説明

造粒装置

【課題】粒径の均等性を向上させることが可能な造粒装置の提供を目的とする。
【解決手段】本発明の造粒装置100によれば、造粒容器61の中心部、天井部、側部、底部そして中心部へと循環する循環ガス流に乗って粉体が造粒容器61内を循環する。この過程で粉体がプラズマフレームF2によって加熱されて粉体同士が付着し、粒径が徐々に大きくなる。そして、所定の粒径以上に成長した大径粒体は、自重によって循環ガス流から離脱する。ここで、循環ガス流から離脱した大径粒体は、造粒容器61の底部に貫通形成された環状孔82を通って直ちに造粒容器61の外部、即ち、回収容器10へと排出されるから、所定の粒径以上に成長した大径粒体に、循環中の粉体又は粒体がさらに付着することが防がれる。これにより、大径粒体の過剰な大型化を抑えて、粒径の均等性を向上させることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体を所定の粒径以上に成長させて大径粒体を製造する造粒装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種の造粒装置としては、所謂、「ワースター式」の流動層装置を利用したものが知られている。具体的には、造粒容器の中心部に両端開放の筒体を浮かした状態に配置し、筒体の内部に上昇気流を発生させることで、造粒容器の中心部、天井部、側部、底部そして中心部の順番に循環する循環ガス流を発生させ、その循環ガス流に粉体を乗せて循環させると共に、筒体内の粉体に薬剤を噴霧することで粉体同士を凝集或いは粉体の表面をコーティングするものである(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】特許庁、”標準技術集”、農薬製剤技術(B−1−(4)被覆技術)、[online]、[平成19年12月7日検索]、インターネット[URL:http://www.jpo.go.jp/shiryou/index.htm]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した従来の造粒装置は、造粒容器の底部が閉じており、所定の粒径以上に成長して循環ガス流から離脱した大径粒体が造粒容器の底部に溜まる。そのため、底部に溜まった大径粒体に、造粒容器内で循環中の粉体がさらに付着して、一部の大径粒体が過剰に大きくなり、その結果、粒径のばらつきが大きくなるといった事態が起こり得た。
【0005】
この問題を解決する手段として、処理容器の底部に所定の粒径以上に成長した大径粒体を排出するための排出口を設けることも考えられるが、単に大気開放の排出口を設けただけでは造粒容器内のガスが逃げてしまい、循環ガス流が不安定になったり、循環ガス流自体が発生しなくなる虞がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、粒径の均等性を向上させることが可能な造粒装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係る造粒装置は、上下方向に延び、下端部から上端部に向けてガスを送給可能なガス送給筒を造粒容器の中心部に配置し、造粒容器の中心部、天井部、側部、底部、そして中心部へと循環する循環ガス流を生成し、その循環ガス流に粉体を乗せて循環させると共に、循環ガス流の経路の途中で粉体に熱、イオン又は霧状の吸着物質を付与することで粉体同士を付着又は、粉体の表面にて吸着物質の層を成長させて所定の粒径以上に成長した大径粒体を製造する造粒装置において、造粒容器の底部に貫通形成され、自重により循環ガス流から離脱した大径粒体が通過可能な回収孔と、造粒容器の下方に配置され、回収孔を介して造粒容器内に連通すると共に粒体回収孔を除く全体が閉塞された回収容器と、回収容器に開閉可能に設けられ、回収容器に収容された大径粒体を取り出すための粒体取出口とを備えたところに特徴を有する。なお、念のために述べておくが、「造粒」には、粉体同士を凝集させて大径粒体を製造するものと、粉体の表面を吸着物質で被覆(コーティング)しその被覆層を成長させることで大径粒体を製造するものが含まれる。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の造粒装置において、造粒容器の底部に設けられて、造粒容器内に向かって開放した複数の噴出孔と、噴出孔にガスを供給するための内部流路とを有したスクリーン部と、スクリーン部の内部流路にガスを供給するための分別ガス供給装置とを備え、噴出孔から噴出した噴出ガスにより所定の粒径未満の粒体及び粉体を回収孔から遠ざけて循環ガス流に向かわせる一方、大径粒体が回収孔に近づくことを許容するように、分別ガス供給装置からスクリーン部の内部流路へのガス供給圧が設定されたところに特徴を有する。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2に記載の造粒装置において、造粒容器の側部における底部側には、下方に向かって先細り形状をなして下端開口を有した下端テーパー部が設けられ、造粒容器の底部には、上方に向かって先細りの円錐形又は角錐形をなし、頂点がガス送給筒の下端開口に突き合わされ、斜面の中腹部分が下端テーパー部の下端開口の開口縁との間に回収孔としての環状孔を介した状態に配置されたスクリーン部としての錐形スクリーン壁が設けられ、錐形スクリーン壁の斜面に複数の噴出孔が形成されたところに特徴を有する。
【0010】
請求項4の発明は、請求項2に記載の造粒装置において、造粒容器の側部における底部側には、下方に向かって先細り形状をなしかつ下方に向かうに従って水平方向に対する傾斜角が緩やかになるように丸みを帯びた転動ガイド部が設けられ、造粒容器の底部には、転動ガイド部の下端部と同じ又はそれより緩やかな傾斜で中心部に向かって傾斜すると共に、中心部に回収孔を有したスクリーン部としての皿形スクリーン壁が設けられ、皿形スクリーン壁の上面に複数の噴出孔が形成されたところに特徴を有する。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の造粒装置において、粒体取出口を介して回収容器に連絡された補助回収容器を設けると共に、補助回収容器に開閉可能に設けられた粒体補助取出口とを備え、粒体取出口を閉塞した状態で粒体補助取出口を開放可能としかつ、粒体取出口を開放した状態で粒体補助取出口を閉塞可能としたところに特徴を有する。
【0012】
請求項6の発明は、請求項5に記載の造粒装置において、回収容器を、下方に向かうに従って先細り状になったホッパー構造にしてその下端部に円筒状の排出管を設け、排出管の外側に補助回収容器としての可撓チューブを装着し、可撓チューブの長手方向のうち比較的上端寄り位置に設けられて、可撓チューブを外側から押し潰すことで粒体取出口としての排出管の下端開口を閉塞可能な第1開閉チャックと、可撓チューブの長手方向のうち比較的下端寄り位置に設けられて、可撓チューブを外側から押し潰すことで粒体補助取出口としての可撓チューブの下端開口を閉塞可能な第2開閉チャックとを備えたところに特徴を有する。
【0013】
請求項7の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の造粒装置において、回収容器を、下方に向かうに従って先細り状になったホッパー構造にしてその下端部に円筒状の排出管を設け、排出管の外側に筒状梱包膜部材の上端部を装着してその筒状梱包膜部材を外側から押し潰すことで、粒体取出口としての排出管の下端開口を閉塞可能とすると共に、筒状梱包膜部材のうち閉塞部分の上方に所定量の大径粒体が貯まる度にその所定量の大径粒体の上方で筒状梱包膜部材を閉塞可能としたところに特徴を有する。
【0014】
請求項8の発明は、請求項1乃至7の何れかに記載の造粒装置において、造粒容器の外部から造粒容器内における循環ガス流の経路の途中に粉体を連続して供給可能な粉体供給装置を設けたところに特徴を有する。
【0015】
請求項9の発明は、請求項1乃至8の何れかに記載の造粒装置において、造粒容器の天井部には、下方から見て凹面構造をなし、造粒容器の中心部で上昇した循環ガス流を造粒容器の側部で下方に流れるように案内する天井凹面壁と、天井凹面壁の中心部に設けられ、ガス送給筒の上端開口に突き合わされた状態に突出し、造粒容器の中心部で上昇した循環ガス流を天井凹面壁に沿った放射状に分散させる天井突部とが備えられたところに特徴を有する。
【0016】
請求項10の発明は、請求項9に記載の造粒装置において、天井凹面壁には、下方に向かって開放した複数の噴出孔と、噴出孔にガスを供給するための内部流路とが形成され、天井凹面壁の内部流路にガスを供給するところに特徴を有する。
【0017】
請求項11の発明は、請求項9又は10に記載の造粒装置において、天井凹面壁を造粒容器の上下方向における中間部に配置すると共に、造粒容器のうち天井凹面壁の上側の部屋と下側の部屋とを天井凹面壁と造粒容器の側部との間に設けた隙間を介して連通し、天井凹面壁の上側の部屋には、フィルターを介して造粒容器の外部に連通したガス排出孔が設けられたところに特徴を有する。
【0018】
請求項12の発明は、請求項1乃至11の何れかに記載の造粒装置において、造粒容器の底部から上方に延び、その上端部がガス送給筒の下端開口内に隙間を空けて受容されると共に、ガス送給筒内に向けて圧縮ガスを噴出する噴出ノズルを備えたところに特徴を有する。
【0019】
請求項13の発明は、請求項1乃至12の何れかに記載の造粒装置において、造粒容器の中心部には、ガス送給筒としてのプラズマ発生管の内側にプラズマフレーム生成用ガスを供給してプラズマフレームを生成するプラズマトーチが設けられたところに特徴を有する。
【0020】
上記目的を達成するためになされた請求項14の発明に係る造粒装置は、造粒容器の内部を循環する循環ガス流を生成し、その循環ガス流に粉体を乗せて循環させると共に、循環ガス流の経路の途中で粉体に熱、イオン又は霧状の吸着物質を付与することで粉体同士を付着又は、粉体の表面にて吸着物質の層を成長させて所定の粒径以上に成長した大径粒体を製造する造粒装置において、造粒容器の底部に貫通形成され、自重により循環ガス流から離脱した大径粒体が通過可能な回収孔と、造粒容器の下方に配置され、回収孔を介して造粒容器内に連通すると共に粒体回収孔を除く全体が閉塞された回収容器と、回収容器に開閉可能に設けられ、回収容器に収容された大径粒体を取り出すための粒体取出口とを備えたところに特徴を有する。
【0021】
請求項15の発明は、請求項14に記載の造粒装置において、造粒容器には、水平方向又は水平方向に対して傾斜した方向に沿って延びた円筒部屋と、円筒部屋の上部に形成されて、円筒部屋の軸方向に延びた上部連通口と、円筒部屋の上方に配置されて、上部連通口を介して円筒部屋の内部に連通した上方部屋と、上方部屋に設けられて、フィルターを介して造粒容器の外部に連通したガス排出孔と、円筒部屋に設けられ、円筒部屋の内側曲面の接線方向に沿ってガスを供給し、円筒部屋の内側曲面に沿って循環する循環ガス流を生成するガス噴出部とを備え、回収孔を円筒部屋の下端部に配置したところに特徴を有する。
【0022】
請求項16の発明は、請求項15に記載の造粒装置において、上方部屋に設けられ、上部連通口を介して円筒部屋の内部に粉体を連続して供給可能な粉体供給装置を設けたところに特徴を有する。
【0023】
