造粒・コーティング方法および装置、並びにその方法を用いた電子写真用キャリアのコーティング方法および電子写真用キャリア
【課題】液状材料を安定して噴霧供給し得る造粒・コーティング方法および装置を提供する。
【解決手段】容器内に投入された粉体に衝突させるように、空気流を供給することにより該粉体を流動化させ、この流動化した粉体に対し、二流体式スプレーノズル方式によりスプレーガスを用いて溶媒、溶液、分散液またはスラリーからなるスプレー液のミストを噴霧する造粒・コーティング方法において、前記スプレー液に二相流を形成するためのスプレーガスをあらかじめ混合し、この混合物からスプレーノズル内流路中で二相流を形成させて流速を加速した後、さらに該二相流とスプレーガスとを衝突させることにより該二相流をミスト化して噴霧することを特徴とする造粒・コーティング方法。
【解決手段】容器内に投入された粉体に衝突させるように、空気流を供給することにより該粉体を流動化させ、この流動化した粉体に対し、二流体式スプレーノズル方式によりスプレーガスを用いて溶媒、溶液、分散液またはスラリーからなるスプレー液のミストを噴霧する造粒・コーティング方法において、前記スプレー液に二相流を形成するためのスプレーガスをあらかじめ混合し、この混合物からスプレーノズル内流路中で二相流を形成させて流速を加速した後、さらに該二相流とスプレーガスとを衝突させることにより該二相流をミスト化して噴霧することを特徴とする造粒・コーティング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶液、分散液、スラリー等の液状材料を噴霧供給する造粒・コーティング方法および二流体式スプレーノズルを備えた造粒・コーティング装置並びにその方法を用いた電子写真用キャリアのコーティング方法および電子写真用キャリアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の造粒・コーティング装置は、造粒室の内部に様々な材料を噴霧して、当該材料からなる粒状あるいは顆粒状の製品を製造したり、あらかじめ装置内部に仕込まれた粉体の表面をコーティングしたり、あるいは前記粉体を接着することで造粒操作を行うものである。
【0003】
例えば、あらかじめ仕込まれた粉体に対し、スプレーノズルによって造粒室の内部に液状材料を噴霧し、当該造粒室の内部で粉体粒子の表面を濡らしつつこれを乾燥させ、コーティング、あるいは造粒された粒子を形成する。一般に、コーティングされる粉体層の底部にはエアー供給部を設けてあり、ここから供給された空気流によって前記粒子を流動させつつ乾燥する。当該造粒装置を用いることで、コーティング膜厚や、粒子径を制御した粒子を製造することができる。このような装置・方法には、たとえば特許文献1のような流動層装置が用いられる。
しかし、上記のような従来の造粒・コーティング装置を用いて粒子を製造する場合には、以下に示すような問題があった。
【0004】
まず、造粒・コーティング装置全般の課題について説明する。
スプレーノズルに代表される液供給手段を用いて液を粉体粒子に噴霧する操作、とくに造粒・コーティング操作においては、常に粉体粒子同士が凝集することがあり、またそれら凝集物が装置内に付着することが知られている。
【0005】
凝集、付着により、製品歩留が低下したり、単位バッチ毎に凝集物が排出されないために次バッチの造粒製品に混入(コンタミ)したりする問題がおこる。
たとえば電子写真のキャリアの場合には、凝集して装置内に付着していた粒子には、それ以降噴霧液が付着する機会が少ないために未被膜粒子や被膜厚が薄い粒子が多量に含まれており、造粒製品の膜厚が薄膜化する原因ともなっている。所望の膜厚が得られない場合、造粒製品(キャリア)の耐久性が著しく低下し、高画質な画像を安定して得ることができなくなる。
【0006】
具体的な事例を挙げると、たとえば特許文献2〜4(造粒・コーティング装置及びキャリア粒子に関する)や特許文献5(微粒子をコーティングする方法に関する)に開示されている従来の造粒装置には、従来から粉体粒子同士が凝集して凝集物が発生したり、またそれら凝集物が装置内部に付着したりするといった問題が示されており、造粒・コーティング装置の温度や空気量や攪拌羽の回転速度などについて工夫がされている。
【0007】
しかし、このような粉体粒子同士が凝集したり、またそれが凝集物として装置内に付着したりするその他の大きな要因として、供給手段から粉体粒子へ供給されるコート液の連続性・均一性が挙げられる。
すなわち、このスプレーノズルにつまりが生じると、液滴サイズ(ミスト径とも言われる)の均一さや噴霧角度、方向が変化し、また噴霧液量が変化し、スプレーノズルの連続性・均一性が損なわれるのであるが、その結果、前述したような付着、凝集、歩留まりの低下が発生したり、もしくは促進されるのである。
【0008】
以下、さらに造粒・コーティング装置におけるスプレーノズルに関する課題について説明する。
造粒・コーティング装置、特に流動層装置の場合には、通常スプレーノズルの先端は、流動層内部の激しく流動する粉体にさらされるため、粉体がスプレーの先端に付着したり、噴霧孔に入り込んだりしやすく、ノズルの閉塞がよりいっそう起こりやすい。また、液状材料(スプレー液)が噴霧される以前に乾燥してしまい、乾燥した液体材料(すなわち、溶解物の析出や、分散質の凝集)によりノズルが閉塞することがある。また、液状材料(スプレー液)が乾燥しなくとも、固形微粒子が分散されたスラリー状の液体材料の場合は、ノズル内の流路中に分散質が凝集したり付着したりして閉塞することがある。
これらのノズルの閉塞は、運転の継続、バッチ運転の繰り返しにしたがって、不可逆的に進行する。
【0009】
この閉塞は、装置形態としては、粉粒体の密度の高い流動層の低部に設置されたスプレーノズルや、流動層の回転攪拌作用により遠心力により粉粒体の密度が高くなるサイドスプレー(流動層の側面に設置されたスプレー)において特に著しく、粉体材料面では、電子写真用のキャリアに代表されるような、30μmを下回るような小粒径であったり、おなじく、キャリアのように、比重の大きな材料をハンドリングしたりする際により顕著である。
【0010】
一般に、二流体式のスプレーノズルの場合、スプレーガスは微粒化するために例えば0.1〜0.6MPa程度の高圧で操作されるため、ガスノズルが閉塞することはまれであるが、液体側ノズルは本来高圧で操作される必要が無いため、一旦閉塞してしまうと自己回復することはまれであり、回復のために運転操作を停止し、メンテナンスが必要となる。それゆえ、スプレーノズルの閉塞を予防する方法についての提案が見受けられる。
【0011】
たとえば、特許文献6では、粉粒体に対するスプレーノズル(スプレーガン)を用いてコーティング処理を行う装置では、スプレーガンに徐々に液状材料が堆積付着し、閉塞する問題がある事が指摘されており、エアノズルに間欠的に圧縮空気をパージしたり、大容量低圧力のスプレーノズルを用いたりすることで改善を試みた事例が示されている。
【0012】
従来技術の他の事例としては、たとえば特許文献7において、流動層造粒・コーティング装置において、液体側ノズルの閉塞の問題が指摘され、液体側ノズルに機械的に位置変化するニードルを設け、ニードルによりノズル出口の固化物を除去する技術が提案されている。
【0013】
しかし、特許文献6の事例ではスプレー空気の使用量が大きくなるためにユーティリティー負荷が大きくなる問題があるし、気体側ノズルの閉塞防止には有効であるが、液体側ノズルの閉塞の改善には効果が得られにくい。また、特許文献7の事例における、機械的なクリーニング機構を付与する場合には、単にニードルを設置するのみならず、たとえば周動部の液体シール機構なども必要になり、ノズルの構造が過剰に複雑になる問題があるし、そもそも閉塞もしくは閉塞しかけたノズルを如何に回復させるかを主眼としたもので、対処療法の域を出ない。さらに、このニードルを使用した方式は、ニードル動作時の液流出の乱れにより、原材料によってはむしろつまりを誘発する問題があった。
【0014】
さらに、造粒・コーティング装置に用いられるスプレーノズルのその他の改良事例を説明する。
たとえば、二流体式スプレーノズルのスプレーガスの供給方法を改良し、優れたコーティング特性を有する流動層装置が提案されている(たとえば特許文献8参照。)。
しかし、特許文献8の事例では、スプレーガスを渦流とすることで、霧化特性に優れたスプレーノズルを利用し、これにより製品品質の均質化、粒度分布のシャープ化、製品収率の向上が図られている。特許文献8では、たとえばスプレーノズルには、特許文献9に記載のノズル形状と同等のものであることが示されている。
【0015】
別の優れたコーティング特性を有する流動層装置の提案事例としては、特許文献10などがある。特許文献10は、電子写真用のキャリアのコーティングの事例であり、斜型回転円盤上で遠心転動により流動化させたキャリア粒子にスプレーコーティングすることで、製品歩留まりの良好なコーティング装置を提供している。
しかし、特許文献8〜10においても、液体材料の供給や閉塞に関する課題については工夫が示されていない。
【0016】
さらに別の優れたコーティング特性を有する流動層装置の提案事例としては、特許文献14、15がある。
特許文献14のスプレーノズルは、液体噴出口の外側に噴霧用の一次空気流噴出路を、さらにこの一次空気流の外側に二次空気流噴出路を備えたものであり、概スプレーノズルを造粒コーティング装置へ用いた場合には、スプレーノズル出口周辺の粉粒体の挙動が活発化され、粗大粒子の形成や、粒子同士の二次凝集などの発生を防止することができるというものである。
【0017】
特許文献15の造粒コーティング方法は、特許文献14とは異なり、スプレーノズルの周囲に二次空気流を設け、ノズル先端付近の粉粒体の密度を下げ、粗大粒子の生成を予防することを試みたものである。
しかし、特許文献15においては、スプレーゾーンでの粗大粒子の形成や、粒子同士の二次凝集などの発生を防止することはできるが、スプレーノズルそのものに対する付着の軽減や、また付着に伴うノズルの閉塞、もしくは詰まりやすいスラリーや高粘度液体によるノズルの閉塞については、従来のスプレーノズルに対して改善が見られなかったうえ、従来のスプレーノズルよりもより多くの圧縮空気等を必要とするため、ランニングコストにも問題があった。また、適切な一次空気流と二次空気流の比率などの操作条件が示されておらず、工夫の余地もあった。
【0018】
以上のように、スプレーノズルは造粒・コーティングにおいて重要な要素ではあるものの、閉塞の問題があり、しかもこの閉塞の問題を根本的に解決する提案がなされていないのが実情である。しかし、造粒・コーティングにおけるノズル閉塞の問題は、品質・費用の双方において、大きな損失をもたらす。ノズルの閉塞により加工作業が中断したり、ロット加工が中断しなくとも凝集物等により品質が低下したり、さらにはロット不良を招き、一方品質劣化や加工作業の中断を避けるためにノズルの定期メンテナンスを実施する場合には常にメンテナンスの時間・費用を負担せねばならないのである。
【0019】
ノズルの閉塞に関する別分野の工夫の事例では、特許文献16において、ワックスを、流動する固体粒子にスプレーコーティングする技術分野であって、さらにワックス類を有機溶媒によって溶解してスプレーコートする代わりに加熱して溶解したワックスをスプレーコートする技術分野において、固体粒子を流動させながら、固体粒子の表面に加熱溶解させたワックス類を噴霧コーティングするに際し、該加熱溶解させたワックス類と加熱気体とを一方の流路内で混合し噴出すると共に、他方の流路から加熱気体を噴出する二流体ノズルを用い、該二流体ノズルの噴霧口の口径が1.5〜5.8mmの範囲であり、さらに該二流体ノズルがニードル弁を有しないノズルであることを特徴とするコーティング方法によって、噴霧時の冷却によるスプレーノズルの詰まりや溶解ワックスの粉末化、団粒の形成などを排したコーティング方法を提供できることが示されている。
特許文献10においても述べられているが、特に電子写真の分野では高画質、低コストが求められており、特にキャリアのコーティング方法におけるノズル閉塞対策は大きな課題である。
【特許文献1】特開2004−294690号公報
【特許文献2】特開平05−216285号公報
【特許文献3】特開平06−138710号公報
【特許文献4】特開平11−258857号公報
【特許文献5】特許第3329853号公報
【特許文献6】特開2000−140709号公報
【特許文献7】特開2000−312817号公報
【特許文献8】特開2003−001090号公報
【特許文献9】特開2000−254554号公報
【特許文献10】特開2003−280291号公報
【特許文献11】特開平07−265683号公報
【特許文献12】特開平09−094455号公報
【特許文献13】特開2001−170473号公報
【特許文献14】特許第2718520号公報
【特許文献15】特開平04−145937号公報
【特許文献16】特開平05−309314号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、このような従来技術の欠点を解消し、液状材料(スプレー液)を安定して噴霧供給し得る造粒・コーティング方法および装置を提供すること、メンテナンス負荷が小さく、かつ高生産効率な均質な造粒・コーティング粒子の製造方法を提供することにある。さらに、この方法および装置によって、凝集がなく、コート皮膜の均質な電子写真用キャリアを効率よく製造することができる製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題を解決するための本発明の構成は以下のとおりである。
(1)容器内に投入された粉体に衝突させるように、空気流を供給することにより該粉体を流動化させ、この流動化した粉体に対し、二流体式スプレーノズル方式によりスプレーガスを用いて溶媒、溶液、分散液またはスラリーからなるスプレー液のミストを噴霧する造粒・コーティング方法において、
前記スプレー液に二相流を形成するためのスプレーガスをあらかじめ混合し、この混合物からスプレーノズル内流路中で二相流を形成させて流速を加速した後、さらに該二相流とスプレーガスとを衝突させることにより該二相流をミスト化して噴霧することを特徴とする造粒・コーティング方法。
【0022】
(2)前記二相流を形成するためのスプレーガス量と、二相流をミスト化して噴霧するためのスプレーガス量との比が5:95〜40:60であることを特徴とする前記(1)に記載の造粒・コーティング方法。
(3)スプレーノズル内の前記二相流を形成するための流路の長さが、二相流が噴出する孔の円換算直径Dの4倍以上であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の造粒・コーティング方法。
