説明

通信装置および通信システム

【課題】FAX装置および電話機に通信可能な通信装置において、通信回線から受信した発信者番号に対応する発信者名称を取得できない事態の発生を抑制し、発信者番号と発信者名称とを対応付けて記憶する。
【解決手段】PSTNに接続され、外部FAX装置のFAX番号と発信者名称とを対応付けて記憶する第1電話帳を有するFAX装置、及び、外部電話装置の電話番号と発信者名称とを対応付けて記憶する第2電話帳を有するコードレス電話機、と通信可能な通信BOXにおいて、PSTNから受信した信号が、外部FAX装置からの信号である場合、当該信号に含まれる発信者番号をFAX装置に送信する一方、外部電話装置からの信号である場合、当該発信者番号を電話装置に送信する。そして、送信先装置から発信者番号に対応する発信者名称を受信し、発信者名称を発信者番号と対応付けて記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発信者番号を通知するサービスを有する通信回線に接続され、ファクシミリ装置および電話装置と通信可能な通信装置、および、当該通信装置と当該ファクシミリ装置と当該電話装置とから構成される通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電話帳を有していない通信装置において、発信者番号を通知するサービス、いわゆるナンバー・ディスプレイ(登録商標)サービスにより取得した発信者番号に対応する発信者名称を、当該通信装置と通信可能な他の装置から受信して記憶することが行われている。
【0003】
特許文献1に記載されている携帯電話機は、電話通信回線を介して取得した電話番号を、他の装置であるパーソナルコンピュータに送信し、パーソナルコンピュータの電話帳から得られた当該電話番号に対応する名称を受信し、当該電話番号と関連付けて記憶する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−284380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、通信装置と通信可能な他の装置として、例えば、電話装置やファクシミリ装置を想定した場合、電話装置は通話相手先となる電話装置の電話番号を、ファクシミリ装置はファクシミリデータの送受信先となるファクシミリ装置のファクシミリ番号を、電話帳に記憶しているのが一般的である。
【0006】
通信装置が、前記他の装置としてのファクシミリ装置から名称を取得する際、通信回線を介して取得した発信者番号が、電話の着信によるものであった場合、その発信者番号がファクシミリ装置の電話帳に記憶されていない虞がある。なぜなら、ファクシミリ装置では通話ができないため、通話相手の電話装置の電話番号を記憶しておく必要がないためである。当然、その逆の場合も有り得る。すなわち、前記他の装置としての電話装置から名称を取得する際、通信回線を介して取得した発信者番号が、ファクシミリデータの受信によるものであった場合、その発信者番号が電話装置の電話帳に記憶されていない虞がある。なぜなら、電話装置ではファクシミリデータの送信ができないため、通信相手のファクシミリ装置のファクシミリ番号を記憶しておく必要がないためである。かかる場合、通信装置は、確実に名称を取得することができず、さらに発信者番号に対応付けて取得した名称を記憶することができないという問題が生じる。このため、着信履歴として、名称と発信者番号とを対応付けて管理したいユーザにとっては不便であった。
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、ファクシミリ装置および電話装置に通信可能な通信装置において、通信回線を介して受信した発信者番号に対応する発信者名称を取得できない事態の発生を抑制するとともに、当該発信者番号と取得した発信者名称とを対応付けて記憶することが可能な通信装置、および、その通信装置とファクシミリ装置と電話装置とから構成される通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の通信装置は、発信者番号を通知するサービスを有する通信回線に接続され、前記通信回線に接続された外部ファクシミリ装置のファクシミリ番号と発信者名称とを対応付けて記憶する第1記憶手段を有するファクシミリ装置、および、前記通信回線に接続された外部電話装置の電話番号と発信者名称とを対応付けて記憶する第2記憶手段を有する電話装置、と通信可能な通信装置において、前記通信回線を介して送信される信号を受信する信号受信手段と、前記信号受信手段により受信した信号が前記外部ファクシミリ装置からの信号であるか、または、前記外部電話装置からの信号であるかを判断する判断手段と、前記判断手段により前記外部ファクシミリ装置からの信号であると判断された場合、当該信号に含まれる前記発信者番号を前記ファクシミリ装置に送信し、前記外部電話装置からの信号であると判断された場合、当該信号に含まれる前記発信者番号を前記電話装置に送信する番号送信手段と、前記番号送信手段による前記発信者番号の送信先装置から前記発信者番号に対応する発信者名称を受信する名称受信手段と、前記名称受信手段により受信した発信者名称を、前記発信者番号と対応付けて記憶する記憶手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
なお、本発明のファクシミリ装置は、通信回線を介して外部ファクシミリ装置へファクシミリ送信するファクシミリデータを作成し、通信装置へ当該ファクシミリデータを送信可能であり、外部ファクシミリ装置から通信回線を介して通信装置が受信したファクシミリデータを通信装置から受信可能な装置である。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の通信装置において、前記第1記憶手段に記憶されたファクシミリ番号のうち、ファクシミリ通信機能のみに対応するファクシミリ番号を記憶するファクシミリ番号記憶手段を備え、前記判断手段は、前記信号受信手段により受信した信号に含まれる前記発信者番号が、前記ファクシミリ番号記憶手段に記憶されたファクシミリ番号に一致した場合に、当該信号が前記外部ファクシミリ装置からの信号であると判断することを特徴とする。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の通信装置において、前記信号受信手段により受信した信号からファクシミリ通信を示すファクシミリ信号を検出する信号検出手段を備え、前記判断手段は、前記信号検出手段により前記ファクシミリ信号が検出された場合に、当該信号が前記外部ファクシミリ装置からの信号であると判断することを特徴とする。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の通信装置において、前記判断手段は、前記信号検出手段により前記ファクシミリ信号が検出されなかった場合に、当該信号が前記外部電話装置からの信号であると判断することを特徴とする。
