説明

遊技機

【課題】スピーカ正面に向かって直進する不正具の侵入を阻止し、不正具によるスピーカの破壊を防止する。
【解決手段】音声を出力するスピーカ9を備えるスロットマシン1において、孔を有しない板状部材であって、屈曲した音声の出力経路Sを形成させつつ、スピーカ9の正面側を直視不能に覆う保護板97を備え、この保護板97が、スピーカ9の正面に向かって直進する不正具の侵入を阻止することにより、不正具によるスピーカ9の破壊を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声を出力するスピーカを備える遊技機に関し、特に、針金などの長物の挿入によるスピーカの破壊を防止する遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技場には、パチンコ機やスロットマシンなどの遊技機が設置されている。
遊技機から払出された遊技媒体は、現金などの有価価値を有する景品と交換することができるため、遊技機に不正を働いて、遊技機から遊技媒体を窃取する不正行為が後を絶たない。
【0003】
そこで、遊技機には、このような不正行為に曝されたときに、外部に警告音を出力するスピーカが備わっている。
警告音には、遊技機の扉が開放されたときに出力される扉開放音、遊技媒体を払出す払出装置が強制操作されたときに出力される払出エラー音、また、スロットマシンにおいては、大当りの設定確率を変更中に出力される設定変更音などがあり、スピーカは、遊技機が異常状態にあることを外部に知らしめ、不正行為の発生を抑止する装置として機能している。
【0004】
不正行為者が遊技機に不正を働くときには、通常なるべく周囲に目立たないように行う。この際にスピーカは不都合な存在であることから、不正行為者は、まず、スピーカを破壊しようとする。
そのため、近年では、遊技機外部から針金・セル板などの長物(以下、不正具という)を機内に侵入させてスピーカの振動板(コーン紙)を突き破る行為が多発している。
【0005】
このような不正具によるスピーカの破壊を防止する構造を備えた遊技機が提案されている。
例えば、特許文献1に示される遊技機では、スピーカグリル部とスピーカの振動板との間に、不正具の侵入を阻止するファン、ワイパなどの移動部材を配置している。
また、特許文献2に示される遊技機では、スピーカグリル部とスピーカの振動板との間に、不正具の侵入を阻止する多孔部材(振動体カバー)を配置するとともに、スピーカグリル部の孔方向と多孔部材の孔方向を相違させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−50470号公報
【特許文献2】特開2005−74121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に示される遊技機では、スピーカグリル部の音出力孔から不正具を挿入した場合、移動部材が不正具の侵入を阻止するものの、これに当たって移動部材が停止・破壊される可能性があるので、対策として不完全なものであった。
また、特許文献2に示される遊技機では、たとえ孔方向が相違していても、あらかじめ曲げた針金等をスピーカグリル部の音出力孔から挿入すると、多孔部材の音出力孔も通過する可能性があるので、不正具によるスピーカの破壊を防止する構造としては不十分であった。
【0008】
本発明は、このような問題を解決するために提案されたものであり、孔を有しない板状部材であって、屈曲した音声の出力経路を形成させつつ、スピーカ正面側を直視不能に覆う保護板を備えることにより、スピーカ正面に向かって直進する不正具の侵入を阻止し、不正具によるスピーカの破壊を防止することができる遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の遊技機は音声を出力するスピーカを備える遊技機において、孔を有しない板状部材であって、屈曲した音声の出力経路を形成させつつ、前記スピーカ正面側を直視不能に覆う保護板を備える構成としてある。
【発明の効果】
【0010】
本発明の遊技機によれば、屈曲した音声の出力経路を形成させつつ、スピーカ正面側を直視不能に覆う保護板を備えることにより、スピーカ正面に向かって直進する不正具の侵入を阻止し、不正具によるスピーカの破壊を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの外観を示す概略斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの内部構成を示す概略斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るスロットマシンのスピーカ取付部を示す分解斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るスロットマシンのスピーカ取付部を示す内部正面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るスロットマシンのスピーカ取付部を示す側断面図(A−A断面図)である。
