説明

造粒ディスクからのオーバーサイズペレットの除去装置

造粒ディスクからのオーバーサイズペレットの除去装置は、同一平面上にあり、互いに平行であり、かつ水平プレート(2)に結合されている一連の円筒状ロッド(1)によって画定された鋤状工具(10)を有し、前記水平プレート(2)の中央部分は、軸方向を通り、伸縮自在のアーム(21)の先端部分に結合された垂直スリーブ(23)に選択的かつ調整可能に取り付けられるように、垂直かつ上方に突出している垂直管状アーム(3)に結合しており、前記垂直管状アーム(3)は、前記造粒ディスク(30)の近くに取り付けられており、前記造粒ディスク(30)の作動領域の上に突出しているトラス構造(20)を構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、鉱石ペレット工場にあるタイプの、造粒ディスクからのオーバーサイズペレットの除去装置に関する。より詳細には、本願は、非焼成(「グリーン」)ペレットの製造中に、所定のサイズより大きいペレット、すなわち上述したオーバーサイズペレットが形成されないように、ペレット化ディスクと共に用いられる工具に関する。
【背景技術】
【0002】
当業者に知られているように、鉄鉱石は、世界で一番広く生産され消費される鉱物性物質の1つである。経済面についていえば、鉄鉱業は、例えば、ブラジルなどの鉄鉱石の生産国にとって極めて重要であり、ブラジルでは、鉄鉱石は、同国の鉱物の総生産量の15%をも占め、生産される鉄鉱石の相当部分が海外市場に送られる。
【0003】
商業面についていえば、輸出用に生産される鉄鉱石は、自然鉱石、粒状鉱石、焼結フィード、ペレットフィードおよび凝集鉱石(すなわちペレット)の形で見出される製品である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、ペレット形状の鉄鉱石を得るためには、精鉱(dressed ore)にペプチゼーション(peptization)工程を行う必要がある。その目的は、鉱石の微粉や、石炭、その他の鉱物を凝集させて球状にし、その後焼成させる、すなわち、特殊な炉中でこれらのペレットを焼結させることにある。
【0005】
より詳細には、ペプチゼーション工程は、以下の5つの段階を有する。1)パルプ固体分の割合を70%〜75%まで上げる特別なタンク(増粘剤)中で、濃縮された鉱石パルプを収集する濃縮段階。2)真空フィルタとポンプを併用して、鉄鉱石パルプから水を除去し、含水量を適切なレベルまで下げる濾過段階。3)ペレット形成に好適な物理的条件と化学的条件を作り出すために、濾過生成物(ペレットフィード)を適切なサイロに貯蔵して、機械式撹拌機中で他の鉱石と混合する混合または粉砕段階。4)造粒ディスク上で未焼結(「グリーン」)ペレットを形成する造粒段階。5)造粒ディスク上で形成した未焼結またはグリーンペレットに、炉内で慎重に熱処理を行い、取り扱いと消費市場への輸送に適した物理的強度と機械的強度を付与する硬化または焼結段階。
【0006】
このように、上記に教示したように、「グリーン」ペレットとも呼ばれる未焼結ペレットの形成は造粒ディスク上で行われる。
【0007】
上記装置内では、原料(鉄鉱石)に所定量の水(8〜9%の水分)が噴霧される。わずかに傾斜させた位置に保持され、所定の速度で回転するディスクの円形の表面に鉱石が当たると、この鉱石は、ディスクの上向きの部分に絶えず送られるため、鉱石の粒体間に摩擦が生じてペレットの形成が始まる。回転が繰り返し、絶えず行われているため、特定の望ましいサイズが得られるまで、原料が追加されるようになる。
【0008】
この段階では、製品の品質に関する市場の要求を満たす最終製品を得るための基本的な条件としての凝集工程を厳密に制御することが必須であるが、これは、粒径分布(granulometric)の範囲の制御が、その後、製鋼工場にて行われる還元工程の重要な要件であるからである。
【0009】
しかし、当業者に知られているように、形成されるペレットの品質水準を、常に高水準に保つことがいつも可能であるとは限らない。これは、上記造粒ディスク上で未焼結ペレットを製造中に、組成と寸法が均質であり、消費市場の要求に適した鉱石ペレットを得るのを妨げる不都合が数多くある。