請求項17の発明は、造粒容器の内部を循環する循環ガス流を生成するガス噴出部と、その循環ガス流に乗って循環する粉体にイオンを付与するイオン付与手段とを備え、イオンを付与された粉体同士を電気的に付着させることで所定の粒径以上に成長した大径粒体を製造するところに特徴を有する。
【0024】
請求項18の発明は、造粒容器の内部を循環する循環ガス流を生成するガス噴出部と、その循環ガス流に乗って循環する粉体に向けてプラズマフレームを噴射する又は、循環ガス流の経路の途中にプラズマフレームを発生させるプラズマ発生装置とを備え、プラズマフレームの熱により粉体同士を付着又は、プラズマフレームにより粉体の表面に被覆層を形成させることで、所定の粒径以上に成長した大径粒体を製造するところに特徴を有する。
【0025】
請求項19の発明は、プラズマフレームのプラズマを測定するプラズマ測定装置と、プラズマの状態が一定になるようにプラズマ発生装置へのプラズマフレーム生成用ガスの供給量又は供給圧力又はプラズマ発生用電力を調節するプラズマ制御装置とが備えられたところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0026】
[請求項1の発明]
上記のように構成した請求項1の発明に係る造粒装置によれば、造粒容器の中心部に下端部から上端部に向けてガスを送給可能なガス送給筒が配置され、造粒容器内を、中心部、天井部、側部、底部そして中心部へと循環する循環ガス流が発生する。この循環ガス流に乗って粉体が造粒容器内を循環する過程で、粉体に熱又はイオン又は霧状の吸着物質を付与すると、粉体同士が付着又は、粉体の表面に付着した吸着物質の層が成長する等して粒径が徐々に大きくなる。そして、所定の粒径以上に成長した大径粒体は、自重によって循環ガス流から離脱し、造粒容器の底部に貫通形成された回収孔を通って回収容器へと排出される。即ち、大径粒体は、造粒容器内に溜まらずに回収孔を通って造粒容器の外部に排出されるので、循環ガス流から離脱した大径粒体に対して、循環中の粉体、粒体、吸着物質がさらに付着することが防がれ、粒径の均等性を向上させることができることができる。
【0027】
また、回収容器に回収された大径粒体は粒体取出口から取り出すことができる一方、循環ガス流が発生している間は、粒体取出口を閉鎖しておくことで、造粒容器からのガス流出が防がれ、造粒容器内に発生した循環ガス流を安定させることができる。
【0028】
[請求項2の発明]
請求項2の発明によれば、造粒容器内で循環する粉体、粒体のうち、所定の粒径未満の粉体及び粒体は、底部の噴出孔から造粒容器の内側に噴出したガスによって、回収孔から遠ざけられ循環ガス流に向かう。一方、所定の粒径以上に成長した大径粒体は、その自重により、噴出孔から噴出したガスに逆らって回収孔に近づき通過する。このように、底部から噴出するガスによって大径粒体とその他の粉体及び粒体との分級(篩い分け)を行うことができるから、所定の粒径未満の粉体及び粒体は造粒容器内に極力留めておくことができる。
【0029】
[請求項3の発明]
請求項3の発明によれば、造粒容器内で循環する所定の粒径未満の粉体及び粒体は、錘形スクリーン壁の斜面から造粒容器の内側へと噴出したガスによって、環状孔から遠ざけられ通過を規制される。一方、所定の粒径以上に成長した大径粒体は造粒容器の下端テーパー部又は錘形スクリーン壁の斜面を転がって環状孔へと近づき、噴出孔から噴出したガスに抗して環状孔を通過する。
【0030】
[請求項4の発明]
請求項4の発明によれば、造粒容器内で循環する所定の粒径未満の粉体及び粒体は、皿形スクリーン壁の上面から造粒容器の内側へと噴出したガスによって、皿形スクリーン壁の中心に設けられた回収孔への接近が規制される。一方、所定の粒径以上に成長した大径粒体は、噴出孔から噴出したガスに逆らって皿形スクリーン壁の上面を転がり、回収孔を通過する。
【0031】
[請求項5及び6の発明]
請求項5の発明によれば、粒体取出口が開放した状態で粒体補助取出口が閉塞すると大径粒体が回収容器から補助回収容器へと移動し、次いで、粒体取出口が閉塞した状態で粒体補助取出口が開放すると補助回収容器から大径粒体が排出される。そして、粒体取出口と補助粒体取出口との何れか一方が閉塞した状態で他方が開放するようになっているので、造粒容器からのガスの流出を常に防ぐことができ、造粒容器内の循環ガス流を乱すことなく、回収容器から大径粒体を取り出すことができる。つまり、造粒中に大径粒体の取り出しを行うことが可能になる。
【0032】
具体的には、請求項6の発明のように、回収容器を下方に向かうに従って先細り状になったホッパー構造にして、その下端部に円筒状の排出管を設け、排出管の外側に補助回収容器としての可撓チューブを装着し、さらに可撓チューブの上下2箇所に、可撓チューブを押し潰して閉塞可能な第1及び第2開閉チャックを設ける。そして、回収容器から大径粒体を取り出す場合には、まず、上側の第1開閉チャックを閉じて可撓チューブ内に大径粒体を堰き止め、次に、下側の第2開閉チャックを閉じた状態で第1開閉チャックを開いて可撓チューブ内の大径粒体を下方に移動させて第2開閉チャックで堰き止め、最後に、第1開閉チャックを閉じた状態で第2開閉チャックを開放して大径粒体を可撓チューブの下端開口(粒体補助取出口)から外部に排出させればよい。
【0033】
[請求項7の発明]
請求項7の発明によれば、回収容器の下端部に装着された筒状梱包膜部材に、大径粒体を所定量ずつ小分けして封止することができる。
【0034】
また、筒状梱包膜部材を押し潰して排出管の下端開口を閉塞した状態で、その閉塞部分の上方に大径粒体が貯められるので、常にガスの流出を防ぐことができ、造粒容器内の循環ガス流を乱すことなく、大径粒体を筒状梱包膜部材に小分けして封止することができる。つまり、造粒と大径粒体の梱包とを同時進行で行うことができる。
【0035】
[請求項8の発明]
請求項8の発明によれば、大径粒体を連続的に製造することができる。ここで、粉体供給装置は、造粒容器から大径粒体として排出された分の粉体を補充するようにすれば、造粒容器内の粉体量を過不足無くほぼ一定に保つことができ、連続的に安定して製造することができる。
【0036】
[請求項9の発明]
請求項9の発明によれば、ガス送給筒の上端開口から放出されたガス及び粉体は、ガス送給筒の上端開口の上方で天井突部により放射状に分散し、天井凹面壁に沿って移動して造粒容器の側部で下方に流れる。これにより、循環ガス流の安定性が向上する。
【0037】
[請求項10の発明]
請求項10の発明によれば、天井凹面壁の下面への粉体の付着を防止することができる。
【0038】
[請求項11の発明]
請求項11の発明によれば、天井凹面壁と造粒容器の側部との間に設けた隙間から、天井凹面壁の上側の部屋にガスが流れ込み、ガス排出孔から外部に排気される。このとき粉体はフィルターで捕集されるので、ガスと共に外部に排出されることはない。
【0039】
[請求項12の発明]
請求項12の発明によれば、ガス送給筒の下端開口が負圧になるので、その近傍のガス及び粉体がガス送給筒内に吸引される。
【0040】
[請求項13の発明]
請求項13の発明によれば、粉体がプラズマ発生管の内部を通過することで、プラズマフレームの熱、イオン、イオン化生成物質が粉体に付与される。
【0041】
[請求項14の発明]
上記のように構成した請求項14の発明に係る造粒装置によれば、造粒容器内を循環する循環ガス流に乗って粉体が造粒容器内を循環する過程で、粉体に熱又はイオン又は霧状の吸着物質を加えると、粉体同士が付着又は、粉体の表面に付着した吸着物質の層が成長する等して粒径が徐々に大きくなる。そして、所定の粒径以上に成長した大径粒体は、自重によって循環ガス流から離脱し、造粒容器の底部に貫通形成された回収孔を通って回収容器へと排出される。即ち、大径粒体は、造粒容器内に溜まらずに回収孔を通って造粒容器の外部に排出されるので、循環ガス流から離脱した大径粒体に対して、循環中の粉体、粒体、吸着物質がさらに付着することが防がれ、粒径の均等性を向上させることができることができる。
【0042】
また、回収容器に回収された大径粒体は粒体取出口から取り出すことができる一方、循環ガス流が発生している間は、粒体取出口を閉鎖しておくことで、造粒容器からのガス流出が防がれ、造粒容器内に発生した循環ガス流を安定させることができる。
【0043】
[請求項15の発明]
請求項15の発明によれば、粉体は円筒部屋内で循環する循環ガス流に乗って、旋回するように循環流動する。その循環経路の途中で熱、イオン又は霧状の吸着物質を付与されて徐々に大径化する。そして、所定の粒径以上の大径粒体になると、循環ガス流から離脱し、円筒部屋の下端部に配置された回収孔から造粒容器の外部へと排出される。
【0044】
[請求項16の発明]
請求項16の発明によれば、大径粒体を連続的に製造することができる。ここで、粉体供給装置は、造粒容器から大径粒体として排出された分の粉体を補充するようにすれば、造粒容器内の粉体量を過不足無くほぼ一定に保つことができ、連続的に安定して製造することができる。
【0045】
[請求項17及び18の発明]
請求項17及び18の発明によれば、薬液を噴霧して造粒を行った場合には必要な乾燥処理が不要となる。また、造粒容器の壁面を垂れる薬液により、粉体が造粒容器の壁面に固着するという事態を回避することができる。
【0046】
[請求項19の発明]
請求項19の発明によれば、プラズマフレームが安定し大径粒体の品質が安定する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1施形態に係る造粒装置の概念図
【図2】粉体供給装置の断面図
【図3】粉体供給装置の拡大断面図
【図4】容器内旋回部材の斜視図
【図5】スクレーパの斜視図
【図6】上段の底壁の斜視図
【図7】下段の底壁の断面斜視図
【図8】下段の底壁の断面図
【図9】上段の底壁の斜視図
【図10】下段の底壁の斜視図
【図11】プラズマトーチの断面図
【図12】(A)天井部材の断面図、(B)天井部材の部分断面図
【図13】エゼクタ部の断面図
【図14】錐形スクリーン壁の断面図
【図15】第1開閉チャックが閉じて大径粒体が貯まっている状態の可撓チューブの断面図
【図16】第2開閉チャックによる閉塞部分に大径粒体が移動した状態の可撓チューブの断面図
【図17】第1開閉チャックが閉じた直後の可撓チューブの断面図
【図18】第2開閉チャックが開いて大径粒体が排出された状態の可撓チューブの断面図
【図19】第2実施形態に係る造粒装置の概念図
【図20】造粒容器の下端部の拡大断面図
【図21】(A)皿形スクリーン壁の斜視図、(B)皿形スクリーン壁の断面図
【図22】第3実施形態に係る造粒装置の概念図
【図23】複合粉体製造装置の概念図
【図24】第4実施形態に係る造粒装置の概念図
【図25】ガス送給筒の断面図
【図26】第5実施形態に係る造粒装置の下端部の拡大断面図
【図27】造粒装置の下端部の拡大断面図
【図28】第6実施形態に係る造粒容器の側断面図
【図29】造粒容器の断面斜視図
【図30】分配供給装置の斜視図
【図31】変形例(1)に係る造粒装置の概念図
【図32】変形例(2)に係る造粒容器の断面図
【図33】変形例(3)に係る天井部材の断面図
【図34】変形例(4)に係る天井部材の断面図
【図35】変形例(5)に係る天井部材の断面図
【図36】変形例(6)に係る噴出ノズルの断面図
【図37】変形例(7)に係るロータリーバルブの断面図
