説明

遊技機

【課題】 ビデオゲームの要素を遊技機に取り入れる。
【解決手段】 パチンコ遊技機1は、始動入賞口17への玉の入賞に応じて主制御基板100にて大当たり抽選処理が実行され、その抽選結果が図柄変動により液晶表示部11に表示される。大当たり抽選処理を含むパチンコ遊技機1のプログラムと並行して、ロールプレイングゲームのプログラムが表示制御基板105にて実行される。液晶表示部11に表示されるロールプレイングゲーム中のキャラクタの操作は、ゲーム操作部16を用いて行なわれる。ゲーム操作部16は、液晶表示部11で図柄変動が行なわれている最中に限り有効化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機やスロットマシン等の遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ビデオゲームの要素をパチンコ遊技機やスロットマシン等の遊技機に取り入れる試みがある。たとえば、下記特許文献1には、玉が始動口に入賞したときに取得される乱数の値に応じてビデオゲームの内容が進むように構成されたパチンコ遊技機が記載されている。たとえば、パチンコ遊技機側が大当たりすると、ビデオゲーム側では敵を倒す強力な攻撃が選択されたりする。ゲームの種類には、格闘ゲーム、物語性のあるシミュレーションゲーム等が想定されている。
【特許文献1】特許3298852号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、ビデオゲームとパチンコが単純に合体しただけでは、特定機種のパチンコ台を選び続けることへの動機づけにはなりにくい。そのため、リピーターを獲得できるいっそうの工夫が望まれている。
【0004】
また、文献に開示されたパチンコ遊技機は、遊技者に特別な操作を要求しない点や、ビデオゲーム用のコントローラが不要である点において優れる。一方で、今日のパチンコ遊技機を見ると、玉発射用のハンドルとは別に、ストップスイッチ等の操作部を設けているものが多い。この操作部を操作することにより、遊技に積極的に参加できる。つまり、遊技者の嗜好は、単純な遊技よりも複雑な遊技、さらには、単に眺めているだけの遊技よりも積極参加できる遊技に移りつつある。
【0005】
本発明の課題は、遊技者の操作で内容が進行するビデオゲームを遊技機に取り入れ、遊技機固有の遊技とビデオゲーム固有の遊技とを同時に楽めるようにすることにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、所定の始動条件の成立に伴って遊技者にとって有利な特別状態を発生させるか否かを決定するための抽選処理を実行する抽選手段と、抽選結果を図柄変動により表示する表示手段と、抽選処理を含む当該遊技機のプログラムと並行して、ビデオゲームのプログラムを実行するゲームプログラム実行手段と、ビデオゲームの画像を表示するために、上記表示手段に兼用されたまたは上記表示手段とは別に設けられた第二表示手段と、第二表示手段に表示されるキャラクタの操作および/または第二表示手段に表示される命令を選択するため、上記表示手段で図柄変動が実行されている最中または一定数量の遊技媒体が消費された場合に限り有効化される操作手段と、を備え、ゲームプログラム実行手段は、操作手段の操作および抽選結果に応じて、ゲームプログラムを実行することを主要な特徴とする。
【0007】
上記本発明によれば、ビデオゲームの操作を行なうための操作部が設けられており、遊技者は、遊技機での遊技と同時に、ビデオゲームを楽しむことが可能である。ただし、ビデオゲームの操作ができるのは、表示手段の図柄変動中や、玉やメダル等の遊技媒体を一定数量消費した場合に制限される。そのため、ビデオゲームのみ単独で遊技されることが防止され、ひいては遊技機自身とビデオゲームとが協働して、興趣の高い遊技性が提供される。
【0008】
