連結部材及びこれを用いた箱体並びにその製造方法
【課題】箱体の分解組立が可能であることは勿論のこと、連結部材の構造が簡単であって、しかも十分な連結強度を有する連結部材及びこれを用いた箱体等を提供する。
【解決手段】底壁と、その周囲に連設された複数の側壁9〜12とから所定の展開形状に形成されたシート片の各側壁の上端縁の角部にそれぞれ取り付けられ、隣接する側壁同士を互いに連結することにより、上端面が開口した箱体状に組み立てるための連結部材30において、連結部材は、隣接する側壁の一方に取り付けられる第1の連結部材31と、隣接する側壁の他方に取り付けられる第2の連結部材32とからなり、第1の連結部材は、第2の連結部材に向けて突出した係合用の凸部を備えているとともに、第2の連結部材は、第1の連結部材の係合用凸部と相対的に係合する凹部を備えるように構成した。
【解決手段】底壁と、その周囲に連設された複数の側壁9〜12とから所定の展開形状に形成されたシート片の各側壁の上端縁の角部にそれぞれ取り付けられ、隣接する側壁同士を互いに連結することにより、上端面が開口した箱体状に組み立てるための連結部材30において、連結部材は、隣接する側壁の一方に取り付けられる第1の連結部材31と、隣接する側壁の他方に取り付けられる第2の連結部材32とからなり、第1の連結部材は、第2の連結部材に向けて突出した係合用の凸部を備えているとともに、第2の連結部材は、第1の連結部材の係合用凸部と相対的に係合する凹部を備えるように構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、熱可塑性樹脂からなるプラスチック製ダンボール等のプラスチック製のシート状部材(以下、「プラスチックシート」という。)や、紙製ダンボール等のシート状部材を用いて分解・組立自在な箱体を形成する際に使用される連結部材、及びこれを用いた箱体並びにその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のプラスチック製ダンボールなどを用いて製造されたプラスチックシート製箱体は、挨や塵等によって汚損され難く清浄であり、また耐水性や上下に積み重ねた場合でも十分な強度を有するなど、工業製品や食料品、あるいは日用品などの収納保管や運搬などに広く使用されている。
【0003】
ところで、上記プラスチックシート製箱体は、熱可塑性樹脂からなるプラスチック製ダンボール等のプラスチックシートを所定の形状に裁断して、箱体状に折り曲げた後、当該プラスチックシートの接合代どうしを、所定の接合手段で接合することによって製造される。
【0004】
その際、上記プラスチックシートの接合代どうしを接合する接合技術としては、例えば、特開2001−354228号公報に開示されているように、プラスチック製ダンボールに超音波を印加して摩擦熱を発生させて溶融接合するものや、特開平10-109368号公報に開示されているように、熱可塑性を有する合成樹脂からなるプラスチック製ダンボールを、加熱溶融させて接合する技術などが既に提案されている。
【0005】
上記特開2001−354228号公報に係るプラスチック段ボール箱体は、型抜きしたプラスチック段ボールシートを組み立て箱体としたものであって、該箱体の構成部材をすべてポリオレフィン系の同一素材で統一すると共に、該素材間の結合を溶着によって実行したものであり、溶着手段として、超音波を使用している。
【0006】
また、上記特開平10−109368号公報に係るプラスチック段ボールの接合方法は、接合面を加熱するための熱板が、接合面に接触すること以上に押し付けられないように、熱板とほぼ同じ厚みの間隔板を熱板と同一平面の熱板の近傍に設け、該熱板と間隔板を接合面の間に挟み込んで、熱板の熱で接合面を溶かした後、熱板と間隔板を取り除き、次に接合面を密着させて、段ボール相互を熱溶着で接合するように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10-109368号公報
【特許文献2】特開2001−354228号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来技術の場合には、次のような問題点を有している。すなわち、上記特開2001−354228号公報に係るプラスチック段ボール箱体や、特開平10-109368号公報に係るプラスチック段ボールの接合方法の場合には、プラスチック段ボールの接合面どうしを溶融して互いに固着することによって製造されるため、分解することができず、空のプラスチックシート製箱体を回収する際などに、無駄なスペースを必要とするという技術的課題を有していた。
【0009】
また、近年、上記プラスチックシート製箱体として、分解可能な組立式のプラスチックシート製箱体も実際に市場に出回っているが、これら従来の組立式プラスチックシート製箱体は、箱体の側壁を互いに連結する連結部材の構造が複雑であったり、箱体の側壁を互いに連結する強度が十分ではないという技術的課題を有していた。
【0010】
そこで、この発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、箱体の分解組立が可能であることは勿論のこと、連結部材の構造が簡単であって、しかも十分な連結強度を有する連結部材及びこれを用いた箱体並びにその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、請求項1に記載された発明は、底壁と、その周囲に連設された複数の側壁とから所定の展開形状に形成されたシート片の各側壁の上端縁の角部にそれぞれ取り付けられ、隣接する側壁同士を互いに連結することにより、上端面が開口した箱体状に組み立てるための連結部材において、
前記連結部材は、前記隣接する側壁の一方に取り付けられる第1の連結部材と、前記隣接する側壁の他方に取り付けられる第2の連結部材とからなり、前記第1の連結部材は、前記第2の連結部材に向けて突出した係合用の凸部を備えているとともに、前記第2の連結部材は、前記第1の連結部材の係合用凸部と相対的に係合する凹部を備えていることを特徴とする連結部材である。
【0012】
また、請求項2に記載された発明は、底壁と、その周囲に連設された複数の側壁とから所定の展開形状に形成されたシート片を有し、前記シート片の複数の側壁を折り曲げて起立させた状態で、隣接する側壁同士を、当該側壁の上端縁の角部にそれぞれ取り付けられた連結部材で互いに連結することにより、上端面が開口した箱体状に組み立てられる組立式の箱体において、
前記連結部材は、前記隣接する側壁の一方に取り付けられる第1の連結部材と、前記隣接する側壁の他方に取り付けられる第2の連結部材とからなり、前記第1の連結部材は、前記第2の連結部材に向けて突出した係合用の凸部を備えているとともに、前記第2の連結部材は、前記第1の連結部材の係合用凸部と相対的に係合する凹部を備えていることを特徴とする箱体である。
【0013】
さらに、請求項3に記載された発明は、前記第2の連結部材は、前記第1の連結部材の連結方向と交差する方向にスライドすることによって、前記第1の連結部材の係合用凸部と相対的に係合する凹部を備えた係合部材を備えていることを特徴とする請求項2に記載の箱体である。
【0014】
さらに、請求項4に記載された発明は、前記シート片がプラスチックシートからなり、前記箱体の複数の側壁のうち、少なくとも対向する2つの側壁の上端縁を、外側に折り返して二重に構成するとともに、前記折り返し部の内面どうしを溶着したことを特徴とする請求項2又は3に記載の箱体である。
【0015】
又、請求項5に記載された発明は、前記連結部材の上端面には、前記箱体を積重ねるためのコーナー部が一体的に設けられていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の箱体である。
【0016】
更に、請求項6に記載された発明は、底壁と、その周囲に連設された複数の側壁とから所定の展開形状に形成されたシート片を有し、前記シート片の複数の側壁を折り曲げて起立させた状態で、隣接する側壁同士を、当該側壁の上端縁の角部にそれぞれ取り付けられた連結部材で互いに連結することにより、上端面が開口した箱体状に組み立てられる組立式の箱体において、
プラスチックシートから前記シート片を裁断する裁断工程と、
前記裁断工程によって裁断されたプラスチックシートからなるシート片の複数の側壁を折り曲げて起立させた状態で、隣接する側壁同士を互いに連結するための連結部材を、当該側壁の上端縁の角部にそれぞれスポット溶着によって取り付けるスポット溶着工程とを備えたことを特徴とする箱体の製造方法である。
【0017】
また、請求項7に記載された発明は、底壁と、その周囲に連設された複数の側壁とから所定の展開形状に形成されたシート片を有し、前記シート片の複数の側壁を折り曲げて起立させた状態で、隣接する側壁同士を、当該側壁の上端縁の角部にそれぞれ取り付けられた連結部材で互いに連結することにより、上端面が開口した箱体状に組み立てられる組立式の箱体において、
プラスチックシートから前記シート片を裁断する裁断工程と、
前記箱体の外周に位置する側壁のうち、少なくとも対向する2つの側壁の上端縁に対応した前記プラスチックシートからなるシート片の外側面に、前記上端縁に沿って平行に折り返すための2本の断面V宇形状の溝部を溶融させて形成するとともに、前記2本の溝部の両側に隣接する外側面を溶融する溶融工程と、
少なくとも対向する2つの側壁の上端縁に対応した前記プラスチックシートからなるシート片の外側面を、前記溶融工程によって溶融された前記2本の溝部の位置で外側に折曲げることによって、前記少なくとも対向する2つの側壁の上端縁を二重に構成するとともに、前記折り返し部の溶融した内面どうしを固着する固着工程と、
前記固着工程によって二重に構成された側壁を含む前記プラスチックシートからなるシート片の複数の側壁を折り曲げて起立させた状態で、隣接する側壁同士を互いに連結するための連結部材を、当該側壁の上端縁の角部にそれぞれスポット溶着によって取り付けるスポット溶着工程とを備えたことを特徴とする箱体の製造方法である。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、箱体の分解組立が可能であることは勿論のこと、連結部材の構造が簡単であって、しかも十分な連結強度を有する連結部材及びこれを用いた箱体並びにその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1はこの発明の実施の形態1に係る連結部材を適用した箱体としてのプラスチック製ダンボール箱を示す外観斜視図である。
【図2】図2はこの発明の実施の形態1に係る連結部材の連結状態を示す外観斜視図である。
【図3】図3はプラスチック製ダンボールを示す斜視構成図である。
【図4】図4はプラスチック製ダンボールを示す斜視構成図である。
【図5】図5はプラスチック製ダンボールを示す断面構成図である。
【図6】図6はこの発明の実施の形態1に係る箱体としてのプラスチック製ダンボール箱を構成するプラスチックシート片を示す平面図である。
【図7】図7は補強用フレームを装着したプラスチック製ダンボール箱の側壁を示す断面図である。
【図8】図8はこの発明の実施の形態1に係る箱体としてのプラスチック製ダンボール箱の連結部材を示す斜視構成図である。
【図9】図9は連結部材をそれぞれ示す構成図である。
【図10】図10は第1の連結部材をそれぞれ示す構成図である。
【図11】図11は第2の連結部材をそれぞれ示す構成図である。
【図12】図12は係合部材をそれぞれ示す構成図である。
【図13】図13はこの発明の実施の形態1に係るプラスチックシート製箱体の製造装置としての第1の製造装置を示す構成図である。
【図14】図14はこの発明の実施の形態1に係るプラスチックシート製箱体の製造装置としての第1の製造装置の要部を示す構成図である。
【図15】図15はクランプ部を示す構成図である。
【図16】図16はこの発明の実施の形態1に係るプラスチックシート製箱体の製造装置としての第1の製造装置の要部を示す拡大構成図である。
【図17】図17は溶着ピンをそれぞれ示す構成図である。
【図18】図18は溶着ピンをそれぞれ示す構成図である。
【図19】図19は第1の製造装置による溶着工程を示す説明図である。
【図20】図20は第1の製造装置による溶着工程を示す説明図である。
【図21】図21は第1の製造装置による溶着工程を示す説明図である。
【図22】図22はこの発明の実施の形態1に係るプラスチックシート製箱体の組み立て状態を示す説明図である。
【図23】図23はこの発明の実施の形態2に係るプラスチックシート製箱体を示す正面図である。
【図24】図24はこの発明の実施の形態2に係るプラスチックシート製箱体を示す斜視構成図である。
【図25】図25はこの発明の実施の形態2に係るプラスチックシート製箱体を構成するプラスチック製ダンボールを示す平面図である。
【図26】図26はプラスチックシート片の端縁に沿って形成される断面V字形状の溝部を示す断面構成図である。
【図27】図27はこの発明の実施の形態1に係るプラスチックシート製箱体としてのプラスチック製ダンボール箱の上端縁に形成される折り返し部を示す断面構成図である。
【図28】図28はこの発明の実施の形態1に係るプラスチックシート製箱体の製造装置としての第2の製造装置を示す構成図である。
【図29】図29はこの発明の実施の形態1に係るプラスチックシート製箱体の製造装置としての第2の製造装置の要部を示す構成図である。
【図30】図30はこの発明の実施の形態1に係るプラスチックシート製箱体の製造装置としての第2の製造装置の要部を示す構成図である。
【図31】図31はこの発明の実施の形態1に係るプラスチックシート製箱体の製造装置としての第2の製造装置の要部を示す拡大構成図である。
【図32】図32は第2の製造装置による溶融工程を示す説明図である。
【図33】図33は第2の製造装置による溶融工程を示す説明図である。
【図34】図34は第2の製造装置による溶融工程を示す説明図である。
【図35】図35は第2の製造装置による溶融工程を示す説明図である。
【図36】図36は第2の製造装置による溶融工程を示す説明図である。
【図37】図37はこの発明の実施の形態に係る連結部材を適用した箱体としてのプラスチック製ダンボール箱の変形例を示す外観斜視図である。
【図38】図38はこの発明の実施の形態に係る箱体としてのプラスチック製ダンボール箱を構成するプラスチックシート片の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0021】
実施の形態1
図1及び図2はこの発明の実施の形態1に係るプラスチックシート製箱体の製造方法によって製造されるプラスチックシート製箱体としてのプラスチック製ダンボール箱を示すものである。
【0022】
このプラスチック製ダンボール箱1は、図1及び図2に示すように、プラスチックシートとしてのプラスチック製ダンボール2によって、その上端面3が全面開口した直方体形状の箱体状に形成されており、その内部には、精密機械部品等の工業製品や食料品、農産物あるいは日用品などの所望の物品を収納した状態で保管や運搬などが行われるものである。
【0023】
上記プラスチック製ダンボール箱1は、組立式となっており、使用しないときや回収時などは、プラスチック製ダンボール箱1を分解して平板状に展開することが可能であって、運搬性や収納性に優れたものとなっている。また、上記プラスチック製ダンボール箱1は、組み立てるための連結部材を含めて金属部品を一切使用しておらず、処分する際なども、そのままプラスチック素材の材質に応じてリサイクルが可能となっており、環境性に優れたものとなっている。
【0024】
また、上記プラスチック製ダンボール箱1を製造するために使用されるプラスチック製のダンボール2としては、特に限定されるものではなく、種々のプラスチック製ダンボール2を使用することができる。例えば、上記プラスチック製ダンボール2として、図3に示すように、表裏一対のプラスチック製平板4、5を、これらのプラスチック製平板4、5に直交するように表面に沿って一定の間隔で平行に立設された多数のリブ6により互いに連結したものが用いられる。また、このプラスチック製ダンボール2は、例えば、ポリプロピレン等の熱可塑性を有するプラスチック(合成樹脂)を押出し成型機によって一体的に成型することで製造される。なお、上記プラスチック製ダンボール2としては、これに限定されるものではなく、図4に示すように、小さな円筒形状に形成されたリブ6を縦方向及び横方向に一定の間隔で配置したものや、図5(a)に示すように、上下方向から略半楕円体形状に膨出した形状に形成されたリブ6によって、表裏一対のプラスチック製平板4、5を連結したものなど、任意のものを用いてもよいことは勿論である。
【0025】
さらに、上記プラスチックシート2としては、上述したプラスチック製ダンボールに限らず、図5(b)に示すように、ポリプロピレンやポリエチレン等のプラスチック(合成樹脂)を所定の厚さを有するシート状に成形したものや、図5(c)に示すように、スミセラー(住化プラスチック杜製商品名)などのように、ポリプロピレン等のプラスチック(合成樹脂)に発泡剤を混合することによって発泡させた緻密な表面層と微小独立泡からなる発泡倍率2〜6倍の発泡層とからなるポリプロピレン製シートなどを用いても良い。その際、上記プラスチックシートは、その表裏両面が成形されたままの状態であっても良いが、プラスチックシートの表裏両面に同じプラスチック(合成樹脂)からなる薄いシートを積層したものを用いても勿論良い。
【0026】
なお、この実施の形態では、箱体を形成するシート状部材として、主に熱可塑性樹脂からなるプラスチック製ダンボール等のプラスチックシートについて説明するが、これに限定されるものではなく、紙製ダンボール等のシート状部材を用いても良い。また、シート状部材として、紙製ダンボール等を用いた場合には、当該紙製ダンボール等のシート状部材に対する連結部材の取付は、例えば、金属製や樹脂製のリベット等の固定部材を用いて行われる。
