説明

遊技機

【課題】球の挙動を注視する遊技者の負担を軽減し、長時間の遊技でも目の疲労を少なく抑えることのできる遊技機を提供する。
【解決手段】入賞口25に向かう球の通り道の適所に球検知センサ51、22a〜22c、23bを配置する。入賞口25へ球が入る可能性の高低を表示するための期待度表示部60を設け、球検知センサ51、22a〜22c、23bの検知状態に基づいて、期待度表示部60の表示状態を変化させる。たとえば、始動口25に近い球検知センサが球を検知するほど期待度を高く表示する。また、単位時間に検知された球の個数が多いほど、期待度を高く表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発射した球を遊技盤に配された入賞口へ入賞させるように遊技するパチンコ機などの遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の遊技機では、遊技者は、発射した球が目的の入賞口に入賞することを期待して遊技を行なっている。そのため、遊技者は、発射された球が釘などに衝突しながら遊技盤面を流下する状況を注視して遊技しており、遊技が長時間に渡ると目の疲労が大きくなる傾向にあった。また、初心者においては、球がどのような経路で流下しているかを正確に見極めることが難しかった。
【0003】
そこで、釘や障害物に、球の衝突を検知するセンサと発光部とを設け、球が衝突した釘の頭部や球の衝突した障害物を発光させるようにした遊技機が提案されている(たとえば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2002−282449号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の技術では、球が衝突した釘や障害物を発光させるので、球が衝突した釘や球が流下した軌跡を、光を頼りに確認することができる。しかしながら、球の衝突した箇所が球の動きと同時に発光するだけなので、球自体を追いかけるのか発光箇所を追いかけるのかの違いはあっても、複雑な動きをリアルタイムに目で追いかける作業に変わりは無い。このため、球の挙動を注視する遊技者の負担を充分に軽減することはできなかった。
【0006】
本発明は、上記の問題を解決しようとする課題にするものであり、球の挙動を注視する遊技者の負担を軽減し、長時間の遊技でも目の疲労を少なく抑えることのできる遊技機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係わる発明は、発射した球を遊技盤に配された入賞口(25、27など)へ入賞させるように遊技する遊技機において、
入賞口(25、27など)に向かう球の通り道に配置した球検知センサ(40、22a〜22cなど)と、
前記入賞口(25、27など)へ球が入る可能性の高低を表示するための表示手段(60、370、380)と、
前記球検知センサ(40、22a〜22cなど)の検知状態に基づいて、前記表示手段(60、370、380)の表示状態を変化させる制御手段(170)と
を有する
ことを特徴とする遊技機である。
【0008】
上記発明によれば、入賞口(25、27など)に向かう球の通り道に設けた球検知センサ(40、22a〜22cなど)の検知状況に基づいて、入賞口(25、27など)へ球が入る可能性の高低が表示される。入賞の可能性の高低を直接表示するので、遊技者はこの表示を見るだけで、球の動きを実際に目で追うことなく、入賞への期待感を得ることができる。
【0009】
可能性の高低の表示は、レベルメータ、ランプの点灯数、メッセージ、効果音の種類や音階、音量など各種の方法またはそれらの組み合わせで表示することができる。
【0010】
球検知センサ(40、22a〜22cなど)は、入賞への可能性を大きく左右する重要な箇所にのみ配置してもよいし、入賞口(25、27など)に入賞する可能性のある様々な通り道の各所に配置してもよい。
【0011】
請求項2に係わる発明は、前記球検知センサとして、第1球検知センサ(51または22aまたは22b)と、この第1球検知センサ(51または22aまたは22b)より前記入賞口(25、27など)に近い箇所に配置した第2球検知センサ(23b、22c)とを設け、
前記制御手段(170)は、前記第2球検知センサ(23b、22c)が球を検知したとき、前記第1球検知センサ(51または22aまたは22b)が球を検知した場合に比べて、前記入賞口(25、27など)へ球が入る可能性を高く表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機である。
【0012】
上記発明によれば、球が入賞口(25、27など)に近づくほど、入賞の可能性が高く表示される。