【0013】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の通信装置において、前記発信者番号と前記発信者名称のうち少なくとも一方を表示可能な表示手段と、前記番号送信手段による前記発信者番号の送信から、前記名称受信手段により前記発信者名称を受信するまでの間、前記発信者番号を前記表示手段に表示する表示制御手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の通信装置において、前記電話装置が無線通信によって送信する音声信号を前記通信回線に伝送し、前記通信回線から入力された音声信号を前記無線通信によって前記電話装置に伝送する伝送手段と、前記電話装置による前記通信回線を介した前記外部電話装置との通話の開始を検出する通話開始検出手段と、前記電話装置による前記通信回線を介した前記外部電話装置との通話の終了を検出する通話終了検出手段と、を備え、前記通話開始検出手段による通話開始検出したときに、前記名称受信手段により前記発信者名称を受信していない場合、前記名称受信手段は、前記通話終了検出手段により通話終了が検出されたことを条件として、前記無線接続による通信を介して前記発信者名称を受信することを特徴とする。
【0015】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の通信装置において、前記記憶手段は、前記名称受信手段が、前記番号送信手段による前記発信者番号の送信から所定の時間内に前記発信者名称を受信できたか否かを判断し、前記発信者名称を受信できなかったと判断した場合に、前記発信者名称を受信できなかった旨を示す文字列を、前記発信者名称として、前記発信者番号に対応付けて記憶することを特徴とする。
【0016】
さらに、請求項8に記載の通信システムは、請求項1〜7のいずれかに記載の通信装置と、前記通信回線に接続された外部ファクシミリ装置のファクシミリ番号と発信者名称とを対応付けて記憶する第1記憶手段を有するファクシミリ装置と、前記通信回線に接続された外部電話装置の電話番号と発信者名称とを対応付けて記憶する第2記憶手段を有する電話装置と、から構成される通信システムであって、前記ファクシミリ装置は、前記発信者番号を前記通信装置から受信する第1番号受信手段と、前記第1番号受信手段により受信した発信者番号に対応する発信者名称を、前記第1記憶手段に基づいて検出する第1検出手段と、前記第1検出手段により検出された発信者名称を前記通信装置へ送信する第1名称送信手段と、を備え、前記電話装置は、前記発信者番号を前記通信装置から受信する第2番号受信手段と、前記第2番号受信手段により受信した発信者番号に対応する発信者名称を、前記第2記憶手段に基づいて検出する第2検出手段と、前記第2検出手段により検出された発信者名称を前記通信装置へ送信する第2名称送信手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1および請求項8に記載の発明によれば、通信回線を介して受信した信号が、外部ファクシミリ装置からの信号であれば、その信号に含まれる発信者番号をファクシミリ装置に送信し、外部電話装置からの信号であれば、その信号に含まれる発信者番号を電話装置に送信する。そして、発信者番号の送信先の装置から、発信者番号に対応する発信者名称を受信して、対応する発信者番号と対応付けて記憶することができる。これにより、通信装置において、通信回線を介して受信した発信者番号に対応する発信者名称を取得できない事態の発生を抑制することができるとともに、当該通信装置においても、発信者番号と発信者名称とを、対応付けて記憶することができる。また、ユーザは、着信履歴として、発信者名称と発信者番号とを対応付けて管理することができる。
【0018】
また、請求項2に記載の発明は、通信回線を介して受信した信号に含まれる発信者番号が、ファクシミリ番号記憶手段に記憶されたファクシミリ番号に一致する場合、発信者番号の送信先をファクシミリ装置に決定することができる。これにより、ファクシミリ通信機能に対応する発信者番号を受信した場合は、ファクシミリ通信機能に対応する発信者番号を記憶している可能性の高い、ファクシミリ装置に具備された第1記憶手段に基づき発信者名称を取得できるので、通信回線を介して受信した発信者番号に対応する発信者名称を取得できない事態の発生を抑制することができる。
【0019】
また、請求項3に記載の発明は、受信した信号からファクシミリ信号が検出された場合に、発信者番号の送信先をファクシミリ装置に決定することができる。これにより、例えば、ファクシミリ通信機能に対応するファクシミリ番号と電話機能に対応する電話番号とが同一であり、ファクシミリ通信機能における発信者名称と電話機能における発信者名称とが第1記憶手段と第2記憶手段にそれぞれ異なる名称で記憶されている、外部ファクシミリ装置からのファクシミリ受信の場合であっても、ファクシミリ受信における発信者番号に対応する発信者名称を記憶している可能性の高い、ファクシミリ装置に具備された第1記憶手段から発信者名称が検出可能となる。よって、通信回線を介した外部ファクシミリ装置からの信号に含まれる発信者番号の、ファクシミリ通信機能に対応する発信者名称を取得できない事態の発生を抑制することができる。
【0020】
また、請求項4に記載の発明は、受信した信号からファクシミリ信号が検出されなかった場合に、発信者番号の送信先を電話装置に決定することができる。これにより、例えば、ファクシミリ通信機能に対応するファクシミリ番号と電話機能に対応する電話番号とが同一であり、ファクシミリ通信機能における発信者名称と電話機能における発信者名称とが第1記憶手段と第2記憶手段にそれぞれ異なる名称で記憶されている、外部電話装置からの着信の場合であっても、電話の着信における発信者番号に対応する発信者名称を記憶している可能性の高い、電話装置に具備された第2記憶手段から発信者名称が検出可能となる。よって、通信回線を介した外部電話装置からの信号に含まれる発信者番号の、電話機能に対応する発信者名称を取得できない事態の発生を抑制することができる。
