説明

運転中にロール交換するための接着テープ

【課題】
シリコーン加工された表面又はシリコーン性表面を持つ平らなウエブ材料を(特に運転中に)ロール交換するのに適する接着テープの提供。
【解決手段】
少なくとも1種類の引き裂き可能な支持体と2つの接着剤層を有する平らなウエブ材料を運転中にロール交換するための粘着テープにおいて、接着剤の少なくとも1種類がシリコーン系粘着剤であることを特徴とする、上記粘着テープによって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念の構成要件に従うロールに巻かれた平らな非極性のウエブ材料、特に運転中にロール交換するための接着テープ並びにこの種類の接着テープの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
平らなウエブ材料(紙、ホイル、フリース等)を加工するときに、運転中のロール交換は、殆ど巻き解かれた古いロールを高速機械を止めることなく新しいロールに交換するための慣用の方法である。このような運転中のロール交換のとき、古いウエブの末端部を新しいウエブの始まり部と接合するためにしばしば粘着テープが使用される。
【0003】
運転中のロール交換(“動的ロール交換”とも称する)は、工業においては特に次の方法で行われている。
【0004】
両面接着性の粘着テープが手作業で新しいロールのウエブの始めの部分に有利な配置で(一般にW−又はV−状で)貼り付けられ、そして接着テープを超えて飛び出したウエブ材料は分離除去される。追加的に新しいロールのウエブの始めの部分はその下にある新しいロールの巻きウエブの所にいわゆる固定保持ラベルで固定され、新しいロールが古いロールの表面速度を早めるときにウエブが巻き解けるのを防止する。この方法の欠点は、ロールの準備に非常に長い時間が消費されそして接合に熟練工を使う必要があることである。さらに、この方法では、こうして得られる接合物が、ウエブ材料、固定保持ラベル及び接着剤ストリップと層状化するために比較的に厚くなるので、所望の結果を必ずしももたらさない。さらに、薄く柔軟なウエブ材料の場合には、新しいウエブの始めの部分の所に、回転のときに生じる向流空気の流れのためにウエブ材料に膨れを生じることがあり得る。これは一般にウエブの不良な接合をもたらし得る。
【0005】
上記の方法は紙加工工業においても使用される。そこでは、固定するのに役立つタブを紙製ウエブを連結する粘着テープに一体化するいわゆる紙継ぎ法(スプライシング法)は更なる発展である。この場合、ウエブの連結後にタブとして役立つ引き裂き可能な支持体が引き裂け、その結果引き裂けた支持体の一部がウエブを連結する粘着テープ上に留まり(すなわち、上の一巻きの所に)、他方、残りの部分はその下にある一巻きの所に留まる。“引き裂き可能”という支持体は、その二次元の広がりに平行に裂くことができる支持体、特に紙継ぎ法における要求に基づき実質的に引き裂ける支持体である。
【0006】
運転中にロール交換するための従来技術で知られる接着テープは、紙以外の平らなウエブ材料を運転中にロール交換するときに若干の欠点がある。例えば運転中のロール交換のための公知の接着テープは、シリコーンの表面に、またシリコーン製の平らなウエブ材料又はシリコーン加工された表面を持つ平らなウエブ材料に接着しないか又は十分に接着しない。これは、なかでも、≦24mN/mの範囲内にあるシリコーンの非常に低い表面エネルギーに起因する。運転中のロール交換の用途分野についての従来技術で提案される接着テープの別の欠点は、これらの接着テープだけが一般に100℃以下の温度範囲内でしか、しばしば約95℃までの温度範囲内でしか熱剪断強度を有していることである。
【0007】
シリコーン表面又はシリコーン加工された表面を持つ平らなウエブ材料を運転中ロール交換するのに適する接着テープはしかしながら高度な要求プロフィールを満足しなければならない。このものはこの材料に確実に十分な接着性を発揮しなければならない。さらに、非常に短時間の接触時間の場合にも現実に貼り付くことができるために良好な初期接着性(“粘着性”)を有しておりそして同時に運転中ロール交換の条件を満足する十分な凝集性を有している必要がある。