【0013】
請求項3に係わる発明は、前記制御手段(170)は、単位時間に前記球検知センサ(40、22a〜22cなど)が検知した球の個数を計数し、前記計数した個数が多いほど、前記入賞口(25、27など)へ球が入る可能性を高く表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機である。
【0014】
上記発明によれば、単位時間に球検知センサ(40、22a〜22cなど)が検知した球の個数が多いほど、入賞の可能性が高く表示される。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係わる遊技機によれば、入賞口に向かう球の通り道に設けた球検知センサの検知状況に基づいて、入賞口へ球が入る可能性の高低を表示するので、遊技者は、実際に球の動きを目で追うことなく、入賞への期待感を得ることができる。これにより、球の挙動を注視する遊技者の負担を軽減し、長時間の遊技でも遊技者の目の疲労を少なく抑えることができる。
【0016】
複数の球検知センサを設け、球が入賞口に近づくほど、入賞の可能性を高く表示するものでは、実際の球の動きに連動した表示内容が実現される。
【0017】
単位時間に球検知センサが検知した球の個数が多いほど、入賞の可能性を高く表示するものでは、入賞の可能性の高低を統計的に表わすので、個々の球の動きに対応した表示に比べて表示内容の変化がゆるやかになり、可能性の高低を見やすく表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態に係わる遊技機10を示す正面図である。遊技機10は、一般にパチンコ機と称される装置であり、遊技者の発射操作により球が打ち出されることで遊技が進行する遊技機本体10aと、これに付設され、有価価値カードの挿入により球を貸し出すカードユニット(CR球貸機)10bとから構成されている。
【0020】
遊技機本体10aは、遊技者の発射操作によって打ち出された球が移動しながら落下する遊技領域11を含む遊技盤12を有している。遊技盤12の下方には、貸出球や払出球を貯留する上受け皿13が設置され、さらにその下方には上受け皿13から溢れた球を貯留する下受け皿14が設置されている。下受け皿14の右横には、球の発射操作を行なうためのハンドル15が設けてある。
【0021】
図2は、遊技機10の遊技盤12を示している。遊技領域11には、発射されたパチンコ球(以下、単に球と記す)を遊技領域11へ導くための誘導レール21と、遊技領域11を流下する球の流れに変化を与える多数の釘22や風車23が配置されている。遊技領域11の中央には、液晶ディスプレイ等で構成された特賞用役物としての可変表示装置24がある。可変表示装置24はセンターケース35に収められている。センターケース35の下方には始動口25が設けてある。
【0022】
始動口25に球が入賞することで、可変表示装置24で実行される可変表示の実行権が確保される。たとえば、可変表示として、表示領域上で複数種類の各種図柄(識別情報)がスクロール変動し、いわゆるスロットル遊技のように「777」など同一数字が揃う表示結果が確定すると当たりになる表示遊技が実行される。可変表示の表示結果が当たりになると、所定の遊技価値を遊技者に付与する特定遊技状態が発生する。
【0023】
このほか、遊技領域11には、左右に配置された袖入賞口27、通過ゲート28、普通図柄表示装置29、左右に配置された落し入賞口31などが設けてある。遊技領域11の最下部には、いずれの入賞口にも入らずに流下した球を、遊技機外に排出するためのアウト口33が設けてある。入賞口25、26、27、31に球が入賞すると所定数の球が賞球として払い出される。
【0024】
通常、遊技者は、可変表示の実行権が得られる始動口25への入賞を狙って球を発射する。始動口25に入賞する球の代表的な通り道は、図2の矢印34が示すような経路になる。なお、始動口25への入賞経路は他にもある。
【0025】
始動口25へ向かう球の代表的な通り道34の各所には、球の通過を検知する球検知センサが設けてある。図3は、球検知センサ40の一例を示している。球検知センサ40は、遊技盤12の表面に設けた導電性のセル盤41と、導電性の釘22とを検知電極として構成されている。セル盤41は接地してある。釘22は、抵抗器42を介して電源に接続されている。抵抗器42と釘22との接続箇所は球検知信号45の出力箇所になっている。
【0026】
セル盤41には、遊技盤12に立設された釘22の根元部分とセル盤41とが直接接触しないようにするために、釘22の根元を中心に穴43が開設してある。この穴43の半径は、球44の半径より短く設定してあり、球44が釘22に衝突したとき、導電性の球44を介して釘22とセル盤41とが短絡し、球検知信号45が出力されるようになっている。球検知信号45は、常時は電源と同じ電位で、球を検知したときのみ接地電位に変化する。