【0027】
上記プラスチック製ダンボール箱1は、図6に示すように、所定の展開形状に裁断された少なくとも1枚のプラスチック製ダンボール片7を箱体状に折り曲げた状態で、隣接する側壁同士を後述する連結部材によって互いに着脱自在に連結することによって組み立てられる。このプラスチック製ダンボール箱1を形成するプラスチック製ダンボール片7としては、例えば、図1に示すような上端面3が全面開口した直方体形状の箱体状に形成されるプラスチック製ダンボール箱1を展開した形状に、1枚のプラスチック製ダンボール2を裁断したものが用いられる。なお、図6では、図中に曲線からなる破断線で囲んで図示したように、プラスチックシート2として、図4に示すように、小さな円筒形状に形成されたリブ6を縦方向及び横方向に一定の間隔で配置したものが用いられている。
【0028】
上記プラスチック製ダンボール片7は、図6に示すように、基本的に、プラスチック製ダンボール箱1の底部に位置する矩形状に形成された底壁8と、当該底壁8の外周に折り曲げ自在に連続した状態で設けられる4つの側壁9、10、11、12とを一体的に有するように形成されている。なお、上記底壁8は、例えば、一辺8aが他方の辺8bよりも長い長方形状に形成されるが、これに限定されるものではなく、正方形状や一辺8aを他方の辺8bよりも短い長方形状などに形成しても勿論良く、その形状は任意である。また、側壁9、10、11、12の高さも、プラスチック製ダンボール箱1の深さに応じて適宜設定される。
【0029】
さらに、上記4つの側壁9、10、11、12のうち、底壁8の相対的に短い辺8bに連設された一対の側壁11、12には、隣接する側壁9、10との間に隙間が生じるのを防止するための折り代13、14、15、16が、折り曲げたときの角部に位置する両側縁にそれぞれ延設されている。そして、上記プラスチック製ダンボール片7は、箱体状に組み立てる際に、これらの折り代13、14、15、16を介して、隣接する側壁9、10、11、12同士を互いに密着させることによって、隣接する側壁9、10、11、12間の角部に隙間が生じることなく、上端面3が開口した箱体状に組み立てられる。また、上記側壁11、12には、プラスチック製ダンボール箱1を把持する際の把手部70が細長い長円形状に形成されている。さらに、上記把手部70には、図1に示すように、プラスチック製の把手部材71を装着するようにしても良い。
【0030】
また、上記プラスチック製ダンボール箱1は、図7に示すように、必要に応じて、その外周に位置する4つの側壁9、10、11、12の上端縁に、ポリプロピレン等からなる断面略コ字形状の補強用フレーム17、18が装着されている。これらの補強用フレーム17、18は、後述するように、連結部材と共に側壁9、10、11、12の上端縁に溶着される。なお、補強用フレーム17、18及び連結部材の取付は、溶着に限らず、金属製や樹脂製のリベット等の固定部材を用いて行ってもよい。
【0031】
さらに、上記4つの側壁9、10、11、12には、図1に示すように、その上端縁の両角部に、隣接する側壁9、10、11、12同士を互いに連結するための連結部材30が、スポット溶着により取り付けられている。上記連結部材30は、図8及び図9に示すように、ポリプロピレンやポリエチレン等の熱可塑性を有するプラスチック(合成樹脂)によって厚さの薄い箱体状に形成されて剛性が高くなっており、隣接する側壁の一方に取り付けられる第1の連結部材31と、隣接する側壁の他方に取り付けられる第2の連結部材32とから構成されている。この実施の形態では、図1に示すように、側壁11の上端縁の左側の角部に第1の連結部材31が取り付けられており、側壁11の上端縁の右側の角部に第2の連結部材32が取り付けられている。ただし、これに限定されるものではなく、図38に示すように、対向する側壁11、12の上端縁の左右両側の角部にそれぞれ第1の連結部材31を取り付け、他方の対向する側壁9、10の上端縁の左右両側の角部にそれぞれ第2の連結部材32を取り付けるように構成しても良い。このように構成した場合には、後述するように、第2の連結部材32の操作位置が側壁10側の面にのみ位置するため、例えば、側壁10の上端縁の左右両側の角部に取り付けられた第2の連結部材32の連結状態を解除することにより、側壁10のみを容易に開くことが可能となる。
【0032】
上記第1の連結部材31は、図8及び図10に示すように、大別して、側壁9、10、11、12の上端縁の一方の角部に固定した状態で装着される固定部33と、当該固定部33の先端面に一体的に突出した状態で設けられ、他方の第2の連結部材32と連結するための係合用凸部34と、前記固定部33の上端面42に一体的に設けられ、上部に積み重ねられるプラスチック製ダンボール箱1の下端に位置する側壁に当接する規制板部35とから構成されている。
【0033】
上記固定部33は、図10(c)に示すように、プラスチック製ダンボール箱1の側壁9、10、11、12の角部に、当該側壁9、10、11、12を挟持した状態で固定される断面コ字形状の凹所36を備えるように構成されており、当該凹所36を形成する外側の挟持板部37と内側の挟持板部38は、図7に示すように、補強用フレーム17、18が取り付けられた側壁9、10、11、12の厚さと等しいか又は若干広い幅を介して対向するように配設されている。また、上記外側の挟持板部37は、内側の挟持板部38よりも相対的に長く設定されている。さらに、上記凹所36の側壁9、10、11、12の端部に位置する先端面は、図10(a)(b)に示すように、起立板部39によって閉塞されている。この起立板部39は、第2の連結部材32の側面に隙間なく当接する平面となっている。
【0034】
上記固定部33の起立板部39には、図10(b)(d)に示すように、係合用凸部34が水平方向に向けて突設されている。上記係合用凸部34は、その断面形状が縦長の楕円形状に形成された軸部40と、当該軸40部の先端部に設けられ、軸部40の外径よりも大きな楕円形状に形成された抜け止め部41とから構成されている。また、この抜け止め部41は、先端に向けて先細り形状に形成されており、第2の連結部材32への装着が容易となっている。
【0035】
また、上記固定部33の上端面42は、図10(a)に示すように平坦に形成されており、当該固定部33の上端面42には、上部に積み重ねられるプラスチック製ダンボール箱1の下端に位置する角部の側壁に当接する規制板部35が一体的に設けられている。上記規制板部35は、図10(d)に示すように、固定部33の上端面42において、両端部が大きなR形状の角部43を有するように垂直に立設されている。なお、上記規制板部35は、図10(c)に示すように、固定部33の上端面42において、外側の挟持板部37と同じ位置に設けられているが、当該規制板部35の位置は、外側の挟持板部37よりも内側に設けても良い。
【0036】
一方、上記第2の連結部材32は、図8及び図11に示すように、大別して、側壁9、10、11、12の他方の角部に固定した状態で装着される固定部44と、当該固定部44の先端部の一側面に設けられ、他方の第1の連結部材31と連結するための楕円形状の係合用孔部45と、図9(e)に示すように前記固定部44の先端部に内蔵され、他方の第1の連結部材31の係合用凸部34と相対的に係合する係合部材46(図11では図示を省略)と、前記固定部44の上端面に一体的に設けられ、上部に積み重ねられるプラスチック製ダンボール箱1の下端に位置する側壁に当接する規制板部47とから構成されている。なお、上記係合部材46は、第2の連結部材32そのものと色を異ならせる(例えば、係合部材46は白色、第2の連結部材32は黒色とする)ことにより、操作部としての係合部材46の識別性を高めることができる。
【0037】
上記固定部44は、図11(d)に示すように、プラスチック製ダンボール箱1の側壁9、10、11、12の角部に、当該側壁9、10、11、12を挟持した状態で固定される凹所48を備えるように構成されており、当該凹所48を形成する外側の挟持板部49と内側の挟持板部50は、補強用フレーム17、18が取り付けられた側壁9、10、11、12の厚さと等しいか又は若干広い幅を介して対向するように配設されている。また、上記外側の挟持板部49は、内側の挟持板部50よりも相対的に長く設定されている。さらに、上記凹所48の側壁の端部に位置する先端面は、図11(a)(b)に示すように、起立板部51によって閉塞されている。
【0038】
上記固定部44の先端部には、図9(a)(e)に示すように、係合部材46が上下方向に沿ってスライド自在に内蔵されており、当該固定部44の先端部内には、図11(d)に示すように、係合部材46を上下方向に沿ってスライド自在に案内するためのガイド板52、53、54が、凹所48の天井部から両挟持板部48、49に渡って設けられている。
【0039】
また、上記固定部44の上端面55は、図11(d)に示すように平坦に形成されており、当該固定部44の上端面55には、上部に積み重ねられるプラスチック製ダンボール箱1の下端に位置する角部の側壁に当接する規制板部47が一体的に設けられている。上記規制板部47は、図11(a)に示すように、固定部44の上端面55において、両端部が大きなR形状の角部56を有するように垂直に立設されている。さらに、上記固定部44の上端面55には、図11(b)に示すように、係合部材46の上部を突出させるための矩形状の開口部57が設けられている。また、上記固定部44の内側の挟持板部49には、後述するように、挟持板部49の上下方向に沿ったスライド幅を規制するための縦長の規制用開口部58が設けられている。
【0040】
さらに、上記固定部44の外側の挟持板部49には、図11(a)に示すように、係合部材46を上下にスライドさせるための突起65を操作する操作用の切欠き部59が矩形状に設けられている。なお、上記係合部材46の突起65は、他のプラスチック製ダンボール箱1の一部等が接触して誤操作されるのを防止するために、切欠き部59が設けられた外側の挟持板部49の表面と面一であって、当該外側の挟持板部49の表面よりも突出しないように設けられている。
【0041】
上記係合部材46は、図8(b)及び図9に示すように、固定部44の先端に位置する内部に、上下方向にスライド自在に内蔵されている。この係合部材46は、図12に示すように、その正面形状が縦長の長方形状に形成されているとともに、その側面形状は、図12(d)に示すように、相対的に幅の広い下部58と、相対的に幅の狭い上部59とから構成されている。上記係合部材46の上部59には、図12(a)(c)に示すように、第1の連結部材31の係合用凸部34を挿入するための縦長の略楕円形状の第1の開口部60と、当該第1の開口部60の上方に連続して設けられ、第1の開口部60の開口幅W1よりも開口幅W2の狭い下向き略U字形状の第2の開口部61とが設けられている。なお、上記第1の開口部60の開口幅W1は、係合用凸部34の抜け止め部41の幅よりも僅かに大きな幅に設定されているとともに、第2の開口部61の開口幅W2は、係合用凸部34の軸部40の幅と等しいか又は僅かに大きな幅に設定されている。上記第2の開口部61の裏面側は、図12(e)に示すように、上部59の厚さよりも僅かに薄く形成されており、当該第2の開口部61の外周に図9(b)に示すように係合用凸部34の抜け止め部41が係合されるように構成されている。
【0042】
また、上記係合部材46の下部58には、図12(c)(e)に示すように、矩形状の開口部62が設けられているとともに、当該開口部62の底部中央には、係合部材46を第2の連結部材32の固定部44に抜け止め状態に装着するための爪部63が上向きに一体的に突設されている。上記爪部63の上端部には、係合部材46の外側面に向けて凸部64が設けられている。この凸部64は、図12(b)に示すように、係合部材46の表面から突出しており、当該係合部材46を第2の連結部材32の内部に装着した際に、爪部63の凸部64が第2の連結部材32の規制用開口部58に嵌合され、係合部材46の移動幅を規制するとともに、係合部材46を抜け止め状態に保持するためのものである。
【0043】
上記連結部材30は、第1の連結部材31と第2の連結部材32が1組となっており、これらの第1の連結部材31と第2の連結部材32がプラスチック製ダンボール箱1の隣接する側壁9、10、11、12の角部にそれぞれ装着されることにより、隣接する側壁9、10、11、12の角部同士を連結及び離間自在となっている。なお、上記第1の連結部材31と第2の連結部材32は、プラスチック製ダンボール箱1の隣接する側壁9、10、11、12の角部にそれぞれ装着されるが、同一の側壁の対向する角部に、第1の連結部材31と第2の連結部材32をそれぞれ装着しても良いし、同一の側壁の対向する両角部に第1の連結部材31又は第2の連結部材32を装着し、隣接する側壁の対向する両角部に第2の連結部材32又は第1の連結部材32を装着するように構成しても良い。この場合には、上記第1の連結部材31及び第2の連結部材32は、装着される位置に応じて、係合用凸部34、並びに係合部材46及び開口部が設けられる位置が異なるように構成される。即ち、図38に示すように、同一の側壁の対向する両角部に同種の連結部材を装着する場合には、第1の連結部材31及び第2の連結部材32は、左右対称に形成される。
【0044】
上記第2の連結部材32は、図9(d)(e)に示すように、係合部材46を上方にスライドさせ、当該係合部材46の第1の開口部60と、第2の連結部材32の係合用孔部45とを位置合わせした状態で、側壁9、10、11、12を起立した状態に折り曲げて、第2の連結部材32の係合用孔部45内部に、図9(b)に示すように、第1の連結部材31の係合用凸部34を差し込み、第2の連結部材32の係合部材46を下方にスライドさせる。
【0045】
こうすることによって、第1の連結部材31の係合用凸部34は、係合部材46の第1の開口部60よりも幅の狭い第2の開口部61内に嵌合されて抜け止め状態となり、第1の連結部材31と第2の連結部材32が互いに強固に連結され、これら第1の連結部材31及び第2の連結部材32が設けられた隣接する側壁9、10、11、12同士が強固に連結されて、プラスチック製ダンボール箱1が組み立てられる。
【0046】
また、プラスチック製ダンボール箱1を分解するには、上記の組立操作と逆に、第2の連結部材32の係合部材46を上方にスライドさせて、係合部材46の第1の開口部60と、第2の連結部材32の係合用孔部45とを位置合わせすることにより、第2の連結部材32から第1の連結部材31の係合用凸部34を抜くことで、第1の連結部材31と第2の連結部材32を容易に離間させることができ、プラスチック製ダンボール箱1を平板状に容易に分解することができる。
【0047】
ところで、この実施の形態に係るプラスチック製ダンボール箱の製造方法では、各側壁の上端部の両角部に対する連結部材の取り付けが、次に示すようなプラスチック製ダンボール箱の第1の製造装置(溶着装置)を用いて行われる。
【0048】
図13はこの発明の実施の形態1に係る上記プラスチック製ダンボール箱を製造するための製造方法を適用したプラスチック製ダンボール箱の第1の製造装置を示すものである。
【0049】
図13において、200はプラスチック製ダンボール箱の第1の製造装置本体を示すものであり、この第1の製造装置本体200は、床面上に脚部201によって立脚された円柱又は角柱形状に形成されている。上記第1の製造装置本体200の上方中間部には、その一側面に水平方向に沿って作業台202が、所定の幅を有する平板状に延設されている。この作業台202は、長尺に形成されており、当該作業台202の上面は、水平に形成されている。また、上記作業台202の上面には、被作業物の裏面を固定する緩衝材シート203が接着等の手段によって固着されている。なお、上記緩衝材シート203は、必ずしも設けなくとも良い。
【0050】
また、上記プラスチック製ダンボール箱の第1の製造装置本体200の上端部には、図13に示すように、上述した作業台202と平行になるように、その一側面に水平方向に沿って円筒形状又は断面矩形の筒状の作業用アーム205が延設されている。この作業用アーム205の先端部には、矩形状に形成された作業部取付板206が、垂直方向に沿って溶接等により一体的に取り付けられているとともに、当該作業部取付板206には、クランプ手段207と溶着手段208とを取り付けるための取付用平板209が、4本の支柱部材210を介して、作業部取付板206と平行に取り付けられている。
【0051】
また、上記取付用平板209の裏面には、図14に示すように、クランプ手段207が取り付けられている。このクランプ手段207は、クランプ211を上下動させる第1の駆動手段としての第1のエアーシリンダー212と、当該第1のエアーシリンダー212の作動杵213に取り付けられたクランプ211とから構成されている。上記第1のエアーシリンダー212は、取付用平板209の裏面にネジ止め等によって取り付けられており、図示しないホースを介して加圧エアーを供給することによって、所定量だけ作動杵213を上下方向に移動可能に構成されている。
【0052】
さらに、上記クランプ211は、図14に示すように、側面形状が略クランク状に折り曲げた金属板によって形成されており、当該クランプ211の水平に折り曲げられた先端部211aは、図15に示すように、プラスチック製ダンボール片7の接合代を積層した状態で、溶着手段208による溶着部を両側から押圧して固定するように、2つに分岐されている。また、上記クランプ211は、所定量(複数設定可能)だけ下降した状態で停止するか、押圧力が所定の値になったときに停止するように構成されている。
【0053】