【0008】
さらに、接着テープのために使用される接着剤は非常に良好な熱剪断強度を有していることが非常に望まれている。
【0009】
それ故に、シリコーンをベースとする接着剤を持つ接着テープは、当業者には運転中ロール交換での接着に利用するのに適していないと見なされている。確かに高い粘性を持つ一連のシリコーン系接着剤が公知である。しかしながらこれらの接着剤は非常に柔らかくそして流動性に調整されており、それ故に十分な凝集性及び熱剪断強度を有していない。それ故に凝集性を高めるためには、このSi系接着剤を架橋させることも可能である。これは従来技術に従ってベンゾイルペルオキシド(BPO)によるラジカル的化学架橋によって行われる。しかしながらこの架橋法によっては、得られる接着剤は粘着性及び接着能力に関して著しい喪失を被っている。それ故に当業者は、シリコーンをベースとする十分な凝集性の接着剤が、運転中ロール交換のために接着テープを使用することができるための適切な粘着性値を有していないことに気づいている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、シリコーン加工された表面又はシリコーン表面を持つ平らなウエブ材料の(特に運転中に)ロール交換するのに適する接着テープを提供することである。
【0011】
この種の接着テープは、シリコーンを卓越的に接着し、高い粘着性(初期接着性)を有する粘着剤を有しているべきであり、特に非常に短い接触時間、実地においては≦1msでも非常に良好に捉え、更に良好な凝集性を有しそして更に良好な熱剪断強度をも有する粘着剤を有しているべきである。
【0012】
(特に運転中の)ロール交換のための接着テープのための接着剤として使用するために、接着剤は更に、この種類の接着テープの引き裂き可能な支持体が容易に引き裂くことができることがマイナスの影響を及ぼさないように作製すべきであり、特に該接着剤が引き裂き可能な支持体材料、例えば紙中に侵入せずそして該材料中でブロッキングするべきでない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題は、少なくとも引き裂き可能な支持体及び2つの接着剤層を持ち、接着剤の少なくとも1種類がシリコーン系接着剤である粘着テープによって解決できた。特に、シリコーン系接着剤が化学線、特に電子線によって架橋している場合にこの課題を解決するのに有利に適する。
【0014】
この明細書の関係においては、粘着剤及び感圧接着剤という言葉が同義語として使用される。粘着剤は原則として、室温で特に溶剤又は熱によって活性化することなく単に表面に押し付けることによって十分な接着力をもたらす濡れを引き起こす。本発明の接着テープの粘着剤が満足させることができる具体的な用途分野への要求はこの明細書において更に詳細に説明する。
【0015】
“引き裂き可能”とは、その二次元の広がりに平行に裂くことができる支持体、特に紙継ぎ法における要求に基づき実質的に引き裂ける支持体である。
【0016】
引き裂き可能な支持体としては引き裂き可能な平らなあらゆる支持体材料、特に容易に引き裂ける紙、紙複合体系(例えば二重の紙体及びサイジング加工された紙系)、フィルム複合体系(例えばサイジング加工されたフィルム系)、ポリマー複合体系(例えば同時押出加工されたポリマー複合体系)及びポリマーフリースがある。一般に引き裂き力が5〜70cN/cm、特に12〜60cN/cmである支持体を使用する。
【0017】
上側粘着剤及び下側粘着剤は高い接着力を有することが必要である。特にそれぞれの表面(支持体及び接合すべきウエブ材料)へのこの粘着剤の接着力は引き裂き可能な支持体を裂くのに必要な力よりも大きくなければならない。引き裂き可能な支持体は20〜70cN/cm、特に22〜60cN/cm、中でも25〜50cN/cmの耐引き裂き性を有しているのが有利である。
【0018】
シリコーン系粘着剤は、
a)次式の構造を持つ
【0019】
【化1】

【0020】
[式中、2n+4個の置換基Rが互いに無関係に一価の炭化水素残基でありそしてnが整数である。」