【0021】
また、請求項5に記載の発明は、送信先の装置における発信者番号に対応する発信者名称の検出処理の遅延等により、送信先の装置から送信される発信者名称を受信するまでに長時間を要する場合であっても、発信者名称を受信する前に、発信者番号を表示することができる。これにより、通信装置のユーザは、発信者番号の送信先の装置からの発信者名称の受信を待たずとも発信者を特定することが可能となる。
【0022】
また、請求項6に記載の発明は、通話終了が検出されたことを条件として、無線通信を介して発信者名称を受信することにより、発信者名称を受信する前に通話が開始された場合であっても、通信回線を介して受信した発信者番号に対応する発信者名称を取得できない事態の発生を抑制することができる。
【0023】
さらに、請求項7に記載の発明は、発信者番号の送信から所定の時間内に発信者名称を受信できなかった場合に、発信者名称を受信できなかった旨を示す文字列を、発信者名称として、発信者番号に対応付けて記憶することにより、通信装置のユーザは、発信者名称を受信できなかった旨を認識することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態の通信システムを示すブロック図である。
【図2】通信BOXにおける発信者名称取得処理を示すフローチャートである。
【図3】通信BOXにおける発信者名称取得処理を示すフローチャートである。
【図4】ファクシミリ装置における発信者名称取得処理を示すフローチャートである。
【図5】コードレス電話機における発信者名称取得処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。本実施の形態では、通信装置として、ファクシミリ装置30およびコードレス電話機50(本発明の電話装置に相当)と通信可能な通信BOX10を例に挙げて説明する。
【0026】
<システムの構成>
本実施形態の通信システム1について、図1を参照して説明する。通信システム1は、公衆電話回線網(PSTN)4(本発明の通信回線に相当)により外部ファクシミリ装置3および外部電話装置5と通信可能な通信BOX10と、通信BOX10と無線LAN(Wireless Local Area Network;WLAN)により無線通信可能に接続されたファクシミリ装置(FAX)30と、通信BOX10と無線通信可能に接続されたコードレス電話機50とを備える。なお、通信BOX10とファクシミリ装置30との接続方法は、無線LANに限定されるものではなく、有線LAN、USB接続、またはパラレル接続であってもよい。
【0027】
以下、各装置の構成を説明する。まず、通信BOX10について説明する。通信BOX10は、PSTN4に接続されたNCU(Network Control Unit)11(本発明の信号受信手段に相当)と、NCU11を通じて外部ファクシミリ装置3とファクシミリ通信可能なFAXモデム12と、無線LANを構成する各ノードと無線通信可能な通信インターフェースであるWLAN通信部14と、コードレス電話機50と無線通信可能な通信インターフェースであるDCL通信部15と、記憶部16と、操作部17と、液晶ディスプレイ等で構成されている表示部19(本発明の表示手段に相当)と、制御部20とを備える。また、本実施形態において、通信BOX10は、ナンバー・ディスプレイサービス等の各種サービス機能の設定を可能とする。
【0028】
記憶部16は、例えば、ハードディスクまたは不揮発性のメモリ(EEPROM)で構成されている。記憶部16は、FAX番号テーブル27(本発明のファクシミリ番号記憶手段に相当)と、着信履歴29とを備える。FAX番号テーブル27は、ファクシミリ通信機能のみに対応する、所定の外部ファクシミリ装置のファクシミリ番号(FAX番号)を記憶したテーブルであり、本実施形態では、FAX番号テーブル27に記憶されているFAX番号からの着信の場合、コードレス電話機50での鳴動を行わずにファクシミリデータの受信を開始する。着信履歴29は、過去の着信情報として、着信日時、着信した発信者番号、および、発信者名称が対応付けて記憶される。また、着信履歴29は、外部ファクシミリ装置3からのファクシミリデータの受信だけでなく、外部電話装置5からの通話着信も履歴として記憶される。なお、着信履歴29に記憶される項目は、これに限定されるものではなく、着信日時、発信者番号、発信者名称を含むものであれば、種々の形態を採用することができる。
【0029】
操作部17は、操作キー群を備えており、各種サービス機能のオン・オフ設定等、ユーザ操作可能な入力インターフェースとしての機能を実行する。
【0030】
制御部20は、CPU21と、CPU21が実行する各種プログラムを記憶するROM23と、プログラム実行時に作業領域として使用されるRAM25とを備える。RAM25は、PSTN4を介して受信したファクシミリデータ、PSTN4を介して受信した発信者番号、着信日時、および、ファクシミリ装置30またはコードレス電話機50から受信した発信者名称等が一時的に記憶される。
【0031】
通信BOX10は、制御部20の制御により、DCL通信部15を介して入力された音声信号および制御信号を、NCU11を介してPSTN4に伝送すると共に、PSTN4を介して入力された音声信号および制御信号を、DCL通信部15を介して無線通信に伝送することが可能である(本発明の伝送手段に相当)。
【0032】
次に、ファクシミリ装置30について説明する。ファクシミリ装置30は、記憶部32と、通信BOX10が備えるWLAN通信部14と同等の通信インターフェースであって通信BOX10と無線LANにより通信可能なWLAN通信部34と、ファクシミリ送信する原稿等を読み取る読取部35と、受信したファクシミリデータ等を印刷する印刷部36と、操作部37と、液晶ディスプレイ等で構成される表示部39と、制御部40とを備える。
【0033】
記憶部32は、例えば、ハードディスクまたは不揮発性のメモリ(EEPROM)で構成されている。記憶部32は、所定の外部ファクシミリ装置のFAX番号が発信者名称に対応付けられた第1電話帳33(本発明の第1記憶手段に相当)を記憶している。なお、第1電話帳33には、ファクシミリ通信機能に対応するFAX番号が記憶されており、例えば、ファクシミリ通信機能を具備する電話装置であって、ファクシミリ通信機能に対応するFAX番号と電話機能に対応する電話番号とが同一である場合、その番号も第1電話帳33に記憶されている。この場合、第1電話帳33に記憶されている発信者名称と、後述するコードレス電話機50に備えられた第2電話帳53に記憶されている発信者名称とは、異なる名称であってもよい。また、第1電話帳33に記憶される項目は、これに限定されるものではなく、発信者番号と発信者名称を含むものであれば、種々の形態を採用することができる。
