説明

連設型センサシステム、ネットワークユニット、及びセンサユニット

【課題】ユーザにとって使いやすく、且つ結線を複雑化させることがなく、各センサユニットに外部入力を与えることができる連設型センサシステム、及びこのセンサシステムに用いられるネットワークユニット及びセンサユニットを提供すること。
【解決手段】ネットワークユニット10のサイクリック通信用メモリ14aに外部入力要求領域14aを設け、上位制御装置42の対応するメモリに外部入力信号を記憶させる。ネットワークユニット10と上位制御装置42のサイクリック通信により、ネットワークユニット10のサイクリック通信用メモリ14aに外部入力信号を記憶させ、ネットワークユニット10に接続された各センサユニットに外部入力信号を送信し、各センサユニットに外部入力機能を実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検知対象物の状態監視などを行う連設型センサシステム及びそのセンサシステムに用いるネットワークユニット、及びセンサユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
自動化された製造ラインでは、ワークの位置、有無、状態などを確実に検出するために、ワークの近傍にこれらを検出するセンサが多数配置される。
【0003】
このようなセンサシステムにおいては、多数のセンサとセンサの制御機器との配線が面倒であるため、これらの機器をユニット化し、各ユニットを物理的に連結することによって各ユニットを接続し、各ユニット間の配線を同時に完了させる連設型センサシステムが活用されている。連設型センサシステムでは、ワークの近傍に多数のセンサユニットを連設して設置し、各センサユニットに接続された光ファイバなどのセンサヘッドをワークの監視部位の近傍に近接して多数配設し、各センサユニットから出力される検知信号を上位制御装置が収集して監視する。
【0004】
通常、センサユニットには外部からの各種設定信号を受け付けて実行される外部入力機能が備えられている。各センサユニットは入力された外部入力信号を判定し、外部入力の信号パターンであると判定した場合に、予め設定された外部入力機能が実行される。各センサユニットへの外部入力は、各センサユニットに設けられた操作スイッチにより実行されたり、あるいは、センサユニットが外部入力端子を備える場合は、この外部入力端子に接続された外部入力線がPLCなどの上位制御装置の出力端子に接続されて、上位制御装置から各センサユニットに外部入力を与え、この外部入力をトリガとして予め設定された外部入力機能が実行される。(例えば特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−003136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、ユーザが操作スイッチを用いて外部入力を行う場合は、特に複数のセンサユニットが連設されたセンサシステムでは非常に手間がかかるばかりでなく、全てのセンサユニットに対して同時に外部入力を与えたり、あるいは所望のタイミングでの外部入力ができないという問題がある。また、上位制御装置から外部入力線を介して外部入力信号を入力する場合は、上位制御装置の出力端子と各センサユニットとを個別にケーブルで接続する必要があり、配線に手間がかかり、結線が複雑化するという問題がある。
【0007】
これに対して、複数のセンサユニットを一つのネットワークユニットに接続して、このネットワークユニットがフィールドバスを介して上位制御装置に接続され、複数のセンサユニットの通信を中継する構成が知られている。この構成の場合、上位制御装置側でネットワークユニット内の各センサユニットと通信するアドレスにアクセスする通信コマンドを設定することにより、上位制御装置からネットワークユニットを介して、各センサユニットに個別に外部入力を与えることができる。この構成によれば、各センサユニットの操作スイッチを操作することなく、また結線を複雑化させることなく、各センサユニットへの外部入力が可能となる。
【0008】
しかし、上位制御装置からネットワークユニットを介して各センサユニットに外部入力を与える場合、各センサユニットの通信コマンドを設計する必要があるため、ユーザは通信コマンドの仕様を理解してラダープログラムなどで通信コマンドを設計する必要があるため、ユーザにとっては簡単には使いにくいという問題がある。
【0009】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、ユーザにとって使いやすく、且つ結線を複雑化させることがなく、各センサユニットに外部入力を与えることができる連設型センサシステム、及びこのセンサシステムに用いられるネットワークユニット及びセンサユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題を解決するために、本発明の連設型センサシステムは、ホスト制御装置とフィールドバスを介して通信するネットワークユニットと、ネットワークユニットに接続され、検出対象から検出した物理量に応じた検出値を取得し、該検出値を予め定められた閾値と比較して判別信号を出力する少なくとも1つのセンサユニットとを備え、センサユニット同士を連結して構成される連設型センサシステムであって、ネットワークユニットは、フィールドバスに接続するためのホスト通信用インタフェースと、該ホスト通信用インタフェースを介してホスト制御装置とデータを共有するサイクリック通信を行うためのデータを記憶するメモリであって、送信用のメモリ領域と、センサユニットに外部入力信号を与えるための外部入力用のメモリ領域を含む受信用のメモリ領域とからなるサイクリック通信用メモリと、ネットワークユニットに連結された各センサユニットと通信するためのセンサ通信用インタフェースと、ホスト制御装置とサイクリック通信を実行するとともに、サイクリック通信の結果、外部入力用のメモリ領域に記憶された外部入力信号をセンサ通信用インタフェースを介して各センサユニットに送信し、各センサユニットに外部入力信号を送信する制御部とを備え、センサユニットは、外部入力信号を受け付けた際に実行する外部入力機能の設定を記憶する設定情報メモリと、ネットワークユニットから送信された外部入力信号を受け付けて、設定情報メモリに記憶された外部入力機能を実行する制御部とを、具備するものである。
【0011】
本発明によれば、ネットワークユニットが備えるサイクリック通信用メモリの受信用のメモリ領域に外部入力用のメモリ領域が割り当てられているので、ユーザはPLC等の上位制御装置の書き込み用のメモリ領域に外部入力用のメモリ領域を割り当てておき、このメモリ領域に各センサユニットに対する外部入力データを設定しておくだけで、各センサユニットに簡単に外部入力信号を入力することができる。また、ネットワークユニットに対して複数のセンサユニットが接続されている場合は、各センサユニットに対して個別に外部入力信号を入力したり、あるいは一斉に外部入力信号を入力することもできる。
【0012】
ここで連設型センサシステムは、センサ通信用インタフェースを介して、判別信号をサイクリック通信用メモリの送信用のメモリ領域に記憶する一部モニタモードと、判別信号に加え、各センサユニットの検出値をサイクリック通信用メモリの送信用のメモリ領域に記憶するフルモニタモードとを切り替える手段を更に備えるようにしてもよい。
【0013】