少なくとも1種類のポリジオルガノシロキサン並びに
b)(R23SiO1/2−単位(“M−単位”)及びSiO4/2−単位(“Q−単位”)で構成される少なくとも1種類の樹脂(“MQ−樹脂”)、ただしM−単位の置換基R2が互いに無関係にアルキル基、アルケニル基、アルキルシリル基、水酸基又は水素である、
を含有するのが特に有利である。
【0021】
MQ−樹脂は500g/mol≦MW≦100,000g/mol,特に1,000g/mol≦MW≦20,000g/mol、中でも2,000g/mol≦MW≦5,000g/molの重量平均分子量MWを有するものが有利である[この明細書における平均分子量MW及び多分散性Dの表示はゲルパーミッションクロマトグラフィーの測定値から算出されている(後記の実験部分参照)]。
【0022】
重量%を規準とするポリジオルガノシロキサンとMQ−樹脂との割合比が20:80〜80:20、特に30:70〜60:40の範囲内にある接着剤を使用するのが有利であることがわかっている。
【0023】
本発明の粘着テープの有利な実施態様(変法V1)は、少なくとも1つの引き裂き可能な支持体と2つの接着剤層を有し、少なくとも1つの接着剤が(特に付加的架橋性の)シリコーン系粘着剤である、運転中に平らなウエブ材料のロール交換するための粘着テープであり、該シリコーン系粘着剤が
a)次の一般式で表される
【0024】
【化2】

【0025】
「式中、両方のR1基が互いに無関係に選択されたアルケニル基であり、
2n+4個の置換基Rが互いに無関係に一価の炭化水素残基でありそしてnが整数である。]
で表される少なくとも1種類のポリジオルガノシロキサン、
b)(R23SiO1/2−単位(“M−単位”)及びSiO4/2−単位(“Q−単位”)で構成される少なくとも1種類の樹脂(“MQ−樹脂”)、ただしM−単位の置換基R2が互いに無関係にアルキル基、アルケニル基、アルキルシリル基、水酸基又は水素であり、
c)ポリマー分子当たり平均して少なくとも2つの、珪素結合した水素原子を有しそしてオレフィン二重結合を有していない少なくとも1種類のオルガノ水素ポリシロキサン
を有している。
【0026】
この実施形態の有利な態様はシリコーン粘着剤中に別の成分を含有していない。しかしながら他の有利な実施態様においては他の成分及び/又はシリコーン系粘着剤にとって有利な通例の添加物を有していてもよい。
【0027】
有利にはポリジオルガノシロキサン(I)の2つのR1が互いに無関係に炭素原子数1〜14のアルケニル基、特にビニル基又はヘキセニル基である。
【0028】
特に有利には、ポリジオルガノシロキサン(I)のアルケニル基R1の二重結合が末端にあり、すなわち、アルケニル基が存在するSi−原子から見てアルケニル基の最も遠く離れた炭素原子と二番面に遠く離れた炭素原子との間に配置されている.
ポリジオルガノシロキサン(I)のパラメータnの平均値は、ポリジオルガノシロキサン(I)の重量平均分子量MWが7×105g/mol≦MW≦8×105g/molであるように選択されるのが特に有利である。
【0029】
ポリジオリガノシロキサン(I)の多分散性Dが2.0≦D≦2.2の範囲内にあるのが特に有利である。
【0030】
成分cは全組成物を規準として数%までの割合で存在するのが有利である。重量平均分子量が103g/mol≦MW≦105g/molの範囲内にあるのが有利である。
【0031】
変法1の非常に有利なポリジオルガノシロキサンは次ぎの式(I−I)及び(I−II)で繰り返されるものである:
【0032】
【化3】

【0033】
n、MW及びDについての前記の条件を満足する場合が特に有利である。
【0034】
変法V1の特に有利な実施態様は重量平均分子量MW=7.68×105g/mol及び多分散性D=2.18を有する式(I)のポリジオルガノシロキサンである。この場合、MQ−樹脂はMW=2350g/molの重量平均分子量及び2.51の多分散性を有するものである。この場合、オルガノ水素ポリシロキサンはポリジオルガノシロキサンのアルケニル基当たり特に1〜40個の水素原子を有しているのが有利である。
【0035】