特に、ビデオゲームの種類は、ロールプレイングゲームであることが望ましい。ロールプレイングゲームは、一旦始めると最終目的を達成するまでやめづらい。つまり、ロールプレイングゲームをクリアするという最終目的が、本発明にかかる遊技機を選ぶ動機づけとなる。なお、ロールプレイングゲームとは、プレーヤーがゲームの世界の中で、ある人物の役割を演じ、さまざまな経験を通して成長していく過程を楽しみながら目的を達成していくもの、ゲームをする人が主人公となってゲームの世界を旅しながら、与えられた課題を解決するゲームをいう。
【0009】
ただし、一般にロールプレイングゲームは、ストーリーが長い。そのため、遊技を数時間行なっただけでは、最終目的を達成するに至らない。この問題点は、記録媒体にロールプレイングゲームの進行状況を特定するための履歴データを書き込むとともに、記録媒体に記録された履歴データを読み込むリーダライタを本遊技機に設けることで解決できる。ゲームプログラム実行手段は、リーダライタから履歴データを受け取ってゲームを前回終了状態から再開するように構成される。遊技者は、記録媒体に保存された履歴データをリーダライタで読み取らせることにより、簡単に前回の続きからゲームを行なえる。なお、記録媒体には、磁気カードやICカードを例示できる。さらには、携帯電話のような端末装置を記録媒体として用いてもよい。
【0010】
なお、遊技機の種類としては、パチンコ遊技機が好適であり、その場合、特別状態としては大当たりを例示できる。また、履歴データは、当該パチンコ遊技機と同一機種での遊技履歴としての、大当たり回数および抽選処理の実行回数を特定する遊技データを含むものとされる。そして、プログラム実行手段は、大当たり回数および/または抽選処理の回数が予め定められた閾値に達した場合に、ロールプレイングゲームに登場中の主人公キャラクタの成長度合いを示すレベルを上昇させるように構成することができる。このようにすれば、パチンコ遊技と、ロールプレイングゲームとの関係をいっそう密接とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明のパチンコ遊技機1の正面模式図である。パチンコ遊技機1は、台枠に取り付けられた正面ガラス扉5と、台枠の内側に配置されてガラス扉5によって覆われる遊技盤3を有する。遊技盤3は、円状の遊技領域を形成している。遊技盤3の下方には、玉供給皿6が設けられている。玉供給皿6に準備された遊技玉(パチンコ玉)は、ハンドル7等により構成される発射装置によって遊技盤3に向けて発射される。レールを通じて遊技盤3に達した遊技玉は、打玉発射口から飛び出し、遊技盤3に植設された多数の釘に弾かれながら自重により落下するようになっている。
【0012】
遊技盤3が形成する遊技領域の略中央には、液晶表示部11が配設されている。液晶表示部11には、大当たりの発生有無を遊技者に知らせるための図柄(以下、特別図柄という)が表示される。図4に示すごとく、本実施形態では、特別図柄を画面右下の2桁の英数字で表示するようにしている。また、液晶表示部11の下方の遊技領域には、始動入賞口17(始動入賞装置)と、大入賞口19(大入賞装置)が設けられている。始動入賞口17に玉が入賞すると、遊技制御装置300(図2)において、大当たりの発生の有無を決定する大当たり抽選処理が実行される。大入賞口19は、可動扉が開閉する可変入賞装置として構成されており、液晶表示部11に大当たり図柄が導出表示される大当たりの発生時に開放する。遊技盤3の中央最下部には、アウト玉を回収するためのアウト玉回収口15が設けられている。なお、特別図柄に関して言えば、液晶表示部11とは別に設けた表示部に表示させることも可能である。そのような表示部としては、たとえば、LEDを用いた7セグメント表示部を示せる。
【0013】
また、パチンコ遊技機1は、ビデオゲーム機の機能を持っている。液晶表示部11には、ロールプレイングゲームのゲーム画像が併せて表示される。ゲームプログラムは、図2および図3に示すごとく、遊技制御装置300に予め格納されている。遊技者は、パチンコと同時に、ロールプレイングゲームをすることが可能である。
【0014】
