説明

遊技機、プログラム、および記録媒体

【課題】遊技態様の変化および当該頻度の変化の予測を非容易にして、遊技の単純化が抑制し、遊技性を向上させる。
【解決手段】遊技盤102の前面側に有する遊技領域102aに遊技球を発射して遊技する遊技機100であって、遊技盤に対して回動自在に軸支され、流下した遊技球P10と当接した際に回転して、当該遊技球の流下方向に変化を付与する風車126と、風車の回転速度を検知する回転速度検知手段165と、を備えており、複数の遊技球が同時に、または立て続けに連続して風車に衝突することによって、風車の回転速度が所定の大きさに到達した旨を回転速度検知手段が検知したことに基づいて、遊技者に有利な遊技を実行する契機を付与するように動作制御される電動役物120となる電動チューリップが所定条件下において開放するようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機等の弾球式の遊技機に関し、特に、所定の条件によって、遊技者に有利な遊技を実行する契機を付与する電動役物の動作制御に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶等の画像表示装置の画面上で数字やマーク等の特定図柄をスクロールする変動表示によって、リーチや大当たり、確率変動等の様々な演出が凝らされているデジパチと呼ばれる所謂第1種パチンコ機が広く知られている。デジパチタイプのパチンコ機は、遊技盤に設けられている始動入賞口に遊技球を入賞させると、大当たりを決定するための乱数を利用した電子抽選が行われる。当該電子抽選によって、大当たりに当選すると、アタッカと呼ばれる開閉装置が作動し、この開閉装置に設けられた開閉板が開くことによって、通常では、塞がれている大入賞口が現れる。遊技盤に対して開放された開閉板は、大入賞口の周辺を落下する遊技球を受け、遊技球が大入賞口に入賞することを補助する。開閉板が開くと、打ち出した遊技球の大半が大入賞口に入賞し易くなり、遊技者は、多数の賞球を獲得することができる有利な遊技が行える。
【0003】
始動入賞口には、電動チューリップと呼ばれ、始動入賞口に遊技球が入賞することを補助する可動片を開閉させる装置が設けられている。電動チューリップは、大当たり抽選と異なる小当たり抽選に当選すると可動片を開放し、開放された可動片が始動入賞口の周辺を落下する遊技球を受けて遊技球を始動入賞口に誘導するものであり、始動入賞口に遊技球を入賞し易くする遊技者に有利な遊技を実行する契機を付与する電動役物としての機能を有する。一方、電動チューリップが閉じているときには、遊技球を始動入賞口へ入賞し難くする。電動チューリップを開くか否かを決める小当たり抽選は、通常では、遊技盤に設けられた通過入賞口となるスルーチャッカを遊技球が通過したことを契機に実行される。
【0004】
また、遊技盤には、これらの入賞口やアウト口、電動チューリップの他にも、パチンコ球と衝突してその落下経路を様々に変化させる障害釘や、落下するパチンコ球の勢いを利用して回転する風車等の構造物が設けられ、遊技盤を装飾し、遊技の難易度や面白味を決定する要素となっている。
【0005】
これら構造物のうち、風車は、従来、単に装飾のために用いられるか、球の転動方向を任意化するためにのみ用いられていたに過ぎなかった。このため、風車の基本機能である回転を利用して、装飾以外の各種用途にも使用するものとして、特許文献1には、風車本体の回転を検出して、当該回転の検出によって、音声による演出を実行する遊技機用風車、特許文献2には、風車の回転回数に基づいて遊技者に有利な特定のフラグを設定する遊技機用風車が開示されている。
【特許文献1】特開2003−154087号公報
【特許文献2】特公平06−007878号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示の遊技機の風車は、視覚による装飾に止まらず、風車を用いた音発生によって聴覚による演出を行うことができるものの、遊技者に有利な遊技を実行する契機を付与する電動役物の動作に意外性、非予測性、変化を付与する等の遊技性の向上をするには至らず、遊技の単純化の抑制、遊技者の遊技の興味の削減の防止には、不十分であった。
【0007】
また、特許文献2に開示の遊技機の風車は、ランプの点灯・点滅によるデモンストレーション効果のみならず、風車の回転に起因してランダムに変化する回転情報に基づいて、遊技者に有利な遊技を実行する契機を付与する電動役物を動作させるフラグを設定する等して遊技態様を多様に変化させて、遊技態様の意外性、非予測性、変化を付与することが出来る。しかしながら、遊技者にとっては、遊技の単純化の抑制や遊技に対する興味の削減の防止を実現するためには、当該遊技態様の変化がより頻繁に行われ、かつ当該変化が意外性、非予測性を有するものであることが好ましい。
【0008】
そこで、本発明は、従来の遊技機に使用される風車が有する上記問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、遊技態様の変化がより頻繁に行われ、かつ当該遊技態様の変化の予測を非容易にすることの可能な、新規かつ改良された遊技機、プログラム、および記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある実施の態様によれば、遊技盤の前面側に有する遊技領域に遊技球を発射して遊技する遊技機であって、遊技盤に対して回動自在に軸支され、流下した遊技球と当接した際に回転して、当該遊技球の流下方向に変化を付与する風車と、風車の回転速度を検知する回転速度検知手段と、回転速度検知手段によって、風車の回転速度が所定の大きさに到達した旨が検知されることに基づいて、遊技者に有利な遊技を実行する契機を付与するように動作制御される電動役物と、を備えることを特徴とする遊技機が提供される。
【0010】
このような構成とすることにより、遊技領域を流下した複数のパチンコ球が連続して風車に衝突することによって、風車の回転速度が大きくなって、所定の回転速度に到達した際に、電動チューリップが開放される等の遊技者に有利な遊技を実行する契機を付与する電動役物が作動する。このため、遊技者に有利な遊技を実行する契機を付与する可動フラグとなる電動チューリップの開放動作等の電動役物の動作が非予測性を有するようになり、遊技の単純化が抑制されて、遊技性の向上が見込まれる。
【0011】
また、風車の回転速度が所定の大きさ以上になって、初めて可動フラグが成立するようにしているが、風車の回転速度は、複数のパチンコ球が立て続けに連続して衝突するか、同時に衝突するかによって大きくなるので、風車を瞬時に回転速度を大きくすることも可能となる。このため、短時間の限られた時間内でも頻繁に可動フラグが成立したり、反対に風車の速度が所定の大きさ以上にならない場合には、可動フラグが成立しないと言った具合に、遊技者に有利な遊技を実行する契機を付与する可動フラグとなる電動役物の動作がより頻繁に発生したり、反対に殆ど発生しないように、可動フラグの成立・不成立の意外性、非予測性を更に増大させることが出来る。