運転中ロール交換にとって変法V1の接着テープに使用するための特に有利なシリコーン系接着剤としては市販の付加反応架橋性の系、すなわち、Dow Corning社の製品DC 7657 (R) が実証されている。この記載は例示であり、本発明を制限するものではない。それぞれのシリコーン系粘着剤に適合する適切な電子線量(特に5kGy〜50kGyの範囲内)、加速電圧(特に100kV〜200kVの範囲内)並びにウエブ速度(特に10m/分)を選択することによって、このような組成が特に有利な接着力、粘着性及び熱剪断強度を有する。
【0036】
本発明の接着テープの別の有利な実施態様(変法V2)は、少なくとも1つの引き裂き可能な支持体と2つの接着剤層を有する平らなウエブ材料を運転中にロール交換するための粘着テープにおいて、接着剤が(特に縮合反応架橋性の)シリコーン系粘着剤であり、該粘着剤が
a)次の一般式で表される
【0037】
【化4】

【0038】
[式中、両方のR’基が互いに無関係に、水素並びに炭素原子数1〜6の分岐していないか又は分岐したアルキル残基及び/又はアルキルシリル残基及び/又はアルコキシシリル残基よりなる群から選択されており、
2n+4個の置換基Rが互いに無関係に一価の炭化水素残基でありそして
nが整数である。]
で表される少なくとも1種類のポリジオルガノシロキサン、
b)(R23SiO1/2−単位(“M−単位”)及びSiO4/2−単位(“Q−単位”)で構成される少なくとも1種類の樹脂(“MQ−樹脂”)、ただしM−単位の置換基R2が互いに無関係にアルキル基、アルケニル基、アルキルシリル基、水酸基又は水素である
を含有することを特徴とする、上記粘着テープである。
【0039】
この実施形態の有利な態様はシリコーン系粘着剤中に別の成分を含有していない。他の有利な実施態様においては粘着剤が他の成分及び/又はシリコーン系粘着剤にとって通例の有利な添加物を含有していてもよい。
【0040】
変法V2のためのポリジオルガノシロキサン(II)の意味での両方の置換基R’が水素原子である化合物が特に有利であることが判っている。
【0041】
ポリジオルガノシロキサン(II)のパラメータnの平均値は、ポリジオルガノシロキサン(II)の重量平均分子量MWが6.4×105g/mol≦MW≦1.0×10g/molの範囲内にあるように選択するのが有利である。
【0042】
ポリジオリガノシロキサン(II)の多分散性は2.3≦D≦2.8の範囲内、特に2.38≦D≦2.80の範囲内であるように選択するのが有利である。
【0043】
運転中ロール交換のための変法V2の接着テープに使用するための特に有利なシリコーン粘着剤としては市販の縮合反応架橋性の系、例えばDow Corning社の製品DC 7358 (R) 及びMomentive社の製品Silgrip PSA 518 (R)及びSilgrip PSA 6574 (R)があるが、これらの表示は例示であり、本発明を制限するものではない。それぞれのシリコーン系粘着剤に適合する適切な電子線量(特に5kGy〜50kGyの範囲内)、加速電圧(特に100kV〜200kVの範囲内)並びにウエブ速度(特に10m/分)を選択することによって、このような組成が特に有利な接着力、粘着性及び熱剪断強度を有する。
【0044】
上述の全ての実施態様のポリジオルガノシロキサンには、置換基Rが互いに無関係に炭素原子数1〜18の炭化水素残基の群から選択する場合が有利である。有利な炭化水素残基は脂肪族の飽和残基又は芳香族残基である。置換基Rが互いに無関係にメチル基、非置換のフェニル基及び/又は置換フェニル基であるポリジオルガノシロキサンであるのが有利である。特に有利なのは、全ての置換基Rがメチル基であるポリジオルガノシロキサン並びに置換基Rの一部がメチル基でありそして置換基Rの残りが非置換のフェニル基であるポリジオルガノシロキサンであり、ここでは特にポリ(ジメチル−コ−ジフェニル)シロキサン及びポリ(ジメチル−コ−メチルフェニル)−シロキサンが有利である。
【0045】