【図38】変形例(8)に係る樹脂フィルム製チューブの断面図
【図39】変形例(9)に係る粉体供給装置の斜視図
【図40】変形例(12)に係る造粒装置の断面図
【図41】変形例(18)に係る造粒装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0048】
[第1実施形態]
以下、図1〜図18に基づいて本発明の造粒装置100について説明する。図1に示すように、造粒装置100は、原料の粉体から所定の粒径以上の大径粒体を造粒する装置本体60と、装置本体60に原料の粉体を供給するための粉体供給装置20と、装置本体60から排出された大径粒体の重量を計量するための計量器50(具体的には、台秤)とに分けることができる。
【0049】
まず、粉体供給装置20について説明する。図2に示すように、粉体供給装置20は、原料の粉体を収容した粉体収容容器21を備えている。粉体収容容器21は、大径筒部22と小径筒部23と粉体排出筒部24とを備え、下方に向かうに従って縮径した構造になっている。大径筒部22の側壁の下端部と、小径筒部23の側壁の上端部との間は平板状の水平段差壁25によって接続されており、粉体排出筒部24は小径筒部23の外側に螺合固定されている。そして、粉体排出筒部24の下面開口から粉体が排出される。
【0050】
粉体収容容器21(大径筒部22)の上端は開放しており、その上端外周面に螺合された上端キャップ26にて閉じられている。上端キャップ26の上面中央には、図示しない制御装置によって駆動制御されるモータ27が固定載置されている。モータ27に連結された回転軸27Aは、上端キャップ26を貫通して大径筒部22及び小径筒部23でその中心軸に沿って延びている。回転軸27Aは、中間部より下側が段付き状に細くなった六角柱状をなしており、その太軸部の下端部には容器内円盤28が一体回転可能に取り付けられている。
【0051】
容器内円盤28は、水平段差壁25の上面に重ねて配置され、その水平段差壁25のうち、小径筒部23の上面開口とその周囲を覆うように、大径筒部22内に遊嵌している。具体的には、容器内円盤28は大径筒部22の内径よりも小径でかつ、小径筒部23の内径よりも大径な平らな円板で構成されており、水平段差壁25の上面から上方に離して水平に取り付けられている。
【0052】
この容器内円盤28上に堆積した粉体を、容器内円盤28の周縁部と大径筒部22の側壁との間の環状隙間に掻き出すために、大径筒部22の内側には上面待ち受けガイド29が設けられている。図2に示すように上面待ち受けガイド29は、L字状に屈曲した板状をなしている。上面待ち受けガイド29の水平板29Aは、容器内円盤28の上面に隣接配置され、水平板29Aの基端部から垂直上方に延びた垂直板29Bが上端キャップ26に固定されている。
【0053】
そして、水平板29Aの先端側の平面を回転軸27Aの側面に当接させて取り付けることで、容器内円盤28の回転方向に対して水平板29Aが傾斜し、容器内円盤28の回転時に、容器内円盤28上の粉体が水平板29Aに堰き止められて容器内円盤28の外縁部に向けて案内される。また、水平板29Aの基端部は、容器内円盤28の外縁部より外側位置まで延びているので、水平板29Aに案内された粉体を水平段差壁25の外縁部、即ち、水平段差壁25の上面のうち容器内円盤28の外縁部に沿って設けられた環状堆積部25Aへと流下させる。さらに、上面待ち受けガイド29が粉体収容容器21内の粉体を撹拌するので、大径筒部22内で粉体が固化することを防ぐことができる。これにより、容器内円盤28上の粉体を安定して環状堆積部25Aへと流下させることが可能となる。
【0054】
上面待ち受けガイド29によって環状堆積部25Aへと流下した粉体は、容器内円盤28と水平段差壁25との間で所定の安息角を有した粉体の山を形成する。この粉体の山の安息角は、粉体の種類によって一定となり、容器内円盤28から水平段差壁25へと過剰な粉体が供給されないようにすることができる。即ち、容器内円盤28と水平段差壁25の上面との間で粉体を堰き止めて、小径筒部23に粉体が崩れ込まないようにすることができる。
【0055】
環状堆積部25Aに堆積した粉体の山は、その山裾部分が大径筒部22内で回転する容器内旋回部材30によって削り取られて小径筒部23へと送り込まれる。容器内旋回部材30は、回転軸27Aに固定されており、図4に示すように回転軸27Aが貫通した軸心プレート31から側方に片持ち梁状の集粉羽32と散粉羽33とが延びている。これら集粉羽32と散粉羽33とが水平段差壁25の上面に摺接しつつ水平面内で回転する(図3参照)。
【0056】
集粉羽32は、容器内旋回部材30の回転方向(図4の矢印の方向)とは逆側に膨らむように複数の平板をつなげた屈曲構造をなす一方、散粉羽33は、容器内旋回部材30の回転方向に対して傾斜した状態で軸心プレート31から大径筒部22の側壁に向かって真っ直ぐ延びている。また、図示されていないが、集粉羽32は、その先端が大径筒部22の側壁と隣接した位置まで延びており、散粉羽33はそれより短くなっている。
【0057】
そして、集粉羽32によって、環状堆積部25Aに堆積した粉体を中心側に誘導して小径筒部23へと送り込むと共に、散粉羽33により、集粉羽32が取り込み過ぎた粉体を外側に移動して逃し、次に集粉羽32が通過したときに小径筒部23内に取り込み、小径筒部23内の粉体にかかる圧力を安定させ易くしている。また、集粉羽32と散粉羽33とが協働して粉体を撹拌して、環状堆積部25Aにおける粉体の塊を粉砕する効果も奏する。
【0058】
図4に示すように、容器内旋回部材30の軸心プレート31のうち集粉羽32の付け根部分には、軸心プレート31から斜めに切り起こされた補助ガイド壁34が形成されている。補助ガイド壁34は、集粉羽32による粉体の誘導方向に向かって徐々に下るように傾斜している。そして、集粉羽32に誘導されてその基端部に達した粉体は、補助ガイド壁34によって小径筒部23へと強制的に落とされる。
【0059】
容器内旋回部材30には、軸心プレート31から下方に向かって延びた複数の旋回脚部35,36が一体に設けられている。図3に示すように、これら旋回脚部35,36は何れも小径筒部23内に配置され、そこで旋回可能となっている。
【0060】
第1の旋回脚部35は、軸心プレート31のうち散粉羽33の付け根部分と、集粉羽32の付け根部分とにそれぞれ対をなして設けられている。第1の旋回脚部35は、帯板状をなしており、下方に向かうに従って容器内旋回部材30の旋回方向の後方へ向かうように斜めに(詳細には、鉛直方向に対して約30度傾いて)延びている。
【0061】
第2の旋回脚部36は、軸心プレート31のうち散粉羽33の付け根部分から垂下しており、第1の旋回脚部35とほぼ同じ幅の帯板状をなしている。
【0062】
これら両旋回脚部35,36が小径筒部23内を旋回することにより、小径筒部23内での粉体の固化や凝集が防止されている。
【0063】
図3に示すように、粉体収容容器21のうち、第1及び第2の旋回脚部35,36の下端部より下方には、1対の底壁37,38が上下2段にして設けられている。
【0064】
図6に示すように、上段の底壁37は、薄肉円板に複数の粉体通過孔37Aが貫通形成された構造をなす。これら粉体通過孔37Aは、大径筒部22から小径筒部23へと送り込まれた粉体同士が付着(架橋)して形成されたアーチにより閉塞されると共に、その粉体アーチが崩れた状態で粉体が通過可能な大きさになっている。具体的には、上段の底壁37に取り付けられた超音波振動子37Bの振動によってアーチが破壊され、粉体が下段の底壁38へと落下するように構成されている。なお、本実施形態において、上段の底壁37は、粉体通過孔37Aの大きさやその数及び配置を異ならせた複数種類のものが用意されており(例えば、図9参照)、粉体の粒径等に応じて適宜選択して取り付けることが可能となっている。
【0065】
一方、下段の底壁38は、中心部に1つだけ粉体通過孔38Aが形成されている。図7に示すように粉体通過孔38Aは、下方に向かって縮径したすり鉢状をなし、図8に示すように、最も小径な部分の孔径が、粉体P1の平均粒径の数倍程度となっている。これにより、極微少量ずつ(例えば、1〜3粒ずつ)粉体を排出可能となっている。ここで、下段の底壁38には超音波振動子38Bが取り付けられており、万が一、粉体通過孔38Aが詰まった場合には、超音波振動子38Bの振動によって粉体を強制落下させて、詰まりを解消することが可能となっている。なお、下段の底壁38としては、図10に示すように、粉体の平均粒径の数倍程度の粉体通過孔38Aを、上段の底壁37の粉体通過孔37Aの数より多く備えたものも用意されており、適宜選択して取り付けることが可能となっている。
【0066】
図3に示すように、各底壁37,38は、粉体排出筒部24の側面に開放したスリット24A,24Aから挿抜可能となっている、上段の底壁37は、その周縁部が小径筒部23の下端部と粉体排出筒部24の内周段差面との間で挟まれており、下段の底壁38は、その周縁部が粉体排出筒部24の内周面に形成された溝部に係合している。なお、底壁37,38を板厚方向から挟んで密着した1対のOリングによって、各スリット24A,24Aと各底壁37,38との間の隙間からの粉体の漏出が防止されている。
【0067】
図3に示すように、下段の底壁38の上面には、スクレーパ40が備えられている。スクレーパ40は、上段の底壁37を貫通した回転軸27A(細軸部)の下端部に着脱可能に固定されている。スクレーパ40は、図5に示すように回転軸27Aの外側に嵌合する円柱部41と、その円柱部41の下面から片持ち梁状に張り出した帯板部42とから構成されており、帯板部42は回転方向の後方に向かって膨らむように湾曲している。スクレーパ40は、下段の底壁38の上面に摺接しつつ旋回し、上段のスクリーン37を通過して下段の底壁38に落下した粉体を、その中心部へと掻き集めて、粉体通過孔38Aから、粉体供給装置20の下方へと落下させる構成となっている。以上が粉体供給装置20の説明である。なお、念のために述べておくが、「粉体」とは、「固体粒子の集合体」のことであり、「固体粒子」には、1次粒子、2次粒子及び凝集粒子が含まれる。さらに、固体粒子の大きさとしては、所謂「ナノ粒子」レベルのものも含まれる。
【0068】
ここで、上述した粉体供給装置20は、図1に示すように、吊り下げ部材49を介して台秤48から吊り下げられており、粉体供給装置20からの粉体の排出量は、粉体供給装置20の全体の重量減少量として計測され、図示しない制御装置に出力されている。
【0069】
また、粉体供給装置20から排出された粉体は、粉体供給装置20の下端部(粉体排出筒部24)の真下から下方に延びた直管状の粉体供給管47により、次述する装置本体60へと供給される。粉体供給管47の上端部は、粉体供給装置20から落下した粉体が零れないように漏斗形状をなしている。また、粉体供給装置20は、密閉された装置ケース45内に収容され、その装置ケース45内には、キャリヤガスが供給されている。このキャリヤガスによって粉体供給管47内の粉体を装置本体60へと送給する。なお、装置ケース45の内圧が、装置本体60の造粒容器61の内圧と同圧力になるように、圧力制御を行ってもよい。
【0070】
次に装置本体60について説明する。装置本体60は、粉体供給装置20から供給された粉体を循環流動させて造粒を行うための造粒容器61と、造粒容器61の下方に設けられ、所定の粒径以上に成長して造粒容器61から排出された大径粒体を収容するための回収容器10とを備えている。