【0012】
このとき、上記実施の態様において、風車は、遊技盤に対して略鉛直に前後方向に貫通して設けられる支持軸と、遊技盤の前面側に支持軸を介して回動自在に設けられる風車本体と、遊技盤の裏面側に支持軸を介して風車本体と連動して回動自在に設けられる1つの被検知体と、を備え、回転速度検知手段は、風車本体の回転動作に伴って連動する被検知体の移動を検知するセンサと、このセンサの検知に基づいて経過時間をカウント処理する計時手段と、を備え、センサで被検知体を検知してから風車本体の回転運動に伴って1回転移動後の被検知体を検知するまでの時間を元に、風車の回転速度を算出することとしてもよい。
【0013】
このように、インデックスセンサ等のセンサで風車の風車本体の回転動作に連動する被検知体の回転速度を検知することによって、風車の回転速度が検知されるので、可動フラグ成立と言った遊技態様の変化がより頻繁に行われるようになり、かつ当該遊技態様の変化の予測を非容易にすることが出来る。
【0014】
このとき、上記実施の態様において、風車の回転速度が所定の大きさに到達した後において、計時手段のカウント値を初期値に設定して再カウント処理を行わせ、当該再カウント処理が所定の上限カウントとなるまでの期間に、回転速度が所定の大きさ以下とならなかった場合に、遊技者に有利な遊技を実行する契機を付与することとしてもよい。
【0015】
このように、風車の回転速度が所定の大きさ以上になって、当該所定の大きさ以上の回転速度が所定時間継続されてから、初めて可動フラグが成立するようにすることによって、遊技者に有利な遊技を実行する契機を付与する可動フラグの成立となる電動役物の動作の発生の頻度が非予測的に変更されるようになるので、可動フラグの成立・不成立の意外性、非予測性を更に増大させることが出来る。なお、ここで言及する「回転速度が所定時間継続される」とは、例えば、回転速度の所定の大きさが0.5ミリ秒で、上限カウントが3カウントであった場合に、再カウント処理に基づく被検知体の1回転移動に係る回転速度の大きさが0.5ミリ秒以下となる値が連続的な再カウント処理によって、上限カウントとなる3回連続して得られた場合のことを示すものとする。
【0016】
このとき、上記実施の態様において、回転速度検知手段は、被検知体の1回転移動に係る計時手段によるカウント処理の終了後の継続的検知開始の契機として、当該カウント処理後の所定タイミング、または回転速度が所定の大きさに到達後に実行される遊技者に有利な遊技が終了した後の所定タイミングの少なくとも何れか一方を設けることとしてもよい。
【0017】
このように、電動役物が回転速度検知手段を介して制御されることにより、風車が可動フラグ成立に必要な所望の回転速度以上となった場合に、可動フラグが成立して電動チューリップの開放といった電動役物の動作制御が確実に実行されるようになる。また、可動フラグが成立して電動チューリップの開放といった電動役物が作動中に更に可動フラグが成立してしまうことにより、電動役物が作動した状態のままでいること、換言すると、容易に回転速度の大きさが可動フラグ成立条件となる所定の大きさに到達することを未然に防止出来るので、余計に遊技者に有利な遊技が継続されることが抑制される。なお、ここで言及する「カウント処理後の所定タイミング」とは、被検知体の1回転移動、または1以上の予め設定した所定回数(例えば、2回)に係る回転速度の大きさが所定の大きさに到達しなかった場合において、連続して次の被検知体の移動に係る回転速度の計測を実行させずに、被検知体の移動を検知するセンサを無効とし、当該所定の大きさに未到達時から所定時間を経過して以降、その無効としたセンサを有効とするタイミングを示すものとする。
【0018】
このとき、上記実施の態様において、回転速度検知手段によって検知される風車の回転速度の所定の大きさは、風車が回転停止時に当該風車に対して1つの遊技球を当接させて回転させた場合に検知した回転速度の略平均以上の大きさであることとしてもよい。
【0019】
このように、電動役物が回転速度検知手段を介して制御されることにより、複数のパチンコ球が同時に、または連続して風車に衝突して、風車の回転速度を所定の大きさまで大きくしないと、可動フラグが成立しないようにすることが出来る。このため、風車の回転速度に応じて可動フラグの成立・不成立を確実に実行されるようになる。
【0020】
上記課題を解決するために、本発明の別の実施の態様によれば、上記の実施の態様の何れかに記載の遊技機の機能をコンピュータに実現させるためのプログラムが提供される。
【0021】
このようなプログラムを遊技機のフラッシュメモリやROM等の記憶手段に事前にインストールすることにより、風車の回転速度が所定の大きさ以上になったら、電動チューリップが開放される等の遊技者に有利な遊技を実行する契機を付与するようになる。このため、遊技中に頻繁に変化し得る風車の回転速度を遊技者に有利な遊技を実行する契機とすることにより、可動フラグとなる電動役物の動作が非予測性を有するようになり、遊技の単純化が抑制される。
【0022】
上記課題を解決するために、本発明のさらに別の実施の態様によれば、上記の実施の態様のプログラムが記録されると共に、プログラムが遊技機をなすコンピュータで読み取り可能なことを特徴とする記録媒体が提供される。
【0023】
このような記録媒体を創作することにより、パチンコ店等の遊技場に設置されるパチンコ機等の遊技機のみならず、アミューズメントセンター等に設置されるテーブルゲーム機や家庭用のゲーム機等の他の遊技機にも、上記プログラムを記録した記録媒体をインストールすることによって、同様にして、かかるプログラムを格納する記録媒体をインストールした遊技機に備わる電動役物の動作が非予測性を有するようになる。
【0024】
なお、プログラムを格納した記録媒体は、遊技機をなすコンピュータで読み取りが可能なものとして、例えば、ROM( Read Only Memory )、MO( Magnet Optical )、CD( Compact Disk )、FD( Floppy(登録商標) Disk )、フレキシブルディスク、IC( Integrated Circuit )メモリ等が挙げられる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明によれば、風車にパチンコ球が連続して衝突することによって、風車の回転速度が所定の大きさ以上になった場合に、電動チューリップが開放される等の遊技者に有利な遊技を実行する契機を付与する電動役物が作動するようになる。このため、遊技者に有利な遊技を実行する契機を付与する可動フラグとなる電動役物の動作が非予測性を有するようになり、遊技の単純化が抑制されて、遊技性の向上が見込まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することによって、重複説明を省略する。
