説明

遊技場管理システム

【課題】 監視の負担が大きくなることがないと共に、遊技者が不快な思いをすることなく、正確に素早く異常を検出することができる遊技場管理システムを提供する。
【解決手段】 各パチンコ遊技機4毎に或いは各パチンコ遊技機4を遊技している遊技者の会員情報に基づいて設定される監視条件により、監視の対象とするパチンコ遊技機4か否かが判断され、監視対象の場合は、更に、当該パチンコ遊技機4で遊技している遊技者の遊技状態或いは会員情報により設定される監視レベル毎に設定されている異常検知条件に基づいて稼動データを参照して、異常検知条件に稼動データが該当した場合は、異常として検知され、遊技店の従業員が設定した異常報知方法により報知が行なわれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場に設置される遊技機を管理する遊技場管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の遊技場管理システム(管理装置、呼び出しランプ或いは入力端末を含む)においては、異常監視機能を有するものが多く存在する。この異常監視機能は、電波感知器などにより不正な信号入力を検知したり、遊技機から出力される各種信号(アウト玉数、セーフ玉数、スタート、大当りの信号等)に基づいて予め設定された条件により、異常な遊技機を検知したりするものである。このように異常を検知した場合は、管理装置の表示部において警告表示を行なったり、従業員へのインカム放送を使って音声により警告したり、呼出ランプにより異常検知表示を行なったりすることで報知するようになっている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−81564号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術では、遊技場は、異常の検知条件を厳しくすることで少しでも疑わしい場合は異常を検知するように設定すると、遊技場側にとっては、数多くの遊技機の不正(正常な動作だが不正と検知してしまうような誤検知も含む)を検知してしまい監視が大変になり、遊技者側にとっては、不正をしたのではないかと疑われ不快な思いをすることにもなる。また、逆に、検知条件を甘くすることで相当疑わしい場合のみ異常の検知するように設定すると、遊技場にとっては、本当に不正があった場合でも異常を検知することができず或いは異常を検知できたとしても発見が遅れてしまうといったことが起こり、このように両方の立場に立った異常の検知条件の設定が非常にシビアなものになっていた。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、監視の負担が大きくなることがないと共に、遊技者が不快な思いをすることなく、正確に素早く異常を検出することができる遊技場管理システムを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、遊技場に設置された複数の遊技機側から出力される各種信号に基づいて、各遊技機の稼動データを集計して管理するデータ管理手段と、このデータ管理手段が管理する稼動データを監視し、異常なデータを検知する異常監視手段とを備えた遊技場管理システムにおいて、所定条件に基づいて監視レベルを設定し、その監視レベル毎に異常として検知する異常検知条件を設定する異常検知条件設定手段と、各遊技機の監視レベルを判定する監視レベル判定手段とを備え、前記異常監視手段は、前記異常検知条件設定手段が設定した各遊技機の監視レベルに対応した異常検知条件に基づいて、各遊技機の稼動データを監視することを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、遊技場に設置された複数の遊技機側から出力される各種信号に基づいて、各遊技機の稼動データを集計して管理するデータ管理手段と、このデータ管理手段が管理する稼動データを監視し、異常なデータを検知する異常監視手段とを備えた遊技場管理システムにおいて、前記複数の遊技機に対し前記異常監視手段による監視を実行するか否かを判定するための監視条件を予め設定しておく監視条件設定手段と、前記監視条件に基づいて監視する遊技機を監視対象遊技機として決定する監視対象決定手段とを備え、前記異常監視手段は、前記監視対象決定手段が決定した