【0071】
造粒容器61は、下方に向かって段階的に縮径した下端開放の円錐筒構造をなしている。造粒容器61の上端部は閉じており、その上端壁にはガス排出孔63Aが設けられ、ガス排出孔63Aの開口縁から排気筒63が起立している。造粒容器61の内部で、上下方向の中間部には、天井部材66が設けられている。天井部材66の外縁部と造粒容器61の内側面との間には環状の隙間64が形成されており、天井部材66より上側の部屋と下側の部屋とが隙間64によって連通している。造粒容器61のうち天井部材66より上側の部屋には、粉体を捕集するためのフィルター65が設けられている。また、天井部材66より下方の部屋には、本発明に係るガス送給筒71が設けられている。
【0072】
本実施形態において、ガス送給筒71は、造粒容器61内に設けられたプラズマトーチ70におけるプラズマ発生管として設けられている。即ち、プラズマトーチ70は、所謂「誘導結合方式」のものであり、プラズマ発生管としてのガス送給筒71と、その外側に設けられた誘導コイル72とを備え、誘導コイル72に高周波電力を印加するための電源73がマッチング回路74を介して接続されている。プラズマトーチ70は、造粒容器61の内面から突出してガス送給筒71に接続されたブラケット75により造粒容器61の下端寄りの中心部に配設されている。
【0073】
ガス送給筒71は上下両端が開放した円筒状であり、造粒容器61の内部で天井部材66及び、造粒容器61の下端部に配置された錐形スクリーン壁80から離して配置されている。図11に示すように、ガス送給筒71の下端部のうち、ガス送給筒71を構成する壁部の内部には環状の内部流路77Aが設けられ、ガス送給筒71の内周面には、複数のガス噴出口77Bが設けられている。内部流路77Aと各ガス噴出口77Bとの間は、内部流路77Aから各ガス噴出口77Bに向かって斜め上方に延びた連絡路77Cで連絡されており、プラズマ生成用ガスが、これら内部流路77A、各連絡路77Cを通って各ガス噴出口77Bから放出される。そして、誘導コイル72に高周波電力が流されると、ガス送給筒71内に供給されたプラズマ生成用ガスがプラズマ状態になりプラズマフレームF2が発生する。
【0074】
また、プラズマ生成用ガスは、ガス送給筒71内にてガス噴出口77Bから斜め上方に噴出するので、ガス送給筒71内には上昇気流が発生する。これにより、造粒容器61の内部には、図1の二点鎖線矢印で示すように、ガス送給筒71の内部を上昇し、上端開口71Aから吹き出して天井部材66の下面で折り返され、ガス送給筒71と造粒容器61の側壁との間を下降して、ガス送給筒71の下端開口71Bへと流れる循環ガス流が生成する。また、ガス送給筒71内に上昇気流が発生したことで、ガス送給筒71の下端開口71Bが負圧となり、下端開口71Bの近傍のガス及び粉体が吸い込まれる。そして、ガス送給筒71を下端開口71Bから上端開口71Aへと通過する過程で、粉体がプラズマフレームF2中を通過する。なお、図示しないが、ガス噴出口77Bより上方位置には補助ガス供給口が設けられている。
【0075】
ガス送給筒71の上端開口71Aの近傍には、プラズマフレームF2中のラジカル量を測定するラジカル測定装置51(本発明の「プラズマ測定装置」に相当する)が配設されている。ラジカル測定装置51は、例えば、特定波長の赤外線レーザをプラズマフレームF2に照射しており、そのレーザーがラジカルに吸収されて強度が変化することを利用してプラズマフレームF2中のラジカルの密度等を計測すると共に、その測定結果を制御装置(図示せず)に出力している。制御装置は、計測されたラジカル量に応じて、ガス送給筒71の補助ガス供給口へと供給するガス流量バルブ52(図1参照)の開度を変化させて、ラジカル量がほぼ一定になるように、ガス送給筒71に導入するプラズマ生成用ガスの流量又は供給圧力を調節する。これにより、プラズマフレームF2を一定状態に保持することができ、粉体に対する加熱処理のばらつきを抑えることができる。なお、誘導コイル72に印加するプラズマ発生用の高周波電力を一定の周期でパルス変調させて、そのデューティー比を変化させることでラジカル量を制御してもよい。また、ラジカル測定装置51の替わりに、プラズマフレームF2におけるラジカル量以外の他のパラメータ(例えば、温度、電子密度、イオン密度等)を測定パラメータとするプラズマ測定装置を用いてもよい。
【0076】
造粒容器61のうち、プラズマトーチ70の上方に配置された天井部材66は、図12(A)に示すように、下方から見て凹面構造をなした天井凹面壁67と、天井凹面壁67の中心部に設けられ、ガス送給筒71の上端開口71Aに突き合わされた状態に突出した(図1参照)天井突部68とを一体に備えた構造をなしている。この天井部材66の下面は、例えば、上方に向かって凸となった略半円弧の一端をガス送給筒71の中心軸上に配置し、その中心軸を中心にして略半円弧を水平面内で1回転させたときに描かれる湾曲面で構成されている。
【0077】
天井部材66のうち天井突部68は、ガス送給筒71の上端開口71Aから上方に放出された循環ガス流及び粉体を天井凹面壁67に沿って放射状に分散させる。一方、天井凹面壁67は、天井突部68によって分散された循環ガス流及び粉体を、造粒容器61の内側面とガス送給筒71との間で下方に流れるように案内する。
【0078】
天井部材66は中空構造をなしており、天井凹面壁67及び天井突部68には下方に向かって開放した複数の噴出孔69が形成されている(図12(B)参照)。また、天井部材66の上面壁66Aには、図示しないガス供給口が貫通形成され、ここに、天井ガス供給装置91(図12(A)参照)が接続されている。そして、天井部材66の内部流路66Bに、天井ガス供給装置91から所定の供給圧でガスが供給され、噴出孔69から噴出させるようになっている。これにより、天井部材66の下面への粉体の付着が防止されている。なお、天井部材66の上面壁66Aは、天井部材66の縁部に向かうに従って湾曲しつつ下ったドーム状をなしているので、粉体の堆積を防止することが可能である。
【0079】
また、図1に示すように、天井部材66の外縁寄り部分を、前記粉体供給管47の下端部が貫通しており、その下端開口47Aが天井部材66の下面に開放している。粉体供給管47の下端開口47Aが形成された部分には、エゼクタ部76が設けられている。エゼクタ部76は、天井部材66の下面に沿って流れる循環ガス流の一部を、粉体供給管47の下端開口47Aの手前で絞って増速することで、粉体供給管47から粉体を吸引するようになっている。これにより、粉体供給管47内での粉体の詰まりが防止されている。
【0080】
図14に示すように、造粒容器61の下端部には、錐形スクリーン壁80が設けられている。錐形スクリーン壁80は、造粒容器61の側壁の下端部との間に差し渡された複数のリブ壁(図示せず)によって、造粒容器61の下端開口61Bの内側に離して配置されている。錐形スクリーン壁80は、上方に向かって先細りの円錐形をなし、頂点がガス送給筒71の下端開口71Bに突き合わされている。また、錐形スクリーン壁80の斜面81の中腹部分と、造粒容器61の下端開口61Aの開口縁との間には、環状孔82が形成されている。ここで、造粒容器61のうち下端開口61Aの近傍部分は、その上方部分に比べて水平方向に対する傾斜角が緩くなった下端テーパー部61Bとなっており、この下端テーパー部61Bと錐形スクリーン壁80の斜面81とが、ほぼ直角になっている。
【0081】
錐形スクリーン壁80は中空構造をなしており、その斜面81には造粒容器61の内側に開放した複数の噴出孔83が設けられている。錐形スクリーン壁80の下面壁には、図示しないガス供給口が貫通形成され、ここに分別ガス供給装置90(図1参照)が接続されている。そして、錐形スクリーン壁80の内部流路80Bに、分別ガス供給装置90から所定の供給圧でガスが供給され、噴出孔83から造粒容器61内に向かってガスが噴出可能となっている。
【0082】
ここで、内部流路80Bへのガス供給圧は、噴出孔83から噴出したガスにより所定の粒径未満の粉体又は粒体を、環状孔82から遠ざけて循環ガス流に向かわせる一方、所定の粒径以上に成長した大径粒体が環状孔82へと近づくことを許容するように設定されている。つまり、錐形スクリーン壁80の斜面81から噴出するガスによって、所定の粒径未満の粉体及び粒体と大径粒体とを分級(篩い分け)可能となっている。
【0083】
さて、造粒容器61の下端部には回収容器10が一体に設けられている。回収容器10は、環状孔82を介して造粒容器61の内部空間と連通している。回収容器10は、下方に向かうに従って先細り状になったホッパー構造をなしている。詳細には、上から順に、上端大径部11、中間テーパー部12、下端小径部13となっており、円筒状をなした下端小径部13(本発明の「排出管」に相当する)の下端開口13Aが本発明の「粒体取出口」に相当する。
【0084】
下端小径部13の外側には、本発明の「補助回収容器」としての可撓チューブ14が装着されている。図1に示すように、可撓チューブ14は、上下方向に細長く延びた円筒状をなしており、回収容器10の下端小径部13に近い側と可撓チューブ14の下端部に近い側とに、可撓チューブ14を押し潰して閉塞可能な第1及び第2開閉チャック15,16が備えられている。これら第1及び第2開閉チャック15,16は、一方が閉状態になっているときに他方が開放するように構成されている。つまり、「粒体取出口」としての下端小径部13の下端開口13Aを第1開閉チャック15で閉塞した状態で、「粒体補助取出口」としての可撓チューブ14の下端開口14Aが開放され(図18の状態)、可撓チューブ14の下端開口14Aが第2開閉チャック16で閉塞された状態で、下端小径部13の下端開口13Aが開放される(図1及び図16の状態)ようになっている。これにより、造粒容器61からのガスの流出を防ぎつつ(換言すれば、循環ガス流を不安定にすることなく)回収容器10から大径粒体を取り出すことが可能となっている。なお、可撓チューブ14の内側で、下端小径部13の下端開口13Aと第1開閉チャック15との間、及び、第1開閉チャック15と第2開閉チャック16との間には、可撓チューブ14を筒形状に保持するための形状保持リング17,17が内嵌されている。以上が、装置本体60に関する説明である。
【0085】
図1に示すように、装置本体60(詳細には、可撓チューブ14の下端開口14A)の真下には、計量器50が設置されており、装置本体60から排出された大径粒体を受けて、その重量を計量可能となっている。計量結果は図示しない制御装置に取り込まれ、制御装置は、計量結果に基づいて粉体供給装置20のモータ27を駆動して、大径粒体として排出された分の粉体を造粒容器61に補充する。これにより、造粒容器61内の粉体量を過不足無くほぼ一定に保つことができる。
【0086】
以上が、本実施形態の造粒装置100の構成に関する説明であって、次に本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0087】