【0027】
まず、本発明に係る遊技機が適用される弾球式の遊技機であるパチンコ機の第1の実施の形態の構成について、図面を使用しながら説明する。図1は、本実施の形態におけるパチンコ機の外観を示す斜視図であり、図2は、本実施の形態のパチンコ機の遊技盤を示す正面図である。
【0028】
パチンコ機100には、図1に示すように、パチンコ球が打ち出される遊技盤102が組み込まれ、遊技盤102の前面側には、ガラス窓104が設けられた前面扉106が設けられている。遊技盤102には、複数の入賞口やパチンコ球の経路を変化させる障害釘や各種の構造物が設けられている。打ち出されたパチンコ球は、これらの構造物と衝突等しながら遊技盤102の盤面上を流下する。パチンコ球の動きは、ガラス窓104を通して視認可能となる。
【0029】
前面扉106の下方には、図1に示すように、打ち出すパチンコ球を入れておくための供給皿108と、パチンコ球を打ち出す際に操作される操作ハンドル110が設けられている。供給皿108は、打ち出したパチンコ球が入賞した時に賞球として払い出されるパチンコ球を受けるためにも使用される。操作ハンドル110は、回す角度の大きさによってパチンコ球を打ち出す強さを調節できる。
【0030】
遊技盤102は、図2に示すように、その盤面上にガイドレール112が設けられ、ガイドレール112に囲まれた領域が遊技領域102aとなる。遊技領域102aの中央部には、液晶表示パネル等からなる特別図柄表示部114を備える図柄表示装置115が設けられている。
【0031】
図柄表示装置115の下には、始動入賞口116、開閉板117、アウト口118が設けられている。始動入賞口116の開口部側には、一対の可動片119を開閉動作させることによって、パチンコ球の始動入賞口116への入賞率を変更させる可動片開閉装置となる電動役物である電動チューリップ120が設けられている。図柄表示装置115の両サイド側には、それぞれ通過入賞口122が設けられている。遊技領域102aの左下部と右下部には、4つの通常入賞口124が設けられている。始動入賞口116または通常入賞口124にパチンコ球が入ると、予め決められた個数のパチンコ球が賞球として払い出される。アウト口118にパチンコ球が入った場合は、賞球の払い出しは、行われない。
【0032】
また、遊技盤102の遊技領域102aには、パチンコ球を不規則に流下させる障害の役目を持つ複数の釘134(図3参照)や、パチンコ球が衝突して回転することによってパチンコ球の流下方向に変化を付与する風車126が複数設けられている。本実施の形態では、これらの風車126の何れか1つは、パチンコ球が衝突して回転することによって、電動チューリップ120の開閉動作の契機を付与する。なお、風車126の回転動作に連動する電動チューリップ120の開閉動作に関しては、後述する。
【0033】
始動入賞口116にパチンコ球が入ると、賞球の払い出しに加え、大当たりを決めるための大当たり抽選が行われる。この大当たり抽選に当選すると、始動入賞口116とアウト口118の間に設けられた開閉板117に開閉動作を行わせるアタッカ装置167(図6参照)が作動する。開閉板117が開くと、通常では、塞がれている不図示の大入賞口が現れる。開閉板117は、アウト口118に向かって流下する途中のパチンコ球を受け、大入賞口にパチンコ球が入賞することを補助する。大入賞口にパチンコ球が入賞したときの賞球数は、全ての入賞口の中で最も多く、開閉板117が開くことにより、打ち出したパチンコ球の大半が大入賞口に入賞し、多数の賞球が得られることになる。
【0034】
大当たり抽選の当否の結果は、図柄表示装置115の特別図柄表示部114に表示される。特別図柄表示部114には、例えば、1列が0〜9の数字からなる3列の特別図柄が表示される。始動入賞口116にパチンコ球が入賞すると、3列の特別図柄が上から下へ向かってスクロールする変動表示が開始される。特別図柄のスクロールは、1列ずつ順次終了し、全ての図柄が停止したときに、3つの同じ図柄が一直線状に揃っていると当たり、それ以外では、ハズレとなる。3つの同じ図柄が一直線状に揃うためには、2つの同じ図柄が揃う状態、すなわち、残り1つの図柄が揃えば当たりとなるリーチ状態を経由する。リーチ状態になると、特別図柄表示部114には、通常時に表示されている画像に加えて、当たりの信頼度を示す演出画像が表示され、当たりの信頼度が遊技者に告知される。
【0035】
通過入賞口122の何れかをパチンコ球が通過すると、例えば、通常入賞口124にパチンコ球が入った場合よりも多い個数のパチンコ球が賞球として払い出される等の所定の遊技価値を付与する小当たり抽選が行われる。小当たり抽選の結果は、特別図柄表示部114の上に設けられた普通図柄表示部128により表示される。普通図柄表示部128は、本実施の形態では、当たりを示す「○」またはハズレ示す「×」の普通図柄を背後のランプを点灯させて表示する。普通図柄表示部128は、「○」または「×」を交互に点灯させる変動表示を行い、最後に「○」または「×」の何れかを点灯することによって小当たり抽選の結果を表示する。
【0036】
普通図柄表示部128の左側と右側には、それぞれ2個ずつ、合計4個の特別保留入賞表示ランプ130が設けられている。また、普通図柄表示部128の間の位置に、4個の普通保留入賞表示ランプ132が設けられている。特別保留入賞表示ランプ130と普通保留入賞表示ランプ132は、始動入賞口116、通過入賞口122にパチンコ球が入賞した際に発生する保留入賞の回数をそれぞれ表示する。保留入賞とは、図柄の変動表示中に始動入賞口116、通過入賞口122にパチンコ球が入賞したことを契機に行われた大当たり抽選、小当たり抽選の情報が記憶され、その抽選結果の表示が保留されるものである。保留入賞の回数は、抽選情報の表示が保留された入賞の回数を表す。
【0037】
始動入賞口116への入賞により発生する特別保留入賞の回数と、通過入賞口122への入賞により発生する普通保留入賞の回数は、本実施の形態では、共に最大で4回の入賞分まで記憶される。すなわち、それぞれの図柄の変動表示中に始動入賞口116または通過入賞口122への入賞が発生した場合でも、大当たり抽選、小当たり抽選を受ける権利が4回分まで保障される。特別保留入賞の回数が4回に達した状態で始動入賞口116にパチンコ球が入賞した場合には、大当たり抽選の情報は、記憶されず、大当たり抽選を受ける権利は、無効となる。また、普通保留入賞の回数が4回に達した状態で通過入賞口122にパチンコ球が入賞した場合も同様であり、小当たり抽選を受ける権利は、無効となる。
【0038】
