説明

遊技機

【課題】可動演出役物がロックされている場合に、ロックの解除を促すこと。
【解決手段】ぱちんこ遊技機の演出役物130は、可動演出役物132と、駆動系200と、ストッパ220と、フォトセンサ230と、演出制御部とを備える。可動演出役物132は、遊技盤上に移動可能に設けられ、所定の演出をおこなう。駆動系200は、可動演出役物132を移動させるために駆動回転する。ストッパ220は、所定のロック位置(押入位置)にて可動演出役物132をロックする。フォトセンサ230は、所定のロック位置におけるストッパ220の有無を検出する。演出制御部は、フォトセンサ230によってストッパ220が検出された場合、可動演出役物132がロックされている旨を報知させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、盤面上を可動にして所定の演出をおこなう可動演出役物を備えた、ぱちんこ遊技機や回胴式遊技機などの遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技盤の遊技領域に打ち出した遊技球が特定の始動口に入ると、画像表示部に表示される3列の図柄(たとえば、1〜12の数字の図柄など)が上から下に移動するように表示され、あるライン(有効ライン)上に同一あるいは関連性のある図柄が揃うと大当たりとなって、大入賞口が開き、大当たり遊技ができるぱちんこ遊技機が広く使用されている。
【0003】
このようなぱちんこ遊技機では、画像表示部からの表示や、複数のランプを用いた点滅や点灯などによる演出のほか、いわゆる、ギミックと称される可動演出役物を点灯させたり動作させたりすることによる演出をおこなうものが知られている(たとえば、下記特許文献1参照)。
【0004】
ここで、可動演出役物は、ぱちんこ遊技機の搬送時には係止片などのストッパによってロックされている。これにより、搬送時において可動演出役物が動いてしまうことを防止し、遊技盤や可動演出役物の破損などを抑止するほか、可動演出役物を駆動させる駆動モータの故障を抑止している。
【0005】
【特許文献1】特開2007−319374号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の従来技術では、遊技店での営業開始時に、店員が可動演出役物のロックを解除し忘れてしまうという不具合があった。このような不具合があると、演出画面と同期させて可動演出役物を動作させる演出をおこなう場合に、可動演出役物が動作せずに固定状態を保持することとなるため、遊技機本来の演出をおこなうことができなくなるばかりか、駆動モータに過負荷がかかり、駆動モータの故障を招くといった問題があった。
【0007】
本発明は、上記の従来技術による問題点を解消するため、可動演出役物に対するロックの解除を促し、遊技機本来の演出をおこなうことができるとともに、駆動モータの故障を抑止することができる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は以下の構成を採用した。括弧内の参照符号は、本発明の理解を容易にするために実施形態との対応関係を示したものであって、本発明の範囲を何ら限定するものではない。本発明にかかる遊技機(100)は、遊技盤(101)上に移動可能に設けられ、所定の演出をおこなう可動演出役物(132)と、前記可動演出役物(132)を移動させるために駆動回転する駆動手段(200)と、を備えた遊技機(100)であって、所定のロック位置にて前記可動演出役物(132)をロックするロック手段(220)と、前記所定のロック位置における前記ロック手段(220)の有無を検出する検出手段(230)と、前記検出手段(230)によって前記ロック手段(220)が検出された場合、前記可動演出役物(132)がロックされている旨を報知させる制御手段(502)と、を備えることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、可動演出役物(132)がロックされている場合に、ロックの解除を促すことができる。
【0010】
また、上記発明において、前記駆動手段(200)は、盤面に付設され、前記可動演出役物(132)に回転力を付与するギア(203)を有し、前記ロック手段(220)は、盤面に対して垂直方向に移動可能なスライド機構を有するとともに、前記ギア(203)に係止する係止部(301)を有し、遊技盤(101)の盤面に対して押入された押入位置にて、前記係止部(301)が前記ギア(203)へ係止することに伴って前記可動演出役物(132)をロックする一方、遊技盤(101)の盤面に対して引き出された引出位置にて、前記係止部(301)が前記ギア(203)への係止を解除することに伴って前記可動演出役物(132)のロックを解除するものであることとしてもよい。
【0011】
この発明によれば、ロック手段(220)をスライドさせることにより、可動演出役物(132)に対するロックまたはロックの解除をおこなうことができる。
【0012】
また、上記発明において、前記ロック手段(220)に連結され、盤面に対して垂直方向に移動可能な固定演出役物(131)をさらに備え、前記ロック手段(220)は、前記固定演出役物(131)が遊技盤(101)の盤面に対して押入操作されることにより、前記係止部(301)が前記ギア(203)に係止することに伴って前記可動演出役物(132)をロックする一方、前記固定演出役物(131)が遊技盤(101)の盤面に対して引出操作されることにより、前記係止部(301)が前記ギア(203)への係止を解除することに伴って前記可動演出役物(132)のロックを解除するものであることとしてもよい。
【0013】
この発明によれば、固定演出役物(131)とロック手段(220)とを一体化することができ、固定演出役物(131)を押入操作することにより可動演出役物(132)をロックすることができる一方、固定演出役物(131)を引出操作することにより可動演出役物(132)のロックを解除することができる。
【0014】
また、上記発明において、前記ロック手段(220)は、前記係止部(301)が前記ギア(203)に係止する位置にて、前記検出手段(230)によって検出される被検出部(223)を有することとしてもよい。
【0015】
この発明によれば、ロック手段(220)の一部を被検出部(223)とし、固定演出役物(131)を押入操作することにより可動演出役物(132)をロックした位置にて、被検出部(223)を検出することができる。
【0016】
また、上記発明において、前記制御手段(502)は、電源投入時に、前記検出手段(230)に前記ロック手段(220)の検出をおこなわせ、前記検出手段(230)によって前記ロック手段(220)が検出された場合、前記可動演出役物(132)がロックされている旨を報知させることとしてもよい。
【0017】
この発明によれば、電源投入時に、可動演出役物(132)がロックされている場合に、ロックの解除を促すことができる。
【0018】
また、上記発明において、前記制御手段(502)は、前記検出手段(230)によって前記ロック手段(220)が検出された場合、以降の遊技において、前記駆動手段(200)の駆動を停止させることとしてもよい。
【0019】
この発明によれば、可動演出役物(132)がロックされている場合に、駆動手段(200)の駆動を停止させ、駆動手段(200)への過負荷を抑止することができる。
【0020】
また、上記発明において、前記制御手段(502)は、前記検出手段(230)によって前記ロック手段(220)が検出されなくなった場合、以降の遊技において、前記駆動手段(200)の駆動を可能にすることとしてもよい。
【0021】
