説明

遊技盤

【課題】弾球遊技機の遊技盤の一層効率的な利用をはかる。
【解決手段】遊技盤83は、板状の遊技盤本体84と、遊技盤本体84の前面に取り付けられて弧状の内周面が遊技領域の輪郭をなす外レール85、左内レール86及び右内レール87と、遊技領域に配されて遊技盤本体84に取り付けられた入賞装置とを備えており、遊技領域の最下部に達した遊技球をアウト球として流出させるためのアウト球出口89が左内レール86の下端86aと右内レール87の下端87aとの間隙として形成されている。この遊技盤83ではアウト球出口89を、遊技盤83を貫通する穴として遊技盤83の下部に穿設する必要がないので、その分だけ遊技領域内で部品配置に使用できる範囲が広くなり、遊技盤83の効率的な利用につながる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾球遊技機の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機においては、遊技盤の前面部に入賞装置等を取り付けて形成した遊技領域における遊技球の挙動、具体的には入賞するか否かや、どの入賞装置に入賞するか等によって遊技が行われる。そして、入賞せずに遊技領域の最下部に達した遊技球は、アウト球として遊技領域から流出させられる。
【0003】
従来の遊技盤にあっては、アウト球を流出させるためのアウト球出口を遊技盤の下部に穿設し、円弧状に湾曲して遊技盤に取り付けられたガイドレールのボトムをアウト球出口に対応させることで、アウト球をガイドレールにてアウト球出口に導いていた。
【特許文献1】特開2007−61168号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、遊技盤に取り付けられる表示装置が大型化し、その飾り枠ともなるセンター役物も大型化される傾向にある。そうすると、センター役物以外の部品(例えば可変入賞装置、普通入賞装置、電飾類)の配置スペースが相対的に狭まることになる。こういった一部装置の大型化のよる部品配置の問題だけが理由ではないが、遊技盤のサイズを大きくして遊技領域を拡大することが行われていた。
【0005】
しかしながら、遊技盤のサイズを大きくするとしても限度があり、限られたサイズの遊技盤を一層効率的に利用することが要求されていた。本発明はこのような要求に応えることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の遊技盤は、
板状の遊技盤本体と、前記遊技盤本体の前面に取り付けられて弧状の内周面が遊技領域の輪郭をなすガイド部材と、前記遊技領域に配されて前記遊技盤本体に取り付けられた入賞装置とを備える遊技盤において、
前記遊技領域の最下部に達した遊技球をアウト球として流出させるためのアウト球出口を前記ガイド部材の欠損部として形成した
ことを特徴とする。
【0007】
欠損部とは、穴、切欠き、2部材間の間隙等であり、アウト球出口がこのような欠損部としてガイド部材に設けられるので、請求項1記載の遊技盤ではアウト球出口を遊技盤の下部に穿設する必要がない。従って、その分(アウト球出口を穿設しない分)だけ、遊技領域内で部品配置に使用できる範囲が広くなり、遊技盤の効率的な利用につながる。
【0008】
なお、アウト球出口となる欠損部が設けられるのは、入賞しなかった遊技球が最終的にたどり着く場所であるのは従来と同様である。
また、ガイド部材の弧状の内周面が遊技領域の輪郭をなすというのは、ガイド部材の弧状の内周面の少なくとも一部が遊技領域の少なくとも一部の輪郭をなすということであり、ガイド部材の弧状の内周面のすべてが遊技領域の輪郭をなすわけでもなければ、遊技領域の輪郭すべてがガイド部材の弧状の内周面で形成されるわけでもない。
【0009】
請求項2記載の遊技盤は、
前記ガイド部材には、下端が前記アウト球出口の左縁となる左部と、下端が前記アウト球出口の右縁となる右部とがあり、