特別保留入賞表示ランプ130は、特別図柄表示部114による図柄の変動表示中に、1個のパチンコ球が始動入賞口116に入る度にランプを1つ点灯し、最大4つのランプが点灯する。また、1回の大当たり抽選の結果が表示された後、特別図柄の次の変動表示が開始されるとランプを1つ消灯する。同様に、普通保留入賞表示ランプ132は、普通図柄表示部128による図柄の変動表示中に、1個のパチンコ球が通過入賞口122に入る度にランプを1つ点灯し、最大4個のランプが点灯する。また、1回の小当たり抽選の結果が表示され、次の普通図柄の変動表示が開始されるとランプを1つ消灯する。遊技者は、点灯したランプの数からそれぞれの保留入賞数を確認でき、大当たり抽選と小当たり抽選の各抽選結果の表示が終了するのを待つことなくパチンコ球を打ち続けることができる。
【0039】
次に、本実施の形態のパチンコ機の遊技領域に設けられる風車について、図面を使用しながら説明する。図3は、図2の遊技盤を示す正面図の風車の周辺部位の拡大図であり、図4は、本実施の形態の風車の構成を示す斜視図であり、図5は、本実施の形態の風車の遊技盤に軸支された部分の断面図である。
【0040】
図3に示すように、本実施の形態では、遊技領域102aに設けられた複数の風車126の何れか1つに、遊技領域102aを流下してきたパチンコ球P10が衝突して回転した際の回転速度が所定の大きさ以上であった場合に、電動チューリップ120の開閉動作の契機を付与する。すなわち、遊技領域102aを流下する複数のパチンコ球が風車126に立て続けに連続して衝突するか、同時に衝突するかによって、風車126の回転速度が所定の大きさ以上になって、初めて電動チューリップ120の開閉動作の契機を付与する可動フラグが成立するようにしている。
【0041】
換言すると、遊技領域102aを流下するパチンコ球の風車126への衝突態様次第で風車126の回転速度を瞬時に大きくすることも可能となることから、短時間の限られた時間内でも頻繁に可動フラグが成立したり、反対に風車126にパチンコ球が頻繁に衝突しないこと等によって、風車126の速度が所定の大きさ以上にならない場合には、可動フラグが成立しないようにすることが出来る。このため、遊技者に有利な遊技を実行する契機を付与する可動フラグとなる電動役物となる電動チューリップ120の開閉動作が頻繁に発生したり、反対に殆ど発生しないように、可動フラグの成立・不成立の意外性、非予測性を増大させることが出来る。
【0042】
電動チューリップ120の開閉動作の契機を付与する風車126は、図4に示すように、遊技盤102に対して略鉛直に設けられる支持軸126aと、遊技盤102の前面側に支持軸126aに軸支され、かつ遊技盤102に対して回動自在に設けられる複数の回転羽根を備える風車本体126bと、遊技盤102の裏面側に支持軸126aに連結されるフランジ部126cと、当該フランジ部126cの縁部の1箇所に形成された切り欠きである回転検知用切り欠き部126dを備える。
【0043】
本実施の形態では、風車本体126bおよびフランジ部126cが支持軸126aに対して固定された状態で連結されて、遊技盤102に対して回動自在となっている。このため、風車本体126bにパチンコ球P10が衝突した際には、風車本体126bとフランジ部126cに形成された回転検知用切り欠き部126dが支持軸126aを介して一体となって回転動作をする。なお、風車126の構成は、被検知体となる回転検知用切り欠き部126dが支持軸126aを介して風車本体126bと連動して回動自在となる構成であれば、例えば、遊技盤に設けた支持軸に回動自在な略筒形状の部材に風車本体が遊技盤の前面側、被検知体が遊技盤の裏面側に設けるように形成された構成等の他の構成とすることも可能である。
【0044】
遊技盤102の裏面側には、図5に示すように、風車本体126bの回転動作に伴って連動するフランジ部126cに形成された被検知体となる回転検知用切り欠き部126dの移動を検知する回転速度検知センサ165が設けられている。本実施の形態では、回転速度検知センサ165は、インデックスセンサとしての機能を有しており、当該回転速度検知センサ165で回転検知用切り欠き部126dを検知してから、風車本体126bの回転運動に伴って1回転移動後の回転検知用切り欠き部126dを検知するまでの経過時間を主制御装置151(図6参照)に備わるタイマ154(図6参照)でカウント減算処理をし、当該タイマ154でカウント減算処理された経過時間のデータは、CPU152を介して主制御装置151に備わるフラグ成立判定部160(図6参照)に送信されて、当該経過時間データを元にフラグ成立の成否が判定される。なお、回転速度検知センサ165は、インデックスセンサに限定されず、風車本体126bと連動して回転移動する被検知体を検知するものであれば、例えば、光センサや磁気センサ等の他の検知センサに代用することも可能である。
【0045】
次に、本実施の形態のパチンコ機の制御回路の構成について、図面を使用しながら説明する。図6は、本実施の形態のパチンコ機の各種機能および遊技を制御する電気制御系の一例を示すブロック図である。
【0046】
パチンコ機100の電気制御系は、パチンコ機100の遊技盤104の背面側に設けられ、遊技機全体の制御を司る主制御部150、主制御部150から出力されたコマンド信号に基づいて、パチンコ機100の図柄表示装置115の特別図柄表示部114の画面表示やランプその他の電飾を制御したり、スピーカ等から発生する音声等の主にパチンコ機100の遊技における演出面を制御する副制御部170から構成されている。
【0047】
主制御部150には、主制御装置151が設けられている。パチンコ機100の制御は、主制御装置151に設けられたCPU( Central Processing Unit )152によって行われる。主制御装置151には、CPU152、ROM( Read Only Memory )153aとRAM( Random Access Memory )153bを含むメモリ153、タイマ154、小当たり決定部155、停止図柄決定部156、大当たり判定部157、ラウンド数カウンタ158、入賞球数カウンタ159、およびフラグ成立決定部160等が設けられている。なお、主制御装置151は、通常では、不図示の外部の集中管理装置と接続されるようになっている。
【0048】
CPU152は、後述の各検知センサから入力される入力信号に応じて、メモリ153内のROM153aに記憶されているプログラムを読み込んで、当該プログラムに従って、パチンコ機100の動作制御を行い、遊技を実行させると共に、副制御部170にコマンド信号を送信して所定の遊技状態となるように実行させる。
【0049】