【0027】
図4は、球検知センサの配置箇所の一例を示している。球検知センサは、図2の矢印34で表わす球の通り道に、4つの領域に分けて設けてある。第1検知領域Aは、誘導レール21の出口付近にあり、発射された球が必ず通る箇所である。第1検知領域Aでは、球戻り防止片51が球検知センサをなしている。
【0028】
第2検知領域Bは、遊技盤12の上部中央に並ぶ5本の天釘と呼ばれる箇所の左端周辺にあり、左端の天釘とその左隣の釘との2本の釘22aがそれぞれ球検知センサになっている。第3検知領域Cは、左上風車23aの下方にあり、4本の釘22bのそれぞれが球検知センサになっている。第4検知領域Dは、左下風車23bから始動口25へ向かう箇所にあり、風車23bとその右下方に並ぶ5本の釘22cとがそれぞれ球検知センサになっている。第1検知領域Aは始動口25から最も遠く、第2検知領域B、第3検知領域C、第4検知領域Dの順で次第に始動口25に近い配置になっている。
【0029】
図5は、期待度表示部60の一例を示している。期待度表示部60は、入賞口へ球が入る可能性の高低を表示するための表示手段である。ここでは、期待度表示部60はセンターケース35の下部に設けてあり、そのすぐ下方に配置された始動口25への球の入賞可能性の高低を表示するようになっている。
【0030】
期待度表示部60は、7個のLED61〜67で構成されている。左右両端のLED61、67は期待度レベル1を示す。その内側のLED62、66は期待度レベル1より入賞の可能性が高い期待度レベル2を示す。さらにその内側のLED63、65は期待度レベル2より入賞の可能性が高い期待度レベル3を示す。中央のLED64は最も高い期待度レベル4を示す。また、左側のLED61〜63は、遊技盤12の左側遊技領域を通る球に対する期待度を示す。右側のLED65〜67は、遊技盤12の右側遊技領域を通る球に対する期待度を示す。中央のLED64は、左右の遊技領域に共通である。なお、左右の経路で別々に期待度を表示する場合は、図4の第2検知領域B、第3検知領域C、第4検知領域Dに相当する検知領域をセンターケース35の右側にも設けると良い。
【0031】
このほか、入賞の可能性の高低を、可変表示装置24の表示領域を使用して表示してもよい。図5では、「入りやすいよ!」などのメッセージ68で入賞の可能性を表示する例と、レベルメータ69で表示する例を示してある。
【0032】
図6は、遊技機本体10aの制御に用いる各種制御基板およびそれに関連する構成要素を示している。制御基板には、主基板100、表示器制御基板110、払出制御基板120、ランプ制御基板130、音声制御基板140、発射制御基板150、電源基板160、センサ制御基板170などがある。
【0033】
このうち主基板100は、遊技機10全体の動作を制御する機能を果たす。主基板100は、図示省略のCPU(中央処理装置)、ROM(リード・オンリ・メモリ)、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)を主要部として構成されている。主基板100は、各入賞口に設けたスイッチ191から球の入賞検知信号が入力されると、賞球数を演算し、払出個数を表わした賞球データを払出制御基板120に出力する機能を果たす。
【0034】
また、始動口25から入賞検知信号が入力されると、乱数値を取得し、可変表示装置24で実行する可変表示の表示結果を「当たり」と「外れ」のいずれにするかをこの乱数値に基づいて決定する。さらに、この決定に基づいて可変表示の遊技演出の種類(変動パターン)と、表示結果を構成する図柄の種類(停止図柄・確定図柄)を決定し、これらを可変表示の制御データとして表示器制御基板110、ランプ制御基板130、音声制御基板140へ出力する機能を果たす。可変表示の表示結果が当たりの場合には、大入賞口26を動作させるためのソレノイド192を制御して、特定遊技状態を生成する機能を果たす。
【0035】
さらに主基板100は普通図柄作動ゲート28から球の通過検知を表わす信号が入力された場合にも乱数値を取得し、普通図柄表示装置29で実行する可変表示の表示結果を「当たり」と「外れ」のいずれにするかをこの乱数値に基づいて決定する。この決定結果に従い、普通図柄表示装置29のLEDの点灯を制御して可変表示を実行する。可変表示の結果が当たりの場合は、始動口25の可動片を一時的に開状態に制御し、球が入賞し易い状態を生成するようになっている。
【0036】
表示器制御基板110は、主基板100から受信した制御データに基づいて可変表示装置24で可変表示を実行する機能を果たす。