監視対象遊技機の稼動データだけを監視することを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、所定条件に基づいて監視レベルを設定し、その監視レベル毎に異常として検知する異常検知条件を設定する異常検知条件設定手段と、前記複数の遊技機のうち、少なくとも前記監視対象遊技機の監視レベルを判定する監視レベル判定手段とを備え、前記異常監視手段は、前記監視対象遊技機の監視レベルに対応した異常検知条件に基づいて、当該監視対象遊技機の稼動データを監視することを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、遊技者に関する情報を会員情報として登録して管理する会員管理手段を備え、前記監視レベルは、前記会員管理手段に登録管理された会員情報に基づいて設定されることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、前記監視条件は、前記遊技場への導入日或いは市場への導入日からの経過日数が所定日数以下であるか否かに応じて設定されることを特徴とする。
【0009】
請求項6記載の発明は、遊技者に関する情報を会員情報として登録し管理する会員管理手段を備え、前記監視条件は、前記会員管理手段が管理する会員情報に基づいて設定されることを特徴する。
請求項7記載の発明は、異常として検知された遊技機を報知する複数の異なる報知手段と、前記監視レベルに応じて実行する前記報知手段を設定する報知設定手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、各遊技機の監視レベルに対応した異常検知条件に基づいて、各遊技機の稼動データを監視するので、監視の必要性が高い遊技者が遊技する遊技機に対しては異常検知条件を厳しく、監視の必要性が低い遊技者が遊技する遊技機に対しては異常検知条件を緩く設定することにより、監視の負担を小さくすると共に、遊技者が不快な思いをすることなく、正確に素早く異常を検知することができる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、監視条件に基づいて監視対象とする遊技機を決定し、その監視対象遊技機の稼動データだけを監視するので、無駄な監視を減らすことができる。
請求項3記載の発明によれば、監視条件に基づいて監視対象とされた遊技機に対しても請求項1と同様の効果を得ることができる。
請求項4記載の発明によれば、異常検知を行なう条件に対応した監視レベルを、会員管理手段により登録管理された会員情報に基づいて設定することができるので、会員の信頼度に応じて異常検知条件を設定することができる。
【0012】
請求項5記載の発明によれば、各遊技機を監視対象とするか否かの監視条件を、遊技機の遊技場への導入日或いは市場への導入日からの経過日数により決定することができるので、遊技機に対する不正の可能性に応じて異常検知条件を設定することができる。
請求項6記載の発明によれば、各遊技機を監視対象とするか否かの監視条件を、会員管理手段により登録管理された会員情報に基づいて設定することができるので、会員の種別に応じて監視の有無を設定することができる。
【0013】
請求項7記載の発明によれば、報知用設定手段により監視レベルに応じて実行される報知手段を設定することができるので、遊技者に応じて異常を検知した時の報知方法を異ならせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施例について図面を参照して説明する。
図1には、本実施例のシステム構成の全体が概略的に示されている。この図1において、管理装置(データ管理手段、異常監視手段、異常検知条件設定手段、監視レベル判定手段、監視条件設定手段、監視対象決定手段、会員管理手段、報知手段、報知用設定手段に相当)1は、店舗内ネットワーク2に接続され、この店舗内ネットワーク2には、複数のパチンコ遊技機4、台毎表示器5が遊技機端末3を介して接続されている。この台毎表示器5には会員カードリーダ6(図では会員カード挿入口のみを示す)が一体に設けられている。また、図示しないが店舗内には、各種店内放送を行なうためのスピーカ(報知手段に相当)が設置され、さらに、従業員に各種連絡等を行なうための図示しない従業員向けインカム(報知手段に相当)を従業員が装備している。