【0010】
このような不都合の中で目立つのが、標準サイズよりも大きなペレットの形成である。このような大きなペレットは、鉄鋼業界では「オーバーサイズペレット」と呼ばれている。
【0011】
オーバーサイズペレットの形成は、造粒ディスクの運動自体によって生ずるため、多いことが知られている。換言すれば、湿ったペレットがたまって多量の粘着剤となり、オーバーサイズペレットを形成する鉱石の核が理想的なサイズのペレットと衝突して、理想的なサイズのペレットが破壊される。その結果、その破片が取り込まれて、造粒経路に戻される材料の量が増え、工程の生産性に影響を与えがちである。これにより、生産量が低下し、製造コストが上昇する。したがって、ペプチゼーション工程(造粒段階)中にオペレータが頻繁に介入し、多くの場合は、スピアと呼ばれる槍状の棒とショベルとを使って、このような望ましくないオーバーサイズペレットを取り除く必要がある。
【0012】
オーバーサイズペレットの除去は可能であるものの、長期にわたると健康を損なう傾向のある、人間工学的に不適切な姿勢をオペレータが強いられてしまうため、オペレータが、この作業を、手間を要し、肉体的負担の大きな作業であるとみなしてしまう。
【0013】
オーバーサイズペレットのこの除去手順が不適切であるとみなされる別の理由は、オペレータによるペレットの品質管理は、監視すべき造粒ディスクが多いことと、造粒工程がほぼ連続して行われるために、ミスが生じやすいという点と関連している。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このため、本発明の目的の1つは、オーバーサイズペレットとして分類されうる直径にまで達したペレットを、迅速かつ常に除去して、造粒ディスク上に残されたオーバーサイズペレットによって、適切な直径の鉄ペレットが破壊あるいは破砕されるのを防ぐことが可能な、造粒ディスクからのオーバーサイズペレットの除去装置を提供することにある。
【0015】
本発明の別の目的は、望ましくない直径のペレットを除去するために、オペレータが、工具を用いて上記のように直接介入する必要のない、造粒ディスクからのオーバーサイズペレットの除去装置を提供することにある。
【0016】
本発明の上記ならびにその他の目的と利点は、造粒ディスクからのオーバーサイズペレットの除去装置であって、同一平面上にあり、互いに平行であり、かつ水平プレートに結合されている一連の円筒状ロッドによって画定された鋤状工具を有し、前記水平プレートの中央部分は、軸方向を通り、伸縮自在のアームの先端部分に結合された垂直スリーブに選択的かつ調整可能に取り付けられるように、垂直かつ上方に突出している垂直管状アームに結合しており、前記垂直管状アームは、前記造粒ディスクの近くに取り付けられており、前記造粒ディスクの作動領域の上に突出しているトラス構造を構成している装置を提供することによって達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明を、添付の図面を参照して、以下に記載する。
【0018】
これらの図面によれば、本発明の目的である、造粒ディスクからのオーバーサイズペレットの除去装置は、同一平面上にあり、互いに平行であり、かつ水平プレート2に結合されている一連の円筒状ロッド1によって画定された鋤状工具10を有し、水平プレート2の中央部分は、軸方向を通り、伸縮自在のアーム21の先端部分に結合された垂直スリーブ23に選択的かつ調整可能に取り付けられるように、垂直かつ上方に突出している垂直管状アーム3に結合しており、垂直管状アーム3は、造粒ディスク30の近くに取り付けられており、図面に示されるように、造粒ディスク30の作動領域の上に突出しているトラス構造20を構成している。
【0019】
伸縮自在のアーム21の先端部分の垂直の管状のスリーブ23には、少なくとも2つの内側にねじ切りされた径方向の孔22が設けられており、この孔22には、工具10の垂直管状アーム3によって直接かつ径方向に働く対応する締め付けボルト22aが螺入される。図3を参照のこと。
【0020】
