説明

通信装置

【課題】本発明は、配下の複数の通信ノードから無線伝送された情報を収集する通信装置に関し、ハードウェアの構成が基本的に変更されることなく、ノード装置の台数が多数となり、または多様に異なっても、これらのノード装置の全てから所望の情報を効率的に収集することを目的とする。
【解決手段】異なるチャネルC1〜Cn上に個別に形成され、かつ複数p1〜pnの通信ノードがそれぞれ配置される単信方式の通信経路P1〜Pnを終端する通信経路終端手段と、前記通信経路P1〜Pnのそれぞれの往復の伝送所要時間t1〜tn(t1>…>tn)の降順の差以上のインターバルで、前記通信経路P1〜Pnに対する送信のきっかけを直列に与える制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配下の複数の通信ノードから無線伝送された情報を収集する通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
センサーネットワークでは、親局の配下にある個々のサイトや計測点に子局が設置され、親局は、これらの子局によって計測され、または生成された情報を収集することにより所望の項目にかかわる監視制御を行う。
【0003】
図4は、従来のセンサーネットワークの構成例を示す図である。
図において、親局30の配下には、子局40-1〜40-nが地理的に分散されて設置される。
【0004】
このような構成のセンサーネットワークでは、子局40-1〜40-nには、共通の無線周波数f0が割り付けられる。また、親局30は、以下の通りに子局40-1〜40-nと連係することにより、これらの子局40-1〜40-nによって得られた計測値を収集する。
【0005】
(1) 親局30は、上記無線周波数f0の無線チャネルの下りのリンクを介して子局40-1宛に、「計測値通知要求」を送出する(図5(1))。
(2) 子局40-1は、この「計測値通知要求」を識別すると、最新の計測値を上記無線チャネルの上りのリンクを介して通知するために必要な処理(以下、「通知準備処理」という。)を起動する(図5(2))。なお、このような通知準備処理には、例えば、通知の対象となる計測値を出力するセンサ(図示されない。)との連係を実現する処理が該当する。
【0006】
(3) さらに、子局40-1は、上記上りのリンクの後続する伝送区間を介して後続する子局40-2に、上記「計測値通知要求」を引き渡す(図5(3))。
(4) 子局40-2〜40-(n-1)は、子局40-1と同様にして、既述の「通知準備処理」を起動し、かつ上りのリンクの後続する伝送区間を介して後続する子局40-3〜40-nに「計測値通知要求」を引き渡す(図5(4))。
【0007】
(5) 子局40-nは、上記下りのリンクの末端に位置するため、他の子局に対して「計測値通知要求」を引き渡すことなく、子局40-(n-1)と同様にして、既述の「通知準備処理」を起動する(図5(5))。
(6) さらに、子局40-nは、上記「通知準備処理」を完了すると、既述の無線チャネルの上りのリンクを介して最寄りの子局40-(n-1)に、その処理の過程で取得された計測値を引き渡す(図5(6))。
【0008】
(7) 子局40-(n-2)〜40-2は、何れも、上記上りのリンクの先行する伝送区間を介して子局40-(n-1)〜40-3から引き渡された計測値(の列)に、先に起動した「通知準備処理」の過程で取得された計測値をそれぞれパックすることにより、その計測値(の例)を更新すると共に、該当する上りのリンクの後続する伝送区間を介して子局40-(n-3)〜40-1に、それぞれ更新された計測値(の例)を引き渡す(図5(7))。
【0009】
(8) 子局40-1は、上記上りのリンクの先行する伝送区間を介して子局40-2から引き渡された計測値(の列)に、先に起動した「通知準備処理」の過程で取得された計測値をパックすることにより、その計測値(の例)を更新する(図5(8))と共に、該当する上りのリンクの後続する伝送区間を介して親局30に、このようにして更新された計測値(の例)を引き渡す(図5(9))。
【0010】
したがって、親局30は、上記「計測値通知要求」に応じて連係する子局40-1〜40-nの全てによって得られた計測値の列を収集することができる。
【0011】
なお、このような従来のセンサネットワークでは、親局30は、既述の無線チャネルを介して子局40-1〜40-nに個別に上記「計測値通知要求」を送出し、その「計測値通知要求」に応じて取得された計測値を個別に取り込むことも可能である。
【0012】
本発明に関連した先行技術としては、例えば、以下に列記する特許文献1〜特許文献4がある。