プラズマトーチ70のガス送給筒71内にプラズマ生成用ガスを供給すると、ガス送給筒71の内側に上昇気流が発生する。ガス送給筒71の上端開口71Aから放出されたプラズマ生成用ガスは、天井部材66の下面に当たって側方に分散し、ガス送給筒71と造粒容器61の内側面との間で下方に流れる。造粒容器61の下端部に達したガスは、負圧となったガス送給筒71の下端開口71Bから吸い込まれ、再びガス送給筒71の内部を上昇する。このような循環ガス流が造粒容器61内に発生した状態で、粉体供給装置20から造粒容器61内へと粉体を供給すると共に、誘導コイル72に高周波電流を印可して、プラズマフレームF2を発生させる。粉体供給装置20から落下した粉体は粉体供給管47を通って天井部材66の下面に排出され、そこで循環ガス流に乗る。そして、循環ガス流に乗ってガス送給筒71を下端開口71Bから上端開口71Aへと通過する過程で、例えば、粉体がプラズマフレームF2によって加熱され、他の粉他との付着性が高められる。具体的には、加熱により粉体の少なくとも表面が溶融する。そして、循環ガス流に乗って造粒容器61内を循環流動する過程で、粉体同士が付着し徐々に大型化する。
【0088】
所定の粒径以上になった大径粒体は、その自重によって循環ガス流から離脱する。循環ガス流から離脱した大径粒体は、錐形スクリーン壁80の噴出孔83から造粒容器61内へと噴出したガスに逆らって、造粒容器61の下端部の下端テーパー部61B又は錐形スクリーン壁80の斜面81を転がり、自重により環状孔82から下方に排出される。これに対し、所定の粒径未満の粉体及び粒体は、錐形スクリーン壁80の噴出孔83から噴出されるガスによって環状孔82から遠ざけられ、循環ガス流の途中に戻される(図14参照)。
【0089】
環状孔82を通過した大径粒体は、回収容器10に転入し、そのまま可撓チューブ14へと転がり込む。初期状態において、可撓チューブ14の上端側に備えられた第1開閉チャック15は閉じており、大径粒体はここで堰き止められる(図15の状態)。所定量の大径粒体が貯まったか、所定時間が経過したときに、下端側の第2開閉チャック16が閉じた状態で第1開閉チャック15が開放する。すると、堰き止められていた大径粒体が下方へ移動し、第2開閉チャック16で再び堰き止められる(図16の状態)。また、第1開閉チャック15は直ぐに閉じて、新たに回収容器10に転入した大径粒体を堰き止める(図17の状態)。この状態で第2開閉チャック16を開放することで、所定量の大径粒体が可撓チューブ14の下端開口14Aから纏めて排出される(図18の状態)。これら大径粒体は、計量器50のトレイに受容され重量が計量される。そして、計量結果と同じ重量(大径粒体として排出された分)の粉体が、粉体供給装置20から造粒容器61内へと補充される。
【0090】
このように、本実施形態の造粒装置100によれば、造粒容器61の中心部、天井部、側部、底部そして中心部へと循環する循環ガス流に乗って粉体が造粒容器61内を循環する。この過程で粉体がプラズマフレームF2によって加熱されて粉体同士が付着し、粒径が徐々に大きくなる。そして、所定の粒径以上に成長した大径粒体は、自重によって循環ガス流から離脱する。ここで、循環ガス流から離脱した大径粒体は、造粒容器61の底部に貫通形成された環状孔82を通って直ちに造粒容器61の外部、即ち、回収容器10へと排出されるから、所定の粒径以上に成長した大径粒体に、循環中の粉体又は粒体がさらに付着することが防がれる。これにより、大径粒体の過剰な大型化を抑えて、粒径の均等性を向上させることが可能となる。
【0091】
また、回収容器10の下端開口13Aを介して回収容器10に連絡された可撓チューブ14を設けると共に、可撓チューブ14の下端開口14Aと回収容器10の下端開口13Aの何れか一方が閉塞した状態で他方が開放するようにしたので、造粒容器61からのガス流出が防がれ、造粒容器61内の循環ガス流を乱すことなく、回収容器10に回収された大径粒体を外部に取り出すことができる。これにより、粉体の造粒と、大径粒体の取り出しとを同時進行で行うことができる。
【0092】
さらに、大径粒体として排出された分の粉体を粉体供給装置20から造粒容器61に補充するようにしたので、造粒容器61内の粉体量が過不足無くほぼ一定に保たれ、大径粒体を連続的に安定して製造することができる。
【0093】
しかも、造粒容器61内で循環する粉粒体のうち、所定の粒径未満の粉体及び粒体は、錐形スクリーン壁80の噴出孔83から造粒容器61の内側に噴出したガスによって、環状孔82から遠ざけられ、循環ガス流に向かうから、所定の粒径未満の粉体及び粒体を造粒容器61内に極力留めておくことができる。
【0094】
なお、本実施形態のようにプラズマフレームF2を利用して造粒を行った場合には、薬液を噴霧して造粒を行った場合に必要な乾燥処理が不要となる。また、造粒容器の壁面を垂れる薬液により、粉体が造粒容器の壁面に固着するという事態を回避することができる。
【0095】
[第2実施形態]
この第2実施形態は、図19〜図21に示されており、造粒容器61の下端部の構造が、第1実施形態とは異なる。
【0096】
図19に示すように、造粒容器61の側壁における底部側には、下方に向かうに従って水平方向に対する傾斜角が緩やかになるように丸みを帯びて湾曲した転動ガイド部62が設けられている。転動ガイド部62は、二重壁構造をなしており、その内壁と外壁との間に閉じた内部流路62Aが形成されている。図20に示すように、転動ガイド部62の内壁には、内部流路62Aと連通しかつ造粒容器61の内面側に開放した噴出孔62Bが貫通形成されている。転動ガイド部62の内部流路62Aには、外壁を貫通したガス供給口(図示せず)から所定圧でガスが供給されており、そのガスを噴出孔62Bから噴出させることで、転動ガイド部62の内面への粉体の付着が防止されている。
【0097】
図19に示すように、造粒容器61の下端開口61Aは、皿形スクリーン壁85によって閉塞されている。図21に示すように、皿形スクリーン壁85は、円盤状のスクリーン壁本体86とその周囲を囲んだ螺合筒部87とを一体に備えた構造であり、下端開口61Aの縁部から垂下した螺合筒部61Dの外側に、皿形スクリーン壁85の螺合筒部87を螺合することで、造粒容器61の下端開口61Aに取り付けられている(図20参照)。
【0098】
皿形スクリーン壁85の中心部には、造粒容器61と回収容器10との間を連通して、大径粒体を回収容器10へと排出するための回収孔89が設けられている。また、皿形スクリーン壁85の上面は、転動ガイド部62の内面と滑らかに連続しかつ、回収孔89に向かって下るように緩やかに傾斜している。さらに、図21(B)に示すように、スクリーン壁本体86は中空構造であり、その上面には造粒容器61の内側に開放した複数の噴出孔88が設けられている。皿形スクリーン壁85の下面壁には、図示しないガス供給口が貫通形成され、ここに分別ガス供給装置90(図20参照)が接続されている。そして、皿形スクリーン壁85の内部流路85Aに、分別ガス供給装置90から所定の供給圧でガスが供給され、噴出孔88から造粒容器61内に向かってガスが噴出可能となっている。
【0099】
なお、本実施形態では、上面の傾斜角度を異ならせた複数種類の皿形スクリーン壁85が備えられており、目的とする大径粒体の粒径に応じて、皿形スクリーン壁85を選択して取り付けることが可能となっている。そして、皿形スクリーン壁85を着脱可能とするために、本実施形態では、回収容器10が造粒容器61に対して着脱可能となっている。即ち、造粒容器61の下端部から突出して皿形スクリーン壁85の側方を囲んだ下端筒部61Eの外面に、回収容器10の上端部(上端大径部11)が螺合している。その他の構成については上記第1実施形態と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0100】
本実施形態によれば、図20に示すように、粉体、粒体及び大径粒体が、造粒容器61の転動ガイド部62の内面を転がって下方に向かう。このとき、転動ガイド部62の噴出孔62Bから噴出したガスにより、粉体、粒体及び大径粒体の付着が防がれる。皿形スクリーン壁85に到達した粉体、粒体及び大径粒体のうち、所定の粒径未満の粉体及び粒体は、噴出孔88から噴出したガスによって、循環ガス流に向かって飛ばされる。これに対し、大径粒体は、噴出孔88から噴出するガスに抗して皿形スクリーン壁85の上面を中心部に向かって転がり、回収孔89から回収容器10へと流下する。そして、本実施形態によっても、上記第1実施形態と同等の作用・効果を奏する。
【0101】
[第3実施形態]
この第3実施形態は図22及び図23に示されており、上記第1実施形態における粉体供給装置20に換えて、複合粉体製造装置200を備えた点が、上記第1実施形態とは異なる。その他の構成については上記第1実施形態と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0102】
図22に示すように、複合粉体製造装置200は、複数の粉体供給装置20,20と筒形加熱炉210とを備え、装置ケース45内に収容されている。装置ケース45は、内部仕切壁45Aによって上側部屋45Bと下側部屋45Cとに仕切られており、下側部屋45Cに筒形加熱炉210が収容され、上側部屋45Bに粉体供給装置20,20が収容されている。
【0103】
図23に示すように、筒形加熱炉210は造粒容器61内に配置されたプラズマトーチ70と同様な構成となっている。即ち、内部仕切壁45Aから垂下した石英製のプラズマ発生管211と、その外側に設けられた誘導コイル212とを備えている。
【0104】
プラズマ発生管211は上下の両端部が開放した円筒状をなしている。プラズマ発生管211の上端部には粉体導入管213が接続されている。粉体導入管213は、内部仕切壁45Aから上側部屋45B内に直立して上方に開放している。図2に示すように、粉体導入管213は上端部が漏斗形状をなしており、粉体供給装置20,20から供給された粉体を、装置ケース45のガス供給口45Dから上側部屋45B内に供給されたキャリヤガスと共に、プラズマ発生管211内へと導入可能となっている。
【0105】
この筒形加熱炉210の誘導コイル212に高周波電力が流されると、プラズマ発生管211内のプラズマ生成用ガスがプラズマ状態になりプラズマフレームF2が発生する。そのプラズマフレームF2の芯部を粉体が降下する過程で粉体に加熱処理が行われる。具体的には、プラズマフレームF2の熱により粉体が溶融され、プラズマ中のイオン、イオン化生成物質が粉体に付与される。
【0106】
なお、筒形加熱炉210は、プラズマフレームF2の熱を利用するものに限定するものではなく、例えば、可燃性ガスの燃焼炎の熱(ガスバーナー)や、電気ヒーター及び熱風を利用するものでもよい。筒形加熱炉210の熱源や温度は、粉体の材質並びに造粒・コーティング生成物の目的に応じて適宜設定すればよい。また、プラズマフレームF2を用いる場合は、プラズマ中のイオンやイオン化生成物質を、粉体の材質並びに造粒・コーティング生成物の目的に応じて適宜設定すればよい。以上が、筒形加熱炉210に関する説明である。
【0107】
図23に示すように、2つの粉体供給装置20,20は、装置ケース45の上側部屋内で、粉体導入管213の上面開口から側方に離れた位置に配置されている。粉体供給装置20は、台秤48に載置された支持台48Bによって台秤48の上方に保持されており、粉体供給装置20からの粉体の排出量は、粉体供給装置20の全体の重量減少量として計測されている。
【0108】
