連続的なポリマー合成器
オリゴヌクレオチド及びポリペプチドなどの高分子を合成するシステム及び方法を記述する。システムは、合成操作を実行するために反応部位の配列とステーション配列を提供することにより、連続的に分子を合成可能である。先の配列の反応部位は、互いに関連した一定の順序及び一定の間隔で配置されうる。同様に、ステーションは、互いに関連した一定の順序及び一定の間隔で配置されうる。2つの配列は互いに関連して移動でき、ステーションは各反応部位で反応計画の所望のステップを実行する。ステーションの相対的位置及び相対的移動のスケジュールは、反応部位がステーションの全ての配列と交わるサイクルを完了したときに反応計画が終了するように、反応計画の反応ステップの順序と継続時間とに相関している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマーなどの分子を合成する機械に関する。特に、本発明は、ポリペプチド及びオリゴヌクレオチドなどの生体高分子を連続的に合成する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オリゴヌクレオチドは、研究、診断、及び治療学に関与するバイオテクノロジーの研究室で使用される最も重要で一般的な試薬の一つである。オリゴヌクレオチドの高需要は、生物学のサンプルから得られるDNA又はRNAの相補的ヌクレオチド配列の強烈な特異性から生じる。この特異性により、オリゴヌクレオチドは、複雑な生物学の環境の10億分の1未満の存在量で存在する極めてまれな配列と特異的に結合するプローブとして用いられうる。この特異性は、病気に関連することが知られている遺伝子配列の有無に基づく特定の病気にかかる危険性がある個人の診断を提供するために使用されうる。さらに、この特異性は、関心のある特定のヌクレオチド配列を持つDNA又はRNAの分子を合成する試薬として、オリゴヌクレオチドを使用する際の基盤を形成する。例えば、1つ以上のオリゴヌクレオチドをその遺伝子配列に結合させ、結合された合成物の増幅反応を実行して、配列の多数の複製を生成することにより、特定の病気に関連する遺伝子配列のクローンを作ることができる。クローンの遺伝子配列は、その後、病気の研究に利用されうるか、又は病気に苦しむ個人の治療処置にも使用されうる。
【0003】
オリゴヌクレオチドの合成は、ヌクレオチド鎖を組み立てる循環的なプロセスである。ヌクレオチドは、化学反応の連鎖により、一つずつ増加する。この化学反応の連鎖では、特定の分子(例えば、ヌクレオチド)が、所望の鎖が完成するまで、時には触媒作用を介して、生長するDNA分子(例えば、生長するDNA鎖)に付加される。一般的に、化学反応の各サイクルは、除去(detritylation)、結合(coupling)、キャッピング(capping)、及び酸化の段階を含む。除去、すなわち“脱保護”の段階の間、ジメトキシトリチル(DMT)基が、生長するDNA鎖の最後のヌクレオチドから取り除かれて、次のヌクレオチドの付加を可能にする。各サイクルから放出されるDMT量は、結合の有効性を判断するために監視される。DMTが放出されると明るいオレンジ色が放射されるため、DMTの放出ははっきりと見える。
【0004】
同様の合成方法が、小さな研究室から大きな製造施設にわたる要求を満足させるために、種々のスループットでオリゴヌクレオチドを生成するのに使用されうる。その方法は、比較的に強固であり、1分子当たり少しのヌクレオチドから1分子当たり100を超えるヌクレオチドまでの可変長のオリゴヌクレオチドを扱うことができる。さらに、その方法は、無数の異なる配列を持つオリゴヌクレオチドを生成することができる。その方法の複雑さは、一般の4つのDNAヌクレオチド(A、T、C、及びG)を用いて生成することができる種々のデカマー(decamers;10個のヌクレオチドを持つ分子)の数が、410=1,048,576であるという事実により、明らかである。
【0005】
典型的に、大きな製造施設は、より小さな研究室で用いられる合成器と同様の大量の合成器を使用することにより、高いスループットを達成している。これらの合成器は、典型的に、モノマー付加サイクルの各段階を連続して実行するように構成されており、数個の異なるオリゴヌクレオチドについて、並行して実行することができる。従って、複数のオリゴヌクレオチドの反応の連続は、オリゴヌクレオチド毎に、除去(detritylation)、結合、キャッピング、酸化の順に実行される。サイクルは、完全な長さのオリゴヌクレオチドが得られるまで繰り返される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような合成の多くは、比較的高いスループットを達成するために用いられるけれども、この大規模なやり方は、所望されていない非能率をもたらす。非能率として、例えば、次の試薬が反応に引き渡される前に各定温放置(インキュベーション)段階が完了するのを待っている間、各合成器が遊んでいる時間が挙げられる。さらに、新しい反応容器又は試薬が再装填されるときに、器械が合成反応間の実質的な中断時間を送ることも挙げられる。
【0007】
複数の反応を中断せずに実行し監視することができるような、オリゴヌクレオチドと他の分子を並行して合成可能な合成方法及び装置が要求される。本発明は、この要求を満たすと共に、さらに他の有利な点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態は、分子を連続的に合成するシステムを提供する。反応のステップを順次実行することにより、分子は合成される。このシステムは、(a)反応部位の配列を受け入れるステージ(stage)と、(b)ステーション(station)の配列と、前記ステーションは、(i)順次実行されるステップ中に複数の反応部位に合成反応溶液を別々に且つ連続的に供給する試薬投与ステーションと、(ii)複数の反応部位の少なくとも1つの画像を得る画像化ステーションと、を含み、(c)複数の反応部位が複数の投与ステーションの少なくとも1つ及び複数の画像化ステーションの少なくとも一つと連続的に通信し、ステージ又はステーションの配列を移動させる制御システムと、を有し、制御システムは、システムが複数の反応部位の他の反応部位で分子を合成し続けている間、反応部位の配列から、第1の反応部位を第2の反応部位に取り換える。
【0009】
本発明の他の実施形態は、分子を連続的に合成する方法を提供する。反応のステップを順次実行することにより、分子は合成される。この方法は、(a)反応部位の配列を含むステージを提供するステップと、(b)順次実行されるステップ中に反応部位に合成反応溶液を別々に且つ連続的に供給するように構成された試薬投与ステーションから複数の反応部位に合成反応溶液を連続的に提供するステップと、(c)画像化ステーションで、複数の反応部位の少なくとも1つの画像を連続的に得るステップと、(d)システムが複数の反応部位の他の反応部位で分子を合成し続けている間、反応部位の配列から、第1の反応部位を第2の反応部位に取り換えるステップと、を有する。
【0010】
また、ポリマーを連続的に合成するシステムが提供される。モノマーは、反応の順次実行されるステップを繰り返すことにより、生長するポリマーに加えられる。このシステムは、(a)モジュールの配列を有するステージと、前記モジュールは、一定の順序及び一定の間隔で反応部位の配列を受け入れる構成を有し、(b)ステップを順次実行する、ステーション配列と、ステーションは、(i)複数の反応部位に順次実行されるステップ中に合成反応溶液を供給する投与ステーションと、(ii)複数の反応部位の少なくとも1つの画像を得る画像化ステーションと、を含み、(c)複数の反応部位から合成反応溶液を取り除く、少なくとも1つの溶液除去装置と、ステーションの相対的位置は、ステーション配列に関して固定であり、(d)複数の反応部位のステーションとの順次通信及び少なくとも1つの溶液除去装置による溶液の除去のスケジュールで、モジュールの配列又はステーション配列を移動させる制御システムと、を有し、ステーションの相対的位置とスケジュールは、反応の順次実行されるステップの順序及び継続時間とに相関している。
【0011】
さらに、ポリマーを連続的に合成する方法が提供される。モノマーは、反応の順次実行されるステップを繰り返すことにより、生長するポリマーに加えられる。この方法は、(a)反応部位の配列を有するステージを提供するステップと、前記反応部位は、一定の順序及び一定の間隔で配置されており、(b)ステップを順次実行する、ステーション配列を提供するステップと、ステーションは、(i)複数の反応部位に順次実行されるステップ中に合成反応溶液を供給する投与ステーションと、(ii)複数の反応部位の少なくとも1つの画像を得る画像化ステーションと、を含み、(c)複数の反応部位から合成反応溶液を取り除く、少なくとも1つの溶液除去装置を提供するステップと、ステーションの相対的位置は、ステーション配列に関して固定であり、(d)複数の反応部位のステーションとの順次通信及び少なくとも1つの溶液除去装置による溶液の除去のスケジュールで、反応部位の配列又はステーション配列を移動させるステップと、を有し、ステーションの相対的位置とスケジュールは、反応の順次実行されるステップの順序及び継続時間とに相関している。
【0012】
本発明の実施形態は、さらに、ポリマーを連続的に合成する方法を提供する。モノマーは、反応の順次実行されるステップを繰り返すことにより、生長するポリマーに加えられる。この方法は、(a)モジュールの配列を備えた円形テーブルを提供するステップと、このモジュールは、円形路に沿って一定の順序及び一定の間隔でマルチウェルプレート配列を受け入れるように構成されており、(b)マルチウェルプレート配列の各マルチウェルプレートがステーション配列に(i)〜(viii)の順で順次通じるように円形テーブルを回転させるステップと、(i)ブロック解除(deblock)試薬をブロック解除試薬投与ステーションでマルチウェルプレートに供給し、(ii)ブロック解除試薬を加えてから所定の時間間隔後にブロック解除試薬除去ステーションでマルチウェルプレートからブロック解除試薬を取り除き、(iii)モノマー試薬投与ステーションでモノマー試薬をマルチウェルプレートに供給し、(iv)モノマー試薬を加えてから所定の時間間隔後にベース試薬除去ステーションでマルチウェルプレートからモノマー試薬を取り除き、(vii)キャップ(cap)試薬投与ステーションでキャップ試薬をマルチウェルプレートに供給し、(viii)キャップ試薬を追加してから所定の時間間隔後に、キャップ試薬除去ステーションでキャップ試薬をマルチウェルプレートから取り除き、複数の投与ステーションは、反応の順次実行されるステップの順序に対応する一定の空間的な関係でステーション配列として構成されており、第1、第2、及び第3のマルチウェルプレートのそれぞれについて、ステップ(b)を繰り返して実行するステップと、を有し、システムが、第1のマルチウェルプレートでポリマーを連続的に合成している間、第2のマルチウェルプレートは第1のモジュールから取り外され且つ第3のマルチウェルプレートは第1のモジュールに取り付けられ、第1のマルチウェルプレートについての少なくとも1回の繰り返しが、第2のマルチウェルプレートについての少なくとも1回の繰り返しと同時に起こり、第1のマルチウェルプレートについての少なくとも1回の繰り返しが、第3のマルチウェルプレートについての少なくとも1回の繰り返しと同時に起こる。
【0013】
また、ポリマーを連続的に合成するシステムが提供される。モノマーは、反応の順次実行されるステップを繰り返すことにより、生長するプリマーに加えられる。このシステムは、マルチウェルプレート配列を含むステージと、このマルチウェルプレートは、円形路に沿って一定の順序及び一定の間隔で配置されており、ステップ中に合成反応溶液をマルチウェルプレートに供給する、投与ステーション配列と、投与ステーションの相対的位置は、順次実行されるステップの順序に対応する一定の空間的な関係にあり、投与ステーション配列又はマルチウェルプレート配列を移動させ、投与ステーションを作動させる制御システムと、を有し、投与ステーションは、投与ステーション配列又はマルチウェルプレート配列が移動している間、マルチウェルプレートに溶液を投与する。
【0014】
本発明は、さらに、ポリマーを連続的に合成する方法を提供する。モノマーは、反応の順次実行されるステップを繰り返すことにより、生長するポリマーに加えられる。この方法は、マルチウェルプレート配列を有するステージを提供するステップと、マルチウェルプレートは、円形路に沿って一定の順序及び一定の間隔で配置されており、ステップ中に合成反応溶液をマルチウェルプレートに供給する、投与ステーション配列を提供するステップと、投与ステーションの相対的位置は、順次実行されるステップの順序に対応する一定の空間的な関係にあり、投与ステーション配列又はマルチウェルプレート配列を移動させるステップと、ステーション配列又はマルチウェルプレート配列が移動している間、投与ステーションから反応の順次実行されるステップ中に反応溶液を投与するステップと、を有する。
【0015】
他の実施形態は、分子を連続的に合成するシステムである。分子は、反応のステップを順次実行することにより合成される。このシステムは、複数の反応部位を受け入れるステージと、各反応部位に試薬を配送する複数の投与ステーションと、反応部位が投与ステーションから試薬を順次受け取るように、ステージ又はステーション配列を移動させる制御システムと、を有し、制御システムは、システムが他の反応部位で分子を合成し続けている間、第1の反応部位を第2の反応部位に取り換える。
【0016】
さらに他の実施形態は、分子を連続的に合成する方法である。分子は、反応のステップを順次実行することにより合成される。この方法は、複数の反応部位を受け入れるステージを提供するステップと、反応部位が少なくとも1つの投与ステーションから反応溶液を順次受け取るようにステージを順次移動させることにより、複数の反応部位に合成反応溶液を順次供給するステップと、システムが他の反応部位で分子を合成し続けている間、第1の反応部位を第2の反応部位に取り換えるステップと、を有する。
【0017】
さらに他の実施形態は、分子を連続的に合成するシステムである。分子は、反応のステップを順次実行することにより合成される。このシステムは、複数の反応部位を受け入れるステージと、各反応部位に試薬を配送する複数の投与ステーションと、反応部位が投与ステーションから試薬を順次受け取るように、ステージ又はステーション配列を移動させる手段と、システムが他の反応部位で分子を合成し続けている間、第1の反応部位を第2の反応部位に取り換える手段と、を有する。
【0018】
他の実施形態は、分子を連続的に合成するシステムであって、互いに一定の順序及び一定の間隔で配置された複数の反応部位を有するステージと、反応部位に試薬を配送して反応を開始させる複数の投与ステーションと、投与ステーションは、互いに一定間隔でステージに沿って位置付けられており、第1の反応部位の第1の反応が、第2の反応部位の第2の反応が始まる前に完了するように、所定のスケジュールで試薬を反応部位に順次投与するように構成された制御システムと、を有し、間隔とスケジュールは、反応を完了させるのに必要なステップの順序と継続時間とに相関している。
【0019】
他の実施形態は、分子を連続的に合成するシステムである。この実施形態は、互いに一定の順序及び一定の間隔で配置された複数の反応部位を有するステージと、反応部位に試薬を配送して反応を開始させる複数の投与ステーションと、投与ステーションは、互いに一定間隔でステージに沿って位置付けられており、その間隔は、反応を完了させるのに必要な時間と相関しており、反応部位の第1の反応が、その反応部位の第2の反応が始まる前に完了するように所定のスケジュールで試薬を反応部位に順次投与する手段と、を有し、間隔とスケジュールは、反応を完了させるのに必要なステップの順序と継続時間とに相関している。
【0020】
さらに他の実施形態は、分子を連続的に合成する方法であって、互いに一体の順序及び一定の間隔で配置された複数の反応部位を有するステージを提供するステップと、反応部位に試薬を配送して反応を開始させる複数の投与ステーションを提供するステップと、投与ステーションは、互いに一定間隔でステージに沿って位置付けられており、その間隔は反応を完了させるのに必要な時間に相関しており、反応部位の第1の反応が、その反応部位の第2の反応が始まる前に完了するように所定のスケジュールで反応部位に試薬を順次投与するステップと、を有し、間隔とスケジュールは、反応を完了させるのに必要なステップの順序と継続時間とに相関している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
この出願は、合衆国法典第35巻(35 U.S.C.)第119条(e)の規定により、2005年9月14日に出願されたU.S.仮出願60/717,376の優先権を主張する。U.S.仮出願60/717,376は参照することにより、その全体がここに組み込まれる。
【0022】
本発明の実施形態は、高分子などの複数の異なる分子を連続的に合成するシステムに関する。本発明のシステムは、反応部位の配列と、合成操作を実行する、ステーション配列とを有する。配列状の反応部位は、互いに関連して一定の順序及び一定の間隔で配置されうる。例えば、マイクロタイタープレートの配列は、円形テーブルの外縁に沿って、配置されうる。各反応部位(すなわち、くぼみ)は、配列状の他の反応部位で合成される生成物に対して、異なる対象の生成物に関連付けられる。同様に、ステーションは、互いに一定の順序及び一定の間隔で配置されうる。例えば、ステーションは、マイクロタイタープレート配列のレイアウトに対応する周囲を持つ円形配列状に配置されうる。各ステーションは、配列状の他のステーションに対して異なる操作を実行しうる。ステーションが各反応部位で反応計画の所望のステップを実行するように、2つの配列は互いに関連して動かされうる。ステーションの相対的位置と相対的移動のスケジュールは、反応部位がステーションの全ての配列と接触する1サイクルを完了させると反応計画が終了するような反応計画の反応ステップの順序及び継続時間とに相関しうる。例えば、ステーションの順序とステーション間の間隔と各プレートの移動速度とが、試薬の配達の順序と、モノマー付加反応サイクルが完了するまでの反応時間とに対応する場合、円形テーブル上のマイクロタイタープレート内に入れられるオリゴヌクレオチドは、単一ヌクレオチドを追加することにより、それぞれ伸ばされる。
【0023】
上述の構成に従って、以下にさらに詳細を説明する。個々の反応部位で満たされる各ラップ(lap)(すなわち、円形テーブルが使用される実施形態のフル回転)は、生長するオリゴヌクレオチドの鎖への単一ヌクレオチドの付加に対応しうる。さらに、反応部位の配列中の数個の反応部位は、システムにより、類似の、繰り返しのラップに沿って動き、システムによる連続の合成をもたらす。本発明のシステム又は方法を用いることにより、試薬は、定温放置(インキュベーション)中、すなわち他の反応ステップが第2の反応部位で生じている間、第1の反応ステップに従って、活発に配送され又は第1の反応部位から取り除かれる。(この識別子“第1”及び“第2“は、2つの名詞を区別するためにこの明細書中で用いられる。他の方法で示さないかぎり、この識別子は空間的な又は時間的な順序を表示しようとするものではない。)従って、ステーション配列は、反応部位の配列との空間的及び時間的関係において、複数の反応部位が所定時間で反応の異なるステップを受けると共に、反応が多数の反応部位で同時に生じることにより、連続で及び同時に反応が行われるように、構成されうる。
【0024】
本発明の実施形態は、システムが連続的に第3の反応部位で分子を合成している間、第1の反応部位を第2の反応部位に取り替え可能にするように構成されるシステムを提供する。よって、第1の反応部位(すなわち、マイクロタイタープレートなどの反応部位のマトリックス)は、他の反応部位(すなわち、反応部位のマトリックス)で生じている合成反応を中断することなく、個別に追加され、又はシステムから取り除かれうる。これにより、反応部位の配列における連続合成の利点を提供できる。さらに、有利なことは、異なるポリマーのそれぞれの反応部位は、システムにより異なる数のラップを満たし、反応部位は、他の部位で生じている反応が混乱しないように独立した方法で、システムから取り除かれ又はシステムに追加されうるので、種々の長さを持つポリマーが、反応部位の配列において連続且つ同時に合成されうることである。
【0025】
一実施形態において、システムは、外縁に沿って複数の反応部位を保持する円形プレートを有する。円形プレートの外縁に沿って、一連のステーションが配置されている。各ステーションは、ポリマー合成プロセスに関連する特定の活動を行うように構成されている。円形プレートは回転するので、反応部位は、円形プレートの外縁に沿って、円形パターン状に移動する。外周のまわりに位置付けられたステーションは、反応プレートがステーションの下を通過して、各ステーションが反応プレートに従って活動しうるように、配置される。一実施形態において、反応部位は、反応溶液を反応部位に投与するように構成されたステーションの下を通る。コンピュータ制御システムは、各反応部位に投与する適当な溶液を判断し、円形プレートの動きをステーションの位置に合わせるように、プログラムされている。装置内の他のステーションは、反応部位の画像を集めるか又は反応部位を追加又は取り除くように構成されている。
【0026】
本発明の合成器は、検査される溶液を配送するために構成されている。マルチウェルプレート配列などの反応部位の配列は、円形テーブル又は他のステージなどの剛体の運搬装置に取り付けられうる。運搬装置は、配列の他の反応部位と比較して各反応部位の位置が、典型的な合成器の動作中に、実質的に変動しないように、一般的に十分に堅い。光学センサが、投与ステーションのそれぞれについて配置され、剛性運搬装置上のマルチウェルプレートの位置が、それぞれのディスペンサについて決定されうる。これは、投与のタイミングのマルチウェルプレートの特定の最適化を可能にし、反応部位に対するディスペンサの位置決め公差を補正する。例えば、円形テーブル上の各マルチウェルプレートの位置は、ディスペンサの発射(firing)のタイミングが、個々のくぼみに試薬を正確に配送するために、プレートの回転と相関するように、決定されうる。反応部位の相対的な位置が実質的に変わらない限り、合成器、1以上の投与ステーション、又は剛性運搬装置の組立品に従って、検定が必要とされるだけである。さらに、突き止めた位置データはファイルに保存され、機械の分解が生じない限り、変更される必要はない。
【0027】
詳細を後述するように、システムの実施形態は、反応部位の配列が移動している間、反応溶液を投与するために提供される。例えば、反応部位が反応ステーションに近づくと、コンピュータ制御システムは反応溶液を投与するための適当な時間を判断し、反応部位が投与ステーションの投与バルブの下を通過する適当な瞬間に反応溶液を投与するように投与ステーションに対して命令する。もちろん、投与ステーションは、複数の溶液を別々のバルブから移動中の複数の反応部位に投与するように構成されてもいい。例えば、反応部位は、従来のマイクロタイタープレートのくぼみであってもよく、投与ステーションは、同じ時間で又は高速連続で、マイクロタイタープレートの全ての行又は全ての列のくぼみに反応溶液を投与するように構成されてもよい。特定の実施形態では、バルブの線状配置が、コンピュータ制御システムにより指示され、順次に、マイクロタイタープレートの弓形の軌道に一致する方法で、試薬を投与可能にしている。
【0028】
本発明の合成器は、さらに、局部的な貯蔵器を備えた投与ノズルを有する。剛性反応のために試薬は、流体内で適当な投与ノズルと接触する大きな貯蔵タンク内に保存される。局所貯蔵器は、試薬の高速配送と、合成の継続中における多量の試薬の大きな貯蔵タンクへの置き換えとを可能にする。
【0029】
本発明の他の実施形態は、反応溶液が投与され又は取り除かれた後、反応部位のデジタル画像を撮影し、その画像を処理して反応溶液が適当な部位に投与されたかどうか又は適当な部位から取り除かれたかどうかを判断するように構成された、画像システムに関連する。システム内の品質管理モジュールが、特定の部位が適切に反応溶液を受け取らなかった又は取り除かなかったと判断すると、その部位での反応のさらなるステップは中止すべき又は反応部位がそのシステムから取り除かれるべきであることを示すエラーフラグが付けられうる。画像化ステーションの有利な点は、画像化ステーションが、上流のディスペンサが機能し、プレートの除去が成功したことをリアルタイムに確認できるようにし、合成サイクルの一時停止と下流の反応を断念することなしに整備を行うことを可能にすることである。
【0030】
一実施形態において、システムは、装置の円周状に配置された一連の投与ステーションと、一以上の投与ステーションに近接する、反応溶液が反応容器内に投与された後に反応部位の画像を撮影するように構成されたデジタルカメラと、を有する。
【0031】
全ての反応部位が、全ての反応ステーションで反応溶液を受け取る必要があるわけではないことは当然である。よって、画像化システムは、好ましくは、特定の反応部位が反応溶液を受け取ったと考えられるかどうかを判断し、もしそうであれば、反応部位が容器内にそのような溶液を含んでいるかどうかを判断するようにプログラムされている。
【0032】
本発明のシステムは、さらに、連続的に利用できる溶液除去装置を有する。反応溶液の除去は、特定のステーションでのみ生じるように制限される必要はない。むしろ、反応溶液の除去は、合成反応シーケンス中のどの時間でも又は本発明のシステムの反応部位により横断される経路に沿ったいずれの位置でも生じえる。特定の実施形態では、バルブ減衰真空排気装置(valve attenuated vacuum evacuation device)が、合成反応中、常に、マルチウェルプレート配列の個々のマルチウェルプレートについて利用できる。
【0033】
本発明のシステムは、さらに、反応部位上の不活性ガスの流れを提供するガスナイフ(gas knife)を有する。特定の実施形態では、ガスナイフは、合成反応中、常に、各部位上に保持される。装置は、不活性ガスの長方形噴流、すなわち、層流又は乱流のいずれかを供給するのに用いられうる。不活性ガスの長方形噴流は、マルチウェルプレートの上面又は他の反応部位の上を接線方向に吹かれる。装置は、マルチウェルプレートが合成経路に沿って動いている間、ガスナイフがマルチウェルプレートのそれぞれと共に移動するように構成されうる。ガスナイフは、蒸気相に入った揮発性試薬又は溶媒を移動させることにより、反応部位間の汚染を低減するという効果をもたらす。また、ガスナイフは、投与ステーションにより生成された不必要な蒸気から各反応部位を保護できる。
【0034】
一実施形態では、本発明により提供されるシステムは、反応部位の円形配列を備えたオリゴヌクレオチド合成器を有する。この実施形態では、反応部位の配列が回転を終える度に、一つのヌクレオチド塩基が各部位でオリゴヌクレオチドに加えられる。この実施形態は、複数の反応溶液投与ステーションを有する。第1のステーションはアデノシンを投与し、第2のステーションはチミジンを投与し、第3のステーションはシチジンを投与し、第4のステーションはグアノシンを投与する。さらに、円形配列の外周に沿って配置された他の投与ステーションが、オリゴヌクレオチドを合成するために必要な他の反応溶液を投与するように構成されうる。例えば、投与ステーションは、オリゴヌクレオチドの鎖を合成するステップに従って、除去(detrytilation)、結合(coupling)、キャッピング(capping)、及び酸化(oxidation)に関する反応溶液を投与しうる。
【0035】
本発明の他の実施形態は、他の高分子を合成するシステムを提供する。例えば、合成器は、ポリペプチドを合成する反応溶液を投与するように構成されうる。固体担体についてのペプチドの合成処理は、ペプチドをカルボキシル末端から組み立てることを含む。ペプチドは、そのカルボキシル末端のアミノ酸を介して、固体担体に取り付けられ、さらに、アミノ末端のα−アミノ基についての保護基を有する。保護基は、ペプチドから開裂され、無保護のペプチドを形成する。単量体のアミノ酸は活性型に定められ、活性化試薬がアミノ酸と生長するペプチドに加えられうる。試薬除去ステップ間で、洗浄が実行されうる。先のアミノ酸を脱保護し、追加のアミノ酸を結合するサイクルは、所望の長さのペプチドが合成されるまで繰り返されうる。アミノ酸の反応性側鎖は、一般的に、結合とα−アミノ脱保護の手順に耐えうる化学基により保護される。しかしながら、反応性側鎖の保護基は、合成の終了時に取り除かれうる。よって、本発明の合成器の各ディスペンサは、洗浄溶液、脱保護試薬、アミノ酸、又は活性化試薬を投与するように構成されうる。ステーション配列の相対的配置、反応部位の配列の相対的配置、及び配列を互いに通じさせるスケジュールは、ここでの開示とペプチド合成の公知の反応計画とに従って相関しうる。ペプチド合成の公知の反応計画は、例えば、Goodman、他(Eds.)著の「ペプチドとペプチド模倣薬の合成(Synthesis of Peptides and Peptidomimetics)」, Vol. E22a. Georg Thieme Verlag, Stuttgart(2002)に記載された内容を含む。
