説明

遊技システム

【課題】遊技店に一定以上貢献した会員に対して、特別の損失補填を行うチャンスを与えることで、顧客の差別化による顧客獲得を図ることが可能であると共に、営業戦略にも利用可能な利便性に優れた遊技システムを提供する。
【解決手段】会員管理装置(会員管理コンピュータH)にて、遊技機併設遊技用装置(カードユニット8)で使用された使用度数と計数装置で計数した賞媒体の計数結果とが、会員の遊技に関する所定の会員遊技情報として更新記憶される。会員用記録媒体が受け付けられたカードユニットから会員情報に対応するデータを受信したとき、当該データから特定される会員の上記会員遊技情報が一定以上変化しているか否かを判定し、一定以上変化しているとき、その旨の判定情報を当該カードユニットへ送信し、所定の遊技進行条件が満たされたとき、会員に対して所定の価値付与を行うことを可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技者に対して所定の価値付与を行うための制御を行う遊技システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばカード発行機で発行された記録媒体(例えば、プリペイドカード)に記録された記録情報から特定される残高の範囲内で、所定数量の遊技媒体(例えば、遊技球)を貸し出すための処理を行う遊技用装置(カードユニット)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この場合、遊技者は、カード発行機から所定の遊技用価値を有するプリペイドカードの発行を受けた後、当該プリペイドカードをカードユニットに挿入し、その遊技用価値の範囲内で必要な数量の遊技球の貸し出しを受ける。そして、併設された遊技機にて貸し出しを受けた遊技球を使用しながら遊技を行っている際、所定の遊技状態移行条件が成立すると、遊技者に有利な特定遊技状態(例えば、大当り)へ移行し、大量の出玉を獲得することができる。これにより、遊技者に対して一定の価値が付与されることになる。
【特許文献1】特開2006−198126号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したような構成では、来店した何れの遊技者に対しても上記した価値付与を行うことになるため、当該価値付与を受ける顧客の差別化を図ることが困難になる。そうなると、店舗側にとっては、特定の顧客の囲い込みを図ることができなくなり、その結果、顧客獲得に繋がらないだけで無く、営業戦略に利用することができないため、利便性に欠けるものとなってしまう。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされており、その目的は、遊技店に一定以上貢献した会員に対して、所定の価値付与を行うチャンスを与えることで、顧客の差別化による顧客獲得を図ることが可能であると共に、営業戦略にも利用可能な利便性に優れた遊技システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、第1の発明は、遊技店から発行され、当該遊技店の会員である遊技者を特定可能な会員情報(例えば、会員番号、氏名、住所、カードユニットにて球貸しを受けた際の使用度数、計数装置にて計数した計数結果(交換玉数)など)が記録された会員用記録媒体(例えば、会員カード)を受け付け可能な受付手段(例えば、遊技用装置のカードR/W)と、受け付けた前記会員用記録媒体に記録された前記会員情報に対応するデータを送信するデータ送信手段(例えば、遊技用装置のCPU)とを備えた遊技用装置(例えば、カードユニット、計数装置)と、前記遊技用装置と通信可能であり、前記送信されたデータに基づいて会員の遊技に関する所定の会員遊技情報(例えば、カードユニットで使用された度数の使用量や現金の使用額などの情報)を会員毎に対応付けて更新して記憶する会員管理装置(例えば、会員管理コンピュータ)とを構成する遊技システムであって、前記遊技用装置は、遊技機(例えば、パチンコ機、パチスロ機)に併設される遊技機併設遊技用装置(即ち、カードユニット)を含み、前記遊技機併設遊技用装置は、併設される前記遊技機から出力され、前記遊技者に有利な特定遊技状態(例えば、大当り、ビッグボーナス(BB)、レギュラーボーナス(RB)など)であることを特定可能な遊技状態情報(例えば、大当り信号、BB信号、RB信号など)を入力する遊技状態情報入力手段(例えば、カードユニットのCPU)と、前記遊技状態情報の入力に基づいて、前記特定遊技状態となったことを検出する遊技状態検出手段(例えば、カードユニットのCPU)と、所定の判定開始条件(例えば、会員カードの受付、レスキューペイボタンON、レスキューペイモードフラグONなど)が成立してから、前記特定遊技状態となったことを検出すること無く、所定の遊技進行条件(例えば、所定度数の使用、所定回数の図柄変動の実行、所定数の遊技球の発射など)が満たされたことを判定する遊技進行条件判定手段(例えば、カードユニットのCPU)と、前記特定遊技状態となったことを検出すること無く、前記遊技進行条件が満たされたと判定されたときに、前記遊技者に対して所定の価値付与(例えば、残高の加算、遊技球の払出、貸出単価の変更など)を行う価値付与手段(例えば、カードユニットのCPU)とを備え、前記会員管理装置は、前記遊技機併設遊技用装置から前記データを受信したときに、受信した当該データから特定される会員の前記所定の会員遊技情報が、一定以上変化しているか否かを判定する会員遊技情報判定手段(例えば、会員管理装置のCPU)と、前記所定の会員遊技情報が一定以上変化していると判定されたときに、その旨の判定情報を当該会員用記録媒体が受け付けられた前記遊技機併設遊技用装置へ送信する判定情報送信手段(例えば、会員管理装置のCPU)とを備え、前記遊技機併設遊技用装置の前記遊技進行条件判定手段は、前記判定情報を受信したことを前記判定開始条件に含み、前記遊技進行条件が満たされたことを判定する。
第1の発明によれば、遊技店に一定以上貢献した会員に対して、一定の遊技の進行に伴って生じる損失を補填するチャンスを与えることにより、顧客の差別化を図ることができると共に、顧客獲得に繋がり、営業戦略にも利用することができる。これにより、利便性に優れた遊技システムを構築することができる。また、その会員に対する損失補填により、当該会員に対する不利益の度合いを小さくすることができるため、会員に対して健全な遊技を提供することができる。
【0007】
第2の発明において、前記遊技用装置は、前記会員が前記遊技機での遊技において獲得した賞媒体(例えば、賞球、獲得メダルなど)を計数する計数装置を含み、前記会員管理装置は、前記計数装置において計数された計数結果を、前記会員にとって利益の大きさ(例えば、賞球や獲得メダルなどを景品と交換する際の交換玉数)を特定可能な利益特定情報として当該会員毎に対応付けて更新して記憶し、前記会員管理装置の前記会員遊技情報判定手段は、前記所定の会員遊技情報の変化の大きさ(例えば、カードユニットで使用された使用度数を1度数100円で換算した額)から、前記利益特定情報から特定される前記利益の大きさに対応する大きさ(例えば、交換玉数を1玉3円の交換率で換算した額)を差し引き(例えば、換算差額=(交換玉数×3円)−(使用度数×100円))、当該差し引いた後の前記所定の会員遊技情報の変化の大きさ(即ち、換算差額の大きさ)が一定以上であるか否かを判定する。
ここで、換算差額の大きさは、交換玉数と使用度数の数量差に応じてマイナス値となったりプラス値となったりする。プラス値であれば、当該会員には利益が発生しており、一方、マイナス値であれば、当該会員には不利益が発生していることを意味する。この発明では、マイナス値である換算差額の大きさが一定以上であるか否か(例えば、当該換算差額が20000を上回っているか否か)を判定し、上回っているとき、会員に損失補填のチャンスが与えられる。
第2の発明によれば、損失補填のチャンスを、一定の純不利益が生じた場合に付与しているため、遊技の運・不運に左右されること無く、どの会員にも平等にチャンスを付与することができる。
【0008】
第3の発明において、前記会員管理装置は、前記遊技機併設遊技用装置の前記価値付与手段による前記価値付与が行われたときに、前記所定の会員遊技情報の変化の大きさの初期化を行う情報初期化手段を備えている。
第3の発明によれば、価値付与を受けた会員に対して過剰な価値の付与が行われることを防止することができるため、どの会員にも平等に価値付与を行うことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、遊技店に一定以上貢献した会員に対して、所定の価値付与を行うチャンスを与えることで、顧客の差別化による顧客獲得を図ることが可能であると共に、営業戦略にも利用可能な利便性に優れた遊技システムを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態に係る遊技用装置及び当該遊技用装置を用いた遊技システムについて添付図面を参照して説明する。