また、上記取付用平板209の表面には、図13に示すように、溶着手段208が取り付けられている。この溶着手段208は、加熱用接触子214を上下動させる駆動手段としての第2のエアーシリンダー215と、当該第2のエアーシリンダー215の作動杵216、217に他の部材を介して取り付けられた加熱用接触子214とから構成されている。上記第2のエアーシリンダー215は、取付用平板209の表面にネジ止め等によって取り付けられており、エアーホース218、219を介して加圧エアーを供給することによって、所定量だけ作動杵216、217を上下方向に移動させるとともに、所定の位置で停止するように構成されている。
【0054】
さらに、上記加熱用接触子214は、図13及び図16に示すように、例えば、真録や銅等の熱伝導率の高い金属によって円柱形状に形成された加熱部220と、当該加熱部220の外周に被覆されたバンドヒーター等からなる円筒形状のヒーター221とから構成されている。また、上記加熱部220は、その先端部222が図17に示すように先端がテーパ状に細く形成されており、当該先端部222の端面には、同図に示すように、十字形状の凹溝95が形成されている。なお、上記先端部222の端面222aには、離型性を高めるため、テフロン(登録商標)等の離型剤を塗布するのが望ましい。
【0055】
更に説明すると、上記加熱部220の先端部222は、図17及び図18に示すように、別体の溶着用熱ピン230として交換可能に構成されており、当該溶着用熱ピン230の先端部は円柱形状に形成されている。この溶着用熱ピン230は、プラスチック製ダンボール2の厚みや補強用フレーム17、18の肉厚等に応じて、複数種類だけ用意しても良く、当該溶着用熱ピン230は、本体側の加熱部220の先端部222にネジ止めする基端側のナット状の螺着部231と、中間の円柱状部232と、先端側のテーパ部233とから構成されている。上記先端側のテーパ部233は、プラスチック製ダンボール2の厚みに応じて、長さが種々設定されており、その先端面234には、十字形状の凹溝235が形成されていて、プラスチック製ダンボール2への熱伝導を効率良く行ないつつ、補強用フレーム17、18とプラスチック製ダンボール2とを確実に溶着することが可能となっている。
【0056】
さらに、図17及び図18に示す溶着用熱ピン230は、図5(c)に示すような、スミセラー(住化プラスチック杜製商品名)などのように、ポリプロピレン等のプラスチック(合成樹脂)に発泡剤を混合することによって発泡させた綴密な表面層と微小独立泡からなる発泡倍率2〜6倍のポリプロピレン製シートの溶着に適した溶着用熱ピンとなっている。
【0057】
上記発泡剤を混合したプラスチックシートは、図5(c)に示すように、プラスチック製ダンボールと異なって表面層と裏面層間が空間ではなく、発泡剤が混合された樹脂層で構成されている。そのため、上記発泡剤を混合したプラスチックシートは、加熱溶着時に、樹脂中の発泡剤が発泡して体積が増加するため、溶着用熱ピン230の先端面の外周に凹溝236を形成することにより、膨張した樹脂を、図17及び図18に示すように、当該凹溝236内で成形することができ、溶着後の外観形状が向上する。なお、図18は後述する実施の形態2に係るプラスチック製ダンボール箱1に適用したものとなっている。
【0058】
また、上記加熱部220の上端部は、図14及び図16に示すように、円筒形状に形成された連結部材224を介して、断熱材225に連結されているとともに、当該断熱材225は、正面逆T字形状に形成された連結部材226を介して、第2のエアーシリンダー215の作動杵216、217に取り付けられた移動部材227に連結されている。上記連結部材227は、第2のエアーシリンダー215の作動杵216、217の下端部に取り付けられた移動部材227に対して、高さ方向の位置がネジ等によって調節可能となるように連結されている。
【0059】
さらに、上記プラスチック製ダンボール箱の第1の製造装置は、図14に示すように、クランプ211にエアー噴射用のノズル228が取り付けられており、当該エアー噴射用のノズル228から所定のタイミングでエアーを溶着位置に噴射するように構成されている。なお、上記エアー噴射用のノズル228から噴射するエアーとしては、エアーシリンダー215を駆動するための加圧エアーを使用することができ、装置の構成を簡略化することが可能となっている。
【0060】
以上の構成において、この実施の形態に係るプラスチック製ダンボール箱は、次のようにして、プラスチックシート製箱体の分解組立が可能であることは勿論のこと、連結部材そのものや連結部材の取り付けに金属製の部品を必要とせず、廃棄やリサイクルが可能となっている。
【0061】
すなわち、上記プラスチック製ダンボール箱の製造方法では、例えば、図6に示すように、予め、プラスチック製ダンボール箱1を組み立て可能な所定の平面形状に裁断されたプラスチック製ダンボール片7を準備する準備工程が行われる。このプラスチック製ダンボール片7は、所定の大きさを有する図示しないプラスチック製ダンボール2のシートから、プレス機等によって所定の平面形状に裁断される。その際、上記プラスチック製ダンボール片7には、底壁8と、側壁9、10、11、12とが一体的に設けられるように裁断される。
【0062】
その後、上記の如く裁断されたプラスチック製ダンボール片7には、図8に示すように、各側壁9、10、11、12の上端縁の角部のうち、一方の角部に第1の連結部材31がスポット溶着により取り付けられるとともに、他方の角部に第2の連結部材32がスポット溶着により取り付けられる。その結果、上記側壁9、10、11、12の隣接する上端縁の角部には、一方に第1の連結部材31が、他方に第2の連結部材32がそれぞれスポット溶着により取り付けられる。
【0063】
上記プラスチック製ダンボール片7の側壁9、10、11、12への第1の連結部材31及び第2の連結部材32のスポット溶着処理は、プラスチック製ダンボール箱の第1の製造装置を用いて次のように行われる。
【0064】
上記プラスチック製ダンボール箱の第1の製造装置では、図7に示すように、プラスチック製ダンボール箱1の側壁9、10、11、12の上端縁に補強用フレーム17、18を装着し、当該補強用フレーム17、18が装着された側壁9、10、11、12の上端縁の角部に、図17(c)に示すように、第1の連結部材31又は第2の連結部材32の固定部33、44を嵌合した状態で、図19に示すように、プラスチック製ダンボール箱の第1の製造装置本体200の作業台202上に載置する。その後、上記プラスチック製ダンボール箱の第1の製造装置では、図19に示すように、第1のエアーシリンダー212を作動させて、クランプ211を所定量だけ下降させることにより、作業台202の緩衝材シート203上に載置された補強用フレーム17、18及び第1の連結部材31又は第2の連結部材32が嵌合された側壁9、10、11、12を、上方からクランプ211によって押さえる動作が行われる。
【0065】
その後、上記プラスチック製ダンボール箱の第1の製造装置では、図20に示すように、補強用フレーム17、18及び第1の連結部材31又は第2の連結部材32が嵌合された側壁9、10、11、12を上方からクランプ211によって押さえた状態で、第2のエアーシリンダー215を作動させて、加熱用接触子214を所定量だけ下降させ、当該加熱用接触子214の先端222を、プラスチック製ダンボール片7の側壁9、10、11、12に嵌合された補強用フレーム17、18及び第1の連結部材31又は第2の連結部材32に当接させた後、加熱用接触子214の先端222を押し下げる。なお、上記加熱用接触子214は、予め、円筒形状のヒーター221によって所定の温度(例えば、200〜350℃)に加熱されている。
【0066】
すると、上記表面に位置する補強用フレーム17、18及び第1の連結部材31又は第2の連結部材32は、図20に示すように、加熱用接触子18の熱によって溶融されるとともに、当該加熱用接触子214の押圧力によって、溶融した補強用フレーム17、18及び第1の連結部材31又は第2の連結部材32の外側挟持板部49が、加熱用接触子214と同一形状に変形し、図21に示すように、当該加熱用接触子214の先端面26aに沿った形状に変形して下降する。
【0067】
次に、上記プラスチック製ダンボール箱の第1の製造装置では、図21に示すように、表面に位置する補強用フレーム17、18及び第1の連結部材31又は第2の連結部材32の外側挟持板部49が、加熱用接触子214の熱によって溶融・変形されるとともに、当該外側挟持板部49の下方に位置するプラスチック製ダンボール2も、加熱用接触子214の熱によって溶融され、加熱用接触子214の先端222がプラスチック製ダンボール2の裏面に位置する第1の連結部材31又は第2の連結部材32の内側挟持板部49に当接する。
【0068】
その際、上記加熱用接触子214には、第2のエアーシリンダー215によって所定の加圧力が加えられ、加熱用接触子214は、第2のエアーシリンダー215による所定の加圧力で下降するが、当該加熱用接触子214は、時間によって下降位置を制御するように構成しても良い。
【0069】
すなわち、上記プラスチック製ダンボール箱の第1の製造装置では、加熱用接触子214が第1の連結部材31又は第2の連結部材32の外側挟持板部49表面に当接した状態で、当該外側挟持板部49が溶融・変形するのに要する時間は、第1の連結部材31又は第2の連結部材32の外側挟持板部49の厚さが決まれば、実験等によって知ることができるため、時間によって加熱用接触子214の下降位置を制御することも可能である。
【0070】
その後、上記プラスチック製ダンボール箱の第1の製造装置では、図21に示すように、加熱用接触子214の先端222がプラスチック製ダンボール2を貫通して裏面に位置する第1の連結部材31又は第2の連結部材32の内側挟持板部49の内面に当接した状態で、所定時間が経過して、当該内側挟持板部49が溶融することによって溶融固着され、積層状態の第1の連結部材31又は第2の連結部材32と補強用フレーム17、18とプラスチック製ダンボール2は、一体的にスポット状に溶着されることになる。なお、図21中、40は溶融したプラスチック製ダンボール2等の溶着片を示している。
【0071】
すると、上記プラスチック製ダンボール箱の第1の製造装置は、加熱用接触子214を第2のエアーシリンダー215によって上方に退避させるとともに、積層状態の側壁9の接合代13と側壁11の溶着箇所にエアーノズル228からエアーを噴き付けて、冷却するようになっている。
【0072】
そして、上記プラスチック製ダンボール箱の第1の製造装置では、クランプ211を第1のエアーシリンダー212によって上方に退避させて、一箇所の溶着作業を終了する。
【0073】
以下、同様に、プラスチック製のダンボール箱1を構成する側壁9、10、11、12の上端縁の角部に、第1の連結部材31又は第2の連結部材32を溶着することによって、プラスチック製ダンボール箱1が製造される。
【0074】
このように製造されたプラスチック製ダンボール箱1を組み立てるには、図22に示すように、プラスチック製ダンボール片7の側壁9、10、11、12を起立した状態に折り曲げて、隣接する側壁9、10、11、12同士を第1の連結部材31及び第2の連結部材32によって互いに連結することによって組み立てられる。
【0075】
なお、図37に示すように、プラスチック製ダンボール片7の同一の側壁、例えば側壁10の上端縁の両角部にそれぞれ第2の連結部材32を装着した場合には、当該第2の連結部材32の係合部材46を操作して、側壁10のみを開くことも可能であり(図示例では、併せて、側壁11も開いた状態を示す)、プラスチック製ダンボール箱1の内部への収容物Aの収容や取り出しも容易に行うことができる。
【0076】
なお、スポット状の溶着部には、図21(b)に示すように、溶着部の形状に一致したキャップCを装着することによって目立たなくすることができる。
【0077】
実施の形態2
図23はこの発明の実施の形態2を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態2では、プラスチックシート製箱体の複数の側壁のうち、少なくとも対向する2つの側壁の上端縁を、外側に折り返して二重に構成するとともに、前記折り返し部の内面どうしを溶着するように構成されている。
【0078】
すなわち、この実施の形態2に係るプラスチック製ダンボール箱1は、図23及び図24に示すように、側壁9、10、11、12の上端縁に補強用のフレーム17、(1)8を設けるのではなく、その外周に位置する4つの側壁9、10、11、12の内、少なくとも互いに対向する2つの側壁9、10の上端縁9a、10aが、外側に折り返されて二重に構成されており、当該折り返し部17、18の内面どうしは溶着されて、両側壁9、10の上端面9b、10bが平坦に形成されると共に補強されるように構成されている。
【0079】
そのため、上記プラスチック製ダンボール箱1の外周に位置する4つの側壁9、10、11、12の上端には、図25に示すように、折り返し部17、18を形成するための折り返し代19、20、25、26が延設されている。なお、この折り返し代19、20、25、26の長さLは、任意の長さに設定される。
【0080】
また、この実施の形態では、図26に示すように、ブラスチック製ダンボール箱1を製造するにあたり、4つの側壁9、10、11、12の折り曲げ位置に対応した上端縁9a、10a、11a、12aの外側面に、2本の断面V字形状(結果的に断面W字形状)の凹溝21、22が当該上端縁9a、10a、11a、12aに沿って平行に設けられており、これらの断面V字形状の凹溝21、22を介して外側に折り曲げるように構成されている。上記断面V字形状の凹溝21、22は、プラスチック製ダンボール2の厚さをtとした場合、その間隔が約2tの距離に設定されているとともに、その角度θは、後述する加熱工程によって凹溝を成形した後の値が略90度となっている。
【0081】
また、上記プラスチック製ダンボール箱1は、図27に示すように、その外側に折り返されて二重に構成された折り返し部17、18の内面どうしが、2本の断面V字形状の凹溝21、22の内面も含めて互いに溶着されており、当該プラスチック製ダンボール箱1の上端縁9a、10aが補強されていると共にその端面9b、10b、11b、12bが平坦に形成されている。
【0082】
図28は上記の如く構成されるプラスチックシート製箱体を製造するための製造方法を適用したプラスチックシート製箱体の第2の製造装置を示すものである。このプラスチックシート製箱体の第2の製造装置は、プラスチックシート片の側壁の上端縁に対応した部分に折り返し部を形成するための装置である。
【0083】
図28において、100はプラスチックシート製箱体の第2の製造装置本体を示すものであり、この第1の製造装置本体100は、床面上に脚部101によって立脚された円柱又は角柱形状に形成されている。上記第1の製造装置本体100の上方中間部には、その一側面に水平方向に沿って作業台102が、所定の幅を有する平板状に延設されている。この作業台102は、比較的幅が広く、且つ長尺に形成されており、当該作業台102の上面は、水平に形成されている。また、上記作業台102の上面には、被作業物の裏面を固定する緩衝材シート103が接着等の手段によって固着されている。さらに、上記作業台102の上面には、被作業物としてのプラスチック製ダンボール片7の端部を突き当てて所定の位置に位置決めするための位置決め部材104が必要に応じて設けられている。なお、上記緩衝材シート103は、必ずしも設けなくとも良い。
【0084】
また、上記プラスチック製ダンボール箱の第2の製造装置本体100の上端部には、図28に示すように、上述した作業台102と平行になるように、その一側面に水平方向に沿って円筒形状又は断面矩形の筒状の作業用アーム105が延設されている。この作業用アーム105の先端部には、作業台102上に載置された被作業物としてのプラスチック製ダンボール片を加熱・溶融することによって、当該プラスチック製ダンボール片の所定位置に2本の断面V字形状の溝部を同時に形成すると共に、2本の断面V字形状の溝部に隣接したプラスチック製ダンボール片の表面を加熱・溶融する加熱手段106が装着されている。なお、上記作業用アーム105の先端部には、プラスチック製ダンボール片の表面を押さえた状態で固定する図示しないクランプ手段を設けても良い。
【0085】
さらに、上記プラスチック製ダンボール箱の第2の製造装置100には、図28に示すように、作業用アーム105の先端部に、矩形状に形成された作業部取付板107が、垂直方向に沿って溶接等により一体的に取り付けられているとともに、当該作業部取付板107には、加熱手段106を取り付けるための取付用平板108が、4本の支柱部材109を介して、作業部取付板107と平行に取り付けられている。
【0086】
また、上記取付用平板108の表面には、図29及び図30に示すように、加熱手段106が取り付けられている。この加熱手段106は、加熱用接触子110を上下動させる駆動手段としてのエアーシリンダー111と、当該エアーシリンダー111の作動杵112、113に他の部材を介して取り付けられた加熱用接触子110とから構成されている。上記エァーシリンダー111は、取付用平板108の表面にネジ止め等によって取り付けられており、エアーホース114、115を介して加圧エアーを供給することによって、所定量だけ作動杵112、113を上下方向に移動させるとともに、所定の位置で停止するように構成されている。
【0087】
さらに、上記加熱用接触子110は、図31に示すように、例えば、真録や銅、あるいはステンレス等の熱伝導率の高い金属によって所定の肉厚を有する平板状に形成された上下の加熱板部116、117と、当該両加熱板部116、117の内部に挟持された状態で取り付けられたバンドヒーター等からなる平板状のヒーター118とから構成されている。また、上記加熱板部116、117の内、下部の加熱板部117には、その下端面の中央部分117aが所定の幅にわたって下方に向けて突出するように形成されており、当該突出部117aの下面中央には、図31に示すように、2本の断面V字形状の凸部119、120が隣接して形成されている。これら2本の断面V字形状の凸部119、120は、加熱板部117の下端面の中央部分に、プラスチック製ダンボール箱1の側壁9、10の長さと等しいか、又は若干長くなるよう、図面に垂直な方向に沿って長尺に形成されている。