この発明によれば、可動演出役物(132)のロックが解除された場合に、駆動手段(200)の駆動を開始させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、可動演出役物がロックされている場合に、ロックの解除を促すことにより、ロック手段の取り忘れを抑止できる。したがって、遊技機本来の演出をおこなうことができるとともに、駆動モータの故障を抑止することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、添付図面を参照して、本発明にかかる遊技機の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0024】
(ぱちんこ遊技機の基本構成)
まず、実施の形態にかかるぱちんこ遊技機の基本構成について説明する。図1は、実施の形態にかかるぱちんこ遊技機の一例を示す正面図である。図1に示すように、実施の形態のぱちんこ遊技機100は、遊技盤101を備えている。遊技盤101の下部位置には、発射部(図5中符号592参照)が配置されている。発射部の駆動によって発射された遊技球は、レール102a,102b間を上昇して遊技盤101の上部位置に達したあと、遊技領域103内を落下する。
【0025】
遊技領域103には、複数の釘(不図示)が設けられており、この釘によって遊技球は不特定な方向に向けて落下する。また、遊技領域103において遊技球の落下途中となる位置には、遊技球の落下方向を変化させる風車や各種入賞口(始動口や大入賞口など)が配設されている。
【0026】
遊技盤101の略中央部分には、画像表示部104が配置されている。画像表示部104としては液晶表示器(LCD)などが用いられる。画像表示部104の下方には、第1始動口105と、第2始動口106とが配設されている。第1始動口105、第2始動口106は、始動入賞させるための入賞口である。なお、第2始動口106は、本発明の始動口に相当する。
【0027】
第2始動口106の近傍には、電動役物としての電動チューリップ107が設けられている。電動チューリップ107は、遊技球を第2始動口106へ入賞し難くさせる閉状態(閉口された状態)と、閉状態よりも入賞し易くさせる開状態(開放された状態)とを有する。これらの状態の制御は、電動チューリップ107が備えるソレノイド(図5中符号531参照)によっておこなわれる。
【0028】
電動チューリップ107は、画像表示部104の左側に配設されたゲート108を遊技球が通過したことによりおこなわれる普通図柄抽選の抽選結果に基づいて開放される。なお、ゲート108は、画像表示部104の左側(図示の位置)に限らず、遊技領域103内の任意の位置に配設してもよい。
【0029】
第2始動口106の下方には、大入賞口109が設けられている。大入賞口109は、大当たり状態となったときに開放して、遊技球が入賞することにより所定個数(たとえば15個)の賞球を払い出すための入賞口である。
【0030】
画像表示部104の側部や下方などには普通入賞口110が配設されている。普通入賞口110は、遊技球の入賞により所定個数(たとえば10個)の賞球を払い出すための入賞口である。普通入賞口110は、図示の位置に限らず、遊技領域103内の任意の位置に配設してもよい。遊技領域103の最下部には、いずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を回収する回収口111が設けられている。
【0031】
遊技盤101の右下部分には、特別図柄が表示される特別図柄表示部112が配置されている。特別図柄表示部112は、第1特別図柄(以下「特図1」という)が表示される第1特別図柄表示部(図5中符号112a参照)と、第2特別図柄(以下「特図2」という)が表示される第2特別図柄表示部(図5中符号112b参照)とを有する。
【0032】
ここで、特図1は、遊技球が第1始動口105へ入賞することによりおこなう第1大当たり抽選の抽選結果をあらわす図柄である。特図2は、遊技球が第2始動口106へ入賞することによりおこなう第2大当たり抽選の抽選結果をあらわす図柄である。第1大当たり抽選および第2大当たり抽選は、遊技状態を大当たり状態とするか否かの抽選である。
【0033】
また、遊技盤101の右下部分には、普通図柄が表示される普通図柄表示部113が配置されている。ここで、普通図柄は、普通図柄抽選の抽選結果をあらわすものである。普通図柄抽選は、前述のように電動チューリップ107を開状態(長開放または短開放)とするか否かの抽選である。普通図柄表示部113は、たとえば、7セグメントディスプレイからなる。
【0034】
特別図柄表示部112および普通図柄表示部113の左側には、特別図柄または普通図柄に対する保留数を表示する保留球表示部114が配置されている。たとえば、保留球表示部114としてはLEDが用いられる。この保留球表示部114としてのLEDは複数配置され、点灯/消灯によって保留数をあらわす。たとえば、保留球表示部114を構成するLEDのうちの、上段のLEDが2個点灯している場合には、普通図柄に対する保留数は2であることをあらわす。
【0035】
遊技盤101の遊技領域103の外周部分には、枠部材115が設けられている。枠部材115において遊技領域103の上側および下側となる2辺には、演出ライト部(枠ランプ)116が設けられている。演出ライト部116は、それぞれ複数のランプを有する。各ランプは、ぱちんこ遊技機100の正面にいる遊技者を照射し、その照射位置が遊技者の頭上から腹部に沿って移動するように、光の照射方向を上下方向に変更することができる。各ランプは、演出ライト部116に設けられた不図示のモータによって、光の照射方向を上下方向に変更するように駆動される。
【0036】
枠部材115の下部位置には、操作ハンドル117が配置されている。操作ハンドル117は、上記の発射部を駆動させて遊技球を発射させる発射指示部材118を備えている。発射指示部材118は、操作ハンドル117の外周部において、遊技者から見て右回りに回転可能に設けられている。発射部は、発射指示部材118が遊技者によって直接操作されている場合に、遊技球を発射させる。
【0037】
枠部材115において、遊技領域103の下側となる辺には、遊技者による操作を受け付ける演出ボタン(チャンスボタン)119が設けられている。また、枠部材115において、演出ボタン119の隣には、十字キー120が設けられている。これら演出ボタン119および十字キー120は、ぱちんこ遊技機100において遊技者からの操作を受け付ける操作部を構成している。また、枠部材115には、音声を出力するスピーカ(図5中符号554参照)が組み込まれている。
【0038】
画像表示部104の側部には、演出役物130が配設されている。演出役物130は、固定演出役物131と、可動演出役物132とからなる。固定演出役物131は、遊技盤101上に、盤面に対して平行方向の移動を固定して設けられている。なお、詳細については後述するが、固定演出役物131は、盤面に対して垂直方向に操作可能になっており、具体的には、押入された位置にて可動演出役物132をロックできるようになっている。
【0039】
可動演出役物132は、駆動モータを有し、遊技盤101上に、盤面に沿って移動可能になっており、発光および移動することによって、演出をおこなう。なお、図示を省略するが、遊技領域103内の所定位置(たとえば画像表示部104の周囲)には演出用の他の役物が設けられている。
【0040】
(演出役物の構成)
次に、図2−1〜図3−3を用いて、本実施の形態にかかるぱちんこ遊技機100の演出役物130の構成について説明する。図2−1は、演出役物130の分解斜視図である。図2−1において、演出役物130は、駆動系200と、演出系210と、ストッパ220と、フォトセンサ230とからなる。
