通信装置
【課題】地震発生による緊急地震速報を受信した際に、通信装置の設置場所に最適な避難行動をユーザに指示することができる通信装置を提供する。
【解決手段】本発明の通信装置は、通信網に接続可能なネットワークカードや無線LAN装置等を含む第一通信部を備えている。また第一通信部を用いてインターネット等の広域通信網から気象庁の配信する緊急地震速報を受信し、避難指示のための文字画像や音声を出力する避難指示部を備えている。避難指示部は、複数種類の避難指示画像や避難指示音声を備えている。避難指示登録部は、避難指示部が用いる避難指示用データの選択をユーザより受け付ける。また避難指示登録部は、記録部に記録されている音声データや画像データを避難指示用データとして登録する指示を受け付ける。受け付けた内容は記録部に記録され、緊急地震速報の受信時に避難指示部により参照される。
【解決手段】本発明の通信装置は、通信網に接続可能なネットワークカードや無線LAN装置等を含む第一通信部を備えている。また第一通信部を用いてインターネット等の広域通信網から気象庁の配信する緊急地震速報を受信し、避難指示のための文字画像や音声を出力する避難指示部を備えている。避難指示部は、複数種類の避難指示画像や避難指示音声を備えている。避難指示登録部は、避難指示部が用いる避難指示用データの選択をユーザより受け付ける。また避難指示登録部は、記録部に記録されている音声データや画像データを避難指示用データとして登録する指示を受け付ける。受け付けた内容は記録部に記録され、緊急地震速報の受信時に避難指示部により参照される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広域通信網に接続されて通信を行う通信装置に関するものであり、特に気象庁が配信する緊急地震速報を受信して避難指示を行う通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信インフラの発達により、通信に関する様々な付加サービスが普及するようになってきた。例えば電話装置においては、一般電話回線以外に、IP電話網やインターネット等の広域通信網に接続して、データ通信サービス等の様々なサービスを受けることが可能な電話装置が普及している。
【0003】
このような通信装置が備える機能の一つとして、地震発生時に気象庁が配信する緊急地震速報の受信機能が存在する。緊急地震速報とは、西暦2007年10月1日より実施が開始される情報配信サービスである。ユーザは緊急地震速報に対応する通信装置を購入し、且つ緊急地震速報の配信サービス会社と契約することにより、このサービスを利用することができる。
【0004】
地震発生時に緊急地震速報を受信した通信装置は、通信装置に予め記録されている地域情報、例えば通信装置が設置されている場所の緯度・経度情報等を用いて、予測震度や主要動(=地震動のうち、人体に最も強く感じられる部分。通常はS波)が到達する予測時刻等を算出する。
【0005】
算出結果は、例えば液晶パネルによる画像表示や、スピーカによる音声出力により、ユーザに通知される。これによりユーザは、震源地から主要動が到達するまでの間に、机の下に隠れたり火の元を消したりする等の避難行動をとることができる。
【0006】
上記のような緊急地震速報を受信可能な装置として特許文献1においては、地震による火災等の二次災害の発生可能性を従来よりも低く抑えることができる画像処理装置が開示されている。この画像処理装置は、外部機器との通信を行う通信制御手段と、装置内部の通電状態を変更する電源制御手段とを備えている。
【0007】
そして通信制御手段が外部機器から緊急地震速報を受け取った際に、通電状態を変更するよう電源制御手段を制御する。このように外部からの情報によって電源制御を行うことで、近くで工事をしていたり、装置に偶然何かがぶつかったりといった地震以外の振動による地震の誤検知を防止し、利便性を損なわずに安全を確保することができる。
【0008】
また上記に関連して特許文献2においては、早期地震情報を収集し、地震動の主要動の到達前に注意喚起の要否の判断を行うことができる可搬型早期地震警報装置が開示されている。この可搬型早期地震警報装置は、位置情報の受信手段と、緊急地震速報の受信手段と、前記両受信手段により受信された位置情報と緊急地震速報とに基づいて、地震動の主要動の到達前に注意喚起の要否の判断を行う注意喚起要否判断手段とを具備している。
【0009】
これによれば、鉄道車両や自動車において、地震動の主要動が到達する前に注意喚起を発することができるため、迅速に鉄道車両や自動車の停止措置などをとることができ、大きな被害の発生を防止することができる。
【特許文献1】特開2007−72917号公報
【特許文献2】特開2005−283491号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の特許文献1及び特許文献2によれば、緊急地震速報を受信することにより二次災害を防止することや、主要動が到達するまでに注意喚起や車両の停止措置等を行うことができる。ただし注意喚起を行うための音声メッセージや文字メッセージについては、従来と同様、予め通信装置に設定された定型メッセージを用いていた。
【0011】
しかしながら、緊急地震速報の受信機が設置される場所や、避難指示を受けるユーザの年齢層及び性別には様々なパターンがある。例えば設置場所としては、自宅でならキッチン、勉強部屋、寝室、リビング等が想定される。またオフィスであれば、事務室、応接室、コンピュータ室、給湯室等が想定される。設置場所が異なれば、それぞれの場所における最適な避難行動の内容も異なってくる。
【0012】
例えば勉強部屋であれば勉強机の下に避難するのが望ましいし、寝室ならベッドの下に避難するのが望ましい。またキッチンや給湯室であれば火の元を消すのが望ましいし、コンピュータ室であればコンピュータの電源を切ることが望ましい。しかしながら従来の通信装置においては、定型メッセージを用いるため、上記のように設置場所に応じた避難行動指示の使い分けを行うことができなかった。
【0013】
従って例えば、平常心を失ったユーザが、どこに避難すればよいか分からずに混乱する可能性があった。また幼い子供や老人などは、一般成人と比べて判断力が劣ることが多いため、適切な避難行動をとることができないという可能性もあった。
【0014】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであって、地震発生による緊急地震速報を受信した際に、通信装置の設置場所や避難指示対象のユーザに最適な避難行動を指示することができる通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために本発明の通信装置は、通信網に接続可能な第一通信手段と、前記第一通信手段を用いて通信網より緊急地震速報を受信する速報受信手段と、緊急地震速報受信時に表示部及び/又は音声出力部を用いて避難指示画像及び/又は避難指示音声を出力する避難指示手段とを備えた通信装置において、前記避難指示手段が、複数種類の前記避難指示画像及び/又は前記避難指示音声を備えており、緊急地震速報受信時に前記避難指示手段が用いる前記避難指示画像及び/又は前記避難指示音声の選択指示を受け付ける避難指示登録手段を備えていることを特徴としている。
【0016】
この構成によると、本発明の通信装置は、通信網に接続可能なネットワークカードや無線LAN装置等を含む第一通信部(=第一通信手段)を備えている。また第一通信部を用いてインターネット等の広域通信網から気象庁の配信する緊急地震速報を受信する速報受信部(=速報受信手段)を備えている。
【0017】
また、緊急地震速報受信時に液晶モニタ等の表示部やスピーカ等の音声出力部を用いて避難指示のための文字画像や音声を出力する避難指示部(=避難指示手段)を備えている。避難指示部は、複数種類の避難指示画像や避難指示音声を備えている。また、避難指示部がいずれの避難指示画像や避難指示音声を用いて避難指示を行うかの指定をユーザより受け付ける避難指示登録部(=避難指示登録手段)を備えている。このため、緊急地震速報の受信時に避難指示部は、予め避難指示登録部により登録されている避難指示画像や避難指示音声を用いて避難指示を行う。
【0018】
また上記目的を達成するために本発明の通信装置は、記録部を備え、前記避難指示登録手段が、前記記録部に対する画像データ及び/又は音声データの記録を受け付けるとともに、前記記録部に記録されている前記画像データ及び/又は前記音声データの中から、前記避難指示手段が用いる前記避難指示画像及び/又は前記避難指示音声の選択指示を受け付けることを特徴としている。
【0019】
この構成によると、本発明の通信装置は、フラッシュメモリ等の記録部を備えている。避難指示登録部は、避難指示用に用いる画像データや音声データを受け付けて記録部に記録する。また避難指示登録部は、記録部に記録されている音声データや画像データの中から、避難指示部が用いる避難指示画像や避難指示音声の選択指示を受け付ける。選択結果は記録部に記録され、緊急地震速報の受信時に避難指示部により参照される。これにより、避難指示部が出力する音声及び画像が決定される。
【0020】
また上記目的を達成するために本発明の通信装置は、前記記録部が、前記通信装置の設置場所と前記避難指示画像及び/又は前記避難指示音声とを関連付けた避難指示テーブルを記録しており、前記避難指示登録手段が、前記避難指示テーブルに含まれる前記設置場所の選択指示を受け付け、前記避難指示手段が、指示された前記設置場所に関連付けられている前記避難指示画像及び/又は前記避難指示音声を前記避難指示テーブルより判別して出力することを特徴としている。
【0021】
この構成によると、本発明の通信装置は記録部に、通信装置の設置場所と、避難指示画像及び避難指示音声とを関連付けた避難指示テーブルを記録している。避難指示登録手段はユーザより、避難指示テーブルに含まれる設置場所の選択指示を受け付ける。そして避難指示手段は、避難指示を行う際に避難指示テーブルを参照し、指示されている設置場所に対応する避難指示画像や避難指示音声を判別して出力する。
【0022】
また上記目的を達成するために本発明の通信装置は、前記第一通信手段と、前記速報受信手段と、前記避難指示手段と、前記避難指示登録手段と、前記第一通信手段を用いて緊急地震速報の検知通知を送信する地震検知送信手段とを備えた主通信装置と、前記主通信装置と通信可能な第二通信手段と、前記第二通信手段を用いて前記検知通知を受信する地震検知受信手段と、前記避難指示手段と、前記避難指示登録手段とを備えた副通信装置とを含むことを特徴としている。
【0023】
この構成によると、本発明の通信装置は、親機(=主通信装置)と子機(=副通信装置)とを含むように構成されている。親機は、前述の第一通信部、速報受信部、避難指示部、及び避難指示登録部を備えている。また、速報受信部により緊急地震速報が受信された際に、子機に緊急地震速報の検知通知を送信する地震検知送信部(=地震検知送信手段)を備えている。
【0024】
さらに子機は、親機と通信可能な第二通信部(=第二通信手段)と、第二通信部により受信する各情報から、親機より送られてきた緊急地震速報の検知通知を抽出する地震検知受信部(=地震検知受信手段)とを備えている。また子機は、前述の避難指示部及び避難指示登録部を備えている。これにより、親機側及び子機側の両方において、避難指示の登録及び避難指示を行うことができる。
【0025】
また上記目的を達成するために本発明の通信装置は、前記第一通信手段が、無線通信網に接続可能な無線通信部を備え、前記地震検知送信手段が、前記第一通信手段が備える無線通信部を用いて前記検知通知を前記副通信装置へ送信し、前記第二通信手段が、無線通信網に接続可能な無線通信部を備え、前記地震検知受信手段が、前記第二通信手段が備える無線通信部を用いて前記検知通知を受信することを特徴としている。
【0026】