各粉体供給装置20,20の下方には、それぞれイオナイザ220,220が備えられている。イオナイザ220は、例えば、コロナ放電を利用してガス中の気体分子を電離し、正又は負の気体イオンを生成する。気体イオンの生成方式は、コロナ放電以外に放射線や熱電離を利用した方式でもよいが、それらの原理については公知であるので(JIS B9929:2006「空気中のイオン密度測定方法」を参照)詳細な説明は省略する。
【0109】
イオナイザ220は、予め設定された量の気体イオンを生成し、その気体イオンを含むガス(イオン風)を、予め設定された圧力で装置ケース45内に挿入されたノズル221から噴射する。図13に示すように、ノズル221は、粉体供給装置20から落下する粉体の落下経路の側方に配置されかつ、その落下経路に向けられており、落下途中の粉体の側方から気体イオンを含むガスを吹き付ける。これにより、粉体に気体イオンが付着し、正又は負に帯電する。
【0110】
本実施形態では、一方(図23における左側)の粉体供給装置20から落下する粉体に対しては、イオナイザ220から正の気体イオンを含むガスが吹き付けられ、他方(図23における右側)の粉体供給装置20から供給される粉体に対しては、イオナイザ220から負の気体イオンを含むガスが吹き付けられる。
【0111】
図23に示すように、両イオナイザ220,220のノズル221,221は、2つの粉体供給装置20,20の並び方向で対向しており、両ノズル221,221から噴射されたイオンを含むガスにより帯電した粉体が、反対極性の粉体に向かって吹き飛ばされる。そして、2つの粉体供給装置20,20の中間位置、即ち、粉体導入管213の上面開口の真上で、互いに反対極性に帯電した粉体同士が合流してそれらが電気的に付着(静電吸着)する。さらに、互いに吸着した複数の粉体は、装置ケース45の上側部屋45Bに供給されたキャリヤガスによって筒形加熱炉210へと案内され、筒形加熱炉210を降下する過程で互いに吸着した粉体同士が溶融結合して複合化される。なお、複数の粉体が放物線を描いて、粉体導入管213の上部内側に集まるように、ガスを吹き付けてもよい。このような本実施形態の構成でも、上記第1実施形態と同等の作用・効果を奏する。
【0112】
[第4実施形態]
上記第1実施形態では、粉体同士を付着させるために粉体に熱を加えていたが、本実施形態では粉体に気体イオンを付与する構成になっており、この点が上記第1実施形態とは異なる。具体的には、図24に示すように、上記第1実施形態におけるプラズマトーチ70が、単にガス送給筒71だけになっている。また、造粒容器61内で循環流動する粉体にイオンを付与するための複数のイオナイザ220が備えられている。なお、イオナイザ220の構成は、上記第3実施形態と同一である。その他の構成については上記第1実施形態と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0113】
図24に示すように、造粒容器61の内部の所定位置には、イオナイザ220のノズル221が配置されており、循環ガス流に乗って循環流動する粉体に向けてイオン風を吹き付けるようになっている。具体的には、例えば、天井部材66の下面近傍と、ガス送給筒71の内側(図25参照)とで、粉体に対してイオン風が吹き付けられる。このイオン風に含まれる気体イオンが付着することで粒体及び粒体が帯電し、互いに反対極性に帯電した粉体及び粒体が電気的に付着(静電吸着)することで、徐々に粒径が大型化する。なお、ガス送給筒71の上端開口71Aの近傍には、造粒容器61内のイオン量を測定する為のイオン量測定センサ230が配置されている。このような本実施形態の構成でも、上記第1実施形態と同等の作用・効果を奏する。なお、本実施形態のように、イオンによって粉体同士を電気的に付着させて造粒を行った場合には、薬液を噴霧して造粒を行った場合に必要な乾燥処理が不要となる。また、造粒容器61の壁面を垂れる薬液により、粉体が造粒容器61の壁面に固着する事態を回避することができる。
【0114】
[第5実施形態]
上記実施形態では、可撓チューブ14内を流下する大径粒体が第1開閉チャック15の間に挟まれて、回収容器10の下端開口13Aが完全に閉塞されないという事態が、稀にではあるが起こり得る。これに対し、以下に説明する第5実施形態は、このような事態を確実に回避するための構成を、上記第2実施形態の造粒装置100に追加したものである。なお、第2実施形態と同じ構成については、同一符号を付すことで重複する説明は省略する。
【0115】
図26に示すように、皿形スクリーン壁85の下方には、回収孔89通過した大径粒体を一時的に受容する揺動受容部330が設けられている。図27に示すように、揺動受容部330は、水平方向で対向した1対の扇形側板332,332の下端縁同士を、円弧状に反った受け皿331で接続した構造をなし、扇形側板332,332の上端部が、回収容器10内で水平方向に延びた1対の軸体333,333と連結されている。軸体333,333は図示しない回転駆動源に連結され、軸体333,333が回動することで、揺動受容部330が回収孔89の下方で揺動するようになっている。
【0116】
この揺動受容部330は、以下のように動作する。即ち、第1開閉チャック15が開放する直前に、揺動受容部330の受け皿331が回収孔89の真下に対向配置されて大径粒体を一時的に受容可能となる(図26の状態)。また、第1開閉チャック15が閉じた後で回動して、受け皿331が回収孔89の真下から退避すると共に、受け皿331が傾いて一時的に受容された大径粒体を下方に排出する。これにより、第1開閉チャック15が開状態から閉状態へと移行している最中に可撓チューブ14に大径粒体が流入することが防止され、第1開閉チャック15における大径粒体の挟み込みが防がれる。なお、本実施形態によれば、上記第2実施形態と同等の作用・効果を奏することは言うまでもない。
【0117】
[第6実施形態]
この第6実施形態は、図28〜図30に示されており、造粒装置100のうち、装置本体400の構造が上記実施形態とは異なる。図28に示すように、造粒容器410は、扁平の箱形構造をなしている。造粒容器410の底部410Cは、下方に向かって膨らんだ円弧状に湾曲している。造粒容器410の扁平方向における一側面410Aからは、ガイド突壁411が突出して設けられており、造粒容器410内が、ガイド突壁411より上側の上方部屋420と、ガイド突壁411より下方で略水平方向に延びた円筒部屋421とに分けられている。ガイド突壁411の下面412は、造粒容器410の底部410Cの曲率と同じ曲率の円弧面となっており、底部410Cの内面と滑らかに連続して円筒部屋421の内面を構成している。また、ガイド突壁411の先端部411Aと造粒容器410の他側面410Bとの間には上部連通口419が形成され、上方部屋420と円筒部屋421との間が連通している。造粒容器410の底部410Cには、循環ガス流を発生させるためのスリットノズル414が設けられている。図29に示すように、スリットノズル414は造粒容器410の長手方向の全体に亘って延びており、底部410Cの内面の接線方向に向かってガスを噴出するように構成されている。スリットノズル414から造粒容器410内に供給されたガスは、図28及び図29の二点鎖線矢印で示すように、造粒容器410の底部410Cの内面及びガイド突壁411の下面412に沿って円を描くように流れて循環ガス流を発生させる。なお、ガイド突壁411の上面413は傾斜面なので、粉体が堆積することはない。
【0118】
造粒容器410は、その底部410Cが長手方向の一端部415から他端部416に向かって下るように傾斜している。そして、造粒容器410の底部410Cのうち、最も下側に位置した他端部416に、大径粒体を回収するための回収孔417が貫通形成されている。造粒容器410の他端部416には回収孔417と連通した図示しない回収容器が設けられている。回収容器は、下方に向かうに従って先細り状になったホッパー構造をなし、その下端部に円筒状の排出管418を備えている。そして、排出管418に本発明に係る「補助回収容器」が接続されている(図示せず)。「補助回収容器」は、例えば、上記実施形態で説明した可撓チューブ14と同じ構造である。
【0119】
粉体供給装置20から造粒容器410内に供給された粉体は、上方部屋420のうち造粒容器410のガイド突壁411が突出した一側面410Aと反対側の他側面410Bに沿って落下し、上部連通口419を通過して円筒部屋421に流入する。そして、円筒部屋421内で循環する循環ガス流に乗って、旋回するように循環流動する。その循環経路の途中でイオナイザ220からイオンを供給され、互いに静電吸着することで徐々に大径化する。そして、所定の粒径以上の大径粒体になると、循環ガス流から離脱し、造粒容器410の底部410Cの傾斜によって回収孔417へと向かい、回収孔417から回収容器へと排出される。
【0120】
なお、粉体は、造粒容器410の長手方向の一端部415だけから供給するようにしてもよいし、長手方向の複数箇所から一斉に供給するようにしてもよい。具体的には、例えば、図30に示す分配供給装置450のように、粉体を収容したホッパー451の下端部から略水平に延びた樋部452の先端排出部453を扇状に拡開させると共に、その先端排出部453の底面に複数の分配溝454を形成し、振動等により樋部452を転動した粉体が前端排出部453の基端部で各分配溝454に分かれて、各分配溝454からそれぞれ粉体が落下するようにすればよい。このように、造粒容器410の長手方向の複数箇所から粉体を供給する場合、イオナイザ220も造粒容器410の長手方向に複数設けることが好ましい。
[他の実施形態]
【0121】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0122】
(1)上記実施形態では、プラズマトーチ70とイオナイザ220の何れか一方のみを備えた構成であったが、図31に示すようにプラズマトーチ70とイオナイザ220の両方を設けて、粉体に熱とイオンの両方を付与して造粒を行うようにしてもよい。
【0123】
(2)図32に示すように、造粒容器61の側壁内周面に、その接線方向に向かってガスが噴射されるように複数のガス噴射口300を設け、ガス噴射口300から造粒容器61に噴射したガスによって、循環ガス流のうち造粒容器61の側壁内周面に沿って降下する部分が螺旋状の旋回流となるようにしてもよい。
【0124】
(3)上記実施形態では、粉体供給管47の下端開口47Aを天井部材66の外縁寄り下面に配置していたが、図33に示すように、粉体供給管47の下端開口47Aを、天井部材66における天井突部68の頂点に配置してもよい。また、上記第3実施形態において、イオン量測定センサ230を、天井部材66の下面近傍に配置してもよい。
【0125】
(4)上記実施形態では、粉体に熱又はイオンを付与して造粒を行う構成であったが、バインダ剤を循環流動中の粉体に噴霧することで粉体の吸着力を高め、粉体同士を凝集させて造粒を行ってもよい。また、コーティング剤を粉体に噴霧することで粉体の表面をコーティング剤で被覆し、被覆層を成長させることで造粒を行ってもよい。このとき、バインダ剤又はコーティング剤を噴霧するためのスプレーノズル310は、図34に示すように、天井部材66における天井突部68の頂点から下方に向けて噴霧されるように配置することが好ましい。
【0126】
