通気外壁に使用する通気下地材
【課題】 外壁本体の外面に固定した窓枠や基礎見切りの固定片上に重ねて使用するに当たって、簡単に固定片の厚みを吸収するための段部を形成できる。横向きにして使用する箇所において上部又は下部に段部を形成したり、縦向きして使用する箇所において上部又は下部に段部を形成したりするのが一種類で簡単に対応できる。外装材を施工した際に外装材の一部が固定片に対応した部分で膨らんだりすることがないようにできる。
【解決手段】 一辺が長く且つ他辺が短い帯状をしたカッタで切断可能な2枚の板材1、2を粘着層3を介して剥離自在に接着する。2枚の板材1、2のうち少なくとも一方の板材1の外面に、長辺方向に沿った第1の切断用目印4を短辺方向の両端間の位置に設けると共に、長手方向の端部から一定寸法内側に引き込んだ位置に短辺方向に沿った第2の切断用目印5を設ける。
【解決手段】 一辺が長く且つ他辺が短い帯状をしたカッタで切断可能な2枚の板材1、2を粘着層3を介して剥離自在に接着する。2枚の板材1、2のうち少なくとも一方の板材1の外面に、長辺方向に沿った第1の切断用目印4を短辺方向の両端間の位置に設けると共に、長手方向の端部から一定寸法内側に引き込んだ位置に短辺方向に沿った第2の切断用目印5を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通気外壁において外壁本体と外装材との間に介在されて通気空間を形成する通気下地材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から外壁本体7の外面側に通気下地材6’を取付け、該通気下地材6’に外装材8を取付けることで建物本体7と外装材8との間に通気空間9を形成し、該通気空間9の上端部及び下端部を屋外空間と連通させ、壁内の湿気を屋外に排出して壁内で結露が発生しないようにする通気外壁10が知られている。
【0003】
この通気外壁10においては下端部の外気と連通する部分においては、基礎見切り12を取付けるのであるが、この場合、従来にあっては、図14に示すように基礎見切り12の垂直な固定片13を外壁本体7の外面に重ねて釘やビス等の固着具で固着し、更に、その垂直な固定片13を介して通気下地材6’を固着し、更に、通気下地材6’の外面に外装材8を固着するようにしている。(例えば特許文献1参照)
図14において、外装材8の下端と基礎見切り12の傾斜片12aとの間には隙間16が形成され、更に、図示を省略しているが、通気下地材6’は水平方向に複数設けて通気下地材6’と通気下地材6’との間に上記隙間16と通気外壁10内の通気空間9とを連通するための通気部を形成したり、あるいは、通気下地材6’に上下に貫通する通気部を形成したりしている。
【0004】
上記図14に示す実施形態にあっては、通気下地材6’の背面の下部を基礎見切り12の垂直な固定片13に重ねて固着具により固着するので、通気下地材6’の背面の上部と外壁本体7との間に隙間が生じ、このため、通気下地材6’が傾いて固着されるおそれがあり、また、別の箇所の通気下地材6’は直接背面を外壁本体7に当接して固着するので、基礎見切り12に重ねて固着する通気下地材6’の外面が他の箇所の通気下地材6’の外面よりも少し外方に突出することとなり、これらの理由により通気下地材6’に外装材8を固定する際、基礎見切り12の固定片13を介在した部分においては、外装材8の下部が外側に膨らむようにして傾斜して取付けられることになり、仕上がりが悪くなる。
【0005】
これは、窓枠の取付け部分においても同様の現象が生じる。すなわち、外壁本体の開口部に窓枠を嵌め込むと共に開口部の周囲の外面に窓枠の固定片(フランジ)を重ねて固着具により固着し、更に、その垂直な固定片を介して通気下地材を固着し、更に、通気下地材の外面に外装材を固着するので、上記した基礎見切りの固定片を介して通気下地材を固着する部分と同じ理由で、通気下地材に外装材を固定する際、窓枠の固定片を介在した部分においては外装材の下部が外側に膨らむようにして傾斜して取付けられることになり、仕上がりが悪くなる。
【0006】
また、上記の問題点を解決するものとして、特許文献2が知られている。この従来例にあっては、外壁本体の窓枠を嵌め込む開口部の周囲の開口枠材の外面側に窓枠の固定片(フランジ)の厚みに対応した段部を形成し、この段部に固定片を重ねて固定することで固定片と外壁本体の外面とを面一にし、このように面一となった固定片及び外壁本体の外面に通気下地材を重ねて固着具により固着し、更に通気下地材に外装材を重ねるようにしたもので、窓枠の固定片に重ねて取付ける通気下地材も、他の部分において外壁本体に直接重ねる通気下地材も外面が同一垂直面内に位置し、外装材が部分的に膨らまないように取付けることができる。
【0007】
しかしながら、この特許文献2に示された従来例にあっては、外壁本体の窓枠を嵌め込む開口部の周囲の開口枠材の外面側に窓枠の固定片(フランジ)の厚みに対応した段部を形成しなければならない。このように外壁本体に段部を形成しなければならないので、外壁本体を構成する外壁パネルの製造コストが高くなるという問題がある。しかも、窓枠の種類により固定片(フランジ)の厚みが異なるが、簡単に厚みの違いに対応できない。
【0008】
そこで、外壁本体には段部を形成せず、通気下地材の背面側に固定片の厚みに対応した段部を切欠することが提案されている。これだと、外壁本体に段部を形成する場合に比べると段部の形成が相対的に容易にできるが、段部の形成に当たって切削により形成する必要があり、切削に時間がかかり、その分コストも高くなるという問題があり、しかも、横長の通気下地材の上部又は下部に長辺方向に沿って段部を形成する場合、あるいは、縦長の通気下地材の上部又は下部に短辺方向に沿って段部を形成する場合等、それぞれ別々に現場に対応して段部を切削により形成する必要があり、工場で制作するとすると、多品種を用意しなければならず、また、現場で切削するとすれば、現場作業が煩雑となるという問題がある。