【0088】
また、上記2本の断面略V字形状の凸部119、120は、図31に示すように、その先端部119a、120aの角度θ’が90度より若干小さい、例えば80〜85度の角度となるように設定されており、当該凸部119、120は、プラスチック製ダンボール片7の表面に当接して、当該プラスチック製ダンボール片7の表面に位置するプラスチック製平板4及びリブ6を加熱・溶融して、図26に示すように、プラスチック製ダンボール片7の表面に断面略V字形状の溝部21、22を形成するためのものである。このプラスチック製ダンボール片7の表面に形成される断面略V字形状の溝部21、22は、その角度θが略90度となるように形成されるが、断面略V字形状の凸部119、120の角度θ'は、90度に設定すると、加熱成形時にプラスチック製ダンボール片7を形成する樹脂の“逃げ”等があるため、溝部21、22の角度θが90度よりも大きくなってしまう。
【0089】
そこで、この実施の形態では、断面略V字形状の溝部21、22を成形する際の樹脂の“逃げ”等を考慮して、断面略V字形状の凸部119、120の角度θ'は、90度より若干小さい80〜85度の角度となるように設定されている。更に、上記断面略V字形状の溝部21、22を成形する際の樹脂の“逃げ”は、ブラスチック製ダンボールの目付け(単位面積当たりの重量)によって異なり、例えば、プラスチック製ダンボールの厚さtが同じ4mmであっても、目付け(単位面積当たりの重量)が600gのものもあれば、800gのものもあり、同様にプラスチック製ダンボールの厚さtが同じ5mmであっても、目付け(単位面積当たりの重量)が800gのものもあれば、1000gのものもある。そのため、プラスチック製ダンボールの目付け(単位面積当たりの重量)に応じて、プラスチック製ダンボール片7の表面に断面略V字形状の溝部21、22を形成する際の樹脂の“逃げ”量が異なるため、当該樹脂の“逃げ”量に応じて、断面略V字形状の凸部119、120の角度θ'は、例えば、80〜85度の角度の範囲で設定される。因みに、目付け(単位面積当たりの重量)が大きいプラスチック製ダンボールほど、凸部119、120の角度θ'は小さくなる、つまり80度に近い角度となるように設定される。
【0090】
さらに、上記2本の凸部119、120の内側に位置する側面119b、120bが交差する位置は、凸部119、120の外側に位置する側面119c、120cが平面121、122と交差する位置よりも、図31(b)中の上方の位置に設定されており、凸部119、120の高さよりも深くなるように設定されている。また、上記凸部119、120の高さは、プラスチック製ダンボール片7の厚さtよりも僅かに低く設定されており、当該凸部119、120が最も下降した状態であっても、その先端部119a、120aがプラスチック製ダンボール片7の裏面に位置するプラスチック製平板6の内面に略当接する高さに設定されている。
【0091】
これは、上記2本の断面V宇形状の凸部119、120は、プラスチック製ダンボール片7の表面に当接して、プラスチック製ダンボール片7の表面を加熱・溶融して2本の断面V字形状の溝部21、22を形成する際に、2本の断面V字形状溝部21、22の間に位置するプラスチック製ダンボール片7の加熱による溶融変形量を考慮したものである。
【0092】
さらに、上記2本の断面逆V字形状の凸部119、120の両側には、平板部121、122が所定の幅にわたって隣接するように設けられており、これらの平板部121、122は、プラスチック製ダンボール片7の表面に当接して、当該2本の断面V字形状の溝部21、22に隣接するプラスチヅク製平板4を加熱・溶融するように構成されている。
【0093】
また、上記加熱板部116の上端部は、図29に示すように、円板状に形成された断熱材130を介して、円柱形状に形成された連結部材131に連結されているとともに、当該連結部材131は、エアーシリンダー111の作動杵112、113に取り付けられた移動部材132に連結されている。上記連結部材131は、エアーシリンダー111の作動杵112、113の下端部に取り付けられた移動部材132に対して、高さ方向の位置がネジ等によって調節可能となるように連結されている。
【0094】
上記プラスチック製ダンボール箱の第1の製造装置100では、図26に示すように、プラスチック製ダンボール片7の表面に2本の断面V字形状の溝部21、22を形成するとともに、当該2本の断面V字形状の溝部21、22に隣接するプラスチック製ダンボール片7のプラスチック製平板4の表面を溶融した後、図27に示すように、プラスチック製ダンボール片7の折り返し代19、20を外側に折り返すことによって、プラスチック製ダンボール片7の側壁9、10の上端縁9a、10aを二重に形成する工程が、作業者による人手によって行われる。なお、このプラスチック製ダンボール片7の側壁9、10の折り返し代19、20を折り返して二重に形成する工程は、自動的に行うように構成しても良い。
【0095】
その後、同様にして、プラスチック製ダンボール箱1の残りの2つの側壁11、12の上端縁11a、12aがすべて外側に折り曲げられて二重に形成される。
【0096】
そして、上記の如く側壁9、10の上端縁9a、10aに折り返し部17、18が設けられたプラスチック製ダンボール片7には、図24に示すように、側壁9、10、11、12の角部に連結部材30がスポット溶着によって装着される。
【0097】
以上の構成において、この実施の形態2に係るプラスチックシート製箱体の製造方法を適用した製造装置では、次のようにして、プラスチックシート製箱体の開口した上端部を補強するため、フレーム部材等の別部材が不要であって、部品点数が少なく低コストにて製造することができ、しかも十分な強度を有するプラスチック製ダンボール箱を製造することが可能となっている。
【0098】
また、この実施の形態に係るプラスチックシート製箱体の製造方法を適用した製造装置では、次のようにして、プラスチックシート同士を溶着する際に、プラスチックシートが所謂“白化”を起こして外観が低下したり、プラスチックシートが熱によって変形することによって平面性が損なわれることがなく、プラスチックシート製箱体を製造することが可能となっている。
【0099】
すなわち、この実施の形態2に係るプラスチックシート製箱体の製造方法では、例えば、図25に示すように、予め、プラスチック製ダンボール箱1を組み立て可能な所定の平面形状に裁断されたプラスチック製ダンボール片7を準備する準備工程が行われる。このプラスチック製ダンボール片7は、所定の大きさを有する図示しないプラスチック製ダンボール2のシートから、プレス機等によって所定の平面形状に裁断される。
【0100】
その後、上記の如く裁断されたプラスチック製ダンボール片7には、図26に示すように、互いに対向する側壁9、10及び側壁11、12の上端縁に2本の断面V字形状の溝部21、22が形成されて、当該側壁9、10及び側壁11、12の上端縁を折り曲げることによって折り曲げ部17、18が形成される。
【0101】
上記プラスチック製ダンボール片7に対する断面V字形状の溝部の形成は、次のようにして行われる。
【0102】
この実施の形態に係るプラスチック製ダンボール箱の製造装置では、図32に示すように、上記の如く裁断されたプラスチック製ダンボール片7の1つの側壁(例えば、側壁9)を、プラスチック製ダンボール箱の第2の製造装置本体100の作業台102上に載置する。その後、上記プラスチック製ダンボール箱の第1の製造装置では、図 32に示すように、エアーシリンダー111を作動させて、加熱用接触子110を所定量だけ下降させ、当該加熱用接触子110の下端面117aに設けられた2本の断面V字形状の凸部119、120の先端119a、120aを、側壁9の上端縁9aの折り曲げ部に対応した外表面に位置するプラスチック製ダンボール片7aのプラスチック製平板4に当接させる。なお、上記加熱用接触子110は、予め、平板状のヒーター118によって所定の温度(例えば、200〜350℃)に加熱される。その際、上記プラスチック製ダンボール片7aの表面には、図34及び図35に示すように、テフロン(登録商標)等の離型材料からなる厚さ約0.1mm程度の薄い離型性シートSを介在させるのが望ましい。上記断面V宇形状の凸部119、120の先端119a、120aをプラスチック製ダンボール片7aの表面に直接接触させた場合には、凸部119、120の表面に(登録商標)等をコーティングした場合であっても、当該断面V字形状の凸部119、120の熱によってプラスチック製ダンボーノレ片7a内の空気が膨張し、当該膨張した空気によって凸部119、120の側面に位置するプラスチック製ダンボール片7aの形状が波打った形状に変形してしまうのに対して、厚さ約0.1mm程度の離型性シートSを介在させた場合には、膨張した空気によるプラスチック製ダンボール片7aの変形を防止することができ、断面V字形状の溝の内面を平坦に形成することができ、溝部を折り返した際に折り返し部を綺麗に形成することができる。
【0103】
すると、上記表面に位置する側壁9のプラスチック製ダンボール2の平板4は、図32に示すように、2本の断面V字形状の凸部119、120の熱によって溶融されるとともに、当該加熱用接触子110の押圧力によって、溶融したプラスチック製ダンボール2の平板5が、2本の断面V字形状の凸部119、120と同一形状に窪んだ形状に変形され、図33に示すように、当該加熱用接触子110の平板部117の下端面121、122がプラスチック製ダンボール2のプラスチック製平板4に当接した状態まで下降する。
【0104】
その際、上記断面V字形状の凸部119、120は、図32に示すように、表面に位置する側壁9のプラスチック製ダンボール2の平板4に自重によって当接し、当該断面V宇形状の凸部119、120からの熱伝導によって、プラスチック製ダンボール2をその厚さの約4/5程度まで加熱・溶融する。
【0105】
その後、上記断面V字形状の凸部119、120を自重の約5倍程度の圧力によって、図33に示すように押し下げて、プラスチック製ダンボール2の厚さの約4/5程度までの厚さにわたって、断面V字形状の凹部21、22を形成する。このとき、上記プラスチック製ダンボール2の厚さを例えば5mmとした場合には、約4mmの深さにわたって断面V字形状の凹部21、22が形成される。
【0106】
次に、上記プラスチック製ダンボール箱の第1の製造装置では、図33に示すように、表面に位置する側壁9のプラスチック製ダンボール片7のプラスチック製平板4が、加熱用接触子18の平板部117の熱によって溶融され、この状態を所定時間だけ維持する。
【0107】
その後、上記プラスチック製ダンボール箱の第1の製造装置では、図33に示すように、加熱用接触子110の平板部117がプラスチック製ダンボール片7の表面に位置するプラスチック製平板4に当接した状態で、所定時間が経過して、当該プラスチック製平板4が溶融される。
【0108】
次に、上記プラスチック製ダンボール箱の第1の製造装置では、図36に示すように、加熱用接触子110が上方に退避した状態で、プラスチック製ダンボール箱1を構成するプラスチック製ダンボール片7は、図27に示すように、その側壁9、10、11、12の上端縁9a、10a、11a、12aが外側に折り返された状態で、折り返し部17、18の内面同士が互いに溶着される。
【0109】
次に、上記プラスチック製ダンボール片7は、図24に示すように、側壁9、10、11、12の角部に、実施の形態1と同様に連結部材30がスポット溶着により取り付けられて、プラスチック製ダンボール箱1が製造される。
【0110】
このように、上記実施の形態2よれば、プラスチック製ダンボール箱1の側壁9、10、11、12の上端縁を折り返した状態で溶着することにより、当該側壁9、10、11、12の上端面を平坦に、且つ上端縁を二重に構成して補強することができ、プラスチック製ダンボール箱1の開口した上端部を補強するため、フレーム部材等の別部材が不要であって、部品点数が少なく低コストにて製造することができ、しかも十分な強度を有するプラスチック製ダンボール箱1を提供することができる。
【0111】
また、このように、上記プラスチック製ダンボール箱の製造方法及び製造装置によれば、プラスチック製ダンボール2の接合部分が、白化を起こしたり、変形してしまって平面性が損なわれることがなく、プラスチックダンボール2を精度良く接合することが可能となる。
【0112】
なお、上記プラスチック製ダンボール箱1の表面は、図24に示すように、溶着位置30が円形状に窪んだ状態に変形するが、プラスチック製ダンボール2の内面は、平面状を維持しており、また、溶着位置の周囲も白化したり、歪むように変形したしりすることがなく、精度良く溶着することが可能となっている。
【0113】
上記プラスチック製ダンボール2の表面の溶着跡が気になる場合には、ダンボール2表面と同色のテープを貼ることによって、目立たなくすることが可能である。また、上記プラスチック製ダンボール2の表面の溶着跡には、図 に示すように、キャップ部材Cを溶着跡に嵌合することによって外部から見えなくすることができる。
【0114】
なお、上記実施の形態では、プラスチック製ダンボール箱1の側壁の折り返し部を、所定の長さとした場合について説明したが、側壁9、10等の折り返し部17、18等を、当該側壁9、10等の全長にわたって下端部まで設けても良い。
【0115】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【符号の説明】
【0116】
1:プラスチック製ダンボール箱、2:プラスチック製ダンボール、3:開口部、9、10、11、12:側壁、30:連結部材、31:第1の連結部材、32:第2の連結部材。
【技術分野】
【0001】
この発明は、熱可塑性樹脂からなるプラスチック製ダンボール等のプラスチック製のシート状部材(以下、「プラスチックシート」という。)や、紙製ダンボール等のシート状部材を用いて分解・組立自在な箱体を形成する際に使用される連結部材、及びこれを用いた箱体並びにその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のプラスチック製ダンボールなどを用いて製造されたプラスチックシート製箱体は、挨や塵等によって汚損され難く清浄であり、また耐水性や上下に積み重ねた場合でも十分な強度を有するなど、工業製品や食料品、あるいは日用品などの収納保管や運搬などに広く使用されている。
【0003】
ところで、上記プラスチックシート製箱体は、熱可塑性樹脂からなるプラスチック製ダンボール等のプラスチックシートを所定の形状に裁断して、箱体状に折り曲げた後、当該プラスチックシートの接合代どうしを、所定の接合手段で接合することによって製造される。
【0004】
その際、上記プラスチックシートの接合代どうしを接合する接合技術としては、例えば、特開2001−354228号公報に開示されているように、プラスチック製ダンボールに超音波を印加して摩擦熱を発生させて溶融接合するものや、特開平10-109368号公報に開示されているように、熱可塑性を有する合成樹脂からなるプラスチック製ダンボールを、加熱溶融させて接合する技術などが既に提案されている。
【0005】
上記特開2001−354228号公報に係るプラスチック段ボール箱体は、型抜きしたプラスチック段ボールシートを組み立て箱体としたものであって、該箱体の構成部材をすべてポリオレフィン系の同一素材で統一すると共に、該素材間の結合を溶着によって実行したものであり、溶着手段として、超音波を使用している。
【0006】
また、上記特開平10−109368号公報に係るプラスチック段ボールの接合方法は、接合面を加熱するための熱板が、接合面に接触すること以上に押し付けられないように、熱板とほぼ同じ厚みの間隔板を熱板と同一平面の熱板の近傍に設け、該熱板と間隔板を接合面の間に挟み込んで、熱板の熱で接合面を溶かした後、熱板と間隔板を取り除き、次に接合面を密着させて、段ボール相互を熱溶着で接合するように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10-109368号公報
【特許文献2】特開2001−354228号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来技術の場合には、次のような問題点を有している。すなわち、上記特開2001−354228号公報に係るプラスチック段ボール箱体や、特開平10-109368号公報に係るプラスチック段ボールの接合方法の場合には、プラスチック段ボールの接合面どうしを溶融して互いに固着することによって製造されるため、分解することができず、空のプラスチックシート製箱体を回収する際などに、無駄なスペースを必要とするという技術的課題を有していた。
【0009】
また、近年、上記プラスチックシート製箱体として、分解可能な組立式のプラスチックシート製箱体も実際に市場に出回っているが、これら従来の組立式プラスチックシート製箱体は、箱体の側壁を互いに連結する連結部材の構造が複雑であったり、箱体の側壁を互いに連結する強度が十分ではないという技術的課題を有していた。
【0010】
そこで、この発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、箱体の分解組立が可能であることは勿論のこと、連結部材の構造が簡単であって、しかも十分な連結強度を有する連結部材及びこれを用いた箱体並びにその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、請求項1に記載された発明は、底壁と、その周囲に連設された複数の側壁とから所定の展開形状に形成されたシート片の各側壁の上端縁の角部にそれぞれ取り付けられ、隣接する側壁同士を互いに連結することにより、上端面が開口した箱体状に組み立てるための連結部材において、
前記連結部材は、前記隣接する側壁の一方に取り付けられる第1の連結部材と、前記隣接する側壁の他方に取り付けられる第2の連結部材とからなり、前記第1の連結部材は、前記第2の連結部材に向けて突出した係合用の凸部を備えているとともに、前記第2の連結部材は、前記第1の連結部材の係合用凸部と相対的に係合する凹部を備えていることを特徴とする連結部材である。
【0012】
また、請求項2に記載された発明は、底壁と、その周囲に連設された複数の側壁とから所定の展開形状に形成されたシート片を有し、前記シート片の複数の側壁を折り曲げて起立させた状態で、隣接する側壁同士を、当該側壁の上端縁の角部にそれぞれ取り付けられた連結部材で互いに連結することにより、上端面が開口した箱体状に組み立てられる組立式の箱体において、
前記連結部材は、前記隣接する側壁の一方に取り付けられる第1の連結部材と、前記隣接する側壁の他方に取り付けられる第2の連結部材とからなり、前記第1の連結部材は、前記第2の連結部材に向けて突出した係合用の凸部を備えているとともに、前記第2の連結部材は、前記第1の連結部材の係合用凸部と相対的に係合する凹部を備えていることを特徴とする箱体である。
【0013】
さらに、請求項3に記載された発明は、前記第2の連結部材は、前記第1の連結部材の連結方向と交差する方向にスライドすることによって、前記第1の連結部材の係合用凸部と相対的に係合する凹部を備えた係合部材を備えていることを特徴とする請求項2に記載の箱体である。
【0014】
さらに、請求項4に記載された発明は、前記シート片がプラスチックシートからなり、前記箱体の複数の側壁のうち、少なくとも対向する2つの側壁の上端縁を、外側に折り返して二重に構成するとともに、前記折り返し部の内面どうしを溶着したことを特徴とする請求項2又は3に記載の箱体である。
【0015】
又、請求項5に記載された発明は、前記連結部材の上端面には、前記箱体を積重ねるためのコーナー部が一体的に設けられていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の箱体である。
【0016】
更に、請求項6に記載された発明は、底壁と、その周囲に連設された複数の側壁とから所定の展開形状に形成されたシート片を有し、前記シート片の複数の側壁を折り曲げて起立させた状態で、隣接する側壁同士を、当該側壁の上端縁の角部にそれぞれ取り付けられた連結部材で互いに連結することにより、上端面が開口した箱体状に組み立てられる組立式の箱体において、
プラスチックシートから前記シート片を裁断する裁断工程と、
前記裁断工程によって裁断されたプラスチックシートからなるシート片の複数の側壁を折り曲げて起立させた状態で、隣接する側壁同士を互いに連結するための連結部材を、当該側壁の上端縁の角部にそれぞれスポット溶着によって取り付けるスポット溶着工程とを備えたことを特徴とする箱体の製造方法である。
【0017】
また、請求項7に記載された発明は、底壁と、その周囲に連設された複数の側壁とから所定の展開形状に形成されたシート片を有し、前記シート片の複数の側壁を折り曲げて起立させた状態で、隣接する側壁同士を、当該側壁の上端縁の角部にそれぞれ取り付けられた連結部材で互いに連結することにより、上端面が開口した箱体状に組み立てられる組立式の箱体において、
プラスチックシートから前記シート片を裁断する裁断工程と、
前記箱体の外周に位置する側壁のうち、少なくとも対向する2つの側壁の上端縁に対応した前記プラスチックシートからなるシート片の外側面に、前記上端縁に沿って平行に折り返すための2本の断面V宇形状の溝部を溶融させて形成するとともに、前記2本の溝部の両側に隣接する外側面を溶融する溶融工程と、
少なくとも対向する2つの側壁の上端縁に対応した前記プラスチックシートからなるシート片の外側面を、前記溶融工程によって溶融された前記2本の溝部の位置で外側に折曲げることによって、前記少なくとも対向する2つの側壁の上端縁を二重に構成するとともに、前記折り返し部の溶融した内面どうしを固着する固着工程と、
前記固着工程によって二重に構成された側壁を含む前記プラスチックシートからなるシート片の複数の側壁を折り曲げて起立させた状態で、隣接する側壁同士を互いに連結するための連結部材を、当該側壁の上端縁の角部にそれぞれスポット溶着によって取り付けるスポット溶着工程とを備えたことを特徴とする箱体の製造方法である。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、箱体の分解組立が可能であることは勿論のこと、連結部材の構造が簡単であって、しかも十分な連結強度を有する連結部材及びこれを用いた箱体並びにその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1はこの発明の実施の形態1に係る連結部材を適用した箱体としてのプラスチック製ダンボール箱を示す外観斜視図である。
【図2】図2はこの発明の実施の形態1に係る連結部材の連結状態を示す外観斜視図である。
【図3】図3はプラスチック製ダンボールを示す斜視構成図である。
【図4】図4はプラスチック製ダンボールを示す斜視構成図である。
【図5】図5はプラスチック製ダンボールを示す断面構成図である。
【図6】図6はこの発明の実施の形態1に係る箱体としてのプラスチック製ダンボール箱を構成するプラスチックシート片を示す平面図である。
【図7】図7は補強用フレームを装着したプラスチック製ダンボール箱の側壁を示す断面図である。
【図8】図8はこの発明の実施の形態1に係る箱体としてのプラスチック製ダンボール箱の連結部材を示す斜視構成図である。
【図9】図9は連結部材をそれぞれ示す構成図である。
【図10】図10は第1の連結部材をそれぞれ示す構成図である。
【図11】図11は第2の連結部材をそれぞれ示す構成図である。
【図12】図12は係合部材をそれぞれ示す構成図である。
【図13】図13はこの発明の実施の形態1に係るプラスチックシート製箱体の製造装置としての第1の製造装置を示す構成図である。
【図14】図14はこの発明の実施の形態1に係るプラスチックシート製箱体の製造装置としての第1の製造装置の要部を示す構成図である。
【図15】図15はクランプ部を示す構成図である。
【図16】図16はこの発明の実施の形態1に係るプラスチックシート製箱体の製造装置としての第1の製造装置の要部を示す拡大構成図である。
【図17】図17は溶着ピンをそれぞれ示す構成図である。
【図18】図18は溶着ピンをそれぞれ示す構成図である。
【図19】図19は第1の製造装置による溶着工程を示す説明図である。
【図20】図20は第1の製造装置による溶着工程を示す説明図である。
【図21】図21は第1の製造装置による溶着工程を示す説明図である。
【図22】図22はこの発明の実施の形態1に係るプラスチックシート製箱体の組み立て状態を示す説明図である。
【図23】図23はこの発明の実施の形態2に係るプラスチックシート製箱体を示す正面図である。
【図24】図24はこの発明の実施の形態2に係るプラスチックシート製箱体を示す斜視構成図である。
【図25】図25はこの発明の実施の形態2に係るプラスチックシート製箱体を構成するプラスチック製ダンボールを示す平面図である。
【図26】図26はプラスチックシート片の端縁に沿って形成される断面V字形状の溝部を示す断面構成図である。
【図27】図27はこの発明の実施の形態1に係るプラスチックシート製箱体としてのプラスチック製ダンボール箱の上端縁に形成される折り返し部を示す断面構成図である。
【図28】図28はこの発明の実施の形態1に係るプラスチックシート製箱体の製造装置としての第2の製造装置を示す構成図である。
【図29】図29はこの発明の実施の形態1に係るプラスチックシート製箱体の製造装置としての第2の製造装置の要部を示す構成図である。
【図30】図30はこの発明の実施の形態1に係るプラスチックシート製箱体の製造装置としての第2の製造装置の要部を示す構成図である。
【図31】図31はこの発明の実施の形態1に係るプラスチックシート製箱体の製造装置としての第2の製造装置の要部を示す拡大構成図である。
【図32】図32は第2の製造装置による溶融工程を示す説明図である。
【図33】図33は第2の製造装置による溶融工程を示す説明図である。
【図34】図34は第2の製造装置による溶融工程を示す説明図である。
【図35】図35は第2の製造装置による溶融工程を示す説明図である。
【図36】図36は第2の製造装置による溶融工程を示す説明図である。
【図37】図37はこの発明の実施の形態に係る連結部材を適用した箱体としてのプラスチック製ダンボール箱の変形例を示す外観斜視図である。
【図38】図38はこの発明の実施の形態に係る箱体としてのプラスチック製ダンボール箱を構成するプラスチックシート片の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0021】
実施の形態1
図1及び図2はこの発明の実施の形態1に係るプラスチックシート製箱体の製造方法によって製造されるプラスチックシート製箱体としてのプラスチック製ダンボール箱を示すものである。
【0022】
このプラスチック製ダンボール箱1は、図1及び図2に示すように、プラスチックシートとしてのプラスチック製ダンボール2によって、その上端面3が全面開口した直方体形状の箱体状に形成されており、その内部には、精密機械部品等の工業製品や食料品、農産物あるいは日用品などの所望の物品を収納した状態で保管や運搬などが行われるものである。
【0023】
上記プラスチック製ダンボール箱1は、組立式となっており、使用しないときや回収時などは、プラスチック製ダンボール箱1を分解して平板状に展開することが可能であって、運搬性や収納性に優れたものとなっている。また、上記プラスチック製ダンボール箱1は、組み立てるための連結部材を含めて金属部品を一切使用しておらず、処分する際なども、そのままプラスチック素材の材質に応じてリサイクルが可能となっており、環境性に優れたものとなっている。
【0024】
また、上記プラスチック製ダンボール箱1を製造するために使用されるプラスチック製のダンボール2としては、特に限定されるものではなく、種々のプラスチック製ダンボール2を使用することができる。例えば、上記プラスチック製ダンボール2として、図3に示すように、表裏一対のプラスチック製平板4、5を、これらのプラスチック製平板4、5に直交するように表面に沿って一定の間隔で平行に立設された多数のリブ6により互いに連結したものが用いられる。また、このプラスチック製ダンボール2は、例えば、ポリプロピレン等の熱可塑性を有するプラスチック(合成樹脂)を押出し成型機によって一体的に成型することで製造される。なお、上記プラスチック製ダンボール2としては、これに限定されるものではなく、図4に示すように、小さな円筒形状に形成されたリブ6を縦方向及び横方向に一定の間隔で配置したものや、図5(a)に示すように、上下方向から略半楕円体形状に膨出した形状に形成されたリブ6によって、表裏一対のプラスチック製平板4、5を連結したものなど、任意のものを用いてもよいことは勿論である。
【0025】
さらに、上記プラスチックシート2としては、上述したプラスチック製ダンボールに限らず、図5(b)に示すように、ポリプロピレンやポリエチレン等のプラスチック(合成樹脂)を所定の厚さを有するシート状に成形したものや、図5(c)に示すように、スミセラー(住化プラスチック杜製商品名)などのように、ポリプロピレン等のプラスチック(合成樹脂)に発泡剤を混合することによって発泡させた緻密な表面層と微小独立泡からなる発泡倍率2〜6倍の発泡層とからなるポリプロピレン製シートなどを用いても良い。その際、上記プラスチックシートは、その表裏両面が成形されたままの状態であっても良いが、プラスチックシートの表裏両面に同じプラスチック(合成樹脂)からなる薄いシートを積層したものを用いても勿論良い。
【0026】
なお、この実施の形態では、箱体を形成するシート状部材として、主に熱可塑性樹脂からなるプラスチック製ダンボール等のプラスチックシートについて説明するが、これに限定されるものではなく、紙製ダンボール等のシート状部材を用いても良い。また、シート状部材として、紙製ダンボール等を用いた場合には、当該紙製ダンボール等のシート状部材に対する連結部材の取付は、例えば、金属製や樹脂製のリベット等の固定部材を用いて行われる。
【0027】
上記プラスチック製ダンボール箱1は、図6に示すように、所定の展開形状に裁断された少なくとも1枚のプラスチック製ダンボール片7を箱体状に折り曲げた状態で、隣接する側壁同士を後述する連結部材によって互いに着脱自在に連結することによって組み立てられる。このプラスチック製ダンボール箱1を形成するプラスチック製ダンボール片7としては、例えば、図1に示すような上端面3が全面開口した直方体形状の箱体状に形成されるプラスチック製ダンボール箱1を展開した形状に、1枚のプラスチック製ダンボール2を裁断したものが用いられる。なお、図6では、図中に曲線からなる破断線で囲んで図示したように、プラスチックシート2として、図4に示すように、小さな円筒形状に形成されたリブ6を縦方向及び横方向に一定の間隔で配置したものが用いられている。
【0028】
上記プラスチック製ダンボール片7は、図6に示すように、基本的に、プラスチック製ダンボール箱1の底部に位置する矩形状に形成された底壁8と、当該底壁8の外周に折り曲げ自在に連続した状態で設けられる4つの側壁9、10、11、12とを一体的に有するように形成されている。なお、上記底壁8は、例えば、一辺8aが他方の辺8bよりも長い長方形状に形成されるが、これに限定されるものではなく、正方形状や一辺8aを他方の辺8bよりも短い長方形状などに形成しても勿論良く、その形状は任意である。また、側壁9、10、11、12の高さも、プラスチック製ダンボール箱1の深さに応じて適宜設定される。
【0029】
さらに、上記4つの側壁9、10、11、12のうち、底壁8の相対的に短い辺8bに連設された一対の側壁11、12には、隣接する側壁9、10との間に隙間が生じるのを防止するための折り代13、14、15、16が、折り曲げたときの角部に位置する両側縁にそれぞれ延設されている。そして、上記プラスチック製ダンボール片7は、箱体状に組み立てる際に、これらの折り代13、14、15、16を介して、隣接する側壁9、10、11、12同士を互いに密着させることによって、隣接する側壁9、10、11、12間の角部に隙間が生じることなく、上端面3が開口した箱体状に組み立てられる。また、上記側壁11、12には、プラスチック製ダンボール箱1を把持する際の把手部70が細長い長円形状に形成されている。さらに、上記把手部70には、図1に示すように、プラスチック製の把手部材71を装着するようにしても良い。
【0030】
また、上記プラスチック製ダンボール箱1は、図7に示すように、必要に応じて、その外周に位置する4つの側壁9、10、11、12の上端縁に、ポリプロピレン等からなる断面略コ字形状の補強用フレーム17、18が装着されている。これらの補強用フレーム17、18は、後述するように、連結部材と共に側壁9、10、11、12の上端縁に溶着される。なお、補強用フレーム17、18及び連結部材の取付は、溶着に限らず、金属製や樹脂製のリベット等の固定部材を用いて行ってもよい。
【0031】
さらに、上記4つの側壁9、10、11、12には、図1に示すように、その上端縁の両角部に、隣接する側壁9、10、11、12同士を互いに連結するための連結部材30が、スポット溶着により取り付けられている。上記連結部材30は、図8及び図9に示すように、ポリプロピレンやポリエチレン等の熱可塑性を有するプラスチック(合成樹脂)によって厚さの薄い箱体状に形成されて剛性が高くなっており、隣接する側壁の一方に取り付けられる第1の連結部材31と、隣接する側壁の他方に取り付けられる第2の連結部材32とから構成されている。この実施の形態では、図1に示すように、側壁11の上端縁の左側の角部に第1の連結部材31が取り付けられており、側壁11の上端縁の右側の角部に第2の連結部材32が取り付けられている。ただし、これに限定されるものではなく、図38に示すように、対向する側壁11、12の上端縁の左右両側の角部にそれぞれ第1の連結部材31を取り付け、他方の対向する側壁9、10の上端縁の左右両側の角部にそれぞれ第2の連結部材32を取り付けるように構成しても良い。このように構成した場合には、後述するように、第2の連結部材32の操作位置が側壁10側の面にのみ位置するため、例えば、側壁10の上端縁の左右両側の角部に取り付けられた第2の連結部材32の連結状態を解除することにより、側壁10のみを容易に開くことが可能となる。
【0032】
上記第1の連結部材31は、図8及び図10に示すように、大別して、側壁9、10、11、12の上端縁の一方の角部に固定した状態で装着される固定部33と、当該固定部33の先端面に一体的に突出した状態で設けられ、他方の第2の連結部材32と連結するための係合用凸部34と、前記固定部33の上端面42に一体的に設けられ、上部に積み重ねられるプラスチック製ダンボール箱1の下端に位置する側壁に当接する規制板部35とから構成されている。
【0033】
上記固定部33は、図10(c)に示すように、プラスチック製ダンボール箱1の側壁9、10、11、12の角部に、当該側壁9、10、11、12を挟持した状態で固定される断面コ字形状の凹所36を備えるように構成されており、当該凹所36を形成する外側の挟持板部37と内側の挟持板部38は、図7に示すように、補強用フレーム17、18が取り付けられた側壁9、10、11、12の厚さと等しいか又は若干広い幅を介して対向するように配設されている。また、上記外側の挟持板部37は、内側の挟持板部38よりも相対的に長く設定されている。さらに、上記凹所36の側壁9、10、11、12の端部に位置する先端面は、図10(a)(b)に示すように、起立板部39によって閉塞されている。この起立板部39は、第2の連結部材32の側面に隙間なく当接する平面となっている。
【0034】
上記固定部33の起立板部39には、図10(b)(d)に示すように、係合用凸部34が水平方向に向けて突設されている。上記係合用凸部34は、その断面形状が縦長の楕円形状に形成された軸部40と、当該軸40部の先端部に設けられ、軸部40の外径よりも大きな楕円形状に形成された抜け止め部41とから構成されている。また、この抜け止め部41は、先端に向けて先細り形状に形成されており、第2の連結部材32への装着が容易となっている。
【0035】
また、上記固定部33の上端面42は、図10(a)に示すように平坦に形成されており、当該固定部33の上端面42には、上部に積み重ねられるプラスチック製ダンボール箱1の下端に位置する角部の側壁に当接する規制板部35が一体的に設けられている。上記規制板部35は、図10(d)に示すように、固定部33の上端面42において、両端部が大きなR形状の角部43を有するように垂直に立設されている。なお、上記規制板部35は、図10(c)に示すように、固定部33の上端面42において、外側の挟持板部37と同じ位置に設けられているが、当該規制板部35の位置は、外側の挟持板部37よりも内側に設けても良い。
【0036】
一方、上記第2の連結部材32は、図8及び図11に示すように、大別して、側壁9、10、11、12の他方の角部に固定した状態で装着される固定部44と、当該固定部44の先端部の一側面に設けられ、他方の第1の連結部材31と連結するための楕円形状の係合用孔部45と、図9(e)に示すように前記固定部44の先端部に内蔵され、他方の第1の連結部材31の係合用凸部34と相対的に係合する係合部材46(図11では図示を省略)と、前記固定部44の上端面に一体的に設けられ、上部に積み重ねられるプラスチック製ダンボール箱1の下端に位置する側壁に当接する規制板部47とから構成されている。なお、上記係合部材46は、第2の連結部材32そのものと色を異ならせる(例えば、係合部材46は白色、第2の連結部材32は黒色とする)ことにより、操作部としての係合部材46の識別性を高めることができる。
【0037】
上記固定部44は、図11(d)に示すように、プラスチック製ダンボール箱1の側壁9、10、11、12の角部に、当該側壁9、10、11、12を挟持した状態で固定される凹所48を備えるように構成されており、当該凹所48を形成する外側の挟持板部49と内側の挟持板部50は、補強用フレーム17、18が取り付けられた側壁9、10、11、12の厚さと等しいか又は若干広い幅を介して対向するように配設されている。また、上記外側の挟持板部49は、内側の挟持板部50よりも相対的に長く設定されている。さらに、上記凹所48の側壁の端部に位置する先端面は、図11(a)(b)に示すように、起立板部51によって閉塞されている。
【0038】
上記固定部44の先端部には、図9(a)(e)に示すように、係合部材46が上下方向に沿ってスライド自在に内蔵されており、当該固定部44の先端部内には、図11(d)に示すように、係合部材46を上下方向に沿ってスライド自在に案内するためのガイド板52、53、54が、凹所48の天井部から両挟持板部48、49に渡って設けられている。
【0039】
また、上記固定部44の上端面55は、図11(d)に示すように平坦に形成されており、当該固定部44の上端面55には、上部に積み重ねられるプラスチック製ダンボール箱1の下端に位置する角部の側壁に当接する規制板部47が一体的に設けられている。上記規制板部47は、図11(a)に示すように、固定部44の上端面55において、両端部が大きなR形状の角部56を有するように垂直に立設されている。さらに、上記固定部44の上端面55には、図11(b)に示すように、係合部材46の上部を突出させるための矩形状の開口部57が設けられている。また、上記固定部44の内側の挟持板部49には、後述するように、挟持板部49の上下方向に沿ったスライド幅を規制するための縦長の規制用開口部58が設けられている。
【0040】
さらに、上記固定部44の外側の挟持板部49には、図11(a)に示すように、係合部材46を上下にスライドさせるための突起65を操作する操作用の切欠き部59が矩形状に設けられている。なお、上記係合部材46の突起65は、他のプラスチック製ダンボール箱1の一部等が接触して誤操作されるのを防止するために、切欠き部59が設けられた外側の挟持板部49の表面と面一であって、当該外側の挟持板部49の表面よりも突出しないように設けられている。
【0041】
上記係合部材46は、図8(b)及び図9に示すように、固定部44の先端に位置する内部に、上下方向にスライド自在に内蔵されている。この係合部材46は、図12に示すように、その正面形状が縦長の長方形状に形成されているとともに、その側面形状は、図12(d)に示すように、相対的に幅の広い下部58と、相対的に幅の狭い上部59とから構成されている。上記係合部材46の上部59には、図12(a)(c)に示すように、第1の連結部材31の係合用凸部34を挿入するための縦長の略楕円形状の第1の開口部60と、当該第1の開口部60の上方に連続して設けられ、第1の開口部60の開口幅W1よりも開口幅W2の狭い下向き略U字形状の第2の開口部61とが設けられている。なお、上記第1の開口部60の開口幅W1は、係合用凸部34の抜け止め部41の幅よりも僅かに大きな幅に設定されているとともに、第2の開口部61の開口幅W2は、係合用凸部34の軸部40の幅と等しいか又は僅かに大きな幅に設定されている。上記第2の開口部61の裏面側は、図12(e)に示すように、上部59の厚さよりも僅かに薄く形成されており、当該第2の開口部61の外周に図9(b)に示すように係合用凸部34の抜け止め部41が係合されるように構成されている。
【0042】
また、上記係合部材46の下部58には、図12(c)(e)に示すように、矩形状の開口部62が設けられているとともに、当該開口部62の底部中央には、係合部材46を第2の連結部材32の固定部44に抜け止め状態に装着するための爪部63が上向きに一体的に突設されている。上記爪部63の上端部には、係合部材46の外側面に向けて凸部64が設けられている。この凸部64は、図12(b)に示すように、係合部材46の表面から突出しており、当該係合部材46を第2の連結部材32の内部に装着した際に、爪部63の凸部64が第2の連結部材32の規制用開口部58に嵌合され、係合部材46の移動幅を規制するとともに、係合部材46を抜け止め状態に保持するためのものである。
【0043】
上記連結部材30は、第1の連結部材31と第2の連結部材32が1組となっており、これらの第1の連結部材31と第2の連結部材32がプラスチック製ダンボール箱1の隣接する側壁9、10、11、12の角部にそれぞれ装着されることにより、隣接する側壁9、10、11、12の角部同士を連結及び離間自在となっている。なお、上記第1の連結部材31と第2の連結部材32は、プラスチック製ダンボール箱1の隣接する側壁9、10、11、12の角部にそれぞれ装着されるが、同一の側壁の対向する角部に、第1の連結部材31と第2の連結部材32をそれぞれ装着しても良いし、同一の側壁の対向する両角部に第1の連結部材31又は第2の連結部材32を装着し、隣接する側壁の対向する両角部に第2の連結部材32又は第1の連結部材32を装着するように構成しても良い。この場合には、上記第1の連結部材31及び第2の連結部材32は、装着される位置に応じて、係合用凸部34、並びに係合部材46及び開口部が設けられる位置が異なるように構成される。即ち、図38に示すように、同一の側壁の対向する両角部に同種の連結部材を装着する場合には、第1の連結部材31及び第2の連結部材32は、左右対称に形成される。
【0044】
上記第2の連結部材32は、図9(d)(e)に示すように、係合部材46を上方にスライドさせ、当該係合部材46の第1の開口部60と、第2の連結部材32の係合用孔部45とを位置合わせした状態で、側壁9、10、11、12を起立した状態に折り曲げて、第2の連結部材32の係合用孔部45内部に、図9(b)に示すように、第1の連結部材31の係合用凸部34を差し込み、第2の連結部材32の係合部材46を下方にスライドさせる。
【0045】
こうすることによって、第1の連結部材31の係合用凸部34は、係合部材46の第1の開口部60よりも幅の狭い第2の開口部61内に嵌合されて抜け止め状態となり、第1の連結部材31と第2の連結部材32が互いに強固に連結され、これら第1の連結部材31及び第2の連結部材32が設けられた隣接する側壁9、10、11、12同士が強固に連結されて、プラスチック製ダンボール箱1が組み立てられる。
【0046】
また、プラスチック製ダンボール箱1を分解するには、上記の組立操作と逆に、第2の連結部材32の係合部材46を上方にスライドさせて、係合部材46の第1の開口部60と、第2の連結部材32の係合用孔部45とを位置合わせすることにより、第2の連結部材32から第1の連結部材31の係合用凸部34を抜くことで、第1の連結部材31と第2の連結部材32を容易に離間させることができ、プラスチック製ダンボール箱1を平板状に容易に分解することができる。
【0047】
ところで、この実施の形態に係るプラスチック製ダンボール箱の製造方法では、各側壁の上端部の両角部に対する連結部材の取り付けが、次に示すようなプラスチック製ダンボール箱の第1の製造装置(溶着装置)を用いて行われる。
【0048】
図13はこの発明の実施の形態1に係る上記プラスチック製ダンボール箱を製造するための製造方法を適用したプラスチック製ダンボール箱の第1の製造装置を示すものである。
【0049】
図13において、200はプラスチック製ダンボール箱の第1の製造装置本体を示すものであり、この第1の製造装置本体200は、床面上に脚部201によって立脚された円柱又は角柱形状に形成されている。上記第1の製造装置本体200の上方中間部には、その一側面に水平方向に沿って作業台202が、所定の幅を有する平板状に延設されている。この作業台202は、長尺に形成されており、当該作業台202の上面は、水平に形成されている。また、上記作業台202の上面には、被作業物の裏面を固定する緩衝材シート203が接着等の手段によって固着されている。なお、上記緩衝材シート203は、必ずしも設けなくとも良い。
【0050】
また、上記プラスチック製ダンボール箱の第1の製造装置本体200の上端部には、図13に示すように、上述した作業台202と平行になるように、その一側面に水平方向に沿って円筒形状又は断面矩形の筒状の作業用アーム205が延設されている。この作業用アーム205の先端部には、矩形状に形成された作業部取付板206が、垂直方向に沿って溶接等により一体的に取り付けられているとともに、当該作業部取付板206には、クランプ手段207と溶着手段208とを取り付けるための取付用平板209が、4本の支柱部材210を介して、作業部取付板206と平行に取り付けられている。
【0051】
また、上記取付用平板209の裏面には、図14に示すように、クランプ手段207が取り付けられている。このクランプ手段207は、クランプ211を上下動させる第1の駆動手段としての第1のエアーシリンダー212と、当該第1のエアーシリンダー212の作動杵213に取り付けられたクランプ211とから構成されている。上記第1のエアーシリンダー212は、取付用平板209の裏面にネジ止め等によって取り付けられており、図示しないホースを介して加圧エアーを供給することによって、所定量だけ作動杵213を上下方向に移動可能に構成されている。
【0052】
さらに、上記クランプ211は、図14に示すように、側面形状が略クランク状に折り曲げた金属板によって形成されており、当該クランプ211の水平に折り曲げられた先端部211aは、図15に示すように、プラスチック製ダンボール片7の接合代を積層した状態で、溶着手段208による溶着部を両側から押圧して固定するように、2つに分岐されている。また、上記クランプ211は、所定量(複数設定可能)だけ下降した状態で停止するか、押圧力が所定の値になったときに停止するように構成されている。
【0053】
また、上記取付用平板209の表面には、図13に示すように、溶着手段208が取り付けられている。この溶着手段208は、加熱用接触子214を上下動させる駆動手段としての第2のエアーシリンダー215と、当該第2のエアーシリンダー215の作動杵216、217に他の部材を介して取り付けられた加熱用接触子214とから構成されている。上記第2のエアーシリンダー215は、取付用平板209の表面にネジ止め等によって取り付けられており、エアーホース218、219を介して加圧エアーを供給することによって、所定量だけ作動杵216、217を上下方向に移動させるとともに、所定の位置で停止するように構成されている。
【0054】
さらに、上記加熱用接触子214は、図13及び図16に示すように、例えば、真録や銅等の熱伝導率の高い金属によって円柱形状に形成された加熱部220と、当該加熱部220の外周に被覆されたバンドヒーター等からなる円筒形状のヒーター221とから構成されている。また、上記加熱部220は、その先端部222が図17に示すように先端がテーパ状に細く形成されており、当該先端部222の端面には、同図に示すように、十字形状の凹溝95が形成されている。なお、上記先端部222の端面222aには、離型性を高めるため、テフロン(登録商標)等の離型剤を塗布するのが望ましい。
【0055】
更に説明すると、上記加熱部220の先端部222は、図17及び図18に示すように、別体の溶着用熱ピン230として交換可能に構成されており、当該溶着用熱ピン230の先端部は円柱形状に形成されている。この溶着用熱ピン230は、プラスチック製ダンボール2の厚みや補強用フレーム17、18の肉厚等に応じて、複数種類だけ用意しても良く、当該溶着用熱ピン230は、本体側の加熱部220の先端部222にネジ止めする基端側のナット状の螺着部231と、中間の円柱状部232と、先端側のテーパ部233とから構成されている。上記先端側のテーパ部233は、プラスチック製ダンボール2の厚みに応じて、長さが種々設定されており、その先端面234には、十字形状の凹溝235が形成されていて、プラスチック製ダンボール2への熱伝導を効率良く行ないつつ、補強用フレーム17、18とプラスチック製ダンボール2とを確実に溶着することが可能となっている。
【0056】
さらに、図17及び図18に示す溶着用熱ピン230は、図5(c)に示すような、スミセラー(住化プラスチック杜製商品名)などのように、ポリプロピレン等のプラスチック(合成樹脂)に発泡剤を混合することによって発泡させた綴密な表面層と微小独立泡からなる発泡倍率2〜6倍のポリプロピレン製シートの溶着に適した溶着用熱ピンとなっている。
【0057】
上記発泡剤を混合したプラスチックシートは、図5(c)に示すように、プラスチック製ダンボールと異なって表面層と裏面層間が空間ではなく、発泡剤が混合された樹脂層で構成されている。そのため、上記発泡剤を混合したプラスチックシートは、加熱溶着時に、樹脂中の発泡剤が発泡して体積が増加するため、溶着用熱ピン230の先端面の外周に凹溝236を形成することにより、膨張した樹脂を、図17及び図18に示すように、当該凹溝236内で成形することができ、溶着後の外観形状が向上する。なお、図18は後述する実施の形態2に係るプラスチック製ダンボール箱1に適用したものとなっている。
【0058】
また、上記加熱部220の上端部は、図14及び図16に示すように、円筒形状に形成された連結部材224を介して、断熱材225に連結されているとともに、当該断熱材225は、正面逆T字形状に形成された連結部材226を介して、第2のエアーシリンダー215の作動杵216、217に取り付けられた移動部材227に連結されている。上記連結部材227は、第2のエアーシリンダー215の作動杵216、217の下端部に取り付けられた移動部材227に対して、高さ方向の位置がネジ等によって調節可能となるように連結されている。
【0059】
さらに、上記プラスチック製ダンボール箱の第1の製造装置は、図14に示すように、クランプ211にエアー噴射用のノズル228が取り付けられており、当該エアー噴射用のノズル228から所定のタイミングでエアーを溶着位置に噴射するように構成されている。なお、上記エアー噴射用のノズル228から噴射するエアーとしては、エアーシリンダー215を駆動するための加圧エアーを使用することができ、装置の構成を簡略化することが可能となっている。
【0060】
以上の構成において、この実施の形態に係るプラスチック製ダンボール箱は、次のようにして、プラスチックシート製箱体の分解組立が可能であることは勿論のこと、連結部材そのものや連結部材の取り付けに金属製の部品を必要とせず、廃棄やリサイクルが可能となっている。
【0061】
すなわち、上記プラスチック製ダンボール箱の製造方法では、例えば、図6に示すように、予め、プラスチック製ダンボール箱1を組み立て可能な所定の平面形状に裁断されたプラスチック製ダンボール片7を準備する準備工程が行われる。このプラスチック製ダンボール片7は、所定の大きさを有する図示しないプラスチック製ダンボール2のシートから、プレス機等によって所定の平面形状に裁断される。その際、上記プラスチック製ダンボール片7には、底壁8と、側壁9、10、11、12とが一体的に設けられるように裁断される。
【0062】
その後、上記の如く裁断されたプラスチック製ダンボール片7には、図8に示すように、各側壁9、10、11、12の上端縁の角部のうち、一方の角部に第1の連結部材31がスポット溶着により取り付けられるとともに、他方の角部に第2の連結部材32がスポット溶着により取り付けられる。その結果、上記側壁9、10、11、12の隣接する上端縁の角部には、一方に第1の連結部材31が、他方に第2の連結部材32がそれぞれスポット溶着により取り付けられる。
【0063】
上記プラスチック製ダンボール片7の側壁9、10、11、12への第1の連結部材31及び第2の連結部材32のスポット溶着処理は、プラスチック製ダンボール箱の第1の製造装置を用いて次のように行われる。
【0064】
上記プラスチック製ダンボール箱の第1の製造装置では、図7に示すように、プラスチック製ダンボール箱1の側壁9、10、11、12の上端縁に補強用フレーム17、18を装着し、当該補強用フレーム17、18が装着された側壁9、10、11、12の上端縁の角部に、図17(c)に示すように、第1の連結部材31又は第2の連結部材32の固定部33、44を嵌合した状態で、図19に示すように、プラスチック製ダンボール箱の第1の製造装置本体200の作業台202上に載置する。その後、上記プラスチック製ダンボール箱の第1の製造装置では、図19に示すように、第1のエアーシリンダー212を作動させて、クランプ211を所定量だけ下降させることにより、作業台202の緩衝材シート203上に載置された補強用フレーム17、18及び第1の連結部材31又は第2の連結部材32が嵌合された側壁9、10、11、12を、上方からクランプ211によって押さえる動作が行われる。
【0065】
その後、上記プラスチック製ダンボール箱の第1の製造装置では、図20に示すように、補強用フレーム17、18及び第1の連結部材31又は第2の連結部材32が嵌合された側壁9、10、11、12を上方からクランプ211によって押さえた状態で、第2のエアーシリンダー215を作動させて、加熱用接触子214を所定量だけ下降させ、当該加熱用接触子214の先端222を、プラスチック製ダンボール片7の側壁9、10、11、12に嵌合された補強用フレーム17、18及び第1の連結部材31又は第2の連結部材32に当接させた後、加熱用接触子214の先端222を押し下げる。なお、上記加熱用接触子214は、予め、円筒形状のヒーター221によって所定の温度(例えば、200〜350℃)に加熱されている。
【0066】
すると、上記表面に位置する補強用フレーム17、18及び第1の連結部材31又は第2の連結部材32は、図20に示すように、加熱用接触子18の熱によって溶融されるとともに、当該加熱用接触子214の押圧力によって、溶融した補強用フレーム17、18及び第1の連結部材31又は第2の連結部材32の外側挟持板部49が、加熱用接触子214と同一形状に変形し、図21に示すように、当該加熱用接触子214の先端面26aに沿った形状に変形して下降する。
【0067】
次に、上記プラスチック製ダンボール箱の第1の製造装置では、図21に示すように、表面に位置する補強用フレーム17、18及び第1の連結部材31又は第2の連結部材32の外側挟持板部49が、加熱用接触子214の熱によって溶融・変形されるとともに、当該外側挟持板部49の下方に位置するプラスチック製ダンボール2も、加熱用接触子214の熱によって溶融され、加熱用接触子214の先端222がプラスチック製ダンボール2の裏面に位置する第1の連結部材31又は第2の連結部材32の内側挟持板部49に当接する。
【0068】
その際、上記加熱用接触子214には、第2のエアーシリンダー215によって所定の加圧力が加えられ、加熱用接触子214は、第2のエアーシリンダー215による所定の加圧力で下降するが、当該加熱用接触子214は、時間によって下降位置を制御するように構成しても良い。
【0069】
すなわち、上記プラスチック製ダンボール箱の第1の製造装置では、加熱用接触子214が第1の連結部材31又は第2の連結部材32の外側挟持板部49表面に当接した状態で、当該外側挟持板部49が溶融・変形するのに要する時間は、第1の連結部材31又は第2の連結部材32の外側挟持板部49の厚さが決まれば、実験等によって知ることができるため、時間によって加熱用接触子214の下降位置を制御することも可能である。
【0070】
その後、上記プラスチック製ダンボール箱の第1の製造装置では、図21に示すように、加熱用接触子214の先端222がプラスチック製ダンボール2を貫通して裏面に位置する第1の連結部材31又は第2の連結部材32の内側挟持板部49の内面に当接した状態で、所定時間が経過して、当該内側挟持板部49が溶融することによって溶融固着され、積層状態の第1の連結部材31又は第2の連結部材32と補強用フレーム17、18とプラスチック製ダンボール2は、一体的にスポット状に溶着されることになる。なお、図21中、40は溶融したプラスチック製ダンボール2等の溶着片を示している。
【0071】
すると、上記プラスチック製ダンボール箱の第1の製造装置は、加熱用接触子214を第2のエアーシリンダー215によって上方に退避させるとともに、積層状態の側壁9の接合代13と側壁11の溶着箇所にエアーノズル228からエアーを噴き付けて、冷却するようになっている。
【0072】
そして、上記プラスチック製ダンボール箱の第1の製造装置では、クランプ211を第1のエアーシリンダー212によって上方に退避させて、一箇所の溶着作業を終了する。
【0073】
以下、同様に、プラスチック製のダンボール箱1を構成する側壁9、10、11、12の上端縁の角部に、第1の連結部材31又は第2の連結部材32を溶着することによって、プラスチック製ダンボール箱1が製造される。
【0074】
このように製造されたプラスチック製ダンボール箱1を組み立てるには、図22に示すように、プラスチック製ダンボール片7の側壁9、10、11、12を起立した状態に折り曲げて、隣接する側壁9、10、11、12同士を第1の連結部材31及び第2の連結部材32によって互いに連結することによって組み立てられる。
【0075】
なお、図37に示すように、プラスチック製ダンボール片7の同一の側壁、例えば側壁10の上端縁の両角部にそれぞれ第2の連結部材32を装着した場合には、当該第2の連結部材32の係合部材46を操作して、側壁10のみを開くことも可能であり(図示例では、併せて、側壁11も開いた状態を示す)、プラスチック製ダンボール箱1の内部への収容物Aの収容や取り出しも容易に行うことができる。
【0076】
なお、スポット状の溶着部には、図21(b)に示すように、溶着部の形状に一致したキャップCを装着することによって目立たなくすることができる。
【0077】
実施の形態2
図23はこの発明の実施の形態2を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態2では、プラスチックシート製箱体の複数の側壁のうち、少なくとも対向する2つの側壁の上端縁を、外側に折り返して二重に構成するとともに、前記折り返し部の内面どうしを溶着するように構成されている。
【0078】
すなわち、この実施の形態2に係るプラスチック製ダンボール箱1は、図23及び図24に示すように、側壁9、10、11、12の上端縁に補強用のフレーム17、(1)8を設けるのではなく、その外周に位置する4つの側壁9、10、11、12の内、少なくとも互いに対向する2つの側壁9、10の上端縁9a、10aが、外側に折り返されて二重に構成されており、当該折り返し部17、18の内面どうしは溶着されて、両側壁9、10の上端面9b、10bが平坦に形成されると共に補強されるように構成されている。
【0079】
そのため、上記プラスチック製ダンボール箱1の外周に位置する4つの側壁9、10、11、12の上端には、図25に示すように、折り返し部17、18を形成するための折り返し代19、20、25、26が延設されている。なお、この折り返し代19、20、25、26の長さLは、任意の長さに設定される。
【0080】
また、この実施の形態では、図26に示すように、ブラスチック製ダンボール箱1を製造するにあたり、4つの側壁9、10、11、12の折り曲げ位置に対応した上端縁9a、10a、11a、12aの外側面に、2本の断面V字形状(結果的に断面W字形状)の凹溝21、22が当該上端縁9a、10a、11a、12aに沿って平行に設けられており、これらの断面V字形状の凹溝21、22を介して外側に折り曲げるように構成されている。上記断面V字形状の凹溝21、22は、プラスチック製ダンボール2の厚さをtとした場合、その間隔が約2tの距離に設定されているとともに、その角度θは、後述する加熱工程によって凹溝を成形した後の値が略90度となっている。
【0081】
また、上記プラスチック製ダンボール箱1は、図27に示すように、その外側に折り返されて二重に構成された折り返し部17、18の内面どうしが、2本の断面V字形状の凹溝21、22の内面も含めて互いに溶着されており、当該プラスチック製ダンボール箱1の上端縁9a、10aが補強されていると共にその端面9b、10b、11b、12bが平坦に形成されている。
【0082】
図28は上記の如く構成されるプラスチックシート製箱体を製造するための製造方法を適用したプラスチックシート製箱体の第2の製造装置を示すものである。このプラスチックシート製箱体の第2の製造装置は、プラスチックシート片の側壁の上端縁に対応した部分に折り返し部を形成するための装置である。
【0083】
図28において、100はプラスチックシート製箱体の第2の製造装置本体を示すものであり、この第1の製造装置本体100は、床面上に脚部101によって立脚された円柱又は角柱形状に形成されている。上記第1の製造装置本体100の上方中間部には、その一側面に水平方向に沿って作業台102が、所定の幅を有する平板状に延設されている。この作業台102は、比較的幅が広く、且つ長尺に形成されており、当該作業台102の上面は、水平に形成されている。また、上記作業台102の上面には、被作業物の裏面を固定する緩衝材シート103が接着等の手段によって固着されている。さらに、上記作業台102の上面には、被作業物としてのプラスチック製ダンボール片7の端部を突き当てて所定の位置に位置決めするための位置決め部材104が必要に応じて設けられている。なお、上記緩衝材シート103は、必ずしも設けなくとも良い。
【0084】
また、上記プラスチック製ダンボール箱の第2の製造装置本体100の上端部には、図28に示すように、上述した作業台102と平行になるように、その一側面に水平方向に沿って円筒形状又は断面矩形の筒状の作業用アーム105が延設されている。この作業用アーム105の先端部には、作業台102上に載置された被作業物としてのプラスチック製ダンボール片を加熱・溶融することによって、当該プラスチック製ダンボール片の所定位置に2本の断面V字形状の溝部を同時に形成すると共に、2本の断面V字形状の溝部に隣接したプラスチック製ダンボール片の表面を加熱・溶融する加熱手段106が装着されている。なお、上記作業用アーム105の先端部には、プラスチック製ダンボール片の表面を押さえた状態で固定する図示しないクランプ手段を設けても良い。
【0085】
さらに、上記プラスチック製ダンボール箱の第2の製造装置100には、図28に示すように、作業用アーム105の先端部に、矩形状に形成された作業部取付板107が、垂直方向に沿って溶接等により一体的に取り付けられているとともに、当該作業部取付板107には、加熱手段106を取り付けるための取付用平板108が、4本の支柱部材109を介して、作業部取付板107と平行に取り付けられている。
【0086】
また、上記取付用平板108の表面には、図29及び図30に示すように、加熱手段106が取り付けられている。この加熱手段106は、加熱用接触子110を上下動させる駆動手段としてのエアーシリンダー111と、当該エアーシリンダー111の作動杵112、113に他の部材を介して取り付けられた加熱用接触子110とから構成されている。上記エァーシリンダー111は、取付用平板108の表面にネジ止め等によって取り付けられており、エアーホース114、115を介して加圧エアーを供給することによって、所定量だけ作動杵112、113を上下方向に移動させるとともに、所定の位置で停止するように構成されている。
【0087】
さらに、上記加熱用接触子110は、図31に示すように、例えば、真録や銅、あるいはステンレス等の熱伝導率の高い金属によって所定の肉厚を有する平板状に形成された上下の加熱板部116、117と、当該両加熱板部116、117の内部に挟持された状態で取り付けられたバンドヒーター等からなる平板状のヒーター118とから構成されている。また、上記加熱板部116、117の内、下部の加熱板部117には、その下端面の中央部分117aが所定の幅にわたって下方に向けて突出するように形成されており、当該突出部117aの下面中央には、図31に示すように、2本の断面V字形状の凸部119、120が隣接して形成されている。これら2本の断面V字形状の凸部119、120は、加熱板部117の下端面の中央部分に、プラスチック製ダンボール箱1の側壁9、10の長さと等しいか、又は若干長くなるよう、図面に垂直な方向に沿って長尺に形成されている。
【0088】
また、上記2本の断面略V字形状の凸部119、120は、図31に示すように、その先端部119a、120aの角度θ’が90度より若干小さい、例えば80〜85度の角度となるように設定されており、当該凸部119、120は、プラスチック製ダンボール片7の表面に当接して、当該プラスチック製ダンボール片7の表面に位置するプラスチック製平板4及びリブ6を加熱・溶融して、図26に示すように、プラスチック製ダンボール片7の表面に断面略V字形状の溝部21、22を形成するためのものである。このプラスチック製ダンボール片7の表面に形成される断面略V字形状の溝部21、22は、その角度θが略90度となるように形成されるが、断面略V字形状の凸部119、120の角度θ'は、90度に設定すると、加熱成形時にプラスチック製ダンボール片7を形成する樹脂の“逃げ”等があるため、溝部21、22の角度θが90度よりも大きくなってしまう。
【0089】
そこで、この実施の形態では、断面略V字形状の溝部21、22を成形する際の樹脂の“逃げ”等を考慮して、断面略V字形状の凸部119、120の角度θ'は、90度より若干小さい80〜85度の角度となるように設定されている。更に、上記断面略V字形状の溝部21、22を成形する際の樹脂の“逃げ”は、ブラスチック製ダンボールの目付け(単位面積当たりの重量)によって異なり、例えば、プラスチック製ダンボールの厚さtが同じ4mmであっても、目付け(単位面積当たりの重量)が600gのものもあれば、800gのものもあり、同様にプラスチック製ダンボールの厚さtが同じ5mmであっても、目付け(単位面積当たりの重量)が800gのものもあれば、1000gのものもある。そのため、プラスチック製ダンボールの目付け(単位面積当たりの重量)に応じて、プラスチック製ダンボール片7の表面に断面略V字形状の溝部21、22を形成する際の樹脂の“逃げ”量が異なるため、当該樹脂の“逃げ”量に応じて、断面略V字形状の凸部119、120の角度θ'は、例えば、80〜85度の角度の範囲で設定される。因みに、目付け(単位面積当たりの重量)が大きいプラスチック製ダンボールほど、凸部119、120の角度θ'は小さくなる、つまり80度に近い角度となるように設定される。
【0090】
さらに、上記2本の凸部119、120の内側に位置する側面119b、120bが交差する位置は、凸部119、120の外側に位置する側面119c、120cが平面121、122と交差する位置よりも、図31(b)中の上方の位置に設定されており、凸部119、120の高さよりも深くなるように設定されている。また、上記凸部119、120の高さは、プラスチック製ダンボール片7の厚さtよりも僅かに低く設定されており、当該凸部119、120が最も下降した状態であっても、その先端部119a、120aがプラスチック製ダンボール片7の裏面に位置するプラスチック製平板6の内面に略当接する高さに設定されている。
【0091】
これは、上記2本の断面V宇形状の凸部119、120は、プラスチック製ダンボール片7の表面に当接して、プラスチック製ダンボール片7の表面を加熱・溶融して2本の断面V字形状の溝部21、22を形成する際に、2本の断面V字形状溝部21、22の間に位置するプラスチック製ダンボール片7の加熱による溶融変形量を考慮したものである。
【0092】
さらに、上記2本の断面逆V字形状の凸部119、120の両側には、平板部121、122が所定の幅にわたって隣接するように設けられており、これらの平板部121、122は、プラスチック製ダンボール片7の表面に当接して、当該2本の断面V字形状の溝部21、22に隣接するプラスチヅク製平板4を加熱・溶融するように構成されている。
【0093】
また、上記加熱板部116の上端部は、図29に示すように、円板状に形成された断熱材130を介して、円柱形状に形成された連結部材131に連結されているとともに、当該連結部材131は、エアーシリンダー111の作動杵112、113に取り付けられた移動部材132に連結されている。上記連結部材131は、エアーシリンダー111の作動杵112、113の下端部に取り付けられた移動部材132に対して、高さ方向の位置がネジ等によって調節可能となるように連結されている。
【0094】
上記プラスチック製ダンボール箱の第1の製造装置100では、図26に示すように、プラスチック製ダンボール片7の表面に2本の断面V字形状の溝部21、22を形成するとともに、当該2本の断面V字形状の溝部21、22に隣接するプラスチック製ダンボール片7のプラスチック製平板4の表面を溶融した後、図27に示すように、プラスチック製ダンボール片7の折り返し代19、20を外側に折り返すことによって、プラスチック製ダンボール片7の側壁9、10の上端縁9a、10aを二重に形成する工程が、作業者による人手によって行われる。なお、このプラスチック製ダンボール片7の側壁9、10の折り返し代19、20を折り返して二重に形成する工程は、自動的に行うように構成しても良い。
【0095】
その後、同様にして、プラスチック製ダンボール箱1の残りの2つの側壁11、12の上端縁11a、12aがすべて外側に折り曲げられて二重に形成される。
【0096】
そして、上記の如く側壁9、10の上端縁9a、10aに折り返し部17、18が設けられたプラスチック製ダンボール片7には、図24に示すように、側壁9、10、11、12の角部に連結部材30がスポット溶着によって装着される。
【0097】
以上の構成において、この実施の形態2に係るプラスチックシート製箱体の製造方法を適用した製造装置では、次のようにして、プラスチックシート製箱体の開口した上端部を補強するため、フレーム部材等の別部材が不要であって、部品点数が少なく低コストにて製造することができ、しかも十分な強度を有するプラスチック製ダンボール箱を製造することが可能となっている。
【0098】
また、この実施の形態に係るプラスチックシート製箱体の製造方法を適用した製造装置では、次のようにして、プラスチックシート同士を溶着する際に、プラスチックシートが所謂“白化”を起こして外観が低下したり、プラスチックシートが熱によって変形することによって平面性が損なわれることがなく、プラスチックシート製箱体を製造することが可能となっている。
【0099】
すなわち、この実施の形態2に係るプラスチックシート製箱体の製造方法では、例えば、図25に示すように、予め、プラスチック製ダンボール箱1を組み立て可能な所定の平面形状に裁断されたプラスチック製ダンボール片7を準備する準備工程が行われる。このプラスチック製ダンボール片7は、所定の大きさを有する図示しないプラスチック製ダンボール2のシートから、プレス機等によって所定の平面形状に裁断される。
【0100】
その後、上記の如く裁断されたプラスチック製ダンボール片7には、図26に示すように、互いに対向する側壁9、10及び側壁11、12の上端縁に2本の断面V字形状の溝部21、22が形成されて、当該側壁9、10及び側壁11、12の上端縁を折り曲げることによって折り曲げ部17、18が形成される。
【0101】
上記プラスチック製ダンボール片7に対する断面V字形状の溝部の形成は、次のようにして行われる。
【0102】
この実施の形態に係るプラスチック製ダンボール箱の製造装置では、図32に示すように、上記の如く裁断されたプラスチック製ダンボール片7の1つの側壁(例えば、側壁9)を、プラスチック製ダンボール箱の第2の製造装置本体100の作業台102上に載置する。その後、上記プラスチック製ダンボール箱の第1の製造装置では、図 32に示すように、エアーシリンダー111を作動させて、加熱用接触子110を所定量だけ下降させ、当該加熱用接触子110の下端面117aに設けられた2本の断面V字形状の凸部119、120の先端119a、120aを、側壁9の上端縁9aの折り曲げ部に対応した外表面に位置するプラスチック製ダンボール片7aのプラスチック製平板4に当接させる。なお、上記加熱用接触子110は、予め、平板状のヒーター118によって所定の温度(例えば、200〜350℃)に加熱される。その際、上記プラスチック製ダンボール片7aの表面には、図34及び図35に示すように、テフロン(登録商標)等の離型材料からなる厚さ約0.1mm程度の薄い離型性シートSを介在させるのが望ましい。上記断面V宇形状の凸部119、120の先端119a、120aをプラスチック製ダンボール片7aの表面に直接接触させた場合には、凸部119、120の表面に(登録商標)等をコーティングした場合であっても、当該断面V字形状の凸部119、120の熱によってプラスチック製ダンボーノレ片7a内の空気が膨張し、当該膨張した空気によって凸部119、120の側面に位置するプラスチック製ダンボール片7aの形状が波打った形状に変形してしまうのに対して、厚さ約0.1mm程度の離型性シートSを介在させた場合には、膨張した空気によるプラスチック製ダンボール片7aの変形を防止することができ、断面V字形状の溝の内面を平坦に形成することができ、溝部を折り返した際に折り返し部を綺麗に形成することができる。
【0103】
すると、上記表面に位置する側壁9のプラスチック製ダンボール2の平板4は、図32に示すように、2本の断面V字形状の凸部119、120の熱によって溶融されるとともに、当該加熱用接触子110の押圧力によって、溶融したプラスチック製ダンボール2の平板5が、2本の断面V字形状の凸部119、120と同一形状に窪んだ形状に変形され、図33に示すように、当該加熱用接触子110の平板部117の下端面121、122がプラスチック製ダンボール2のプラスチック製平板4に当接した状態まで下降する。
【0104】
その際、上記断面V字形状の凸部119、120は、図32に示すように、表面に位置する側壁9のプラスチック製ダンボール2の平板4に自重によって当接し、当該断面V宇形状の凸部119、120からの熱伝導によって、プラスチック製ダンボール2をその厚さの約4/5程度まで加熱・溶融する。
【0105】
その後、上記断面V字形状の凸部119、120を自重の約5倍程度の圧力によって、図33に示すように押し下げて、プラスチック製ダンボール2の厚さの約4/5程度までの厚さにわたって、断面V字形状の凹部21、22を形成する。このとき、上記プラスチック製ダンボール2の厚さを例えば5mmとした場合には、約4mmの深さにわたって断面V字形状の凹部21、22が形成される。
【0106】
次に、上記プラスチック製ダンボール箱の第1の製造装置では、図33に示すように、表面に位置する側壁9のプラスチック製ダンボール片7のプラスチック製平板4が、加熱用接触子18の平板部117の熱によって溶融され、この状態を所定時間だけ維持する。
【0107】
その後、上記プラスチック製ダンボール箱の第1の製造装置では、図33に示すように、加熱用接触子110の平板部117がプラスチック製ダンボール片7の表面に位置するプラスチック製平板4に当接した状態で、所定時間が経過して、当該プラスチック製平板4が溶融される。
【0108】
次に、上記プラスチック製ダンボール箱の第1の製造装置では、図36に示すように、加熱用接触子110が上方に退避した状態で、プラスチック製ダンボール箱1を構成するプラスチック製ダンボール片7は、図27に示すように、その側壁9、10、11、12の上端縁9a、10a、11a、12aが外側に折り返された状態で、折り返し部17、18の内面同士が互いに溶着される。
【0109】
次に、上記プラスチック製ダンボール片7は、図24に示すように、側壁9、10、11、12の角部に、実施の形態1と同様に連結部材30がスポット溶着により取り付けられて、プラスチック製ダンボール箱1が製造される。
【0110】
このように、上記実施の形態2よれば、プラスチック製ダンボール箱1の側壁9、10、11、12の上端縁を折り返した状態で溶着することにより、当該側壁9、10、11、12の上端面を平坦に、且つ上端縁を二重に構成して補強することができ、プラスチック製ダンボール箱1の開口した上端部を補強するため、フレーム部材等の別部材が不要であって、部品点数が少なく低コストにて製造することができ、しかも十分な強度を有するプラスチック製ダンボール箱1を提供することができる。
【0111】
また、このように、上記プラスチック製ダンボール箱の製造方法及び製造装置によれば、プラスチック製ダンボール2の接合部分が、白化を起こしたり、変形してしまって平面性が損なわれることがなく、プラスチックダンボール2を精度良く接合することが可能となる。
【0112】
なお、上記プラスチック製ダンボール箱1の表面は、図24に示すように、溶着位置30が円形状に窪んだ状態に変形するが、プラスチック製ダンボール2の内面は、平面状を維持しており、また、溶着位置の周囲も白化したり、歪むように変形したしりすることがなく、精度良く溶着することが可能となっている。
【0113】
上記プラスチック製ダンボール2の表面の溶着跡が気になる場合には、ダンボール2表面と同色のテープを貼ることによって、目立たなくすることが可能である。また、上記プラスチック製ダンボール2の表面の溶着跡には、図 に示すように、キャップ部材Cを溶着跡に嵌合することによって外部から見えなくすることができる。
【0114】
なお、上記実施の形態では、プラスチック製ダンボール箱1の側壁の折り返し部を、所定の長さとした場合について説明したが、側壁9、10等の折り返し部17、18等を、当該側壁9、10等の全長にわたって下端部まで設けても良い。
【0115】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【符号の説明】
【0116】
1:プラスチック製ダンボール箱、2:プラスチック製ダンボール、3:開口部、9、10、11、12:側壁、30:連結部材、31:第1の連結部材、32:第2の連結部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁と、その周囲に連設された複数の側壁とから所定の展開形状に形成されたシート片の各側壁の上端縁の角部にそれぞれ取り付けられ、隣接する側壁同士を互いに連結することにより、上端面が開口した箱体状に組み立てるための連結部材において、
前記連結部材は、前記隣接する側壁の一方に取り付けられる第1の連結部材と、前記隣接する側壁の他方に取り付けられる第2の連結部材とからなり、前記第1の連結部材は、前記第2の連結部材に向けて突出した係合用の凸部を備えているとともに、前記第2の連結部材は、前記第1の連結部材の係合用凸部と相対的に係合する凹部を備えていることを特徴とする連結部材。
【請求項2】
底壁と、その周囲に連設された複数の側壁とから所定の展開形状に形成されたシート片を有し、前記シート片の複数の側壁を折り曲げて起立させた状態で、隣接する側壁同士を、当該側壁の上端縁の角部にそれぞれ取り付けられた連結部材で互いに連結することにより、上端面が開口した箱体状に組み立てられる組立式の箱体において、
前記連結部材は、前記隣接する側壁の一方に取り付けられる第1の連結部材と、前記隣接する側壁の他方に取り付けられる第2の連結部材とからなり、前記第1の連結部材は、前記第2の連結部材に向けて突出した係合用の凸部を備えているとともに、前記第2の連結部材は、前記第1の連結部材の係合用凸部と相対的に係合する凹部を備えていることを特徴とする箱体。
【請求項3】
前記第2の連結部材は、前記第1の連結部材の連結方向と交差する方向にスライドすることによって、前記第1の連結部材の係合用凸部と相対的に係合する凹部を備えた係合部材を備えていることを特徴とする請求項2に記載の箱体。
【請求項4】
前記シート片がプラスチックシートからなり、前記箱体の複数の側壁のうち、少なくとも対向する2つの側壁の上端縁を、外側に折り返して二重に構成するとともに、前記折り返し部の内面どうしを溶着したことを特徴とする請求項2又は3に記載の箱体。
【請求項5】
前記連結部材の上端面には、前記箱体を積重ねるためのコーナー部が一体的に設けられていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の箱体。
【請求項6】
底壁と、その周囲に連設された複数の側壁とから所定の展開形状に形成されたシート片を有し、前記シート片の複数の側壁を折り曲げて起立させた状態で、隣接する側壁同士を、当該側壁の上端縁の角部にそれぞれ取り付けられた連結部材で互いに連結することにより、上端面が開口した箱体状に組み立てられる組立式の箱体において、
プラスチックシートから前記シート片を裁断する裁断工程と、
前記裁断工程によって裁断されたプラスチックシートからなるシート片の複数の側壁を折り曲げて起立させた状態で、隣接する側壁同士を互いに連結するための連結部材を、当該側壁の上端縁の角部にそれぞれスポット溶着によって取り付けるスポット溶着工程とを備えたことを特徴とする箱体の製造方法。
【請求項7】
底壁と、その周囲に連設された複数の側壁とから所定の展開形状に形成されたシート片を有し、前記シート片の複数の側壁を折り曲げて起立させた状態で、隣接する側壁同士を、当該側壁の上端縁の角部にそれぞれ取り付けられた連結部材で互いに連結することにより、上端面が開口した箱体状に組み立てられる組立式の箱体において、
プラスチックシートから前記シート片を裁断する裁断工程と、
前記箱体の外周に位置する側壁のうち、少なくとも対向する2つの側壁の上端縁に対応した前記プラスチックシートからなるシート片の外側面に、前記上端縁に沿って平行に折り返すための2本の断面V宇形状の溝部を溶融させて形成するとともに、前記2本の溝部の両側に隣接する外側面を溶融する溶融工程と、
少なくとも対向する2つの側壁の上端縁に対応した前記プラスチックシートからなるシート片の外側面を、前記溶融工程によって溶融された前記2本の溝部の位置で外側に折曲げることによって、前記少なくとも対向する2つの側壁の上端縁を二重に構成するとともに、前記折り返し部の溶融した内面どうしを固着する固着工程と、
前記固着工程によって二重に構成された側壁を含む前記プラスチックシートからなるシート片の複数の側壁を折り曲げて起立させた状態で、隣接する側壁同士を互いに連結するための連結部材を、当該側壁の上端縁の角部にそれぞれスポット溶着によって取り付けるスポット溶着工程とを備えたことを特徴とする箱体の製造方法。
【請求項1】
底壁と、その周囲に連設された複数の側壁とから所定の展開形状に形成されたシート片の各側壁の上端縁の角部にそれぞれ取り付けられ、隣接する側壁同士を互いに連結することにより、上端面が開口した箱体状に組み立てるための連結部材において、
前記連結部材は、前記隣接する側壁の一方に取り付けられる第1の連結部材と、前記隣接する側壁の他方に取り付けられる第2の連結部材とからなり、前記第1の連結部材は、前記第2の連結部材に向けて突出した係合用の凸部を備えているとともに、前記第2の連結部材は、前記第1の連結部材の係合用凸部と相対的に係合する凹部を備えていることを特徴とする連結部材。
【請求項2】
底壁と、その周囲に連設された複数の側壁とから所定の展開形状に形成されたシート片を有し、前記シート片の複数の側壁を折り曲げて起立させた状態で、隣接する側壁同士を、当該側壁の上端縁の角部にそれぞれ取り付けられた連結部材で互いに連結することにより、上端面が開口した箱体状に組み立てられる組立式の箱体において、
前記連結部材は、前記隣接する側壁の一方に取り付けられる第1の連結部材と、前記隣接する側壁の他方に取り付けられる第2の連結部材とからなり、前記第1の連結部材は、前記第2の連結部材に向けて突出した係合用の凸部を備えているとともに、前記第2の連結部材は、前記第1の連結部材の係合用凸部と相対的に係合する凹部を備えていることを特徴とする箱体。
【請求項3】
前記第2の連結部材は、前記第1の連結部材の連結方向と交差する方向にスライドすることによって、前記第1の連結部材の係合用凸部と相対的に係合する凹部を備えた係合部材を備えていることを特徴とする請求項2に記載の箱体。
【請求項4】
前記シート片がプラスチックシートからなり、前記箱体の複数の側壁のうち、少なくとも対向する2つの側壁の上端縁を、外側に折り返して二重に構成するとともに、前記折り返し部の内面どうしを溶着したことを特徴とする請求項2又は3に記載の箱体。
【請求項5】
前記連結部材の上端面には、前記箱体を積重ねるためのコーナー部が一体的に設けられていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の箱体。
【請求項6】
底壁と、その周囲に連設された複数の側壁とから所定の展開形状に形成されたシート片を有し、前記シート片の複数の側壁を折り曲げて起立させた状態で、隣接する側壁同士を、当該側壁の上端縁の角部にそれぞれ取り付けられた連結部材で互いに連結することにより、上端面が開口した箱体状に組み立てられる組立式の箱体において、
プラスチックシートから前記シート片を裁断する裁断工程と、
前記裁断工程によって裁断されたプラスチックシートからなるシート片の複数の側壁を折り曲げて起立させた状態で、隣接する側壁同士を互いに連結するための連結部材を、当該側壁の上端縁の角部にそれぞれスポット溶着によって取り付けるスポット溶着工程とを備えたことを特徴とする箱体の製造方法。
【請求項7】
底壁と、その周囲に連設された複数の側壁とから所定の展開形状に形成されたシート片を有し、前記シート片の複数の側壁を折り曲げて起立させた状態で、隣接する側壁同士を、当該側壁の上端縁の角部にそれぞれ取り付けられた連結部材で互いに連結することにより、上端面が開口した箱体状に組み立てられる組立式の箱体において、
プラスチックシートから前記シート片を裁断する裁断工程と、
前記箱体の外周に位置する側壁のうち、少なくとも対向する2つの側壁の上端縁に対応した前記プラスチックシートからなるシート片の外側面に、前記上端縁に沿って平行に折り返すための2本の断面V宇形状の溝部を溶融させて形成するとともに、前記2本の溝部の両側に隣接する外側面を溶融する溶融工程と、
少なくとも対向する2つの側壁の上端縁に対応した前記プラスチックシートからなるシート片の外側面を、前記溶融工程によって溶融された前記2本の溝部の位置で外側に折曲げることによって、前記少なくとも対向する2つの側壁の上端縁を二重に構成するとともに、前記折り返し部の溶融した内面どうしを固着する固着工程と、
前記固着工程によって二重に構成された側壁を含む前記プラスチックシートからなるシート片の複数の側壁を折り曲げて起立させた状態で、隣接する側壁同士を互いに連結するための連結部材を、当該側壁の上端縁の角部にそれぞれスポット溶着によって取り付けるスポット溶着工程とを備えたことを特徴とする箱体の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【公開番号】特開2011−11794(P2011−11794A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−157201(P2009−157201)
【出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【出願人】(505220860)有限会社 テクノ世紀 (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【出願人】(505220860)有限会社 テクノ世紀 (5)
【Fターム(参考)】
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