(4)前記スプレーガスαで、液体βを噴霧するとき、αの使用量をX(NL/min、ノルマルリットル/分)とし、βの噴霧量をY(ml/min)とし、標準状態での空気の比重をaとし、水の比重をbとし、同じく標準状態でのスプレーガスαの比重をxとし、βの比重をyとしたとき、(Y×(y/b))/(X×(x/a))が、0.1〜3であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の造粒・コーティング方法。
【0023】
(5)前記二相流の形成方法が、ベンチュリー方式であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の造粒・コーティング方法。
(6)前記二相流の形成方法が、エジェクター方式であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の造粒・コーティング方法。
(7)前記二相流の形成方法が、リングノズル方式であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の造粒・コーティング方法。
(8)前記二相流の形成方法が、渦流方式であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の造粒・コーティング方法。
【0024】
(9)前記二相流の形成後であって、スプレーガスと衝突する前の二相流の流路に、回転力付与工程を有することを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の造粒・コーティング方法。
(10)前記粉体の流動化方法が、流動層方式であることを特徴とする前記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の造粒・コーティング方法。
(11)前記流動層の底部に設けた回転ディスクまたは旋回流を与える機構により、流動層内に攪拌・転動作用を与えることを特徴とする前記(10)に記載の造粒・コーティング方法。
【0025】
(12)容器内に投入された粉体に衝突させるように、空気流を供給することにより該粉体を流動化させ、この流動化した粉体に対し、二流体式スプレーノズル方式によりスプレーガスを用いて溶媒、溶液、分散液またはスラリーからなるスプレー液のミストを噴霧する流動層式の造粒・コーティング装置において、
前記スプレー液に二相流を形成するためのスプレーガスをあらかじめ混合し、この混合物からスプレーノズル内流路中で二相流を形成させて流速を加速した後に、さらに該二相流とスプレーガスとを衝突させることにより該二相流をミスト化して噴霧することを特徴とする造粒・コーティング装置。
【0026】
(13)前記流動層の容器の底部から内部に向けてミストが噴霧するように前記二流体スプレーノズルが設置されたことを特徴とする前記(12)に記載の造粒・コーティング方法。
(14)前記流動層の容器の側面から内部に向けてミストが噴霧するように二流体スプレーノズルが設置されたことを特徴とする前記(12)に記載の造粒・コーティング装置。
(15)前記流動層の容器の上方から下方に向けて、かつ粉体を流動化する空気と逆向きのベクトルを有する方向に前記ミストを噴霧するように二流体スプレーノズルが設置されていることを特徴とする前記(12)に記載の造粒・コーティング装置。
【0027】
(16)前記(1)〜(11)のいずれか1項に記載の造粒・コーティング方法を用いたことを特徴とする電子写真用キャリアのコーティング方法。
(17)前記(16)に記載の方法で製造されたことを特徴とする電子写真用キャリア。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、液状材料(スプレー液)を安定して噴霧供給することができ、メンテナンス負荷が小さく、かつ高生産効率な均質な造粒・コーティング粒子を製造することができ、凝集がなく、コート皮膜の均質な電子写真用キャリアを効率よく製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の造粒・コーティング方法の適用対象となるものは、電子写真用キャリアのコーティングの他、例えば、香料、糖類、アミノ酸、たんぱく質、小麦、食用色素、澱粉などの食品や、エトキシベンツアミド、アセトエミノフェン、カフェイン等の一般医薬品原末および抗生物質や漢方薬及びその他医薬品一般や、樹脂微粒子全般、金属およびその酸化物などの無機微粒子、カーボンブラック、ファインセラミクス材料全般、塩類、顔料、染料、洗剤原料の界面活性剤粉末、などの化成品である。
以下、本発明の特徴、構成を説明する。
第1の構成要件として、本発明の造粒装置は、噴霧供給されるべき液状材料(スプレー液であって、水や有機溶剤、またそれらに他の物質が溶解もしくは分散した溶液やスラリー)とスプレーガスの一部をあらかじめ混合し、液体材料とスプレーガスの気液混合の二相流を形成して流速を加速した後に、さらにこの二相流とスプレーガスとを衝突させ、ミスト化(「霧化」ともいう)することである。
尚、本発明において、ミストとは霧状物質または液滴を指す。
【0030】
スプレーガスは主に空気を用いるが、アプリケーションに応じてスチームや、窒素などの不活性ガスを用いても良い。
【0031】
本構成のごとく、液体材料を二相流とすることで、液ノズルから吐出する以前から液体原料がある程度分散された状態となるためノズル孔周辺の極度の濡れ(すなわち局所濡れ)を防止し、液ノズル部への粉粒体の付着を抑制することが出来る。また、流体の二相流となることで流体のボリュームが増し、流体の実質的な流出速度が加速されるため、液体材料が乾燥したり分散質が沈降することによる付着・詰まりを予防することが出来る。
さらに、あらかじめ分散された液体原料に対し、更にスプレーガスを衝突させるため、そのようでない場合に対して微粒化が促進される。
【0032】
また、二相流を形成するために使用されるスプレーガスは、本来スプレーガスとして使用されるガスを利用するため、二相流を形成するために新たに余分なガスを必要としない。
言い換えれば、二相流を形成するように加速するために必要なガス流を液体材料に混入させることで、加速に必要なガス流を霧化にも寄与させることが出来るので、ガス使用量の総量を別段増やす必要が無い。
【0033】
本発明におけるノズル構造としては、たとえば図1、2、4などが例示できる。
従来技術の事例である図8のようなスプレーノズルは、ノズル内部に液状原料を搬送する機能が無く、本発明のノズルに比べ、造粒・コーティング装置に適応した場合におけるノズル内部での詰まりに弱い。
従来技術の事例である図8のようなスプレーノズルは、完全な内部混合式であるため、ノズル先端部のガス噴流がなく、造粒・コーティング装置に適応した場合には、ノズル先端部の粉体密度が高くなりやすく、またノズル先端のぬれた部位がこの密度高く存在する粒子群に触れやすく、ノズル先端部でのつまりに弱い。
【0034】
特許文献14、特許文献15に記載のノズルは、一次ガス流により、微粒化した後に二次ガス流と接触するが、本発明の方法では、二相流を形成するためのガスがあらかじめ(液体が噴霧される前に)流路中で混合している点など明らかな差異がある。
【0035】
前記二相流を形成するためのスプレーガス量と、前記二相流をミスト化して噴霧するためのスプレーガス量の比は5:95〜40:60が好ましく、より好ましくは10:90〜30:70、更に好ましくは10:90〜20:80である。
二相流を形成するためのスプレーガス量の比率が小さすぎる場合は、均一な二相流が形成されないし、また加速の効果が少ないために、従来技術に対して有為なつまり防止効果が得られないし、十分な微粒化性能が得られない。
二相流を形成するためのスプレーガス量の比率が大きすぎる場合には、二相流を形成するためのスプレーガス量の比率が小さい場合に比べ二相流形成時に、より微粒化が進行する。しかし、相対的に二相流をミスト化して噴霧するためのスプレーガス量が小さくなり、スプレーガスによる微粒化能は低下する。それゆえ、ある程度微粒化の進行した二相流を、さらに微粒化するほどの分散エネルギーをスプレーガスが有することができず、好ましい比率に対して微粒化能は低下する。別な表現をすると、スプレーガスの、霧化に対する寄与率が低下するので好ましくない。
また、スプレーガスの流量が低下することで、ノズル先端部がコーティング中の粒子群に触れやすくなり、付着やつまりが発生しやすくなるので好ましくない。
また、スプレーノズル一本あたり、スプレー液は3〜200mL/min、スプレーガスは、10〜1000L/min程度の範囲で制御されるノズルとすることが好ましい。
【0036】
また、スプレーノズル内の前記二相流を形成するための流路の長さが、二相流が噴出する孔の円換算直径Dの4倍以上であることが好ましい。
このように形成することで、二相流が安定してから孔から噴出するため、スプレーガスとの衝突状態が安定する。それ故、噴霧状態が安定する。言い換えれば、前記二相流を形成する流路長さが短すぎると、二相流の形成が安定する前に孔から噴出するために、吐出ムラとなり、二相流の形成が安定せず噴出状態が安定しない。それ故、噴霧状態が安定しない。二相流の形成が安定せず噴出状態が安定していない状態とはすなわち、気液の混合が十分でなく、二相流中における気泡や液滴の径が十分に小さくなっていない状態であって、気泡や液滴の分散・分割が進行している過程である。
それ故、前記二相流を形成する流路長さを4D以上とすることで、粒子径分布をシャープにできる。
図11に、前記二相流を形成する流路長さと、二相流の噴出する孔の直径Dを図示する。
尚、円換算直径は、液流路の断面積S、円換算直径dとしたとき、以下のように求めることができる。
d=√(4S/π) (S=1/4×π×d2)
【0037】
二相流をミスト化して噴霧するためのスプレーガスの使用量は、たとえばスプレーガスに空気を使用し、水を噴霧する事例では、空気の使用量をA(NL/min、ノルマルリットル/分)とし、水の噴霧量をB(ml/min)としたとき、気液比B/A=0.1〜3が好ましく、より好ましくは0.1〜2、更に好ましくは0.15〜1.5である。
その他のスプレーガスα、液体βを使用する場合には、αの使用量をX(NL/min)とし、βの噴霧量をY(ml/min)、標準状態での空気の比重をa、水の比重をb、同じく標準状態でのスプレーガスαの比重をx、βの比重をyとしたとき、(Y×(y/b))/(X×(x/a))が、上記B/Aで示した範囲内であることが好ましい。
なお、ここで、スプレーガスαの使用量とは、二相流を形成するためのスプレーガス量と、二相流をミスト化して噴霧するためのスプレーガス量との合計量である。
【0038】
すなわち、噴霧される液体と、噴霧するガスとの質量流量の比率を一定の範囲内で調整することで所望の性能が得られる。
たとえば、スプレーガスに空気を用いる場合よりも窒素を用いる場合のほうが使用量(NL/min)を大きくするのがよく、より比重の大きな液体を噴霧する場合にはよりスプレーガスの使用量を大きくするのが良い。前記気液比が大きすぎる場合には、十分な微粒化ができず造粒・コーティングに適さない。前記気液比が小さすぎる場合には、使用するガス量に対して微粒化のパフォーマンス(噴霧液滴径の縮小の度合いや噴霧液滴径分布の縮小の度合い)が改善せず、エネルギーの浪費につながり好ましくない。
【0039】
スプレーガスとして供給される際の元圧は、前記のスプレーガス量を満たせる圧力でよいのであるが、一般的には0.1〜0.7MPa程度が工業的に利用しやすく好ましい。ただし、0.1MPaを下回る元圧の場合は、噴霧時の液体に対する分散力が著しく低下することが一般的に知られており好ましくない。元圧が0.7MPaを超える場合は、配管機器類に注意が必要な場合があるが、一般的には噴霧分散力はそれ以下の場合の圧力と同等か、向上する場合が多い。
【0040】
次の構成要件としては、前記二相流の形成方法にエジェクターもしくはベンチュリー、もしくはリングノズルを用いることである。エジェクター状構造の一例としては図1、ベンチュリー状構造の一例としては図2のような事例があげられる。
【0041】
本構成のごとく、エジェクターもしくはベンチュリー、リングノズルを用いることで、効率よく分散された二相流を形成できると共に、液体材料の供給配管へのガスの逆流を防止することが出来る。
二相流を形成しながら噴霧する技術としては、一般的に内部混合式の二流体スプレーノズルが知られているが、内部混合式の二流体スプレーノズルは、噴霧エア(ガス)の供給圧力に対して液体材料の供給圧力が過小である場合に、液体材料の供給配管へ逆流する懸念がある。
【0042】
つまり、エジェクターもしくはベンチュリー、リングノズルを二相流の形成に用いることで、供給圧力がガス圧力よりも小さい場合でもガスが液体側へ逆流することなく、むしろ液体材料を吸引し、出口側へ搬送する作用をもたらすことができる。
【0043】
前記のような二相流を形成するノズルで、エジェクターを利用したものはたとえば図1のような構造で構成される。おなじく、ベンチュリーを利用した構造は、図2のような構造で構成される。ここでは図を省略するが、リングノズルを利用したものは、図1の二相流形成用スプレーガスの流路と、スプレー液の流路を入れ替えた構造と、図示する場合にはほぼ同様である。
【0044】
前記のベンチュリー等の方法のほかにも、液体が逆流しない方法、好ましくは出口への推進力を与えるような方法で二相流を形成できる方法であれば、同様の効果が期待できる。
【0045】
二相流を渦流で形成する方法としては。たとえば図4の二相流形成用スプレーガス流と液体原料の混合部が図12のように偏心させることで実現する事例があげられる(図12は、図4の図に対して垂直な方向の断面である)。図12のように液体流路壁面に沿うように二相流形成用スプレーガスを供給することで二相流が渦流で形成される。
二相流を渦流で形成することで、ノズル内壁面に対する固着や堆積を抑制することができ、ひいては詰まりを防止することができる。
渦流を形成するさらに別の手段としては、二相流の形成後であって、スプレーガスと衝突する前の二相流の流路に、回転力付与手段を備えることが挙げられる。回転力付与手段としては、たとえば、一定方向に流れ方向を変化させる邪魔板様の部材を流路中に設置するとか、流路の壁に螺旋溝を形成するなどの方法がある。具体的な形態としては、たとえば、図9のような、スタティックミキサのエレメントのような部材が例示される。前記部材をノズル内部に設置した事例を、図10に示す。
【0046】
粉体に空気流を衝突させ、粉体を流動化する装置には、空気流が供給できるように構成された混合装置(たとえば、深江パウテック株式会社のハイスピードミキサー)や、流動層装置(たとえば株式会社大川原製作所のフローコーターや、岡田精工株式会社製のスピラコータ、株式会社パウレック製のマルチプレックス)などが有るが、特に流動層装置が優れている。特許文献としては、たとえば特許文献11の図1に示される装置などがこれに相当する。