図1には、遊技用装置及び当該遊技用装置を用いた遊技システムのシステム構成例が示されている。かかるシステム構成において、遊技用装置は、複数種類の遊技機に併設される遊技機併設遊技用装置6,8(即ち、カードユニット)と、遊技者が遊技機での遊技において獲得した賞媒体(例えば、賞球、獲得メダル)を計数する計数装置Kとを含めた概念として規定されている。この場合、数種類の遊技機としては、弾球式遊技機(例えば、パチンコ機)や回胴式遊技機(例えば、パチスロ機、スロットマシン)などを適用することができるが、ここでは一例として、パチスロ機2及びパチンコ機4を想定する。
【0011】
図1に示すように、パチスロ機2及びパチンコ機4には、それぞれに対応した遊技機併設遊技用装置(即ち、パチスロ機用カードユニット6、パチンコ機用カードユニット8)が1台ずつ併設されている。各カードユニット6,8は、例えば当該カードユニット6,8の管理や売上管理を行うユニットコントローラ10に対して通信可能に接続されている。なお、ユニットコントローラ10は遊技場毎に設置されており、カードユニット6,8を管理する管理会社のサーバ12に対して所定のネットワークN(例えば、LAN(Local Area Network)、インターネットなど)を介して通信可能(例えば、売上の通知可能)に接続されている。また、当該ユニットコントローラ10では、遊技場で発行される会員カードを含むプリペイドカードの残高管理を行っている。
【0012】
このようなカードユニット6,8は、例えば図1及び図2に示すようなカード挿入口6a,8aを備えており、遊技者は、当該カード挿入口6a,8aに記録媒体M(例えば、プリペイドカード、会員カードなど)を挿入したり、例えば図2に示すような紙幣投入口14や硬貨投入口16に所定金額の貨幣(紙幣、硬貨)を投入したりすることで、遊技に必要な遊技媒体(遊技球、メダル)の貸し出しを受けて遊技を行うことができる。なお、記録媒体M(プリペイドカード、会員カード)としては、例えばICカードや磁気カードなどを適用することができる。
【0013】
この場合、パチスロ機2(図1)では、カードユニット6から貸し出されたメダルが排出樋6bを介して受皿6cに払い出され、一方、パチンコ機4(図1,2)では、カードユニット8から貸し出された遊技球が上皿4aに払い出される。そして、遊技者は、貸し出された遊技媒体(メダル、遊技球)を使用して遊技を行うことになる。このとき、当該遊技機(パチスロ機2、パチンコ機4)から出力される遊技データ信号は、ホールコンピュータ18(図1)によってパチスロ機2及びパチンコ機4毎に管理されている。なお、遊技データ信号としては、例えば、打込数(IN)、払出数(OUT)などを特定可能な情報や、遊技者に有利な特定遊技状態(例えば、大当り、ビッグボーナス(BB)、レギュラーボーナス(RB)など)であることを特定可能な遊技状態情報(例えば、大当り信号、BB信号、RB信号など)を想定することができる。
【0014】
ここで、遊技媒体(遊技球、メダル)の貸し出しを受けて遊技を行うための具体的な構成について、図2及び図3を参照して説明する。ここでは一例として、パチンコ機用カードユニット8と、これに併設されたパチンコ機4を想定し、また、記録媒体Mとして会員カードを想定する。そして、当該会員カードMをカード挿入口8aに挿入してカードユニット8に受け付けることで、遊技に必要な遊技媒体(遊技球)の貸し出しを受けて遊技を行う場合について説明する。
【0015】
なお、会員カードMは、遊技場(店)において所定情報(例えば、氏名、住所など)を登録することで発行される。そして、これらの所定情報や、会員カードM毎に割り振られた固有識別情報(例えば、会員番号、カードIDなど)は、当該遊技場の会員である遊技者を特定可能な会員情報として、後述する会員管理装置(例えば、図1に示す会員管理コンピュータH)の会員管理テーブル(図3(b))に記憶(記録)される。また、会員管理コンピュータHは、遊技用装置(カードユニット8、計数装置K)と共に本遊技システムを構成し、互いに通信可能(例えば、カードユニット8からの売上情報の通知や、計数装置Kからの計数結果の通知などが可能)に接続されている。
【0016】
かかる遊技システムにおいて、カードユニット8には、会員カードMがカード挿入口8aから挿入された状態で発光するカード挿入中ランプ20、挿入された会員カードMを受け付け可能であって、会員カードMに記録された会員情報を読み取る受付手段(例えば、カード(R/W)リーダ/ライタ22)、受け付けた会員カードMに記録された会員情報に対応するデータを送信するデータ送信手段、カードユニット8の作動状態(例えば、読取エラー)を表示する状態表示ランプ24、硬貨投入口16から貨幣(硬貨)が投入されたことを検知する貨幣投入検知センサ26、紙幣投入口14へ投入された貨幣(紙幣)の真贋を識別する貨幣識別機28が設けられており、これらは全て当該カードユニット8のCPU30で制御されている。なお、データ送信手段は、その機能をCPU30自体に持たせても良いし、或いは、当該CPU30で制御される別体の回路系として構成しても良い。また、カードユニット8に設けられた上記各構成の制御は、例えばROM32に記憶されている制御プログラムがRAM34を作業領域としてCPU30で実行される。このとき、貨幣識別機28により貨幣(紙幣)が贋物であると識別された場合、贋物紙幣は紙幣投入口14から返却され、また、贋物硬貨は図示しないセレクタにより選別されて硬貨返却口36(図2)から返却される。
【0017】
このようなカードユニット8では、その背面に設けられたコネクタ(図示しない)がパチンコ機4の背面に設けられたコネクタ(図示しない)に対してケーブル(図示しない)で接続されており、当該ケーブルを介して各種信号の交信が行われる。この場合、例えば会員カードMをカード挿入口8aから挿入した状態で、パチンコ機4に設けられた貸出(球貸し)操作パネル38を操作して、当該会員カードMの残高(ユニットコントローラ10にて管理されている当該会員カードMのカードIDに対応付けられた残高)を消費すると、カードユニット8のCPU30とパチンコ機4の払出・発射制御基板40との間で、貸出(球貸し)処理に関する信号(BRDY,BRQ,PRDY,EXS)が交信される。このとき、交信された信号に基づいて、払出・発射制御基板40のCPU42が払出装置44を駆動制御することで、当該会員カードMの残高消費に応じて、当該払出装置44から所定数の遊技媒体(遊技球)がパチンコ機4の上皿4aに払出される。
【0018】
そして、パチンコ機4のハンドルレバー46(図2)を操作すると、発射ソレノイド(図示しない)が作動し、遊技媒体(遊技球)がガイドレール(図示しない)に沿って遊技領域に打ち出されることで遊技が行われる。かかる遊技において、例えば一般入賞口(図示しない)に遊技媒体(遊技球)が入賞すると、パチンコ機4のメイン基板48から払出・発射制御基板40に所定コマンドが送信され、そのコマンドに基づいて払出・発射制御基板40の例えばCPU42が払出装置44を制御することにより、当該払出装置44から所定数の遊技媒体(遊技球)が上皿4aに払出される。また、例えば始動入賞口(図示しない)に遊技媒体(遊技球)が入賞して所定の図柄が揃うと、遊技者に有利な特定遊技状態(例えば、大当りとなった特賞遊技状態、確変となった確変遊技状態など)となり、同様の払出制御を経て所定数の遊技媒体(遊技球)が払出される。
【0019】
なお、パチンコ機4には、図2に示すようなランプ50やスピーカ52が設けられており、例えば上述したような各種遊技状態に応じて、ランプ50から光による演出が行われたり、或いは、スピーカ52から音による演出が行われる。また、各種遊技状態において、特定遊技状態でない遊技状態を通常遊技状態とする。
【0020】
一方、上述したパチンコ機用カードユニット8には、タッチパネル式の表示パネルTp(例えば、液晶パネル)を備えた表示装置54が設けられている。表示装置54には、例えば遊技者が指で表示パネルTpに触れる(タッチする)ことにより、当該表示装置54に表示された各種情報(表示画像)に対して操作可能な機能が付与されている。なお、パチスロ機用カードユニット6(図1)にも、同様の機能を有するタッチパネル式の表示パネルTp(例えば、液晶パネル)を備えた表示装置56が設けられている。
【0021】