【0015】
図2は、パチンコ遊技機4、会員カードリーダ6を含む台毎表示器5の正面図を示している。この図2においてパチンコ遊技機4は、その上皿7a内のパチンコ玉を電動式の発射装置(操作ダイヤルのみ符号8を付して示す)により盤面9へ発射して打込む構成になっている。盤面には、アウト口10、始動入賞口11、大入賞口12、通常入賞口(図示せず)等が設けられている。尚、パチンコ遊技機4よりセーフ玉の払出しが発生する場合、まずは、セーフ玉が上皿7aに払出され、上皿7aが満杯で払出不可能な状態となった場合、セーフ玉が下皿7bに払出される構成になっている。
【0016】
パチンコ遊技機4の遊技により、遊技客が、操作ダイヤル8を操作して上皿7a内のパチンコ玉を盤面9へ打込むと、パチンコ遊技機4からは、盤面9に打込まれたパチンコ玉が排出される毎にアウト信号が出力される。そして、盤面9に打込まれたパチンコ玉が始動入賞口11へ入賞し、所定確率で大当たり抽選を行う役物である例えば図柄変動の作動が開始されると、パチンコ遊技機4からは、図柄変動が開始される毎にスタート信号が出力される。この図柄変動の結果が大当たりに当選して大当たり状態が発生すると、パチンコ遊技機4からは、大当たり信号がレベル出力され、当該大当たりが終了すると、大当たり信号のレベル出力が停止される。
【0017】
大当たり状態中は、大入賞口12が開放されることで入賞率が大幅に高められ、パチンコ玉がこの大入賞口12が開放されることで入賞することにより、パチンコ遊技機4からセーフ玉の払出しが行なわれ、また、大当たり状態中に加えて通常時にも、パチンコ玉が所定の入賞口へ入賞した場合は、パチンコ遊技機4からセーフ玉の払出しが行なわれる。このようにパチンコ遊技機4からセーフ玉の払出しが行なわれると、パチンコ遊技機4からは、セーフ玉の払出しが行なわれる毎にセーフ信号が出力される。これらを含む各種信号は、遊技機端末3を介して、管理装置1に送信される。
【0018】
台毎表示機5は、管理装置1から送信される稼動データに関する表示を含む表示動作を行なう。また、会員カードリーダ6は後述する会員カードの読み込みを行い、その読み込んだ情報を遊技機端末3を介して管理装置1へ送信する。
遊技機端末3は、各パチンコ遊技機4に対応して設けられており、パチンコ遊技機4及び会員カードリーダ6から送信される各種信号を管理装置1に送信すると共に管理装置1から送信された稼動データの表示を行ない、さらに台毎表示機5に関連した稼動データを送信する。遊技機端末3には、パチンコ遊技機4の遊技に伴う演出或いは後述する不正検出時における不正点滅を行なうためのランプ13が設けられている。
【0019】
管理装置1は、図示しないマイクロコンピュータを含む制御装置を具備しており、各パチンコ遊技機4から出力された各種信号に基づいて、各パチンコ遊技機4についての稼動データをパチンコ遊技機4別に区分して集計管理すると共に、アウトに対するセーフの割合からベース値を算出し、アウト1000玉に対する平均のスタート回数であるスタート値を算出し、さらに、大当たりの連チャンに伴う大当たり信号の断続により連チャン数を計測する。
【0020】
図3及び図4は、管理装置1に設定される各種テーブルを示している。
図3は管理装置1に登録し管理される会員基本テーブルを示している。
当遊技店において遊技を行う遊技者は、会員として登録をすることができ、登録を行なった遊技者には会員カードが発行される。この会員登録時において、管理装置1には当該遊技者の会員情報が登録・管理される。この場合、例えば、遊技者を会員として登録させる際に、身分証明書等を提出させることにより遊技者を特定することができた場合等は優良会員として登録される。尚、会員カードは磁気カードになっており「会員No.」が当該会員カード毎に記録されており、遊技者がパチンコ遊技機4における遊技において、会員カードをカードリーダ6に挿入すると、「会員No.」が読み込まれて、「会員No.」に対応する会員情報が管理装置1に読み出されるものである。
【0021】
