説明

遊技用記録媒体処理機

【課題】プリペイドカードの残金が端数となったとき、プリペイドカード処理機で精算できるようにする。
【解決手段】プリペイドカードに記録された貸玉払い出し残度数を読み取り、遊技機10に度数毎に所定数の貸玉を払い出す処理を実行させるプリペイドカード処理機20において、前記プリペイドカードの残度数の精算を行う精算ボタン22を備え、この精算ボタン22を押すことで残度数に相当する数の貸玉を玉払い出し通路23を通して前記遊技機10に払い出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技用記録媒体処理機に関し、とくに、遊技用記録媒体の投入により所定数の遊技用媒体を貸し出す遊技用記録媒体処理機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、いわゆるCRパチンコ機やCRパチスロ機などの遊技機(遊技者が、所定金額分のデータが記録された遊技用記録媒体を用いて遊技用媒体を借り、それで遊技を行う遊技機)では、遊技用記録媒体(例えばプリペイドカード)を遊技用記録媒体処理機に挿入することにより、遊技機により遊技用媒体の貸し出しが行われるが、その単位金額当たりの貸し出し数はそれが貸玉であれメダルであれ変更できない。
【0003】
そのため、例えばパチンコ機で単位金額、例えば100円当たりの貸玉数つまり1度数当たりの貸玉が25個である場合に、消費税率が5%であるとすると、1度数当たり105円分がプリペイドカードから減算され、プリペイドカードを使用し続けると、最後は残高が1度数未満(端数)となるため、その段階ではそのプリペイドカードはもはや遊技用記録媒体処理機(例えば、プリペイドカード処理機)では使用できない。
【0004】
そこで、このような場合には、別途精算機で精算処理することが行われている。その1例として、パチンコ機やパチスロ機などの遊技機を設置した遊技場にカード発行機、カード更新機、カード精算機を備え、これらの機器を島コントローラで制御し、島コントローラ全体をターミナルコントローラで制御する記憶媒体精算システムが知られている(特許文献1参照)。
この記憶媒体精算システムでは、前記ターミナルコントローラは、プリペイドカードに記憶された価値データの残度数、価値データの使用度数及び消費税預かりの有無に係るデータをカードの識別データ毎に管理し、カード精算機からのカードの識別データを受け付けた際に、消費税預かりの有無情報に基づいて消費税徴収額又は消費税返却額を算定し、カード精算機は、算定された消費税徴収額又は消費税返却額を考慮して価値データの残度数を精算するようにしている。
【0005】
つまり、この記憶媒体精算システムでは、消費税を先払するか、或いは消費税を後払いするかをカード発行機で区別し、先払いしたカードで精算する場合は、未使用分の消費税を含めて精算し、かつ後払いのカードで精算する場合は、使用度数に使用分の消費税分を加算して精算を行っている。
【0006】
しかし、この精算システムでは、カード発行機が消費税先払いの場合は、カード価格にさらに消費税分を加算して購入する必要があり、カード購入が煩わしいという問題がある。また、消費税後払いの場合は、残り度数が1回の玉貸し個数単位(1度数)を割り端数となると、既に述べたように現行のカード処理機では使用できず、遊技場に別途設置された精算機で精算しなければならず煩わしく、これでは遊技者に対するサービス低下になり客離れが懸念される。
これを解決するためには、端数に応じた貸玉を貸し出すようにすることが考えられるが、現行の貸玉は遊技機から供給されるから、これを行うには全ての遊技機並びにシステムを取り換えなければならず厖大なコストを要する。
【特許文献1】特開2005−40631号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、遊技機には何らの変更も施さずに、遊技媒体を遊技用記録媒体で貸し出す場合に、その遊技用記録媒体に記録された残度数が1を下回った場合でも、精算機に行くことなく残された価値内容に相当する数の遊技用媒体で精算を行う(その残り度数の精算分の遊技用媒体を払い出す)ことができるようにして、遊技を続行できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、遊技用記録媒体に記録された価値内容を読み取り、該価値内容に応じた度数に応じて、遊技機に度数毎に所定数の遊技用媒体を払い出す処理を実行させる遊技用記録媒体処理機あって、