これにより、判別信号のみをサイクリック通信で上位制御装置と共有し、通信負荷の低減ならびに通信速度の向上を図った状態と、判別信号と検出値の両方をサイクリック通信により上位制御装置と共有し、ネットワークユニットに接続された各センサユニットの検出値を含めて監視可能な状態とを必要に応じて切り替えることができるので、ユーザの用途やニーズに応じた通信負荷、応答速度でサイクリック通信を実行することができる。
【0014】
また、連設型センサシステムはサイクリック通信用メモリの受信用のメモリ領域に外部入力用のメモリ領域を確保するか否かを切り替える手段を更に備えるようにしてもよい。
【0015】
これにより、ユーザが外部入力信号をサイクリック通信用メモリに割り当てるか否かを切り替えることができるので、サイクリック通信による外部入力を必要としないユーザが通信負荷の低減、応答速度の向上を図ることができる。
【0016】
ここでセンサユニットの設定情報メモリは、外部入力機能として検出値と閾値の比較結果に関わらず判別信号の出力を固定する出力固定機能の設定情報を記憶し、センサユニットの制御部は、外部入力信号を受け付けた際に出力固定機能を実行するようにしてもよい。
【0017】
これにより、各センサユニットの出力を検出値に依存せずにコントロール可能となり、仮想的な検出状態を実現し、製造ラインのシステムのデバッグや設計の効率を高めることができる。
【0018】
ここでセンサユニットの制御部は、外部入力信号を受け付けた際に、該外部入力信号を受け付けたときの判別信号の出力に固定されるようにしてもよい。
【0019】
これにより、例えば複数のセンサユニットが設置された製造ラインで何らかの異常が発生したときに、この異常が発生したときの各センサユニットの出力値を、この異常が発生したときの状態に維持できる。これにより、ユーザが異常の原因を各センサユニットの出力値に基づいて効率良く調査することができる。
【0020】
ここで、センサユニットは、外部入力信号を受け付けた際に実行する外部入力機能を選択する操作部と、外部入力機能を選択するための設定画面を表示するための表示部とを備え、センサユニットの制御部は、該センサユニットがネットワークユニットに接続された際に、設定画面の表示を行うようにしてもよい。
【0021】
これにより、ユーザは予め操作部により外部入力信号を受け付けたときの外部入力機能を設定画面を見ながら任意に設定することができる。また、外部入力信号を受け付けたときに所望の外部入力機能を各センサユニットが個別に実行できる。
【0022】
この課題を解決するために、本発明のネットワークユニットは、ホスト制御装置とフィールドバスを介して通信するネットワークユニットと、ネットワークユニットに接続され、検出対象から検出した物理量に応じた検出値を取得し、該検出値を予め定められた閾値と比較して判別信号を出力する少なくとも1つのセンサユニットとを備え、センサユニット同士を連結して構成される連設型センサシステムに用いられるネットワークユニットと、ネットワークユニットは、フィールドバスに接続するためのホスト通信用インタフェースと、該ホスト通信用インタフェースを介してホスト制御装置とデータを共有するサイクリック通信を行うためのデータを記憶するメモリであって、送信用のメモリ領域と、センサユニットに外部入力信号を与えるための外部入力用のメモリ領域を含む受信用のメモリ領域とからなるサイクリック通信用メモリと、ネットワークユニットに連結された各センサユニットと通信するためのセンサ通信用インタフェースと、ホスト制御装置とサイクリック通信を実行するとともに、サイクリック通信の結果、外部入力用のメモリ領域に記憶された外部入力信号をセンサ通信用インタフェースを介して各センサユニットに送信し、各センサユニットに外部入力信号を送信する制御部と、を具備するものである。
【0023】
この課題を解決するために、本発明のセンサユニットは、フィールドバスに接続するためのホスト通信用インタフェースと、該ホスト通信用インタフェースを介してホスト制御装置とデータを共有するサイクリック通信を行うためのデータを記憶するメモリであって、送信用のメモリ領域と、センサユニットに外部入力信号を与えるための外部入力用のメモリ領域を含む受信用のメモリ領域とからなるサイクリック通信用メモリと、ネットワークユニットに連結された各センサユニットと通信するためのセンサ通信用インタフェースと、ホスト制御装置とサイクリック通信を実行するとともに、サイクリック通信の結果、外部入力用のメモリ領域に記憶された外部入力信号をセンサ通信用インタフェースを介して各センサユニットに送信し、各センサユニットに外部入力信号を入力する制御部とを備えるネットワークユニットに接続され、検出対象から検出した物理量に応じた検出値を取得し、該検出値を予め定められた閾値と比較して判別信号を出力するセンサユニットであって、外部入力信号を受け付けた際に実行する外部入力機能の設定を記憶する設定情報メモリと、ネットワークユニットから送信された外部入力信号を受け付けて、設定情報メモリに記憶された外部入力機能を実行する制御部と、を具備するものである。
【0024】
ここに、本発明でいう判別信号とは、センサの検出信号に基づく信号を予め定められた閾値と比較して得られた二値化された信号を指す。センサユニットが外部入力信号を受け付けた際の動作としては、検出値をゼロにシフトするゼロシフト機能、センサの受光量表示を所定値に合わせるプリセット機能、判別信号を固定する出力固定機能等、種々の機能が選択できる。
【0025】
また、本発明におけるネットワークユニットは、複数のセンサユニット(例えば16台)が接続可能であり、サイクリック通信用メモリは各センサユニットに対応した個別の外部入力用メモリ領域を備える。したがって、一部のセンサユニットに対してのみ外部入力信号を入力したり、あるいは接続されている全てのセンサユニットに対して外部入力信号を同時に入力することが可能となる。
【0026】
また、本発明のセンサユニットとしては、透過型や反射型の光電センサユニットが考えられ、光電センサの場合にはセンサユニットから光ファイバを物体検知領域にまで延出するファイバセンサやセンサユニットに投光素子・受光素子等の光学素子を内蔵するヘッドが電線ケーブルで接続される分離光電センサが好適である。ファイバセンサや分離光電センサは、連設せずに単体でも使用できるため、1台のセンサユニットは、一つ又は二つのセンサヘッドを有する構成が好適である。またセンサユニットとして、近接センサや圧力センサ、超音波センサなど他の形式のセンサユニットであってもよい。
【0027】
本発明において、ネットワークユニットとフィールドバスを接続するホスト通信用インタフェース、ネットワークユニットとセンサユニットを接続するセンサ通信用インタフェース、あるいはセンサユニット間を接続する接続手段には物理的に接続する接続手段及び信号伝送を行うための信号接続手段が含まれる。信号伝送を行うための信号接続手段として、電気的接続によって信号伝送を行う接続手段や、光の送受信によって信号伝送を行う接続手段を採用することが可能である。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、ユーザにとって使いやすく、且つ結線を複雑化させることがなく、各センサユニットに外部入力を与えることができる連設型センサシステム、及びこのセンサシステムに用いられるネットワークユニット及びセンサユニットを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は本発明の実施の形態による連設型センサシステムの全体構成を示す図である。連設型センサシステム1は、ネットワークユニット10に少なくとも1つ、ここでは16個のセンサユニット30−1〜30−16を一連に連結して構成されている。これらのユニットは少なくとも2本のラインから成るシリアル伝送ライン41で電気的に接続される。以下ではネットワークユニット10に向かう方向を上流方向、センサユニット30−16に向かう方向を下流方向という。ネットワークユニット10は、センサユニット30−1〜30−16から伝送される信号を集約しつつPLC等の上位制御装置42との間で必要な信号を伝送する機能を有するものであり、上位制御装置42にフィールドバス43を介して接続されている。