本発明の接着テープのシリコーン系接着剤は化学線で架橋するのが有利であり、特に有利には電子線で架橋するのが有利である。その場合に、シリコーン系粘着剤がそれの凝集性を増加するが、初期接着性の著しい悪化がないことが驚くべきことにわかった。それ故に、電子線によって架橋したシリコーン粘着剤は従来技術に従って架橋する粘着剤(例えば白金触媒、ベンゾイルペルオキシド)と相違している。
10kGyより大きい、特に15kGy以上の電子線量で照射するのが有利である。電子線量は特に、ミクロ剪断行程試験(テストC)が1000μmより小さい値を有するように選択する。
【0046】
接着剤が十分な熱剪断強度を有する場合に特に有利である。この目的のためには、使用するポリジオルガノシロキサンの化学的性質、MQ−樹脂及び接着剤の組成次第で電子線照射量を更に増やすのが有利であり得る。従って本発明の特に有利な一つの実施態様はこの熱剪断強度の要求をも満足する粘着剤によって生じる。
【0047】
15kGyより大きい電子線照射量でが有利であり、20kGy以上の電子線照射量で照射するのが特に有利である。これによって熱剪断強度が有利に影響され得る。1000μmより小さいSAFT試験結果において確認される優れた結果が達成される。
【0048】
25kGy以上の照射量を照射するのが中でも有利である。25kGyを照射する場合にはSAFT−試験(試験D)の結果は、接着力及び粘着値の著しい悪化を生じることなく更に改善される。
【0049】
架橋度はミクロ剪断行程値(テストC)における弾性割合を測定することによって定量される。この場合、弾性割合の高い値は高い架橋度を意味する。それ故に電子線での架橋は、ロール交換で使用するための要求を満足する架橋度まで実施するのが有利である。本発明の粘着テープにとって、弾性割合が少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも60%、更に好ましくは少なくとも75%までである場合が非常に有利である。
【0050】
少なくとも80%、更に好ましくは少なくとも90%の弾性割合を有する本発明の粘着テープ用シリコーン粘着剤が特に適している。
【0051】
本発明の接着テープにとって卓越的に適するこの明細書で提案するシリコーン系接着剤は、試験A〜Dの条件に従って測定することによって詳細に特徴付けることができる。本発明の接着テープ上のシリコーン系接着剤のために提案される架橋パラメータ(例えば電子線量、架橋度)はこの場合には測定用サンプルにただちに適用することができる。
【0052】
シリコーン系粘着剤は、測定試験A1に基づいて、特に架橋後に有利には鋼鉄への少なくとも2.0N/cm、好ましくは少なくとも2.5N/cm、特に好ましくは少なくとも3.0N/cmの接着力を有する。
【0053】
これに無関係に、本発明の接着テープの架橋したシリコーン系粘着剤が測定法テストA2に従って少なくとも1N/cm、特に1.5N/cmより大きい、中でも少なくとも2N/cmより大きい接着力を有することが非常に有利である。試験A2の条件の下でシリコーンへの少なくとも2.3N/cmの接着力を有するシリコーン系接着剤を持つ接着テープを製造するのが中でも特に有利であることが判っている。
【0054】
新しい平らなウエブの接合を実現する接着剤(“上側接着剤”)を運転中ロール交換で使用するために重要な役割を果たすパラメータは良好な初期接着性(“粘着”−性)を実現する。それ故に本発明の接着テープにとって、架橋したシリコーン接着剤に関して特に上側シリコーン接着剤が試験B1(“サンプル−試験”)において測定される距離ベースの力が少なくとも0.10N/mm、更に好ましくは少なくとも0.15N/mm、中でも少なくとも0.20N/mmであるのが特に有利である。
【0055】
これに無関係に、試験B2(“ループ−試験”)での相応する架橋済み接着剤が少なくとも0.10N、特に少なくとも0.20N、中でも少なくとも0.25Nの力を有する場合が非常に有利である。
【0056】
架橋した接着剤の良好な粘着性は、未架橋の接着剤が良好な粘着性を既に有している場合に特に確認できる。
【0057】
さらに非常に有利にも優れた凝集力も実現される。このパラメータは試験C(ミクロ剪断行程試験)によって定量される。本発明の接着テープの架橋したシリコーン系接着剤に関しての特に凝集性は、この試験において1000μmより少ない、好ましくは500μmより少ない、特に好ましくは300μmより少ないミクロ剪断行程が測定されることを実現する。