前記アウト球出口は前記左部と前記右部との間の間隙として形成される
ことを特徴とする請求項1記載の遊技盤である。
【0010】
アウト球出口を左部と右部との間の間隙として形成する構成であるので、左部と右部とで材質を異ならせたり、一方だけに別の部品を取り付けたりする等、左部と右部とを材質や構造面で不連続にできる。
【0011】
請求項3記載の遊技盤は、前記アウト球出口は、前記左部及び前記右部の各下端と前記遊技盤本体の下縁部とで形成されることを特徴とする請求項2記載の遊技盤である。請求項3記載の遊技盤では、アウト球出口が左部及び右部の下端と遊技盤本体の下縁部とで形成されるから、遊技盤の下縁までを遊技領域として利用できる。
【0012】
なお、遊技盤本体の下縁部を含む部分に(例えば遊技盤本体の全周にわたって)プラスチック板等の保護部材が取り付けてあって、アウト球出口を実際に形成するのはこの保護部材という場合もあるが、請求項3記載の「遊技盤本体の下縁部」には、遊技盤本体の下縁部に取り付けられている保護部材や装飾部材等の左部及び右部の各下端間に位置する部分も含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1、図2及び図3に示すように、本実施例の遊技機の外枠(以下、単に「外枠」ともいう。)1は、アルミダイキャスト製品である左縦部材2と、アルミ押出成形品である右縦部材3とを備えている。これら左縦部材2と右縦部材3とは対面状に配置されている。
【0014】
左縦部材2の本体部4は、ともに板状の側面部4aと背面部4bとを直交状に連接した構造の横断面形状が略L字状の部材である。また、本体部4は縦長の部材であり、本体部4の上端部には上ヒンジ保持部5が連設されている。本体部4に上ヒンジ保持部5を加えた上下寸法が外枠1の高さ(上下寸法)とほぼ一致する。
【0015】
上ヒンジ保持部5の先端片5aは外枠1の前方に突出しており、先端片5aには下向きに開口した上ヒンジ軸受(開口は図示されない)が設けられている。
また、下端から全長のおよそ1/5ほどの位置には、下ヒンジ保持部7が設けられており、下ヒンジ保持部7には下ヒンジ軸受8が形成されている。下ヒンジ軸受8の軸は、上ヒンジ軸受の軸とほぼ一致する。下ヒンジ保持部7の下側には支持板部9が連設されている。
【0016】
本体部4の下端部には右縦部材3に向かって突出した下連結部11が連接されており、左縦部材2の下端部はL字状になっている。また、下ヒンジ保持部7の後端と下連結部11の上面とが内板12にて連結されている。
【0017】
右縦部材3も、左縦部材2の本体部4と同様に直交状に連接された板状の側面部3aと背面部3bとを備える。右縦部材3は、背面部3bと平行に配されて側面部3aに直交状に連接された補強レール部3cを更に備えている。従って、右縦部材3の横断面形状は略F字状となっている。なお、補強レール部3cには錠留め板金13の取り付け用として、上下2箇所の切り欠き3dが設けられている。
【0018】
また外枠1は、左縦部材2と右縦部材3の上端部同士を連結する上横部材14と、左縦部材2と右縦部材3の下端部同士を連結する下横部材15とを備えている。
上横部材14は、外枠1の天井16となる部分と球タンク17とで構成されている。但し、詳細は後述するが、天井16と球タンク17との2分割構造ではない。
【0019】
天井16は、硬質合成樹脂(例えばABS)のブリッジ部18、ビスによってブリッジ部18に取り付けられたアルミニウム製の補強部材19、ブリッジ部18と補強部材19とに挟まれるようにしてブリッジ部18に取り付けられた発泡樹脂製の釘打ち材20にて構成されている。
【0020】
天井16は、全体としてはほぼ板状になっている。天井16の左端21a(ブリッジ部18の左端である)は、本体部4の上端部及び上ヒンジ保持部5(すなわち左縦部材2の上端部)にねじ止めされて連結されている。また天井16の右端21b(ブリッジ部18の右端である)は、右縦部材3の上端部にねじ止めされて連結されている。