玉供給皿6に隣接する位置には、ゲーム操作部16およびカードリーダライタ18が設けられている。ゲームカード20をカードリーダライタ18に挿入することにより、ビデオゲーム機としての機能を有効化できる。つまり、ロールプレイングゲームに関係するプログラムの実行が開始され、ゲームを行なうことが可能な状態となる。ただし、液晶表示部11に表示されるキャラクタを動かしたり、表示される命令を選択したりするのに使用されるゲーム操作部16は、液晶表示部11の特別図柄が変動している期間に限って有効化される。これにより、ロールプレイングゲームのみを行なうことができないようになっている。逆に、ゲームカード20を挿入しない場合でも、パチンコのみを行なうことは可能である。その場合、ロールプレイングゲームに模した画像が液晶表示部11に表示されるが、キャラクタ等を遊技者が操作することはできず、表示される画像は、遊技状況に応じて、遊技者の意思と無関係に移り変わる。
【0015】
ゲーム操作部16を操作することで行なわれるロールプレイングゲームは、大当たり抽選処理に影響を及ぼすことが無い仕組みになっている。一方、大当たり抽選処理の結果は、ロールプレイングゲームの進行に影響を与える。たとえば、大当たりが発生するときには、ゲームの登場人物(主人公キャラクタ)が強力な敵を倒したり、お宝アイテムを獲得したり、主人公キャラクタの経験レベルが上昇したりする、大当たり時用の特別なプログラムモジュールが実行される。
【0016】
ロールプレイングゲームは、中断するときの状況をゲームカード20に記録することで、中断および再開が可能である。ゲームカード20には、磁気カードやICカードなどの簡易記録媒体を採用することができる。こうした簡易記録媒体に代えて、携帯電話のような携帯端末装置を、ゲームの履歴データを記録する手段として用いるようにしてもよい。また、ゲームカード20は、同一機種内で共通して使用することができ、同一機種のパチンコ遊技機であれば、どの台でも前回の続きからロールプレイングゲームを開始できるようになっている。
【0017】
ロールプレイングゲームの最後目的を達成するためには、同一機種で遊技しつづけることが必要である。このことは、パチンコ遊技機1での遊技を選択する有力な動機づけとなる。また、最終目的を達成した場合には、遊技者が所持する磁気カードにその旨を記録し、遊技店が行なうサービスの提供を受けることができるようにすることもできる。そのような仕組みも、パチンコ遊技機1での遊技を選択する動機づけとなりうる。
【0018】
図2に示すのは、パチンコ遊技機1の遊技制御装置300の構成を示すブロック図である。遊技制御装置300は、遊技盤3の背面側に配置されるものである。図2に示すように、パチンコ遊技機1の遊技制御装置300は、主制御基板100(主制御部)、表示制御基板105(表示制御部)、音声制御基板106(音声制御部)、ランプ制御基板107(ランプ制御部)、払出制御基板108(賞球制御部)および発射制御基板109(発射制御部)を含むものとして構成されている。各基板が個別にCPUやメモリを備える構成が一般的であるが、図2では省略している。
【0019】
図3に、表示制御基板105のブロック図を示す。表示制御基板105は、バッファ60、CPU61、VDP65(Video Display Processor)、VRAM64およびキャラクタROM66,67を備え、ロールプレイングゲーム機としての機能を提供する。CPU61は、ROM62、RAM63およびインターフェース(図示省略)を含むワンチップマイクロコンピュータとして構成されたものを示している。ゲーム操作部16およびカードリーダライタ18は、CPU61に接続されている。ゲーム操作部16の操作は、CPU61に入力される。カードリーダライタ18で読み取られたデータがCPU61に入力される一方、カードリーダライタ18は、CPU61から送られてくるデータを、挿入されたゲームカード20(図1)に書き込む。
【0020】