【0030】
次に各ユニットについて詳細に説明する。図2はネットワークユニット10の内部構成を示すブロック図、図3(a)、(b)はネットワークユニット10を示す相異なる方向からの斜視図である。
【0031】
図2に示すように、ネットワークユニット10は、制御部11内にホスト通信用インターフェイスである上位インタフェース(IF)11a、センサ通信用インタフェースであるシリアル通信部11bを備えて構成されている。またネットワークユニット10の制御部11には、表示部12、操作部13、メモリ14、及びコネクタ16,17,18が接続されている。
【0032】
上位インタフェース11aはコネクタ18を介してフィールドバス43に接続され、上位制御装置42とサイクリック通信、あるいはメッセージ通信を行う為のインタフェースである。制御部11は、シリアル伝送ライン41を介してセンサユニットとの間でシリアル信号を送受信する機能を有するとともに、上位インタフェース11aを介して上位制御装置42との通信を実行する機能を有する。
【0033】
シリアル通信部11bはコネクタ16のシリアル伝送ライン41に接続され、連設型センサシステムに接続される各センサユニットとの間でシリアル通信を行うもので、シリアル伝送手段41を構成している。
【0034】
コネクタ16は5個の接続端子を備え、このうち接続端子16a、16bはシリアル伝送ライン41に接続される端子である。接続端子16cはタイミング信号用の接続端子である。また接続端子16d、16eは電源供給用の端子であり、電源供給用のコネクタ17に接続されている。
【0035】
ネットワークユニット10のコネクタ16は、センサユニット30−1との電気的な接続手段を構成しており、シリアル伝送ライン41を介してシリアル信号の送受信を行うと共に、タイミング信号を送出する機能と、各センサユニットに電源供給を行う機能を兼ね備えている。
【0036】
表示部12は、上位制御装置42との通信状態、各センサユニットとの通信状態、あるいはネットワークユニット10に何らかの異常が発生している場合に、この異常状態を複数のLED等の表示灯の点灯パターン、又は点灯色で識別可能に表示する。操作部13は、ネットワークユニット10のフィールドネットワーク内のノードアドレスの設定や、後述するサイクリック通信用メモリのデータサイズ、データ割付を変更する動作モードの設定を行うためのものである。
【0037】
メモリ14は、上位制御装置42及び各センサユニットとの通信を行うデータを記憶するものであり、このメモリ14の詳細については後述する。
【0038】
ネットワークユニット10は、図3(a)、(b)に示すように直方体形状のケース21に部材を収容したユニットであり、その側壁に1つのセンサユニットを連結して用いられる。
【0039】
図3(a)に示すように、ケース21の上面にはコネクタ18が設けられている。コネクタ18はプログラマブルコントローラやコンピュータなどの上位制御装置42を接続するコネクタである。ケース21の長手方向の一端には、図示しない電源供給線を接続するねじ式の端子から成るコネクタ17が設けられている。又ケース21の上面には表示部12や操作部13の操作スイッチが設けられる。
【0040】
図3(b)に示すようにケース21の一方の側面には、前述したコネクタ16が設けられている。コネクタ16は5個の接続端子を有し、このうちの2個の接続端子は下流側シリアル伝送ライン41に接続され、残りはタイミング用、及び電源用の接続端子である。
【0041】
また、ケース21の一方の側面には、長手方向両端部に近接して係合凹部22a、22bが設けられている。この係合凹部22a,22bは、後述するセンサユニット30−1に設けられた係合突起を嵌入させて係合するもので、ユニット同士を連結する際の位置決めと接続を行う物理的な接続手段を構成している。
【0042】
次に、センサユニットについて説明する。本実施の形態では16台のセンサユニット30−1から30−16が連結されているが、各センサユニットは同一の構成であるので、センサユニット30−1につき図面に基づいて説明する。図4はセンサユニット30−1の内部構成を示すブロック図である。図5(a)はセンサユニット30−1を一方の側面から見た状態の斜視図であり、図5(b)はセンサユニット30−1を反対側の側面から見た状態の斜視図である。本実施の形態のセンサユニット30−1は、投光用及び受光用の一対の光ファイバをセンサヘッドとする光電センサとし、受光用の光ファイバの受光量に応じた検出信号を生成し、この検出信号を所定の閾値で二値化した判別信号を出力する機能を有する。
【0043】
センサユニット30−1は図4に示すように、1チップのゲートアレイやマイクロプロセッサを用いて形成した制御部31を有している。制御部31はタイミング制御部31a、判定部31b、シリアル通信部31c、外部入力受付部31dを内部に備えている。また制御部31には発光部32、受光部33、表示部34、操作部35、メモリ36、出力トランジスタQ1及びコネクタ37,38が接続されている。
【0044】
制御部31は、シリアル伝送ライン41を介してネットワークユニット10との間でシリアル信号を送受信する機能を有する。また、センサユニット30−1内のパラメータが更新されたときにメモリ36が保持する更新フラグをオンとし、パラメータの送出を終えるとこのフラグをリセットする機能を有している。
【0045】
判定部31bは受光量を所定の閾値により弁別してオン/オフの二値化された判別信号に変換する判別部である。センサの判別信号は出力用トランジスタQ1及び出力ライン39を介して外部に直接出力される。
【0046】
シリアル通信部31cはコネクタ37、38のシリアル伝送ライン41に接続され、連設型センサシステムに接続されるネットワークユニット10との間でシリアル通信を行うもので、シリアル伝送手段を構成している。外部入力受付部31dはネットワークユニット10を介さずに直接外部入力を受け付けるためのもので、外部入力線は出力ライン39の中に内包されている。
【0047】
発光部32はタイミング制御部31aからのタイミング信号に基づいて発光素子を駆動するものである。発光素子からの光は光ファイバ32aを介して伝送されて先端から光を輻射する。光ファイバ32aから輻射される光は物体検知領域を介して光ファイバ33aに入射し、受光部33に導かれる。受光部33は入射光を電気信号に変換し、増幅するものである。
【0048】
メモリ36は、検出された検出値、判別信号を記憶する揮発性メモリと、各センサユニットで個別に設定される閾値などの各種設定情報を記憶する不揮発性メモリからなり、これらのメモリに記憶されたデータは、シリアル伝送ライン41を介してネットワークユニット10に転送される。
【0049】
コネクタ37は、ネットワークユニット10のコネクタ16及び隣接するセンサユニットのコネクタ38と互いに接続可能となっている。またコネクタ37はシリアル伝送ライン41の上流側に接続される2個の接続端子37a、37bと、コネクタ38の接続端子38a、38bとの間は各々直接接続されてシリアル伝送ライン41が形成されている。