【0021】
補強部材19には長円状の釘打ち開口19aが2箇所に設けられている。従って、釘打ち開口19aにて釘打ち材20が露出しており、この部分であれば釘打ち材20に釘を打ち込むことができる。
【0022】
球タンク17は、賞球用の遊技球を貯留するために用いられるが、機種によっては球タンク17内の遊技球が賞球用だけでなく貸球用とされることもある。
球タンク17には、遊技球を貯留するための貯留部17a、貯留部17aから流出する遊技球を1列に整列させる整列部17b、整列部17bを通過してきた遊技球を落下させる排出樋17cが設けられている。そして、吊壁部22、ブラケット23、端部壁17d等にてブリッジ部18と連続している。つまり、ブリッジ部18と球タンク17とは一体成形されている。このため、ブリッジ部18を主要な構成要素としている天井16も球タンク17と一体化している。
【0023】
球タンク17は、その一側面部にて上横部材14に連結されて外枠1によって保持されているが(上記のように吊壁部22、ブラケット23、端部壁17d等にてブリッジ部18と連続しているが)、球タンク17の底面部は外枠1によっては支持されていない。また、球タンク17は、外枠1以外の部品によっては支持されていない。そして、上横部材14からオーバーハング状に外枠1の後方へせり出している。
【0024】
球タンク17の端部壁17dに連なる隅部には、ノズル留め24が取り付けられている。このノズル留め24は、円弧状の板ばね片25にて球補給ホース(図示は省略)の先端部を保持することができる。
【0025】
球補給ホースは遊技場設備である球補給樋から分岐しており、球補給ホースの先端を球タンク17内に入れておけば、球補給樋から球補給ホースを経て球タンク17に遊技球を補給できる。その球補給ホースの先端部をノズル留め24にて保持すれば、球タンク17を球補給樋に接続したままにできる。
【0026】
一方、球タンク17から遊技球を流出させるための排出樋17cには、遊技球を払出装置65(図4、図5参照)へ誘導するための樋構造27が接続されている。
この樋構造27は、縦樋部28と接続部30とで構成されている。
【0027】
縦樋部28は、左縦部材2の本体部4(背面部4b)に取り付けられている。縦樋部28は縦長の樋であり(図3に示すように2パーツからなり、内部の遊技球通路は球圧を低減するために蛇行している)、その横幅は背面部4bの横幅をわずかに下回っており、長さは背面部4bよりも短い。そのため、縦樋部28の背面部4bへの投影は背面部4bからはみ出さない(図1(b)には縦樋部28が図示されない)。
【0028】
縦樋部28は、上端が排出樋17cに接続されており、排出樋17cから流入してきた遊技球を左縦部材2に沿って下降誘導する。
接続部30は、縦樋部28と払出装置65(本実施例では払出装置65に付属する導入部66)とを接続するために、縦樋部28の下端に取り付けられている。また、接続部30は、縦樋部28から流入してくる遊技球を、払出装置65へ導くか機外へ排出するかを択一的に切り替える機能も備えている。
【0029】
すなわち、接続部30には、一端が縦樋部28に接続された接続路29が設けられており、その接続路29の排出端29aが払出装置65(導入部66)に接続される。また、接続路29から分岐した機外誘導路の排出口31が接続部30の下部に開口している。そして、縦樋部28から接続路29に流入してきた遊技球を排出端29aすなわち払出装置65へ導くか排出口31すなわち機外へ排出するかを択一的に切り替えるための切替弁32が備わっている。なお、この切替弁32は手動操作される。
【0030】
左縦部材2と右縦部材3の下端部同士を連結する下横部材15は、硬質合成樹脂(例えばABS)の躯体部35を中心として構成されている。