【0034】
操作部36は、例えば、方向キー、文字入力が可能なテンキーボードおよび確定ボタン等により構成され、各種指令の入力インターフェースとしての機能を実現する。
【0035】
制御部40は、CPU41と、CPU41が実行する各種プログラムを記憶するROM43と、CPU41によるプログラム実行時に作業領域として使用されるRAM45とを備える。
【0036】
次に、コードレス電話機50について説明する。コードレス電話機50は、音声入出力部51と、記憶部52と、通信BOX10が備えるDCL通信部15と無線通信可能な通信インターフェースであるDCL通信部55と、通話開始ボタンや通話終了ボタン等の操作キー群を備えてユーザ操作可能な入力インターフェースとして機能する操作部57と、液晶ディスプレイ等で構成される表示部59と、制御部60とを備える。
【0037】
音声入出力部51は、ユーザの発話音声を集音するためのマイクロフォンを備えるとともに、外部電話装置5から通信BOX10を介して送信されてくる外部電話装置5を使用するユーザの発話音声および呼出音等を出力するためのスピーカを備える。
【0038】
記憶部52は、例えば、ハードディスクまたは不揮発性のメモリ(EEPROM)で構成されている。記憶部52は、所定の外部電話装置の電話番号が発信者名称に対応付けられた第2電話帳53(本発明の第2記憶手段に相当)を記憶している。なお、第2電話帳53には、電話機能に対応する電話番号が記憶されており、例えば、ファクシミリ通信機能を具備する電話装置であって、ファクシミリ通信機能に対応するFAX番号と電話機能に対応する電話番号とが同一である場合、その番号も第2電話帳53に記憶されている。この場合、第1電話帳33に記憶されている発信者名称と、第2電話帳53に記憶されている発信者名称とは、異なる名称であってもよい。また、第2電話帳53に記憶される項目は、これに限定されるものではなく、発信者番号と発信者名称を含むものであれば、種々の形態を採用することができる。
【0039】
制御部60は、マイクロコンピュータ(図示せず)を備え、当該マイクロコンピュータにて各種プログラムを実行することにより、コードレス電話機50全体を統括制御する構成にされている。
【0040】
なお、本実施形態の通信システム1において、WLAN通信部14、34は、周知の無線LAN規格(IEEE802.11x)により直接拡散方式にて無線通信を行うものである。一方、DCL通信部15、55は、独自仕様(独自プロトコル)で無線通信を行う構成にされている。具体的に、DCL通信部15、55は、本実施形態において、周波数ホッピング方式により通信を行う構成にされている。
【0041】
<発信者名称取得処理>
次に、本実施形態の発信者名称取得処理について、図2〜図5を参照して詳細に説明する。本実施形態において、通信BOX10は、ナンバー・ディスプレイサービスの設定がオンにされているとし、本実施形態の発信者名称取得処理は、ナンバー・ディスプレイサービスにより発信者番号をPSTN4から受信する場合に実行される処理である。
【0042】
まず、通信BOX10における処理について、図2および図3の通信BOX10における発信者名称取得処理を示すフローチャートに従って、詳細に説明する。この通信BOX10における発信者名称取得処理は、CPU21がPSTN4を介してCAR信号(情報受信端末起動信号)を検出することにより開始される。ここで、CAR信号とは、ナンバー・ディスプレイサービスで発信者番号が通知される前に送られてくる信号である。
【0043】
CPU21は、図2のS200において、PSTN4を介して、発信者番号を受信する。そして、CPU21は、受信した発信者番号を着信日時と対応付けてRAM25に記憶し(S202)、表示部19に発信者番号を表示する(S204)。
【0044】
次に、CPU21は、S206において、FAX番号テーブル27に記憶された複数のFAX番号のうち、S200で受信した発信者番号と一致するものがあるか否かを判断する。判断の結果、FAX番号テーブル27に記憶されたFAX番号と一致する場合(S206:YES)、CPU21は、ファクシミリデータの受信を開始する(S208)。具体的に、CPU21は、FAX自動受信を通知するCED信号(被呼局識別信号)を、PSTN4を介して外部ファクシミリ装置3へ送信し、その後、自装置の能力を通知するDIS信号(デジタル識別信号)を送信する。そして、CPU21は、外部ファクシミリ装置3から通信モードを指示するDCS信号(デジタル命令信号)を受信した後、受信準備完了を通知するCFR信号(受信準備確認信号)を送信することにより、外部ファクシミリ装置3からPSTN4を介してファクシミリデータの受信が開始される。
【0045】
CPU21は、S210において、発信者番号と、当該発信者番号に対応する発信者名称を第1電話帳33から検出させる名称検出指示とをファクシミリ装置30へ送信する。そして、CPU21は、S212において、ファクシミリ装置30から発信者名称を受信したか否かを判断し、発信者名称を受信したと判断された場合(S212:YES)、受信した発信者名称をRAM25に記憶し(S214)、表示部19に発信者名称を表示する(S216)。一方、発信者名称が受信していないと判断された場合(S212:NO)、CPU21は、発信者名称を受信したと判断されるまでS212の処理を繰り返す。
【0046】
次に、CPU21は、S218において、ファクシミリデータの受信を完了したか否かを判断し、受信未完了であると判断された場合(S218:NO)、受信を完了するまでS218の処理を繰り返す。一方、ファクシミリデータの受信完了と判断された場合(S218:YES)、WLAN通信部14、34による無線LANを介して、ファクシミリデータをファクシミリ装置30へ転送する(S220)。なお、S218において、ファクシミリデータの受信完了と判断される場合とは、S212でファクシミリ装置30から発信者名称を受信したと判断される前にファクシミリデータの受信が完了している場合、または、S212でファクシミリ装置30から発信者名称を受信した後にファクシミリデータの受信が完了する場合である。
【0047】
