説明

通信装置及びデータ再送方法

【課題】メモリサイズを抑制しても低遅延のデータ伝送を行うとともに再送の繰り返しを防ぐこと。
【解決手段】MAC処理部101は、複数のデータユニットから構成される受信データを受信する。欠損検出部111は、MAC処理部101から入力した受信データのうちで欠損している欠損データを検出する。タイマ制御部113は、欠損検出部111により複数の欠損データを検出した場合に、検出の都度、所定の監視時間を設定する。STATUS PDU作成部114は、タイマ制御部113により設定した各々の監視時間内に欠損データを受信しない場合に、欠損データの再送を要求するために欠損データのSNを含むSTATUS PDUを作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置及びデータ再送方法に関し、例えばLTE(Long Term Evolution)等の通信システムのレイヤ2における処理を行う通信装置及びそのデータ再送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体通信システムのアクセス方式としてLTEシステムが標準化されている。このシステムでは、メモリサイズを削減するために、レイヤ2の処理におけるMACサブレイヤの機能とRLCサブレイヤの機能とを一部統合している。即ち、LTEシステムでは、MACレイヤのデータ再送機能(HARQ:Hybrid ARQ)におけるデータの並べ替え処理(Reordering処理)と、RLCレイヤのデータ再送機能におけるデータの並べ替え処理とを統合している(例えば、非特許文献1)。これにより、LTEシステムでは、データの並べ替え処理は、MACレイヤで行わず、RLCレイヤにおいて行う。
【0003】
具体的には、MACレイヤでは、受信データをHARQ合成した後、CRC(Cyclic Redundancy Check)でOKとなったデータをRLCレイヤに渡す。RLCレイヤでは、ヘッダに付加されたSN(Sequence Number)に従い、受信ウィンドウの制御を行う。この時、RLCレイヤでは、データの欠損が見つかった場合は、通信相手のRLCレイヤに向けて再送の要求を行う。
【0004】
ただし、RLCレイヤは、MACレイヤの並び替え処理と同等の機能を有するため、直ちに再送要求を行わずに、MACレイヤでの再送の完了を待って再送要求を行う。即ち、RLCレイヤでは、タイマ(t-Reorderingタイマ)で計測する所定の時間が経過した後に、欠損したSNを通信相手のRLCレイヤに通知する。
【0005】
3GPPスペックに基づいた、従来のRLCレイヤでデータの欠損を検出した場合の再送制御について、図1を用いて詳細に説明する。図1は、従来のRLCレイヤでデータの欠損を検出した場合のデータ再送方法を示す図である。
【0006】
図1より、従来の再送制御では、RLCレイヤでSN=1のデータを受信した際に、SN=0のデータが欠損したことを検出し、タイマ(t-Reorderingタイマ)を起動する。このタイマで計測する監視時間T1が満了するまでに、SN=0のデータを受信しない場合には、STATUS PDUに「NACK SN=0」という情報を入れて、対向RLCに送信する。ここで、監視時間T1は、MACレイヤにおける再送の完了を待つために設定されるものであるため、HARQのRTTと最大再送回数とを乗算した値以上に設定される。
【0007】
また、従来は、タイマの起動中に、複数のデータの欠損があった場合(図1では、SN=0及びSN=2)、1つ目の欠損データ(SN=0)検出時に計測を開始した監視時間#10が満了した後に、2つ目の欠損データ(SN=2)についての計測を開始する。従って、従来は、受信タイミングが近い複数のデータに欠損が生じた場合、1つ目の欠損データ検出時に計測を開始した監視時間#10が満了し、かつその後計測を開始した監視時間#11が満了するまで、2つ目以降の欠損データの再送を要求しない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】3GPP TS36.322 V8.8.0 (2010-08)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の再送制御においては、受信タイミングが近い複数のデータに欠損が生じた場合には再送が遅れるので、受信データの遅延量が増大するという問題がある。また、バッファ内のデータ量が所定値を超えた場合に廃棄する方法を採用する場合には、遅延量の増大に伴って廃棄されるデータが増大する。この結果、廃棄されたデータは再送されるので、受信データの遅延量が更に増大するという問題がある。また、バッファ内のデータ量が所定値を超えた場合に廃棄する方法を採用する場合には、再送されてくるデータも廃棄されるため、データの並び替えの際にデータの順序が整わない。この結果、再送が繰り返され、通信相手において再送回数が上限値に達することにより、RRC接続が再接続となり、復旧に時間を要するという問題がある。