【0037】
払出制御基板120は、主基板100から受信した賞球データに基づいて球を払い出す動作の制御と、カードユニット10bからの指示に基づいて貸出球を払い出す動作の制御とを行なう。
【0038】
ランプ制御基板130は、主基板100からの制御データや点灯指示に基づいて遊技機状態ランプや装飾ランプの点灯制御を行なう機能を果たす。
【0039】
音声制御基板140は、主基板100から送られてくる制御データに基づいて、演出用の効果音や音声等の出力制御を行なう。また、異常状態を知らせるための警告音等の制御を行なう。
【0040】
発射制御基板150は、球を遊技盤12へ発射する発射モータをハンドル15の操作に基づいて発射制御する機能を果たす。
【0041】
電源基板160は、各制御基板やその他の電気部品に対してそれぞれに応じた電圧の電源を供給する機能を果たす。
【0042】
センサ制御基板170は、各球検知センサ40、51、22a〜22c、23bの検知状態に応じて期待度表示部60の表示状態を制御する制御手段としての機能を果たす。図7は、センサ制御基板170の構成を示している。センサ制御基板170は、CPU171と、クロック発振器172と、デコーダ回路173と、波形整形回路174a〜174dとで構成される。波形整形回路174a〜174dは、入賞口に入賞する球の通り道に設けられた各球検知センサ40、51、22a〜22c、23bから入力される球検知信号の波形整形を行なう回路である。
【0043】
ここでは、波形整形回路174aには、図4の第1検知領域Aの球検知センサ51などが、波形整形回路174bには第2検知領域Bの球検知センサ22aなどが、波形整形回路174cには第3検知領域Cの球検知センサ22bなどが、波形整形回路174dには第4検知領域Dの球検知センサ23b、22cなどが接続されている。
【0044】
CPU171には波形整形回路174a〜174dの出力がデータバスを介して入力される。デコーダ回路173はCPU171が出力するアドレス信号をデコードして波形整形回路174a〜174dの選択信号を生成する。この信号で選択された波形整形回路のみがデータバスに波形整形後の球検知信号を出力する。CPU171には期待度表示部60を構成するLED61〜67が接続されている。
【0045】
図8は、球が始動口25に近づくに従って入賞の可能性を高く表示するための表示処理の一例を示している。図4の第1検知領域Aで球を検知すると(ステップS201;Y)、期待度レベル1のLED61(図5参照)を点灯する(ステップS202)。これと同時にタイマをスタートさせる(ステップS211)。このタイマは球の打ち出される最小間隔よりわずかに短く設定する。たとえば、1分間に最大100発の球を発射する場合は、600msが最小間隔になるので、599msをタイマセットする。
【0046】
第2検知領域Bで球を検知すると(ステップS203;Y)、期待度レベル2のLED62を点灯し、期待度レベル1のLED61を消灯する(ステップS204)。その後、第3検知領域Cで球を検知すると(ステップS205;Y)、期待度レベル3のLED63を点灯し、期待度レベル2のLED62を消灯する(ステップS206)。さらに第4検知領域Dで球を検知すると(ステップS207;Y)、期待度レベル4のLED64を点灯し、期待度レベル3のLED63を消灯する(ステップS208)。
【0047】
上記の処理により、入賞の可能性が高まるにつれて、期待度レベルの低いLEDから期待度レベルの高いLEDへと点灯箇所が移動するように表示される。なお、入賞の可能性が高まるにつれて、期待度レベルの高いLEDが順次追加点灯して点灯箇所が増加するようにしてもよい。
【0048】
ステップS202からステップS208の処理の実行中または実行後に、先のタイマがタイムアップすると(ステップS212;Y)、すべての期待度レベルのLED61〜64を消灯して処理を終了する。
【0049】
このような点灯制御を行なうことで、実際の球の動きに対応した期待度レベルの表示が行なわれる。
【0050】
図9は、単位時間に検知された球の個数に応じて入賞の可能性の高低を表示するための表示処理の一例を示している。ここでは、第4検知領域Dの球検知センサ54、55の検知だけを対象に処理を進めるものとする。なお、他の検知領域を検知対象に含めてもよい。
【0051】
球検知センサで検知される球の計数処理を開始する(ステップS221)。これと同時に単位時間を計るためのタイマをスタートさせる(ステップS222)。このタイマは、たとえば、2秒に設定される。
【0052】