【特許文献1】特開2003−313962号公報
【特許文献2】特開2002−38826号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、外壁本体の外面に固定した窓枠や基礎見切りの固定片上に重ねて使用するに当たって、簡単に固定片の厚みを吸収するための段部を形成でき、また、横向きにして使用する箇所において上部又は下部に段部を形成したり、縦向きして使用する箇所において上部又は下部に段部を形成したりするのが一種類で簡単に対応でき、外装材を施工した際に外装材の一部が固定片に対応した部分で膨らんだりすることがないようにできる通気外壁に使用する通気下地材を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明に係る通気外壁に使用する通気下地材は、一辺が長く且つ他辺が短い帯状をしたカッタで切断可能な2枚の板材1、2を粘着層3を介して剥離自在に接着し、上記2枚の板材1、2のうち少なくとも一方の板材1の外面に、長辺方向に沿った第1の切断用目印4を短辺方向の両端間の位置に設けると共に、長手方向の端部から一定寸法内側に引き込んだ位置に短辺方向に沿った第2の切断用目印5を設けて成ることを特徴とするものである。
【0011】
このような構成とすることで、外壁本体7と外装材8との間に通気下地材6を介在させて外壁本体7と外装材8との間に通気空間9を形成した通気外壁10を構成するに当たって、窓枠11や基礎見切り12の固定片13を外壁本体7の外面に重ね、該固定片13の上に通気下地材6を重ねる箇所においては、第1の切断用目印4又は第2の切断用目印5に沿って長手方向又は短辺方向に沿って一方の板材1にカッタで切込みを入れ、切り込みを入れた一方の板材1の一部を部分的に粘着層3部分で他方の板材2から引き剥がすことで、横向きにして使用する箇所においては上部又は下部に段部14を形成したり、縦向きして使用する箇所において上部又は下部又は側部に段部14を形成したりすることができるものであり、このようにして段部14を形成した外装材8の段部14に固定片13を収めるように通気下地材6を重ねて外壁本体7に固定することで、通気下地材6の外面側に取付ける外装材8が固定片13に重ねる部分において部分的に膨らむことがないようにできる。そして、第1の切断用目印4に沿って切断するか第2の切断用目印5に沿って切断するかを選択することで、一種類の通気下地材6で、横向きにして使用する箇所においては上部又は下部に段部14を形成したり、縦向きして使用する箇所において上部又は下部に段部14を形成したりでき、部材点数が少なくなる。
【0012】
また、2枚の板材1、2の厚みを異ならせ、該厚みの異なる2枚の板材1、2の外面にそれぞれ上記第1の切断用目印4及び第2の切断用目印5を設けることが好ましい。
【0013】
このような構成とすることで、2枚の板材1、2のどちらに切り込みを入れて部分的に剥ぎ取ることで段部14を形成するかを選択することで、厚みの異なる2種類の固定片13に対応できる。
【0014】
また、2枚の板材1、2の色を異ならせることが好ましい。
【0015】
このような構成とすることで、厚みの違いが見た目で直ぐに判り難い場合であっても、色の違いで厚みの違いが一目で判ることになり、この結果、色の違いと厚みの異なる2種類の固定片13とを対応させておくことで、色の違いで直ぐにどちらの板材1、2を切り込んで部分的に剥離したらよいかが判り、施工性が向上する。
【0016】
また、 短辺方向に沿った第2の切断用目印5を長辺方向に間隔を隔てて複数個設けて成ることが好ましい。
【0017】
このような構成とすることで、縦向きに使用するに当たって、短辺方向に沿って切り込みを入れて部分的に剥離して段部14を形成する際、短辺方向における段部14の巾を固定片の巾に応じて選択できる。また、任意の第2の切断用目印5で2枚の板材1、2を一緒に切断することで、通気下地材6の長さを現場の使用箇所に応じた長さに切断し、更に、このように目的の長さに切断した通気下地材6の長手方向の端部側に位置する第2の切断用目印5に沿って第1の板材1、又は第2の板材2のいずれかをカッタで更に切断して部部的に剥ぎ取ることで、固定片13を収めることができる段部14を簡単に形成することができる。
【0018】
また、第1の切断用目印4を短辺方向に間隔を隔てて複数設けることが好ましい。
【0019】
このような構成とすることで、複数の第1の切断用目印4のうち任意の第1の切断用目印4に沿って長手方向に切り込みを入れて部分的に剥離することで、短辺方向における段部14の巾を固定片の巾に応じて選択できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、通気下地材に固定片を収めるための段部を形成するに当たって、現場で第1の切断用目印又は第2の切断用目印に沿って第1の板材又は第2の板材をカッタで切断して部分的に剥離することで段部を簡単に形成でき、しかも、第1の切断用目印に沿って切断するか、第2の切断用目印に沿って切断するかを選択することで、横向きにして使用する箇所において上部又は下部に段部を形成したり、縦向きして使用する箇所において上部又は下部又は側部に段部を形成したりするのが一種類で簡単に対応でき、外装材を施工した際に外装材の一部が固定片に対応した部分で膨らんだりすることがないようにできるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0022】