(1) 「単一通信路に於ける1周波単信方式の電波を用いた自動観測若しくは自動通報のためのシステムに適用される情報データ収集方法であって、タイマ制御による定時情報伝送方式と、タイマ制御によらない逐次情報伝送方式とを兼ね備えた伝送手段を有して、通常時は定時情報伝送手段により情報伝送を行い、緊急時に逐次情報伝送手段により情報伝送を行う」ことにより、「情報伝達が確実に行えるとともに、急激な事態の変化に迅速に対応できる」点に特徴がある単一無線通信方式による情報データ収集方法…特許文献1
【0013】
(2) 「施設に設置された機器の動作や状態を監視及び制御する監視制御手段と、前記監視制御手段と連携し、監視用情報をネットワークを介して提供する第1のサーバと、前記ネットワークを介した外部のコンピュータからの要求に応じて前記第1のサーバに対して前記監視用情報を要求し、前記監視用情報に基づいて指定の形式からなるユーザ向け情報を前記コンピュータに提供し、かつ前記コンピュータからの指示に基づいた操作情報を前記第1のサーバに通知する第2のサーバとを具備する」ことにより、「監視制御との連携機能を有する情報及び連携機能以外の仕様を含む情報を統一的かつ効率よく作成して提供することができる」点に特徴がある監視システム…特許文献2
【0014】
(3) 「所定の物理量を計測する複数の計測装置と、該計測装置で得られた情報を収集し記録するデータ収録装置と、該データ収録装置を制御するパソコンとからなる無線通信を用いた設備監視システムにおいて、前記複数の計測装置のうちの所定の1つが、リレー無線通信により前記データ収録装置もしくは前記複数の計測装置の残部と無線通信を行って、間欠送受信による前記計測装置の残部との計測時刻同期および通信経路の調整をするとともに、所定のサンプリング間隔で物理量を計測し、得られた該物理量計測値を前記データ収録装置へ送信する」ことにより、「面的多点計測が可能であり、かつ長期間に亘って電源の交換が不要である」点に特徴がある設備監視システム…特許文献3
【0015】
(4) 「通知情報を生成し、生成した通知情報を所定の管理装置に対して送信する複数の通信装置を有する通信システムであって、前記複数の通信装置のそれぞれは、前記複数の通信装置に共通の周期で情報の収集を行うとともに、指定された複数周期分の情報を蓄積し、指定された複数周期分の情報を蓄積した時点で蓄積している情報に基づいて通知情報を生成し、生成した通知情報を前記管理装置に対して送信する」ことにより、「障害発生時のみならず、通常動作中にも、無線ネットワーク上の通信量を削減できる」点に特徴がある通信システム…特許文献4
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2001−218284号公報
【特許文献2】特願2008−266514号公報
【特許文献3】特開2009−245109号公報
【特許文献4】特開2005−223497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ところで、上述した従来例では、親局30が子局40-1〜40-nの全てから計測値を得るために要する時間Tは、これらの子局40-1〜40-nの台数nが大きいほど長くなり、例えば、既述の上りおよび下りのリンクの伝送区間を介して伝送されるパケットやフレームの長さLが同じである場合には、下式で与えられる。
T=2・L・n
【0018】
しかし、このような台数nに応じた時間Tの増加に関しては、センサーネットワークを構成する子局の台数、あるいはこれらの子局の全てから計測値を収集可能な周期や頻度に対する大きな制約となるために、簡便に緩和や解消が可能な技術が強く要望されていた。
【0019】
本発明は、ハードウェアの構成が基本的に変更されることなく、ノード装置の台数が多数となり、または多様に異なっても、これらのノード装置の全てから所望の情報を効率的に収集可能である通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
請求項1に記載の発明では、通信経路終端手段は、異なるチャネルC1〜Cn上に個別に形成され、かつ複数p1〜pnの通信ノードがそれぞれ配置される単信方式の通信経路P1〜Pnを終端する。制御手段は、前記通信経路P1〜Pnのそれぞれの往復の伝送所要時間t1〜tn(t1>…>tn)の降順の差以上のインターバルで、前記通信経路P1〜Pnに対する送信のきっかけを直列に与える。
【0021】
すなわち、通信経路終端手段によって上記通信経路P1〜Pnに対する送信がそれぞれ行われるきっかけは、これらの通信経路P1〜Pn上にそれぞれ配置された複数p1〜pnの通信ノードが異なるチャネルC1〜Cn上に個別に形成された単信方式の通信経路P1〜Pnを介して並行して連係し、その連係の下で異なる期間に応答を返すことができる期間に与えられる。