CPU21は、S202でRAM25に記憶された着信日時と発信者番号と、S214でRAM25に記憶された発信者名称とを対応付けて、着信履歴29に記憶し(S224)、着信履歴29に記憶した着信日時と発信者番号と発信者名称をRAM25から削除して、本処理を終了する。
【0048】
図2のS206の判断の結果、FAX番号テーブル27に記憶された複数のFAX番号のうち、S200で受信した発信者番号と一致するものがない場合(S206:NO)、CPU21は、図3のS232において、S200で受信した発信者番号と、当該発信者番号に対応する発信者名称を第2電話帳53から検出させる名称検出指示と、鳴動のトリガ(RING)をコードレス電話機50に送信する。なお、以降の処理において、RINGは、定期的にコードレス電話機50に送信されるものとする。
【0049】
次に、CPU21は、S234において、コードレス電話機50から発信者名称を受信したか否かを判断し、発信者名称を受信していないと判断された場合(S234:NO)、PSTN4を介して受信する信号から、ファクシミリデータの受信による着信であること通知するCNG信号(コーリングトーン信号)(本発明のファクシミリ信号に相当)を検出したか否かを判断する(S236)。
【0050】
CNG信号が検出された場合(S236:YES)、CPU21は、ファクシミリデータの受信による外部ファクシミリ装置3からの着信であると判断して、S232で送信した名称検出指示の取り消しを指示する名称非検出指示を、コードレス電話機50に送信し(S238)、S232以降、定期的に送信されていたコードレス電話機50へのRINGの送信を終了して(S240)、図2のS208の処理へ移行する。一方、CNG信号が検出されない場合は(S236:NO)、CPU21は、図3のS246の処理へ移行する。
【0051】
S234の判断の結果、コードレス電話機50から発信者名称が受信したと判断された場合(S234:YES)、CPU21は、発信者名称をRAM25に記憶し(S242)、表示部19に発信者名称を表示する(S244)。
【0052】
次に、CPU21は、S246において、通話が開始されたか否かを判断する。ここで、通話の開始とは、例えば、コードレス電話機50のオフフック状態や、コードレス電話機50の操作部57にある通話開始ボタンの押下に基づいて、コードレス電話機50から送信される回線接続コマンドを検出することにより判断される。なお、回線接続コマンドが検出された場合、CPU21がこのコマンドに基づいて回線を接続することにより、コードレス子機50での通話が開始される。
【0053】
S246の判断の結果、通話が開始されていない場合(S246:NO)、CPU21は、PSTN4が切断されたか否かを判断し(S247)、PSTN4が切断されたことが判断された場合(S247:YES)、本処理を終了する。一方、PSTN4が切断されていないことが判断された場合(S247:NO)、CPU21は、コードレス電話機50にRINGを送信し(S248)、通話開始が検出されるまでS246〜S248の処理を繰り返す。
【0054】
一方、通話開始が検出された場合(S246:YES)、CPU21は、S250において、通話が終了したか否かを判断する。ここで、通話の終了とは、例えば、コードレス電話機50のオンフック状態や、コードレス電話機50の操作部57にある通話終了ボタンの押下に基づいて、コードレス電話機50から送信される回線断コマンドを検出することにより判断される。なお、回線断コマンドが検出された場合、CPU21がこのコマンドに基づいて回線を切断することにより、コードレス電話機50での通話が終了される。
【0055】
判断の結果、通話終了が検出されない場合(S250:NO)、CPU21は、通話終了が検出されるまでS250の処理を繰り返す。一方、通話終了が検出された場合(S250:YES)、CPU21は、RAM25に発信者名称が記憶されているか否かを判断し(S252)、RAM25に発信者名称が記憶されている場合(S252:YES)、図2のS224の処理へ移行する。
【0056】
判断の結果、RAM25に発信者名称が記憶されていない場合(S252:NO)、CPU21は、コードレス電話機50に名称検出指示を再度送信する(S254)。なお、本実施形態では、S254において、コードレス電話機50への名称検出指示の再送信を条件として、送信後の経過時間の計測が開始される。
【0057】
CPU21は、コードレス電話機50から発信者名称を受信したか否かを判断し(S256)、発信者名称を受信したと判断された場合(S256:YES)、図2のS224の処理へ移行する。一方、発信者名称が受信していないと判断された場合(S256:NO)、CPU21は、S254でコードレス電話機50に名称検出指示を再度送信してから、一定の時間が経過したか否かを判断する(S258)。
【0058】
判断の結果、一定時間経過していない場合(S258:NO)、一定時間経過するまでS258の処理を繰り返す。一方、一定時間経過したと判断された場合(S258:YES)、CPU21は、RAM25に発信者名称として、所定の文字列を記憶し(S260)、図2のS224の処理へ移行する。ここで、所定の文字列とは、例えば、「受信不可」等、発信者名称をコードレス電話機50から受信できなかった旨を示す文字列である。
【0059】
次に、ファクシミリ装置30における処理について、図4のファクシミリ装置30における発信者名称取得処理を示すフローチャートに従って、詳細に説明する。ファクシミリ装置30における発信者名称取得処理は、通信BOX10から、発信者番号と、当該発信者番号に対応する発信者名称を第1電話帳33から検出させる名称検出指示とを受信する(本発明の第1番号受信手段に相当)ことを条件として開始される。すなわち、本処理は、通信BOX10において、図2のS210の処理が実行されることにより開始される。
【0060】
CPU41は、受信した発信者番号に対応する発信者名称を、第1電話帳33から検出する(S400)。そして、CPU41は、S402において、発信者番号に対応する発信者名称を検出できたか否かを判断する。
【0061】
発信者名称が検出されていない場合(S402:NO)、CPU41は、発信者名称として、所定の文字列を通信BOX10へ送信し(S404)、S408の処理へ移行する。ここで、所定の文字列とは、例えば、「未登録」等、通信BOX10から受信した発信者番号が第1電話帳33に登録されていないために、当該発信者番号に対応する発信者名称を検出することができなかった旨を示す文字列である。なお、本実施形態において、発信者名称が検出されない場合とは、例えば、通信BOX10から受信した発信者番号が第1電話帳33に登録されていないために、対応する発信者名称を検出できない場合である。また、S400において、発信者名称の検出の開始を条件として、検出開始後の経過時間の計測が開始され、検出開始から一定時間が経過しても、S402において検出できたと判断されない場合、S404へ移行する構成としてもよい。