この構成によると、本発明の通信装置は、親機及び子機が、無線通信網に接続可能なアンテナ装置を含む無線通信部を備えている。親機の地震検知送信部は、緊急地震速報の検知通知を無線通信部を用いて子機に送信する。また子機の地震検知受信部は、無線通信部を用いて、親機から送られてくる検知通知を受信する。このため、親機と子機とを有線通信網で接続する必要がなく、従ってユーザが子機を移動させて使用している場合においても、避難指示用データの登録及び避難指示を行うことができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の構成によれば、緊急地震速報が検知された際に、予め避難指示登録部により選択指示を受け付けた避難指示画像や避難指示音声を用いて避難指示を行う。これにより、通信装置の設置場所や避難指示対象となるユーザの年齢層等に応じて、指示内容を変更することができる。従ってユーザは地震発生時において、周囲の状況に応じた適切な避難行動をとることができるため、安全性の向上を図ることができる。
【0028】
また本発明の構成によれば、記録部に記録されている音声データや画像データの中から、避難指示部が用いる避難指示画像や避難指示音声を選択することが可能である。従ってユーザは、避難場所をデジタルカメラで撮影した画像データや、ユーザが録音した避難指示音声等を記録部に記録させることにより、これらのデータを用いた避難指示を行うことができる。このため、避難指示の内容をより詳細にカスタマイズできるため、ユーザの利便性、及び装置の汎用性を高めることができる。
【0029】
また本発明の構成によれば、通信装置の設置場所と、避難指示画像及び避難指示音声とを関連付けた避難指示テーブルを備えている。このためユーザは、設置場所を指定するだけで、それぞれの設置場所に応じた避難指示画像及び避難指示音声を設定することができる。このため、設定作業を容易且つ短時間で行うことができるため、利便性が向上する。
【0030】
また本発明の構成によれば、親機及び子機の両方において、ユーザが予め登録或いは選択した避難指示画像や避難指示音声を用いて避難指示を行うことが可能である。このため、ユーザが親機の近くに存在しない場合でも、子機からの指示により避難行動をとることができるため、利便性が向上する。
【0031】
また本発明の構成によれば、親機及び子機が無線通信部を備えており、無線通信網を介して避難指示を行う。このため、ユーザが子機を移動させて使用している場合においても、登録或いは選択した避難指示画像や避難指示音声による避難指示を受けることができる。また例えば、寝室からキッチンへ子機を持ち運んだ場合に、キッチン用の避難指示を再設定することができる。このように、子機の設置場所が変わった場合においても、状況に応じて避難指示内容を容易に変更可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下に本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、ここで示す実施形態は一例であり、本発明はここに示す実施形態に限定されるものではない。
[実施の形態1]
〈1−1.電話システムの構成について〉
図1は、本発明のコードレス電話装置(=通信装置)を含む電話システムの構成を示すブロック図である。本システムは少なくとも、親機1(=主通信装置)、子機2(=副通信装置)、有線LAN41、無線通信網42、IP電話ルータ51、ブロードバンドルータ52、ゲートウェイ53、IP電話網61、インターネット62、PSTN網63(=Public Switched Telephone Network:公衆電話交換網)、及び加入者電話装置71を含むように構成されている。
【0033】
本発明のコードレス電話装置は、IP通信網に接続可能なコードレス電話装置であり、図中の親機1及び複数の子機2(子機A2a〜子機C2c)がこれに該当する。親機1は、有線LAN41に接続されることにより、電話網を介した音声通信が可能であるIP電話装置である。また親機1は、有線LAN41と無線通信網42との通信を中継する中継機能を持っている。これにより後述する子機2は、親機1を中継してIP電話網61やPSTN網63を介した通話を行うことが可能である。また親機1は、インターネット62を介して、気象庁が配信する緊急自身速報を受信する機能を持つ。なお、親機1の内部構造の詳細については後述する。
【0034】
子機2は、後述する無線通信網42に接続されて親機1と通信を行うことにより、IP電話網61やPSTN網63を介して他の電話装置と音声通信を行うことが可能な無線通話装置である。なお、子機2の内部構成の詳細については後述する。
【0035】
有線LAN41は、親機1、IP電話ルータ51、ブロードバンドルータ52、及びゲートウェイ53等が有線接続されたローカルのネットワークである。前記の各装置は有線LAN41に接続されることにより、相互に通信が可能となっている。なお、有線LAN41を構成する物理的な手段としては、例えばツイストペアケーブルを用いた10BASE−T(IEEE802.3iとして標準化)や100BASE−TX(IEEE802.3uとして標準化)等があげられる。
【0036】
無線通信網42は、親機1と、複数の子機2とが無線接続された小規模の通信網である。具体的には例えば、2.4GHz(ギガヘルツ)の周波数帯の電波を利用したFHSS−WDCT(Frequency Hopping Spread Spectrum - Worldwide Digital Cordless Telephone)準拠の通信方式等を用いて相互に通信を行う。
【0037】
IP電話ルータ51、及びブロードバンドルータ52は、複数のIPネットワークを相互接続するためのネットワーク中継装置である。具体的には、OSI(Open Systems Interconnection)参照モデルでいうネットワーク層(第3層)やトランスポート層(第4層)の一部のプロトコルを解析して転送を行う。本実施形態では、IP電話ルータ51は有線LAN41とIP電話網61との二つのIPネットワークを相互に接続する役割を持つ。またブロードバンドルータ52は、有線LAN41とインターネット62との二つのIPネットワークを相互に接続する役割を持つ。
【0038】
ゲートウェイ53は、プロトコル体系が異なるネットワーク間を相互接続するためのプロトコル変換器である。ゲートウェイ53は例えば、有線LAN41とPSTN網63とを接続し、SIP等のシグナリングプロトコルを用いてシグナル変換を行うことにより、両ネットワーク間での通信を可能とする。
【0039】
IP電話網61は、電話網の一部もしくは全てにVoIP(Voice over Internet Protocol)技術を利用した通信網であり、用いる通信回線としてはFTTH(Fiber To The Home)やADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)等の、いわゆるブロードバンド回線が利用される。なおVoIPとは、音声を各種符号化方式で圧縮してパケットに変換し、IPネットワークでリアルタイム伝送する技術である。これによりIP電話網61は音声通話サービスの他、画像の送受信を行うテレビ電話サービス等も提供可能である。
【0040】
インターネット62は、通信プロトコルによるネットワークを相互接続して構築された広域通信網である。大小様々なコンピュータネットワークを相互に連結させて、国際的な通信ネットワークが構築されている。通信プロトコルとしては主に、TCP/IPが標準的なプロトコルとして採用されている。
【0041】
PSTN網63は、一般の加入者電話回線ネットワークである。末端に電話装置を接続し、回線交換方式で通信相手に接続して音声通話を行うのに用いられる。加入者電話装置71は、電話加入者がPSTN網63を用いて他の加入者電話装置やIP電話装置と音声通話を行うための電話装置である。
〈1−2.親機の内部構成について〉
図2は、本発明の第一の実施形態に係る親機1の内部を示すブロック図である。親機1は少なくとも、制御部11、メモリ12、表示部13、入力部14、通信制御部15(=第一通信手段)、アンテナ装置16(=無線通信部)、音声信号処理部17、スピーカ18(=音声出力部)、マイク19、及びフラッシュメモリ20(=記録部)を含むように構成されている。
【0042】
制御部11は、親機1の各部を制御することにより通信制御処理(音声データの送受信、発呼の実施、或いは着呼の検知等)を統括制御するための中央処理装置である。また制御部11は、制御部11が備える演算処理装置上でプログラムを実行することにより実現される機能部として、速報受信部11a(=速報受信手段)、地震検知送信部11b(=地震検知送信手段)、避難指示部11c(=避難指示手段)、及び避難指示登録部11d(=避難指示登録手段)を備えている。
【0043】
速報受信部11aは、通信制御部15を用いてインターネット62から緊急地震速報を受信することにより、地震発生を検知したと判断する。地震発生を検知した場合、次の地震検知送信部11b及び避難指示部11cに対して、地震検知通知を与える。
【0044】
地震検知送信部11bは、速報受信部11aから地震検知通知を与えられた際に、通信制御部15を用いて地震検知通知を子機2へ送信する。避難指示部11cは、地震検知通知を与えられた際に、フラッシュメモリ20に記録されている避難指示用画像及び避難指示用音声(以下、「避難指示用データ」という)を読み出す。そして読み出した避難指示用データを表示部13及びスピーカ18を用いて出力することにより、避難指示を行う。
【0045】
避難指示登録部11dは、フラッシュメモリ20に記録されている画像データ及び音声データの中から、避難指示部11cが避難指示用データとして用いるデータの選択指示を受け付ける。選択結果はフラッシュメモリ20に記録される。避難指示部11cはこの選択結果を参照することにより、出力する避難指示用データを判別する。また避難指示登録部11dは、画像データ及び音声データを外部から入力してフラッシュメモリ20に記録する機能も持つ。例えば、マイク19から入力した音声を避難指示用音声として記録する。
【0046】
メモリ12は、親機1が保持する各種データを一時的に記録する媒体であり、例えば書込可能なRAM(Random Access Memory)等により構成されている。メモリ12は制御部11によって各種通信制御処理が行われる際の処理データや、ユーザから受けた指示命令等を一時的に記録しておくためのバッファメモリとしての役割を持つ。
【0047】
表示部13は、親機1が保持する各種情報(例えば着信時における発信側電話番号等)をユーザに対して表示する。表示部13は例えば、液晶パネル等の小型で消費電力の少ない表示装置を用いる。入力部14は、ユーザが親機1を用いて通信を行うための各種操作(例えば通話を行う相手の電話番号の入力等)を行うためのものである。入力部14は通常、数字ボタンやリダイヤルボタン等の複数の操作ボタンから構成されている。
【0048】
通信制御部15は、親機1を有線LAN41に接続するための通信インタフェースである。通信制御部15は、有線LAN41に接続された呼制御サーバ(不図示)と通信を行うことにより、IP電話システムにおける着信処理や発信処理等を実施することが可能である。また通信制御部15は、アンテナ装置16による無線通信網42を介した無線通信の制御を行う。
【0049】
アンテナ装置16は、子機2との間で無線通信電波の送受信を行うための無線通信装置である。アンテナ装置16は、所定の通信規格、例えばFHSS−WDCT(Frequency Hopping Spread Spectrum - Worldwide Digital Cordless Telephone)準拠の通信方式等に則って、無線通信を行う。これにより、子機2との間で音声通信やデータ通信等を行うことが可能である。
【0050】
音声信号処理部17は、通信制御部15により入力された音声データの復号処理を行い、音声信号としてスピーカ18に与える。また音声信号処理部17は、マイク19より入力された音声信号に所定の符号化処理を施して音声データを作成し、通信制御部15に与える。これにより音声データは有線LAN41、無線通信網42、或いはIP電話網61等を通じて接続される他の電話装置へ送信される。
【0051】
フラッシュメモリ20は、書き換え可能であり、電源を切ってもデータが消えない不揮発性半導体メモリである。フラッシュメモリ20はEEPROMの一種であるが、EEPROMとは異なり1バイト単位の書き換えはできず、予めブロック単位で消去してから書き込みを行う。本発明では、避難指示部11cが用いる避難指示用データ等の記録に用いられる。
〈1−3.子機の内部構成について〉