このように会員として登録する際、管理装置1には会員情報が登録・管理されるもので、この会員情報には、基本情報と付加情報とが含まれている。基本情報としては、図3に示す例では、会員NO.「12345678」に対応させて、会員名「大黒 太郎」、住所「愛知県名古屋市」、電話番号「052−111−2222」、生年月日「1970/01/01」が登録・管理され、付加情報としては、会員区分「優良会員」、趣味「パチンコ」及び職業「会社員」等が登録・管理される。尚、この会員区分としては例えば、上述したように身分証明書を提出した遊技者や当該遊技店に対して貢献度が高い遊技者等が「優良会員」に区分され、会員登録はしているものの、基本情報に不備がある遊技者が「基本情報不備」に区分され、それ以外の遊技者等が「その他会員」に区分される。この場合、それ以外の遊技者とは、「優良会員」及び「基本情報不備」の会員以外の一般会員のことである。
【0022】
図4は管理装置1に登録し管理される機種設定テーブルを示している。
この図4において、遊技店に設置されているパチンコ遊技機4毎に割り当てられた番号が「台番号」、この「台番号」に対応したパチンコ遊技機4の名称が「機種名」、このパチンコ遊技機4が当遊技店に導入された日が「店舗導入日」、このパチンコ遊技機4が市場に導入された日(市場への発売日)が「市場導入日」であり、これらが機種情報として登録されている。
【0023】
この図4に示す例では、台番号「1〜50」は、機種名「CR○○物語」、店舗導入日「2002/02/28」、市場導入日「2001/12/01」である。台番号「51〜100」は、機種名「CR○○伝説」、店舗導入日「2004/01/15」、市場導入日「2003/12/05」である。台番号「101〜150」は、機種名「CR○○劇場」、店舗導入日「2004/04/01」、市場導入日「2004/03/01」である。台番号「151〜200」は、機種名「CRスーパー○○」、店舗導入日「2004/04/25」、市場導入日「2004/04/01」である。台番号「201〜250」は、機種名「CRハイパー○○」、店舗導入日「2004/04/15」、市場導入日「2004/01/15」である。以下、設置されている台番号毎に機種名、店舗導入日及び市場導入日が登録されている。
【0024】
図5ないし図7は、管理装置1に設定される各種設定を示している。
図5は管理装置1による監視の対象外とする条件の設定内容を示している。この図5に示す例では、「新台入替してからの経過日数が30日以内の機種」、「市場にリリース(発売)された日からの経過日数が60日以内の機種」、「会員基本テーブルにて優良会員として登録されている会員の遊技している遊技機」、「会員基本テーブルに基本情報が登録されている会員の遊技している遊技機」等が監視の対象外とする監視条件として設定されている。遊技店側の従業員が、これらの条件を任意に選択することにより監視条件が設定されて、当該監視条件に該当するパチンコ遊技機4が、監視の対象外とするパチンコ遊技機4として、後述する異常検知の対象から除外される。尚、図5に示す例では、遊技店側の従業員により、「市場にリリース(発売)された日からの経過日数として60日以内の機種」及び「会員基本テーブルにて優良会員として登録されている会員の遊技している遊技機」が監視条件として監視の対象外となるように設定されている。
【0025】
図6は管理装置1による異常検知条件の設定を示している。この図6において、監視レベルとしては、会員カードを会員カーリーダに挿入されずに遊技が行われているパチンコ遊技機4を「カード未挿入」、前記会員情報の会員区分が「基本情報不備」である遊技者が遊技しているパチンコ遊技機4を「基本情報不備」、「その他会員」である遊技者が遊技しているパチンコ遊技機4を「その他会員」として設定されている。異常検知条件としては、「ベース異常のしきい値」、「スタート異常のしきい値」及び「連チャン異常のしきい値」が設定されている。この異常検知条件は、監視レベル毎に設定されており、図6に示す例では、監視レベルが「カード未挿入」に該当する場合は、「ベース異常のしきい値」は45以上、「スタート異常しきい値」は50以上、「連チャン異常しきい値」は3回以上に設定され、監視レベルが「基本情報不備」に該当する場合は、「ベース異常のしきい値」は90以上、「スタート異常しきい値」は55以上、「連チャン異常しきい値」は5回以上に設定され、監視レベルが「その他会員」に該当する場合は、「ベース異常のしきい値」は90以上、「スタート異常しきい値」は60以上、「連チャン異常しきい値」は10回以上に設定されている。
【0026】
