遊技機
【課題】映像表示面において遊技者の手指等を検出可能なセンサを用いて、趣向性の高い遊技を実現できる遊技機を提供する。
【課題手段】ディスプレイ35の画面を覆う検出領域336を有したタッチセンサ33において、検出領域336のX軸方向へ等間隔で平行に並んだn本の光線(Xビーム)のうちの遮断された光線を示すX軸方向の検出情報と、検出領域336のY軸方向へ等間隔で平行に並んだm本の光線(Yビーム)のうちの遮断された光線を示すY軸方向の検出情報とを含んだ位置データが生成される。この位置データに基づいて、複数の遮断されたXビームにおける最も離れた2つのXビームの中央の位置に対応するX座標成分と、複数の遮断されたYビームにおける最も離れた2つのYビームの中央の位置に対応するY座標成分とを含んだ中央座標データが取得される。
【課題手段】ディスプレイ35の画面を覆う検出領域336を有したタッチセンサ33において、検出領域336のX軸方向へ等間隔で平行に並んだn本の光線(Xビーム)のうちの遮断された光線を示すX軸方向の検出情報と、検出領域336のY軸方向へ等間隔で平行に並んだm本の光線(Yビーム)のうちの遮断された光線を示すY軸方向の検出情報とを含んだ位置データが生成される。この位置データに基づいて、複数の遮断されたXビームにおける最も離れた2つのXビームの中央の位置に対応するX座標成分と、複数の遮断されたYビームにおける最も離れた2つのYビームの中央の位置に対応するY座標成分とを含んだ中央座標データが取得される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチスロ機(スロットマシン)等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチスロ機(スロットマシン)は、複数種類の図柄が施された複数個(通常3個)のリールを遊技者の操作に応じて回転・停止させ、リールが停止したときに揃う図柄の組み合わせ(出目)に応じてメダルを払い出す処理を行う。また、パチスロ機は、こうした遊技の進行に合わせてランプの点滅やスピーカの音声出力、ディスプレイの画面表示などを制御して、遊技者の気分を高揚させる演出処理を行う。
【0003】
タッチセンサを備えたパチスロ機では、遊技者がディスプレイの画面に触れることで各種の操作を入力することが可能であり、例えば演出効果(キャラクター画像、効果音など)を自分で選択したり、簡易的なゲームを行うことが可能である(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−190370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光学式のタッチセンサは、表示パネルの周囲の縦方向と横方向に赤外線等の光線源と光センサのペアを複数配置してなり、光センサが入射光線の遮断を検出することによって表示パネルに近付いた遊技者の手指などの位置を検出する。この方式のタッチセンサは、使用時に直接触られることがないため、画面の透明板(ガラス等)が強く擦られたり叩かれたりしても劣化することがなく、不特定多数の遊技者が使用するパチスロ機のタッチセンサとして好適である。
【0006】
ところで、光学式のタッチセンサは、縦方向と横方向の遮断された光線の組み合わせによって物体(手指など)の位置を特定するため、例えば2本の指で画面の2箇所が触られた場合と、この2箇所を対角とする四角形の四隅が触られた場合と、当該四角形において他方の対角をなす2箇所が触られた場合とを区別することができない。すなわち、同時に複数箇所で物体が検出された場合、その各々の位置を正しく特定できないことがある。そのため、一般に光学式のタッチセンサは、1箇所ずつ物体の位置を検出することが想定されており、複数箇所で同時に物体が検出された場合は考慮されていないことが多い。
【0007】
しかしながら、同時に複数箇所が接触された場合も光学式タッチセンサを使用できれば、パチスロ機等において更に趣向性の高い遊技を実現することが期待できる。そのためには、一群の光センサにおける検出結果の情報(各光センサにおける光線の遮断の有無)を直接取得し、その情報から複数箇所の接触が生じているか否かを判定することが求められる。光センサの検査結果を直接取得する場合、物体が複数本の光線にまたがっていてもその位置を特定できるように、遮断された複数本の光線の情報を適切に処理して代表点の座標を取得することが求められる。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、映像表示面において遊技者の手指等を検出可能なセンサを用いて、趣向性の高い遊技を実現できる遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る遊技機は、映像を表示する表示部と、前記表示部の映像表示面の少なくとも一部を覆った検出領域の所定の位置を通る複数の光線が遮断されるか否かをそれぞれ判定し、当該判定結果に応じて前記検出領域に進入した物体の位置に係る位置データを生成する検出部と、前記検出部において生成される前記位置データに応じて、遊技の演出用の映像を前記表示部に表示させる制御部とを有する。
前記検出部は、前記検出領域の第1座標軸の方向へ等しい間隔で平行に並んだ複数の第1光線のうち、前記物体によって遮断された第1光線を示す第1検出情報と、前記検出領域の第2座標軸の方向へ等しい間隔で平行に並んだ複数の第2光線のうち、前記物体によって遮断された第2光線を示す第2検出情報とを含んだ前記位置データを生成する。
前記制御部は、前記第1検出情報が一の遮断された第1光線を示す場合、当該一の第1光線の位置に対応し、前記第1検出情報が複数の遮断された第1光線を示す場合、当該複数の遮断された第1光線の中で最も離れた2つの第1光線の中央の位置に対応する前記第1座標軸の座標成分と、前記第2検出情報が一の遮断された第2光線を示す場合、当該一の第2光線の位置に対応し、前記第2検出情報が複数の遮断された第2光線を示す場合、当該複数の遮断された第2光線の中で最も離れた2つの第2光線の中央の位置に対応する前記第2座標軸の座標成分とを含んだ中央座標データを前記位置データに基づいて取得し、前記取得した中央座標データに応じた映像を前記表示部に表示させる。
【0010】
好適に、前記制御部は、前記最も離れた2つの第1光線の間に遮断されていない第1光線がある場合、又は、前記最も離れた2つの第2光線の間に遮断されていない第2光線がある場合に、前記検出領域の複数の離れた部分で物体が検出されていると判定し、当該判定結果に応じた映像を前記表示部に表示させる。
【0011】
好適に、前記制御部は、前記検出部において前記位置データが生成される度に、前記生成された位置データ若しくは前記位置データに応じて取得した前記中央座標データを一時的に記憶するとともに、一定の時間が経過する度に、前記一時的に記憶した最新の位置データに応じて取得した中央座標データ若しくは前記一時的に記憶した最新の中央座標データを最新の確定した中央座標データとして記憶し、前記確定した中央座標データに応じた映像を前記表示部に表示させる。
【0012】
好適に、前記制御部は、前記中央座標データを取得するとともに、前記検出領域における前記第1座標軸の一方向の端の最も近くで遮断された第1光線の位置に対応する前記第1座標軸の座標成分と、前記検出領域における前記第2座標軸の一方向の端の最も近くで遮断された第2光線の位置に対応する前記第2座標軸の座標成分とを含んだ端座標データを取得し、前記取得した中央座標データ及び端座標データに応じた映像を前記表示部に表示させる。
【0013】
好適に、前記制御部は、最新の前記確定した中央座標データと前回の前記確定した中央座標データとに基づいて、前記第1座標軸及び前記第2座標軸に対する前記物体の移動量をそれぞれ取得し、前記取得した2つの移動量を比較し、当該比較において大きい方の移動量に対する小さい方の移動量の割合を算出し、前記算出した割合に応じた所定の比例定数を前記大きい方の移動量若しくは前記小さい方の移動量に乗じた結果として前記一定の期間における前記物体の移動距離を取得する。
【0014】
好適に、前記第1座標軸に沿った2つの方向を第1方向及び第2方向とし、前記第2座標軸に沿った2つの方向を第3方向及び第4方向とし、前記第1方向と前記第3方向の中間の方向を第5方向とし、前記第1方向と前記第4方向の中間の方向を第6方向とし、前記第2方向と前記第4方向の中間の方向を第7方向とし、前記第2方向と前記第3方向の中間の方向を第8方向とした場合において、前記制御部は、
新の前記確定した中央座標データと前回の前記確定した中央座標データとに基づいて、前記第1座標軸及び前記第2座標軸に対する前記物体の移動量と移動方向をそれぞれ取得し、前記取得した2つの移動量を比較し、当該比較において大きい方の移動量に対する小さい方の移動量の割合を算出し、
前記比較において前記第1座標軸に対する移動量が前記2座標軸に対する移動量より大きく、かつ、前記第1座標軸に対する移動方向が前記第1方向である場合、前記算出した割合と前記第2座標軸に対する移動方向とに応じて、前記第1方向、前記第5方向又は前記第6方向の何れかを前記物体の移動方向と判定し、
前記比較において前記第1座標軸に対する移動量が前記2座標軸に対する移動量より大きく、かつ、前記第1座標軸に対する移動方向が前記第2方向である場合、前記算出した割合と前記第2座標軸に対する移動方向とに応じて、前記第2方向、前記第7方向又は前記第8方向の何れかを前記物体の移動方向と判定し、
前記比較において前記第2座標軸に対する移動量が前記1座標軸に対する移動量より大きく、かつ、前記第2座標軸に対する移動方向が前記第3方向である場合、前記算出した割合と前記第1座標軸に対する移動方向とに応じて、前記第3方向、前記第8方向又は前記第5方向の何れかを前記物体の移動方向と判定し、
前記比較において前記第2座標軸に対する移動量が前記1座標軸に対する移動量より大きく、かつ、前記第2座標軸に対する移動方向が前記第4方向である場合、前記算出した割合と前記第1座標軸に対する移動方向とに応じて、前記第4方向、前記第6方向又は前記第7方向の何れかを前記物体の移動方向と判定する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、映像表示面において遊技者の手指等を検出可能なセンサを用いて、更に趣向性の高い遊技を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係るパチスロ機の正面側に配置されたディスプレイ、操作部等を説明するための図である。
【図2】本発明の実施形態のパチスロ機の構成図である。
【図3】サブメイン制御部およびサブサブ制御部の処理の概要を説明するための図である。
【図4】サブメイン制御部におけるメインくじから3Dくじへの変換処理を説明するための第1の図である。
【図5】サブメイン制御部におけるメインくじから3Dくじへの変換処理を説明するための第2の図である。
【図6】サブメイン制御部におけるメインくじから3Dくじへの変換処理を説明するための第3の図である。
【図7】サブメイン制御部の構成の一例を示す図である。
【図8】タッチセンサの構成の一例を示す図である。
【図9】サブサブ制御部の構成の一例を示す図である。
【図10】タッチセンサからの入力データを処理するタイミングについて説明するためのタイムチャートである。
【図11】一定時間ごとに繰り返されるタッチセンサの入力データの解析処理を説明するためのフローチャートである。
【図12】入力点の検出処理について説明するためのフローチャートである。
【図13】タッチセンサの検出結果に基づいて中央座標データ及び端座標データを取得する例を示す第1の図である。
【図14】タッチセンサの検出結果に基づいて中央座標データ及び端座標データを取得する例を示す第2の図である。
【図15】複数点入力終了点の検出処理について説明するためのフローチャートである。
【図16】検出領域における物体の移動または静止の検出処理について説明するためのフローチャートである。
【図17】検出領域における物体の移動距離・移動方向を取得する処理について説明するためのフローチャートである。
【図18】X方向の移動量がY方向の移動量より大きい場合の移動方向の判定処理について説明するためのフローチャートである。
【図19】X方向とY方向の移動量の比率に応じて移動方向を判定する方法の例を説明する図である。
【図20】Y方向の移動量がX方向の移動量より大きい場合の移動方向の判定処理について説明するためのフローチャートである。
【図21】X方向とY方向の移動量の大小関係、差分データの極性、並びに、X方向とY方向の移動量の比率と、サブメイン制御部で判定される移動方向との関係を図解した図である。
【図22】検出領域におけるダブルタップ操作・連打操作の検出処理について説明するためのフローチャートである。
【図23】検出領域におけるスライド操作の検出処理について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る遊技機としてのパチスロ機を説明する。
図1は、本実施形態に係るパチスロ機の正面側に配置されたディスプレイ、操作部等を説明するための図である。
図1の例において、パチスロ機1の正面には、メインリール部30、液晶パネル等のディスプレイ35、メダル投入部11、1枚ベットボタン201、3枚ベットボタン203,スタートレバー205、左停止ボタン207L、中停止ボタン207M、右停止ボタン207Rが配置されている。
ディスプレイ35は、本発明における表示部の一例である。
【0018】
メインリール部30は、それぞれ複数種類の図柄が周面に施された3つのリール(メインリール)と、この3つのメインリールをそれぞれ回転駆動するリール回転部17(図2)を有する。各メインリールの周面には、例えば21個の図柄が並んで描かれている。パチスロ機の正面に設けられた透明な表示窓を介して、各リールの隣接する3つの図柄が表示される。全てのメインリールが停止しているとき、表示窓には3行3列に配列された9個の図柄が表示される。
メダル投入部11は、パチスロ機にメダルを投入して貯留するための機構と、メダルの投入を検知するセンサを備える。
【0019】
1枚ベットボタン201と3枚ベットボタン203は、1回の遊技で賭けるメダルの枚数を設定するための入力機器である。1枚ベットボタン201の押下によって1枚のメダルが1回の遊技に使用され、3枚ベットボタン203の押下によって3枚のメダルが1回の遊技に使用される。メダルの賭け数が1枚の場合、上述した3行3列の図柄において中段の横方向の1ラインに揃った図柄の組み合わせ(出目)に応じて入賞の有無が判定される。メダルの賭け数が3枚の場合は、上述した3行3列の図柄において上,中,下段の横方向の3ラインと右斜め下方向および左斜め上方向の2ラインに揃った図柄の組み合わせ(出目)に応じて入賞の有無が判定される。なお、3行3列の図柄の配列において入賞の有無が判定されるラインを「入賞ライン」と呼ぶ。
なお、1回の遊技で賭けるメダルの枚数は上記の例に限らず、例えば1枚のみでもよいし、1,2,3枚のうちから遊技者が自由に選択できるようにしてもよい。また、入賞ラインの本数も任意であり、例えば中段1ラインだけでもよいし、上・中・下段と斜め方向の5ラインでもよい。
【0020】
スタートレバー205は、メインリール部30の回転開始の指示を入力するための入力機器である。メダル投入部11からメダルが投入され、1枚ベットボタン201又は3枚ベットボタン203によってメダルの枚数が設定された状態でスタートレバー205が叩かれると、メインリール部30においてメインリールの回転が始まる。
【0021】
左停止ボタン207L、中停止ボタン207M、右停止ボタン207Rは、メインリール部30の各メインリールの停止指示を入力するための入力機器である。左停止ボタン207を押下すると左側のメインリールが停止し、中停止ボタン207Mを押下すると中央のメインリールが停止し、右停止ボタン207Rを押下すると右側のメインリールが停止する。
【0022】
ディスプレイ35は、演出用の映像を表示させるための表示装置であり、例えば液晶表示パネルやEL表示パネルなどを含んで構成される。後述するように、ディスプレイ35には、メインリールを模擬した演出用のリール(サブリール)を回転・停止させる映像や、キャラクタ等のアニメーション映像が表示される。
【0023】
また、本実施形態に係るパチスロ機は、このディスプレイ35の画面において物体(遊技者の手指等)を検出するタッチセンサ33(図8)を有する。タッチセンサ33は、ディスプレイ35の映像表示面を覆った検出領域において物体を検出し、その検出した物体の位置を示すデータを生成する。
タッチセンサ33は、本発明における検出部の一例である。
【0024】
図2は、本実施形態に係るパチスロ機1の構成の一例を示す図である。
本実施形態に係るパチスロ機1は、例えば図2に示すように、メイン制御部3、サブメイン制御部5およびサブサブ制御部7を有する。
サブメイン制御部5及びサブサブ制御部7を含むユニットは、本発明における制御部の一例である。
【0025】
[メイン制御部3]
メイン制御部3は、遊技の全体的な進行を統括的に制御する回路ブロックであり、例えばプログラムに応じて処理を実行するプロセッサとメモリを含んで構成される。メイン制御部3は、例えばメダルの賭け枚数の設定、メインリールの回転開始と停止、メインリールの入賞ラインにおける図柄の組み合わせ(出目)を決める役(遊技用役)の抽選、役の抽選結果に応じたリールの停止制御、出目に応じた入賞結果の判定、メダルの払い出しなどの一連の動作を制御する。
【0026】
図2の例において、メイン制御部3には、メダル投入部11、メダル払出部13、くじ抽選部15、リール回転部17および操作ボタン群20(201,203,205,207L,207M,207R)が接続される。
【0027】
メイン制御部3は、メダル投入部11からのメダル投入の検知信号を監視し、遊技に使用するため貯留されたメダルの枚数を記録する。メダル投入部11において適当な枚数のメダルが投入され、ベットボタン(201,203)によってメダルの賭け枚数が設定された状態でスタートレバー205が叩かれると、メイン制御部3は、くじ抽選部15において遊技用の役の抽選を実行させるとともに、メインリール部30のリール回転部17を制御して3つのメインリールの回転を開始する。
【0028】
くじ抽選部15が抽選する遊技用の役(「メインくじ」とも呼ぶ)は、メダル等の遊技価値の付与に係る役であり、主として入賞ラインに揃う図柄の組み合わせ(出目)を決定する。遊技用の役には、例えば、1回の遊技ごとにメダルが払い出される小役や、複数回の遊技において反復的にメダルを払い出す出目が揃うボーナス役、遊技に際してメダルの投入が不要になるリプレイ役などがある。くじ抽選部15は、これらの複数の役から抽選により当選役を決定する。
なお本実施形態において、くじ抽選部15が決定する当選役には、遊技価値を付与されない「はずれ役」も含まれる。
【0029】
メイン制御部3は、スタートレバー205の指示に応じてメインリールの回転を開始した後、3つのリール停止ボタン(207L,207M,207R)の何れかが押下されることによってリール回転の停止指示が入力されると、押下されたリール停止ボタンに対応する左,中又は右のメインリールを停止させる。
【0030】
メイン制御部3は、メインリールを停止させる場合、その停止対象のメインリールがくじ抽選部15の当選役に応じた図柄で停止するようにメインリールの停止位置(回転角度)を制御する。例えばボーナス役が当選している場合、メイン制御部3は、リール停止ボタンが押下されたときのリールの基準位置(例えばメインリールの表示窓における下段の位置)から所定の滑りコマ数の範囲内にボーナス役の図柄があれば、この図柄が入賞ライン上で止まるようにリール回転部17を制御(引き込み制御)する。また、はずれ役が当選している場合、メイン制御部3は、他の役が成立しない図柄でメインリールの回転が停止するようにリール回転部17を制御(蹴飛ばし制御)する。
【0031】
遊技者の操作に応じて3つのメインリールを停止させた場合、メイン制御部3は、入賞ライン上に揃った図柄の組み合わせに応じて入賞結果を判定する。そして、メイン制御部3は、入賞した出目がメダルの払い出しを生じるものである場合、その出目に応じた枚数のメダルを払い出すようにメダル払出部13を制御する。
【0032】
またメイン制御部3は、サブメイン制御部5に対して、メインリールの回転の開始や停止、メインくじの当選役、メダルの投入や払い出しなど、遊技の進行に係るデータ(コマンド)をサブメイン制御部5へ逐次出力する。
【0033】
例えば、メダル投入部11においてメダルが投入された場合、メイン制御部3は、その投入されたメダルの枚数や、メダル投入部11において貯留されているメダルの枚数等を示すデータをサブメイン制御部5に送信する。
【0034】
ベットボタン(201,203)が押下された場合、メイン制御部3は、その押下を示すデータをサブメイン制御部5へ送信する。
【0035】
ベットボタン(201,203)によってメダルの賭け枚数が設定された状態でスタートレバー205が叩かれた場合、メイン制御部3は、スタートレバー205が叩かれたことを示すデータ(メインリールの回転開始を指示するデータ)をサブメイン制御部5へ送信する。
【0036】
スタートレバー205が叩かれたことに応じてくじ抽選部15が役の抽選を行った場合、メイン制御部3は、当選した遊技用の役(当選役)を示すデータ(当選役データ)をサブメイン制御部5へ送信する。
【0037】
