通話端末
【課題】通話端末の全体を交換しなくても機能を変更することができる通話端末を提供する。
【解決手段】通話端末Aは、壁内に後部を収める形で壁に固定される本体モジュールBと、本体モジュールBの前面側に着脱可能に装着される露出パネルCとを備える。露出パネルCは、少なくとも音声の入出力を行う音声入出力部18と、音声信号の入出力を行う信号処理部42とを有し、それぞれ異なる複数種類の露出パネルCの中から選択可能である。本体モジュールBは、電源線が接続される電源端子部6と、信号線が接続される信号端子部7と、電源端子部6に接続され内部回路に直流電源を供給する電源部39と、信号端子部7に接続される外部インタフェース部40とを有することで、複数種類の露出パネルCに共用される。
【解決手段】通話端末Aは、壁内に後部を収める形で壁に固定される本体モジュールBと、本体モジュールBの前面側に着脱可能に装着される露出パネルCとを備える。露出パネルCは、少なくとも音声の入出力を行う音声入出力部18と、音声信号の入出力を行う信号処理部42とを有し、それぞれ異なる複数種類の露出パネルCの中から選択可能である。本体モジュールBは、電源線が接続される電源端子部6と、信号線が接続される信号端子部7と、電源端子部6に接続され内部回路に直流電源を供給する電源部39と、信号端子部7に接続される外部インタフェース部40とを有することで、複数種類の露出パネルCに共用される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁に取り付けられ相手側端末との間で通話が可能な通話端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の通話端末として、たとえば宅外に設置された相手側端末としての子機端末(ドアホン子機)に対して信号線を用いて接続されることによりインターホンシステムを構築し、相手側端末との間で通話可能となるもの(インターホン親機)などが提供されている。
【0003】
また、近年では、壁面からの器体の突出量を小さく抑えために、壁内に器体の後部が埋め込まれた形で取り付けられる埋込型の通話端末も提案されている(たとえば特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載の通話端末においては、他の埋込型の配線器具との外観上の統一感を出すとともに、取り付けに用いる部材の低コスト化を図るために、一般に普及している埋込型の配線器具用のスイッチボックスを用いて壁に取付可能としてある。すなわち、通話端末の器体の後部をスイッチボックス内に収める形で、スイッチボックスに設けたねじ孔に螺合する取付ねじを用いて通話端末をスイッチボックスに固定する。ここで、特許文献1の通話端末においては、取付ねじ用の取付孔が器体に設けられており、器体をスイッチボックスに直接固定できるから、埋込型の配線器具をスイッチボックスに固定するために用いられる取付枠が不要である。
【特許文献1】特開平6−291818号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した通話端末では、相手側端末との間で通話を可能とするための内部回路が全て1つの器体内に収納されており、そのため、通話端末の機能を一部でも変更する場合には、通話端末全体を交換する必要がある。特に、通話端末が後部を壁内に埋め込んだ形で取り付けられている場合には、通話端末全体の交換作業は面倒である。
【0006】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであって、全体を交換しなくても機能を変更することができる通話端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、壁に取り付けられ相手側端末との間で通話が可能な通話端末であって、壁に固定される本体モジュールと、本体モジュールの前面側に着脱可能に装着される露出パネルとを備え、相手側端末との間で通話を可能とするための内部回路が、本体モジュール内の第1回路部と露出パネル内の第2回路部とに分割して設けられていることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、相手側端末との間で通話を可能とするための内部回路が、本体モジュール内の第1回路部と露出パネル内の第2回路部とに分割して設けられているので、本体モジュールと露出パネルとを別々に交換することができ、たとえば露出パネルの機能を変更する場合には、本体モジュールに装着する露出パネルを別の種類の露出パネルに交換するだけでよく、本体モジュール自体は交換する必要がない。したがって、通話端末全体を交換することなく、通話端末の機能を変更することができる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記露出パネルが、少なくとも音声の入出力を行う音声入出力部を有し、且つ音声信号の入出力を行う信号処理部を前記第2回路部に含み、それぞれ異なる複数種類の露出パネルの中から選択可能であって、前記本体モジュールが、電源線が接続される電源端子部と、信号線が接続される信号端子部とを有し、且つ電源端子部に接続され内部回路に直流電源を供給する電源部と、信号端子部に接続される外部インタフェース部とを前記第1回路部に含むことで、複数種類の露出パネルに共用されることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、複数種類の露出パネルにおいて本体モジュールを共用することができるから、各種の露出パネルごとに本体モジュールを用意する必要はない。したがって、本体モジュールの開発、製造にかかるコストを低コストに抑えることができるという利点がある。しかも、音声処理に関する機能を露出パネルに集約しているので、露出パネルを別の種類の露出パネルに交換するだけで、通話端末における音声処理に関する機能を変更することができる。また、音声処理に関する機能を露出パネルに集約したことで、露出パネルと本体モジュールとの間の電気的接続を行う接続線数を比較的少なく抑えることができる。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、前記本体モジュールが、壁内に後部を収める形で壁に固定される埋込モジュールからなることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、本体モジュールの後部が壁内に収まるので、壁内に埋め込まれることなく壁面に背面を対向させる形で本体モジュールを固定する場合に比べて、本体モジュールおよび露出パネルの壁面からの突出量を小さく抑えることができる。したがって、たとえば壁面の前方に確保されている空間が比較的狭い廊下等に通話端末が設置される場合でも、通話端末が通行の邪魔になりにくいという利点がある。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明において、前記本体モジュールが、前面の周部に前面側から挿入される取付ねじを用いて壁に固定され、前記露出パネルが、前記取付ねじの前面側を覆うプレート部を一体に有することを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、本体モジュールを壁に固定するための取付ねじをプレート部で覆い隠すことができるので、取付ねじを露出させる場合に比べて通話装置の外観がよくなる。また、プレート部は露出パネルに一体に形成されているので、取付ねじを覆い隠すために別部材を取り付ける場合に比べると、部品点数を少なく抑えることができ通話端末の設置の作業性が向上する。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかの発明において、前記本体モジュールおよび前記露出パネルのそれぞれには、互いに係合することで本体モジュールに露出パネルを装着する取付手段と、本体モジュールに露出パネルが装着されることで前記第1回路部と前記第2回路部とを互いに電気的に接続する接続手段とが設けられていることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、取付手段を互いに係合させることにより、本体モジュールに露出パネルを装着することができるとともに、第1回路部と第2回路部とを接続手段で電気的に接続することができるので、本体モジュールに露出パネルを装着する作業と第1回路部および第2回路部の接続作業とを別々に行う場合に比べて、作業性が向上する。
【0017】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記本体モジュールが、前面が矩形状でそれぞれ前面の横方向の寸法が異なる複数種類の本体モジュールの中から選択可能であって、前記露出パネルが、前記取付手段および前記接続手段を所定の位置に有しており、各種の本体モジュールにおける取付手段および接続手段の位置が、複数種類の本体モジュールに露出パネルが装着可能となるように、露出パネルの取付手段および接続手段の位置に合わせて設定されていることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、露出パネルがそれぞれ前面の横方向の寸法が異なる複数種類の本体モジュールに装着可能であるから、各種の本体モジュールごとに専用の露出パネルを用意する必要はなく、したがって、露出パネルの開発、製造にかかるコストを低コストに抑えることができるという利点がある。
【0019】