本発明の通気下地材6は図1に示すように、一辺が長く且つ他辺が短い帯状をした平面形状が同じ形状の2枚の板材1、2を粘着層3を介して剥離可能に接着することで構成してあり、該2枚の板材1はいずれも合成樹脂のようにカッタで切断可能な材料で形成してある。ここで、粘着層3は粘着性を有する粘着材の層であって、板材1、2同士を粘着による接着性で接着しているが、後で板材1、2同士を粘着層3部分で剥がすことができるような性質を持っている。
【0023】
通気下地材6には上記のように剥離自在に積層構成した2枚の板材1、2のうち少なくとも一方の板材1の外面に、長辺方向に沿った第1の切断用目印4を短辺方向の両端間の位置に設けると共に、長手方向の端部から一定寸法内側に引き込んだ位置に短辺方向に沿った第2の切断用目印5を設けてある。この第1の切断用目印4、第2の切断用目印5としてはカッタで切断する際の目印となるためのものであり、線、点線などを施したり、あるいは、ミシン目のように点線状の孔、あるいは、V溝のような溝条などが挙げられる。
【0024】
上記のような構成の通気下地材6は通気外壁10における外装材8を取付けるための下地材として使用されるものであり、例えば、図3、図4、図5のように基礎見切り12を取付ける箇所において、通気下地材6を外壁本体7の外面に縦方向に取付ける場合は、2枚の板材1、2のうち一方の板材1に第2の切断用目印5に沿ってカッタで切り込みを入れ、該一方の板材1の切り込みを入れた箇所よりも端部側の部位を第2の板材2から剥離して図2のように長手方向の端部に段部14を形成したものを使用する。
【0025】
すなわち、図3のように外壁本体7の外面下部に基礎見切り12の縦片である固定片13を釘やビスのような固着具15により固着し、その後、図4のように通気下地材6を縦向きにすると共に段部14を形成した方が外壁本体7の外面で且つ下を向くようにして通気下地材6を外壁本体7の外面に当接すると共に段部14部分に基礎見切り12の固定片13を収め(段部14の底に固定片13の外面を当接又は近接させ)、この状態で通気下地材6を固着具により外壁本体7に固着する。このようして複数の通気下地材6を左右方向に一定間隔を隔てて外壁本体7の外面に平行に固着する。その後、図5に示すように通気下地材6の外面側に外装材8を重ねて外装材8を通気下地材6に固着具で固着して外壁本体7と外装材8との間に通気空間9を有する通気外壁10を構成するものである。ここで、外装材8の下端部と基礎見切り12の傾斜片12aとの間には隙間16が形成され、該隙間16及び隣接する通気下地材6の下端部間の隙間を介して外部空間と通気外壁10内の通気空間9とが連通するようになっている。
【0026】
一方、基礎見切り12を取付ける箇所において、通気下地材6を外壁本体7の外面に横方向に取付ける場合は、2枚の板材1、2のうち一方の板材1に第1の切断用目印4に沿ってカッタで切り込みを入れ、該一方の板材1の切り込みを入れた箇所を境にして片側半部の部位を第2の板材2から剥離して図6のように長手方向に沿って段部14を形成したものを使用する。
【0027】
このものにおいては、図7に示すように、基礎見切り12の固定片13に重ねる部位においては、通気下地材6を横向きにすると共に段部14を形成した方が外壁本体7の外面側で且つ下を向くようにして通気下地材6を外壁本体7の外面に当接すると共に段部14部分に基礎見切り12の固定片13を収め(段部14の底に固定片13の外面を当接又は近接させ)、この状態で通気下地材6を固着具により外壁本体7に固着し、更に、通気下地材6の外面に外装材8を固着する。この実施形態の場合、通気下地材6と他の通気下地材6との長手方向の端部間に通気空間9と外部空間とを連通させるための隙間を形成する。
【0028】
いずれの実施形態においても、固定片13を収める必要がない箇所で使用する通気下地材6はカッタで切断して一部を剥離しない状態で(つまり段部14を形成しない状態で)外壁本体7の外面に固着具で固着する。なお、この段部14を必要としない箇所に使用する通気下地材6としては図1に示すものだけでなく、図1に示す通気下地材6と同じ厚みの1枚ものの通気下地材を使用してもよい。
【0029】
このようにして段部14に固定片13を収めることで、通気下地材6の外面側に取付ける外装材8が固定片13に重ねる部分において部分的に膨らむことがない。
【0030】
次に、図8、図9において、通気外壁10に窓枠11を取付ける場合に窓枠11周囲に取付ける通気下地材6の使用例につき説明する。
【0031】
本例では、外壁本体7に形成した窓取付け用の開口部18に窓枠11を嵌め込むと共に、外壁本体7の外面の開口部18の周囲(上辺、下辺、左右側辺)の部分に窓枠11の固定片13(フランジ)を当接して固着具15により固着する。次に、外壁本体7の外面の開口部18の周囲にそれぞれ通気下地材6を取付けるのであるが、この場合、通気下地材6として前述の図6のように2枚の板材1、2のうち一方の板材1に第1の切断用目印4に沿ってカッタで切り込みを入れ、該一方の板材1の切り込みを境にして片側を剥離して長手方向に沿った段部14を形成したものを使用して図8、図9の順序で施工する。すなわち、長手方向に沿って段部14を形成した通気下地材6を外壁本体7の外面の開口部18の周囲(上辺、下辺、左右側辺)の部分にそれぞれ重ねると共に通気下地材6を外壁本体7の外面に当接すると共に段部14部分に窓枠11の固定片13(フランジ)を収め(段部14の底に固定片13の外面を当接又は近接させ)、この状態で通気下地材6を固着具により外壁本体7に固着する。
【0032】