メインリール部30において何れかのメインリールが回転している状態でリール停止ボタン(207L,207M,207R)が押下された場合、メイン制御部3は、対応するリール停止ボタンが押下されたことを示すデータ(対応するメインリールの回転停止を指示するデータ)をサブメイン制御部5へ送信する。
【0038】
3つのメインリールを停止させて入賞の有無を判定した場合、メイン制御部3は、その入賞の内容を示すデータをサブメイン制御部5へ送信する。また、入賞結果に応じてメダル払出部13からメダルの払い出しを行った場合、メイン制御部3は、払い出したメダルの枚数を示すデータをサブメイン制御部5へ送信する。
【0039】
[サブメイン制御部5]
次に、サブメイン制御部5について説明する。
サブメイン制御部5は、遊技の進行に係るデータ(コマンド)をメイン制御部3から受信し、受信したデータに応じて演出内容を決定する回路ブロックであり、例えばプログラムに応じて処理を実行するプロセッサとメモリを含んで構成される。
【0040】
サブメイン制御部5は、メイン制御部3から送信される遊技用の当選役のデータ(当選役データ)に応じて、複数の所定の演出パターンから一の演出パターンを決定する。そして、サブメイン制御部5は、遊技の進行に係るデータをメイン制御部3から受信する度に、この決定した演出パターンに基づいて演出内容(ディスプレイ35の映像やスピーカ37の音)を指定するデータ(演出指定データ)を生成し、サブサブ制御部7に送信する。
例えば、サブメイン制御部5は、メイン制御部3から受信した遊技進行に係るデータの中で演出の出力の契機(トリガー)となるデータと、このデータに応じて出力すべき演出の内容に関する情報(例えば演出指定データ)とを対応付けたトリガーテーブルを記憶装置において格納している。
サブメイン制御部5は、メイン制御部3から当選役データを受信すると、この当選役データが示す遊技用当選役(メインくじ)に応じて、記憶装置に記憶される複数のトリガーテーブルから一のトリガーテーブルを選択する。そして、サブメイン制御部5は、遊技の進行に係るデータをメイン制御部3から受信する度に、上記選択したトリガーテーブルを参照して演出指定データを生成し、サブサブ制御部7に送信する。
【0041】
更に、サブメイン制御部5は、タッチセンサ33によってディスプレイ35の画面付近に物体(遊技者の手指等)が検出され、その位置を示すデータが生成された場合、生成されたデータに基づいて物体の位置を示す座標データを取得するとともに、画面付近に複数の物体が検出されたか否かや、物体の所定時間あたりの移動距離、物体の移動方向など、物体の状態に関する情報を取得する。サブメイン制御部5は、タッチセンサ33からの入力データに基づいて物体の位置や状態に関する情報が得られると、これらの情報の取得を契機(トリガー)として出力されるべき演出の内容をトリガーテーブルに基づいて決定し、決定した演出内容を指定する演出指定データを生成してサブサブ制御部7に送信する。
【0042】
図3は、メイン制御部3から出力されるデータに応じたサブメイン制御部5およびサブサブ制御部7の処理の概要を説明するための図である。
【0043】
サブメイン制御部5は、遊技の進行に係るデータをメイン制御部3から受信した場合や、タッチセンサ33の検出出力に基づいて画面付近の物体の座標データ等を取得した場合、遊技用の当選役(メインくじ)に応じて決定された演出パターン(トリガーテーブル)に基づいて、これらのデータを契機(トリガー)として出力されるべき演出内容を指定した演出指定データを生成し、サブサブ制御部7に送信する。
例えば、サブメイン制御部5は、ディスプレイ35に表示させるアニメーション等の映像を指定する情報や、スピーカ37において再生させる音を指定する情報、ディスプレイ35に映像として表示させる立体的なサブリール(3Dリールとも呼ぶ)の制御情報などをサブサブ制御部7に送信する。
【0044】
サブサブ制御部7は、サブメイン制御部5から演出指定データを受信すると、受信した演出指定データに応じてディスプレイ35におけるアニメーション等の映像の表示や、スピーカ37における効果音の再生、ディスプレイ35に表示されるサブリール(3Dリール)の回転を制御する。サブサブ制御部7は、ディスプレイ35においてサブリール(3Dリール)を回転状態から停止させた場合、その停止出目(停止状態のサブリールで揃った図柄の組み合わせの結果)を示すデータをサブメイン制御部5に送信する。
【0045】
サブメイン制御部5は、サブリール(3Dリール)の停止出目を示すデータをサブサブ制御部7から受信した場合、その停止出目に応じて演出パターンを切り替える処理を行う。例えば、サブメイン制御部5は、サブリール(3Dリール)の停止出目に応じて、記憶装置に記憶される複数のトリガーテーブルから新たなトリガーテーブルを選択する。
【0046】
サブメイン制御部5からサブサブ制御部7に送信されるコマンドとしては、例えば、基本共通表示コマンド(エラー、設定変更、停止ボタン要求、設定確認についてのコマンド)、タイミング指示コマンド(メイン制御部3側の操作に関するコマンド、例えばベット、メインリールの回転開始、左・中・右のメインリール停止に関するコマンド)、メダル関連コマンド(クレジット枚数、投入枚数、払い出し枚数に関するコマンド)、サウンド関連コマンド(サウンドの発音や停止を制御するコマンド、3Dリール関連コマンド(サブリール回転開始指示、左サブリール停止指示、中サブリール停止指示、右サブリール停止指示、抽選用の乱数の通知、サブリール演出用の役の通知、リール停止順序に関する通知)、機種別の演出コマンド(機種別に異なる演出を管理するコマンド)、特殊操作系コマンド(メニュー表示用の外部入力に関するコマンド、例えば、外部入力ボタン操作コマンド、タッチパネル操作コマンド)、システム系コマンド(3Dリールの停止出目を変更するコマンド、リールを大きくするコマンド等)がある。サブサブ制御部7は、これらのコマンドに応じて、ディスプレイ35における画面表示やスピーカ37における効果音の出力を制御する。
【0047】
他方、サブサブ制御部7からサブメイン制御部5に送信されるコマンドとしては、例えば、双方向通信に関わるコマンド(通信を行なう上でのシステムコマンド)、機種別の演出の状態コマンド(演出の結果、どのような状態かを発行するコマンド)、3Dリール結果コマンド(3Dリールにおいて揃った図柄に関する情報、例えば成立した役とその成立ラインの情報を送るコマンド)がある。
【0048】
ここで、ディスプレイ35のサブリール(3Dリール)の制御に関してサブメイン制御部5からサブサブ制御部7へ送信するデータ(演出用役データ,乱数データ,停止順序判定データ,サブリール回転開始指示データ,サブリール停止指示データ)について詳しく説明する。
【0049】
(1)演出用役データおよび乱数データ
サブメイン制御部5は、くじ抽選部15により抽選された遊技用の当選役と関連性を持った図柄がディスプレイ35のサブリール(3Dリール)において揃うようにするため、サブリールの停止時における図柄の組み合わせ(出目)を決める役(サブリール演出用の役)を遊技用の当選役に基づいて設定する。例えば、サブメイン制御部5は、複数の遊技用の役(メインくじ)と複数のサブリール演出用の役(「3Dくじ」とも呼ぶ)とを対応付けたデータテーブル(役変換テーブル)を記憶装置において格納しており、メイン制御部3から当選役データを受信すると、この役変換テーブルに基づいて、当選役データが示す当選役に対応付けられた演出用の役を示す演出役データを取得する。サブメイン制御部5は、役変換テーブルに基づいて取得した演出役データを、サブサブ制御部7に送信する。
【0050】
また、本実施形態では、役変換テーブルにおいて1つの当選役に複数の演出用の役が対応付けられている。そのため、サブメイン制御部5は、複数の演出用役から抽選により1つの演出用役を選択するための乱数データを更に生成し、演出役データとともにサブサブ制御部7へ送信する。
【0051】
サブサブ制御部7は、サブメイン制御部5から受信した演出役データに基づいて、当選役に対応する複数の演出用役を特定し、更にこの複数の演出用役の中から乱数データに基づいて1つの演出用役を特定する。そして、サブサブ制御部7は、演出役データ及び乱数データに基づいて特定した演出用役に応じた出目が揃うように、サブリールの停止位置の制御(引き込み制御,蹴飛ばし制御)を行う。
【0052】
図4〜図6は、サブメイン制御部5における当選役(メインくじ)から演出用役(3Dくじ)への変換処理を説明するための図である。
【0053】
図4〜図6の例において、1つの当選役(メインくじ)には複数の演出用役(3Dくじ)が割り当てられている。
また、図6に示すように、上記複数の演出用役(3Dくじ)には、後述するサブサブ制御部7に記憶される所定の演出用停止制御テーブルにおいて、それぞれ当選確率が割り当てられている。図6の例では、「中段チェリー」の当選確率が「32/256」であり、「角チェリー」の当選確率が「128/256」であり、「スイカA」の当選確率が「64/256」であり、「スイカB」の当選確率が「32/256」である。
【0054】
サブメイン制御部5は、メイン制御部2から当選役データを受信すると、当選役データに対応する複数の演出用役(3Dくじ)を指定するための演出役データを役変換テーブルから取得して、サブサブ制御部7に送信する。例えば当選役が「小役2」の場合、サブメイン制御部5は、この「小役2」に対応する4つの演出用役(「中段チェリー」「角チェリー」「スイカA」「スイカB」)を指定するための演出役データをサブサブ制御部7に送信する。
また、サブメイン制御部5は、複数の演出用役(3Dくじ)から1つを選択するための乱数データを生成し、サブサブ制御部7に送信する。例えば図6に示すように当選確率が設定されている場合、サブメイン制御部5は、0から255までの値を持つ乱数データを生成して、サブサブ制御部7に送信する。サブサブ制御部7では、図6の表に対応するように、「中段チェリー」に「0〜31」、「角チェリー」に「32〜159」、「スイカA」に「160〜223」、「スイカB」に「224〜255」の数値範囲が割り当てられており、乱数データの値が属する数値範囲に応じて、4つの演出用役(「中段チェリー」「角チェリー」「スイカA」「スイカB」)から1つの演出用役が特定される。例えば、乱数データの値が200の場合、4つの演出用役の中から「スイカA」が当選した演出用役として特定される。
【0055】
(2)停止順序判定データ
くじ抽選部15において抽選される遊技用の役(メインくじ)には、3つのメインリール(左,中,右)を停止させる際の順番に応じて入賞させるか否かを定めている役がある。そこで、サブメイン制御部5は、このリール停止順序が当選役で定められた順序と合っているか否か判定し、その判定結果を示すデータ(停止順序判定データ)をサブサブ制御部7に送信する。また、サブメイン制御部5は、当選役とは独立に演出用役で定められたリール停止順序と合っているか否かを示す停止順序判定データを送信してもよい。
【0056】
(3)サブリール回転開始指示データおよびサブリール停止指示データ
サブメイン制御部5は、メイン制御部3からメインリールの回転開始を指示するデータを入力すると、ディスプレイ35のサブリールにおいても同様に回転を開始させるためのデータ(サブリール開始指示データ)をサブサブ制御部7に送信する。
また、サブメイン制御部5は、何れかのメインリールの回転停止を指示するデータをメイン制御部3から受信すると、これに対応するサブリールの回転も停止させるためのデータ(サブリール停止指示データ)をサブサブ制御部7に送信する。例えば、サブメイン制御部5は、左のメインリールの停止指示データを受信した場合は左のサブリールを停止させ、中央のメインリールの停止指示データを受信した場合は中央のサブリールを停止させ、右のメインリールの停止指示データを受信した場合は右のサブリールを停止させるサブリール停止指示データを送信する。
【0057】
更に、本実施形態に係るパチスロ機では、ある特定の演出状態(タッチセンサ停止演出状態)になると、停止ボタン(207L,207M,207R)の操作の替わりにタッチセンサ33の操作によって画面上のサブリールを停止させることができるようになる。
サブメイン制御部5は、このタッチセンサ停止演出状態になると、タッチセンサ33からのデータに基づいて取得した座標データに応じて、回転中のサブリール(左サブリール,中央サブリール又は右サブリール)の停止指示データを生成し、サブサブ制御部7に送信する。
【0058】
図7は、サブメイン制御部5の構成の一例を示す図である。
図7に示すサブメイン制御部5は、処理部50、通信インターフェース部51,52、演出情報記憶部55、および、システム記憶部56を有する。
【0059】
通信インターフェース部51は、メイン制御部3からのデータを受信する回路である。
通信インターフェース部52は、サブサブ制御部7へのデータの送信並びにサブサブ制御部7からのデータの受信を行う回路である。
【0060】
演出情報記憶部55は、遊技の進行に応じた演出の内容(ディスプレイ35に表示する映像、スピーカ37から出力する音など)に関する情報を記憶しており、例えば上述したトリガーテーブルを記憶する。
【0061】
システム記憶部56は、処理部50において処理を実行するためのプログラムや、処理に用いられるデータを記憶する。
【0062】
処理部50は、サブメイン制御部5の全体的な処理を司る回路であり、システム記憶部56に格納されるプログラムの命令に従って、演出内容を決定する処理を行う。
例えば、処理部50は、メイン制御部3において抽選された遊技用の当選役を示す当選役データが通信インターフェース部51において受信されると、演出情報記憶部55に記憶される複数のトリガーテーブルから、当選役データに応じたトリガーテーブルを選択する。この場合、処理部50は、当選役データに応じた複数のトリガーテーブルの候補から抽選により一つのトリガーテーブルを選択してもよい。処理部70は、演出の出力の契機(トリガー)となるデータをメイン制御部3から受信すると、選択したトリガーテーブルを参照して、この受信データに対応した演出指定データ(コマンド)を随時生成し、通信インターフェース部52からサブサブ制御部7へ送信する。例えば処理部50は、トリガーテーブルにおいて設定されたタイミングにおいて、そのとき再生すべきディスプレイ35の映像やスピーカ37の音を指定する演出指定データを生成し、サブサブ制御部7に送信する。
【0063】
また、処理部50は、タッチセンサ33において生成されるデータに基づいて、ディスプレイ35の画面を覆う検出領域に物体が検出されているか否かを判定し、物体が検出されている場合はその位置を示す座標データを取得する。また、処理部50は、タッチセンサ33において生成されるデータを解析することにより、検出領域内の複数の箇所で物体が検出されているか否かや、物体の検出の開始と終了、物体の移動距離と移動方向、ダブルタップ・連打の有無など、検出領域における物体の状態に関連した種々の情報を取得する。
【0064】
図8は、タッチセンサ33の構成の一例を示す図である。
図8に例示するタッチセンサ33は、光学式のセンサであり、ディスプレイ35の映像表示面を覆った検出領域336を通る複数の光線が遮断されているか否かをそれぞれ判定し、その判定結果に応じて検出領域336に進入した物体の位置に係る位置データを生成する。
【0065】
図8に示すタッチセンサ33は、赤外線等の光線を発生する複数の光線源を備えた光源部331,332と、これらの光線源で発生した光線を検出する複数の光センサを備えた光センサ部333,334と、各光線源,各光センサを制御するセンサ制御部335とを有する。
【0066】
図8の例において、光源部331,332の光線源と光センサ部333,334の光センサは矩形の検出領域336の周囲に並んで配置される。
光源部331に含まれるn個の光線源Lx0〜Lx(n−1)は、検出領域336の上側の辺に沿って、X軸方向(横方向)の左から右へ番号順に等間隔で配置される。光線源Lx0〜Lx(n−1)は、検出領域336のX軸方向へ等しい間隔で平行に並んだn本の光線(Xビーム)を発生する。光線源Lx0〜Lx(n−1)の各光線は、Y軸方向(縦方向)に進む。
光センサ部333に含まれるn個の光センサPx0〜Px(n−1)は、検出領域336の下側の辺に沿って、検出領域336の左から右へ番号順に等間隔で配置される。光センサPxi(「i」は0からn−1までの整数を示す。)は、光線源Lxiにおいて発生した光線(Xビーム)を検出する。
【0067】
光源部332に含まれるm個の光線源Ly0〜Ly(m−1)は、検出領域336の左側の辺に沿って、Y軸方向(縦方向)の上から下へ番号順に等間隔で配置される。光線源Ly0〜Ly(m−1)は、検出領域336のY軸方向へ等しい間隔で平行に並んだm本の光線(Yビーム)を発生する。光線源Ly0〜Ly(m−1)の各光線は、X軸方向(横方向)に進む。
光センサ部334に含まれるm個の光センサPy0〜Py(m−1)は、検出領域336の右側の辺に沿って、図の上から下へ番号順に等間隔で配置される。光センサPyj(「j」は0からm−1までの整数を示す。)は、光線源Lyjにおいて発生した光線を検出する。
【0068】
センサ制御部335は、処理部50の制御に従って光線源Lx0〜Lx(n−1),Ly0〜Ly(m−1)から光線を発生させ、光センサPx0〜Px(n−1),Py0〜Py(m−1)における光線の検出結果を取得し、取得した検出結果を処理部50に出力する。例えば、センサ制御部335は、検出領域336のX軸方向へ等しい間隔で平行に並んだn本の光線(Xビーム)のうち、物体(手指等)によって遮断されたXビームを示すX軸方向の検出情報と、検出領域336のY軸方向へ等しい間隔で平行に並んだm本の光線(Yビーム)のうち、物体によって遮断されたYビームを示すY軸方向の検出情報とを含んだ位置データを生成し、処理部50に出力する。
以上が図8に示すタッチセンサ33の説明である。
【0069】
処理部50(図7)の説明に戻る。
処理部50は、タッチセンサ33から上記の位置データを入力すると、この取得した位置データに基づいて、検出領域336に進入した物体の位置を代表する中央座標データを取得する。
例えば、処理部50は、X軸方向の検出情報が1本の遮断されたXビームを示す場合、この1本のXビームに対応するX座標の位置を中央座標データのX座標成分とし、X軸方向の検出情報が複数本の遮断されたXビームを示す場合は、この複数本の遮断されたXビームの中で最も離れた2つのXビームの中央に対応するX座標の位置を中央座標データのX座標成分とする。
他方、処理部50は、Y軸方向の検出情報が1本の遮断されたYビームを示す場合、この1本のYビームに対応するY座標の位置を中央座標データのY座標成分とし、Y軸方向の検出情報が複数本の遮断されたYビームを示す場合は、この複数本の遮断されたYビームの中で最も離れた2つのYビームの中央に対応するY座標の位置を中央座標データのY座標成分とする。
【0070】
また、処理部50は、検出領域336に進入した物体の大きさに関する情報として、物体の端部の位置を示す端座標データを取得する。
例えば、処理部50は、X軸方向の検出情報が複数本の遮断されたXビームを示す場合において、検出領域336におけるX軸の一方向の端(例えば左端)の最も近くで遮断されたXビームの位置に対応するX座標の位置を端座標データのX座標成分とする。
他方、処理部50は、Y軸方向の検出情報が複数本の遮断されたYビームを示す場合において、検出領域336におけるY軸の一方向の端(例えば上端)の最も近くで遮断されたYビームの位置に対応するY座標の位置を端座標データのY座標成分とする。
なお、処理部50は、X軸方向の検出情報が1本の遮断されたXビームを示す場合、端座標データのX座標成分を中央座標データのX座標成分と同じ値とし、Y軸方向の検出情報が1本の遮断されたYビームを示す場合、端座標データのY座標成分を中央座標データのY座標成分と同じ値とする。
【0071】
更に、処理部50は、タッチセンサ33から入力した位置データに基づいて、検出領域336の離れた位置に同時に複数の物体が進入している状態(以下、「複数点入力状態」と記す場合がある。)か否かを判定する。
すなわち、処理部50は、X軸方向の検出情報が複数本の遮断されたXビームを示す場合において、この複数本の遮断されたXビームの中で最も離れた2つのXビームの間に遮断されていないXビームがあるならば、複数点入力状態と判定する。
同様に、処理部50は、Y軸方向の検出情報が複数本の遮断されたYビームを示す場合において、この複数本の遮断されたYビームの中で最も離れた2つのYビームの間に遮断されていないYビームがあるときも、複数点入力状態と判定する。
【0072】
処理部50は、タッチセンサ33において位置データが生成される度に、生成された位置データをシステム記憶部56に一時的に格納する。そして、処理部50は、一定の時間Tsが経過する度に、システム記憶部56で一時的に記憶される最新の位置データに応じた中央座標データを取得し、当該取得した中央座標データを最新の確定した中央座標データとしてシステム記憶部56に格納する。
【0073】
他方、処理部50は、タッチセンサ33において検出領域336に物体が検出されていないことを示す位置データが生成された場合、システム記憶部56に一時的に記憶される最新の位置データを終了点の位置データとしてシステム記憶部56の別の記憶領域に一時的に格納する。そして、処理部50は、一定の時間Tsが経過する度に、システム記憶部56に一時的に記憶される最新の終了点の位置データに応じた中央座標データを取得し、当該取得した中央座標データを最新の確定した終了点の座標データとしてシステム記憶部56に格納する。