ここで、会員カードMをカードユニット8に受け付けて遊技を行う場合、受け付けられた会員カードMに記録された会員情報が、上記した受付手段によって読み取られ、その読み取られた会員情報に対応するデータが、上記したデータ送信手段によってカードユニット8から会員管理コンピュータHに送信される。このとき、会員管理コンピュータHは、送信されたデータから特定される当該会員の遊技に関する所定の会員遊技情報を会員毎に対応付けて管理する。例えば上記会員遊技情報として、カードユニットにて球貸しを受けた際の使用度数を想定すると、会員管理コンピュータHは、送信されたデータから特定される例えば会員番号に基づいて、会員管理テーブル上における該当項目(即ち、当該会員番号に対応付けられた使用度数)を更新(累積加算)して記憶(記録)する。これにより、会員が各カードユニット8から球貸しを受けた際の使用度数は、会員管理コンピュータHによって累積的に加算され記憶(記録)されることになる。
【0022】
一方、計数装置K(図1)は、カード挿入口Kaから挿入された会員カードMの会員情報を読み取る受付手段(図示しない)と、遊技において獲得した賞媒体(賞球)を計数する計数手段(図示しない)とを備えている。この場合、会員カードMを計数装置Kに受け付けて、遊技において獲得した賞媒体(賞球)を計数すると、その計数結果が、会員カードMに記録された会員情報に対応付けられて、会員管理コンピュータHに送信される。このとき、会員管理コンピュータHは、送信された会員情報から特定される当該会員の遊技に関する所定の会員遊技情報について、会員管理テーブル上における該当項目(即ち、当該会員番号に対応付けられた交換玉数)を会員毎に対応付けて管理する。これにより、計数装置Kにて計数した計数結果は、賞球を景品と交換する際の交換玉数として、会員管理コンピュータHによって累積的に加算され記憶(記録)されることになる。
【0023】
また、会員管理コンピュータH(図1)は、カードユニット8から上記データを受信したときに、受信した当該データから特定される会員の上記会員遊技情報が、一定以上変化しているか否かを判定する会員遊技情報判定手段と、上記会員遊技情報が一定以上変化していると判定されたときに、その旨の判定情報を当該会員カードMが受け付けられたカードユニット8へ送信する判定情報送信手段とを備えている。なお、これら各手段としての処理機能は、特に図示しないが、当該会員管理コンピュータHにおいて、例えばROMに記憶されている処理プログラムがRAMを作業領域としてCPUで実行される。
【0024】
具体的に説明すると、会員管理コンピュータHは、計数装置Kにおいて計数された計数結果を、会員にとって利益の大きさ(例えば、賞球を景品と交換する際の交換玉数)を特定可能な利益特定情報として当該会員毎に対応付けて更新して記憶する。このとき、当該会員管理コンピュータHの会員遊技情報判定手段は、上記会員遊技情報の変化の大きさ(例えば、カードユニット8で使用された使用度数を1度数100円で換算した額)から、利益特定情報から特定される利益の大きさに対応する大きさ(例えば、交換玉数を1玉3円の交換率で換算した額)を差し引き(例えば、換算差額=(交換玉数×3円)−(使用度数×100円))、当該差し引いた後の上記会員遊技情報の変化の大きさ(即ち、換算差額の大きさ)が一定以上であるか否かを判定する。そして、当該換算差額の大きさが一定以上であると判定されたとき、当該会員管理コンピュータHの会員遊技情報判定手段は、その旨の判定情報を当該会員カードMが受け付けられたカードユニット8へ送信する。
【0025】
ここで、上記した換算差額の大きさは、交換玉数と使用度数の数量差に応じてマイナス値となったりプラス値となったりする。この場合、プラス値であれば、当該会員には利益が発生しており、これに対して、マイナス値であれば、当該会員には不利益が発生していることを意味する。そして、マイナス値である換算差額の大きさが一定以上であるか否かを判定し、上回っているとき、会員に損失補填のチャンスが与えられる。
【0026】
なお、判定基準としての換算差額の大きさは、任意に設定することができるため特に限定はしないが、ここでは一例として、換算差額が20000を上回っているとき、会員に損失補填のチャンスが与えられることとする。この場合、当該会員に対して損失補填を行うための判定開始条件(詳しくは後述する)として、カードユニット8が、上記した換算差額の大きさが一定(20000)以上であると判定された旨の判定情報を受信したことを含み、判定開始条件成立後の遊技において、大当りとなること無く、所定の遊技進行条件が満たされたと判定されたとき、当該遊技者である会員に対して、損失補填として所定の価値付与を行うこととする。
【0027】
以下、会員に対して所定の価値付与を行うための構成について説明する。
図3に示すように、カードユニット8は、併設されたパチンコ機4から出力される遊技状態情報(例えば、大当り信号)を入力する遊技状態情報入力手段と、遊技状態情報の入力に基づいて、特定遊技状態(大当り)となったことを検出する遊技状態検出手段と、会員カードMに記録された会員情報(会員カードMのカードID)から特定される遊技用価値の大きさ(即ち、ユニットコントローラ10にて管理されている当該カードIDに対応付けられた残高)の範囲内において、所定の大きさの遊技用価値(残高)を使用して遊技媒体(遊技球)を貸し出すための貸出処理を実行する貸出制御手段とを備えている。
【0028】
遊技状態情報入力手段としては、カードユニット8のCPU30並びに入出力(I/O)ポート58を適用可能である。ここで、併設されるパチンコ機4から出力される遊技データ信号は、入出力(I/O)ポート58を経由した後、ユニットコントローラ10やホールコンピュータ18(図1)に出力される。なお、遊技データ信号としては、例えば、打込数(IN)、払出数(OUT)などを特定可能な情報や、遊技者に有利な特定遊技状態(例えば、大当り)であることを特定可能な遊技状態情報(例えば、大当り開始から終了までの間に出力される大当り信号)を想定することができる。
【0029】
この場合、併設されるパチンコ機4での遊技において、例えば遊技者に有利な特定遊技状態(大当り)に移行したとき、メイン基板48からは、特定遊技状態(大当り)であることを特定可能な遊技状態情報(例えば、大当り信号)が出力される。このとき、カードユニット8では、当該遊技状態情報(大当り信号)が入出力(I/O)ポート58を介してCPU30に入力される。なお、このような入力処理手順は、例えばROM32に記憶されている入力処理プログラムがRAM34を作業領域としてCPU30で実行される。
【0030】
遊技状態検出手段としては、カードユニット8のCPU30を適用可能である。この場合、上記した遊技状態情報(例えば、大当り信号)がCPU30に入力された際に、当該遊技状態情報(大当り信号)に基づいて、併設されるパチンコ機4での遊技状態が遊技者に有利な特定遊技状態(大当り)に移行し、現在、特定遊技状態(大当り)となったこと即ち大当り遊技中であることが検出される。なお、このような検出処理手順は、例えばROM32に記憶されている検出処理プログラムがRAM34を作業領域としてCPU30で実行される。
【0031】
貸出制御手段としては、カードユニット8のCPU30を適用可能である。この場合、併設されるパチンコ機4での遊技に際し、遊技者が貸出(球貸し)操作パネル38を操作して、会員カードMの残高(ユニットコントローラ10にて管理されている当該カードIDに対応付けられた残高)の範囲内で、所望の残高を消費(使用)すると、これに応じて、CPU30と払出・発射制御基板40との間で交信された貸出(球貸し)処理に関する信号に基づいて、払出装置44から所定数の遊技媒体(遊技球)を貸し出すための貸出処理が実行される。なお、このような貸出処理手順は、例えばROM32に記憶されている貸出処理プログラムがRAM34を作業領域としてCPU30で実行される。
【0032】
また、カードユニット8は、所定の判定開始条件が成立してから、特定遊技状態(大当り)となったことを検出すること無く、所定の遊技進行条件が満たされたことを判定する遊技進行条件判定手段と、特定遊技状態(大当り)となったことを検出すること無く、遊技進行条件が満たされたと判定されたときに、遊技者である会員に対して所定の価値付与を行う価値付与手段とを備えている。
【0033】
所定の判定開始条件としては、例えば、後述するレスキューペイボタンONのとき、これに同期したレスキューペイモードフラグONのとき、或いは、会員カードMがカードユニット8(カード(R/W)リーダ/ライタ22)に受け付けられているとき、又は、特定遊技状態(大当り)が終了したとき、そして、上述した会員管理コンピュータHからの判定情報を受信したときなど各種の条件を設定可能である。
【0034】
遊技進行条件判定手段としては、カードユニット8のCPU30を適用可能である。この場合、所定の遊技進行条件は、例えば、所定度数の使用、所定回数の図柄変動の実行、所定数の遊技球の発射などを任意に選択して設定することができる。ここで、遊技進行条件として、所定度数の使用(例えば、200度数の使用)を設定した場合、当該遊技進行条件が満たされたことを判定するために、CPU30には、上記判定開始条件が成立してから、貸出制御手段による貸出処理に使用された遊技用価値の大きさ(使用度数)を特定する使用遊技用価値特定手段と、特定遊技状態(大当り)となったことを検出すること無く、使用遊技用価値特定手段によって特定された遊技用価値の大きさ(使用度数)が、遊技進行条件(200度数の使用)を満たしているか否かを判定する使用遊技用価値判定手段とを備えている。