ここで、開口部18の上辺、下辺に沿った通気下地材6又は左右側辺に沿った通気下地材6のいずれかの板材1又は板材2を図10のように両端部の第2の切断用目印5に沿って短辺方向の一端部から第1の切断用目印4に至るまでカッタで切り込みを入れ、更に、両端部の第2の切断用目印5間の第1の切断用目印4をカッタで切断して切断部分を除去して段部14を形成することで、図10に示すような通気下地材6を形成し、この図10に示すように板材1又は板材2の一部を切断除去した通気下地材6と、図6に示すように板材1又は板材2の一部を切断除去した通気下地材6とを用いて図11のように矩形に配置することで、段部14が通気空間9に連通しないような構造にできる。
【0033】
上記のように外壁本体7の窓枠11を取付ける開口部18の周囲に通気下地材6を取付ける実施形態においても、固定片13を収める必要がない箇所で使用する通気下地材6はカッタで切断して一部を剥離しない状態で(つまり段部14を形成しない状態で)外壁本体7の外面に固着具で固着したり、あるいは、図1に示す通気下地材6と同じ厚みの1枚ものの通気下地材を使用する。
【0034】
本実施形態においても、上記のように段部14に固定片13を収めることで、通気下地材6の外面側に取付ける外装材8が固定片13に重ねる部分において部分的に膨らむことがない。
【0035】
ところで、図1のように、2枚の板材1、2の厚みを異ならせ(例えば、板材1が3mm、板材2が6〜9mm)、該厚みの異なる2枚の板材1、2の外面にそれぞれ上記第1の切断用目印4及び第2の切断用目印5を設けるものにおいて、2枚の板材1、2のどちらに切り込みをいれて部分的に剥ぎ取ることで段部14を形成するかを選択して厚みの異なる2種類の固定片13に対応することが可能である。
【0036】
この場合、上記厚みの異なる2枚の板材1、2の色を異ならせてあると、厚みの違いが見た目で直ぐに判り難い場合であっても、色の違いで厚みの違いが一目で判ることになり、この結果、色の違いと厚みの異なる2種類の固定片13とを対応させておくことで、色の違いで直ぐにどちらの板材1、2を切り込んで部分的に剥離したらよいかが判り、施工性が向上することになる。
【0037】
図12には本発明の他の実施形態が示してある。本実施形態においては、短辺方向に沿った第2の切断用目印5が長辺方向に所定間隔を隔てて複数個設けてある。
【0038】
この実施形態においては、縦向きに使用するに当たって、短辺方向に沿って切り込みを入れて部分的に剥離することで段部14を形成する際、短辺方向における段部14の巾を固定片13の巾に応じて選択することができる。
【0039】
また、任意の第2の切断用目印5で2枚の板材1、2を一緒に切断することで、通気下地材6の長さを現場の使用箇所に応じた長さに切断し、更に、このように目的の長さに切断した通気下地材6の長手方向の端部側に位置する第2の切断用目印5に沿って第1の板材1、又は第2の板材2のいずれかをカッタで更に切断して部分的に剥ぎ取ることで、固定片13を収めることができる段部14を簡単に形成することができることになる。
【0040】
図13には本発明の更に他の実施形態が示してある。本実施形態においては、第1の切断用目印4が短辺方向に間隔を隔てて複数設けてある。
【0041】
この実施形態においては、複数の第1の切断用目印4のうち任意の第1の切断用目印4に沿って長手方向に切り込みを入れて部分的に剥離することで、短辺方向における段部14の巾を固定片の巾に応じて選択できることになる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の通気下地材の一実施形態の斜視図である。
【図2】同上の一部を切断除去した例を示す斜視図である。
【図3】同上の通気下地材を用いて通気外壁を構成する例を示す施工の途中の順番を示す断面図である。
【図4】同上の通気下地材を用いて通気外壁を構成する例を示す施工の途中の順番を示す断面図である。
【図5】(a)は同上の通気外壁を構成した例を示す断面図であり、(b)は通気外壁の他の部分の断面図である。
【図6】同上の通気下地材の他の一部を切断除去した例を示す斜視図である。
【図7】同上の通気下地材を用いて構成した通気外壁の他の例を示す断面図である。
【図8】同上の通気下地材を用いた通気外壁において窓枠の取付けを示す施工の途中を示す断面図である。
【図9】同上の通気外壁において窓枠を取付けた部分の断面図である。
【図10】同上の通気下地材の切断除去の更に他の実施形態の斜視図である。
【図11】図6、図10に示した通気下地材を用いて窓枠周囲に配置する場合の通気下地材の組み合わせ例を示す斜視図である。
【図12】同上の通気下地材の他の実施形態の斜視図である。
【図13】同上の通気下地材の更に他の実施形態の斜視図である。
【図14】従来例の通気外壁の断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 板材
2 板材
3 粘着層
4 第1の切断用目印
5 第2の切断用目印
【技術分野】
【0001】
本発明は、通気外壁において外壁本体と外装材との間に介在されて通気空間を形成する通気下地材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から外壁本体7の外面側に通気下地材6’を取付け、該通気下地材6’に外装材8を取付けることで建物本体7と外装材8との間に通気空間9を形成し、該通気空間9の上端部及び下端部を屋外空間と連通させ、壁内の湿気を屋外に排出して壁内で結露が発生しないようにする通気外壁10が知られている。
【0003】
この通気外壁10においては下端部の外気と連通する部分においては、基礎見切り12を取付けるのであるが、この場合、従来にあっては、図14に示すように基礎見切り12の垂直な固定片13を外壁本体7の外面に重ねて釘やビス等の固着具で固着し、更に、その垂直な固定片13を介して通気下地材6’を固着し、更に、通気下地材6’の外面に外装材8を固着するようにしている。(例えば特許文献1参照)