【図6】本発明の一実施形態に係るスロットマシンのスピーカ取付部を示す側断面図(B−B断面図)である。
【図7】本発明の一実施形態に係るスロットマシンのスピーカ取付部の変形例を示す内部正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る遊技機の好ましい実施形態について、各図を参照して説明する。
遊技機には、パチンコ機、スロットマシン、アレンジボール、雀球など様々な機類があるが、本実施形態では、メダルを遊技媒体とするスロットマシンに本発明を適用した場合について、図面を参照しつつ説明する。
【0013】
[スロットマシン本体]
図1は、本発明の一実施形態に係るスロットマシンの外観を示す概略斜視図、図2は、本発明の一実施形態に係るスロットマシンの内部構成を示す概略斜視図である。
【0014】
これらの図に示すように、本実施形態のスロットマシン1は、複数のリール41a,41b,41cを回転させることによって遊技媒体であるメダルを獲得することができる回胴式遊技機を構成している。
【0015】
スロットマシン1は、内部がマイクロコンピュータ等で構成された制御部10、制御部10からの指令により、スピーカ9とLED等のランプを制御する演出制御部20、及び必要な機械、装置等を収納する正面側が開口した筐体1bと、筐体1bの正面側を開閉可能に覆う前扉1aとで構成されている。
【0016】
前扉1aは、図2に示すように、スロットマシン1の筐体1bにヒンジ等を介して開閉可能に取り付けられる扉体で、この前扉1aに遊技操作に係る複数の操作手段が設けられて、スロットマシン1の正面部を構成している。
【0017】
操作手段としては、メダルが投入されるメダル投入口2と、各リール41a,41b,41cの回転を始動させるスタートレバー3と、回転している各リール41a,41b,41cを停止させる3つの停止ボタン5a,5b,5cなどが設けられている。
さらに、前扉1aには、各リール41a,41b,41cに表示された図柄を視認可能とする表示窓6が、各操作手段の上側に設けられている。また、前扉1a下部には、メダルを払い出すメダル払出口8、払い出されたメダルを貯留する貯留皿81、効果音や警告音を出力するスピーカ9などが設けられている。
【0018】
筐体1bの中央には、リール41a,41b,41cと、各リール41a,41b,41cを回転させる図示しないモータ及び回転位置を検出するセンサ等を備えるドラムユニット4が設けられる。
また、筐体1bの下部には、メダルの貯留・払出しを行うメダル払出装置7が設けられる。メダル払出装置7には、メダルを貯留するホッパー7aが設けられ、メダル投入口2より投入されたメダルは、メダルセレクタ2aにより検出されるとともに、ホッパー7aに誘導されるようになっている。
【0019】
スロットマシン1では、上記の各操作手段からの信号やメダルセレクタ2aからの信号に基づき、制御部10が、ドラムユニット4、メダル払出装置7などの各装置を制御することで、以下のようなスロットマシン遊技が進行する。
【0020】
具体的には、遊技者によりメダル投入口2からメダルが投入されると、メダルがメダルセレクタ2aにより検出され、検出信号が制御部10に入力される。制御部10は、この検出信号の入力数からゲーム可能なメダル数を監視するとともに、スタートレバー3の操作を監視する。
ゲーム可能なメダル数となったときに、スタートレバー3が操作されると、制御部10は、ドラムユニット4を駆動して、各リール41a,41b,41cを回転させる制御を行う。
【0021】
さらに、制御部10は、スタートレバー3が操作されたときに、ボーナスや小役等を抽せんする内部抽せんを行い、各停止ボタン5a,5b,5cが押下操作されたタイミングに基づき、抽せん結果に応じた図柄の組合せで停止するよう、回転している各リール41a,41b,41cの停止制御を行う。
【0022】
また、制御部10は、各リール41a,41b,41cに停止表示される図柄の組合せを判定し、所定の図柄の組合せのときには、メダル払出装置7に対して所定数のメダルを払い出す制御を行い、メダルがメダル払出口8から払い出される。
【0023】
また、スロットマシン1では、上述したようなスロットマシン遊技において、制御部10が遊技状態に応じた所定の制御信号を演出制御部20に出力することで、演出制御部20が、この制御信号に従い、予め記憶した演出プログラムに基づきスピーカ9及びLED等のランプを駆動して、所定の演出を行う。
【0024】
そして、このように構成されたスロットマシン1に対して、下記のスピーカグリル95に形成された多数の音出力孔96から不正具が挿入された場合には、本発明に係るスピーカ取付部構造がスピーカ9の破壊行為を防止し、機内への不正アクセスを阻止するようになっている。