請求項7の発明は、請求項5の発明において、前記露出パネルが、同一の前記取付手段および前記接続手段を複数組備えることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、本体モジュールに露出パネルを装着するときに、露出パネルの複数組の取付手段および接続手段のうち使用する取付手段および接続手段を変更することにより、本体モジュールに対する露出パネルの位置を調節することができる。したがって、たとえば本体モジュールの周囲の壁面に突出物がある場合に、この突出物を避けた位置に露出パネルを配置することなどが可能になる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、相手側端末との間で通話を可能とするための内部回路が、本体モジュール内の第1回路部と露出パネル内の第2回路部とに分割して設けられているので、本体モジュールと露出パネルとを別々に交換することができ、したがって、通話端末全体を交換することなく、通話端末の機能を変更することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下の各実施形態では、宅内の壁に取り付けられ、宅外に設置された相手側端末としての子機端末(図示せず)に対して信号線(図示せず)を用いて接続されることによりインターホンシステムを構築し、子機端末との間で通話可能となる親機端末を通話端末の一例として、本発明の通話端末の構成を説明する。この通話端末は映像表示部を備えており、来訪者を撮像するカメラ(図示せず)が設けられた相手側端末に接続されることにより、相手側端末のカメラで撮像された映像を表示することができる。なお、子機端末は、カメラの他、操作入力が可能な操作部と、スピーカおよびマイクロフォンを具備し通話端末との通話時に音声の入出力を行う音声入出力部と、音声信号や映像信号の入出力を行う信号処理部と、信号線が接続される端子部とを有している。
【0023】
(実施形態1)
本実施形態の通話端末Aは、図2に示すように、壁内に後部を収める形で壁に固定される本体モジュールBと、本体モジュールBの前面側に着脱可能に装着される露出パネルCとを備えている。以下では、通話端末Aを壁に取り付けた状態での上下左右を上下左右として通話端末Aの構成を説明する。
【0024】
本体モジュールBは、図3に示すように、前面に矩形状の開口部を有する箱状に形成されたボディ1と、ボディ1の前面に覆着されるカバー2とで構成される器体3を備え、回路基板に種々の電気部品が実装されてなる第1回路部4が器体3内に収納された構成を有する。さらに、本体モジュールBは、ボディ1の後壁の2箇所に端子窓5が貫設されており、商用電源供給用の電源線(図示せず)が接続される電源端子部6(図1参照)を一方の端子窓5から器体3の外部に露出させるように備え、信号線(図示せず)が接続される信号端子部7を他方の端子窓(図示せず)から器体3の外部に露出させるように備えている。ボディ1とカバー2とは、カバー2の上下方向の各端部から後方に突出した結合片8に設けた結合孔8aに、ボディ1の上下方向の両端面における前端部に設けた結合爪9をそれぞれ係合させることにより結合される。
【0025】
露出パネルCは、前面が矩形状の薄箱状に形成されたパネルケース10を備え、種々の電気部品が実装されてなる第2回路部(図示せず)がパネルケース10内に収納された構成を有する。さらに、露出パネルCは、パネルケース10の前壁の一部に透明な表示窓11が配設されており、液晶パネルからなる映像表示部12を表示窓11を通して視認できるようにパネルケース10内に備えている。ここで、パネルケース10は、前面の左寄りの位置に表示窓11を有しており、表示窓11の右方には小孔が多数形成されたスピーカ取付部13が配設されるとともに、スピーカ取付部13の下方に操作部14(図1参照)を構成する操作ハンドル15が配設されている。さらに、表示窓11の左下方にはマイク用孔16が形成され、マイク用孔16の右方つまり表示窓11の下方には操作部14を構成する押釦17が左右方向に複数個列設されている。パネルケース10内において、スピーカ取付部13に対応する位置にはスピーカ18a(図1参照)が設けられ、マイク用孔16に対応する位置にはマイクロフォン18b(図1参照)が設けられ、スピーカ18aおよびマイクロフォン18bは、相手側端末との通話時に音声の入出力を行う音声入出力部18を構成する。なお、パネルケース10内において各操作ハンドル15および各押釦17に対応する位置には、それぞれ各操作ハンドル15および各押釦17と共に操作部14を構成する各種設定用のスイッチ(図示せず)や通話の開始・終了用のスイッチ(図示せず)などが設けられる。
【0026】
ところで、本実施形態の本体モジュールBは、図4に示すように、壁内に設置された埋込型の配線器具用のスイッチボックスSBを用いて壁に取り付けられる。スイッチボックスSBは、前面に取付窓が開口した箱状に形成されており、上下方向に対向する一対の内側面には、それぞれ本体モジュールBをスイッチボックスSBに固定する取付ねじ20(図8参照)用のねじ孔21を有した器具固定突起22が複数個ずつ突設されている。ここで、器具固定突起22はスイッチボックスSBの取付窓からねじ孔21が前方に露出するように、スイッチボックスSBの取付窓内に設けられる。壁面を構成する壁材WにおいてスイッチボックスSBに対応する部分には矩形状の施工孔23が開設される。施工孔23は、スイッチボックスSBの取付窓より小さく、且つ器具固定突起22に設けたねじ孔21を全て露出させる大きさに形成される。
【0027】
本体モジュールBは、この施工孔23を通して前方からスイッチボックスSBに取り付けられるのであって、器体3の後部をスイッチボックスSB内に収納可能な形状および寸法に形成されている。また、本実施形態では、器体3は1連用の取付枠(図示せず)を2個まで取付可能なスイッチボックスSBに対応する大きさに形成されている。ここでいう1連用の取付枠とは、「JIS C8375」で規格化されている3個用の取付枠を意味しており、以下では、1連用の取付枠が左右方向に2個連接された寸法を「2連用」、3個連接された寸法を「3連用」と呼ぶ。すなわち、本実施形態の本体モジュールBは、上下方向に対向する一対の内側面にそれぞれ器具固定突起22が2個ずつ設けられた2連用のスイッチボックスSBに取付可能な寸法に設定される。
【0028】
具体的に説明すると、カバー2は、前面側における上下方向の各端縁のそれぞれから互いに離れる向きに延設された一対の取付板24を連続一体に有する。一対の取付板24は、カバー2の左右方向の略全長にわたって形成される。各取付板24には、埋込型の配線器具をスイッチボックスSBに固定する際に用いられる取付枠と同様に、取付ねじ20を挿通するボックス用孔25がそれぞれ複数個(ここでは2個)ずつ形成され、かつ上下方向においてボックス用孔25より外側(つまり上側の取付板24においては上方、下側の取付板24においては下方)の部位には、後述する化粧プレートPを固定する固定ねじ(図示せず)用のプレート用孔26が複数個(ここでは2個)ずつ形成されている。なお、各取付板24はカバー2に比較して前方に突出している。さらに、各取付板24のうち各ボックス用孔25の周囲は取付板24における他の部位よりも厚肉に形成されており、取付ねじ20を締め付けた際の器体3の変形を抑制するようにボックス用孔25の周囲を補強している。
【0029】
ここにおいて、本体モジュールBと露出パネルCとのそれぞれには、互いに係合することで本体モジュールBに露出パネルCを装着する取付手段が設けられている。本体モジュールBにおいては、図3のように、下側の取付板24の前面から突出した鉤片27と、上側の取付板24に設けた係合孔28とが取付手段として設けられている。鉤片27は、取付板24の前面から前方に突出し、先端部が上方に延長されることによりL字状に形成されており、左右方向に複数個(ここでは3個)並設される形に設けられている。係合孔28は、取付板24における左右方向の各端部を切り欠くことで形成されている。
【0030】
露出パネルCにおいては、背面側の下端部であって各鉤片27に対応する位置にそれぞれ形成され鉤片27の先端部が挿入されることで鉤片27に引っ掛かる引掛穴29と、背面側の上端部であって各係合孔28に対応する位置にそれぞれ突設され先端部が互いに近づく向きに延長されることによりL字状に形成された一対の係合爪19(図11参照)とが取付手段として設けられている。この構成により、本体モジュールBの鉤片27の先端部を露出パネルCの引掛穴29に挿入した状態で、露出パネルCの上端部を本体モジュールB側に押し付けて露出パネルCの係合爪19を本体モジュールBの係合孔28に係合させれば、露出パネルCが本体モジュールBに装着されることとなる。
【0031】
一方、通話端末AをスイッチボックスSBに取り付けただけの状態では、施工孔23内において通話端末Aと壁材Wとの間に隙間が生じることになる。そこで、埋込型の配線器具用の化粧プレートPが通話端末Aに取り付けられる。化粧プレートPは、図4に示すように、露出パネルCの周囲を包囲する枠状のプレート枠30、およびプレート枠30の前面側に取着される化粧カバー31とで構成される。プレート枠30は取付板24に設けたプレート用孔26に固定ねじを螺合させることにより固定され、化粧カバー31は背面に突設された係止爪(図示せず)をプレート枠30に設けられた係止穴(図示せず)に係止させることによりプレート枠30に取り付けられる。これにより、施工孔23は通話端末Aおよび化粧プレートPによって塞がれることになる。ここでは3連用の化粧プレートPを用いている。なお、本実施形態では、壁面からの露出パネルCの前面の突出高さを壁面からの化粧プレートPの突出高さに揃えるように、壁面からの通話端末Aの突出量を設定している。
【0032】
また、露出パネルCは前面が3連用のスイッチボックスSBに取付可能な配線器具と同等の大きさに形成されている。露出パネルCは、パネルケース10の上下方向の各端部が、それぞれ背面側を凹ませることで他部よりも前後方向に薄く形成されたプレート部32(図11参照)を構成している。各プレート部32は、パネルケース10の左右方向の略全長にわたって形成され、本体モジュールBに露出パネルCを装着した状態で本体モジュールBの取付板24に突き合わされる。したがって、本体モジュールBに露出パネルCを装着した状態では、プレート部32が取付ねじ20の前面側を覆うことになる。ただし、プレート用孔26については本体モジュールBに露出パネルCを装着した状態でも前方に露出するように、露出パネルCは本体モジュールBの前面に比較して上下方向の寸法が小さく設定されている。ここに、プレート部32の背面側における各ボックス用孔25と対向する位置には、各ボックス用孔25の形状に合わせて凹所33(図11参照)がそれぞれ形成される。