(5)上記実施形態では、天井部材66の上面壁66Aの中央部に堆積した粉体を自重で落とすことが困難である。そこで、図35に示すように、天井部材66の上面壁66Aを覆うように、上方に向かって先細りの円錐状又は角錐状をなした堆積防止カバー311を設けてもよい。さらに、堆積防止カバー311に噴出孔(図示せず)を設けると共に、天井部材66の上面壁66Aと堆積防止カバー311との間の閉じた空間312にガスを供給して、噴出孔からガスを噴出させることで、堆積防止カバー311上の粉体を強制的に落下させるようにしてもよい。
【0127】
(6)上記実施形態では、ガス送給筒71の内面に開口したガス噴出口77Bからガスを噴出させて、内部に上昇気流を発生させていたが、図36に示すように、ガス送給筒71の下端開口71Bから圧縮ガスを噴出する噴出ノズル320を設けてもよい。噴出ノズル320は、内径が途中で絞られてガス圧が高められるようになっており、錐形スクリーン壁80の頂点部分から起立して、その先端がガス送給筒71の下端開口71B内に隙間を開けて受容されている。これにより、ガス送給筒71の下端開口71Bが負圧となって、ガス送給筒71と噴出ノズル320との間の隙間から、ガス及び粉体が吸引される。
【0128】
なお、図33に示すように、噴出ノズル320の内部流路320Aと錐形スクリーン壁80の内部流路80Bとを隔絶して、それらに別々にガスを供給するようにしてもよいし、内部流路80B,320A同士を連通させて、内部流路80Bに供給されたガスの一部が噴出ノズル320から噴出されるようにしてもよい。
【0129】
(7)上記実施形態では、可撓チューブ14の上下2箇所を第1及び第2開閉チャック15,16で開閉することで、造粒容器61からのガス流出を防ぎつつ回収容器10から大径粒体を排出していたが、図37に示すようにロータリーバルブ340を用いてもよい。
【0130】
(8)上記実施形態では、大径粒体を所定量ずつ纏めて計量器50に排出する構成であったが、可撓チューブ14の替わりに筒形梱包膜部材を用い、大径粒体を所定量ずつ小分けにして筒形梱包膜部材に封止するようにしてもよい。
【0131】
具体的には、例えば、筒形梱包膜部材としての樹脂フィルム製チューブ350を外側から押し潰して回収容器10の下端開口13Aを閉塞可能とした溶着シーラー351を設け、その溶着シーラー351を、樹脂フィルム製チューブ350に沿って上下に移動可能とする。大径粒体を小分けに封止する場合には、まず、溶着シーラー351で樹脂フィルム製チューブ350の途中を外側から挟んで閉塞すると共に、その閉塞部分を加熱溶着し、閉塞部分の上側に回収容器10から落下した大径粒体を貯める(図38(A)の状態)。大径粒体が所定量貯まるまでの間に溶着シーラー351を上方へ移動させ、開いた状態のまま待機させる(図38(B)の状態)。そして、閉塞部分に所定量の大径粒体が貯まったら溶着シーラー351を閉じる。すると、樹脂フィルム製チューブ350の途中に封止された袋が形成されると共に、その袋に所定量の大径粒体が封止される。このような動作を繰り返すことで、樹脂フィルム製チューブ350に連なった複数の袋が形成され、それらの袋には所定量ずつ大径粒体を封止することができる。また、回収容器10の下端開口13Aは常時閉塞されることになるから、造粒容器61からのガス流出が防がれ、粉体の造粒と大径粒体の梱包とを同時進行で行うことができる。なお、溶着シーラー351は、樹脂フィルム製チューブ350を加熱溶着と同時に溶断するようにしてもよい。
【0132】
(9)粉体供給装置は、上記実施形態の構造に限定するものではなく、その他の公知な粉体供給装置でもよい。また、上記実施形態の粉体供給装置20において、粉体排出筒部24に替えて、図39に示すL形パイプ360を接続し、そのL形パイプ360の途中に設けたバイブレータ361によってL形パイプ360を振動(低周波振動又は超音波振動)させることで、粉体を微少量ずつ排出するようにしてもよい。また、L形パイプ360の先端に断面V字状の樋部362を設けることで、粉体を一列に整列させて極微少量ずつ(1粒ずつ)排出可能な構成としてもよい。
【0133】
(10)上記第1実施形態では、錐形スクリーン壁80が、上方に向かって先細りの円錐形状をなしていたが、角錐形状でもよい。また、ドーム形状にしてもよい。
【0134】
(11)上記第1実施形態のように、粉体をプラズマトーチ70(ガス送給筒71)に通過させてプラズマフレームF2を通過させる或いは、循環流動中の粉体にプラズマフレームF2を照射することで、粉体の表面に凹凸を形成したり、粉体の表面に炭化物、窒化物、酸化物、フッ化物を生成させたり、粉体の表面を炭素膜、シリコン膜、窒化珪素膜及び樹脂膜(例えば、フッ素樹脂膜)でコーティングしたり、カーボンナノウォールを形成することが可能である。また、粉体の表面に絶縁膜や導電膜を形成することが可能である。さらに、粉体の表面に親水性官能基や、撥水性(疎水性)官能基を導入することも可能である。ここで、プラズマフレームF2の原料ガスを順次に変更して、粉体の表面に複数の異なるコーティング層を形成してもよい。また、装置本体60に備えた複数のプラズマトーチを順次に使用して粉体の形成並びに表面コーティング層を形成してもよい。
【0135】
(12)粉体を原料としてナノ粒子を合成し、それを造粒容器61に供給してもよい。具体的には、図40に示すように、粉体供給装置20から落下した粉体をプラズマトーチ70で発生させたプラズマフレームF2に通過させてナノ粒子を合成すればよい。また、ガス送給筒71とは別にプラズマトーチ70を設けてもよい。例えば、造粒容器61の側壁内面から略水平方向にプラズマフレームF2を噴出させて、側壁内面に沿って降下する粉体に当たるようにすればよい。
【0136】
(13)また、所謂「気相合成法」によってナノ粒子を合成し、それを本発明に係る「粉体」として造粒容器61に供給してもよい。具体的には、図40において、粉体供給装置20の替わりにナノ粒子の原料となる原料ガスの供給源を設け、原料ガスをプラズマトーチ70で発生させたプラズマフレームF2を通過させることで、ナノ粒子を合成すればよい。さらに、粉体が懸濁したサスペンジョン、スラリー又は粉体原料物質が溶解した溶液、又は有機物原料物質及び有機化合物原料物質が溶解した溶液を、微小な液滴にしてプラズマトーチ70に供給(スプレー)すると共に、その微小な液滴をプラズマフレームF2の熱で乾燥又は、イオン化させて粉体(ナノ粒子)を製造し、これをそのまま造粒容器61に供給し循環させ、プラズマトーチ70で発生させたプラズマフレームF2を照射してもよい。
【0137】
(14)上記実施形態では、造粒容器61内に天井部材66を備えていたが、粉体の特性により、良好な循環流動が行われる場合には、天井部材66を設けなくてもよい。
【0138】
(15)粉体供給装置20は、台秤48によって重量が計量されていたが、粉体の材質特性並びに造粒・コーティング生成物の目的によっては、予め作成しておいた検量線によって計量を行ってもよい。
【0139】
(16)プラズマフレームF2の発生方式は、上記した誘導結合方式(コイル方式)に限定するものではなく、容量結合方式でもよい。また、マイクロ波、直流電流、グロー放電による発生方式でもよい。具体的には、プラズマフレームF2は、平行に配置された1対の平板電極又は、針状電極と平板電極との間又は、線状電極と平板電極との間に電圧を印可して発生させてもよい。また、プラズマ発生管71は、キャピラリー(毛管、毛細管)でもよい。そして、造粒粒子の用途及び機器構成に合わせ、これらプラズマ発生機構及びトーチ形状を選定して使用してもよい。
【0140】
(17)本願の請求項17乃至19に係る発明の技術的範囲には、上記第1〜第3及び第5,第6実施形態において、造粒容器61,410の環状孔82又は回収孔89,417を、上下移動可能な可動締切弁によって開閉可能とした造粒装置が含まれる。この造粒装置では、上記実施形態のように、環状孔82又は回収孔89,417を開放した状態で造粒を行うこともできるし、可動締切弁で環状孔82又は回収孔89,417を閉塞した状態で造粒を行うこともできる。可動締切弁で環状孔82又は回収孔89,417を閉塞した状態で造粒を行う場合には、予め粉体を造粒容器61,410に所定量供給し、粉体の供給を停止した状態で閉塞された造粒容器61,410内で粉体を循環流動させる。所定時間が経過したら、循環流動を停止して造粒を終了し、可動締切弁を開放して造粒容器61,410から大径粒体を排出させる。そして、必要に応じて、これを繰り返し実行する。ここで、造粒容器61,417内で循環ガス流に乗って循環流動する粉体にプラズマフレームF2を照射するプラズマトーチ(本願の請求項18における「プラズマ発生装置」に相当する)を設けてもよいし、循環ガス流に乗って循環する粉体にイオンを付与するイオナイザ(本願の請求項17における「イオン付与手段」に相当する)を設けてもよい。
【0141】
ここで、粉体をプラズマトーチ70(ガス送給筒71)に通過させてプラズマフレームF2を通過させる或いは、循環流動中の粉体にプラズマフレームF2を照射することで、粉体の表面に凹凸を形成したり、粉体の表面に炭化物、窒化物、酸化物、フッ化物を生成させたり、粉体の表面を炭素膜、シリコン膜、窒化珪素膜及び樹脂膜(例えば、フッ素樹脂膜)でコーティングしたり、カーボンナノウォールを形成することが可能である。また、粉体の表面に絶縁膜や導電膜を形成することが可能である。さらに、粉体の表面に親水性官能基や、撥水性(疎水性)官能基を導入することも可能である。ここで、プラズマフレームF2の原料ガスを順次に変更して、粉体の表面に複数の異なるコーティング層を形成してもよい。また、装置本体60,410に備えた複数のプラズマトーチを順次に使用して粉体の形成並びに表面コーティング層を形成してもよい。
【0142】
(18)本願発明の技術的範囲には含まれないが、循環ガス流ではなく、コイル式コンベアやスクリュー式コンベア等の粉体搬送装置によって、粉体を造粒容器の下端部から上端部まで押し上げ、上端部から下方に自重で落下させることで、循環流動させる造粒装置470も考えられる。具体的には、図41に示すように、垂直方向に延びたコンベアチューブ461が造粒容器460内に配置され、コンベアチューブ461の下端部が造粒容器460の下端部から下方に突出すると共に、その下方に突出したコンベアチューブ461の下端開口461Aが開閉弁462によって開閉可能となっている。また、コンベアチューブ461のうち、造粒容器460の下端部には、造粒容器460の内部に開放した粉体取入口463が貫通形成されると共に、コンベアチューブ461の上端部には、斜め下方に向かって延びた分岐管464が一体に設けられている。そして、コンベアチューブ461の内部には、モータ465により回転駆動されるコイル466が設けられている。
【0143】
コンベアチューブ461の下端開口461Aを開閉弁462によって閉塞した状態で、予め造粒容器460に粉体を所定量供給し、粉体の供給を停止した状態でコイル466を回転させると、造粒容器460の底部に溜まった粉体は、粉体取入口463からコンベアチューブ461内に流入し、コイル466によって垂直上方に搬送される。コンベアチューブ461の上端部に達すると、粉体は分岐管464を通って斜め下方に排出される。そして、分岐管464から排出された粉体に、プラズマトーチ70にて発生したプラズマフレームF2が照射される。
【0144】
所定時間に亘ってこのような循環流動が行われて大径粒体が生成したら、コイル466の回転を停止し、開閉弁462を開放する。すると、造粒容器461内の大径粒体が、粉体取入口463を経由してコンベアチューブ461の下端開口461Aから回収容器へと排出される。なお、コイル466を、有軸又は無軸のスクリューにしてもよい。また、プラズマトーチ70に替えてイオナイザ220を設けてもよい。