以下、本実施形態のスピーカ取付部構造について、各図を参照して詳述する。
【0025】
[スピーカ取付部]
図3は、本発明の一実施形態に係るスロットマシンのスピーカ取付部を示す分解斜視図、図4は、本発明の一実施形態に係るスロットマシンのスピーカ取付部を示す内部正面図、図5は、本発明の一実施形態に係るスロットマシンのスピーカ取付部を示す側断面図(図4中のA−A断面図)、図6は、本発明の一実施形態に係るスロットマシンのスピーカ取付部を示す側断面図(図4中のB−B断面図)である。
【0026】
これらの図に示すように、本実施形態のスロットマシン1は、前扉1aの下部に左右一組のスピーカ9を備えている。各スピーカ9の取付構造は、同一であるため、左右を区別することなく説明する。
【0027】
前扉1aの下部には、音出力口となる開口91が形成されており、該開口91の後側にスピーカ9が取付けられる。本実施形態のスピーカ9は、円錐形のコーン紙からなる振動板92を備えており、その後方がカバー93で支持される状態で、前扉1aの後面側に複数のねじ94を用いて固定される。
【0028】
前記開口91の前方は、スピーカグリル95で覆われるようになっている。スピーカグリル95は、前扉1aの下部前面側に重ね合わせ状に設けられるパネル部材であり、開口91を覆う円形領域には、多数の音出力孔96が形成されている。
【0029】
このようなスピーカ取付構造を採用するスロットマシン1では、不正行為に先立ち、スピーカグリル95の音出力孔96から針金などの不正具を挿入し、スピーカ9の振動板92が破壊されることがあった。
【0030】
このようなスピーカ9の破壊行為を防止するために、本発明の実施形態に係るスロットマシン1は、スピーカ取付部に保護板97を備えている。この保護板97は、孔を有していないものの、屈曲した音声の出力経路Sを形成させつつ、スピーカ9の正面側を直視不能に覆う機能を有しており、スピーカ9の正面に向かって直進する不正具の侵入を阻止するようになっている。
【0031】
具体的に説明すると、本実施形態の保護板97は、スピーカ9の正面側に上下方向にずらして交互に重ねて形成された2枚の板状部材97a、97bを備えて構成されている。
2枚の板状部材97a、97bは、スピーカグリル95に形成したような多数の音出力孔96を有することなく、面一の板状部材で形成されている。
【0032】
一方の板状部材97aは、前扉1aの一部を利用しており、本来は円形である開口91の上半分を覆う扇状に形成されている。
詳細には、板状部材97aは、図4及び図5に示すように、スピーカ9から間隔D1(例えば、3mm)をあけてスピーカ9に面する位置に配置され、スピーカ9の開口91を上半分以上覆うように形成されている。
このように配置することで、スピーカ9を側面から見た側面視においては、間隔D1の出力経路が確保され、スピーカ9を正面から見た正面視においては、下半分に角度α(例えば、150度)の開口91が確保される。すなわち、スピーカ9の開口91を塞ぐことなく、音声の出力経路を確保しつつ、スピーカ9の正面に向かって直進する不正具の侵入領域を極力狭めることができる。
また、板状部材97aには、ねじ99を用いて板状部材97bを固定するねじ固定部97a−1が形成されている。このねじ固定部97a−1は、板状部材97aのスピーカ9正面を横切る部分である下端部近傍に形成されている。
【0033】
他方の板状部材97bは、扇状の鋼板からなり、開口91の下半分を覆うように形成されている。
詳細には、板状部材97bは、図4及び図5に示すように、遊技者側に面する位置に、間隔D2(例えば、5mm)をあけて板状部材97aと並列され、板状部材97aで覆われない領域を補完するように、開口91の下半分を覆う。
【0034】
この板状部材97bは、複数箇所で固定され、具体的には、開口91の前方に立設される突片98と、上記のねじ固定部97a−1を介して、板状部材97aとにねじ99を用いて固定される。
そのため、板状部材97bには、スピーカ9の中心からずれた位置に、板状部材97aに固定するためのねじ穴97b−1と、突片98に固定するためのねじ穴97b−2と、突片98に固定する際の位置決め用の二つの孔97b−3が形成されている。
板状部材97bは、ねじ穴97b−1を介してねじ固定部97a−1に固定され、ねじ穴97b−2を介して突片98に形成されたねじ固定部98aに固定される。また、板状部材97bは、孔97b−3を介して突片98に形成された凸部98bと嵌合し、突片98に対して位置決めされる。
なお、ねじ穴97b−1は、板状部材97bのスピーカ9正面を横切る部分である上端部近傍に形成されている。
【0035】