タイマがタイムアップすると(ステップS223;Y)、その時点の計数値が2以上(2回以上球を検知した)か否かを判定する(ステップS224)。計数値が2以上の場合は(ステップS224;Y)、最も高い期待度レベル4のLED64が既に点灯しているか否かを調べる(ステップS225)。
【0053】
期待度レベル4のLED64が点灯していない場合は(ステップS225;N)、現時点で点灯している最も高い期待度レベルより1段階高い期待度レベルのLEDを追加点灯する(ステップS226)。その後、ステップS221に戻り、計数値をリセットし、改めて計数を開始する。最も高い期待度レベル4のLED64が既に点灯している場合は(ステップS225;Y)、その期待度レベルの点灯状態を維持したままステップS221に戻り、計数値をリセットした後、改めて計数を開始する。
【0054】
計数値が2未満の場合は(ステップS224;N)、現時点で点灯している最も高い期待度レベルのLEDを消灯する(ステップS227)。その後、ステップS221に戻り、計数値をリセットし、改めて計数を開始する。
【0055】
上記の処理により、単位時間に2回以上の検知がある状態が継続すると、期待度表示部60に表示される期待度レベルが次第に高まり、単位時間に2回未満の検知が続くと、次第に期待度レベルが低く表示される。
【0056】
次に、各種の球検知センサを説明する。
図10に示す球検知センサ300は、ショックセンサ301と釘302とから構成される。釘302はその先端が遊技盤12を貫通して裏面に突出するように打ち付けてあり、遊技盤12の裏面に突出した釘302の先端にショックセンサ301が取り付けてある。ショックセンサ301は、釘302に球304が衝突した衝撃を検知して球検知信号303を出力する。
【0057】
図11に示す球検知センサ310は、隣接する2本の釘311、312を球検知用の電極として使用している。釘311は接地され、他方の釘312は抵抗器313を介して電源に接続されている。抵抗器313と釘312との接続箇所が球検知信号314の出力箇所になる。釘311と釘312との間に導電性を備えた球315が衝突してこれらの2本の釘311、312が短絡すると、球検知信号314が出力される。球検知信号314は、常時は電源電位で、球を検知したときのみ接地電位に変化する。
【0058】
図12に示す球検知センサ320は、釘321と、その根元周囲の盤面に設けた絶縁部322と、絶縁部322の周囲に設けた電極部323とから構成される。同図(a)は、遊技盤12の正面から球検知センサ320を見た様子を示している。釘321は、抵抗器324を介して電源に接続されている。釘321と抵抗器324との接続箇所が球検知信号325の出力箇所になっている。
【0059】
絶縁部322の半径は、球326の半径より短く設定してあり、球326が釘321に衝突したとき、導電性の球326を介して釘321と電極部323とが短絡し、球検知信号325が出力される。球検知信号325は、常時は電源電位で、球を検知したときのみ接地電位に変化する。
【0060】
図13に示す球検知センサ330は、球339がどの方向から衝突したかを検知することができる。同図(a)は、遊技盤12の正面から球検知センサ330を見た様子を示している。球検知センサ330は、釘331と、その根元周囲の盤面に設けた絶縁部332と、絶縁部332の周囲半周部分に設けた第1電極部333と、これと僅かに離して残りの半周部分に設けた第2電極部334とから構成される。
【0061】
釘331は接地されている。第1電極部333は第1抵抗器335を介して電源に接続されている。第1電極部333と第1抵抗器335との接続箇所が第1球検知信号336の出力箇所になっている。第2電極部334は第2抵抗器337を介して電源に接続されている。第2電極部334と第2抵抗器337との接続箇所が第2球検知信号338の出力箇所になっている。
【0062】
絶縁部332の半径は、球339の半径より短く設定してあり、球339が第1電極部333側から釘331に衝突すると、導電性の球339を介して釘331と第1電極部333とが短絡して第1球検知信号336が出力される。一方、球339が第2電極部334側から釘331に衝突すると、導電性の球339を介して釘331と第2電極部334とが短絡して第2球検知信号338が出力される。
【0063】
このような球検知センサを用いると、球がどの方向から釘に衝突したかに依存して期待度の高め方を変更することができる。また、球検知センサに球がどの方向から衝突したかに応じて、入賞の期待度を示すLEDの発光色を変化させてもよい。
【0064】
図14に示す球検知センサ340は、遊技盤12の盤面をなすセル盤341に2つの電極342、343を極近接配置した構成になっている。2つの電極342、343の上を導電性の球344が通るとき、球344によって2つの電極342、343が短絡して球が検知される。
【0065】
図15は、いわゆるステージ351に設けた球検知センサ350の一例を示している。ステージ351は、たとえば、センターケース35の下部などに設けられ、図4の第4検知領域Dにある釘に衝突した球が跳ね上がってステージ351の上に乗り、端部まで転がって始動口25へと落下するように構成されている。
【0066】
球検知センサ350は、ステージ351の上面に一列に配置された多数の電極352を有している。多数の電極352は左端から奇数番目のものが接地してある。偶数番目のものは、それぞれ独立に抵抗器353を介して電源に接続されており、偶数番目の電極毎に球検知信号354が出力されるようになっている。球355がステージ351の上を移動するに伴って、異なる球検知信号354が順に出力される。これにより、期待度表示部に表示する期待度レベルを球355の動きに応じて変化させることが可能になる。
【0067】
図16は、球の誘導路361に設置した球検知センサ360を示している。誘導路361は断面円形または断面円弧状の内壁を備えた通路であり、その内壁面には、同一円周上に離れて配置された一対の電極362が誘導路361の軸方向に間隔を空けて複数組配置されている。一対の電極362は、その配置箇所を通る導電性の球363によって短絡されて、球の通過を検知する。誘導路361に一対の電極362を複数組設けてあるので、誘導路361の中で球363が移動する状況を検知できる。
【0068】
次に、入賞の可能性の高低(期待度レベル)を表示する各種の期待度表示部を説明する。図17は、始動口25に設けた期待度表示部370の一例を示している。期待度表示部370は、7個の期待度LED371〜377で構成されている。期待度レベルの表示態様は図5に示した期待度表示部60と同様であり、その説明は省略する。
【0069】
図18は、入賞口の近くに設けた期待度表示部を示している。同図には、袖入賞口27へ球が入賞する可能性の高低(期待度レベル)を表示するため期待度表示部380を2種類示してある。
【0070】
一方の期待度表示部380aは、遊技盤12の盤面に複数のLED381を配置したものである。LED381は、袖入賞口27へ入賞する直前の球の通り道に配置されている。他方の期待度表示部380bは、袖入賞口27の近傍であって遊技盤12の盤面以外に複数のLED382を配置したものである。いずれの期待度表示部380a、380bにおいても、袖入賞口27に近いLEDが点灯するほど高い期待度を表わすように構成される。
【0071】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0072】
たとえば、球検知センサは、実施の形態で例示したものに限らず、光センサなど他の検知方式を使用するものでもかまわない。また球検知センサの取り付け箇所は、釘に限らず、風車や役物など、遊技盤12に取り付ける部品であって球の衝突する可能性があるものであればよい。また、球の通過を検知するセンサ(たとえば、電極)を遊技盤12の盤面に設ける構成でもよい。
【0073】
実施の形態では、複数箇所に球検知センサを設けたが、いわゆる命釘など、入賞に大きく影響する要所にだけ球検知センサを設けてもよい。
【0074】
期待度レベルの表示方法は、光、音、電飾など各種の表示方法を組み合わせてもよい。音の場合、音量、音階などで期待度の高低を表わすとよい。また、期待度レベルの表示は、始動口25への入賞の期待度に限らず、左右の袖入賞口27、落し入賞口31などいずれの入賞口への入賞に対する期待度であってもよいし、複数の入賞口について期待度レベルを表示してもよい。
【0075】
このほか、実施の形態では、期待度レベルを表示するための複数のLEDをセンターケース下部や入賞口近傍に集めて期待度表示部としたが、期待度レベルを表示するための複数のLEDを遊技盤12の各所に適宜分散して配置してもよい。これにより、それらLEDの点灯が単なる期待度レベルの表示に留まらず、演出効果や装飾効果を発揮する。この場合、演出効果・装飾効果をより高めるために、1つの期待度レベルに対して複数のLEDを設けたり、期待度レベル毎に点灯方法(点滅、流れるように点灯させるなど)を切り替えたりしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施の形態に係わる遊技機を示す正面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係わる遊技機の遊技盤の一例を示す正面図である。
【図3】釘とセル盤とを電極とした球検知センサの一例を示す説明図である。
【図4】球検知センサの配置箇所の一例を示す説明図である。