【0022】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の通信装置において、前記通信経路P1〜Pnのそれぞれの伝送区間で伝送が行われる期間の長さτが共通である。 前記伝送所要時間t1〜tnは、それぞれ(p1・τ)〜(pn・τ)である。
【0023】
すなわち、通信経路終端手段によって通信経路P1〜Pnに対する送信がそれぞれ行われるきっかけは、これらの通信経路P1〜Pnのそれぞれの伝送区間で伝送が行われる期間の長さτが共通であるため、時間軸上で一定のインターバルで簡便に得られる。
【0024】
請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の通信装置において、前記制御手段は、前記複数p1〜pnの通信ノードの個別の稼働の正否の変化に応じて前記伝送所要時間t1〜tnの更新を行い、かつ前記更新の結果に整合したインターバルで前記送信のきっかけを与える。
【0025】
すなわち、通信経路終端手段によって通信経路P1〜Pnに対する送信がそれぞれ行われるきっかけは、上記複数p1〜pnの通信ノードのそれぞれの稼働の正否に応じて更新される。
【0026】
請求項4に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の通信装置において、前記制御手段は、前記通信経路P1〜Pn毎における前記複数p1〜pnの通信ノードの稼働の正否の変化に応じて前記伝送所要時間t1〜tnの更新を行い、かつ前記更新の結果に整合したインターバルで前記送信のきっかけを与える。
【0027】
すなわち、通信経路終端手段によって通信経路P1〜Pnに対して送信がそれぞれ行われるきっかけは、上記複数p1〜pnの通信ノードの通信経路P1〜Pn上における個々の稼働の正否に応じて更新される。
【0028】
請求項5に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の通信装置において、再構成手段は、前記通信経路P1〜Pnの内、稼働の正否が変化した通信ノードが配置される通信経路を再構成する。前記制御手段は、稼働の正否の変化に応じて前記伝送所要時間t1〜tnの更新を行い、かつ前記更新の結果に整合したインターバルで前記送信のきっかけを与える。
【0029】
すなわち、通信経路終端手段によって通信経路P1〜Pnに対して送信がそれぞれ行われるきっかけは、上記複数p1〜pnの通信ノードの個々の稼働の正否に応じて行われた通信経路の再構成の下で更新される。
【発明の効果】
【0030】
本発明では、通信ノード装置の総数(=数p1〜pnの総和)が大きい場合、あるいは広範に変化し得る場合であっても、これらの通信ノード装置の連係の結果を効率的に得ることができる。
本発明では、構成が簡略化され、かつ低廉化に併せて、応答性の向上が図られる。
【0031】
本発明では、複数p1〜pnの通信ノードの並行した連係の結果は、これらの通信ノードの稼働の正否の如何にかかわらず上記きっかけが変わらない場合に比べて、安定にかつ効率的に収集される。
【0032】
本発明では、複数p1〜pnの通信ノードの並行した連係の結果は、これらの通信ノードの稼働の正否の如何にかかわらず通信経路の構成が変わらない場合に比べて、安定にかつ効率的に収集される。
【0033】
したがって、本発明が適用された通信系では、ハードウェアの構成が変更されることなく、配下の通信ノード装置の状態や系構成に柔軟に適応し、かつ安価に総合的な伝送効率および信頼性が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態を示す図である。
【図2】本実施形態の親局に備えられた制御部の動作フローチャートである。
【図3】本実施形態の動作を説明する図である。
【0035】
【図4】従来のセンサーネットワークの構成例を示す図である。
【図5】従来のセンサーネットワークの動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示す図である。
図において、本実施形態と図4に示す従来例との構成の相違点は、以下の点にある。
【0037】
(1) 親局30に代えて、親局10が備えられる。
(2) 子局40-1〜40-nに代えて、子局20-a1,20-a2,20-a3,20-a4,20-a5,20-b1,20-b2,20-b3,20-b4,20-c1,20-c2,20-c3が備えられる。
【0038】
親局10は、以下の要素から構成される。
(1) 制御部11
(2) 制御部11の第一の入出力ポートに接続された無線部12
【0039】
(3) その無線部12のアンテナ端子に給電点が接続されたアンテナ13
(4) 制御部11の第二の入出力ポートに接続された操作表示部14
(5) 制御部11の第三の入出力ポートと外部の通信系とに接続された通信ポート15