【0047】
流動層造粒・コーティング法、および装置の一例を、図5で説明する。
図5の装置は、通気板、ディストリビューター、もしくは目皿板とよばれる粉粒体を保持する隔壁を主には粉体層の底部に備える容器内に、通気板をへて導入される流動化空気により流動化された粉流体に対して、結合材、バインダなどとも呼ばれる原料液体を噴霧供給し、造粒・コーティングする技術である。粉体容器の空気出口には、たとえばバグフィルタ、サイクロンなどに代表される捕集もしくは集塵機構が設置され、容器内からの粉流体が意図せずに排出されることを防ぐのが一般的である。
さらに、造粒・コーティング中の粉粒体に対して、攪拌・転動作用を与えるために、攪拌羽や回転円盤に代表される攪拌・混合・転動機構を供える装置も一般的である。
【0048】
スプレーノズルは、装置の底部、側面、上部などから粉体層に向けて噴霧されるのが一般的であるが、必ずしも粉粒体の流動層の中心部にむけて噴霧されるのではなく、さまざまな工夫がなされているが、本発明の方法は、いずれのスプレーノズルの設置方法においても効果的である。
【0049】
前記のような構成要件が特に有効であるのは、流動層の回転攪拌作用により遠心力により粉粒体の密度が高くなるサイドスプレー(流動層の側面に設置されたスプレー)や、粉粒体の密度の高い流動層の低部に設置されたスプレーノズルを採用する流動層造粒装置において特に効果が著しい。
特にサイドスプレーが有効な装置としては、一般的な流動層式造粒・コーティング装置の他、たとえば株式会社パウレックのマルチプレックスや、SFP、フロイント産業株式会社のグラニュレックスやスパイラフロー、岡田精工株式会社のスピラコータ、ホソカワミクロン株式会社のアグロマスタなどが挙げられる。たとえば特許文献12の図1に示されたような装置がこれにあたる。
【0050】
特にボトムスプレーが有効な装置としては、たとえば一般的なワースター式コーティング装置、ホソカワミクロン株式会社のアグロマスターAGM−SD、大川原製作所のスプリュードなどが挙げられる。特許文献の事例としては。たとえば特許文献13の図1などが挙げられる(補足:本願の図3、5はそれぞれ特許文献13の図1、特許文献13の図7と同様の装置である。図7の装置では、粉体層の底部に空気流が粉体に衝突するように供給されている)。
【0051】
また、トップスプレー(流動化空気と逆向きのベクトルを有する方向にミストが噴霧されるスプレー)においても、当然詰まり防止効果は有効である。トップスプレーは、二相流の形成方法が、ベンチュリー方式、エジェクター方式、リングノズル方式、渦流方式のいずれの装置にも当然使用可能であり、当然その他の流動層式コーティング装置にも用いることが出来る。
【0052】
本発明の造粒・コーティング方法で、電子写真用のキャリア粒子のコーティングを行うと、歩留まりよく、効率よく、また凝集の少ない、電子写真に好適なキャリアの製造が可能である。
【0053】
さらに、本発明の製法で製造されたキャリア粒子は、凝集が少なく、各粒子毎のコート膜厚さが均一であり、電子写真用のキャリアとして好ましい特性を有している。
なお、上述した実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の一例を示すものであり、本発明はそれに限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々変形実施が可能である。
【実施例】
【0054】
以下本発明の実施例について具体例をあげて説明を行う。
これらの実施例は、本発明の一態様にすぎずこれらに発明の技術的範囲は限定されない。
【0055】
[実施例1〜3、比較例1〜2]
<耐久性の確認>
まず、本発明における造粒・コーティング方法が一般的な粉体の造粒・コーティング操作に対して優れていることを示すために、以下に示す処方Aをモデル材料とし、運転条件一定で造粒実験を行い、スプレーノズルの耐久性を確認した。本原料処方(乳糖、コーンスターチの造粒・コーティング)は、粉体工学会等の本発明の技術分野において、しばしば標準的な処方のモデルとして例示されているものに準拠したものである。
処方Aの液体材料(本事例では結合剤を溶解したバインダ液)を供給終了し、乾燥を終えるまでを1バッチとして、スプレーノズルに閉塞などの障害が発生するまでバッチ運転を繰り返す。
閉塞をおこさず、バッチ運転をより多くの回数繰り返すことの出来るノズルがより優れたノズルである。
【0056】
<処方A>
(仕込み粉体)
乳糖200Mパス品 8750g DMV
コーンスターチ 3750g 日本食品化工(株)
(液体材料)
結合剤(HPC−L) 471.5g 日本曹達(株)
乳糖200Mパス品 350g DMV
コーンスターチ 150g 日本食品化工(株)
水 2424.9g イオン交換水
なお、液体材料は十分にミキサーで攪拌・溶解した後、100Mでろ過したものを用いる。ろ過の際、ろ過物の乾燥後の重量が液体材料中の固形分1%を超えないこととする。200Mとは目開き約74μm、100Mは目開き約149μmの篩を示す。
【0057】
<運転条件>
本評価では、スプレーノズルに最も強く粉体が衝突する一形態である、ボトムスプレー式の流動層装置の形態で比較を行う。ボトムスプレー式の流動層装置としては図3に示す流動造造粒・コーティング装置(造粒部内径Φ300mm)を用いる。
乳糖およびコーンスターチを同時に装置内へ投入した後、流動化空気温度70℃、流動化空気量4.5m3/min(ノルマル)で流動化させる。
流動化開始から五分後に液体材料の供給を開始する。液体材料の供給速度は、67.4g/minとする。液体材料の供給にはギアポンプを用いた。
スプレーガスとして空気を用い、スプレー空気量は液供給中70L/min、液供給停止時15L/minとする。尚、スプレー空気量とは二相流を形成する場合、二相流を形成するための空気量とミスト化して噴霧するための空気(噴霧エア)量の合計である。
それぞれの設定値は手動操作であるため、それぞれおおよそ±10%程度の誤差を許容するものとする。
以上のバッチ操作をスプレーノズルの型式を変えつつ、各々のスプレーノズルが閉塞などの障害を発生するまで繰り返し行い、障害が発生せずに完了したバッチ数をカウントした。
【0058】
その他の運転操作条件については以下のようである。
比較例1;一般的な内部混合型のスプレーノズルとして、スプレーイングシステムス社のスプレーセットアップ番号SU12A(液キャップPF2050、液キャップPA73160)を用いた。スプレーイングシステムスのカタログから引用した、前記スプレーイングシステムス社のスプレーノズルの構造を図6に示す。
【0059】
比較例2;一般的な内部混合型のスプレーノズルとして、アトマックス社のAM45Sを用いた他は比較例1に同じ。アトマックス社のAM45Sの構造に関する詳細は、特許文献4、5に示されている。特許文献5から引用した構造図を図8に示す。
【0060】
実施例1:前記比較例2で使用したAM45Sの液流路を改造し、単純にガスを混入し二相流を形成するよう変更した他は比較例2に同じ。内部構造は図4のようである。
実施例2:前記比較例2で使用したAM45Sの液流路を改造し、ベンチュリー式にガスを混入し二相流を形成するよう変更した他は比較例2に同じ。内部構造は図2のようである。
実施例3:前記比較例2で使用したAM45Sの液流路を改造し、エジェクター式にガスを混入し二相流を形成するよう変更した他は比較例2に同じ。内部構造は図1のようである。
【0061】
以上の装置構成、および実験条件等を表1に示す。また、評価結果を表2に示す。
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
<噴霧性能の確認>
さらに、実施例1〜3、比較例1〜2のスプレー形式について液滴径を比較した。評価対象としては液体材料としてイオン交換水を用い、そのミスト径を測定した。
評価結果を表3に示す。
【表3】
【0064】
表3の結果から、実施例で用いたスプレーノズルは、比較例で用いた従来のノズルに比べ、ほぼ同等か、若干すぐれる程度の微粒化性能を有することが確認される。微粒化性能が優れることで、粉体粒子の局所濡れや、スプレー先端部の濡れが抑制されるのであるが、この優れた微粒化性能も本発明におけるノズルの耐久性向上に寄与しているであろう。
しかし、この極わずかな微粒化性能の差異で、表2のような優れた改善は起こりえないものであるから、本発明の方法が特に従来技術に比して優れた閉塞防止作用を有していると言える。
【0065】
[実施例4〜6、比較例3〜4]
実施例1において、運転条件を以下のように変えた以外は、実施例1と同様にし、運転可能バッチ数を評価した。
<運転条件>
本評価では、スプレーノズルに最も強く粉体が衝突する別の形体である、回転円盤を備えた転動流動層を用い、スプレーノズルは造粒容器の側面から中心部に向かって設置することとする。回転円盤を備えた転動流動層として、図5に示す流動層造粒・コーティング装置(造粒部内径Φ300mm)を用いる。
乳糖およびコーンスターチを同時に装置内へ投入した後、流動化空気温度70℃、流動化空気量3.8m3/min(ノルマル)で流動化させる。回転円盤の回転数は150rpmとする。
流動化開始から五分後に液体材料の供給を開始する。液体材料の供給速度は、67.4g/minとする。
スプレー空気量は液供給中70L/min、液供給停止時15L/minとする。
それぞれの設定値は手動操作であるため、それぞれおおよそ±10%程度の誤差を許容するものとする。
以上のバッチ操作をスプレーノズルの型式を変えつつ、各々のスプレーノズルが閉塞などの障害を発生するまで繰り返し行い、障害が発生せずに完了したバッチ数をカウントした。
【0066】
その他の運転操作条件については以下のようである。
比較例3;一般的な内部混合型のスプレーノズルとして、スプレーイングシステムス社のスプレーセットアップ番号SU12A(液キャップPF2050、液キャップPA73160)を用いた。
比較例4;比較例2で用いたノズルに変更した他は比較例3に同じ。
【0067】
実施例4:実施例1で用いたノズルに変更した他は比較例3に同じ。
実施例5:実施例2で用いたノズルに変更した他は比較例3に同じ。
実施例6:実施例3で用いたノズルに変更した他は比較例3に同じ。
【0068】
以上の装置構成、および実験条件等を表4に示す。また、評価結果を表5に示す。
【表4】
【0069】
【表5】
【0070】
表2および表5の結果より、実施例で用いたノズルは、比較例で用いた従来型のノズルに対して耐久性の面で優れていることが示される。また、本発明のようにあらかじめ二相流を形成するにおいて、単に気液を混合するよりも、ベンチュリー構造やエジェクター構造により気液を混合するほうが、より一層好ましいことが示される。おなじく、リングノズル構造についても同様の効果が得られる。
【0071】
[実施例7〜13]
本評価では、実施例6と同じ装置および操作条件で、ノズル構造と空気量比のみを変更して比較を行った。
ノズルおよび空気量比については以下のようである。
実施例7〜11;
市販の外部混合型のスプレーノズルとして、図8に示すようなアトマックス社のAM45Sを用い、液流路を改造し、エジェクター式に二相流形成用ガスを混入し二相流を形成するよう変更した他は比較例2と同じである。内部構造は図1の様態のものを用いた。前記二相流を形成する流路長さは、二相流の噴出する孔の円換算直径Dの10倍とした。
【0072】
実施例12;
市販の外部混合型のスプレーノズルとして、図8に示すようなアトマックス社のAM45Sを用い、液流路を改造し、エジェクター式に二相流形成用ガスを混入し二相流を形成するよう変更した他は比較例2と同じである。内部構造は図1の様態のものを用いた。前記二相流を形成する流路長さは、二相流の噴出する孔の円換算直径Dの3.5倍とした。
【0073】
実施例13;
市販の外部混合型のスプレーノズルとして、図8に示すようなアトマックス社のAM45Sを用い、液流路を改造し、エジェクター式に二相流形成用ガスを混入し二相流を形成するよう変更した他は比較例2と同じである。内部構造は図1の様態のものを用いた。前記二相流を形成する流路長さは、二相流の噴出する孔の円換算直径Dの4.5倍とした。
【0074】
以上のノズル構成、および空気量比等を表6に示す。また、評価結果を表7に示す。
【表6】
【0075】
【表7】
【0076】
表7の結果によると、以下のように考察される。実施例7〜10より、二相流を形成するための空気量と、噴霧エア(二相流をミスト化して噴霧するスプレーガス)の空気量との比は5:95〜40:60が特によく、実施例11〜13より二相流を形成する流路長さは、二相流の噴出する孔の円換算直径Dの4倍を超えるのが良いことがわかる。
【0077】
[実施例14〜17、比較例5〜6]
<電子写真用キャリアの製造1>
以下に、本発明におけるコーティング方法を電子写真用キャリアの製造に適用した事例について、実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明する。実験を実施するにあたり、固定条件として、装置条件、処理量、ユーティリティー使用量及びコート液条件は以下のように設定した。
(1)造粒装置:転動流動層造粒装置 岡田精工製 (図7に示す装置)
(2)造粒装置の径:直径50cm
(3)造粒装置の高さ:120cm
(4)造粒装置のディスク板の直径:40cm
(5)処理量:10kg
(6)流動化空気量(下部エアー/上部エアー):4.5m3/min/1.5m3/min
(7)スプレーノズ:トップスプレー2本を使用
(8)スプレーガス供給量: 130mL/min(1本あたり)
(9)液体材料(コート液)供給量⇒32mL/min(1本あたり)
(10)コート液の比重:0.97g/cm3
(11)コート液の組成:
シリコーン樹脂溶液[固形分15重量%]
(SR2411:東レダウコーニング社製) 227部
γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン 6部
アルミナ粒子[0.3μm、固有抵抗1014(Ω・cm)] 140部
トルエン 900部
ブチルセロソルブ 900部
以上の材料をホモミキサーで10分間分散し、被覆膜形成溶液を調合した。
【0078】
キャリア製造のためのコーティング用核粒子(すなわち芯材)として平均粒径35μm焼成フェライト粉を用い、以下の条件で噴霧コートを実施した。
(1)供給エアー温度 100℃
(2)ディスク回転周速度 0.8m/sec
(3)下部エアー供給量と上部エアー供給量の比 3:1