主制御基板100から送られてくる表示制御コマンドは、まず、表示制御基板105に設けられたバッファ60に入力される。バッファ60に入力された表示制御コマンドは、CPU61に取得される。CPU61は、取得した制御コマンドに応じて、ROM62に格納された表示制御プログラムを実行する。表示制御プログラムは、ロールプレイングゲームが行なわれていないときに液晶表示部11に背景および図柄等を表示する処理、特別図柄の変動表示処理、ならびに保留玉数の表示処理に関する基本プログラムとして構成される。
【0021】
RAM63は、主としてプログラムを実行する際のワーク用である。表示制御プログラムの実行により、液晶表示部11に表示させるべき図柄、背景、キャラクタ等の情報を含む画面表示情報がVDP65に転送される。VDP65は、転送されてきた画面表示情報に基づいて、キャラクタROM67(共通)に格納された画像データを読み出し、VRAM64に展開して映像信号を生成する。映像信号が同期信号とともに液晶表示部11に送信され、画像が表示される。
【0022】
一方、カードリーダライタ18にゲームカード20が挿入されると、CPU61は、ロールプレイングゲーム用のプログラムモジュール(RPGプログラム)を呼び出して実行する(CPU61:ゲームプログラム実行手段)。ロールプレイングゲームの実行時は、キャラクタROM66,67に格納された画像データを読み出す。ロールプレイングゲームの実行時は、非実行時よりも多彩な演出を行なうため、専用のキャラクタROM66を設けている。キャラクタROM66には、たとえば、ロールプレイングゲームの実行時にのみ登場する敵キャラクタ、ステージ背景等のデータが格納される。
【0023】
図2および図3に示すごとく、主制御基板100と表示制御基板105とは、一方向の通信のみを行なう、つまり表示制御基板105から主制御基板100に対しては、信号を送信することができない回路構成となっている。このようなハードウェア構成によれば、主制御基板100側で実行される大当たり抽選処理に、ロールプレイングゲームの結果や進行が全く影響しない。逆に、大当たり抽選処理の結果がロールプレイングゲームに影響することはある。
【0024】
たとえば、大当たり抽選処理で大当たり当選となった場合、ゲーム操作部16の操作に優先して、若しくはゲーム操作部16の操作を無視して、予め定められた特別イベントや行動(敵キャラ出現、お宝アイテム獲得、レベルアップ等)がロールプレイングゲーム中で起こるようにする。具体的には、RPGプログラムのうち、特別イベント発生にかかるプログラムモジュールが、主制御基板100から送られてくる大当たり当選コマンドに応じて呼び出されて実行されるようにする。このような構成によれば、図柄変動中であるにも関わらず、操作通りに主人公キャラクタが動かなくなったりするので、遊技者は、大当たりが発生することを事前に察知できるという、副次的な遊技演出も期待できる。
【0025】
さらに、大当たり発生時に次のような演出を行なってもよい。一般に、大当たり抽選処理は始動入賞口17に玉が入賞することにより実行され、結果(取得乱数)がRAM52の保留玉記憶部に複数回分(たとえば4回分)を上限として記憶される。RAM52の保留玉記憶部に記憶中の抽選結果の数量は、図4(a)に示すごとく、液晶表示部11の保留玉表示部41(液晶表示部11とは別途の表示部として設けてもよい)に表示される。したがって、RAM52の所定領域を占める保留玉記憶部に大当たり乱数が格納された場合には、大当たり予兆処理として、ロールプレイングゲーム側で先行して特別イベント(敵キャラ出現、お宝アイテム獲得、レベルアップ等)を発生させる。なお、大当たり当選時に限らず、リーチ発生時等にイベント(敵キャラクタとの戦闘など)を発生させることで、大当たり期待度を遊技者に報知する構成としてもよい。また、出現する敵キャラクタの種類および主人公キャラクタのレベルに応じて、大当たり期待度を推定できる構成としてもよい。また、図柄変動中の所定タイミングで操作を許可し操作すると大当たり期待度が判別できる構成とすることもできる。これにより、パチンコと、ロールプレイングゲームとに強い一体感を生じさせることができる。
【0026】