【0062】
S402の判断の結果、発信者名称が検出された場合(S402:YES)、CPU41は、発信者名称を通信BOX10へ送信する(S406)。そして、CPU41は、S408において、通信BOX10からファクシミリデータを受信したか否かを判断し、ファクシミリデータを受信していないと判断された場合(S408:NO)、通信BOX10からファクシミリデータを受信するまでS408の処理を繰り返す。一方、通信BOX10からファクシミリデータを受信したと判断された場合(S408:YES)、受信したファクシミリデータをRAM45に記憶して(S410)、本処理を終了する。
【0063】
次に、コードレス電話機50における処理について、図5のコードレス電話機50における発信者名称取得処理を示すフローチャートに従って、詳細に説明する。コードレス電話機50における発信者名称取得処理は、通信BOX10から発信者番号と、当該発信者番号に対応する発信者名称を第2電話帳53から検出させる名称検出指示と、RINGとを受信する(本発明の第2番号受信手段に相当)ことにより開始される。すなわち、本処理は、通信BOX10において、図2のS232の処理が実行されることにより開始される。
【0064】
制御部60は、S500において、受信した発信者番号に対応する発信者名称を、第2電話帳53から検出する。そして、制御部60は、S502において、発信者番号対応する発信者名称を検出できたか否かを判断し、発信者名称が検出された場合(S502:YES)、通信BOX10へ発信者名称を送信し(S504)、本処理を終了する。
【0065】
一方、判断の結果、発信者名称が検出されていない場合(S502:NO)、制御部60は、通信BOX10から、名称検出指示の取り消しを指示する名称非検出指示を受信したか否かを判断し(S506)、名称非検出指示が受信したと判断された場合(S506:YES)、本処理を終了する。
【0066】
S506の判断の結果、名称非検出指示が受信していないと判断された場合(S506:NO)、制御部60は、通話が開始されたか否かを判断する(S508)。ここで、通話の開始とは、例えば、コードレス電話機50のオフフック状態や、操作部57の通話開始ボタンの押下を検出することにより判断される。なお、通話の開始が判断された場合、制御部60は、通信BOX10に回線接続コマンドを送信する。そして、このコマンドに基づいて、通信BOX10で回線が接続されることにより、コードレス電話機50での通話が開始される。
【0067】
判断の結果、通話開始が検出されなかった場合(S508:NO)、制御部60は、S502の処理に戻る。一方、通話開始が検出された場合(S508:YES)、制御部60は、S510において、通話が終了したか否かを判断する。ここで、通話の終了とは、例えば、コードレス子機50のオンフック状態や、操作部57の通話終了ボタンの押下を検出することにより判断される。なお、通話の終了が判断された場合、制御部60は、通信BOX10に回線断コマンドを送信する。そして、このコマンドに基づいて、通信BOX10で回線が切断されることにより、コードレス子機50での通話が終了される。
【0068】
判断の結果、通話終了が検出されなかった場合(S510:NO)、制御部60は、通話終了が検出されるまでS510の処理を繰り返す。一方、通話終了が検出された場合(S510:YES)、通信BOX10から名称検出指示を再度受信し(S512)、図2のS232において通信BOX10から送信された発信者番号に対応する発信者名称を、第2電話帳53から検出する(S514)。なお、本実施形態では、S514において、発信者名称の検出の開始を条件として、検出開始後の経過時間の計測が開始される。
【0069】
制御部60は、S516において、発信者名称の検出が完了したか否か、すなわち、対応する発信者名称を検出できたか否かを判断し、発信者名称が検出された場合(S516:YES)、S504の処理へ移行する。一方、判断の結果、発信者名称が検出されていない場合(S516:NO)、制御部60は、発信者名称の検出開始から一定時間が経過したか否かを判断し(S518)、一定時間経過していない場合(S518:NO)、S516の処理へ戻る。一方、一定時間経過した場合(S518:YES)、制御部60は、発信者名称として、所定の文字列を通信BOX10へ送信し(S520)、本処理を終了する。ここで、所定の文字列とは、例えば、「未登録」等、通信BOX10から受信した発信者番号が第2電話帳53に登録されていないために、当該発信者番号に対応する発信者名称を検出することができなかった旨を示す文字列である。
【0070】
以上説明したように、PSTN4を介して受信した信号が外部ファクシミリ装置3からの信号であるか、または、外部電話装置5からの信号であるかを判断し(図2のS206および図3のS236)、外部ファクシミリ装置3からの信号であれば、その信号に含まれる発信者番号をファクシミリ装置30に送信し、外部電話装置5からの信号であれば、その信号に含まれる発信者番号をコードレス電話機50に送信する(図2のS210、図3のS232、S238)。そして、発信者番号の送信先の装置により検出された、発信者番号に対応する発信者名称を受信して、発信者番号と対応付けて記憶することにより(図2のS224)、通信BOX10において、PSTN4を介して受信した発信者番号に対応する発信者名称を取得できない事態の発生を抑制することができるとともに、当該発信者番号と第1電話帳33または第2電話帳53に記憶された発信者名称とを、対応付けて記憶することができる。よって、ユーザは、着信履歴29として、発信者番号と発信者名称とを対応付けて管理することができる。
【0071】
また、PSTN4を介して受信した信号に含まれる発信者番号が、FAX番号テーブル27に記憶されたFAX番号に一致する場合(図2のS206:YES)、CPU21は、受信した信号が外部ファクシミリ装置3からの信号であると判断して、ファクシミリ装置30へ発信者番号を送信する(図2のS210)。これにより、ファクシミリ通信機能用の発信者番号を受信した場合は、ファクシミリ通信機能用のFAX番号を記憶している可能性の高い、ファクシミリ装置30に具備された第1電話帳33に基づき発信者名称を取得できるので、PSTN4を介して受信した発信者番号に対応する発信者名称を取得できない事態の発生を抑制することができる。