【0033】
なお、通話端末Aが、本実施形態の本体モジュールBおよび露出パネルCのように分割可能でない場合において、取付ねじ20を露出させないためには、たとえば図5に示すように、器体3の前面における取付ねじ20が露出する部位に取着されるねじ隠しプレート34を設ける構成、あるいは図6に示すように、専用の取付金具35を取付ねじ20でスイッチボックスSBに固定した後、プレート枠30が器体3と一体に形成された通話端末Aを取付金具35に対して固定ねじで固定し、プレート枠30に化粧カバー31を取着する構成を採用することが考えられる。ただし、これらの構成では、取付ねじ20を覆い隠すための別部材(ねじ隠しプレート34)あるいは専用の取付金具35を用いる必要があるので、これらの構成に比べて、本実施形態では部品点数を少なく抑えることができ通話端末Aの設置の作業性が向上するという利点がある。
【0034】
ところで、通話端末Aにおいて相手側端末との間で通話を可能とするための内部回路は、本体モジュールB内の上記第1回路部4と露出パネルC内の上記第2回路部とに分割して設けられている。
【0035】
すなわち、本体モジュールB内の第1回路部4は、図3のように前後方向に対向する電源基板36とインタフェース基板37と、電源基板36とインタフェース基板37とを接続するベース基板38との3枚の回路基板を備えている。電源基板36はインタフェース基板37の後方に配置され、ベース基板38は電源基板36およびインタフェース基板37の下方に配置される。電源基板36には、図1に示すように電源スイッチSWを介して電源端子部6に接続され、内部回路に直流電源を供給する電源部39(AC/DC電源部39aおよびDC/DC電源部39b)が設けられ、インタフェース基板37には、図1に示すように信号端子部7に接続され少なくとも信号線の回線電圧に基づいて相手側端末からの呼出を検出する呼出検出機能を有した外部インタフェース部40が設けられている。ここに、電源端子部6に電源線が接続されている状態では、電源スイッチSWのオン時に内部回路に給電され、電源スイッチSWのオフ時に内部回路への給電が停止する。電源スイッチSWは、電源基板36に実装されており、インタフェース基板37に貫設された挿通孔(図示せず)およびカバー2に貫設されたスイッチ用孔41を通して、本体モジュールBの前面側に露出する。
【0036】
一方、露出パネルC内の第2回路部には、図1に示すように音声入出力部18および映像表示部12と外部インタフェース部40とに接続され、音声信号や映像信号の入出力を行う信号処理部42と、操作部14からの操作入力を受け付けて内部回路の各部の動作を制御する全体制御部43とを備えている。信号処理部42においては、スピーカ18aへの音声信号を増幅するスピーカアンプおよびマイクロフォン18bからの音声信号を増幅するマイクアンプを有した音声処理部44と、相手側端末からの映像信号を復調する復調回路を有し映像表示部12に映像を表示する映像伝送処理部45とが設けられている。なお、本実施形態では、信号線に音声信号と映像信号とが多重化されて伝送されている。そのため、信号処理部42には、音声処理部44および映像伝送処理部45と外部インタフェース部40との間に挿入され、多重化された音声信号と映像信号とを分離する多重分離部42aが設けられている。
【0037】
第1回路部4と第2回路部とは、本体モジュールBの前面側に設けられた接続手段としてのモジュール側接触端子46と、露出パネルCの背面側に設けられた接続手段としてのパネル側接触端子47とを接触させることにより互いに電気的に接続される。モジュール側接触端子46は、図3のように本体モジュールB内のベース基板38に配設されており、カバー2に設けた接触端子孔48を通して本体モジュールBの前面側に露出する。モジュール側接触端子46およびパネル側接触端子47は本体モジュールBに露出パネルCを装着した状態で互いに突き合わされる位置に配設されており、本体モジュールBに露出パネルCを装着するだけでモジュール側接触端子46およびパネル側接触端子47が互いに接触することにより第1回路部4と第2回路部との電気的接続が完了する。したがって、本体モジュールBに露出パネルCを装着する作業と第1回路部4および第2回路部の接続作業とを別々に行う場合に比べて、作業性が向上する。
【0038】
ところで、本実施形態の通話端末Aは、露出パネルCがそれぞれ異なる複数種類の露出パネルCの中から択一的に選択可能であって、本体モジュールBがこれら複数種類の露出パネルCに共用される。具体的に説明すると、露出パネルCには、音声入出力部18や映像表示部12や信号処理部42や操作部14や全体制御部43のように、通話端末Aの機能に応じて適宜変更される構成が集約され、一方、本体モジュールBには、電源端子部6や電源部39や信号端子部7や外部インタフェース部40のように、通話端末Aの機能によらず共通する構成が集約されている。さらに、複数種類の露出パネルCにおいて、取付手段としての引掛穴29および係合爪19の構成と、接続手段としてのパネル側接触端子47の構成との両方を共通の仕様としてある。
【0039】
複数種類の露出パネルCの例としては、たとえば、図7に示すように上述した構成の露出パネルC1に対して、映像を録画・再生する機能を追加した露出パネルC2や、映像表示部12の画面サイズを大きくあるいは小さくした露出パネルC3などがある。すなわち、共通の本体モジュールBに対して複数種類の露出パネルC1〜C3を択一的に選択して装着することによって、それぞれ機能の異なる複数種類の通話端末A1〜A3を実現することができる。
【0040】
この構成によれば、複数種類の露出パネルCにおいて本体モジュールBを共用することができるから、本体モジュールBに装着する露出パネルCを別の種類の露出パネルCに交換するだけで、通話端末Aにおける録画・再生機能の有無や画面サイズなどを容易に変更することができ、通話端末A全体を交換する必要はない。ここで、露出パネルCは本体モジュールBに着脱可能に装着されているので露出パネルCの交換は容易に行うことができる。また、各種の露出パネルCごとに個別に本体モジュールBを用意する必要がないので、多様な機能の通話端末Aを提供しながらも、本体モジュールBの開発、製造にかかるコストを低コストに抑えることができる。しかも、本実施形態では音声処理や映像処理に関する機能を露出パネルCに集約しているので、露出パネルCと本体モジュールBとの間の電気的接続を行う接続線数(つまり、モジュール側接触端子46およびパネル側接触端子47の各端子数)を比較的少なく抑えることができるという利点もある。
【0041】
次に、上述した通話端末Aを壁に取り付ける手順について図4を参照して説明する。まず本体モジュールBに電源線および信号線を挿入接続したうえで、スイッチボックスSBに対して本体モジュールBを取付ねじ20で固定する。それから、プレート枠30を固定ねじで本体モジュールBに取り付け、その後、露出パネルCを本体モジュールBに装着する。そして、化粧カバー31をプレート枠30に装着すれば、取付作業は完了する。なお、この取付作業は、本体モジュールBがスイッチ本体に相当し露出パネルCがスイッチハンドルに相当すると考えれば、埋込型の壁スイッチの取付作業に類似するから、この通話端末Aは壁スイッチと同様、比較的簡単に取り付けられる。
【0042】
なお、図4の例では、露出パネルCの上端縁から上方に突出する規制片49を設け、化粧カバー31を規制片49に重ねて装着することにより、化粧カバー31をプレート枠30から外さなければ露出パネルCを本体モジュールBから脱着できない構造としているが、図8に示すように、規制片49を省略することにより、プレート枠30および化粧カバー31を取り付けた状態で露出パネルCの着脱が可能な構造を採用してもよい。
【0043】
上述した構成の通話端末Aを相手側端末と共に用いることにより構築されるインターホンシステムの動作について、以下に簡単に説明する。
【0044】
通話端末Aは、来訪者により相手側端末からの呼び出しがあった場合に、相手側端末からの呼出音をスピーカ18aで出力するとともに相手側端末のカメラで撮像された映像を映像表示部12に表示する。そして、通話用の操作ハンドル15を押操作すると通話端末Aにおいて相手側端末との通話が可能な状態になる。通話用の操作ハンドル15を再度押操作すれば相手側端末との通話を終了する。
【0045】
なお、本実施形態では、通話端末Aを壁に取り付けるために、スイッチボックスSBを用いる例を示したが、この構成に限るものではなく、スイッチボックスSB以外の専用部材(たとえば埋込型の配線器具用の取付時に用いられる挟み金具)を用いて通話端末Aを壁に取り付けるようにしてもよい。
【0046】
また、本実施形態では取付手段として、本体モジュールBに鉤片27および係合孔28を設け、露出パネルCに引掛穴29および係合爪19を設ける例を示したが、この構成は一例に過ぎず、互いに係合することで本体モジュールBに露出パネルCを装着する取付手段が本体モジュールBと露出パネルCとのそれぞれに設けられていればよく、たとえば本体モジュールBに引掛穴および係合爪を設け、露出パネルCに鉤片および係合孔を設けてもよい。
【0047】
(実施形態2)
本実施形態の通話端末Aは、図9に示すように、本体モジュールBが左右方向(横方向)の寸法が異なる複数種類の本体モジュールB1〜B3の中から選択可能である点が実施形態1の通話端末Aと相違する。
【0048】