【0041】
駆動系200は、駆動モータ201と、伝達軸202と、駆動ギア203と、従動ギア204とからなる。駆動モータ201は、電気エネルギーを機械エネルギーに変換し、伝達軸202を回転させる。駆動ギア203は、駆動モータ201から伝達軸202を介して伝達された回転力によって駆動回転する。従動ギア204は、駆動ギア203と歯合連結し、駆動ギア203の回転力によって従動回転する。なお、駆動ギア203は、筒部205に接合している。筒部205には、原点位置としてのスリット206が設けられ、スリット206がフォトセンサ230によって検出されるようになっている。なお、駆動系200は、本発明の駆動手段に相当する。
【0042】
演出系210は、固定演出役物131と、可動演出役物132とからなる。固定演出役物131は、ストッパ220に接合しており、操作者からの操作によって、ストッパ220とともに、遊技盤101に対して垂直方向(図2−2中A方向)に、スライドして移動することが可能になっている。また、固定演出役物131は、ランプを備え、所定の演出時に発光する。
【0043】
可動演出役物132は、大中小3つのランプが連なって構成されたものであり、上部のランプには従動ギア204に連結する連結部211が設けられている。可動演出役物132は、従動ギア204の回転により、連結部211を支点として回動するようになっている。可動演出役物132は、所定の演出時に、回動するとともに、各ランプが発光するようになっている。
【0044】
ストッパ220は、一端に、固定演出役物131に接合する突起部221を備えている。ストッパ220は、ガイドレール302(図3−1および図3−3参照)に摺動する摺動溝222を備え、ガイドレール302に沿ってスライド自在になっている。なお、ガイドレール302および摺動溝222によって、スライド機構が構成されている。また、ストッパ220は、ガイドレール302の反対側に係止部301(図3−1および図3−2参照)を備え、固定演出役物131が押入された押入位置にて係止部301が駆動ギア203に係止することにより、可動演出役物132をロックするようになっている。
【0045】
さらに、ストッパ220の他端には、固定演出役物131が押入された押入位置にてフォトセンサ230の検出領域に進入する被検出部223が設けられている。ストッパ220は、固定演出役物131が引き出された引出位置にてフォトセンサ230によって被検出部223が検出領域から退避する構成になっている。引出位置は、固定演出役物131が最も引き出された位置ではなく、固定演出役物131がロックされていない位置をいう。なお、ストッパ220は、所定のロック位置にて可動演出役物132をロックできるものであれば、このような形式のものに限らない。
【0046】
ストッパ220は、本発明のロック手段に相当する。本実施の形態においては、ストッパ220を固定演出役物131に連結したものを用いているが、これに限られるものではなく、ストッパ220と固定演出役物131とを別々に設け、遊技盤101上に設けられたストッパ220を単体で押入位置または引出位置にスライド自在としたものを用いてもよい。また、ストッパ220は、少なくとも、可動演出役物132をロックすることが可能なものであればよく、たとえば、可動演出役物132そのものをロックするものでもよいし、従動ギア204に係止することにより、可動演出役物132をロックするものでもよい。
【0047】
フォトセンサ230は、発光素子および受光素子を備え、駆動ギア203の原点位置を検出するためのものである。フォトセンサ230は、駆動ギア203の原点位置に相当するスリット206の検出、および遮蔽物として筒部205の壁面を検出する。特に、本実施の形態において、フォトセンサ230は、ストッパ220が押入されている場合、被検出部223がフォトセンサ230内に進入することにより、被検出部223についても遮蔽物として検出する。
【0048】
なお、本実施の形態において、フォトセンサ230は、駆動ギア203の原点位置の検出のみならず、ストッパ220の検出もおこなうが、このようなものに限らず、ストッパ220の検出のみをおこなうものを別途設けるようにしてもよい。フォトセンサ230は、本発明の検出手段に相当する。また、本実施の形態においては、本発明の検出手段としてフォトセンサ230を用いているが、これに限られるものではなく、所定のロック位置におけるストッパ220の有無を検出できるものであれば、任意のセンサを用いることが可能である。
【0049】
図2−2は、演出役物130の組立斜視図である。図2−2において、演出役物130は、固定演出役物131が押入された状態、すなわち、可動演出役物132がロックされている状態を示している。たとえば、ぱちんこ遊技機100が遊技店に納品される際には、可動演出役物132はこのようにロックされた状態になっている。可動演出役物132がロックされている状態の詳細について、図3−1および図3−2を用いて説明する。
【0050】
図3−1は、可動演出役物132がロックされている状態を示した断面図である。図3−2は、図3−1のB方向から見た駆動ギア203の正面図である。図3−1において、固定演出役物131およびストッパ220は押入されている。具体的には、固定演出役物131が引き出されている状態から、店員または製造現場の作業員などの操作者が固定演出役物131にC方向の力を作用させると、ストッパ220がガイドレール302に沿ってスライドすることにより、固定演出役物131が押入された状態を示している。
【0051】
このとき、ストッパ220の下方に設けられている係止部301が駆動ギア203に係止する(図3−2参照)。これにより、可動演出役物132がロックされる。また、このとき、被検出部223は、フォトセンサ230内に進入し、フォトセンサ230の検出領域内に位置している。
【0052】
図3−3は、可動演出役物132がロックされていない状態を示した断面図である。図3−3において、固定演出役物131は引き出された状態にある。具体的には、図3−1に示した状態から、操作者が固定演出役物131にD方向の力を作用させると、ストッパ220がガイドレール302に沿ってスライドする。このとき、ストッパ220に設けられている係止部301が駆動ギア203から離脱する。これにより、可動演出役物132のロックが解除されることになる。また、被検出部223は、フォトセンサ230の検出領域から退避している。
【0053】
なお、引き出された固定演出役物131が、ぱちんこ遊技機100の振動などによって、再びロック位置に押入されることを防止するために、たとえば、引出位置にて固定演出役物131を遊技盤101に係止させるようにしてもよい。具体的には、たとえば、固定演出役物131に係止孔を設けるとともに、引出位置にて操作者の操作により固定演出役物131を所定角度回転させることによって係止孔に係止する係止突起を遊技盤101に設けるようにすればよい。なお、この場合、固定演出役物131を係止した位置において、固定演出役物131の星形を示すランプの頂点が上方に位置するように、係止孔および係止突起をそれぞれ位置決めしておくようにすれば、違和感なく固定演出役物131を固定させることができる。
【0054】
(演出役物の動作)
次に、図4−1および図4−2を用いて、本実施の形態にかかるぱちんこ遊技機100の演出役物130の動作について説明する。図4−1は、通常時における演出役物130の状態を示した説明図である。図4−1において、演出役物130は、画像表示部104に対して退避した位置にあり、可動演出役物132が静止した状態となっている。
【0055】