図3は、本発明の第一の実施形態に係る子機2の内部を示すブロック図である。子機2は少なくとも、制御部21、メモリ22、表示部23、入力部24、通信制御部25(=第二通信手段)、アンテナ装置26(=無線通信部)、音声信号処理部27、スピーカ28(=音声出力部)、マイク29、フラッシュメモリ30(=記録部)、バッテリ部31、CCD(Charge Coupled Devices)カメラ32、及びSDカードスロット33を含むように構成されている。
【0052】
制御部21は、子機2の各部を制御することにより通信制御処理(音声データの送受信、発呼の実施、或いは着呼の検知等)を統括制御するための中央処理装置である。また制御部21は、制御部21が備える演算処理装置上でプログラムを実行することにより実現される機能部として、地震検知受信部21a(=地震検知受信手段)、避難指示部21b(=避難指示手段)、及び避難指示登録部21c(=避難指示登録手段)を備えている。
【0053】
地震検知受信部21aは、親機1から受信する各種情報の中に、地震検知通知が含まれているかどうかの判定を行う。そして地震検知通知が含まれていると判定された場合に、地震検知を示す電文を避難指示部21bに与える。
【0054】
避難指示部21bは、地震検知受信部21aから地震検知を示す電文を与えられた際に、フラッシュメモリ30に記録されている避難指示用データを読み出す。そして読み出した避難指示用データを表示部23及びスピーカ28を用いて出力することにより、避難指示を行う。
【0055】
避難指示登録部21cは、フラッシュメモリ30に記録されている画像データ及び音声データの中から、避難指示部21bが避難指示用データとして用いるデータの選択指示を受け付ける。選択結果はフラッシュメモリ30に記録される。避難指示部21bはこの選択結果を参照することにより、出力する避難指示用データを判別する。また避難指示登録部21cは、外部より画像データ及び音声データを受け付けてフラッシュメモリ30に記録する機能も持つ。
【0056】
メモリ22は、子機2が保持する各種データを一時的に記録する媒体であり、例えば書込可能なRAM(Random Access Memory)等により構成されている。メモリ22は制御部21によって各種通信制御処理が行われる際の処理データや、ユーザから受けた指示命令等を一時的に記録しておくためのバッファメモリとしての役割を持つ。
【0057】
表示部23は、子機2が保持する各種情報(例えば着信時における発信側電話番号等)をユーザに対して表示する。表示部23は例えば、液晶パネル等の小型で消費電力の少ない表示装置を用いる。入力部24は、ユーザが子機2を用いて通信を行うための各種操作(例えば通話を行う相手の電話番号の入力等)を行うためのものである。入力部24は通常、数字ボタンやリダイヤルボタン等の複数の操作ボタンから構成されている。
【0058】
通信制御部25は、アンテナ装置26による無線通信の制御を行う。これにより子機2は、無線通信網42に接続された親機1との通信を行うことが可能である。また、親機1を中継して、PSTN網63を介した着信処理や発信処理等を実施することが可能である。
【0059】
アンテナ装置26〜フラッシュメモリ30ついては、親機1のアンテナ装置16〜フラッシュメモリ20と同じ構成であるため、ここでは説明を省略する。バッテリ部31は、外部電源(不図示)より電力の供給を受け、電力を一時的に備蓄しておく。例えば充電式アルカリ電池やリチウムイオンバッテリ等が用いられる。
【0060】
CCDカメラ32は、画像撮像素子としてCCDを用いた撮影部である。CCDは撮影レンズユニット(不図示)により結像された被写体の光像(光学情報)をR(赤)・G(緑)・B(青)の色成分の画像データに光電変換して出力する。なおCCDは、タイミングジェネレーター(不図示)により駆動されることにより、例えば絞りや露光時間の制御等が行われる。CCDカメラ32により得られた画像データは、フラッシュメモリ30に記録される。
【0061】
SDカードスロット33は、外部記録媒体であるSDカードメモリ99を接続して情報の伝送を行うインタフェースである。SDカードメモリ99には例えば、デジタルカメラで撮影した静止画や動画が記録されている。SDカードスロット33は避難指示登録部21cからの指示により、これらのデータをフラッシュメモリ30にコピーする。これにより避難指示登録部21cは、外部から入力した画像や音声を避難指示用データとして登録することができる。
〈1−4.子機の外部構造について〉
図7は、本発明の第一の実施形態に係る子機2の外部構造を示す外観図である。図7(a)は子機2を横方向から見た外観図、図7(b)は子機2を正面方向から見た外観図、図7(c)は子機2を下方向から見た外観図である。
【0062】
図7に示すように子機2は、その正面に表示部23、入力部24、アンテナ装置26、スピーカ28、及びマイク29を備えている。また底面部に充電可能なバッテリ部31を備えている。液晶パネルを含む表示部23の下部には、複数の操作ボタン群を備える入力部24が存在する。
【0063】
また子機2はその側面に、CCDカメラ32及びSDカードスロット33を備えている。これにより避難指示画像の撮影を行ったり、避難指示用データを外部から入力したりすることが可能である。
〈1−5.避難指示用データ選択画面について〉
ここで、本発明の第一の実施形態に係る避難指示用データ選択画面の一例を、図8の画面図を用いながら説明する。
【0064】
図8は、本発明の親機1が備える表示部13、或いは子機2が備える表示部23に表示される避難指示用データ選択画面80の一例である。なおこの画面は、入力部14或いは入力部24に含まれる設定ボタンが押下された場合等、任意のタイミングで表示することが可能である。図8に示すように避難指示用データ選択画面80は、避難指示用データとして選択可能な音声及び画像と、実線カーソル81と、破線カーソル82とを含むように構成されている。
【0065】
実線カーソル81は、ユーザが十字ボタン等により操作中のカーソルである。実線カーソル81は上下に移動可能であり、図8に示す例では、これを用いて避難指示用音声を選択する。選択後、所定のボタン、例えば決定ボタン等が押下されることにより、選択された音声が避難指示用データとして登録される。
【0066】
破線カーソル82は、ユーザが非操作中のカーソルである。破線カーソル82は、所定のボタン、例えば十字ボタンに含まれる左右ボタンが押下されることにより、実線カーソル81と入れ替わる。これにより図8に示す例では、避難指示用画像の選択及び登録が可能となる。なお、表示部のサイズが小さい場合は、避難指示用データ選択画面80の一部のみ、例えば音声選択部(=画面左側)のみが表示され、所定ボタンの押下により、画像選択部(=画面右側)の表示に切り替わる形態であってもよい。
〈1−6.避難指示用データ登録処理について〉
ここで、本発明の第一の実施形態における親機1及び子機2を用いた、避難指示用データの登録処理について、図1〜図3のブロック図と、図4のフロー図と、図8の画面図とを用いながら説明する。なお、親機1と子機2とでは、処理主体が異なることを除けば同一の処理フローとなるため、以下では子機2を例として処理フローを説明する。
【0067】
図4に示す処理フローは、入力部24が備える設定ボタン等が押下され、避難指示用データの設定モードに移行することにより開始される。本処理の開始後、避難指示登録部21cはステップS110において、登録方法として「選択モード」及び「記録モード」のいずれが選択されたかの判定を行う。「選択モード」とは、予めフラッシュメモリ30に記録されている画像データ及び音声データから避難指示用データを選択するモードである。「記録モード」とは、外部より避難指示用データを新たに記録して登録するモードである。
【0068】
ステップS110において「選択モード」が選択された場合、避難指示登録部21cは避難指示用データ選択画面80を表示部23に表示する。そしてステップS120において、音声データの選択を受け付ける。さらにステップS130において、画像データの選択を受け付ける。
【0069】
次に避難指示登録部21cはステップS140において、選択された音声データ及び画像データを、避難指示用データとしてフラッシュメモリ30に登録した後、本処理を終了する。
【0070】
ステップS110に戻って説明すると、ステップS110で「記録モード」が選択された場合、避難指示登録部21cはステップS150において、避難指示用の音声データの入力を待ち受ける状態に移行する。例えばマイク29を用いて音声データを入力する場合は、表示部23に「音声を入力して下さい」という文字画像を表示して、入力待ち状態となる。また或いは、SDカードスロット33や通信制御部25を用いて外部より取得する場合、取得可能な音声データを表示部23に表示することにより、取得データの指定を待ち受ける状態となる。
【0071】
次に避難指示登録部21cはステップS160において、避難指示用の画像データの入力を待ち受ける状態に移行する。例えばCCDカメラ32を用いて避難指示用画像の撮影を行う場合、表示部23に「画像を撮影して下さい」という文字画像を表示して、撮影待ち状態となる。また音声データと同様、外部より取得可能な静止画或いは動画の指定を待ち受ける形態でもよい。
【0072】
次に避難指示登録部21cはステップS170において、記録された音声データ及び画像データを、避難指示用データとしてフラッシュメモリ30に登録した後、本処理を終了する。
〈1−7.避難指示処理について〉
ここで、本発明の第一の実施形態における親機1及び子機2を用いた、緊急地震速報受信時における避難指示処理について、図1〜図3のブロック図と、図5及び図6のフロー図とを用いながら説明する。
【0073】
図5は、緊急地震速報の受信待機を行っている親機1の処理フローである。図5に示す処理フローは、親機1の電源が起動し、且つインターネット62との通信が可能な状態において任意のタイミングで開始可能である。本処理の開始後、速報受信部11aはステップS210において、通信制御部15によりインターネット62から緊急地震速報を受信したかどうかの判定を行う。
【0074】
緊急地震速報が受信されていないと判定された場合、再びステップS210に移行し、緊急地震速報が検知されるまで監視を継続して行う。緊急地震速報の受信を検知した場合、速報受信部11aはステップS220において、緊急地震速報に含まれる電文の解析処理を行う。これにより、電文に含まれる各種パラメータから、予測震度や主要動の到達予測時刻等が算出される。
【0075】
次に地震検知送信部11bはステップS230において、緊急地震速報が検知されたことを示す地震検知通知を、通信制御部15及びアンテナ装置16を用いて、一又は複数の子機2へ送信する。
【0076】
次に避難指示部11cはステップS240において、フラッシュメモリ20より、予め避難指示登録部11dにより登録されている避難指示用データを読み出す。そして表示部13及びスピーカ18を用いて、避難指示用データによる音声及び画像の出力を行う。
【0077】
次に、子機2における処理フローを、図6のフロー図を用いながら説明する。図6に示す処理フローは、子機2が待機状態であり、且つ親機1との無線通信が可能な状態において任意のタイミングで開始可能である。本処理の開始後、地震検知受信部21aはステップS310において、アンテナ装置26により親機1より地震検知通知を受信したかどうかの判定を行う。
【0078】
地震検知通知が受信されていないと判定された場合、再びステップS310に移行し、地震検知通知が検知されるまで監視を継続して行う。地震検知通知の受信を検知した場合、避難指示部21bはステップS320において、フラッシュメモリ30より、予め避難指示登録部21cにより登録されている避難指示用データを読み出す。そして表示部23及びスピーカ28を用いて、避難指示用データによる音声及び画像の出力を行う。
【0079】
次に、本発明の第二の実施形態ついて、図面を参照しつつ説明する。
[実施の形態2]
〈2−1.電話システムの構成について〉
実施の形態1と同内容であるため、ここでは説明を省略する。
〈2−2.親機の内部構成について〉
構成部材は実施の形態1と同内容であるが、避難指示部11c及び避難指示登録部11dの機能が実施の形態1と一部異なる。本実施形態の避難指示部11cは、親機1の設置場所と、設置場所に応じた避難指示用データとを関連付けた避難指示テーブルを用いて、用いる避難指示用データを判別する。また避難指示登録部11dも同様に、避難指示テーブルを用いて避難指示データの選択指示を受け付け、登録を行う。なお、避難指示テーブルの詳細については後述する。
〈2−3.子機の内部構成について〉
構成部材は実施の形態1と同内容であるが、避難指示部21b及び避難指示登録部21cの機能が実施の形態1と一部異なる。なお、避難指示部21b及び避難指示登録部21cは上記の避難指示部11c及び避難指示登録部11dと同様の機能を持つため、ここでは説明を省略する。
〈2−4.子機の外部構造について〉
実施の形態1と同内容であるため、ここでは説明を省略する。
〈2−5.避難指示用データ選択画面について〉
ここで、本発明の第二の実施形態に係る避難指示用データ選択画面の一例を、図12の画面図を用いながら説明する。
【0080】
図12は、本発明の親機1が備える表示部13、或いは子機2が備える表示部23に表示される避難指示用データ選択画面90の一例である。なおこの画面は、入力部14或いは入力部24に含まれる設定ボタンが押下された場合等、任意のタイミングで表示することが可能である。図12に示すように避難指示用データ選択画面90は、通信装置(=親機1、或いは子機2)の設置場所毎に用意された音声データ及び画像データと、カーソル91とを含むように構成されている。
【0081】
カーソル91は、ユーザが十字ボタン等により上下に移動可能なカーソルである。ユーザはこれを用いて、通信装置の設置場所、すなわち避難指示が行われる場所を選択する。選択後、所定のボタン、例えば決定ボタン等が押下されることにより、選択された設置場所に関連付けられている音声データ及び画像データが避難指示用データとして登録される。例えば図12に示す例では、設置場所としてリビングが選択されることにより、「テーブルの下に隠れて下さい」という音声データと、机の下に隠れることを示す画像データが避難指示用データとして登録される。
〈2−6.避難指示用データ登録処理について〉
本実施形態の避難指示用データの登録は、避難指示テーブルを用いて行われる。図11は、避難指示テーブルの一例を示したテーブル図である。図11に示すように本実施形態の避難指示テーブルは、左から順に「設置場所」欄と「音声データ」欄と「画像データ」欄との三つの欄から構成されている。
【0082】
「設置場所」欄は、通信装置が設置されると想定される場所を示したものであり、例え子供部屋やキッチン、リビング等が存在する。「音声データ」欄は、設置場所に応じて用いる音声データのファイル名を示したものである。図12に示す例では、WAV形式の音声ファイルが登録されている。「画像データ」欄は、設置場所に応じて用いる画像データのファイル名を示したものである。図12に示す例では、JPG形式の静止画ファイルやMOV形式の動画ファイルが登録されている。
【0083】
避難指示登録部11d及び避難指示登録部21cは、避難指示テーブルを参照することにより、前述の避難指示用データ選択画面90を表示する。また避難指示部11c及び避難指示部21bは、避難指示用データ選択画面90においてユーザより指定を受け付けた設置場所と、避難指示テーブルとを照合することにより、用いる避難指示用データのファイル名を判別する。
【0084】
なお、「音声データ」欄及び「画像データ」欄に示されているファイル名をユーザが適宜変更可能である形態であってもよい。また、設置場所の種別の追加/削除が可能である形態であってもよい。ただしテーブルに登録するファイル名のデータは、予めフラッシュメモリ20(子機2の場合はフラッシュメモリ30)に記録されている必要がある。
〈2−7.避難指示処理について〉
ここで、本発明の第二の実施形態における親機1及び子機2を用いた、緊急地震速報受信時における避難指示処理について、図1〜図3のブロック図と、図9及び図10のフロー図とを用いながら説明する。なお、実施の形態1と同内容の処理については、同じステップ番号を付加することにより説明を省略する。
【0085】
図9は、緊急地震速報に備えた親機1の処理フローである。図9に示す処理フローは、親機1の電源が起動し、且つインターネット62との通信が可能な状態において任意のタイミングで開始可能である。なお、ステップS210〜ステップS230ついては、実施の形態1と同内容であるため、説明を省略する。
【0086】
ステップS230の後、避難指示部11cはステップS250において、フラッシュメモリ20より避難指示テーブルの読み出しを行う。そしてステップS260において、予め避難指示登録部11dがユーザより受け付けた設置場所と、避難指示テーブルとを照合することにより、用いる避難指示用データを判別する。そして表示部13及びスピーカ18を用いて、避難指示用データに応じた音声及び画像の出力を行う。
【0087】
次に、子機2における処理フローを、図10のフロー図を用いながら説明する。図10に示す処理フローは、子機2が待機状態であり、且つ親機1との無線通信が可能な状態において任意のタイミングで開始可能である。なおステップS310は実施の形態1と同内容であるため、説明を省略する。
【0088】
ステップS310の後、避難指示部21bはステップS330において、フラッシュメモリ30より避難指示テーブルの読み出しを行う。そしてステップS340において、予め避難指示登録部21cがユーザより受け付けた設置場所と、避難指示テーブルとを照合することにより、用いる避難指示用データを判別する。そして表示部23及びスピーカ28を用いて、避難指示用データに応じた音声及び画像の出力を行う。
[その他の実施の形態]
以上、好ましい実施の形態及び実施例をあげて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施の形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形して実施することができる。
【0089】
従って本発明は、以下の形態にも適用可能である。
【0090】
(A)本実施形態では、親機1が緊急地震速報を受信するための通信回線として、有線LAN41、及びインターネット62を使用しているが、これ以外の通信網、例えば専用回線やケーブルテレビ回線から緊急地震速報を受信する形態であってもよい。また、地上デジタル放送やBSデジタル放送のような、放送波から緊急地震速報を取得する形態であってもよい。
【0091】
(B)本実施形態では、避難指示処理に関わる各機能部が親機1及び子機2内部に備わっている構成を例として説明したが、これらの機能部の一部が電話網やLAN等のネットワークを介して接続された外部装置により実現される形態であってもよい。例えば、避難指示部11cが参照する避難指示テーブルが、ネットワーク上に存在する情報処理装置(ネットワークサーバ等)に記録されている形態であってもよい。これにより例えば、避難指示テーブルの内容を変更したい場合に、複数の通信装置が用いる避難指示テーブルを一括して変更することが可能である。従って、一台毎に避難指示テーブルの内容を変更する手間を省くことができる。
【0092】
(C)本実施形態では、本発明の緊急地震速報通知機能を備えた通信装置として、親機1及び子機2を含むコードレス電話機を例にあげているが、広域通信網に接続して緊急地震速報を受信可能な通信装置であれば、これ以外の装置において本発明を実施する形態でもよい。例えば、ファクシミリ装置、無線LAN接続機能付き携帯電話、インターネット電話、IP通信が可能な子機を備えたIP電話、ナビゲーション装置、PDAやノートパソコン上で実行されるアプリケーション等において実施する形態であってもよい。
【0093】
(D)本実施形態では、本発明の避難指示処理に関わる親機1及び子機2の各種機能部が、マイクロプロセッサ等の演算処理装置上でプログラムを実行することにより実現されているが、各種機能部が複数の回路により実現される形態でもよい。
【0094】
(E)本実施形態では、本発明の避難指示処理に関わる子機として無線通信機能を備えた子機2を例に説明しているが、無線通信機能を持たない有線通信のみ可能な子機において、本発明の避難指示処理を行う形態であってもよい。
【0095】
(F)本実施形態では、外部より避難指示用データを取得する手段としてマイク29、CCDカメラ32、及びSDカードスロット33を例にして説明しているが、上記以外の手段、例えばUSB接続端子、赤外線入力端子、通信網に接続された外部装置やインターネット等から避難指示用データを取得する形態であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】は、本発明の電話システムの構成を示すブロック図である。
【図2】は、本発明の通信装置の親機の構成を示すブロック図である。
【図3】は、本発明の通信装置の子機の構成を示すブロック図である。
【図4】は、本発明の第一の実施形態に係る避難指示データ登録処理の処理フローを示すフロー図である。
【図5】は、本発明の第一の実施形態に係る親機側の避難指示処理の処理フローを示すフロー図である。
【図6】は、本発明の第一の実施形態に係る子機側の避難指示処理の処理フローを示すフロー図である。
【図7】は、本発明の通信装置の子機の外観を示す外観図である。
【図8】は、本発明の第一の実施形態に係る避難指示用データ選択画面を示す画面図である。
【図9】は、本発明の第二の実施形態に係る親機側の避難指示処理の処理フローを示すフロー図である。
【図10】は、本発明の第二の実施形態に係る子機側の避難指示処理の処理フローを示すフロー図である。
【図11】は、本発明の第二の実施形態に係る避難指示テーブルを示すテーブル図である。
【図12】は、本発明の第二の実施形態に係る避難指示用データ選択画面を示す画面図である。
【符号の説明】
【0097】
1 親機(主通信装置)
11a 速報受信部(速報受信手段)
11b 地震検知送信部(地震検知送信手段)
11c 避難指示部(避難指示手段)
11d 避難指示登録部(避難指示登録手段)
13 表示部
15 通信制御部(第一通信手段)
16 アンテナ装置(無線通信部)
18 スピーカ(音声出力部)
20 フラッシュメモリ(記録部)
2 子機(副通信装置)
21a 地震検知受信部(地震検知受信手段)
21b 避難指示部(避難指示手段)
21c 避難指示登録部(避難指示登録手段)
23 表示部
25 通信制御部(第二通信手段)
26 アンテナ装置(無線通信部)
28 スピーカ(音声出力部)
30 フラッシュメモリ(記録部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、広域通信網に接続されて通信を行う通信装置に関するものであり、特に気象庁が配信する緊急地震速報を受信して避難指示を行う通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信インフラの発達により、通信に関する様々な付加サービスが普及するようになってきた。例えば電話装置においては、一般電話回線以外に、IP電話網やインターネット等の広域通信網に接続して、データ通信サービス等の様々なサービスを受けることが可能な電話装置が普及している。
【0003】
このような通信装置が備える機能の一つとして、地震発生時に気象庁が配信する緊急地震速報の受信機能が存在する。緊急地震速報とは、西暦2007年10月1日より実施が開始される情報配信サービスである。ユーザは緊急地震速報に対応する通信装置を購入し、且つ緊急地震速報の配信サービス会社と契約することにより、このサービスを利用することができる。
【0004】
地震発生時に緊急地震速報を受信した通信装置は、通信装置に予め記録されている地域情報、例えば通信装置が設置されている場所の緯度・経度情報等を用いて、予測震度や主要動(=地震動のうち、人体に最も強く感じられる部分。通常はS波)が到達する予測時刻等を算出する。
【0005】
算出結果は、例えば液晶パネルによる画像表示や、スピーカによる音声出力により、ユーザに通知される。これによりユーザは、震源地から主要動が到達するまでの間に、机の下に隠れたり火の元を消したりする等の避難行動をとることができる。
【0006】
上記のような緊急地震速報を受信可能な装置として特許文献1においては、地震による火災等の二次災害の発生可能性を従来よりも低く抑えることができる画像処理装置が開示されている。この画像処理装置は、外部機器との通信を行う通信制御手段と、装置内部の通電状態を変更する電源制御手段とを備えている。
【0007】
そして通信制御手段が外部機器から緊急地震速報を受け取った際に、通電状態を変更するよう電源制御手段を制御する。このように外部からの情報によって電源制御を行うことで、近くで工事をしていたり、装置に偶然何かがぶつかったりといった地震以外の振動による地震の誤検知を防止し、利便性を損なわずに安全を確保することができる。
【0008】
また上記に関連して特許文献2においては、早期地震情報を収集し、地震動の主要動の到達前に注意喚起の要否の判断を行うことができる可搬型早期地震警報装置が開示されている。この可搬型早期地震警報装置は、位置情報の受信手段と、緊急地震速報の受信手段と、前記両受信手段により受信された位置情報と緊急地震速報とに基づいて、地震動の主要動の到達前に注意喚起の要否の判断を行う注意喚起要否判断手段とを具備している。
【0009】
これによれば、鉄道車両や自動車において、地震動の主要動が到達する前に注意喚起を発することができるため、迅速に鉄道車両や自動車の停止措置などをとることができ、大きな被害の発生を防止することができる。
【特許文献1】特開2007−72917号公報
【特許文献2】特開2005−283491号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の特許文献1及び特許文献2によれば、緊急地震速報を受信することにより二次災害を防止することや、主要動が到達するまでに注意喚起や車両の停止措置等を行うことができる。ただし注意喚起を行うための音声メッセージや文字メッセージについては、従来と同様、予め通信装置に設定された定型メッセージを用いていた。
【0011】
しかしながら、緊急地震速報の受信機が設置される場所や、避難指示を受けるユーザの年齢層及び性別には様々なパターンがある。例えば設置場所としては、自宅でならキッチン、勉強部屋、寝室、リビング等が想定される。またオフィスであれば、事務室、応接室、コンピュータ室、給湯室等が想定される。設置場所が異なれば、それぞれの場所における最適な避難行動の内容も異なってくる。
【0012】
例えば勉強部屋であれば勉強机の下に避難するのが望ましいし、寝室ならベッドの下に避難するのが望ましい。またキッチンや給湯室であれば火の元を消すのが望ましいし、コンピュータ室であればコンピュータの電源を切ることが望ましい。しかしながら従来の通信装置においては、定型メッセージを用いるため、上記のように設置場所に応じた避難行動指示の使い分けを行うことができなかった。
【0013】
従って例えば、平常心を失ったユーザが、どこに避難すればよいか分からずに混乱する可能性があった。また幼い子供や老人などは、一般成人と比べて判断力が劣ることが多いため、適切な避難行動をとることができないという可能性もあった。
【0014】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであって、地震発生による緊急地震速報を受信した際に、通信装置の設置場所や避難指示対象のユーザに最適な避難行動を指示することができる通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために本発明の通信装置は、通信網に接続可能な第一通信手段と、前記第一通信手段を用いて通信網より緊急地震速報を受信する速報受信手段と、緊急地震速報受信時に表示部及び/又は音声出力部を用いて避難指示画像及び/又は避難指示音声を出力する避難指示手段とを備えた通信装置において、前記避難指示手段が、複数種類の前記避難指示画像及び/又は前記避難指示音声を備えており、緊急地震速報受信時に前記避難指示手段が用いる前記避難指示画像及び/又は前記避難指示音声の選択指示を受け付ける避難指示登録手段を備えていることを特徴としている。
【0016】
この構成によると、本発明の通信装置は、通信網に接続可能なネットワークカードや無線LAN装置等を含む第一通信部(=第一通信手段)を備えている。また第一通信部を用いてインターネット等の広域通信網から気象庁の配信する緊急地震速報を受信する速報受信部(=速報受信手段)を備えている。
【0017】
また、緊急地震速報受信時に液晶モニタ等の表示部やスピーカ等の音声出力部を用いて避難指示のための文字画像や音声を出力する避難指示部(=避難指示手段)を備えている。避難指示部は、複数種類の避難指示画像や避難指示音声を備えている。また、避難指示部がいずれの避難指示画像や避難指示音声を用いて避難指示を行うかの指定をユーザより受け付ける避難指示登録部(=避難指示登録手段)を備えている。このため、緊急地震速報の受信時に避難指示部は、予め避難指示登録部により登録されている避難指示画像や避難指示音声を用いて避難指示を行う。
【0018】
また上記目的を達成するために本発明の通信装置は、記録部を備え、前記避難指示登録手段が、前記記録部に対する画像データ及び/又は音声データの記録を受け付けるとともに、前記記録部に記録されている前記画像データ及び/又は前記音声データの中から、前記避難指示手段が用いる前記避難指示画像及び/又は前記避難指示音声の選択指示を受け付けることを特徴としている。
【0019】
この構成によると、本発明の通信装置は、フラッシュメモリ等の記録部を備えている。避難指示登録部は、避難指示用に用いる画像データや音声データを受け付けて記録部に記録する。また避難指示登録部は、記録部に記録されている音声データや画像データの中から、避難指示部が用いる避難指示画像や避難指示音声の選択指示を受け付ける。選択結果は記録部に記録され、緊急地震速報の受信時に避難指示部により参照される。これにより、避難指示部が出力する音声及び画像が決定される。
【0020】
また上記目的を達成するために本発明の通信装置は、前記記録部が、前記通信装置の設置場所と前記避難指示画像及び/又は前記避難指示音声とを関連付けた避難指示テーブルを記録しており、前記避難指示登録手段が、前記避難指示テーブルに含まれる前記設置場所の選択指示を受け付け、前記避難指示手段が、指示された前記設置場所に関連付けられている前記避難指示画像及び/又は前記避難指示音声を前記避難指示テーブルより判別して出力することを特徴としている。
【0021】
この構成によると、本発明の通信装置は記録部に、通信装置の設置場所と、避難指示画像及び避難指示音声とを関連付けた避難指示テーブルを記録している。避難指示登録手段はユーザより、避難指示テーブルに含まれる設置場所の選択指示を受け付ける。そして避難指示手段は、避難指示を行う際に避難指示テーブルを参照し、指示されている設置場所に対応する避難指示画像や避難指示音声を判別して出力する。
【0022】
また上記目的を達成するために本発明の通信装置は、前記第一通信手段と、前記速報受信手段と、前記避難指示手段と、前記避難指示登録手段と、前記第一通信手段を用いて緊急地震速報の検知通知を送信する地震検知送信手段とを備えた主通信装置と、前記主通信装置と通信可能な第二通信手段と、前記第二通信手段を用いて前記検知通知を受信する地震検知受信手段と、前記避難指示手段と、前記避難指示登録手段とを備えた副通信装置とを含むことを特徴としている。
【0023】
この構成によると、本発明の通信装置は、親機(=主通信装置)と子機(=副通信装置)とを含むように構成されている。親機は、前述の第一通信部、速報受信部、避難指示部、及び避難指示登録部を備えている。また、速報受信部により緊急地震速報が受信された際に、子機に緊急地震速報の検知通知を送信する地震検知送信部(=地震検知送信手段)を備えている。
【0024】
さらに子機は、親機と通信可能な第二通信部(=第二通信手段)と、第二通信部により受信する各情報から、親機より送られてきた緊急地震速報の検知通知を抽出する地震検知受信部(=地震検知受信手段)とを備えている。また子機は、前述の避難指示部及び避難指示登録部を備えている。これにより、親機側及び子機側の両方において、避難指示の登録及び避難指示を行うことができる。
【0025】
また上記目的を達成するために本発明の通信装置は、前記第一通信手段が、無線通信網に接続可能な無線通信部を備え、前記地震検知送信手段が、前記第一通信手段が備える無線通信部を用いて前記検知通知を前記副通信装置へ送信し、前記第二通信手段が、無線通信網に接続可能な無線通信部を備え、前記地震検知受信手段が、前記第二通信手段が備える無線通信部を用いて前記検知通知を受信することを特徴としている。
【0026】
この構成によると、本発明の通信装置は、親機及び子機が、無線通信網に接続可能なアンテナ装置を含む無線通信部を備えている。親機の地震検知送信部は、緊急地震速報の検知通知を無線通信部を用いて子機に送信する。また子機の地震検知受信部は、無線通信部を用いて、親機から送られてくる検知通知を受信する。このため、親機と子機とを有線通信網で接続する必要がなく、従ってユーザが子機を移動させて使用している場合においても、避難指示用データの登録及び避難指示を行うことができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の構成によれば、緊急地震速報が検知された際に、予め避難指示登録部により選択指示を受け付けた避難指示画像や避難指示音声を用いて避難指示を行う。これにより、通信装置の設置場所や避難指示対象となるユーザの年齢層等に応じて、指示内容を変更することができる。従ってユーザは地震発生時において、周囲の状況に応じた適切な避難行動をとることができるため、安全性の向上を図ることができる。
【0028】
また本発明の構成によれば、記録部に記録されている音声データや画像データの中から、避難指示部が用いる避難指示画像や避難指示音声を選択することが可能である。従ってユーザは、避難場所をデジタルカメラで撮影した画像データや、ユーザが録音した避難指示音声等を記録部に記録させることにより、これらのデータを用いた避難指示を行うことができる。このため、避難指示の内容をより詳細にカスタマイズできるため、ユーザの利便性、及び装置の汎用性を高めることができる。
【0029】
また本発明の構成によれば、通信装置の設置場所と、避難指示画像及び避難指示音声とを関連付けた避難指示テーブルを備えている。このためユーザは、設置場所を指定するだけで、それぞれの設置場所に応じた避難指示画像及び避難指示音声を設定することができる。このため、設定作業を容易且つ短時間で行うことができるため、利便性が向上する。
【0030】
また本発明の構成によれば、親機及び子機の両方において、ユーザが予め登録或いは選択した避難指示画像や避難指示音声を用いて避難指示を行うことが可能である。このため、ユーザが親機の近くに存在しない場合でも、子機からの指示により避難行動をとることができるため、利便性が向上する。
【0031】
また本発明の構成によれば、親機及び子機が無線通信部を備えており、無線通信網を介して避難指示を行う。このため、ユーザが子機を移動させて使用している場合においても、登録或いは選択した避難指示画像や避難指示音声による避難指示を受けることができる。また例えば、寝室からキッチンへ子機を持ち運んだ場合に、キッチン用の避難指示を再設定することができる。このように、子機の設置場所が変わった場合においても、状況に応じて避難指示内容を容易に変更可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下に本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、ここで示す実施形態は一例であり、本発明はここに示す実施形態に限定されるものではない。
[実施の形態1]
〈1−1.電話システムの構成について〉
図1は、本発明のコードレス電話装置(=通信装置)を含む電話システムの構成を示すブロック図である。本システムは少なくとも、親機1(=主通信装置)、子機2(=副通信装置)、有線LAN41、無線通信網42、IP電話ルータ51、ブロードバンドルータ52、ゲートウェイ53、IP電話網61、インターネット62、PSTN網63(=Public Switched Telephone Network:公衆電話交換網)、及び加入者電話装置71を含むように構成されている。
【0033】
本発明のコードレス電話装置は、IP通信網に接続可能なコードレス電話装置であり、図中の親機1及び複数の子機2(子機A2a〜子機C2c)がこれに該当する。親機1は、有線LAN41に接続されることにより、電話網を介した音声通信が可能であるIP電話装置である。また親機1は、有線LAN41と無線通信網42との通信を中継する中継機能を持っている。これにより後述する子機2は、親機1を中継してIP電話網61やPSTN網63を介した通話を行うことが可能である。また親機1は、インターネット62を介して、気象庁が配信する緊急自身速報を受信する機能を持つ。なお、親機1の内部構造の詳細については後述する。