本実施形態では、露出パネルCは取付手段としての引掛穴29および係合爪19と、接続手段としてのパネル側接触端子47とを、いずれも左右方向の中央部に有している。一方、各種の本体モジュールB1〜B3における取付手段としての鉤片27および係合孔28と、接続手段としてのモジュール側接触端子46との位置は、露出パネルCの引掛穴29および係合爪19とパネル側接触端子47との位置に合わせて設定されている。
【0049】
これにより、図9に示すように、共通の露出パネルCをそれぞれ左右方向の寸法が異なる複数種類の本体モジュールB1〜B3に装着可能になるから、各種の本体モジュールB1〜B3ごとに各別の露出パネルCを用意する必要はなく、したがって、露出パネルCの開発、製造にかかるコストを低コストに抑えることができるという利点がある。なお、図9(a)〜(c)にはそれぞれ1連用、2連用、3連用のスイッチボックスSBに取付可能な寸法に設定された各本体モジュールB1〜B3に、同一の露出パネルCを装着した例を示す。
【0050】
その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
【0051】
(実施形態3)
本実施形態の通話端末Aは、図10に示すように、露出パネルCが、同一の取付手段としての引掛穴29および係合爪19と、接続手段としてのパネル側接触端子47とを複数組備える点が実施形態1の通話端末Aと相違する。ここで、本体モジュールBにおいては、取付手段としての鉤片27および係合孔28と、接続手段としてのモジュール側接触端子46との位置は、露出パネルCの各取付手段(引掛穴29および係合爪19)と各接続手段(パネル側接触端子47)との位置に合わせて設定されている。
【0052】
ここにおいて、本実施形態の露出パネルCは、実施形態1と同様に前面が3連用のスイッチボックスSBに取付可能な配線器具と同等の大きさに形成されており、取付手段(引掛穴29および係合爪19)と各接続手段(パネル側接触端子47)との組が、図11に示すように、左右方向に3組並設されている。したがって、たとえば2連用のスイッチボックスSBに取付可能な寸法の本体モジュールBに露出パネルCを装着する場合には、図10(a)に示すように、露出パネルCの左端縁と本体モジュールBの左端縁とを揃える形で露出パネルCの左端寄りに本体モジュールBが配置される装着状態と、図10(b)に示すように、露出パネルCの右端縁と本体モジュールBの右端縁とを揃える形で露出パネルCの右端寄りに本体モジュールBが配置される装着状態との2種類の装着状態から、所望の装着状態を選択することができる。
【0053】
すなわち、本実施形態の構成によれば、本体モジュールBに露出パネルCを装着するときに、露出パネルCの複数組の取付手段および接続手段のうち使用する取付手段および接続手段を変更することにより、本体モジュールBに対する露出パネルCの位置を調節することができる。そのため、たとえば本体モジュールBの周囲の壁面に突出物がある場合に、この突出物を避けた位置に露出パネルCを配置することなどが可能になる。
【0054】
また、1連用のスイッチボックスSBに取付可能な寸法の本体モジュールBに露出パネルCを装着する場合には、図10(c)に示すように、露出パネルCにおける左右方向の中央部に本体モジュールBが配置される装着状態と、露出パネルCの左端寄りに本体モジュールBが配置される装着状態と、露出パネルCの右端寄りに本体モジュールBが配置される装着状態との3種類の装着状態から、所望の装着状態を選択することができる。
【0055】
その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
【0056】
(実施形態4)
本実施形態の通話端末Aは、図12に示すように、壁内に埋め込まれることなく壁面に背面を対向させる形で壁に固定される露出型の本体モジュールBを備えた点が実施形態1ないし実施形態3のいずれかに記載の通話端末Aと相違する。
【0057】
すなわち、実施形態1〜3においては壁内に後部を収める形で壁に固定される埋込モジュールからなる本体モジュールBを採用した通話端末Aについて説明したが、本実施形態の通話端末Aは、壁内に埋め込まれることなく壁に取り付けられる露出型の本体モジュールBを採用している。
【0058】
図12の例では、本体モジュールBが前面を露出パネルCより小さい矩形状とし且つ露出パネルCより薄型の薄箱状に形成された器体3を備えるとともに、露出パネルCの背面側には本体モジュールBの器体3の外形に合わせて形成された収容凹部50が開口しており、露出パネルCの収容凹部50に本体モジュールBの器体3を嵌め込むことにより露出パネルCが本体モジュールBに装着される。ここで、収容凹部50の底面には接続手段となるパネル側接触端子47が配置され、且つ本体モジュールBの前面においてパネル側接触端子47と対向する部位には接続手段となるモジュール側接触端子46が配置されており、本体モジュールBに露出パネルCを装着するだけでモジュール側接触端子46およびパネル側接触端子47が互いに接触することにより第1回路部4と第2回路部との電気的接続が完了する。また、収容凹部50の底面を除く内側面には、本体モジュールBの外周面に形成された取付手段としての取着爪(図示せず)が係合する取着穴(図示せず)が取付手段として形成される。なお、図示例の収容凹部50は下方に開放されている。
【0059】
以上説明した構成によれば、たとえば壁の材質や壁内に存在する柱の配置などに起因した制約を受けることにより埋込型の本体モジュールBを設置できないような場所でも、本実施形態の露出型の本体モジュールBであれば設置可能となる場合があり、結果的に、通話端末Aの配置の自由度が向上するという利点がある。
【0060】
その他の構成および機能は実施形態1ないし実施形態3のいずれかに記載の通話端末Aと同様である。
【0061】
なお、上述した各実施形態では、本発明の通話端末Aの一例として、相手側端末のカメラで撮影された映像を表示する機能を有した通話端末Aを例示したが、本発明の通話端末Aに映像を表示する機能は必須ではなく、単に相手側端末との間で通話が可能な通話端末Aであればよい。また、本発明を適用する通話端末Aは、上述した各実施形態のように子機端末と共にインターホンシステムを構築するものに限らず、たとえば公衆回線を介して相手側通話端末と通話が可能な電話などであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施形態1の構成を示すブロック図である。
【図2】同上の取付状態を示す概略図である。
【図3】同上の分解斜視図である。
【図4】同上の取付例を示す分解斜視図である。
【図5】同上の他の構成を示し、(a)は分解斜視図、(b)は取付状態の斜視図である。
【図6】同上のさらに他の構成を示し、(a)は分解斜視図、(b)は取付状態の斜視図である。
【図7】同上の露出パネルと本体モジュールの組み合わせ例を示す概略図である。
【図8】同上の構成を示し、(a)は露出パネルを外した状態の斜視図、(b)は取付状態の斜視図である。
【図9】本発明の実施形態2の構成を示す概略図である。
【図10】本発明の実施形態3の構成を示す概略図である。
【図11】同上の露出パネルを示す斜視図である。
【図12】本発明の実施形態4の構成を示し、(a)は前面側から見た斜視図、(b)は背面側から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0063】
4 第1回路部
6 電源端子部
7 信号端子部
18 音声入出力部
19 係合爪(取付手段)
20 取付ねじ
27 鉤片(取付手段)
28 係合孔(取付手段)
29 引掛穴(取付手段)
32 プレート部
39 電源部
40 外部インタフェース部
42 信号処理部
46 モジュール側接触端子(接続手段)
47 パネル側接触端子(接続手段)
A 通話端末
B 本体モジュール
C 露出パネル
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁に取り付けられ相手側端末との間で通話が可能な通話端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の通話端末として、たとえば宅外に設置された相手側端末としての子機端末(ドアホン子機)に対して信号線を用いて接続されることによりインターホンシステムを構築し、相手側端末との間で通話可能となるもの(インターホン親機)などが提供されている。
【0003】
また、近年では、壁面からの器体の突出量を小さく抑えために、壁内に器体の後部が埋め込まれた形で取り付けられる埋込型の通話端末も提案されている(たとえば特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載の通話端末においては、他の埋込型の配線器具との外観上の統一感を出すとともに、取り付けに用いる部材の低コスト化を図るために、一般に普及している埋込型の配線器具用のスイッチボックスを用いて壁に取付可能としてある。すなわち、通話端末の器体の後部をスイッチボックス内に収める形で、スイッチボックスに設けたねじ孔に螺合する取付ねじを用いて通話端末をスイッチボックスに固定する。ここで、特許文献1の通話端末においては、取付ねじ用の取付孔が器体に設けられており、器体をスイッチボックスに直接固定できるから、埋込型の配線器具をスイッチボックスに固定するために用いられる取付枠が不要である。
【特許文献1】特開平6−291818号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した通話端末では、相手側端末との間で通話を可能とするための内部回路が全て1つの器体内に収納されており、そのため、通話端末の機能を一部でも変更する場合には、通話端末全体を交換する必要がある。特に、通話端末が後部を壁内に埋め込んだ形で取り付けられている場合には、通話端末全体の交換作業は面倒である。
