説明

遊技機

【課題】球噛みの発生頻度が低い遊技機を提供する。
【解決手段】球通路29は、受け皿から発射装置30へ遊技球56を流下させる。発射装置30への上流側には、球送り装置31が配置されており、この球送り装置31のスプロケット61によって発射装置30へ遊技球が1球ずつ送り込まれる。スプロケット61と発射装置30は所定間隔空けて配置されている。発射装置30とスプロケット61との間には、第1排出部62が設けられている。第1排出部62は、発射装置30とスプロケット61の間に滞留した遊技球を球通路29外へ排出する。球検知センサ58は、発射装置30で発生する球戻りを検知する。遊技球の滞留は球戻りによって誘発されるので、第1排出部62は、球検知センサ58によって球戻りが検知されたときに開閉する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受け皿から流下した遊技球を球送り装置によって発射装置に1個ずつ送り込み、発射装置によって遊技盤の遊技領域に1球ずつ発射する遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
よく知られているように、パチンコ機(遊技機)には、貸与された遊技球や賞球として払い出された遊技球を貯留する受け皿が設けられており、この受け皿内の遊技球が球通路を流下して発射装置へ供給される。遊技者が発射ハンドルを操作すると、発射装置が作動して遊技球が遊技盤の盤面上に発射される。この球通路には、発射装置の上流側に球送り装置が配置されている。球送り装置は、発射動作に同期して受け皿から流下した遊技球を発射装置の発射待機位置へ1個ずつ送り込む。球送り装置は、球通路の下流端に設けられ、発射待機位置に近接して配置された可動部分を備えており、この可動部分を動作させることで遊技球を発射待機位置へ送り込む。発射待機位置にセットされた遊技球は、発射装置に設けられたノックアーム(発射アーム)によって殴打されて発射される(特許文献1〜3参照)。
【0003】
発射された遊技球は、通常は遊技領域へ打ち出されて遊技領域を流下していくが、遊技球の勢いの不足や、遊技領域内の釘等に衝突した反動によって、発射待機位置へ戻ってきてしまうこと(いわゆる球戻り)がある。そして、球送り装置は、こうした球戻りの有無に関わらず発射動作が行われる毎に、次の遊技球を発射待機位置に送り込むので、球戻りが生じた場合には、戻ってきた遊技球が新たに送り込まれた遊技球の上に落下して、発射待機位置付近に複数個の遊技球が存在することになる。球戻りはしばしば発生するので、そうした状態を自動的に解消して遊技を続行できるように、発射アームの殴打力は少なくとも2個分の遊技球を遊技領域へ打ち出すことができる程度に設定されている。
【特許文献1】特開2006−109975号公報
【特許文献2】特開2006−87798号公報
【特許文献3】特許第3756461号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、球戻りが発生すると、すでに発射待機位置に次の遊技球が送り込まれている場合には、戻ってきた遊技球が新たに送り込まれた遊技球の上に落下して、その衝突の衝撃によって発射待機位置にある遊技球が適正な着座位置からずれたり、球送り装置に向けて遊技球が逆行したりする。また、いったん発射された遊技球が、次の遊技球が送り込まれる前に発射待機位置へ戻ってくると、戻ってきた遊技球に進路を妨害されて次の遊技球が発射待機位置に進入することができない。こうした遊技球の変則的な挙動は、遊技球が発射装置やそれと近接した球送り装置の可動部分と干渉してそれらを動作不能に陥らせる、いわゆる球噛みを誘発する。球噛みが生じると、遊技が中断されてしまうため、その発生頻度を低減する対策が望まれていた。
【0005】
本発明は、上記問題点を考慮してなされたもので、球噛みの発生頻度が低い遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の遊技機は、遊技球が貯留される受け皿と発射待機位置にセットされた前記遊技球を発射する発射装置との間に配置された球通路と、前記発射待機位置の手前の前記球通路上に配置され、前記発射装置の発射動作に同期して、前記遊技球を1個ずつ前記発射待機位置に送り込む球送り手段と、前記発射待機位置と前記球送り手段との間で生じる遊技球の滞留を検知する検知手段と、前記発射待機位置と前記球送り手段との間に配置され、前記遊技球の滞留が検知されたときに、ゲートを開閉して滞留する遊技球を前記球通路外へ排出する第1排出手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
前記検知手段は、前記発射待機位置の少なくとも球1個分上方にある遊技球を検知する球検知センサであり、前記発射装置の球戻りの発生を検知することにより、前記前記遊技球の滞留を間接的に検知する。また、前記検知手段を、前記発射装置の手前に配置される球検知センサとし、前記遊技球の滞留を直接的に検知してもよい。
【0008】
前記第1排出手段は、次回の球送り動作が開始される直前まで、前記ゲートを開放しておくことが好ましい。これにより、遊技球の排出を確実に行うことができる。
【0009】
前記ゲートを手動で開閉する操作部材を備えることが好ましい。さらに、前記球送り手段の上流側に配置され、前記受け皿から前記球送り手段に向けて流れ込む前記遊技球を前記球通路外へ排出する第2排出手段を備えることが好ましい。この場合には、第2排出手段の動作に連動して前記第1排出手段を動作させる連動機構を備えることがさらに好ましい。
【0010】
前記球送り手段を、歯底円から突出した複数の歯が所定ピッチで配列された回転自在なスプロケットで構成し、前記各歯を、前記スプロケットの回転に従って交互に前記球通路内へ進入させることで遊技球を発射装置に向けて送り込むとともに、所定角度回転した後に停止して次の遊技球が前記発射装置へ流入することを阻止するようにすることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、発射待機位置の手前で生じる遊技球の滞留を検知して、発射待機位置と前記球送り手段との間に配置されたゲートを開閉することにより、滞留する遊技球を前記球通路外へ排出するようにしたから、球噛みが発生しにくい遊技機を提供することができる。
【0012】
また、次回の球送り動作が開始される直前まで、前記ゲートを開放しておくことで、ゲートの開放時間が長くなり、遊技球の排出を確実に行うことができる。
【0013】
また、前記ゲートを手動で開閉する操作部材を備えることで、遊技機から遊技球を回収する際に、遊技機に残留する遊技球を減らすことができる。
【0014】
前記球送り手段として、歯底円から突出した複数の歯が所定ピッチで配列された回転自在なスプロケットを使用することにより、球送り手段の構成を簡素化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1及び図2に示すように、パチンコ機(遊技機)10は本体枠11を備えており、本体枠11の前面には上扉12と下扉13とからなる前面扉14が開閉自在に取り付けられている。上扉12のほぼ全面には透明なガラス板16が取り付けられており、このガラス板16を通じて上扉12の奥に配置された遊技盤17が視認可能となっている。
【0016】
遊技盤17の盤面中央には、発射された遊技球が流下する遊技領域18が形成されている。遊技領域18は、略円形をしており、その周囲が外周壁によって囲まれている。遊技領域18の正面左脇には、外周壁に沿うようにガイドレール19が設けられており、このガイドレール19と外周壁との間に、遊技盤17の下方から発射された遊技球を遊技盤17の上方に案内する発射通路21が形成されている。遊技球は、この発射通路21を通って遊技領域18の上方に打ち出されて、遊技領域18を下方に向けて流下する。
【0017】
遊技領域18には、流下する遊技球の動きに変化を与える複数の遊技釘(図示せず)が打ち付けられており、その中央にはセンター役物22が配置されている。センター役物22の下方には、始動入賞口24,通常入賞口23及びアタッカ26が配置されている。各入賞口23,24に遊技球が入ると、予め決められた個数の遊技球が賞球として払い出される。
【0018】
始動入賞口24に遊技球が入ると、当たり又はハズレを決定する当たり抽選が行われる。センター役物22には、液晶ディスプレイ22aが設けられている。液晶ディスプレイ22aは、図柄を変動表示して、当たり抽選の経過及びその結果を表示する。当たりに当選すると、遊技機10は、当たりモードへ移行して、大入賞口であるアタッカ26を開放する。アタッカ26は、通常入賞口23よりも多くの賞球が割り当てられた大入賞口であり、当たりモードで動作中に開放され、当たりモードが終了すると閉じられる。
【0019】
下扉13の前面には、賞球や貸与を受けた遊技球を払い出す払い出し口27と、払い出された遊技球を貯留する受け皿28とが設けられている。受け皿28の底部には、遊技球を受け皿28から流出させる流出口28aが形成されている。下扉13の背面には、受け皿28から流出した遊技球が流下する球通路29が設けられている。この球通路29は、その上流端が流出口28aと連通しており、受け皿28内の遊技球を発射装置30へ誘導する。球通路29は、受け皿28から発射装置30に向けて遊技球が流下するように傾斜が付けられている。
【0020】
球通路29には、発射装置30の手前に球送り装置31が配置されている。球送り装置31は、球通路29を流下する遊技球を整流して、遊技球を発射装置30へ1個ずつ送り込む。球送り装置31は、略箱形形状のケース32を備えており、このケース32内に球通路29の一部が収容されている。ケース32は、その前面が下扉13に取り付けられて固定されており、背面が発射装置30と対面する位置に配置されている。ケース32の背面には、遊技球を発射装置30へ送り込む球送り出し口32aが形成されており、この球送り出し口31aは、球通路29の下流端と連通している。後述するように、球通路29には、遊技球を遊技機10から回収するために、球通路29外へ遊技球を排出する球抜き用の球抜き孔が形成されている。球抜き孔は、通常時には閉じられており、球抜き操作が行われたときに開放される。
【0021】
受け皿28の下方には、発射ハンドル33が設けられている。発射ハンドル33は、発射装置30の発射動作の開始及び停止を指示するとともに発射強さを調節する操作部材である。発射ハンドル33は、初期位置から所定方向に回動可能に設けられており、これを回動させると、遊技球を1球ずつ発射する発射動作が開始され、回動中は、発射動作が所定の間隔で繰り返される。球送り装置31の球送り動作は、発射装置30の発射動作に同期しており、発射装置30が発射動作を1回行うと、球送り装置31が球送り動作を1回行って、発射装置30へ遊技球を1個送り込む。
【0022】
発射ハンドル33を初期位置に戻すと発射動作が停止する。発射強さは、その回動量によって調節される。発射ハンドル33は、初期位置に向けて付勢されており、発射ハンドル33から手を離せば、自動的に初期位置に復帰するようになっている。この発射ハンドル33には、手が発射ハンドル33に触れているか否かを検知するタッチセンサが内蔵されており、手が触れていない場合には、発射ハンドル33が回動されても発射動作が開始しないようにしている。
【0023】
受け皿28の前面下部には、球抜き用の操作部材である球抜きボタン34が設けられている。球抜きボタン34は、遊技機10から遊技球を回収するための操作部材である。球抜きボタン34が押下されると、排出口が開いて球通路29内の遊技球が球通路29外へ排出される。受け皿28内の遊技球は球通路29を経由して排出される。排出された遊技球は、受け皿28の下方に設けられた回収口(図示せず)からはき出され、回収箱に収容される。
【0024】
図3に示すように、発射装置30は、発射アーム50、ロータリーソレノイド51、第1ストッパ52、第2ストッパ53、球セット部54及びベース板55から構成されている。ロータリーソレノイド51、第1ストッパ52、第2ストッパ53及び球セット部54のそれぞれはネジなどによってベース板55に固定されている。
【0025】
発射アーム50はベース板55の前面に配置されている。ロータリーソレノイド51は、発射アーム50を駆動する駆動手段であり、その本体がベース板55の背面側に配置され、回動自在な駆動軸51aがベース板55を貫通して前面側に突き出している。発射アーム50は、略への字状に形成され、長片部50aと短片部50bとから構成されている。長片部50aと短片部50bとの交差部分が駆動軸51aに取り付けられており、この駆動軸51aを中心に発射アーム50が揺動する。
【0026】
発射アーム50の揺動範囲は、第1ストッパ52及び第2ストッパ53によって規制されている。ロータリーソレノイド51が駆動されると発射アーム50は時計方向(図中、矢印Aで示す時計方向)に揺動し、遊技球56を叩く打撃位置に達する。第1ストッパ52は、発射アーム50の時計方向の揺動範囲を規制する。また、ロータリーソレノイド51の駆動が停止されると発射アーム50は自重によって反時計方向(図中、矢印Bで示す反時計方向)に揺動し、第2ストッパ53によって移動が規制されて準備位置に変位する。長片部50aの先端部には、長辺部50aから略垂直方向に突出する略円柱形状の槌先部50cが形成されている。発射アーム50が発射位置に揺動すると槌先部50cは球セット部54にセットされた遊技球56に衝突する。これにより、遊技球56は発射通路21に向けて発射される。この発射アーム50の1往復の動作が、1球分(1回)の発射動作となり、発射ハンドル33が操作されて発射装置30が作動している間、周期的に行われる。
【0027】
球セット部54は、球送り装置31から送り込まれた遊技球56が装填される装填部である。球セット部54は、それぞれベース板55に固定された第1部材54aと第2部材54bによって構成される。第1部材54aと第2部材54bは、所定の間隔を空けて対向して配置されている。第1部材54aと第2部材54bは、正面から見て左側(第1部材54a側)に傾斜して配置されている。
【0028】
第2部材54bには、第1部材54aと対向する対向面に凹形の窪みが形成されており、この窪みに対応する位置に球送り出し口32aが配置される。球送り出し口32aから送り込まれた遊技球56は、窪みを通じて球セット部54に取り込まれる。窪みの下方は、第1部材54aと第2部材54bの隙間の間隔が狭くなっており、その狭窄部分に遊技球56が着座する。この着座位置は、遊技球56の発射待機位置であり、第1部材54aの遊技球56が当接する面は、遊技球56が適正な位置でホールドされるように略V字形状の溝が形成されている。発射アーム50の槌先部50cは、球セット部54の下方から、第1部材54aと第2部材54bの隙間に進入して発射待機位置の遊技球56へ達する。発射アーム50に叩かれた遊技球56は、上方に向けて発射され、球セット部54と連通する発射通路21へ飛び出す。
【0029】
図4に示すように、発射装置30には、そのベース板55に球検知センサ58が設けられている。球検知センサ58は、発光部と受光部からなる光電センサであり、発光部から発光され検知対象(遊技球56)で反射した反射光を受光部で受光したときに、検知信号を出力する。球検知センサ58は、遊技球56の発射待機位置(着座位置)よりも少なくとも球1個分上方に配置されている。球戻りが生じた場合には、いったん発射された遊技球56が発射待機位置へ戻ってくる間に、次の遊技球56が発射待機位置に送り込まれている場合が多く、その場合には、発射待機位置にある遊技球56の上に戻ってきた遊技球56が落下する。球検知センサ58は、発射待機位置の上方に存在する遊技球56を検知することで、球戻りの発生を検知する。
【0030】
球検知センサ58は、発射通路上に配置されるので、発射された遊技球56と戻ってきた遊技球56を区別するために、球検知センサ58の検知信号の出力が所定時間継続したときに、球戻りが発生したと判定される。
【0031】
球送り装置31は、上述のとおり、ケース32内に球通路29の一部を収容している。球通路29は、受け皿28との接続部分からケース32までの区間は、遊技盤の盤面と平行に延びており、遊技球56をケース32内へ導く。ケース32内の球通路29は、球送り出し口32aの手前で発射装置30に向けてカーブしており、遊技球56を球送り出し口32aへ導く。球通路29は、上流から下流までの全行程において鉛直方向に傾斜が付けられており、球通路29内に遊技球56の進行を妨げる障害が無ければ、遊技球56が自重によって発射装置30へ流れ込むようになっている。
【0032】
ケース32内には、球通路29の傍らに、球送り手段として機能するスプロケット61が設けられている。スプロケット61は、受け皿28から自重によって流下してくる複数の遊技球56を、発射装置30の手前でいったん停止させるともに、発射装置30の発射動作に同期して、球送り動作を行って、遊技球56を1球ずつ発射装置30へ供給する。スプロケット61は、モータM1によって駆動される。モータM1としては、例えば、駆動パルスの数に応じて回転角度が変えられるステッピングモータや、ロータリーエンコーダなどの回転量検出機構を備えたDCモータなどが使用される。また、モータM1の代わりにロータリーソレノイドを使用してもよい。
【0033】
スプロケット61は、発射待機位置となる球セット部54と所定間隔離して配置されている。これにより、スプロケット61と球セット部54付近の遊技球56との干渉が防止されるので、球送り装置の可動部分と発射待機位置とが近接配置された従来の遊技機と比較して、球セット部54付近で生じる球噛みが低減される。
【0034】
図5に示すように、スプロケット61は、周知のように、歯底円の周面から突出した複数の歯61aが所定ピッチで配列されており、歯底円の中心を回転中心として回動自在に取り付けられている。球通路29には、スプロケット61が配置される位置に切り欠きが形成されており、スプロケット61が回転すると、この切り欠きを通じて各歯61aが球通路29内に交互に進入して、それぞれが遊技球56と当接する当接部として機能する。
【0035】
スプロケット61は、1回の発射動作に同期して、各歯61aの配列ピッチに対応する所定角度回転して、1球分の球送り動作を行う。1球分の球送り動作が終了すると、スプロケット61は、次の発射動作が行われるまで停止する。スプロケット61が停止している間、1つの歯61aが、遊技球56の前方に突出して遊技球56と当接することにより、遊技球56が発射装置30へ流入することを阻止する。
【0036】
スプロケット61の回転が開始されると、停止中に遊技球56の前方に突出していた歯61aがその前方から徐々に退避して遊技球56の進路を開放する。これにより、遊技球56の発射位置30への流入が許容され、球通路29の傾斜によって遊技球56が流れ出す。これと同時に次の歯61aがその遊技球56を後方から後押しして、発射位置30に向けて送り出す。遊技球56を送り出した歯61aは、次の遊技球56の前方に進入して、その流入を阻止する。この時点でスプロケット61の回転が停止して、1球分の球送り動作が終了する。こうした球送り動作が、発射装置30が作動している間、発射動作に同期して行われる。
【0037】
球通路29には、遊技球56を球通路29外へ排出する第1及び第2の排出部62,63が設けられている。各排出部62,63は、それぞれ排出ゲートとなる第1及び第2の各排出口62a,63aと、各排出口62a,63aをそれぞれ開閉する第1及び第2の排出弁62b,63bとからなる。各排出口62a,63aは、球通路29の底部に形成されている。
【0038】
図6に示すように、第2排出弁63bは、球通路29にヒンジ64を介して取り付けられており、ヒンジ64を軸として、第2排出口63aを開放する開き位置とそれらを閉じる閉じ位置との間で揺動する。第1排出弁62bも、第2排出弁63bと同様な構成で取り付けられているので、詳細な説明は省略する。
【0039】
図5に戻って、第1排出部62は、球送り手段であるスプロケット61と発射待機位置との間、より具体的には、球通路29の下流端、すなわち、発射待機位置となる球セット部54の直前に配置される。上述したとおり、スプロケット61を球セット部54から離間させて配置すると、その間の球通路29の区間には、すなわち、球セット部54の直前区間には、遊技球56が滞留可能なスペースが生じる。
【0040】
発射動作及び球送り動作が正常に行われている間は、直前区間に遊技球56が滞留することはない。しかし、球戻りが発生すると、球セット部54から球送り装置31に向けて遊技球56が逆行したり、球送りされた遊技球56が球セット部54へ進入できずに、球セット部54とスプロケット61との間で遊技球56の滞留が誘発される。こうした遊技球56の滞留は、球噛みなどの動作不良の原因になる。第1排出部62は、球セット部54とスプロケット61との間で滞留した遊技球56を球通路29外へ排出することで、球噛みを防止する。
【0041】
第1排出部62は、上記球検知センサ58が球戻りの発生を検知したときに開閉される。球戻りが発生した場合には、前記直前区間における遊技球56の滞留の発生が予想されるので、そのタイミングで第1排出部62を開放すれば、遊技球56の滞留を解消することができる。つまり、球検知センサ58によって、前記直前区間における遊技球56の滞留を間接的に検知して、そのタイミングで第1排出部62を開放することで、球噛みを防止するようにしている。
【0042】
第1排出部62は、モータM2によって駆動される。伝達機構66は、第1排出弁62bを開閉させるためのギヤ列やリンク機構からなり、モータM2から供給される駆動力を第1排出弁62bへ伝達する。第1排出弁62bは、モータM2が一方向に所定量回転すると、初期位置である閉じ位置から開き位置に移動し、逆転すると、閉じ位置に復帰する。モータM2としては、例えば、ステッピングモータや、ロータリーエンコーダ付きのDCモータなど、回転量を制御可能なモータが使用される。また、モータM2の代わりに、ロータリーソレノイドなどを使用してもよい。
【0043】
第1排出部62は、球検知センサ58によって球戻りの発生が検知された際に、開き動作が開始され、次の球送り動作が開始される直前まで、第1排出口62aは開放しつづけられる。こうして開放時間を可能な限り長くすることで、滞留する遊技球56を排出しやすくしている。なお、本例では、第1排出口62aを次の球送り動作が開始される直前まで開放し続ける例で説明しているが、開放し続ける代わりに、複数回の開閉動作を繰り返すようにしてもよい。
【0044】
第2排出部63は、スプロケット61の上流側に配置されており、受け皿28から球通路29へ進入してスプロケット61に向けて流れ込む遊技球56を球通路29外へ排出する。これにより、受け皿28に貯留された遊技球56や、球通路29に進入した遊技球56のうち受け皿28からスプロケット61までの区間内にある遊技球56を排出することができる。
【0045】
第2排出部63は、球抜きボタン34の手動操作によって開閉される。伝達機構67は、第2排出弁63bを開閉させるためのギヤ列やリンク機構からなり、球抜きボタン34から供給される駆動力を第2排出弁63bへ伝達する。第2排出口63aは、球抜きボタン34が押下操作されると開放され、押下操作を終了すると閉じられる。
【0046】
伝達機構67には、連動機構68が接続されている。連動機構68は、第2排出部63の開閉に連動して、第1排出部62を開閉させるためのもので、球抜きボタン34から伝達機構67へ供給された駆動力を伝達機構66へ伝える。連動機構68は、ギヤ列やリンク機構などからなる。
【0047】
このように、第2排出部63に連動して第1排出部62を開閉させることで、スプロケット61と球セット部54の区間に存在する遊技球56も球通路29外へ排出される。これにより、発射装置30へ既に供給された遊技球56を除いて、球通路29内に存在する遊技球56をすべて回収することができる。
【0048】
図3に戻って、制御部70は、CPUやメモリなどからなり、遊技機10の各部を統括的に制御する。制御部70は、CPUがプログラムを実行することで、発射装置制御部71,球送り装置制御部72,第1排出部制御部73,タイマ74として機能する。発射装置制御部71は、発射ハンドル33の操作に応じて、ロータリーソレノイド51の駆動を制御して、発射装置30を動作させる。発射装置30は、一定間隔で遊技球56を発射(例えば「100発/分」)させる。
【0049】
球送り装置制御部72は、発射動作に同期して、球セット部54に遊技球56が供給されるように、モータM1の駆動を制御して、球送り装置31を動作させる。第1排出部制御部73は、球戻りの発生が検知されたときに、モータM2の駆動を制御して、第1排出部62を開閉させる。タイマ74は、球検知センサ58の監視時間を計測する計測手段である。制御部70は、球検知センサ58が遊技球56を所定時間検知し続けたときに、球戻りが発生したと判定して、その旨を第1排出部制御部73に通知する。監視時間は、予め制御部70のメモリに記憶されている。第1排出部制御部73は、この通知を受けて、モータM2の回転を開始させる。
【0050】
以下、上記構成による作用について、図6に示すフローチャートを参照しながら説明する。受け皿28に遊技球56が入れられると、球通路29を遊技球56が流下する。球通路29の発射装置30の上流側には、球送り装置31が設けられており、流下する遊技球56は、球送り装置31に流入して、スプロケット61によって堰き止められる。遊技者によって発射ハンドル33の操作が開始されると、発射装置30及び球送り装置31が作動を開始して、遊技球56が1球ずつ発射される。発射待機位置となる球セット部54と、球送り装置31の可動部分となるスプロケット61は離間して配置されているので、発射装置30から逆流する遊技球56とスプロケット61との干渉が生じにくい。これにより、球噛みが防止される。
【0051】
発射装置30の発射アーム50が1往復動して1回の発射動作が行われると、それに同期して、球送り装置31のスプロケット61が所定角度回転して球送り動作を行い、次の遊技球56を球セット部54へ送り込む。
【0052】
制御部70は、球検知センサ58によって球戻りの発生を監視する。球戻りが発生した場合には、第1排出部制御部73は、モータM2を駆動して、第1排出弁62bを開閉する。第1排出弁62bが開放されると、球セット部54とスプロケット61の間に遊技球56の滞留が生じている場合には、その遊技球56が第1排出口62aから排出されて、遊技球56の滞留が解消される。これにより、滞留する遊技球56によって発射動作や球送り動作が妨害されることがなくなるので、球噛みが防止される。発射ハンドル33が操作されている間、上記動作が繰り返される。
【0053】
発射ハンドル33の操作が終了すると、発射装置30及び球送り装置31の作動が終了する。遊技を終了する場合には、球抜きボタン34が押下される。球抜きボタン34が押下されると、第2排出口63aが開放される。同時に連動機構68を介して球抜きボタン34からの駆動力が伝達機構66へ供給されて、第1排出口62aが開放される。これにより、球通路29の全区間の遊技球56が球通路29外へ排出されて、遊技球56が回収される。第2排出口63aに連動して第1排出口62aが開放されるので、遊技機10へ残留して回収不能な遊技球56の球数が減る。
【0054】
また、従来の遊技機は、発射待機位置と近接して球送り手段が配置されていたため、球送り手段の駆動手段としてソレノイドを使用した場合には、その磁力の影響が発射待機位置にある遊技球56へ及ぶ場合があり、これが動作不良の原因になるおそれがあった。本発明においては、スプロケット61と球セット部54とを離間して配置したことで、仮にスプロケット61の駆動手段としてソレノイドを使用した場合でも、それをスプロケット61の配置位置に合わせて発射待機位置から離して配置することができるので、そうした不具合を解消することができる。
【0055】
上記実施形態では、発射装置30に設けた球検知センサによって球戻りの発生を検知して、球通路29の直前区間における遊技球56の滞留を解消する例で説明したが、図8に示すように、球検知センサ77によって、直前区間における遊技球56の滞留を直接的に検知して、第1排出部62を開放するようにしてもよい。
【0056】
球検知センサ77は、例えば、球検知センサ58と同様の光電センサである。球検知センサ77は、球通路29のカーブした部分に取り付けられており、センサ面を球通路29の内側に向けて配置される。球検知センサ77は、球通路29の直前区間に滞留している遊技球56を検知できるように、センサ面の向きが設定されている。本例では、球検知センサ77のセンサ面が、球セット部54の方へ向けられている。球検知センサ77の取り付け位置は、一例であり、球通路29に限定されるものではない。例えば、球検知センサ77を球通路29の上方に配置して、その位置から直前区間を監視するようにしてもよい。
【0057】
球検知センサ77の検知領域は、正常に球送りされる遊技球56が通過するので、正常に球送りされる遊技球56と滞留する遊技球56とを区別するために、球検知センサ77にも、球検知センサ58と同様に、監視時間が設定され、所定時間検知信号が出力されたときに、遊技球56の滞留が発生したと判定される。
【0058】
本例では、球検知センサ77を、1つだけ設けた例で説明しているが、より広範な領域をカバーするために、複数個のセンサを使用してもよい。また、上述の球検知センサ58と球検知センサ77とを組み合わせてもよい。球検知センサ58によれば、球戻りの発生を検知して直前区間における遊技球56の滞留を予測することができるので、球検知センサ77よりも第1排出部62の開放タイミングを早くすることができる。他方、球検知センサ77の場合は、遊技球56の滞留の発生を直接的に監視して、第1排出部62を開放するので、滞留の原因が球戻り以外の場合でも、それを解消することが可能となる。こうした異なる性格の2種類の球検知センサを組み合わせることで、より確実に球噛みを防止することができる。
【0059】
上記実施形態では、球送り手段として、スプロケットを使用した例で説明したが、もちろん、スプロケットでなくてもよい。球送り手段としては、球通路内の遊技球と当接する当接部を備えており、この当接部が、前記遊技球の前記発射待機位置への流入を阻止する阻止位置と、この阻止位置から退避して前記流入を許容する許容位置との間で変位することによって、球送り動作を行うものであれば、どのような構成でもよい。例えば、球通路29内に挿抜されるバー形状のゲート部材などで構成してもよいし、球通路の一部を可動自在として、この可動部分を変位させることで、球送り動作を行うようにしてもよい。なお、スプロケットは、回転によって上記当接部となる歯を交互に入れ替えることで球送り動作を行うので、上記ゲート部材を変位させるのに比べて、構成を簡素化することができる。
【0060】
上記実施形態では、球抜きボタンの操作に応じて第2排出口が開放しこれに連動して第1排出口が開放される例で説明したが、両者は連動しなくてもよく、第1排出口と第2排出口をそれぞれ別々の操作部材の操作によって開放できるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】遊技機の外観を示す斜視図である。
【図2】前面扉を開放したときのパチンコ機の外観を示す斜視図である。
【図3】発射装置及び球送装置を示す斜視図である。
【図4】球検知センサの配置を示す説明図である。
【図5】球送り装置を示す上面図である。
【図6】排出部の構成を示す説明図である。
【図7】遊戯の開始から終了までの処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】別の球検知センサの配置を示す説明図である。
【符号の説明】
【0062】
10 遊技機
29 球通路
30 発射装置
31 球送り装置
33 発射ハンドル
34 球抜きボタン
50 発射アーム
54 球セット部
58,77 球検知センサ(滞留検知手段)
61 スプロケット(球送り手段)
61a 歯
62 第1排出部(第1排出手段)
62a 第1排出口(ゲート)
62b 第1排出弁
63 第2排出部
63a 第2排出口
63b 第2排出弁
70 制御部
71 発射装置制御部
72 球送り装置制御部
73 第1排出部制御部
74 タイマ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が貯留される受け皿と発射待機位置にセットされた前記遊技球を発射する発射装置との間に配置された球通路と、
前記発射待機位置の手前の前記球通路上に配置され、前記発射装置の発射動作に同期して、前記遊技球を1個ずつ前記発射待機位置に送り込む球送り手段と、
前記発射待機位置と前記球送り手段との間で生じる遊技球の滞留を検知する滞留検知手段と、
前記発射待機位置と前記球送り手段との間に配置され、前記遊技球の滞留が検知されたときに、ゲートを開閉して滞留する遊技球を前記球通路外へ排出する第1排出手段とを備えたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記滞留検知手段は、前記発射待機位置の少なくとも球1個分上方にある遊技球を検知する球検知センサであり、前記発射装置の球戻りの発生を検知することにより、前記遊技球の滞留を間接的に検知することを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記滞留検知手段は、前記発射装置の手前に配置される球検知センサであり、前記遊技球の滞留を直接的に検知することを特徴とする請求項1又は2記載の遊技機。
【請求項4】
前記第1排出手段は、次回の球送り動作が開始される直前まで、前記ゲートを開放しておくことを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の遊技機。
【請求項5】
前記ゲートを手動で開閉する操作部材を備えたことを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の遊技機。
【請求項6】
前記球送り手段の上流側に配置され、前記受け皿から前記球送り手段に向けて流れ込む前記遊技球を前記球通路外へ排出する第2排出手段を備えたことを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の遊技機。
【請求項7】
前記第2排出手段の動作に連動して前記第1排出手段を動作させる連動機構を備えたことを特徴とする請求項6記載の遊技機。
【請求項8】
前記球送り手段は、歯底円から突出した複数の歯が所定ピッチで配列された回転自在なスプロケットであり、前記各歯は、前記スプロケットの回転に従って交互に前記球通路内へ進入して遊技球を発射装置に向けて送り込むとともに、所定角度回転した後に停止して次の遊技球が前記発射装置へ流入することを阻止することを特徴とする請求項1〜7いずれか記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−18046(P2009−18046A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−183394(P2007−183394)
【出願日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(390031772)株式会社オリンピア (2,719)
【Fターム(参考)】