【0034】
子機2は、後述する無線通信網42に接続されて親機1と通信を行うことにより、IP電話網61やPSTN網63を介して他の電話装置と音声通信を行うことが可能な無線通話装置である。なお、子機2の内部構成の詳細については後述する。
【0035】
有線LAN41は、親機1、IP電話ルータ51、ブロードバンドルータ52、及びゲートウェイ53等が有線接続されたローカルのネットワークである。前記の各装置は有線LAN41に接続されることにより、相互に通信が可能となっている。なお、有線LAN41を構成する物理的な手段としては、例えばツイストペアケーブルを用いた10BASE−T(IEEE802.3iとして標準化)や100BASE−TX(IEEE802.3uとして標準化)等があげられる。
【0036】
無線通信網42は、親機1と、複数の子機2とが無線接続された小規模の通信網である。具体的には例えば、2.4GHz(ギガヘルツ)の周波数帯の電波を利用したFHSS−WDCT(Frequency Hopping Spread Spectrum - Worldwide Digital Cordless Telephone)準拠の通信方式等を用いて相互に通信を行う。
【0037】
IP電話ルータ51、及びブロードバンドルータ52は、複数のIPネットワークを相互接続するためのネットワーク中継装置である。具体的には、OSI(Open Systems Interconnection)参照モデルでいうネットワーク層(第3層)やトランスポート層(第4層)の一部のプロトコルを解析して転送を行う。本実施形態では、IP電話ルータ51は有線LAN41とIP電話網61との二つのIPネットワークを相互に接続する役割を持つ。またブロードバンドルータ52は、有線LAN41とインターネット62との二つのIPネットワークを相互に接続する役割を持つ。
【0038】
ゲートウェイ53は、プロトコル体系が異なるネットワーク間を相互接続するためのプロトコル変換器である。ゲートウェイ53は例えば、有線LAN41とPSTN網63とを接続し、SIP等のシグナリングプロトコルを用いてシグナル変換を行うことにより、両ネットワーク間での通信を可能とする。
【0039】
IP電話網61は、電話網の一部もしくは全てにVoIP(Voice over Internet Protocol)技術を利用した通信網であり、用いる通信回線としてはFTTH(Fiber To The Home)やADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)等の、いわゆるブロードバンド回線が利用される。なおVoIPとは、音声を各種符号化方式で圧縮してパケットに変換し、IPネットワークでリアルタイム伝送する技術である。これによりIP電話網61は音声通話サービスの他、画像の送受信を行うテレビ電話サービス等も提供可能である。
【0040】
インターネット62は、通信プロトコルによるネットワークを相互接続して構築された広域通信網である。大小様々なコンピュータネットワークを相互に連結させて、国際的な通信ネットワークが構築されている。通信プロトコルとしては主に、TCP/IPが標準的なプロトコルとして採用されている。
【0041】
PSTN網63は、一般の加入者電話回線ネットワークである。末端に電話装置を接続し、回線交換方式で通信相手に接続して音声通話を行うのに用いられる。加入者電話装置71は、電話加入者がPSTN網63を用いて他の加入者電話装置やIP電話装置と音声通話を行うための電話装置である。
〈1−2.親機の内部構成について〉
図2は、本発明の第一の実施形態に係る親機1の内部を示すブロック図である。親機1は少なくとも、制御部11、メモリ12、表示部13、入力部14、通信制御部15(=第一通信手段)、アンテナ装置16(=無線通信部)、音声信号処理部17、スピーカ18(=音声出力部)、マイク19、及びフラッシュメモリ20(=記録部)を含むように構成されている。
【0042】
制御部11は、親機1の各部を制御することにより通信制御処理(音声データの送受信、発呼の実施、或いは着呼の検知等)を統括制御するための中央処理装置である。また制御部11は、制御部11が備える演算処理装置上でプログラムを実行することにより実現される機能部として、速報受信部11a(=速報受信手段)、地震検知送信部11b(=地震検知送信手段)、避難指示部11c(=避難指示手段)、及び避難指示登録部11d(=避難指示登録手段)を備えている。
【0043】
速報受信部11aは、通信制御部15を用いてインターネット62から緊急地震速報を受信することにより、地震発生を検知したと判断する。地震発生を検知した場合、次の地震検知送信部11b及び避難指示部11cに対して、地震検知通知を与える。
【0044】
地震検知送信部11bは、速報受信部11aから地震検知通知を与えられた際に、通信制御部15を用いて地震検知通知を子機2へ送信する。避難指示部11cは、地震検知通知を与えられた際に、フラッシュメモリ20に記録されている避難指示用画像及び避難指示用音声(以下、「避難指示用データ」という)を読み出す。そして読み出した避難指示用データを表示部13及びスピーカ18を用いて出力することにより、避難指示を行う。
【0045】
避難指示登録部11dは、フラッシュメモリ20に記録されている画像データ及び音声データの中から、避難指示部11cが避難指示用データとして用いるデータの選択指示を受け付ける。選択結果はフラッシュメモリ20に記録される。避難指示部11cはこの選択結果を参照することにより、出力する避難指示用データを判別する。また避難指示登録部11dは、画像データ及び音声データを外部から入力してフラッシュメモリ20に記録する機能も持つ。例えば、マイク19から入力した音声を避難指示用音声として記録する。
【0046】
メモリ12は、親機1が保持する各種データを一時的に記録する媒体であり、例えば書込可能なRAM(Random Access Memory)等により構成されている。メモリ12は制御部11によって各種通信制御処理が行われる際の処理データや、ユーザから受けた指示命令等を一時的に記録しておくためのバッファメモリとしての役割を持つ。
【0047】
表示部13は、親機1が保持する各種情報(例えば着信時における発信側電話番号等)をユーザに対して表示する。表示部13は例えば、液晶パネル等の小型で消費電力の少ない表示装置を用いる。入力部14は、ユーザが親機1を用いて通信を行うための各種操作(例えば通話を行う相手の電話番号の入力等)を行うためのものである。入力部14は通常、数字ボタンやリダイヤルボタン等の複数の操作ボタンから構成されている。
【0048】
通信制御部15は、親機1を有線LAN41に接続するための通信インタフェースである。通信制御部15は、有線LAN41に接続された呼制御サーバ(不図示)と通信を行うことにより、IP電話システムにおける着信処理や発信処理等を実施することが可能である。また通信制御部15は、アンテナ装置16による無線通信網42を介した無線通信の制御を行う。
【0049】
アンテナ装置16は、子機2との間で無線通信電波の送受信を行うための無線通信装置である。アンテナ装置16は、所定の通信規格、例えばFHSS−WDCT(Frequency Hopping Spread Spectrum - Worldwide Digital Cordless Telephone)準拠の通信方式等に則って、無線通信を行う。これにより、子機2との間で音声通信やデータ通信等を行うことが可能である。
【0050】
音声信号処理部17は、通信制御部15により入力された音声データの復号処理を行い、音声信号としてスピーカ18に与える。また音声信号処理部17は、マイク19より入力された音声信号に所定の符号化処理を施して音声データを作成し、通信制御部15に与える。これにより音声データは有線LAN41、無線通信網42、或いはIP電話網61等を通じて接続される他の電話装置へ送信される。
【0051】
フラッシュメモリ20は、書き換え可能であり、電源を切ってもデータが消えない不揮発性半導体メモリである。フラッシュメモリ20はEEPROMの一種であるが、EEPROMとは異なり1バイト単位の書き換えはできず、予めブロック単位で消去してから書き込みを行う。本発明では、避難指示部11cが用いる避難指示用データ等の記録に用いられる。
〈1−3.子機の内部構成について〉
図3は、本発明の第一の実施形態に係る子機2の内部を示すブロック図である。子機2は少なくとも、制御部21、メモリ22、表示部23、入力部24、通信制御部25(=第二通信手段)、アンテナ装置26(=無線通信部)、音声信号処理部27、スピーカ28(=音声出力部)、マイク29、フラッシュメモリ30(=記録部)、バッテリ部31、CCD(Charge Coupled Devices)カメラ32、及びSDカードスロット33を含むように構成されている。
【0052】
制御部21は、子機2の各部を制御することにより通信制御処理(音声データの送受信、発呼の実施、或いは着呼の検知等)を統括制御するための中央処理装置である。また制御部21は、制御部21が備える演算処理装置上でプログラムを実行することにより実現される機能部として、地震検知受信部21a(=地震検知受信手段)、避難指示部21b(=避難指示手段)、及び避難指示登録部21c(=避難指示登録手段)を備えている。
【0053】
地震検知受信部21aは、親機1から受信する各種情報の中に、地震検知通知が含まれているかどうかの判定を行う。そして地震検知通知が含まれていると判定された場合に、地震検知を示す電文を避難指示部21bに与える。
【0054】
避難指示部21bは、地震検知受信部21aから地震検知を示す電文を与えられた際に、フラッシュメモリ30に記録されている避難指示用データを読み出す。そして読み出した避難指示用データを表示部23及びスピーカ28を用いて出力することにより、避難指示を行う。
【0055】
避難指示登録部21cは、フラッシュメモリ30に記録されている画像データ及び音声データの中から、避難指示部21bが避難指示用データとして用いるデータの選択指示を受け付ける。選択結果はフラッシュメモリ30に記録される。避難指示部21bはこの選択結果を参照することにより、出力する避難指示用データを判別する。また避難指示登録部21cは、外部より画像データ及び音声データを受け付けてフラッシュメモリ30に記録する機能も持つ。
【0056】
メモリ22は、子機2が保持する各種データを一時的に記録する媒体であり、例えば書込可能なRAM(Random Access Memory)等により構成されている。メモリ22は制御部21によって各種通信制御処理が行われる際の処理データや、ユーザから受けた指示命令等を一時的に記録しておくためのバッファメモリとしての役割を持つ。
【0057】
表示部23は、子機2が保持する各種情報(例えば着信時における発信側電話番号等)をユーザに対して表示する。表示部23は例えば、液晶パネル等の小型で消費電力の少ない表示装置を用いる。入力部24は、ユーザが子機2を用いて通信を行うための各種操作(例えば通話を行う相手の電話番号の入力等)を行うためのものである。入力部24は通常、数字ボタンやリダイヤルボタン等の複数の操作ボタンから構成されている。
【0058】
通信制御部25は、アンテナ装置26による無線通信の制御を行う。これにより子機2は、無線通信網42に接続された親機1との通信を行うことが可能である。また、親機1を中継して、PSTN網63を介した着信処理や発信処理等を実施することが可能である。
【0059】
アンテナ装置26〜フラッシュメモリ30ついては、親機1のアンテナ装置16〜フラッシュメモリ20と同じ構成であるため、ここでは説明を省略する。バッテリ部31は、外部電源(不図示)より電力の供給を受け、電力を一時的に備蓄しておく。例えば充電式アルカリ電池やリチウムイオンバッテリ等が用いられる。
【0060】
CCDカメラ32は、画像撮像素子としてCCDを用いた撮影部である。CCDは撮影レンズユニット(不図示)により結像された被写体の光像(光学情報)をR(赤)・G(緑)・B(青)の色成分の画像データに光電変換して出力する。なおCCDは、タイミングジェネレーター(不図示)により駆動されることにより、例えば絞りや露光時間の制御等が行われる。CCDカメラ32により得られた画像データは、フラッシュメモリ30に記録される。
【0061】
SDカードスロット33は、外部記録媒体であるSDカードメモリ99を接続して情報の伝送を行うインタフェースである。SDカードメモリ99には例えば、デジタルカメラで撮影した静止画や動画が記録されている。SDカードスロット33は避難指示登録部21cからの指示により、これらのデータをフラッシュメモリ30にコピーする。これにより避難指示登録部21cは、外部から入力した画像や音声を避難指示用データとして登録することができる。
〈1−4.子機の外部構造について〉
図7は、本発明の第一の実施形態に係る子機2の外部構造を示す外観図である。図7(a)は子機2を横方向から見た外観図、図7(b)は子機2を正面方向から見た外観図、図7(c)は子機2を下方向から見た外観図である。
【0062】
図7に示すように子機2は、その正面に表示部23、入力部24、アンテナ装置26、スピーカ28、及びマイク29を備えている。また底面部に充電可能なバッテリ部31を備えている。液晶パネルを含む表示部23の下部には、複数の操作ボタン群を備える入力部24が存在する。
【0063】
また子機2はその側面に、CCDカメラ32及びSDカードスロット33を備えている。これにより避難指示画像の撮影を行ったり、避難指示用データを外部から入力したりすることが可能である。
〈1−5.避難指示用データ選択画面について〉
ここで、本発明の第一の実施形態に係る避難指示用データ選択画面の一例を、図8の画面図を用いながら説明する。
【0064】
図8は、本発明の親機1が備える表示部13、或いは子機2が備える表示部23に表示される避難指示用データ選択画面80の一例である。なおこの画面は、入力部14或いは入力部24に含まれる設定ボタンが押下された場合等、任意のタイミングで表示することが可能である。図8に示すように避難指示用データ選択画面80は、避難指示用データとして選択可能な音声及び画像と、実線カーソル81と、破線カーソル82とを含むように構成されている。
【0065】
実線カーソル81は、ユーザが十字ボタン等により操作中のカーソルである。実線カーソル81は上下に移動可能であり、図8に示す例では、これを用いて避難指示用音声を選択する。選択後、所定のボタン、例えば決定ボタン等が押下されることにより、選択された音声が避難指示用データとして登録される。
【0066】
破線カーソル82は、ユーザが非操作中のカーソルである。破線カーソル82は、所定のボタン、例えば十字ボタンに含まれる左右ボタンが押下されることにより、実線カーソル81と入れ替わる。これにより図8に示す例では、避難指示用画像の選択及び登録が可能となる。なお、表示部のサイズが小さい場合は、避難指示用データ選択画面80の一部のみ、例えば音声選択部(=画面左側)のみが表示され、所定ボタンの押下により、画像選択部(=画面右側)の表示に切り替わる形態であってもよい。
〈1−6.避難指示用データ登録処理について〉
ここで、本発明の第一の実施形態における親機1及び子機2を用いた、避難指示用データの登録処理について、図1〜図3のブロック図と、図4のフロー図と、図8の画面図とを用いながら説明する。なお、親機1と子機2とでは、処理主体が異なることを除けば同一の処理フローとなるため、以下では子機2を例として処理フローを説明する。
【0067】
図4に示す処理フローは、入力部24が備える設定ボタン等が押下され、避難指示用データの設定モードに移行することにより開始される。本処理の開始後、避難指示登録部21cはステップS110において、登録方法として「選択モード」及び「記録モード」のいずれが選択されたかの判定を行う。「選択モード」とは、予めフラッシュメモリ30に記録されている画像データ及び音声データから避難指示用データを選択するモードである。「記録モード」とは、外部より避難指示用データを新たに記録して登録するモードである。
【0068】
ステップS110において「選択モード」が選択された場合、避難指示登録部21cは避難指示用データ選択画面80を表示部23に表示する。そしてステップS120において、音声データの選択を受け付ける。さらにステップS130において、画像データの選択を受け付ける。
【0069】
次に避難指示登録部21cはステップS140において、選択された音声データ及び画像データを、避難指示用データとしてフラッシュメモリ30に登録した後、本処理を終了する。
【0070】
ステップS110に戻って説明すると、ステップS110で「記録モード」が選択された場合、避難指示登録部21cはステップS150において、避難指示用の音声データの入力を待ち受ける状態に移行する。例えばマイク29を用いて音声データを入力する場合は、表示部23に「音声を入力して下さい」という文字画像を表示して、入力待ち状態となる。また或いは、SDカードスロット33や通信制御部25を用いて外部より取得する場合、取得可能な音声データを表示部23に表示することにより、取得データの指定を待ち受ける状態となる。
【0071】
次に避難指示登録部21cはステップS160において、避難指示用の画像データの入力を待ち受ける状態に移行する。例えばCCDカメラ32を用いて避難指示用画像の撮影を行う場合、表示部23に「画像を撮影して下さい」という文字画像を表示して、撮影待ち状態となる。また音声データと同様、外部より取得可能な静止画或いは動画の指定を待ち受ける形態でもよい。
【0072】
次に避難指示登録部21cはステップS170において、記録された音声データ及び画像データを、避難指示用データとしてフラッシュメモリ30に登録した後、本処理を終了する。
〈1−7.避難指示処理について〉
ここで、本発明の第一の実施形態における親機1及び子機2を用いた、緊急地震速報受信時における避難指示処理について、図1〜図3のブロック図と、図5及び図6のフロー図とを用いながら説明する。
【0073】
図5は、緊急地震速報の受信待機を行っている親機1の処理フローである。図5に示す処理フローは、親機1の電源が起動し、且つインターネット62との通信が可能な状態において任意のタイミングで開始可能である。本処理の開始後、速報受信部11aはステップS210において、通信制御部15によりインターネット62から緊急地震速報を受信したかどうかの判定を行う。
【0074】
緊急地震速報が受信されていないと判定された場合、再びステップS210に移行し、緊急地震速報が検知されるまで監視を継続して行う。緊急地震速報の受信を検知した場合、速報受信部11aはステップS220において、緊急地震速報に含まれる電文の解析処理を行う。これにより、電文に含まれる各種パラメータから、予測震度や主要動の到達予測時刻等が算出される。
【0075】
次に地震検知送信部11bはステップS230において、緊急地震速報が検知されたことを示す地震検知通知を、通信制御部15及びアンテナ装置16を用いて、一又は複数の子機2へ送信する。
【0076】
次に避難指示部11cはステップS240において、フラッシュメモリ20より、予め避難指示登録部11dにより登録されている避難指示用データを読み出す。そして表示部13及びスピーカ18を用いて、避難指示用データによる音声及び画像の出力を行う。
【0077】
次に、子機2における処理フローを、図6のフロー図を用いながら説明する。図6に示す処理フローは、子機2が待機状態であり、且つ親機1との無線通信が可能な状態において任意のタイミングで開始可能である。本処理の開始後、地震検知受信部21aはステップS310において、アンテナ装置26により親機1より地震検知通知を受信したかどうかの判定を行う。
【0078】
地震検知通知が受信されていないと判定された場合、再びステップS310に移行し、地震検知通知が検知されるまで監視を継続して行う。地震検知通知の受信を検知した場合、避難指示部21bはステップS320において、フラッシュメモリ30より、予め避難指示登録部21cにより登録されている避難指示用データを読み出す。そして表示部23及びスピーカ28を用いて、避難指示用データによる音声及び画像の出力を行う。
【0079】
次に、本発明の第二の実施形態ついて、図面を参照しつつ説明する。
[実施の形態2]
〈2−1.電話システムの構成について〉
実施の形態1と同内容であるため、ここでは説明を省略する。
〈2−2.親機の内部構成について〉
構成部材は実施の形態1と同内容であるが、避難指示部11c及び避難指示登録部11dの機能が実施の形態1と一部異なる。本実施形態の避難指示部11cは、親機1の設置場所と、設置場所に応じた避難指示用データとを関連付けた避難指示テーブルを用いて、用いる避難指示用データを判別する。また避難指示登録部11dも同様に、避難指示テーブルを用いて避難指示データの選択指示を受け付け、登録を行う。なお、避難指示テーブルの詳細については後述する。
〈2−3.子機の内部構成について〉
構成部材は実施の形態1と同内容であるが、避難指示部21b及び避難指示登録部21cの機能が実施の形態1と一部異なる。なお、避難指示部21b及び避難指示登録部21cは上記の避難指示部11c及び避難指示登録部11dと同様の機能を持つため、ここでは説明を省略する。
〈2−4.子機の外部構造について〉
実施の形態1と同内容であるため、ここでは説明を省略する。
〈2−5.避難指示用データ選択画面について〉
ここで、本発明の第二の実施形態に係る避難指示用データ選択画面の一例を、図12の画面図を用いながら説明する。
【0080】
図12は、本発明の親機1が備える表示部13、或いは子機2が備える表示部23に表示される避難指示用データ選択画面90の一例である。なおこの画面は、入力部14或いは入力部24に含まれる設定ボタンが押下された場合等、任意のタイミングで表示することが可能である。図12に示すように避難指示用データ選択画面90は、通信装置(=親機1、或いは子機2)の設置場所毎に用意された音声データ及び画像データと、カーソル91とを含むように構成されている。
【0081】
カーソル91は、ユーザが十字ボタン等により上下に移動可能なカーソルである。ユーザはこれを用いて、通信装置の設置場所、すなわち避難指示が行われる場所を選択する。選択後、所定のボタン、例えば決定ボタン等が押下されることにより、選択された設置場所に関連付けられている音声データ及び画像データが避難指示用データとして登録される。例えば図12に示す例では、設置場所としてリビングが選択されることにより、「テーブルの下に隠れて下さい」という音声データと、机の下に隠れることを示す画像データが避難指示用データとして登録される。
〈2−6.避難指示用データ登録処理について〉
本実施形態の避難指示用データの登録は、避難指示テーブルを用いて行われる。図11は、避難指示テーブルの一例を示したテーブル図である。図11に示すように本実施形態の避難指示テーブルは、左から順に「設置場所」欄と「音声データ」欄と「画像データ」欄との三つの欄から構成されている。
【0082】
「設置場所」欄は、通信装置が設置されると想定される場所を示したものであり、例え子供部屋やキッチン、リビング等が存在する。「音声データ」欄は、設置場所に応じて用いる音声データのファイル名を示したものである。図12に示す例では、WAV形式の音声ファイルが登録されている。「画像データ」欄は、設置場所に応じて用いる画像データのファイル名を示したものである。図12に示す例では、JPG形式の静止画ファイルやMOV形式の動画ファイルが登録されている。
【0083】
避難指示登録部11d及び避難指示登録部21cは、避難指示テーブルを参照することにより、前述の避難指示用データ選択画面90を表示する。また避難指示部11c及び避難指示部21bは、避難指示用データ選択画面90においてユーザより指定を受け付けた設置場所と、避難指示テーブルとを照合することにより、用いる避難指示用データのファイル名を判別する。
【0084】
なお、「音声データ」欄及び「画像データ」欄に示されているファイル名をユーザが適宜変更可能である形態であってもよい。また、設置場所の種別の追加/削除が可能である形態であってもよい。ただしテーブルに登録するファイル名のデータは、予めフラッシュメモリ20(子機2の場合はフラッシュメモリ30)に記録されている必要がある。
〈2−7.避難指示処理について〉
ここで、本発明の第二の実施形態における親機1及び子機2を用いた、緊急地震速報受信時における避難指示処理について、図1〜図3のブロック図と、図9及び図10のフロー図とを用いながら説明する。なお、実施の形態1と同内容の処理については、同じステップ番号を付加することにより説明を省略する。
【0085】
図9は、緊急地震速報に備えた親機1の処理フローである。図9に示す処理フローは、親機1の電源が起動し、且つインターネット62との通信が可能な状態において任意のタイミングで開始可能である。なお、ステップS210〜ステップS230ついては、実施の形態1と同内容であるため、説明を省略する。
【0086】
ステップS230の後、避難指示部11cはステップS250において、フラッシュメモリ20より避難指示テーブルの読み出しを行う。そしてステップS260において、予め避難指示登録部11dがユーザより受け付けた設置場所と、避難指示テーブルとを照合することにより、用いる避難指示用データを判別する。そして表示部13及びスピーカ18を用いて、避難指示用データに応じた音声及び画像の出力を行う。
【0087】
次に、子機2における処理フローを、図10のフロー図を用いながら説明する。図10に示す処理フローは、子機2が待機状態であり、且つ親機1との無線通信が可能な状態において任意のタイミングで開始可能である。なおステップS310は実施の形態1と同内容であるため、説明を省略する。
【0088】
ステップS310の後、避難指示部21bはステップS330において、フラッシュメモリ30より避難指示テーブルの読み出しを行う。そしてステップS340において、予め避難指示登録部21cがユーザより受け付けた設置場所と、避難指示テーブルとを照合することにより、用いる避難指示用データを判別する。そして表示部23及びスピーカ28を用いて、避難指示用データに応じた音声及び画像の出力を行う。
[その他の実施の形態]
以上、好ましい実施の形態及び実施例をあげて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施の形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形して実施することができる。
【0089】
従って本発明は、以下の形態にも適用可能である。
【0090】
(A)本実施形態では、親機1が緊急地震速報を受信するための通信回線として、有線LAN41、及びインターネット62を使用しているが、これ以外の通信網、例えば専用回線やケーブルテレビ回線から緊急地震速報を受信する形態であってもよい。また、地上デジタル放送やBSデジタル放送のような、放送波から緊急地震速報を取得する形態であってもよい。
【0091】
(B)本実施形態では、避難指示処理に関わる各機能部が親機1及び子機2内部に備わっている構成を例として説明したが、これらの機能部の一部が電話網やLAN等のネットワークを介して接続された外部装置により実現される形態であってもよい。例えば、避難指示部11cが参照する避難指示テーブルが、ネットワーク上に存在する情報処理装置(ネットワークサーバ等)に記録されている形態であってもよい。これにより例えば、避難指示テーブルの内容を変更したい場合に、複数の通信装置が用いる避難指示テーブルを一括して変更することが可能である。従って、一台毎に避難指示テーブルの内容を変更する手間を省くことができる。
【0092】
(C)本実施形態では、本発明の緊急地震速報通知機能を備えた通信装置として、親機1及び子機2を含むコードレス電話機を例にあげているが、広域通信網に接続して緊急地震速報を受信可能な通信装置であれば、これ以外の装置において本発明を実施する形態でもよい。例えば、ファクシミリ装置、無線LAN接続機能付き携帯電話、インターネット電話、IP通信が可能な子機を備えたIP電話、ナビゲーション装置、PDAやノートパソコン上で実行されるアプリケーション等において実施する形態であってもよい。
【0093】
(D)本実施形態では、本発明の避難指示処理に関わる親機1及び子機2の各種機能部が、マイクロプロセッサ等の演算処理装置上でプログラムを実行することにより実現されているが、各種機能部が複数の回路により実現される形態でもよい。
【0094】
(E)本実施形態では、本発明の避難指示処理に関わる子機として無線通信機能を備えた子機2を例に説明しているが、無線通信機能を持たない有線通信のみ可能な子機において、本発明の避難指示処理を行う形態であってもよい。
【0095】
(F)本実施形態では、外部より避難指示用データを取得する手段としてマイク29、CCDカメラ32、及びSDカードスロット33を例にして説明しているが、上記以外の手段、例えばUSB接続端子、赤外線入力端子、通信網に接続された外部装置やインターネット等から避難指示用データを取得する形態であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】は、本発明の電話システムの構成を示すブロック図である。
【図2】は、本発明の通信装置の親機の構成を示すブロック図である。
【図3】は、本発明の通信装置の子機の構成を示すブロック図である。
【図4】は、本発明の第一の実施形態に係る避難指示データ登録処理の処理フローを示すフロー図である。
【図5】は、本発明の第一の実施形態に係る親機側の避難指示処理の処理フローを示すフロー図である。
【図6】は、本発明の第一の実施形態に係る子機側の避難指示処理の処理フローを示すフロー図である。
【図7】は、本発明の通信装置の子機の外観を示す外観図である。
【図8】は、本発明の第一の実施形態に係る避難指示用データ選択画面を示す画面図である。
【図9】は、本発明の第二の実施形態に係る親機側の避難指示処理の処理フローを示すフロー図である。
【図10】は、本発明の第二の実施形態に係る子機側の避難指示処理の処理フローを示すフロー図である。
【図11】は、本発明の第二の実施形態に係る避難指示テーブルを示すテーブル図である。
【図12】は、本発明の第二の実施形態に係る避難指示用データ選択画面を示す画面図である。
【符号の説明】
【0097】
1 親機(主通信装置)
11a 速報受信部(速報受信手段)
11b 地震検知送信部(地震検知送信手段)
11c 避難指示部(避難指示手段)
11d 避難指示登録部(避難指示登録手段)
13 表示部
15 通信制御部(第一通信手段)
16 アンテナ装置(無線通信部)
18 スピーカ(音声出力部)
20 フラッシュメモリ(記録部)
2 子機(副通信装置)
21a 地震検知受信部(地震検知受信手段)
21b 避難指示部(避難指示手段)
21c 避難指示登録部(避難指示登録手段)
23 表示部
25 通信制御部(第二通信手段)
26 アンテナ装置(無線通信部)
28 スピーカ(音声出力部)
30 フラッシュメモリ(記録部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信網に接続可能な第一通信手段と、前記第一通信手段を用いて通信網より緊急地震速報を受信する速報受信手段と、緊急地震速報受信時に表示部及び/又は音声出力部を用いて避難指示画像及び/又は避難指示音声を出力する避難指示手段と、
を備えた通信装置において、
前記避難指示手段が、複数種類の前記避難指示画像及び/又は前記避難指示音声を備えており、
緊急地震速報受信時に前記避難指示手段が用いる前記避難指示画像及び/又は前記避難指示音声の選択指示を受け付ける避難指示登録手段を備えていること
を特徴とする通信装置。
【請求項2】
記録部を備え、
前記避難指示登録手段が、前記記録部に対する画像データ及び/又は音声データの記録を受け付けるとともに、前記記録部に記録されている前記画像データ及び/又は前記音声データの中から、前記避難指示手段が用いる前記避難指示画像及び/又は前記避難指示音声の選択指示を受け付けること
を特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記記録部が、前記通信装置の設置場所と前記避難指示画像及び/又は前記避難指示音声とを関連付けた避難指示テーブルを記録しており、
前記避難指示登録手段が、前記避難指示テーブルに含まれる前記設置場所の選択指示を受け付け、
前記避難指示手段が、指示された前記設置場所に関連付けられている前記避難指示画像及び/又は前記避難指示音声を前記避難指示テーブルより判別して出力すること
を特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記第一通信手段と、前記速報受信手段と、前記避難指示手段と、前記避難指示登録手段と、前記第一通信手段を用いて緊急地震速報の検知通知を送信する地震検知送信手段とを備えた主通信装置と、
前記主通信装置と通信可能な第二通信手段と、前記第二通信手段を用いて前記検知通知を受信する地震検知受信手段と、前記避難指示手段と、前記避難指示登録手段とを備えた副通信装置と、
を含むことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の通信装置。
【請求項5】
前記第一通信手段が、無線通信網に接続可能な無線通信部を備え、
前記地震検知送信手段が、前記第一通信手段が備える無線通信部を用いて前記検知通知を前記副通信装置へ送信し、
前記第二通信手段が、無線通信網に接続可能な無線通信部を備え、
前記地震検知受信手段が、前記第二通信手段が備える無線通信部を用いて前記検知通知を受信すること
を特徴とする請求項4に記載の通信装置。
【請求項1】
通信網に接続可能な第一通信手段と、前記第一通信手段を用いて通信網より緊急地震速報を受信する速報受信手段と、緊急地震速報受信時に表示部及び/又は音声出力部を用いて避難指示画像及び/又は避難指示音声を出力する避難指示手段と、
を備えた通信装置において、
前記避難指示手段が、複数種類の前記避難指示画像及び/又は前記避難指示音声を備えており、
緊急地震速報受信時に前記避難指示手段が用いる前記避難指示画像及び/又は前記避難指示音声の選択指示を受け付ける避難指示登録手段を備えていること
を特徴とする通信装置。
【請求項2】
記録部を備え、
前記避難指示登録手段が、前記記録部に対する画像データ及び/又は音声データの記録を受け付けるとともに、前記記録部に記録されている前記画像データ及び/又は前記音声データの中から、前記避難指示手段が用いる前記避難指示画像及び/又は前記避難指示音声の選択指示を受け付けること
を特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記記録部が、前記通信装置の設置場所と前記避難指示画像及び/又は前記避難指示音声とを関連付けた避難指示テーブルを記録しており、
前記避難指示登録手段が、前記避難指示テーブルに含まれる前記設置場所の選択指示を受け付け、
前記避難指示手段が、指示された前記設置場所に関連付けられている前記避難指示画像及び/又は前記避難指示音声を前記避難指示テーブルより判別して出力すること
を特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記第一通信手段と、前記速報受信手段と、前記避難指示手段と、前記避難指示登録手段と、前記第一通信手段を用いて緊急地震速報の検知通知を送信する地震検知送信手段とを備えた主通信装置と、
前記主通信装置と通信可能な第二通信手段と、前記第二通信手段を用いて前記検知通知を受信する地震検知受信手段と、前記避難指示手段と、前記避難指示登録手段とを備えた副通信装置と、
を含むことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の通信装置。
【請求項5】
前記第一通信手段が、無線通信網に接続可能な無線通信部を備え、
前記地震検知送信手段が、前記第一通信手段が備える無線通信部を用いて前記検知通知を前記副通信装置へ送信し、
前記第二通信手段が、無線通信網に接続可能な無線通信部を備え、
前記地震検知受信手段が、前記第二通信手段が備える無線通信部を用いて前記検知通知を受信すること
を特徴とする請求項4に記載の通信装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−81601(P2009−81601A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−248511(P2007−248511)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】
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