コーティング処理終了後、ディスク板を回転させた状態で造粒装置外壁に取り付けられた造粒品排出口から装置外へ造粒品を排出した。
【0079】
実験結果の評価項目を以下のように設定した。
(1)「歩留」:歩留は、造粒装置へ投入したコーティング前の粉体粒子重量とコート液中の固形分重量の合計を総投入量として、その重量に対する回収した造粒製品の重量比(wt%)とした。この値は大きいほど良好であり、97.5以上がよい。
(2)「装置内付着率」:装置内付着率は、造粒装置へ投入したコーティング前の粉体粒子重量とコート液中の固形分重量の合計を総投入量として、その重量に対する造粒処理で装置内に付着した粉体粒子の重量比(wt%)とした。この値は小さいほど好ましく、2.0以下が良い。
(3)「凝集発生率」:凝集発生率は、造粒処理後に造粒装置から回収した造粒製品の重量に対する、造粒製品中の凝集物の重量比(wt%)とした。この値は小さいほど好ましく、2.0以下が良い。
(4)「コート膜厚」:コート膜厚は、実験で得られた造粒製品のコート膜の厚さとした。所望の基準値(目標値)を100として、その比で示す。この値は100に近いほど良質であり、97.5以上が良い。
(5)「繰り返しバッチ回数」:キャリアのコーティング処理をバッチ運転で繰り返し行い、ノズルが閉塞するまで(ノズル詰まりが無く正常にコーティングできた場合)のバッチ回数とした。ノズルが閉塞する前のバッチ回数とする。なお閉塞がない場合は、10バッチで評価終了とする。この値は大きいほど良好である。
【0080】
スプレーノズルの組み合わせは以下のようである。
比較例5;比較例1で用いたノズル
比較例6;比較例2で用いたノズル
【0081】
実施例14:実施例1で用いたノズル
実施例15:実施例2で用いたノズル
実施例16:実施例3で用いたノズル
実施例17:実施例1で用いたノズル
【0082】
以上の装置構成、および実験条件等を表8に示す。
【表8】
【0083】
実施例14〜17及び比較例5、6の実験結果を表9に示す。
【表9】
【0084】
表9より、本発明の方法によれば、収率よく、またノズルつまりが無く効率よく電子写真用のキャリアのコーティングが可能であり、さらに、凝集率が少なくコート膜厚が精密に制御された、優れた電子写真用のキャリア粒子が提供できることがわかる。
【0085】
比較例5、6は、従来の装置形態による事例である。
実施例におけるキャリアの品質として重要なコート膜厚は、コート液の処方・供給量に対してより正確な値(100に近い)を示しており、コート膜厚の制御性が良好であることから、良質なキャリアの製造により適していることがわかる。
また、実施例における装置内付着率、凝集発生率は、比較例のそれに対して同等かそれ以上に良好であり、製造方法として優れていることが示される。
さらに、比較例における従来の装置形態の繰り返しバッチ回数に対して、本発明の実施形態に基づく実施例の繰り返しバッチ回数も、いずれも良好な結果を示している。
【0086】
[実施例18〜26]
<電子写真用キャリアの製造2>
電子写真用キャリアの製造1の実験及び評価で使用したものと同じ造粒装置、コート液、コーティング用核粒子を用い、さらに、噴霧コート条件、ノズルを変更して更に実験を行い比較した。
【0087】
実験結果の評価項目を以下のように設定した。
(1)「歩留」:歩留は、造粒装置へ投入したコーティング前の粉体粒子重量とコート液中の固形分重量の合計を総投入量として、その重量に対する回収した造粒製品の重量比(wt%)とした。この値は大きいほど良好であり、97.5以上がよい。
(2)「装置内付着率」:装置内付着率は、造粒装置へ投入したコーティング前の粉体粒子重量とコート液中の固形分重量の合計を総投入量として、その重量に対する造粒処理で装置内に付着した粉体粒子の重量比(wt%)とした。この値は小さいほど好ましく、2.0以下が良い。
(3)「凝集発生率」:凝集発生率は、造粒処理後に造粒装置から回収した造粒製品の重量に対する、造粒製品中の凝集物の重量比(wt%)とした。この値は小さいほど好ましく、2.0以下が良い。
(4)「コート膜厚」:コート膜厚は、実験で得られた造粒製品のコート膜の厚さとした。
所望の基準値(目標値)を100として、その比で示す。この値は100に近いほど良質であり、97.5以上が良い。
(5)「繰り返しバッチ回数」:キャリアのコーティング処理をバッチ運転で繰り返し行い、ノズルが閉塞するまで(ノズル詰まりが無く正常にコーティングできた場合)のバッチ回数とした。ノズルが閉塞する前のバッチ回数とする。なお閉塞がない場合は、10バッチで評価終了とする。この値は大きいほど良好である。
【0088】
実施例18:
市販の外部混合型のスプレーノズルとして、図8に示すようなアトマックス社のAM45Sを用い、液流路を改造し、単純に二相流形成用ガスを混入し二相流を形成するよう変更した。内部構造は図4の様態のものを用いた。前記二相流を形成する流路長さは、二相流の噴出する孔の円換算直径Dの10倍とした。
【0089】
実施例19:
市販の外部混合型のスプレーノズルとして、図8に示すようなアトマックス社のAM45Sを用い、液流路を改造し、ベンチュリー式に二相流形成用ガスを混入し二相流を形成するよう変更した。内部構造は図1の様態のものを用いた。前記二相流を形成する流路長さは、二相流の噴出する孔の円換算直径Dの10倍とした。
【0090】
実施例20:
市販の外部混合型のスプレーノズルとして、図8に示すようなアトマックス社のAM45Sを用い、液流路を改造し、エジェクター式に二相流形成用ガスを混入し二相流を形成するよう変更した。内部構造は図2の様態のものを用いた。前記二相流を形成する流路長さは、二相流の噴出する孔の円換算直径Dの10倍とした。
【0091】
実施例21〜23:
実施例20と同じノズル。
実施例24:
実施例18相当のノズルであるが、二相流を形成する流路長さは、二相流の噴出する孔の円換算直径Dの3.5倍としたもの。
実施例25:
実施例18相当のノズルであるが、二相流を形成する流路長さは、二相流の噴出する孔の円換算直径Dの4.5倍としたもの。
実施例26:
前記実施例19と同じノズルの内部に、二相流の回転力付与手段として図9のようなエレメントを挿入し、二相流を渦流としたノズルを用いた。
【0092】
以上の装置構成、および実験条件等を表10に示す。
【表10】
【0093】
実施例18〜26の実験結果を表11に示す。
【表11】
【0094】
表11より、本発明の方法によれば、収率よく、またノズルつまりが無く効率よく電子写真用のキャリアのコーティングが可能であり、さらに、凝集率が少なくコート膜厚が精密に制御された、優れた電子写真用のキャリア粒子が提供できることがわかる。
【0095】
実施例におけるキャリアの品質として重要なコート膜厚は、コート液の処方・供給量に対してより正確な値(100に近い)を示しており、コート膜厚の制御性が良好であることから、良質なキャリアの製造により適していることがわかる。
また、実施例における装置内付着率、凝集発生率は、良好であり、製造方法として優れていることが示される。
さらに、本発明の実施形態に基づく実施例の繰り返しバッチ回数も、いずれも良好な結果を示している。
【0096】
以上の実施例で示したとおり、本発明における流動造粒・コーティング方法によれば、ノズル詰まり無く安定して歩留まりよく造粒・コーティング加工ができ、さらに、安定した加工処理の結果として、均質で良好な製品が得られる。この加工の安定性と、高品質な加工特性は、特に、低コスト高画質を求められる電子写真の分野における、キャリア粒子の製造方法として大変優れている。
【0097】
なお、本発明の応用は、本実施例等で示した食品、電子写真のキャリアの分野に限定されない。たとえば、単純なる粒子径制御が求められる洗剤や肥料などの化成品の造粒、樹脂のフィラーとして用いられる無機粉体の表面処理のためのコーティング、苦味や溶出制御が必要な医薬品粉体の造粒・コーティング、固体粉末に対して均質に液体材料を添加・混合しなければならない電池材料他、安定性・均質性を求められるあらゆる造粒・コーティング分野へ応用可能である。
【0098】
(作用効果)
溶液、分散液、スラリー等の液状材料を噴霧供給する二流体式スプレーノズルを備えた造粒・コーティング装置に関するもので、造粒装置の運転条件に拘わらず、液状材料を安定して噴霧供給し、効率よく造粒・コーティングを行う方法および装置の提供を実現することができる。さらに、この造粒方法および装置によって、効率のよい電子写真用キャリアの製造方法の提供を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明は、造粒・コーティング技術全般。たとえば、化成品、医薬品、食品、無機粉体などの造粒・コーティング、特に、電子写真用のキャリアの製造に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明に係る造粒・コーティング装置に用いられるノズルの一例を示す図である。
【図2】本発明に係る造粒・コーティング装置に用いられるノズルの一例を示す図である。
【図3】本発明に係る造粒・コーティング装置の一例を示す図である。
【図4】本発明に係る造粒・コーティング装置に用いられるノズルの一例を示す図である。
【図5】本発明に係る造粒・コーティング装置の一例を示す図である。
【図6】従来の造粒・コーティング装置に用いられるノズルの一例を示す図である。
【図7】本発明従来の造粒・コーティング装置の一例を示す図である。
【図8】従来の造粒・コーティング装置に用いられるノズルの一例を示す図である。
【図9】ノズル中に設置する回転力付与手段の一例を示す図である。
【図10】ノズル中への回転力付与手段の取り付け位置の一例を示す図である。
【図11】ノズル中の二相流を形成する流路長さを示す図である。
【図12】ノズル内で二相流形成用のスプレーガスをスプレー液流路に編心して供 給するノズル構造の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0101】
1 造粒筒
2 粉体流動層形成部
3 液ポンプ
4 二流体式スプレーノズル
5 回転ディスク板
6 調湿装置
7 ブロアー
8 下部エアー供給管
9 調湿装置
10 ブロアー
11 上部エアー供給管
12 排気管
13 内筒管
14 サイクロン
15 スプレーガス流路
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶液、分散液、スラリー等の液状材料を噴霧供給する造粒・コーティング方法および二流体式スプレーノズルを備えた造粒・コーティング装置並びにその方法を用いた電子写真用キャリアのコーティング方法および電子写真用キャリアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の造粒・コーティング装置は、造粒室の内部に様々な材料を噴霧して、当該材料からなる粒状あるいは顆粒状の製品を製造したり、あらかじめ装置内部に仕込まれた粉体の表面をコーティングしたり、あるいは前記粉体を接着することで造粒操作を行うものである。
【0003】
例えば、あらかじめ仕込まれた粉体に対し、スプレーノズルによって造粒室の内部に液状材料を噴霧し、当該造粒室の内部で粉体粒子の表面を濡らしつつこれを乾燥させ、コーティング、あるいは造粒された粒子を形成する。一般に、コーティングされる粉体層の底部にはエアー供給部を設けてあり、ここから供給された空気流によって前記粒子を流動させつつ乾燥する。当該造粒装置を用いることで、コーティング膜厚や、粒子径を制御した粒子を製造することができる。このような装置・方法には、たとえば特許文献1のような流動層装置が用いられる。
しかし、上記のような従来の造粒・コーティング装置を用いて粒子を製造する場合には、以下に示すような問題があった。
【0004】
まず、造粒・コーティング装置全般の課題について説明する。
スプレーノズルに代表される液供給手段を用いて液を粉体粒子に噴霧する操作、とくに造粒・コーティング操作においては、常に粉体粒子同士が凝集することがあり、またそれら凝集物が装置内に付着することが知られている。
【0005】
凝集、付着により、製品歩留が低下したり、単位バッチ毎に凝集物が排出されないために次バッチの造粒製品に混入(コンタミ)したりする問題がおこる。
たとえば電子写真のキャリアの場合には、凝集して装置内に付着していた粒子には、それ以降噴霧液が付着する機会が少ないために未被膜粒子や被膜厚が薄い粒子が多量に含まれており、造粒製品の膜厚が薄膜化する原因ともなっている。所望の膜厚が得られない場合、造粒製品(キャリア)の耐久性が著しく低下し、高画質な画像を安定して得ることができなくなる。
【0006】
具体的な事例を挙げると、たとえば特許文献2〜4(造粒・コーティング装置及びキャリア粒子に関する)や特許文献5(微粒子をコーティングする方法に関する)に開示されている従来の造粒装置には、従来から粉体粒子同士が凝集して凝集物が発生したり、またそれら凝集物が装置内部に付着したりするといった問題が示されており、造粒・コーティング装置の温度や空気量や攪拌羽の回転速度などについて工夫がされている。
【0007】
しかし、このような粉体粒子同士が凝集したり、またそれが凝集物として装置内に付着したりするその他の大きな要因として、供給手段から粉体粒子へ供給されるコート液の連続性・均一性が挙げられる。
すなわち、このスプレーノズルにつまりが生じると、液滴サイズ(ミスト径とも言われる)の均一さや噴霧角度、方向が変化し、また噴霧液量が変化し、スプレーノズルの連続性・均一性が損なわれるのであるが、その結果、前述したような付着、凝集、歩留まりの低下が発生したり、もしくは促進されるのである。
【0008】
以下、さらに造粒・コーティング装置におけるスプレーノズルに関する課題について説明する。
造粒・コーティング装置、特に流動層装置の場合には、通常スプレーノズルの先端は、流動層内部の激しく流動する粉体にさらされるため、粉体がスプレーの先端に付着したり、噴霧孔に入り込んだりしやすく、ノズルの閉塞がよりいっそう起こりやすい。また、液状材料(スプレー液)が噴霧される以前に乾燥してしまい、乾燥した液体材料(すなわち、溶解物の析出や、分散質の凝集)によりノズルが閉塞することがある。また、液状材料(スプレー液)が乾燥しなくとも、固形微粒子が分散されたスラリー状の液体材料の場合は、ノズル内の流路中に分散質が凝集したり付着したりして閉塞することがある。
これらのノズルの閉塞は、運転の継続、バッチ運転の繰り返しにしたがって、不可逆的に進行する。
【0009】
この閉塞は、装置形態としては、粉粒体の密度の高い流動層の低部に設置されたスプレーノズルや、流動層の回転攪拌作用により遠心力により粉粒体の密度が高くなるサイドスプレー(流動層の側面に設置されたスプレー)において特に著しく、粉体材料面では、電子写真用のキャリアに代表されるような、30μmを下回るような小粒径であったり、おなじく、キャリアのように、比重の大きな材料をハンドリングしたりする際により顕著である。