図14において、外装材8の下端と基礎見切り12の傾斜片12aとの間には隙間16が形成され、更に、図示を省略しているが、通気下地材6’は水平方向に複数設けて通気下地材6’と通気下地材6’との間に上記隙間16と通気外壁10内の通気空間9とを連通するための通気部を形成したり、あるいは、通気下地材6’に上下に貫通する通気部を形成したりしている。
【0004】
上記図14に示す実施形態にあっては、通気下地材6’の背面の下部を基礎見切り12の垂直な固定片13に重ねて固着具により固着するので、通気下地材6’の背面の上部と外壁本体7との間に隙間が生じ、このため、通気下地材6’が傾いて固着されるおそれがあり、また、別の箇所の通気下地材6’は直接背面を外壁本体7に当接して固着するので、基礎見切り12に重ねて固着する通気下地材6’の外面が他の箇所の通気下地材6’の外面よりも少し外方に突出することとなり、これらの理由により通気下地材6’に外装材8を固定する際、基礎見切り12の固定片13を介在した部分においては、外装材8の下部が外側に膨らむようにして傾斜して取付けられることになり、仕上がりが悪くなる。
【0005】
これは、窓枠の取付け部分においても同様の現象が生じる。すなわち、外壁本体の開口部に窓枠を嵌め込むと共に開口部の周囲の外面に窓枠の固定片(フランジ)を重ねて固着具により固着し、更に、その垂直な固定片を介して通気下地材を固着し、更に、通気下地材の外面に外装材を固着するので、上記した基礎見切りの固定片を介して通気下地材を固着する部分と同じ理由で、通気下地材に外装材を固定する際、窓枠の固定片を介在した部分においては外装材の下部が外側に膨らむようにして傾斜して取付けられることになり、仕上がりが悪くなる。
【0006】
また、上記の問題点を解決するものとして、特許文献2が知られている。この従来例にあっては、外壁本体の窓枠を嵌め込む開口部の周囲の開口枠材の外面側に窓枠の固定片(フランジ)の厚みに対応した段部を形成し、この段部に固定片を重ねて固定することで固定片と外壁本体の外面とを面一にし、このように面一となった固定片及び外壁本体の外面に通気下地材を重ねて固着具により固着し、更に通気下地材に外装材を重ねるようにしたもので、窓枠の固定片に重ねて取付ける通気下地材も、他の部分において外壁本体に直接重ねる通気下地材も外面が同一垂直面内に位置し、外装材が部分的に膨らまないように取付けることができる。
【0007】
しかしながら、この特許文献2に示された従来例にあっては、外壁本体の窓枠を嵌め込む開口部の周囲の開口枠材の外面側に窓枠の固定片(フランジ)の厚みに対応した段部を形成しなければならない。このように外壁本体に段部を形成しなければならないので、外壁本体を構成する外壁パネルの製造コストが高くなるという問題がある。しかも、窓枠の種類により固定片(フランジ)の厚みが異なるが、簡単に厚みの違いに対応できない。
【0008】
そこで、外壁本体には段部を形成せず、通気下地材の背面側に固定片の厚みに対応した段部を切欠することが提案されている。これだと、外壁本体に段部を形成する場合に比べると段部の形成が相対的に容易にできるが、段部の形成に当たって切削により形成する必要があり、切削に時間がかかり、その分コストも高くなるという問題があり、しかも、横長の通気下地材の上部又は下部に長辺方向に沿って段部を形成する場合、あるいは、縦長の通気下地材の上部又は下部に短辺方向に沿って段部を形成する場合等、それぞれ別々に現場に対応して段部を切削により形成する必要があり、工場で制作するとすると、多品種を用意しなければならず、また、現場で切削するとすれば、現場作業が煩雑となるという問題がある。
【特許文献1】特開2003−313962号公報
【特許文献2】特開2002−38826号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、外壁本体の外面に固定した窓枠や基礎見切りの固定片上に重ねて使用するに当たって、簡単に固定片の厚みを吸収するための段部を形成でき、また、横向きにして使用する箇所において上部又は下部に段部を形成したり、縦向きして使用する箇所において上部又は下部に段部を形成したりするのが一種類で簡単に対応でき、外装材を施工した際に外装材の一部が固定片に対応した部分で膨らんだりすることがないようにできる通気外壁に使用する通気下地材を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明に係る通気外壁に使用する通気下地材は、一辺が長く且つ他辺が短い帯状をしたカッタで切断可能な2枚の板材1、2を粘着層3を介して剥離自在に接着し、上記2枚の板材1、2のうち少なくとも一方の板材1の外面に、長辺方向に沿った第1の切断用目印4を短辺方向の両端間の位置に設けると共に、長手方向の端部から一定寸法内側に引き込んだ位置に短辺方向に沿った第2の切断用目印5を設けて成ることを特徴とするものである。
【0011】
このような構成とすることで、外壁本体7と外装材8との間に通気下地材6を介在させて外壁本体7と外装材8との間に通気空間9を形成した通気外壁10を構成するに当たって、窓枠11や基礎見切り12の固定片13を外壁本体7の外面に重ね、該固定片13の上に通気下地材6を重ねる箇所においては、第1の切断用目印4又は第2の切断用目印5に沿って長手方向又は短辺方向に沿って一方の板材1にカッタで切込みを入れ、切り込みを入れた一方の板材1の一部を部分的に粘着層3部分で他方の板材2から引き剥がすことで、横向きにして使用する箇所においては上部又は下部に段部14を形成したり、縦向きして使用する箇所において上部又は下部又は側部に段部14を形成したりすることができるものであり、このようにして段部14を形成した外装材8の段部14に固定片13を収めるように通気下地材6を重ねて外壁本体7に固定することで、通気下地材6の外面側に取付ける外装材8が固定片13に重ねる部分において部分的に膨らむことがないようにできる。そして、第1の切断用目印4に沿って切断するか第2の切断用目印5に沿って切断するかを選択することで、一種類の通気下地材6で、横向きにして使用する箇所においては上部又は下部に段部14を形成したり、縦向きして使用する箇所において上部又は下部に段部14を形成したりでき、部材点数が少なくなる。