【0035】
使用遊技用価値特定手段では、遊技者が貸出(球貸し)操作パネル38を操作して、会員カードMの残高を消費(使用)すると、例えばカードユニット8のRAM34に構築されている使用度数カウンタ(図示しない)によって、使用された遊技用価値の大きさ(使用度数)が計数され、その計数結果に基づいて上記判定開始条件が成立してからの使用度数が特定される。なお、このような特定処理手順は、例えばROM32に記憶されている特定処理プログラムがRAM34を作業領域としてCPU30で実行される。
【0036】
使用遊技用価値判定手段では、上記した遊技状態検出手段によって特定遊技状態(大当り)となったことが検出されること無く、遊技が継続されている状態において、使用遊技用価値特定手段(使用度数カウンタ)によって特定(計数)された遊技用価値の大きさ(上記判定開始条件が成立してからの使用度数)が、遊技進行条件(200度数の使用)を満たしているか否かが判定される。なお、このような判定処理手順は、例えばROM32に記憶されている判定処理プログラムがRAM34を作業領域としてCPU30で実行される。
【0037】
そして、特定遊技状態(大当り)となったことを検出すること無く、上記判定開始条件が成立してからの使用度数が、遊技進行条件(200度数の使用)を満たしていると判定されたときに、上記した価値付与手段により、遊技者である会員に対して所定の価値付与が行われる。具体的には、所定度数に対応した残高を加算するための加算処理が行われる。
【0038】
価値付与手段としては、カードユニット8のCPU30を適用可能である。この場合、所定度数に対応した残高を加算するための加算処理では、会員カードMの残高(例えば、ユニットコントローラ10にて管理されている当該カードIDに対応付けられた残高)に対して、所定量の度数(例えば、50度数)が加算される。なお、このような加算処理手順は、例えばROM32に記憶されている加算処理プログラムがRAM34を作業領域としてCPU30で実行される。
【0039】
ここで、上記加算処理について具体的に説明する。
特定遊技状態(大当り)となったことを検出すること無く、上記判定開始条件が成立してからの使用度数が、遊技進行条件(200度数の使用)を満たしていると判定される前において、貸出制御手段は、遊技者による貸出操作を受け付ける毎に、所定の大きさの遊技用価値(残高)を使用して遊技媒体(遊技球)の貸出単価を第1の大きさ(例えば、1玉4円)として遊技媒体(遊技球)を貸し出すための貸出処理を実行する。
【0040】
そして、特定遊技状態(大当り)となったことを検出すること無く、上記判定開始条件が成立してからの使用度数が、遊技進行条件(200度数の使用)を満たしていると判定されたとき、価値付与手段は、遊技媒体(遊技球)の貸出単価を第1の大きさ(1玉4円)よりも小さい第2の大きさ(例えば、1玉3円)とし、その貸出単価を第2の大きさと仮定して、上記判定開始条件が成立してから実際に貸し出された遊技媒体(遊技球)の数量(200度数を1度数25玉で換算した5000玉)に対応する使用度数(5000玉×3円=15000円:150度数)を特定すると共に、その特定された使用度数と、遊技進行条件を満たした使用度数(5000玉×4円=20000円:200度数)との差(5000円:50度数)を特定し、その特定した差に相当する遊技用価値の大きさ(50度数)を加算するための加算処理を行う。
【0041】
このような加算処理によれば、特定遊技状態(大当り)とならずに上記判定開始条件が成立してから大量の遊技媒体(遊技球)を消費(使用)した場合に、その消費により被った損失が一定の遊技用価値にて補填される。そして更に、本実施の形態では、上記した加算処理の実行が完了したとき、その後に貸し出される遊技媒体(遊技球)の貸出単価を低廉化して抑制するための構成が施されている。
【0042】
この場合、貸出制御手段は、特定遊技状態(大当り)となったことを検出すること無く、上記判定開始条件が成立してからの使用度数が、遊技進行条件(200度数の使用)を満たしていると判定された以後において、貸出処理に際して、遊技媒体(遊技球)の貸出単価を第1の大きさ(例えば、1玉4円)よりも小さい第2の大きさ(例えば、1玉2円)として貸出処理を実行する。なお、上記した加算処理及び当該貸出処理において、同様の用語として「第2の大きさ」を用いているが、加算処理における第2の大きさ(例えば、1個3円)と、貸出処理における第2の大きさ(例えば、1玉2円)とは、異なる大きさ単位を意図している。
【0043】
具体的に説明すると、貸出制御手段は、特定遊技状態(大当り)となったことを検出すること無く、上記判定開始条件が成立してからの使用度数が、遊技進行条件(200度数の使用)を満たしていると判定される前において、第1の貸出単位(例えば100円)を貸出処理に使用する遊技用価値として所定数量(例えば25玉)の遊技媒体(遊技球)を貸し出すための処理を貸出処理により実行すると共に、特定遊技状態(大当り)となったことを検出すること無く、上記判定開始条件が成立してからの使用度数が、遊技進行条件(200度数の使用)を満たしていると判定された以後において、第1の貸出単位よりも小さい第2の貸出単位(例えば50円)を貸出処理に使用する遊技用価値として所定数量(例えば25玉)の遊技媒体(遊技球)を貸し出すための処理を貸出処理により実行することにより、遊技媒体(遊技球)の貸出単価を変化させる。
【0044】
ここで、遊技媒体(遊技球)の貸出単価を変化させる具体的な方法として、貸出制御手段は、上記判定開始条件が成立してからの使用度数が、遊技進行条件(200度数の使用)を満たしていると判定された以後の貸出単価について、当該使用度数に対応して、予め設定した複数種類の貸出単価から何れかを適用して貸出処理を実行する。例えば、使用度数が200度数以上となったと判定された以後において、それまで1玉4円であった貸出単価を1玉2円として貸出処理を実行する。更に、使用度数が300度数以上となったと判定された以後において、それまで1玉2円であった貸出単価を1玉1円として貸出処理を実行する。
【0045】
なお、このような貸出単価の変化は、上記の数値に限定されることは無く、予め任意に設定することができるため、ここでは特に限定しない。例えば、使用度数が300度数以上となったと判定された以後において、それまで1玉4円であった貸出単価を1玉1円として貸出処理を実行しても良い。また、このように予め設定した複数種類の貸出単価は、カードユニット8のROM32やRAM34、或いはCPU30の内蔵メモリに予め記憶させておけば良い。
【0046】
以下、本実施の形態の遊技用装置(カードユニット8)の動作について説明する。
なお、下記の説明では、追加入金可能なカードユニット8にて会員カードM残高(ユニットコントローラ10にて管理されている当該カードIDに対応付けられた残高)を消費することにより、所望数の球貸しを受けて遊技を行う場合を想定する。
【0047】
まず、カードユニット8のカード挿入口8aを介して会員カードMが受け付けられると(図4(a)のP1)、図示しないカード挿入検知センサの検知信号に基づいて、当該カードユニット8のCPU30で制御されたカード(R/W)リーダ/ライタ22により会員カードMの会員情報(例えば、カードID)が読み取られる。そして、このとき読み取られたカードIDは、カードユニット8に固有のユニットIDと共に、カードユニット8の入出力(I/O)ポート58からユニットコントローラ10に送信される(図4(a)のP2)。
【0048】
ユニットコントローラ10では、カードID及びユニットIDを受信すると(図4(a)のP3)、カードユニット8(CPU30)からの照合要求に基づいて、カードID毎に対応付けた残高情報が記録されているデータベース(図示しない)から該当する残高情報を読み出し、受信したカードIDと残高情報との照合が行われる(図4(a)のP4)。なお、データベースには、会員カードMを発行する際に、その発行金額が当該会員カードMのカードIDに対応付けて記録されるようになっている。
【0049】
照合が一致している場合、ユニットコントローラ10からカードユニット8に残高情報が送信される(図4(a)のP5)。カードユニット8(CPU30)では、入出力(I/O)ポート58を介して残高情報を受信すると(図4(a)のP6)、当該残高情報を例えばRAM34に記憶する(図4(a)のP7)。この場合、残高情報は、所定金額(例えば、100円)を1度数とする度数単位で記憶され、例えば3000円の残高の場合、RAM34には、残度数「30」として換算された残高情報が記憶される。
【0050】
