説明

速度誤差ベクトル解析法

【課題】違反者に予知されないように計測方位と計測時間を元に速度測定のために推定速度設定し計測結果を定量的に評価し、違反者の実際の速度を求めるための目標運動解析の評価法を開示し、予知されると言う問題点を解決する。
【解決の手段】実際の速度が不明であっても、速度誤差ベクトルの性質を利用し、目標計側始点方位を基準に、計測方位毎の速度誤差ベクトル(解析評価ポイント)の変化の割合が一定となる距離を求めれば、それが実際の計測距離となり、計測始点方位と実際の速度ベクトルの方向(既知)の延長線との交点及び計測終点方位と実際の速度ベクトルの方向(既知)の延長線との交点を結ぶ距離を計測時間で割れば実際の速度が判明し、本発明の課題を解決する事が出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目標運動解析に関するものであり、速度超過違反を取り締まるためのレーダ
ーによる速度の測定方法は、市販の受信機があれば取り締まりを予知されてしまう可能性
があり、取り締まりを予知されないために速度誤差ベクトルの性質を利用した高精度の速
度解析を実現するものである。
【背景技術】
【0002】
現在の速度取り締まりはオービスのような固定装置や移動取り締まり機によるもので、
そのほとんどがレーダーによる速度測定方法となっている。
しかし、市販のレーダー受信機により、取り締まりを予知する事が可能であり、現在ま
で取り締まり機を予知されないような測定方法が考案されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の取り締まり機のように、速度測定のためにレーダー波を送信していたのでは、市
販のレーダー受信機を悪用した悪質な速度違反者に予知されてしまう可能性がある。
本発明は、違反者に予知されないように計測方位と計測時間を元に速度測定のために推
定速度設定し計測結果を定量的に評価し、違反者の実際の速度を求めるための目標運動解
析の評価法を開示し、予知されると言う問題点を解決する事を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
実際の速度を計測する場合、必要なデータとして、実際の速度ベクトルの方向(既知)
計測方位、計測時間、推定速度ベクトル(法定速度等)があり、これらのデータにより解
析する基準を設定する事ができる。
しかし、求められた解析の基準は実際の計測対象の運動と相似三角形の関係にあり、そ
の中の一意な解となり、(図1の△ABCと△ADFを参照)実際の速度ベクトルと推定
速度ベクトルが等しい場のみが正しい解であると言える。
推定速度ベクトルの始点を、計測始点方位線上に沿って平行移動させると、計測方位と
推定方位(推定速度ベクトルの先端方位)に方位差が生じる。
この時、計測方位と推定速度ベクトルの延長線上との交点及び推定方位と推定速度ベク
トルの延長線上との交点を結んだものが問題を解決するための速度誤差ベクトルとなる。
(図1 E、Fを参照)
【0005】
速度誤差ベクトルを視覚的に評価しやすいように、速度誤差ベクトルを正規化表示する
場合、速度誤差ベクトルがプラスの場合は上に、マイナスの場合は下に90度回転させ、
速度誤差ベクトルの先端を速度誤差ベクトルの大きさを評価するための指標として解析評
価ポイントとする。
(図1の4,5を参照)
【0006】
速度誤差ベクトルの性質上、実際の速度ベクトルと推定速度ベクトルの始点が同一位置
にあり、ベクトルの方向が同一であれば、二つのベクトルの差分である速度誤差ベクトル
は計測時間毎に一定の変化率を保持する。(図2を参照)
【0007】
速度誤差ベクトルの性質
前提条件
1 実際の速度ベクトルと推定速度ベクトルの方向が同一であること。
2 実際の速度ベクトルと推定速度ベクトルの計測始点座標位置が同一であること。
性質1
前提条件を満たす時、実際の速度ベクトルと推定速度ベクトルの大きさに誤差がある
場合、計測開始時間を基準に、経過時間に対応した速度誤差ベクトルの大きさは、一定
の変化率を保持する。
(計測時間毎の速度誤差ベクトルの解析評価ポイントは、ある傾きを持った直線状に位
置する。)
性質2
前提条件を満たす時、実際の速度ベクトルと推定速度ベクトルの大きさが一致した場
合、計測開始時間を基準に、経過時間に対応した速度誤差ベクトルの大きさは、零を保
持する。
(計測時間毎の速度誤差ベクトルの解析評価ポイントは、傾きのない直線状に位置する)
【0008】
評価方法
解析評価ポイントが直線状になる計測距離を算出する。
評価方法1
性質1の状態の時、基準の法定速度が傾き0なので、解析評価ポイントの傾きを計算す
ると実際の超過速度を算出する事が可能である。
評価方法2