前記遊技用記録媒体に記録された価値内容が1度数に満たない場合には、残された端数の価値内容を精算する精算手段を備えたことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載された遊技用記録媒体処理機において、前記精算手段は、残された端数の価値内容に相当する数の遊技用媒体を前記遊技機に払い出すことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載された遊技用記録媒体処理機において、前記遊技用記録媒体に記録された価値内容が1度数に満たない場合にその旨を表示する表示手段と、前記遊技用記録媒体に記録された価値内容が1度数に満たない場合に精算を指示する精算指示手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カードに記録された価値残高が1度数相当分を下回っても、遊技用媒体処理機で精算できるため、消費税率に関わらずカードを最後まで使い切ることができる。そのため、カードを使用した場合に最後に必ず精算機で精算する煩わしさがなく、遊技者は安心して遊技を行うことができる。また、遊技機自体には何らの変更も施すことがないから、遊技場では、コストを抑制しつつ消費税率を加味した料金体系を採用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の遊技用記録媒体処理機の1実施形態であるプリペイドカード処理機を遊技機の1実施形態であるCRパチンコ機(以下単にパチンコ機という)に適用した場合を例を採って説明する。
図1は、パチンコ機10及びパチンコ10機間に配置された磁気カードやICカード等からなるプリペイドカード処理機20の正面図である。
【0011】
パチンコ機10は、その表面にパチンコ玉を操作するハンドル11と、貸出しボタン12a及びカード返却ボタン12bと、プリペイドカード処理機20に紙幣或いは残高のあるプリペイドカードを挿入したとき、玉貸し可能残高や残り度数を表示するLCD(液晶)などの周知の表示手段からなる残高表示部13と、パチンコ機10からの遊技用媒体の1実施形態であるパチンコ玉の払い出し口14と、払い出した玉を貯留するための玉受皿15と、遊技盤面16を備えている。
【0012】
プリペイドカード処理機20は、プリペイドカードの投入口21と、精算ボタン22と、精算ボタンを操作したときにその精算金額に対応した貸玉をパチンコ機10へ払い出すための玉払い出し通路23と、紙幣の投入口24と投入された紙幣の合計金額等を表示するLCD等からなる表示部25、パチンコ機10との通信線26、プリペイドカードの残額を表示する表示部27等を備えている。
【0013】
図2は、プリペイドカード処理機20の構成を概略的に示すブロック図である。
このプリペイドカード処理機20は、CPU201aとCPUの動作プログラムを記憶したROM201bと、処理データ等を記憶するRAM201cとからなるマイクロコンピュータ(以下、単にマイコンという)201を備え、このマイコン201で制御される、プリペイドカードの読み取り及び書き込みを行うカードリーダ・ライタ部202、図示しない管理センターのコンピュータとデータの授受を行う通信部203と、精算結果に応じた貸玉数を払い出す貸玉払出機構204と、更に、管理センター装置のコンピュータやパチンコ機と接続するためのインターフェース部205と、精算ボタン22の発光制御部206を備えており、パチンコ機10とプリペイドカード処理機20は、実際には例えばピンコネクタを備えた通信線26で接続されている。
【0014】
以上の構成において、遊技者がプリペイドカード処理機20にプリペイドカードを挿入すると、プリペイドカード処理機20はパチンコ機10に接続信号を送り、これにより、接続確認が行われ、パチンコ機10は、この接続を確認して動作する。
また、プリペイドカード処理機20は、さらに、プリペイドカードの残度数をパチンコ機10に通知し、残度数(例えば、1度数は105円に相当、5円が消費税にあたる)がその表示部13に表示される。また、プリペイドカードの残額については、表示部27に表示される。
【0015】
ここで、遊技者は残度数が1以上あることを確認し、パチンコ機10の玉貸ボタン12aを押すと、パチンコ機10は貸出しボタン12aの押下状態をプリペイドカード処理機20へ通知する。
プリペイドカード処理機20は、貸出しボタン12aの押下状態の通知を受けるとパチンコ機10へ玉貸しを通知し、パチンコ機10は、玉貸し通知を受信すると、図示しない貸玉払出機構を作動して所定数、例えば25個の貸玉をその玉払い出し口14から玉受け皿15に払い出す。
【0016】
パチンコ機10は、貸玉を払い出すと払出完了信号をプリペイドカード処理機20へ送り、プリペイドカード処理機20は、払出完了信号を受信するとカードの度数から1を減算する処理を行い、かつ変更後の度数を示す残度数情報をパチンコ機10へ送り、その表示部13に残度数として表示する。
以後、遊技の進捗等に応じて残度数表示から貸玉払出までの過程が繰り返される。
【0017】
このように、プリペイドカードに記録(又は記憶)された度数は、貸出しボタン12aを操作し貸玉の払い出しが行われる毎に1ずつ減算される。
ここで、プリペイドカードには予め消費税込みの金額又は貸玉度数が記録されているから、最後の1度数分が減算されると端数の度数が残高として残ることになり、この端数分については、前記貸出しボタン12aを操作しても残額不足とされて貸玉処理は行われない。
【0018】
次に、この端数の度数(つまり端数金額)が残ったときの精算処理について説明する。
図3は、プリペイドカード処理機20の端数払い出し処理手順を示すフロー図である。図3に従って前記端数払い出し処理を説明すると、まず、プリペイドカード処理機20のマイコン201は、カードリーダ・ライタ部202で読み取ったプリペイドカードの残り度数が1未満、つまり端数の度数又は端数金額があるか否か判断し(S101)、「否」と判断したときは(S101、NO)、そのまま処理を終了する。「ある」と判断したときは(S101,YES)、精算ボタン22の発光制御部206を動作して精算ボタン22のLEDを発光させて、遊技者に残度数又は価値内容が、1度数またはそれに相当する価値に満たないことを報知するとともに精算ボタン22の操作を促す(S102)。ここで遊技者が精算ボタン22を押下するなどして操作すると(S103)、残された価値内容に相当する貸玉数を算出し(S104)、貸玉払出機構204に対し、その算出結果に応じた貸玉数を払い出すよう指示する(S105)。指示を受けた貸玉払出機構204は、貯留した貸玉から玉払い出し通路23を通してパチンコ機10の玉受け皿15に算出結果に応じた数の貸玉を払い出し(S106)、処理を終了する。
【0019】
このように、本実施形態に係るプリペイドカード処理機20によれば、プリペイドカードの残度数が端数になったときでも、その精算ボタンを操作するだけで、その端数に相当する精算分の玉をプリペイドカード処理機20側からパチンコ機10側に払い出すことができるため、従来のように端数の場合は玉の供給を受けることができず、一旦残金を払い戻す煩雑な精算処理を行う必要がない。しかも、この貸玉による精算処理は、遊技機側には一切変更を施すことがなく、プリペイドカード処理機を代えるだけで行うことができるから、消費税率が変更されたり或いは消費税率を外税とする料金体系を導入する場合であっても、比較的低コストで対応可能である。
【0020】
なお、以上の説明はパチンコ機を例に採って行ったが、本発明は、遊技用記録媒体及び遊技用媒体を用いるパチスロその他の遊技機にも当然適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係るプリペイドカード処理機とパチンコ機の表面図である。
【図2】プリペイドカード処理機の構成を説明するブロック図である。
【図3】プリペイドカード処理機の端数払い戻し処理の手順を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0022】
10・・・パチンコ機、11・・・ハンドル、12・・・ボタン、13・・・残高表示部、14・・・払い出し口、15・・・・玉受皿、16・・・遊技盤面、20・・・プリペイドカード処理機、201・・・マイコン、202・・・カードリーダ・ライタ部、203・・・通信部、204・・・貸玉払出機構、205・・・インターフェース部、206・・・発光制御部、21・・・プリペイドカード挿入口、22・・・精算ボタン、23・・・玉払い出し通路、24・・・紙幣投入口、25・・・表示部、26・・・通信線、27・・・表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技用記録媒体に記録された価値内容を読み取り、該価値内容に応じた度数に応じて、遊技機に度数毎に所定数の遊技用媒体を払い出す処理を実行させる遊技用記録媒体処理機あって、
前記遊技用記録媒体に記録された価値内容が1度数に満たない場合には、残された端数の価値内容を精算する精算手段を備えたことを特徴とする遊技用記録媒体処理機。
【請求項2】
請求項1に記載された遊技用記録媒体処理機において、
前記精算手段は、残された端数の価値内容に相当する数の遊技用媒体を前記遊技機に払い出すことを特徴とする遊技用記録媒体処理機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された遊技用記録媒体処理機において、
前記遊技用記録媒体に記録された価値内容が1度数に満たない場合にその旨を表示する表示手段と、前記遊技用記録媒体に記録された価値内容が1度数に満たない場合に精算を指示する精算指示手段を備えたことを特徴とする遊技用記録媒体処理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−271846(P2006−271846A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−98854(P2005−98854)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(304020498)サクサ株式会社 (678)
【Fターム(参考)】