メモリ153は、ROM153aおよびRAM153bを備えている。ROM153aは、遊技制御プログラムおよび乱数生成処理プログラムおよび乱数テーブル等が所定の領域に格納し、これら格納データは、CPU152によって読み出され、演算処理されるように適宜用いられる。RAM153bは、ワーキングエリアとなっており、遊技において利用される各種データ等の一時的な格納や書き換え等に用いられる。
【0050】
タイマ154は、後述の各種検知センサから送信される出力信号に基づいて、例えば、風車126の回転速度の測定等に使用される計時手段としての機能を有する。すなわち、本実施の形態では、風車126の風車本体126bの回転動作に伴って連動する被検知体となる回転検知用切り欠き部126dの移動をインデックス検知する回転速度検知センサ165の検知データに基づく経過時間をカウント減算処理する。
【0051】
小当たり決定部155は、小当たり抽選を行う。小当たり決定部155は、不図示の乱数発生器、乱数サンプリング回路および小当たり決定テーブルを備えている。乱数発生器では、所定範囲内の乱数値を一定の周期でインクリメントさせて乱数値が更新されている。そして、通過入賞口122の何れかをパチンコ球が通過すると、その時点における乱数値を乱数サンプリング回路が抽出し、抽出した乱数値を小当たり決定テーブルと照合することによって、所定の遊技価値を付与する小当たり抽選が行われる。
【0052】
停止図柄決定部156では、図柄表示装置115の特別図柄表示部114を停止表示させる図柄の組み合わせが決定される。停止図柄決定部156は、不図示の乱数発生器、乱数サンプリング回路および停止図柄テーブルを備えており、小当たり抽選等の後に作動される。停止図柄決定部156での抽選が終了すると、決定された図柄の組み合わせを示す信号がCPU152から後述する図柄表示制御装置171に入力される。
【0053】
大当たり判定部157は、図柄表示装置115の特別図柄表示部114で変動表示される特別図柄の全てを停止させた際に、3つの同じ特別図柄が一直線状に揃っている大当たりとなっているかを判定する。大当たり判定部157は、停止図柄決定部156からの信号を受けて、特別図柄表示部114で変動表示される特別図柄が同じ3つの特別図柄が一直線状に揃っている大当たりとなっているかを判定する。ここで、大当たり判定部157で3つの同じ特別図柄が一直線状に揃っている大当たりとなっていると判定された場合には、大当たりが発生した旨を通知する信号がCPU152からアタッカ制御装置168に入力される。
【0054】
ラウンド数カウンタ158は、遊技が特別遊技に移行した際に、特別遊技中のラウンド数をカウントする。ラウンドは、例えば、最高15回まで更新することができ、この更新は、各ラウンドとも1ラウンドに大入賞口にパチンコ球が10個入賞すると更新される。
【0055】
入賞球数カウンタ159は、特別遊技中に不図示の大入賞口に入賞したパチンコ球の数をカウントする。入賞球数カウンタ159のカウント値が10になると、1ラウンドが終了したとCPU152が判定し、アタッカ制御装置167が開閉板117を開き位置から閉じ位置に移動させる。ここで、ラウンドが更新されると、入賞球数カウンタ159のカウント値は、リセットされて、更新されたラウンドにおいて、大入賞口に入賞したパチンコ球の数をカウントする。
【0056】
フラグ成立判定部160は、回転速度検知センサ165で検知された風車126の回転速度が遊技者に有利な遊技を実行する契機を付与するフラグ成立条件となる所定の大きさ以上になったか否かを判定する。本実施の形態では、当該フラグ成立によって、遊技者に実行させる有利な遊技として、電動役物である電動チューリップ120の可動片119を開放させることによって、始動入賞口116への入賞率を増大させることが実行される。
【0057】
ここで、風車126の回転速度の大きさに応じて可動フラグの成立・不成立を確実に実行されるようにするためには、複数のパチンコ球が同時に、または立て続けに連続して風車126に衝突することによって、風車126の回転速度が所定の大きさ以上になっている必要がある。このため、本実施の形態では、フラグ成立条件となる風車126の回転速度の所定の大きさは、風車126が回転停止時に当該風車126に対して1つのパチンコ球を衝突させて回転させた場合に検知した回転速度の略平均以上の大きさであることが必要とされる。特に、複数のパチンコ球が同時に、または立て続けに連続して風車126に衝突することによって、フラグが成立するようにするには、1つのパチンコ球の衝突による風車の回転速度の最大値より大きいことが好ましい。
【0058】
なお、風車126にパチンコ球が衝突した際に発生する風車126の回転動作における回転速度がフラグ成立条件となる風車126の所定の大きさの回転速度は、不図示のプログラム等の設定手段によって事前に設定され、当該所定の大きさの回転速度のデータは、RAM153bに格納される。すなわち、フラグ成立判定部160は、風車126の回転速度の大きさがフラグ成立条件となる所定の大きさ以上である旨をRAM153bに格納されたデータを元に判定する。
【0059】
また、主制御部150には、通常入賞口検知センサ161、始動入賞口検知センサ162、大入賞口検知センサ163、通過入賞口検知センサ164、および回転速度検知センサ165等の各種センサ、電動役物駆動制御装置166、賞球払出制御装置167、およびアタッカ制御装置168等の各種装置がCPU152に接続されて設けられている。
【0060】
通常入賞口検知センサ161は、通常入賞口124に、始動入賞口検知センサ162は、始動入賞口116に、大入賞口検知センサ163は、不図示の大入賞口に、通過入賞口検知センサ164は、通過入賞口122にそれぞれパチンコ球が入賞したか否かを検知する。
【0061】
回転速度検知センサ165は、風車126の風車本体126bの回転動作に伴って連動する被検知体となる回転検知用切り欠き部126dの回転移動をインデックス検知する。本実施の形態では、回転速度検知センサ165で回転検知用切り欠き部126dを検知してから風車本体126bの回転運動に伴って1回転移動後の回転検知用切り欠き部126dを検知するまでの経過時間は、タイマ154のカウント減算処理によって計測され、当該計測された経過時間を元にフラグ成立判定部160によって、風車126の回転速度がフラグ成立条件となる所定の大きさ以上になったか否かが判定される。
【0062】
電動役物制御装置166は、電動チューリップ120の可動片119を駆動するソレノイド等に接続されている。本実施の形態では、可動片制御装置165は、回転速度検知センサ165で検知された風車126の回転速度がフラグ成立判定部160で可動フラグの成立条件となる所定の大きさ以上になったことの判定結果に応答して、可動片119を所定回数および所定時間、開き位置に回動させる。
【0063】