ロッド1とプレート2の組み合わせ(鋤と呼ばれる)、造粒ディスク30の平面に対して垂直に、またある角度をもって、移動できるように、垂直管状アーム3は、垂直の管状のスリーブ23に対して軸回転運動が可能である(図4参照)。したがって、造粒ディスク30の縁に対して鋤1,2を選択的に調整可能となり、オーバーサイズペレットMを形成する鉱石の核がペプチゼーション工程のフィード経路に除去されて、未焼結(「グリーン」)ペレットの移動が激しくなる。
【0021】
トラス構造20は、互いに連結され、造粒ディスク30の壁または安全レール31に取り付けられた複数の金属製のI断面部材によって形成されている。図4を参照のこと。
【0022】
工具10は、特定の直径のオーバーサイズペレットMを除去するために、ロッド1間にギャップが存在する別のタイプの鋤1,2を有してもよいという点を強調するのが適切である。ここに記載も図示もしないが、考察すべき別の態様として、造粒ディスク30の中央への工具10の侵入を調整可能なように、伸縮自在のアーム21にテレスコピック式構成を付与してもよい点がある。
【0023】
好ましい構成の概念について記載したが、本発明の範囲を逸脱することなく、設計変更が可能であり、実施可能である点を強調するのが適切である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】造粒ディスクからのオーバーサイズペレットの除去装置の側面図。
【図2】造粒ディスクからのオーバーサイズペレットの除去装置の上面図。
【図3】図1の矢印Aの方向からみた、造粒ディスクからのオーバーサイズペレットの除去装置の斜視図。
【図4】造粒ディスクに搭載された状態の、オーバーサイズペレットを除去する装置の説明図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
造粒ディスクからのオーバーサイズペレットの除去装置であって、同一平面上にあり、互いに平行であり、かつ水平プレート(2)に結合されている一連の円筒状ロッド(1)によって画定された鋤状工具(10)を有し、前記水平プレート(2)の中央部分は、軸方向を通り、伸縮自在のアーム(21)の先端部分に結合された垂直スリーブ(23)に選択的かつ調整可能に取り付けられるように、垂直かつ上方に突出している垂直管状アーム(3)に結合しており、前記垂直管状アーム(3)は、前記造粒ディスク(30)の近くに取り付けられており、前記造粒ディスク(30)の作動領域の上に突出しているトラス構造(20)を構成している装置。
【請求項2】
トラス構造(20)を構成しており、前記造粒ディスク(30)の近くに取り付けられている前記伸縮自在のアーム(21)は、前記造粒ディスク(30)の作動領域の上に調整可能に突出していることを特徴とする請求項1に記載の造粒ディスクからのオーバーサイズペレットの除去装置。
【請求項3】
前記伸縮自在のアーム(21)の前記先端部分の前記垂直の管状のスリーブ(23)には、少なくとも2つの内側にねじ切りされた径方向の孔(22)が設けられており、前記孔(22)には、前記工具(10)の前記垂直管状アーム(3)によって直接かつ径方向に働く対応する締め付けボルト(22a)が螺入されることを特徴とする請求項1に記載の造粒ディスクからのオーバーサイズペレットの除去装置。
【請求項4】
鋤と呼ばれる前記ロッド(1)と前記プレート(2)の組み合わせが、前記造粒ディスク(30)の平面に対して垂直かつ角度を有して移動できるように、前記垂直管状アーム(3)は、前記垂直の管状のスリーブ(23)に対して軸回転運動が可能であることを特徴とする請求項1に記載の造粒ディスクからのオーバーサイズペレットの除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−519158(P2008−519158A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−539430(P2007−539430)
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【国際出願番号】PCT/BR2005/000230
【国際公開番号】WO2006/047846
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(506395954)
【Fターム(参考)】