性質1を経て、解析評価ポイントの傾きが0となる推定速度を算出し(走行距離を計測
時間で割る)、性質2の状態に至った時、本発明が求める目標の真値(実際の計測位置、
実際の速度)と運動解析の推定速度が一致したと評価する。
(2次元、3次元でも性質は同じである。)
【0009】
速度誤差ベクトルは、例えば実際の速度60km/hと推定速度50km/hであれば
その速度誤差は10km/hとなり、3分間で500m、6分間で1,000mと言うよ
うに定比例の関係にあり、更に絶対尺度と同等の精度となることから、誰でも定量的な評
価を実施する事ができる。
【0010】
以上の事から実際の速度が不明であっても、速度誤差ベクトルの性質を利用し、目標計
側始点方位を基準に、計測方位毎の速度誤差ベクトル(解析評価ポイント)の変化の割合
が一定となる距離を求めれば、それが実際の計測距離となり、計測始点方位と実際の速度
ベクトルの方向(既知)の延長線との交点及び計測終点方位と実際の速度ベクトルの方向
(既知)の延長線との交点を結ぶ距離を計測時間で割れば実際の速度が判明し、本発明の
課題を解決する事が出来る。
【発明の効果】
【0011】
実際の速度が不明でも、速度誤差ベクトルの性質を利用する事により、絶対尺度と同等
の精度が保証され、実際の速度と推定の速度を比較し定量的に評価する事が可能となり、
その結果、高精度な速度(真値)を瞬時に求める事が容易となる。
【0012】
速度超過取り締まりのために、速度計測をしている事を予知されない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は走行中の車輌に対し、計測方位と計測時間を連続的に計測し、それらのデーターを元に速度測定のために推定速度設定し、計測結果を速度誤差ベクトルの性質を利用して定量的に評価・目標運動解析をする事により、違反者の実際の速度を瞬時に求め、違反者に予知される事無く速度違反を検挙する事が可能となる。
【実施例1】
【0014】
1 推定速度(法定速度)を設定する。
実際の速度ベクトルの方向は既知である。(図4を参照)
2 推定速度ベクトルの始点を計測始点方位線上に沿って距離を変化させ、各計測方位
毎の速度誤差ベクトルを算出し、得られた解析評価ポイントの傾きが直線状になる距
離を算出する。(図2を参照)
3 解析距離と解析ベクトルの方向がどの位当てはまっているのか評価をするために、
直線近似した解析評価ポイントの残差平方和の値又は、相関係数を評価対象とする事
も定量的で良い方法である。
4 解析距離と解析ベクトルの方向を微調整し更に精度を向上させる。
5 最も残差平方和が小さい(解析精度か高い)解析距離と解析ベクトルの方向が真値
であると評価する。
6 計測始点位置と計測終点位置を結ぶ距離を計測時間で割ったものが実際の速度とな
る。(図3 E,Gを参照)
7 最終的に求められた速度が本発明の解決する課題である目標運動解析による高精度
な速度となる。
解析評価ポイントを直線近似し、残差平方和が最も小さい距離とベクトルの方向を数学
的に回帰しながら解を自動的に求める事が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0015】
1 交通速度違反のステルス取り締まり。
(違反者は速度違反取り締まりの前兆を予知する事ができない)
2 産業上の目標運動解析(レーダーが故障した時の代替え利用)
3 1定点だけを計測する計測側の運動解析(1目標陸測による計測側の位置の極限)
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】速度誤差ベクトルの原理図
【図2】解析評価ポイントの評価原理図
【図3】解析評価ポイントの評価図
【図4】交通速度違反のステルス取り締まりの原理図
【符号の説明】
【0017】
1 推定速度ベクトル
2 実際の速度ベクトル
3 速度誤差ベクトル
4 解析評価ポイント(+)
5 解析評価ポイント(−)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実際の速度ベクトルと推定速度ベクトルとの差分である速度誤差ベクトルの性質を利用
した目標運動解析法

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−119864(P2006−119864A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−306510(P2004−306510)
【出願日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(592079354)
【Fターム(参考)】