【0012】
また、2枚の板材1、2の厚みを異ならせ、該厚みの異なる2枚の板材1、2の外面にそれぞれ上記第1の切断用目印4及び第2の切断用目印5を設けることが好ましい。
【0013】
このような構成とすることで、2枚の板材1、2のどちらに切り込みを入れて部分的に剥ぎ取ることで段部14を形成するかを選択することで、厚みの異なる2種類の固定片13に対応できる。
【0014】
また、2枚の板材1、2の色を異ならせることが好ましい。
【0015】
このような構成とすることで、厚みの違いが見た目で直ぐに判り難い場合であっても、色の違いで厚みの違いが一目で判ることになり、この結果、色の違いと厚みの異なる2種類の固定片13とを対応させておくことで、色の違いで直ぐにどちらの板材1、2を切り込んで部分的に剥離したらよいかが判り、施工性が向上する。
【0016】
また、 短辺方向に沿った第2の切断用目印5を長辺方向に間隔を隔てて複数個設けて成ることが好ましい。
【0017】
このような構成とすることで、縦向きに使用するに当たって、短辺方向に沿って切り込みを入れて部分的に剥離して段部14を形成する際、短辺方向における段部14の巾を固定片の巾に応じて選択できる。また、任意の第2の切断用目印5で2枚の板材1、2を一緒に切断することで、通気下地材6の長さを現場の使用箇所に応じた長さに切断し、更に、このように目的の長さに切断した通気下地材6の長手方向の端部側に位置する第2の切断用目印5に沿って第1の板材1、又は第2の板材2のいずれかをカッタで更に切断して部部的に剥ぎ取ることで、固定片13を収めることができる段部14を簡単に形成することができる。
【0018】
また、第1の切断用目印4を短辺方向に間隔を隔てて複数設けることが好ましい。
【0019】
このような構成とすることで、複数の第1の切断用目印4のうち任意の第1の切断用目印4に沿って長手方向に切り込みを入れて部分的に剥離することで、短辺方向における段部14の巾を固定片の巾に応じて選択できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、通気下地材に固定片を収めるための段部を形成するに当たって、現場で第1の切断用目印又は第2の切断用目印に沿って第1の板材又は第2の板材をカッタで切断して部分的に剥離することで段部を簡単に形成でき、しかも、第1の切断用目印に沿って切断するか、第2の切断用目印に沿って切断するかを選択することで、横向きにして使用する箇所において上部又は下部に段部を形成したり、縦向きして使用する箇所において上部又は下部又は側部に段部を形成したりするのが一種類で簡単に対応でき、外装材を施工した際に外装材の一部が固定片に対応した部分で膨らんだりすることがないようにできるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0022】
本発明の通気下地材6は図1に示すように、一辺が長く且つ他辺が短い帯状をした平面形状が同じ形状の2枚の板材1、2を粘着層3を介して剥離可能に接着することで構成してあり、該2枚の板材1はいずれも合成樹脂のようにカッタで切断可能な材料で形成してある。ここで、粘着層3は粘着性を有する粘着材の層であって、板材1、2同士を粘着による接着性で接着しているが、後で板材1、2同士を粘着層3部分で剥がすことができるような性質を持っている。
【0023】
通気下地材6には上記のように剥離自在に積層構成した2枚の板材1、2のうち少なくとも一方の板材1の外面に、長辺方向に沿った第1の切断用目印4を短辺方向の両端間の位置に設けると共に、長手方向の端部から一定寸法内側に引き込んだ位置に短辺方向に沿った第2の切断用目印5を設けてある。この第1の切断用目印4、第2の切断用目印5としてはカッタで切断する際の目印となるためのものであり、線、点線などを施したり、あるいは、ミシン目のように点線状の孔、あるいは、V溝のような溝条などが挙げられる。
【0024】
上記のような構成の通気下地材6は通気外壁10における外装材8を取付けるための下地材として使用されるものであり、例えば、図3、図4、図5のように基礎見切り12を取付ける箇所において、通気下地材6を外壁本体7の外面に縦方向に取付ける場合は、2枚の板材1、2のうち一方の板材1に第2の切断用目印5に沿ってカッタで切り込みを入れ、該一方の板材1の切り込みを入れた箇所よりも端部側の部位を第2の板材2から剥離して図2のように長手方向の端部に段部14を形成したものを使用する。
【0025】
すなわち、図3のように外壁本体7の外面下部に基礎見切り12の縦片である固定片13を釘やビスのような固着具15により固着し、その後、図4のように通気下地材6を縦向きにすると共に段部14を形成した方が外壁本体7の外面で且つ下を向くようにして通気下地材6を外壁本体7の外面に当接すると共に段部14部分に基礎見切り12の固定片13を収め(段部14の底に固定片13の外面を当接又は近接させ)、この状態で通気下地材6を固着具により外壁本体7に固着する。このようして複数の通気下地材6を左右方向に一定間隔を隔てて外壁本体7の外面に平行に固着する。その後、図5に示すように通気下地材6の外面側に外装材8を重ねて外装材8を通気下地材6に固着具で固着して外壁本体7と外装材8との間に通気空間9を有する通気外壁10を構成するものである。ここで、外装材8の下端部と基礎見切り12の傾斜片12aとの間には隙間16が形成され、該隙間16及び隣接する通気下地材6の下端部間の隙間を介して外部空間と通気外壁10内の通気空間9とが連通するようになっている。