躯体部35は、略板状の縦壁部36、縦壁部36の下部に連接された板状の底部38、底部38と協同して縦壁部36の周囲を取り囲む周壁部37等を備えている。
【0031】
縦壁部36は長方形状の横長部36aと多角形状の多角部36bとを連接した形状である。底部38と周壁部37とは、横長部36aを取り囲むコの字状の部分にて横長収容部71を形成し、多角部36bを取り囲む部分にて多角収容部72を形成している。このように躯体部35の前面側に形成された、横長収容部71が基板収容部に該当し多角収容部72がスピーカ収容部に該当しており、これら横長収容部71と多角収容部72とからなる一連の凹部が収容凹部に該当する。
【0032】
躯体部35の右端部は右縦部材3(側面部3a)の下端部にねじ止めにて連結されている。
周壁部37は、下ヒンジ保持部7、下連結部11及び内板12にて形成されたコの字状の構造に端部を差し込まれた状態になっており、その端部がねじ止めにて左縦部材2の下端部に連結されている。また、周壁部37と内板12とは、金具39を介しても連結されている。
【0033】
底部38には、発泡樹脂製の釘打ち材40及びアルミニウム製の補強部材41が取り付けられている。釘打ち材40は上下両面が露出しており、釘打ち材40を貫通させて釘を打つことができ、その釘打ち材40を貫通した釘にて外枠1を遊技機設置島に取り付けることができる。
【0034】
躯体部35の前面部には装飾体43が取り付けられている。装飾体43は透明な合成樹脂(例えばポリカーボネート)製で、背面側(躯体部35側)が凹となる箱状をしている。装飾体43は縦壁部36の横長部36aの前方を覆う横長装飾部44と、多角部36bの前方を覆うボックス装飾部45とに区分できるが、横長装飾部44とボックス装飾部45とに分割されてはいない。
【0035】
その装飾体43の内部(装飾体43と躯体部35との間)には、LEDを実装されたプリント基板P(図3参照)が配されており、LEDの発光により装飾体43の前面部を光らせることができる。プリント基板PはスピーカSのフレームを通すための環状の部分に長方形状の部分を連接した形状で、環状の部分を多角収容部72に、長方形状の部分を横長収容部71に対応させている。つまり、プリント基板Pを収容するための空間は装飾体43と躯体部35との間に形成される空間であり、躯体部35側の横長収容部71だけでなく、装飾体43の凹の部分も含まれる。
【0036】
同様に、スピーカSを収容するための空間も装飾体43と躯体部35との間に形成される空間であり、躯体部35側の多角収容部72だけでなく、装飾体43の凹の部分も含まれる。この空間に収容されるスピーカSは、そのフランジをボックス装飾部45の開口45aの周囲部にネジ止めされて、装飾体43によって支持されている(開口45aの周囲部がスピーカ支持枠に該当する)。なお、開口45aを閉じるメッシュ板Mがボックス装飾部45に取り付けられる。
【0037】
また、横長装飾部44の右端部には低音放射口44aが設けられており、その背後には低音放射ダクトDが取り付けられている。低音放射ダクトDはエルボ状の管であり、スピーカSから発された音に含まれている低音成分を選択的に通すため、低音放射口44aからはほぼ低音だけが放射される。
【0038】
この外枠1を使用した遊技機(本例ではパチンコ機50)の全体構造の一例を図4〜7によって説明する。
パチンコ機50の前面には、前面扉枠51が配されている(図6、7は前面扉枠51を撤去した状態を示している。)。詳しくは、外枠1に中枠58が取り付けられ、その中枠58を介して前面扉枠51が外枠1に取り付けられている。その具体的な構成は、まず中枠58が、上下のヒンジ軸保持部81、82に取り付けられた上下のヒンジ軸81a、82aにより外枠1の上ヒンジ保持部5(上ヒンジ軸受)、下ヒンジ保持部7(下ヒンジ軸受8)にそれぞれ連結されており、それら上下のヒンジ軸81a、82aを中心にして外枠1すなわちパチンコ機50の本体部に対して扉状に開閉可能になっている。