【0050】
コネクタ38はシリアル伝送ライン41の下流側に接続される2個の接続端子38a、38bを有する。コネクタ37の接続端子37a、37bと、コネクタ38の接続端子38a,38bとの間は各々直接接続されてシリアル伝送ライン41が形成されている。
【0051】
コネクタ37の接続端子37cはタイミング制御部31aを介してコネクタ38の接続端子38cに接続されている。また、コネクタ37の接続端子37d、37eとコネクタ38の接続端子38d、38eとの間は各々直接接続され、センサユニット30−1の内部に電源を供給すると共に、下流のセンサユニットに電源を供給する。
【0052】
センサユニット30−1は、図5(a)、(b)に示すように、幅が狭いケース51に部材を収容したユニットである。ケース51の上面には4桁の7セグメントLED表示器で形成された表示器34や各種のスイッチから成る操作部35が設けられている。表示部34はセンサの受光量と設定閾値や、受光量と余裕度などの値を同時にデジタル表示可能である。
【0053】
ケース51の上部には、上面を覆う着脱自在のカバーが設けられるが、図5では省略している。またケース51の長手方向端部には、光ファイバ32a、33aを装着するヘッド装着孔52a、52bと、光ファイバ32a、33aを固定する固定レバーが設けられている。
【0054】
図5(a)に示すようにケース51の一方の側面には、コネクタ37が設けられている。また、ケース51の一方の側面には、長手方向両端部に近接して係合突起53a、53bが設けられている。この係合突起53a、53bは、ネットワークユニット10の係合凹部22a、22bに嵌入させて係合するもので、ネットワークユニットとの連結の際の位置決めと接続を行う物理的な接続手段を構成している。コネクタ37は上流側のネットワークユニット10又はセンサユニットと電気的に接続する接続手段を構成している。
【0055】
図5(b)に示すようにケース51の他方の側面にはコネクタ37と対称な位置にコネクタ38が設けられている。また、ケース51の他方の側面には、長手方向両端部に近接して係合凹部54a、54bが設けられている。この係合凹部54a、54bは、下流のセンサユニットに設けられた係合突起を嵌入させて係合するもので、センサユニット同士の連結の際の位置決めと接続を行う物理的な接続手段を構成している。コネクタ38は下流側のセンサユニットと電気的に接続する接続手段を構成している。
【0056】
次に、ネットワークユニットとセンサユニットとを組み合わせて形成される連設型センサシステム1の構成及びその動作について説明する。本実施の形態の連設型センサシステム1は、ネットワークユニット10及び少なくとも1つのセンサユニットとを組み合わせて種々に形成可能であるが、ここでは図1及び図6のように、1台のネットワークユニット10と16台のセンサユニット30−1〜30−16とが連結して接続されているものとする。ネットワークユニット10とセンサユニット30−1とを連結することによりコネクタ16とコネクタ37とが接続される。また各センサユニットのコネクタ38が隣接するセンサユニットのコネクタ37とが接続される。
【0057】
本実施の形態の連設型センサシステム1において、ネットワークユニット10のコネクタ18にはケーブルを介して上位制御装置42が接続され、コネクタ17には直流電源が接続される。各センサユニットは夫々図示しない光ファイバがワークの監視位置まで延ばされている。
【0058】
上記のように構成された連設型センサシステム1において、次のようにしてワークの監視制御が行われる。ネットワークユニット10の制御部11よりタイミング信号が隣接するセンサユニット30−1に送出されると、センサユニット30−1のタイミング制御部31aに伝送される。センサユニット30−1では、タイミング制御部31aにタイミング信号が伝送されて来ると、制御部31は発光部32を発光させ、受光部33にワークの有無により異なったレベルの受光信号が得られる。受光信号は判定部31bに設定された閾値で二値化される。センサユニット30−1は判別信号を出力トランジスタQ1、出力ライン39を通じて外部に出力する。この判別信号と受光量は、次にタイミング信号が得られるまで保持される。
【0059】
そして、タイミング制御部31aはタイミング信号を受信してから所定時間(例えば10μs)経過した後に、接続端子38cより隣接するセンサユニットにタイミング信号を伝える。このように、各センサユニットで所定時間ずつ遅延されたタイミング信号がバケツリレー式に下流側のセンサユニットへ伝送される。これにより、下流側に向かうにつれて各センサユニットは所定時間ずつ遅延して発光することになるため、光電センサ間の相互干渉を防止することができる。
【0060】
なお、本実施の形態ではネットワークユニット10と各センサユニット、及び各センサユニット同士の信号伝送を行うための接続手段としてシリアル伝送ライン41を介してバス接続する例を示したが、各センサユニットに同一数の接続端子を配列した一対のコネクタを形成してパラレル伝送をするようにしてもよい。また、電気的に接続するものに限られず、光の送受信によって信号伝送を行う接続手段を採用することも可能である。この場合、隣り合うネットワークユニットとセンサユニット及びセンサユニット間を光通信にて信号を伝送し、下流のセンサユニットに信号を伝送するバケツリレー式の信号伝送形態が採用できる。
【0061】
図7は、上位制御装置42、ネットワークユニット10、センサユニット30−1のメモリの構成図である。ネットワークユニット10のメモリ14はサイクリック通信用メモリ14a、センサ検出情報メモリ14b、センサ設定情報メモリ14cとからなる。ネットワークユニット10は上位制御装置42とサイクリック通信用メモリ14aに記憶されたデータを用いてサイクリック通信を実行する。サイクリック通信は、上位制御装置42とネットワークユニット10の双方にサイクリック通信用のメモリ領域を設けて、所定のサイクリック周期で相互にデータを送受信することにより、サイクリック通信用メモリ領域に記憶されたデータを共有する通信方式である。
【0062】
ユーザはまず上位制御装置42のメモリ領域に、ネットワークユニット10のサイクリック通信用メモリ14aに対応するサイクリック通信用メモリ領域44aを確保する。続いてこのサイクリック通信用メモリ領域44aの送信用メモリ領域にデータを記憶させる。記憶されたデータはサイクリック通信により所定の周期でネットワークユニット側のサイクリック通信用メモリ14aの受信用メモリ領域に記憶される。逆に、ネットワークユニット10のサイクリック通信用メモリ14aの送信用メモリ領域に記憶されたデータは所定の周期で上位制御装置14のサイクリック通信用メモリ領域44aの受信用メモリ領域に記憶される。
【0063】
したがって、ユーザは上位制御装置42及びネットワークユニット10の双方に設けられたサイクリック通信用メモリを活用することにより、上位制御装置42からネットワークユニット10へのデータの書き込み、及びネットワークユニットから上位制御装置14へのデータの読み出しを通信コマンドの制御を一切必要とせずに簡便に行うことができる。
【0064】