図4−2は、演出時に可動演出役物132が移動した際の演出役物130の状態を示した説明図である。図4−2において、演出役物130は、駆動ギア203が時計回りに駆動回転するとともに、従動ギア204が反時計回りに従動回転することにより、可動演出役物132が連結部211を支点に時計回りに回動した状態となっている。このとき、たとえば、固定演出役物131や可動演出役物132は、演出として、それぞれランプが点灯している。なお、可動演出役物132の最下端のランプのみを、別途設けた駆動部に連結させることにより、最下端のランプのみを単独で回転させたりしてもよい。
【0056】
(ぱちんこ遊技機の制御部の内部構成)
次に、図5を用いて、実施の形態にかかるぱちんこ遊技機100の制御部の内部構成について説明する。図5は、実施の形態にかかるぱちんこ遊技機100の制御部の内部構成を示すブロック図である。図5に示すように、ぱちんこ遊技機100の制御部500は、遊技の進行を制御する主制御部501と、演出内容を制御する演出制御部502と、賞球の払い出しを制御する賞球制御部503とを備えている。以下にそれぞれの制御部の構成について詳細に説明する。
【0057】
(1.主制御部)
主制御部501は、CPU(Central Processing Unit)511と、ROM(Read Only Memory)512と、RAM(Random Access Memory)513と、不図示の入出力インターフェース(I/O)などを備えて構成される。
【0058】
主制御部501は、CPU511がRAM513をワークエリアとして使用しながら、ROM512に記憶された各種プログラムを実行することによって、ぱちんこ遊技機100の遊技の進行を制御するように機能する。具体的には、主制御部501は、大当たり抽選(第1大当たり抽選、第2大当たり抽選)、普通図柄抽選、遊技状態の制御などをおこない、遊技の進行を制御する。たとえば、主制御部501は、主制御基板によって実現される。
【0059】
CPU511は、予めROM512に記憶された各種プログラムに基づき、遊技内容の進行に伴う基本処理を実行する。ROM512には、大当たり抽選プログラム、普通図柄抽選プログラム、電動チューリップ制御プログラム、大入賞口制御プログラム、などが記憶されている。
【0060】
大当たり抽選プログラムは、第1始動口SW521または第2始動口SW522によって遊技球が検出されることにより、大当たり抽選をおこなうプログラムである。普通図柄抽選プログラムは、ゲート108への遊技球の通過を検出すると、電動チューリップ107を、当たり(開放)、または、ハズレ(閉状態を保持)とする普通図柄抽選をおこなうプログラムである。電動チューリップ制御プログラムは、通常時では電動チューリップ107を閉状態としておく一方、普通図柄抽選の抽選結果に基づいて、所定期間、電動チューリップ107を開放状態にするプログラムである。大入賞口制御プログラムは、大当たり時に、所定ラウンド数、大入賞口109を開放させるプログラムである。
【0061】
主制御部501には、遊技球を検出する各種スイッチ(SW)、電動チューリップ107や、大入賞口109などの電動役物を開閉動作させるためのソレノイド、上記の第1特別図柄表示部112a、第2特別図柄表示部112b、普通図柄表示部113、保留球表示部114などが接続される。
【0062】
具体的に、上記の各種SWとしては、第1始動口105へ入賞した遊技球を検出する第1始動口SW521と、第2始動口106へ入賞した遊技球を検出する第2始動口SW522と、ゲート108を通過した遊技球を検出するゲートSW523と、大入賞口109へ入賞した遊技球を検出する大入賞口SW524と、普通入賞口110へ入賞した遊技球を検出する普通入賞口SW525とが主制御部501に接続される。
【0063】
それぞれのSW(521〜525)による検出結果は主制御部501へ入力される。これらのSWには、近接スイッチなどを用いることができる。なお、普通入賞口SW525は、普通入賞口110の配置位置別に複数個設けてもよい。
【0064】
また、上記のソレノイドとしては、電動チューリップ107を開閉動作させる電動チューリップソレノイド531と、大入賞口109を開閉動作させる大入賞口ソレノイド532とが主制御部501に接続される。主制御部501は、それぞれのソレノイド(531,532)に対する駆動を制御する。たとえば、主制御部501は、普通図柄抽選の抽選結果に基づいて電動チューリップソレノイド531の駆動を制御する。また、主制御部501は、大当たり抽選の抽選結果に基づいて大入賞口ソレノイド532の駆動を制御する。
【0065】
主制御部501は、大当たり抽選(第1大当たり抽選、第2大当たり抽選)、普通図柄抽選の抽選結果に基づいて、第1特別図柄表示部112a、第2特別図柄表示部112b、普通図柄表示部113の表示内容を制御する。たとえば、主制御部501は、第1大当たり抽選をおこなうと第1特別図柄表示部112aの特図1を変動表示させる。そして、所定期間経過後に、第1大当たり抽選の抽選結果を示す図柄にて特図1を停止表示させる。
【0066】
同様に、主制御部501は、第2大当たり抽選をおこなうと第2特別図柄表示部112bの特図2を変動/停止表示させ、また、普通図柄抽選をおこなうと普通図柄表示部113の普通図柄を、変動/停止表示させる。
【0067】
さらに、主制御部501は、演出制御部502および賞球制御部503にも接続され、それぞれの制御部に対して各種コマンドを出力する。たとえば、主制御部501は、演出制御部502に対しては変動開始コマンド、大当たり開始コマンドなどを出力する。ここで、変動開始コマンドは、遊技状態を示す情報や特別図柄を変動表示させる時間(以下「変動時間」という)を示す情報などを含む。また、主制御部501は、賞球制御部503に対しては賞球コマンドを出力する。ここで、賞球コマンドには、払い出させる賞球の個数を示す情報などが含まれている。
【0068】
主制御部501は、実行中の遊技状態を示す情報を演出制御部502にコマンド出力する。この場合、演出制御部502によって、実行中の遊技状態に応じた演出(たとえば図柄変動や可動役物の制御)がなされる。また、主制御部501は、第1始動口105または第2始動口106に対する1回の入賞があると、1回の図柄変動にかける変動時間を示す情報を演出制御部502に対してコマンド出力する。
【0069】
(2.演出制御部)
演出制御部502は、演出統括部502aと、画像・音声制御部502bと、ランプ制御部502cとによって構成され、ぱちんこ遊技機100の演出内容を制御する機能を有する。ここで、演出統括部502aは、主制御部501から受信した各種コマンド(たとえば変動開始コマンド)に基づいて演出制御部502全体を統括する機能を有している。画像・音声制御部502bは、演出統括部502aからの指示内容に基づいて画像および音声の制御をおこなう機能を有している。また、ランプ制御部502cは、遊技盤101に設けられた演出役物130のランプの点灯、枠部材115などに設けられたランプの点灯、可動演出役物132の動作などを制御する機能を有している。
【0070】
(2−1.演出統括部)
まず、演出統括部502aの構成について説明する。演出統括部502aは、CPU541と、ROM542と、RAM543と、リアルタイムクロック(以下「RTC」という)544と、不図示の入出力インターフェース(I/O)などを備えて構成される。なお、演出統括部502aは、本発明の制御手段に相当する。
【0071】
CPU541は、実行する演出を選択する演出パターン選択処理などを実行する。ROM542には、CPU541が上記の処理を実行するために必要となる各種プログラムなどが記憶されている。RAM543は、CPU541のワークエリアとして機能する。CPU541が各種プログラムを実行することによりRAM543にセットされたデータは、所定のタイミングで画像・音声制御部502bおよびランプ制御部502cに対して出力される。