【0039】
中枠58に備わっている上下のヒンジ軸81a、82aは鋼管であって、図7に下のヒンジ軸82aが示されるように、ヒンジ軸保持部81、82を貫通した状態で開口しており、それらの内孔が前面扉枠51のためのヒンジ軸受として機能する。
つまり、前面扉枠51は図示しない上下のヒンジ軸をそれぞれ上述した中枠58のヒンジ軸81a、82aに挿通させることで外枠1に連結されており、それら上下のヒンジ軸を中心にして外枠1すなわちパチンコ機50の本体部に対して扉状に開閉可能になっている。
【0040】
前面扉枠51には遊技盤83を臨ませるための窓52が設けられており(図4、図5に示すのは遊技盤を装備していない状態である。)、窓52を閉塞するためのガラス板が窓52の背後に装着される。
【0041】
窓52の上方には電飾部53が設けられている。窓52の下方には上皿54と下皿55とが上下に重なるようにして配されている。
下皿55の右側には発射ハンドル56が配されている。発射ハンドル56の支持基部57は、前面扉枠51ではなく中枠58に取り付けられている。また、中枠58の前面には錠機構を操作するための鍵穴59も取り付けられている。
【0042】
遊技盤83の主体は板状の遊技盤本体84であり、遊技盤本体84の前面にはいずれも弧状の外レール85、左内レール86及び右内レール87が取り付けられており、これらにて囲まれる略円形の領域が遊技領域とされる。すなわち、外レール85、左内レール86及び右内レール87は、各々の弧状の内周面が遊技領域の輪郭をなしており、ガイド部材に該当する。また左内レール86は左部に、右内レール87は右部に該当する。
【0043】
遊技盤本体84には、センター役物(液晶表示装置)の取付けに使用される取付孔88が設けられている。また、図示は省略するが、取付孔88から外れた位置には各種の入賞装置を取り付けるための穴も設けられており、遊技盤本体84には入賞装置が取り付けられる。
【0044】
左内レール86の下端86a及び右内レール87の下端87aは、ともに遊技盤本体84の下縁に達している。両者の下端86a、87a間には間隙が形成され、この間隙が遊技領域の最下部に達した遊技球をアウト球として流出させるためのアウト球出口89とされている。正確には、この間隙に対応するようにして遊技盤本体84の下縁部に取り付けられたプラスチック製の保護部材91と両下端86a、87aとでアウト球出口89が形成されている。
【0045】
中枠58にはアウト球誘導樋92が設けられている。アウト球誘導樋92の端部がアウト球出口89の直下に開口しており、ここにアウト球出口89を通って落下してきた遊技球を受け入れる。図5に示すように、アウト球誘導樋92は中枠58の背面方向に延びて、機外排出樋93に連通している。機外排出樋93には、入賞装置に入賞して遊技盤83の背後に排出されたセーフ球も流入する。つまり、遊技領域に打ち出された遊技球は、入賞してもしなくても(セーフ球もアウト球も)機外排出樋93を通ってパチンコ機50の外部(通常は遊技機設置島の回収樋)に排出される。
【0046】
中枠58は、アルミ押出成形品の2本の縦辺部61と合成樹脂製の上横部62及び下横部63とで構成されており、下横部63の上面で遊技盤83の下端面を支え、両方の縦辺部61で遊技盤83の左右を挟むようにして、遊技盤83を保持する。上述のアウト球誘導樋92及び機外排出樋93は下横部63に設けられている。
【0047】
上述したように、中枠58は上下のヒンジ軸により外枠1の上ヒンジ保持部5、下ヒンジ保持部7にそれぞれ連結されていて、外枠1すなわちパチンコ機50の本体部に対して扉状に開閉可能になっている。
【0048】