RAM34に残高情報が記憶されると、当該残高情報に基づいて、カードユニット8(CPU30)からパチンコ機4の貸出(球貸し)操作パネル38に残高表示信号が出力される(図4(a)のP8)。そして、当該残高表示信号に基づいて、当該貸出(球貸し)操作パネル38に残高が度数単位(例えば、残度数「30」)として表示される(図4(a)のP9)。
【0051】
この場合、貸出(球貸し)操作パネル38を操作(例えば、貸出ボタンを入力)すると(図4(b)のP10)、上記した貸出制御手段による貸出処理が実行され、これにより、所望数の遊技媒体(遊技球)の貸し出しを受けることができる(図4(b)のP11)。このとき、カードユニット8のCPU30(例えば、貸出制御手段)は、貸し出した遊技媒体(遊技球)の数量に基づいて売上高(消費度数)を特定し、その特定された結果としての売上情報をユニットコントローラ10に送信する(図4(b)のP12)。このときの売上情報は、会員管理コンピュータH(図1)にも送信される。そして、会員管理コンピュータHは、送信された売上情報に基づいて、会員管理テーブル(図3(b))上における該当項目(即ち、当該会員番号に対応付けられた使用度数)を更新(累積加算)して記憶(記録)する。
【0052】
ここで、売上高の特定方法としては、遊技媒体(遊技球)の1玉あたりの貸出単価を定める貸出モードに基づいて行われる。例えば、遊技媒体(遊技球)1玉あたりの貸出単価を4円換算で貸し出す形式を貸出モードA、1玉あたりの貸出単価を2円換算で貸し出す形式を貸出モードB、1玉あたりの貸出単価を1円換算で貸し出す形式を貸出モードCとする。この場合、現状のCPU30(例えば、貸出制御手段)が貸出モードAにセットされていれば、当該貸出モードAによって貸出処理が実行された際の売上高を特定する。例えば会員カードMの残高から1度数(100円)消費して、25球の遊技媒体(遊技球)を貸し出した場合、売上情報として、例えば1度数:100円がカードユニット8からユニットコントローラ10に送信される。
【0053】
ユニットコントローラ10では、売上情報(1度数:100円)を受信すると(図4(b)のP13)、上記したデータベース(図示しない)から該当する残高情報を読み出し、その残高情報から売上情報に対応する度数分減算し、当該残高情報の更新が行われる(図4(b)のP14)。一方、カードユニット8のCPU30では、特定した売上高(売上情報)に基づいて、貸出(球貸し)操作パネル38に残高表示するための残高更新処理が実行され、それに伴って、上記の使用度数カウンタのカウンタ値の更新処理が実行される(図4(b)のP15)。
【0054】
この場合、使用度数カウンタの更新処理では、上記判定開始条件が成立してから遊技状態検出手段によって特定遊技状態(大当り)となったことが検出される前において、上記の貸出処理の実行回数に対応してカウンタ値が加算されていくと共に、特定遊技状態(大当り)となったことが検出されたとき、当該カウンタ値が0(零)にゼロクリアされる。例えば、上記判定開始条件が成立してから特定遊技状態(大当り)となったことが検出される前において3回の貸出処理が実行され、それぞれの貸出処理に際して会員カードMの残高から5度数消費したとすると、上記の使用度数カウンタのカウンタ値は、5+5+5=15度数に更新される。そして、この後、特定遊技状態(大当り)となったことが検出されたとき、15度数となっているカウンタ値がゼロクリアされる。
【0055】
そして、カードユニット8のCPU30において、上記した残高更新処理が完了したとき、その更新された残高を表示するための残高表示信号が、当該カードユニット8からパチンコ機4に出力され(図4(b)のP16)、貸出(球貸し)操作パネル38上に残高が度数単位で表示される(図4(b)のP17)。
【0056】
ところで、本実施の形態のカードユニット8は、会員カードMが受け付けられる前に、表示装置54(表示パネルTp)に、例えば図10(a)に示すようなレスキュー勧誘案内画面が表示される。ここで、会員カードMがカードユニット8に受け付けられると、例えば図10(b)に示すようなレスキュー導入案内画面が表示される。このとき、会員が当該案内画面上の「レスキューペイとは」ボタンWをタッチ(PUSH)操作すると、続いて、例えば図10(c)に示すようなレスキュー移行案内画面を経た後、表示装置54(表示パネルTp)に、例えば図9(a)〜(c)に示すような案内画像が所定のタイミングで繰り返し表示されるようになっている。これにより、会員に対して、当該案内画面上のレスキューペイボタン60をタッチ(PUSH)操作することで、会員カードMの残高消費により被った損失の補填が受けられると共に、その後の遊技媒体(遊技球)の貸出単価が低廉化される可能性があることを報知することができる。なお、このような表示・報知処理手順は、例えばROM32に記憶されている表示・報知処理プログラムがRAM34を作業領域としてCPU30で実行される。
【0057】
この場合、上記した案内画像を表示装置54(表示パネルTp)に表示すると同時に、その報知内容を音声化し、これを例えばカードユニット8のスピーカ62(図2,3)から報知するようにしても良い。また、図9及び図10に示された各案内画像は、一例であり、その報告内容や報知回数及び報知時間などについては任意に設定することができるため、ここでは特に限定しない。
【0058】
ここで、遊技者である会員が、会員カードMをカードユニット8のカード挿入口8aに挿入した状態において、当該カードユニット8(CPU30)では、上記した遊技状態情報入力手段、遊技状態検出手段、貸出制御手段、遊技進行条件判定手段(使用遊技用価値特定手段、使用遊技用価値判定手段)、価値付与手段、としての各処理プログラム(総じて、保険実行処理)が実行される。
【0059】
図6(a)に示すように、当該保険実行処理では、レスキューペイボタン60(図9(a)〜(c))がタッチ操作「ON」されたか否かの判定(S1)や、レスキュー加入可フラグありか否かの判定(S2)が実行される。なお、プロセスS2での判定では、会員管理コンピュータH(図1)との間で会員カード受付時処理が実行され、これにより、レスキュー加入可フラグがセットされたか否かが判定される。
【0060】
図7に示すように、会員カード受付時処理では、会員カードMがカードユニット8に受け付けられているか否かの判定が実行される(Q1)。このとき、カードユニット8から会員管理コンピュータHにカード照合要求情報が送信される(Q2)。会員管理コンピュータHでは、カード照合要求に基づいて、会員管理テーブル(図3(b))から該当する会員情報を読み出し、カードユニット8に送信する。カードユニット8では、会員情報を受信したとき(Q3)、当該会員情報を表示するためのデータをセットする(Q4)。これにより、表示装置54(表示パネルTp)には、例えば図10(b),(c)に示すような「会員の名前や貯玉数」が表示可能となる。
【0061】
また、会員管理コンピュータHにおいて、上記会員遊技情報が一定以上変化していると判定されていれば、その旨の判定情報がカードユニット8に送信される(Q5)。カードユニット8では、判定情報を受信したとき、レスキュー勧誘を表示するためのデータをセットすると共に、レスキュー加入可フラグをセットする(Q6)。なお、レスキュー勧誘表示データがセットされると、表示装置54(表示パネルTp)には、例えば図10(b)に示すように、上記した「会員の名前や貯玉数」と共に「レスキューペイ特典を受ける資格がある」旨の表示がされる。
【0062】
ここで、プロセスQ6において、レスキュー加入可フラグをセットする動作について、図3(b)を参照して説明する。
上述したように、会員管理コンピュータHは、カードユニット8で使用された使用度数と、計数装置Kで計数した賞媒体(賞球)の計数結果とを、会員管理テーブル(図3(b))において会員毎に対応付けて更新記憶している。なお、計数結果は、会員にとって利益の大きさ(賞球を景品と交換する際の交換玉数)を特定可能な利益特定情報として更新記憶される。ここで、会員テーブルにて管理されている会員番号「0001」と「0003」の二人の会員に着目する。
【0063】
一方の会員「0001」の会員遊技情報は、使用度数:375、交換玉数:18359である。これを現金換算すると、使用度数375を1度数100円で換算した使用度数換算額:37500円、交換玉数を当該遊技場の交換率(1玉3円)で換算した交換玉数換算額:55077円となる。ここで、交換玉数換算額から使用度数換算額を差し引いた換算差額を算出すると、55077円−37500円=17577円となる。
これに対して、他方の会員「0003」の会員遊技情報は、使用度数:1147、交換玉数:31004である。これを現金換算すると、使用度数1147を1度数100円で換算した使用度数換算額:114700円、交換玉数を当該遊技場の交換率(1玉3円)で換算した交換玉数換算額:93012円となる。ここで、交換玉数換算額から使用度数換算額を差し引いた換算差額を算出すると、93012円−114700円=−21688円となる。