【0010】
本発明の目的は、メモリサイズを抑制しても低遅延のデータ伝送を行うことができるとともに再送の繰り返しを防ぐことができる通信装置及びデータ再送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の通信装置は、複数のデータユニットを順次受信する受信手段と、前記受信手段により受信した前記データユニットのうちで欠損している欠損データを検出する検出手段と、前記検出手段により複数の前記欠損データを検出した場合に、前記検出の都度所定の監視時間を設定する設定手段と、前記設定手段により設定した各々の前記監視時間内に前記欠損データを受信しない場合に、前記欠損データの再送を各々の前記監視時間経過後に順次要求する再送要求手段と、を具備する構成を採る。
【0012】
本発明のデータ再送方法は、通信装置におけるデータ再送方法であって、複数のデータユニットを順次受信する受信ステップと、前記受信ステップにより受信した前記データユニットのうちで欠損している欠損データを検出する検出ステップと、前記検出ステップにより複数の前記欠損データを検出した場合に、前記検出の都度所定の監視時間を設定する設定ステップと、前記設定ステップにより設定した各々の前記監視時間内に前記欠損データを受信しない場合に、前記欠損データの再送を各々の前記監視時間経過後に順次要求する再送要求ステップと、を具備するようにした。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、メモリサイズを抑制しても低遅延のデータ伝送を行うことができるとともに再送の繰り返しを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来のRLCレイヤでデータの欠損を検出した場合のデータ再送方法を示す図
【図2】本発明の実施の形態1に係る通信装置の構成を示すブロック図
【図3】本発明の実施の形態1におけるタイマ制御部の構成を示すブロック図
【図4】本発明の実施の形態1に係る通信装置におけるデータ再送方法を示す図
【図5】本発明の実施の形態2に係る通信装置の構成を示すブロック図
【図6】本発明の実施の形態2における欠損検出部の構成を示すブロック図
【図7】本発明の実施の形態2に係る通信装置におけるデータ再送方法を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
(実施の形態1)
図2は、本発明の実施の形態1に係る通信装置100の構成を示すブロック図である。
【0017】
通信装置100は、MAC処理部101と、RLC処理部102と、PDCP処理部103とを有する。また、通信装置100は、無線端末装置または無線基地局装置に適用することができる。
【0018】
受信手段としてのMAC処理部101は、図示しない通信相手から受信した受信データに対してMACレイヤ処理を施してRLC処理部102へ出力する。また、MAC処理部101は、RLC処理部102から入力した送信データに対してMACレイヤ処理を施して通信相手に送信する。受信データは、複数のデータユニットから構成されている。従って、MAC処理部101は、データユニット単位で受信する。
【0019】
RLC処理部102は、MAC処理部101から入力した受信データに対してRLCレイヤ処理を施してPDCP処理部103へ出力する。また、RLC処理部102は、MAC処理部101から入力した受信データに欠損が生じている場合には、欠損した受信データの再送制御を行う。この際、RLC処理部102は、各データユニットをSNにより識別することができるので、データユニット単位で再送制御を行う。また、RLC処理部102は、PDCP処理部103から入力した送信データに対してRLC処理を施してMAC処理部101へ出力する。
【0020】
PDCP処理部103は、RLC処理部102から入力した受信データに対してPDCPレイヤ処理を施して受信データとして出力する。また、PDCP処理部103は、入力した送信データに対してPDCPレイヤ処理を施してRLC処理部102へ出力する。
【0021】
次に、RLC処理部102の構成の詳細について、図2を用いて説明する。
【0022】