【0072】
CPU541は、予めROM542に記憶された各種プログラムに基づき、演出内容に関する処理を実行する。ROM542には、演出統括プログラム、異常報知プログラム、などが記憶されている。演出統括プログラムは、変動開始コマンドに基づいて、特別図柄の変動表示に合わせて実行する演出内容を決定し、画像・音声制御部502b、ランプ制御部502cに所定の処理を実行するように指示出力して、演出制御部502全体を統括するプログラムである。
【0073】
異常報知プログラムは、電源投入時に、ランプ制御部502cに対して、駆動モータ201の駆動およびフォトセンサ230の検出をおこなわせ、フォトセンサ230によってストッパ220が検出された場合、可動演出役物132がロックされている旨を報知させるとともに、ロックが解除されない場合には以降の遊技において、駆動モータ201の駆動を停止させるプログラムである。また、異常報知プログラムは、フォトセンサ230によってストッパ220が検出されなくなった場合、以降の遊技において、駆動モータ201の駆動を可能にするプログラムを含む。
【0074】
RTC544は、実時間を計時出力する。RTC544は、ぱちんこ遊技機100の電源が遮断されているときもバックアップ電源(不図示)により計時動作を継続する。なお、RTC544は、演出統括部502aなど演出制御部502内に配置する例に限らず、主制御部501に配置してもよい。また、RTC544は、単独で配置してもよい。
【0075】
また、演出統括部502aには、演出ボタン119が接続されている。たとえば、演出ボタン119は、遊技者から操作を受け付けると、対応するデータを演出統括部502aへ入力する。また、図5において図示は省略するが、十字キー120も演出統括部502aに接続されている。十字キー120は、遊技者によって選択されたキーに対応するデータを演出統括部502aへ入力する。
【0076】
(2−2.画像・音声制御部)
次に、画像・音声制御部502bの構成について説明する。画像・音声制御部502bは、CPU551と、ROM552と、RAM553と、不図示の入出力インターフェース(I/O)などを備えて構成される。
【0077】
CPU551は、画像および音声の生成および出力処理を実行する。ROM552には、画像および音声の生成および出力処理のためのプログラム、該処理に必要となる背景画像・図柄画像・キャラクタ画像など各種画像データや各種音声データなどが記憶されている。RAM553は、CPU551のワークエリアとして機能し、画像表示部104に表示させる画像データやスピーカ554から出力させる音声データが一時的に格納される。
【0078】
すなわち、画像・音声制御部502bは、CPU551がRAM553をワークエリアとして使用しながら、ROM552に記憶された各種プログラムを実行することによって、演出統括部502aからの指示に基づいて画像および音声の制御をおこなうように機能する。
【0079】
たとえば、CPU551は、演出統括部502aから指示された指示内容に基づいて、背景画像表示処理、演出図柄変動/停止表示処理、キャラクタ画像表示処理など各種画像処理と音声処理を実行する。このときには、CPU551は、処理に必要な画像データおよび音声データをROM552から読み出してRAM553に書き込む。
【0080】
RAM553に書き込まれた背景画像や演出図柄画像などの画像データは、画像・音声制御部502bに接続された画像表示部104に対して出力され、画像表示部104の表示画面上において重畳表示される。すなわち、演出図柄画像は、背景画像よりも手前に見えるように表示される。なお、同一位置に背景画像と図柄画像が重なる場合などには、Zバッファ法など周知の陰面消去法により各画像データのZバッファのZ値を参照することで、図柄画像を優先してRAM553に記憶させる。
【0081】
また、RAM553に書き込まれた音声データは、画像・音声制御部502bに接続されたスピーカ554に対して出力され、音声データに基づく音声がスピーカ554から出力される。
【0082】
(2−3.ランプ制御部)
次に、ランプ制御部502cの構成について説明する。ランプ制御部502cは、CPU561と、ROM562と、RAM563と、不図示の入出力インターフェース(I/O)などを備えて構成される。CPU561は、ランプを点灯させる処理などを実行する。ROM562には、上記の処理を実行するために必要となる各種プログラム、該処理に必要となるランプ点灯に用いる制御データなどが記憶されている。RAM563は、CPU561のワークエリアとして機能する。
【0083】
ランプ制御部502cは、演出ライト部(枠ランプ)116と、盤ランプ564と演出役物ランプ565と接続され、点灯制御するデータを出力する。これにより、ランプ制御部502cは、遊技盤101および枠部材115などに設けられたランプの点灯や、演出役物ランプ565の点灯や動作を制御するように機能する。
【0084】
また、ランプ制御部502cは、駆動モータ201とフォトセンサ230とに接続され、起動時にフォトセンサ230によるストッパ220の検出を開始させるとともに、フォトセンサ230の検出結果に基づいて、駆動モータ201に動作制御するデータを出力する。
【0085】
本実施の形態では、演出制御部502は、演出統括部502aと画像・音声制御部502bとランプ制御部502cとがそれぞれ異なる基板機能として設けられるが、これらは同じプリント基板上に組み込んで構成してもよい。ただし、同じプリント基板上に組み込まれた場合であってもそれぞれの機能は独立しているものとする。
【0086】
(3.賞球制御部)
次に、賞球制御部503の構成について説明する。賞球制御部503は、CPU581と、ROM582と、RAM583と、不図示の入出力インターフェース(I/O)などを備えて構成される。CPU581は、払い出す賞球を制御する賞球制御処理を実行する。ROM582には、該処理に必要となる賞球プログラムなどが記憶されている。RAM583は、CPU581のワークエリアとして機能する。
【0087】
また、賞球制御部503は、払出部(払出駆動モータ)591と、発射部592と、定位置検出SW593と、払出球検出SW594と、球有り検出SW595と、満タン検出SW596と接続される。
【0088】
賞球制御部503は、払出部591に対して入賞時の賞球数を払い出す制御をおこなう。払出部591は、遊技球の貯留部から所定数を払い出すためのモータからなる。具体的には、賞球制御部503は、払出部591に対して各入賞口(第1始動口105、第2始動口106、大入賞口109、普通入賞口110)に入賞した遊技球に対応した賞球数を払い出す制御をおこなう。
【0089】
また、賞球制御部503は、発射部592に対する遊技球の発射の操作を検出して遊技球の発射を制御する。発射部592は、遊技のための遊技球を発射するものであり、遊技者による遊技操作を検出するセンサと、遊技球を発射させるソレノイド等を備える。賞球制御部503は、発射部592のセンサにより遊技操作を検出すると、検出された遊技操作に対応してソレノイド等を駆動させて遊技球を間欠的に発射させ、遊技盤101の遊技領域103に遊技球を送り出す。
【0090】
また、この賞球制御部503には、払い出す遊技球の状態を検出する各所の検出部が接続され、賞球のための払い出し状態を検出する。これらの検出部としては、定位置検出SW593、払出球検出SW594、球有り検出SW595、満タン検出SW596等がある。たとえば、賞球制御部503は、賞球制御基板によってその機能を実現する。
【0091】