図2に戻って説明する。音声制御基板106は、入力される音声制御信号に応じてスピーカ116より音声を出力させる。ランプ制御基板107は、入力されるランプ制御信号に応じて、大当たりやリーチ演出用の各種ランプ類23の点灯/消灯を制御する。払出制御基板108は、入力される賞球信号に応じて払出装置118を制御する。これにより、遊技者に対して所定量の賞球が払い出される。発射制御基板109は、遊技者がハンドル7(操作部)を操作することに応じて、該ハンドル7に対応して設けられた発射装置119を作動させる。ハンドル7の操作量に応じて、玉の打出し強さ(玉の飛距離)を調節することが可能となっている。主制御基板100は、CPU50と、プログラム格納用のROM51と、ワークエリアや各種カウンタ等が割り当てられるRAM52と、入出力インターフェース53とを備えており、これらはバスを介して相互通信を行なうようになっている。
【0027】
主制御基板100には、始動入賞口17に併設された始動入賞検出器171、大入賞装置19に設けられた大入賞検出器191およびV入賞検出器193が、入出力インターフェース53を介して電気的に接続されている。各検出器は、有接点式または無接点式のセンサにより構成されるものである。また、可変入賞装置として構成されている大入賞装置19の扉の開閉は、入出力インターフェース53および駆動回路(図示省略)を介して主制御基板100に接続された大入賞ソレノイド192の励磁/非励磁が切り換えられることにより行なわれる。同様に、始動入賞口17を構成する電動チューリップの開閉が、電チューソレノイド172の励磁/非励磁を切り換えることによってなされる。
【0028】
始動入賞口17に玉が入賞すると、併設された始動入賞検出器171で玉の通過が検出され、始動入賞信号が生成される。同様に、大入賞口19に玉が入賞すると大入賞検出器191にて大入賞信号が生成される。これらの入賞信号は主制御基板100に入力される。主制御基板100のCPU50は、始動入賞検出器171から始動入賞信号を取得して、その信号取得タイミング(入力タイミング)に応じて、所定の電気的処理を実行する。その電気的処理は、パチンコ遊技機1に大当たりを発生させるか否かを決定するための大当たり抽選処理と、その大当たり抽選処理の抽選結果を液晶表示部11に導出表示するための表示処理とを含む。
【0029】
主制御基板100のCPU50は、大当たりを発生させるかどうかを決定するための抽選処理を実行する主体をなす(大当たり抽選手段)。さらに、CPU50は、大当たり抽選処理の結果を受けて、液晶表示部11に導出表示するべき図柄を決定する。そして、その決定に基づく表示制御信号(制御コマンド)を表示制御基板105に対して出力する。表示制御基板105は、入力された表示制御信号に応じて、液晶表示部11に図柄、背景等を表示させる。大当たり抽選処理により大当たりを発生させる旨の決定がなされた場合、液晶表示部11には所定時間の画面スクロール等の図柄変動動作を経て最終的に大当たり図柄(図4(c)の例では画面右下の「ZZ」)が導出表示される。
【0030】
表示制御基板105は、主制御基板100から送られてくる制御信号に基づいてRGB信号やシンクロ信号を生成して液晶表示部11に送る。また、変動パターン指定信号(変動開始信号)によって特別図柄の変動が開始され、図柄指定信号および変動停止信号が送信されることにより、液晶表示部11の画面右下に大当たり図柄やハズレ図柄が導出表示されて図柄変動動作が終了する。特別図柄の変動時間は、RAM52の保留玉記憶部に記憶された抽選結果の数等に応じて、主制御基板100にて定められる。表示制御基板105は、その変動時間を守って図柄変動動作を実行する。
【0031】
大当たり抽選処理は、次のような手順で実行することができる。パチンコ遊技機1の遊技制御装置300(具体的には主制御基板100)においては、始動入賞口17に玉が入賞したタイミングに応じてCPU50が乱数生成手段から乱数値を取得し、その乱数値が大当たり乱数に一致するか否かを判定することにより大当たりの抽選を行なっている。通常は、大当たり抽選用カウンタをRAM52の所定領域に設定することで、これを乱数生成手段として用いている。なお、本明細書中に記す“乱数値”とは、決められた範囲の数から等確率で取り出される値のことをいう。