【0010】
一般に、二流体式のスプレーノズルの場合、スプレーガスは微粒化するために例えば0.1〜0.6MPa程度の高圧で操作されるため、ガスノズルが閉塞することはまれであるが、液体側ノズルは本来高圧で操作される必要が無いため、一旦閉塞してしまうと自己回復することはまれであり、回復のために運転操作を停止し、メンテナンスが必要となる。それゆえ、スプレーノズルの閉塞を予防する方法についての提案が見受けられる。
【0011】
たとえば、特許文献6では、粉粒体に対するスプレーノズル(スプレーガン)を用いてコーティング処理を行う装置では、スプレーガンに徐々に液状材料が堆積付着し、閉塞する問題がある事が指摘されており、エアノズルに間欠的に圧縮空気をパージしたり、大容量低圧力のスプレーノズルを用いたりすることで改善を試みた事例が示されている。
【0012】
従来技術の他の事例としては、たとえば特許文献7において、流動層造粒・コーティング装置において、液体側ノズルの閉塞の問題が指摘され、液体側ノズルに機械的に位置変化するニードルを設け、ニードルによりノズル出口の固化物を除去する技術が提案されている。
【0013】
しかし、特許文献6の事例ではスプレー空気の使用量が大きくなるためにユーティリティー負荷が大きくなる問題があるし、気体側ノズルの閉塞防止には有効であるが、液体側ノズルの閉塞の改善には効果が得られにくい。また、特許文献7の事例における、機械的なクリーニング機構を付与する場合には、単にニードルを設置するのみならず、たとえば周動部の液体シール機構なども必要になり、ノズルの構造が過剰に複雑になる問題があるし、そもそも閉塞もしくは閉塞しかけたノズルを如何に回復させるかを主眼としたもので、対処療法の域を出ない。さらに、このニードルを使用した方式は、ニードル動作時の液流出の乱れにより、原材料によってはむしろつまりを誘発する問題があった。
【0014】
さらに、造粒・コーティング装置に用いられるスプレーノズルのその他の改良事例を説明する。
たとえば、二流体式スプレーノズルのスプレーガスの供給方法を改良し、優れたコーティング特性を有する流動層装置が提案されている(たとえば特許文献8参照。)。
しかし、特許文献8の事例では、スプレーガスを渦流とすることで、霧化特性に優れたスプレーノズルを利用し、これにより製品品質の均質化、粒度分布のシャープ化、製品収率の向上が図られている。特許文献8では、たとえばスプレーノズルには、特許文献9に記載のノズル形状と同等のものであることが示されている。
【0015】
別の優れたコーティング特性を有する流動層装置の提案事例としては、特許文献10などがある。特許文献10は、電子写真用のキャリアのコーティングの事例であり、斜型回転円盤上で遠心転動により流動化させたキャリア粒子にスプレーコーティングすることで、製品歩留まりの良好なコーティング装置を提供している。
しかし、特許文献8〜10においても、液体材料の供給や閉塞に関する課題については工夫が示されていない。
【0016】
さらに別の優れたコーティング特性を有する流動層装置の提案事例としては、特許文献14、15がある。
特許文献14のスプレーノズルは、液体噴出口の外側に噴霧用の一次空気流噴出路を、さらにこの一次空気流の外側に二次空気流噴出路を備えたものであり、概スプレーノズルを造粒コーティング装置へ用いた場合には、スプレーノズル出口周辺の粉粒体の挙動が活発化され、粗大粒子の形成や、粒子同士の二次凝集などの発生を防止することができるというものである。
【0017】
特許文献15の造粒コーティング方法は、特許文献14とは異なり、スプレーノズルの周囲に二次空気流を設け、ノズル先端付近の粉粒体の密度を下げ、粗大粒子の生成を予防することを試みたものである。
しかし、特許文献15においては、スプレーゾーンでの粗大粒子の形成や、粒子同士の二次凝集などの発生を防止することはできるが、スプレーノズルそのものに対する付着の軽減や、また付着に伴うノズルの閉塞、もしくは詰まりやすいスラリーや高粘度液体によるノズルの閉塞については、従来のスプレーノズルに対して改善が見られなかったうえ、従来のスプレーノズルよりもより多くの圧縮空気等を必要とするため、ランニングコストにも問題があった。また、適切な一次空気流と二次空気流の比率などの操作条件が示されておらず、工夫の余地もあった。
【0018】
以上のように、スプレーノズルは造粒・コーティングにおいて重要な要素ではあるものの、閉塞の問題があり、しかもこの閉塞の問題を根本的に解決する提案がなされていないのが実情である。しかし、造粒・コーティングにおけるノズル閉塞の問題は、品質・費用の双方において、大きな損失をもたらす。ノズルの閉塞により加工作業が中断したり、ロット加工が中断しなくとも凝集物等により品質が低下したり、さらにはロット不良を招き、一方品質劣化や加工作業の中断を避けるためにノズルの定期メンテナンスを実施する場合には常にメンテナンスの時間・費用を負担せねばならないのである。
【0019】
ノズルの閉塞に関する別分野の工夫の事例では、特許文献16において、ワックスを、流動する固体粒子にスプレーコーティングする技術分野であって、さらにワックス類を有機溶媒によって溶解してスプレーコートする代わりに加熱して溶解したワックスをスプレーコートする技術分野において、固体粒子を流動させながら、固体粒子の表面に加熱溶解させたワックス類を噴霧コーティングするに際し、該加熱溶解させたワックス類と加熱気体とを一方の流路内で混合し噴出すると共に、他方の流路から加熱気体を噴出する二流体ノズルを用い、該二流体ノズルの噴霧口の口径が1.5〜5.8mmの範囲であり、さらに該二流体ノズルがニードル弁を有しないノズルであることを特徴とするコーティング方法によって、噴霧時の冷却によるスプレーノズルの詰まりや溶解ワックスの粉末化、団粒の形成などを排したコーティング方法を提供できることが示されている。
特許文献10においても述べられているが、特に電子写真の分野では高画質、低コストが求められており、特にキャリアのコーティング方法におけるノズル閉塞対策は大きな課題である。
【特許文献1】特開2004−294690号公報
【特許文献2】特開平05−216285号公報
【特許文献3】特開平06−138710号公報
【特許文献4】特開平11−258857号公報
【特許文献5】特許第3329853号公報
【特許文献6】特開2000−140709号公報
【特許文献7】特開2000−312817号公報
【特許文献8】特開2003−001090号公報
【特許文献9】特開2000−254554号公報
【特許文献10】特開2003−280291号公報
【特許文献11】特開平07−265683号公報
【特許文献12】特開平09−094455号公報
【特許文献13】特開2001−170473号公報
【特許文献14】特許第2718520号公報
【特許文献15】特開平04−145937号公報
【特許文献16】特開平05−309314号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、このような従来技術の欠点を解消し、液状材料(スプレー液)を安定して噴霧供給し得る造粒・コーティング方法および装置を提供すること、メンテナンス負荷が小さく、かつ高生産効率な均質な造粒・コーティング粒子の製造方法を提供することにある。さらに、この方法および装置によって、凝集がなく、コート皮膜の均質な電子写真用キャリアを効率よく製造することができる製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題を解決するための本発明の構成は以下のとおりである。
(1)容器内に投入された粉体に衝突させるように、空気流を供給することにより該粉体を流動化させ、この流動化した粉体に対し、二流体式スプレーノズル方式によりスプレーガスを用いて溶媒、溶液、分散液またはスラリーからなるスプレー液のミストを噴霧する造粒・コーティング方法において、
前記スプレー液に二相流を形成するためのスプレーガスをあらかじめ混合し、この混合物からスプレーノズル内流路中で二相流を形成させて流速を加速した後、さらに該二相流とスプレーガスとを衝突させることにより該二相流をミスト化して噴霧することを特徴とする造粒・コーティング方法。
【0022】
(2)前記二相流を形成するためのスプレーガス量と、二相流をミスト化して噴霧するためのスプレーガス量との比が5:95〜40:60であることを特徴とする前記(1)に記載の造粒・コーティング方法。
(3)スプレーノズル内の前記二相流を形成するための流路の長さが、二相流が噴出する孔の円換算直径Dの4倍以上であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の造粒・コーティング方法。
(4)前記スプレーガスαで、液体βを噴霧するとき、αの使用量をX(NL/min、ノルマルリットル/分)とし、βの噴霧量をY(ml/min)とし、標準状態での空気の比重をaとし、水の比重をbとし、同じく標準状態でのスプレーガスαの比重をxとし、βの比重をyとしたとき、(Y×(y/b))/(X×(x/a))が、0.1〜3であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の造粒・コーティング方法。
【0023】
(5)前記二相流の形成方法が、ベンチュリー方式であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の造粒・コーティング方法。
(6)前記二相流の形成方法が、エジェクター方式であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の造粒・コーティング方法。
(7)前記二相流の形成方法が、リングノズル方式であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の造粒・コーティング方法。
(8)前記二相流の形成方法が、渦流方式であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の造粒・コーティング方法。
【0024】
(9)前記二相流の形成後であって、スプレーガスと衝突する前の二相流の流路に、回転力付与工程を有することを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の造粒・コーティング方法。
(10)前記粉体の流動化方法が、流動層方式であることを特徴とする前記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の造粒・コーティング方法。
(11)前記流動層の底部に設けた回転ディスクまたは旋回流を与える機構により、流動層内に攪拌・転動作用を与えることを特徴とする前記(10)に記載の造粒・コーティング方法。
【0025】
(12)容器内に投入された粉体に衝突させるように、空気流を供給することにより該粉体を流動化させ、この流動化した粉体に対し、二流体式スプレーノズル方式によりスプレーガスを用いて溶媒、溶液、分散液またはスラリーからなるスプレー液のミストを噴霧する流動層式の造粒・コーティング装置において、
前記スプレー液に二相流を形成するためのスプレーガスをあらかじめ混合し、この混合物からスプレーノズル内流路中で二相流を形成させて流速を加速した後に、さらに該二相流とスプレーガスとを衝突させることにより該二相流をミスト化して噴霧することを特徴とする造粒・コーティング装置。
【0026】
(13)前記流動層の容器の底部から内部に向けてミストが噴霧するように前記二流体スプレーノズルが設置されたことを特徴とする前記(12)に記載の造粒・コーティング方法。
(14)前記流動層の容器の側面から内部に向けてミストが噴霧するように二流体スプレーノズルが設置されたことを特徴とする前記(12)に記載の造粒・コーティング装置。
(15)前記流動層の容器の上方から下方に向けて、かつ粉体を流動化する空気と逆向きのベクトルを有する方向に前記ミストを噴霧するように二流体スプレーノズルが設置されていることを特徴とする前記(12)に記載の造粒・コーティング装置。
【0027】
(16)前記(1)〜(11)のいずれか1項に記載の造粒・コーティング方法を用いたことを特徴とする電子写真用キャリアのコーティング方法。
(17)前記(16)に記載の方法で製造されたことを特徴とする電子写真用キャリア。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、液状材料(スプレー液)を安定して噴霧供給することができ、メンテナンス負荷が小さく、かつ高生産効率な均質な造粒・コーティング粒子を製造することができ、凝集がなく、コート皮膜の均質な電子写真用キャリアを効率よく製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の造粒・コーティング方法の適用対象となるものは、電子写真用キャリアのコーティングの他、例えば、香料、糖類、アミノ酸、たんぱく質、小麦、食用色素、澱粉などの食品や、エトキシベンツアミド、アセトエミノフェン、カフェイン等の一般医薬品原末および抗生物質や漢方薬及びその他医薬品一般や、樹脂微粒子全般、金属およびその酸化物などの無機微粒子、カーボンブラック、ファインセラミクス材料全般、塩類、顔料、染料、洗剤原料の界面活性剤粉末、などの化成品である。
以下、本発明の特徴、構成を説明する。
第1の構成要件として、本発明の造粒装置は、噴霧供給されるべき液状材料(スプレー液であって、水や有機溶剤、またそれらに他の物質が溶解もしくは分散した溶液やスラリー)とスプレーガスの一部をあらかじめ混合し、液体材料とスプレーガスの気液混合の二相流を形成して流速を加速した後に、さらにこの二相流とスプレーガスとを衝突させ、ミスト化(「霧化」ともいう)することである。
尚、本発明において、ミストとは霧状物質または液滴を指す。
【0030】
スプレーガスは主に空気を用いるが、アプリケーションに応じてスチームや、窒素などの不活性ガスを用いても良い。
【0031】
本構成のごとく、液体材料を二相流とすることで、液ノズルから吐出する以前から液体原料がある程度分散された状態となるためノズル孔周辺の極度の濡れ(すなわち局所濡れ)を防止し、液ノズル部への粉粒体の付着を抑制することが出来る。また、流体の二相流となることで流体のボリュームが増し、流体の実質的な流出速度が加速されるため、液体材料が乾燥したり分散質が沈降することによる付着・詰まりを予防することが出来る。
さらに、あらかじめ分散された液体原料に対し、更にスプレーガスを衝突させるため、そのようでない場合に対して微粒化が促進される。
【0032】