このように構成された保護板97は、図5に示すように、スピーカ9を側面から見た側面視において、一方の板状部材97aがスピーカ9から間隔D1(例えば、3mm)をあけてスピーカ9の正面上側を覆うとともに、他方の板状部材97bが板状部材97aから間隔D2(例えば、5mm)をあけてスピーカ9の正面下側を覆うので、屈曲した音声の出力経路Sを形成させつつ、スピーカ9の正面側を直視不能に覆い、スピーカ9の正面に向かって直進する不正具の侵入を阻止することができる。
【0036】
さらに、図4に示すように、保護板97は、スピーカ9を正面から見た正面視において、一方の板状部材97aの下端部と他方の板状部材97bの上端部を互いに行き違わせ、合い重なる領域(図中斜線領域)となる重合部Wを形成してある。
この重合部Wは、所定幅(例えば、20mm)でスピーカ9正面をほぼ横断するように形成されている。これにより、出力経路Sにおいて曲率の小さいU字状の経路(折り返し)がスピーカ9正面に亘って形成されるため、不正具の侵入経路が迷路状になる。
【0037】
すなわち、重合部Wを形成することで、出力経路Sにおいて少なくとも一のU字状の経路(折り返し)が形成され、このようなU字状の経路を含む出力経路Sは、スピーカグリル95の正面側からスピーカ9の正面に至る不正具の侵入経路を迷路状に構成するので、不正具の侵入をより困難にし、不正具によるスピーカ9の破壊を確実に防止することが可能になる。また、重合部Wは、スピーカ9正面をほぼ横断するように形成されていることから、正面視におけるあらゆる部分でU字状の経路が形成されることになる。
【0038】
また、本実施形態のように、スピーカ9を貯留皿81の後面側に内蔵する場合は、保護板97は、図5に示すように、出力経路Sの終端部開口Kが上方を向むように構成してある。
これは、遊技者側に面する位置に配置する板状部材97bを、開口91の下半分を覆うように形成することで、出力経路Sの終端部開口Kが上方を向くことになる。
スロットマシンのみならずパチンコ機においても、貯留皿81は一般的に遊技機の最下部に設置されていることから、出力経路Sの終端部開口Kを上方に向けることで、後面側に内蔵されたスピーカ9からの音出力を遊技者の耳に届けることができる。
【0039】
さらに、終端部開口Kを、貯留皿81においてメダルが最も多く貯留されたときのメダルの最大貯留高さL(例えば、貯留皿前端部高さ)よりも上方に位置するように形成してある。
このようにすると、貯留皿81に多くのメダルが溜まっている状況でも、終端部開口Kがメダルによって塞がれることを防止し、スピーカ9の発生音を遊技者に向けて確実に出力することができる。
【0040】
また、図6に示すように、板状部材97bは、突片98と板状部材97aに固定されている。
すなわち、板状部材97bは、ねじ穴97b−1を介してねじ固定部97a−1に固定され、ねじ穴97b−2を介して突片98に形成されたねじ固定部98aに固定されている。このように板状部材97bを複数の固定部において固定することにより、スピーカ9の音圧により発生する板状部材97bの振動によるビリつきを防ぐことができる。
【0041】
特に、スピーカ9正面を横切る部分である板状部材97bの上端部側は、この部分が板状部材97bを片持ち梁とみなしたときの自由端側となることから(突片98側が支持側)、上端部側がスピーカ9の音圧を受けて音叉のように振動する。そこで、上端部近傍(ねじ穴97b−1)を固定することで、この部分の振動を抑えることができる。
また、一方の板状部材97aにとっても、同様にこの部分(下端部近傍)は、自由端側となることから、ねじ固定部97a−1を介して板状部材97bと固定されることで、この部分の振動を抑えることができる。つまり、板状部材97a,97bにおいてスピーカ9正面を横切る端部同士(重合部W)を固定することで、端部側が自由端となって振動することが抑えられ、保護板97の振動によるビリつきを防ぐことができる。
【0042】
以上のように構成された本実施形態によれば、音声を出力するスピーカ9を備えるスロットマシン1において、孔を有しない板状部材であって、屈曲した音声の出力経路Sを形成させつつ、スピーカ9の正面側を直視不能に覆う保護板97を備え、この保護板97が、スピーカ9の正面に向かって直進する不正具の侵入を阻止することにより、不正具によるスピーカ9の破壊を防止することができる。
【0043】
また、本実施形態の保護板97は、スピーカ9の正面側に交互に重ねて形成された複数の板状部材97a、97bからなるので、複数の板状部材97a、97bを追加する程度の簡単な構成変更により、安価に実施することができる。
しかも、本実施形態の一方の板状部材97aは、前扉1aの一部を利用して形成されるので、部品点数を削減し、より安価に実施することができる。
【0044】
以上、本発明の遊技機について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明に係る遊技機は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