【0032】
大当たり抽選用カウンタは、たとえば「0〜360」といった一定の数値範囲内におけるいずれかの整数値を示し、CPU50に定期リセットがかかる毎に更新され(インクリメントされ)、「360」に到達した後は、再度「0」からカウントアップされるようになっている。大当たり抽選用カウンタは、取り得る乱数値が一定の数値範囲内を循環的に推移するカウンタとして定義される。通常の遊技状態において始動入賞口17に玉が入賞し、その入賞に応じて大当たり抽選用カウンタから乱数値が取得され、その乱数値が予め定められた大当たり乱数、たとえば「7」に一致する場合に大当たりが発生して、先のサイクル遊技が開始される(CPU50:大当たり発生手段)。CPU50の定期リセットは、主制御基板100に設けられた定期リセット回路部(図示省略)を用いて、およそ2msecおきに発生するように設定される。そして、この定期リセットを契機にして、パチンコ遊技機1の動作を制御するためのプログラムを呼び出して実行するようにしている。
【0033】
次に、主制御基板100にて実行される遊技処理について、フローチャートを参照しながら説明する。図5は、表示制御基板105で実行されるべき記録媒体処理のフローチャートである。まず、カードリーダライタ18にゲームカード20が挿入されると、カードリーダライタ18から表示制御基板105のCPU61に、カード挿入信号が入力される。CPU61は、カードリーダライタ18がゲームカード20から読み出した記録内容(履歴データ)を取得する(S11,S12)。
【0034】
ゲームカード20に記録される履歴データは、パチンコ自体の遊技データである累計大当たり回数および累計スタート回数を含む。累計大当たり回数は、遊技者がカードリーダライタ18にゲームカード20を挿入してロールプレイングゲームを行なっている最中に大当たりとなった回数である。累計スタート回数は、遊技者がカードリーダライタ18にゲームカード20を挿入してロールプレイングゲームを行なっている最中に、大当たり抽選処理が実行されて図柄変動動作が行なわれた回数である。また、ロールプレイングゲームに関する履歴データは、登場キャラクタの特性(レベル、職業、経験値など)、現在位置、所持アイテムなど、ゲームの中断および再開を可能にするデータを含む。
【0035】
ゲームカード20から履歴データが読み出されることによってゲームスタート画面が表示され、ロールプレイングゲームが前回の続きから再開される(S13)。なお、ゲームカード20に履歴データが記憶されていない場合、つまり初回遊技の場合には、登場キャラクタの名前の設定や、職業の設定等を行なう、ロールプレイングゲームの一般的な初期設定プログラムが実行される。また、ゲームカード20から読み出された履歴(遊技データ)が、図4(a)のごとく液晶表示部11に表示される。液晶表示部11には、累計大当たり回数31、累計スタート回数33、現在のステージとレベル35が画面上方に、保留玉41および特別図柄39が画面下方に、ゲーム画像37とともに表示される(S14)。たとえば、主人公キャラクタのレベルに応じて、演出内容が変化するようにしてもよい。その演出内容には、たとえば、主人公キャラクタが行動しているフィールド(城、洞窟、平原、海、塔など)を示せる。
【0036】
また、表示制御基板105のCPU61は、カードリセット信号をカードリーダライタ18(またはゲーム操作部16)から取得することに応じて、カードリーダライタ18に挿入されているゲームカード20に、その時点の履歴データを記録する(S15,S16)。データの更新が終了したら、カードリーダライタ18にゲームカード20を排出命令が送られる(S17)。カードリーダライタ18からゲームカード20が排出されると、通常のパチンコ遊技機としての画面(ステージ1の画面)に切り替わる(S18)。このようにして、ロールプレイングゲームの非実行中でも、ゲーム中の画面が表示される。ただし、ステージの種類などは、ロールプレイングゲームの実行時と非実行時に共通のキャラクタROM67(図3参照)に格納されているものであり、ロールプレイングゲームの実行時に比べて制限されるようにしている。