【0036】
特定の合成器の実施形態の概観
図1は、連続的なポリマー合成器10の一実施形態の図である。図示したように、合成器10は、回転テーブル20を支持する六角形の基部15を有する。回転テーブル20は、中心軸の周りを回転するように作動できるように基部10内に設けられる。回転テーブル20の外縁の周りには、一連のプレートモジュール500が配置されている。各プレートモジュール500は、マルチウェルプレートを保持するように設計されたプレートホルダ(図示せず)と共に取り付けられている。この構成について、さらに詳細を以下に説明する。
【0037】
当然ながら、本発明の実施形態は、プレートホルダ又はマルチウェルプレートの特定の構成に限定されることはない。例えば、連続的なポリマー合成器内で用いられる、どんな種類の反応部位でも本発明の範囲内に含まれる。このような反応部位は、例えば、マイクロタイタープレート又はフィルターボトムプレート(filter bottom plate)などのマルチウェルプレートのくぼみと、エッピンドルフの管(Eppendorf tubes)と、シリコンチップ又はスライドガラスなどのマイクロアレイの基質と、各種の公知の基質又は反応溶液を保持する容器とを含む。当業者であれば、マイクロタイタープレートに関してここで例示された実施形態が、容易に他の反応部位に適応できることは明らかである。
【0038】
例を挙げるために、本発明は、円形経路に沿って移動する反応部位の配列を支持するステージとして、回転テーブルを用いて例示される。しかしながら、ここで説明された発明に従って連続合成を行うことができさえすれば、他のステージ又は構成もまた有用である。例えば、ステージは、直線形状、又は曲線形状(円、楕円、又は他の形状の全部又は一部に対応する。)を含む経路で、反応部位を移動させることができる。典型的に、本発明のステージは、反応部位が互いに関連して、一定の順序及び一定の間隔で配置されるような反応部位の配列を受け入れるように構成される。よって、反応部位の配列は、配列内の反応部位の相対的位置が変化しないようにして動かされうる。しかしながら、望まれる場合には、本発明で使用されるステージは、配列内の反応部位の相対的位置が変化できるようにして個々の反応部位の移動ができるように構成されうる。さらに、例えば、ステーションの配列が代わりに動かされる実施形態では、ステージは動く必要がなく、静止することができる。
【0039】
ここで用いられるように、複数の分子の合成に関連して用いられる用語“連続的な(continuous)”は、各モジュールの合成に関するステップの順序とステップ間の時間間隔が反応スケジュールに従って発生し、そのスケジュールが他の分子について発生する操作によって変更されないことを意味する。その操作は、反応スケジュールに従って発生するステップ、合成反応を始める又は終了するのに利用されるステップ(反応容器を合成装置に追加する又は合成装置から反応容器を取り除くなど)、活動的でないステップ(定温放置(インキュベーション)ステップ中、反応部位で試薬を保持するなど)、又は反応スケジュールと異なるステップ(失敗した合成反応について反応溶液を早期に取り除くなど)を含む。よって、反応溶液の取り替えの要求にエラーが発生した場合であっても、複数の分子を連続して合成するシステムは、中断せずに他の分子の反応を処理することができる。連続的な合成は、本発明のシステムのどの部分に対しても連続的な移動を必要とすると解釈されるべきでない。連続的な合成器は、例えば、回転テーブルが向きを変えているときに移動を中止してもいいし、連続的な合成が回転テーブルのマルチウェルプレートで生じている間、移動を中断してもいい。
【0040】
従って、本発明の実施形態は、反応部位の配列又はステーション配列が、反応部位がステーションと順次通じるスケジュールで移動する、システム及び方法を提供する。ステーションの相対的な位置とスケジュールは、特定の反応の順次実行されるステップの順序及び継続時間とに相関する。ここで用いられるように、用語“反応のステップ(steps of a reaction)”は、実行される操作、又は化学変換又は化学変化の発生を可能にする操作を意味する。用語“反応スケジュール(reaction schedule)”は、化学変換又は化学変化のために実行される操作の所定の順序及び継続時間を意味する。
【0041】
図1の例示的な合成器に戻ると、回転テーブル20が基部15内で回転すると、回転テーブル20に取り外し可能に装着されたプレートホルダ(図示せず)を有するプレートモジュール500が、回転テーブル20の外周に沿って回転する。合成器10の上端には、一連のディスペンサ35A〜35Fとカメラ38A〜38Eとが、位置を固定されて搭載されている。これについて、図2を参照してさらに十分に説明する。回転テーブル20が中心軸の周りで移動しているとき、プレートモジュール500のそれぞれは、徐々にディスペンサ(反応溶液がマイクロタイタープレートに投与されうるように、“投与ステーション(dispensing stations)”と名付けられる。)の真下に移動することに留意すべきである。一実施形態において、反応溶液は、回転テーブル20が移動している間、投与バルブにより、マイクロタイタープレートに投与される。投与バルブは、“投与ノズル(dispensing nozzles)”とも呼ばれ、一般的に静的であり、合成サイクルにおいて試薬が運ばれている間、ディスペンサに対して移動しない。
【0042】
図1で示される実施形態において、フィードバック機構が、ディスペンサのバルブに関連して回転テーブルの位置を判断するのに用いられうる。このような判断は、動作中又は特定の時間で継続的に行われ、例えばシステムに対して行われる調整に従う。一実施形態において、センサが、マイクロタイタープレート又は他の反応部位についての基準の位置を決定するのに用いられる。センサが回転テーブルの位置を決定すると、この位置情報がロータとディスペンサノズルのバルブのタイミングとを制御するシステムにフィードバックされる。一実施形態では、基準は、マイクロタイタープレートのリブ又はくぼみの縁など、塑性構造である。これに加えて又はこれに代えて、検出可能な装置又は機材が、反応部位の代わりに一時的に用いられうる。例えば、これらは、検定ステップ中、回転テーブル20上のプレートモジュール内に一時的に配置される。
【0043】
一実施形態において、回転テーブル20は、テーブルの外周に沿って配置されたプレートモジュールが、各ディスペンサの下を通過するときに略直線状の軌道をたどるほどに十分に大きな直径を持つ。例えば、図2に示す回転テーブルは、テーブルの外縁に配置されたマイクロタイタープレートが、テーブルの外周に近い円形路をたどるように、約77”の直径を持ってもよい。テーブルの直径が増加すると、テーブルの縁に沿ったプレートの経路は、外周の増加と共にさらに明らかに直線状になる。よって、本発明で用いられる回転テーブルの直径は、少なくとも約77”、80”、85”、90”、100”又はそれよりも大きなサイズから選択されうる。また、より小さな直径を用いることができることが理解されるだろう。例えば、より少ない反応部位が用いられる場合には、回転テーブルの直径は、少なくとも60”、54”、48”、42”、又は36”又はそれよりも小さなサイズであってもいい。反応部位が回転テーブルの外縁上に配置されない場合の実施形態において、上述で例示された直径とそれに対応する外周が、反応部位の円形路の寸法に適応できることを、当業者は理解するだろう。
【0044】
図1及び図2で示される例示的なシステムは、正味時計回りの方向に移動する。しかしながら、システムは、反時計回りの方向に移動してもよい。例えば、反応部位は、回転テーブルが時計回りの方向に移動している間、特定の投与ステーションからマイクロタイタープレートに投与されうる。それから、回転テーブルの移動方向が、時計回りから反時計回りの方向に変えられる。テーブルが進む反時計回りの距離は、画像化ステーション38A〜38Eの一つにより画像化される位置に、マイクロタイタープレートが位置付けられる、距離である。それから再び、回転テーブルの方向が変えられ、画像化されたマイクロタイタープレートは、時計回りで、特定の投与ステーションを通り過ぎて、次の投与ステーションに移動する。数回、方向が変わるけれども、回転テーブルの移動は、正味の移動が時計回りの方向になるように発生する。さらに、テーブルの移動とステーションの配置は、図4に示す反応計画に従って、全てのマイクロタイタープレートが反応物を受け取り、反応物を定温放置することを可能にするので、連続的な合成が各マイクロタイタープレート(図2の符号1〜36)で発生する。
【0045】
本発明のシステムは、回転テーブル又は反応部位の配列を受け入れるための他のステージを使用してもしなくても、上述した二方向で、又はシステムの特定の適用に合う単一の方向で移動できることは理解されるだろう。よって、画像化ステーションは、システムの正味の移動経路の特定の投与ステーションの前後のいずれかに配置されうる。画像化ステーションは、各反応部位の画像が1以上の反応溶液が投与された後に撮影されうるように、1以上の投与ステーションの位置と関連して且つシステムの移動に関連して配置されうる。本発明で有用な画像化ステーションの特定の実施形態について、以下さらに詳細に説明する。
【0046】
画像処理システムで動く画像処理ソフトウェアは、画像のコピーを受け取って、その後、適当な溶液が各反応容器に実際に投与されたかどうかを判断するように構成されうる。一実施形態において、画像処理システムは、マイクロタイタープレートの1以上のくぼみが満たされているか又は空かを判断する。他の実施形態において、画像処理システムは、各くぼみ内の反応溶液の吸光度特性(吸収された光の波長、又は1以上の波長の光学濃度など)を判断できる。くぼみ内の反応溶液の吸光度特性は、この明細書内で説明する方法又はこの技術分野で公知の方法(例えば、米国特許出願公開第2004/0219063号に記載の方法)を用いて、比色反応の収率を判断するのに用いられうる。画像処理ソフトウェアが、ディスペンサが反応溶液をマイクロタイタープレートの特定のくぼみに適切に加えなかったこと、又は所望レベルの色が存在しないことを決定した場合、そのくぼみ、又はそのくぼみを含むプレートは、連続的な合成器10内で発生する合成反応の進捗を監視する実験情報管理システム(LIMS)内で、不良として印を付けられうる。
【0047】
当業者は、本発明において有用な画像化ステーションが、光学特性(限定されないが、吸光度、蛍光性、化学発光、偏光、円偏光二色性、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、光散乱、などを含む。)などの反応部位の種々の検出可能な特性を検出するように構成されうることを認識するだろう。さらに、ここで説明されるような光学検出装置は変更され、又は光学特性を監視するのに適した種々の公知の検出装置により置き換えられうることは、当業者であれば容易に理解できる。さらに、本発明は、1以上の範囲の電磁スペクトル(限定しないが、赤外線、可視、紫外線、X線、マイクロ波、可視領域の赤、青、又は黄色などの小領域、これらの領域の組み合わせ又は小領域、又はスペクトルの他の領域を含む。)内で生じる光学特性の変化を検出するのに用いられうる。
【0048】
本発明で有用な画像化ステーションは、カメラ装置を有する。カメラ装置は、例えば、限定しないが、スウェーデンのルンドのアクシスコミュニケーションズ(AXIS Communications, Inc.)から提供されているAXIS2100ネットワークカメラを含むタイプのCCD(Charge Couple Device)カメラである。当然、他のタイプのカメラを、本発明に従って用いることもできる。本発明で用いられるカメラは、位置依存性の方法で、検出可能な光学特性を信号に変換する装置である。例えば、本発明で有用な典型的なカメラは、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラ、ビデオカメラ、インターネットカメラ、又は写真をデジタル画像に変換することができる他の画像化装置を含む。この技術で知られている他の画像化装置は、例えば、米国特許出願公開第2004/0219063号に記載のものを含む。
【0049】
上述したように、本発明の実施形態は、マルチウェルプレート内の一つのくぼみが不良であると決定された場合であっても、そのマルチウェルプレート内でポリマーを合成し続けることが可能な合成器を有する。例えば、画像化システムが、マルチウェルプレートの一つのくぼみにそこに加えられるべき反応溶液がなかったと判断しても、全体のマルチウェルプレートが不良であるという印を付けられる必要はない。むしろ、特定のくぼみが、合成失敗として示されうる。よって、システムは、失敗したくぼみへの溶液の配送が中断して試薬の浪費を避けている間、ポリマーを合成するために、マルチウェルプレートの他のくぼみに溶液を配送し続けうる。さらに、合成器は、マルチウェルプレート配列内の一つのマルチウェルプレートが、失敗したプレートとして識別された場合であっても、配達又は他のプレートで試薬の定温放置をかき乱すことなく、失敗したプレートでの合成を選択的に中断でき、又は失敗したプレートを選択的に回転テーブルから取り除くことができるので、他のマルチウェルプレート内でポリマーを合成し続けることができることは理解されるべきである。
【0050】
図2は、本発明で有用な、回転テーブル20、投与ステーション35A〜35F、及び画像化ステーション38A〜38Fの概略図である。図示されるように、合成器10のプレートモジュール500にプレートホルダを取り付けるように構成されたロードステーション45が存在する。ロードステーションは、マルチウェルプレート又は他の反応部位の取り付け及び取り外しの両方ができるように構成される。または、これに代えて、分離ステーションが、反応部位を取り付け及びシステムから取り外すのに用いられうる。プレートモジュールとそれに関連するプレートホルダについて、図5A〜図5Dを参照してさらに具体的に説明する。それぞれマイクロタイタープレートを支持するプレートホルダが、手動で又はロボットアームなどの自動操作装置を用いて、合成器10に取り付けられることがわかる。さらに、唯一のバーコードが各マイクロタイタープレートに付与され、各マイクロタイタープレートが合成器10に配置されてから取り除かれるまで、自動的に追跡されうる。コンピュータ制御システムは、後述するように、各マイクロタイタープレートが回転プレートの上へ移動して及び回転プレートから離れるように移動しているときに、各マイクロタイタープレートの進行を監視し、これにより、合成器により実行される反応を常に制御し続ける。一実施形態においては、バーコードスキャナが、自動操作装置に関連付けられて、合成器10に取り付けられる又は合成器10から取り外される各プレートが、LIMS内で走査及び追跡される。
【0051】
図2に示すように、合成器10は、マイクロタイタープレート又は他のマルチ反応部位の基質内でオリゴヌクレオチドを製造するように構成されうる。マイクロタイタープレートの各くぼみは、所定の要求に基づいて合成される異なるオリゴヌクレオチドに割り当てられる。この割り当てに基づいて、後述するように、LIMSは、各ディスペンサに適当な反応溶液を適当なくぼみに出力するように命令する。各ディスペンサは、1以上のバルブを有し、各バルブは反応溶液をマイクロタイターのくぼみに正確に投与するように構成されている。
【0052】
プレートホルダが回転テーブル20のプレートモジュール500に取り付けられると、そのプレートモジュールは洗浄ステーションディスペンサ35Aの下に入る。プレートモジュールがディスペンサ35Aの下に入ると、ディスペンサ35Aのバルブがマイクロタイタープレートのくぼみに洗浄溶液を出力する。一実施形態において、ディスペンサは、マイクロタイタープレートの24個のくぼみに洗浄溶液を投与するように構成された、個々に制御される24個のバルブを有する。図8に示すように、投与ノズルは、384個のくぼみを持つマイクロタイタープレート515の1以上の行又は列のくぼみのパターンに合致するように構成される。マイクロタイタープレートが洗浄ディスペンサ35Aの下を通過すると、各バルブは、マイクロタイタープレートの各くぼみに所定量の洗浄溶液を放つように調節される。一実施形態において、洗浄溶液は、アセトニトリル(ACN)洗浄溶液である。洗浄ステーション又は他の溶液投与ステーションで使用される投与ノズルの数は、反応部位の数より少なくてよい。図示するように、24個のバルブを備えた上述した例のシステムは、24個のバルブのそれぞれが16回発射して、マイクロタイタープレートの16個の行を全て充填することにより、マイクロタイタープレートの384個のくぼみのすべてに溶液を配送することができる。よって、投与ステーションは、例えば、マイクロタイタープレートの一つの行又は列に対応する一つの直線状に配置されたバルブ、又はマイクロタイタープレートのくぼみの全て又は一部に対応する行列のマトリックスを形成する複数の直線状に配置されたバルブを有することができる。
【0053】
洗浄溶液は、各くぼみに投与された後、所望の時間定温放置され、それから真空源などの溶液除去装置を用いて取り除かれうる。一実施形態において、真空源は、回転テーブルが回転している間プレートモジュールと連続的に通じる。バルブが、真空源とプレートとの間での減衰通信(attenuated communication)のために、真空源とプレートとの間に配置されうる。真空源は、溶液除去装置として動作し、マイクロタイタープレートから溶液を取り除く。この実施形態において、マイクロタイタープレートは、マイクロタイタープレートの底面が液体を透過させることができる“フィルターボトム”タイプのプレートである。フィルターボトムマイクロタイタープレートとして、例えば、(チコピー(Chicopee)、MA−innovativemicroplate.com)のInnovative Microplateを利用できる。一般的に、生長するオリゴヌクレオチドは、くぼみ又は固体基質に共有結合し、フィルタを通過しない。よって、生長するオリゴヌクレオチドは、真空が実行されても、くぼみ内に残る。真空排出が可能な反応部位を有する他の基質、例えば、フィルタディスク又はチップが本発明で同様に用いられることを、当業者は理解できる。
【0054】
上述した実施形態では、一つの真空源がマルチウェルプレートに接続されうる。例えば、真空ポンプが、回転テーブルから離れた位置に配置されて、電気的に滑る輪を備えた回転ユニオン(継ぎ手)を介して、プレートと通じる。図2に示すように、一連の真空ライン48A〜48Gが、回転テーブル20の中心の穴50から動き、各プレートモジュール500と接続しうる。例示のために、図2では真空ラインの一部のみが示されている。しかし、配列状のマルチウェルプレートのそれぞれが、真空ラインを介して、真空源と通じることは理解される。ロータが回転し且つ真空源が静止位置で保持されている間、回転ユニオンにより、真空ラインは、各マルチウェルプレートと通じ、各マルチウェルプレートと共に動く。
【0055】
特定の実施形態では、各マルチウェルプレートに対する真空源は、別個のバルブにより制御されうる。例えば、回転ユニオンの電気的に滑る輪は、一連の電気的なサーキットを含むことができる。一連のサーキットの接触子は互いに関連して動くが、装置が回転している間、連続性を維持し、これにより、動作するソレノイドがマルチウェルプレートのそれぞれと共に移動することを可能にする。ソレノイドバルブを移動するプレートのそれぞれに接続することにより、各プレートに対する真空が、合成サイクル中、常に、システムにより、オン又はオフに切り替えられうる。この構成は、機器の小型化を保ち、機械的な複雑さを最小限にし、及び高い信頼性を与えるという利点を提供する。さらに、プレートモジュールの記述と、真空源及びマルチウェルプレートとの相互作用に関連するプレートモジュールの構成について、以下に説明する。
【0056】
ACN洗浄液の排出の前にマルチウェルプレートの画像がデジタルカメラ装置の一つにより撮影され、その後、処理するために画像化処理システムに送られる。画像化処理システムは画像を分析し、後述するように、マイクロタイタープレートの各くぼみが適切に洗浄液で処理されたかどうかを判断することができる。くぼみに洗浄溶液が含まれることが見つからなかった場合、そのくぼみは不良として印を付けられるか、又は後のサイクルで追加の洗浄液で処理されるように印を付けられうる。画像化処理システムは、同様の方法で使用されて、排出ステップの後に、必要とされる画像に基づいて、溶液がマルチウェルプレートから十分に取り除かれたかどうかを判断することができる。
【0057】
洗浄ステップの次に、プレートモジュールはブロック解除ディスペンサ35Bの下の位置に移動する。このディスペンサは、ブロック解除溶液を投与するように構成されている。ブロック解除溶液は、一実施形態において、生長するオリゴヌクレオチドと反応して、最後のヌクレオチドからジメトキシトリチル(DMT)基を取り除く、トリクロロ酢酸を含む。DMT基をオリゴヌクレオチドから取り除くことにより、生長するポリマーの鎖に次のヌクレオチドを追加することができる。DMTの解離は、システムのカメラの一つにより画像化される明るいオレンジ色により容易に識別可能である。よって、ブロック解除ステップが発生すると、プレートモジュールは反応部位を画像化する他のカメラの下で回転し、各反応部位が明るいオレンジ色になっているかどうかを測定することにより、ブロック解除ステップが成功したかどうかを判断する。各反応部位のオレンジ色の光学濃度は画像から判断でき、結合効率、収率、又は各個々の合成反応の他の特性を評価するのに用いられうる。それから、プレートモジュールは空にされ、ブロック解除溶液が取り除かれる。
【0058】
プレートモジュールは、それから、各くぼみからの追加のブロック解除溶液を洗浄するように構成された洗浄ディスペンサ35Dの下に動かされる。システムは、洗浄溶液を追加した後、各くぼみが洗浄溶液を受け取ったかどうかを判断するために画像を撮影し、その後、洗浄溶液が各くぼみから排出されうる。アセトニトリル(ACN)、不活性溶媒がこのために用いられる。また、一実施形態においては、プロトコルの他の洗浄溶液が用いられる。
【0059】
ディスペンサ35Dで洗浄された後、プレートモジュールは結合ディスペンサ35Eの下に移動する。ここでは、適当なヌクレオチドがくぼみのそれぞれに加えられる。想像できるように、オリゴヌクレオチドの次のヌクレオチドは“A”であり、ディスペンサ35Eは、くぼみにアデノシンの溶液を投与する。ディスペンサ35Eは、プレートモジュールのマイクロタイタープレートの各くぼみに適当なヌクレオチドを投与するように構成される。もちろん、システムは、それぞれのディスペンサが各くぼみに異なるヌクレオチドを供給するように構成された、複数のディスペンサを有しても良い。さらに、本発明のシステムは、修飾ヌクレオチドを配送する、1以上の投与ステーションを有することができる。別々のステーション又は投与ノズルは、専用の方法で修飾ヌクレオチドを配送するのに用いられうる。これに代えて、ステーション又は投与ノズルは、複数の異なるヌクレオチド、必然的にA,T,C,G又はUの塩基を生じる2以上のヌクレオチド、又はこれらの変形の修飾ヌクレオチド及び他のヌクレオチドを配送するように構成されうる。
【0060】
結合ディスペンサ35Dからの配送に続いて、プレートモジュールは、マイクロタイタープレートの画像を撮影する他のカメラの下を通り、ヌクレオチドの溶液が適当なくぼみに投与されたことを確実にする。それから、プレートの中の液体物は排出され、ヌクレオチドの溶液が生長ポリマーから取り除かれる。
【0061】
プレートモジュールは、酸化ディスペンサ35Gへ移動する。このディスペンサは、反応プロセスの次のステップとして、ヨウ素を含む酸化反応溶液を適当なくぼみに投与する。この溶液は、それから画像化されて排出される。プレートモジュールは、オリゴヌクレオチド合成反応の最終ステージのキャップディスペンサ35Hへ移動する。N−メチルイミダゾールと共に活性化される無水酢酸を含むキャップ溶液が適当なくぼみに投与されると、プレートはその円形経路をたどり続ける。反応が完了すると、プレートモジュールはキャップディスペンサ35Hのすぐ後ろに配置されたロード/アンロードステーション45で取り除かれる。プレート内のオリゴヌクレオチドの合成が完了していない場合、プレートモジュールは、マルチウェルプレート内の生長オリゴヌクレオチドに他のヌクレオチドを追加するために、投与ステーション配列の下でさらに一周する。
【0062】
マイクロタイタープレートが異なるステーションと通じる上述した順序は、実例のために提供されたものであることが、当業者には理解できる。反応部位が分散したステーションと通じる順序と、反応部位とステーション配列との間の相対的移動の方向と、反応部位の操作間の持続時間とは、特定の反応又は本発明の応用に適応するよう選択でき、上述した例とは異なりうる。
【0063】
よって、本発明の一実施形態は、連続的に分子を合成するシステムであり、その分子は、反応のステップを順次実行することにより合成される。一実施形態において、分子は、オリゴヌクレオチド又はポリペプチドである。この実施形態において、システムは、反応部位の配列を受け入れるように構成されたステージを有する。反応部位は、例えば、フィルターボトムマイクロタイタープレート、管、又は反応部位を保有する他の手段である。また、システムは異なるステーション配列を有する。一組のステーションは、ディスペンサ35等の試薬投与ステーションである。これらのステーションは、順次反応ステップを実行するために、合成反応溶液を反応部位に別々に且つ連続的に供給するように構成される。さらに、ステーション配列は、反応の順次実行されるステップの順序に対応する一定の空間的な関係で構成されうる。
【0064】
ステーション配列内に含まれる他の組みのステーションは、反応溶液が投与された後か、反応溶液が排出された後のいずれかに、反応部位の画像を得るように構成された、画像化ステーションを含む。システムは、後述するように、反応部位が投与ステーション及び画像化ステーションに連続して通じるように、ステージ又はステーション配列を移動させるように構成された、制御システムを有する。これにより、投与ステーションは、反応溶液を反応部位に投与でき、画像化ステーションは反応部位を画像化できる。一実施形態において、制御システムは、さらに、システムが反応部位の配列の他の反応部位で分子を合成し続けている間、マイクロタイタープレートなどの、第1の反応部位を反応部位の配列から第2の反応部位に取り換えるように構成される。
【0065】
また、システムは、合成反応が発生したかどうかだけでなく、合成反応の質又は収率をも監視することは理解されるべきである。例えば、連続的な合成器は、並行した化学反応を監視するのに使用され、特に、オリゴヌクレオチドの合成又はペプチドの合成などのポリマー合成のリアルタイムの監視に適している。また、合成器は、オリゴヌクレオチド、ペプチド、又は他のポリマー生産物について、品質管理(QC)の測定を提供するのに特に適している。一実施形態において、化学反応のモニターは、常に合成されるオリゴヌクレオチドの収率、質、及び全般的な状態を追跡するのに用いられる自動化DMT監視システムである。本発明は、オリゴヌクレオチドの合成に関連してここで例示されているけれども、本発明の化学反応のモニターは、オリゴヌクレオチドの合成に限らず、他の種類の化学反応を監視するのにも用いられうることは、当然である。合成反応の質を検出する方法の他の例は、国際公開第04/065000号及び米国特許出願公開第2004/0219063号に開示されており、参照することにより、その全体がこの明細書に組み込まれる。
【0066】