【0072】
また、PSTN4を介して受信した信号からCNG信号が検出された場合に(図3のS236:YES)、CPU21は、ファクシミリ装置30へ発信者番号を送信する(図2のS210)。これにより、例えば、ファクシミリ通信機能に対応するFAX番号と電話機能に対応する電話番号とが同一であり、ファクシミリ通信機能における発信者名称と電話機能における発信者名称とが第1電話帳33と第2電話帳53にそれぞれ異なる名称で記憶されている、外部ファクシミリ装置3からのファクシミリ受信の場合であっても、ファクシミリ受信における発信者番号に対応する発信者名称を記憶している可能性の高い、ファクシミリ装置30に具備された第1電話帳33から発信者名称が検出可能となる。よって、PSTN4を介した外部ファクシミリ装置3からの信号に含まれる発信者番号の、ファクシミリ通信機能に対応する発信者名称を取得できない事態の発生を抑制することができる。
【0073】
また、PSTN4を介して受信した信号からCNG信号が検出されなかった場合に(図3のS236:NO)、CPU21は、受信した信号が外部電話装置5からの信号であると判断して、発信者番号送信先をコードレス電話機50に決定することができる。これにより、例えば、ファクシミリ通信機能に対応するFAX番号と電話機能に対応する電話番号とが同一であり、ファクシミリ通信機能における発信者名称と電話機能における発信者名称とが第1電話帳33と第2電話帳53にそれぞれ異なる名称で記憶されている、外部電話装置5からの着信の場合であっても、電話の着信における発信者番号に対応する発信者名称を記憶している可能性の高い、コードレス電話機50に具備された第2電話帳53から発信者名称が検出可能となる。よって、PSTN4を介した外部電話装置5に含まれる発信者番号の、電話機能に対応する発信者名称を取得できない事態の発生を抑制することができる。
【0074】
また、送信先の装置での発信者名称の検出処理の遅延等により、送信先の装置から送信される発信者名称を受信するまでに長時間を要する場合であっても、発信者名称を受信する前に、発信者番号を表示することができる(図2のS204)。これにより、通信BOX10のユーザは、発信者番号の送信先の装置からの発信者名称の受信を待たずとも発信者を特定することが可能となる。
【0075】
また、通話終了が検出されたことを条件として、コードレス電話機50から無線通信を介して発信者名称を受信することにより(図3のS250〜S256)、発信者名称を受信する前に通話が開始された場合であっても、PSTN4を介して受信した発信者番号に対応する発信者名称を取得できない事態の発生を抑制することができる。
【0076】
さらに、発信者番号の送信から所定の時間内に発信者名称を受信できなかった場合に(図3のS258:NO)、発信者名称を受信できなかった旨を示す文字列を、発信者名称として、発信者番号に対応付けて記憶することにより(図3のS260、図2のS224)、通信BOX10のユーザは、発信者名称を受信できなかった旨を認識することが可能となる。
【0077】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の態様を採ることができる。
【0078】
本実施形態では、ファクシミリ装置30を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、PSTN4を介して外部ファクシミリ装置3へファクシミリ送信するファクシミリデータを作成し、通信BOX10へ当該ファクシミリデータを送信可能であり、外部ファクシミリ装置3からPSTN4を介して通信BOX10が受信したファクシミリデータを、通信BOX10から受信可能な装置であれば、種々の形態を採用することができる。
【0079】
また、本実施形態において、通信BOX10は、ファクシミリ通信機能のみに対応する、所定の外部ファクシミリ装置のFAX番号を記憶したFAX番号テーブル27を備えているが、FAX番号テーブル27の代わりに、電話機能のみに対応する、所定の外部電話装置の電話番号を記憶したテーブルを備えていてもよい。この構成において、PSTN4を介して受信した発信者番号がテーブルに記憶された電話番号と一致する場合は、名称検出指示はコードレス電話機50へ送信される。
【0080】
また、本実施形態において、通信BOX10の表示部19に発信者名称のみを表示しているが(図2のS216、図3のS244)、表示部19に発信者名称とともに対応する発信者番号を表示させてもよい。
【0081】
また、本実施形態において、通信BOX10は、外部ファクシミリ装置3からPSTN4を介したファクシミリデータの受信開始時(図2のS208)から、受信したファクシミリデータをファクシミリ装置30へ転送する(図2のS220)前までの間に、ファクシミリ装置30から発信者名称を受信する構成となっているが、ファクシミリ装置30へファクシミリデータを転送している間(図2のS220)に、ファクシミリ装置30から発信者名称を受信してもよい。ただし、本実施形態のように、ファクシミリデータの受信開始時からファクシミリ装置30への転送前までに、ファクシミリ装置30から発信者名称を受信する構成の方が、より早く表示部19に発信者名称を表示させることが可能であるため、通信BOX10のユーザにより早く発信者名称を認識させることができる。
【0082】
また、本実施形態の図5のS504において、コードレス電話機50から通信BOX10へ発信者名称を送信するとともに、コードレス電話機50の表示部59に発信者名称を表示させてもよい。なお、発信者名称とともに対応する発信者番号を表示させてもよい。
【0083】
なお、図2および図3に示すフローチャートにおいて、S206およびS238は本発明の判断手段、S210およびS232は本発明の番号送信手段、S212、S234、およびS256は本発明の名称受信手段、S224は本発明の記憶手段、S236は本発明の信号検出手段、S204は本発明の表示制御手段、S246は本発明の通話開始検出手段、S250は本発明の通話終了検出手段に相当する。
【0084】
また、図4に示すフローチャートにおいて、S400は本発明の第1検出手段、S406は本発明の第1名称送信手段に相当する。
【0085】