【0037】
次に、図6に示すのは、RPGデータ更新処理のフローチャートである。まず、カードリーダライタ18にゲームカード20が挿入中であるか否か、図柄変動が確定したか否かを判断する(S21,S22)。図柄変動は、主制御基板100から送られてくる図柄変動開始信号の取得に応じて開始され、この開始に応じてゲーム操作部16の入力操作が有効化される。表示制御基板105のCPU61は、ゲーム操作部16の有効/無効を、RAM63を用いて管理する。図柄変動の開始後、さらに図柄指定信号および図柄変動停止信号を取得したら、図柄変動確定であるとともに、ゲーム操作部16の入力操作が無効に切り替わる。図柄変動確定である旨を確認した後、累計スタート回数をインクリメントする(S23)。累計スタート回数が、予め定めた値(たとえば10の倍数)に一致する場合、ロールプレイングゲームのステージ更新を行なう(S25)。ロールプレイングゲームのステージとは、主人公キャラクタが行動しているフィールド(城、洞窟、平原、海、塔など)である。また、ロールプレイングゲームの実行中において、累計大当たり回数や累計スタート回数は、RAM63を用いて管理される。また、大当たり発生の場合には、累計大当たり回数をインクリメントするとともに、図4(c)に示すごとく、主人公キャラクタのレベルを更新(レベルアップ)をする(S26〜S28)。もちろん、累計スタート回数のみ、あるいは累計スタート回数と大当たり回数の両方に応じてレベルアップが図られるようにしてもよい。なお、ロールプレイングゲームの非実行時には、大当たりが発生しても、主人公キャラクタのレベルアップ等は行なわれない。
【0038】
次に、図7に示すのは、RPG操作処理のフローチャートである。カードリーダライタ18にゲームカード20が挿入中であるか否か、図柄変動中か否か判断する(S31,S32)。図柄変動中の場合には、ゲーム操作部16の操作が有効化されているので、S34に進み、ゲーム操作部16の操作が行なわれたか否か判断する(S34)。ゲーム操作部16の操作が行なわれた場合には、RPG画像表示処理を行なう(S35)。RPG画像表示処理は、図4(a)に示すごとく、遊技者の操作通りに主人公キャラクタを移動させたり、図4(b)に示すごとく、敵キャラクタとの戦闘場面で命令を選択したり、アイテムを獲得したりすることに伴う表示処理とされる。
【0039】
なお、ロールプレイングゲームのようなビデオゲームの要素を取り入れることができる他種類の遊技機として、スロットマシンを例示できる。スロットマシンの場合には、たとえば、一定数量のメダルが投入されることに応じて、ロールプレイングゲームの操作にかかるゲーム操作部を有効化することができる。あるいは、パチンコ遊技機1の場合と同様に、図柄変動中(リール変動中)に限り、ゲーム操作部を有効化するようにしてもよい。
【0040】
また、図2のハードウェア構成によれば、ロールプレイングゲームの結果がパチンコ遊技に影響を及ぼすことがないが、ロールプレイングゲームの結果がパチンコ遊技に影響を及ぼすようにしてもよい。すなわち、表示制御基板105がロールプレイングゲームの結果や進行状況に関する信号を主制御基板100へ送信し、主制御基板100がその信号を受けてパチンコ遊技の制御を変化させるようにしてもよい。たとえば、ロールプレイングゲームの進行状況に応じて大当たり抽選確率(当選確率)を変化させたり、あるいは賞球個数を変化させたりすること等が考えられる。
【0041】
また、ハンドル7を操作しなくても玉を一定強度・一定間隔で発射することが可能な自動発射モードを設けるようにしてもよい。具体的には、図2の発射制御基板109に、ハンドル操作なしで発射装置119を作動させる手段を設けることができる。たとえば、ゲーム操作部16とともに、自動発射モード選択用のスイッチを設けておき、このスイッチがオンされたら、ハンドル操作がされていなくても、玉が発射されるような構成を採用すると好適である。このようにすれば、ロールプレイングゲームの操作に集中することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明のパチンコ遊技機の正面模式図。