図7は管理装置1による異常報知方法設定を示しており、この図7において、報知方法としては、管理装置1の画面に警告表示を行なう「管理装置で表示する」、遊技機端末3のランプ13を不正検知に対応する不正点滅動作をする「ランプでの不正点滅」、店舗内のスピーカを通じて遊技店内に警告放送を行なう「店内放送」及び従業員のインカムへ警告放送を行なう「従業員向けインカム放送」が設定可能となっている。図7に示す例では、遊技店の従業員により、監視レベルが「カード未挿入」に該当する場合は、「管理装置で表示する」、「ランプで不正点滅」、「店内放送」及び「従業員向けインカム放送」、監視レベルが「基本情報不備」に該当する場合は、「管理装置で表示する」及び「従業員向けインカム放送」、監視レベルが「その他会員」に該当する場合は、「管理装置で表示する」が設定されている。
【0027】
以下本発明の作用について図8を参照しながら説明する。
図8は本発明に関連した管理装置1の動作を示すフローチャートであり、以下の異常検知に関する動作は、パチンコ遊技機4毎に実行されるものである。
遊技店には各種パチンコ遊技機4が設置されており、遊技者がパチンコ遊技機4を遊技していない状態では、パチンコ遊技機4は、稼動データに関連した各種信号(アウト信号、セーフ信号、スタート信号、大当たり信号等)を出力していないので、管理装置1は、パチンコ遊技機4からの信号なしと判断して(S1:NO)、リターンする。
【0028】
即ち、各種信号を出力していないパチンコ遊技機4は、基本的に監視の対象としないのである。
遊技者がパチンコ遊技機4による遊技を開始すると、パチンコ遊技機4から各種信号が出力される。すると、管理装置1は、パチンコ遊技機4からの信号が入力したときは(S1:YES)、監視の必要があると判断し、当該パチンコ遊技機4に関する情報を各テーブルから取得する(S2)。
【0029】
このパチンコ遊技機4に関する情報とは、当該パチンコ遊技機4の台番号に基づいて図4に示す機種設定テーブルに登録されている「店舗導入日」及び「市場導入日」、並びに会員カードリーダ6に挿入された会員カードに記録された「会員No.」に対応して図3に示す会員基本テーブルに登録された会員区分である。つまり、図4に示す例では、遊技客が1番台で遊技開始したときは、店舗導入日として2002年2月28日、市場導入日として2001年12月1日を取得することになる。また、図3の例では、「優良会員」を取得することになる。
【0030】
そして、管理装置1は、当該情報が監視条件に該当するかを判断する(S3)。つまり、図5に示す監視の対象外とする条件設定に設定されている条件を読取る。図5の例では、監視の対象外とするパチンコ遊技機4を決定する監視条件として「市場にリリースされてからの経過日数が60日以内の機種」及び「会員基本テーブルにて優良会員として登録されている会員の遊技している遊技機」が選択されているので、管理装置1は、機種設定テーブルから読取った市場導入日から現在までの日数を求め、その日数が60日以内かを判断すると共に、会員区分が「優良会員」かを判断し、一方でも条件を満足しているときは、該当するパチンコ遊技機4を監視対象外とする。この監視の対象外とする条件に当該情報が該当すると判断した場合は(S3:YES)、当該パチンコ遊技機を監視の対象外としてリターンする。
【0031】
これに対して、監視条件に当該情報が該当しないと判断したときは(S3:NO)、当該情報に基づいて監視レベルを設定する(S4)。この監視レベルとは、監視対象のパチンコ遊技機4の異常を検出する際の判断基準のことで、図6に示す「カード未挿入」「基本情報不備」「その他会員」のいずれかに該当するかを判定し、設定する。図6に示す例では、カード未挿入の場合における検知条件が最も厳しく、その他会員(一般会員)の検知条件が最も緩くなっている。
【0032】
次に、管理装置1は、パチンコ遊技機4からの信号に基づいて当該パチンコ遊技機4のベース値、スタート値及び連チャン回数を算出する(S5)。そして、管理装置1は、ステップ5にて算出した稼動データが上記監視レベルに対応した異常検知条件に該当するかを判断し(S6)、異常検知条件に該当しない場合は(S6:NO)、そのままリターンする。
【0033】