例えば、本実施形態では、所定の間隔をあけて交互に(互い違いに)重なり合う板状部材の枚数を2枚とし、これら2枚の板状部材によってU字状に屈曲した出力経路を形成しているが、板状部材の枚数を3枚以上とし、より複雑な不正具の出力経路(不正具の侵入経路)を形成するようにしてもよい。また、この場合には、重合部Wの幅をそれぞれ違えるように重ね合わせることもできる。
【0045】
また、本実施形態では、2枚の板状部材を、上下方向にずらして重ね合わせることで、重合部Wがスピーカ9正面を横断するように形成したが、左右方向にずらして重ね合わせることで、重合部Wがスピーカ9正面を縦断するように形成することもできる。また、複数の板状部材を重ね合わせることで、横断と縦断さらに任意の方向に横切る重合部Wを複数形成し、より複雑な不正具の侵入経路を形成することもできる。
【0046】
また、本実施形態では、スピーカ9に面する板状部材97aがスピーカ9の開口91を半分以上覆うように形成したが、図7の(a)に示すように、開口91の半分(角度α=約180度)が確保されるように覆うこともできる。また、図7の(b)に示すように、開口91の半分以上(例えば、角度α=約210度)が確保されるように覆うこともできる。これにより、スピーカ9からの音声出力範囲を最大限に確保しつつ、スピーカ9の正面側を直視不能に覆い、スピーカ9の正面に向かって直進する不正具の侵入を阻止することができる。
【0047】
また、本実施形態では、保護板を複数の板状部材で構成したが、一枚の板状部材で構成することもできる。この場合には、一枚の板状部材をスピーカ9の正面方向に沿って重畳状に折り曲げるとともに、折り曲げた部分を音声の出力経路Sを形成させるために開口させ、折り曲げた一枚の板状部材でスピーカ9の正面側を直視不能に覆う保護板を構成することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、音声を出力するスピーカを備えるパチンコ機、スロットマシン、アレンジボール、雀球などの遊技機において利用することができ、特に、針金などの不正具によるスピーカの破壊を確実に防止することが求められる遊技機に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0049】
1 スロットマシン
1a 前扉
1b 筐体
9 スピーカ
81 貯留皿
91 開口
92 振動板
95 スピーカグリル
96 音出力孔
97 保護板
97a 板状部材
97b 板状部材
K 終端部開口
S 出力経路
W 重合部(重なる領域)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声を出力するスピーカを備える遊技機において、
孔を有しない板状部材であって、屈曲した音声の出力経路を形成させつつ、前記スピーカ正面側を直視不能に覆う保護板を備えることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記保護板は、複数の前記板状部材で形成され、
前記複数の板状部材は、前記スピーカを側面から見た側面視において、前記スピーカ正面側に所定の間隔をあけて並列されるとともに、前記スピーカを正面から見た正面視において、重なる領域が形成されるように配置され、
前記重なる領域は、前記スピーカ正面を所定幅で横切る請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記スピーカを遊技媒体が貯留される貯留皿の後面側に内蔵させ、
遊技者に面する前記板状部材を、前記出力経路の終端開口部が上方に形成されるように配置した請求項1又は2記載の遊技機。
【請求項4】
前記終端開口部を、前記貯留皿に貯留される遊技媒体の最大貯留高さよりも高い位置に形成した請求項3記載の遊技機。
【請求項5】
前記スピーカに面する前記板状部材は、前記スピーカから所定の間隔をあけて配置されるとともに、前記スピーカ正面を半分以上覆う請求項1〜4のいずれか一項に記載の遊技機。
【請求項6】
前記保護板を複数の前記板状部材で形成する場合において、前記板状部材を前記スピーカ正面側に固定する複数の固定部を備え、
少なくとも一の前記固定部は、
近接する前記板状部材同士を固定するとともに、前記スピーカ正面を横切る端部近傍を固定する請求項1〜5のいずれか一項に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−200327(P2011−200327A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68608(P2010−68608)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(591142507)株式会社北電子 (348)
【Fターム(参考)】