中枠58の背面部には払出装置65が取り付けられている。払出装置65は、その上部に突出して設けられた導入部66にて接続部30(接続路29)に接続されており、球タンク17から流出して樋構造27を通ってきた遊技球が払出装置65に流入する。払出装置65は、スプロケット、ソレノイド、ストッパ等を内蔵しており、ソレノイドにて変位させられるストッパを解除位置にするとスプロケットが回転して流入してきた遊技球を送出し、ストッパを規制位置にすればスプロケットは回転できなくなって遊技球は送出されない構造である。払出装置65から送出された遊技球は、中枠58の下横部63に設けられた賞球誘導路により上皿54又は下皿55に誘導される。
【0049】
また、払出装置65の隣には球抜き樋67の上端部が配されている。球抜き樋67の上端は接続部30の排出口31に接続される。球抜き樋67の下端は機外放出のために開放されているので、切替弁32を操作して縦樋部28から接続路29に流入してきた遊技球を排出口31へ導けば、球タンク17から接続部30の範囲にある遊技球をパチンコ機50の外部へ排出できる。
【0050】
但し、接続部30と払出装置65及び球抜き樋67とが接続状態になるのは、中枠58が閉じられているときに限られ、中枠58を開けばこれらの接続は解除される。
上に説明したように、本実施例の遊技盤83は、板状の遊技盤本体84と、遊技盤本体84の前面に取り付けられて弧状の内周面が遊技領域の輪郭をなす外レール85、左内レール86及び右内レール87と、遊技領域に配されて遊技盤本体84に取り付けられた入賞装置とを備えており、遊技領域の最下部に達した遊技球をアウト球として流出させるためのアウト球出口89が左内レール86の下端86aと右内レール87の下端87aとの間隙として形成されている。つまり、この遊技盤83ではアウト球出口89を、遊技盤83を貫通する穴として遊技盤83の下部に穿設する必要がない。従って、その分(アウト球出口89を穿設しない分)だけ、遊技領域内で部品配置に使用できる範囲が広くなり、遊技盤83の効率的な利用につながる。
【0051】
また、アウト球出口89を左内レール86の下端86aと右内レール87の下端87aとの間の間隙として形成する構成であるので、左内レール86と右内レール87とで材質を異ならせたり、一方だけに別の部品を取り付けたりする等、左内レール86と右内レール87とを材質や構造面で不連続にできる。
【0052】
更に、左内レール86の下端86a及び右内レール87の下端87aは、ともに遊技盤本体84の下縁に達していて、アウト球出口89は、遊技盤本体84の下縁部に取り付けられたプラスチック製の保護部材91と両下端86a、87aとで形成される
から、遊技盤本体84の下縁までを遊技領域として利用できる。
【0053】
なお、上に説明した実施例のパチンコ機50には、以下のような優れた点がある。
まず、本実施例の外枠1は、対面状に配置される左右の縦部材2、3と、それら縦部材2、3の上端部同士を連結する上横部材14と、それら縦部材2、3の下端部同士を連結する下横部材15とを備えるパチンコ機50の外枠1であり、賞球用の遊技球を貯留するための球タンク17が上横部材14に取り付けられている。
【0054】
この外枠1は、パチンコ機50を遊技機設置島に設置する際に釘で遊技機設置島に固定されてしまうから、この外枠1を備えるパチンコ機50を遊技機設置島に設置した場合、中枠58を開いても球タンク17が移動することはないし、中枠58の開放時に補給設備(球補給ホース)と球タンク17とが分かれてしまうこともないから、この球補給ホースから遊技球が漏洩するのを防ぐための構成は不要となる。
【0055】
また、中枠58を開放しても球補給ホースと球タンク17との相対位置が変化しないから、球補給ホースの下端をノズル留め24にて球タンク17の縁部に連結してしまうことも可能である。そうすれば、振動や衝撃等が原因となって球補給ホースの下端が球タンクから外れて遊技球が漏出するのを防止できる。
【0056】
また、この外枠1では、球タンク17から流出する遊技球を払出装置65へ誘導するための樋構造27が、左縦部材2の背面部4bに取り付けられている。