図2において、欠損検出部111は検出手段を構成する。また、タイマ制御部113は設定手段を構成する。また、STATUS PDU作成部114及びデータ作成部115は再送要求手段を構成する。
【0023】
欠損検出部111は、MAC処理部101から入力した受信データを受信バッファに格納する。また、欠損検出部111は、受信バッファに格納した受信データの並べ替え処理を行い、受信データのうちで欠損している欠損データを検出する。また、欠損検出部111は、欠損データを検出しない場合には、並び替え処理した受信データをSDU生成部112へ出力する。また、欠損検出部111は、欠損データを検出した場合には、検出の都度、受信データの欠損状況をタイマ制御部113へ通知する。また、欠損検出部111は、欠損データを検出した場合には、検出の都度、欠損データのSNをSTATUS PDU作成部114へ通知する。
【0024】
SDU生成部112は、欠損検出部111から入力した並び替え後の受信データよりSDU(サービスデータユニット)を生成してPDCP処理部103へ出力する。
【0025】
タイマ制御部113は、欠損検出部111から欠損状況が入力する都度、タイマを管理して、欠損データの受信を監視する監視時間を設定する。また、タイマ制御部113は、タイマにより計測する監視時間が満了した場合に、STATUS PDU作成のトリガをSTATUS PDU作成部114へ出力する。なお、タイマ制御部113の構成の詳細については後述する。
【0026】
STATUS PDU作成部114は、タイマ制御部113よりトリガが入力した場合に、欠損検出部111から入力した単一のSNを含むSTATUS PDUを作成する。また、STATUS PDU作成部114は、作成したSTATUS PDUをデータ作成部115へ出力する。
【0027】
データ作成部115は、PDCP処理部103から入力した送信データ、またはSTATUS PDU作成部114から入力したSTATUS PDUを用いて、送信データを生成する。また、データ作成部115は、作成した送信データをMAC処理部101へ出力する。
【0028】
次に、タイマ制御部113の構成について、図3を用いて説明する。図3は、タイマ制御部113の構成を示すブロック図である。
【0029】
タイマ部201は、複数設けられ、タイマ管理部202からの計測開始の指示に従って時間を計測し、計測満了の際にその旨をタイマ管理部202へ通知する。
【0030】
タイマ管理部202は、欠損検出部111から入力した欠損状況に応じて、単一または複数のタイマ部201を選択し、選択したタイマ部201に計測開始を指示する。また、タイマ管理部202は、タイマ部201から計測時間が満了した旨の通知を受けた際に、トリガ生成部203に対してトリガの生成を指示する。
【0031】
トリガ生成部203は、タイマ管理部202からトリガ生成の指示を受けた際に、STATUS PDU作成のトリガを生成し、生成したトリガをSTATUS PDU作成部114へ出力する。
【0032】
次に、通信装置100におけるデータ再送方法について、図4を用いて説明する。図4は、通信装置100におけるデータ再送方法を示す図である。
【0033】
通信装置100の欠損検出部111は、SN=1のデータを取得し、SN=0のデータが欠損したことを検出する。これにより、タイマ制御部113は、タイマ部201のタイマ#1を選択して起動する。その後、通信装置100の欠損検出部111は、SN=3のデータを取得し、SN=2のデータが欠損したことを検出する。これにより、タイマ制御部113は、タイマ部201のタイマ#1とは異なるタイマ#2を選択し、タイマ#1の計測満了を待たずにタイマ#2を起動する。即ち、タイマ制御部113は、複数のタイマを同時に起動する。STATUS PDU作成部114は、タイマ#1により計測する監視時間#401が満了した場合、SN=0の欠損を通信相手に通知するために、SN=0を含むSTATUS PDUを作成する。そして、通信装置100は、作成したSTATUS PDUを通信相手に送信する。その後、STATUS PDU作成部114は、タイマ#2により計測する監視時間#402が満了した場合、SN=2の欠損を通信相手に通知するために、SN=2を含むSTATUS PDUを作成する。そして、通信装置100は、作成したSTATUS PDUを通信相手に送信する。なお、監視時間#401及び監視時間#402は、MACレイヤにおける再送の完了を待つために各々設定されるものであり、例えば、HARQのRTTと最大再送回数とを乗算した値に設定される。
【0034】
このように、本実施の形態では、RLCレイヤにおいて欠損したデータの再送を直ちに通信相手に要求することができる。これにより、本実施の形態によれば、メモリサイズを抑制しても低遅延のデータ伝送を行うことができるとともに再送の繰り返しを防ぐことができ、スループットを向上させることができる。
【0035】
また、本実施の形態によれば、データの並び替えの待ち時間を短縮することができるので、受信側に溜めておくべきデータ量を削減することができ、RLCレイヤのバッファの容量を削減することができる。
【0036】
なお、本実施の形態において、通信装置100においてのみ低遅延のデータ伝送を実現したが、本発明はこれに限らず、通信装置100に加えて通信相手においても低遅延のデータ伝送にも適用することができる。これにより、STATUS Reportが返送されるまでの時間が短縮されることにより、対向側のバッファの容量も削減することができる。
【0037】
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2に係る通信装置500の構成を示すブロック図である。
【0038】
図5に示す通信装置500は、図2に示す実施の形態1に係る通信装置100に対して、欠損検出部111の代わりに欠損検出部511を有し、タイマ制御部113の代わりにタイマ制御部512を有する。なお、図5において、図2と同一構成である部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0039】
通信装置500は、MAC処理部101と、PDCP処理部103と、RLC処理部501とを有する。また、通信装置500は、無線端末装置または無線基地局装置に適用することができる。
【0040】
MAC処理部101は、図示しない通信相手から受信した受信データに対してMACレイヤ処理を施してRLC処理部501へ出力する。また、MAC処理部101は、RLC処理部501から入力した送信データに対してMACレイヤ処理を施して通信相手に送信する。受信データは、複数のデータユニットから構成されている。従って、MAC処理部101は、データユニット単位で受信する。
【0041】
RLC処理部501は、MAC処理部101から入力した受信データに対してRLCレイヤ処理を施してPDCP処理部103へ出力する。また、RLC処理部501は、MAC処理部101から入力した受信データに欠損が生じている場合には、欠損した受信データの再送制御を行う。この際、RLC処理部501は、各データユニットをSNにより識別することができるので、データユニット単位で再送制御を行う。また、RLC処理部501は、PDCP処理部103から入力した送信データに対してRLC処理を施してMAC処理部101へ出力する。
【0042】
PDCP処理部103は、RLC処理部501から入力した受信データに対してPDCPレイヤ処理を施して受信データとして出力する。また、PDCP処理部103は、入力した送信データに対してPDCPレイヤ処理を施してRLC処理部501へ出力する。
【0043】
次に、RLC処理部501の構成の詳細について、図5を用いて説明する。
【0044】
欠損検出部511は、MAC処理部101から入力した受信データを受信バッファに格納する。また、欠損検出部511は、受信バッファに格納した受信データの並べ替え処理を行い、受信データのうちで欠損している欠損データを検出する。また、欠損検出部511は、欠損データを検出しない場合には、並び替え処理した受信データをSDU生成部112へ出力する。また、欠損検出部511は、欠損データを検出した場合には、タイマ制御部512に対して時間の計測を指示する。また、欠損検出部511は、欠損データを検出した場合には、受信バッファの空き領域に応じて、欠損データのSNをSTATUS PDU作成部114へ通知するか、またはMAC処理部101から入力した受信データを廃棄してフロー制御を行う。なお、欠損検出部511の構成の詳細については後述する。
【0045】
SDU生成部112は、欠損検出部511から入力した並び替え後の受信データよりSDU(サービスデータユニット)を生成してPDCP処理部103へ出力する。
【0046】
タイマ制御部512は、欠損検出部511からの時間の計測の指示に従って時間を計測する。また、タイマ制御部512は、タイマでの時間の計測が満了した場合に、STATUS PDU作成のトリガをSTATUS PDU作成部114へ出力する。
【0047】
STATUS PDU作成部114は、タイマ制御部512よりトリガが入力した場合に、欠損検出部511から入力したSNを含むSTATUS PDUを作成する。また、STATUS PDU作成部114は、作成したSTATUS PDUをデータ作成部115へ出力する。
【0048】
次に、欠損検出部511の構成について、図6を用いて説明する。図6は、欠損検出部511の構成を示すブロック図である。
【0049】
受入制御部601は、フロー制御部605から受入制御通知を受けない場合には、MAC処理部101から入力した受信データを受信バッファ602に格納する。また、受入制御部601は、フロー制御部605から受入制御通知を受けた場合に、MAC処理部101から入力した受信データをRLC処理部501において処理するか否かを判定する。また、受入制御部601は、RLC処理部501において処理すると判定した場合には、MAC処理部101から入力した受信データのSNをSTATUS PDU作成部114へ出力する。また、受入制御部601は、RLC処理部501において処理しないと判定した場合には、MAC処理部101から入力した受信データを廃棄する。なお、RLC処理部501において処理するか否かの判定方法については後述する。
【0050】
受信バッファ602は、受入制御部601から入力した受信データを並び替え処理のために格納する。
【0051】
並び替え部603は、受信バッファ602に格納した受信データを受信バッファ602から取り出して並び替え処理を行う。また、並び替え部603は、並び替えた受信データにおける欠損の有無を検出する。また、並び替え部603は、受信データの欠損無しを検出した場合には、並び替えた受信データをSDU生成部112へ出力する。また、並び替え部603は、受信データの欠損有りを検出した場合には、欠損した単一のSNをSTATUS PDU作成部114へ通知するとともに、時間の計測の開始をタイマ制御部512に指示する。
【0052】
枯渇検出部604は、受信バッファ602の空き領域が閾値以下になったことを検出した場合に、フロー制御通知をフロー制御部605に通知する。
【0053】
フロー制御部605は、枯渇検出部604からフロー制御通知を受けた場合に、受入制御部601に対して受入制御通知を通知する。
【0054】
次に、通信装置500におけるデータ再送方法について、図7を用いて説明する。図7は、通信装置500におけるデータ再送方法を示す図である。
【0055】
通信装置500の欠損検出部511は、SN=1のデータを取得し、SN=0のデータが欠損したことを検出する。これにより、タイマ制御部512は、タイマを起動する。その後、通信装置500の欠損検出部511は、SN=3のデータを取得し、SN=2のデータが欠損したことを検出する。また、タイマ制御部512は、タイマにより計測する監視時間#701が満了した際に、トリガをSTATUS PDU作成部114へ出力する。これにより、STATUS PDU作成部114は、SN=0のデータの欠損を通信相手に通知するために、SN=0を含むSTATUS PDUを作成する。また、通信装置500は、作成したSTATUS PDUを通信相手に送信する。その後、タイマ制御部512は、SN=2のデータが欠損していることにより、再度タイマを起動する。また、タイマ制御部512は、タイマにより計測する監視時間#702が満了した際に、トリガをSTATUS PDU作成部114へ出力する。これにより、STATUS PDU作成部114は、SN=2のデータの欠損を通信相手に通知するために、SN=2を含むSTATUS PDUを作成する。また、通信装置500は、作成したSTATUS PDUを通信相手に送信する。その後も、SN=2のデータが再送されてくるまでは、新しいデータを受信する。
【0056】
この際、欠損検出部511のフロー制御部605は、受信バッファ602に格納されるデータ量が閾値以上になった場合に、フロー制御するためのフロー制御通知を欠損検出部511の受入制御部601に通知する。これにより、受入制御部601は、受け入れた新しいデータをRLC処理部501において処理するか否かの判定を行う。即ち、受入制御部601は、再送を待っているSN=2以外の受信データについてはRLC処理部501において処理しないと判定する。この結果、受入制御部601は、SN=2以外の受信データの受け入れを停止し、取得した受信データの廃棄を開始する。一方、受入制御部601は、再送を待っているSN=2の受信データについてはRLC処理部501において処理すると判定する。この結果、受入制御部601は、SN=2の受信データを取得した場合は受信バッファ602へ出力する。従って、SN=2の受信データの欠損が無くなり、順序が揃うことで、上位レイヤに受信データを転送することができるようになる。また、これに伴って、欠損検出部511は、受信バッファ602を解放することができ、次の新たな受信データを取得できるようになる。なお、監視時間#701及び監視時間#702は、MACレイヤにおける再送の完了を待つために各々設定されるものであり、例えば、HARQのRTTと最大再送回数とを乗算した値に設定される。
【0057】
ここで、受入制御部601は、フロー制御通知を受け取った場合に、再送待ちの受信データをすべてRLC処理部501において処理すると判定してもよいし、最も古い再送待ちの受信データのみをRLC処理部501において処理すると判定してもよい。また、受入制御部601は、フロー制御通知を受け取った場合に、受信した制御データ(STATUS PDU)のみをRLC処理部501において処理すると判定してもよい。また、この際に、通信装置500は、通信相手に対してデータの再送を行うようにしても良い。
【0058】
このように、本実施の形態では、受信バッファが枯渇した場合に、再送待ちの受信データのみを受け入れる。これにより、本実施の形態によれば、メモリサイズを抑制しても低遅延のデータ伝送を行うことができるとともに再送の繰り返しを防ぐことができ、スループットを向上させることができる。
【0059】
また、本実施の形態では、受信バッファが枯渇した場合に制御データのみを受け入れるようにし、上り回線と下り回線のいずれか一方がフロー制御状態にある場合でも、フロー制御状態に無い他方の回線における制御情報を受信する。これにより、本実施の形態によれば、フロー制御状態に無い回線の通信を継続することができる。
【0060】
なお、本実施の形態において、通信装置500においてのみ低遅延のデータ伝送機能を搭載したが、本発明はこれに限らず、通信装置500に加えて通信相手にも低遅延のデータ伝送機能を搭載することができる。これにより、STATUS Reportが返送されるまでの時間を短縮することができ、通信相手のバッファ容量も削減することができる。
【0061】
また、本実施の形態において、RLC処理部において受信バッファの枯渇を検出してフロー制御を行うようにしたが、本発明はこれに限らず、フロー制御通知を上位レイヤから受けるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明にかかる通信装置及びデータ再送方法は、例えばLTE(Long Term Evolution)等の通信システムのレイヤ2における処理を行うのに好適である。
【符号の説明】
【0063】
100 通信装置
101 MAC処理部
102 RLC処理部
103 PDCP処理部
111 欠損検出部
112 SDU生成部
113 タイマ制御部
114 STATUS PDU作成部
115 データ作成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のデータユニットを順次受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した前記データユニットのうちで欠損している欠損データを検出する検出手段と、
前記検出手段により複数の前記欠損データを検出した場合に、前記検出の都度所定の監視時間を設定する設定手段と、
前記設定手段により設定した各々の前記監視時間内に前記欠損データを受信しない場合に、前記欠損データの再送を各々の前記監視時間経過後に順次要求する再送要求手段と、
を具備する通信装置。
【請求項2】
請求項1記載の通信装置を具備する無線端末装置。
【請求項3】
請求項1記載の通信装置を具備する無線基地局装置。
【請求項4】
通信装置におけるデータ再送方法であって、
複数のデータユニットを順次受信する受信ステップと、
前記受信ステップにより受信した前記データユニットのうちで欠損している欠損データを検出する検出ステップと、
前記検出ステップにより複数の前記欠損データを検出した場合に、前記検出の都度所定の監視時間を設定する設定ステップと、
前記設定ステップにより設定した各々の前記監視時間内に前記欠損データを受信しない場合に、前記欠損データの再送を各々の前記監視時間経過後に順次要求する再送要求ステップと、
を具備するデータ再送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−191326(P2012−191326A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51609(P2011−51609)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000187725)パナソニック モバイルコミュニケーションズ株式会社 (38)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】