【0006】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであって、全体を交換しなくても機能を変更することができる通話端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、壁に取り付けられ相手側端末との間で通話が可能な通話端末であって、壁に固定される本体モジュールと、本体モジュールの前面側に着脱可能に装着される露出パネルとを備え、相手側端末との間で通話を可能とするための内部回路が、本体モジュール内の第1回路部と露出パネル内の第2回路部とに分割して設けられていることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、相手側端末との間で通話を可能とするための内部回路が、本体モジュール内の第1回路部と露出パネル内の第2回路部とに分割して設けられているので、本体モジュールと露出パネルとを別々に交換することができ、たとえば露出パネルの機能を変更する場合には、本体モジュールに装着する露出パネルを別の種類の露出パネルに交換するだけでよく、本体モジュール自体は交換する必要がない。したがって、通話端末全体を交換することなく、通話端末の機能を変更することができる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記露出パネルが、少なくとも音声の入出力を行う音声入出力部を有し、且つ音声信号の入出力を行う信号処理部を前記第2回路部に含み、それぞれ異なる複数種類の露出パネルの中から選択可能であって、前記本体モジュールが、電源線が接続される電源端子部と、信号線が接続される信号端子部とを有し、且つ電源端子部に接続され内部回路に直流電源を供給する電源部と、信号端子部に接続される外部インタフェース部とを前記第1回路部に含むことで、複数種類の露出パネルに共用されることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、複数種類の露出パネルにおいて本体モジュールを共用することができるから、各種の露出パネルごとに本体モジュールを用意する必要はない。したがって、本体モジュールの開発、製造にかかるコストを低コストに抑えることができるという利点がある。しかも、音声処理に関する機能を露出パネルに集約しているので、露出パネルを別の種類の露出パネルに交換するだけで、通話端末における音声処理に関する機能を変更することができる。また、音声処理に関する機能を露出パネルに集約したことで、露出パネルと本体モジュールとの間の電気的接続を行う接続線数を比較的少なく抑えることができる。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、前記本体モジュールが、壁内に後部を収める形で壁に固定される埋込モジュールからなることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、本体モジュールの後部が壁内に収まるので、壁内に埋め込まれることなく壁面に背面を対向させる形で本体モジュールを固定する場合に比べて、本体モジュールおよび露出パネルの壁面からの突出量を小さく抑えることができる。したがって、たとえば壁面の前方に確保されている空間が比較的狭い廊下等に通話端末が設置される場合でも、通話端末が通行の邪魔になりにくいという利点がある。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明において、前記本体モジュールが、前面の周部に前面側から挿入される取付ねじを用いて壁に固定され、前記露出パネルが、前記取付ねじの前面側を覆うプレート部を一体に有することを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、本体モジュールを壁に固定するための取付ねじをプレート部で覆い隠すことができるので、取付ねじを露出させる場合に比べて通話装置の外観がよくなる。また、プレート部は露出パネルに一体に形成されているので、取付ねじを覆い隠すために別部材を取り付ける場合に比べると、部品点数を少なく抑えることができ通話端末の設置の作業性が向上する。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかの発明において、前記本体モジュールおよび前記露出パネルのそれぞれには、互いに係合することで本体モジュールに露出パネルを装着する取付手段と、本体モジュールに露出パネルが装着されることで前記第1回路部と前記第2回路部とを互いに電気的に接続する接続手段とが設けられていることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、取付手段を互いに係合させることにより、本体モジュールに露出パネルを装着することができるとともに、第1回路部と第2回路部とを接続手段で電気的に接続することができるので、本体モジュールに露出パネルを装着する作業と第1回路部および第2回路部の接続作業とを別々に行う場合に比べて、作業性が向上する。
【0017】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記本体モジュールが、前面が矩形状でそれぞれ前面の横方向の寸法が異なる複数種類の本体モジュールの中から選択可能であって、前記露出パネルが、前記取付手段および前記接続手段を所定の位置に有しており、各種の本体モジュールにおける取付手段および接続手段の位置が、複数種類の本体モジュールに露出パネルが装着可能となるように、露出パネルの取付手段および接続手段の位置に合わせて設定されていることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、露出パネルがそれぞれ前面の横方向の寸法が異なる複数種類の本体モジュールに装着可能であるから、各種の本体モジュールごとに専用の露出パネルを用意する必要はなく、したがって、露出パネルの開発、製造にかかるコストを低コストに抑えることができるという利点がある。
【0019】
請求項7の発明は、請求項5の発明において、前記露出パネルが、同一の前記取付手段および前記接続手段を複数組備えることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、本体モジュールに露出パネルを装着するときに、露出パネルの複数組の取付手段および接続手段のうち使用する取付手段および接続手段を変更することにより、本体モジュールに対する露出パネルの位置を調節することができる。したがって、たとえば本体モジュールの周囲の壁面に突出物がある場合に、この突出物を避けた位置に露出パネルを配置することなどが可能になる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、相手側端末との間で通話を可能とするための内部回路が、本体モジュール内の第1回路部と露出パネル内の第2回路部とに分割して設けられているので、本体モジュールと露出パネルとを別々に交換することができ、したがって、通話端末全体を交換することなく、通話端末の機能を変更することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下の各実施形態では、宅内の壁に取り付けられ、宅外に設置された相手側端末としての子機端末(図示せず)に対して信号線(図示せず)を用いて接続されることによりインターホンシステムを構築し、子機端末との間で通話可能となる親機端末を通話端末の一例として、本発明の通話端末の構成を説明する。この通話端末は映像表示部を備えており、来訪者を撮像するカメラ(図示せず)が設けられた相手側端末に接続されることにより、相手側端末のカメラで撮像された映像を表示することができる。なお、子機端末は、カメラの他、操作入力が可能な操作部と、スピーカおよびマイクロフォンを具備し通話端末との通話時に音声の入出力を行う音声入出力部と、音声信号や映像信号の入出力を行う信号処理部と、信号線が接続される端子部とを有している。
【0023】
(実施形態1)
本実施形態の通話端末Aは、図2に示すように、壁内に後部を収める形で壁に固定される本体モジュールBと、本体モジュールBの前面側に着脱可能に装着される露出パネルCとを備えている。以下では、通話端末Aを壁に取り付けた状態での上下左右を上下左右として通話端末Aの構成を説明する。
【0024】
本体モジュールBは、図3に示すように、前面に矩形状の開口部を有する箱状に形成されたボディ1と、ボディ1の前面に覆着されるカバー2とで構成される器体3を備え、回路基板に種々の電気部品が実装されてなる第1回路部4が器体3内に収納された構成を有する。さらに、本体モジュールBは、ボディ1の後壁の2箇所に端子窓5が貫設されており、商用電源供給用の電源線(図示せず)が接続される電源端子部6(図1参照)を一方の端子窓5から器体3の外部に露出させるように備え、信号線(図示せず)が接続される信号端子部7を他方の端子窓(図示せず)から器体3の外部に露出させるように備えている。ボディ1とカバー2とは、カバー2の上下方向の各端部から後方に突出した結合片8に設けた結合孔8aに、ボディ1の上下方向の両端面における前端部に設けた結合爪9をそれぞれ係合させることにより結合される。
【0025】
露出パネルCは、前面が矩形状の薄箱状に形成されたパネルケース10を備え、種々の電気部品が実装されてなる第2回路部(図示せず)がパネルケース10内に収納された構成を有する。さらに、露出パネルCは、パネルケース10の前壁の一部に透明な表示窓11が配設されており、液晶パネルからなる映像表示部12を表示窓11を通して視認できるようにパネルケース10内に備えている。ここで、パネルケース10は、前面の左寄りの位置に表示窓11を有しており、表示窓11の右方には小孔が多数形成されたスピーカ取付部13が配設されるとともに、スピーカ取付部13の下方に操作部14(図1参照)を構成する操作ハンドル15が配設されている。さらに、表示窓11の左下方にはマイク用孔16が形成され、マイク用孔16の右方つまり表示窓11の下方には操作部14を構成する押釦17が左右方向に複数個列設されている。パネルケース10内において、スピーカ取付部13に対応する位置にはスピーカ18a(図1参照)が設けられ、マイク用孔16に対応する位置にはマイクロフォン18b(図1参照)が設けられ、スピーカ18aおよびマイクロフォン18bは、相手側端末との通話時に音声の入出力を行う音声入出力部18を構成する。なお、パネルケース10内において各操作ハンドル15および各押釦17に対応する位置には、それぞれ各操作ハンドル15および各押釦17と共に操作部14を構成する各種設定用のスイッチ(図示せず)や通話の開始・終了用のスイッチ(図示せず)などが設けられる。