【0040】
図2は、本実施形態の親局に備えられた制御部の動作フローチャートである。
図3は、本実施形態の動作を説明する図である。
以下、図1〜図3を参照して本実施形態の動作を説明する。
【0041】
本実施形態では、子局20-a1,20-a2,20-a3,20-a4,20-a5には無線周波数faが共通に割り付けられ、子局20-b1,20-b2,20-b3,20-b4には無線周波数fb(≠fa)が共通に割り付けられ、さらに、子局20-c1,20-c2,20-c3には上記無線周波数fa、fbの何れとも異なる無線周波数fcが共通に割り付けられる。
【0042】
これらの無線周波数fa、fb、fcは、子局20-a1,20-a2,20-a3,20-a4,20-a5、子局20-b1,20-b2,20-b3,20-b4および子局20-c1,20-c2,20-c3にそれぞれ予め設定され、かつ親局10に備えられた制御部11にも既知の情報として設定される。
【0043】
また、これらの無線周波数fa、fb、fcがそれぞれ割り付けられる子局20-a1,20-a2,20-a3,20-a4,20-a5、子局20-b1,20-b2,20-b3,20-b4、子局20-c1,20-c2,20-c3の台数は、既述のパケットやフレームの長さLが同じであることを前提として、異なる値「5」、「4」、「3」にそれぞれ予め設定される。
【0044】
親局10では、制御部11は、以下の処理を順次行う。
(1) 無線部12に無線周波数faを指定することにより、その無線部12およびアンテナ13を介して子局20-a1 宛に「計測値通知要求」を送信し、かつ子局20-a1,20-a2,20-a3,20-a4,20-a5のグループに対応したインターバルタイマITa(インターバル=(10L+α)≧(5L×2))を起動する(図2ステップS1、図3(1))。
【0045】
(2) 無線部12に無線周波数fbを指定することにより、その無線部12およびアンテナ13を介して子局20-b1 宛に「計測値通知要求」を送信し、かつ子局20-b1,20-b2,20-b3,20-b4のグループに対応したインターバルタイマITb(インターバル=(8L+α)≧(4L×2))を起動する(図2ステップS2、図3(2))。
【0046】
(3) 無線部12に無線周波数fcを指定することにより、その無線部12およびアンテナ13を介して子局20-c1 宛に「計測値通知要求」を送信し、かつ子局20-c1,20-c2,20-c3のグループに対応したインターバルタイマITc(インターバル=(6L+α)≧(3L×2))を起動する(図2ステップS3、図3(3))。
【0047】
したがって、これらの「計測値通知要求」は、何れも、子局20-a1,20-b1,20-c1にそれぞれに割り付けられた無線周波数fa、fb、fcの無線チャネルの下りのリンクを介して次々と送信される。
【0048】
一方、子局20-a1,20-a2,20-a3,20-a4,20-a5は、以下に列記するように、割り付けられた無線周波数がf0ではなくfaである点を除いて、従来例における子局20-1〜20-nと同様に連係する。
【0049】
(1) 子局20-a1 は、上記「計測値通知要求」を識別すると、最新の計測値を上記無線チャネルの上りのリンクを介して通知するために既述の通りに必要な「通知準備処理」を起動する(図3(4))。
(2) さらに、子局20-a1 は、上記上りのリンクの後続する伝送区間を介して後続する子局20-a2に、上記「計測値通知要求」を引き渡す(図3(5))。
【0050】
(3) 子局20-a2〜20-a4は、子局20-a1と同様にして、既述の「通知準備処理」を起動し、かつ上りのリンクの後続する伝送区間を介して後続する子局20-a3〜20-a5に「計測値通知要求」を引き渡す(図3(6))。
(4) 子局20-a5は、上記下りのリンクの末端に位置するため、他の子局に対して「計測値通知要求」を引き渡すことなく、子局20-a4と同様にして、既述の「通知準備処理」を起動する(図3(7))。
【0051】
(5) さらに、子局20-a5は、上記「通知準備処理」を完了すると、既述の無線チャネルの上りのリンクを介して最寄りの子局20-a4に、その処理の過程で取得された計測値を引き渡す(図3(8)。
(6) 子局20-a3および子局20-a2は、何れも、上記上りのリンクの先行する伝送区間を介して子局20-a4および子局20-a3からそれぞれ引き渡された計測値の列に、先に起動した「通知準備処理」の過程で取得された計測値をそれぞれパックすることにより、その計測値(の例)を更新すると共に、該当する上りのリンクの後続する伝送区間を介して子局20-a2および子局20-a1に、このようにして更新された計測値の例を引き渡す(図3(9))。