【0026】
一方、基礎見切り12を取付ける箇所において、通気下地材6を外壁本体7の外面に横方向に取付ける場合は、2枚の板材1、2のうち一方の板材1に第1の切断用目印4に沿ってカッタで切り込みを入れ、該一方の板材1の切り込みを入れた箇所を境にして片側半部の部位を第2の板材2から剥離して図6のように長手方向に沿って段部14を形成したものを使用する。
【0027】
このものにおいては、図7に示すように、基礎見切り12の固定片13に重ねる部位においては、通気下地材6を横向きにすると共に段部14を形成した方が外壁本体7の外面側で且つ下を向くようにして通気下地材6を外壁本体7の外面に当接すると共に段部14部分に基礎見切り12の固定片13を収め(段部14の底に固定片13の外面を当接又は近接させ)、この状態で通気下地材6を固着具により外壁本体7に固着し、更に、通気下地材6の外面に外装材8を固着する。この実施形態の場合、通気下地材6と他の通気下地材6との長手方向の端部間に通気空間9と外部空間とを連通させるための隙間を形成する。
【0028】
いずれの実施形態においても、固定片13を収める必要がない箇所で使用する通気下地材6はカッタで切断して一部を剥離しない状態で(つまり段部14を形成しない状態で)外壁本体7の外面に固着具で固着する。なお、この段部14を必要としない箇所に使用する通気下地材6としては図1に示すものだけでなく、図1に示す通気下地材6と同じ厚みの1枚ものの通気下地材を使用してもよい。
【0029】
このようにして段部14に固定片13を収めることで、通気下地材6の外面側に取付ける外装材8が固定片13に重ねる部分において部分的に膨らむことがない。
【0030】
次に、図8、図9において、通気外壁10に窓枠11を取付ける場合に窓枠11周囲に取付ける通気下地材6の使用例につき説明する。
【0031】
本例では、外壁本体7に形成した窓取付け用の開口部18に窓枠11を嵌め込むと共に、外壁本体7の外面の開口部18の周囲(上辺、下辺、左右側辺)の部分に窓枠11の固定片13(フランジ)を当接して固着具15により固着する。次に、外壁本体7の外面の開口部18の周囲にそれぞれ通気下地材6を取付けるのであるが、この場合、通気下地材6として前述の図6のように2枚の板材1、2のうち一方の板材1に第1の切断用目印4に沿ってカッタで切り込みを入れ、該一方の板材1の切り込みを境にして片側を剥離して長手方向に沿った段部14を形成したものを使用して図8、図9の順序で施工する。すなわち、長手方向に沿って段部14を形成した通気下地材6を外壁本体7の外面の開口部18の周囲(上辺、下辺、左右側辺)の部分にそれぞれ重ねると共に通気下地材6を外壁本体7の外面に当接すると共に段部14部分に窓枠11の固定片13(フランジ)を収め(段部14の底に固定片13の外面を当接又は近接させ)、この状態で通気下地材6を固着具により外壁本体7に固着する。
【0032】
ここで、開口部18の上辺、下辺に沿った通気下地材6又は左右側辺に沿った通気下地材6のいずれかの板材1又は板材2を図10のように両端部の第2の切断用目印5に沿って短辺方向の一端部から第1の切断用目印4に至るまでカッタで切り込みを入れ、更に、両端部の第2の切断用目印5間の第1の切断用目印4をカッタで切断して切断部分を除去して段部14を形成することで、図10に示すような通気下地材6を形成し、この図10に示すように板材1又は板材2の一部を切断除去した通気下地材6と、図6に示すように板材1又は板材2の一部を切断除去した通気下地材6とを用いて図11のように矩形に配置することで、段部14が通気空間9に連通しないような構造にできる。
【0033】
上記のように外壁本体7の窓枠11を取付ける開口部18の周囲に通気下地材6を取付ける実施形態においても、固定片13を収める必要がない箇所で使用する通気下地材6はカッタで切断して一部を剥離しない状態で(つまり段部14を形成しない状態で)外壁本体7の外面に固着具で固着したり、あるいは、図1に示す通気下地材6と同じ厚みの1枚ものの通気下地材を使用する。
【0034】
本実施形態においても、上記のように段部14に固定片13を収めることで、通気下地材6の外面側に取付ける外装材8が固定片13に重ねる部分において部分的に膨らむことがない。
【0035】
ところで、図1のように、2枚の板材1、2の厚みを異ならせ(例えば、板材1が3mm、板材2が6〜9mm)、該厚みの異なる2枚の板材1、2の外面にそれぞれ上記第1の切断用目印4及び第2の切断用目印5を設けるものにおいて、2枚の板材1、2のどちらに切り込みをいれて部分的に剥ぎ取ることで段部14を形成するかを選択して厚みの異なる2種類の固定片13に対応することが可能である。
【0036】
この場合、上記厚みの異なる2枚の板材1、2の色を異ならせてあると、厚みの違いが見た目で直ぐに判り難い場合であっても、色の違いで厚みの違いが一目で判ることになり、この結果、色の違いと厚みの異なる2種類の固定片13とを対応させておくことで、色の違いで直ぐにどちらの板材1、2を切り込んで部分的に剥離したらよいかが判り、施工性が向上することになる。
【0037】
図12には本発明の他の実施形態が示してある。本実施形態においては、短辺方向に沿った第2の切断用目印5が長辺方向に所定間隔を隔てて複数個設けてある。
【0038】
この実施形態においては、縦向きに使用するに当たって、短辺方向に沿って切り込みを入れて部分的に剥離することで段部14を形成する際、短辺方向における段部14の巾を固定片13の巾に応じて選択することができる。
【0039】