【0026】
ところで、本実施形態の本体モジュールBは、図4に示すように、壁内に設置された埋込型の配線器具用のスイッチボックスSBを用いて壁に取り付けられる。スイッチボックスSBは、前面に取付窓が開口した箱状に形成されており、上下方向に対向する一対の内側面には、それぞれ本体モジュールBをスイッチボックスSBに固定する取付ねじ20(図8参照)用のねじ孔21を有した器具固定突起22が複数個ずつ突設されている。ここで、器具固定突起22はスイッチボックスSBの取付窓からねじ孔21が前方に露出するように、スイッチボックスSBの取付窓内に設けられる。壁面を構成する壁材WにおいてスイッチボックスSBに対応する部分には矩形状の施工孔23が開設される。施工孔23は、スイッチボックスSBの取付窓より小さく、且つ器具固定突起22に設けたねじ孔21を全て露出させる大きさに形成される。
【0027】
本体モジュールBは、この施工孔23を通して前方からスイッチボックスSBに取り付けられるのであって、器体3の後部をスイッチボックスSB内に収納可能な形状および寸法に形成されている。また、本実施形態では、器体3は1連用の取付枠(図示せず)を2個まで取付可能なスイッチボックスSBに対応する大きさに形成されている。ここでいう1連用の取付枠とは、「JIS C8375」で規格化されている3個用の取付枠を意味しており、以下では、1連用の取付枠が左右方向に2個連接された寸法を「2連用」、3個連接された寸法を「3連用」と呼ぶ。すなわち、本実施形態の本体モジュールBは、上下方向に対向する一対の内側面にそれぞれ器具固定突起22が2個ずつ設けられた2連用のスイッチボックスSBに取付可能な寸法に設定される。
【0028】
具体的に説明すると、カバー2は、前面側における上下方向の各端縁のそれぞれから互いに離れる向きに延設された一対の取付板24を連続一体に有する。一対の取付板24は、カバー2の左右方向の略全長にわたって形成される。各取付板24には、埋込型の配線器具をスイッチボックスSBに固定する際に用いられる取付枠と同様に、取付ねじ20を挿通するボックス用孔25がそれぞれ複数個(ここでは2個)ずつ形成され、かつ上下方向においてボックス用孔25より外側(つまり上側の取付板24においては上方、下側の取付板24においては下方)の部位には、後述する化粧プレートPを固定する固定ねじ(図示せず)用のプレート用孔26が複数個(ここでは2個)ずつ形成されている。なお、各取付板24はカバー2に比較して前方に突出している。さらに、各取付板24のうち各ボックス用孔25の周囲は取付板24における他の部位よりも厚肉に形成されており、取付ねじ20を締め付けた際の器体3の変形を抑制するようにボックス用孔25の周囲を補強している。
【0029】
ここにおいて、本体モジュールBと露出パネルCとのそれぞれには、互いに係合することで本体モジュールBに露出パネルCを装着する取付手段が設けられている。本体モジュールBにおいては、図3のように、下側の取付板24の前面から突出した鉤片27と、上側の取付板24に設けた係合孔28とが取付手段として設けられている。鉤片27は、取付板24の前面から前方に突出し、先端部が上方に延長されることによりL字状に形成されており、左右方向に複数個(ここでは3個)並設される形に設けられている。係合孔28は、取付板24における左右方向の各端部を切り欠くことで形成されている。
【0030】
露出パネルCにおいては、背面側の下端部であって各鉤片27に対応する位置にそれぞれ形成され鉤片27の先端部が挿入されることで鉤片27に引っ掛かる引掛穴29と、背面側の上端部であって各係合孔28に対応する位置にそれぞれ突設され先端部が互いに近づく向きに延長されることによりL字状に形成された一対の係合爪19(図11参照)とが取付手段として設けられている。この構成により、本体モジュールBの鉤片27の先端部を露出パネルCの引掛穴29に挿入した状態で、露出パネルCの上端部を本体モジュールB側に押し付けて露出パネルCの係合爪19を本体モジュールBの係合孔28に係合させれば、露出パネルCが本体モジュールBに装着されることとなる。
【0031】
一方、通話端末AをスイッチボックスSBに取り付けただけの状態では、施工孔23内において通話端末Aと壁材Wとの間に隙間が生じることになる。そこで、埋込型の配線器具用の化粧プレートPが通話端末Aに取り付けられる。化粧プレートPは、図4に示すように、露出パネルCの周囲を包囲する枠状のプレート枠30、およびプレート枠30の前面側に取着される化粧カバー31とで構成される。プレート枠30は取付板24に設けたプレート用孔26に固定ねじを螺合させることにより固定され、化粧カバー31は背面に突設された係止爪(図示せず)をプレート枠30に設けられた係止穴(図示せず)に係止させることによりプレート枠30に取り付けられる。これにより、施工孔23は通話端末Aおよび化粧プレートPによって塞がれることになる。ここでは3連用の化粧プレートPを用いている。なお、本実施形態では、壁面からの露出パネルCの前面の突出高さを壁面からの化粧プレートPの突出高さに揃えるように、壁面からの通話端末Aの突出量を設定している。
【0032】
また、露出パネルCは前面が3連用のスイッチボックスSBに取付可能な配線器具と同等の大きさに形成されている。露出パネルCは、パネルケース10の上下方向の各端部が、それぞれ背面側を凹ませることで他部よりも前後方向に薄く形成されたプレート部32(図11参照)を構成している。各プレート部32は、パネルケース10の左右方向の略全長にわたって形成され、本体モジュールBに露出パネルCを装着した状態で本体モジュールBの取付板24に突き合わされる。したがって、本体モジュールBに露出パネルCを装着した状態では、プレート部32が取付ねじ20の前面側を覆うことになる。ただし、プレート用孔26については本体モジュールBに露出パネルCを装着した状態でも前方に露出するように、露出パネルCは本体モジュールBの前面に比較して上下方向の寸法が小さく設定されている。ここに、プレート部32の背面側における各ボックス用孔25と対向する位置には、各ボックス用孔25の形状に合わせて凹所33(図11参照)がそれぞれ形成される。
【0033】
なお、通話端末Aが、本実施形態の本体モジュールBおよび露出パネルCのように分割可能でない場合において、取付ねじ20を露出させないためには、たとえば図5に示すように、器体3の前面における取付ねじ20が露出する部位に取着されるねじ隠しプレート34を設ける構成、あるいは図6に示すように、専用の取付金具35を取付ねじ20でスイッチボックスSBに固定した後、プレート枠30が器体3と一体に形成された通話端末Aを取付金具35に対して固定ねじで固定し、プレート枠30に化粧カバー31を取着する構成を採用することが考えられる。ただし、これらの構成では、取付ねじ20を覆い隠すための別部材(ねじ隠しプレート34)あるいは専用の取付金具35を用いる必要があるので、これらの構成に比べて、本実施形態では部品点数を少なく抑えることができ通話端末Aの設置の作業性が向上するという利点がある。
【0034】
ところで、通話端末Aにおいて相手側端末との間で通話を可能とするための内部回路は、本体モジュールB内の上記第1回路部4と露出パネルC内の上記第2回路部とに分割して設けられている。
【0035】
すなわち、本体モジュールB内の第1回路部4は、図3のように前後方向に対向する電源基板36とインタフェース基板37と、電源基板36とインタフェース基板37とを接続するベース基板38との3枚の回路基板を備えている。電源基板36はインタフェース基板37の後方に配置され、ベース基板38は電源基板36およびインタフェース基板37の下方に配置される。電源基板36には、図1に示すように電源スイッチSWを介して電源端子部6に接続され、内部回路に直流電源を供給する電源部39(AC/DC電源部39aおよびDC/DC電源部39b)が設けられ、インタフェース基板37には、図1に示すように信号端子部7に接続され少なくとも信号線の回線電圧に基づいて相手側端末からの呼出を検出する呼出検出機能を有した外部インタフェース部40が設けられている。ここに、電源端子部6に電源線が接続されている状態では、電源スイッチSWのオン時に内部回路に給電され、電源スイッチSWのオフ時に内部回路への給電が停止する。電源スイッチSWは、電源基板36に実装されており、インタフェース基板37に貫設された挿通孔(図示せず)およびカバー2に貫設されたスイッチ用孔41を通して、本体モジュールBの前面側に露出する。
【0036】
一方、露出パネルC内の第2回路部には、図1に示すように音声入出力部18および映像表示部12と外部インタフェース部40とに接続され、音声信号や映像信号の入出力を行う信号処理部42と、操作部14からの操作入力を受け付けて内部回路の各部の動作を制御する全体制御部43とを備えている。信号処理部42においては、スピーカ18aへの音声信号を増幅するスピーカアンプおよびマイクロフォン18bからの音声信号を増幅するマイクアンプを有した音声処理部44と、相手側端末からの映像信号を復調する復調回路を有し映像表示部12に映像を表示する映像伝送処理部45とが設けられている。なお、本実施形態では、信号線に音声信号と映像信号とが多重化されて伝送されている。そのため、信号処理部42には、音声処理部44および映像伝送処理部45と外部インタフェース部40との間に挿入され、多重化された音声信号と映像信号とを分離する多重分離部42aが設けられている。
【0037】