ネットワークユニット10のセンサ検出情報メモリ14bは、ネットワークユニット10に接続されたセンサユニットの数に対応したメモリ領域を個別に備え、各センサユニットが検出した受光量や該受光量を各センサユニット毎に個別に設定された閾値と比較して出力される判別信号を個別に記憶する。センサ検出情報メモリ14bに記憶された各センサユニットの検出情報は、サイクリック通信用メモリ14aに転送され、続いて上位制御装置14とネットワークユニット10のサイクリック通信により上位制御装置14のサイクリック通信用メモリ領域44aの受信用メモリ領域に記憶される。このようにして、上位制御装置14はネットワークユニット10に接続された各センサユニットの検出情報を取得し、管理することができる。
【0065】
ネットワークユニット10のセンサ設定情報メモリ14cは、ネットワークユニット10に接続された各センサユニットの設定情報を記憶するメモリである。ここでいう設定情報とは各センサユニットの受光量等を制御するパワーモードや検出値と比較される閾値、あるいは後述する外部入力機能設定情報等である。これらセンサ設定情報メモリ14cに記憶された各種設定情報は、上位制御装置14からメッセージ通信により読み出し、及び書き込みが可能である。
【0066】
一般にサイクリック通信はフィールドネットワーク内に存在する各ノードのサイクリック通信用メモリデータを全てのノードが共有するものであるため、サイクリック通信用メモリのデータサイズを必要以上に大きくすると通信負荷が大きくなり、各センサユニットのレスポンスが低下する。したがって、詳細については後述するが、上位制御装置14で監視する必要性が高くない設定情報については、ユーザが必要に応じて上位制御装置14のメッセージ通信用メモリ領域44bに通信コマンドを設定することにより読み書きを可能にしている。
【0067】
各センサユニットのメモリ36は、判別信号メモリ36a、受光量メモリ36b、センサ設定情報メモリ36cとからなる。各センサユニットは前述したタイミング制御信号を制御部31が受け付けると、発光部32、受光部33を制御し、最新の受光量を取得して受光量メモリ36bに記憶させるとともに、取得した受光量をセンサ設定情報メモリ36cに記憶されている閾値と比較して判別信号を取得し、最新の判別信号を判別信号メモリ36aに記憶する。
【0068】
ネットワークユニット10と各センサユニットはシリアル伝送ライン41を介してサイクリック通信を実行しており、取得した最新の受光量及び判別信号はネットワークユニット10のセンサ検出情報メモリ14bに転送され、各センサユニット別に確保されたメモリ領域に記憶される。
【0069】
センサ設定情報メモリ36cは各センサユニットに設定されている設定情報を記憶するメモリである。ネットワークユニット10はシステムの起動時に接続されている各センサユニットのセンサ設定情報メモリ36cに記憶されている設定情報を収集して記憶する。その後は、ユーザがセンサユニットの操作部35を操作して設定情報を変更したことを示す設定情報更新フラグがONになっているセンサユニットの設定情報のみが、ネットワークユニット10のセンサ設定情報メモリ14cに転送される。したがって、設定情報の変更が無いときは判別信号と受光量のみがネットワークユニット10にサイクリックに転送されるため、最小のトラフィックの増加で各センサユニットの設定情報を管理することができる。
【0070】
なお、本実施の形態では各センサユニットの判別信号をシリアル伝送ライン41を介して転送し、ネットワークユニット10のセンサ検出情報メモリ14bに記憶させるようにしたが、各センサユニットに判別信号を直接出力する出力線を設け、各センサユニットの判別信号をこの出力線を介してサイクリック通信用メモリ14aに直接転送して記憶させるようにしてもよい。
【0071】
図8は、上位制御装置14とネットワークユニット10のサイクリック通信用メモリのデータ構造を説明するための図である。ネットワークユニット10のサイクリック通信用メモリ14aは送信用メモリ領域と受信用メモリ領域に分かれており、送信用メモリ領域は各センサユニットから取得した判別信号を記憶する領域である判別信号領域14a−1、各センサユニットのエラー情報を記憶するエラー情報領域14a−2、外部入力確認領域14a−3、閾値反映確認領域14a−4、受光量領域14a−5とからなる。受光用メモリ領域は外部入力要求領域14a−6、閾値反映要求領域14a−7、閾値領域14a−8とからなる。受光量領域14a−5、閾値領域14a−8は、接続されているセンサユニットの台数分だけ必要な分だけ制御部11によりメモリ領域が確保される。なお、ここに挙げたデータ構造は一例であり、これに限られるものではない。
【0072】
ユーザは図8に示すように、上位制御装置14のサイクリック通信用メモリ領域44aにネットワークユニット10のサイクリック通信用メモリ14aのデータ構造に対応したメモリ領域を確保する。そして、例えばユーザがネットワークユニット10に接続された2台目のセンサユニット30−2の閾値を変更したい場合は、上位制御装置14の閾値反映要求領域44a−7のセンサユニット30−2に対応するビットを1にして、閾値領域44a−8の閾値2の領域に設定したい閾値を記憶させる。これらの記憶データはサイクリック通信によりネットワークユニット10の閾値反映要求領域14a−7、閾値領域14a−8に転送されて記憶される。
【0073】
ネットワークユニット10は、センサ設定情報メモリ36cのセンサユニット30−2の記憶領域に閾値領域14a−8の閾値2に記憶された閾値を転送して記憶し、センサユニット30−2に閾値の変更値を転送する。それを受けたセンサユニット30−2は閾値の変更値をセンサ設定情報メモリ36cに記憶するとともに、ネットワークユニット10に閾値反映完了のレスポンスを返信する。ネットワークユニット10はこのレスポンスを受けて、サイクリック通信用メモリ14aの送信用メモリ領域の閾値反映確認領域14a−4のセンサユニット30−2に対応するビットを1にする。このようにして、上位制御装置14でセンサユニット30−2の閾値反映完了が確認できる。
【0074】
また、ネットワークユニット10のサイクリック通信用メモリ14aの判別信号領域14a−1、受光量領域14a−5には、それぞれネットワークユニット10に接続されている各センサユニット30−1〜30−16の最新の判別信号と受光量が記憶されている。したがって、ユーザは上位制御装置14を用いて各センサユニットの判別信号や受光量をそれぞれ取得し、例えばあるセンサユニットの受光量が所定の受光量以下となった場合に警告信号を発するなど、各センサユニットの状態を個別に管理することができる。
【0075】
ネットワークユニット10のサイクリック通信用メモリ14aは、判別信号領域14a−1や閾値領域14a−8に加えて、外部入力要求領域14a−6を備える。以下、ユーザがセンサユニット30−1に外部入力を実行し、予め設定された外部入力機能を実行させる場合の処理及び動作について説明する。
【0076】
まず、ユーザはセンサユニット30−1に上位制御装置14から外部入力を受け付けた際にセンサユニット30−1に実行させる機能(以下、外部入力機能)を設定する。この設定は、各センサユニット30−1に設けられた操作部を操作するか、あるいは上位制御装置14からメッセージ通信によりセンサユニット30−1に設定コマンドを送信することにより実行され、設定情報は各センサユニットのセンサ設定情報メモリ14cに記憶される。
【0077】
続いて、上位制御装置14のサイクリック通信用メモリ領域44aの外部入力要求領域44a−6のセンサユニット30−1に対応するビットにデータを入力する(図9参照)。続いてサイクリック通信によりネットワークユニット10に外部入力信号が与えられ、サイクリック通信用メモリ14aの外部入力要求領域14a−6のセンサユニット1に対応するビットにデータが自動的に入力される。
【0078】
ネットワークユニット10は、サイクリック通信用メモリ14aに記憶されたデータに基づいて、センサユニット30−1に外部入力信号を送信する。センサユニット30−1の制御部31はこの外部入力信号を受けて、センサ設定情報メモリ36cの外部入力要求メモリ36c−1にデータを入力し、予め外部入力設定36c−2に記憶された外部入力機能を実行するとともに、ネットワークユニット10に外部入力信号受信完了のレスポンスを返信する。ネットワークユニット10はこのレスポンスを受けて、サイクリック通信用メモリ14aの送信用メモリ領域の外部入力確認領域14a−3のセンサユニット30−1に対応するビットにデータを入力する。したがって、ユーザは上位制御装置42の外部入力確認領域44a−3を確認することにより外部入力が完了したか否かを確認できる。
【0079】
上記したように、外部入力信号受付時に各センサユニットが実行する外部入力機能は、各センサユニットに設けられた操作部35を操作するか、あるいは上位制御装置14からメッセージ通信を行うことにより設定される。しかし、設定された動作を実行するトリガである外部入力信号の入力については、外部入力信号を外部から入力するためのデータ領域をネットワークユニット10のサイクリック通信用メモリ14aに割り当てておくことで、上位制御装置14のサイクリック通信用メモリ領域44aに外部入力信号を記憶させるだけで、各センサユニットに個別に外部入力信号を入力することができる。これにより、ユーザは外部入力のためにメッセージ通信用のコマンドを設定する必要が一切なく、上位制御装置と各センサユニットが個別に外部入力線で配線されている場合と同じ手順で外部入力信号を各センサユニットに入力することができる。
【0080】
また、ネットワークユニット10に複数のセンサユニットが接続されている場合は、各センサユニットに予め設定される外部入力機能が各センサユニットに別々に設定されるため、外部入力信号受付時に各センサユニットに別々の動作を実行させることができる。また、各センサユニットに同じ動作を設定した場合は、外部入力信号を同時に入力することで、一斉に同じタイミングで同じ動作を実行させることも可能である。
【0081】
ところで、上述したように、サイクリック通信用メモリのデータサイズが大きいと通信負荷が大きくなることから、サイクリック通信用メモリは必要最低限のデータサイズであることが好ましい。
【0082】
図10は、ネットワークユニット10のサイクリック通信用メモリ14aの別のデータ構造の例を示す図(一部モニタモード)である。この例では、図8の例(フルモニタモード)に比べて受光量領域14a−5や閾値領域14a−8が確保されていないため、上位制御装置14では各センサユニットの判別信号のみがモニタリング可能であり、また上位制御装置14からの各センサユニットの閾値の変更ができない構成になっている。この一部モニタモードでは、上位制御装置14とサイクリックに通信されるデータ量がフルモニタモードに比べ少なくなるため、通信負荷を小さくすることができる。
【0083】
また、ユーザの用途によっては上位制御装置14ではネットワークユニット10に外部入力を与える必要が無い場合もある。図11は、ネットワークユニット10のサイクリック通信用メモリ14aの更に別のデータ構造の例を示す図(高速モニタモード)である。この例では受信用のメモリ領域を確保せず、送信用のメモリ領域として各センサユニットの判別信号領域14a−1、エラー情報領域14a−2のみを確保したものであり、上述した一部モニタモードよりも上位制御装置14とサイクリックに通信されるデータ量が少なくなるため、通信トラフィックへの負荷を更に小さくすることができる。
【0084】
本実施の形態は、これら動作モード(一部モニタモード、フルモニタモード、高速モニタモード)はユーザの用途やニーズに応じて、ネットワークユニット10の操作部13(たとえばDIPスイッチ)をユーザが操作することにより切り替え可能に構成されている。ネットワークユニット10の制御部11は、ユーザによる動作モードの切り替えを検出すると、サイクリック通信用メモリ14aのメモリサイズ及びデータ割付を変更する。なお、動作モードを変更した場合は、変更内容に対応させて上位制御装置14側のサイクリック通信用メモリ領域の再設定が必要となる。
【0085】
動作モードを切替可能に構成することにより、ユーザの用途に応じたサイクリック通信のデータサイズ、データ種が選択できる。例えば、通信の高速性を優先するユーザは高速モニタモードを選択し、外部入力機能を使用したいユーザは一部モニタモードを選択し、外部入力機能を含めて各センサユニットの受光量のモニタリング及び閾値の設定も行いたいユーザはフルモニタモードを選択すればよい。
【0086】
次に上位制御装置42とネットワークユニット10のメッセージ通信について詳細に説明する。上述したように、ネットワークユニット10が収集する全てのセンサユニットの情報をサイクリック通信用メモリ14aに割り当てて、上位制御装置42に転送すると通信のトラフィックに多大な負荷がかかってしまう。図12は上位制御装置42とネットワークユニット10のメッセージ通信を説明するための図である。ネットワークユニット10のセンサ検出情報メモリ14bは接続されているセンサユニット毎に個別のメモリ領域を有し、各センサユニットからエラー情報、判別信号、受光量をサイクリックに収集し、夫々エラー情報領域14b−1、判別信号領域14b−2、受光量領域14b−3に記憶する。これらの記憶データはサイクリック通信用メモリ14aに与えられると共に、上位制御装置42からメッセージ通信により読み出し可能である。
【0087】
ネットワークユニット10のセンサ設定情報メモリ14cは、各センサユニットから設定情報を収集するとともに、外部からデータの更新要求を受け付けた場合は各センサユニットに設定情報の変更要求を与える。センサ設定情報メモリ14cも接続されているセンサユニット毎に個別のメモリ領域を有し、各メモリ領域は例えばエラー情報領域14c−1、閾値領域14c−2、パワーモード領域14c−3、外部入力設定領域14c−4等からなるが、これに限られるものではない。
【0088】
センサ設定情報メモリ14cに記憶されているデータは上位制御装置42からメッセージ通信により読み出し、及び書き込みが可能である。上位制御装置42のメッセージ通信用メモリ領域44bには、ネットワークユニット10を識別するためのスレーブIDやセンサユニットの号機番号、読み出し又は書き込みを行うアドレス、書き込みを行う場合は書き込むデータ、読み出しを行う場合はレスポンス用のメモリ領域を設定する必要がある。
【0089】
このように、メッセージ通信は読み出し及び書き込みを行うためのアドレスを具体的に指定してコマンドを設計する必要があるため、ユーザにとって簡単には使いにくいという問題がある。一方で、サイクリックに通信するものではなく通信負荷が小さいというメリットがある。したがって、常時監視する必要性が低いセンサ設定情報メモリに記憶された情報は、必要に応じてユーザがメッセージ通信で読み書きを可能とし、センサユニットの判別信号など監視の必要性が高い検出情報についてはサイクリック通信用メモリ14aに割り当てておくことにより、通信コマンド設定を必要とせずにこれらを常時モニタリングできるようにしている。
【0090】
ここで、外部入力を受け付けた時に各センサユニットが実行する外部入力機能について説明する。外部入力機能としては、検出値をゼロにシフトするゼロシフト機能、センサの受光量表示を所定値に合わせるプリセット機能、投光機能をOFFにする投光OFF機能、表示LEDをOFFにする表示OFF機能、判別信号を固定する出力固定機能など種々のものが選択できる。外部入力機能の選択は各センサユニットの操作部35を表示部34を確認しながら操作することにより行う。
【0091】
本実施の形態におけるセンサユニットは外部入力を直接受け付けるための外部入力受付部31dを備えるが、上記したようにネットワークユニット10を介して外部入力信号を受け付けることができるため、外部入力受付部31dがなくても外部入力信号を各センサユニットに入力することができる。この場合、各センサユニットの制御部31はネットワークユニット10に接続されたことを検出したときのみ外部入力機能を選択するための設定画面を表示するようにしてもよい。外部入力信号を受付可能な状態になったときのみ外部入力機能の設定画面を表示することで、センサユニットをネットワークユニット10に接続しないで単独で使用するユーザにとって不要な設定画面の操作を防止し、ユーザの利便性を高めることができる。
【0092】
図13は複数のセンサユニットがネットワークユニット10に接続されているときの外部入力機能の動作例を示す図である。図13の例はセンサユニット30−1、30−2に外部入力機能として判別信号出力を常にONにする出力固定機能が設定されており、センサユニット30−3、30−4に判別信号出力を維持する出力固定機能が設定されている。
【0093】
各センサユニットは、上位制御装置14から外部入力信号を受け付けたときに、各々のセンサユニットに設定された外部入力機能を実行する。図13の例ではセンサユニット30−1、30−2は出力を常にONにする出力固定機能を実行する。これにより、センサユニット30−1、30−2は各々のセンサユニットがその後に取得する受光量に関わらず、常に判別信号をONにして出力する。一方、センサユニット30−3、30−4は、外部入力信号を受け付けたときの判別信号を維持する出力固定機能を実行する。すなわち、センサユニット30−3、30−4の制御部はその後に取得する受光量に関わらず、常に外部信号を受け付けたときの判別信号を維持して出力する。図13の例ではセンサユニット30−3は外部入力信号を受け付けたときの判別信号がOFFであったため、判別信号OFFの出力を維持し、センサユニット30−4は外部入力信号を受け付けたときの判別信号がONであったため、判別信号ONの出力を維持する。なお、本実施の形態ではセンサユニット3901、30−2の出力をONに固定するようにしたが、出力をOFFに固定する出力固定機能を設定することもできる。
【0094】
通常、センサユニットはその検出値に応じた動作をするものであるため、製造ラインの試運転や、局所的なブロック単位での動作チェックを行うときに、センサユニットの出力をユーザがコントロールできず利便性を損なうケースがある。例えば、センサユニット30−1の判別信号がONの状態のときの製造ラインの動作をチェックしたい場合、上述した出力固定機能を用いればわざわざセンサユニット30−1の出力がONになるように物を置いたり手を翳す必要がなく、センサユニット30−1の出力を受光量に関わらずONに固定できる。このようにして各センサユニットの出力をコントロールすることにより、仮想的な物体検出状態を実現し、製造ラインのシステムのデバッグや設計の効率を高めることができる。
【0095】
特に本実施の形態では出力固定機能の中に出力維持機能を有している。この出力維持機能は、外部入力信号を受け付けたときの各センサユニットの判別信号の出力を維持するものである。これにより、製造ラインのシステムの設計効率を高めることができるばかりでなく、製造ラインに何らかの異常が発生した場合にこのときの状態に各センサユニットの出力を固定することができるので、障害原因の究明をより効率的に行うことができる。特にセンサユニットを複数連結して構成する連設型センサシステムでは各センサユニットの判別信号を組み合わせて、製造ライン全体を構成する各ブロックの複雑な制御が可能になる一方で、何らかの異常が発生した場合に、その原因の究明もシステム設計者にとって困難になってきている。したがって、上述した出力固定機能は異常発生時から製造ラインの状態に変化があったとしても、各センサユニットの出力状態を異常発生時の状態に維持することができるため、制御システム全体のデバッグに大きな効果を発揮する。
【0096】
外部入力機能としては、上述した出力固定機能の他に、ゼロシフト機能やプリセット機能、投光OFFや表示OFF等のスリープ機能等があり、これらを各センサユニット個別、あるいは各センサユニットに対して一斉に動作させることができる。したがって、上位制御装置14に設計されているプログラムや、他のセンサシステムからの入力に基づいて、ネットワークユニット10に接続された各センサユニットに任意のタイミングで外部入力機能を実行させることができるので、ユーザにニーズや用途に柔軟に対応することができる。また、本実施の形態ではシリアル伝送ライン41を介して各センサユニットに外部入力信号を入力するようにしたが、各センサユニットに入力線を付けて、ネットワークユニット10から外部入力信号を入力するようにしてもよい。
【0097】
尚前述した各実施の形態の連設型センサシステムは、センサユニットを透過型光電センサユニットとしているが、反射型光電センサユニット、近接センサユニットなど他の形式のセンサユニットであってもよい。本発明は検出信号に基づいて判別信号を出力する種々のセンサユニットに適用することができる。
【0098】
また本実施の形態では、ネットワークユニットに16台のセンサユニットを接続した構成として述べたが、ネットワークユニット10に任意の数のセンサユニットを接続して連設型センサシステムを構成することができる。
【0099】
本発明によれば、ネットワークユニット10のサイクリック通信用メモリ14aに外部入力要求領域14aを設けたことにより、上位制御装置42の対応するメモリに外部入力信号を記憶させるだけで、通信コマンドを設計することなく、また上位制御装置42とネットワークユニット10との結線を複雑化させることがなく、簡便に各センサユニットに外部入力を与えることができる。
【0100】
また、ネットワークユニット10のサイクリック通信用メモリ14aのデータサイズやデータ割付を変更する複数の動作モードを備え、この動作モードをユーザにより切り替え可能とすることで、ユーザの用途やニーズに応じた通信負荷、応答速度でサイクリック通信を実行することができる。
【0101】
更に、外部入力機能として出力固定機能を備え、各センサユニットの出力を検出値に依存せずにコントロール可能とすることにより、仮想的な検出状態を実現し、製造ラインのシステムのデバッグや設計の効率を高めることができる、等優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の連設型センサシステム1の全体構成図である。
【図2】本発明のネットワークユニット10のブロック構成図である。
【図3】本発明のネットワークユニット10を側面から見た状態の斜視図である。
【図4】本発明のセンサユニットのブロック構成図である。
【図5】本発明のセンサユニットを側面から見た状態の斜視図である。
【図6】本発明の連設型センサシステム1の全体構成を示す図である。
【図7】本発明の上位制御装置42、ネットワークユニット10、各センサユニットのメモリの全体構成を示す図である。