さて、ある遊技者がパチンコ遊技機4に対して不正を行ったときは、例えばベース、スタート回数、連チャン回数などが通常よりも異常に高くなる。この場合、異常が発生したことを検知しなければならないが、遊技者が優良会員であれば不正を行なう可能性がないと判断し、監視を行なわない。遊技者が優良会員以外の場合、会員の種別によって信頼度は異なり、非会員の場合が最も低く、一般会員の場合が最も高くなる。従って、不正を検出するための異常しきい値を一般会員用と非会員用と同じように低い値に設定したのでは、一般会員が正常に遊技しているにもかかわらず、たまたま遊技状態によっては不正と判断されてしまうことがあると、一般会員に不快な思いをさせてしまうことになる。
【0034】
そこで、本実施例では、「その他会員(一般会員)」に対応する異常しきい値を最も高くすると共に、「基本情報不備」に対応する異常しきい値を「カード未挿入」よりも高く、「その他会員」よりも低く設定することにより、異常検知の判断を会員の種別に応じて変更することができ、会員、特に一般会員が不快な思いをすることを防止した。
【0035】
そして、管理装置1は、上述したような遊技者の種別に応じた異常判定により異常検知条件に該当したと判断したときは(S6:YES)、図7に示す異常報知方法設定に基づいて監視レベルに対応した報知方法により報知を行なう(S7)。つまり、上述したように異常検知しきい値を会員の種別に応じて変更することにより会員が不快な思いをすることを防止しながら、さらに報知方法によっても会員が不快な思いをすることを防止するものである。
【0036】
図7に示す例では、「カード未挿入」のパチンコ遊技機4の遊技データが異常しきい値を上回った場合は、非会員が不正を行っている可能性が高く、緊急性が極めて高いことから、全ての報知方法で異常を報知する。「基本情報不備」のパチンコ遊技機4の遊技データが異常しきい値を上回った場合は、会員が不正を行っている可能性が低いことから、会員に気付かれる恐れが少なく且つ緊急に対応することが可能な報知方法である管理装置1及びインカム放送で異常を報知し、「その他会員」のパチンコ遊技機4の遊技データが異常しきい値を上回った場合は、会員が不正を行っている可能性が極めて低いことから、会員に気付かれる恐れがない報知方法である管理装置1でのみ異常を報知する。例えば、上記監視条件「市場にリリースされてからの経過日数が60日以内の機種」及び「会員基本テーブルに優良会員として登録されている会員の遊技している遊技機」に該当しないパチンコ遊技機4において、遊技者が会員カードを挿入して遊技を行い、さらに会員カードに対応して登録されている基本情報に不備があり監視レベルが「基本情報不備」に設定されたとする場合を説明する。このような遊技者が当該パチンコ遊技機4において遊技を行ない、ベース値が90以上になったとすると、異常検知条件の「ベース異常の閾値」が90以上に該当して異常として検知され、遊技店の従業員が設定した異常報知方法として「管理装置での表示」と「従業員向けインカム放送」により報知が行なわれることになる。この場合、「従業員向けインカム放送」により異常が報知された担当従業員がパチンコ遊技機4に出向くにしても、「ランプでの不正点滅」或いは「店内放送」に比較して、遊技者が、自分が疑われているのではないかという不審を抱く可能性を大幅に低減することができる。
【0037】
このような構成によれば、管理装置1が監視条件に基づいて監視対象とするパチンコ遊技機4を決定し、その監視対象のパチンコ遊技機4の稼動データを監視することによりパチンコ遊技機4に対する不正を検出するようにしたので、遊技者が不快な思いをすることなく、正確に素早く異常を検知することができると共に、監視対象の遊技機のみの稼動データだけを監視するので、無駄な監視を減らすことができ、管理装置1の負担を軽減することができる。
【0038】
しかも、監視対象のパチンコ遊技機4毎に監視レベルを設定するようにしたので、不正の可能性が少ない会員、特に基本情報に不備がない優良会員が、自分が疑われているのではないかという不審を抱くことを回避することができる。
さらに、監視レベルに応じて実行される報知手段を設定するようにしたので、遊技者の信頼度に応じて異なる報知方法で報知することができる。従って、遊技者の不正を調査する場合であっても、信頼度の高い遊技者に対しては不審を抱かせることなく調査できる。
【0039】
(その他の実施)
本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、例えば以下に述べるような変形あるいは拡張が可能である。