【0058】
本発明の接着テープは、少なくとも2つの接着剤層を有する接着テープであり、接着剤層の少なくとも一つは前述において詳述したようにシリコーンをベースとするものである。原則として少なくとも第二の接着剤層は同一種でも異なっていてもよく、第二の接着剤層は例えばポリアクリレート、天然ゴム、合成ゴム、ポリウレタン、シリル化されたポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合耐、ポリイソブテンをベースとするもの又は既に説明したシリコーン系粘着剤と異なるものをベースとしていてもよい。しかしながら本発明の意味においてこれらの列挙物質は本発明を制限するものではなく、原則として接合すべき平らなウエブ材料の具体的な要求プロフィール次第で他のポリマーをベースとする粘着剤も使用することができる。
【0059】
(特に運転中ロール交換のための)本発明の接着テープは、巻き解かれた古いロールとの接合を実現する少なくとも1つの下側接着剤及び取り付けるべき新しい平らなウエブの始めとの接合を媒介する少なくとも1つの上側接着剤を有している。
【0060】
一般に同じ種類の平らなウエブを互いに連結する。すなわち、巻き解かれた古い平らなウエブも構成するのと同じ材料よりなる平らなウエブを新たに取り付ける。それ故に、上側及び下側接着剤のために同じ接着剤を使用するのが有利であり得る。両方の接着剤(すなわち、下側及び上側接着剤)がこの明細書で前述したのシリコーン接着剤である場合が非常に有利である。
【0061】
しかしながら個々の接着剤がウエブ継ぎ法において曝される異なる条件が上側及び下側接着剤への要求が異なるので、それぞれの要求に適合する意図的に異なる接着剤を使用するのが有利である。例えば、この明細書の範囲で説明されているような2種類のシリコーン系接着剤を使用するのが非常に有利であるが、それぞれの接着技術的性質を異なって選択しそしてそれぞれの要求に適合させることも有利である。
【0062】
粘着剤層が一つ又は複数の要求、非常に有利には以下の条件を満足する接着テープが特に適している:
上側シリコーン系粘着剤:
− 鋼鉄への2.0N/cmの接着力(テストA1)
− シリコーン加工された基体への1.0N/cmの粘着力(テストA2)
− 試料の試験機によって測定される少なくとも0.10N/mmの力に相応する色接着性(テストB1)
− ループ粘着によって測定される少なくとも0.10Nに相当する、シリコーン加工基体への粘着性(テストB2)
− 60%より多い弾性割合のもとで1000μmより少ないミクロ剪断行程(テストC)に相当する凝集性
− 200℃で1000μmより小さい剪断距離の、SAFT−試験(テストD)に従う熱剪断強度。
上側シリコーン粘着剤:
− 鋼鉄への2.0N/cmの接着力(テストA1)
− シリコーン加工された基体への1.0N/cmの接着力(テストA2)
− 60%より多い弾性割合のもとで1000μmより少ないミクロ剪断行程(テストC)に相当する凝集性
− 200℃で1000μmより小さい剪断距離の、SAFT−試験(テストD)に従う熱剪断強度。
【0063】
本発明の接着テープは少なくとも引き裂き可能な支持体材料、新しい平らなウエブとの連結を媒介をする少なくとも1つの上側接着剤並びに平らなウエブ材料の巻き解けたロールへ接合するための少なくとも1つの下側接着剤とを有している。
【0064】
(特に運転中の)ロール交換のために、20〜100mm、特に30〜70mm、中でも38mmの全幅及び50mmの全幅を有する本発明の接着テープが特に有利であることが判っている。しかしながら特別な態様のためには、有利な寸法が上記の値から外れていてもよい。
【0065】
有利な態様においては上側粘着剤の塗布量が30〜80g/m2 、特に35〜60g/m2 の範囲内にある下側の接着剤の塗布量は特に20〜60g/m2 の範囲内にあり、層厚は35〜50g/m2 の層厚であるのが特に有利である。
【0066】