球タンク17から流出する遊技球を払出装置65へ誘導するための樋構造27は、従来は中枠の一部とされたり、中枠に取り付けられる裏セット(機構盤)の一部とされていた。
【0057】
この樋構造27を左縦部材2の背面部4bに取り付けることにより、樋構造27が占める位置が従来よりも横にずれて外側となる。つまり、遊技盤の背後になる部分での中枠58の開口寸法を、樋構造27の横ずれ分だけ大きくできる。
【0058】
しかも、樋構造27は、上端が球タンク17に接続されて遊技球を下降誘導する縦樋部28と、一端は縦樋部28に接続され他端は直接に払出装置65に接続される接続路29が設けられた接続部30とで構成され、縦樋部28は、これが取り付けられている左縦部材2の背面部4bへの投影が背面部4bからはみ出さない寸法、形状である。
【0059】
縦樋部28は、これが取り付けられている左縦部材2の背面部4bへの投影が背面部4bからはみ出さない寸法、形状、すなわち前面側から見たなら縦樋部28は左縦部材2に隠れてしまう寸法、形状であるから、上述した中枠58の開口寸法を大きくできる効果がより良好になっている。
【0060】
本実施例の外枠1では、賞球用の遊技球を貯留するための合成樹脂製の球タンク17が、その一側面部にて外枠1の上横部材14に連結されて、外枠1によって保持されている。しかも、球タンク17の少なくとも底面部は、外枠1によっては支持されずに、また中枠58等の外枠1以外の部品によっても支持されずに、上横部材14からオーバーハング状に外枠1の後方へせり出している。このような構成であるから、球タンクが中枠の上部に取り付けられる場合(従来技術)よりも、球タンク17の位置が上方になる。すると、球タンク17の位置が上がった分だけは、その下側の空間の上下寸法が大きくなる。
【0061】
また、球タンク17が上横部材14からオーバーハング状に外枠1の後方へせり出している。つまり、外枠1の平面図(図1(a))では球タンク17が上横部材14の後方隣になっている(但し、本実施例では両者の一部が平面図においてわずかに重なる)位置関係である。一方、従来の遊技機においては、球タンクは中枠の後方へオーバーハング状にせり出している(特許文献1参照)。つまり、本実施例の外枠1における球タンク17の位置は、正確にではないが(おおむねは)、中枠に取り付けられていた従来の位置から上方へ移動させた位置と言える。
【0062】
こうした構成であるから、この外枠1を備えるパチンコ機50では、遊技盤の背後において中枠58の内側になる空間に上述した球タンク17の移動分だけ余剰が生じるから、その余剰分の利用が可能となり、従来よりもの一層効率的な利用を実現できる。
【0063】
外枠1は、上横部材14の一部であるブリッジ部18が合成樹脂製であり、球タンク17はブリッジ部18と一体化されている構成であるから、ブリッジ部18と球タンク17とを同材質として一体成形できる。実施例ではそのようにしているから、球タンク17を上横部材14と連結する作業を外枠1の組み立て工程にて行わずに済む。
【0064】
また、外枠1においては、下横部材15には、外枠1の左下隅になる位置に配された多角収容部72(スピーカ収容部)と多角収容部72の右側に配された横長収容部71(基板収容部)とが連通形成されて外枠1の前面側に開放された収容凹部が設けられており、LEDが実装されていてLEDからの光が外枠1の前方に向けて放射される姿勢で横長収容部71から多角収容部72にわたって収容されたプリント基板Pと、プリント基板PのLEDからの光を入射させる位置に配置される透光性の横長装飾部44(レンズ部材)を有して横長収容部71及び多角収容部72の前方で下横部材15に取り付けられる装飾体43(前蓋部材)とを備えるので、LEDからの光を下横部材15に備えた横長装飾部44から放射することで、横長装飾部44を発光させることができる。この横長装飾部44からの光は外枠1の前方に向けて放射されることになる。