本発明の方法又はシステムは、多数の反応の同時合成のために用いられる。例えば、図2に例示されるシステムは、96個又は384個のくぼみをそれぞれ備えた36個のプレートを有し、所定時間でそれぞれ3,456又は13,828の個々の反応を同時に実行することが可能である。例えば、使用されるマルチウェルプレートの数、各プレートのくぼみの数、又はその両方を増加させることにより、システムは、より多くの同時の反応を実行することが可能であることは、当業者に理解できる。同様に、本発明のシステムは、例えば、より少ないマルチウェルプレート又はプレート毎のより少ないくぼみを用いることにより、より少ない同時の反応を実行するように構成されうる。よって、本発明のシステム又は方法は、少なくとも約100、1×103、1×104、1×105、1×106の反応を同時に連続して実行するために構成されうる。
【0067】
本発明のシステム又は方法を用いた連続合成は、所望の生成物についての高いスループットの生産を提供する。例えば、図2で例示されるシステムは、384個のくぼみを備えた各プレートが9分で1周を完了する率で動作することが可能である。しかし、システムは、36個のプレートでヌクレオチドを加える反応を連続して実行するので、13,824(=384×36)のヌクレオチドを加える反応を9分で完了させる。これは、1時間当たり、92,160のヌクレオチドを加える反応を完了させる結果となる。本発明は、選択される反応の条件に従って、少なくとも約1、5、7、8、9、10、11、12、15、20、30又は60分間で生長ポリマーにモノマーの単体を加えるなど、合成サイクルを完了させるのに用いられる。この合成の速度は、上述したように、種々の数の反応部位に適用できる。一般に、選択された反応条件に従った、本発明を用いたスループットは、例えば、1時間当たり、少なくとも約100、500、1×103、5×103、1×104、5×104、1×105、5×105、又は1×106の反応又は反応サイクルを完了させる量である。
【0068】
例示的な連続的なポリマー合成システム
図3は、電子接続105を介してサーボ機構制御システム110に接続された連続的な合成器10を有する、例示的な連続的なポリマー合成システム100のブロック図である。サーボ機構制御システム110は、回転テーブル20の下に取り付けられたサーボ機構108を制御し、ディスペンサとカメラに関する回転テーブル20の正確な位置を制御する。
【0069】
フィードバックライン112は、サーボ機構制御システム110を合成器10と絶えず通信させ、回転テーブルの位置をリアルタイムで保持する。位置センサ115は、マイクロタイタープレートが回転テーブルの周りを移動しているときにマイクロタイタープレートの位置を検出し、サーボ機構制御システム110に電子フィードバックを提供する。サーボ機構制御システム110は、回転テーブル20を特定の位置に移動させるために、サーボ機構108に命令を送る。一実施形態において、このセンサは、キーエンス(Keyence)のLV−21A、LV−H35Fセンサなどの単一のビームセンサである。この位置センサ115は、テーブルが予測した位置に移動することを確立するために、マイクロタイタープレート又は回転テーブルの他の位置上の印を読み取る。さらに、位置センサ115は、その後、マイクロタイタープレートが各ディスペンサの下で適切に位置付けられるように、サーボ機構制御システム110により、回転テーブルの位置と相対的なプレートの位置に印を付けるために用いられる、フィードバックを提供する。同様のフィードバックシステムが本発明のシステムの他の反応部位の位置を測定するのに用いられ、反応部位の配列、ステーション配列、又はその両方が移動可能な実施形態に容易に適用できることは、当業者が理解できる。さらに、フィードバックシステムは、本発明のシステムの動作中、又は合成器の構築又は整備の後などの特定の時間、連続的に用いられうる。
【0070】
図6は、マイクロタイタープレート120の画像を提供し、整列リブ122A、122B、及び122Cのセットを示す。これらのリブは、マイクロタイタープレート120内の標準の構造であり、システムの各マイクロタイタープレート内のくぼみ(マイクロタイターウェル)124に対して同一の位置に設けられる。センサ115A、115Bは、くぼみが整列リブの位置に基づいて合成器の周りを回転しているときに、マイクロタイタープレートの位置を決定し、これにより、くぼみの位置を決定するのに用いられる。各センサ115A、115Bは、マイクロタイタープレート120が回転プレート上で移動しているときに、リブの一つがいつ通過するかを検出するのに用いられる。この情報が用いられて、図3のフィードバックライン112を通してフィードバック信号が送信される。配置が正しくない場合、マイクロタイタープレートと投与ノズルの間の配置を改善するために、適当な命令がシステムにより試薬配送ステーションに又は人間のユーザに送られる。このような配置は、物理的な位置の変更、又は1以上の投与ノズルからの溶液配送のタイミングの調整を含むことができる。
【0071】
図3に戻ると、コントローラ110は、WindowsXPと互換性のあるPCアーキテクチャ上で動作するプログラム化が可能なソフトPLCを含む、埋め込み制御層(TwinCat130)に接続される。このシステムは、DeviceNetモジュール120とLightBus制御ネットワークを介して、合成器のハードウェアの決定論的制御を提供する。ソフトPLCは、DeviceNetネットワークを介して、サーボ機構コントローラと通信し、サーボ機構コントローラを制御する。
【0072】
制御システム150は、合成器10と通信し、特定のヌクレオチドをどのくぼみに加えるかと、修飾塩基をどのくぼみに与えるべきかとに関する命令を行う、ソフトウェアモジュールを有する。理解されうるように、制御システム150は、合成器10により製造される適当なオリゴヌクレオチドを示すデータを含む。これらの命令が合成器10に送られて、マイクロタイタープレートの各くぼみがディスペンサの下を通過するときの適当な時間に、ディスペンサを適切に作動させる。これにより、システムは、マイクロタイタープレートの各くぼみ内で異なるオリゴヌクレオチドを製造できる。
【0073】
上述したように、制御システム150は、製造されるオリゴヌクレオチドのシーケンス順序を特定するオリゴヌクレオチド順序を格納する記憶装置を有する。新しいプレートが合成器10に取り付けられると、制御システムは、そのプレートのバーコードナンバーを書き留め、そのバーコードを制御システム内に格納された特定の順序と結びつける。それから、選択されたプレートは、各くぼみ内で合成されるオリゴヌクレオチドのシーケンスに割り当てられる。制御システムは、合成器上の各マイクロタイタープレートを追跡し、合成中に各くぼみに沈殿されるヌクレオチド塩基を制御する。合成器10の周りの1サイクル中、くぼみのいくつかは“C”塩基を受け取り、他のくぼみは、各くぼみ内で合成されるオリゴヌクレオチドのシーケンスに従って“A”、“T”、“G”又は特に修飾塩基を受け取ってもよい。
【0074】
制御システム150は、合成器プロトコルと所望のヌクレオチドのシーケンスの相関関係から配送される発射テーブル(a firing table)の形式で、TwinCat制御層を介して、ディスペンサステーション35A〜35Fに命令を行う。ヌクレオチドのシーケンスは、各くぼみで合成されるオリゴヌクレオチドのシーケンスを列挙するバッチファイルの形式で、制御システムに取り込まれる。バッチファイルは、種々のソースから、例えば、グラフィカルユーザインターフェースによるユーザからの直接入力により、又は米国仮出願第60/634,164号(参照することにより、そのままこの明細書に組み込まれる。)に記載されているオリゴヌクレオチドの注文システムのような顧客注文システムからの取り込みにより、得られる。
【0075】
バッチファイルの各くぼみは、特定のプレートのバーコードにより及びプレートのくぼみの位置(すなわち、行及び列)により、識別されうる。図1から図4に示されるシステムの例を用いると、合成器プロトコルは、回転テーブル20上の各マルチウェルプレート30の位置と、ディスペンサステーション35A〜35Fの位置と、回転テーブル20の回転スケジュールとを含む。例示のために、スケジュールは一連の“チック(tics)”として示される。各チックは、回転テーブル20の移動を不連続な距離で示す。よって、くぼみの異なるセットは、各チック中、投薬ステーションの下を通過する。各チック中、制御システムは、くぼみの識別子とくぼみ内で合成されるオリゴヌクレオチドのシーケンスとに基づいて、異なる発射テーブルを提供する。
【0076】
発射テーブルについて、図10に示されるスクリーンショットを参照して、さらに詳細を説明する。スクリーンショットは、発射テーブルを生成し又は変更するためのユーザインターフェースを示している。スクリーンショットの配送パラメータウィンドウにおいて、各くぼみに利用できる入力オプションが列内に列挙されている。列挙されている入力オプションは、活性ヌクレオチド(A、C、T及びG)、修飾試薬(AmC6、HMDA、及びPhos)、洗浄溶液(ACN、ACN Em、初期洗浄液(initial wash)、及び前塩基(prebase))、及び種々の他の反応溶液(キャップ(CAP)、ブロック解除剤(Deblock)、及び酸化剤)を含む。出力試薬は、配送パラメータウィンドウの行に列挙されている。テーブル内の数は、出力装置により配送される各試薬の量に対応しており、選択される入力オプションを満たす。
【0077】
いくつかの入力オプションは、多数の出力オプションを備えており、エイリアス(aliases)で示されている。エイリアスは、数個の異なる命令のセットを示すプレイスホルダ(place holder)として動作し、各セットは特定の合成サイクルのために加えられる特定の試薬に基づいている。例えば、異なる初期洗浄の処理が、異なる修飾(modification)ステップに関連して用いられる場合、初期洗浄ステップのエイリアスは、第1の修飾試薬が使用されるときの合成サイクルで使用される第1の命令のセットと、第2の修飾試薬が使用されるときの異なる命令のセットとを表すことができる。適当な初期洗浄の命令は、特定のくぼみの識別と、そのくぼみに割り当てられたオリゴヌクレオチドに対する修飾の識別とに基づいて、発射テーブルに含まれうる。発射テーブルは、オリゴヌクレオチドに修飾が施されるサイクルにおいて、初期洗浄ディスペンサ35Aと通じる特定のくぼみをもたらすチック(tic)に応じて、初期洗浄ディスペンサ35Aに送信される。
【0078】
2以上の入力オプションは、グループにまとめられうる。数個のグループが、図10のスクリーンショットの左下のウィンドウに列挙されており、このウィンドウは、活性剤(Activator)及び修飾(Mods)、塩基(Bases)、及びバルクACN(Bulk ACN)を含んでいる。スクリーンショットに示されるように、活性剤及び修飾グループが選択されている。このグループは、AmC6、HMDA、及びPhosの入力オプションを含む。入力オプションのグループへの組織化は、発射テーブルの便利な構築又は変更の利点を提供する。例えば、数個の入力オプションについて行われる全体的な変更は容易に行われ、及び/又は入力オプションがグループに組織化されるときに視覚化されうる。
【0079】
当業者は、上述した例示的な制御システムに基づいて、様々な反応の適当な命令を知っているか又は決定することができる。例えば、各種ポリマー又は繰り返される反応サイクルの他の生成物は、関心のある特定の反応に適した反応溶液を列挙する発射テーブルを用いて、合成されうる。実施形態ではポリマーの合成について記載しているけれども、本発明の態様は、ポリマーのシーケンスの決定などの分析を含む。一実施形態において、DNA又は蛋白質のシーケンスが決定されうる。さらに、回転テーブルを基部にした機器のために例示化された制御システムは、この明細書中に記載された機器などの他の機器に容易に適合できる。さらに、命令は、例えば、電子表計算(例えば、MicrosoftのEXCELTM表計算)を含む発射テーブル、データベーステーブル、又は電子ファイル内のテキストを表す様々なフォーマットに加えて、他のフォーマットでも提供される。
【0080】
示されているように、制御システム150は、合成器10の周りに取り付けられたカメラ38により記録される画像の全てを処理するように構成された画像サーバ160A、160Bにも接続されている。一実施形態において、各カメラ装置は、限定しないが、スウェーデンのルンドのアクシスコミュニケーションズ(AXIS Communications, Inc.)から提供されているAXIS2100ネットワークカメラを含むタイプのCCD(Charge Couple Device)カメラである。当然、他のタイプのカメラを、本発明に従って用いることもできる。本発明で用いられるカメラは、位置依存性の方法で、検出可能な光学特性を信号に変換する装置である。例えば、本発明で有用な典型的なカメラは、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラ、ビデオカメラ、インターネットカメラ、又は写真をデジタル画像に変換することができる他の画像化装置(ここで上述した画像化装置や米国特許出願公開第2004/0219063号に記載の画像化装置など)を含む。
【0081】
上述したように、各カメラは、合成器10上でマルチウェルプレート又は他の複数のくぼみのまわりに配置されて、マルチウェルプレート、すなわちマイクロタイタープレートのくぼみの全てを含む画像を得ることができる。マルチウェルプレートは、一般に、96個又は384個のくぼみを有するが、当然、マルチウェルプレートは、384個より多い他の数のくぼみを有しても良い。好ましくは、カメラ装置は、マルチウェルプレートの観察を全体としてできるだけでなく、各くぼみを個々に観察することができる。一実施形態において、カメラは光学フィルタリングステージを組み込んでいる。この光学フィルタリングステージにより、検出器は、スペクトルの測定と、スペクトルの特定の吸光率を示す特定の化学物質の調節とが可能になる。本発明で有用な光学フィルタは、波長、偏光、又は周波数に依存の方法で、選択的に放射を通過させ又は通過させない装置である。
【0082】
図3に示したように、カメラは画像サーバ160A、160Bなどの記憶場所に画像を電子的に送信する。図3で示す例証的な実施形態では、制御システム150は各カメラを制御するように構成される。例えば、画像制御ソフトウェアは、オリゴヌクレオチド合成器10のマルチウェルプレートの画像を撮影するときに、中央ネットワークを介して、カメラ装置に信号を送るように構成されてもよい。画像は、JPEG、TIFF、BMPファイル、又は他の適したファイルフォーマットで、画像処理サーバ160A、160Bに送信されてもよい。マイクロタイタープレートの画像の典型的な例を図6に示す。
【0083】
特定の実施形態では、画像ファイルは、画像が撮られるときの合成プロセスである合成プロトコルの、バッチの番号、プレートの番号、又はサイクルの番号に従って命名される。これに関して、用語“サイクル”とは、限定しないが、脱保護、結合、キャッピング、及び酸化のステップを含む、各塩基を生長するDNAの鎖に加えるためのステップの全サイクルを言う。動作が、同一のサイクル内で1回又は数回、実行されうることは理解される。ここで説明したステップ又は本発明で有用な他の方法は、特定のステップの1回以上の繰り返しとして実行されうる。例えば、脱保護のステップが同一のサイクル内で2、3回繰り返されてもよい。その場合、反復の指定がサイクル内の特定の脱保護の動作を区別するために用いられうる。
【0084】
図9は、分子を連続的に合成する方法1000の一実施形態を示すフロー図である。方法1000は、開始状態1002から開始し、プレートが回転テーブル上で回転するときに試薬が投与バルブからマイクロタイタープレートに投与される、状態1004に移る。マイクロタイタープレートの全てのくぼみが、ディスペンサバルブの下を通過した後、マイクロタイタープレートは、カメラの下に移動し、状態1006で画像が撮影される。マイクロタイタープレートは、LEDアレイなどの光源で照射される。カメラは、回転テーブルの真上に配置され、LEDアレイは、プレートとカメラとの間の光路の方向に照明を向けて、2つの光路が交差するように、配置されうる。ビームスプリッタは、カメラとプレートとの間の交差点に配置されうる。これにより、LEDから放射された光がビームスプリッタの反射面でプレートに反射し、カメラが、ミラーの透過面を通して、照明されたプレートの画像を得る。一つの例示的な画像は、図6を参照して見られる。本発明で有用な画像化システムのさらなる記述と適当な構成は、米国特許出願公開第2004/0219063号に記載されている。
【0085】
マイクロタイタープレートの画像が撮影されると、状態1010で、画像がシーケンスデータのデータベースと比較され、試薬を受け取ったと想定されるマイクロタイタープレートの各くぼみが満たされていることがわかるかどうかを判断する。データベースに含まれ、比較のために用いられるファイルは、特定の量の流体の有無に基づく、くぼみに予期される特性を含む。例えば、ファイルは、任意の暗い値(例えば、「4096」)から任意の明るい値(例えば、「0」)の範囲の数字の尺度を提供することができる。これらの値は、光学的に透明な溶液を含む及び/又は光学的に濃い溶液を含む溶液を排出されたプレートについて得られる1以上の検定画像に基づいて、くぼみに割り当てられうる。「0〜4096」の尺度の例に関して、空にされたくぼみは「4096」に近い値又は値域を持ち、トリチルを含むくぼみは「0」に近い値又は値域を持ち、光学的に透明な溶液を含むくぼみは空のくぼみとトリチルを含んだくぼみについての値又は値域の間の値又は値域を持つ。値域は、連続的であってもよく、又は値の間にギャップがあってもよい。光学濃度は合成中のプレートについて測定され、測定された光学濃度が数字の尺度と比較されて、光学濃度が、空のくぼみか、満たされているくぼみか、又はトリチルを含むくぼみの範囲内にあるかどうかを判断する。その比較が所望の範囲内という結果になった場合、例えば、空にされたくぼみの光学濃度が4096に近い範囲である場合、そのくぼみについての合成の進行が許可される。比較が所望の範囲外である範囲という結果になった場合、例えば、ギャップ内又は「0」に近い範囲内であった場合、エラーが示され、そのくぼみでの合成が中止される。
【0086】
上述した画像について、光学濃度は、くぼみの中心、又はくぼみの中央部などのくぼみの特定の位置について、判断される。一般的に、くぼみの位置は、光学濃度を判断するために用いられる画像が、くぼみの縁を除くように登録される。さらに、プレートの異なる部分での異なる照明効果を補うために、個々のくぼみが一般的に検査され、個々の主成分について比較される。画像の比較について光学濃度に関して上述したけれども、くぼみの領域で測定された光学濃度の分布の標準偏差又は分布のスキュー(skew)など、他の値が光学濃度の代わりに比較ファイルで用いられうることは理解される。
【0087】
プロセス1000は、決定状態1012に移動し、画像とデータベースとの比較の後にエラーが発生したかどうかが判断される。このようなエラーは、試薬を受け取ったと想定されるくぼみ内に、試薬があることが見つからなかったことであってもよい。他のエラーは、空であると想定されるくぼみが、試薬溶液で満たされていることが見つかったことであってもよい。エラーが見つかると、プロセス1000は状態1016に移動し、エラーがさらなる処理のためにメインシステムに報告される。さらなる処理は、例えば、このくぼみが不良の印を付けられ、マイクロタイタープレート内の残っているくぼみが満たされる間、さらなる反応溶液を受け取らないことである。さらに、マイクロタイタープレート全体が不良の印を付けられ、その後、不良のマイクロタイタープレートで発生させようとした反応を実行するために、システムが連続的な合成器に新しいマイクロタイタープレートを取り付けるように命令されることであってもよい。これに代えて又はこれに加えて、エラーが発生したことをユーザに通知するために、書かれた又は表示された報告がシステムのユーザに提出されてもよい。エラーが状態1016で報告されると、プロセス1000は終了状態1020で終了する。
【0088】
しかし、エラーが決定状態1012で発生しなかった場合、プロセス1000は状態1024でマイクロタイタープレートを空にし、その後、各くぼみが適切に空にされたかどうかを判断するために、状態1026で他の画像が撮影される。状態1028で、空にされたマルチウェルプレートについて撮影された画像がデータベースと比較される。
【0089】
それから、プロセス1000は、決定状態1030でエラーが発生したかどうかを判断する。エラーが発生した場合は、プロセスは、エラー報告状態1016に戻る。しかし、エラーが発生しなかった場合は、プロセスは決定状態1032に移動し、プレート内の合成反応が完了したかどうかを判断する。合成反応が完了している場合は、プロセスは終了状態1020で終了する。しかし、プレート内の合成反応が決定状態1032で完了していなかった場合は、プロセス1000は状態1004に戻り、合成反応を続けるためにプレートに追加の試薬を投与する。
【0090】
例示的なオリゴヌクレオチドの合成の実施形態
図4は、オリゴヌクレオチドを合成するための例示的な方法400を示すフロー図である。この方法は、オリゴヌクレオチドのためのアンカー(anchor)として用いられる普遍的担体が提供される状態410から開始する。一実施形態において、普遍的担体は、ヌクレオチドを最初につなぐために用いられるように構成された一般的なCPG(Controlled Pore Glass)基質である。このような一般的なCPGの一つは、Proligo Reagents社(ボールダー、コロラド州(Boulder, CO))から入手できる。普遍的担体が提供されると、一般的にフィルターボトムマイクロタイタープレートのくぼみ内で、プロセス400が、アセトニトリル(ACN)が普遍的担体を洗浄するのに用いられる状態412に移動する。各くぼみは、状態414で空にされる。ここでは、洗浄溶液は取り除かれて、普遍的担体はくぼみ内で保持される。それから、状態418で、トリクロロ酢酸を含むブロック解除溶液が各くぼみに配送される。
【0091】
それから、決定状態420で、AmC6修飾が、合成されるオリゴヌクレオチドに加えられるかどうかが判断される。AmC6修飾が加えられる場合、方法400は、180秒間、ブロック解除溶液を定温放置する。AmC6修飾がなければ、方法400は、45秒間、ブロック溶液を定温放置する。それから、状態428で、ブロック解除溶液が排出され、方法400が状態418に戻り、ブロック解除溶液の追加を通して、もう一回循環する。方法400が追加のサイクルを実行すると、ACNによる他の洗浄が状態430で実行され、状態432の排出に続いて、ACN洗浄の繰り返しが行われる。
【0092】
それから、決定状態436で、オリゴヌクレオチドの合成が終了したかどうかが判断される。オリゴヌクレオチドの合成が終了していた場合は、状態437で完成の印が付けられ、方法400は終了する。オリゴヌクレオチドの合成が完了していない場合、決定状態438で、オリゴヌクレオチドが、燐酸アミド(phosphoroamidite)タイプの化学物質又は他の代替の方法によって加えられる5’の端部(5' end)への修飾を含むものかどうかが判断される。
【0093】
燐酸アミドタイプの化学物質を用いて5’の端部でオリゴヌクレオチドが修飾されることを決定した場合、処理400は、状態440でヌクレオチド修飾を搭載し、状態442でヌクレオチド塩基を反応部位に配送する。例えば、オリゴヌクレオチドが5’の端部でアミノ基を含むように修飾される場合、モノメトキシトリチルアミノヘキシル(monomethoxytritylaminohexyl)の燐酸アミド(カリフォルニア州サンディエゴのTrilinkのカタログ♯C−1001として入手できるMMT 5’ C6 アミノリンカー(Amino linker))が搭載及び配送されうる。それから、状態446で特別な修飾が必要かどうかが決定される。特別な修飾が必要でなければ、合成器は、60秒間オリゴヌクレオチドを定温放置する。特別な修飾が配送される場合は、反応は、状態440で持ち込まれた修飾の種類に基づいて、適当な時間、定温放置される。
【0094】
それから、状態448でマイクロタイターのくぼみは空にされ、状態450で酸化剤溶液が配送される。オリゴヌクレオチドは15秒間定温放置され、状態454で各くぼみは、酸化剤溶液を取り除くために空にされる。
【0095】
状態456で、プロセス400は各くぼみにキャッピング溶液を配送し、約15秒間定温放置する。状態458で、キャッピング溶液は排出され、プロセス400は、アセトニトリル洗浄溶液が各くぼみに導入される状態412に戻る。
【0096】
決定状態438で、5’の修飾が上述した燐酸アミドの方法と異なる方法で実行されることが判断された場合は、プロセス400は代替の方法が実行される状態460に移動することは理解されるべきである。代替の方法による完了時に、状態437で、オリゴヌクレオチドは排出される。
【0097】
もちろん、合成プロセス400が、単に、連続的な合成器10を用いて、オリゴヌクレオチドを合成するための一つの例示的な方法であることは理解されるべきである。他の合成反応と条件が熟考されて本発明の範囲内となる。当業者は、異なる反応溶液、反応回数、又は反応のシーケンスが、例えば、ここでの開示に従って互いに相対的に移動する反応部位の配列とステーション配列の適当な空間的及び時間的な関係を提供して、本発明で用いるために適合されうることを理解できる。
【0098】
例示的なプレートモジュール
図5Aは、プレートホルダ510を保持するように構成されたオーバーフロートレイ505を含む例示的なプレートモジュールシステム500を示している。図示されるように、プレートホルダ510は、マイクロタイタープレート515を保持し、合成器10に容易に取り付け及び合成器10から容易に取り外すことを可能にしている。オーバーフロートレイ505は、一般的に、矩形の形状を有し、前面の縁512、背面の縁514、左の縁516、及び右の縁518を有する。使用する際、オーバーフロートレイ505は回転テーブル20に搭載されて、プレートホルダ510が合成器に取り付けられ及び取り外される手段を提供する。一実施形態において、回転テーブルが回転している間に、プレートホルダはプレートモジュールに配置され又はプレートモジュールから取り除かれる。これにより、合成器は、プレートホルダが合成器に取り付けられ及び取り外されているときであっても、連続的に合成することが可能となる。
【0099】
想像されうるように、フィルターボトムマイクロタイタープレートは、最初にプレートホルダに固定される。それから、プレートホルダは、プレートホルダをオーバーフロートレイに置くことにより、手動で又は自動で、合成器に取り付けられる。回転テーブルに取り付けられたプレートモジュールは、回転テーブルが回転するときに合成器の周りを回転する。
【0100】
示されているように、プレートホルダ510は、オーバーフロートレイ505の中央の表面520に搭載されている。プレートホルダ510の構成について、図5Bを参照して、さらに徹底的に説明する。図示されているように、真空ライン525と窒素ライン528は、背面の縁514を通って、オーバーフロートレイ505に入る。真空ライン525は、オーバーフロートレイ505の内側を通り、プレートモジュールの中央の表面520の真空接点(インターフェース)530に通じる。プレートホルダ510が適切にオーバーフロートレイ505に配置されると、真空接点530は、プレートホルダ510内に収納されているフィルターボトムマイクロタイタープレートから、洗浄溶液又は溶液を含む試薬などの反応溶液を取り除くための排気部を提供する。
【0101】
窒素ライン528は、オーバーフロートレイ505の背面の縁514に取り付けられた窒素ナイフ534と通じる。図示されるように、窒素ナイフ534は、プレートホルダ510内のマイクロタイタープレート515上に重なる窒素ガスの一般に平らなシートを出力するように構成された長手方向の開口536を有する。一実施形態において、窒素ガスは、周囲環境から反応溶液を隔離し、反応部位に隣接した領域から気相物質を取り除くように作用する。また、真空ライン525が作動して、マイクロタイタープレート515から流体が排出されると、窒素ガスの層がマイクロタイタープレート上に供給されうる。
【0102】