【0064】
会員管理コンピュータHでは、算出した換算差額の大きさが一定(20000)以上であるか否かを判定する。この場合、一方の会員「0001」は、換算差額がプラス値(17577円)であることから、当該会員には利益が発生していると判定され、他方の「0003」は、換算差額がマイナス値(−21688円)であることから、当該会員には不利益が発生していると判定される。また、当該他方の会員「0003」の換算差額は、20000を上回っていることが判定される。これにより、当該他方の会員「0003」がレスキューの対象となり、損失補填のチャンスが与えられる。このとき、かかる判定結果に基づいて、他方の会員「0003」の会員カード受付時処理において、レスキュー加入可フラグがセットされることとなる。
【0065】
このような会員カード受付時処理は、当該保険実行処理とパラレルで定期的に実行されており、図6(a)に示すように、レスキュー加入可フラグありとの判定がされ(S2)、レスキューペイボタン60がタッチ操作「ON」された場合、レスキューペイモードを開始させるための初期設定プログラムが実行される。
【0066】
初期設定プログラムにおいて、レスキューペイモードフラグONか否かの判定(S3)は例えば実行されずに通過するか、或いは、レスキューペイモードフラグOFFとして処理され、続いて、レスキューペイモードを開始するための手数料(保険料ともいう)の徴収プログラムが実行される。保険料の徴収プログラムでは、会員カードMの残高が手数料よりも多いか否かの判定が実行され(S4)、カード残高≧手数料なる関係を満たしていると判定された場合、会員カードMの残高から手数料が徴収される(S5)。なお、手数料(保険料)は、任意に設定することができるため、特に限定しないが、ここでは一例として、10度数の手数料を徴収することとする。
【0067】
また、初期設定プログラムでは、手数料(10度数)の徴収処理に同期及び連続して、レスキューペイモードフラグON、上記した使用度数カウンタ(カウンタ値)のゼロクリアなどの処理が実行されると共に、上記した貸出処理における球貸しモードが、遊技媒体(遊技球)1個あたりの貸出単価を4円換算で貸し出す形式(以下、貸出モードA)にセットされる(S6)。
【0068】
この状態で、会員が貸出(球貸し)操作パネル38を操作し、会員カードMの残高を消費(使用)すると、貸出モードAに基づいて、遊技媒体(遊技球)1個あたりの貸出単価を4円として換算して、所望数の遊技媒体(遊技球)の貸出処理を実行する。例えば第1の貸出単位として100円を貸出処理に使用する遊技用価値とすると、「100÷4」なる換算により、貸出数量25玉の遊技媒体(遊技球)の貸出処理を実行する。
【0069】
この後、当該会員は、貸し出しを受けた遊技媒体(遊技球)を使用して遊技を行うことになる。ここで、レスキューペイボタン60がタッチ操作「ON」されると(S1)、これにより上記判定開始条件が成立し、レスキューペイモードが開始される。このとき、表示装置54(表示パネルTp)には、例えば図8(a)に示すような案内画面が表示され、当該会員に対して、レスキューペイモードを実行する旨が報知される。なお、このときカードユニット8のスピーカ62(図2,3)から、当該案内画面に表示された報知内容を音声化して報知するようにしても良い。
【0070】
そして、当該判定開始条件が成立してから会員が貸出(球貸し)操作パネル38を操作して、会員カードMの残高を消費(使用)すると、その使用度数が上記した使用度数カウンタによって計数されていくことになる。このとき、表示装置54(表示パネルTp)には、例えば図8(b)に示すような案内画面が表示され、当該会員に対して、レスキューペイモード実行中における使用度数がカード使用残高数として報知される。なお、このときカードユニット8のスピーカ62(図2,3)から、当該案内画面に表示された報知内容を音声化して報知するようにしても良い。
【0071】
この場合、レスキュー加入可フラグありとの判定がされた状態にあるため(S2)、続いて、レスキューペイモードフラグONか否かの判定(S3)が実行される。この場合、レスキューペイモード実行中であるため、レスキューペイモードフラグONとなり、その後の遊技において、上記判定開始条件が成立してからの使用度数カウンタのカウンタ値(使用度数)が、遊技進行条件(200度数の使用)を満たしているか否かの判定(S7)が実行される。
【0072】
この後、会員カードMの残高を消費(使用)し、遊技を行っている状態において、特定遊技状態(大当り)となること無く、上記判定開始条件が成立してからの遊技媒体(遊技球)の消費(使用)量が、上記した使用度数カウンタのカウンタ値で例えば200度数となったと判定されたとき、後述するボーナスチャージを受けているか否かの判定(S8)が実行される。そして、ボーナスチャージを受けていない場合、上記した価値付与手段によって、会員カードMの残高に対して所定度数を加算する加算残高算出処理が行われる(S9)。
【0073】
加算残高算出処理では、まず、現状の貸出モードA(貸出単価:1玉4円)よりも小さい貸出単価(例えば、貸出単価:1玉3円)を設定する。次に、上記判定開始条件が成立してから実際に貸し出された遊技媒体(遊技球)の数量(貸出数量)に対して、1玉あたりの貸出単価が3円換算で貸し出されたものと仮定して使用度数を特定する。例えば貸出数量が5000玉であれば、これを1玉3円で貸し出したものと仮定した場合の売上高を算出(5000玉×3円)し、その算出結果(15000円)を1度数あたり100円として換算することにより、使用度数を150度数として特定する。そして、その特定された使用度数(150度数)と、上記した使用度数カウンタのカウンタ値(200度数)との差(50度数)を特定し、その差額(50度数)を会員カードMの残高に加算(即ち、価値付与によるボーナスチャージ)する。なお、売上高を算出せずに、定数(50度数)を設定し、これを加算残高として特定するようにしても良い。
【0074】
このとき、当該加算残高算出処理によって特定した差額(50度数)を示す加算情報が、当該カードユニット8からユニットコントローラ10に送信され、当該ユニットコントローラ10において残高情報の更新処理が行われる。一方、カードユニット8では、加算残高算出処理によって特定された差額(50度数)に基づいて、残高更新処理が行われる。
【0075】
また、このように価値付与手段による価値付与(ボーナスチャージ)が行われたとき、カードユニット8から会員管理コンピュータHにレスキュー実行情報が送信される(S9)。会員管理コンピュータHには、上記会員遊技情報の変化の大きさの初期化を行う情報初期化手段が設けられており、当該情報初期化手段では、受信したレスキュー実行情報に基づいて、使用度数と交換玉数の数値をリセットする。なお、情報初期化手段としての処理機能は、特に図示しないが、当該会員管理コンピュータHにおいて、例えばROMに記憶されている処理プログラムがRAMを作業領域としてCPUで実行される。
また同時に、カードユニット8では、図7のプロセスQ6でセットされたレスキュー加入可フラグをクリアする(S9)。これにより、レスキューペイモード加入への権利が消滅する。
【0076】
これに同期して、図6(a)に示すように、上記した貸出処理における球貸しモードが遊技媒体(遊技球)1玉あたりの貸出単価を2円換算で貸し出す形式(以下、貸出モードB)にセットされる(S10)。この状態で、会員が貸出(球貸し)操作パネル38を操作すると、貸出モードBに基づいて、遊技媒体(遊技球)1玉あたりの貸出単価を2円として換算して、所望数の遊技媒体(遊技球)の貸出処理が実行される。この場合、上記した第1の貸出単位(100円)よりも小さい第2の貸出単位として50円を貸出処理に使用する遊技用価値とし、遊技媒体(遊技球)の貸出単価を変化させることで、「50÷2」なる換算により、貸出数量25玉の遊技媒体(遊技球)の貸出処理を実行する。このとき、消費(使用)される会員カードMの残高は、25(玉)×2円÷100=0.5度数となる。
【0077】
これによれば、上記したボーナスチャージを受けて、貸出モードBがセットされた以後においては、0.5度数の残高消費によって、貸出モードAと同数(25玉)の球貸しを受けられることになる。この場合、ボーナスチャージと貸出モードBセットを報知するために、例えば図8(c)に示すような案内画面を表示装置54(表示パネルTp)に表示するようにしても良い。なお、報知方法としては、例えば残高表示信号と共に当該案内画面を重畳して出力すれば良い。また、このときカードユニット8のスピーカ62(図2,3)から、当該案内画面に表示された報知内容を音声化して報知するようにしても良い。
【0078】