【図2】図1のパチンコ遊技機の構成を示すブロック図。
【図3】表示制御基板のブロック図。
【図4】液晶表示部の表示例。
【図5】記録媒体処理のフローチャート。
【図6】RPGデータ更新処理のフローチャート。
【図7】RPG操作処理のフローチャート。
【符号の説明】
【0043】
1 パチンコ遊技機
11 液晶表示部(表示手段、第二表示手段)
16 ゲーム操作部
18 カードリーダライタ
20 ゲームカード(記録媒体)
50 CPU(抽選手段)
61 CPU(ゲームプログラム実行手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の始動条件の成立に応じて遊技者にとって有利な特別状態を発生させるか否かを決定するための抽選処理を行ない、その抽選処理の結果を図柄変動により表示する遊技機において、前記抽選処理と並行してプログラムが実行されるビデオゲームの画像を表示する表示手段と、前記表示手段に表示されるキャラクタの操作および/または前記表示手段に表示される命令を選択するための操作手段とを備え、前記表示手段で図柄変動が実行されている最中または一定数量の遊技媒体が消費された場合に限り前記操作手段を有効化し、その操作手段で行なわれる操作および前記抽選結果に応じて前記ビデオゲームを進行するように構成されていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
所定の始動条件の成立に伴って遊技者にとって有利な特別状態を発生させるか否かを決定するための抽選処理を実行する抽選手段と、
前記抽選結果を図柄変動により表示する表示手段と、
前記抽選処理を含む当該遊技機のプログラムと並行して、ビデオゲームのプログラムを実行するゲームプログラム実行手段と、
前記ビデオゲームの画像を表示するために、前記表示手段に兼用されたまたは前記表示手段とは別に設けられた第二表示手段と、
前記第二表示手段に表示されるキャラクタの操作および/または前記第二表示手段に表示される命令を選択するため、前記表示手段で図柄変動が実行されている最中または一定数量の遊技媒体が消費された場合に限り有効化される操作手段と、を備え、
前記ゲームプログラム実行手段は、前記操作手段の操作および前記抽選結果に応じて、前記ゲームプログラムを実行することを特徴とする遊技機。
【請求項3】
前記ビデオゲームの種類がロールプレイングゲームであることを特徴とする請求項1または2記載の遊技機。
【請求項4】
記録媒体に前記ロールプレイングゲームの進行状況を特定するための履歴データを書き込むとともに、前記記録媒体に記録された前記履歴データを読み込むリーダライタをさらに備え、
前記ゲームプログラム実行手段は、前記リーダライタから前記履歴データを受け取って前記ロールプレイングゲームを前回終了状態から再開することを特徴とする請求項3記載の遊技機。
【請求項5】
前記遊技機がパチンコ遊技機であり、
前記前記特別状態が大当たりであり、
前記履歴データは、当該パチンコ遊技機と同一機種での遊技履歴としての、大当たり回数および前記抽選処理の実行回数を特定する遊技データを含み、
前記プログラム実行手段は、前記大当たり回数および/または前記抽選処理の回数が予め定められた閾値に達した場合に、前記ロールプレイングゲームに登場中の主人公キャラクタの成長度合いを示すレベルを上昇させることを特徴とする請求項4記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−136498(P2006−136498A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−328387(P2004−328387)
【出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【出願人】(000108937)ダイコク電機株式会社 (893)
【Fターム(参考)】