賞球払出制御装置167は、通常入賞口検知センサ161、始動入賞口検知センサ162、大入賞口検知センサ163、通過入賞口検知センサ164の何れかによってパチンコ球の通過が検知されると作動する。賞球払出制御装置167で払い出される賞球数は、メモリ153に含まれるROM153aでパチンコ球1個の入賞に対して払い出す賞球数と入賞口の種類とが対応付けされた払出しテーブルに格納されている。賞球払出制御装置167は、払出し用のパチンコ球が貯留されている不図示の貯留装置を駆動し、入賞口の種類に応じた個数のパチンコ球の払出しを行わせる。
【0064】
アタッカ制御装置168は、開閉板117の開閉動作を行うソレノイド等に接続されている。アタッカ制御装置168は、大当たり判定部157で大当たりが当選したと判定したことに応答して、開閉板117を閉じ位置から開き位置へ移動させる。また、開閉板117を開き位置に移動させた後、所定時間が経過して所定の数のパチンコ球が大入賞口に入賞した後には、再び開閉板117を開き位置から閉じ位置に移動させる。
【0065】
また、主制御部150には、操作ハンドル110に接続される発射制御装置169が設けられており、当該発射制御装置169によって、操作ハンドル110で調節されたパチンコ球の打ち出しの強さに応じてパチンコ球を一定時間毎に発射するように制御される。
【0066】
一方、副制御部170には、図柄表示制御装置171、ランプ制御装置172、および音声制御装置173がCPU152に接続されて設けられている。
【0067】
図柄表示制御装置171には、停止図柄決定部156における抽選結果がCPU152を介して入力される。図柄表示制御装置171は、図柄表示装置115で表示される図柄毎に割り当てられた先頭アドレスを監視することにより、どの図柄が図柄表示装置115から表示されているかを識別する。これにより、図柄表示装置115で図柄を変動表示させると共に、停止図柄決定部156での抽選の結果に基づいて図柄を停止表示させる。
【0068】
ランプ制御装置172は、パチンコ機100の遊技における電飾による演出を制御するために、主制御装置151のCPU152から送信されるコマンド信号に基づいて、特別保留入賞表示ランプ130、普通保留入賞表示ランプ132等のパチンコ機100のランプその他の電飾を制御する。
【0069】
音声制御装置173は、パチンコ機100の遊技における音響による演出を制御するために、主制御装置151のCPU152から送信されるコマンド信号に基づいて、サウンドプロセッサやスピーカ等の音声発生手段を制御する。
【0070】
このように、本実施の形態の遊技機であるパチンコ機100の電気制御系を設けることによって、遊技領域102aを流下した複数のパチンコ球が同時に、または連続して風車126に衝突することによって、風車126の回転速度が大きくなって、所定の回転速度に到達した際に、電動チューリップ120の可動片119が開放される等の遊技者に有利な遊技を実行する契機を付与する電動役物が作動する。このため、可動フラグとなる電動チューリップ120の開放動作等の電動役物の動作が非予測性を有するようになり、遊技の単純化が抑制されて、遊技性の向上が見込まれる。
【0071】
なお、本実施の形態では、遊技者に有利な遊技を実行する契機を付与するフラグ成立条件として、フラグ成立判定部160において、風車126の回転速度が所定の大きさ以上と判定される必要があることとしているが、可動フラグの成立・不成立の意外性、非予測性を更に増大させるために、フラグ成立条件として、更なる加重条件を付与しても良い。例えば、当該フラグ成立条件として、風車126の回転速度が所定の大きさに到達した後において、タイマ154のタイマ値を初期設定値となるカウント減算処理の設定時間にリセットして再カウント減算処理を行わせ、当該再カウント減算処理が所定の上限カウントとなるまでの期間に、回転速度が所定の大きさ以下とならなかった場合に、初めてフラグ成立するようにしてもよい。
【0072】
このように、風車126の回転速度が所定の大きさ以上になって、かつ当該所定の大きさ以上の回転速度が所定時間継続されてから、初めて可動フラグが成立するようにすることによって、可動フラグとなる電動役物120の動作の発生の頻度が非予測的に変更されるようになる。なお、ここで言及する「回転速度が所定時間継続される」とは、例えば、風車126の回転速度の所定の大きさが0.5ミリ秒で、上限カウントが3カウントであった場合に、再カウント減算処理に基づく被検知体となる回転検知用切り欠き部126dの1回転移動に係る回転速度の大きさが0.5ミリ秒以下となる値が連続的な再カウント減算処理によって、上限カウントとなる3回連続して得られた場合のことを示すものとする。
【0073】
次に、本実施の形態におけるパチンコ機の風車の回転速度の変化に応じて可動プラグを成立させる動作について、図面を使用しながら説明する。図7は、本実施の形態におけるパチンコ機の風車の回転速度の変化に応じて可動プラグを成立させる動作フローの概略を示すフローチャートである。
【0074】
前述したように、本実施の形態では、遊技領域102aに設けられた風車126に、遊技領域102aを流下してきたパチンコ球が衝突して回転した際の回転速度が所定の大きさ以上であった場合に、可動フラグが成立し、電動チューリップ120の開閉動作の契機が付与される。
【0075】
本実施の形態では、風車126の風車本体126bにパチンコ球が衝突した際に、風車本体126bとフランジ部126cに形成された回転検知用切り欠き部126dが支持軸126aを介して一体となって回転動作をする。その際に、まず、CPU152は、回転速度検知センサ165が回転移動する被検知体となる回転検知用切り欠き部126dを検知したかの点検処理をする(工程S10)。
【0076】
回転速度検知センサ165が回転検知用切り欠き部126dをインデックス検知した場合には(工程S11)、次に、CPU152は、可動フラグ成立条件となる風車126の回転速度が所定の大きさ以上であるかを判定するために、例えば、当該可動フラグ成立条件となる風車126の回転速度の大きさの指標となる設定時間を0.01秒にした場合に、この設定時間のカウント減算処理を実行しているタイマ154で示されるタイマ値が初期値を示す0であるか否かの点検を行う(工程S12)。
【0077】
工程S12では、回転速度検知センサ165による回転検知用切り欠き部126dのインデックス検知に基づいて開始されるタイマ154によるカウント減算処理のタイマ値が次のインデックス再検知によって0でないと検出された場合は、風車126の1回転動作に要した時間がタイマ値の0となる前段のカウント減算処理の途中の時間である、すなわち、タイマ154の設定時間である0.01秒となる前にインデックス再検知があったと判定される。これによって、風車126の回転速度がフラグ成立条件となる所定の大きさ以上であることが判定され、遊技者に有利な遊技を実行する契機となる当たり時データ設定処理として、フラグ設定等の当たり時データの設定、およびタイマ154のタイマ値を0に戻すタイマ設定時間のリセット処理が行われてから、電動チューリップ120の可動片119が所定の条件の開閉態様となるように開放する処理が実行される(工程S15)。
【0078】
一方、工程S12でタイマ154によってカウント減算処理されるタイマ値が0と検出された場合は、風車126の1回転動作に要した時間がタイマ154の設定時間以上となってタイマ値が0に戻る場合、換言すると、風車126の回転速度がフラグ成立条件となる所定の大きさを満たさない場合か、または当たり時データの設定およびタイマ値を0に戻すタイマ設定時間のリセット処理が行われた場合の何れかによって、タイマ値が初期値を示す0の状態にあると判定されることになる。
【0079】
工程S12でタイマ154によってカウント減算処理されるタイマ値が0と検出される否定判定(フラグ不成立)された場合、工程S11のインデックス検知に基づいたタイマ154のカウント減算処理するための設定時間(例えば、0.01秒)にタイマ154をセットして(工程S13)、タイマ154のカウント減算処理を開始する(工程S14)。そして、再び、前述した工程S10に戻って、回転速度検知センサ165が回転移動する被検知体となる回転検知用切り欠き部126dを検知(インデックス再検知)したかの点検処理をする。
【0080】
また、本実施の形態では、回転速度検知センサ165が回転検知用切り欠き部126dの1回転移動に係るタイマ154によるカウント減算処理が終了してタイマ値が初期値の0に戻された後において、インデックス検知を一時的に無効化してから、当該インデックス検知を再び有効化するタイミング(継続的検知開始の契機)を、風車126の回転速度がフラグ成立条件となる所定の大きさを満たさない場合のカウント減算処理後の所定タイミング、または回転速度が所定の大きさに到達した後に実行される電動チューリップ120の可動片119の開放動作後(遊技者に有利な遊技が終了した後)の所定タイミングの少なくとも何れか一方に設けることとしている。これによって、風車126の回転が惰性で回転している途中の段階で継続的に上述の回転速度の計測処理がされ、無為に所定の回転速度となり易くする状態となることを未然に防止するようになる。
【0081】
すなわち、電動役物である電動チューリップ120の開閉動作が回転速度検知センサ165を介して制御されることにより、風車126が可動フラグ成立に必要な所望の回転速度以上となった場合に、可動フラグが成立して電動チューリップ120の開放といった電動役物の動作制御が確実に実行されるようになる。また、可動フラグが成立して電動チューリップ120の開放中に更に可動フラグが成立してしまうことによって、電動チューリップ120が開放した状態のままでいることを未然に防止出来るので、余計に遊技者に有利な遊技が継続されることが抑制されるようになる。
【0082】
このように、本実施の形態では、遊技領域102aを流下した複数のパチンコ球が同時に、または連続して風車126に衝突することによって、風車126の回転速度が所定の大きさに到達した際に、電動チューリップ120が開放される等の遊技者に有利な遊技を実行する契機を付与する電動役物が作動する。すなわち、パチンコ球の風車126への衝突、接触態様によって、風車126の回転速度が異なるため、遊技者に有利な遊技を実行する契機を付与する可動フラグとなる電動チューリップ120の開放動作が非予測性を有するようになり、遊技の単純化が抑制され、遊技性の向上が見込まれる。
【0083】
また、風車126の回転速度が複数のパチンコ球が立て続けに連続して衝突するか、同時に衝突するかによって大きくなることより、風車126を瞬時に回転速度を大きくすることも可能となるので、短時間の限られた時間内でも頻繁に可動フラグが成立したり、反対に風車126の速度が所定の大きさ以上にならない場合には、可動フラグが成立しないと言った具合に、可動フラグの成立・不成立の意外性、非予測性が更に増大されるようになる。
【0084】
なお、以上説明した本実施の形態では、風車126の回転速度が所定の大きさ以上の場合に、遊技者に有利な遊技を実行する契機を付与するフラグとして、電動チューリップ120の可動片119の開放動作が実行されているが、遊技者に有利な遊技を実行する契機を付与するものであれば、当該フラグに限定されない。例えば、風車126の回転速度が所定の大きさ以上の場合に、電動チューリップ120の可動片119の開放動作を実行させるための抽選が実行されたり、前述した小当たり抽選や大当たり抽選等の遊技者に有利な遊技を実行する契機を付与するフラグに適用することも可能である。
【0085】
次に、本実施の形態におけるパチンコ機をなすコンピュータを制御するプログラムが格納された記録媒体をパチンコ機にインストールする例について、図面を使用しながら説明する。図8は、本実施の形態におけるパチンコ機をなすコンピュータを制御するプログラムが格納された記録媒体をパチンコ機にインストールする例を示す説明図である。
【0086】
図8に示すように、記録媒体190を遊技機100にインストールする際に、記録媒体190には、図7のフローチャートで示す各工程を実行するような手段を、CPU152とメモリ153とを含むコンピュータとなる主制御装置151で実現するためのプログラムが格納されている。この場合、例えば、図6に示す主制御部150のCPU152に接続される電動役物駆動制御装置166、賞球払出制御装置167、アタッカ制御装置168等の各種装置、発射制御装置169、副制御部170に含まれる図柄表示制御装置171、ランプ制御装置172、および音声制御装置173等をコンピュータ(主制御装置)151で実現するためのプログラムを記録媒体190に記録する。そして、この記録媒体190をパチンコ機100に備わる読み取り装置180に装填して、かかるプログラムをパチンコ機100にインストールする。
【0087】
なお、プログラムは、記録媒体190を介してインストールする代わりにインターネットを利用してパチンコ機100に配信することができる。また、配信された本実施の形態にかかるプログラム、または記録媒体190から読み出したプログラムをPC( Personal Computer )にインストールして、モニタ上で当該プログラムにて実行されるパチンコゲームを行うことも可能である。
【0088】
このようなプログラムをパチンコ機のフラッシュメモリやROM等の記憶手段となるメモリに事前にインストールすることにより、風車126の回転速度が所定の大きさ以上になったら、電動チューリップ120が開放される等の遊技者に有利な遊技を実行する契機を付与するようになる。このため、遊技中に頻繁に変化し得る風車126の回転速度を遊技者に有利な遊技を実行する契機とすることにより、可動フラグとなる電動役物の動作が非予測性を有するようになり、遊技の単純化が抑制されるようになる。
【0089】