また、二相流を形成するために使用されるスプレーガスは、本来スプレーガスとして使用されるガスを利用するため、二相流を形成するために新たに余分なガスを必要としない。
言い換えれば、二相流を形成するように加速するために必要なガス流を液体材料に混入させることで、加速に必要なガス流を霧化にも寄与させることが出来るので、ガス使用量の総量を別段増やす必要が無い。
【0033】
本発明におけるノズル構造としては、たとえば図1、2、4などが例示できる。
従来技術の事例である図8のようなスプレーノズルは、ノズル内部に液状原料を搬送する機能が無く、本発明のノズルに比べ、造粒・コーティング装置に適応した場合におけるノズル内部での詰まりに弱い。
従来技術の事例である図8のようなスプレーノズルは、完全な内部混合式であるため、ノズル先端部のガス噴流がなく、造粒・コーティング装置に適応した場合には、ノズル先端部の粉体密度が高くなりやすく、またノズル先端のぬれた部位がこの密度高く存在する粒子群に触れやすく、ノズル先端部でのつまりに弱い。
【0034】
特許文献14、特許文献15に記載のノズルは、一次ガス流により、微粒化した後に二次ガス流と接触するが、本発明の方法では、二相流を形成するためのガスがあらかじめ(液体が噴霧される前に)流路中で混合している点など明らかな差異がある。
【0035】
前記二相流を形成するためのスプレーガス量と、前記二相流をミスト化して噴霧するためのスプレーガス量の比は5:95〜40:60が好ましく、より好ましくは10:90〜30:70、更に好ましくは10:90〜20:80である。
二相流を形成するためのスプレーガス量の比率が小さすぎる場合は、均一な二相流が形成されないし、また加速の効果が少ないために、従来技術に対して有為なつまり防止効果が得られないし、十分な微粒化性能が得られない。
二相流を形成するためのスプレーガス量の比率が大きすぎる場合には、二相流を形成するためのスプレーガス量の比率が小さい場合に比べ二相流形成時に、より微粒化が進行する。しかし、相対的に二相流をミスト化して噴霧するためのスプレーガス量が小さくなり、スプレーガスによる微粒化能は低下する。それゆえ、ある程度微粒化の進行した二相流を、さらに微粒化するほどの分散エネルギーをスプレーガスが有することができず、好ましい比率に対して微粒化能は低下する。別な表現をすると、スプレーガスの、霧化に対する寄与率が低下するので好ましくない。
また、スプレーガスの流量が低下することで、ノズル先端部がコーティング中の粒子群に触れやすくなり、付着やつまりが発生しやすくなるので好ましくない。
また、スプレーノズル一本あたり、スプレー液は3〜200mL/min、スプレーガスは、10〜1000L/min程度の範囲で制御されるノズルとすることが好ましい。
【0036】
また、スプレーノズル内の前記二相流を形成するための流路の長さが、二相流が噴出する孔の円換算直径Dの4倍以上であることが好ましい。
このように形成することで、二相流が安定してから孔から噴出するため、スプレーガスとの衝突状態が安定する。それ故、噴霧状態が安定する。言い換えれば、前記二相流を形成する流路長さが短すぎると、二相流の形成が安定する前に孔から噴出するために、吐出ムラとなり、二相流の形成が安定せず噴出状態が安定しない。それ故、噴霧状態が安定しない。二相流の形成が安定せず噴出状態が安定していない状態とはすなわち、気液の混合が十分でなく、二相流中における気泡や液滴の径が十分に小さくなっていない状態であって、気泡や液滴の分散・分割が進行している過程である。
それ故、前記二相流を形成する流路長さを4D以上とすることで、粒子径分布をシャープにできる。
図11に、前記二相流を形成する流路長さと、二相流の噴出する孔の直径Dを図示する。
尚、円換算直径は、液流路の断面積S、円換算直径dとしたとき、以下のように求めることができる。
d=√(4S/π) (S=1/4×π×d2)
【0037】
二相流をミスト化して噴霧するためのスプレーガスの使用量は、たとえばスプレーガスに空気を使用し、水を噴霧する事例では、空気の使用量をA(NL/min、ノルマルリットル/分)とし、水の噴霧量をB(ml/min)としたとき、気液比B/A=0.1〜3が好ましく、より好ましくは0.1〜2、更に好ましくは0.15〜1.5である。
その他のスプレーガスα、液体βを使用する場合には、αの使用量をX(NL/min)とし、βの噴霧量をY(ml/min)、標準状態での空気の比重をa、水の比重をb、同じく標準状態でのスプレーガスαの比重をx、βの比重をyとしたとき、(Y×(y/b))/(X×(x/a))が、上記B/Aで示した範囲内であることが好ましい。
なお、ここで、スプレーガスαの使用量とは、二相流を形成するためのスプレーガス量と、二相流をミスト化して噴霧するためのスプレーガス量との合計量である。
【0038】
すなわち、噴霧される液体と、噴霧するガスとの質量流量の比率を一定の範囲内で調整することで所望の性能が得られる。
たとえば、スプレーガスに空気を用いる場合よりも窒素を用いる場合のほうが使用量(NL/min)を大きくするのがよく、より比重の大きな液体を噴霧する場合にはよりスプレーガスの使用量を大きくするのが良い。前記気液比が大きすぎる場合には、十分な微粒化ができず造粒・コーティングに適さない。前記気液比が小さすぎる場合には、使用するガス量に対して微粒化のパフォーマンス(噴霧液滴径の縮小の度合いや噴霧液滴径分布の縮小の度合い)が改善せず、エネルギーの浪費につながり好ましくない。
【0039】
スプレーガスとして供給される際の元圧は、前記のスプレーガス量を満たせる圧力でよいのであるが、一般的には0.1〜0.7MPa程度が工業的に利用しやすく好ましい。ただし、0.1MPaを下回る元圧の場合は、噴霧時の液体に対する分散力が著しく低下することが一般的に知られており好ましくない。元圧が0.7MPaを超える場合は、配管機器類に注意が必要な場合があるが、一般的には噴霧分散力はそれ以下の場合の圧力と同等か、向上する場合が多い。
【0040】
次の構成要件としては、前記二相流の形成方法にエジェクターもしくはベンチュリー、もしくはリングノズルを用いることである。エジェクター状構造の一例としては図1、ベンチュリー状構造の一例としては図2のような事例があげられる。
【0041】
本構成のごとく、エジェクターもしくはベンチュリー、リングノズルを用いることで、効率よく分散された二相流を形成できると共に、液体材料の供給配管へのガスの逆流を防止することが出来る。
二相流を形成しながら噴霧する技術としては、一般的に内部混合式の二流体スプレーノズルが知られているが、内部混合式の二流体スプレーノズルは、噴霧エア(ガス)の供給圧力に対して液体材料の供給圧力が過小である場合に、液体材料の供給配管へ逆流する懸念がある。
【0042】
つまり、エジェクターもしくはベンチュリー、リングノズルを二相流の形成に用いることで、供給圧力がガス圧力よりも小さい場合でもガスが液体側へ逆流することなく、むしろ液体材料を吸引し、出口側へ搬送する作用をもたらすことができる。
【0043】
前記のような二相流を形成するノズルで、エジェクターを利用したものはたとえば図1のような構造で構成される。おなじく、ベンチュリーを利用した構造は、図2のような構造で構成される。ここでは図を省略するが、リングノズルを利用したものは、図1の二相流形成用スプレーガスの流路と、スプレー液の流路を入れ替えた構造と、図示する場合にはほぼ同様である。
【0044】
前記のベンチュリー等の方法のほかにも、液体が逆流しない方法、好ましくは出口への推進力を与えるような方法で二相流を形成できる方法であれば、同様の効果が期待できる。
【0045】
二相流を渦流で形成する方法としては。たとえば図4の二相流形成用スプレーガス流と液体原料の混合部が図12のように偏心させることで実現する事例があげられる(図12は、図4の図に対して垂直な方向の断面である)。図12のように液体流路壁面に沿うように二相流形成用スプレーガスを供給することで二相流が渦流で形成される。
二相流を渦流で形成することで、ノズル内壁面に対する固着や堆積を抑制することができ、ひいては詰まりを防止することができる。
渦流を形成するさらに別の手段としては、二相流の形成後であって、スプレーガスと衝突する前の二相流の流路に、回転力付与手段を備えることが挙げられる。回転力付与手段としては、たとえば、一定方向に流れ方向を変化させる邪魔板様の部材を流路中に設置するとか、流路の壁に螺旋溝を形成するなどの方法がある。具体的な形態としては、たとえば、図9のような、スタティックミキサのエレメントのような部材が例示される。前記部材をノズル内部に設置した事例を、図10に示す。
【0046】
粉体に空気流を衝突させ、粉体を流動化する装置には、空気流が供給できるように構成された混合装置(たとえば、深江パウテック株式会社のハイスピードミキサー)や、流動層装置(たとえば株式会社大川原製作所のフローコーターや、岡田精工株式会社製のスピラコータ、株式会社パウレック製のマルチプレックス)などが有るが、特に流動層装置が優れている。特許文献としては、たとえば特許文献11の図1に示される装置などがこれに相当する。
【0047】
流動層造粒・コーティング法、および装置の一例を、図5で説明する。
図5の装置は、通気板、ディストリビューター、もしくは目皿板とよばれる粉粒体を保持する隔壁を主には粉体層の底部に備える容器内に、通気板をへて導入される流動化空気により流動化された粉流体に対して、結合材、バインダなどとも呼ばれる原料液体を噴霧供給し、造粒・コーティングする技術である。粉体容器の空気出口には、たとえばバグフィルタ、サイクロンなどに代表される捕集もしくは集塵機構が設置され、容器内からの粉流体が意図せずに排出されることを防ぐのが一般的である。
さらに、造粒・コーティング中の粉粒体に対して、攪拌・転動作用を与えるために、攪拌羽や回転円盤に代表される攪拌・混合・転動機構を供える装置も一般的である。
【0048】
スプレーノズルは、装置の底部、側面、上部などから粉体層に向けて噴霧されるのが一般的であるが、必ずしも粉粒体の流動層の中心部にむけて噴霧されるのではなく、さまざまな工夫がなされているが、本発明の方法は、いずれのスプレーノズルの設置方法においても効果的である。
【0049】
前記のような構成要件が特に有効であるのは、流動層の回転攪拌作用により遠心力により粉粒体の密度が高くなるサイドスプレー(流動層の側面に設置されたスプレー)や、粉粒体の密度の高い流動層の低部に設置されたスプレーノズルを採用する流動層造粒装置において特に効果が著しい。
特にサイドスプレーが有効な装置としては、一般的な流動層式造粒・コーティング装置の他、たとえば株式会社パウレックのマルチプレックスや、SFP、フロイント産業株式会社のグラニュレックスやスパイラフロー、岡田精工株式会社のスピラコータ、ホソカワミクロン株式会社のアグロマスタなどが挙げられる。たとえば特許文献12の図1に示されたような装置がこれにあたる。
【0050】
特にボトムスプレーが有効な装置としては、たとえば一般的なワースター式コーティング装置、ホソカワミクロン株式会社のアグロマスターAGM−SD、大川原製作所のスプリュードなどが挙げられる。特許文献の事例としては。たとえば特許文献13の図1などが挙げられる(補足:本願の図3、5はそれぞれ特許文献13の図1、特許文献13の図7と同様の装置である。図7の装置では、粉体層の底部に空気流が粉体に衝突するように供給されている)。
【0051】
また、トップスプレー(流動化空気と逆向きのベクトルを有する方向にミストが噴霧されるスプレー)においても、当然詰まり防止効果は有効である。トップスプレーは、二相流の形成方法が、ベンチュリー方式、エジェクター方式、リングノズル方式、渦流方式のいずれの装置にも当然使用可能であり、当然その他の流動層式コーティング装置にも用いることが出来る。
【0052】
本発明の造粒・コーティング方法で、電子写真用のキャリア粒子のコーティングを行うと、歩留まりよく、効率よく、また凝集の少ない、電子写真に好適なキャリアの製造が可能である。
【0053】
さらに、本発明の製法で製造されたキャリア粒子は、凝集が少なく、各粒子毎のコート膜厚さが均一であり、電子写真用のキャリアとして好ましい特性を有している。
なお、上述した実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の一例を示すものであり、本発明はそれに限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々変形実施が可能である。
【実施例】
【0054】
以下本発明の実施例について具体例をあげて説明を行う。
これらの実施例は、本発明の一態様にすぎずこれらに発明の技術的範囲は限定されない。
【0055】
[実施例1〜3、比較例1〜2]
<耐久性の確認>
まず、本発明における造粒・コーティング方法が一般的な粉体の造粒・コーティング操作に対して優れていることを示すために、以下に示す処方Aをモデル材料とし、運転条件一定で造粒実験を行い、スプレーノズルの耐久性を確認した。本原料処方(乳糖、コーンスターチの造粒・コーティング)は、粉体工学会等の本発明の技術分野において、しばしば標準的な処方のモデルとして例示されているものに準拠したものである。
処方Aの液体材料(本事例では結合剤を溶解したバインダ液)を供給終了し、乾燥を終えるまでを1バッチとして、スプレーノズルに閉塞などの障害が発生するまでバッチ運転を繰り返す。
閉塞をおこさず、バッチ運転をより多くの回数繰り返すことの出来るノズルがより優れたノズルである。
【0056】
<処方A>
(仕込み粉体)
乳糖200Mパス品 8750g DMV
コーンスターチ 3750g 日本食品化工(株)
(液体材料)
結合剤(HPC−L) 471.5g 日本曹達(株)
乳糖200Mパス品 350g DMV
コーンスターチ 150g 日本食品化工(株)
水 2424.9g イオン交換水
なお、液体材料は十分にミキサーで攪拌・溶解した後、100Mでろ過したものを用いる。ろ過の際、ろ過物の乾燥後の重量が液体材料中の固形分1%を超えないこととする。200Mとは目開き約74μm、100Mは目開き約149μmの篩を示す。
【0057】
<運転条件>
本評価では、スプレーノズルに最も強く粉体が衝突する一形態である、ボトムスプレー式の流動層装置の形態で比較を行う。ボトムスプレー式の流動層装置としては図3に示す流動造造粒・コーティング装置(造粒部内径Φ300mm)を用いる。
乳糖およびコーンスターチを同時に装置内へ投入した後、流動化空気温度70℃、流動化空気量4.5m3/min(ノルマル)で流動化させる。
流動化開始から五分後に液体材料の供給を開始する。液体材料の供給速度は、67.4g/minとする。液体材料の供給にはギアポンプを用いた。