この後、会員は、貸出モードB(1玉2円)換算で球貸しを受けて遊技を行うことができる。この場合、実際に払い出される玉数は、貸出モードAと同数(25玉)であるが、球貸し時における残高消費量は、貸出モードAの場合に比べて低廉化(即ち、半減)することになる。
【0079】
また、当該保険実行処理では、貸出モードBセット後の遊技において、上記した使用度数カウンタのカウンタ値で例えば100度数(上記判定開始条件が成立してからのトータル使用度数が300度数)となったと判定されたとき(S11)、上記した貸出処理における球貸しモードが遊技媒体(遊技球)1玉あたりの貸出単価を1円換算で貸し出す形式(以下、貸出モードC)にセットされる(S12)。
【0080】
この状態で、会員が貸出(球貸し)操作パネル38を操作すると、貸出モードCに基づいて、遊技媒体(遊技球)1玉あたりの貸出単価を1円として換算されて、所望数の遊技媒体(遊技球)の貸し出しを受けられる。例えば25玉の遊技媒体(遊技球)を貸し出す場合、消費(使用)される会員カードMの残高は、25(玉)×1円÷100=0.25度数となる。これによれば、貸出モードCがセットされた以後においては、0.25度数の残高消費によって、貸出モードAと同数(25玉)の球貸しを受けられることになる。
【0081】
ここで、貸出モードCセットを報知するために、例えば図8(c)に示すような案内画面を表示装置54(表示パネルTp)に表示するようにしても良い。この場合、図8(c)の案内画面において、カード使用残高を300度数に、貸出単価を1円にそれぞれ書き替えれば良い。なお、この場合においては、ボーナスチャージは行われないため、その旨の表示はなされない。また、報知方法としては、例えば当該案内画面を出力すれば良い。また、このときカードユニット8のスピーカ62(図2,3)から、当該案内画面に表示された報知内容を音声化して報知するようにしても良い。
【0082】
なお、上記保険実行処理において、レスキューペイボタン60がタッチ操作「ON」されないと判定(S1)された場合、レスキュー加入可フラグありとの判定がされない場合(S2)、或いは、レスキューペイボタン60がタッチ操作「ON」された際に、カード残高≧手数料なる関係を満たしていないと判定(S4)された場合には、レスキューペイモードフラグOFF、貸出モードAにセットされる(S13)。この場合、レスキューペイモード実行中であれば、同プロセスS13の処理により、レスキューペイモードが終了する。
【0083】
また、本実施の形態のカードユニット8は、上記保険実行処理と並列して信号入力処理(図6(b))がパラレルで実行されている。当該信号入力処理では、遊技状態情報(例えば、大当り信号)がパチンコ機4(メイン基板48)から入出力(I/O)ポート58を介してCPU30に入力されたか否かの判定(T1)が実行される。これと共に、会員カードMがカードユニット8に受け付けられているか否かの判定(T2)が実行される。なお、大当り信号は、パチンコ機4での遊技において、遊技者に有利な特定遊技状態(大当り)に移行したとき、メイン基板48から出力される。
【0084】
そして、大当り信号が入力されたと判定されたとき、また、会員カードMがカードユニット8に受け付けられていないと判定されたとき、上記保険実行処理において、レスキューペイモードフラグOFF、レスキューペイボタンOFF、貸出モードAにセットされる(T3)。この場合、レスキューペイモード実行中であれば、同プロセスT3の処理により、レスキューペイモードが終了する。
【0085】
なお、レスキューペイモード実行中において、例えば所定の返却操作によりカードユニット8から会員カードMを抜くと、その時点で、上記した使用度数カウンタのカウンタ値が0(零)にゼロクリアされ、レスキューペイモードが終了するようになっている。この場合、再度、会員カードMをカードユニット8に受け付けることにより、その受付時点から改めて図6(a)の保険実行処理が実行され、それに伴って、上記の使用度数カウンタのカウンタ値の更新処理が改めて実行される。このため、レスキューペイモードを継続させるためには、会員カードMの残高がなくなっても当該カードを抜いて新たなカードを購入するようなことはせず、当該残高がなくなった会員カードMをカードユニット8に受け付けた状態で追加入金をすることになる。
【0086】
ここで、会員の返却操作により実行される会員カードMの返却処理では、例えば図5(a)に示すように、パチンコ機4の貸出(球貸し)操作パネル38を操作(例えば、返却ボタンを入力)すると(P18)、カードユニット8(CPU30)からユニットコントローラ10にカード情報更新要求が出される(P19)。このとき、ユニットコントローラ10では、カード情報更新要求を受信すると(P20)、カードID毎に対応付けたカード情報が記録されているデータベース(図示しない)から該当するカード情報を読み出して、当該カード情報の更新(例えば、残高情報の更新)が行われる。
【0087】
そして、カード情報の更新が完了したとき、ユニットコントローラ10から更新完了通知がカードユニット8に通知される(P22)。このとき、カードユニット8(CPU30)では、更新完了通知を受信すると(P23)、当該更新完了通知に基づいて、会員カードMの返却処理が行われ、これにより、当該会員カードMがカード挿入口8aから排出(返却)される(P24)。
【0088】
また、会員カードMへの追加入金処理では、例えば図5(b)に示すように、カードユニット8の紙幣投入口14に所定金額の例えば貨幣(紙幣)が投入されると(P25)、投入された貨幣(紙幣)の真贋及び貨幣価値が貨幣識別機28により識別され(P26)、貨幣価値が識別された場合、カードユニット8(CPU30)からユニットコントローラ10にカード情報更新要求が出される(P27)。このとき、ユニットコントローラ10では、カード情報更新要求を受信すると(P28)、カードID毎に対応付けたカード情報が記録されているデータベース(図示しない)から該当するカード情報を読み出して、当該カード情報の更新(例えば、残高に対する追加入金)が行われる(P29)。
【0089】
そして、カード情報の更新が完了したとき、ユニットコントローラ10から更新完了通知がカードユニット8に通知される(P30)。このとき、カードユニット8(CPU30)では、更新完了通知を受信すると(P31)、当該更新完了通知に基づいて、例えばRAM34に記憶されている残高情報の更新処理が行われ(P32)、当該残高情報に基づいて、パチンコ機4の貸出(球貸し)操作パネル38に残高表示信号が出力される(P33)。そして、当該残高表示信号に基づいて、当該貸出(球貸し)操作パネル38に更新された残高が度数単位で表示される(P34)。
【0090】
以上、本実施の形態によれば、多くの投資をして当該遊技店に一定以上貢献した会員に対して、一定の遊技の進行に伴って生じる損失を補填するチャンスを与えることにより、顧客の差別化を図ることができると共に、顧客獲得に繋がり、営業戦略にも利用することができる。これにより、利便性に優れたシステム構成を実現することができる。また、その会員に対する損失補填により、当該会員に対する不利益の度合いを小さくすることができるため、会員に対して健全な遊技を提供することができる。
【0091】
更に、本実施の形態によれば、損失補填のチャンスを、使用度数と交換玉数との差額から判定される一定の純不利益が生じた場合に付与しているため、遊技の運・不運に左右されること無く、どの会員にも平等にチャンスを付与することができる。
【0092】
また、本実施の形態によれば、価値付与(ボーナスチャージ)が行われたときに、上記会員遊技情報の変化の大きさの初期化を行うようにしたことにより、価値付与を受けた会員に対して過剰な価値の付与が行われることを防止することができるため、どの会員にも平等に価値付与を行うことができる。
【0093】
更に、本実施の形態によれば、会員管理コンピュータHにより、上記会員遊技情報(例えば、使用度数、交換玉数など)の履歴を会員毎に管理することができるため、例えば遊技台を変更した場合でも、遊技台毎のカードユニットで使用した使用度数を合算することができる。これによれば、合算した使用度数が遊技進行条件(200度数の使用)を満たしている場合(例えば、A遊技台で150度数使用した後、台移動して、B遊技台で50度数使用した場合)、上記実施の形態と同様に、50度数をボーナスチャージしたり、その後に貸し出される遊技媒体(遊技球)の貸出単価を低廉化したりすることができる。
【0094】
また、上述した実施の形態では、使用度数と交換玉数を現金換算し、その換算差額が一定以上(20000以上)であるとき、会員に損失補填のチャンスを与えるようにしているが、これに代えて、交換玉数を考慮に入れず、純粋に使用した度数の大きさに基づいて、会員に損失補填のチャンスを与えるようにしても良い。
【0095】