上記実施例においては、図8に示すように、管理装置1は、当該パチンコ遊技機4が監視条件に該当するかを判断するステップ3を設ける構成としたが、このステップ3を設ける必要はなく、ステップ3を省略して構成してもよい。
【0040】
上記実施例において、パチンコ遊技機4に本実施例を適用したが、パチンコ遊技機4に限ることなく例えばスロットマシンであっても、さらに、遊技店に設置されている遊技機ならどんなものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施例のシステム全体の構成を示す図
【図2】パチンコ遊技機、台毎表示器及び会員カードリーダの正面図
【図3】管理装置の設定を示す図その1
【図4】管理装置の設定を示す図その2
【図5】管理装置の設定を示す図その3
【図6】管理装置の設定を示す図その4
【図7】管理装置の設定を示す図その5
【図8】管理装置による異常検知の動作を示すフローチャート
【符号の説明】
【0042】
図面中、1は管理装置(データ管理手段、異常監視手段、異常検知条件設定手段、監視レベル判定手段、監視条件設定手段、監視対象決定手段、会員管理手段、報知手段、報知用設定手段)、3は遊技機端末、4はパチンコ遊技機、6は会員カードリーダ、13はランプを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技場に設置された複数の遊技機側から出力される各種信号に基づいて、各遊技機の稼動データを集計して管理するデータ管理手段と、
このデータ管理手段が管理する稼動データを監視し、異常なデータを検知する異常監視手段とを備えた遊技場管理システムにおいて、
所定条件に基づいて監視レベルを設定し、その監視レベル毎に異常として検知する異常検知条件を設定する異常検知条件設定手段と、
各遊技機の監視レベルを判定する監視レベル判定手段とを備え、
前記異常監視手段は、前記異常検知条件設定手段が設定した各遊技機の監視レベルに対応した異常検知条件に基づいて、各遊技機の稼動データを監視することを特徴とする遊技場管理システム。
【請求項2】
遊技場に設置された複数の遊技機側から出力される各種信号に基づいて、各遊技機の稼動データを集計して管理するデータ管理手段と、
このデータ管理手段が管理する稼動データを監視し、異常なデータを検知する異常監視手段とを備えた遊技場管理システムにおいて、
前記複数の遊技機に対し前記異常監視手段による監視を実行するか否かを判定するための監視条件を予め設定しておく監視条件設定手段と、
前記監視条件に基づいて監視する遊技機を監視対象遊技機として決定する監視対象決定手段とを備え、
前記異常監視手段は、前記監視対象決定手段が決定した監視対象遊技機の稼動データだけを監視することを特徴とする遊技場管理システム。
【請求項3】
所定条件に基づいて監視レベルを設定し、その監視レベル毎に異常として検知する異常検知条件を設定する異常検知条件設定手段と、
前記複数の遊技機のうち、少なくとも前記監視対象遊技機の監視レベルを判定する監視レベル判定手段とを備え、
前記異常監視手段は、前記監視対象遊技機の監視レベルに対応した異常検知条件に基づいて、当該監視対象遊技機の稼動データを監視することを特徴とする請求項2記載の遊技場管理システム。
【請求項4】
遊技者に関する情報を会員情報として登録して管理する会員管理手段を備え、
前記監視レベルは、前記会員管理手段に登録管理された会員情報に基づいて設定されることを特徴とする請求項1または3に記載の遊技場管理システム。
【請求項5】
前記監視条件は、前記遊技場への導入日或いは市場への導入日からの経過日数が所定日数以下であるか否かに応じて設定されることを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の遊技場管理システム。
【請求項6】
遊技者に関する情報を会員情報として登録し管理する会員管理手段を備え、
前記監視条件は、前記会員管理手段が管理する会員情報に基づいて設定されることを特徴する請求項2ないし4のいずれかに記載の遊技場管理システム。
【請求項7】
異常として検知された遊技機を報知する複数の異なる報知手段と、
前記監視レベルに応じて実行する前記報知手段を設定する報知設定手段とを備えることを特徴とする請求項1または3ないし6のいずれかに記載の遊技場管理システム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate