説明

遊技場用管理システム

【課題】高設定値が見抜かれ易い機種であるか見抜かれ難い機種であるかを判定する。
【解決手段】管理サーバ7は、遊技場側に設定された機種毎且つ設定値毎の設定回数である設定配分の場合における機種毎且つ設定値毎の理論上の平均出玉率を理論出玉率として算出し、設定値に関わらず機種毎の実際の出玉率を実出玉率として算出し、それら算出した理論出玉率と実出玉率との差分を差出玉率として算出して出力する。高設定値が見抜かれ易い機種では、遊技者が高設定値の遊技機での遊技に集中する一方、遊技者が高設定値以外の遊技機での遊技を避ける傾向にあるので、差出玉率が大きいほど高設定値が見抜かれ易い機種であると判定でき、差出玉率が小さいほど高設定値が見抜かれ難い機種であると判定できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場側の選択操作により選択された設定値に応じて役の抽選確率が異なる機種の遊技機を管理する遊技場用管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、遊技場側の選択操作により選択された設定値に応じて役の抽選確率が異なる機種の遊技機を管理する遊技場用管理システムが供されている。又、遊技場側が設定値を選択するための判断要素として、機種毎及び設定値毎に遊技情報を抽出して出力する技術が公開されており、設定値を低く設定しすぎたことにより客離れを誘発するという問題や、逆に、設定値を高く設定しすぎたことにより遊技場側が利益を確保することができないという問題を解消するようにしている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−243012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、機種毎の平均設定値、又は平均出玉率が同程度であっても、その配分によっては客離れを誘発して遊技場全体の稼動を低下させてしまうという問題がある。即ち、設定値が6段階の機種において、設定値「1」及び設定値「6」の何れかのみを使用する場合と、設定値が近似する設定値「1」〜「4」を使用する場合とでは、一般的には前者の方が後者よりも高設定値の遊技機を見抜かれ易いので、高設定値が見抜かれ易い機種について高設定値を多用すると、その機種全体の稼動及び粗利を低下させることになる。一方、高設定値の遊技機を多く設置して遊技者にアピールすることは集客に繋がるので、遊技場側としては稼動を高く維持しつつ、高設定値の遊技機を多く配置したいという意向がある。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高設定値が見抜かれ易い機種であるか見抜かれ難い機種であるかを適切に判定することを可能とする遊技場用管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載した遊技場用管理システムは、遊技者にとって有利な役の当選確率を規定する複数の設定値が設けられた複数の機種で構成される複数の遊技機を管理する遊技場用管理システムであって、機種毎且つ設定値毎の実際の出玉率、又は役の当選確率に基づいて定まる機種毎且つ設定値毎の理論上の出玉率を基準出玉率として算出する基準出玉率算出手段と、遊技場側に設定された機種毎且つ設定値毎の設定回数を設定配分として記憶する設定配分記憶手段と、前記基準出玉率算出手段が算出した前記基準出玉率に基づいて、前記設定配分の場合における機種毎の理論上の平均出玉率を理論出玉率として算出する理論出玉率算出手段と、設定値に関わらず機種毎の実際の出玉率を実出玉率として算出する実出玉率算出手段と、前記理論出玉率算出手段が算出した前記理論出玉率と、前記実出玉率算出手段が算出した前記実出玉率との差異の度合いを算出する差異算出手段と、前記差異算出手段が算出した前記差異の度合いを表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載した遊技場用管理システムは、複数営業日に亘る機種毎の遊技データを1営業日分の機種毎の平均稼動期間に応じて区分する区分手段、を備え、前記実出玉率算出手段は、前記区分手段が区分した区分毎に前記実出玉率を算出し、前記差異算出手段は、前記区分手段が区分した区分毎に前記差異の度合いを算出し、前記表示手段は、前記差異算出手段が算出した前記差異の度合いを、前記区分手段が区分した区分毎に表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載した遊技場用管理システムによれば、遊技場側に設定された機種毎且つ設定値毎の設定回数である設定配分の場合における機種毎且つ設定値毎の理論上の平均出玉率を理論出玉率として算出し、設定値に関わらず機種毎の実際の出玉率を実出玉率として算出し、それら算出した理論出玉率と実出玉率との差異の度合いを算出し、その算出した差異の度合いを表示するように構成したので、差異の度合いを評価することで、高設定値が見抜かれ易い機種であるか見抜かれ難い機種であるかを適切に判定することができる。即ち、高設定値が見抜かれ易い機種では、遊技者が高設定値の遊技機での遊技に集中する一方、遊技者が高設定値以外の遊技機での遊技を避ける傾向にあるので、理論出玉率と実出玉率との差異の度合いが大きいほど高設定値が見抜かれ易い機種であると判定することができ、理論出玉率と実出玉率との差異の度合いが小さいほど高設定値が見抜かれ難い機種であると判定することができる。その結果、遊技場側は、高設定値の遊技機のみで集中的に遊技されることを防止しつつ、高設定値の遊技機を多く設置することで遊技者を多く集客することができ、稼動を高く維持することができる。
【0009】
請求項2に記載した遊技場用管理システムによれば、複数営業日に亘る機種毎の遊技データを1営業日分の機種毎の平均稼動期間に応じて区分し、その区分した区分毎に実出玉率を算出し、その区分した区分毎に差異の度合いを算出し、その算出した差異の度合いを、その区分した区分毎に表示するように構成したので、特定の機種について、全ての遊技機が終日稼動していた場合と、営業時間の半分程度しか稼動していなかった場合とでは、後者の方が前者よりも差異の度合いが顕著となり得るという事情から、1営業日分の平均稼動期間に応じてそれぞれ実出玉率を算出して差異の度合いを算出することで、本発明による効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態を示す全体構成図
【図2】スロットマシンの正面図
【図3】スロットマシンの機能ブロック図
【図4】設定値入力画面を示す図
【図5】機種Aに関する帳票を示す図
【図6】機種Bに関する帳票を示す図
【図7】管理装置の処理を示すフローチャート
【図8】管理サーバの処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、遊技場用管理システムの全体構成を概略的に示している。遊技場Aにはスロットマシン1に対応して貸出装置2、表示装置3が設置されており、管理室には管理装置4(表示手段に相当)が設置されている。中継装置5は、2台のスロットマシン1、2台の貸出装置2、2台の表示装置3及び管理装置4と接続されている。管理装置4は、遊技機側(スロットマシン1及び貸出装置2)から送信される遊技信号を中継装置5を介して受信し、スロットマシン1の遊技データ等を管理する。尚、図1では省略したが、実際には数100台のスロットマシン1が管理装置4の管理対象となる。
【0012】
管理装置4は、インターネット等の公衆回線6を通じて管理サーバ7(基準出玉率算出手段、理論出玉率算出手段、実出玉率算出手段、差異算出手段、区分手段に相当)と接続可能となっており、遊技場Aの営業終了後に(閉店後に)スロットマシン1の遊技データを公衆回線6を通じて管理サーバ7へ送信する。遊技場Bにも遊技場Aと同様の遊技システム(スロットマシン1、貸出装置2、表示装置3、管理装置4等を含む、図1では管理装置4のみを図示している)が設置されており、遊技場Bに設置されている管理装置4も、遊技場Aに設置されている管理装置4と同様に、遊技場Bの営業終了後にスロットマシン1の遊技データを公衆回線6を通じて管理サーバ7へ送信する。管理サーバ7は、このように全国の加盟店の管理装置4から送信された遊技データを集計して管理する。
【0013】
図2は、スロットマシン1の正面外観を概略的に示している。スロットマシン1は、その正面に表示窓8が設けられており、遊技者は表示窓8を通じて内部に設けられたリール9の図柄を視認可能となっている。各図柄は、左リール9a、中リール9b、右リール9cの円周面に描かれており、各リール9a〜9cが停止した状態では、表示窓8の上段、中段、下段に対応して表示される。即ち、表示窓8には、各リール9a〜9cの各々について3図柄ずつ合計9図柄分の図柄表示領域が形成されている。
【0014】
表示窓8には、例えば中段に対応した横方向の1本、上段、中段、下段に対応した斜め方向の2本、上段に対応した横方向の1本の合計4本の入賞ライン(有効ライン)が設定されており、入賞図柄が何れかの入賞ライン上に揃ったときに対応する入賞が発生する。
【0015】
表示窓8の上方には、メダル(遊技媒体)の払出し進捗状態等の情報や各種の画像等を表示する液晶表示部10が設けられている。表示窓8の下方には、クレジットメダルの投入を行うBETボタン11、クレジットメダルの精算を行う精算ボタン12、メダルを投入するメダル投入口13が設けられており、これらの下方にはスタートレバー14、左ストップボタン15、中ストップボタン16、右ストップボタン17が設けられている。
【0016】
表示窓8の右方には、メダルの払出枚数を表示する払出数表示部18、メダルのクレジット数を表示するクレジット数表示部19が設けられている。クレジット数表示部19は、メダル投入口13から投入されたメダルのうち未だゲームに使用されていないメダルの数、及びゲームで入賞が発生したときに付与されるメダルの数を表示する。クレジット数が1以上の状態で精算ボタン12が操作されたときには、そのクレジット数分のメダルが払出される。又、スロットマシン1の正面最下部には受皿20が設けられており、スロットマシン1の正面最上部には装飾ランプ部21が設けられている。
【0017】
図3は、スロットマシン1の電気的な構成を機能ブロック図により示している。スロットマシン1には、CPU、ROM、RAM、I/O等を備えたマイクロコンピュータにより構成される制御部22が設けられている。制御部22は、BETボタン11、精算ボタン12、スタートレバー14、左ストップボタン15、中ストップボタン16、右ストップボタン17、投入メダル検知部23、設定値操作部24等から各種信号を入力する。制御部22は、メダル投入口13に投入されたメダルの真贋及び数量を判定する投入メダル検知部23から投入メダル検知信号を入力すると、その入力した投入メダル検知信号に基づいて投入されたメダルの数を計数し、メダルの数が1ゲームに必要な所定数(通常状態では3枚)を超えたときには、その超えた分のメダルの数をクレジット数として、例えばRAM等に所定の上限値(例えば50枚)まで記憶すると共に、そのクレジット数をクレジット数表示部19に表示する。
【0018】
又、制御部22は、設定値操作部24から内部当選確率等の各種の設定信号を入力する。スロットマシン1には例えば「1」〜「6」の6段階で役の内部当選確率を設定するための設定値が設けられており、設定値操作部24から入力した設定信号に基づいて何れかの設定値を有効化する。設定値操作部24は、設定変更キー25が挿入されて設定変更が可能な状態となった上で、例えばDIPスイッチの切換え等により設定値を変更可能である。この場合、設定値は、その値が高いほど遊技者にとって有利な設定であり、その値が低いほど遊技者にとって不利な設定である。
【0019】
又、制御部22は、液晶表示部10、払出数表示部18及びクレジット数表示部19等の各種表示部、装飾ランプ部21、各リール9a〜9cに対応するリール用モータ26a〜26cを駆動するリール駆動部27、各リール9a〜9cに設けられた基準位置片の通過を検知するセンサ28a〜28c、各センサ28a〜28cからの検知信号に基づいて各リール9a〜9cの基準位置を検知する基準位置検出部29、スピーカを駆動する音声出力部30、メダルを払出すメダル払出部31を接続している。
【0020】
上記した構成のスロットマシン1において、制御部22は、メダルが投入された状態でスタートレバー14が操作されると(ゲーム開始操作が行われると)、乱数発生部32にて発生する乱数の中から1つの乱数を乱数抽出部33にて抽出して内部抽選を行い、内部抽選の結果が当選であると(内部当選役があると)、その内部当選役に対応した内部当選役フラグ(ボーナス役フラグ、小役フラグ又はリプレイ役フラグ)をオンする(成立させる)。ボーナス役フラグについては当該ボーナス役が入賞するまで何ゲームでも持ち越され、小役フラグ及びリプレイ役フラグについては入賞の有無に関わらず次のゲームを開始するまでに消去される。
【0021】
そして、制御部22は、内部抽選を行ったことでオンした内部当選役フラグに応じて、各リール9a〜9cの停止位置を決定するための停止テーブル(図示せず)に基づいて所謂引込制御(すべり制御)を含む停止制御(各リール9a〜9cを内部当選役フラグの種類に応じた入賞図柄又はハズレ図柄で停止させる制御)を行う。この引込制御は、各ストップボタン15〜17の操作を検出した時点から予め規定された引込範囲(最大で4図柄まで)にある図柄を入賞ライン上に引込んで停止させることが可能な制御である。尚、内部当選役フラグに対応する図柄が上記の引込範囲内に存在しないときは、その図柄を入賞ライン上に引き込んで停止させることができないので、入賞が発生せず、所謂取りこぼしとなる。
【0022】
貸出装置2は、貨幣投入口34、動作ランプ35、メダル払出ノズル36等を備えている。貸出装置2は、遊技者が貨幣を貨幣投入口34に投入すると、メダル払出ノズル36からメダルを払出す。又、貸出装置2は、自身の動作に不具合等が生じた場合に動作ランプ35を点灯することで、不具合等が発生したことを従業員に報知する。
【0023】
スロットマシン1側からは次に示す遊技信号が出力される。
「アウト信号」:スロットマシン1から出力される信号であり、開始操作に応じてベット状態のメダルを使用したとしてベット状態のメダル数(3枚)分がパルス出力されるので、アウト信号数×1がアウト(使用媒体数)となる。尚、リプレイ時にも対応分が出力される。
【0024】
「セーフ信号」:スロットマシン1から出力される信号であり、メダルが1枚払出される毎に1パルス出力されるので、セーフ信号数×1がセーフ(払出媒体数)となる。尚、リプレイ役入賞時にも当該ゲームに使用されたメダル分が出力される。
【0025】
「BB信号」:スロットマシン1から出力される信号であり、BB時にレベル出力されるので、BB信号受信期間中がBB状態として特定される。
「RB信号」:スロットマシン1から出力される信号であり、RB時にレベル出力されるので、RB信号受信期間中がRB状態として特定される。
【0026】
「売上信号」:貸出装置2から出力される信号であり、売上メダル5枚(100円分に相当)毎に1パルス出力されるので、売上信号数×100が売上金額となる。尚、対価となる有価価値としては現金等の有価価値は勿論、貯玉等の有価価値も含まれる。即ち、所謂再プレイにより貸出されるメダルを売上メダルとしても良い。
【0027】
中継装置3は、CPUからなる制御部、CF(コンパクトフラッシュ(登録商標))、RAM及びROM等からなる記憶部、I/Fからなる送受信部等を備えており、各種信号や各種情報を送受信する(中継する)。
【0028】
管理装置4は、CPUからなる制御部、HDD、RAM及びROM等からなる記憶部、I/Fからなる送受信部、モニタ及びプリンタ等からなる出力部、キーボード及びマウス等からなる操作部等を備え、スロットマシン1側から出力された遊技信号を受信することで遊技データを当該スロットマシン1に対して個別に付与されている遊技機ID(台番)毎に集計して特定する機能を有している。
【0029】
さて、上記した構成において、管理装置4は、スロットマシン1の遊技機IDと機種名とを対応付けて記憶し、遊技場の管理者が営業終了後に行う入力操作に応じて、翌営業時に用いるスロットマシン1毎の設定値を記憶する。又、管理装置4は、機種毎の遊技データ(各設定値の台数、設定値毎のアウト(累計アウト)及びセーフ(累計セーフ)等)を営業終了後に公衆回線6を通じて管理サーバ7へ送信する。
【0030】
図4は、遊技場の管理者がスロットマシン1毎の設定値を設定する際の設定値入力画面を示している。遊技場の管理者が設定値入力画面にて開始台番を入力し、終了台番を入力し、設定値を入力した後に、登録ボタンを押下すると、マトリックス状の表に設定値が入力され、その開始台番から終了台番に対応するスロットマシン1の設定値が記憶される。図4では、遊技場の管理者が開始台番として「12」を入力し、終了台番として「14」を入力し、設定値として「1」を入力した場合を例示している。尚、図4は、1番台から99番台の入力画面を表示しているが、遊技場の管理者が次頁ボタンを押下すると、100番台以降の入力画面を表示する。又、遊技場の管理者が設定値を入力する操作の便宜を図ることを目的とし、マトリックス状の表の下部には入力中の機種及びその前後の機種名と対応する台番を表示する。
【0031】
一方、管理サーバ7は、遊技場の営業終了後に管理装置4から送信された機種毎の遊技データ(各設定値の台数、設定値毎のアウト及びセーフ等)を公衆回線6を通じて受信すると、その受信した機種毎の遊技データを集計する。具体的には、管理サーバ7は、機種毎且つ設定値毎に、全ての設定値についてアウト(累計アウト)が営業終了後に所定数(本実施形態では例えば300万)を超えていた機種を対象として出玉率(セーフ/アウト)を算出し、その算出した出玉率を基準出玉率として記憶する。管理サーバ7は、その算出した基準出玉率に基づいて、管理装置4から受信した設定配分の場合における機種毎の理論上の平均出玉率を理論出玉率として算出して記憶する。又、管理サーバ7は、設定値に関わらず機種毎の実際の出玉率を実出玉率として算出して記憶する。更に、管理サーバ7は、実出玉率から理論出玉率を差引いた差分(理論出玉率と実出玉率との差異の度合いに相当)を差出玉率として算出して記憶する。
【0032】
管理サーバ7は、機種毎且つ設定値毎に設定回数(上記した設定配分に相当)、アウト、セーフ、出玉率(上記した基準出玉率に相当)を表示すると共に、上記した手順で算出した当該機種の実出玉率、理論出玉率、差出玉率を表示する。又、管理サーバ7は、このようにして集計した遊技データを図5及び図6に示すように帳票出力すると共に、各遊技場に設置されている管理装置4へ送信する。
【0033】
理論出玉率、実出玉率、差出玉率を演算する演算式は以下の通りである。
理論出玉率
=(設定値「1」の設定回数×設定値「1」の基準出玉率+設定値「2」の設定回数×設定値「2」の基準出玉率+設定値「3」の設定回数×設定値「3」の基準出玉率+設定値「4」の設定回数×設定値「4」の基準出玉率+設定値「5」の設定回数×設定値「5」の基準出玉率+設定値「6」の設定回数×設定値「6」の基準出玉率)/設定値「1」〜「6」の設定回数の合計
実出玉率
=設定値「1」〜「6」のセーフの合計/設定値「1」〜「6」のアウトの合計
差出玉率
=実出玉率−理論出玉率
本実施形態では、図5に示す機種Aについては、
理論出玉率
=(3577×96.5%+1626×98.5%+520×100.9%+403×103.3%+221×106.7%+150×111.3%)/(3577+1626+520+403+221+150)
=98.463%
実出玉率
=(41151201+21472950+7353270+5995139+3959130+3355501)/(42643732+21799949+7287681+5803619+3710525+3014826)
=98.845%
差出玉率=98.845%−98.463%=0.382%
と演算する。
【0034】
同様に、図6に示す機種Bについては、
理論出玉率=98.000%
実出玉率=98.079%
差出玉率=0.079%
と演算する。
【0035】
機種Aと機種Bとを比較すると、機種Aの差出玉率の方が機種Bの差出玉率よりも大きい。一般的に、遊技者は高設定値の遊技機での遊技に集中する一方で高設定値以外の遊技機での遊技を避ける傾向にあるので、差出玉率が相対的に大きい機種Aの方が高設定値が見抜かれ易い機種であると判定することができ、差出玉率が相対的に小さい機種Bの方が高設定値が見抜かれ難い機種であると判定することができる。
【0036】
次に、上記した構成の作用について、図7及び図8を参照して説明する。図7は、管理装置4が本発明に関連して行う遊技データ送受信処理を示しており、図8は、管理サーバ7が本発明に関連して行う遊技データ集計処理を示している。
【0037】
(1)遊技データ送受信処理
管理装置4は、メイン処理のサブ処理として遊技データ送受信処理を所定周期で定期的に実行する。管理装置4は、遊技データ送受信処理を開始すると、現在時刻が営業終了後の設定時刻であるか否かを判定する(A1)。ここで、管理装置4は、現在時刻が営業時間内であり、現在時刻が営業終了後の設定時刻でないと判定すると(A1:NO)、遊技データ送受信処理を終了する。一方、管理装置4は、現在時刻が営業時間を終了した営業時間外であり、現在時刻が営業終了後の設定時刻であると判定すると(A1:YES)、機種毎の遊技データを公衆回線6を通じて管理サーバ7へ送信する(A2)。
【0038】
又、管理装置4は、管理サーバ7から集計後の遊技データを公衆回線6を通じて受信したか否かを判定する(A3)。ここで、管理装置4は、管理サーバ7から集計後の遊技データを公衆回線6を通じて受信していないと判定すると(A3:NO)、遊技データ送受信処理を終了する。一方、管理装置4は、管理サーバ7から集計後の遊技データを公衆回線6を通じて受信したと判定すると(A3:YES)、その受信した集計後の遊技データを表示し(A4)、遊技データ送受信処理を終了する。
【0039】
(2)遊技データ集計処理
管理サーバ7は、メイン処理のサブ処理として遊技データ集計処理を所定周期で定期的に実行する。管理サーバ7は、遊技データ集計処理を開始すると、管理装置4から機種毎の遊技データを公衆回線6を通じて受信したか否かを判定する(B1)。ここで、管理サーバ7は、管理装置4から機種毎の遊技データを公衆回線6を通じて受信していないと判定すると(B1:NO)、遊技データ集計処理を終了する。一方、管理サーバ7は、管理装置4から機種毎の遊技データを公衆回線6を通じて受信したと判定すると(B1:YES)、その受信した機種毎の遊技データに基づいて機種毎且つ設定値毎のアウト(累計アウト)及びセーフ(累計セーフ)を集計する(B2)。
【0040】
次いで、管理サーバ7は、全ての設定値について営業終了後のアウトが所定数(本実施形態では例えば300万)を超えている機種が存在するか否かを判定し(B3)、全ての設定値について営業終了後のアウトが所定数を超えている機種が存在すると判定すると(B3:YES)、その機種を対象として設定値毎の基準出玉率を算出し(B4)、全ての設定値について基準出玉率を算出したか否かを判定する(B5)。
【0041】
次いで、管理サーバ7は、全ての設定値について基準出玉率を算出したと判定すると(B5:YES)、その機種について、上記した演算式にしたがって、理論出玉率、実出玉率、差出玉率を集計後の遊技データとして算出する(B6)。そして、管理サーバ7は、このようにして算出した集計後の遊技データを公衆回線6を通じて管理装置4へ送信する(B7)。
【0042】
以上に説明したように本実施形態によれば、管理サーバ7において、遊技場側に設定された機種毎且つ設定値毎の設定回数である設定配分の場合における機種毎且つ設定値毎の理論上の平均出玉率を理論出玉率として算出し、設定値に関わらず機種毎の実際の出玉率を実出玉率として算出し、それら算出した理論出玉率と実出玉率との差分を差出玉率として算出して出力するように構成したので、差出玉率を評価することで、高設定値が見抜かれ易い機種であるか見抜かれ難い機種であるかを適切に判定することができる。即ち、高設定値が見抜かれ易い機種では、遊技者が高設定値の遊技機での遊技に集中する一方、遊技者が高設定値以外の遊技機での遊技を避ける傾向にあるので、差出玉率が大きいほど高設定値が見抜かれ易い機種であると判定することができ、差出玉率が小さいほど高設定値が見抜かれ難い機種であると判定することができる。その結果、遊技場側は、高設定値の遊技機のみで集中的に遊技されることを防止しつつ、高設定値の遊技機を多く設置することで遊技者を多く集客することができ、稼動を高く維持することができる。
【0043】
又、全ての設定値について営業終了後のアウトが所定数を超えている機種を対象とし、理論出玉率及び実出玉率を算出し、それら算出した理論出玉率と実出玉率との差分を差出玉率として算出して出力するように構成したので、ある程度の稼動がある機種を対象として、高設定値が見抜かれ易い機種であるか見抜かれ難い機種であるかを判定することができる。
【0044】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形又は拡張することができる。
基準出玉率は、実際の出玉率でなく、役の当選確率に基づいて算出した理論値を用いても良い。
【0045】
実出玉率は、遊技場から送信された遊技データのうち平均アウトが予め定めた規定範囲内のものに限って参照するようにしても良い。又、平均アウトの範囲毎に実出玉率を算出しても良い。
【0046】
特定の機種について、全てのスロットマシンが終日稼動していた場合と、営業時間の半分程度しか稼動していなかった場合とでは、後者の方が前者よりも差出玉率が顕著となり得るという事情から、複数営業日に亘る機種毎の遊技データを1営業日分の機種毎の平均稼動期間に応じて区分し、その区分した区分毎に実出玉率を算出して差出玉率を算出するように構成すれば、本発明による効果を一層高めることができる。
【0047】
管理サーバが行う情報処理の一部、又は全部を遊技場用管理装置が行う構成としても良い。即ち、遊技場用管理システムは、管理サーバと遊技場用管理装置とを含む構成であっても良いし、遊技場用管理装置のみの構成であっても良く、何れの概念を含む。
【符号の説明】
【0048】
図面中、1は遊技機、4は管理装置(表示手段)、7は管理サーバ(基準出玉率算出手段、理論出玉率算出手段、実出玉率算出手段、差異算出手段、区分手段)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者にとって有利な役の当選確率を規定する複数の設定値が設けられた複数の機種で構成される複数の遊技機を管理する遊技場用管理システムであって、
機種毎且つ設定値毎の実際の出玉率、又は役の当選確率に基づいて定まる機種毎且つ設定値毎の理論上の出玉率を基準出玉率として算出する基準出玉率算出手段と、
遊技場側に設定された機種毎且つ設定値毎の設定回数を設定配分として記憶する設定配分記憶手段と、
前記基準出玉率算出手段が算出した前記基準出玉率に基づいて、前記設定配分の場合における機種毎の理論上の平均出玉率を理論出玉率として算出する理論出玉率算出手段と、
設定値に関わらず機種毎の実際の出玉率を実出玉率として算出する実出玉率算出手段と、
前記理論出玉率算出手段が算出した前記理論出玉率と、前記実出玉率算出手段が算出した前記実出玉率との差異の度合いを算出する差異算出手段と、
前記差異算出手段が算出した前記差異の度合いを表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする遊技場用管理システム。
【請求項2】
複数営業日に亘る機種毎の遊技データを1営業日分の機種毎の平均稼動期間に応じて区分する区分手段、を備え、
前記実出玉率算出手段は、前記区分手段が区分した区分毎に前記実出玉率を算出し、
前記差異算出手段は、前記区分手段が区分した区分毎に前記差異の度合いを算出し、
前記表示手段は、前記差異算出手段が算出した前記差異の度合いを、前記区分手段が区分した区分毎に表示することを特徴とする請求項1に記載した遊技場用管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−100921(P2012−100921A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252756(P2010−252756)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(000108937)ダイコク電機株式会社 (893)
【Fターム(参考)】