また、主制御部501には、盤用外部情報端子基板597が接続されており、主制御部501が実行処理した各種情報を外部に出力することができる。賞球制御部503についても、枠用外部情報端子基板598が接続されており、賞球制御部503が実行処理した各種情報を外部に出力することができる。
【0092】
上記構成の主制御部501と、演出制御部502と、賞球制御部503は、それぞれ異なるプリント基板(主制御基板、演出制御基板、賞球制御基板)に設けられるが、これに限らず、たとえば、賞球制御部503は、主制御部501と同一のプリント基板上に設けることもできる。
【0093】
(ぱちんこ遊技機の基本動作)
本実施の形態にかかるぱちんこ遊技機100の基本動作の一例を説明する。主制御部501のCPU511により遊技中の制御がおこなわれ、各入賞口に対する遊技球の入賞状況を賞球制御部503に出力する。そして、賞球制御部503は、入賞状況に対応した賞球数の払い出しをおこなう。
【0094】
また、始動口105,106に遊技球が入賞するごとに、対応する制御信号を演出制御部502に出力し、演出制御部502は、画像表示部104の図柄を変動表示させ、停止させることを繰り返す。大当たり発生が決定しているときには、対応する制御信号を演出制御部502に出力し、演出制御部502は、所定の図柄で揃えて停止させる。このときには、さらに、大入賞口109を開放する制御をおこなう。
【0095】
演出制御部502は、当選したイベントに対応する各種演出をおこなう。ここで、イベントには、たとえば、大当たり(15ラウンド確変大当たり(いわゆる、確変大当たり)、15ラウンド通常大当たり、2ラウンド確変大当たり(いわゆる、突確)、2ラウンド通常大当たり(いわゆる、突時))や、小当たりなどが含まれる。ここで、小当たりとは、ハズレの一つであるが、2ラウンド確変大当たりと同様の振る舞い(演出)を実行させるイベントである。
【0096】
たとえば、演出制御部502は、大当たり発生期間中、および大当たり発生までの間のリーチ時や、リーチ予告時等には、画像表示部104に対して、図柄の変動表示に加えて各種の演出表示をおこなう。このほか、可動演出役物132に対して特定の駆動をおこなったり、演出ライト部116、盤ランプ564、固定演出役物131、可動演出役物132の点灯状態を変更したりする演出をおこなう。
【0097】
そして、たとえば、大当たり(15ラウンド確変/通常大当たり)発生時には、大入賞口109が複数回開放される。1回の開放を1ラウンドとして、15回のラウンドが繰り返し実行される。1ラウンドの期間は、遊技球がたとえば9個入賞したとき、あるいは所定期間(たとえば30秒)とされている。
【0098】
この際に、賞球制御部503は、大入賞口109に対する遊技球1個の入賞あたり、たとえば15個の賞球数で払い出しをおこなう。大当たり終了後は、大当たり状態が解除され、15ラウンド確変大当たりであった場合には高確率状態の遊技状態へ復帰し、15ラウンド通常大当たりであった場合には低確率状態の遊技状態へ復帰する。
【0099】
(主制御部が実行するメイン処理)
次に、図6を用いて、主制御部501が実行するメイン処理について説明する。図6は、主制御部501が実行するメイン処理の処理内容を示すフローチャートである。たとえば、このメイン処理は、主制御部501に電源が投入されると開始され、主制御部501の起動中継続的に実行される。
【0100】
図6に示すように、メイン処理において主制御部501は、まず、1000ms待機し(ステップS601)、その後、RAM513へのアクセスを許可する(ステップS602)。RAM513へのアクセスを許可すると、主制御部501は、RAMクリアスイッチがONであるかを判定する(ステップS603)。
【0101】
RAMクリアスイッチがONであれば(ステップS603:Yes)、主制御部501は、RAMクリアをおこなう(ステップS604)。ここで、RAMクリアとは、公知の技術のため詳細な説明は省略するが、RAM513に蓄積されている各種情報(たとえば遊技状態を示す情報)を所定の初期状態とすることである。
【0102】
RAMクリアをおこなうと、主制御部501は、クリア時の作業領域を設定し(ステップS605)、周辺部の初期設定をおこなう(ステップS606)。ここで、周辺部とは、演出制御部502、賞球制御部503などである。周辺部の初期設定は、それぞれの制御部に対して、初期設定の実行を指示する初期設定コマンドを送信することによりおこなわれる。
【0103】
一方、RAMクリアスイッチがONでなければ(ステップS603:No)、主制御部501は、バックアップフラグがONであるかを判定する(ステップS607)。バックアップフラグがONであれば(ステップS607:Yes)、主制御部501は、チェックサムが正常であるかを判定する(ステップS608)。
【0104】
チェックサムが正常であれば(ステップS608:Yes)、主制御部501は、復旧処理を実行する(ステップS609)。また、バックアップフラグがONでなければ(ステップS607:No)、またはチェックサムが正常でなければ(ステップS608:No)、主制御部501は、ステップS604へ移行してRAMクリアをおこなう。
【0105】
次に、主制御部501は、内蔵されているCTC(タイマカウンタ)の周期(たとえば4ms)を設定する(ステップS610)。なお、主制御部501は、ここで設定された周期を用いてタイマ割込処理を実行する。ステップS610においてCTCの周期を設定すると、主制御部501は、電源遮断を監視する電源遮断監視処理を実行する(ステップS611)。
【0106】
電源遮断監視処理を実行すると、主制御部501は、変動パターン乱数を更新し(ステップS612)、タイマ割込処理の割込禁止設定をおこなう(ステップS613)。そして、主制御部501は、初期値乱数を更新し(ステップS614)、タイマ割込処理の割込許可設定をおこない(ステップS615)、ステップS611へ移行する。以降、主制御部501は、ステップS611からステップS615の処理を繰り返し実行する。
【0107】
(演出統括部およびランプ制御部の初期設定時における処理手順)
次に、図7〜図9を用いて、演出統括部502aおよびランプ制御部502cの初期設定時における処理手順の内容について説明する。図7は、演出統括部502aがおこなう異常検出開始処理の処理内容を示したフローチャートである。
【0108】
図7において、演出統括部502aのCPU541は、主制御部501から初期設定コマンドを受信したか否かを判定する(ステップS701)。なお、初期設定コマンドは、ステップS606(図6参照)における周辺部の初期設定において、主制御部501から出力されるコマンドである。初期設定コマンドを受信しない場合(ステップS701:No)、そのまま処理を終了する。
【0109】
初期設定コマンドを受信した場合(ステップS701:Yes)、ランプ制御部502cに異常を検出させるための異常検出開始コマンドをセットして(ステップS702)、処理を終了する。
【0110】
図8は、ランプ制御部502cがおこなう異常検出処理の処理内容を示したフローチャートである。図8において、ランプ制御部502cのCPU561は、異常検出期間中であるか否かを判定する(ステップS801)。異常検出期間中とは、ランプ制御部502cのCPU561が演出統括部502aから異常検出開始コマンドを受信してから、予め設定されている所定の期間であり、たとえば、数秒〜数十秒程度に設定されている。
【0111】
異常検出期間中ではないと判定した場合(ステップS801:No)、そのまま処理を終了する。異常検出期間中であると判定した場合(ステップS801:Yes)、駆動モータ201を所定量回転させ、フォトセンサ230による駆動モータ201の原点位置の検出を開始する(ステップS802)。そして、フォトセンサ230によって遮蔽物が検出されたか否かを判定する(ステップS803)。なお、遮蔽物は、ストッパ220または筒部205の壁面である。