また、図5に示すフローチャートにおいて、S500は本発明の第2検出手段、S504は本発明の第2名称送信手段に相当する。
【符号の説明】
【0086】
1 通信システム
3 外部ファクシミリ装置
4 公衆電話回線網(PSTN)
5 外部電話装置
10 通信BOX
11 NCU
14、34 WLAN通信部
15、55 DCL通信部
16、32、52 記憶部
19、39、59 表示部
20、40、60 制御部
21、41 CPU
23、43 ROM
25、45 RAM
27 FAX番号テーブル
29 着信履歴
30 ファクシミリ装置
33 第1電話帳
50 コードレス電話機
53 第2電話帳


【特許請求の範囲】
【請求項1】
発信者番号を通知するサービスを有する通信回線に接続され、前記通信回線に接続された外部ファクシミリ装置のファクシミリ番号と発信者名称とを対応付けて記憶する第1記憶手段を有するファクシミリ装置、および、前記通信回線に接続された外部電話装置の電話番号と発信者名称とを対応付けて記憶する第2記憶手段を有する電話装置、と通信可能な通信装置において、
前記通信回線を介して送信される信号を受信する信号受信手段と、
前記信号受信手段により受信した信号が前記外部ファクシミリ装置からの信号であるか、または、前記外部電話装置からの信号であるかを判断する判断手段と、
前記判断手段により前記外部ファクシミリ装置からの信号であると判断された場合、当該信号に含まれる前記発信者番号を前記ファクシミリ装置に送信し、前記外部電話装置からの信号であると判断された場合、当該信号に含まれる前記発信者番号を前記電話装置に送信する番号送信手段と、
前記番号送信手段による前記発信者番号の送信先装置から前記発信者番号に対応する発信者名称を受信する名称受信手段と、
前記名称受信手段により受信した発信者名称を、前記発信者番号と対応付けて記憶する記憶手段と
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記第1記憶手段に記憶されたファクシミリ番号のうち、ファクシミリ通信機能のみに対応するファクシミリ番号を記憶するファクシミリ番号記憶手段を備え、
前記判断手段は、前記信号受信手段により受信した信号に含まれる前記発信者番号が、前記ファクシミリ番号記憶手段に記憶されたファクシミリ番号に一致した場合に、当該信号が前記外部ファクシミリ装置からの信号であると判断することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記信号受信手段により受信した信号からファクシミリ通信を示すファクシミリ信号を検出する信号検出手段を備え、
前記判断手段は、前記信号検出手段により前記ファクシミリ信号が検出された場合に、当該信号が前記外部ファクシミリ装置からの信号であると判断することを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記判断手段は、前記信号検出手段により前記ファクシミリ信号が検出されなかった場合に、当該信号が前記外部電話装置からの信号であると判断することを特徴とする請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記発信者番号と前記発信者名称のうち少なくとも一方を表示可能な表示手段と、
前記番号送信手段による前記発信者番号の送信から、前記名称受信手段により前記発信者名称を受信するまでの間、前記発信者番号を前記表示手段に表示する表示制御手段と
を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の通信装置。
【請求項6】
前記電話装置が無線通信によって送信する音声信号を前記通信回線に伝送し、前記通信回線から入力された音声信号を前記無線通信によって前記電話装置に伝送する伝送手段と、
前記電話装置による前記通信回線を介した前記外部電話装置との通話の開始を検出する通話開始検出手段と、
前記電話装置による前記通信回線を介した前記外部電話装置との通話の終了を検出する通話終了検出手段と、を備え、
前記通話開始検出手段による通話開始検出したときに、前記名称受信手段により前記発信者名称が受信していない場合、
前記名称受信手段は、前記通話終了検出手段により通話終了が検出されたことを条件として、前記無線接続による通信を介して前記発信者名称を受信することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の通信装置。
【請求項7】
前記記憶手段は、前記名称受信手段が、前記番号送信手段による前記発信者番号の送信から所定の時間内に前記発信者名称を受信できたか否かを判断し、前記発信者名称を受信できなかったと判断した場合に、前記発信者名称を受信できなかった旨を示す文字列を、前記発信者名称として、前記発信者番号に対応付けて記憶することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の通信装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の通信装置と、前記通信回線に接続された外部ファクシミリ装置のファクシミリ番号と発信者名称とを対応付けて記憶する第1記憶手段を有するファクシミリ装置と、前記通信回線に接続された外部電話装置の電話番号と発信者名称とを対応付けて記憶する第2記憶手段を有する電話装置と、から構成される通信システムであって、
前記ファクシミリ装置は、
前記発信者番号を前記通信装置から受信する第1番号受信手段と、
前記第1番号受信手段により受信した発信者番号に対応する発信者名称を、前記第1記憶手段に基づいて検出する第1検出手段と、
前記第1検出手段により検出された発信者名称を前記通信装置へ送信する第1名称送信手段と、
を備え、
前記電話装置は、
前記発信者番号を前記通信装置から受信する第2番号受信手段と、
前記第2番号受信手段により受信した発信者番号に対応する発信者名称を、前記第2記憶手段に基づいて検出する第2検出手段と、
前記第2検出手段により検出された発信者名称を前記通信装置へ送信する第2名称送信手段と、
を備えることを特徴とする通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−66584(P2011−66584A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−214078(P2009−214078)
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】