【0074】
また、処理部50は、一定時間Tsごとに取得する中央座標データに基づいて、検出領域336における物体の移動距離を取得する。
例えば、処理部50は、システム記憶部56に記憶される最新の確定した中央座標データと前回の確定した中央座標データとに基づいて、物体のX軸方向への移動量及びY軸方向への移動量をそれぞれ取得する。処理部50は、このX軸方向とY軸方向の移動量を比較し、当該比較において大きい方の移動量に対する小さい方の移動量の割合を算出する。そして、処理部50は、この算出した割合に応じた所定の比例定数を大きい方の移動量若しくは小さい方の移動量に乗じ、その乗算の結果として時間Tsにおける物体の移動距離を取得する。
【0075】
更に、処理部50は、一定時間Tsごとに取得する中央座標データに基づいて、検出領域336における物体の移動方向を取得する。
例えば処理部50は、システム記憶部56に記憶される最新の確定した中央座標データと前回の確定した中央座標データとに基づいて、上述したX軸方向とY軸方向の移動量を取得するとともに、X軸に対する移動方向(右方向/左方向)及びY軸に対する移動方向(上方向/下方向)を取得する。処理部50は、取得したX軸方向とY軸方向の移動量を比較し、当該比較において大きい方の移動量に対する小さい方の移動量の割合を算出する。
X軸方向の移動量がY軸方向の移動量より大きく、かつ、X軸に対する移動方向が右方向の場合、処理部50は、X軸方向の移動量(大きい方の移動量)に対するY軸方向の移動量(小さい方の移動量)の割合の算出結果と、物体のY軸に対する移動方向(上方向/下方向)とに応じて、右方向、右下方向、又は、右上方向の何れかを物体の移動方向と判定する。
X軸方向の移動量がY軸方向の移動量より大きく、かつ、X軸に対する移動方向が左方向の場合、処理部50は、X軸方向の移動量(大きい方の移動量)に対するY軸方向の移動量(小さい方の移動量)の割合の算出結果と、物体のY軸に対する移動方向(上方向/下方向)とに応じて、左方向、左上方向、又は、左下方向の何れかを物体の移動方向と判定する。
Y軸方向の移動量がX軸方向の移動量より大きく、かつ、Y軸に対する移動方向が下方向の場合、処理部50は、Y軸方向の移動量(大きい方の移動量)に対するX軸方向の移動量(小さい方の移動量)の割合の算出結果と、物体のX軸に対する移動方向(右方向/左方向)とに応じて、下方向、左下方向、又は、右下方向の何れかを物体の移動方向と判定する。
Y軸方向の移動量がX軸方向の移動量より大きく、かつ、Y軸に対する移動方向が上方向の場合、処理部50は、Y軸方向の移動量(大きい方の移動量)に対するX軸方向の移動量(小さい方の移動量)の割合の算出結果と、物体のX軸に対する移動方向(右方向/左方向)とに応じて、上方向、右上方向、又は、左上方向の何れかを物体の移動方向と判定する。
【0076】
[サブサブ制御部7]
次に、サブサブ制御部7について説明する。
サブサブ制御部7は、サブメイン制御部5から受信した演出指定データに応じて、ディスプレイ35に表示する映像やスピーカ37において出力する音を制御する。例えばサブサブ制御部7は、演出指定データに対応する映像データ、音データを映像・音記憶部74(図9)から読み出し、これに対応する映像信号、オーディオ信号を生成してディスプレイ35やスピーカ37に供給する。
【0077】
また、サブサブ制御部7は、サブメイン制御部8から受信したサブリール(3Dリール)の制御用のデータ(演出用役データ,乱数データ,停止順序判定データ,サブリール回転開始指示データ,サブリール停止指示データ)に応じて、サブリールが回転・停止する映像をディスプレイ35に表示させる。
【0078】
更に、サブサブ制御部7は、ディスプレイ35のサブリールにおいて揃った図柄の組み合わせ(出目)に関する情報をサブメイン制御部5に送信する。
【0079】
図9は、サブサブ制御部7の構成の一例を示す図である。
図9に示すサブサブ制御部7は、処理部70、通信インターフェース部71、映像信号出力部72、オーディオ信号出力部73、映像・音記憶部74、フレームバッファ75、および、システム記憶部76を有する。
【0080】
通信インターフェース部71は、サブメイン制御部5との間でデータをやり取りするための回路であり、サブメイン制御部5からのデータの受信並びにサブメイン制御部5へのデータの送信を行う。
【0081】
映像信号出力部72は、処理部70から供給される映像データに応じて所定の信号フォーマットの映像信号を生成し、ディスプレイ35に入力する。
オーディオ信号出力部73は、処理部70から供給される音データに応じて振幅やパルス密度が調節されたオーディオ信号を生成し、スピーカ37に入力する。
【0082】
映像・音記憶部74は、ディスプレイ35の画面を構成するために使用される映像データと、スピーカ37において音を出力するために使用される音データを記憶する。映像・音記憶部74に記憶される映像データ及び音データには、それぞれ識別情報が対応付けられている。サブサブ制御部7は、サブメイン制御部5から送信される演出指定データに含まれたこの識別情報を参照することによって、映像・音記憶部74から映像データ・音データを読み出す。
【0083】
また、映像・音記憶部74は、ディスプレイ35に表示されるサブリールの周面に施された複数種類の図柄の画像データ記憶する。
【0084】
フレームバッファ75は、ディスプレイ35において表示する映像の情報を画面単位で記憶するメモリであり、1枚若しくは複数枚の画面を記憶する。
【0085】
システム記憶部76は、処理部70において処理を実行するためのプログラムや、処理に用いられるデータを記憶する。例えばシステム記憶部76は、サブリールの停止位置の制御(引き込み制御,蹴飛ばし制御)に使用する滑りコマ数などを含んだテーブルデータを記憶する。
【0086】
処理部70は、サブサブ制御部7の全体的な処理を司る回路であり、システム記憶部76に格納されるプログラムの命令に従って、ディスプレイ35において表示する映像の処理やスピーカ37から出力する音の処理を行う。
【0087】
処理部70は、サブメイン制御部5からサブリール回転開始指示データを入力すると、ディスプレイ35において表示するサブリールの回転を開始する。
例えば、処理部70は、サブメイン制御部5からサブリール回転開始指示データを入力すると、所定の速度で回転するべきサブリールの回転角度をフレーム期間ごとに取得する。処理部70は、映像・音記憶部74に格納される複数種類の図柄の画像データと、フレーム期間ごとに取得した上記回転角度とに基づいて、表面に前記複数種類の図柄がマッピングされた所定の三次元形状を持つリール体が前記取得した回転角度にある場合の映像を、左,中,右のサーブリールのそれぞれについてフレーム周期ごとにフレームバッファ75上に構成する。処理部70は、フレームバッファ75上に構成した上記リール体の映像に基づいて、ディスプレイ35におけるサブリールの映像をフレーム期間ごとに更新する。これにより、ディスプレイ35には、上記所定の速度で回転するサブリールの映像が表示される。
【0088】
また、処理部70は、サブメイン制御部5から左,中央,若しくは右のサブリール停止指示データを受信すると、これに対応する左,中央,若しくは右のサブリールの回転を停止する。この場合、処理部70は、サブリール停止指示データの受信タイミングと、演出用役データ及び乱数データによって特定される演出用役とに応じた図柄で停止するように、サブリールの停止位置を制御する。
すなわち、処理部70は、サブリールの回転映像が表示されているときにサブメイン制御部5からサブリール停止指示データを受信すると、そのサブリール停止指示データが受信されたタイミングにおける停止対象のサブリールの回転角度と、サブメイン制御部5から受信した演出役データ及び乱数データに基づいて特定される演出用役とに応じて、当該停止対象のサブリールを停止させる回転角度(図柄の位置)を決定し、その回転角度(図柄の位置)において当該停止対象のサブリールの映像更新を停止する。
【0089】
ここで、タッチセンサ33の入力データを解析する処理について詳しく説明する。
【0090】
図10は、タッチセンサ33からの入力データを処理するタイミングについて説明するためのタイムチャートである。
図10(A)は、タッチセンサ33から位置データを受信するタイミングを示す。
図10(B)は、タッチセンサ33から受信した位置データを一時的に格納するタイミングを示す。
図10(C)は、終了点の位置データを一時的に格納するタイミングを示す。
図10(D)は、現在の座標が確定するタイミングを示す。
図10(E)は、最新の入力点の座標が確定するタイミングを示す。
図10(F)は、最新の終了点の座標が確定するタイミングを示す。
図10(G)は、物体の移動距離・移動方向(ベクトル情報)が確定するタイミングを示す。
図10(H)は、各座標データやベクトル情報を確定する処理を実行するタイミングを示す。
【0091】
サブメイン制御部5は、タッチセンサ33において位置データが入力されると(図10(A))、その位置データをシステム記憶部56へ一時的に格納する(図10(B))。サブメイン制御部5は、一定時間Tsごとの処理タイミング(図10(H))が到来する度に、システム記憶部56で一時的に記憶された最新の位置データに基づいて中央座標データを取得し、取得した中央座標データを最新の確定した中央座標データとしてシステム記憶部56に格納する(図10(D))。時間Tsの周期内でタッチセンサ33から複数の位置データを入力しても、サブメイン制御部5は処理タイミング(図10(H))における最新の位置データに基づいて取得した中央座標データを確定値とする。そのため、例えば図10(B)における「D1」や「D3」の位置データは、処理タイミング(図10(H))において最新のものではないため破棄される。
このように、タッチセンサ33において不定期に得られる位置データのうち、一定時間Tsごとの処理タイミング(図10(H))における最新の位置データに基づいて座標データの確定値が得られることにより、短い時間でのノイズ的な座標の変化の影響を低減できるため、正確で安定した移動距離や移動方向(図10(G))を取得することが可能になる。
【0092】
また、サブメイン制御部5は、システム記憶部56に確定した中央座標データが格納されていない状態(検出領域336において物体が未検出の状態)で、新たに確定した中央座標データをシステム記憶部56に格納する場合(例えば図10(D)の「D2」)、この中央座標データを最新の確定した入力点の座標データとしてシステム記憶部56の所定の記憶領域に格納する(図10(E))。
【0093】
更に、サブメイン制御部5は、検出領域336において物体が検出されていることを示す位置データがシステム記憶部56において一時的に記憶されている状態で、検出領域336に物体が検出されないことを示す位置データが生成された場合(例えば図10(B)における「D5」から「OFF」への変化)、物体が検出されていることを示す最新の位置データを、終了点の位置データとしてシステム記憶部56の所定の記憶領域に一時的に格納する(図10(C))。サブメイン制御部5は、一定時間Tsごとの処理タイミング(図10(H))が到来する度に、一時的に記憶された終了点の位置データ(図10(C))に基づいて中央座標データを取得し、取得した中央座標データを最新の確定した終了点の座標データとしてシステム記憶部56に格納する(図10(F))。
【0094】
図11は、一定時間Tsごとに繰り返されるタッチセンサ33の入力データの解析処理を説明するためのフローチャートである。
【0095】
サブメイン制御部5は、所定周期のクロックを計数する内部のカウンタの計数値を監視し、この計数値が所定の値に達した場合、一定の時間Tsが経過したと判定する(ST100,ST105)。
【0096】
一定の時間Tsが経過すると、サブメイン制御部5は、タッチセンサ33において入力されたデータの解析を行う(ST110)。サブメイン制御部5は、直前の時間Tsの期間にタッチセンサ33から入力されてシステム記憶部56に一時的に記憶される最新の位置データに基づいて、入力点の検出(ST115)、複数点入力終了点の検出(ST120)、静止/移動の検出(ST125)、ダブルタップ・連打の検出(ST130)、スライドの検出(ST135)を行う。
これらの解析処理を行うと、サブメイン制御部5は再びステップST100,ST105に戻り、時間Tsの経過を待つ。
【0097】
図12は、入力点の検出処理(ST115:図11)について説明するためのフローチャートである。
【0098】
サブメイン制御部5は、システム記憶部56に一時的に記憶される最新の位置データにおいて、X軸方向の検出情報が示すn本のXビームの遮断数がゼロであるか、または、Y軸方向の検出情報が示すm本のYビームの遮断数がゼロであるかを判定する(ST200)。この一方又は両方の遮断数がゼロの場合、サブメイン制御部5は、タッチセンサ33の検出領域336において物体が検出されていない状態(入力未検出状態)であると判定し(ST235)、入力未検出状態を示すステータス情報をシステム記憶部56に格納する。
【0099】
他方、n本のXビームの遮断数およびm本のYビームの遮断数が何れもゼロでない場合(ST200)、サブメイン制御部5は、遮断された複数のXビームの間に非遮断のビームがあるか否かを判定するとともに(ST205)、遮断された複数のYビームの間に非遮断のYビームがあるか否かを判定する(ST210)。
遮断された複数のXビームの間に非遮断のXビームが存在せず、かつ、遮断された複数のYビームの間に非遮断のYビームが存在しない場合、サブメイン制御部5は、検出領域336の1箇所で物体が検出されている状態(1点入力状態)であると判定し(ST215)、1点入力状態を示すステータス情報をシステム記憶部56に格納する。サブメイン制御部5は、この位置データに応じて取得した中央座標データ及び端座標データを最新の確定値としてシステム記憶部56に格納する(ST220)。
他方、遮断された複数のXビームの間若しくは遮断された複数のYビームの間に非遮断のビームが存在する場合、サブメイン制御部5は、検出領域336の複数箇所で物体が検出されている状態(複数点入力状態)であると判定し(ST225)、複数入力状態を示すステータス情報をシステム記憶部56に格納する。サブメイン制御部3は、この位置データに応じて取得した中央座標データ及び端座標データを最新の確定値としてシステム記憶部56に格納する(ST230)。
【0100】
図13,図14は、タッチセンサ33の検出結果に基づいて中央座標データ及び端座標データを取得する例を示す図である。図13は検出領域336の1箇所で物体が検出される場合の例を示し、図14は検出領域336の2箇所で物体が検出される場合の例を示す。
【0101】
図13,図14における「Xビーム番号」は、X軸方向(横方向)に等間隔で平行に並ぶXビームにそれぞれ割り当てられた番号を示す。各Xビームには、左から右に向かって順に0,1,2,…のXビーム番号が割り当てられる。光線源Lxiにおいて発生するXビームの番号は「i」(i=0〜n−1)である。
図13,図14における「Yビーム番号」は、Y軸方向(縦方向)に等間隔で平行に並ぶYビームにそれぞれ割り当てられた番号を示す。各Yビームには、上から下に向かって順に0,1,2,…のYビーム番号が割り当てられる。光線源Lyjにおいて発生するYビームの番号は「j」(j=0〜m−1)である。
【0102】
図13,図14における「X座標」は、タッチセンサ33の検出領域336におけるX軸方向(横方向)の座標を示す。この例において、番号「i」(i=0〜n−1)のXビームのX座標は「2i」である。
図13,図14における「Y座標」は、タッチセンサ33の検出領域336におけるY軸方向(縦方向)の座標を示す。この例において、番号「j」(j=0〜m−1)のYビームのY座標は「2j」である。
【0103】
図13の例では、1つの物体A1によって、Xビーム番号「6」〜「9」のXビームと、Yビーム番号「5」〜「7」のYビームが遮断される。
この場合、物体A1の中央の位置を示す中央座標Pcは、左端のXビーム(6番)と右端のXビーム(9番)との間の中央の位置である「15」をX座標とし、上端のYビーム(5番)と下端のYビーム(7番)との間の中央の位置である「12」をY座標とする。
物体A1の端部の位置を示す端座標Peは、検出領域336の左端の最も近くで遮断された6番のXビームの位置である「12」をX座標とし、検出領域336の上端の最も近くで遮断された5番のYビームの位置である「10」をY座標とする。
【0104】
左端の遮断Xビームの番号をNx1、右端の遮断Xビームの番号をNx2、上端の遮断Yビームの番号をNy1,下端の遮断Yビームの番号をNy2とすると、中央座標PcのX座標とY座標(Xc,Yc)はそれぞれ下式で表される。
【0105】
[数1]
Xc = Nx1 + Nx2 …(1)
Yc = Ny1 + Ny2 …(2)
【0106】
また、端座標PeのX座標とY座標(Xe,Ye)はそれぞれ下式で表される。
【0107】
[数2]
Xe = 2Nx1 …(3)
Ye = 2Ny1 …(4)
【0108】
図13の例では、最も左端の遮断Xビーム(6番)と最も右端の遮断Xビーム(9番)との間に非遮断のXビームが存在せず、かつ、最も上端の遮断Yビーム(5番)と最も下端の遮断Xビーム(7番)との間に非遮断のYビームが存在しないため、サブメイン制御部5は「1点入力状態」と判定する(ST215:図12)。
【0109】
他方、図14の例では、物体A2によってXビーム番号「2」〜「4」のXビーム及びYビーム番号「5」〜「7」のYビームが遮断されるとともに、物体A3によってXビーム番号「9」〜「11」のXビーム及びYビーム番号「10」〜「12」のYビームが遮断される。
この場合、サブメイン制御部5が取得する中央座標Pcは、遮断されたXビームの中で最も左端のXビーム(2番)と最も右端のXビーム(11番)との間の中央の位置である「13」をX座標とし、遮断されたYビームの中で最も上端のYビーム(5番)と最も下端のYビーム(12番)との間の中央の位置である「17」をY座標とする。中央座標Pcは、物体A2,A3を含む領域全体の中央の位置を表す。
また、この場合の端座標Peは、検出領域336の左端の最も近くで遮断された2番のXビームの位置である「4」をX座標とし、検出領域336の上端の最も近くで遮断された5番のYビームの位置である「10」をY座標とする。
【0110】
図14の例では、最も左端の遮断Xビーム(2番)と最も右端の遮断Xビーム(11番)との間に非遮断のXビーム(5〜8番)が存在し、また、最も上端の遮断Yビーム(5番)と最も下端の遮断Xビーム(12番)との間に非遮断のYビーム(8〜9番)が存在する。この場合、サブメイン制御部5は「複数点入力状態」と判定する(ST225:図12)。
【0111】
図15は、複数点入力終了点の検出処理(ST120:図11)について説明するためのフローチャートである。
【0112】
サブメイン制御部5は、システム記憶部56に記憶されるステータス情報を参照して、前回と今回のタッチセンサ55の状態を判定する。前回の状態が「複数点入力状態」であり(ST300)、かつ、今回の状態が「1点入力状態」あるいは「入力未検出状態」の場合(ST305)、サブメイン制御部5は、システム記憶部56に記憶される前回の確定した中央座標データを、最新の複数点入力終了点の座標データとして取得し、システム記憶部56に格納する(ST305,ST310)。
【0113】
図16は、検出領域336における物体の移動または静止の検出処理(ST125:図11)について説明するためのフローチャートである。
【0114】
サブメイン制御部5は、システム記憶部56に記憶されるステータス情報を参照して、前回と今回のタッチセンサ55の状態を判定する。今回の状態が「1点入力状態」または「複数点入力状態」、すなわち検出領域336で物体が検出されている状態であり(ST400)、かつ、前回も同様に検出領域336で物体が検出されている状態だった場合(ST405)、サブメイン制御部5は、前回の中央座標データと今回の中央座標データとに基づいて、物体の移動距離および移動方向を取得する(ST410)。そして、サブメイン制御部5は、取得した移動距離がゼロか否かを調べ(ST415)、移動距離がゼロならば物体が静止中であると判定し(ST420)、移動距離がゼロでなければ物体が移動中であると判定する(ST425)。サブメイン制御部5は、この判定結果(静止中または移動中の状態)を示すステータス情報をシステム記憶部56に格納する。
【0115】
今回が入力未検出状態であり(ST400)、前回が「1点入力状態」または「複数点入力状態」であった場合(ST430)、サブメイン制御部5は、検出領域336から物体が離れて未検出状態になったこと(入力オフ)を判定する(ST435)。
他方、今回が「1点入力状態」または「複数点入力状態」であり(ST400)、前回が入力未検出状態あった場合(ST405)、サブメイン制御部5は、検出領域336に物体が進入して検出される状態になったこと(入力オン)を判定する(ST440)。
【0116】
図17は、検出領域336における物体の移動距離・移動方向を取得する処理(ST410:図16)について説明するためのフローチャートである。
【0117】
サブメイン制御部5は、現在の確定した中央座標データのX座標から、前回の確定した中央座標データのX座標を減算した差分データΔXを算出するとともに、現在の確定した中央座標データのY座標から、前回の確定した中央座標データのY座標を減算した差分データΔYを算出する(ST500)。差分データΔXの極性はX軸に平行な物体の移動方向を示しており、正の差分データΔXは右方向、負の差分データΔXは左方向への移動を示す。差分データΔYの極性はY軸に平行な物体の移動方向を示しており、正の差分データΔYは下方向、負の差分データΔYは上方向への移動を示す。
【0118】
また、サブメイン制御部5は、差分データΔX,ΔYの絶対値である移動量dX,dYを算出する(ST505)。移動量dXはX軸と平行に移動した量を示し、移動量dYはY軸と平行に移動した量を示す。
【0119】
サブメイン制御部5は、移動量dX,dYが共にゼロであるか否か判定し(ST510)、共にゼロでない場合に移動距離・移動方向の取得処理を行う。
移動量dX,dYが共にゼロでない場合、サブメイン制御部5は、移動量dX,dYの大きさを比較し(ST515)、大きい方を定数aとした場合の小さい方の比率bを算出する(ST520,ST535)。すなわち、サブメイン制御部5は、移動量dXが移動量dYより大きい場合、移動量dXを定数aとした場合の移動量dYの比率bを算出し(ST520)、移動量dYが移動量dXより大きい場合、移動量dYを定数aとした場合の移動量dXの比率bを算出する(ST535)。
【0120】
移動量dXが移動量dYより大きい場合、サブメイン制御部5は次式により移動距離Lを算出する(ST525)。
【0121】
[数3]
L = (c/a)・ΔX …(5)
【0122】
移動量dYが移動量dXより大きい場合、サブメイン制御部5は次式により移動距離Lを算出する(ST540)。
【0123】
[数4]
L = (c/a)・ΔY …(6)
【0124】
但し、式(5),(6)における「c」は、「a」と「b」により次式で表される。
【0125】
[数5]
c = √{(a^2)+(b^2)} …(7)
【0126】
定数aを「10」とした場合、「b」に対応する「c」の値は次の表のようになる。
【0127】
【表1】
【0128】
例えば、サブメイン制御部5は、表1のようなテーブルを予めシステム記憶部56に記憶する。ステップST520又はST535において「b」を算出すると、サブメイン制御部5は、この算出した「b」に対応する「c」の値をシステム記憶部56のテーブルから取得し、当該取得した「c」を用いて式(5)又は(6)により移動距離Lを算出する(ST525,ST540)。
【0129】
移動量dXが移動量dYより大きい場合、サブメイン制御部5は、上述した差分データΔX,ΔYの極性と移動量dX,dY、ステップST520で算出した比率bなどに基づいて、物体の移動方向を判定する(ST530)。この場合、サブメイン制御部5は、左右の方向、若しくは、左右の方向に対して斜めに傾いた方向を物体の移動方向として判定する。
他方、移動量dYが移動量dXより大きい場合、サブメイン制御部5は、上述した差分データΔX,ΔYの極性と移動量dX,dY、ステップST535で算出した比率bなどに基づいて、物体の移動方向を判定する(ST545)。この場合、サブメイン制御部5は、上下の方向、若しくは、上下の方向に対して斜めに傾いた方向を物体の移動方向として判定する。
【0130】
図18は、移動量dXが移動量dYより大きい場合の移動方向の判定処理について説明するためのフローチャートである。
差分データΔXが正(右方向)かつ差分データΔYが正(下方向)の場合(ST600,ST605)、サブメイン制御部5は、移動量dXに対する移動量dYの比率bに応じて(ST610)、移動方向を「右方向」又は「右下方向」と判定する(ST615,ST620)。
【0131】
図19は、移動方向を比率bに応じて判定する方法の例を説明する図である。
図19の例において定数aの値は「10」であり、比率bは「0」から「10」までの値をとる。図19に示すように、比率bが0に近いほど移動方向は「右方向」に近付き、比率bが10に近いほど移動方向は斜め45度の「右下方向」に近付く。そこで、本実施形態に係るサブメイン制御部5は、比率bが「5」より小さい場合に移動方向を「右方向」と近似して判定し(ST620)、比率bが「5」以上の場合に移動方向を「右下方向」と近似して判定する(ST615)。
【0132】
差分データΔXが正(右方向)かつ差分データΔYが負(上方向)の場合(ST600,ST605)、サブメイン制御部5は、移動量dXに対する移動量dYの比率bに応じて(ST625)、移動方向を「右方向」又は「右上方向」と判定する(ST620,ST630)。すなわち、サブメイン制御部5は、移動量dXを「10」とした場合の移動量dYの比率bが「5」より小さい場合に移動方向を「右方向」と判定し(ST620)、比率bが「5」以上の場合に移動方向を「右上方向」と判定する(ST630)。
【0133】
差分データΔXが負(左方向)かつ差分データΔYが正(下方向)の場合(ST600,ST635)、サブメイン制御部5は、移動量dXに対する移動量dYの比率bに応じて(ST640)、移動方向を「左方向」又は「左下方向」と判定する(ST645,ST650)。すなわち、サブメイン制御部5は、移動量dXを「10」とした場合の移動量dYの比率bが「5」より小さい場合に移動方向を「左方向」と判定し(ST650)、比率bが「5」以上の場合に移動方向を「左下方向」と判定する(ST645)。
【0134】
差分データΔXが負(左方向)かつ差分データΔYが負(上方向)の場合(ST600,ST635)、サブメイン制御部5は、移動量dXに対する移動量dYの比率bに応じて(ST655)、移動方向を「左方向」又は「左上方向」と判定する(ST650,ST660)。すなわち、サブメイン制御部5は、移動量dXを「10」とした場合の移動量dYの比率bが「5」より小さい場合に移動方向を「左方向」と判定し(ST650)、比率bが「5」以上の場合に移動方向を「左上方向」と判定する(ST660)。
【0135】
図20は、移動量dYが移動量dXより大きい場合の移動方向の判定処理について説明するためのフローチャートである。
差分データΔYが正(下方向)かつ差分データΔXが正(右方向)の場合(ST700,ST705)、サブメイン制御部5は、移動量dYに対する移動量dXの比率bに応じて(ST710)、移動方向を「下方向」又は「右下方向」と判定する(ST715,ST720)。すなわち、サブメイン制御部5は、移動量dYを「10」とした場合の移動量dXの比率bが「5」より小さい場合に移動方向を「下方向」と判定し(ST720)、比率bが「5」以上の場合に移動方向を「右下方向」と判定する(ST715)。
【0136】
差分データΔYが正(下方向)かつ差分データΔXが負(左方向)の場合(ST700,ST705)、サブメイン制御部5は、移動量dYに対する移動量dXの比率bに応じて(ST725)、移動方向を「下方向」又は「左下方向」と判定する(ST720,ST730)。すなわち、サブメイン制御部5は、移動量dYを「10」とした場合の移動量dXの比率bが「5」より小さい場合に移動方向を「下方向」と判定し(ST720)、比率bが「5」以上の場合に移動方向を「左下方向」と判定する(ST730)。
【0137】
差分データΔYが負(上方向)かつ差分データΔXが正(右方向)の場合(ST700,ST735)、サブメイン制御部5は、移動量dYに対する移動量dXの比率bに応じて(ST740)、移動方向を「上方向」又は「右上方向」と判定する(ST750,ST745)。すなわち、サブメイン制御部5は、移動量dYを「10」とした場合の移動量dXの比率bが「5」より小さい場合に移動方向を「上方向」と判定し(ST750)、比率bが「5」以上の場合に移動方向を「右上方向」と判定する(ST745)。
【0138】
差分データΔYが負(上方向)かつ差分データΔXが負(左方向)の場合(ST700,ST735)、サブメイン制御部5は、移動量dYに対する移動量dXの比率bに応じて(ST755)、移動方向を「上方向」又は「左上方向」と判定する(ST750,ST760)。すなわち、サブメイン制御部5は、移動量dYを「10」とした場合の移動量dXの比率bが「5」より小さい場合に移動方向を「上方向」と判定し(ST750)、比率bが「5」以上の場合に移動方向を「左上方向」と判定する(ST760)。
【0139】
図21は、移動量dX,dYの大小関係、差分データΔX,ΔYの極性(正/負)、並びに比率bの大きさと、サブメイン制御部5で判定される移動方向との関係を図解した図である。
以上が、物体の移動または静止の検出処理(ST125:図11)について説明である。
【0140】
図22は、検出領域336におけるダブルタップ操作・連打操作の検出処理(ST130:図11)について説明するためのフローチャートである。
【0141】
入力未検出状態において検出領域336に物体が進入して検出される状態になったこと(入力オン)が判定された場合(ST800)、サブメイン制御部5は、前回の入力点の座標から今回の入力点の座標までの距離を算出し、その距離が所定の上限値を超えているか否かを判定する(ST805)。この距離が上限値を超えていない場合、サブメイン制御部5は、前回の入力オンから今回の入力オンまでの経過時間が所定の上限時間を超えているか否かを更に判定する(ST810)。この経過時間が所定の上限時間を超えていない場合、サブメイン制御部5は、タップ回数に1を加算する(ST815)。他方、前回の入力点から今回の入力点までの距離が上限値を超えている場合や、前回の入力オンから今回の入力オンまでの経過時間が上限値を超えている場合、サブメイン制御部5は、タップ回数をゼロにクリアするとともに、ステータス情報におけるダブルタップ・連打のステータスを無効にする(ST820)。
【0142】
タップ回数に1を加算すると、サブメイン制御部5は、タップ回数の値を判定する(ST825)。タップ回数が1の場合、サブメイン制御部5は、ステータス情報におけるダブルタップ・連打のステータスを有効にしてシステム記憶部56に記憶し(ST830)、タップ回数が2以上の場合は、ステータス情報における連打のステータスを有効にしてシステム記憶部56に記憶する(ST835)。
【0143】
図23は、検出領域336におけるスライド操作の検出処理(ST135:図11)について説明するためのフローチャートである。
【0144】
検出領域336において物体が検出されている状態から入力未検出状態になったこと(入力オフ)が判定された場合(ST900)、サブメイン制御部5はシステム記憶部56のステータス情報を参照し、入力オフの直前のステータスが移動中であるか否かを判定する(ST905)。直前のステータスが移動中の場合、サブメイン制御部5は、その移動中のステータスにおいて取得された移動速度が所定値より速いか否かを更に判定する(ST910)。移動速度が所定値より速い場合、サブメイン制御部5は、検出領域336においてスライド操作(指を素早く滑らせて離す操作)が行われと判定し、ステータス情報におけるスライド操作のステータスを有効にしてシステム記憶部56に記憶する。
【0145】
以上説明したように、本実施形態に係るパチスロ機によれば、ディスプレイ35の画面を覆う検出領域336を有したタッチセンサ33において、検出領域336のX軸方向へ等間隔で平行に並んだn本の光線(Xビーム)のうちの遮断された光線を示すX軸方向の検出情報と、検出領域336のY軸方向へ等間隔で平行に並んだm本の光線(Yビーム)のうちの遮断された光線を示すY軸方向の検出情報とを含んだ位置データが生成される。この位置データに基づいて、複数の遮断されたXビームにおける最も離れた2つのXビームの中央の位置に対応するX座標成分と、複数の遮断されたYビームにおける最も離れた2つのYビームの中央の位置に対応するY座標成分とを含んだ中央座標データが取得される。取得された中央座標データは、検出領域336における物体の位置を示すデータとして、ディスプレイ35の画面表示や、音声出力などの演出内容の制御に使用される。
従って、検出領域336に進入した物体が複数の光線を遮断する場合、各座標軸の方向において最も離れた2つのビームの中央の位置に対応する座標成分を有した座標データを取得することによって、物体の位置を適切に特定することができる。
【0146】
また、本実施形態に係るパチスロ機によれば、物体が偶数本のビームを遮断している場合に、中央の2本のビームにおける中間の位置が物体の座標として取得される。すなわち、ビームとビームの中間の位置も物体の位置を示す座標として使用されることから、ビームの本数に対して2倍の分解能で物体の位置を特定することができる。
【0147】
また、本実施形態に係るパチスロ機によれば、最も離れた2本の遮断されたビームの間に遮断されていないビームがある場合、検出領域336の複数の箇所で物体が検出されたと判定される。これにより、検出領域336の1箇所で物体が検出された場合と複数の箇所で物体が検出された場合とを区別できるため、例えば2本の指を使って各種の画像の拡大・縮小を行うなどの様々な入力操作が可能となり、パチスロ機等の遊技機において更に趣向性の高い遊技を実現できる。
【0148】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、他の種々のバリエーションを含んでいる。
【0149】
例えば、上述した実施形態では、タッチセンサ33から位置データを入力する度に、この位置データをシステム記憶部56に一時的に格納する例を挙げているが、本発明はこれに限定されない。本発明の他の実施形態では、タッチセンサ33から位置データを入力する度に、この位置データに基づいて取得した中央座標データを一時的に記憶してもよい。この場合、一定の時間Tsが経過する度に、一時的に記憶した最新の中央座標データのデータを確定したデータとしてシステム記憶部56に格納してもよい。
【0150】
また、上述した実施形態における演出用ハードウェアの構成は一例であり、本発明はこれに限定されない。例えば、上述の実施形態では、サブサブ制御部7にスピーカ37が接続されているが、本発明の他の実施形態では、サブメイン制御部5にスピーカ37を接続してもよい。この場合、オーディオ信号処理回路をサブメイン制御部5に搭載し、オーディオ再生を制御するプログラム(ドライバ)をサブメイン制御部5において動作させてもよい。
【0151】
上述した実施形態では、サブメイン制御部5が演出用のデータ(トリガーテーブル)を持つ例を説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明の他の実施形態では、トリガーテーブルをサブサブ制御部7が持つようにしてもよい。この場合、サブメイン制御部5は、演出の契機となる情報(ベットボタン検出、スタートレバー検出、第1〜第3リール停止検出などの情報)をメイン制御部3から受信すると、これをサブサブ基板7に送信し、サブサブ制御部7がトリガーテーブルに応じた演出を発生させるようにしてよい。
【符号の説明】
【0152】
1…パチスロ機、3…メイン制御部、5…サブメイン制御部、7…サブサブ制御部、11…メダル投入部、13…メダル払出部、15…くじ抽選部、17…リール回転部、20…操作ボタン群、33…タッチセンサ、35…ディスプレイ、37…スピーカ、51,52,71…通信インターフェース部、53…駆動回路、55…演出情報記憶部、56,76…システム記憶部、72…映像信号出力部、73…オーディオ信号出力部、74…映像・音記憶部、75…フレームバッファ、201…1枚ベットボタン、203…3枚ベットボタン、205…スタートレバー、207L…左停止ボタン、207M…中停止ボタン、207R…右停止ボタン、331,332…光源部、333,334…光センサ部、335…センサ制御部、336…検出領域、Lx0〜Lx(n−1),Ly0〜Ly(m−1)…光線源、Px0〜Px(n−1),Py0〜Py(m−1)…光センサ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチスロ機(スロットマシン)等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチスロ機(スロットマシン)は、複数種類の図柄が施された複数個(通常3個)のリールを遊技者の操作に応じて回転・停止させ、リールが停止したときに揃う図柄の組み合わせ(出目)に応じてメダルを払い出す処理を行う。また、パチスロ機は、こうした遊技の進行に合わせてランプの点滅やスピーカの音声出力、ディスプレイの画面表示などを制御して、遊技者の気分を高揚させる演出処理を行う。
【0003】
タッチセンサを備えたパチスロ機では、遊技者がディスプレイの画面に触れることで各種の操作を入力することが可能であり、例えば演出効果(キャラクター画像、効果音など)を自分で選択したり、簡易的なゲームを行うことが可能である(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−190370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光学式のタッチセンサは、表示パネルの周囲の縦方向と横方向に赤外線等の光線源と光センサのペアを複数配置してなり、光センサが入射光線の遮断を検出することによって表示パネルに近付いた遊技者の手指などの位置を検出する。この方式のタッチセンサは、使用時に直接触られることがないため、画面の透明板(ガラス等)が強く擦られたり叩かれたりしても劣化することがなく、不特定多数の遊技者が使用するパチスロ機のタッチセンサとして好適である。
【0006】
ところで、光学式のタッチセンサは、縦方向と横方向の遮断された光線の組み合わせによって物体(手指など)の位置を特定するため、例えば2本の指で画面の2箇所が触られた場合と、この2箇所を対角とする四角形の四隅が触られた場合と、当該四角形において他方の対角をなす2箇所が触られた場合とを区別することができない。すなわち、同時に複数箇所で物体が検出された場合、その各々の位置を正しく特定できないことがある。そのため、一般に光学式のタッチセンサは、1箇所ずつ物体の位置を検出することが想定されており、複数箇所で同時に物体が検出された場合は考慮されていないことが多い。
【0007】
しかしながら、同時に複数箇所が接触された場合も光学式タッチセンサを使用できれば、パチスロ機等において更に趣向性の高い遊技を実現することが期待できる。そのためには、一群の光センサにおける検出結果の情報(各光センサにおける光線の遮断の有無)を直接取得し、その情報から複数箇所の接触が生じているか否かを判定することが求められる。光センサの検査結果を直接取得する場合、物体が複数本の光線にまたがっていてもその位置を特定できるように、遮断された複数本の光線の情報を適切に処理して代表点の座標を取得することが求められる。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、映像表示面において遊技者の手指等を検出可能なセンサを用いて、趣向性の高い遊技を実現できる遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る遊技機は、映像を表示する表示部と、前記表示部の映像表示面の少なくとも一部を覆った検出領域の所定の位置を通る複数の光線が遮断されるか否かをそれぞれ判定し、当該判定結果に応じて前記検出領域に進入した物体の位置に係る位置データを生成する検出部と、前記検出部において生成される前記位置データに応じて、遊技の演出用の映像を前記表示部に表示させる制御部とを有する。
前記検出部は、前記検出領域の第1座標軸の方向へ等しい間隔で平行に並んだ複数の第1光線のうち、前記物体によって遮断された第1光線を示す第1検出情報と、前記検出領域の第2座標軸の方向へ等しい間隔で平行に並んだ複数の第2光線のうち、前記物体によって遮断された第2光線を示す第2検出情報とを含んだ前記位置データを生成する。
前記制御部は、前記第1検出情報が一の遮断された第1光線を示す場合、当該一の第1光線の位置に対応し、前記第1検出情報が複数の遮断された第1光線を示す場合、当該複数の遮断された第1光線の中で最も離れた2つの第1光線の中央の位置に対応する前記第1座標軸の座標成分と、前記第2検出情報が一の遮断された第2光線を示す場合、当該一の第2光線の位置に対応し、前記第2検出情報が複数の遮断された第2光線を示す場合、当該複数の遮断された第2光線の中で最も離れた2つの第2光線の中央の位置に対応する前記第2座標軸の座標成分とを含んだ中央座標データを前記位置データに基づいて取得し、前記取得した中央座標データに応じた映像を前記表示部に表示させる。
【0010】
好適に、前記制御部は、前記最も離れた2つの第1光線の間に遮断されていない第1光線がある場合、又は、前記最も離れた2つの第2光線の間に遮断されていない第2光線がある場合に、前記検出領域の複数の離れた部分で物体が検出されていると判定し、当該判定結果に応じた映像を前記表示部に表示させる。
【0011】
好適に、前記制御部は、前記検出部において前記位置データが生成される度に、前記生成された位置データ若しくは前記位置データに応じて取得した前記中央座標データを一時的に記憶するとともに、一定の時間が経過する度に、前記一時的に記憶した最新の位置データに応じて取得した中央座標データ若しくは前記一時的に記憶した最新の中央座標データを最新の確定した中央座標データとして記憶し、前記確定した中央座標データに応じた映像を前記表示部に表示させる。
【0012】
好適に、前記制御部は、前記中央座標データを取得するとともに、前記検出領域における前記第1座標軸の一方向の端の最も近くで遮断された第1光線の位置に対応する前記第1座標軸の座標成分と、前記検出領域における前記第2座標軸の一方向の端の最も近くで遮断された第2光線の位置に対応する前記第2座標軸の座標成分とを含んだ端座標データを取得し、前記取得した中央座標データ及び端座標データに応じた映像を前記表示部に表示させる。
【0013】
好適に、前記制御部は、最新の前記確定した中央座標データと前回の前記確定した中央座標データとに基づいて、前記第1座標軸及び前記第2座標軸に対する前記物体の移動量をそれぞれ取得し、前記取得した2つの移動量を比較し、当該比較において大きい方の移動量に対する小さい方の移動量の割合を算出し、前記算出した割合に応じた所定の比例定数を前記大きい方の移動量若しくは前記小さい方の移動量に乗じた結果として前記一定の期間における前記物体の移動距離を取得する。
【0014】
好適に、前記第1座標軸に沿った2つの方向を第1方向及び第2方向とし、前記第2座標軸に沿った2つの方向を第3方向及び第4方向とし、前記第1方向と前記第3方向の中間の方向を第5方向とし、前記第1方向と前記第4方向の中間の方向を第6方向とし、前記第2方向と前記第4方向の中間の方向を第7方向とし、前記第2方向と前記第3方向の中間の方向を第8方向とした場合において、前記制御部は、
新の前記確定した中央座標データと前回の前記確定した中央座標データとに基づいて、前記第1座標軸及び前記第2座標軸に対する前記物体の移動量と移動方向をそれぞれ取得し、前記取得した2つの移動量を比較し、当該比較において大きい方の移動量に対する小さい方の移動量の割合を算出し、
前記比較において前記第1座標軸に対する移動量が前記2座標軸に対する移動量より大きく、かつ、前記第1座標軸に対する移動方向が前記第1方向である場合、前記算出した割合と前記第2座標軸に対する移動方向とに応じて、前記第1方向、前記第5方向又は前記第6方向の何れかを前記物体の移動方向と判定し、
前記比較において前記第1座標軸に対する移動量が前記2座標軸に対する移動量より大きく、かつ、前記第1座標軸に対する移動方向が前記第2方向である場合、前記算出した割合と前記第2座標軸に対する移動方向とに応じて、前記第2方向、前記第7方向又は前記第8方向の何れかを前記物体の移動方向と判定し、
前記比較において前記第2座標軸に対する移動量が前記1座標軸に対する移動量より大きく、かつ、前記第2座標軸に対する移動方向が前記第3方向である場合、前記算出した割合と前記第1座標軸に対する移動方向とに応じて、前記第3方向、前記第8方向又は前記第5方向の何れかを前記物体の移動方向と判定し、
前記比較において前記第2座標軸に対する移動量が前記1座標軸に対する移動量より大きく、かつ、前記第2座標軸に対する移動方向が前記第4方向である場合、前記算出した割合と前記第1座標軸に対する移動方向とに応じて、前記第4方向、前記第6方向又は前記第7方向の何れかを前記物体の移動方向と判定する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、映像表示面において遊技者の手指等を検出可能なセンサを用いて、更に趣向性の高い遊技を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係るパチスロ機の正面側に配置されたディスプレイ、操作部等を説明するための図である。
【図2】本発明の実施形態のパチスロ機の構成図である。
【図3】サブメイン制御部およびサブサブ制御部の処理の概要を説明するための図である。
【図4】サブメイン制御部におけるメインくじから3Dくじへの変換処理を説明するための第1の図である。
【図5】サブメイン制御部におけるメインくじから3Dくじへの変換処理を説明するための第2の図である。
【図6】サブメイン制御部におけるメインくじから3Dくじへの変換処理を説明するための第3の図である。
【図7】サブメイン制御部の構成の一例を示す図である。
【図8】タッチセンサの構成の一例を示す図である。
【図9】サブサブ制御部の構成の一例を示す図である。
【図10】タッチセンサからの入力データを処理するタイミングについて説明するためのタイムチャートである。
【図11】一定時間ごとに繰り返されるタッチセンサの入力データの解析処理を説明するためのフローチャートである。
【図12】入力点の検出処理について説明するためのフローチャートである。
【図13】タッチセンサの検出結果に基づいて中央座標データ及び端座標データを取得する例を示す第1の図である。
【図14】タッチセンサの検出結果に基づいて中央座標データ及び端座標データを取得する例を示す第2の図である。
【図15】複数点入力終了点の検出処理について説明するためのフローチャートである。
【図16】検出領域における物体の移動または静止の検出処理について説明するためのフローチャートである。
【図17】検出領域における物体の移動距離・移動方向を取得する処理について説明するためのフローチャートである。
【図18】X方向の移動量がY方向の移動量より大きい場合の移動方向の判定処理について説明するためのフローチャートである。
【図19】X方向とY方向の移動量の比率に応じて移動方向を判定する方法の例を説明する図である。
【図20】Y方向の移動量がX方向の移動量より大きい場合の移動方向の判定処理について説明するためのフローチャートである。
【図21】X方向とY方向の移動量の大小関係、差分データの極性、並びに、X方向とY方向の移動量の比率と、サブメイン制御部で判定される移動方向との関係を図解した図である。
【図22】検出領域におけるダブルタップ操作・連打操作の検出処理について説明するためのフローチャートである。
【図23】検出領域におけるスライド操作の検出処理について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る遊技機としてのパチスロ機を説明する。
図1は、本実施形態に係るパチスロ機の正面側に配置されたディスプレイ、操作部等を説明するための図である。
図1の例において、パチスロ機1の正面には、メインリール部30、液晶パネル等のディスプレイ35、メダル投入部11、1枚ベットボタン201、3枚ベットボタン203,スタートレバー205、左停止ボタン207L、中停止ボタン207M、右停止ボタン207Rが配置されている。
ディスプレイ35は、本発明における表示部の一例である。
【0018】
メインリール部30は、それぞれ複数種類の図柄が周面に施された3つのリール(メインリール)と、この3つのメインリールをそれぞれ回転駆動するリール回転部17(図2)を有する。各メインリールの周面には、例えば21個の図柄が並んで描かれている。パチスロ機の正面に設けられた透明な表示窓を介して、各リールの隣接する3つの図柄が表示される。全てのメインリールが停止しているとき、表示窓には3行3列に配列された9個の図柄が表示される。
メダル投入部11は、パチスロ機にメダルを投入して貯留するための機構と、メダルの投入を検知するセンサを備える。
【0019】
1枚ベットボタン201と3枚ベットボタン203は、1回の遊技で賭けるメダルの枚数を設定するための入力機器である。1枚ベットボタン201の押下によって1枚のメダルが1回の遊技に使用され、3枚ベットボタン203の押下によって3枚のメダルが1回の遊技に使用される。メダルの賭け数が1枚の場合、上述した3行3列の図柄において中段の横方向の1ラインに揃った図柄の組み合わせ(出目)に応じて入賞の有無が判定される。メダルの賭け数が3枚の場合は、上述した3行3列の図柄において上,中,下段の横方向の3ラインと右斜め下方向および左斜め上方向の2ラインに揃った図柄の組み合わせ(出目)に応じて入賞の有無が判定される。なお、3行3列の図柄の配列において入賞の有無が判定されるラインを「入賞ライン」と呼ぶ。
なお、1回の遊技で賭けるメダルの枚数は上記の例に限らず、例えば1枚のみでもよいし、1,2,3枚のうちから遊技者が自由に選択できるようにしてもよい。また、入賞ラインの本数も任意であり、例えば中段1ラインだけでもよいし、上・中・下段と斜め方向の5ラインでもよい。
【0020】
スタートレバー205は、メインリール部30の回転開始の指示を入力するための入力機器である。メダル投入部11からメダルが投入され、1枚ベットボタン201又は3枚ベットボタン203によってメダルの枚数が設定された状態でスタートレバー205が叩かれると、メインリール部30においてメインリールの回転が始まる。
【0021】
左停止ボタン207L、中停止ボタン207M、右停止ボタン207Rは、メインリール部30の各メインリールの停止指示を入力するための入力機器である。左停止ボタン207を押下すると左側のメインリールが停止し、中停止ボタン207Mを押下すると中央のメインリールが停止し、右停止ボタン207Rを押下すると右側のメインリールが停止する。
【0022】
ディスプレイ35は、演出用の映像を表示させるための表示装置であり、例えば液晶表示パネルやEL表示パネルなどを含んで構成される。後述するように、ディスプレイ35には、メインリールを模擬した演出用のリール(サブリール)を回転・停止させる映像や、キャラクタ等のアニメーション映像が表示される。
【0023】
また、本実施形態に係るパチスロ機は、このディスプレイ35の画面において物体(遊技者の手指等)を検出するタッチセンサ33(図8)を有する。タッチセンサ33は、ディスプレイ35の映像表示面を覆った検出領域において物体を検出し、その検出した物体の位置を示すデータを生成する。
タッチセンサ33は、本発明における検出部の一例である。
【0024】
図2は、本実施形態に係るパチスロ機1の構成の一例を示す図である。
本実施形態に係るパチスロ機1は、例えば図2に示すように、メイン制御部3、サブメイン制御部5およびサブサブ制御部7を有する。
サブメイン制御部5及びサブサブ制御部7を含むユニットは、本発明における制御部の一例である。
【0025】
[メイン制御部3]
メイン制御部3は、遊技の全体的な進行を統括的に制御する回路ブロックであり、例えばプログラムに応じて処理を実行するプロセッサとメモリを含んで構成される。メイン制御部3は、例えばメダルの賭け枚数の設定、メインリールの回転開始と停止、メインリールの入賞ラインにおける図柄の組み合わせ(出目)を決める役(遊技用役)の抽選、役の抽選結果に応じたリールの停止制御、出目に応じた入賞結果の判定、メダルの払い出しなどの一連の動作を制御する。
【0026】
図2の例において、メイン制御部3には、メダル投入部11、メダル払出部13、くじ抽選部15、リール回転部17および操作ボタン群20(201,203,205,207L,207M,207R)が接続される。
【0027】
メイン制御部3は、メダル投入部11からのメダル投入の検知信号を監視し、遊技に使用するため貯留されたメダルの枚数を記録する。メダル投入部11において適当な枚数のメダルが投入され、ベットボタン(201,203)によってメダルの賭け枚数が設定された状態でスタートレバー205が叩かれると、メイン制御部3は、くじ抽選部15において遊技用の役の抽選を実行させるとともに、メインリール部30のリール回転部17を制御して3つのメインリールの回転を開始する。
【0028】
くじ抽選部15が抽選する遊技用の役(「メインくじ」とも呼ぶ)は、メダル等の遊技価値の付与に係る役であり、主として入賞ラインに揃う図柄の組み合わせ(出目)を決定する。遊技用の役には、例えば、1回の遊技ごとにメダルが払い出される小役や、複数回の遊技において反復的にメダルを払い出す出目が揃うボーナス役、遊技に際してメダルの投入が不要になるリプレイ役などがある。くじ抽選部15は、これらの複数の役から抽選により当選役を決定する。
なお本実施形態において、くじ抽選部15が決定する当選役には、遊技価値を付与されない「はずれ役」も含まれる。
【0029】
メイン制御部3は、スタートレバー205の指示に応じてメインリールの回転を開始した後、3つのリール停止ボタン(207L,207M,207R)の何れかが押下されることによってリール回転の停止指示が入力されると、押下されたリール停止ボタンに対応する左,中又は右のメインリールを停止させる。
【0030】
メイン制御部3は、メインリールを停止させる場合、その停止対象のメインリールがくじ抽選部15の当選役に応じた図柄で停止するようにメインリールの停止位置(回転角度)を制御する。例えばボーナス役が当選している場合、メイン制御部3は、リール停止ボタンが押下されたときのリールの基準位置(例えばメインリールの表示窓における下段の位置)から所定の滑りコマ数の範囲内にボーナス役の図柄があれば、この図柄が入賞ライン上で止まるようにリール回転部17を制御(引き込み制御)する。また、はずれ役が当選している場合、メイン制御部3は、他の役が成立しない図柄でメインリールの回転が停止するようにリール回転部17を制御(蹴飛ばし制御)する。
【0031】
遊技者の操作に応じて3つのメインリールを停止させた場合、メイン制御部3は、入賞ライン上に揃った図柄の組み合わせに応じて入賞結果を判定する。そして、メイン制御部3は、入賞した出目がメダルの払い出しを生じるものである場合、その出目に応じた枚数のメダルを払い出すようにメダル払出部13を制御する。
【0032】
またメイン制御部3は、サブメイン制御部5に対して、メインリールの回転の開始や停止、メインくじの当選役、メダルの投入や払い出しなど、遊技の進行に係るデータ(コマンド)をサブメイン制御部5へ逐次出力する。
【0033】
例えば、メダル投入部11においてメダルが投入された場合、メイン制御部3は、その投入されたメダルの枚数や、メダル投入部11において貯留されているメダルの枚数等を示すデータをサブメイン制御部5に送信する。
【0034】
ベットボタン(201,203)が押下された場合、メイン制御部3は、その押下を示すデータをサブメイン制御部5へ送信する。
【0035】
ベットボタン(201,203)によってメダルの賭け枚数が設定された状態でスタートレバー205が叩かれた場合、メイン制御部3は、スタートレバー205が叩かれたことを示すデータ(メインリールの回転開始を指示するデータ)をサブメイン制御部5へ送信する。
【0036】
スタートレバー205が叩かれたことに応じてくじ抽選部15が役の抽選を行った場合、メイン制御部3は、当選した遊技用の役(当選役)を示すデータ(当選役データ)をサブメイン制御部5へ送信する。
【0037】
メインリール部30において何れかのメインリールが回転している状態でリール停止ボタン(207L,207M,207R)が押下された場合、メイン制御部3は、対応するリール停止ボタンが押下されたことを示すデータ(対応するメインリールの回転停止を指示するデータ)をサブメイン制御部5へ送信する。
【0038】
3つのメインリールを停止させて入賞の有無を判定した場合、メイン制御部3は、その入賞の内容を示すデータをサブメイン制御部5へ送信する。また、入賞結果に応じてメダル払出部13からメダルの払い出しを行った場合、メイン制御部3は、払い出したメダルの枚数を示すデータをサブメイン制御部5へ送信する。
【0039】
[サブメイン制御部5]
次に、サブメイン制御部5について説明する。
サブメイン制御部5は、遊技の進行に係るデータ(コマンド)をメイン制御部3から受信し、受信したデータに応じて演出内容を決定する回路ブロックであり、例えばプログラムに応じて処理を実行するプロセッサとメモリを含んで構成される。
【0040】
サブメイン制御部5は、メイン制御部3から送信される遊技用の当選役のデータ(当選役データ)に応じて、複数の所定の演出パターンから一の演出パターンを決定する。そして、サブメイン制御部5は、遊技の進行に係るデータをメイン制御部3から受信する度に、この決定した演出パターンに基づいて演出内容(ディスプレイ35の映像やスピーカ37の音)を指定するデータ(演出指定データ)を生成し、サブサブ制御部7に送信する。
例えば、サブメイン制御部5は、メイン制御部3から受信した遊技進行に係るデータの中で演出の出力の契機(トリガー)となるデータと、このデータに応じて出力すべき演出の内容に関する情報(例えば演出指定データ)とを対応付けたトリガーテーブルを記憶装置において格納している。
サブメイン制御部5は、メイン制御部3から当選役データを受信すると、この当選役データが示す遊技用当選役(メインくじ)に応じて、記憶装置に記憶される複数のトリガーテーブルから一のトリガーテーブルを選択する。そして、サブメイン制御部5は、遊技の進行に係るデータをメイン制御部3から受信する度に、上記選択したトリガーテーブルを参照して演出指定データを生成し、サブサブ制御部7に送信する。
【0041】
更に、サブメイン制御部5は、タッチセンサ33によってディスプレイ35の画面付近に物体(遊技者の手指等)が検出され、その位置を示すデータが生成された場合、生成されたデータに基づいて物体の位置を示す座標データを取得するとともに、画面付近に複数の物体が検出されたか否かや、物体の所定時間あたりの移動距離、物体の移動方向など、物体の状態に関する情報を取得する。サブメイン制御部5は、タッチセンサ33からの入力データに基づいて物体の位置や状態に関する情報が得られると、これらの情報の取得を契機(トリガー)として出力されるべき演出の内容をトリガーテーブルに基づいて決定し、決定した演出内容を指定する演出指定データを生成してサブサブ制御部7に送信する。
【0042】
図3は、メイン制御部3から出力されるデータに応じたサブメイン制御部5およびサブサブ制御部7の処理の概要を説明するための図である。
【0043】
サブメイン制御部5は、遊技の進行に係るデータをメイン制御部3から受信した場合や、タッチセンサ33の検出出力に基づいて画面付近の物体の座標データ等を取得した場合、遊技用の当選役(メインくじ)に応じて決定された演出パターン(トリガーテーブル)に基づいて、これらのデータを契機(トリガー)として出力されるべき演出内容を指定した演出指定データを生成し、サブサブ制御部7に送信する。
例えば、サブメイン制御部5は、ディスプレイ35に表示させるアニメーション等の映像を指定する情報や、スピーカ37において再生させる音を指定する情報、ディスプレイ35に映像として表示させる立体的なサブリール(3Dリールとも呼ぶ)の制御情報などをサブサブ制御部7に送信する。
【0044】
サブサブ制御部7は、サブメイン制御部5から演出指定データを受信すると、受信した演出指定データに応じてディスプレイ35におけるアニメーション等の映像の表示や、スピーカ37における効果音の再生、ディスプレイ35に表示されるサブリール(3Dリール)の回転を制御する。サブサブ制御部7は、ディスプレイ35においてサブリール(3Dリール)を回転状態から停止させた場合、その停止出目(停止状態のサブリールで揃った図柄の組み合わせの結果)を示すデータをサブメイン制御部5に送信する。
【0045】
サブメイン制御部5は、サブリール(3Dリール)の停止出目を示すデータをサブサブ制御部7から受信した場合、その停止出目に応じて演出パターンを切り替える処理を行う。例えば、サブメイン制御部5は、サブリール(3Dリール)の停止出目に応じて、記憶装置に記憶される複数のトリガーテーブルから新たなトリガーテーブルを選択する。
【0046】
サブメイン制御部5からサブサブ制御部7に送信されるコマンドとしては、例えば、基本共通表示コマンド(エラー、設定変更、停止ボタン要求、設定確認についてのコマンド)、タイミング指示コマンド(メイン制御部3側の操作に関するコマンド、例えばベット、メインリールの回転開始、左・中・右のメインリール停止に関するコマンド)、メダル関連コマンド(クレジット枚数、投入枚数、払い出し枚数に関するコマンド)、サウンド関連コマンド(サウンドの発音や停止を制御するコマンド、3Dリール関連コマンド(サブリール回転開始指示、左サブリール停止指示、中サブリール停止指示、右サブリール停止指示、抽選用の乱数の通知、サブリール演出用の役の通知、リール停止順序に関する通知)、機種別の演出コマンド(機種別に異なる演出を管理するコマンド)、特殊操作系コマンド(メニュー表示用の外部入力に関するコマンド、例えば、外部入力ボタン操作コマンド、タッチパネル操作コマンド)、システム系コマンド(3Dリールの停止出目を変更するコマンド、リールを大きくするコマンド等)がある。サブサブ制御部7は、これらのコマンドに応じて、ディスプレイ35における画面表示やスピーカ37における効果音の出力を制御する。
【0047】
他方、サブサブ制御部7からサブメイン制御部5に送信されるコマンドとしては、例えば、双方向通信に関わるコマンド(通信を行なう上でのシステムコマンド)、機種別の演出の状態コマンド(演出の結果、どのような状態かを発行するコマンド)、3Dリール結果コマンド(3Dリールにおいて揃った図柄に関する情報、例えば成立した役とその成立ラインの情報を送るコマンド)がある。
【0048】
ここで、ディスプレイ35のサブリール(3Dリール)の制御に関してサブメイン制御部5からサブサブ制御部7へ送信するデータ(演出用役データ,乱数データ,停止順序判定データ,サブリール回転開始指示データ,サブリール停止指示データ)について詳しく説明する。
【0049】
(1)演出用役データおよび乱数データ
サブメイン制御部5は、くじ抽選部15により抽選された遊技用の当選役と関連性を持った図柄がディスプレイ35のサブリール(3Dリール)において揃うようにするため、サブリールの停止時における図柄の組み合わせ(出目)を決める役(サブリール演出用の役)を遊技用の当選役に基づいて設定する。例えば、サブメイン制御部5は、複数の遊技用の役(メインくじ)と複数のサブリール演出用の役(「3Dくじ」とも呼ぶ)とを対応付けたデータテーブル(役変換テーブル)を記憶装置において格納しており、メイン制御部3から当選役データを受信すると、この役変換テーブルに基づいて、当選役データが示す当選役に対応付けられた演出用の役を示す演出役データを取得する。サブメイン制御部5は、役変換テーブルに基づいて取得した演出役データを、サブサブ制御部7に送信する。
【0050】
また、本実施形態では、役変換テーブルにおいて1つの当選役に複数の演出用の役が対応付けられている。そのため、サブメイン制御部5は、複数の演出用役から抽選により1つの演出用役を選択するための乱数データを更に生成し、演出役データとともにサブサブ制御部7へ送信する。
【0051】
サブサブ制御部7は、サブメイン制御部5から受信した演出役データに基づいて、当選役に対応する複数の演出用役を特定し、更にこの複数の演出用役の中から乱数データに基づいて1つの演出用役を特定する。そして、サブサブ制御部7は、演出役データ及び乱数データに基づいて特定した演出用役に応じた出目が揃うように、サブリールの停止位置の制御(引き込み制御,蹴飛ばし制御)を行う。
【0052】
図4〜図6は、サブメイン制御部5における当選役(メインくじ)から演出用役(3Dくじ)への変換処理を説明するための図である。
【0053】
図4〜図6の例において、1つの当選役(メインくじ)には複数の演出用役(3Dくじ)が割り当てられている。
また、図6に示すように、上記複数の演出用役(3Dくじ)には、後述するサブサブ制御部7に記憶される所定の演出用停止制御テーブルにおいて、それぞれ当選確率が割り当てられている。図6の例では、「中段チェリー」の当選確率が「32/256」であり、「角チェリー」の当選確率が「128/256」であり、「スイカA」の当選確率が「64/256」であり、「スイカB」の当選確率が「32/256」である。
【0054】
サブメイン制御部5は、メイン制御部2から当選役データを受信すると、当選役データに対応する複数の演出用役(3Dくじ)を指定するための演出役データを役変換テーブルから取得して、サブサブ制御部7に送信する。例えば当選役が「小役2」の場合、サブメイン制御部5は、この「小役2」に対応する4つの演出用役(「中段チェリー」「角チェリー」「スイカA」「スイカB」)を指定するための演出役データをサブサブ制御部7に送信する。
また、サブメイン制御部5は、複数の演出用役(3Dくじ)から1つを選択するための乱数データを生成し、サブサブ制御部7に送信する。例えば図6に示すように当選確率が設定されている場合、サブメイン制御部5は、0から255までの値を持つ乱数データを生成して、サブサブ制御部7に送信する。サブサブ制御部7では、図6の表に対応するように、「中段チェリー」に「0〜31」、「角チェリー」に「32〜159」、「スイカA」に「160〜223」、「スイカB」に「224〜255」の数値範囲が割り当てられており、乱数データの値が属する数値範囲に応じて、4つの演出用役(「中段チェリー」「角チェリー」「スイカA」「スイカB」)から1つの演出用役が特定される。例えば、乱数データの値が200の場合、4つの演出用役の中から「スイカA」が当選した演出用役として特定される。
【0055】
(2)停止順序判定データ
くじ抽選部15において抽選される遊技用の役(メインくじ)には、3つのメインリール(左,中,右)を停止させる際の順番に応じて入賞させるか否かを定めている役がある。そこで、サブメイン制御部5は、このリール停止順序が当選役で定められた順序と合っているか否か判定し、その判定結果を示すデータ(停止順序判定データ)をサブサブ制御部7に送信する。また、サブメイン制御部5は、当選役とは独立に演出用役で定められたリール停止順序と合っているか否かを示す停止順序判定データを送信してもよい。
【0056】
(3)サブリール回転開始指示データおよびサブリール停止指示データ
サブメイン制御部5は、メイン制御部3からメインリールの回転開始を指示するデータを入力すると、ディスプレイ35のサブリールにおいても同様に回転を開始させるためのデータ(サブリール開始指示データ)をサブサブ制御部7に送信する。
また、サブメイン制御部5は、何れかのメインリールの回転停止を指示するデータをメイン制御部3から受信すると、これに対応するサブリールの回転も停止させるためのデータ(サブリール停止指示データ)をサブサブ制御部7に送信する。例えば、サブメイン制御部5は、左のメインリールの停止指示データを受信した場合は左のサブリールを停止させ、中央のメインリールの停止指示データを受信した場合は中央のサブリールを停止させ、右のメインリールの停止指示データを受信した場合は右のサブリールを停止させるサブリール停止指示データを送信する。
【0057】
更に、本実施形態に係るパチスロ機では、ある特定の演出状態(タッチセンサ停止演出状態)になると、停止ボタン(207L,207M,207R)の操作の替わりにタッチセンサ33の操作によって画面上のサブリールを停止させることができるようになる。
サブメイン制御部5は、このタッチセンサ停止演出状態になると、タッチセンサ33からのデータに基づいて取得した座標データに応じて、回転中のサブリール(左サブリール,中央サブリール又は右サブリール)の停止指示データを生成し、サブサブ制御部7に送信する。
【0058】
図7は、サブメイン制御部5の構成の一例を示す図である。
図7に示すサブメイン制御部5は、処理部50、通信インターフェース部51,52、演出情報記憶部55、および、システム記憶部56を有する。
【0059】
通信インターフェース部51は、メイン制御部3からのデータを受信する回路である。
通信インターフェース部52は、サブサブ制御部7へのデータの送信並びにサブサブ制御部7からのデータの受信を行う回路である。
【0060】
演出情報記憶部55は、遊技の進行に応じた演出の内容(ディスプレイ35に表示する映像、スピーカ37から出力する音など)に関する情報を記憶しており、例えば上述したトリガーテーブルを記憶する。
【0061】
システム記憶部56は、処理部50において処理を実行するためのプログラムや、処理に用いられるデータを記憶する。
【0062】
処理部50は、サブメイン制御部5の全体的な処理を司る回路であり、システム記憶部56に格納されるプログラムの命令に従って、演出内容を決定する処理を行う。
例えば、処理部50は、メイン制御部3において抽選された遊技用の当選役を示す当選役データが通信インターフェース部51において受信されると、演出情報記憶部55に記憶される複数のトリガーテーブルから、当選役データに応じたトリガーテーブルを選択する。この場合、処理部50は、当選役データに応じた複数のトリガーテーブルの候補から抽選により一つのトリガーテーブルを選択してもよい。処理部70は、演出の出力の契機(トリガー)となるデータをメイン制御部3から受信すると、選択したトリガーテーブルを参照して、この受信データに対応した演出指定データ(コマンド)を随時生成し、通信インターフェース部52からサブサブ制御部7へ送信する。例えば処理部50は、トリガーテーブルにおいて設定されたタイミングにおいて、そのとき再生すべきディスプレイ35の映像やスピーカ37の音を指定する演出指定データを生成し、サブサブ制御部7に送信する。
【0063】
また、処理部50は、タッチセンサ33において生成されるデータに基づいて、ディスプレイ35の画面を覆う検出領域に物体が検出されているか否かを判定し、物体が検出されている場合はその位置を示す座標データを取得する。また、処理部50は、タッチセンサ33において生成されるデータを解析することにより、検出領域内の複数の箇所で物体が検出されているか否かや、物体の検出の開始と終了、物体の移動距離と移動方向、ダブルタップ・連打の有無など、検出領域における物体の状態に関連した種々の情報を取得する。
【0064】
図8は、タッチセンサ33の構成の一例を示す図である。
図8に例示するタッチセンサ33は、光学式のセンサであり、ディスプレイ35の映像表示面を覆った検出領域336を通る複数の光線が遮断されているか否かをそれぞれ判定し、その判定結果に応じて検出領域336に進入した物体の位置に係る位置データを生成する。
【0065】
図8に示すタッチセンサ33は、赤外線等の光線を発生する複数の光線源を備えた光源部331,332と、これらの光線源で発生した光線を検出する複数の光センサを備えた光センサ部333,334と、各光線源,各光センサを制御するセンサ制御部335とを有する。
【0066】
図8の例において、光源部331,332の光線源と光センサ部333,334の光センサは矩形の検出領域336の周囲に並んで配置される。
光源部331に含まれるn個の光線源Lx0〜Lx(n−1)は、検出領域336の上側の辺に沿って、X軸方向(横方向)の左から右へ番号順に等間隔で配置される。光線源Lx0〜Lx(n−1)は、検出領域336のX軸方向へ等しい間隔で平行に並んだn本の光線(Xビーム)を発生する。光線源Lx0〜Lx(n−1)の各光線は、Y軸方向(縦方向)に進む。
光センサ部333に含まれるn個の光センサPx0〜Px(n−1)は、検出領域336の下側の辺に沿って、検出領域336の左から右へ番号順に等間隔で配置される。光センサPxi(「i」は0からn−1までの整数を示す。)は、光線源Lxiにおいて発生した光線(Xビーム)を検出する。
【0067】
光源部332に含まれるm個の光線源Ly0〜Ly(m−1)は、検出領域336の左側の辺に沿って、Y軸方向(縦方向)の上から下へ番号順に等間隔で配置される。光線源Ly0〜Ly(m−1)は、検出領域336のY軸方向へ等しい間隔で平行に並んだm本の光線(Yビーム)を発生する。光線源Ly0〜Ly(m−1)の各光線は、X軸方向(横方向)に進む。
光センサ部334に含まれるm個の光センサPy0〜Py(m−1)は、検出領域336の右側の辺に沿って、図の上から下へ番号順に等間隔で配置される。光センサPyj(「j」は0からm−1までの整数を示す。)は、光線源Lyjにおいて発生した光線を検出する。
【0068】
センサ制御部335は、処理部50の制御に従って光線源Lx0〜Lx(n−1),Ly0〜Ly(m−1)から光線を発生させ、光センサPx0〜Px(n−1),Py0〜Py(m−1)における光線の検出結果を取得し、取得した検出結果を処理部50に出力する。例えば、センサ制御部335は、検出領域336のX軸方向へ等しい間隔で平行に並んだn本の光線(Xビーム)のうち、物体(手指等)によって遮断されたXビームを示すX軸方向の検出情報と、検出領域336のY軸方向へ等しい間隔で平行に並んだm本の光線(Yビーム)のうち、物体によって遮断されたYビームを示すY軸方向の検出情報とを含んだ位置データを生成し、処理部50に出力する。
以上が図8に示すタッチセンサ33の説明である。
【0069】
処理部50(図7)の説明に戻る。
処理部50は、タッチセンサ33から上記の位置データを入力すると、この取得した位置データに基づいて、検出領域336に進入した物体の位置を代表する中央座標データを取得する。
例えば、処理部50は、X軸方向の検出情報が1本の遮断されたXビームを示す場合、この1本のXビームに対応するX座標の位置を中央座標データのX座標成分とし、X軸方向の検出情報が複数本の遮断されたXビームを示す場合は、この複数本の遮断されたXビームの中で最も離れた2つのXビームの中央に対応するX座標の位置を中央座標データのX座標成分とする。
他方、処理部50は、Y軸方向の検出情報が1本の遮断されたYビームを示す場合、この1本のYビームに対応するY座標の位置を中央座標データのY座標成分とし、Y軸方向の検出情報が複数本の遮断されたYビームを示す場合は、この複数本の遮断されたYビームの中で最も離れた2つのYビームの中央に対応するY座標の位置を中央座標データのY座標成分とする。
【0070】
また、処理部50は、検出領域336に進入した物体の大きさに関する情報として、物体の端部の位置を示す端座標データを取得する。
例えば、処理部50は、X軸方向の検出情報が複数本の遮断されたXビームを示す場合において、検出領域336におけるX軸の一方向の端(例えば左端)の最も近くで遮断されたXビームの位置に対応するX座標の位置を端座標データのX座標成分とする。
他方、処理部50は、Y軸方向の検出情報が複数本の遮断されたYビームを示す場合において、検出領域336におけるY軸の一方向の端(例えば上端)の最も近くで遮断されたYビームの位置に対応するY座標の位置を端座標データのY座標成分とする。
なお、処理部50は、X軸方向の検出情報が1本の遮断されたXビームを示す場合、端座標データのX座標成分を中央座標データのX座標成分と同じ値とし、Y軸方向の検出情報が1本の遮断されたYビームを示す場合、端座標データのY座標成分を中央座標データのY座標成分と同じ値とする。
【0071】
更に、処理部50は、タッチセンサ33から入力した位置データに基づいて、検出領域336の離れた位置に同時に複数の物体が進入している状態(以下、「複数点入力状態」と記す場合がある。)か否かを判定する。
すなわち、処理部50は、X軸方向の検出情報が複数本の遮断されたXビームを示す場合において、この複数本の遮断されたXビームの中で最も離れた2つのXビームの間に遮断されていないXビームがあるならば、複数点入力状態と判定する。
同様に、処理部50は、Y軸方向の検出情報が複数本の遮断されたYビームを示す場合において、この複数本の遮断されたYビームの中で最も離れた2つのYビームの間に遮断されていないYビームがあるときも、複数点入力状態と判定する。
【0072】
処理部50は、タッチセンサ33において位置データが生成される度に、生成された位置データをシステム記憶部56に一時的に格納する。そして、処理部50は、一定の時間Tsが経過する度に、システム記憶部56で一時的に記憶される最新の位置データに応じた中央座標データを取得し、当該取得した中央座標データを最新の確定した中央座標データとしてシステム記憶部56に格納する。
【0073】
他方、処理部50は、タッチセンサ33において検出領域336に物体が検出されていないことを示す位置データが生成された場合、システム記憶部56に一時的に記憶される最新の位置データを終了点の位置データとしてシステム記憶部56の別の記憶領域に一時的に格納する。そして、処理部50は、一定の時間Tsが経過する度に、システム記憶部56に一時的に記憶される最新の終了点の位置データに応じた中央座標データを取得し、当該取得した中央座標データを最新の確定した終了点の座標データとしてシステム記憶部56に格納する。
【0074】
また、処理部50は、一定時間Tsごとに取得する中央座標データに基づいて、検出領域336における物体の移動距離を取得する。
例えば、処理部50は、システム記憶部56に記憶される最新の確定した中央座標データと前回の確定した中央座標データとに基づいて、物体のX軸方向への移動量及びY軸方向への移動量をそれぞれ取得する。処理部50は、このX軸方向とY軸方向の移動量を比較し、当該比較において大きい方の移動量に対する小さい方の移動量の割合を算出する。そして、処理部50は、この算出した割合に応じた所定の比例定数を大きい方の移動量若しくは小さい方の移動量に乗じ、その乗算の結果として時間Tsにおける物体の移動距離を取得する。
【0075】
更に、処理部50は、一定時間Tsごとに取得する中央座標データに基づいて、検出領域336における物体の移動方向を取得する。
例えば処理部50は、システム記憶部56に記憶される最新の確定した中央座標データと前回の確定した中央座標データとに基づいて、上述したX軸方向とY軸方向の移動量を取得するとともに、X軸に対する移動方向(右方向/左方向)及びY軸に対する移動方向(上方向/下方向)を取得する。処理部50は、取得したX軸方向とY軸方向の移動量を比較し、当該比較において大きい方の移動量に対する小さい方の移動量の割合を算出する。
X軸方向の移動量がY軸方向の移動量より大きく、かつ、X軸に対する移動方向が右方向の場合、処理部50は、X軸方向の移動量(大きい方の移動量)に対するY軸方向の移動量(小さい方の移動量)の割合の算出結果と、物体のY軸に対する移動方向(上方向/下方向)とに応じて、右方向、右下方向、又は、右上方向の何れかを物体の移動方向と判定する。
X軸方向の移動量がY軸方向の移動量より大きく、かつ、X軸に対する移動方向が左方向の場合、処理部50は、X軸方向の移動量(大きい方の移動量)に対するY軸方向の移動量(小さい方の移動量)の割合の算出結果と、物体のY軸に対する移動方向(上方向/下方向)とに応じて、左方向、左上方向、又は、左下方向の何れかを物体の移動方向と判定する。
Y軸方向の移動量がX軸方向の移動量より大きく、かつ、Y軸に対する移動方向が下方向の場合、処理部50は、Y軸方向の移動量(大きい方の移動量)に対するX軸方向の移動量(小さい方の移動量)の割合の算出結果と、物体のX軸に対する移動方向(右方向/左方向)とに応じて、下方向、左下方向、又は、右下方向の何れかを物体の移動方向と判定する。
Y軸方向の移動量がX軸方向の移動量より大きく、かつ、Y軸に対する移動方向が上方向の場合、処理部50は、Y軸方向の移動量(大きい方の移動量)に対するX軸方向の移動量(小さい方の移動量)の割合の算出結果と、物体のX軸に対する移動方向(右方向/左方向)とに応じて、上方向、右上方向、又は、左上方向の何れかを物体の移動方向と判定する。
【0076】
[サブサブ制御部7]
次に、サブサブ制御部7について説明する。
サブサブ制御部7は、サブメイン制御部5から受信した演出指定データに応じて、ディスプレイ35に表示する映像やスピーカ37において出力する音を制御する。例えばサブサブ制御部7は、演出指定データに対応する映像データ、音データを映像・音記憶部74(図9)から読み出し、これに対応する映像信号、オーディオ信号を生成してディスプレイ35やスピーカ37に供給する。
【0077】
また、サブサブ制御部7は、サブメイン制御部8から受信したサブリール(3Dリール)の制御用のデータ(演出用役データ,乱数データ,停止順序判定データ,サブリール回転開始指示データ,サブリール停止指示データ)に応じて、サブリールが回転・停止する映像をディスプレイ35に表示させる。
【0078】
更に、サブサブ制御部7は、ディスプレイ35のサブリールにおいて揃った図柄の組み合わせ(出目)に関する情報をサブメイン制御部5に送信する。
【0079】
図9は、サブサブ制御部7の構成の一例を示す図である。
図9に示すサブサブ制御部7は、処理部70、通信インターフェース部71、映像信号出力部72、オーディオ信号出力部73、映像・音記憶部74、フレームバッファ75、および、システム記憶部76を有する。
【0080】
通信インターフェース部71は、サブメイン制御部5との間でデータをやり取りするための回路であり、サブメイン制御部5からのデータの受信並びにサブメイン制御部5へのデータの送信を行う。
【0081】
映像信号出力部72は、処理部70から供給される映像データに応じて所定の信号フォーマットの映像信号を生成し、ディスプレイ35に入力する。
オーディオ信号出力部73は、処理部70から供給される音データに応じて振幅やパルス密度が調節されたオーディオ信号を生成し、スピーカ37に入力する。
【0082】
映像・音記憶部74は、ディスプレイ35の画面を構成するために使用される映像データと、スピーカ37において音を出力するために使用される音データを記憶する。映像・音記憶部74に記憶される映像データ及び音データには、それぞれ識別情報が対応付けられている。サブサブ制御部7は、サブメイン制御部5から送信される演出指定データに含まれたこの識別情報を参照することによって、映像・音記憶部74から映像データ・音データを読み出す。
【0083】
また、映像・音記憶部74は、ディスプレイ35に表示されるサブリールの周面に施された複数種類の図柄の画像データ記憶する。
【0084】
フレームバッファ75は、ディスプレイ35において表示する映像の情報を画面単位で記憶するメモリであり、1枚若しくは複数枚の画面を記憶する。
【0085】
システム記憶部76は、処理部70において処理を実行するためのプログラムや、処理に用いられるデータを記憶する。例えばシステム記憶部76は、サブリールの停止位置の制御(引き込み制御,蹴飛ばし制御)に使用する滑りコマ数などを含んだテーブルデータを記憶する。
【0086】
処理部70は、サブサブ制御部7の全体的な処理を司る回路であり、システム記憶部76に格納されるプログラムの命令に従って、ディスプレイ35において表示する映像の処理やスピーカ37から出力する音の処理を行う。
【0087】
処理部70は、サブメイン制御部5からサブリール回転開始指示データを入力すると、ディスプレイ35において表示するサブリールの回転を開始する。
例えば、処理部70は、サブメイン制御部5からサブリール回転開始指示データを入力すると、所定の速度で回転するべきサブリールの回転角度をフレーム期間ごとに取得する。処理部70は、映像・音記憶部74に格納される複数種類の図柄の画像データと、フレーム期間ごとに取得した上記回転角度とに基づいて、表面に前記複数種類の図柄がマッピングされた所定の三次元形状を持つリール体が前記取得した回転角度にある場合の映像を、左,中,右のサーブリールのそれぞれについてフレーム周期ごとにフレームバッファ75上に構成する。処理部70は、フレームバッファ75上に構成した上記リール体の映像に基づいて、ディスプレイ35におけるサブリールの映像をフレーム期間ごとに更新する。これにより、ディスプレイ35には、上記所定の速度で回転するサブリールの映像が表示される。
【0088】
また、処理部70は、サブメイン制御部5から左,中央,若しくは右のサブリール停止指示データを受信すると、これに対応する左,中央,若しくは右のサブリールの回転を停止する。この場合、処理部70は、サブリール停止指示データの受信タイミングと、演出用役データ及び乱数データによって特定される演出用役とに応じた図柄で停止するように、サブリールの停止位置を制御する。
すなわち、処理部70は、サブリールの回転映像が表示されているときにサブメイン制御部5からサブリール停止指示データを受信すると、そのサブリール停止指示データが受信されたタイミングにおける停止対象のサブリールの回転角度と、サブメイン制御部5から受信した演出役データ及び乱数データに基づいて特定される演出用役とに応じて、当該停止対象のサブリールを停止させる回転角度(図柄の位置)を決定し、その回転角度(図柄の位置)において当該停止対象のサブリールの映像更新を停止する。
【0089】
ここで、タッチセンサ33の入力データを解析する処理について詳しく説明する。
【0090】
図10は、タッチセンサ33からの入力データを処理するタイミングについて説明するためのタイムチャートである。
図10(A)は、タッチセンサ33から位置データを受信するタイミングを示す。
図10(B)は、タッチセンサ33から受信した位置データを一時的に格納するタイミングを示す。
図10(C)は、終了点の位置データを一時的に格納するタイミングを示す。
図10(D)は、現在の座標が確定するタイミングを示す。
図10(E)は、最新の入力点の座標が確定するタイミングを示す。
図10(F)は、最新の終了点の座標が確定するタイミングを示す。
図10(G)は、物体の移動距離・移動方向(ベクトル情報)が確定するタイミングを示す。
図10(H)は、各座標データやベクトル情報を確定する処理を実行するタイミングを示す。
【0091】
サブメイン制御部5は、タッチセンサ33において位置データが入力されると(図10(A))、その位置データをシステム記憶部56へ一時的に格納する(図10(B))。サブメイン制御部5は、一定時間Tsごとの処理タイミング(図10(H))が到来する度に、システム記憶部56で一時的に記憶された最新の位置データに基づいて中央座標データを取得し、取得した中央座標データを最新の確定した中央座標データとしてシステム記憶部56に格納する(図10(D))。時間Tsの周期内でタッチセンサ33から複数の位置データを入力しても、サブメイン制御部5は処理タイミング(図10(H))における最新の位置データに基づいて取得した中央座標データを確定値とする。そのため、例えば図10(B)における「D1」や「D3」の位置データは、処理タイミング(図10(H))において最新のものではないため破棄される。
このように、タッチセンサ33において不定期に得られる位置データのうち、一定時間Tsごとの処理タイミング(図10(H))における最新の位置データに基づいて座標データの確定値が得られることにより、短い時間でのノイズ的な座標の変化の影響を低減できるため、正確で安定した移動距離や移動方向(図10(G))を取得することが可能になる。
【0092】
また、サブメイン制御部5は、システム記憶部56に確定した中央座標データが格納されていない状態(検出領域336において物体が未検出の状態)で、新たに確定した中央座標データをシステム記憶部56に格納する場合(例えば図10(D)の「D2」)、この中央座標データを最新の確定した入力点の座標データとしてシステム記憶部56の所定の記憶領域に格納する(図10(E))。
【0093】
更に、サブメイン制御部5は、検出領域336において物体が検出されていることを示す位置データがシステム記憶部56において一時的に記憶されている状態で、検出領域336に物体が検出されないことを示す位置データが生成された場合(例えば図10(B)における「D5」から「OFF」への変化)、物体が検出されていることを示す最新の位置データを、終了点の位置データとしてシステム記憶部56の所定の記憶領域に一時的に格納する(図10(C))。サブメイン制御部5は、一定時間Tsごとの処理タイミング(図10(H))が到来する度に、一時的に記憶された終了点の位置データ(図10(C))に基づいて中央座標データを取得し、取得した中央座標データを最新の確定した終了点の座標データとしてシステム記憶部56に格納する(図10(F))。
【0094】
図11は、一定時間Tsごとに繰り返されるタッチセンサ33の入力データの解析処理を説明するためのフローチャートである。
【0095】
サブメイン制御部5は、所定周期のクロックを計数する内部のカウンタの計数値を監視し、この計数値が所定の値に達した場合、一定の時間Tsが経過したと判定する(ST100,ST105)。
【0096】
一定の時間Tsが経過すると、サブメイン制御部5は、タッチセンサ33において入力されたデータの解析を行う(ST110)。サブメイン制御部5は、直前の時間Tsの期間にタッチセンサ33から入力されてシステム記憶部56に一時的に記憶される最新の位置データに基づいて、入力点の検出(ST115)、複数点入力終了点の検出(ST120)、静止/移動の検出(ST125)、ダブルタップ・連打の検出(ST130)、スライドの検出(ST135)を行う。
これらの解析処理を行うと、サブメイン制御部5は再びステップST100,ST105に戻り、時間Tsの経過を待つ。
【0097】
図12は、入力点の検出処理(ST115:図11)について説明するためのフローチャートである。
【0098】
サブメイン制御部5は、システム記憶部56に一時的に記憶される最新の位置データにおいて、X軸方向の検出情報が示すn本のXビームの遮断数がゼロであるか、または、Y軸方向の検出情報が示すm本のYビームの遮断数がゼロであるかを判定する(ST200)。この一方又は両方の遮断数がゼロの場合、サブメイン制御部5は、タッチセンサ33の検出領域336において物体が検出されていない状態(入力未検出状態)であると判定し(ST235)、入力未検出状態を示すステータス情報をシステム記憶部56に格納する。
【0099】
他方、n本のXビームの遮断数およびm本のYビームの遮断数が何れもゼロでない場合(ST200)、サブメイン制御部5は、遮断された複数のXビームの間に非遮断のビームがあるか否かを判定するとともに(ST205)、遮断された複数のYビームの間に非遮断のYビームがあるか否かを判定する(ST210)。
遮断された複数のXビームの間に非遮断のXビームが存在せず、かつ、遮断された複数のYビームの間に非遮断のYビームが存在しない場合、サブメイン制御部5は、検出領域336の1箇所で物体が検出されている状態(1点入力状態)であると判定し(ST215)、1点入力状態を示すステータス情報をシステム記憶部56に格納する。サブメイン制御部5は、この位置データに応じて取得した中央座標データ及び端座標データを最新の確定値としてシステム記憶部56に格納する(ST220)。
他方、遮断された複数のXビームの間若しくは遮断された複数のYビームの間に非遮断のビームが存在する場合、サブメイン制御部5は、検出領域336の複数箇所で物体が検出されている状態(複数点入力状態)であると判定し(ST225)、複数入力状態を示すステータス情報をシステム記憶部56に格納する。サブメイン制御部3は、この位置データに応じて取得した中央座標データ及び端座標データを最新の確定値としてシステム記憶部56に格納する(ST230)。
【0100】
図13,図14は、タッチセンサ33の検出結果に基づいて中央座標データ及び端座標データを取得する例を示す図である。図13は検出領域336の1箇所で物体が検出される場合の例を示し、図14は検出領域336の2箇所で物体が検出される場合の例を示す。
【0101】
図13,図14における「Xビーム番号」は、X軸方向(横方向)に等間隔で平行に並ぶXビームにそれぞれ割り当てられた番号を示す。各Xビームには、左から右に向かって順に0,1,2,…のXビーム番号が割り当てられる。光線源Lxiにおいて発生するXビームの番号は「i」(i=0〜n−1)である。
図13,図14における「Yビーム番号」は、Y軸方向(縦方向)に等間隔で平行に並ぶYビームにそれぞれ割り当てられた番号を示す。各Yビームには、上から下に向かって順に0,1,2,…のYビーム番号が割り当てられる。光線源Lyjにおいて発生するYビームの番号は「j」(j=0〜m−1)である。
【0102】
図13,図14における「X座標」は、タッチセンサ33の検出領域336におけるX軸方向(横方向)の座標を示す。この例において、番号「i」(i=0〜n−1)のXビームのX座標は「2i」である。
図13,図14における「Y座標」は、タッチセンサ33の検出領域336におけるY軸方向(縦方向)の座標を示す。この例において、番号「j」(j=0〜m−1)のYビームのY座標は「2j」である。
【0103】
図13の例では、1つの物体A1によって、Xビーム番号「6」〜「9」のXビームと、Yビーム番号「5」〜「7」のYビームが遮断される。
この場合、物体A1の中央の位置を示す中央座標Pcは、左端のXビーム(6番)と右端のXビーム(9番)との間の中央の位置である「15」をX座標とし、上端のYビーム(5番)と下端のYビーム(7番)との間の中央の位置である「12」をY座標とする。
物体A1の端部の位置を示す端座標Peは、検出領域336の左端の最も近くで遮断された6番のXビームの位置である「12」をX座標とし、検出領域336の上端の最も近くで遮断された5番のYビームの位置である「10」をY座標とする。
【0104】
左端の遮断Xビームの番号をNx1、右端の遮断Xビームの番号をNx2、上端の遮断Yビームの番号をNy1,下端の遮断Yビームの番号をNy2とすると、中央座標PcのX座標とY座標(Xc,Yc)はそれぞれ下式で表される。
【0105】
[数1]
Xc = Nx1 + Nx2 …(1)
Yc = Ny1 + Ny2 …(2)
【0106】
また、端座標PeのX座標とY座標(Xe,Ye)はそれぞれ下式で表される。
【0107】
[数2]
Xe = 2Nx1 …(3)
Ye = 2Ny1 …(4)
【0108】
図13の例では、最も左端の遮断Xビーム(6番)と最も右端の遮断Xビーム(9番)との間に非遮断のXビームが存在せず、かつ、最も上端の遮断Yビーム(5番)と最も下端の遮断Xビーム(7番)との間に非遮断のYビームが存在しないため、サブメイン制御部5は「1点入力状態」と判定する(ST215:図12)。
【0109】
他方、図14の例では、物体A2によってXビーム番号「2」〜「4」のXビーム及びYビーム番号「5」〜「7」のYビームが遮断されるとともに、物体A3によってXビーム番号「9」〜「11」のXビーム及びYビーム番号「10」〜「12」のYビームが遮断される。
この場合、サブメイン制御部5が取得する中央座標Pcは、遮断されたXビームの中で最も左端のXビーム(2番)と最も右端のXビーム(11番)との間の中央の位置である「13」をX座標とし、遮断されたYビームの中で最も上端のYビーム(5番)と最も下端のYビーム(12番)との間の中央の位置である「17」をY座標とする。中央座標Pcは、物体A2,A3を含む領域全体の中央の位置を表す。
また、この場合の端座標Peは、検出領域336の左端の最も近くで遮断された2番のXビームの位置である「4」をX座標とし、検出領域336の上端の最も近くで遮断された5番のYビームの位置である「10」をY座標とする。
【0110】
図14の例では、最も左端の遮断Xビーム(2番)と最も右端の遮断Xビーム(11番)との間に非遮断のXビーム(5〜8番)が存在し、また、最も上端の遮断Yビーム(5番)と最も下端の遮断Xビーム(12番)との間に非遮断のYビーム(8〜9番)が存在する。この場合、サブメイン制御部5は「複数点入力状態」と判定する(ST225:図12)。
【0111】
図15は、複数点入力終了点の検出処理(ST120:図11)について説明するためのフローチャートである。
【0112】
サブメイン制御部5は、システム記憶部56に記憶されるステータス情報を参照して、前回と今回のタッチセンサ55の状態を判定する。前回の状態が「複数点入力状態」であり(ST300)、かつ、今回の状態が「1点入力状態」あるいは「入力未検出状態」の場合(ST305)、サブメイン制御部5は、システム記憶部56に記憶される前回の確定した中央座標データを、最新の複数点入力終了点の座標データとして取得し、システム記憶部56に格納する(ST305,ST310)。
【0113】
図16は、検出領域336における物体の移動または静止の検出処理(ST125:図11)について説明するためのフローチャートである。
【0114】
サブメイン制御部5は、システム記憶部56に記憶されるステータス情報を参照して、前回と今回のタッチセンサ55の状態を判定する。今回の状態が「1点入力状態」または「複数点入力状態」、すなわち検出領域336で物体が検出されている状態であり(ST400)、かつ、前回も同様に検出領域336で物体が検出されている状態だった場合(ST405)、サブメイン制御部5は、前回の中央座標データと今回の中央座標データとに基づいて、物体の移動距離および移動方向を取得する(ST410)。そして、サブメイン制御部5は、取得した移動距離がゼロか否かを調べ(ST415)、移動距離がゼロならば物体が静止中であると判定し(ST420)、移動距離がゼロでなければ物体が移動中であると判定する(ST425)。サブメイン制御部5は、この判定結果(静止中または移動中の状態)を示すステータス情報をシステム記憶部56に格納する。
【0115】
今回が入力未検出状態であり(ST400)、前回が「1点入力状態」または「複数点入力状態」であった場合(ST430)、サブメイン制御部5は、検出領域336から物体が離れて未検出状態になったこと(入力オフ)を判定する(ST435)。
他方、今回が「1点入力状態」または「複数点入力状態」であり(ST400)、前回が入力未検出状態あった場合(ST405)、サブメイン制御部5は、検出領域336に物体が進入して検出される状態になったこと(入力オン)を判定する(ST440)。
【0116】
図17は、検出領域336における物体の移動距離・移動方向を取得する処理(ST410:図16)について説明するためのフローチャートである。
【0117】
サブメイン制御部5は、現在の確定した中央座標データのX座標から、前回の確定した中央座標データのX座標を減算した差分データΔXを算出するとともに、現在の確定した中央座標データのY座標から、前回の確定した中央座標データのY座標を減算した差分データΔYを算出する(ST500)。差分データΔXの極性はX軸に平行な物体の移動方向を示しており、正の差分データΔXは右方向、負の差分データΔXは左方向への移動を示す。差分データΔYの極性はY軸に平行な物体の移動方向を示しており、正の差分データΔYは下方向、負の差分データΔYは上方向への移動を示す。
【0118】
また、サブメイン制御部5は、差分データΔX,ΔYの絶対値である移動量dX,dYを算出する(ST505)。移動量dXはX軸と平行に移動した量を示し、移動量dYはY軸と平行に移動した量を示す。
【0119】
サブメイン制御部5は、移動量dX,dYが共にゼロであるか否か判定し(ST510)、共にゼロでない場合に移動距離・移動方向の取得処理を行う。
移動量dX,dYが共にゼロでない場合、サブメイン制御部5は、移動量dX,dYの大きさを比較し(ST515)、大きい方を定数aとした場合の小さい方の比率bを算出する(ST520,ST535)。すなわち、サブメイン制御部5は、移動量dXが移動量dYより大きい場合、移動量dXを定数aとした場合の移動量dYの比率bを算出し(ST520)、移動量dYが移動量dXより大きい場合、移動量dYを定数aとした場合の移動量dXの比率bを算出する(ST535)。
【0120】
移動量dXが移動量dYより大きい場合、サブメイン制御部5は次式により移動距離Lを算出する(ST525)。
【0121】
[数3]
L = (c/a)・ΔX …(5)
【0122】
移動量dYが移動量dXより大きい場合、サブメイン制御部5は次式により移動距離Lを算出する(ST540)。
【0123】
[数4]
L = (c/a)・ΔY …(6)
【0124】
但し、式(5),(6)における「c」は、「a」と「b」により次式で表される。
【0125】
[数5]
c = √{(a^2)+(b^2)} …(7)
【0126】
定数aを「10」とした場合、「b」に対応する「c」の値は次の表のようになる。
【0127】
【表1】
【0128】
例えば、サブメイン制御部5は、表1のようなテーブルを予めシステム記憶部56に記憶する。ステップST520又はST535において「b」を算出すると、サブメイン制御部5は、この算出した「b」に対応する「c」の値をシステム記憶部56のテーブルから取得し、当該取得した「c」を用いて式(5)又は(6)により移動距離Lを算出する(ST525,ST540)。
【0129】
移動量dXが移動量dYより大きい場合、サブメイン制御部5は、上述した差分データΔX,ΔYの極性と移動量dX,dY、ステップST520で算出した比率bなどに基づいて、物体の移動方向を判定する(ST530)。この場合、サブメイン制御部5は、左右の方向、若しくは、左右の方向に対して斜めに傾いた方向を物体の移動方向として判定する。
他方、移動量dYが移動量dXより大きい場合、サブメイン制御部5は、上述した差分データΔX,ΔYの極性と移動量dX,dY、ステップST535で算出した比率bなどに基づいて、物体の移動方向を判定する(ST545)。この場合、サブメイン制御部5は、上下の方向、若しくは、上下の方向に対して斜めに傾いた方向を物体の移動方向として判定する。
【0130】
図18は、移動量dXが移動量dYより大きい場合の移動方向の判定処理について説明するためのフローチャートである。
差分データΔXが正(右方向)かつ差分データΔYが正(下方向)の場合(ST600,ST605)、サブメイン制御部5は、移動量dXに対する移動量dYの比率bに応じて(ST610)、移動方向を「右方向」又は「右下方向」と判定する(ST615,ST620)。
【0131】
図19は、移動方向を比率bに応じて判定する方法の例を説明する図である。
図19の例において定数aの値は「10」であり、比率bは「0」から「10」までの値をとる。図19に示すように、比率bが0に近いほど移動方向は「右方向」に近付き、比率bが10に近いほど移動方向は斜め45度の「右下方向」に近付く。そこで、本実施形態に係るサブメイン制御部5は、比率bが「5」より小さい場合に移動方向を「右方向」と近似して判定し(ST620)、比率bが「5」以上の場合に移動方向を「右下方向」と近似して判定する(ST615)。
【0132】
差分データΔXが正(右方向)かつ差分データΔYが負(上方向)の場合(ST600,ST605)、サブメイン制御部5は、移動量dXに対する移動量dYの比率bに応じて(ST625)、移動方向を「右方向」又は「右上方向」と判定する(ST620,ST630)。すなわち、サブメイン制御部5は、移動量dXを「10」とした場合の移動量dYの比率bが「5」より小さい場合に移動方向を「右方向」と判定し(ST620)、比率bが「5」以上の場合に移動方向を「右上方向」と判定する(ST630)。
【0133】
差分データΔXが負(左方向)かつ差分データΔYが正(下方向)の場合(ST600,ST635)、サブメイン制御部5は、移動量dXに対する移動量dYの比率bに応じて(ST640)、移動方向を「左方向」又は「左下方向」と判定する(ST645,ST650)。すなわち、サブメイン制御部5は、移動量dXを「10」とした場合の移動量dYの比率bが「5」より小さい場合に移動方向を「左方向」と判定し(ST650)、比率bが「5」以上の場合に移動方向を「左下方向」と判定する(ST645)。
【0134】
差分データΔXが負(左方向)かつ差分データΔYが負(上方向)の場合(ST600,ST635)、サブメイン制御部5は、移動量dXに対する移動量dYの比率bに応じて(ST655)、移動方向を「左方向」又は「左上方向」と判定する(ST650,ST660)。すなわち、サブメイン制御部5は、移動量dXを「10」とした場合の移動量dYの比率bが「5」より小さい場合に移動方向を「左方向」と判定し(ST650)、比率bが「5」以上の場合に移動方向を「左上方向」と判定する(ST660)。
【0135】
図20は、移動量dYが移動量dXより大きい場合の移動方向の判定処理について説明するためのフローチャートである。
差分データΔYが正(下方向)かつ差分データΔXが正(右方向)の場合(ST700,ST705)、サブメイン制御部5は、移動量dYに対する移動量dXの比率bに応じて(ST710)、移動方向を「下方向」又は「右下方向」と判定する(ST715,ST720)。すなわち、サブメイン制御部5は、移動量dYを「10」とした場合の移動量dXの比率bが「5」より小さい場合に移動方向を「下方向」と判定し(ST720)、比率bが「5」以上の場合に移動方向を「右下方向」と判定する(ST715)。
【0136】
差分データΔYが正(下方向)かつ差分データΔXが負(左方向)の場合(ST700,ST705)、サブメイン制御部5は、移動量dYに対する移動量dXの比率bに応じて(ST725)、移動方向を「下方向」又は「左下方向」と判定する(ST720,ST730)。すなわち、サブメイン制御部5は、移動量dYを「10」とした場合の移動量dXの比率bが「5」より小さい場合に移動方向を「下方向」と判定し(ST720)、比率bが「5」以上の場合に移動方向を「左下方向」と判定する(ST730)。
【0137】
差分データΔYが負(上方向)かつ差分データΔXが正(右方向)の場合(ST700,ST735)、サブメイン制御部5は、移動量dYに対する移動量dXの比率bに応じて(ST740)、移動方向を「上方向」又は「右上方向」と判定する(ST750,ST745)。すなわち、サブメイン制御部5は、移動量dYを「10」とした場合の移動量dXの比率bが「5」より小さい場合に移動方向を「上方向」と判定し(ST750)、比率bが「5」以上の場合に移動方向を「右上方向」と判定する(ST745)。
【0138】
差分データΔYが負(上方向)かつ差分データΔXが負(左方向)の場合(ST700,ST735)、サブメイン制御部5は、移動量dYに対する移動量dXの比率bに応じて(ST755)、移動方向を「上方向」又は「左上方向」と判定する(ST750,ST760)。すなわち、サブメイン制御部5は、移動量dYを「10」とした場合の移動量dXの比率bが「5」より小さい場合に移動方向を「上方向」と判定し(ST750)、比率bが「5」以上の場合に移動方向を「左上方向」と判定する(ST760)。
【0139】
図21は、移動量dX,dYの大小関係、差分データΔX,ΔYの極性(正/負)、並びに比率bの大きさと、サブメイン制御部5で判定される移動方向との関係を図解した図である。
以上が、物体の移動または静止の検出処理(ST125:図11)について説明である。
【0140】
図22は、検出領域336におけるダブルタップ操作・連打操作の検出処理(ST130:図11)について説明するためのフローチャートである。
【0141】
入力未検出状態において検出領域336に物体が進入して検出される状態になったこと(入力オン)が判定された場合(ST800)、サブメイン制御部5は、前回の入力点の座標から今回の入力点の座標までの距離を算出し、その距離が所定の上限値を超えているか否かを判定する(ST805)。この距離が上限値を超えていない場合、サブメイン制御部5は、前回の入力オンから今回の入力オンまでの経過時間が所定の上限時間を超えているか否かを更に判定する(ST810)。この経過時間が所定の上限時間を超えていない場合、サブメイン制御部5は、タップ回数に1を加算する(ST815)。他方、前回の入力点から今回の入力点までの距離が上限値を超えている場合や、前回の入力オンから今回の入力オンまでの経過時間が上限値を超えている場合、サブメイン制御部5は、タップ回数をゼロにクリアするとともに、ステータス情報におけるダブルタップ・連打のステータスを無効にする(ST820)。
【0142】
タップ回数に1を加算すると、サブメイン制御部5は、タップ回数の値を判定する(ST825)。タップ回数が1の場合、サブメイン制御部5は、ステータス情報におけるダブルタップ・連打のステータスを有効にしてシステム記憶部56に記憶し(ST830)、タップ回数が2以上の場合は、ステータス情報における連打のステータスを有効にしてシステム記憶部56に記憶する(ST835)。
【0143】
図23は、検出領域336におけるスライド操作の検出処理(ST135:図11)について説明するためのフローチャートである。
【0144】
検出領域336において物体が検出されている状態から入力未検出状態になったこと(入力オフ)が判定された場合(ST900)、サブメイン制御部5はシステム記憶部56のステータス情報を参照し、入力オフの直前のステータスが移動中であるか否かを判定する(ST905)。直前のステータスが移動中の場合、サブメイン制御部5は、その移動中のステータスにおいて取得された移動速度が所定値より速いか否かを更に判定する(ST910)。移動速度が所定値より速い場合、サブメイン制御部5は、検出領域336においてスライド操作(指を素早く滑らせて離す操作)が行われと判定し、ステータス情報におけるスライド操作のステータスを有効にしてシステム記憶部56に記憶する。
【0145】
以上説明したように、本実施形態に係るパチスロ機によれば、ディスプレイ35の画面を覆う検出領域336を有したタッチセンサ33において、検出領域336のX軸方向へ等間隔で平行に並んだn本の光線(Xビーム)のうちの遮断された光線を示すX軸方向の検出情報と、検出領域336のY軸方向へ等間隔で平行に並んだm本の光線(Yビーム)のうちの遮断された光線を示すY軸方向の検出情報とを含んだ位置データが生成される。この位置データに基づいて、複数の遮断されたXビームにおける最も離れた2つのXビームの中央の位置に対応するX座標成分と、複数の遮断されたYビームにおける最も離れた2つのYビームの中央の位置に対応するY座標成分とを含んだ中央座標データが取得される。取得された中央座標データは、検出領域336における物体の位置を示すデータとして、ディスプレイ35の画面表示や、音声出力などの演出内容の制御に使用される。
従って、検出領域336に進入した物体が複数の光線を遮断する場合、各座標軸の方向において最も離れた2つのビームの中央の位置に対応する座標成分を有した座標データを取得することによって、物体の位置を適切に特定することができる。
【0146】
また、本実施形態に係るパチスロ機によれば、物体が偶数本のビームを遮断している場合に、中央の2本のビームにおける中間の位置が物体の座標として取得される。すなわち、ビームとビームの中間の位置も物体の位置を示す座標として使用されることから、ビームの本数に対して2倍の分解能で物体の位置を特定することができる。
【0147】
また、本実施形態に係るパチスロ機によれば、最も離れた2本の遮断されたビームの間に遮断されていないビームがある場合、検出領域336の複数の箇所で物体が検出されたと判定される。これにより、検出領域336の1箇所で物体が検出された場合と複数の箇所で物体が検出された場合とを区別できるため、例えば2本の指を使って各種の画像の拡大・縮小を行うなどの様々な入力操作が可能となり、パチスロ機等の遊技機において更に趣向性の高い遊技を実現できる。
【0148】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、他の種々のバリエーションを含んでいる。
【0149】
例えば、上述した実施形態では、タッチセンサ33から位置データを入力する度に、この位置データをシステム記憶部56に一時的に格納する例を挙げているが、本発明はこれに限定されない。本発明の他の実施形態では、タッチセンサ33から位置データを入力する度に、この位置データに基づいて取得した中央座標データを一時的に記憶してもよい。この場合、一定の時間Tsが経過する度に、一時的に記憶した最新の中央座標データのデータを確定したデータとしてシステム記憶部56に格納してもよい。
【0150】
また、上述した実施形態における演出用ハードウェアの構成は一例であり、本発明はこれに限定されない。例えば、上述の実施形態では、サブサブ制御部7にスピーカ37が接続されているが、本発明の他の実施形態では、サブメイン制御部5にスピーカ37を接続してもよい。この場合、オーディオ信号処理回路をサブメイン制御部5に搭載し、オーディオ再生を制御するプログラム(ドライバ)をサブメイン制御部5において動作させてもよい。
【0151】
上述した実施形態では、サブメイン制御部5が演出用のデータ(トリガーテーブル)を持つ例を説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明の他の実施形態では、トリガーテーブルをサブサブ制御部7が持つようにしてもよい。この場合、サブメイン制御部5は、演出の契機となる情報(ベットボタン検出、スタートレバー検出、第1〜第3リール停止検出などの情報)をメイン制御部3から受信すると、これをサブサブ基板7に送信し、サブサブ制御部7がトリガーテーブルに応じた演出を発生させるようにしてよい。
【符号の説明】
【0152】
1…パチスロ機、3…メイン制御部、5…サブメイン制御部、7…サブサブ制御部、11…メダル投入部、13…メダル払出部、15…くじ抽選部、17…リール回転部、20…操作ボタン群、33…タッチセンサ、35…ディスプレイ、37…スピーカ、51,52,71…通信インターフェース部、53…駆動回路、55…演出情報記憶部、56,76…システム記憶部、72…映像信号出力部、73…オーディオ信号出力部、74…映像・音記憶部、75…フレームバッファ、201…1枚ベットボタン、203…3枚ベットボタン、205…スタートレバー、207L…左停止ボタン、207M…中停止ボタン、207R…右停止ボタン、331,332…光源部、333,334…光センサ部、335…センサ制御部、336…検出領域、Lx0〜Lx(n−1),Ly0〜Ly(m−1)…光線源、Px0〜Px(n−1),Py0〜Py(m−1)…光センサ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を表示する表示部と、
前記表示部の映像表示面の少なくとも一部を覆った検出領域の所定の位置を通る複数の光線が遮断されるか否かをそれぞれ判定し、当該判定結果に応じて前記検出領域に進入した物体の位置に係る位置データを生成する検出部と、
前記検出部において生成される前記位置データに応じて、遊技の演出用の映像を前記表示部に表示させる制御部と、
を有し、
前記検出部は、前記検出領域の第1座標軸の方向へ等しい間隔で平行に並んだ複数の第1光線のうち、前記物体によって遮断された第1光線を示す第1検出情報と、前記検出領域の第2座標軸の方向へ等しい間隔で平行に並んだ複数の第2光線のうち、前記物体によって遮断された第2光線を示す第2検出情報とを含んだ前記位置データを生成し、
前記制御部は、
前記第1検出情報が一の遮断された第1光線を示す場合、当該一の第1光線の位置に対応し、前記第1検出情報が複数の遮断された第1光線を示す場合、当該複数の遮断された第1光線の中で最も離れた2つの第1光線の中央の位置に対応する前記第1座標軸の座標成分と、
前記第2検出情報が一の遮断された第2光線を示す場合、当該一の第2光線の位置に対応し、前記第2検出情報が複数の遮断された第2光線を示す場合、当該複数の遮断された第2光線の中で最も離れた2つの第2光線の中央の位置に対応する前記第2座標軸の座標成分と、
を含んだ中央座標データを前記位置データに基づいて取得し、前記取得した中央座標データに応じた映像を前記表示部に表示させる、
遊技機。
【請求項2】
前記制御部は、前記最も離れた2つの第1光線の間に遮断されていない第1光線がある場合、又は、前記最も離れた2つの第2光線の間に遮断されていない第2光線がある場合に、前記検出領域の複数の離れた部分で物体が検出されていると判定し、当該判定結果に応じた映像を前記表示部に表示させる、
請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記制御部は、前記検出部において前記位置データが生成される度に、前記生成された位置データ若しくは前記位置データに応じて取得した前記中央座標データを一時的に記憶するとともに、一定の時間が経過する度に、前記一時的に記憶した最新の位置データに応じて取得した中央座標データ若しくは前記一時的に記憶した最新の中央座標データを最新の確定した中央座標データとして記憶し、前記確定した中央座標データに応じた映像を前記表示部に表示させる、
請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記制御部は、前記中央座標データを取得するとともに、前記検出領域における前記第1座標軸の一方向の端の最も近くで遮断された第1光線の位置に対応する前記第1座標軸の座標成分と、前記検出領域における前記第2座標軸の一方向の端の最も近くで遮断された第2光線の位置に対応する前記第2座標軸の座標成分とを含んだ端座標データを取得し、前記取得した中央座標データ及び端座標データに応じた映像を前記表示部に表示させる、
請求項3に記載の遊技機。
【請求項5】
前記制御部は、最新の前記確定した中央座標データと前回の前記確定した中央座標データとに基づいて、前記第1座標軸及び前記第2座標軸に対する前記物体の移動量をそれぞれ取得し、前記取得した2つの移動量を比較し、当該比較において大きい方の移動量に対する小さい方の移動量の割合を算出し、前記算出した割合に応じた所定の比例定数を前記大きい方の移動量若しくは前記小さい方の移動量に乗じた結果として前記一定の期間における前記物体の移動距離を取得する、
請求項4に記載の遊技機。
【請求項6】
前記第1座標軸に沿った2つの方向を第1方向及び第2方向とし、
前記第2座標軸に沿った2つの方向を第3方向及び第4方向とし、
前記第1方向と前記第3方向の中間の方向を第5方向とし、
前記第1方向と前記第4方向の中間の方向を第6方向とし、
前記第2方向と前記第4方向の中間の方向を第7方向とし、
前記第2方向と前記第3方向の中間の方向を第8方向とした場合において、
前記制御部は、
最新の前記確定した中央座標データと前回の前記確定した中央座標データとに基づいて、前記第1座標軸及び前記第2座標軸に対する前記物体の移動量と移動方向をそれぞれ取得し、前記取得した2つの移動量を比較し、当該比較において大きい方の移動量に対する小さい方の移動量の割合を算出し、
前記比較において前記第1座標軸に対する移動量が前記2座標軸に対する移動量より大きく、かつ、前記第1座標軸に対する移動方向が前記第1方向である場合、前記算出した割合と前記第2座標軸に対する移動方向とに応じて、前記第1方向、前記第5方向又は前記第6方向の何れかを前記物体の移動方向と判定し、
前記比較において前記第1座標軸に対する移動量が前記2座標軸に対する移動量より大きく、かつ、前記第1座標軸に対する移動方向が前記第2方向である場合、前記算出した割合と前記第2座標軸に対する移動方向とに応じて、前記第2方向、前記第7方向又は前記第8方向の何れかを前記物体の移動方向と判定し、
前記比較において前記第2座標軸に対する移動量が前記1座標軸に対する移動量より大きく、かつ、前記第2座標軸に対する移動方向が前記第3方向である場合、前記算出した割合と前記第1座標軸に対する移動方向とに応じて、前記第3方向、前記第8方向又は前記第5方向の何れかを前記物体の移動方向と判定し、
前記比較において前記第2座標軸に対する移動量が前記1座標軸に対する移動量より大きく、かつ、前記第2座標軸に対する移動方向が前記第4方向である場合、前記算出した割合と前記第1座標軸に対する移動方向とに応じて、前記第4方向、前記第6方向又は前記第7方向の何れかを前記物体の移動方向と判定する、
請求項5に記載の遊技機。
【請求項1】
映像を表示する表示部と、
前記表示部の映像表示面の少なくとも一部を覆った検出領域の所定の位置を通る複数の光線が遮断されるか否かをそれぞれ判定し、当該判定結果に応じて前記検出領域に進入した物体の位置に係る位置データを生成する検出部と、
前記検出部において生成される前記位置データに応じて、遊技の演出用の映像を前記表示部に表示させる制御部と、
を有し、
前記検出部は、前記検出領域の第1座標軸の方向へ等しい間隔で平行に並んだ複数の第1光線のうち、前記物体によって遮断された第1光線を示す第1検出情報と、前記検出領域の第2座標軸の方向へ等しい間隔で平行に並んだ複数の第2光線のうち、前記物体によって遮断された第2光線を示す第2検出情報とを含んだ前記位置データを生成し、
前記制御部は、
前記第1検出情報が一の遮断された第1光線を示す場合、当該一の第1光線の位置に対応し、前記第1検出情報が複数の遮断された第1光線を示す場合、当該複数の遮断された第1光線の中で最も離れた2つの第1光線の中央の位置に対応する前記第1座標軸の座標成分と、
前記第2検出情報が一の遮断された第2光線を示す場合、当該一の第2光線の位置に対応し、前記第2検出情報が複数の遮断された第2光線を示す場合、当該複数の遮断された第2光線の中で最も離れた2つの第2光線の中央の位置に対応する前記第2座標軸の座標成分と、
を含んだ中央座標データを前記位置データに基づいて取得し、前記取得した中央座標データに応じた映像を前記表示部に表示させる、
遊技機。
【請求項2】
前記制御部は、前記最も離れた2つの第1光線の間に遮断されていない第1光線がある場合、又は、前記最も離れた2つの第2光線の間に遮断されていない第2光線がある場合に、前記検出領域の複数の離れた部分で物体が検出されていると判定し、当該判定結果に応じた映像を前記表示部に表示させる、
請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記制御部は、前記検出部において前記位置データが生成される度に、前記生成された位置データ若しくは前記位置データに応じて取得した前記中央座標データを一時的に記憶するとともに、一定の時間が経過する度に、前記一時的に記憶した最新の位置データに応じて取得した中央座標データ若しくは前記一時的に記憶した最新の中央座標データを最新の確定した中央座標データとして記憶し、前記確定した中央座標データに応じた映像を前記表示部に表示させる、
請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記制御部は、前記中央座標データを取得するとともに、前記検出領域における前記第1座標軸の一方向の端の最も近くで遮断された第1光線の位置に対応する前記第1座標軸の座標成分と、前記検出領域における前記第2座標軸の一方向の端の最も近くで遮断された第2光線の位置に対応する前記第2座標軸の座標成分とを含んだ端座標データを取得し、前記取得した中央座標データ及び端座標データに応じた映像を前記表示部に表示させる、
請求項3に記載の遊技機。
【請求項5】
前記制御部は、最新の前記確定した中央座標データと前回の前記確定した中央座標データとに基づいて、前記第1座標軸及び前記第2座標軸に対する前記物体の移動量をそれぞれ取得し、前記取得した2つの移動量を比較し、当該比較において大きい方の移動量に対する小さい方の移動量の割合を算出し、前記算出した割合に応じた所定の比例定数を前記大きい方の移動量若しくは前記小さい方の移動量に乗じた結果として前記一定の期間における前記物体の移動距離を取得する、
請求項4に記載の遊技機。
【請求項6】
前記第1座標軸に沿った2つの方向を第1方向及び第2方向とし、
前記第2座標軸に沿った2つの方向を第3方向及び第4方向とし、
前記第1方向と前記第3方向の中間の方向を第5方向とし、
前記第1方向と前記第4方向の中間の方向を第6方向とし、
前記第2方向と前記第4方向の中間の方向を第7方向とし、
前記第2方向と前記第3方向の中間の方向を第8方向とした場合において、
前記制御部は、
最新の前記確定した中央座標データと前回の前記確定した中央座標データとに基づいて、前記第1座標軸及び前記第2座標軸に対する前記物体の移動量と移動方向をそれぞれ取得し、前記取得した2つの移動量を比較し、当該比較において大きい方の移動量に対する小さい方の移動量の割合を算出し、
前記比較において前記第1座標軸に対する移動量が前記2座標軸に対する移動量より大きく、かつ、前記第1座標軸に対する移動方向が前記第1方向である場合、前記算出した割合と前記第2座標軸に対する移動方向とに応じて、前記第1方向、前記第5方向又は前記第6方向の何れかを前記物体の移動方向と判定し、
前記比較において前記第1座標軸に対する移動量が前記2座標軸に対する移動量より大きく、かつ、前記第1座標軸に対する移動方向が前記第2方向である場合、前記算出した割合と前記第2座標軸に対する移動方向とに応じて、前記第2方向、前記第7方向又は前記第8方向の何れかを前記物体の移動方向と判定し、
前記比較において前記第2座標軸に対する移動量が前記1座標軸に対する移動量より大きく、かつ、前記第2座標軸に対する移動方向が前記第3方向である場合、前記算出した割合と前記第1座標軸に対する移動方向とに応じて、前記第3方向、前記第8方向又は前記第5方向の何れかを前記物体の移動方向と判定し、
前記比較において前記第2座標軸に対する移動量が前記1座標軸に対する移動量より大きく、かつ、前記第2座標軸に対する移動方向が前記第4方向である場合、前記算出した割合と前記第1座標軸に対する移動方向とに応じて、前記第4方向、前記第6方向又は前記第7方向の何れかを前記物体の移動方向と判定する、
請求項5に記載の遊技機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
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【図16】
【図17】
【図18】
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【図20】
【図21】
【図22】
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【公開番号】特開2013−52119(P2013−52119A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192495(P2011−192495)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【特許番号】特許第5088838号(P5088838)
【特許公報発行日】平成24年12月5日(2012.12.5)
【出願人】(505092131)エピクロス株式会社 (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【特許番号】特許第5088838号(P5088838)
【特許公報発行日】平成24年12月5日(2012.12.5)
【出願人】(505092131)エピクロス株式会社 (5)
【Fターム(参考)】
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