説明

通信装置

【課題】認証処理の遅延を抑制しつつ、同じ機器についての冗長なRTTテストの実行を抑止する「通信装置」を提供する。
【解決手段】認証処理部21は、受信したAKEリクエスト毎に、個別リクエスト認証処理を起動する。個別リクエスト認証処理では、処理中のAKEリクエストと発行元が同じAKEリクエストについてのRTTテストが、他の個別リクエスト認証処理において行われている場合には、RTTテストを実行せずに、当該他の個別リクエスト認証処理のRTTテストの終了を待つ。そして、当該他の個別リクエスト認証処理のRTTテストがパスした場合には、処理中のAKEリクエストについてのRTTテストがパスしたものとして、RTTテストを実行せずに認証処理を進める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムにおいて、機器の認証のために行われるRTT(Round Trip Time;往復伝搬時間)テストの技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通信システムにおいて、機器の認証のために行われるRTT(Round Trip Time)テストの技術としては、複数の機器をネットワークで接続し、コンテンツの送信元となる機器であるソースにおいて、コンテンツの送信先となる機器を認証して、認証した機器にコンテンツを送信するシステムにおけるRTTを利用した認証技術が知られている(たとえば、特許文献1、非特許文献1)。
【0003】
この技術では、ソースにおいて、他の機器からの認証要求を受信したときに、認証要求元の機器がRTTテスト(RTTの測定と、RTTが所定時間以内であるかの判定)を既にパスしているかどうかを調べ、パスしている場合には認証処理を進め、パスしていない場合には、認証要求元の機器のRTTテストを行い、RTTテストをパスした場合にのみ認証処理を進めることにより、ソースからのコンテンツの送信範囲をローカルな範囲に制限するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-295337号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Hitachi, Ltd., Intel Corporation, Matsushita Electric Industrial Co., Ltd., Sony Corporation and Toshiba Corporation ,"DTCP Volume 1 supplement F DTCP 1394 Additional Localization D (Informational Version)", P.4-9, [online], 2007年6月15日, Digital Transmission Licensing Administrator (DTLA), [2009年12月22日検索],インターネット(http://www.dtcp.com/data/info 20070615 DTCP V1SF 1p0.pdf)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さて、上述のようにソースにおいて、他の機器からの認証要求を受信したときに、認証要求元の機器についてのRTTテストを実行すると、ある機器が、機器構成上の事情によりコンテンツの転送に用いるチャネル毎に認証処理を行う必要があったり、コンテンツ毎に独立した暗号化を施したい等の理由により、ソースから受信しようとする複数のコンテンツの各々について、それぞれ認証要求をソースに連続的に発行するような場合には、次のような問題が生じる。
【0007】
すなわち、各認証要求を並列に処理する場合には、認証要求元の機器がRTTテストをパス済みでないために、同じ機器について、複数回のRTTテストが冗長に実行されることになる。そして、このことは、認証要求元の機器の負荷が増加するため、RTTテストの失敗の誘因ともなる。
【0008】
一方で、認証要求を逐次的に一つずつ、順次、処理した場合には、後着の認証要求に対する処理に比較的大きな遅延が生じる。
そこで、本発明は、認証処理の遅延を抑制しつつ、同じ機器についての冗長なRTTテストの実行を抑止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題達成のために、本発明は、通信機器とデータ通信を行う通信装置に、未認証の前記通信機器から受信した各認証要求の各々を対象とする、RTTテストを含む認証処理を行う認証処理部と、前記認証処理部が認証した通信機器と前記データ通信を行うデータ通信部とを備え、前記認証処理部において、前記認証要求を対象とする認証処理において、当該認証処理が対象とする認証要求と発行元の通信機器が同じである他の認証要求を対象とする他の認証処理において前記RTTテストが実行中であるときには、当該認証処理における前記RTTテストを実行せずに、当該他の認証処理における前記RTTテストの完了を待つと共に、当該他の認証処理における前記RTTテストの結果が合格であった場合には、当該認証処理における前記RTTテストを省略し、当該他の認証処理における前記RTTテストの結果を、当該認証処理における前記RTTテストの結果として代用するようにしたものである。