【図8】本発明の上位制御装置42とネットワークユニット10のサイクリック通信用メモリのデータ構造の一例(フルモニタモード)を示す図である。
【図9】本発明の上位制御装置42からセンサユニットまでの外部入力要求の流れを示す図である。
【図10】本発明の上位制御装置42とネットワークユニット10のサイクリック通信用メモリのデータ構造の一例(一部モニタモード)を示す図である。
【図11】本発明の上位制御装置42とネットワークユニット10のサイクリック通信用メモリのデータ構造の一例(高速モニタモード)を示す図である。
【図12】本発明の上位制御装置42とネットワークユニットのメッセージ通信を説明するためのメモリデータ構造の一例を示す図である。
【図13】本発明のセンサユニット30−1〜30−4の出力固定機能を説明するための図である。
【符号の説明】
【0103】
1 連設型センサシステム
10 ネットワークユニット
11,31 制御部
14a サイクリック通信用メモリ
14b センサ検出情報メモリ
14c センサ設定情報メモリ
30−1〜30−16 センサユニット
34 表示部
35 操作部
42 上位制御装置
44a サイクリック通信用メモリ領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスト制御装置とフィールドバスを介して通信するネットワークユニットと、前記ネットワークユニットに接続され、検出対象から検出した物理量に応じた検出値を取得し、該検出値を予め定められた閾値と比較して判別信号を出力する少なくとも1つのセンサユニットとを備え、前記センサユニット同士を連結して構成される連設型センサシステムであって、
前記ネットワークユニットは、
前記フィールドバスに接続するためのホスト通信用インタフェースと、
該ホスト通信用インタフェースを介して前記ホスト制御装置とデータを共有するサイクリック通信を行うためのデータを記憶するメモリであって、送信用のメモリ領域と、前記センサユニットに外部入力信号を与えるための外部入力用のメモリ領域を含む受信用のメモリ領域とからなるサイクリック通信用メモリと、
前記ネットワークユニットに連結された各センサユニットと通信するためのセンサ通信用インタフェースと、
前記ホスト制御装置と前記サイクリック通信を実行するとともに、前記サイクリック通信の結果、前記外部入力用のメモリ領域に記憶された外部入力信号を前記センサ通信用インタフェースを介して前記各センサユニットに送信する制御部とを備え、
前記センサユニットは、
前記外部入力信号を受け付けた際に実行する外部入力機能の設定を記憶する設定情報メモリと、
前記ネットワークユニットから送信された外部入力信号を受け付けて、前記設定情報メモリに記憶された外部入力機能を実行する制御部とを備えることを特徴とする連設型センサシステム。
【請求項2】
前記センサ通信用インタフェースを介して、前記判別信号を前記サイクリック通信用メモリの送信用のメモリ領域に記憶する一部モニタモードと、前記判別信号に加え、各センサユニットの検出値を前記サイクリック通信用メモリの送信用のメモリ領域に記憶するフルモニタモードとを切り替える手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の連設型センサシステム。
【請求項3】
前記サイクリック通信用メモリの前記受信用のメモリ領域に前記外部入力用のメモリ領域を確保するか否かを切り替える手段を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の連設型センサシステム。
【請求項4】
前記センサユニットの設定情報メモリは、前記外部入力機能として前記検出値と前記閾値の比較結果に関わらず前記判別信号の出力を固定する出力固定機能の設定情報を記憶し、前記センサユニットの制御部は、前記外部入力信号を受け付けた際に前記出力固定機能を実行することを特徴とする請求項1から3のいずれか一に記載の連設型センサシステム。
【請求項5】
前記センサユニットの制御部は、前記外部入力信号を受け付けた際に、該外部入力信号を受け付けたときの前記判別信号の出力に固定されることを特徴とする請求項4に記載の連設型センサシステム。
【請求項6】
前記センサユニットは、前記外部入力信号を受け付けた際に実行する外部入力機能を選択する操作部と、前記外部入力機能を選択するための設定画面を表示するための表示部とを備え、
前記センサユニットの制御部は、該センサユニットが前記ネットワークユニットに接続されたことを検出し、前記設定画面の表示を行うことを特徴とする請求項1から5のいずれか一に記載の連設型センサシステム。
【請求項7】
ホスト制御装置とフィールドバスを介して通信するネットワークユニットと、前記ネットワークユニットに接続され、検出対象から検出した物理量に応じた検出値を取得し、該検出値を予め定められた閾値と比較して判別信号を出力する少なくとも1つのセンサユニットとを備え、前記センサユニット同士を連結して構成される連設型センサシステムに用いられるネットワークユニットと、
前記ネットワークユニットは、
前記フィールドバスに接続するためのホスト通信用インタフェースと、
該ホスト通信用インタフェースを介して前記ホスト制御装置とデータを共有するサイクリック通信を行うためのデータを記憶するメモリであって、送信用のメモリ領域と、前記センサユニットに外部入力信号を与えるための外部入力用のメモリ領域を含む受信用のメモリ領域とからなるサイクリック通信用メモリと、
前記ネットワークユニットに連結された各センサユニットと通信するためのセンサ通信用インタフェースと、
前記ホスト制御装置と前記サイクリック通信を実行するとともに、前記サイクリック通信の結果、前記外部入力用のメモリ領域に記憶された外部入力信号を前記センサ通信用インタフェースを介して前記各センサユニットに送信する制御部とを備えることを特徴とするネットワークユニット。
【請求項8】
前記フィールドバスに接続するためのホスト通信用インタフェースと、
該ホスト通信用インタフェースを介して前記ホスト制御装置とデータを共有するサイクリック通信を行うためのデータを記憶するメモリであって、送信用のメモリ領域と、前記センサユニットに外部入力信号を与えるための外部入力用のメモリ領域を含む受信用のメモリ領域とからなるサイクリック通信用メモリと、
前記ネットワークユニットに連結された各センサユニットと通信するためのセンサ通信用インタフェースと、
前記ホスト制御装置と前記サイクリック通信を実行するとともに、前記サイクリック通信の結果、前記外部入力用のメモリ領域に記憶された外部入力信号を前記センサ通信用インタフェースを介して前記各センサユニットに送信する制御部とを備えるネットワークユニットに接続され、検出対象から検出した物理量に応じた検出値を取得し、該検出値を予め定められた閾値と比較して判別信号を出力するセンサユニットであって、
前記外部入力信号を受け付けた際に実行する外部入力機能の設定を記憶する設定情報メモリと、
前記ネットワークユニットから送信された外部入力信号を受け付けて、前記設定情報メモリに記憶された外部入力機能を実行する制御部とを備えることを特徴とするセンサユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−28525(P2011−28525A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−173755(P2009−173755)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】