【0052】
(7) 子局20-a1は、上記上りのリンクの先行する伝送区間を介して子局20-a2から引き渡された計測値の列に、先に起動した「通知準備処理」の過程で取得された計測値をパックすることにより、その計測値(の例)を更新する(図3(10))と共に、該当する上りのリンクの後続する伝送区間を介して親局10に、このようにして更新された計測値の列Maを引き渡す(図3(11))。
【0053】
また、子局20-b1,20-b2,20-b3,20-b4は、上記「計測値通知要求」が子局20-a1 より遅れて与えられるが、割り付けられた無線周波数がfaではなくfbであるため、図3に一点鎖線で示すように、子局20-a1,20-a2,20-a3,20-a4,20-a5によって行われる既述の連係に並行して、従来例における子局20-1〜20-nと同様に連係する。
【0054】
さらに、子局20-c1,20-c2,20-c3は、上記「計測値通知要求」が子局20-b1 よりさらに遅れて与えられるが、割り付けられた無線周波数がfa、fbの何れとも異なるfcであるため、図3に二点鎖線で示すように、子局20-b1,20-b2,20-b3,20-b4によって行われる既述の連係に並行して、従来例における子局20-1〜20-nと同様に連係する。
【0055】
したがって、子局20-c1、20-b1、20-a1 は、既述の連係の下で下記の計測値の列Mc、Mb、Maを取得し、それぞれ無線周波数fc、fb、faの無線チャネルの上りのリンクを介して異なる期間に、これらの計測値の列Mc、Mb、Maを順次親局10宛に送信することができる。
(1) 子局20-c1,20-c2,20-c3によって得られた計測値の列Mc
(2) 子局20-b1,20-b2,20-b3,20-b4によって得られた計測値の列Mb
(3) 子局20-a1,20-a2,20-a3,20-a4,20-a5によって得られた計測値の列Ma
【0056】
親局10では、制御部11は、以下の処理を行う。
(1) 上記計測値の列Mc、Mb、Maが子局20-c1、20-b1、20-a1 からそれぞれ送信される期間を既述のインターバルタイマITc、ITb、ITaによる計時の下で識別する。
(2) 無線部12が受信すべき無線チャネルの無線周波数をそれぞれfc、fb、faに設定することにより、上記計測値の列Mc、Mb、Maを順次収集する(図2ステップS4、図3(12))、(図2ステップS5、図3(13))、(図2ステップS6、図3(14))。
【0057】
(3) 操作表示部14を介して操作者とのマンマシンインタフェースをとり、そのマンマシンインタフェースの下で、例えば、図示されないコンピュータ等と通信ポート15を介して連係することにより、これらの計測値の列Mc、Mb、Maに含まれる計測値を所定の計測制御に供する。
【0058】
すなわち、既述の通りに異なる無線周波数fa、fb、fcがそれぞれ割り付けられた3つの子局のグループが親局10の主導の下で並行して連係し、その連係の下で得られた計測値の列Ma、Mb、Mcが異なる期間に順次親局10宛に送信される。
したがって、子局20-a1,20-a2,20-a3,20-a4,20-a5,20-b1,20-b2,20-b3,20-b4,20-c1,20-c2,20-c3によって得られた計測値の全ては、親局10に搭載される無線部12の台数が増加することなく、しかも、これらの子局20-a1,20-a2,20-a3,20-a4,20-a5,20-b1,20-b2,20-b3,20-b4,20-c1,20-c2,20-c3の何れの構成も基本的に変更されることなく、従来例より大幅に短い期間内に収集される。
【0059】
このように本実施形態によれば、センサーネットワークを構成する子局の台数が広範に異なり、あるいは増減する場合であっても、これらの子局の全てから所望の計測値を収集するために要する時間が大幅に短縮される。
【0060】
なお、本実施形態では、何れのグループ内においても子局間で引き渡される計測値等の情報は、一定長Lのフレームやパケットとして伝送されている。
しかし、このようなフレームやパケットの長さは、全てのグループにおける子局の連係のきっかけが親局10によって与えられ、その連係の下で既述の計測値の列Ma、Mb、Mcが親局10宛に送信される期間が時間軸上で重なることがないならば、一定でなくてもよく、かつ上りのリンクと下りのリンクとで異なっていてもよい。
【0061】
また、本実施形態では、子局20-a1,20-a2,20-a3,20-a4,20-a5,20-b1,20-b2,20-b3,20-b4,20-c1,20-c2,20-c3が3つのグループに区分され、それぞれ異なる無線周波数fa、fb、fcが割り付けられている。