また、任意の第2の切断用目印5で2枚の板材1、2を一緒に切断することで、通気下地材6の長さを現場の使用箇所に応じた長さに切断し、更に、このように目的の長さに切断した通気下地材6の長手方向の端部側に位置する第2の切断用目印5に沿って第1の板材1、又は第2の板材2のいずれかをカッタで更に切断して部分的に剥ぎ取ることで、固定片13を収めることができる段部14を簡単に形成することができることになる。
【0040】
図13には本発明の更に他の実施形態が示してある。本実施形態においては、第1の切断用目印4が短辺方向に間隔を隔てて複数設けてある。
【0041】
この実施形態においては、複数の第1の切断用目印4のうち任意の第1の切断用目印4に沿って長手方向に切り込みを入れて部分的に剥離することで、短辺方向における段部14の巾を固定片の巾に応じて選択できることになる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の通気下地材の一実施形態の斜視図である。
【図2】同上の一部を切断除去した例を示す斜視図である。
【図3】同上の通気下地材を用いて通気外壁を構成する例を示す施工の途中の順番を示す断面図である。
【図4】同上の通気下地材を用いて通気外壁を構成する例を示す施工の途中の順番を示す断面図である。
【図5】(a)は同上の通気外壁を構成した例を示す断面図であり、(b)は通気外壁の他の部分の断面図である。
【図6】同上の通気下地材の他の一部を切断除去した例を示す斜視図である。
【図7】同上の通気下地材を用いて構成した通気外壁の他の例を示す断面図である。
【図8】同上の通気下地材を用いた通気外壁において窓枠の取付けを示す施工の途中を示す断面図である。
【図9】同上の通気外壁において窓枠を取付けた部分の断面図である。
【図10】同上の通気下地材の切断除去の更に他の実施形態の斜視図である。
【図11】図6、図10に示した通気下地材を用いて窓枠周囲に配置する場合の通気下地材の組み合わせ例を示す斜視図である。
【図12】同上の通気下地材の他の実施形態の斜視図である。
【図13】同上の通気下地材の更に他の実施形態の斜視図である。
【図14】従来例の通気外壁の断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 板材
2 板材
3 粘着層
4 第1の切断用目印
5 第2の切断用目印
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一辺が長く且つ他辺が短い帯状をしたカッタで切断可能な2枚の板材を粘着層を介して剥離自在に接着し、上記2枚の板材のうち少なくとも一方の板材の外面に、長辺方向に沿った第1の切断用目印を短辺方向の両端間の位置に設けると共に、長手方向の端部から一定寸法内側に引き込んだ位置に短辺方向に沿った第2の切断用目印を設けて成ることを特徴とする通気外壁に使用する通気下地材。
【請求項2】
2枚の板材の厚みを異ならせ、該厚みの異なる2枚の板材の外面にそれぞれ上記第1の切断用目印及び第2の切断用目印を設けて成ることを特徴とする請求項1記載の通気外壁に使用する通気下地材。
【請求項3】
2枚の板材の色を異ならせて成ることを特徴とする請求項2記載の通気外壁に使用する通気下地材。
【請求項4】
短辺方向に沿った第2の切断用目印を長辺方向に間隔を隔てて複数個設けて成ることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の通気外壁に使用する通気下地材。
【請求項5】
第1の切断用目印が短辺方向に間隔を隔てて複数設けてあることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の通気外壁に使用する通気下地材。
【請求項1】
一辺が長く且つ他辺が短い帯状をしたカッタで切断可能な2枚の板材を粘着層を介して剥離自在に接着し、上記2枚の板材のうち少なくとも一方の板材の外面に、長辺方向に沿った第1の切断用目印を短辺方向の両端間の位置に設けると共に、長手方向の端部から一定寸法内側に引き込んだ位置に短辺方向に沿った第2の切断用目印を設けて成ることを特徴とする通気外壁に使用する通気下地材。
【請求項2】
2枚の板材の厚みを異ならせ、該厚みの異なる2枚の板材の外面にそれぞれ上記第1の切断用目印及び第2の切断用目印を設けて成ることを特徴とする請求項1記載の通気外壁に使用する通気下地材。
【請求項3】
2枚の板材の色を異ならせて成ることを特徴とする請求項2記載の通気外壁に使用する通気下地材。
【請求項4】
短辺方向に沿った第2の切断用目印を長辺方向に間隔を隔てて複数個設けて成ることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の通気外壁に使用する通気下地材。
【請求項5】
第1の切断用目印が短辺方向に間隔を隔てて複数設けてあることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の通気外壁に使用する通気下地材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−154457(P2007−154457A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−348315(P2005−348315)
【出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(000004673)パナホーム株式会社 (319)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(000004673)パナホーム株式会社 (319)
【Fターム(参考)】
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