第1回路部4と第2回路部とは、本体モジュールBの前面側に設けられた接続手段としてのモジュール側接触端子46と、露出パネルCの背面側に設けられた接続手段としてのパネル側接触端子47とを接触させることにより互いに電気的に接続される。モジュール側接触端子46は、図3のように本体モジュールB内のベース基板38に配設されており、カバー2に設けた接触端子孔48を通して本体モジュールBの前面側に露出する。モジュール側接触端子46およびパネル側接触端子47は本体モジュールBに露出パネルCを装着した状態で互いに突き合わされる位置に配設されており、本体モジュールBに露出パネルCを装着するだけでモジュール側接触端子46およびパネル側接触端子47が互いに接触することにより第1回路部4と第2回路部との電気的接続が完了する。したがって、本体モジュールBに露出パネルCを装着する作業と第1回路部4および第2回路部の接続作業とを別々に行う場合に比べて、作業性が向上する。
【0038】
ところで、本実施形態の通話端末Aは、露出パネルCがそれぞれ異なる複数種類の露出パネルCの中から択一的に選択可能であって、本体モジュールBがこれら複数種類の露出パネルCに共用される。具体的に説明すると、露出パネルCには、音声入出力部18や映像表示部12や信号処理部42や操作部14や全体制御部43のように、通話端末Aの機能に応じて適宜変更される構成が集約され、一方、本体モジュールBには、電源端子部6や電源部39や信号端子部7や外部インタフェース部40のように、通話端末Aの機能によらず共通する構成が集約されている。さらに、複数種類の露出パネルCにおいて、取付手段としての引掛穴29および係合爪19の構成と、接続手段としてのパネル側接触端子47の構成との両方を共通の仕様としてある。
【0039】
複数種類の露出パネルCの例としては、たとえば、図7に示すように上述した構成の露出パネルC1に対して、映像を録画・再生する機能を追加した露出パネルC2や、映像表示部12の画面サイズを大きくあるいは小さくした露出パネルC3などがある。すなわち、共通の本体モジュールBに対して複数種類の露出パネルC1〜C3を択一的に選択して装着することによって、それぞれ機能の異なる複数種類の通話端末A1〜A3を実現することができる。
【0040】
この構成によれば、複数種類の露出パネルCにおいて本体モジュールBを共用することができるから、本体モジュールBに装着する露出パネルCを別の種類の露出パネルCに交換するだけで、通話端末Aにおける録画・再生機能の有無や画面サイズなどを容易に変更することができ、通話端末A全体を交換する必要はない。ここで、露出パネルCは本体モジュールBに着脱可能に装着されているので露出パネルCの交換は容易に行うことができる。また、各種の露出パネルCごとに個別に本体モジュールBを用意する必要がないので、多様な機能の通話端末Aを提供しながらも、本体モジュールBの開発、製造にかかるコストを低コストに抑えることができる。しかも、本実施形態では音声処理や映像処理に関する機能を露出パネルCに集約しているので、露出パネルCと本体モジュールBとの間の電気的接続を行う接続線数(つまり、モジュール側接触端子46およびパネル側接触端子47の各端子数)を比較的少なく抑えることができるという利点もある。
【0041】
次に、上述した通話端末Aを壁に取り付ける手順について図4を参照して説明する。まず本体モジュールBに電源線および信号線を挿入接続したうえで、スイッチボックスSBに対して本体モジュールBを取付ねじ20で固定する。それから、プレート枠30を固定ねじで本体モジュールBに取り付け、その後、露出パネルCを本体モジュールBに装着する。そして、化粧カバー31をプレート枠30に装着すれば、取付作業は完了する。なお、この取付作業は、本体モジュールBがスイッチ本体に相当し露出パネルCがスイッチハンドルに相当すると考えれば、埋込型の壁スイッチの取付作業に類似するから、この通話端末Aは壁スイッチと同様、比較的簡単に取り付けられる。
【0042】
なお、図4の例では、露出パネルCの上端縁から上方に突出する規制片49を設け、化粧カバー31を規制片49に重ねて装着することにより、化粧カバー31をプレート枠30から外さなければ露出パネルCを本体モジュールBから脱着できない構造としているが、図8に示すように、規制片49を省略することにより、プレート枠30および化粧カバー31を取り付けた状態で露出パネルCの着脱が可能な構造を採用してもよい。
【0043】
上述した構成の通話端末Aを相手側端末と共に用いることにより構築されるインターホンシステムの動作について、以下に簡単に説明する。
【0044】
通話端末Aは、来訪者により相手側端末からの呼び出しがあった場合に、相手側端末からの呼出音をスピーカ18aで出力するとともに相手側端末のカメラで撮像された映像を映像表示部12に表示する。そして、通話用の操作ハンドル15を押操作すると通話端末Aにおいて相手側端末との通話が可能な状態になる。通話用の操作ハンドル15を再度押操作すれば相手側端末との通話を終了する。
【0045】
なお、本実施形態では、通話端末Aを壁に取り付けるために、スイッチボックスSBを用いる例を示したが、この構成に限るものではなく、スイッチボックスSB以外の専用部材(たとえば埋込型の配線器具用の取付時に用いられる挟み金具)を用いて通話端末Aを壁に取り付けるようにしてもよい。
【0046】
また、本実施形態では取付手段として、本体モジュールBに鉤片27および係合孔28を設け、露出パネルCに引掛穴29および係合爪19を設ける例を示したが、この構成は一例に過ぎず、互いに係合することで本体モジュールBに露出パネルCを装着する取付手段が本体モジュールBと露出パネルCとのそれぞれに設けられていればよく、たとえば本体モジュールBに引掛穴および係合爪を設け、露出パネルCに鉤片および係合孔を設けてもよい。
【0047】
(実施形態2)
本実施形態の通話端末Aは、図9に示すように、本体モジュールBが左右方向(横方向)の寸法が異なる複数種類の本体モジュールB1〜B3の中から選択可能である点が実施形態1の通話端末Aと相違する。
【0048】
本実施形態では、露出パネルCは取付手段としての引掛穴29および係合爪19と、接続手段としてのパネル側接触端子47とを、いずれも左右方向の中央部に有している。一方、各種の本体モジュールB1〜B3における取付手段としての鉤片27および係合孔28と、接続手段としてのモジュール側接触端子46との位置は、露出パネルCの引掛穴29および係合爪19とパネル側接触端子47との位置に合わせて設定されている。
【0049】
これにより、図9に示すように、共通の露出パネルCをそれぞれ左右方向の寸法が異なる複数種類の本体モジュールB1〜B3に装着可能になるから、各種の本体モジュールB1〜B3ごとに各別の露出パネルCを用意する必要はなく、したがって、露出パネルCの開発、製造にかかるコストを低コストに抑えることができるという利点がある。なお、図9(a)〜(c)にはそれぞれ1連用、2連用、3連用のスイッチボックスSBに取付可能な寸法に設定された各本体モジュールB1〜B3に、同一の露出パネルCを装着した例を示す。
【0050】
その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
【0051】
(実施形態3)
本実施形態の通話端末Aは、図10に示すように、露出パネルCが、同一の取付手段としての引掛穴29および係合爪19と、接続手段としてのパネル側接触端子47とを複数組備える点が実施形態1の通話端末Aと相違する。ここで、本体モジュールBにおいては、取付手段としての鉤片27および係合孔28と、接続手段としてのモジュール側接触端子46との位置は、露出パネルCの各取付手段(引掛穴29および係合爪19)と各接続手段(パネル側接触端子47)との位置に合わせて設定されている。
【0052】
ここにおいて、本実施形態の露出パネルCは、実施形態1と同様に前面が3連用のスイッチボックスSBに取付可能な配線器具と同等の大きさに形成されており、取付手段(引掛穴29および係合爪19)と各接続手段(パネル側接触端子47)との組が、図11に示すように、左右方向に3組並設されている。したがって、たとえば2連用のスイッチボックスSBに取付可能な寸法の本体モジュールBに露出パネルCを装着する場合には、図10(a)に示すように、露出パネルCの左端縁と本体モジュールBの左端縁とを揃える形で露出パネルCの左端寄りに本体モジュールBが配置される装着状態と、図10(b)に示すように、露出パネルCの右端縁と本体モジュールBの右端縁とを揃える形で露出パネルCの右端寄りに本体モジュールBが配置される装着状態との2種類の装着状態から、所望の装着状態を選択することができる。
【0053】
すなわち、本実施形態の構成によれば、本体モジュールBに露出パネルCを装着するときに、露出パネルCの複数組の取付手段および接続手段のうち使用する取付手段および接続手段を変更することにより、本体モジュールBに対する露出パネルCの位置を調節することができる。そのため、たとえば本体モジュールBの周囲の壁面に突出物がある場合に、この突出物を避けた位置に露出パネルCを配置することなどが可能になる。
【0054】
また、1連用のスイッチボックスSBに取付可能な寸法の本体モジュールBに露出パネルCを装着する場合には、図10(c)に示すように、露出パネルCにおける左右方向の中央部に本体モジュールBが配置される装着状態と、露出パネルCの左端寄りに本体モジュールBが配置される装着状態と、露出パネルCの右端寄りに本体モジュールBが配置される装着状態との3種類の装着状態から、所望の装着状態を選択することができる。
【0055】
その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
【0056】
(実施形態4)
本実施形態の通話端末Aは、図12に示すように、壁内に埋め込まれることなく壁面に背面を対向させる形で壁に固定される露出型の本体モジュールBを備えた点が実施形態1ないし実施形態3のいずれかに記載の通話端末Aと相違する。