【0010】
ここで、このような通信装置は、前記認証処理部において、前記認証要求を対象とする認証処理において、当該認証処理が対象とする認証要求と発行元の通信機器が同じである他の認証要求を対象とする他の認証処理において前記RTTテストが実行中であるときには、当該認証処理における前記RTTテストを実行せずに、当該他の認証処理における前記RTTテストの完了を待つと共に、当該他の認証処理における前記RTTテストの結果が合格でなかった場合には、当該認証処理における前記RTTテストを実行するように構成してもよい。
【0011】
より具体的には、前記認証処理は、たとえば、前記対象とする認証要求の発行元の通信機器と認証鍵を共有するための第1の処理と、前記RTTテストと、前記認証鍵を用いて暗号化した交換鍵を前記通信装置に送信する第2の処理とを含み、通信部は、前記交換鍵を送信した通信機器と、当該交換鍵を利用した暗号化を施した前記データ通信を行うものであり、前記認証処理部は、前記認証要求を対象とする認証処理において、前記第1の処理を行った後に、当該認証処理が対象とする認証要求と発行元の通信機器が同じである他の認証要求を対象とする他の認証処理において前記RTTテストが実行中であるときには、当該認証処理における前記RTTテストを実行せずに、当該他の認証処理における前記RTTテストの完了を待つと共に、当該他の認証処理における前記RTTテストの結果が合格であった場合には、前記第2の処理を行うものである。また、この場合には、前記認証処理部は、前記認証要求を対象とする認証処理において、前記第1の処理を行った後に、当該認証処理が対象とする認証要求と発行元の通信機器が同じである他の認証要求を対象とする他の認証処理において前記RTTテストが実行中であるときには、当該認証処理における前記RTTテストを実行せずに、当該他の認証処理における前記RTTテストの完了を待つと共に、当該他の認証処理における前記RTTテストが合格しなかった場合には、当該認証処理における前記RTTテストを実行し、当該認証処理における前記RTTテストの結果が合格であった場合に、前記第2の処理を行い、当該認証処理における前記RTTテストの結果が合格でなかった場合に前記第2の処理を行わないものとしてもよい。
【0012】
このような通信装置によれば、認証処理において、当該認証処理が対象とする認証要求と発行元の通信機器が同じである他の認証要求を対象とする他の認証処理において前記RTTテストが実行中であるときには、当該他の認証処理における前記RTTテストの完了を待つと共に、当該他の認証処理における前記RTTテストが合格したならば、当該認証処理における前記RTTテストを行うことなく、当該他の認証処理における前記RTTテストの結果を、当該認証処理における前記RTTテストの結果として代用する。
【0013】
よって、一つの通信機器について、当該通信機器がRTTテストを合格するものである場合には、重ねてRTTテストが実行されてしまうことを抑止することができる。また、各認証要求についての認証処理の全てを逐次的に行う必要がないので、認証処理の遅延も抑制できる。
また、前記課題達成のために、本発明は、通信機器とデータ通信を行う通信装置に、未認証の前記通信機器から受信した各認証要求の各々を対象とする、RTTテストを含む認証処理を行う認証処理部と、前記認証処理部が認証した通信機器と前記データ通信を行うデータ通信部とを備え、前記認証処理部において、前記認証要求を対象とする認証処理において、当該認証処理が対象とする認証要求と発行元の通信機器が同じである他の認証要求を対象とする他の認証処理において前記RTTテストが実行中であるときには、当該認証処理における前記RTTテストを行うことなく、当該他の認証処理における前記RTTテストの結果を、当該認証処理における前記RTTテストの結果として代用するようにしたものである。
【0014】
ここで、より具体的には、前記認証処理は、前記対象とする認証要求の発行元の通信機器と認証鍵を共有するための第1の処理と、前記RTTテストと、前記認証鍵を用いて暗号化した交換鍵を前記通信装置に送信する第2の処理とを含み、通信部は、前記交換鍵を送信した通信機器と、当該交換鍵を利用した暗号化を施した前記データ通信を行い、前記認証処理部は、前記認証要求を対象とする認証処理において、前記第1の処理を行った後に、当該認証処理が対象とする認証要求と発行元の通信機器が同じである他の認証要求を対象とする他の認証処理において前記RTTテストが実行中であるときには、当該認証処理における前記RTTテストを実行せずに、当該他の認証処理における前記RTTテストの完了を待つと共に、当該他の認証処理における前記RTTテストの結果が合格であった場合には、前記第2の処理を行い、当該他の認証処理における前記RTTテストの結果が合格でなかった場合には、前記第2の処理を行わないものである。
【0015】