また、上述した実施の形態では、価値付与手段による価値付与(ボーナスチャージ)が行われたとき、上記会員遊技情報の変化の大きさの初期化を行って、レスキューペイモード加入への権利を消滅させているが、これに代えて、レスキューペイによる損失補填を受けた後であっても、上記した換算差額が一定以上となったときは、いつでもレスキューペイモード加入への権利を復活させるようにしても良い。
【0096】
また、上述した実施の形態では、上記判定開始条件が成立してからの使用度数に対応して、貸出モードA、貸出モードB、貸出モードCといったように段階的に貸出単価(度数)を変化させているが、その場合でも、1回の貸出処理における度数消費で払い出される玉数は、常に一定数量(1度数あたり25玉)となっている。この場合、貸出単価(度数)を変化させる代わりに、段階的に貸出玉数を変化させるようにしても良い。例えば、貸出モードAでは、1度数あたり25玉貸し出しているところ、貸出モードBでは、1度数あたり40玉貸し出し、貸出モードCでは、1度数あたり60玉貸し出す。
【0097】
また、上述した実施の形態では、貸出モードA、貸出モードB、貸出モードCといったように3段階的に貸出単価(度数)を変化させているが、これに代えて、例えば1段階としても良いし、或いは、2段階や4段階以上にしても良い。
【0098】
また、上述した実施の形態では、手数料(保険料)の徴収を条件として、レスキューペイモードを実行するようにしたが、これに代えて、手数料(保険料)無しでもレスキューペイモードを実行できるようにしても良い。
【0099】
また、上述した実施の形態では、レスキューペイボタン60がタッチ操作「ON」されることを条件として、レスキューペイモードを実行するようにしたが、これに代えて、ボタン操作無しでもレスキューペイモードを実行できるようにしても良い。例えば、会員カードMがカードユニット8に受け付けられると同時に、当該会員カードMの残高から手数料(保険料)を徴収して、レスキューペイモードを実行する。
【0100】
また、上述した実施の形態では、遊技者の投資金額(上記判定開始条件が成立してからの使用度数)に応じて加算残高(例えば、200度数使用では、50度数の加算残高)を特定し、ボーナスチャージを行っているが、これに代えて、遊技者の投資金額にかかわらず常に一定額をチャージバックするようにしても良い。
【0101】
また、上述した実施の形態では、追加入金可能なカードユニット8を想定して説明したが、そのような機能を有しないカードユニットにも本発明を適用することができる。例えば、遊技者の入れ替えと、同一遊技者による離席とをそれぞれ特定可能に検知できる構成とし、遊技者の入れ替えを検知する毎に各カウンタをリセットする一方、カードの買い足しやトイレなどによってリセットされないように構成することで実現することができる。
【0102】
また、上述した実施の形態では、会員カードMに残高をチャージバックすることで補填を行うようにしたが、他の方法により補填を行うようにしても良い。例えば、現金を返却したり、遊技球の払い出しを行うようにしても良い。
【0103】
また、上述した実施の形態では、遊技進行条件として、カードユニット8で使用された所定度数の使用(例えば、200度数の使用)を想定したが、これに代えて、遊技において使用(消費)した遊技媒体(遊技球)の数量を計数し、その計数結果が規定数量(例えば、5000玉)となったと検出したとき、遊技進行条件が満たされたと判定し、会員に対して所定の価値付与を行うようにしても良い。この場合、カードユニット8のRAM34に差球カウンタを構築すると共に、遊技で使用(発射)され、機外へ排出された遊技媒体(遊技球)を計数するためのアウト球計数装置を設ける。そして、アウト球計数装置からのアウト球信号を入力する毎に差球カウンタのカウンタ値を10加算し、遊技機からの賞球信号を入力する毎に差球カウンタのカウンタ値を10減算する。これにより、遊技に際して純粋に使用(消費)した数量に基づいて、当該数量が規定数量となったことを正確に検出することができるため、会員に対して公平な所定の価値付与を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の一実施の形態に係るシステムの構成例を示す図。
【図2】本発明の一実施の形態に係る遊技用装置と、当該遊技用装置が併設された遊技機との外観構成を示す斜視図。
【図3】(a)は、図2に示された遊技用装置及び遊技機の内部構成を概略的に示すブロック図、(b)は、会員管理コンピュータの会員管理テーブルの構成例を示す図。
【図4】(a)は、会員カードの受付から残高表示に至るまでの遊技用装置の動作フローを示すブロック図、(b)は、貸出ボタン入力から残高表示に至るまでの遊技用装置の動作フローを示すブロック図。
【図5】(a)は、返却ボタン入力からカード排出に至るまでの遊技用装置の動作フローを示すブロック図、(b)は、貨幣入金から残高表示に至るまでの遊技用装置の動作フローを示すブロック図。
【図6】(a)は、図1に示された遊技用装置の保険実行処理を示すフローチャート、(b)は、図1に示された遊技用装置の信号入力処理を示すフローチャート。
【図7】本実施の形態のシステム構成における会員カード受付時処理を示すフローチャート。
【図8】(a)は、レスキューペイボタンONの案内画面例を示す図、(b)は、レスキューペイモード実行中の案内画面例を示す図、(c)は、レスキューペイ条件達成の案内画面例を示す図。
【図9】(a)は、レスキューペイ特典を受けるための案内画面例を示す図、(b)は、レスキューペイ特典を受けるための案内画面例を示す図、(c)は、レスキューペイ特典を受けるための案内画面例を示す図。
【図10】(a)は、会員に対するレスキュー勧誘案内画面例を示す図、(b)は、レスキュー導入案内画面例を示す図、(c)は、レスキュー移行案内画面例を示す図。
【符号の説明】
【0105】
8 カードユニット(遊技機併設遊技用装置)
H 会員管理コンピュータ(会員管理装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技店から発行され、当該遊技店の会員である遊技者を特定可能な会員情報が記録された会員用記録媒体を受け付け可能な受付手段と、受け付けた前記会員用記録媒体に記録された前記会員情報に対応するデータを送信するデータ送信手段とを備えた遊技用装置と、
前記遊技用装置と通信可能であり、前記送信されたデータに基づいて会員の遊技に関する所定の会員遊技情報を会員毎に対応付けて更新して記憶する会員管理装置とを構成する遊技システムであって、
前記遊技用装置は、遊技機に併設される遊技機併設遊技用装置を含み、
前記遊技機併設遊技用装置は、
併設される前記遊技機から出力され、前記遊技者に有利な特定遊技状態であることを特定可能な遊技状態情報を入力する遊技状態情報入力手段と、
前記遊技状態情報の入力に基づいて、前記特定遊技状態となったことを検出する遊技状態検出手段と、
所定の判定開始条件が成立してから、前記特定遊技状態となったことを検出すること無く、所定の遊技進行条件が満たされたことを判定する遊技進行条件判定手段と、
前記特定遊技状態となったことを検出すること無く、前記遊技進行条件が満たされたと判定されたときに、前記遊技者に対して所定の価値付与を行う価値付与手段とを備え、
前記会員管理装置は、
前記遊技機併設遊技用装置から前記データを受信したときに、受信した当該データから特定される会員の前記所定の会員遊技情報が、一定以上変化しているか否かを判定する会員遊技情報判定手段と、
前記所定の会員遊技情報が一定以上変化していると判定されたときに、その旨の判定情報を当該会員用記録媒体が受け付けられた前記遊技機併設遊技用装置へ送信する判定情報送信手段とを備え、
前記遊技機併設遊技用装置の前記遊技進行条件判定手段は、前記判定情報を受信したことを前記判定開始条件に含み、前記遊技進行条件が満たされたことを判定することを特徴とする遊技システム。
【請求項2】
前記遊技用装置は、前記会員が前記遊技機での遊技において獲得した賞媒体を計数する計数装置を含み、
前記会員管理装置は、前記計数装置において計数された計数結果を、前記会員にとって利益の大きさを特定可能な利益特定情報として当該会員毎に対応付けて更新して記憶し、
前記会員管理装置の前記会員遊技情報判定手段は、前記所定の会員遊技情報の変化の大きさから、前記利益特定情報から特定される前記利益の大きさに対応する大きさを差し引き、当該差し引いた後の前記所定の会員遊技情報の変化の大きさが一定以上であるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の遊技システム。
【請求項3】
前記会員管理装置は、前記遊技機併設遊技用装置の前記価値付与手段による前記価値付与が行われたときに、前記所定の会員遊技情報の変化の大きさの初期化を行う情報初期化手段を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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