【符号の説明】
【0145】
10 回収容器
13 下端小径部(排出管)
13A 下端開口(粒体取出口)
14 可撓チューブ(補助回収容器)
14A 下端開口(粒体補助取出口)
15 第1開閉チャック
16 第2開閉チャック
20 粉体供給装置
51 ラジカル測定装置(プラズマ測定装置)
61 造粒容器
61B 下端テーパー部
62 転動ガイド部
63A ガス排出孔
64 隙間
65 フィルター
66 天井部材
66B 内部流路
67 天井凹面壁
68 天井突部
69 噴出孔
70 プラズマトーチ(プラズマ発生装置)
71 ガス送給筒
71A 上端開口
71B 下端開口
80 錐形スクリーン壁(スクリーン部)
80B 内部流路
81 斜面
82 環状孔(回収孔)
83 噴出孔
85 皿形スクリーン壁(スクリーン部)
85A 内部流路
88 噴出孔
89 回収孔
90 分別ガス供給装置
91 天井ガス供給装置
100 造粒装置
220 イオナイザ(イオン付与手段)
320 噴出ノズル
350 樹脂フィルム製チューブ(筒形梱包膜部材)
410 造粒容器
418 排出管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延び、下端部から上端部に向けてガスを送給可能なガス送給筒を造粒容器の中心部に配置し、前記造粒容器の中心部、天井部、側部、底部、そして中心部へと循環する循環ガス流を生成し、その循環ガス流に粉体を乗せて循環させると共に、前記循環ガス流の経路の途中で前記粉体に熱、イオン又は霧状の吸着物質を付与することで前記粉体同士を付着又は、前記粉体の表面にて前記吸着物質の層を成長させて所定の粒径以上に成長した大径粒体を製造する造粒装置において、
前記造粒容器の底部に貫通形成され、自重により前記循環ガス流から離脱した前記大径粒体が通過可能な回収孔と、
前記造粒容器の下方に配置され、前記回収孔を介して前記造粒容器内に連通すると共に前記粒体回収孔を除く全体が閉塞された回収容器と、
前記回収容器に開閉可能に設けられ、前記回収容器に収容された前記大径粒体を取り出すための粒体取出口とを備えたことを特徴とする造粒装置。
【請求項2】
前記造粒容器の底部に設けられて、前記造粒容器内に向かって開放した複数の噴出孔と、前記噴出孔にガスを供給するための内部流路とを有したスクリーン部と、
前記スクリーン部の前記内部流路にガスを供給するための分別ガス供給装置とを備え、
前記噴出孔から噴出した噴出ガスにより所定の粒径未満の粒体及び粉体を前記回収孔から遠ざけて前記循環ガス流に向かわせる一方、前記大径粒体が前記回収孔に近づくことを許容するように、前記分別ガス供給装置から前記スクリーン部の前記内部流路へのガス供給圧が設定されたことを特徴とする請求項1に記載の造粒装置。
【請求項3】
前記造粒容器の側部における底部側には、下方に向かって先細り形状をなして下端開口を有した下端テーパー部が設けられ、
前記造粒容器の底部には、上方に向かって先細りの円錐形又は角錐形をなし、頂点が前記ガス送給筒の下端開口に突き合わされ、斜面の中腹部分が前記下端テーパー部の下端開口の開口縁との間に前記回収孔としての環状孔を介した状態に配置された前記スクリーン部としての錐形スクリーン壁が設けられ、
前記錐形スクリーン壁の前記斜面に前記複数の噴出孔が形成されたことを特徴とする請求項2に記載の造粒装置。
【請求項4】
前記造粒容器の側部における底部側には、下方に向かって先細り形状をなしかつ下方に向かうに従って水平方向に対する傾斜角が緩やかになるように丸みを帯びた転動ガイド部が設けられ、
前記造粒容器の底部には、前記転動ガイド部の下端部と同じ又はそれより緩やかな傾斜で中心部に向かって傾斜すると共に、前記中心部に前記回収孔を有した前記スクリーン部としての皿形スクリーン壁が設けられ、
前記皿形スクリーン壁の前記上面に前記複数の噴出孔が形成されたことを特徴とする請求項2に記載の造粒装置。
【請求項5】
前記粒体取出口を介して前記回収容器に連絡された補助回収容器を設けると共に、前記補助回収容器に開閉可能に設けられた粒体補助取出口とを備え、
前記粒体取出口を閉塞した状態で前記粒体補助取出口を開放可能としかつ、前記粒体取出口を開放した状態で前記粒体補助取出口を閉塞可能としたことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の造粒装置。
【請求項6】
前記回収容器を、下方に向かうに従って先細り状になったホッパー構造にしてその下端部に円筒状の排出管を設け、
前記排出管の外側に前記補助回収容器としての可撓チューブを装着し、
前記可撓チューブの長手方向のうち比較的上端寄り位置に設けられて、前記可撓チューブを外側から押し潰すことで前記粒体取出口としての前記排出管の下端開口を閉塞可能な第1開閉チャックと、
前記可撓チューブの長手方向のうち比較的下端寄り位置に設けられて、前記可撓チューブを外側から押し潰すことで前記粒体補助取出口としての前記可撓チューブの下端開口を閉塞可能な第2開閉チャックとを備えたことを特徴とする請求項5に記載の造粒装置。
【請求項7】
前記回収容器を、下方に向かうに従って先細り状になったホッパー構造にしてその下端部に円筒状の排出管を設け、
前記排出管の外側に筒状梱包膜部材の上端部を装着してその筒状梱包膜部材を外側から押し潰すことで、前記粒体取出口としての前記排出管の下端開口を閉塞可能とすると共に、前記筒状梱包膜部材のうち閉塞部分の上方に所定量の前記大径粒体が貯まる度にその所定量の前記大径粒体の上方で前記筒状梱包膜部材を閉塞可能としたことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の造粒装置。
【請求項8】
前記造粒容器の外部から前記造粒容器内における前記循環ガス流の経路の途中に前記粉体を連続して供給可能な粉体供給装置を設けたことを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の造粒装置。
【請求項9】
前記造粒容器の天井部には、下方から見て凹面構造をなし、前記造粒容器の中心部で上昇した循環ガス流を前記造粒容器の側部で下方に流れるように案内する天井凹面壁と、
前記天井凹面壁の中心部に設けられ、前記ガス送給筒の上端開口に突き合わされた状態に突出し、前記造粒容器の中心部で上昇した循環ガス流を前記天井凹面壁に沿った放射状に分散させる天井突部とが備えられたことを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の造粒装置。
【請求項10】
前記天井凹面壁には、下方に向かって開放した複数の噴出孔と、前記噴出孔にガスを供給するための内部流路とが形成され、
前記天井凹面壁の前記内部流路にガスを供給するための天井ガス供給装置を備えことを特徴とする請求項9に記載の造粒装置。
【請求項11】
前記天井凹面壁を前記造粒容器の上下方向における中間部に配置すると共に、前記造粒容器のうち前記天井凹面壁の上側の部屋と下側の部屋とを前記天井凹面壁と前記造粒容器の側部との間に設けた隙間を介して連通し、
前記天井凹面壁の上側の部屋には、フィルターを介して前記造粒容器の外部に連通したガス排出孔が設けられたことを特徴とする請求項9又は10に記載の造粒装置。
【請求項12】
前記造粒容器の底部から上方に延び、その上端部が前記ガス送給筒の下端開口内に隙間を空けて受容されると共に、前記ガス送給筒内に向けて圧縮ガスを噴出する噴出ノズルを備えたことを特徴とする請求項1乃至11の何れかに記載の造粒装置。
【請求項13】
前記造粒容器の中心部には、前記ガス送給筒としてのプラズマ発生管の内側にプラズマフレーム生成用ガスを供給してプラズマフレームを生成するプラズマトーチが設けられたことを特徴とする請求項1乃至12の何れかに記載の造粒装置。
【請求項14】
造粒容器の内部を循環する循環ガス流を生成し、その循環ガス流に粉体を乗せて循環させると共に、前記循環ガス流の経路の途中で前記粉体に熱、イオン又は霧状の吸着物質を付与することで前記粉体同士を付着又は、前記粉体の表面にて前記吸着物質の層を成長させて所定の粒径以上に成長した大径粒体を製造する造粒装置において、
前記造粒容器の底部に貫通形成され、自重により前記循環ガス流から離脱した前記大径粒体が通過可能な回収孔と、
前記造粒容器の下方に配置され、前記回収孔を介して前記造粒容器内に連通すると共に前記粒体回収孔を除く全体が閉塞された回収容器と、
前記回収容器に開閉可能に設けられ、前記回収容器に収容された前記大径粒体を取り出すための粒体取出口とを備えたことを特徴とする造粒装置。
【請求項15】
前記造粒容器には、水平方向又は水平方向に対して傾斜した方向に沿って延びた円筒部屋と、
前記円筒部屋の上部に形成されて、前記円筒部屋の軸方向に延びた上部連通口と、
前記円筒部屋の上方に配置されて、前記上部連通口を介して前記円筒部屋の内部に連通した上方部屋と、
前記上方部屋に設けられて、フィルターを介して前記造粒容器の外部に連通したガス排出孔と、
前記円筒部屋に設けられ、前記円筒部屋の内側曲面の接線方向に沿ってガスを供給し、前記円筒部屋の内側曲面に沿って循環する循環ガス流を生成するガス噴出部とを備え、前記回収孔を前記円筒部屋の下端部に配置したことを特徴とする請求項14に記載の造粒装置。
【請求項16】
前記上方部屋に設けられ、前記上部連通口を介して前記円筒部屋の内部に粉体を連続して供給可能な粉体供給装置を設けたことを特徴とする請求項15に記載の造粒装置。
【請求項17】
造粒容器の内部を循環する循環ガス流を生成するガス噴出部と、
その循環ガス流に乗って循環する粉体にイオンを付与するイオン付与手段とを備え、
前記イオンを付与された前記粉体同士を電気的に付着させることで所定の粒径以上に成長した大径粒体を製造することを特徴とする造粒装置。
【請求項18】
造粒容器の内部を循環する循環ガス流を生成するガス噴出部と、
その循環ガス流に乗って循環する粉体に向けてプラズマフレームを噴射する又は、前記循環ガス流の経路の途中にプラズマフレームを発生させるプラズマ発生装置とを備え、
前記プラズマフレームの熱により前記粉体同士を付着又は、前記プラズマフレームにより前記粉体の表面に被覆層を形成させることで、所定の粒径以上に成長した大径粒体を製造することを特徴とする造粒装置。
【請求項19】
前記プラズマフレームのプラズマを測定するプラズマ測定装置と、前記プラズマの状態が一定になるように前記プラズマ発生装置へのプラズマフレーム生成用ガスの供給量又は供給圧力又はプラズマ発生用電力を調節するプラズマ制御装置とが備えられたことを特徴とする請求項18に記載の造粒装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【公開番号】特開2013−46911(P2013−46911A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−242458(P2012−242458)
【出願日】平成24年11月2日(2012.11.2)
【分割の表示】特願2009−290419(P2009−290419)の分割
【原出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(302055139)
【Fターム(参考)】