このような通信装置によれば、認証処理において、当該認証処理が対象とする認証要求と発行元の通信機器が同じである他の認証要求を対象とする他の認証処理において前記RTTテストが実行中であるときには、当該認証処理における前記RTTテストを行うことなく、当該他の認証処理における前記RTTテストの結果を、当該認証処理における前記RTTテストの結果として代用するので、同じ通信機器について重ねてRTTテストが実行されてしまうことを抑止することができる。また、各認証要求についての認証処理の全てを逐次的に行う必要がないので、認証処理の遅延も抑制できる。
【0016】
なお、以上の通信装置において、前記通信装置及び前記通信機器は、IEEE1394規格に従ったデータ通信を行い、前記認証処理は、DTCP規格に従った認証を行うものであってよい。また、以上の通信装置は、前記通信部において、前記データ通信において、AV(Audio Visual)コンテンツのデータを送信するものであってよい。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、認証処理の遅延を抑制しつつ、同じ機器についての冗長なRTTテストの実行を抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係るAVシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係るAV装置の機能構成を示すブロック図である。
【図3】認証動作のシーケンスを示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る認証処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態に係る個別リクエスト認証処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態に係るAVシステムの構成を示す。
図示するように、AVシステムは、複数のAV装置1をIEEE1394規格に従ったバス2で接続したものである。
ここで、AV装置1は、それぞれ、バス制御部10、CPU11、メモリ12、AV機器13、入力装置14を備えている。ここで、AV機器13は、ディスプレイやオーディオ再生装置やビデオ再生装置やテレビ受信機やラジオ受信機やオーディオ出力装置などの、オーディオとビジュアルの少なくとも一方を入力/出力する機器である。
【0020】
次に、AV装置1の機能構成を図2に示す。
ここで、図中の認証処理部21、AV制御部22は、CPU11がメモリ12に記憶されているプログラムを実行することにより実現される機能である。
さて、図示するようにバス制御部10は、バス2との間の信号入出力を行う送受信部101、AV機器13がバス2を介して他の機器に送信したりバス2を介して他の機器から受信するコンテンツデータの暗号化/復号を行う暗号/復号処理部102を備えている。
また、AV制御部22は、ユーザ操作やバス制御部10を介して他のAV装置1から受信したコマンドに応じて、AV装置1の動作の制御を行う。
また、認証処理部21は、ソースとシンクとの間の認証動作を制御する。
【0021】
ここで、ソースとシンクとの間の認証動作は、上述した非特許文献1等のDTCPに従ったものである。
ソースとシンクとの間の基本的な認証動作の全体のシーケンスを図3に示す。
図示するように、まず、シンクは、ソースに、certificate 等を伴わせた、認証及びキー交換を求めるAKE(Authentication and Key Exchange)リクエストを発行する。
ここで、ソースとは、他AV装置にコンテンツデータを送信するAV装置1を指し、シンクとは、ソースとなるAV装置1からコンテンツデータを受信するAV装置1を指す。
ソースは、AKEリクエスト発行元の正当性をcertificateを用いて承認できたならば、AKEリクエスト発行元と、チャレンジ、レスポンスによって所定の情報を交換し、ソースとAKEリクエスト発行元において共通の認証鍵を生成するチャレンジ-レスポンスシーケンスを実行する。
【0022】
そして、チャレンジ-レスポンスシーケンスが成功したならば、RTTテストを実行する。
このRTTテストにおいて、ソースは、まず、シンクと所定のコマンド/レスポンスを交換してRTTテストの準備を行う。そして、シンクと所定のコマンド/レスポンスを交換してRTTテストをセットアップした後、RTTテストコマンドをシンクに送信し、その応答としてシンクより送信される受領レスポンスを受信し、RTTテストコマンド送信時から受領レスポンス受信時までの時間長に応じて、RTTを測定し、測定したRTTが、所定の制限時間を超えていないかどうかを判定し、越えていない場合に、RTTテストをパスしたものとする。
【0023】
そして、ソースは、RTTテストをシンクがパスしたならば、認証鍵を用いて暗号化した交換キーをAKEリクエスト発行元に送信する。
さて、このような認証動作は、ソースの認証処理部21が行う認証処理によって実現される。
以下、このソースの認証処理部21が行う認証処理について説明する。
図4aに、認証処理の手順を示す。
図示するように、この処理では、まず、AKEリクエストの受信(ステップ400)を監視する。
【0024】
そして、AKEリクエストを受信したならば、受信したAKEリクエストに与えた識別番号を、当該AKEリクエストの発行元のノード番号等の識別子と共に、図4bに示すリクエストテーブルに格納する(ステップ402)。
ここで、図示するように、リクエストテーブルのエントリ(図の各行)には、AKEリクエストに与えた識別番号と、当該AKEリクエストの発行元の識別子と、処理中フラグと、RTTテスト合格フラグを登録することができる。なお、処理中フラグとRTTテストフラグの初期値はオフとする。
【0025】
また、次に、受信したAKEリクエストを対象リクエストとして割り当てた個別リクエスト認証処理を起動する(ステップ404)。
そして、ステップ402の監視に戻る。
次に、このようにして認証処理のステップ404で起動される個別リクエスト認証処理の手順を図5に示す。
図示するように、この処理では、まず、対象リクエストとして割り当てられたAKEリクエストの発行元との間で、図3に示した認証動作を、チャレンジ-レスポンスシーケンスまで実行する(ステップ500)。
【0026】
そして、RTTを測定可能かどうかを調べ(ステップ502)、測定可能でなければ、対象リクエストとして割り当てられたAKEリクエストの発行元に、当該発行元との間で行ったチャレンジ-レスポンスシーケンスで共有した認証鍵で暗号化した交換キーを送信し(ステップ524)、リクエストテーブルから、対象リクエストとして割り当てられたAKEリクエストの識別番号が登録されているエントリを削除し(ステップ526)、個別リクエスト認証処理を終了する。
【0027】
一方、RTTを測定可能であれば(ステップ502)、対象リクエストとして割り当てられたAKEリクエストの発行元のシンクが、RTTテストをパスしたシンクを登録するRTTレジスタに既に登録されているかどうかを調べる(ステップ504)。
そして、登録されていなければ(ステップ504)、図4bのリクエストテーブルの対象リクエストとして割り当てられたAKEリクエストの識別番号が登録されたエントリに登録されている発行元と同じ発行元が登録されている、リクエストテーブルの他のエントリであって、RTT合格フラグがオンであるエントリが存在するかどうかを調べる(ステップ506)。
【0028】
そして、リクエストテーブルの対象リクエストとして割り当てられたAKEリクエストの識別番号が登録されたエントリに登録されている発行元と同じ発行元が登録されているリクエストテーブルの他のエントリであって、RTT合格フラグがオンであるエントリが存在しない場合には(ステップ506)、リクエストテーブルの対象リクエストとして割り当てられたAKEリクエストの識別番号が登録されたエントリに登録されている発行元と同じ発行元が登録されている他のエントリであって、処理中フラグがオンであるエントリが存在するかどうかより調べ(ステップ508)、存在しなければステップ510に進む。
【0029】
そして、ステップ510に進んだならば、まず、リクエストテーブルの対象リクエストとして割り当てられたAKEリクエストの識別番号が登録されたエントリの処理中フラグをオンに設定する。
そして、対象リクエストとして割り当てられたAKEリクエストの発行元との間で、RTTテストを、RTTテストをパスするまで、最大1024回実行する(ステップ512-516、532-534)。
【0030】
ここで、このRTTテストは、第1回目にRTTテストを行うときには、図3に示したように、対象リクエストとして割り当てられたAKEリクエストの発行元のシンクとの間で、RTTテストの準備と、RTTテストのセットアップを行った後、RTTテストコマンドをシンクに送信し、その応答としてシンクより送信される受領レスポンスを受信し、RTTテストコマンド送信時から受領レスポンス受信時までの時間長に応じて、RTTを測定し、測定したRTTが、所定の制限時間を超えていないかどうかを判定し、越えていない場合に、RTTテストをパスしたと判定することにより行う。
【0031】
また、第2回目以降にRTTテストを行うときには、RTTテストの準備は完了しているので、RTTテストのセットアップを行った後、RTTテストコマンドをシンクに送信し、その応答としてシンクより送信される受領レスポンスを受信し、RTTテストコマンド送信時から受領レスポンス受信時までの時間長に応じて、RTTを測定し、測定したRTTが、所定の制限時間を超えていないかどうかを判定し、越えていない場合に、RTTテストをパスしたと判定することにより行う。
【0032】
そして、このようにして行われるRTTテストを1024回実行してもRTTテストをパスしなかった場合には(ステップ532)、リクエストテーブルの対象リクエストとして割り当てられたAKEリクエストの識別番号が登録されたエントリの処理中フラグをオフに設定し(ステップ536)、リクエストテーブルから、対象リクエストとして割り当てられたAKEリクエストの識別番号が登録されているエントリを削除し(ステップ526)、個別リクエスト認証処理を終了する。
【0033】
一方、RTTテストを1024回実行する前に、RTTテストをパスした場合には(ステップ516)、リクエストテーブルの対象リクエストとして割り当てられたAKEリクエストの識別番号が登録されたエントリのRTT合格フラグをオンに設定する(ステップ518)。
そして、リクエストテーブルの対象リクエストとして割り当てられたAKEリクエストの識別番号が登録されたエントリの処理中フラグをオフに設定する(ステップ520)。
また、次に、対象リクエストとして割り当てられたAKEリクエストの発行元のシンクの登録有効期間を40時間に設定すると共に、対象リクエストとして割り当てられたAKEリクエストの発行元のシンクをRTTレジスタに登録する(ステップ522)。なお、RTTレジスタに登録されたシンクは、登録有効期間経過後、RTTレジスタから削除される。
【0034】
そして、対象リクエストとして割り当てられたAKEリクエストの発行元に、当該発行元との間で行ったチャレンジ-レスポンスシーケンスで共有した認証鍵で暗号化した交換キーを送信し(ステップ524)、リクエストテーブルから、対象リクエストとして割り当てられたAKEリクエストの識別番号が登録されているエントリを削除し(ステップ526)、個別リクエスト認証処理を終了する。
【0035】
一方、ステップ508において、リクエストテーブルの対象リクエストとして割り当てられたAKEリクエストの識別番号が登録されたエントリに登録されている発行元と同じ発行元が登録されている他のエントリであって、処理中フラグがオンであるエントリが存在すると判定された場合には、対象リクエストとして割り当てられたAKEリクエストの発行元のRTTテストが他の個別リクエスト認証処理において実行中であるので、当該存在した他の個別リクエスト認証処理の処理中フラグがオフとなるのを待って(ステップ528)、当該存在したエントリの、RTT合格フラグがオンであるかどうかを調べる(ステップ530)。
そして、RTT合格フラグがオンあれば(ステップ530)、対象リクエストとして割り当てられたAKEリクエストの発行元のRTTテストが、他の個別リクエスト認証処理において合格との結果を得て終了したことを表しているので、当該結果を自個別リクエスト認証処理のRTTテストの結果として代用することとしてRTTテストを行うことなく、対象リクエストとして割り当てられたAKEリクエストの発行元に、当該発行元との間で行ったチャレンジ-レスポンスシーケンスで共有した認証鍵で暗号化した交換キーを送信し(ステップ524)、リクエストテーブルから、対象リクエストとして割り当てられたAKEリクエストの識別番号が登録されているエントリを削除し(ステップ526)、個別リクエスト認証処理を終了する。
【0036】
一方、RTT合格フラグがオンでなければ(ステップ530)、前述したステップ510に進む。ただし、RTT合格フラグがオンでなければ、図中に点線で示したように、そのままリクエストテーブルから、対象リクエストとして割り当てられたAKEリクエストの識別番号が登録されているエントリを削除し(ステップ526)、個別リクエスト認証処理を終了するようにしてもよい。
【0037】
一方、ステップ506において、リクエストテーブルの対象リクエストとして割り当てられたAKEリクエストの識別番号が登録されたエントリに登録されている発行元と同じ発行元が登録されている、リクエストテーブルの他のエントリであって、RTT合格フラグがオンであるエントリが存在すると判定された場合には、対象リクエストとして割り当てられたAKEリクエストの発行元のRTTテストが、他の個別リクエスト認証処理において既に合格との結果を得て終了していることを表しているので、当該結果を自個別リクエスト認証処理のRTTテストの結果として代用することとしてRTTテストを行うことなく、対象リクエストとして割り当てられたAKEリクエストの発行元に、当該発行元との間で行ったチャレンジ-レスポンスシーケンスで共有した認証鍵で暗号化した交換キーを送信し(ステップ524)、リクエストテーブルから、対象リクエストとして割り当てられたAKEリクエストの識別番号が登録されているエントリを削除し(ステップ526)、個別リクエスト認証処理を終了する。
【0038】
一方、ステップ504において、対象リクエストとして割り当てられたAKEリクエストの発行元のシンクが、RTTレジスタに登録されていると判定された場合には、対象リクエストとして割り当てられたAKEリクエストの発行元のシンクが既に認証済であるので、対象リクエストとして割り当てられたAKEリクエストの発行元に、当該発行元との間で行ったチャレンジ-レスポンスシーケンスで共有した認証鍵で暗号化した交換キーを送信し(ステップ524)、リクエストテーブルから、対象リクエストとして割り当てられたAKEリクエストの識別番号が登録されているエントリを削除し(ステップ526)、個別リクエスト認証処理を終了する。
【0039】
以上、認証処理部21が行う認証処理と個別リクエスト認証処理について説明した。
なお、以上の各個別リクエスト認証処理によって、AKEリクエスト発行元と交換した交換キーは、ソースにおいて、バス制御部10の暗号/復号処理部102に設定され、以降、暗号/復号処理部102は、AV装置1から入力し、送受信部101を介して送信するコンテンツデータを、当該コンテンツデータの送信先のシンクに送信した交換キーを利用して求まる暗号キーにより暗号化する。また、交換キーをソースから受信したシンクでは、当該交換キーを暗号/復号処理部102に設定し、以降、暗号/復号処理部102は、ソースから受信したコンテンツデータを、当該コンテンツデータの送信元のソースから受信した交換キーを利用して求まる暗号キーにより復号し出力する。
【0040】
以上のように本実施形態によれば、受信した各AKEリクエストの処理を各AKEリクエスト毎に起動した個別リクエスト認証処理において並行して行いつつ、各個別リクエスト認証処理では、処理中のAKEリクエストと同じ発行元のAKEリクエストについてのRTTテストが、他の個別リクエスト認証処理において行われている場合には、RTTテストを実行せずに、当該他の個別リクエスト認証処理のRTTテストの終了を待つ。そして、当該他の個別リクエスト認証処理のRTTテストがパスした場合には、当該他の個別リクエスト認証処理のRTTテストの結果を個別リクエスト認証処理のRTTテストの結果として代用し、処理中のAKEリクエストについてのRTTテストがパスしたものとして、RTTテストを実行することなく認証処理を進める。
【0041】
よって、認証処理の遅延を抑制しつつ、既にRTTテストをパスしているシンクについての冗長なRTTテストの実行を抑止することができる。
また、さらに、図5に点線で示したように、ステップ530において、RTT合格フラグがオンでなければ、そのままリクエストテーブルから、対象リクエストとして割り当てられたAKEリクエストの識別番号が登録されているエントリを削除し(ステップ526)、個別リクエスト認証処理を終了するようにすれば、処理中のAKEリクエストと同じ発行元のAKEリクエストについてのRTTテストが、他の個別リクエスト認証処理において行われている場合に、他の個別リクエスト認証処理のRTTテストの結果を、当該RTTテストのパス/不合格の如何に関わらずに、当該個別リクエスト認証処理のRTTテストの結果として代用することができ、既にRTTテストが完了している、シンクについてのさらなるRTTテストの実行を抑止することができるようになる。
【符号の説明】
【0042】
1…AV装置、2…バス、10…バス制御部、11…CPU、12…メモリ、13…AV機器、14…入力装置、21…認証処理部、22…AV制御部、101…送受信部、102…暗合/復号処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信機器とデータ通信を行う通信装置であって、
未認証の前記通信機器から受信した各認証要求の各々を対象とする、RTTテストを含む認証処理を行う認証処理部と、
前記認証処理部が認証した通信機器と前記データ通信を行うデータ通信部とを有し、
前記認証処理部は、前記認証要求を対象とする認証処理において、当該認証処理が対象とする認証要求と発行元の通信機器が同じである他の認証要求を対象とする他の認証処理において前記RTTテストが実行中であるときには、当該認証処理における前記RTTテストを実行せずに、当該他の認証処理における前記RTTテストの完了を待つと共に、当該他の認証処理における前記RTTテストの結果が合格であった場合には、当該認証処理における前記RTTテストを省略し、当該他の認証処理における前記RTTテストの結果を、当該認証処理における前記RTTテストの結果として代用することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
請求項1記載の通信装置であって、
前記認証処理部は、前記認証要求を対象とする認証処理において、当該認証処理が対象とする認証要求と発行元の通信機器が同じである他の認証要求を対象とする他の認証処理において前記RTTテストが実行中であるときには、当該認証処理における前記RTTテストを実行せずに、当該他の認証処理における前記RTTテストの完了を待つと共に、当該他の認証処理における前記RTTテストの結果が合格でなかった場合には、当該認証処理における前記RTTテストを実行することを特徴とする通信装置。
【請求項3】
通信機器とデータ通信を行う通信装置であって、
未認証の前記通信機器から受信した各認証要求の各々を対象とする、RTTテストを含む認証処理を行う認証処理部と、
前記認証処理部が認証した通信機器と前記データ通信を行うデータ通信部とを有し、
前記認証処理部は、前記認証要求を対象とする認証処理において、当該認証処理が対象とする認証要求と発行元の通信機器が同じである他の認証要求を対象とする他の認証処理において前記RTTテストが実行中であるときには、当該認証処理における前記RTTテストを行うことなく、当該他の認証処理における前記RTTテストの結果を、当該認証処理における前記RTTテストの結果として代用することを特徴とする通信装置。
【請求項4】
請求項1記載の通信装置であって、
前記認証処理は、前記対象とする認証要求の発行元の通信機器と認証鍵を共有するための第1の処理と、前記RTTテストと、前記認証鍵を用いて暗号化した交換鍵を前記通信装置に送信する第2の処理とを含み、
通信部は、前記交換鍵を送信した通信機器と、当該交換鍵を利用した暗号化を施した前記データ通信を行い、
前記認証処理部は、前記認証要求を対象とする認証処理において、前記第1の処理を行った後に、当該認証処理が対象とする認証要求と発行元の通信機器が同じである他の認証要求を対象とする他の認証処理において前記RTTテストが実行中であるときには、当該認証処理における前記RTTテストを実行せずに、当該他の認証処理における前記RTTテストの完了を待つと共に、当該他の認証処理における前記RTTテストの結果が合格であった場合には、前記第2の処理を行うことを特徴とする通信装置。
【請求項5】
請求項4記載の通信装置であって、
前記認証処理部は、前記認証要求を対象とする認証処理において、前記第1の処理を行った後に、当該認証処理が対象とする認証要求と発行元の通信機器が同じである他の認証要求を対象とする他の認証処理において前記RTTテストが実行中であるときには、当該認証処理における前記RTTテストを実行せずに、当該他の認証処理における前記RTTテストの完了を待つと共に、当該他の認証処理における前記RTTテストが合格しなかった場合には、当該認証処理における前記RTTテストを実行し、当該認証処理における前記RTTテストの結果が合格であった場合に、前記第2の処理を行い、当該認証処理における前記RTTテストの結果が合格でなかった場合に前記第2の処理を行わないことを特徴とする通信装置。
【請求項6】
請求項3記載の通信装置であって、
前記認証処理は、前記対象とする認証要求の発行元の通信機器と認証鍵を共有するための第1の処理と、前記RTTテストと、前記認証鍵を用いて暗号化した交換鍵を前記通信装置に送信する第2の処理とを含み、
通信部は、前記交換鍵を送信した通信機器と、当該交換鍵を利用した暗号化を施した前記データ通信を行い、
前記認証処理部は、前記認証要求を対象とする認証処理において、前記第1の処理を行った後に、当該認証処理が対象とする認証要求と発行元の通信機器が同じである他の認証要求を対象とする他の認証処理において前記RTTテストが実行中であるときには、当該認証処理における前記RTTテストを実行せずに、当該他の認証処理における前記RTTテストの完了を待つと共に、当該他の認証処理における前記RTTテストの結果が合格であった場合には、前記第2の処理を行い、当該他の認証処理における前記RTTテストの結果が合格でなかった場合には、前記第2の処理を行わないことを特徴とする通信装置。
【請求項7】
請求項1記載の通信装置であって、
前記通信装置及び前記通信機器は、IEEE1394規格に従ったデータ通信を行い、
前記認証処理は、DTCP規格に従った認証を行うものであることを特徴とする通信装置。
【請求項8】
請求項2記載の通信装置であって、
前記通信装置及び前記通信機器は、IEEE1394規格に従ったデータ通信を行い、
前記認証処理は、DTCP規格に従った認証を行うものであることを特徴とする通信装置。
【請求項9】
請求項3記載の通信装置であって、
前記通信装置及び前記通信機器は、IEEE1394規格に従ったデータ通信を行い、
前記認証処理は、DTCP規格に従った認証を行うものであることを特徴とする通信装置。
【請求項10】
請求項1記載の通信装置であって、
前記通信部において、前記データ通信において、AV(Audio Visual)コンテンツのデータを送信することを特徴とする通信装置。
【請求項11】
通信機器とデータ通信を行うコンピュータによって読みとられ実行されるコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータを、
未認証の前記通信機器から受信した各認証要求の各々を対象とする、RTTテストを含む認証処理を行う認証処理部と、
前記認証処理部が認証した通信機器と前記データ通信を行うデータ通信部として機能させ、
前記認証処理部は、前記認証要求を対象とする認証処理において、当該認証処理が対象とする認証要求と発行元の通信機器が同じである他の認証要求を対象とする他の認証処理において前記RTTテストが実行中であるときには、当該認証処理における前記RTTテストを実行せずに、当該他の認証処理における前記RTTテストの完了を待つと共に、当該他の認証処理における前記RTTテストの結果が合格であった場合には、当該認証処理における前記RTTテストを省略し、当該他の認証処理における前記RTTテストの結果を、当該認証処理における前記RTTテストの結果として代用することを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項12】
請求項11記載のコンピュータプログラムであって、
前記認証処理部は、前記認証要求を対象とする認証処理において、当該認証処理が対象とする認証要求と発行元の通信機器が同じである他の認証要求を対象とする他の認証処理において前記RTTテストが実行中であるときには、当該認証処理における前記RTTテストを実行せずに、当該他の認証処理における前記RTTテストの完了を待つと共に、当該他の認証処理における前記RTTテストの結果が合格でなかった場合には、当該認証処理における前記RTTテストを実行することを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項13】
通信機器とデータ通信を行うコンピュータによって読みとられ実行されるコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータを、
未認証の前記通信機器から受信した各認証要求の各々を対象とする、RTTテストを含む認証処理を行う認証処理部と、
前記認証処理部が認証した通信機器と前記データ通信を行うデータ通信部とをして機能させ、
前記認証処理部は、前記認証要求を対象とする認証処理において、当該認証処理が対象とする認証要求と発行元の通信機器が同じである他の認証要求を対象とする他の認証処理において前記RTTテストが実行中であるときには、当該認証処理における前記RTTテストを行うことなく、当該他の認証処理における前記RTTテストの結果を、当該認証処理における前記RTTテストの結果として代用することを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項14】
請求項11記載のコンピュータプログラムであって、
前記認証処理は、前記対象とする認証要求の発行元の通信機器と認証鍵を共有するための第1の処理と、前記RTTテストと、前記認証鍵を用いて暗号化した交換鍵を前記通信装置に送信する第2の処理とを含み、
通信部は、前記交換鍵を送信した通信機器と、当該交換鍵を利用した暗号化を施した前記データ通信を行い、
前記認証処理部は、前記認証要求を対象とする認証処理において、前記第1の処理を行った後に、当該認証処理が対象とする認証要求と発行元の通信機器が同じである他の認証要求を対象とする他の認証処理において前記RTTテストが実行中であるときには、当該認証処理における前記RTTテストを実行せずに、当該他の認証処理における前記RTTテストの完了を待つと共に、当該他の認証処理における前記RTTテストの結果が合格であった場合には、前記第2の処理を行うことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項15】
請求項14記載のコンピュータプログラムであって、
前記認証処理部は、前記認証要求を対象とする認証処理において、前記第1の処理を行った後に、当該認証処理が対象とする認証要求と発行元の通信機器が同じである他の認証要求を対象とする他の認証処理において前記RTTテストが実行中であるときには、当該認証処理における前記RTTテストを実行せずに、当該他の認証処理における前記RTTテストの完了を待つと共に、当該他の認証処理における前記RTTテストが合格しなかった場合には、当該認証処理における前記RTTテストを実行し、当該認証処理における前記RTTテストの結果が合格であった場合に、前記第2の処理を行い、当該認証処理における前記RTTテストの結果が合格でなかった場合に前記第2の処理を行わないことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項16】
請求項13記載のコンピュータプログラムであって、
前記認証処理は、前記対象とする認証要求の発行元の通信機器と認証鍵を共有するための第1の処理と、前記RTTテストと、前記認証鍵を用いて暗号化した交換鍵を前記通信装置に送信する第2の処理とを含み、
通信部は、前記交換鍵を送信した通信機器と、当該交換鍵を利用した暗号化を施した前記データ通信を行い、
前記認証処理部は、前記認証要求を対象とする認証処理において、前記第1の処理を行った後に、当該認証処理が対象とする認証要求と発行元の通信機器が同じである他の認証要求を対象とする他の認証処理において前記RTTテストが実行中であるときには、当該認証処理における前記RTTテストを実行せずに、当該他の認証処理における前記RTTテストの完了を待つと共に、当該他の認証処理における前記RTTテストの結果が合格であった場合には、前記第2の処理を行い、当該他の認証処理における前記RTTテストの結果が合格でなかった場合には、前記第2の処理を行わないことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項17】
請求項11記載のコンピュータプログラムであって、
前記通信装置及び前記通信機器は、IEEE1394規格に従ったデータ通信を行い、
前記認証処理は、DTCP規格に従った認証を行うものであることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項18】
請求項12記載のコンピュータプログラムであって、
前記通信装置及び前記通信機器は、IEEE1394規格に従ったデータ通信を行い、
前記認証処理は、DTCP規格に従った認証を行うものであることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項19】
請求項13記載のコンピュータプログラムであって、
前記通信装置及び前記通信機器は、IEEE1394規格に従ったデータ通信を行い、
前記認証処理は、DTCP規格に従った認証を行うものであることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項20】
請求項11記載のコンピュータプログラムであって、
前記通信部において、前記データ通信において、AV(Audio Visual)コンテンツのデータを送信することを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−146970(P2011−146970A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−6750(P2010−6750)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】