【0057】
すなわち、実施形態1〜3においては壁内に後部を収める形で壁に固定される埋込モジュールからなる本体モジュールBを採用した通話端末Aについて説明したが、本実施形態の通話端末Aは、壁内に埋め込まれることなく壁に取り付けられる露出型の本体モジュールBを採用している。
【0058】
図12の例では、本体モジュールBが前面を露出パネルCより小さい矩形状とし且つ露出パネルCより薄型の薄箱状に形成された器体3を備えるとともに、露出パネルCの背面側には本体モジュールBの器体3の外形に合わせて形成された収容凹部50が開口しており、露出パネルCの収容凹部50に本体モジュールBの器体3を嵌め込むことにより露出パネルCが本体モジュールBに装着される。ここで、収容凹部50の底面には接続手段となるパネル側接触端子47が配置され、且つ本体モジュールBの前面においてパネル側接触端子47と対向する部位には接続手段となるモジュール側接触端子46が配置されており、本体モジュールBに露出パネルCを装着するだけでモジュール側接触端子46およびパネル側接触端子47が互いに接触することにより第1回路部4と第2回路部との電気的接続が完了する。また、収容凹部50の底面を除く内側面には、本体モジュールBの外周面に形成された取付手段としての取着爪(図示せず)が係合する取着穴(図示せず)が取付手段として形成される。なお、図示例の収容凹部50は下方に開放されている。
【0059】
以上説明した構成によれば、たとえば壁の材質や壁内に存在する柱の配置などに起因した制約を受けることにより埋込型の本体モジュールBを設置できないような場所でも、本実施形態の露出型の本体モジュールBであれば設置可能となる場合があり、結果的に、通話端末Aの配置の自由度が向上するという利点がある。
【0060】
その他の構成および機能は実施形態1ないし実施形態3のいずれかに記載の通話端末Aと同様である。
【0061】
なお、上述した各実施形態では、本発明の通話端末Aの一例として、相手側端末のカメラで撮影された映像を表示する機能を有した通話端末Aを例示したが、本発明の通話端末Aに映像を表示する機能は必須ではなく、単に相手側端末との間で通話が可能な通話端末Aであればよい。また、本発明を適用する通話端末Aは、上述した各実施形態のように子機端末と共にインターホンシステムを構築するものに限らず、たとえば公衆回線を介して相手側通話端末と通話が可能な電話などであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施形態1の構成を示すブロック図である。
【図2】同上の取付状態を示す概略図である。
【図3】同上の分解斜視図である。
【図4】同上の取付例を示す分解斜視図である。
【図5】同上の他の構成を示し、(a)は分解斜視図、(b)は取付状態の斜視図である。
【図6】同上のさらに他の構成を示し、(a)は分解斜視図、(b)は取付状態の斜視図である。
【図7】同上の露出パネルと本体モジュールの組み合わせ例を示す概略図である。
【図8】同上の構成を示し、(a)は露出パネルを外した状態の斜視図、(b)は取付状態の斜視図である。
【図9】本発明の実施形態2の構成を示す概略図である。
【図10】本発明の実施形態3の構成を示す概略図である。
【図11】同上の露出パネルを示す斜視図である。
【図12】本発明の実施形態4の構成を示し、(a)は前面側から見た斜視図、(b)は背面側から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0063】
4 第1回路部
6 電源端子部
7 信号端子部
18 音声入出力部
19 係合爪(取付手段)
20 取付ねじ
27 鉤片(取付手段)
28 係合孔(取付手段)
29 引掛穴(取付手段)
32 プレート部
39 電源部
40 外部インタフェース部
42 信号処理部
46 モジュール側接触端子(接続手段)
47 パネル側接触端子(接続手段)
A 通話端末
B 本体モジュール
C 露出パネル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁に取り付けられ相手側端末との間で通話が可能な通話端末であって、壁に固定される本体モジュールと、本体モジュールの前面側に着脱可能に装着される露出パネルとを備え、相手側端末との間で通話を可能とするための内部回路が、本体モジュール内の第1回路部と露出パネル内の第2回路部とに分割して設けられていることを特徴とする通話端末。
【請求項2】
前記露出パネルは、少なくとも音声の入出力を行う音声入出力部を有し、且つ音声信号の入出力を行う信号処理部を前記第2回路部に含み、それぞれ異なる複数種類の露出パネルの中から選択可能であって、前記本体モジュールは、電源線が接続される電源端子部と、信号線が接続される信号端子部とを有し、且つ電源端子部に接続され内部回路に直流電源を供給する電源部と、信号端子部に接続される外部インタフェース部とを前記第1回路部に含むことで、複数種類の露出パネルに共用されることを特徴とする請求項1記載の通話端末。
【請求項3】
前記本体モジュールは、壁内に後部を収める形で壁に固定される埋込モジュールからなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の通話端末。
【請求項4】
前記本体モジュールは、前面の周部に前面側から挿入される取付ねじを用いて壁に固定され、前記露出パネルは、前記取付ねじの前面側を覆うプレート部を一体に有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の通話端末。
【請求項5】
前記本体モジュールおよび前記露出パネルのそれぞれには、互いに係合することで本体モジュールに露出パネルを装着する取付手段と、本体モジュールに露出パネルが装着されることで前記第1回路部と前記第2回路部とを互いに電気的に接続する接続手段とが設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の通話端末。
【請求項6】
前記本体モジュールは、前面が矩形状でそれぞれ前面の横方向の寸法が異なる複数種類の本体モジュールの中から選択可能であって、前記露出パネルは、前記取付手段および前記接続手段を所定の位置に有しており、各種の本体モジュールにおける取付手段および接続手段の位置は、複数種類の本体モジュールに露出パネルが装着可能となるように、露出パネルの取付手段および接続手段の位置に合わせて設定されていることを特徴とする請求項5記載の通話端末。
【請求項7】
前記露出パネルは、同一の前記取付手段および前記接続手段を複数組備えることを特徴とする請求項5記載の通話端末。
【請求項1】
壁に取り付けられ相手側端末との間で通話が可能な通話端末であって、壁に固定される本体モジュールと、本体モジュールの前面側に着脱可能に装着される露出パネルとを備え、相手側端末との間で通話を可能とするための内部回路が、本体モジュール内の第1回路部と露出パネル内の第2回路部とに分割して設けられていることを特徴とする通話端末。
【請求項2】
前記露出パネルは、少なくとも音声の入出力を行う音声入出力部を有し、且つ音声信号の入出力を行う信号処理部を前記第2回路部に含み、それぞれ異なる複数種類の露出パネルの中から選択可能であって、前記本体モジュールは、電源線が接続される電源端子部と、信号線が接続される信号端子部とを有し、且つ電源端子部に接続され内部回路に直流電源を供給する電源部と、信号端子部に接続される外部インタフェース部とを前記第1回路部に含むことで、複数種類の露出パネルに共用されることを特徴とする請求項1記載の通話端末。
【請求項3】
前記本体モジュールは、壁内に後部を収める形で壁に固定される埋込モジュールからなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の通話端末。
【請求項4】
前記本体モジュールは、前面の周部に前面側から挿入される取付ねじを用いて壁に固定され、前記露出パネルは、前記取付ねじの前面側を覆うプレート部を一体に有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の通話端末。
【請求項5】
前記本体モジュールおよび前記露出パネルのそれぞれには、互いに係合することで本体モジュールに露出パネルを装着する取付手段と、本体モジュールに露出パネルが装着されることで前記第1回路部と前記第2回路部とを互いに電気的に接続する接続手段とが設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の通話端末。
【請求項6】
前記本体モジュールは、前面が矩形状でそれぞれ前面の横方向の寸法が異なる複数種類の本体モジュールの中から選択可能であって、前記露出パネルは、前記取付手段および前記接続手段を所定の位置に有しており、各種の本体モジュールにおける取付手段および接続手段の位置は、複数種類の本体モジュールに露出パネルが装着可能となるように、露出パネルの取付手段および接続手段の位置に合わせて設定されていることを特徴とする請求項5記載の通話端末。
【請求項7】
前記露出パネルは、同一の前記取付手段および前記接続手段を複数組備えることを特徴とする請求項5記載の通話端末。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−178076(P2008−178076A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−289838(P2007−289838)
【出願日】平成19年11月7日(2007.11.7)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月7日(2007.11.7)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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