しかし、このようなグループの数と、これらのグループに対して割り付けられる無線周波数とは、親局10の配下で作動すべき子局の数や地理的な配置に適しているならば、如何なるものであってもよい。
【0062】
さらに、本実施形態では、子局20-a1,20-a2,20-a3,20-a4,20-a5,20-b1,20-b2,20-b3,20-b4,20-c1,20-c2,20-c3によって得られた計測値(の列)が親局10によって収集されるために、本発明が適用されている。
しかし、本発明は、このような計測値(の列)だけではなく、例えば、親局10や子局20-a1,20-a2,20-a3,20-a4,20-a5,20-b1,20-b2,20-b3,20-b4,20-c1,20-c2,20-c3の始動時、あるいはセンサーネットワークとしての系構成の変化に適応する過程における多様な情報の収集にも同様に適用可能である。
【0063】
また、本実施形態では、子局20-a1,20-a2,20-a3,20-a4,20-a5、子局20-b1,20-b2,20-b3,20-b4、子局20-c1,20-c2,20-c3に対してそれぞれ無線周波数fa、fb、fcが予め割り付けられている。
しかし、これらの無線周波数fa、fb、fcは、親局10が確実に識別できるならば、必ずしも一定でなくてもよく、例えば、親局10の主導の下で設定や変更が行われ、あるいは個々の子局の状況やニーズに応じて変更されてもよく、しかも、その過程における親局10と子局との間における連係の形態も如何なるものであってもよい。
【0064】
さらに、これらの無線周波数fa、fb、fcは、設定や変更の遅れが許容される場合、あるいは保守や運用の過程で暫定的な変更が要求される場合には、子局20-a1,20-a2,20-a3,20-a4,20-a5,20-b1,20-b2,20-b3,20-b4,20-c1,20-c2,20-c3の何れのサイト(局舎)で手動により適宜設定されてもよい。
【0065】
また、本実施形態では、子局20-a1,20-a2,20-a3,20-a4,20-a5、子局20-b1,20-b2,20-b3,20-b4、子局20-c1,20-c2,20-c3のそれぞれのグループには、無線周波数fa、fb、fcがそれぞれ1つずつ割り付けられている。
しかし、これらのグループ内の何れでも、既述の連係が並行して行われるならば、特定の子局間の伝送区間は、他の伝送区間には適用されていない異なる無線周波数を用いて形成されてもよい。
【0066】
さらに、本実施形態は、子局20-a1,20-a2,20-a3,20-a4,20-a5、子局20-b1,20-b2,20-b3,20-b4、子局20-c1,20-c2,20-c3の何れもが正常に作動していることを前提として構成されている。
【0067】
しかし、本発明は、子局20-a1,20-a2,20-a3,20-a4,20-a5、子局20-b1,20-b2,20-b3,20-b4および子局20-c1,20-c2,20-c3の(グループ毎)の稼働状況や系構成の識別が別途行われる場合には、このような稼働状況や系構成に応じて、子局のグループの再構成が行われ、その再構成の結果に応じて、無線周波数の割り付け、インターバルタイマのインターバル値、グループ毎の伝送区間におけるフレームやパケットの長さ等が適切に切り替えられてもよい。
【0068】
また、本実施形態では、子局のグループ毎に異なる無線周波数が割り付けられ、このような無線周波数を用いて形成される無線伝送路(チャネル)を介してそれぞれのグループに属する子局が並行して連係している。
【0069】
しかし、これらの無線伝送路は、FDMA(Frequency Division Multiple Access)に基づいて形成されなくてもよく、例えば、TDMA(Time Division Multiple Access)、CDMA(Code Division Multiple Access)等々、如何なる多元接続方式に基づいて特定の無線周波数が共用されることによって形成されてもよい。
【0070】
さらに、本実施形態では、子局20-a1,20-a2,20-a3,20-a4,20-a5,20-b1,20-b2,20-b3,20-b4,20-c1,20-c2,20-c3は、グループ毎に形成された1つのリンク(通信経路)上に配置されている。
【0071】
しかし、これらのグループに個別に形成されるリンク(通信経路)は、何れも、複数のリンク(通信経路)に分岐してもよく、かつ分岐点に配置された子局は、その子局より下位(下流)に配置された子局に対して親局としての機能してもよい。
【0072】
また、本実施形態では、各グループにおいて上りのリンクの末端以外に配置された子局は、その上りのリンクの先行する伝送区間を介して他の子局から引き渡された計測値に、自局が行った「通知準備処理」の過程で取得された計測値を単にパックして、後続する伝送区間に送出している。