本発明の一実施形態において、合成器は、排気が行われるのと同時に窒素ガスを出力し、排出プロセス中にマイクロタイタープレートの各くぼみに窒素ガスを入れる。これにより、外気又はエアロゾル化された試薬などの汚染物質が、くぼみのフィルタ底面を通過している間に反応生成物と接触することを防ぐ。窒素は不活性ガスであるため、マイクロタイタープレートの各くぼみ内で合成される高分子などの反応生成物と反応する可能性があまりない。もちろん、本発明は、マイクロタイタープレートにかぶせるために窒素ガスを使用することのみに限定されないことは理解されるべきである。他のタイプのガス、好ましくは、アルゴンやヘリウムなどの不活性ガスが、本発明の範囲内に含まれる。代替の実施形態において、上述した隔離装置と同様の装置が、本発明のシステムで、反応部位に反応ガスを配送するために用いられうる。不活性又は反応のいずれかのガスが、投与ステーション又は画像化ステーションなどの1以上の静止したステーションにより供給されうる。ステーションは、プレートが排出されるときに、外気又は汚染物質上のこのガスを優先的に吸い込む。例えば、画像化ステーション38A〜38Fは、検出器の上側の窓とマイクロタイタープレートの下側との間にプレナムを含みうる。プレナムは、マイクロタイタープレートと実質的に垂直な方向にガスが流れるように、窒素で取り除かれる。窒素ガスの流れは、有害な蒸気を移動させるだけでなく、水蒸気と残骸を窓から取り除いて、マクロタイタープレートが画像化ステーションで排出される真空であるとき、これらの蒸気と反応生成物との所望されていない接触を低減するという利点を提供する。
【0103】
ここで図5Bを参照すると、プレートホルダ510は、上部フレーム550を含んでいる。上部フレーム550は、プレートホルダ510の下部552で固定される。下部552内に、マイクロタイタープレート515を保持する大きさの凹型開口556がある。フレーム550が下部552に接すると、マイクロタイタープレート515がプレートホルダ510内の所定の位置に保持される。一組のロック558A、558Bが、それぞれ、フレーム550を下部552に固定する。示されているように、円形の真空接点560が凹型開口556に位置付けられることにより、プレートモジュール505内の排気部に貫通孔が設けられる。
【0104】
図5Cを参照すると、プレートホルダ510の底面下部552を通して、真空接点560の下部を見ることができる。また、一組の3つの積み重ねピン565A、565B、565Cが、プレートホルダ510の下部をオーバーフロートレイ505の中央の表面よりも高くするために設けられている。さらに、一組の整列孔568A、568Bが、オーバーフロートレイ505の中央の開口520内にプレートモジュール510を正しく位置決めするために、設けられる。
【0105】
図5Dに示すように、一組の整列ピン570A、570Bが中央の表面520内に示されている。一組の整列ピン570A、570Bは、プレートホルダ510の整列孔568A、568Bと結合するように構成される(図5C)。さらに、真空吸引ベローズ(bellows)575が中央の面520からはみ出して見える。この真空吸引ベローズ575は、オーバーフロートレイ505の真空接点560と可逆的に結合するように構成される。
【0106】
図5Eのオーバーフロートレイ505に結合されるプレートホルダ510の断面図に示すように、真空吸引ベローズ575は、真空ライン525がマイクロタイタープレート515内から反応溶液を排出できるように、可逆的に真空接点560に取り付けられている。真空吸引ベローズ575は、好ましくは、シリコン又はゴムなどの曲げやすいポリマー材料であり、真空接点560と共に迅速で有効な可逆的封印を提供する。図示されるように、真空吸引ベローズ575は、プレートホルダ510がベローズ575の上面に配置されるときに圧縮又は伸張に適合する圧縮性の部分580を有する。
【0107】
プレートホルダ510がオーバーフロートレイ505の上に配置されると、ベローズ575は、プレートホルダの真空接点560内の凹所に配置される。ベローズの圧縮性の部分580により、プレートホルダの真空接点560はベローズの上面に落ち、圧縮性の部分580が圧縮し、プレートホルダ510とオーバーフロートレイ505との間に真空気密封止部を生成する。
【0108】
上述した実施形態に従って、本発明のモジュールシステムは、制限しない利点、(1)第2の反応部位について生じている合成を中断することのない、第1の反応部位の都合の良い付加及び除去、(2)バルブ減衰排気部などの連続的に利用できる溶液除去装置の提供、及び/又は(3)バルブ減衰ガスナイフなどの連続的に利用できる隔離装置の提供を提供するように構成されうる。同様のモジュールシステムが、例えば、上述した例のマイクロタイタープレートと異なる形状又は数のくぼみを有するマルチウェルプレートなどを含む、他の構成を有する反応部位の基質を保持するために用いられうることを、当業者は理解できる。さらに、本発明のモジュールシステムは、ここのどこかで記載されたような、他の反応部位の基質を使用するように構成されうる。真空ベースの溶液除去を含む実施形態において、フィルタベースの基質が特に有用である。
【0109】
投与する流体についての例示的な装置及び方法
図7を参照すると、反応溶液をディスペンサ35Aに供給するための例示的なシステム700の図が示されている。ディスペンサ35A内に、ディスペンサ35Aにより投与される反応溶液を保持する局所貯蔵器710がある。一連のレベル検出器715は、局所貯蔵器の水面の高さを測定し、貯蔵タンク720からさらに反応溶液をくみ出す時間を決定するのに用いられる。示されているように、貯蔵タンク720は、貯蔵タンク720を加圧するのに用いられるヘリウム源722に接続されている。ヘリウムの圧力は、例えば、局所貯蔵器710が所定の閾値以下であることをレベル検出器715が示したときに、局所貯蔵器710に追加の反応溶液を入れるコンピュータ制御により、調整されうる。
【0110】
反応溶液の局所貯蔵器を設けることで、流体は、各バルブに達するまでに長い道を通る必要がないため、システムはより円滑な且つより信頼性のある投与を提供することができる。このような道の一つ内の気孔又は他の小さな圧力の変化が、特に投与される量が非常に少ないときに、望ましくない投与状態をもたらす。特に、油圧で結合された局所貯蔵器を使用することにより、所定時間で開くバルブの数が異なることにより発生する気圧変動や、バルブの開放及び閉鎖により生じる気圧変動などの、一般に多数のディスペンサバルブに接続された多岐管を渡って生じる気圧変動を除去するという利点を提供できる。例えば、油圧で結合された局所貯蔵器を用いて、このような効果の除去が、いくつものバルブが後述するように常に作動可能な場合における、個々のディスペンサノズルの交互の発射のために提供される。
【0111】
局所貯蔵器710は、制御システム150により個々に制御されて、個々のディスペンサノズルからの流体の配送を個々に制御する、一連のソレノイドバルブ720に流動的に接続される。制御システム150は、マイクロタイタープレート730のくぼみ725が各バルブの下に適切に配列されたときに、局所貯蔵器710からの反応溶液を投与するようにバルブ720に命令を出す。
【0112】
特定の実施形態において、本発明のシステムは、ディスペンサバルブの作動が交互に起こり、交互の流体投与が一連のディスペンサノズルから生じるように、構成されうる。各ディスペンサステーションに反応部位が到達すると、ソレノイドバルブは試薬投与を制御する。各試薬投与ステーションは、利用される電源の大きさに従って、一つずつ又はグループで発射される、多数のソレノイドバルブを用いることができる。試薬毎に同時に作動するバルブの数は、必要なら、要求される電流と電源の大きさを制限するために、制約されうる。
【0113】
投与ステーションは、必要に応じて、異なるディスペンサノズルから異なる量の流体を配送するように構成されうる。これに代えて又はこれに加えて、各ディスペンサノズルは、例えば上述したように、異なる開始時間で流体を配送するように制御されうる。異なる量の流体を投与できること且つ異なる開始時間で投与できることは、合成動作中の試薬利用の高いレベルの制御を可能にし、典型的な固定量又は容積式タイプのディスペンサよりも優れた利点を提供する。
【0114】
本発明で有用なバルブディスペンサは、バルブを発射し、局所貯蔵器の充填と加圧を管理する、HAL(Hardware Abstraction Layer)を用いて制御されうる。ディスクリートロジック(個別論理)が、例えば、CPLD(Complex Programmable Logic Device)により、局所貯蔵器の充填のための有限状態機械を実装し、スパイクとバルブを制御するホールド信号とを生成するために用いられうる。各スパイクのディスクリートロジックと各バルブのホールド回路は、一般に分離され、互いに独立している。これにより、全てのバルブは、同時に、わずかにずれて、又は選択的に(限られた時間中、1以上のバルブは発射され、他のバルブは発射されないなど)発射可能となる。マイクロプロセッサが使用される場合に発生しうるコストと計算時間を増加させることなく、より多い数のノズルを使用するようにHALを拡大することができるので、マルチノズルディスペンサを制御するためにHALを用いると、マイクロプロセッサを用いるよりも優れた利点を提供できる。しかし、必要に応じて、例えば、比較的に少ない数のノズルが制御されるとき、マイクロプロセッサを本発明で用いることができることが理解される。
【0115】
本発明の投与ステーションの個々のバルブを制御するのに有用なHALの例示的なロジックは、図11の回路図の形式で示されている。回路図は、直ちに及び比較的に短い持続時間の離散時間に活性化する第1の電圧を供給するスパイク出力915と、スパイク出力の後に活性化され、より長い持続時間の離散時間、継続される第2の電圧を供給する保持出力914と、を含む2つの出力を介する制御を例示している。スパイク出力915は、バルブを開放するのに十分な電圧であるのに対し、保持出力914はバルブを開放状態に維持するのに十分なより低い電圧である。HALは、入力901、902、903、及び904を含む4つの異なる入力を受け取り可能である。入力901は、I/Oインターフェースから受け取られるロジック“high”信号を受け取るように構成され、発射テーブルから生成される信号に応じてバルブを制御する。入力901からの信号は、ORゲート905とマルチプレクサ907とを介して、他の入力の活性化に従って処理される。出力のタイミングは、ORゲート905からの信号が、NANDゲート908、フリップフロップ909、910、及び913、及びORゲート912を通って、ORゲート908に戻ることにより、制御される。クロックサイクルは、スパイク出力と保持出力の持続時間を制御するために選択される。例えば、図11のHALの図において、スパイク出力915は、2クロックサイクルに対応する1ミリ秒の持続時間を有する。入力902は、例えば、ディスペンサ装置の全てのバルブに接続されたスイッチを介して、バルブを手動で発射可能なように構成される。入力903は、バルブのインジケータのLEDのオン又はオフを切り換えて所望のパターンを生成し、例えば、メッセージをユーザに伝えるために、信号をHALに送信可能なように構成される。入力904は、クロックから信号を受け取る。図に示されるような回路構成は、必要なバルブの数に応じて、無限に複製されうる。
【0116】
比較的に多量のエネルギーが必要な場合、HALにある全てのバルブを同時に発射するときが発生する。この場合、全てのバルブのスパイクを調達するのに十分な電流が、局所的に蓄積されうる。この技術で知られている種々のコンデンサのどれもが電流を蓄積するために用いられうる。電流の局所的な蓄積は、ディスペンサのために用いられる電源に対して電流の瞬間の要求を低減し、これにより、電源のコストを低減し、且つ電源を収納するのに必要な空きスペースを低減するという利点を提供する。このように、HALは、一般に、すべてのバルブを同時に発射するのに十分な量のエネルギーを少なくとも蓄積するように構成される。
【0117】
図8Aは、回転テーブル20によるマイクロタイタープレートの移動と同時にマイクロタイタープレート515に溶液を出力しているときの、ディスペンサ35Aの一実施形態の図を示している。示されるように、ディスペンサ35A内には、線状に連続したバルブの配列805、810、815、820、825、830、及び835がある。各線状配列のバルブは同一の試薬溶液貯蔵器に流動的に接続され、異なる貯蔵器は各線状配列のバルブに溶液を配送する。例えば、バルブの列805は修飾ヌクレオチドに接続され、バルブの列810はアデノシン溶液に接続され、バルブの列815はシチジン溶液に接続され、バルブの列820はグアノシン溶液に接続され、バルブの列825はチミジン溶液に接続される。ヌクレオチドの糖部分が一般にDNA合成のためのデオキシリボースであることは理解されうる。しかしながら、モノマーは、RNAを合成するのに有用なリボース糖などの他の部分、又はペプチド核酸(PNA)などの代替の骨格を有する核酸を合成するために用いられる部分を含むことができる。列830及び835は、例えば、合成器内の位置に従って、ACN洗浄溶液、ブロック解除溶液、又はキャッピング溶液に接続されうる。もちろん、本発明で用いられるバルブと貯蔵器の接続の数と種類は、特定の応用に適するように上述した例示から変更されうることは認識されるべきである。例えば、各ディスペンサは、本発明の範囲から離れることなしに、バルブの列を一つだけ有しても良いし、他の数のバルブの列を有しても良い。一実施形態において、バルブの列は取り外し可能及び取り換え可能であり、特定のディスペンサをどんな数のバルブの列にも装備でき、ポリマーを合成するための正しい溶液を投与できる。
【0118】
上述した明細書は、当業者が本発明を実施可能なほどに十分である。上述した記述と例は本発明のある好ましい実施形態を詳述し、発明者により熟慮される最良のモードを記述している。しかし、上述した内容がどんなに詳細にテキストに現れていても、多くの方法で本発明を実施でき、添付の特許請求の範囲及びそれと同等のものに従って本発明を解釈すべきであることは当然である。
【0119】
文言“有する(comprising)”は、ここでは制限がないつもりであり、列挙した要素だけでなく、追加の要素をさらに含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】連続的なオリゴヌクレオチドの合成器の一実施形態の斜視図
【図2】図1の連続的なオリゴヌクレオチドの合成器のステーション配列の概略図
【図3】高分子を連続的に合成するシステムの一実施形態のブロック図
【図4】オリゴヌクレオチドの合成方法の一実施形態のフロー図
【図5A】図1の連続的なオリゴヌクレオチドの合成器内で使用されるプレートモジュールとそれに関連するプレートホルダの一実施形態の斜視図
【図5B】図5Aのプレートホルダの一実施形態の斜視図
【図5C】図5Bのプレートホルダの底面の斜視図
【図5D】図5Aのプレートモジュールの斜視図
【図5E】図5Aの線5E−5Eを横断するプレートモジュールに装着されたプレートホルダの断面図
【図6】図5Bのプレートホルダ内で用いられるマイクロタイタープレートの上面図
【図7】連続的なポリマー合成器内に反応溶液を投与するシステムの一実施形態の概略図
【図8】反応溶液をマイクロタイタープレートに配送するディスペンサノズルの下を通るマイクロタイタープレートの軌道の一実施形態の概略図
【図9】連続的なポリマー合成器内のマイクロタイタープレートに試薬を投与する方法の一実施形態のフロー図
【図10】発射テーブルを構成し変更するユーザインターフェースのスクリーンショットを示す図
【図11】液体ディスペンサを制御するのに有用であるHALの回路図
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマーなどの分子を合成する機械に関する。特に、本発明は、ポリペプチド及びオリゴヌクレオチドなどの生体高分子を連続的に合成する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オリゴヌクレオチドは、研究、診断、及び治療学に関与するバイオテクノロジーの研究室で使用される最も重要で一般的な試薬の一つである。オリゴヌクレオチドの高需要は、生物学のサンプルから得られるDNA又はRNAの相補的ヌクレオチド配列の強烈な特異性から生じる。この特異性により、オリゴヌクレオチドは、複雑な生物学の環境の10億分の1未満の存在量で存在する極めてまれな配列と特異的に結合するプローブとして用いられうる。この特異性は、病気に関連することが知られている遺伝子配列の有無に基づく特定の病気にかかる危険性がある個人の診断を提供するために使用されうる。さらに、この特異性は、関心のある特定のヌクレオチド配列を持つDNA又はRNAの分子を合成する試薬として、オリゴヌクレオチドを使用する際の基盤を形成する。例えば、1つ以上のオリゴヌクレオチドをその遺伝子配列に結合させ、結合された合成物の増幅反応を実行して、配列の多数の複製を生成することにより、特定の病気に関連する遺伝子配列のクローンを作ることができる。クローンの遺伝子配列は、その後、病気の研究に利用されうるか、又は病気に苦しむ個人の治療処置にも使用されうる。
【0003】
オリゴヌクレオチドの合成は、ヌクレオチド鎖を組み立てる循環的なプロセスである。ヌクレオチドは、化学反応の連鎖により、一つずつ増加する。この化学反応の連鎖では、特定の分子(例えば、ヌクレオチド)が、所望の鎖が完成するまで、時には触媒作用を介して、生長するDNA分子(例えば、生長するDNA鎖)に付加される。一般的に、化学反応の各サイクルは、除去(detritylation)、結合(coupling)、キャッピング(capping)、及び酸化の段階を含む。除去、すなわち“脱保護”の段階の間、ジメトキシトリチル(DMT)基が、生長するDNA鎖の最後のヌクレオチドから取り除かれて、次のヌクレオチドの付加を可能にする。各サイクルから放出されるDMT量は、結合の有効性を判断するために監視される。DMTが放出されると明るいオレンジ色が放射されるため、DMTの放出ははっきりと見える。
【0004】
同様の合成方法が、小さな研究室から大きな製造施設にわたる要求を満足させるために、種々のスループットでオリゴヌクレオチドを生成するのに使用されうる。その方法は、比較的に強固であり、1分子当たり少しのヌクレオチドから1分子当たり100を超えるヌクレオチドまでの可変長のオリゴヌクレオチドを扱うことができる。さらに、その方法は、無数の異なる配列を持つオリゴヌクレオチドを生成することができる。その方法の複雑さは、一般の4つのDNAヌクレオチド(A、T、C、及びG)を用いて生成することができる種々のデカマー(decamers;10個のヌクレオチドを持つ分子)の数が、410=1,048,576であるという事実により、明らかである。
【0005】
典型的に、大きな製造施設は、より小さな研究室で用いられる合成器と同様の大量の合成器を使用することにより、高いスループットを達成している。これらの合成器は、典型的に、モノマー付加サイクルの各段階を連続して実行するように構成されており、数個の異なるオリゴヌクレオチドについて、並行して実行することができる。従って、複数のオリゴヌクレオチドの反応の連続は、オリゴヌクレオチド毎に、除去(detritylation)、結合、キャッピング、酸化の順に実行される。サイクルは、完全な長さのオリゴヌクレオチドが得られるまで繰り返される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような合成の多くは、比較的高いスループットを達成するために用いられるけれども、この大規模なやり方は、所望されていない非能率をもたらす。非能率として、例えば、次の試薬が反応に引き渡される前に各定温放置(インキュベーション)段階が完了するのを待っている間、各合成器が遊んでいる時間が挙げられる。さらに、新しい反応容器又は試薬が再装填されるときに、器械が合成反応間の実質的な中断時間を送ることも挙げられる。
【0007】
複数の反応を中断せずに実行し監視することができるような、オリゴヌクレオチドと他の分子を並行して合成可能な合成方法及び装置が要求される。本発明は、この要求を満たすと共に、さらに他の有利な点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態は、分子を連続的に合成するシステムを提供する。反応のステップを順次実行することにより、分子は合成される。このシステムは、(a)反応部位の配列を受け入れるステージ(stage)と、(b)ステーション(station)の配列と、前記ステーションは、(i)順次実行されるステップ中に複数の反応部位に合成反応溶液を別々に且つ連続的に供給する試薬投与ステーションと、(ii)複数の反応部位の少なくとも1つの画像を得る画像化ステーションと、を含み、(c)複数の反応部位が複数の投与ステーションの少なくとも1つ及び複数の画像化ステーションの少なくとも一つと連続的に通信し、ステージ又はステーションの配列を移動させる制御システムと、を有し、制御システムは、システムが複数の反応部位の他の反応部位で分子を合成し続けている間、反応部位の配列から、第1の反応部位を第2の反応部位に取り換える。
【0009】
本発明の他の実施形態は、分子を連続的に合成する方法を提供する。反応のステップを順次実行することにより、分子は合成される。この方法は、(a)反応部位の配列を含むステージを提供するステップと、(b)順次実行されるステップ中に反応部位に合成反応溶液を別々に且つ連続的に供給するように構成された試薬投与ステーションから複数の反応部位に合成反応溶液を連続的に提供するステップと、(c)画像化ステーションで、複数の反応部位の少なくとも1つの画像を連続的に得るステップと、(d)システムが複数の反応部位の他の反応部位で分子を合成し続けている間、反応部位の配列から、第1の反応部位を第2の反応部位に取り換えるステップと、を有する。
【0010】
また、ポリマーを連続的に合成するシステムが提供される。モノマーは、反応の順次実行されるステップを繰り返すことにより、生長するポリマーに加えられる。このシステムは、(a)モジュールの配列を有するステージと、前記モジュールは、一定の順序及び一定の間隔で反応部位の配列を受け入れる構成を有し、(b)ステップを順次実行する、ステーション配列と、ステーションは、(i)複数の反応部位に順次実行されるステップ中に合成反応溶液を供給する投与ステーションと、(ii)複数の反応部位の少なくとも1つの画像を得る画像化ステーションと、を含み、(c)複数の反応部位から合成反応溶液を取り除く、少なくとも1つの溶液除去装置と、ステーションの相対的位置は、ステーション配列に関して固定であり、(d)複数の反応部位のステーションとの順次通信及び少なくとも1つの溶液除去装置による溶液の除去のスケジュールで、モジュールの配列又はステーション配列を移動させる制御システムと、を有し、ステーションの相対的位置とスケジュールは、反応の順次実行されるステップの順序及び継続時間とに相関している。
【0011】
さらに、ポリマーを連続的に合成する方法が提供される。モノマーは、反応の順次実行されるステップを繰り返すことにより、生長するポリマーに加えられる。この方法は、(a)反応部位の配列を有するステージを提供するステップと、前記反応部位は、一定の順序及び一定の間隔で配置されており、(b)ステップを順次実行する、ステーション配列を提供するステップと、ステーションは、(i)複数の反応部位に順次実行されるステップ中に合成反応溶液を供給する投与ステーションと、(ii)複数の反応部位の少なくとも1つの画像を得る画像化ステーションと、を含み、(c)複数の反応部位から合成反応溶液を取り除く、少なくとも1つの溶液除去装置を提供するステップと、ステーションの相対的位置は、ステーション配列に関して固定であり、(d)複数の反応部位のステーションとの順次通信及び少なくとも1つの溶液除去装置による溶液の除去のスケジュールで、反応部位の配列又はステーション配列を移動させるステップと、を有し、ステーションの相対的位置とスケジュールは、反応の順次実行されるステップの順序及び継続時間とに相関している。
【0012】
本発明の実施形態は、さらに、ポリマーを連続的に合成する方法を提供する。モノマーは、反応の順次実行されるステップを繰り返すことにより、生長するポリマーに加えられる。この方法は、(a)モジュールの配列を備えた円形テーブルを提供するステップと、このモジュールは、円形路に沿って一定の順序及び一定の間隔でマルチウェルプレート配列を受け入れるように構成されており、(b)マルチウェルプレート配列の各マルチウェルプレートがステーション配列に(i)〜(viii)の順で順次通じるように円形テーブルを回転させるステップと、(i)ブロック解除(deblock)試薬をブロック解除試薬投与ステーションでマルチウェルプレートに供給し、(ii)ブロック解除試薬を加えてから所定の時間間隔後にブロック解除試薬除去ステーションでマルチウェルプレートからブロック解除試薬を取り除き、(iii)モノマー試薬投与ステーションでモノマー試薬をマルチウェルプレートに供給し、(iv)モノマー試薬を加えてから所定の時間間隔後にベース試薬除去ステーションでマルチウェルプレートからモノマー試薬を取り除き、(vii)キャップ(cap)試薬投与ステーションでキャップ試薬をマルチウェルプレートに供給し、(viii)キャップ試薬を追加してから所定の時間間隔後に、キャップ試薬除去ステーションでキャップ試薬をマルチウェルプレートから取り除き、複数の投与ステーションは、反応の順次実行されるステップの順序に対応する一定の空間的な関係でステーション配列として構成されており、第1、第2、及び第3のマルチウェルプレートのそれぞれについて、ステップ(b)を繰り返して実行するステップと、を有し、システムが、第1のマルチウェルプレートでポリマーを連続的に合成している間、第2のマルチウェルプレートは第1のモジュールから取り外され且つ第3のマルチウェルプレートは第1のモジュールに取り付けられ、第1のマルチウェルプレートについての少なくとも1回の繰り返しが、第2のマルチウェルプレートについての少なくとも1回の繰り返しと同時に起こり、第1のマルチウェルプレートについての少なくとも1回の繰り返しが、第3のマルチウェルプレートについての少なくとも1回の繰り返しと同時に起こる。
【0013】
また、ポリマーを連続的に合成するシステムが提供される。モノマーは、反応の順次実行されるステップを繰り返すことにより、生長するプリマーに加えられる。このシステムは、マルチウェルプレート配列を含むステージと、このマルチウェルプレートは、円形路に沿って一定の順序及び一定の間隔で配置されており、ステップ中に合成反応溶液をマルチウェルプレートに供給する、投与ステーション配列と、投与ステーションの相対的位置は、順次実行されるステップの順序に対応する一定の空間的な関係にあり、投与ステーション配列又はマルチウェルプレート配列を移動させ、投与ステーションを作動させる制御システムと、を有し、投与ステーションは、投与ステーション配列又はマルチウェルプレート配列が移動している間、マルチウェルプレートに溶液を投与する。
【0014】
本発明は、さらに、ポリマーを連続的に合成する方法を提供する。モノマーは、反応の順次実行されるステップを繰り返すことにより、生長するポリマーに加えられる。この方法は、マルチウェルプレート配列を有するステージを提供するステップと、マルチウェルプレートは、円形路に沿って一定の順序及び一定の間隔で配置されており、ステップ中に合成反応溶液をマルチウェルプレートに供給する、投与ステーション配列を提供するステップと、投与ステーションの相対的位置は、順次実行されるステップの順序に対応する一定の空間的な関係にあり、投与ステーション配列又はマルチウェルプレート配列を移動させるステップと、ステーション配列又はマルチウェルプレート配列が移動している間、投与ステーションから反応の順次実行されるステップ中に反応溶液を投与するステップと、を有する。
【0015】
他の実施形態は、分子を連続的に合成するシステムである。分子は、反応のステップを順次実行することにより合成される。このシステムは、複数の反応部位を受け入れるステージと、各反応部位に試薬を配送する複数の投与ステーションと、反応部位が投与ステーションから試薬を順次受け取るように、ステージ又はステーション配列を移動させる制御システムと、を有し、制御システムは、システムが他の反応部位で分子を合成し続けている間、第1の反応部位を第2の反応部位に取り換える。
【0016】
さらに他の実施形態は、分子を連続的に合成する方法である。分子は、反応のステップを順次実行することにより合成される。この方法は、複数の反応部位を受け入れるステージを提供するステップと、反応部位が少なくとも1つの投与ステーションから反応溶液を順次受け取るようにステージを順次移動させることにより、複数の反応部位に合成反応溶液を順次供給するステップと、システムが他の反応部位で分子を合成し続けている間、第1の反応部位を第2の反応部位に取り換えるステップと、を有する。
【0017】