また、上記の実施の態様のプログラムが記録されると共に、プログラムが遊技機をなすコンピュータで読み取り可能とする記録媒体190を創作することにより、パチンコ店等の遊技場に設置されるパチンコ機のみならず、アミューズメントセンター等に設置されるテーブルゲーム機や家庭用のゲーム機等の他の遊技機にも、上記プログラムを記録した記録媒体をインストールすることによって、同様にして、当該プログラムを格納する記録媒体をインストールした遊技機に備わる電動役物の動作が非予測性を有するようにすることが出来る。
【0090】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0091】
例えば、上記の説明では、所謂セブン機(第1種)を例として本発明の実施の形態を示したが、入層口への入賞率を変更する可動片開閉装置となるチューリップと風車を遊技盤の遊技領域に備えるパチンコ機であれば、セブン機以外のパチンコ機、例えば、羽根物(第2種)、権利物(第3種)、および第1種と第2種の混合型のパチンコ機等においても、本発明を実施できる。
【0092】
また、前述した第1の実施の形態では、チューリップは、始動入賞口の開口部側に設けられているが、通常入賞口等の他の入賞口の入賞率を変更するために、当該他の入賞口に本実施の形態のチューリップを適用しても良い。
【0093】
さらに、前述した第1の実施の形態では、可動片開閉装置は、一対の可動片を開閉自在とするチューリップ形式の装置であるが、可動片が開閉可能な構成とすれば、例えば、1つの可動片で入賞口の開口部を開閉するような可動片開閉装置に適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の遊技機の第1の実施の形態におけるパチンコ機の外観を示す斜視図である。
【図2】同実施の形態におけるパチンコ機の遊技盤を示す正面図である。
【図3】図2の遊技盤を示す正面図の風車の周辺部位の拡大図である。
【図4】同実施の形態におけるパチンコ機の風車の構成を示す斜視図である。
【図5】同実施の形態におけるパチンコ機の風車の回転速度を検知する回転速度検知センサの構成を説明するための遊技盤に軸支された部分の断面図である。
【図6】同実施の形態のパチンコ機の各種機能および遊技を制御する電気制御系の一例を示すブロック図である。
【図7】同実施の形態におけるパチンコ機の風車の回転速度の変化に応じて可動プラグを成立させる動作フローの概略を示すフローチャートである。
【図8】同実施の形態におけるパチンコ機をなすコンピュータを制御するプログラムが格納された記録媒体をパチンコ機にインストールする例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0095】
100 遊技機(パチンコ機)
102 遊技盤
102a 遊技領域
116 入賞口(始動入賞口)
120 電動役物(電動チューリップ)
126 風車
126a 支持軸
126b 風車本体
126d 被検知体(回転検知用切り欠き部)
151 コンピュータ(主制御装置)
154 計時手段(タイマ)
160 フラグ成立判定部
165 回転速度検知手段(回転速度検知センサ)
190 記録媒体
P10 遊技球(パチンコ球)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤の前面側に有する遊技領域に遊技球を発射して遊技する遊技機であって、
前記遊技盤に対して回動自在に軸支され、流下した遊技球と当接した際に回転して、該遊技球の流下方向に変化を付与する風車と、
前記風車の回転速度を検知する回転速度検知手段と、
前記回転速度検知手段によって、前記風車の回転速度が所定の大きさに到達した旨が検知されることに基づいて、遊技者に有利な遊技を実行する契機を付与するように動作制御される電動役物と、
を備えることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記風車は、前記遊技盤に対して略鉛直に前後方向に貫通して設けられる支持軸と、前記遊技盤の前面側に前記支持軸を介して回動自在に設けられる風車本体と、前記遊技盤の裏面側に前記支持軸を介して前記風車本体と連動して回動自在に設けられる1つの被検知体と、を備え、
前記回転速度検知手段は、前記風車本体の回転動作に伴って連動する前記被検知体の移動を検知するセンサと、該センサの検知に基づいて経過時間をカウント処理する計時手段と、を備え、前記センサで前記被検知体を検知してから前記風車本体の回転運動に伴って1回転移動後の該被検知体を検知するまでの時間を元に、前記風車の回転速度を算出することを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記風車の回転速度が所定の大きさに到達した後において、前記計時手段のカウント値を初期値に設定して再カウント処理を行わせ、該再カウント処理が所定の上限カウントとなるまでの期間に、前記回転速度が前記所定の大きさ以下とならなかった場合に、遊技者に有利な遊技を実行する契機を付与することを特徴とする請求項1または2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記回転速度検知手段は、前記被検知体の1回転移動に係る前記計時手段によるカウント処理の終了後の継続的検知開始の契機として、該カウント処理後の所定タイミング、または前記回転速度が所定の大きさに到達後に実行される遊技者に有利な遊技が終了した後の所定タイミングの少なくとも何れか一方を設けることを特徴とする請求項2または3に記載の遊技機。
【請求項5】
前記回転速度検知手段によって検知される前記風車の回転速度の前記所定の大きさは、前記風車が回転停止時に該風車に対して1つの遊技球を当接させて回転させた場合に検知した回転速度の略平均以上の大きさであることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の遊技機。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の遊技機の機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【請求項7】
請求項6に記載のプログラムが記録されると共に、前記プログラムが遊技機をなすコンピュータで読み取り可能なことを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−45392(P2009−45392A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−216776(P2007−216776)
【出願日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(390031772)株式会社オリンピア (2,719)
【Fターム(参考)】