スプレーガスとして空気を用い、スプレー空気量は液供給中70L/min、液供給停止時15L/minとする。尚、スプレー空気量とは二相流を形成する場合、二相流を形成するための空気量とミスト化して噴霧するための空気(噴霧エア)量の合計である。
それぞれの設定値は手動操作であるため、それぞれおおよそ±10%程度の誤差を許容するものとする。
以上のバッチ操作をスプレーノズルの型式を変えつつ、各々のスプレーノズルが閉塞などの障害を発生するまで繰り返し行い、障害が発生せずに完了したバッチ数をカウントした。
【0058】
その他の運転操作条件については以下のようである。
比較例1;一般的な内部混合型のスプレーノズルとして、スプレーイングシステムス社のスプレーセットアップ番号SU12A(液キャップPF2050、液キャップPA73160)を用いた。スプレーイングシステムスのカタログから引用した、前記スプレーイングシステムス社のスプレーノズルの構造を図6に示す。
【0059】
比較例2;一般的な内部混合型のスプレーノズルとして、アトマックス社のAM45Sを用いた他は比較例1に同じ。アトマックス社のAM45Sの構造に関する詳細は、特許文献4、5に示されている。特許文献5から引用した構造図を図8に示す。
【0060】
実施例1:前記比較例2で使用したAM45Sの液流路を改造し、単純にガスを混入し二相流を形成するよう変更した他は比較例2に同じ。内部構造は図4のようである。
実施例2:前記比較例2で使用したAM45Sの液流路を改造し、ベンチュリー式にガスを混入し二相流を形成するよう変更した他は比較例2に同じ。内部構造は図2のようである。
実施例3:前記比較例2で使用したAM45Sの液流路を改造し、エジェクター式にガスを混入し二相流を形成するよう変更した他は比較例2に同じ。内部構造は図1のようである。
【0061】
以上の装置構成、および実験条件等を表1に示す。また、評価結果を表2に示す。
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
<噴霧性能の確認>
さらに、実施例1〜3、比較例1〜2のスプレー形式について液滴径を比較した。評価対象としては液体材料としてイオン交換水を用い、そのミスト径を測定した。
評価結果を表3に示す。
【表3】
【0064】
表3の結果から、実施例で用いたスプレーノズルは、比較例で用いた従来のノズルに比べ、ほぼ同等か、若干すぐれる程度の微粒化性能を有することが確認される。微粒化性能が優れることで、粉体粒子の局所濡れや、スプレー先端部の濡れが抑制されるのであるが、この優れた微粒化性能も本発明におけるノズルの耐久性向上に寄与しているであろう。
しかし、この極わずかな微粒化性能の差異で、表2のような優れた改善は起こりえないものであるから、本発明の方法が特に従来技術に比して優れた閉塞防止作用を有していると言える。
【0065】
[実施例4〜6、比較例3〜4]
実施例1において、運転条件を以下のように変えた以外は、実施例1と同様にし、運転可能バッチ数を評価した。
<運転条件>
本評価では、スプレーノズルに最も強く粉体が衝突する別の形体である、回転円盤を備えた転動流動層を用い、スプレーノズルは造粒容器の側面から中心部に向かって設置することとする。回転円盤を備えた転動流動層として、図5に示す流動層造粒・コーティング装置(造粒部内径Φ300mm)を用いる。
乳糖およびコーンスターチを同時に装置内へ投入した後、流動化空気温度70℃、流動化空気量3.8m3/min(ノルマル)で流動化させる。回転円盤の回転数は150rpmとする。
流動化開始から五分後に液体材料の供給を開始する。液体材料の供給速度は、67.4g/minとする。
スプレー空気量は液供給中70L/min、液供給停止時15L/minとする。
それぞれの設定値は手動操作であるため、それぞれおおよそ±10%程度の誤差を許容するものとする。
以上のバッチ操作をスプレーノズルの型式を変えつつ、各々のスプレーノズルが閉塞などの障害を発生するまで繰り返し行い、障害が発生せずに完了したバッチ数をカウントした。
【0066】
その他の運転操作条件については以下のようである。
比較例3;一般的な内部混合型のスプレーノズルとして、スプレーイングシステムス社のスプレーセットアップ番号SU12A(液キャップPF2050、液キャップPA73160)を用いた。
比較例4;比較例2で用いたノズルに変更した他は比較例3に同じ。
【0067】
実施例4:実施例1で用いたノズルに変更した他は比較例3に同じ。
実施例5:実施例2で用いたノズルに変更した他は比較例3に同じ。
実施例6:実施例3で用いたノズルに変更した他は比較例3に同じ。
【0068】
以上の装置構成、および実験条件等を表4に示す。また、評価結果を表5に示す。
【表4】
【0069】
【表5】
【0070】
表2および表5の結果より、実施例で用いたノズルは、比較例で用いた従来型のノズルに対して耐久性の面で優れていることが示される。また、本発明のようにあらかじめ二相流を形成するにおいて、単に気液を混合するよりも、ベンチュリー構造やエジェクター構造により気液を混合するほうが、より一層好ましいことが示される。おなじく、リングノズル構造についても同様の効果が得られる。
【0071】
[実施例7〜13]
本評価では、実施例6と同じ装置および操作条件で、ノズル構造と空気量比のみを変更して比較を行った。
ノズルおよび空気量比については以下のようである。
実施例7〜11;
市販の外部混合型のスプレーノズルとして、図8に示すようなアトマックス社のAM45Sを用い、液流路を改造し、エジェクター式に二相流形成用ガスを混入し二相流を形成するよう変更した他は比較例2と同じである。内部構造は図1の様態のものを用いた。前記二相流を形成する流路長さは、二相流の噴出する孔の円換算直径Dの10倍とした。
【0072】
実施例12;
市販の外部混合型のスプレーノズルとして、図8に示すようなアトマックス社のAM45Sを用い、液流路を改造し、エジェクター式に二相流形成用ガスを混入し二相流を形成するよう変更した他は比較例2と同じである。内部構造は図1の様態のものを用いた。前記二相流を形成する流路長さは、二相流の噴出する孔の円換算直径Dの3.5倍とした。
【0073】
実施例13;
市販の外部混合型のスプレーノズルとして、図8に示すようなアトマックス社のAM45Sを用い、液流路を改造し、エジェクター式に二相流形成用ガスを混入し二相流を形成するよう変更した他は比較例2と同じである。内部構造は図1の様態のものを用いた。前記二相流を形成する流路長さは、二相流の噴出する孔の円換算直径Dの4.5倍とした。
【0074】
以上のノズル構成、および空気量比等を表6に示す。また、評価結果を表7に示す。
【表6】
【0075】
【表7】
【0076】
表7の結果によると、以下のように考察される。実施例7〜10より、二相流を形成するための空気量と、噴霧エア(二相流をミスト化して噴霧するスプレーガス)の空気量との比は5:95〜40:60が特によく、実施例11〜13より二相流を形成する流路長さは、二相流の噴出する孔の円換算直径Dの4倍を超えるのが良いことがわかる。
【0077】
[実施例14〜17、比較例5〜6]
<電子写真用キャリアの製造1>
以下に、本発明におけるコーティング方法を電子写真用キャリアの製造に適用した事例について、実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明する。実験を実施するにあたり、固定条件として、装置条件、処理量、ユーティリティー使用量及びコート液条件は以下のように設定した。
(1)造粒装置:転動流動層造粒装置 岡田精工製 (図7に示す装置)
(2)造粒装置の径:直径50cm
(3)造粒装置の高さ:120cm
(4)造粒装置のディスク板の直径:40cm
(5)処理量:10kg
(6)流動化空気量(下部エアー/上部エアー):4.5m3/min/1.5m3/min
(7)スプレーノズ:トップスプレー2本を使用
(8)スプレーガス供給量: 130mL/min(1本あたり)
(9)液体材料(コート液)供給量⇒32mL/min(1本あたり)
(10)コート液の比重:0.97g/cm3
(11)コート液の組成:
シリコーン樹脂溶液[固形分15重量%]
(SR2411:東レダウコーニング社製) 227部
γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン 6部
アルミナ粒子[0.3μm、固有抵抗1014(Ω・cm)] 140部
トルエン 900部
ブチルセロソルブ 900部
以上の材料をホモミキサーで10分間分散し、被覆膜形成溶液を調合した。
【0078】
キャリア製造のためのコーティング用核粒子(すなわち芯材)として平均粒径35μm焼成フェライト粉を用い、以下の条件で噴霧コートを実施した。
(1)供給エアー温度 100℃
(2)ディスク回転周速度 0.8m/sec
(3)下部エアー供給量と上部エアー供給量の比 3:1
コーティング処理終了後、ディスク板を回転させた状態で造粒装置外壁に取り付けられた造粒品排出口から装置外へ造粒品を排出した。
【0079】
実験結果の評価項目を以下のように設定した。
(1)「歩留」:歩留は、造粒装置へ投入したコーティング前の粉体粒子重量とコート液中の固形分重量の合計を総投入量として、その重量に対する回収した造粒製品の重量比(wt%)とした。この値は大きいほど良好であり、97.5以上がよい。
(2)「装置内付着率」:装置内付着率は、造粒装置へ投入したコーティング前の粉体粒子重量とコート液中の固形分重量の合計を総投入量として、その重量に対する造粒処理で装置内に付着した粉体粒子の重量比(wt%)とした。この値は小さいほど好ましく、2.0以下が良い。
(3)「凝集発生率」:凝集発生率は、造粒処理後に造粒装置から回収した造粒製品の重量に対する、造粒製品中の凝集物の重量比(wt%)とした。この値は小さいほど好ましく、2.0以下が良い。
(4)「コート膜厚」:コート膜厚は、実験で得られた造粒製品のコート膜の厚さとした。所望の基準値(目標値)を100として、その比で示す。この値は100に近いほど良質であり、97.5以上が良い。
(5)「繰り返しバッチ回数」:キャリアのコーティング処理をバッチ運転で繰り返し行い、ノズルが閉塞するまで(ノズル詰まりが無く正常にコーティングできた場合)のバッチ回数とした。ノズルが閉塞する前のバッチ回数とする。なお閉塞がない場合は、10バッチで評価終了とする。この値は大きいほど良好である。
【0080】
スプレーノズルの組み合わせは以下のようである。
比較例5;比較例1で用いたノズル
比較例6;比較例2で用いたノズル
【0081】
実施例14:実施例1で用いたノズル
実施例15:実施例2で用いたノズル
実施例16:実施例3で用いたノズル
実施例17:実施例1で用いたノズル
【0082】
以上の装置構成、および実験条件等を表8に示す。
【表8】
【0083】
実施例14〜17及び比較例5、6の実験結果を表9に示す。
【表9】
【0084】
表9より、本発明の方法によれば、収率よく、またノズルつまりが無く効率よく電子写真用のキャリアのコーティングが可能であり、さらに、凝集率が少なくコート膜厚が精密に制御された、優れた電子写真用のキャリア粒子が提供できることがわかる。
【0085】
比較例5、6は、従来の装置形態による事例である。
実施例におけるキャリアの品質として重要なコート膜厚は、コート液の処方・供給量に対してより正確な値(100に近い)を示しており、コート膜厚の制御性が良好であることから、良質なキャリアの製造により適していることがわかる。
また、実施例における装置内付着率、凝集発生率は、比較例のそれに対して同等かそれ以上に良好であり、製造方法として優れていることが示される。
さらに、比較例における従来の装置形態の繰り返しバッチ回数に対して、本発明の実施形態に基づく実施例の繰り返しバッチ回数も、いずれも良好な結果を示している。
【0086】
[実施例18〜26]
<電子写真用キャリアの製造2>
電子写真用キャリアの製造1の実験及び評価で使用したものと同じ造粒装置、コート液、コーティング用核粒子を用い、さらに、噴霧コート条件、ノズルを変更して更に実験を行い比較した。
【0087】
実験結果の評価項目を以下のように設定した。
(1)「歩留」:歩留は、造粒装置へ投入したコーティング前の粉体粒子重量とコート液中の固形分重量の合計を総投入量として、その重量に対する回収した造粒製品の重量比(wt%)とした。この値は大きいほど良好であり、97.5以上がよい。
(2)「装置内付着率」:装置内付着率は、造粒装置へ投入したコーティング前の粉体粒子重量とコート液中の固形分重量の合計を総投入量として、その重量に対する造粒処理で装置内に付着した粉体粒子の重量比(wt%)とした。この値は小さいほど好ましく、2.0以下が良い。
(3)「凝集発生率」:凝集発生率は、造粒処理後に造粒装置から回収した造粒製品の重量に対する、造粒製品中の凝集物の重量比(wt%)とした。この値は小さいほど好ましく、2.0以下が良い。
(4)「コート膜厚」:コート膜厚は、実験で得られた造粒製品のコート膜の厚さとした。
所望の基準値(目標値)を100として、その比で示す。この値は100に近いほど良質であり、97.5以上が良い。
(5)「繰り返しバッチ回数」:キャリアのコーティング処理をバッチ運転で繰り返し行い、ノズルが閉塞するまで(ノズル詰まりが無く正常にコーティングできた場合)のバッチ回数とした。ノズルが閉塞する前のバッチ回数とする。なお閉塞がない場合は、10バッチで評価終了とする。この値は大きいほど良好である。
【0088】
実施例18:
市販の外部混合型のスプレーノズルとして、図8に示すようなアトマックス社のAM45Sを用い、液流路を改造し、単純に二相流形成用ガスを混入し二相流を形成するよう変更した。内部構造は図4の様態のものを用いた。前記二相流を形成する流路長さは、二相流の噴出する孔の円換算直径Dの10倍とした。
【0089】
実施例19:
市販の外部混合型のスプレーノズルとして、図8に示すようなアトマックス社のAM45Sを用い、液流路を改造し、ベンチュリー式に二相流形成用ガスを混入し二相流を形成するよう変更した。内部構造は図1の様態のものを用いた。前記二相流を形成する流路長さは、二相流の噴出する孔の円換算直径Dの10倍とした。
【0090】
実施例20:
市販の外部混合型のスプレーノズルとして、図8に示すようなアトマックス社のAM45Sを用い、液流路を改造し、エジェクター式に二相流形成用ガスを混入し二相流を形成するよう変更した。内部構造は図2の様態のものを用いた。前記二相流を形成する流路長さは、二相流の噴出する孔の円換算直径Dの10倍とした。
【0091】
実施例21〜23:
実施例20と同じノズル。
実施例24:
実施例18相当のノズルであるが、二相流を形成する流路長さは、二相流の噴出する孔の円換算直径Dの3.5倍としたもの。
実施例25:
実施例18相当のノズルであるが、二相流を形成する流路長さは、二相流の噴出する孔の円換算直径Dの4.5倍としたもの。
実施例26:
前記実施例19と同じノズルの内部に、二相流の回転力付与手段として図9のようなエレメントを挿入し、二相流を渦流としたノズルを用いた。
【0092】
以上の装置構成、および実験条件等を表10に示す。
【表10】
【0093】
実施例18〜26の実験結果を表11に示す。
【表11】
【0094】
表11より、本発明の方法によれば、収率よく、またノズルつまりが無く効率よく電子写真用のキャリアのコーティングが可能であり、さらに、凝集率が少なくコート膜厚が精密に制御された、優れた電子写真用のキャリア粒子が提供できることがわかる。
【0095】
実施例におけるキャリアの品質として重要なコート膜厚は、コート液の処方・供給量に対してより正確な値(100に近い)を示しており、コート膜厚の制御性が良好であることから、良質なキャリアの製造により適していることがわかる。
また、実施例における装置内付着率、凝集発生率は、良好であり、製造方法として優れていることが示される。
さらに、本発明の実施形態に基づく実施例の繰り返しバッチ回数も、いずれも良好な結果を示している。
【0096】
以上の実施例で示したとおり、本発明における流動造粒・コーティング方法によれば、ノズル詰まり無く安定して歩留まりよく造粒・コーティング加工ができ、さらに、安定した加工処理の結果として、均質で良好な製品が得られる。この加工の安定性と、高品質な加工特性は、特に、低コスト高画質を求められる電子写真の分野における、キャリア粒子の製造方法として大変優れている。
【0097】
なお、本発明の応用は、本実施例等で示した食品、電子写真のキャリアの分野に限定されない。たとえば、単純なる粒子径制御が求められる洗剤や肥料などの化成品の造粒、樹脂のフィラーとして用いられる無機粉体の表面処理のためのコーティング、苦味や溶出制御が必要な医薬品粉体の造粒・コーティング、固体粉末に対して均質に液体材料を添加・混合しなければならない電池材料他、安定性・均質性を求められるあらゆる造粒・コーティング分野へ応用可能である。
【0098】
(作用効果)
溶液、分散液、スラリー等の液状材料を噴霧供給する二流体式スプレーノズルを備えた造粒・コーティング装置に関するもので、造粒装置の運転条件に拘わらず、液状材料を安定して噴霧供給し、効率よく造粒・コーティングを行う方法および装置の提供を実現することができる。さらに、この造粒方法および装置によって、効率のよい電子写真用キャリアの製造方法の提供を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明は、造粒・コーティング技術全般。たとえば、化成品、医薬品、食品、無機粉体などの造粒・コーティング、特に、電子写真用のキャリアの製造に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明に係る造粒・コーティング装置に用いられるノズルの一例を示す図である。
【図2】本発明に係る造粒・コーティング装置に用いられるノズルの一例を示す図である。
【図3】本発明に係る造粒・コーティング装置の一例を示す図である。
【図4】本発明に係る造粒・コーティング装置に用いられるノズルの一例を示す図である。
【図5】本発明に係る造粒・コーティング装置の一例を示す図である。
【図6】従来の造粒・コーティング装置に用いられるノズルの一例を示す図である。
【図7】本発明従来の造粒・コーティング装置の一例を示す図である。
【図8】従来の造粒・コーティング装置に用いられるノズルの一例を示す図である。
【図9】ノズル中に設置する回転力付与手段の一例を示す図である。
【図10】ノズル中への回転力付与手段の取り付け位置の一例を示す図である。
【図11】ノズル中の二相流を形成する流路長さを示す図である。
【図12】ノズル内で二相流形成用のスプレーガスをスプレー液流路に編心して供 給するノズル構造の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0101】
1 造粒筒
2 粉体流動層形成部
3 液ポンプ
4 二流体式スプレーノズル
5 回転ディスク板
6 調湿装置
7 ブロアー
8 下部エアー供給管
9 調湿装置
10 ブロアー
11 上部エアー供給管
12 排気管
13 内筒管
14 サイクロン
15 スプレーガス流路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内に投入された粉体に衝突させるように、空気流を供給することにより該粉体を流動化させ、この流動化した粉体に対し、二流体式スプレーノズル方式によりスプレーガスを用いて溶媒、溶液、分散液またはスラリーからなるスプレー液のミストを噴霧する造粒・コーティング方法において、
前記スプレー液に二相流を形成するためのスプレーガスをあらかじめ混合し、この混合物からスプレーノズル内流路中で二相流を形成させて流速を加速した後、さらに該二相流とスプレーガスとを衝突させることにより該二相流をミスト化して噴霧することを特徴とする造粒・コーティング方法。
【請求項2】
前記二相流を形成するためのスプレーガス量と、二相流をミスト化して噴霧するためのスプレーガス量との比が5:95〜40:60であることを特徴とする請求項1に記載の造粒・コーティング方法。
【請求項3】
スプレーノズル内の前記二相流を形成するための流路の長さが、二相流が噴出する孔の円換算直径Dの4倍以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の造粒・コーティング方法。
【請求項4】
前記スプレーガスαで、液体βを噴霧するとき、αの使用量をX(NL/min、ノルマルリットル/分)とし、βの噴霧量をY(ml/min)とし、標準状態での空気の比重をaとし、水の比重をbとし、同じく標準状態でのスプレーガスαの比重をxとし、βの比重をyとしたとき、(Y×(y/b))/(X×(x/a))が、0.1〜3であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の造粒・コーティング方法。
【請求項5】
前記二相流の形成方法が、ベンチュリー方式であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の造粒・コーティング方法。
【請求項6】
前記二相流の形成方法が、エジェクター方式であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の造粒・コーティング方法。
【請求項7】
前記二相流の形成方法が、リングノズル方式であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の造粒・コーティング方法。
【請求項8】
前記二相流の形成方法が、渦流方式であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の造粒・コーティング方法。
【請求項9】
前記二相流の形成後であって、スプレーガスと衝突する前の二相流の流路に、回転力付与工程を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の造粒・コーティング方法。
【請求項10】
前記粉体の流動化方法が、流動層方式であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の造粒・コーティング方法。
【請求項11】
前記流動層の底部に設けた回転ディスクまたは旋回流を与える機構により、流動層内に攪拌・転動作用を与えることを特徴とする請求項10に記載の造粒・コーティング方法。
【請求項12】
容器内に投入された粉体に衝突させるように、空気流を供給することにより該粉体を流動化させ、この流動化した粉体に対し、二流体式スプレーノズル方式によりスプレーガスを用いて溶媒、溶液、分散液またはスラリーからなるスプレー液のミストを噴霧する流動層式の造粒・コーティング装置において、
前記スプレー液に二相流を形成するためのスプレーガスをあらかじめ混合し、この混合物からスプレーノズル内流路中で二相流を形成させて流速を加速した後に、さらに該二相流とスプレーガスとを衝突させることにより該二相流をミスト化して噴霧することを特徴とする造粒・コーティング装置。
【請求項13】
前記流動層の容器の底部から内部に向けてミストが噴霧するように二流体スプレーノズルが設置されたことを特徴とする請求項12に記載の造粒・コーティング装置。
【請求項14】
前記流動層の容器の側面から内部に向けてミストが噴霧するように二流体スプレーノズルが設置されたことを特徴とする請求項12に記載の造粒・コーティング装置。
【請求項15】
前記流動層の容器の上方から下方に向けて、かつ粉体を流動化する空気と逆向きのベクトルを有する方向に前記ミストを噴霧するように二流体スプレーノズルが設置されていることを特徴とする請求項12に記載の造粒・コーティング装置。
【請求項16】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の造粒・コーティング方法を用いたことを特徴とする電子写真用キャリアのコーティング方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法で製造されたことを特徴とする電子写真用キャリア。
【請求項1】
容器内に投入された粉体に衝突させるように、空気流を供給することにより該粉体を流動化させ、この流動化した粉体に対し、二流体式スプレーノズル方式によりスプレーガスを用いて溶媒、溶液、分散液またはスラリーからなるスプレー液のミストを噴霧する造粒・コーティング方法において、
前記スプレー液に二相流を形成するためのスプレーガスをあらかじめ混合し、この混合物からスプレーノズル内流路中で二相流を形成させて流速を加速した後、さらに該二相流とスプレーガスとを衝突させることにより該二相流をミスト化して噴霧することを特徴とする造粒・コーティング方法。
【請求項2】
前記二相流を形成するためのスプレーガス量と、二相流をミスト化して噴霧するためのスプレーガス量との比が5:95〜40:60であることを特徴とする請求項1に記載の造粒・コーティング方法。
【請求項3】
スプレーノズル内の前記二相流を形成するための流路の長さが、二相流が噴出する孔の円換算直径Dの4倍以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の造粒・コーティング方法。
【請求項4】
前記スプレーガスαで、液体βを噴霧するとき、αの使用量をX(NL/min、ノルマルリットル/分)とし、βの噴霧量をY(ml/min)とし、標準状態での空気の比重をaとし、水の比重をbとし、同じく標準状態でのスプレーガスαの比重をxとし、βの比重をyとしたとき、(Y×(y/b))/(X×(x/a))が、0.1〜3であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の造粒・コーティング方法。
【請求項5】
前記二相流の形成方法が、ベンチュリー方式であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の造粒・コーティング方法。
【請求項6】
前記二相流の形成方法が、エジェクター方式であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の造粒・コーティング方法。
【請求項7】
前記二相流の形成方法が、リングノズル方式であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の造粒・コーティング方法。
【請求項8】
前記二相流の形成方法が、渦流方式であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の造粒・コーティング方法。
【請求項9】
前記二相流の形成後であって、スプレーガスと衝突する前の二相流の流路に、回転力付与工程を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の造粒・コーティング方法。
【請求項10】
前記粉体の流動化方法が、流動層方式であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の造粒・コーティング方法。
【請求項11】
前記流動層の底部に設けた回転ディスクまたは旋回流を与える機構により、流動層内に攪拌・転動作用を与えることを特徴とする請求項10に記載の造粒・コーティング方法。
【請求項12】
容器内に投入された粉体に衝突させるように、空気流を供給することにより該粉体を流動化させ、この流動化した粉体に対し、二流体式スプレーノズル方式によりスプレーガスを用いて溶媒、溶液、分散液またはスラリーからなるスプレー液のミストを噴霧する流動層式の造粒・コーティング装置において、
前記スプレー液に二相流を形成するためのスプレーガスをあらかじめ混合し、この混合物からスプレーノズル内流路中で二相流を形成させて流速を加速した後に、さらに該二相流とスプレーガスとを衝突させることにより該二相流をミスト化して噴霧することを特徴とする造粒・コーティング装置。
【請求項13】
前記流動層の容器の底部から内部に向けてミストが噴霧するように二流体スプレーノズルが設置されたことを特徴とする請求項12に記載の造粒・コーティング装置。
【請求項14】
前記流動層の容器の側面から内部に向けてミストが噴霧するように二流体スプレーノズルが設置されたことを特徴とする請求項12に記載の造粒・コーティング装置。
【請求項15】
前記流動層の容器の上方から下方に向けて、かつ粉体を流動化する空気と逆向きのベクトルを有する方向に前記ミストを噴霧するように二流体スプレーノズルが設置されていることを特徴とする請求項12に記載の造粒・コーティング装置。
【請求項16】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の造粒・コーティング方法を用いたことを特徴とする電子写真用キャリアのコーティング方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法で製造されたことを特徴とする電子写真用キャリア。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−18297(P2009−18297A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−96195(P2008−96195)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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