さらに他の実施形態は、分子を連続的に合成するシステムである。分子は、反応のステップを順次実行することにより合成される。このシステムは、複数の反応部位を受け入れるステージと、各反応部位に試薬を配送する複数の投与ステーションと、反応部位が投与ステーションから試薬を順次受け取るように、ステージ又はステーション配列を移動させる手段と、システムが他の反応部位で分子を合成し続けている間、第1の反応部位を第2の反応部位に取り換える手段と、を有する。
【0018】
他の実施形態は、分子を連続的に合成するシステムであって、互いに一定の順序及び一定の間隔で配置された複数の反応部位を有するステージと、反応部位に試薬を配送して反応を開始させる複数の投与ステーションと、投与ステーションは、互いに一定間隔でステージに沿って位置付けられており、第1の反応部位の第1の反応が、第2の反応部位の第2の反応が始まる前に完了するように、所定のスケジュールで試薬を反応部位に順次投与するように構成された制御システムと、を有し、間隔とスケジュールは、反応を完了させるのに必要なステップの順序と継続時間とに相関している。
【0019】
他の実施形態は、分子を連続的に合成するシステムである。この実施形態は、互いに一定の順序及び一定の間隔で配置された複数の反応部位を有するステージと、反応部位に試薬を配送して反応を開始させる複数の投与ステーションと、投与ステーションは、互いに一定間隔でステージに沿って位置付けられており、その間隔は、反応を完了させるのに必要な時間と相関しており、反応部位の第1の反応が、その反応部位の第2の反応が始まる前に完了するように所定のスケジュールで試薬を反応部位に順次投与する手段と、を有し、間隔とスケジュールは、反応を完了させるのに必要なステップの順序と継続時間とに相関している。
【0020】
さらに他の実施形態は、分子を連続的に合成する方法であって、互いに一体の順序及び一定の間隔で配置された複数の反応部位を有するステージを提供するステップと、反応部位に試薬を配送して反応を開始させる複数の投与ステーションを提供するステップと、投与ステーションは、互いに一定間隔でステージに沿って位置付けられており、その間隔は反応を完了させるのに必要な時間に相関しており、反応部位の第1の反応が、その反応部位の第2の反応が始まる前に完了するように所定のスケジュールで反応部位に試薬を順次投与するステップと、を有し、間隔とスケジュールは、反応を完了させるのに必要なステップの順序と継続時間とに相関している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
この出願は、合衆国法典第35巻(35 U.S.C.)第119条(e)の規定により、2005年9月14日に出願されたU.S.仮出願60/717,376の優先権を主張する。U.S.仮出願60/717,376は参照することにより、その全体がここに組み込まれる。
【0022】
本発明の実施形態は、高分子などの複数の異なる分子を連続的に合成するシステムに関する。本発明のシステムは、反応部位の配列と、合成操作を実行する、ステーション配列とを有する。配列状の反応部位は、互いに関連して一定の順序及び一定の間隔で配置されうる。例えば、マイクロタイタープレートの配列は、円形テーブルの外縁に沿って、配置されうる。各反応部位(すなわち、くぼみ)は、配列状の他の反応部位で合成される生成物に対して、異なる対象の生成物に関連付けられる。同様に、ステーションは、互いに一定の順序及び一定の間隔で配置されうる。例えば、ステーションは、マイクロタイタープレート配列のレイアウトに対応する周囲を持つ円形配列状に配置されうる。各ステーションは、配列状の他のステーションに対して異なる操作を実行しうる。ステーションが各反応部位で反応計画の所望のステップを実行するように、2つの配列は互いに関連して動かされうる。ステーションの相対的位置と相対的移動のスケジュールは、反応部位がステーションの全ての配列と接触する1サイクルを完了させると反応計画が終了するような反応計画の反応ステップの順序及び継続時間とに相関しうる。例えば、ステーションの順序とステーション間の間隔と各プレートの移動速度とが、試薬の配達の順序と、モノマー付加反応サイクルが完了するまでの反応時間とに対応する場合、円形テーブル上のマイクロタイタープレート内に入れられるオリゴヌクレオチドは、単一ヌクレオチドを追加することにより、それぞれ伸ばされる。
【0023】
上述の構成に従って、以下にさらに詳細を説明する。個々の反応部位で満たされる各ラップ(lap)(すなわち、円形テーブルが使用される実施形態のフル回転)は、生長するオリゴヌクレオチドの鎖への単一ヌクレオチドの付加に対応しうる。さらに、反応部位の配列中の数個の反応部位は、システムにより、類似の、繰り返しのラップに沿って動き、システムによる連続の合成をもたらす。本発明のシステム又は方法を用いることにより、試薬は、定温放置(インキュベーション)中、すなわち他の反応ステップが第2の反応部位で生じている間、第1の反応ステップに従って、活発に配送され又は第1の反応部位から取り除かれる。(この識別子“第1”及び“第2“は、2つの名詞を区別するためにこの明細書中で用いられる。他の方法で示さないかぎり、この識別子は空間的な又は時間的な順序を表示しようとするものではない。)従って、ステーション配列は、反応部位の配列との空間的及び時間的関係において、複数の反応部位が所定時間で反応の異なるステップを受けると共に、反応が多数の反応部位で同時に生じることにより、連続で及び同時に反応が行われるように、構成されうる。
【0024】
本発明の実施形態は、システムが連続的に第3の反応部位で分子を合成している間、第1の反応部位を第2の反応部位に取り替え可能にするように構成されるシステムを提供する。よって、第1の反応部位(すなわち、マイクロタイタープレートなどの反応部位のマトリックス)は、他の反応部位(すなわち、反応部位のマトリックス)で生じている合成反応を中断することなく、個別に追加され、又はシステムから取り除かれうる。これにより、反応部位の配列における連続合成の利点を提供できる。さらに、有利なことは、異なるポリマーのそれぞれの反応部位は、システムにより異なる数のラップを満たし、反応部位は、他の部位で生じている反応が混乱しないように独立した方法で、システムから取り除かれ又はシステムに追加されうるので、種々の長さを持つポリマーが、反応部位の配列において連続且つ同時に合成されうることである。
【0025】
一実施形態において、システムは、外縁に沿って複数の反応部位を保持する円形プレートを有する。円形プレートの外縁に沿って、一連のステーションが配置されている。各ステーションは、ポリマー合成プロセスに関連する特定の活動を行うように構成されている。円形プレートは回転するので、反応部位は、円形プレートの外縁に沿って、円形パターン状に移動する。外周のまわりに位置付けられたステーションは、反応プレートがステーションの下を通過して、各ステーションが反応プレートに従って活動しうるように、配置される。一実施形態において、反応部位は、反応溶液を反応部位に投与するように構成されたステーションの下を通る。コンピュータ制御システムは、各反応部位に投与する適当な溶液を判断し、円形プレートの動きをステーションの位置に合わせるように、プログラムされている。装置内の他のステーションは、反応部位の画像を集めるか又は反応部位を追加又は取り除くように構成されている。
【0026】
本発明の合成器は、検査される溶液を配送するために構成されている。マルチウェルプレート配列などの反応部位の配列は、円形テーブル又は他のステージなどの剛体の運搬装置に取り付けられうる。運搬装置は、配列の他の反応部位と比較して各反応部位の位置が、典型的な合成器の動作中に、実質的に変動しないように、一般的に十分に堅い。光学センサが、投与ステーションのそれぞれについて配置され、剛性運搬装置上のマルチウェルプレートの位置が、それぞれのディスペンサについて決定されうる。これは、投与のタイミングのマルチウェルプレートの特定の最適化を可能にし、反応部位に対するディスペンサの位置決め公差を補正する。例えば、円形テーブル上の各マルチウェルプレートの位置は、ディスペンサの発射(firing)のタイミングが、個々のくぼみに試薬を正確に配送するために、プレートの回転と相関するように、決定されうる。反応部位の相対的な位置が実質的に変わらない限り、合成器、1以上の投与ステーション、又は剛性運搬装置の組立品に従って、検定が必要とされるだけである。さらに、突き止めた位置データはファイルに保存され、機械の分解が生じない限り、変更される必要はない。
【0027】
詳細を後述するように、システムの実施形態は、反応部位の配列が移動している間、反応溶液を投与するために提供される。例えば、反応部位が反応ステーションに近づくと、コンピュータ制御システムは反応溶液を投与するための適当な時間を判断し、反応部位が投与ステーションの投与バルブの下を通過する適当な瞬間に反応溶液を投与するように投与ステーションに対して命令する。もちろん、投与ステーションは、複数の溶液を別々のバルブから移動中の複数の反応部位に投与するように構成されてもいい。例えば、反応部位は、従来のマイクロタイタープレートのくぼみであってもよく、投与ステーションは、同じ時間で又は高速連続で、マイクロタイタープレートの全ての行又は全ての列のくぼみに反応溶液を投与するように構成されてもよい。特定の実施形態では、バルブの線状配置が、コンピュータ制御システムにより指示され、順次に、マイクロタイタープレートの弓形の軌道に一致する方法で、試薬を投与可能にしている。
【0028】
本発明の合成器は、さらに、局部的な貯蔵器を備えた投与ノズルを有する。剛性反応のために試薬は、流体内で適当な投与ノズルと接触する大きな貯蔵タンク内に保存される。局所貯蔵器は、試薬の高速配送と、合成の継続中における多量の試薬の大きな貯蔵タンクへの置き換えとを可能にする。
【0029】
本発明の他の実施形態は、反応溶液が投与され又は取り除かれた後、反応部位のデジタル画像を撮影し、その画像を処理して反応溶液が適当な部位に投与されたかどうか又は適当な部位から取り除かれたかどうかを判断するように構成された、画像システムに関連する。システム内の品質管理モジュールが、特定の部位が適切に反応溶液を受け取らなかった又は取り除かなかったと判断すると、その部位での反応のさらなるステップは中止すべき又は反応部位がそのシステムから取り除かれるべきであることを示すエラーフラグが付けられうる。画像化ステーションの有利な点は、画像化ステーションが、上流のディスペンサが機能し、プレートの除去が成功したことをリアルタイムに確認できるようにし、合成サイクルの一時停止と下流の反応を断念することなしに整備を行うことを可能にすることである。
【0030】
一実施形態において、システムは、装置の円周状に配置された一連の投与ステーションと、一以上の投与ステーションに近接する、反応溶液が反応容器内に投与された後に反応部位の画像を撮影するように構成されたデジタルカメラと、を有する。
【0031】
全ての反応部位が、全ての反応ステーションで反応溶液を受け取る必要があるわけではないことは当然である。よって、画像化システムは、好ましくは、特定の反応部位が反応溶液を受け取ったと考えられるかどうかを判断し、もしそうであれば、反応部位が容器内にそのような溶液を含んでいるかどうかを判断するようにプログラムされている。
【0032】
本発明のシステムは、さらに、連続的に利用できる溶液除去装置を有する。反応溶液の除去は、特定のステーションでのみ生じるように制限される必要はない。むしろ、反応溶液の除去は、合成反応シーケンス中のどの時間でも又は本発明のシステムの反応部位により横断される経路に沿ったいずれの位置でも生じえる。特定の実施形態では、バルブ減衰真空排気装置(valve attenuated vacuum evacuation device)が、合成反応中、常に、マルチウェルプレート配列の個々のマルチウェルプレートについて利用できる。
【0033】
本発明のシステムは、さらに、反応部位上の不活性ガスの流れを提供するガスナイフ(gas knife)を有する。特定の実施形態では、ガスナイフは、合成反応中、常に、各部位上に保持される。装置は、不活性ガスの長方形噴流、すなわち、層流又は乱流のいずれかを供給するのに用いられうる。不活性ガスの長方形噴流は、マルチウェルプレートの上面又は他の反応部位の上を接線方向に吹かれる。装置は、マルチウェルプレートが合成経路に沿って動いている間、ガスナイフがマルチウェルプレートのそれぞれと共に移動するように構成されうる。ガスナイフは、蒸気相に入った揮発性試薬又は溶媒を移動させることにより、反応部位間の汚染を低減するという効果をもたらす。また、ガスナイフは、投与ステーションにより生成された不必要な蒸気から各反応部位を保護できる。
【0034】
一実施形態では、本発明により提供されるシステムは、反応部位の円形配列を備えたオリゴヌクレオチド合成器を有する。この実施形態では、反応部位の配列が回転を終える度に、一つのヌクレオチド塩基が各部位でオリゴヌクレオチドに加えられる。この実施形態は、複数の反応溶液投与ステーションを有する。第1のステーションはアデノシンを投与し、第2のステーションはチミジンを投与し、第3のステーションはシチジンを投与し、第4のステーションはグアノシンを投与する。さらに、円形配列の外周に沿って配置された他の投与ステーションが、オリゴヌクレオチドを合成するために必要な他の反応溶液を投与するように構成されうる。例えば、投与ステーションは、オリゴヌクレオチドの鎖を合成するステップに従って、除去(detrytilation)、結合(coupling)、キャッピング(capping)、及び酸化(oxidation)に関する反応溶液を投与しうる。
【0035】
本発明の他の実施形態は、他の高分子を合成するシステムを提供する。例えば、合成器は、ポリペプチドを合成する反応溶液を投与するように構成されうる。固体担体についてのペプチドの合成処理は、ペプチドをカルボキシル末端から組み立てることを含む。ペプチドは、そのカルボキシル末端のアミノ酸を介して、固体担体に取り付けられ、さらに、アミノ末端のα−アミノ基についての保護基を有する。保護基は、ペプチドから開裂され、無保護のペプチドを形成する。単量体のアミノ酸は活性型に定められ、活性化試薬がアミノ酸と生長するペプチドに加えられうる。試薬除去ステップ間で、洗浄が実行されうる。先のアミノ酸を脱保護し、追加のアミノ酸を結合するサイクルは、所望の長さのペプチドが合成されるまで繰り返されうる。アミノ酸の反応性側鎖は、一般的に、結合とα−アミノ脱保護の手順に耐えうる化学基により保護される。しかしながら、反応性側鎖の保護基は、合成の終了時に取り除かれうる。よって、本発明の合成器の各ディスペンサは、洗浄溶液、脱保護試薬、アミノ酸、又は活性化試薬を投与するように構成されうる。ステーション配列の相対的配置、反応部位の配列の相対的配置、及び配列を互いに通じさせるスケジュールは、ここでの開示とペプチド合成の公知の反応計画とに従って相関しうる。ペプチド合成の公知の反応計画は、例えば、Goodman、他(Eds.)著の「ペプチドとペプチド模倣薬の合成(Synthesis of Peptides and Peptidomimetics)」, Vol. E22a. Georg Thieme Verlag, Stuttgart(2002)に記載された内容を含む。
【0036】
特定の合成器の実施形態の概観
図1は、連続的なポリマー合成器10の一実施形態の図である。図示したように、合成器10は、回転テーブル20を支持する六角形の基部15を有する。回転テーブル20は、中心軸の周りを回転するように作動できるように基部10内に設けられる。回転テーブル20の外縁の周りには、一連のプレートモジュール500が配置されている。各プレートモジュール500は、マルチウェルプレートを保持するように設計されたプレートホルダ(図示せず)と共に取り付けられている。この構成について、さらに詳細を以下に説明する。
【0037】
当然ながら、本発明の実施形態は、プレートホルダ又はマルチウェルプレートの特定の構成に限定されることはない。例えば、連続的なポリマー合成器内で用いられる、どんな種類の反応部位でも本発明の範囲内に含まれる。このような反応部位は、例えば、マイクロタイタープレート又はフィルターボトムプレート(filter bottom plate)などのマルチウェルプレートのくぼみと、エッピンドルフの管(Eppendorf tubes)と、シリコンチップ又はスライドガラスなどのマイクロアレイの基質と、各種の公知の基質又は反応溶液を保持する容器とを含む。当業者であれば、マイクロタイタープレートに関してここで例示された実施形態が、容易に他の反応部位に適応できることは明らかである。
【0038】
例を挙げるために、本発明は、円形経路に沿って移動する反応部位の配列を支持するステージとして、回転テーブルを用いて例示される。しかしながら、ここで説明された発明に従って連続合成を行うことができさえすれば、他のステージ又は構成もまた有用である。例えば、ステージは、直線形状、又は曲線形状(円、楕円、又は他の形状の全部又は一部に対応する。)を含む経路で、反応部位を移動させることができる。典型的に、本発明のステージは、反応部位が互いに関連して、一定の順序及び一定の間隔で配置されるような反応部位の配列を受け入れるように構成される。よって、反応部位の配列は、配列内の反応部位の相対的位置が変化しないようにして動かされうる。しかしながら、望まれる場合には、本発明で使用されるステージは、配列内の反応部位の相対的位置が変化できるようにして個々の反応部位の移動ができるように構成されうる。さらに、例えば、ステーションの配列が代わりに動かされる実施形態では、ステージは動く必要がなく、静止することができる。
【0039】
ここで用いられるように、複数の分子の合成に関連して用いられる用語“連続的な(continuous)”は、各モジュールの合成に関するステップの順序とステップ間の時間間隔が反応スケジュールに従って発生し、そのスケジュールが他の分子について発生する操作によって変更されないことを意味する。その操作は、反応スケジュールに従って発生するステップ、合成反応を始める又は終了するのに利用されるステップ(反応容器を合成装置に追加する又は合成装置から反応容器を取り除くなど)、活動的でないステップ(定温放置(インキュベーション)ステップ中、反応部位で試薬を保持するなど)、又は反応スケジュールと異なるステップ(失敗した合成反応について反応溶液を早期に取り除くなど)を含む。よって、反応溶液の取り替えの要求にエラーが発生した場合であっても、複数の分子を連続して合成するシステムは、中断せずに他の分子の反応を処理することができる。連続的な合成は、本発明のシステムのどの部分に対しても連続的な移動を必要とすると解釈されるべきでない。連続的な合成器は、例えば、回転テーブルが向きを変えているときに移動を中止してもいいし、連続的な合成が回転テーブルのマルチウェルプレートで生じている間、移動を中断してもいい。
【0040】
従って、本発明の実施形態は、反応部位の配列又はステーション配列が、反応部位がステーションと順次通じるスケジュールで移動する、システム及び方法を提供する。ステーションの相対的な位置とスケジュールは、特定の反応の順次実行されるステップの順序及び継続時間とに相関する。ここで用いられるように、用語“反応のステップ(steps of a reaction)”は、実行される操作、又は化学変換又は化学変化の発生を可能にする操作を意味する。用語“反応スケジュール(reaction schedule)”は、化学変換又は化学変化のために実行される操作の所定の順序及び継続時間を意味する。
【0041】
図1の例示的な合成器に戻ると、回転テーブル20が基部15内で回転すると、回転テーブル20に取り外し可能に装着されたプレートホルダ(図示せず)を有するプレートモジュール500が、回転テーブル20の外周に沿って回転する。合成器10の上端には、一連のディスペンサ35A〜35Fとカメラ38A〜38Eとが、位置を固定されて搭載されている。これについて、図2を参照してさらに十分に説明する。回転テーブル20が中心軸の周りで移動しているとき、プレートモジュール500のそれぞれは、徐々にディスペンサ(反応溶液がマイクロタイタープレートに投与されうるように、“投与ステーション(dispensing stations)”と名付けられる。)の真下に移動することに留意すべきである。一実施形態において、反応溶液は、回転テーブル20が移動している間、投与バルブにより、マイクロタイタープレートに投与される。投与バルブは、“投与ノズル(dispensing nozzles)”とも呼ばれ、一般的に静的であり、合成サイクルにおいて試薬が運ばれている間、ディスペンサに対して移動しない。
【0042】
図1で示される実施形態において、フィードバック機構が、ディスペンサのバルブに関連して回転テーブルの位置を判断するのに用いられうる。このような判断は、動作中又は特定の時間で継続的に行われ、例えばシステムに対して行われる調整に従う。一実施形態において、センサが、マイクロタイタープレート又は他の反応部位についての基準の位置を決定するのに用いられる。センサが回転テーブルの位置を決定すると、この位置情報がロータとディスペンサノズルのバルブのタイミングとを制御するシステムにフィードバックされる。一実施形態では、基準は、マイクロタイタープレートのリブ又はくぼみの縁など、塑性構造である。これに加えて又はこれに代えて、検出可能な装置又は機材が、反応部位の代わりに一時的に用いられうる。例えば、これらは、検定ステップ中、回転テーブル20上のプレートモジュール内に一時的に配置される。
【0043】
一実施形態において、回転テーブル20は、テーブルの外周に沿って配置されたプレートモジュールが、各ディスペンサの下を通過するときに略直線状の軌道をたどるほどに十分に大きな直径を持つ。例えば、図2に示す回転テーブルは、テーブルの外縁に配置されたマイクロタイタープレートが、テーブルの外周に近い円形路をたどるように、約77”の直径を持ってもよい。テーブルの直径が増加すると、テーブルの縁に沿ったプレートの経路は、外周の増加と共にさらに明らかに直線状になる。よって、本発明で用いられる回転テーブルの直径は、少なくとも約77”、80”、85”、90”、100”又はそれよりも大きなサイズから選択されうる。また、より小さな直径を用いることができることが理解されるだろう。例えば、より少ない反応部位が用いられる場合には、回転テーブルの直径は、少なくとも60”、54”、48”、42”、又は36”又はそれよりも小さなサイズであってもいい。反応部位が回転テーブルの外縁上に配置されない場合の実施形態において、上述で例示された直径とそれに対応する外周が、反応部位の円形路の寸法に適応できることを、当業者は理解するだろう。
【0044】
図1及び図2で示される例示的なシステムは、正味時計回りの方向に移動する。しかしながら、システムは、反時計回りの方向に移動してもよい。例えば、反応部位は、回転テーブルが時計回りの方向に移動している間、特定の投与ステーションからマイクロタイタープレートに投与されうる。それから、回転テーブルの移動方向が、時計回りから反時計回りの方向に変えられる。テーブルが進む反時計回りの距離は、画像化ステーション38A〜38Eの一つにより画像化される位置に、マイクロタイタープレートが位置付けられる、距離である。それから再び、回転テーブルの方向が変えられ、画像化されたマイクロタイタープレートは、時計回りで、特定の投与ステーションを通り過ぎて、次の投与ステーションに移動する。数回、方向が変わるけれども、回転テーブルの移動は、正味の移動が時計回りの方向になるように発生する。さらに、テーブルの移動とステーションの配置は、図4に示す反応計画に従って、全てのマイクロタイタープレートが反応物を受け取り、反応物を定温放置することを可能にするので、連続的な合成が各マイクロタイタープレート(図2の符号1〜36)で発生する。
【0045】
本発明のシステムは、回転テーブル又は反応部位の配列を受け入れるための他のステージを使用してもしなくても、上述した二方向で、又はシステムの特定の適用に合う単一の方向で移動できることは理解されるだろう。よって、画像化ステーションは、システムの正味の移動経路の特定の投与ステーションの前後のいずれかに配置されうる。画像化ステーションは、各反応部位の画像が1以上の反応溶液が投与された後に撮影されうるように、1以上の投与ステーションの位置と関連して且つシステムの移動に関連して配置されうる。本発明で有用な画像化ステーションの特定の実施形態について、以下さらに詳細に説明する。
【0046】
画像処理システムで動く画像処理ソフトウェアは、画像のコピーを受け取って、その後、適当な溶液が各反応容器に実際に投与されたかどうかを判断するように構成されうる。一実施形態において、画像処理システムは、マイクロタイタープレートの1以上のくぼみが満たされているか又は空かを判断する。他の実施形態において、画像処理システムは、各くぼみ内の反応溶液の吸光度特性(吸収された光の波長、又は1以上の波長の光学濃度など)を判断できる。くぼみ内の反応溶液の吸光度特性は、この明細書内で説明する方法又はこの技術分野で公知の方法(例えば、米国特許出願公開第2004/0219063号に記載の方法)を用いて、比色反応の収率を判断するのに用いられうる。画像処理ソフトウェアが、ディスペンサが反応溶液をマイクロタイタープレートの特定のくぼみに適切に加えなかったこと、又は所望レベルの色が存在しないことを決定した場合、そのくぼみ、又はそのくぼみを含むプレートは、連続的な合成器10内で発生する合成反応の進捗を監視する実験情報管理システム(LIMS)内で、不良として印を付けられうる。
【0047】
当業者は、本発明において有用な画像化ステーションが、光学特性(限定されないが、吸光度、蛍光性、化学発光、偏光、円偏光二色性、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、光散乱、などを含む。)などの反応部位の種々の検出可能な特性を検出するように構成されうることを認識するだろう。さらに、ここで説明されるような光学検出装置は変更され、又は光学特性を監視するのに適した種々の公知の検出装置により置き換えられうることは、当業者であれば容易に理解できる。さらに、本発明は、1以上の範囲の電磁スペクトル(限定しないが、赤外線、可視、紫外線、X線、マイクロ波、可視領域の赤、青、又は黄色などの小領域、これらの領域の組み合わせ又は小領域、又はスペクトルの他の領域を含む。)内で生じる光学特性の変化を検出するのに用いられうる。
【0048】
本発明で有用な画像化ステーションは、カメラ装置を有する。カメラ装置は、例えば、限定しないが、スウェーデンのルンドのアクシスコミュニケーションズ(AXIS Communications, Inc.)から提供されているAXIS2100ネットワークカメラを含むタイプのCCD(Charge Couple Device)カメラである。当然、他のタイプのカメラを、本発明に従って用いることもできる。本発明で用いられるカメラは、位置依存性の方法で、検出可能な光学特性を信号に変換する装置である。例えば、本発明で有用な典型的なカメラは、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラ、ビデオカメラ、インターネットカメラ、又は写真をデジタル画像に変換することができる他の画像化装置を含む。この技術で知られている他の画像化装置は、例えば、米国特許出願公開第2004/0219063号に記載のものを含む。
【0049】
上述したように、本発明の実施形態は、マルチウェルプレート内の一つのくぼみが不良であると決定された場合であっても、そのマルチウェルプレート内でポリマーを合成し続けることが可能な合成器を有する。例えば、画像化システムが、マルチウェルプレートの一つのくぼみにそこに加えられるべき反応溶液がなかったと判断しても、全体のマルチウェルプレートが不良であるという印を付けられる必要はない。むしろ、特定のくぼみが、合成失敗として示されうる。よって、システムは、失敗したくぼみへの溶液の配送が中断して試薬の浪費を避けている間、ポリマーを合成するために、マルチウェルプレートの他のくぼみに溶液を配送し続けうる。さらに、合成器は、マルチウェルプレート配列内の一つのマルチウェルプレートが、失敗したプレートとして識別された場合であっても、配達又は他のプレートで試薬の定温放置をかき乱すことなく、失敗したプレートでの合成を選択的に中断でき、又は失敗したプレートを選択的に回転テーブルから取り除くことができるので、他のマルチウェルプレート内でポリマーを合成し続けることができることは理解されるべきである。
【0050】
図2は、本発明で有用な、回転テーブル20、投与ステーション35A〜35F、及び画像化ステーション38A〜38Fの概略図である。図示されるように、合成器10のプレートモジュール500にプレートホルダを取り付けるように構成されたロードステーション45が存在する。ロードステーションは、マルチウェルプレート又は他の反応部位の取り付け及び取り外しの両方ができるように構成される。または、これに代えて、分離ステーションが、反応部位を取り付け及びシステムから取り外すのに用いられうる。プレートモジュールとそれに関連するプレートホルダについて、図5A〜図5Dを参照してさらに具体的に説明する。それぞれマイクロタイタープレートを支持するプレートホルダが、手動で又はロボットアームなどの自動操作装置を用いて、合成器10に取り付けられることがわかる。さらに、唯一のバーコードが各マイクロタイタープレートに付与され、各マイクロタイタープレートが合成器10に配置されてから取り除かれるまで、自動的に追跡されうる。コンピュータ制御システムは、後述するように、各マイクロタイタープレートが回転プレートの上へ移動して及び回転プレートから離れるように移動しているときに、各マイクロタイタープレートの進行を監視し、これにより、合成器により実行される反応を常に制御し続ける。一実施形態においては、バーコードスキャナが、自動操作装置に関連付けられて、合成器10に取り付けられる又は合成器10から取り外される各プレートが、LIMS内で走査及び追跡される。
【0051】
図2に示すように、合成器10は、マイクロタイタープレート又は他のマルチ反応部位の基質内でオリゴヌクレオチドを製造するように構成されうる。マイクロタイタープレートの各くぼみは、所定の要求に基づいて合成される異なるオリゴヌクレオチドに割り当てられる。この割り当てに基づいて、後述するように、LIMSは、各ディスペンサに適当な反応溶液を適当なくぼみに出力するように命令する。各ディスペンサは、1以上のバルブを有し、各バルブは反応溶液をマイクロタイターのくぼみに正確に投与するように構成されている。
【0052】
プレートホルダが回転テーブル20のプレートモジュール500に取り付けられると、そのプレートモジュールは洗浄ステーションディスペンサ35Aの下に入る。プレートモジュールがディスペンサ35Aの下に入ると、ディスペンサ35Aのバルブがマイクロタイタープレートのくぼみに洗浄溶液を出力する。一実施形態において、ディスペンサは、マイクロタイタープレートの24個のくぼみに洗浄溶液を投与するように構成された、個々に制御される24個のバルブを有する。図8に示すように、投与ノズルは、384個のくぼみを持つマイクロタイタープレート515の1以上の行又は列のくぼみのパターンに合致するように構成される。マイクロタイタープレートが洗浄ディスペンサ35Aの下を通過すると、各バルブは、マイクロタイタープレートの各くぼみに所定量の洗浄溶液を放つように調節される。一実施形態において、洗浄溶液は、アセトニトリル(ACN)洗浄溶液である。洗浄ステーション又は他の溶液投与ステーションで使用される投与ノズルの数は、反応部位の数より少なくてよい。図示するように、24個のバルブを備えた上述した例のシステムは、24個のバルブのそれぞれが16回発射して、マイクロタイタープレートの16個の行を全て充填することにより、マイクロタイタープレートの384個のくぼみのすべてに溶液を配送することができる。よって、投与ステーションは、例えば、マイクロタイタープレートの一つの行又は列に対応する一つの直線状に配置されたバルブ、又はマイクロタイタープレートのくぼみの全て又は一部に対応する行列のマトリックスを形成する複数の直線状に配置されたバルブを有することができる。
【0053】
洗浄溶液は、各くぼみに投与された後、所望の時間定温放置され、それから真空源などの溶液除去装置を用いて取り除かれうる。一実施形態において、真空源は、回転テーブルが回転している間プレートモジュールと連続的に通じる。バルブが、真空源とプレートとの間での減衰通信(attenuated communication)のために、真空源とプレートとの間に配置されうる。真空源は、溶液除去装置として動作し、マイクロタイタープレートから溶液を取り除く。この実施形態において、マイクロタイタープレートは、マイクロタイタープレートの底面が液体を透過させることができる“フィルターボトム”タイプのプレートである。フィルターボトムマイクロタイタープレートとして、例えば、(チコピー(Chicopee)、MA−innovativemicroplate.com)のInnovative Microplateを利用できる。一般的に、生長するオリゴヌクレオチドは、くぼみ又は固体基質に共有結合し、フィルタを通過しない。よって、生長するオリゴヌクレオチドは、真空が実行されても、くぼみ内に残る。真空排出が可能な反応部位を有する他の基質、例えば、フィルタディスク又はチップが本発明で同様に用いられることを、当業者は理解できる。
【0054】
上述した実施形態では、一つの真空源がマルチウェルプレートに接続されうる。例えば、真空ポンプが、回転テーブルから離れた位置に配置されて、電気的に滑る輪を備えた回転ユニオン(継ぎ手)を介して、プレートと通じる。図2に示すように、一連の真空ライン48A〜48Gが、回転テーブル20の中心の穴50から動き、各プレートモジュール500と接続しうる。例示のために、図2では真空ラインの一部のみが示されている。しかし、配列状のマルチウェルプレートのそれぞれが、真空ラインを介して、真空源と通じることは理解される。ロータが回転し且つ真空源が静止位置で保持されている間、回転ユニオンにより、真空ラインは、各マルチウェルプレートと通じ、各マルチウェルプレートと共に動く。
【0055】
特定の実施形態では、各マルチウェルプレートに対する真空源は、別個のバルブにより制御されうる。例えば、回転ユニオンの電気的に滑る輪は、一連の電気的なサーキットを含むことができる。一連のサーキットの接触子は互いに関連して動くが、装置が回転している間、連続性を維持し、これにより、動作するソレノイドがマルチウェルプレートのそれぞれと共に移動することを可能にする。ソレノイドバルブを移動するプレートのそれぞれに接続することにより、各プレートに対する真空が、合成サイクル中、常に、システムにより、オン又はオフに切り替えられうる。この構成は、機器の小型化を保ち、機械的な複雑さを最小限にし、及び高い信頼性を与えるという利点を提供する。さらに、プレートモジュールの記述と、真空源及びマルチウェルプレートとの相互作用に関連するプレートモジュールの構成について、以下に説明する。
【0056】
ACN洗浄液の排出の前にマルチウェルプレートの画像がデジタルカメラ装置の一つにより撮影され、その後、処理するために画像化処理システムに送られる。画像化処理システムは画像を分析し、後述するように、マイクロタイタープレートの各くぼみが適切に洗浄液で処理されたかどうかを判断することができる。くぼみに洗浄溶液が含まれることが見つからなかった場合、そのくぼみは不良として印を付けられるか、又は後のサイクルで追加の洗浄液で処理されるように印を付けられうる。画像化処理システムは、同様の方法で使用されて、排出ステップの後に、必要とされる画像に基づいて、溶液がマルチウェルプレートから十分に取り除かれたかどうかを判断することができる。
【0057】
洗浄ステップの次に、プレートモジュールはブロック解除ディスペンサ35Bの下の位置に移動する。このディスペンサは、ブロック解除溶液を投与するように構成されている。ブロック解除溶液は、一実施形態において、生長するオリゴヌクレオチドと反応して、最後のヌクレオチドからジメトキシトリチル(DMT)基を取り除く、トリクロロ酢酸を含む。DMT基をオリゴヌクレオチドから取り除くことにより、生長するポリマーの鎖に次のヌクレオチドを追加することができる。DMTの解離は、システムのカメラの一つにより画像化される明るいオレンジ色により容易に識別可能である。よって、ブロック解除ステップが発生すると、プレートモジュールは反応部位を画像化する他のカメラの下で回転し、各反応部位が明るいオレンジ色になっているかどうかを測定することにより、ブロック解除ステップが成功したかどうかを判断する。各反応部位のオレンジ色の光学濃度は画像から判断でき、結合効率、収率、又は各個々の合成反応の他の特性を評価するのに用いられうる。それから、プレートモジュールは空にされ、ブロック解除溶液が取り除かれる。
【0058】
プレートモジュールは、それから、各くぼみからの追加のブロック解除溶液を洗浄するように構成された洗浄ディスペンサ35Dの下に動かされる。システムは、洗浄溶液を追加した後、各くぼみが洗浄溶液を受け取ったかどうかを判断するために画像を撮影し、その後、洗浄溶液が各くぼみから排出されうる。アセトニトリル(ACN)、不活性溶媒がこのために用いられる。また、一実施形態においては、プロトコルの他の洗浄溶液が用いられる。
【0059】
ディスペンサ35Dで洗浄された後、プレートモジュールは結合ディスペンサ35Eの下に移動する。ここでは、適当なヌクレオチドがくぼみのそれぞれに加えられる。想像できるように、オリゴヌクレオチドの次のヌクレオチドは“A”であり、ディスペンサ35Eは、くぼみにアデノシンの溶液を投与する。ディスペンサ35Eは、プレートモジュールのマイクロタイタープレートの各くぼみに適当なヌクレオチドを投与するように構成される。もちろん、システムは、それぞれのディスペンサが各くぼみに異なるヌクレオチドを供給するように構成された、複数のディスペンサを有しても良い。さらに、本発明のシステムは、修飾ヌクレオチドを配送する、1以上の投与ステーションを有することができる。別々のステーション又は投与ノズルは、専用の方法で修飾ヌクレオチドを配送するのに用いられうる。これに代えて、ステーション又は投与ノズルは、複数の異なるヌクレオチド、必然的にA,T,C,G又はUの塩基を生じる2以上のヌクレオチド、又はこれらの変形の修飾ヌクレオチド及び他のヌクレオチドを配送するように構成されうる。
【0060】
結合ディスペンサ35Dからの配送に続いて、プレートモジュールは、マイクロタイタープレートの画像を撮影する他のカメラの下を通り、ヌクレオチドの溶液が適当なくぼみに投与されたことを確実にする。それから、プレートの中の液体物は排出され、ヌクレオチドの溶液が生長ポリマーから取り除かれる。
【0061】
プレートモジュールは、酸化ディスペンサ35Gへ移動する。このディスペンサは、反応プロセスの次のステップとして、ヨウ素を含む酸化反応溶液を適当なくぼみに投与する。この溶液は、それから画像化されて排出される。プレートモジュールは、オリゴヌクレオチド合成反応の最終ステージのキャップディスペンサ35Hへ移動する。N−メチルイミダゾールと共に活性化される無水酢酸を含むキャップ溶液が適当なくぼみに投与されると、プレートはその円形経路をたどり続ける。反応が完了すると、プレートモジュールはキャップディスペンサ35Hのすぐ後ろに配置されたロード/アンロードステーション45で取り除かれる。プレート内のオリゴヌクレオチドの合成が完了していない場合、プレートモジュールは、マルチウェルプレート内の生長オリゴヌクレオチドに他のヌクレオチドを追加するために、投与ステーション配列の下でさらに一周する。
【0062】
マイクロタイタープレートが異なるステーションと通じる上述した順序は、実例のために提供されたものであることが、当業者には理解できる。反応部位が分散したステーションと通じる順序と、反応部位とステーション配列との間の相対的移動の方向と、反応部位の操作間の持続時間とは、特定の反応又は本発明の応用に適応するよう選択でき、上述した例とは異なりうる。
【0063】
よって、本発明の一実施形態は、連続的に分子を合成するシステムであり、その分子は、反応のステップを順次実行することにより合成される。一実施形態において、分子は、オリゴヌクレオチド又はポリペプチドである。この実施形態において、システムは、反応部位の配列を受け入れるように構成されたステージを有する。反応部位は、例えば、フィルターボトムマイクロタイタープレート、管、又は反応部位を保有する他の手段である。また、システムは異なるステーション配列を有する。一組のステーションは、ディスペンサ35等の試薬投与ステーションである。これらのステーションは、順次反応ステップを実行するために、合成反応溶液を反応部位に別々に且つ連続的に供給するように構成される。さらに、ステーション配列は、反応の順次実行されるステップの順序に対応する一定の空間的な関係で構成されうる。
【0064】
ステーション配列内に含まれる他の組みのステーションは、反応溶液が投与された後か、反応溶液が排出された後のいずれかに、反応部位の画像を得るように構成された、画像化ステーションを含む。システムは、後述するように、反応部位が投与ステーション及び画像化ステーションに連続して通じるように、ステージ又はステーション配列を移動させるように構成された、制御システムを有する。これにより、投与ステーションは、反応溶液を反応部位に投与でき、画像化ステーションは反応部位を画像化できる。一実施形態において、制御システムは、さらに、システムが反応部位の配列の他の反応部位で分子を合成し続けている間、マイクロタイタープレートなどの、第1の反応部位を反応部位の配列から第2の反応部位に取り換えるように構成される。
【0065】
また、システムは、合成反応が発生したかどうかだけでなく、合成反応の質又は収率をも監視することは理解されるべきである。例えば、連続的な合成器は、並行した化学反応を監視するのに使用され、特に、オリゴヌクレオチドの合成又はペプチドの合成などのポリマー合成のリアルタイムの監視に適している。また、合成器は、オリゴヌクレオチド、ペプチド、又は他のポリマー生産物について、品質管理(QC)の測定を提供するのに特に適している。一実施形態において、化学反応のモニターは、常に合成されるオリゴヌクレオチドの収率、質、及び全般的な状態を追跡するのに用いられる自動化DMT監視システムである。本発明は、オリゴヌクレオチドの合成に関連してここで例示されているけれども、本発明の化学反応のモニターは、オリゴヌクレオチドの合成に限らず、他の種類の化学反応を監視するのにも用いられうることは、当然である。合成反応の質を検出する方法の他の例は、国際公開第04/065000号及び米国特許出願公開第2004/0219063号に開示されており、参照することにより、その全体がこの明細書に組み込まれる。
【0066】
本発明の方法又はシステムは、多数の反応の同時合成のために用いられる。例えば、図2に例示されるシステムは、96個又は384個のくぼみをそれぞれ備えた36個のプレートを有し、所定時間でそれぞれ3,456又は13,828の個々の反応を同時に実行することが可能である。例えば、使用されるマルチウェルプレートの数、各プレートのくぼみの数、又はその両方を増加させることにより、システムは、より多くの同時の反応を実行することが可能であることは、当業者に理解できる。同様に、本発明のシステムは、例えば、より少ないマルチウェルプレート又はプレート毎のより少ないくぼみを用いることにより、より少ない同時の反応を実行するように構成されうる。よって、本発明のシステム又は方法は、少なくとも約100、1×103、1×104、1×105、1×106の反応を同時に連続して実行するために構成されうる。
【0067】
本発明のシステム又は方法を用いた連続合成は、所望の生成物についての高いスループットの生産を提供する。例えば、図2で例示されるシステムは、384個のくぼみを備えた各プレートが9分で1周を完了する率で動作することが可能である。しかし、システムは、36個のプレートでヌクレオチドを加える反応を連続して実行するので、13,824(=384×36)のヌクレオチドを加える反応を9分で完了させる。これは、1時間当たり、92,160のヌクレオチドを加える反応を完了させる結果となる。本発明は、選択される反応の条件に従って、少なくとも約1、5、7、8、9、10、11、12、15、20、30又は60分間で生長ポリマーにモノマーの単体を加えるなど、合成サイクルを完了させるのに用いられる。この合成の速度は、上述したように、種々の数の反応部位に適用できる。一般に、選択された反応条件に従った、本発明を用いたスループットは、例えば、1時間当たり、少なくとも約100、500、1×103、5×103、1×104、5×104、1×105、5×105、又は1×106の反応又は反応サイクルを完了させる量である。
【0068】
例示的な連続的なポリマー合成システム
図3は、電子接続105を介してサーボ機構制御システム110に接続された連続的な合成器10を有する、例示的な連続的なポリマー合成システム100のブロック図である。サーボ機構制御システム110は、回転テーブル20の下に取り付けられたサーボ機構108を制御し、ディスペンサとカメラに関する回転テーブル20の正確な位置を制御する。
【0069】
フィードバックライン112は、サーボ機構制御システム110を合成器10と絶えず通信させ、回転テーブルの位置をリアルタイムで保持する。位置センサ115は、マイクロタイタープレートが回転テーブルの周りを移動しているときにマイクロタイタープレートの位置を検出し、サーボ機構制御システム110に電子フィードバックを提供する。サーボ機構制御システム110は、回転テーブル20を特定の位置に移動させるために、サーボ機構108に命令を送る。一実施形態において、このセンサは、キーエンス(Keyence)のLV−21A、LV−H35Fセンサなどの単一のビームセンサである。この位置センサ115は、テーブルが予測した位置に移動することを確立するために、マイクロタイタープレート又は回転テーブルの他の位置上の印を読み取る。さらに、位置センサ115は、その後、マイクロタイタープレートが各ディスペンサの下で適切に位置付けられるように、サーボ機構制御システム110により、回転テーブルの位置と相対的なプレートの位置に印を付けるために用いられる、フィードバックを提供する。同様のフィードバックシステムが本発明のシステムの他の反応部位の位置を測定するのに用いられ、反応部位の配列、ステーション配列、又はその両方が移動可能な実施形態に容易に適用できることは、当業者が理解できる。さらに、フィードバックシステムは、本発明のシステムの動作中、又は合成器の構築又は整備の後などの特定の時間、連続的に用いられうる。
【0070】
図6は、マイクロタイタープレート120の画像を提供し、整列リブ122A、122B、及び122Cのセットを示す。これらのリブは、マイクロタイタープレート120内の標準の構造であり、システムの各マイクロタイタープレート内のくぼみ(マイクロタイターウェル)124に対して同一の位置に設けられる。センサ115A、115Bは、くぼみが整列リブの位置に基づいて合成器の周りを回転しているときに、マイクロタイタープレートの位置を決定し、これにより、くぼみの位置を決定するのに用いられる。各センサ115A、115Bは、マイクロタイタープレート120が回転プレート上で移動しているときに、リブの一つがいつ通過するかを検出するのに用いられる。この情報が用いられて、図3のフィードバックライン112を通してフィードバック信号が送信される。配置が正しくない場合、マイクロタイタープレートと投与ノズルの間の配置を改善するために、適当な命令がシステムにより試薬配送ステーションに又は人間のユーザに送られる。このような配置は、物理的な位置の変更、又は1以上の投与ノズルからの溶液配送のタイミングの調整を含むことができる。
【0071】
図3に戻ると、コントローラ110は、WindowsXPと互換性のあるPCアーキテクチャ上で動作するプログラム化が可能なソフトPLCを含む、埋め込み制御層(TwinCat130)に接続される。このシステムは、DeviceNetモジュール120とLightBus制御ネットワークを介して、合成器のハードウェアの決定論的制御を提供する。ソフトPLCは、DeviceNetネットワークを介して、サーボ機構コントローラと通信し、サーボ機構コントローラを制御する。
【0072】
制御システム150は、合成器10と通信し、特定のヌクレオチドをどのくぼみに加えるかと、修飾塩基をどのくぼみに与えるべきかとに関する命令を行う、ソフトウェアモジュールを有する。理解されうるように、制御システム150は、合成器10により製造される適当なオリゴヌクレオチドを示すデータを含む。これらの命令が合成器10に送られて、マイクロタイタープレートの各くぼみがディスペンサの下を通過するときの適当な時間に、ディスペンサを適切に作動させる。これにより、システムは、マイクロタイタープレートの各くぼみ内で異なるオリゴヌクレオチドを製造できる。
【0073】
上述したように、制御システム150は、製造されるオリゴヌクレオチドのシーケンス順序を特定するオリゴヌクレオチド順序を格納する記憶装置を有する。新しいプレートが合成器10に取り付けられると、制御システムは、そのプレートのバーコードナンバーを書き留め、そのバーコードを制御システム内に格納された特定の順序と結びつける。それから、選択されたプレートは、各くぼみ内で合成されるオリゴヌクレオチドのシーケンスに割り当てられる。制御システムは、合成器上の各マイクロタイタープレートを追跡し、合成中に各くぼみに沈殿されるヌクレオチド塩基を制御する。合成器10の周りの1サイクル中、くぼみのいくつかは“C”塩基を受け取り、他のくぼみは、各くぼみ内で合成されるオリゴヌクレオチドのシーケンスに従って“A”、“T”、“G”又は特に修飾塩基を受け取ってもよい。
【0074】
制御システム150は、合成器プロトコルと所望のヌクレオチドのシーケンスの相関関係から配送される発射テーブル(a firing table)の形式で、TwinCat制御層を介して、ディスペンサステーション35A〜35Fに命令を行う。ヌクレオチドのシーケンスは、各くぼみで合成されるオリゴヌクレオチドのシーケンスを列挙するバッチファイルの形式で、制御システムに取り込まれる。バッチファイルは、種々のソースから、例えば、グラフィカルユーザインターフェースによるユーザからの直接入力により、又は米国仮出願第60/634,164号(参照することにより、そのままこの明細書に組み込まれる。)に記載されているオリゴヌクレオチドの注文システムのような顧客注文システムからの取り込みにより、得られる。
【0075】
バッチファイルの各くぼみは、特定のプレートのバーコードにより及びプレートのくぼみの位置(すなわち、行及び列)により、識別されうる。図1から図4に示されるシステムの例を用いると、合成器プロトコルは、回転テーブル20上の各マルチウェルプレート30の位置と、ディスペンサステーション35A〜35Fの位置と、回転テーブル20の回転スケジュールとを含む。例示のために、スケジュールは一連の“チック(tics)”として示される。各チックは、回転テーブル20の移動を不連続な距離で示す。よって、くぼみの異なるセットは、各チック中、投薬ステーションの下を通過する。各チック中、制御システムは、くぼみの識別子とくぼみ内で合成されるオリゴヌクレオチドのシーケンスとに基づいて、異なる発射テーブルを提供する。
【0076】
発射テーブルについて、図10に示されるスクリーンショットを参照して、さらに詳細を説明する。スクリーンショットは、発射テーブルを生成し又は変更するためのユーザインターフェースを示している。スクリーンショットの配送パラメータウィンドウにおいて、各くぼみに利用できる入力オプションが列内に列挙されている。列挙されている入力オプションは、活性ヌクレオチド(A、C、T及びG)、修飾試薬(AmC6、HMDA、及びPhos)、洗浄溶液(ACN、ACN Em、初期洗浄液(initial wash)、及び前塩基(prebase))、及び種々の他の反応溶液(キャップ(CAP)、ブロック解除剤(Deblock)、及び酸化剤)を含む。出力試薬は、配送パラメータウィンドウの行に列挙されている。テーブル内の数は、出力装置により配送される各試薬の量に対応しており、選択される入力オプションを満たす。
【0077】
いくつかの入力オプションは、多数の出力オプションを備えており、エイリアス(aliases)で示されている。エイリアスは、数個の異なる命令のセットを示すプレイスホルダ(place holder)として動作し、各セットは特定の合成サイクルのために加えられる特定の試薬に基づいている。例えば、異なる初期洗浄の処理が、異なる修飾(modification)ステップに関連して用いられる場合、初期洗浄ステップのエイリアスは、第1の修飾試薬が使用されるときの合成サイクルで使用される第1の命令のセットと、第2の修飾試薬が使用されるときの異なる命令のセットとを表すことができる。適当な初期洗浄の命令は、特定のくぼみの識別と、そのくぼみに割り当てられたオリゴヌクレオチドに対する修飾の識別とに基づいて、発射テーブルに含まれうる。発射テーブルは、オリゴヌクレオチドに修飾が施されるサイクルにおいて、初期洗浄ディスペンサ35Aと通じる特定のくぼみをもたらすチック(tic)に応じて、初期洗浄ディスペンサ35Aに送信される。
【0078】
2以上の入力オプションは、グループにまとめられうる。数個のグループが、図10のスクリーンショットの左下のウィンドウに列挙されており、このウィンドウは、活性剤(Activator)及び修飾(Mods)、塩基(Bases)、及びバルクACN(Bulk ACN)を含んでいる。スクリーンショットに示されるように、活性剤及び修飾グループが選択されている。このグループは、AmC6、HMDA、及びPhosの入力オプションを含む。入力オプションのグループへの組織化は、発射テーブルの便利な構築又は変更の利点を提供する。例えば、数個の入力オプションについて行われる全体的な変更は容易に行われ、及び/又は入力オプションがグループに組織化されるときに視覚化されうる。
【0079】
当業者は、上述した例示的な制御システムに基づいて、様々な反応の適当な命令を知っているか又は決定することができる。例えば、各種ポリマー又は繰り返される反応サイクルの他の生成物は、関心のある特定の反応に適した反応溶液を列挙する発射テーブルを用いて、合成されうる。実施形態ではポリマーの合成について記載しているけれども、本発明の態様は、ポリマーのシーケンスの決定などの分析を含む。一実施形態において、DNA又は蛋白質のシーケンスが決定されうる。さらに、回転テーブルを基部にした機器のために例示化された制御システムは、この明細書中に記載された機器などの他の機器に容易に適合できる。さらに、命令は、例えば、電子表計算(例えば、MicrosoftのEXCELTM表計算)を含む発射テーブル、データベーステーブル、又は電子ファイル内のテキストを表す様々なフォーマットに加えて、他のフォーマットでも提供される。
【0080】
示されているように、制御システム150は、合成器10の周りに取り付けられたカメラ38により記録される画像の全てを処理するように構成された画像サーバ160A、160Bにも接続されている。一実施形態において、各カメラ装置は、限定しないが、スウェーデンのルンドのアクシスコミュニケーションズ(AXIS Communications, Inc.)から提供されているAXIS2100ネットワークカメラを含むタイプのCCD(Charge Couple Device)カメラである。当然、他のタイプのカメラを、本発明に従って用いることもできる。本発明で用いられるカメラは、位置依存性の方法で、検出可能な光学特性を信号に変換する装置である。例えば、本発明で有用な典型的なカメラは、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラ、ビデオカメラ、インターネットカメラ、又は写真をデジタル画像に変換することができる他の画像化装置(ここで上述した画像化装置や米国特許出願公開第2004/0219063号に記載の画像化装置など)を含む。
【0081】
上述したように、各カメラは、合成器10上でマルチウェルプレート又は他の複数のくぼみのまわりに配置されて、マルチウェルプレート、すなわちマイクロタイタープレートのくぼみの全てを含む画像を得ることができる。マルチウェルプレートは、一般に、96個又は384個のくぼみを有するが、当然、マルチウェルプレートは、384個より多い他の数のくぼみを有しても良い。好ましくは、カメラ装置は、マルチウェルプレートの観察を全体としてできるだけでなく、各くぼみを個々に観察することができる。一実施形態において、カメラは光学フィルタリングステージを組み込んでいる。この光学フィルタリングステージにより、検出器は、スペクトルの測定と、スペクトルの特定の吸光率を示す特定の化学物質の調節とが可能になる。本発明で有用な光学フィルタは、波長、偏光、又は周波数に依存の方法で、選択的に放射を通過させ又は通過させない装置である。
【0082】
図3に示したように、カメラは画像サーバ160A、160Bなどの記憶場所に画像を電子的に送信する。図3で示す例証的な実施形態では、制御システム150は各カメラを制御するように構成される。例えば、画像制御ソフトウェアは、オリゴヌクレオチド合成器10のマルチウェルプレートの画像を撮影するときに、中央ネットワークを介して、カメラ装置に信号を送るように構成されてもよい。画像は、JPEG、TIFF、BMPファイル、又は他の適したファイルフォーマットで、画像処理サーバ160A、160Bに送信されてもよい。マイクロタイタープレートの画像の典型的な例を図6に示す。
【0083】
特定の実施形態では、画像ファイルは、画像が撮られるときの合成プロセスである合成プロトコルの、バッチの番号、プレートの番号、又はサイクルの番号に従って命名される。これに関して、用語“サイクル”とは、限定しないが、脱保護、結合、キャッピング、及び酸化のステップを含む、各塩基を生長するDNAの鎖に加えるためのステップの全サイクルを言う。動作が、同一のサイクル内で1回又は数回、実行されうることは理解される。ここで説明したステップ又は本発明で有用な他の方法は、特定のステップの1回以上の繰り返しとして実行されうる。例えば、脱保護のステップが同一のサイクル内で2、3回繰り返されてもよい。その場合、反復の指定がサイクル内の特定の脱保護の動作を区別するために用いられうる。
【0084】
図9は、分子を連続的に合成する方法1000の一実施形態を示すフロー図である。方法1000は、開始状態1002から開始し、プレートが回転テーブル上で回転するときに試薬が投与バルブからマイクロタイタープレートに投与される、状態1004に移る。マイクロタイタープレートの全てのくぼみが、ディスペンサバルブの下を通過した後、マイクロタイタープレートは、カメラの下に移動し、状態1006で画像が撮影される。マイクロタイタープレートは、LEDアレイなどの光源で照射される。カメラは、回転テーブルの真上に配置され、LEDアレイは、プレートとカメラとの間の光路の方向に照明を向けて、2つの光路が交差するように、配置されうる。ビームスプリッタは、カメラとプレートとの間の交差点に配置されうる。これにより、LEDから放射された光がビームスプリッタの反射面でプレートに反射し、カメラが、ミラーの透過面を通して、照明されたプレートの画像を得る。一つの例示的な画像は、図6を参照して見られる。本発明で有用な画像化システムのさらなる記述と適当な構成は、米国特許出願公開第2004/0219063号に記載されている。
【0085】
マイクロタイタープレートの画像が撮影されると、状態1010で、画像がシーケンスデータのデータベースと比較され、試薬を受け取ったと想定されるマイクロタイタープレートの各くぼみが満たされていることがわかるかどうかを判断する。データベースに含まれ、比較のために用いられるファイルは、特定の量の流体の有無に基づく、くぼみに予期される特性を含む。例えば、ファイルは、任意の暗い値(例えば、「4096」)から任意の明るい値(例えば、「0」)の範囲の数字の尺度を提供することができる。これらの値は、光学的に透明な溶液を含む及び/又は光学的に濃い溶液を含む溶液を排出されたプレートについて得られる1以上の検定画像に基づいて、くぼみに割り当てられうる。「0〜4096」の尺度の例に関して、空にされたくぼみは「4096」に近い値又は値域を持ち、トリチルを含むくぼみは「0」に近い値又は値域を持ち、光学的に透明な溶液を含むくぼみは空のくぼみとトリチルを含んだくぼみについての値又は値域の間の値又は値域を持つ。値域は、連続的であってもよく、又は値の間にギャップがあってもよい。光学濃度は合成中のプレートについて測定され、測定された光学濃度が数字の尺度と比較されて、光学濃度が、空のくぼみか、満たされているくぼみか、又はトリチルを含むくぼみの範囲内にあるかどうかを判断する。その比較が所望の範囲内という結果になった場合、例えば、空にされたくぼみの光学濃度が4096に近い範囲である場合、そのくぼみについての合成の進行が許可される。比較が所望の範囲外である範囲という結果になった場合、例えば、ギャップ内又は「0」に近い範囲内であった場合、エラーが示され、そのくぼみでの合成が中止される。
【0086】
上述した画像について、光学濃度は、くぼみの中心、又はくぼみの中央部などのくぼみの特定の位置について、判断される。一般的に、くぼみの位置は、光学濃度を判断するために用いられる画像が、くぼみの縁を除くように登録される。さらに、プレートの異なる部分での異なる照明効果を補うために、個々のくぼみが一般的に検査され、個々の主成分について比較される。画像の比較について光学濃度に関して上述したけれども、くぼみの領域で測定された光学濃度の分布の標準偏差又は分布のスキュー(skew)など、他の値が光学濃度の代わりに比較ファイルで用いられうることは理解される。
【0087】
プロセス1000は、決定状態1012に移動し、画像とデータベースとの比較の後にエラーが発生したかどうかが判断される。このようなエラーは、試薬を受け取ったと想定されるくぼみ内に、試薬があることが見つからなかったことであってもよい。他のエラーは、空であると想定されるくぼみが、試薬溶液で満たされていることが見つかったことであってもよい。エラーが見つかると、プロセス1000は状態1016に移動し、エラーがさらなる処理のためにメインシステムに報告される。さらなる処理は、例えば、このくぼみが不良の印を付けられ、マイクロタイタープレート内の残っているくぼみが満たされる間、さらなる反応溶液を受け取らないことである。さらに、マイクロタイタープレート全体が不良の印を付けられ、その後、不良のマイクロタイタープレートで発生させようとした反応を実行するために、システムが連続的な合成器に新しいマイクロタイタープレートを取り付けるように命令されることであってもよい。これに代えて又はこれに加えて、エラーが発生したことをユーザに通知するために、書かれた又は表示された報告がシステムのユーザに提出されてもよい。エラーが状態1016で報告されると、プロセス1000は終了状態1020で終了する。
【0088】
しかし、エラーが決定状態1012で発生しなかった場合、プロセス1000は状態1024でマイクロタイタープレートを空にし、その後、各くぼみが適切に空にされたかどうかを判断するために、状態1026で他の画像が撮影される。状態1028で、空にされたマルチウェルプレートについて撮影された画像がデータベースと比較される。
【0089】
それから、プロセス1000は、決定状態1030でエラーが発生したかどうかを判断する。エラーが発生した場合は、プロセスは、エラー報告状態1016に戻る。しかし、エラーが発生しなかった場合は、プロセスは決定状態1032に移動し、プレート内の合成反応が完了したかどうかを判断する。合成反応が完了している場合は、プロセスは終了状態1020で終了する。しかし、プレート内の合成反応が決定状態1032で完了していなかった場合は、プロセス1000は状態1004に戻り、合成反応を続けるためにプレートに追加の試薬を投与する。
【0090】
例示的なオリゴヌクレオチドの合成の実施形態
図4は、オリゴヌクレオチドを合成するための例示的な方法400を示すフロー図である。この方法は、オリゴヌクレオチドのためのアンカー(anchor)として用いられる普遍的担体が提供される状態410から開始する。一実施形態において、普遍的担体は、ヌクレオチドを最初につなぐために用いられるように構成された一般的なCPG(Controlled Pore Glass)基質である。このような一般的なCPGの一つは、Proligo Reagents社(ボールダー、コロラド州(Boulder, CO))から入手できる。普遍的担体が提供されると、一般的にフィルターボトムマイクロタイタープレートのくぼみ内で、プロセス400が、アセトニトリル(ACN)が普遍的担体を洗浄するのに用いられる状態412に移動する。各くぼみは、状態414で空にされる。ここでは、洗浄溶液は取り除かれて、普遍的担体はくぼみ内で保持される。それから、状態418で、トリクロロ酢酸を含むブロック解除溶液が各くぼみに配送される。
【0091】
それから、決定状態420で、AmC6修飾が、合成されるオリゴヌクレオチドに加えられるかどうかが判断される。AmC6修飾が加えられる場合、方法400は、180秒間、ブロック解除溶液を定温放置する。AmC6修飾がなければ、方法400は、45秒間、ブロック溶液を定温放置する。それから、状態428で、ブロック解除溶液が排出され、方法400が状態418に戻り、ブロック解除溶液の追加を通して、もう一回循環する。方法400が追加のサイクルを実行すると、ACNによる他の洗浄が状態430で実行され、状態432の排出に続いて、ACN洗浄の繰り返しが行われる。
【0092】
それから、決定状態436で、オリゴヌクレオチドの合成が終了したかどうかが判断される。オリゴヌクレオチドの合成が終了していた場合は、状態437で完成の印が付けられ、方法400は終了する。オリゴヌクレオチドの合成が完了していない場合、決定状態438で、オリゴヌクレオチドが、燐酸アミド(phosphoroamidite)タイプの化学物質又は他の代替の方法によって加えられる5’の端部(5' end)への修飾を含むものかどうかが判断される。
【0093】
燐酸アミドタイプの化学物質を用いて5’の端部でオリゴヌクレオチドが修飾されることを決定した場合、処理400は、状態440でヌクレオチド修飾を搭載し、状態442でヌクレオチド塩基を反応部位に配送する。例えば、オリゴヌクレオチドが5’の端部でアミノ基を含むように修飾される場合、モノメトキシトリチルアミノヘキシル(monomethoxytritylaminohexyl)の燐酸アミド(カリフォルニア州サンディエゴのTrilinkのカタログ♯C−1001として入手できるMMT 5’ C6 アミノリンカー(Amino linker))が搭載及び配送されうる。それから、状態446で特別な修飾が必要かどうかが決定される。特別な修飾が必要でなければ、合成器は、60秒間オリゴヌクレオチドを定温放置する。特別な修飾が配送される場合は、反応は、状態440で持ち込まれた修飾の種類に基づいて、適当な時間、定温放置される。
【0094】
それから、状態448でマイクロタイターのくぼみは空にされ、状態450で酸化剤溶液が配送される。オリゴヌクレオチドは15秒間定温放置され、状態454で各くぼみは、酸化剤溶液を取り除くために空にされる。
【0095】
状態456で、プロセス400は各くぼみにキャッピング溶液を配送し、約15秒間定温放置する。状態458で、キャッピング溶液は排出され、プロセス400は、アセトニトリル洗浄溶液が各くぼみに導入される状態412に戻る。
【0096】
決定状態438で、5’の修飾が上述した燐酸アミドの方法と異なる方法で実行されることが判断された場合は、プロセス400は代替の方法が実行される状態460に移動することは理解されるべきである。代替の方法による完了時に、状態437で、オリゴヌクレオチドは排出される。
【0097】
もちろん、合成プロセス400が、単に、連続的な合成器10を用いて、オリゴヌクレオチドを合成するための一つの例示的な方法であることは理解されるべきである。他の合成反応と条件が熟考されて本発明の範囲内となる。当業者は、異なる反応溶液、反応回数、又は反応のシーケンスが、例えば、ここでの開示に従って互いに相対的に移動する反応部位の配列とステーション配列の適当な空間的及び時間的な関係を提供して、本発明で用いるために適合されうることを理解できる。
【0098】
例示的なプレートモジュール
図5Aは、プレートホルダ510を保持するように構成されたオーバーフロートレイ505を含む例示的なプレートモジュールシステム500を示している。図示されるように、プレートホルダ510は、マイクロタイタープレート515を保持し、合成器10に容易に取り付け及び合成器10から容易に取り外すことを可能にしている。オーバーフロートレイ505は、一般的に、矩形の形状を有し、前面の縁512、背面の縁514、左の縁516、及び右の縁518を有する。使用する際、オーバーフロートレイ505は回転テーブル20に搭載されて、プレートホルダ510が合成器に取り付けられ及び取り外される手段を提供する。一実施形態において、回転テーブルが回転している間に、プレートホルダはプレートモジュールに配置され又はプレートモジュールから取り除かれる。これにより、合成器は、プレートホルダが合成器に取り付けられ及び取り外されているときであっても、連続的に合成することが可能となる。
【0099】
想像されうるように、フィルターボトムマイクロタイタープレートは、最初にプレートホルダに固定される。それから、プレートホルダは、プレートホルダをオーバーフロートレイに置くことにより、手動で又は自動で、合成器に取り付けられる。回転テーブルに取り付けられたプレートモジュールは、回転テーブルが回転するときに合成器の周りを回転する。
【0100】
示されているように、プレートホルダ510は、オーバーフロートレイ505の中央の表面520に搭載されている。プレートホルダ510の構成について、図5Bを参照して、さらに徹底的に説明する。図示されているように、真空ライン525と窒素ライン528は、背面の縁514を通って、オーバーフロートレイ505に入る。真空ライン525は、オーバーフロートレイ505の内側を通り、プレートモジュールの中央の表面520の真空接点(インターフェース)530に通じる。プレートホルダ510が適切にオーバーフロートレイ505に配置されると、真空接点530は、プレートホルダ510内に収納されているフィルターボトムマイクロタイタープレートから、洗浄溶液又は溶液を含む試薬などの反応溶液を取り除くための排気部を提供する。
【0101】
窒素ライン528は、オーバーフロートレイ505の背面の縁514に取り付けられた窒素ナイフ534と通じる。図示されるように、窒素ナイフ534は、プレートホルダ510内のマイクロタイタープレート515上に重なる窒素ガスの一般に平らなシートを出力するように構成された長手方向の開口536を有する。一実施形態において、窒素ガスは、周囲環境から反応溶液を隔離し、反応部位に隣接した領域から気相物質を取り除くように作用する。また、真空ライン525が作動して、マイクロタイタープレート515から流体が排出されると、窒素ガスの層がマイクロタイタープレート上に供給されうる。
【0102】
本発明の一実施形態において、合成器は、排気が行われるのと同時に窒素ガスを出力し、排出プロセス中にマイクロタイタープレートの各くぼみに窒素ガスを入れる。これにより、外気又はエアロゾル化された試薬などの汚染物質が、くぼみのフィルタ底面を通過している間に反応生成物と接触することを防ぐ。窒素は不活性ガスであるため、マイクロタイタープレートの各くぼみ内で合成される高分子などの反応生成物と反応する可能性があまりない。もちろん、本発明は、マイクロタイタープレートにかぶせるために窒素ガスを使用することのみに限定されないことは理解されるべきである。他のタイプのガス、好ましくは、アルゴンやヘリウムなどの不活性ガスが、本発明の範囲内に含まれる。代替の実施形態において、上述した隔離装置と同様の装置が、本発明のシステムで、反応部位に反応ガスを配送するために用いられうる。不活性又は反応のいずれかのガスが、投与ステーション又は画像化ステーションなどの1以上の静止したステーションにより供給されうる。ステーションは、プレートが排出されるときに、外気又は汚染物質上のこのガスを優先的に吸い込む。例えば、画像化ステーション38A〜38Fは、検出器の上側の窓とマイクロタイタープレートの下側との間にプレナムを含みうる。プレナムは、マイクロタイタープレートと実質的に垂直な方向にガスが流れるように、窒素で取り除かれる。窒素ガスの流れは、有害な蒸気を移動させるだけでなく、水蒸気と残骸を窓から取り除いて、マクロタイタープレートが画像化ステーションで排出される真空であるとき、これらの蒸気と反応生成物との所望されていない接触を低減するという利点を提供する。
【0103】
ここで図5Bを参照すると、プレートホルダ510は、上部フレーム550を含んでいる。上部フレーム550は、プレートホルダ510の下部552で固定される。下部552内に、マイクロタイタープレート515を保持する大きさの凹型開口556がある。フレーム550が下部552に接すると、マイクロタイタープレート515がプレートホルダ510内の所定の位置に保持される。一組のロック558A、558Bが、それぞれ、フレーム550を下部552に固定する。示されているように、円形の真空接点560が凹型開口556に位置付けられることにより、プレートモジュール505内の排気部に貫通孔が設けられる。
【0104】
図5Cを参照すると、プレートホルダ510の底面下部552を通して、真空接点560の下部を見ることができる。また、一組の3つの積み重ねピン565A、565B、565Cが、プレートホルダ510の下部をオーバーフロートレイ505の中央の表面よりも高くするために設けられている。さらに、一組の整列孔568A、568Bが、オーバーフロートレイ505の中央の開口520内にプレートモジュール510を正しく位置決めするために、設けられる。
【0105】
図5Dに示すように、一組の整列ピン570A、570Bが中央の表面520内に示されている。一組の整列ピン570A、570Bは、プレートホルダ510の整列孔568A、568Bと結合するように構成される(図5C)。さらに、真空吸引ベローズ(bellows)575が中央の面520からはみ出して見える。この真空吸引ベローズ575は、オーバーフロートレイ505の真空接点560と可逆的に結合するように構成される。
【0106】
図5Eのオーバーフロートレイ505に結合されるプレートホルダ510の断面図に示すように、真空吸引ベローズ575は、真空ライン525がマイクロタイタープレート515内から反応溶液を排出できるように、可逆的に真空接点560に取り付けられている。真空吸引ベローズ575は、好ましくは、シリコン又はゴムなどの曲げやすいポリマー材料であり、真空接点560と共に迅速で有効な可逆的封印を提供する。図示されるように、真空吸引ベローズ575は、プレートホルダ510がベローズ575の上面に配置されるときに圧縮又は伸張に適合する圧縮性の部分580を有する。
【0107】
プレートホルダ510がオーバーフロートレイ505の上に配置されると、ベローズ575は、プレートホルダの真空接点560内の凹所に配置される。ベローズの圧縮性の部分580により、プレートホルダの真空接点560はベローズの上面に落ち、圧縮性の部分580が圧縮し、プレートホルダ510とオーバーフロートレイ505との間に真空気密封止部を生成する。
【0108】
上述した実施形態に従って、本発明のモジュールシステムは、制限しない利点、(1)第2の反応部位について生じている合成を中断することのない、第1の反応部位の都合の良い付加及び除去、(2)バルブ減衰排気部などの連続的に利用できる溶液除去装置の提供、及び/又は(3)バルブ減衰ガスナイフなどの連続的に利用できる隔離装置の提供を提供するように構成されうる。同様のモジュールシステムが、例えば、上述した例のマイクロタイタープレートと異なる形状又は数のくぼみを有するマルチウェルプレートなどを含む、他の構成を有する反応部位の基質を保持するために用いられうることを、当業者は理解できる。さらに、本発明のモジュールシステムは、ここのどこかで記載されたような、他の反応部位の基質を使用するように構成されうる。真空ベースの溶液除去を含む実施形態において、フィルタベースの基質が特に有用である。
【0109】
投与する流体についての例示的な装置及び方法
図7を参照すると、反応溶液をディスペンサ35Aに供給するための例示的なシステム700の図が示されている。ディスペンサ35A内に、ディスペンサ35Aにより投与される反応溶液を保持する局所貯蔵器710がある。一連のレベル検出器715は、局所貯蔵器の水面の高さを測定し、貯蔵タンク720からさらに反応溶液をくみ出す時間を決定するのに用いられる。示されているように、貯蔵タンク720は、貯蔵タンク720を加圧するのに用いられるヘリウム源722に接続されている。ヘリウムの圧力は、例えば、局所貯蔵器710が所定の閾値以下であることをレベル検出器715が示したときに、局所貯蔵器710に追加の反応溶液を入れるコンピュータ制御により、調整されうる。
【0110】
反応溶液の局所貯蔵器を設けることで、流体は、各バルブに達するまでに長い道を通る必要がないため、システムはより円滑な且つより信頼性のある投与を提供することができる。このような道の一つ内の気孔又は他の小さな圧力の変化が、特に投与される量が非常に少ないときに、望ましくない投与状態をもたらす。特に、油圧で結合された局所貯蔵器を使用することにより、所定時間で開くバルブの数が異なることにより発生する気圧変動や、バルブの開放及び閉鎖により生じる気圧変動などの、一般に多数のディスペンサバルブに接続された多岐管を渡って生じる気圧変動を除去するという利点を提供できる。例えば、油圧で結合された局所貯蔵器を用いて、このような効果の除去が、いくつものバルブが後述するように常に作動可能な場合における、個々のディスペンサノズルの交互の発射のために提供される。
【0111】
局所貯蔵器710は、制御システム150により個々に制御されて、個々のディスペンサノズルからの流体の配送を個々に制御する、一連のソレノイドバルブ720に流動的に接続される。制御システム150は、マイクロタイタープレート730のくぼみ725が各バルブの下に適切に配列されたときに、局所貯蔵器710からの反応溶液を投与するようにバルブ720に命令を出す。
【0112】
特定の実施形態において、本発明のシステムは、ディスペンサバルブの作動が交互に起こり、交互の流体投与が一連のディスペンサノズルから生じるように、構成されうる。各ディスペンサステーションに反応部位が到達すると、ソレノイドバルブは試薬投与を制御する。各試薬投与ステーションは、利用される電源の大きさに従って、一つずつ又はグループで発射される、多数のソレノイドバルブを用いることができる。試薬毎に同時に作動するバルブの数は、必要なら、要求される電流と電源の大きさを制限するために、制約されうる。
【0113】
投与ステーションは、必要に応じて、異なるディスペンサノズルから異なる量の流体を配送するように構成されうる。これに代えて又はこれに加えて、各ディスペンサノズルは、例えば上述したように、異なる開始時間で流体を配送するように制御されうる。異なる量の流体を投与できること且つ異なる開始時間で投与できることは、合成動作中の試薬利用の高いレベルの制御を可能にし、典型的な固定量又は容積式タイプのディスペンサよりも優れた利点を提供する。
【0114】
本発明で有用なバルブディスペンサは、バルブを発射し、局所貯蔵器の充填と加圧を管理する、HAL(Hardware Abstraction Layer)を用いて制御されうる。ディスクリートロジック(個別論理)が、例えば、CPLD(Complex Programmable Logic Device)により、局所貯蔵器の充填のための有限状態機械を実装し、スパイクとバルブを制御するホールド信号とを生成するために用いられうる。各スパイクのディスクリートロジックと各バルブのホールド回路は、一般に分離され、互いに独立している。これにより、全てのバルブは、同時に、わずかにずれて、又は選択的に(限られた時間中、1以上のバルブは発射され、他のバルブは発射されないなど)発射可能となる。マイクロプロセッサが使用される場合に発生しうるコストと計算時間を増加させることなく、より多い数のノズルを使用するようにHALを拡大することができるので、マルチノズルディスペンサを制御するためにHALを用いると、マイクロプロセッサを用いるよりも優れた利点を提供できる。しかし、必要に応じて、例えば、比較的に少ない数のノズルが制御されるとき、マイクロプロセッサを本発明で用いることができることが理解される。
【0115】
本発明の投与ステーションの個々のバルブを制御するのに有用なHALの例示的なロジックは、図11の回路図の形式で示されている。回路図は、直ちに及び比較的に短い持続時間の離散時間に活性化する第1の電圧を供給するスパイク出力915と、スパイク出力の後に活性化され、より長い持続時間の離散時間、継続される第2の電圧を供給する保持出力914と、を含む2つの出力を介する制御を例示している。スパイク出力915は、バルブを開放するのに十分な電圧であるのに対し、保持出力914はバルブを開放状態に維持するのに十分なより低い電圧である。HALは、入力901、902、903、及び904を含む4つの異なる入力を受け取り可能である。入力901は、I/Oインターフェースから受け取られるロジック“high”信号を受け取るように構成され、発射テーブルから生成される信号に応じてバルブを制御する。入力901からの信号は、ORゲート905とマルチプレクサ907とを介して、他の入力の活性化に従って処理される。出力のタイミングは、ORゲート905からの信号が、NANDゲート908、フリップフロップ909、910、及び913、及びORゲート912を通って、ORゲート908に戻ることにより、制御される。クロックサイクルは、スパイク出力と保持出力の持続時間を制御するために選択される。例えば、図11のHALの図において、スパイク出力915は、2クロックサイクルに対応する1ミリ秒の持続時間を有する。入力902は、例えば、ディスペンサ装置の全てのバルブに接続されたスイッチを介して、バルブを手動で発射可能なように構成される。入力903は、バルブのインジケータのLEDのオン又はオフを切り換えて所望のパターンを生成し、例えば、メッセージをユーザに伝えるために、信号をHALに送信可能なように構成される。入力904は、クロックから信号を受け取る。図に示されるような回路構成は、必要なバルブの数に応じて、無限に複製されうる。
【0116】
比較的に多量のエネルギーが必要な場合、HALにある全てのバルブを同時に発射するときが発生する。この場合、全てのバルブのスパイクを調達するのに十分な電流が、局所的に蓄積されうる。この技術で知られている種々のコンデンサのどれもが電流を蓄積するために用いられうる。電流の局所的な蓄積は、ディスペンサのために用いられる電源に対して電流の瞬間の要求を低減し、これにより、電源のコストを低減し、且つ電源を収納するのに必要な空きスペースを低減するという利点を提供する。このように、HALは、一般に、すべてのバルブを同時に発射するのに十分な量のエネルギーを少なくとも蓄積するように構成される。
【0117】
図8Aは、回転テーブル20によるマイクロタイタープレートの移動と同時にマイクロタイタープレート515に溶液を出力しているときの、ディスペンサ35Aの一実施形態の図を示している。示されるように、ディスペンサ35A内には、線状に連続したバルブの配列805、810、815、820、825、830、及び835がある。各線状配列のバルブは同一の試薬溶液貯蔵器に流動的に接続され、異なる貯蔵器は各線状配列のバルブに溶液を配送する。例えば、バルブの列805は修飾ヌクレオチドに接続され、バルブの列810はアデノシン溶液に接続され、バルブの列815はシチジン溶液に接続され、バルブの列820はグアノシン溶液に接続され、バルブの列825はチミジン溶液に接続される。ヌクレオチドの糖部分が一般にDNA合成のためのデオキシリボースであることは理解されうる。しかしながら、モノマーは、RNAを合成するのに有用なリボース糖などの他の部分、又はペプチド核酸(PNA)などの代替の骨格を有する核酸を合成するために用いられる部分を含むことができる。列830及び835は、例えば、合成器内の位置に従って、ACN洗浄溶液、ブロック解除溶液、又はキャッピング溶液に接続されうる。もちろん、本発明で用いられるバルブと貯蔵器の接続の数と種類は、特定の応用に適するように上述した例示から変更されうることは認識されるべきである。例えば、各ディスペンサは、本発明の範囲から離れることなしに、バルブの列を一つだけ有しても良いし、他の数のバルブの列を有しても良い。一実施形態において、バルブの列は取り外し可能及び取り換え可能であり、特定のディスペンサをどんな数のバルブの列にも装備でき、ポリマーを合成するための正しい溶液を投与できる。
【0118】
上述した明細書は、当業者が本発明を実施可能なほどに十分である。上述した記述と例は本発明のある好ましい実施形態を詳述し、発明者により熟慮される最良のモードを記述している。しかし、上述した内容がどんなに詳細にテキストに現れていても、多くの方法で本発明を実施でき、添付の特許請求の範囲及びそれと同等のものに従って本発明を解釈すべきであることは当然である。
【0119】
文言“有する(comprising)”は、ここでは制限がないつもりであり、列挙した要素だけでなく、追加の要素をさらに含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】連続的なオリゴヌクレオチドの合成器の一実施形態の斜視図
【図2】図1の連続的なオリゴヌクレオチドの合成器のステーション配列の概略図
【図3】高分子を連続的に合成するシステムの一実施形態のブロック図
【図4】オリゴヌクレオチドの合成方法の一実施形態のフロー図
【図5A】図1の連続的なオリゴヌクレオチドの合成器内で使用されるプレートモジュールとそれに関連するプレートホルダの一実施形態の斜視図
【図5B】図5Aのプレートホルダの一実施形態の斜視図
【図5C】図5Bのプレートホルダの底面の斜視図
【図5D】図5Aのプレートモジュールの斜視図
【図5E】図5Aの線5E−5Eを横断するプレートモジュールに装着されたプレートホルダの断面図
【図6】図5Bのプレートホルダ内で用いられるマイクロタイタープレートの上面図
【図7】連続的なポリマー合成器内に反応溶液を投与するシステムの一実施形態の概略図
【図8】反応溶液をマイクロタイタープレートに配送するディスペンサノズルの下を通るマイクロタイタープレートの軌道の一実施形態の概略図
【図9】連続的なポリマー合成器内のマイクロタイタープレートに試薬を投与する方法の一実施形態のフロー図
【図10】発射テーブルを構成し変更するユーザインターフェースのスクリーンショットを示す図
【図11】液体ディスペンサを制御するのに有用であるHALの回路図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応のステップを順次実行することにより合成される分子を連続的に合成するシステムであって、
(a)複数の反応部位を受け入れるステージと、
(b)前記反応部位のそれぞれに試薬を配送する複数の投与ステーションと、
(c)反応部位が前記投与ステーションから前記試薬を順次受け取るように、前記ステージ又は前記ステーションの配列を移動させる制御システムと、
を有し、
前記制御システムは、他の反応部位で分子を合成し続けている間、第1の反応部位を第2の反応部位に取り換える、ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記投与ステーションは、複数の前記反応部位に、合成反応溶液を別々に且つ連続的に供給する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ステージは円形テーブルを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記分子はポリマーを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記試薬を繰り返し連続的に受け取ることにより、モノマーが前記ポリマーに加えられる、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記分子はDNAを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記分子はアミノ酸を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記反応部位はマルチウェルプレートのくぼみを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記反応部位から前記試薬を取り除く、少なくとも1つの溶液除去装置をさらに有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記システムは、前記複数の反応部位の少なくとも1つの画像を取得する画像化ステーションをさらに有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記制御システムは、前記画像化ステーションからの画像を分析し、前記試薬が前記反応部位に投与されたかどうかを判断する、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記複数の投与ステーションの少なくとも1つは、複数の投与装置を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記複数の投与装置は、アデノシン合成試薬溶液を投与する第1の試薬投与装置と、チミジン合成試薬溶液を投与する第2の試薬投与装置と、シチジン合成試薬溶液を投与する第3の合成試薬投与装置と、グアノシン合成試薬溶液を投与する第4の試薬投与装置と、を有する、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記複数の投与ステーションは、
i)ブロック解除試薬投与ステーションと、
ii)モノマー試薬投与ステーションと、
iii)キャップ試薬投与ステーションと、
を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
反応のステップを順次実行することにより合成される分子を連続的に合成する方法であって、
(a)複数の反応部位を受け入れるステージを提供するステップと、
(b)反応部位が少なくとも1つの投与ステーションから合成反応溶液を順次受け取るように、前記ステージを連続的に移動させることにより、合成反応溶液を複数の前記反応部位に順次供給するステップと、
(d)システムが他の反応部位で分子を合成し続けている間、第1の反応部位を第2の反応部位に取り換えるステップと、
を有する方法。
【請求項16】
前記ステージは円形テーブルを有し、
前記ステージを連続的に移動させるステップは、前記円形テーブルを回転させることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記分子はポリマーを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記反応溶液を繰り返し連続的に受け取ることにより、モノマーが前記ポリマーに加えられる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記分子はDNAを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記分子はアミノ酸を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記反応部位はマルチウェルプレートのくぼみを有する、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記ステージを移動させる前に前記反応溶液を取り除くステップをさらに有する、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記反応部位の少なくとも1つを画像化し、反応部位の画像を提供するステップをさらに有する、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
前記画像を分析し、前記反応溶液が前記反応部位に投与されたかどうかを判断するステップをさらに有する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
反応のステップを順次実行することにより合成される分子を連続的に合成するシステムであって、
(a)複数の反応部位を受け入れるステージと、
(b)前記反応部位のそれぞれに試薬を配送する複数の投与ステーションと、
(c)反応部位が前記投与ステーションから前記試薬を順次受け取るように、前記ステージ又は前記ステーションの配列を移動させる手段と、
(d)前記システムが他の反応部位で分子を合成し続けている間、第1の反応部位を第2の反応部位に取り換える手段と、
を有するシステム。
【請求項26】
前記移動させる手段は、前記ステージと通信する制御システムを有する、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記制御システムは、コンピュータシステムを含む、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記取り換える手段は、第1の反応部位を第2の反応部位に取り換える制御システムを有する、請求項25に記載のシステム。
【請求項29】
前記取り換える手段は、第1の反応部位を第2の反応部位に取り換えるロボットアームを有する、請求項25に記載のシステム。
【請求項30】
分子を連続的に合成するシステムであって、
(a)互いに一定の順序及び一定の間隔で配置された複数の反応部位を有するステージと、
(b)前記反応部位に試薬を配送して反応を開始させる複数の投与ステーションと、
前記投与ステーションは、前記ステージに沿って互いに一定の間隔で配置されており、
(c)反応部位の第2の反応が始まる前にその反応部位の第1の反応が完了するように所定のスケジュールで、前記反応部位に試薬を順次投与する制御システムと、を有し、
前記間隔と前記スケジュールは、前記反応が完了するのに必要なステップの順序と継続時間とに相関している、
システム。
【請求項31】
前記分子はポリマーを含む、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記反応を繰り返すことにより、モノマーが前記ポリマーに加えられる、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記ステージは円形テーブルを有する、請求項30に記載のシステム。
【請求項34】
前記投与ステーションは、前記円形テーブルの外周に沿って配置されている、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記円形テーブルは、前記反応部位が所定時間で前記投与ステーションの下方に移動するように所定のスケジュールで回転する、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記反応部位は第1の投与ステーションから第2の投与ステーションに移動し、前記所定時間は、前記第2の投与ステーションが前記反応部位に試薬を投与する前に前記反応が完了するように計算されている、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
前記システムは、少なくとも1つの画像化ステーションをさらに有する、請求項30に記載のシステム。
【請求項38】
前記制御システムは、前記画像化ステーションからの画像を分析し、前記合成反応溶液が前記反応部位に投与されたか又は前記反応部位から取り除かれたかを判断する、請求項30に記載のシステム。
【請求項39】
前記分子は核酸を含む、請求項30に記載のシステム。
【請求項40】
前記分子は蛋白質を含む、請求項30に記載のシステム。
【請求項41】
前記反応部位は、マルチウェルプレートのくぼみである、請求項30に記載のシステム。
【請求項42】
前記投与ステーションは、前記溶液を前記マルチウェルプレートに配送する複数の投与ノズルを有する、請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
少なくとも1つの前記投与ステーションは、前記反応部位が前記ステージに沿って移動しているときに、前記試薬を前記反応部位に投与する、請求項30に記載のシステム。
【請求項44】
分子を連続的に合成するシステムであって、
(a)互いに一定の順序及び一定の間隔で配置された複数の反応部位を有するステージと、
(b)前記反応部位に試薬を配送して反応を開始させる複数の投与ステーションと、
前記投与ステーションは、前記ステージに沿って互いに一定の間隔で配置されており、前記間隔は前記反応が完了するのに必要な時間と相関しており、
(c)反応部位の第2の反応が始まる前にその反応部位の第1の反応が完了するように所定のスケジュールで、前記反応部位に前記試薬を順次投与する手段と、を有し、
前記間隔と前記スケジュールは、前記反応が完了するのに必要なステップの順序と継続時間とに相関している、
システム。
【請求項45】
前記ステージは円形テーブルを有する、請求項44に記載のシステム。
【請求項46】
前記投与ステーションは、前記円形テーブルの外周に沿って配置されている、請求項45に記載のシステム。
【請求項47】
前記円形テーブルは、前記反応部位が所定時間で前記投与ステーションの下方に移動するように所定の速度で回転する、請求項46に記載のシステム。
【請求項48】
前記反応部位は、第1の投与ステーションから第2の投与ステーションに移動し、前記所定時間は、前記反応部位が前記第2の投与ステーションの下方に位置する前に前記反応が完了するように計算されている、請求項47に記載のシステム。
【請求項49】
前記試薬を順次投与する手段は、制御システムを有する、請求項44に記載のシステム。
【請求項50】
分子を連続的に合成する方法であって、
(a)互いに一定の順序及び一定の間隔で配置された複数の反応部位を有するステージを提供するステップと、
(b)前記反応部位に試薬を配送して反応を開始させる複数の投与ステーションを提供するステップと、
前記投与ステーションは、前記ステージに沿って互いに一定の間隔で配置されており、前記間隔は前記反応が完了するのに必要な時間と相関しており、
(c)反応部位の第2の反応が始まる前にその反応部位の第1の反応が完了するように所定のスケジュールで、前記反応部位に前記試薬を順次投与するステップと、を有し、
前記間隔と前記スケジュールは、前記反応が完了するのに必要なステップの順序と継続時間とに相関している、
方法。
【請求項51】
前記分子はポリマーを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記試薬を順次投与するステップは、モノマーを前記ポリマーに順次投与することを含む、請求項51に記載のシステム。
【請求項53】
前記ステージは円形テーブルを有する、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
前記投与ステーションは、前記円形テーブルの外周に沿って配置されている、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記円形テーブルは、前記反応部位が所定時間で前記投与ステーションの下方に移動するように所定のスピードで回転する、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記反応部位は、第1の投与ステーションから第2の投与ステーションに移動し、前記所定時間は、前記反応部位が前記第2の投与ステーションの下方に位置する前に前記反応が完了するように計算されている、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記試薬を順次投与する手段は、制御システムを有する、請求項50に記載の方法。
【請求項1】
反応のステップを順次実行することにより合成される分子を連続的に合成するシステムであって、
(a)複数の反応部位を受け入れるステージと、
(b)前記反応部位のそれぞれに試薬を配送する複数の投与ステーションと、
(c)反応部位が前記投与ステーションから前記試薬を順次受け取るように、前記ステージ又は前記ステーションの配列を移動させる制御システムと、
を有し、
前記制御システムは、他の反応部位で分子を合成し続けている間、第1の反応部位を第2の反応部位に取り換える、ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記投与ステーションは、複数の前記反応部位に、合成反応溶液を別々に且つ連続的に供給する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ステージは円形テーブルを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記分子はポリマーを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記試薬を繰り返し連続的に受け取ることにより、モノマーが前記ポリマーに加えられる、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記分子はDNAを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記分子はアミノ酸を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記反応部位はマルチウェルプレートのくぼみを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記反応部位から前記試薬を取り除く、少なくとも1つの溶液除去装置をさらに有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記システムは、前記複数の反応部位の少なくとも1つの画像を取得する画像化ステーションをさらに有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記制御システムは、前記画像化ステーションからの画像を分析し、前記試薬が前記反応部位に投与されたかどうかを判断する、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記複数の投与ステーションの少なくとも1つは、複数の投与装置を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記複数の投与装置は、アデノシン合成試薬溶液を投与する第1の試薬投与装置と、チミジン合成試薬溶液を投与する第2の試薬投与装置と、シチジン合成試薬溶液を投与する第3の合成試薬投与装置と、グアノシン合成試薬溶液を投与する第4の試薬投与装置と、を有する、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記複数の投与ステーションは、
i)ブロック解除試薬投与ステーションと、
ii)モノマー試薬投与ステーションと、
iii)キャップ試薬投与ステーションと、
を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
反応のステップを順次実行することにより合成される分子を連続的に合成する方法であって、
(a)複数の反応部位を受け入れるステージを提供するステップと、
(b)反応部位が少なくとも1つの投与ステーションから合成反応溶液を順次受け取るように、前記ステージを連続的に移動させることにより、合成反応溶液を複数の前記反応部位に順次供給するステップと、
(d)システムが他の反応部位で分子を合成し続けている間、第1の反応部位を第2の反応部位に取り換えるステップと、
を有する方法。
【請求項16】
前記ステージは円形テーブルを有し、
前記ステージを連続的に移動させるステップは、前記円形テーブルを回転させることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記分子はポリマーを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記反応溶液を繰り返し連続的に受け取ることにより、モノマーが前記ポリマーに加えられる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記分子はDNAを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記分子はアミノ酸を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記反応部位はマルチウェルプレートのくぼみを有する、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記ステージを移動させる前に前記反応溶液を取り除くステップをさらに有する、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記反応部位の少なくとも1つを画像化し、反応部位の画像を提供するステップをさらに有する、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
前記画像を分析し、前記反応溶液が前記反応部位に投与されたかどうかを判断するステップをさらに有する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
反応のステップを順次実行することにより合成される分子を連続的に合成するシステムであって、
(a)複数の反応部位を受け入れるステージと、
(b)前記反応部位のそれぞれに試薬を配送する複数の投与ステーションと、
(c)反応部位が前記投与ステーションから前記試薬を順次受け取るように、前記ステージ又は前記ステーションの配列を移動させる手段と、
(d)前記システムが他の反応部位で分子を合成し続けている間、第1の反応部位を第2の反応部位に取り換える手段と、
を有するシステム。
【請求項26】
前記移動させる手段は、前記ステージと通信する制御システムを有する、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記制御システムは、コンピュータシステムを含む、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記取り換える手段は、第1の反応部位を第2の反応部位に取り換える制御システムを有する、請求項25に記載のシステム。
【請求項29】
前記取り換える手段は、第1の反応部位を第2の反応部位に取り換えるロボットアームを有する、請求項25に記載のシステム。
【請求項30】
分子を連続的に合成するシステムであって、
(a)互いに一定の順序及び一定の間隔で配置された複数の反応部位を有するステージと、
(b)前記反応部位に試薬を配送して反応を開始させる複数の投与ステーションと、
前記投与ステーションは、前記ステージに沿って互いに一定の間隔で配置されており、
(c)反応部位の第2の反応が始まる前にその反応部位の第1の反応が完了するように所定のスケジュールで、前記反応部位に試薬を順次投与する制御システムと、を有し、
前記間隔と前記スケジュールは、前記反応が完了するのに必要なステップの順序と継続時間とに相関している、
システム。
【請求項31】
前記分子はポリマーを含む、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記反応を繰り返すことにより、モノマーが前記ポリマーに加えられる、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記ステージは円形テーブルを有する、請求項30に記載のシステム。
【請求項34】
前記投与ステーションは、前記円形テーブルの外周に沿って配置されている、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記円形テーブルは、前記反応部位が所定時間で前記投与ステーションの下方に移動するように所定のスケジュールで回転する、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記反応部位は第1の投与ステーションから第2の投与ステーションに移動し、前記所定時間は、前記第2の投与ステーションが前記反応部位に試薬を投与する前に前記反応が完了するように計算されている、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
前記システムは、少なくとも1つの画像化ステーションをさらに有する、請求項30に記載のシステム。
【請求項38】
前記制御システムは、前記画像化ステーションからの画像を分析し、前記合成反応溶液が前記反応部位に投与されたか又は前記反応部位から取り除かれたかを判断する、請求項30に記載のシステム。
【請求項39】
前記分子は核酸を含む、請求項30に記載のシステム。
【請求項40】
前記分子は蛋白質を含む、請求項30に記載のシステム。
【請求項41】
前記反応部位は、マルチウェルプレートのくぼみである、請求項30に記載のシステム。
【請求項42】
前記投与ステーションは、前記溶液を前記マルチウェルプレートに配送する複数の投与ノズルを有する、請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
少なくとも1つの前記投与ステーションは、前記反応部位が前記ステージに沿って移動しているときに、前記試薬を前記反応部位に投与する、請求項30に記載のシステム。
【請求項44】
分子を連続的に合成するシステムであって、
(a)互いに一定の順序及び一定の間隔で配置された複数の反応部位を有するステージと、
(b)前記反応部位に試薬を配送して反応を開始させる複数の投与ステーションと、
前記投与ステーションは、前記ステージに沿って互いに一定の間隔で配置されており、前記間隔は前記反応が完了するのに必要な時間と相関しており、
(c)反応部位の第2の反応が始まる前にその反応部位の第1の反応が完了するように所定のスケジュールで、前記反応部位に前記試薬を順次投与する手段と、を有し、
前記間隔と前記スケジュールは、前記反応が完了するのに必要なステップの順序と継続時間とに相関している、
システム。
【請求項45】
前記ステージは円形テーブルを有する、請求項44に記載のシステム。
【請求項46】
前記投与ステーションは、前記円形テーブルの外周に沿って配置されている、請求項45に記載のシステム。
【請求項47】
前記円形テーブルは、前記反応部位が所定時間で前記投与ステーションの下方に移動するように所定の速度で回転する、請求項46に記載のシステム。
【請求項48】
前記反応部位は、第1の投与ステーションから第2の投与ステーションに移動し、前記所定時間は、前記反応部位が前記第2の投与ステーションの下方に位置する前に前記反応が完了するように計算されている、請求項47に記載のシステム。
【請求項49】
前記試薬を順次投与する手段は、制御システムを有する、請求項44に記載のシステム。
【請求項50】
分子を連続的に合成する方法であって、
(a)互いに一定の順序及び一定の間隔で配置された複数の反応部位を有するステージを提供するステップと、
(b)前記反応部位に試薬を配送して反応を開始させる複数の投与ステーションを提供するステップと、
前記投与ステーションは、前記ステージに沿って互いに一定の間隔で配置されており、前記間隔は前記反応が完了するのに必要な時間と相関しており、
(c)反応部位の第2の反応が始まる前にその反応部位の第1の反応が完了するように所定のスケジュールで、前記反応部位に前記試薬を順次投与するステップと、を有し、
前記間隔と前記スケジュールは、前記反応が完了するのに必要なステップの順序と継続時間とに相関している、
方法。
【請求項51】
前記分子はポリマーを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記試薬を順次投与するステップは、モノマーを前記ポリマーに順次投与することを含む、請求項51に記載のシステム。
【請求項53】
前記ステージは円形テーブルを有する、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
前記投与ステーションは、前記円形テーブルの外周に沿って配置されている、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記円形テーブルは、前記反応部位が所定時間で前記投与ステーションの下方に移動するように所定のスピードで回転する、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記反応部位は、第1の投与ステーションから第2の投与ステーションに移動し、前記所定時間は、前記反応部位が前記第2の投与ステーションの下方に位置する前に前記反応が完了するように計算されている、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記試薬を順次投与する手段は、制御システムを有する、請求項50に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2009−514796(P2009−514796A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531251(P2008−531251)
【出願日】平成18年9月11日(2006.9.11)
【国際出願番号】PCT/US2006/035491
【国際公開番号】WO2007/033176
【国際公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(500358711)イルミナ インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月11日(2006.9.11)
【国際出願番号】PCT/US2006/035491
【国際公開番号】WO2007/033176
【国際公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(500358711)イルミナ インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】
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