【0065】
下横部材15の前方つまり遊技者側になる部分は、下皿55等が配置されるために遊技者から見えにくい部分である。このため、従来は装飾的な面では比較的軽視される部分であった。
【0066】
ところが、ここは下皿55から排出した遊技球を入れた球箱が置かれる場所でもあるから、横長装飾部44から外枠1の前方に向けて放射される光は、球箱に当たるし、球箱が透光性であればこれを透過した光が、また球箱の開口から入射した光も球箱内の遊技球に当たる。つまり、横長装飾部44から放射される光で球箱を光らせたり、球箱内の遊技球を光らせたりでき、これらを電飾として利用できる。もちろん、横長装飾部44の発光による電飾効果もある。
【0067】
また下横部材15には、多角収容部72に収容されたスピーカSと、スピーカSのフランジが連結されるボックス装飾部45(スピーカ支持枠)を有して横長収容部71及び多角収容部72の前方で下横部材15に取り付けられる装飾体43(前蓋部材)と、
音声を通すための孔が設けられており装飾体43に取り付けられてボックス装飾部45の開口45aを閉じるメッシュ板M(カバー部材)とを備えるので、スピーカSを備えた外枠1となる。
【0068】
従来はスピーカSが中枠58又は前面扉枠51に取り付けられていたのであるが、
上記のように構成してスピーカSを外枠1に備えると、スピーカSが撤去された分だけ中枠58又は前面扉枠51の部品スペースにゆとりができる。或いはスピーカSのサイズを大きくできる。ちなみに、本実施例のスピーカSの口径は160mmである。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】実施例の外枠の平面図(a)、正面図(b)、側面図(c)、背面図(d)。
【図2】実施例の外枠の前面側の斜視図(a)、背面側の斜視図(b)。
【図3】実施例の外枠の分解斜視図。
【図4】実施例のパチンコ機の平面図(a)、正面図(b)、側面図(c)、背面図(d)。
【図5】実施例のパチンコ機の前面側の斜視図(a)、背面側の斜視図(b)。
【図6】実施例のパチンコ機から前面扉枠、上皿、下皿を撤去した状態の正面図。
【図7】実施例のパチンコ機から前面扉枠、上皿、下皿を撤去した状態の斜視図。
【符号の説明】
【0070】
1・・・外枠、
50・・・パチンコ機、
51・・・前面扉枠、
54・・・上皿、
55・・・下皿、
56・・・発射ハンドル、
58・・・中枠、
65・・・払出装置、
83・・・遊技盤、
84・・・遊技盤本体、
85・・・外レール、
86・・・左内レール、
86a・・・下端、
87・・・右内レール、
87a・・・下端、
89・・・アウト球出口、
91・・・保護部材、
92・・・アウト球誘導樋、
93・・・機外排出樋。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の遊技盤本体と、前記遊技盤本体の前面に取り付けられて弧状の内周面が遊技領域の輪郭をなすガイド部材と、前記遊技領域に配されて前記遊技盤本体に取り付けられた入賞装置とを備える遊技盤において、
前記遊技領域の最下部に達した遊技球をアウト球として流出させるためのアウト球出口を前記ガイド部材の欠損部として形成した
ことを特徴とする遊技盤。
【請求項2】
前記ガイド部材には、下端が前記アウト球出口の左縁となる左部と、下端が前記アウト球出口の右縁となる右部とがあり、
前記アウト球出口は前記左部と前記右部との間の間隙として形成される
ことを特徴とする請求項1記載の遊技盤。
【請求項3】
前記アウト球出口は、前記左部及び前記右部の各下端と前記遊技盤本体の下縁部とで形成される
ことを特徴とする請求項2記載の遊技盤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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