【0112】
遮蔽物が検出された場合(ステップS803:Yes)、駆動モータ使用フラグをOFFにする(ステップS804)。なお、駆動モータ使用フラグをOFFにするとは、駆動モータ201の使用を停止させることである。このあと、ストッパ220が検出されたことを示す異常コマンドをセットし(ステップS805)、処理を終了する。
【0113】
ステップS803において、遮蔽物が検出されない場合(ステップS803:No)、つまり、ストッパ220が介在せずに駆動モータ201が正常に原点位置に位置した場合、駆動モータ使用フラグをONにする(ステップS806)。なお、駆動モータ使用フラグをONにするとは、駆動モータ201を使用させるようにすることである。このあと、ストッパ220が検出されなかったことを示す正常コマンドをセットし(ステップS807)、処理を終了する。
【0114】
上述した処理によれば、遮蔽物が検出されている間、つまり、ストッパ220のロックがかかっている間、または駆動モータ201に異常がある間、駆動モータ201の使用を停止し、異常を報知させることができる。
【0115】
図9は、演出統括部502aがおこなう報知処理の処理内容を示したフローチャートである。図9において、演出統括部502aのCPU541は、ランプ制御部502cから異常コマンドを受信したか否かを判定する(ステップS901)。異常コマンドを受信した場合(ステップS901:Yes)、画像表示部104およびスピーカ554を用いての解除を促す異常報知画面をセットする(ステップS902)。そして、演出役物130を併用した演出内容の使用フラグをOFFにし(ステップS903)、ステップS907に移行する。
【0116】
ステップS903において使用フラグをOFFにするとは、演出役物130の可動演出役物132の可動を伴う演出内容を使用しないようにすることである。なお、ランプ制御部502cにおいても、駆動モータ使用フラグがOFFに設定されているため(図8ステップS804参照)、遊技中に、駆動モータ201に過負荷がかかることはないが、ステップS903の処理にて、演出役物130を用いた演出をおこなわないようにすることにより、違和感のない演出をおこなうことを可能にしている。
【0117】
ステップS901において、異常コマンドを受信しない場合(ステップS901:No)、正常コマンドを受信したか否かを判定する(ステップS904)。正常コマンドを受信した場合(ステップS904:Yes)、正常画面をセットする(ステップS905)。そして、演出役物130を併用した演出内容の使用フラグをONにし(ステップS906)、異常検出期間が終了したか否かを判定する(ステップS907)。また、ステップS904において、正常コマンドを受信しない場合(ステップS904:No)、たとえば、現在表示中の画面を保持したまま、ステップS907に移行する。
【0118】
ステップS907において、異常検出期間が終了していないと判定した場合(ステップS907:No)、処理を終了する。異常検出期間が終了したと判定した場合(ステップS907:Yes)、報知終了コマンドをセットし(ステップS908)、処理を終了する。なお、画像・音声制御部502bは、報知終了コマンドを受信することにより、画像表示部104およびスピーカ554を用いた異常報知画面または正常画面を終了させる。
【0119】
なお、図8および図9に示した処理では、画像表示部104およびスピーカ554から異常報知画面を出力させるようにしているが、これに限らず、演出役物ランプ565、演出ライト部116、盤ランプ564などのランプを、所定の警告を示す色に点灯または点滅させることも可能である。この場合、フォトセンサ230によってストッパ220が検出された場合には、その旨を示す異常コマンドをランプ制御部502cから演出統括部502aに送信(図8ステップS805参照)することなく、ランプ制御部502cの制御によって、所定の点灯形式にてランプを点灯させればよい。なお、このような演出役物ランプ565の点灯または点滅による異常状態の報知と、画像表示部104およびスピーカ554による異常状態の報知を併用してもよい。
【0120】
(画像表示部に表示される画面の一例)
次に、図10および図11を用いて、画像表示部104に表示される表示画面の一例について説明する。図10は、異常報知画面の一例を示した説明図である。なお、図10に示す画面は、図9のステップS902においてセットされた異常報知画面の出力指令に基づき、画像・音声制御部502bの制御によって出力された異常報知画面を示している。
【0121】
図10において、画像表示部104には、ギミック(演出役物130)のストッパ220のロック解除を促す旨が表示されている。このとき、スピーカ554からもストッパ220のロック解除を促す旨を報知する。なお、この表示画面において、ロックが解除されない場合には、または駆動モータ201に異常がある場合には、駆動モータ201を停止させる旨を表示したり、ギミックを用いた演出をおこなわない旨を表示したりしてもよい。図10に示す表示画面において、店員等の操作者によって固定演出役物131が引出操作され、ロックが解除され、駆動モータ201に異常がなく原点位置が検出されると図11に示す画面に移行する。
【0122】
図11は、正常画面の一例を示した説明図である。なお、図11に示す画面は、図9のステップS905においてセットされた正常画面の出力指令に基づき、画像・音声制御部502bの制御によって出力された正常画面を示している。図11において、画像表示部104には、ギミック(演出役物130)のストッパ220のロックが解除され、異常がない旨が表示されている。なお、初めから異常がない場合、図10に示した画面を表示させずに図11に示した画面を表示させる。
【0123】
以上説明したように、本実施の形態によれば、ストッパ220の有無を検出するようにし、ストッパ220が検出された場合、可動演出役物132がロックされている旨を報知させるようにしたので、店員にロックの解除を促すことができる。したがって、ストッパ220の取り忘れを抑止でき、ぱちんこ遊技機100本来の演出をおこなうことができるとともに、駆動モータの故障を抑止することができる。
【0124】
また、本実施の形態によれば、盤面に付設されたストッパ220をスライドさせることにより、可動演出役物132に対するロックまたはロックの解除をおこなうようにしたので、ストッパ220の紛失を防止でき、再度のロックを簡単におこなうことができる。さらに、このような構成によれば、ストッパ220の装着時または取り外し時に、ストッパ220の接触に伴って遊技盤101の表面を傷つけてしまうといったことを抑止することができる。
【0125】
また、本実施の形態では、固定演出役物131とストッパ220とを一体化し、固定演出役物131を押入操作することにより可動演出役物132をロックすることができる一方、固定演出役物131を引出操作することにより可動演出役物132のロックを解除するようにした。したがって、簡単な操作にて容易に可動演出役物132に対するロックまたはロックの解除をおこなうことができる。
【0126】
なお、本実施の形態において、係止部301を従動ギア204に係止させることにより、可動演出役物132をロックさせることも可能であるが、本実施の形態のように、係止部301を駆動ギア203に係止させるようにしたので、より確実に可動演出役物132をロックさせることができる。
【0127】