【図5】期待度表示部の一例を示す正面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係わる遊技機の回路構成全体を示すブロック図である。
【図7】センサ制御基板回路構成全体を示すブロック図である。
【図8】球が入賞口に近づくに従って入賞の可能性を高く表示する表示処理を示す流れ図である。
【図9】単位時間に検知された球の個数に応じて入賞の可能性の高低を表示する表示処理を示す流れ図である。
【図10】ショックセンサを利用した球検知センサの一例を示す説明図である。
【図11】一対の釘を検知電極にした球検知センサの一例を示す説明図である。
【図12】釘とその周辺のセル盤とを電極にした球検知センサの一例を示す説明図である。
【図13】球の到来方向を判別可能な球検知センサの一例を示す説明図である。
【図14】遊技盤の盤面に近接配置した一対の電極で構成される球検知センサの一例を示す説明図である。
【図15】ステージに設けた球検知センサの一例を示す説明図である。
【図16】誘導路に設けた球検知センサの一例を示す説明図である。
【図17】始動口に設けた期待度表示部の一例を示す説明図である。
【図18】普通図柄表示装置の近傍に設けた期待度表示部を例示した説明図である。
【符号の説明】
【0077】
A…第1検知領域
B…第2検知領域
C…第3検知領域
D…第4検知領域
10…遊技機
11…遊技領域
12…遊技盤
13…上受け皿
14…下受け皿
15…ハンドル
21…誘導レール
22…釘
22a、22b、22c…球検知センサの機能を有する釘
23、23a…風車
23b…球検知センサの機能を有する風車
24…可変表示装置
25…始動口
26…大入賞口
27…袖入賞口
28…通過ゲート
29…普通図柄表示装置
31…落し入賞口
33…アウト口
34…始動口に入賞する球の代表的な通り道を示す矢印
35…センターケース
40…球検知センサ
41…セル盤
42…抵抗器
43…穴
44…球
45…球検知信号
51…球検知センサの機能を有する球戻り防止片
60…期待度表示部
61〜67…LED
68…メッセージ
69…レベルメータ
100…主基板
110…表示器制御基板
120…払出制御基板
130…ランプ制御基板
140…音声制御基板
150…発射制御基板
160…電源基板
170…センサ制御基板
171…CPU
172…クロック発振器
173…デコーダ回路
174a〜174d…波形整形回路
300…球検知センサ
301…ショックセンサ
302…釘
303…球検知信号
304…球
310…球検知センサ
311、312…隣接する2本の釘
313…抵抗器
314…球検知信号
315…球
320…球検知センサ
321…釘
322…絶縁部
323…電極部
324…抵抗器
325…球検知信号
326…球
330…球検知センサ
331…釘
332…絶縁部
333…第1電極部
334…第2電極部
335…第1抵抗器
336…第1球検知信号
337…第2抵抗器
338…第2球検知信号
339…球
340…球検知センサ
341…セル盤
342、343…2つの電極
344…球
350…球検知センサ
351…ステージ
352…多数の電極
353…抵抗器
354…球検知信号
355…球
360…球検知センサ
361…誘導路
362…一対の電極
363…球
370…期待度表示部
371〜377…期待度LED
380a、380b…期待度表示部
381、382…LED

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発射した球を遊技盤に配された入賞口へ入賞させるように遊技する遊技機において、
入賞口に向かう球の通り道に配置した球検知センサと、
前記入賞口へ球が入る可能性の高低を表示するための表示手段と、
前記球検知センサの検知状態に基づいて、前記表示手段の表示状態を変化させる制御手段と
を有する
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記球検知センサとして、第1球検知センサと、この第1球検知センサより前記入賞口に近い箇所に配置した第2球検知センサとを設け、
前記制御手段は、前記第2球検知センサが球を検知したとき、前記第1球検知センサが球を検知した場合に比べて、前記入賞口へ球が入る可能性を高く表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記制御手段は、単位時間に前記球検知センサが検知した球の個数を計数し、前記計数した個数が多いほど、前記入賞口へ球が入る可能性を高く表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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