【0073】
しかし、このようなパックに起因する情報量の増加が許容されず、もしくは伝送品質や信頼性の確保が要求される場合には、個々のパックの結果が適宜圧縮符号化され、または伝送路符号化(誤り訂正符号化)されてもよい。
【0074】
さらに、本実施形態では、各グループに属する子局の数が予め同じとなり、あるいは系構成の変化に応じて同じとなった場合には、このような数が同じとなったグループに属する子局が連係を開始すべききっかけと、これらの連係の下で該当するグループの計測値(の列)が親局10宛に送信される期間とが時間軸上で重なることの回避は、親局10と子局の全てまたは一部との双方または一方によって如何なる形態で図られてもよい。
【0075】
また、上記系構成の変化に応じてグループ毎に属する子局の数に大きな格差が生じ、そのために計測値(の列)の収集が無用に遅れることが回避されるべき場合には、無線周波数の割り付けが可能である範囲において既存のグループが再区分されてもよい。
【0076】
さらに、本実施形態では、無線周波数fa、fb、fcは、単に異なるだけではなく、例えば、各グループに属する子局と親局10との間における伝搬路のプロフィール(地物、地形その他の伝搬特性の分布を含む。)に適した無線周波数に積極的に設定されてもよい。
【0077】
また、本実施形態では、子局が区分されてなるグループの数Nと、これらのグループに個別に含まれ得る最大の子局の台数a
とは、子局の総数S と、既述のフレームやパケットの長さL(一定)に対して、下式が成立する値に設定されればよい。
≦N(N+1)L
=NL
【0078】
さらに、本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の範囲において多様な実施形態の構成が可能であり、構成要素の全てまたは一部に如何なる改良が施されてもよい。
【符号の説明】
【0079】
10,30 親局
11 制御部
12 無線部
13 アンテナ
14 操作表示部
15 通信ポート
20,40 子局

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なるチャネルC1〜Cn上に個別に形成され、かつ複数p1〜pnの通信ノードがそれぞれ配置される単信方式の通信経路P1〜Pnを終端する通信経路終端手段と、
前記通信経路P1〜Pnのそれぞれの往復の伝送所要時間t1〜tn(t1>…>tn)の降順の差以上のインターバルで、前記通信経路P1〜Pnに対する送信のきっかけを直列に与える制御手段と
を備えたことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の通信装置において、
前記通信経路P1〜Pnのそれぞれの伝送区間で伝送が行われる期間の長さτが共通であり、
前記伝送所要時間t1〜tnは、それぞれ(p1・τ)〜(pn・τ)である
ことを特徴とする通信装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の通信装置において、
前記制御手段は、
前記複数p1〜pnの通信ノードの個別の稼働の正否の変化に応じて前記伝送所要時間t1〜tnの更新を行い、かつ前記更新の結果に整合したインターバルで前記送信のきっかけを与える
ことを特徴とする通信装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の通信装置において、
前記制御手段は、
前記通信経路P1〜Pn毎における前記複数p1〜pnの通信ノードの稼働の正否の変化に応じて前記伝送所要時間t1〜tnの更新を行い、かつ前記更新の結果に整合したインターバルで前記送信のきっかけを与える
ことを特徴とする通信装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の通信装置において、
前記通信経路P1〜Pnの内、稼働の正否が変化した通信ノードが配置される通信経路を再構成する再構成手段とを備え、
前記制御手段は、
前記稼働の正否の変化に応じて前記伝送所要時間t1〜tnの更新を行い、かつ前記更新の結果に整合したインターバルで前記送信のきっかけを与える
ことを特徴とする通信装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−49888(P2012−49888A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−191042(P2010−191042)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(000004330)日本無線株式会社 (1,186)
【Fターム(参考)】