また、本実施の形態によれば、ストッパ220の一部を被検出部223とし、固定演出役物131を押入操作することにより可動演出役物132をロックした位置にて、被検出部223を検出することができる。また、駆動モータ201の原点位置を検出するフォトセンサ230を、ストッパ220の検出用としても用いるようにしたので、別途、ストッパ220を検出するためのセンサを設ける必要がなく、省スペース化を図ることができるとともに、低コストに抑えることができる。
【0128】
また、本実施の形態によれば、電源投入時に、可動演出役物132がロックされている場合に、始動前の点検などにおいて、ロックの解除を促すことができる。なお、ロックの検出をおこなうタイミングは、電源投入時に限らず、遊技盤101前面の開閉扉の開放時や、たとえば4時間といった所定時間おきとしてもよい。この場合、開閉扉の開放時や、所定時間おきに、上述した異常検出処理(図8参照)および報知処理(図9参照)をおこなえばよい。
【0129】
ただし、開閉扉の開放時に上述した処理をおこなうタイミングは、図柄変動などがおこなわれていない非遊技状態の場合とする。また、所定時間おきに上述した処理をおこなう場合に、ストッパ220のロックが検出された際、遊技の妨げにならないよう、ランプのみによる報知としてもよいし、開閉扉が開いている際に音声によって報知してもよいし、ロックが検出された旨を記憶しておき、たとえば、客待ち画面を所定時間以上表示しているときに画像表示部104によって報知してもよい。このように、開閉扉の開放時や所定時間おきに、異常検出処理および報知処理すれば、開閉扉の開閉動作や遊技時の振動などによって、万一、ストッパ220のロックがかかった場合であっても、その旨を店員に報知することができる。
【0130】
また、本実施の形態によれば、可動演出役物132に対するロックが検出された場合に、以降の遊技において、駆動モータ201の駆動を停止させるようにしたので、万一、店員によってロックが解除されなかった場合であっても、遊技時における駆動モータ201への過負荷を抑止することができる。
【0131】
また、本実施の形態によれば、可動演出役物132のロックが解除された場合に、駆動モータ201の駆動を可能にしたので、可動演出役物132を用いた、ぱちんこ遊技機100本来の演出をおこなうことができる。
【0132】
なお、本実施の形態においては、ぱちんこ遊技機100によって本発明の遊技機を実現した場合について説明したが、盤面上を可動にして所定の演出をおこなう可動演出役物132を備えたものであれば、回動式遊技機によっても本発明の遊技機を実現することが可能である。また、ぱちんこ遊技機100は、可動演出役物132を備えたものであれば、いわゆる、第一種、第二種などの種別を問わない。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】実施の形態にかかるぱちんこ遊技機の一例を示す正面図である。
【図2−1】演出役物の分解斜視図である。
【図2−2】演出役物の組立斜視図である。
【図3−1】可動演出役物がロックされている状態を示した断面図である。
【図3−2】図3−1のB方向から見た駆動ギアの正面図である。
【図3−3】可動演出役物がロックされていない状態を示した断面図である。
【図4−1】通常時における演出役物の状態を示した説明図である。
【図4−2】演出時に可動演出役物が移動した際の演出役物の状態を示した説明図である。
【図5】実施の形態にかかるぱちんこ遊技機の制御部の内部構成を示すブロック図である。
【図6】主制御部が実行するメイン処理の処理内容を示すフローチャートである。
【図7】演出統括部がおこなう異常検出開始処理の処理内容を示したフローチャートである。
【図8】ランプ制御部がおこなう異常検出処理の処理内容を示したフローチャートである。
【図9】演出統括部がおこなう報知処理の処理内容を示したフローチャートである。
【図10】異常報知画面の一例を示した説明図である。
【図11】正常画面の一例を示した説明図である。
【符号の説明】
【0134】
100 ぱちんこ遊技機(遊技機)
104 画像表示部
130 演出役物
131 固定演出役物
132 可動演出役物
200 駆動系(駆動手段)
201 駆動モータ
203 駆動ギア
204 従動ギア
220 ストッパ(ロック手段)
221 突起部
222 摺動溝
223 被検出部
230 フォトセンサ(検出手段)
301 係止部
302 ガイドレール
502 演出制御部(制御手段)
502a 演出統括部(制御手段)
502b 画像・音声制御部(制御手段)
502c ランプ制御部(制御手段)
554 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤上に移動可能に設けられ、所定の演出をおこなう可動演出役物と、
前記可動演出役物を移動させるために駆動回転する駆動手段と、
を備えた遊技機であって、
所定のロック位置にて前記可動演出役物をロックするロック手段と、
前記所定のロック位置における前記ロック手段の有無を検出する検出手段と、
前記検出手段によって前記ロック手段が検出された場合、前記可動演出役物がロックされている旨を報知させる制御手段と、
を備えることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記駆動手段は、前記可動演出役物に回転力を付与するギアを有し、
前記ロック手段は、盤面に付設され、盤面に対して垂直方向に移動可能なスライド機構を有するとともに、前記ギアに係止する係止部を有し、遊技盤の盤面に対して押入された押入位置にて、前記係止部が前記ギアへ係止することに伴って前記可動演出役物をロックする一方、遊技盤の盤面に対して引き出された引出位置にて、前記係止部が前記ギアへの係止を解除することに伴って前記可動演出役物のロックを解除するものであることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記ロック手段に連結され、盤面に対して垂直方向に移動可能な固定演出役物をさらに備え、
前記ロック手段は、前記固定演出役物が遊技盤の盤面に対して押入操作されることにより、前記係止部が前記ギアに係止することに伴って前記可動演出役物をロックする一方、前記固定演出役物が遊技盤の盤面に対して引出操作されることにより、前記係止部が前記ギアへの係止を解除することに伴って前記可動演出役物のロックを解除するものであることを特徴とする請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記ロック手段は、前記係止部が前記ギアに係止する位置にて、前記検出手段によって検出される被検出部を有することを特徴とする請求項2または3に記載の遊技機。
【請求項5】
前記制御手段は、電源投入時に、前記検出手段に前記ロック手段の検出をおこなわせ、前記検出手段によって前記ロック手段が検出された場合、前記可動演出役物がロックされている旨を報知させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の遊技機。
【請求項6】
前記制御手段は、前記検出手段によって前記ロック手段が検出された場合、以降の遊技において、前記駆動手段の駆動を停止させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の遊技機。
【請求項7】
前記制御手段は、前記検出手段によって前記ロック手段が検出されなくなった場合、以降の遊技において、前記駆動手段の駆動を可能にすることを特徴とする請求項6に記載の遊技機。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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