークアドレスを有する情報処理装置IPアドレスが割り当てられた情報処理装置が接続されており、
前記第1通信器は、
第1のIPアドレス設定命令を受信することに応じて、前記第1ネットワークアドレスを有し前記情報処理装置IPアドレスのホストアドレスと異なるホストアドレスを有する第1のIPアドレスを、前記第1通信器のIPアドレスに設定する第1設定手段と、
前記第1ネットワークアドレスを有し前記情報処理装置IPアドレスのホストアドレスおよび前記第1のIPアドレスのホストアドレスと異なるホストアドレスを有する第2のIPアドレスを前記第2通信器のIPアドレスに設定する旨の第2のIPアドレス設定命令を、前記第2通信器へ送信する送信手段と、
を備え、
前記第2通信器は、前記第2のIPアドレス設定命令を受信することに応じて、前記第2のIPアドレスを、前記第2通信器のIPアドレスに設定する第2設定手段を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記第1通信器は、前記通信データの通信先である前記第2通信器が存在するか否かを確認する第1確認手段をさらに備え、
前記送信手段は、前記第1確認手段で確認された前記第2通信器に対して、前記第2のIPアドレス設定命令を送信することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記送信手段は、
前記第1のIPアドレスのホストアドレスを変更して仮IPアドレスを生成する生成手段と、
前記仮IPアドレスと同一のIPアドレスが前記ネットワーク内の他の機器で使用されているか否かを確認する第2確認手段と、
を備え、
前記第2確認手段で前記仮IPアドレスが前記他の機器で使用されていないことが確認されることに応じて、前記仮IPアドレスを前記第2のIPアドレスとして送信することを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記第1通信器は、前記第2通信器のMACアドレスを取得する取得手段をさらに備え、
前記第2のIPアドレス設定命令は、前記第2通信器のMACアドレスおよび前記第2のIPアドレスを含んでおり、
前記送信手段は、前記第2のIPアドレス設定命令をブロードキャストにより送信し、
前記第2設定手段は、第2のIPアドレス設定命令に前記第2通信器のMACアドレスが含まれていることを検出することを条件として、前記第2のIPアドレスを前記第2通信器のIPアドレスに設定することを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記第1設定手段は、前記情報処理装置からブロードキャストにより送信された前記第1のIPアドレス設定命令を受信することを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記第2ルータは無線通信が可能とされており、
前記第1通信器は、前記通信データを送受信して各種機能処理を行う多機能通信装置であり、
前記第2通信器は、前記第1通信器と通信回線との間の前記通信データの中継を行う回線制御装置であり、
前記第1通信器と前記第2通信器は、前記第2ルータを介した無線通信により前記通信データを相互に通信することを特徴とする請求項1ないし5の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
回線制御装置と通信データを相互に通信する多機能通信装置であって、
前記多機能通信装置および前記回線制御装置は、第1ネットワークアドレスを有するIPアドレスを割り当てる機能を有する第1ルータと、前記第1ネットワークアドレスと異なる第2ネットワークアドレスを有するIPアドレスを割り当てる機能を有する第2ルータを備えるネットワークに接続されており、
前記多機能通信装置は、前記回線制御装置と前記ネットワークを介して前記通信データを通信しており、
前記ネットワークには、前記第1ルータによって前記第1ネットワークアドレスを有する情報処理装置IPアドレスが割り当てられた情報処理装置が接続されており、
第1のIPアドレス設定命令を受信することに応じて、前記第1ネットワークアドレスを有し前記情報処理装置IPアドレスのホストアドレスと異なるホストアドレスを有する第1のIPアドレスを、自機のIPアドレスとして設定する第1設定手段と、
前記第1ネットワークアドレスを有し前記情報処理装置IPアドレスのホストアドレスおよび前記第1のIPアドレスのホストアドレスと異なるホストアドレスを有する第2のIPアドレスを前記回線制御装置のIPアドレスに設定する旨の第2のIPアドレス設定命令を、前記回線制御装置へ送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする多機能通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−34241(P2012−34241A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−172837(P2010−172837)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】