本発明の接着テープの有利な一つの実施態様は、特に引き裂きできない主要支持体及び上側の粘着剤より構成されており、その際に主要な支持体の裏側の少なくとも一部に両面接着性の引き裂き可能な系を備えており、該系自身がそれの表面に主要支持体と接合するための接着剤を持ちそして下側に下側粘着剤を持つ引き裂き可能な支持体を有している。
【0067】
有利な変法においては、引き裂き可能な系は特に接着テープの更に前述した全幅のために、3〜20mm、特に6〜12mmの幅である。下に接合された引き裂き可能な系は接着テープの長手辺縁部の所に同一平面上に配置されていてもよい。しかしながら運転中ロール交換において本発明を使用するためには、下に接合した両面系を長手辺縁部から離して、特に1〜7mm離して、特に1.5〜3.5mm離して配置する場合が非常に有利であることが判っている。
【0068】
実験で説明する通り、引き裂き過程のための力を引き裂き用ストリップの引き裂き可能な支持体に導入するために高速で成功裏に実施するのが有利である。何故ならばさもないと局所的な制御不能の引き裂き(“破け”と前述において規定している)がもたらされる。この目的のために、長手辺縁部からの引き裂きストリップの距離によって規定される接着テープの突き出た断片は力導入補助手段として役立つ。破けは、この距離がある程度に達成されたときに特に旨く避けることができる。
【0069】
しかしながら後退が大き過ぎる(3.5mmより大きい)と、同様に実験においても確認されるように引き裂き接着テープの突き出た前の断片が折れたり及び引き裂き行程の間に制御できない挙動も増加する。
【0070】
有利な実施態様においては一つより多い引き裂き系を接着テープの下側に設けてもよい。この意味において例えば、ドイツ特許出願公開第19,830,674A号明細書及びドイツ特許第10,123,981A号明細書に記載されているような構造も、シリコーン系粘着剤を有している場合には、本発明の発明思想に包含される。さらに、裏側に別の引き裂きできない系を装備している場合も特定の用途にとっては有利であり得る。このような接着テープは国際特許出願公開第03/24850A号明細書に記載されており、この構造はこの明細書に記載のシリコーン系粘着剤との関係において同様に本発明に包含される。
【0071】
本発明の接着テープがその上側の接着剤の上に剥離材料を有しているのも、特に貯蔵する間に接着剤を保護するために、有利である。この目的のために、シリコーン系粘着剤についての当業者に熟知される材料、例えばフッ素系シリコーンを使用することができる。剥離材料は、新しいロールの最も上側の層の末端の真下に接着テープの一部が貼り付けられときに剥離材料の一部剥がすことが(特に、接着テープの長手方向に配置されている)特にスリット、ミシン目等が設けられていてもよく、露出した接着剤の領域を保護する。
【0072】
スリットあるいはミシン目は接着テープの長手辺縁部(LK2)から20〜40mm離れて設けられており、該辺縁部(LK2)は引き裂き可能な系が配置される付近の長手辺縁部(LK1)に対峙している。
【0073】
本発明の接着テープは任意に適当な装置によって、機械的に認識可能であるように構成されていてもよい。このことは例えば光学的に又は他の方法で認識可能な構造ユニットによって行うことができる。特に国際特許出願公開第03/18451A号明細書、同第03/18452A号明細書、同第03/18453A号明細書、同第03/18454A号明細書に開示された内容を引用する。そこに記載された構造も同様に本発明の接着テープにとって有利に実現可能である。
【0074】
本発明の接着テープの引き裂きメカニズムは、代わりに、ドイツ特許第10210,192A号明細書に提案されているようにも実現することができる。
【0075】
本発明の接着テープが、運転中ロール交換のときに引き裂き可能支持体の引き裂きが開始される長手辺縁部の少なくとも接着テープが例えばドイツ特許出願公開第10,058,956A号明細書に記載されているような製品構造に従ってジグザグな切り口を有しているように構成されているのも有利であり得る。特定の製造条件のもとでは、すなわち、ギザギザの切り口を持つ本発明の接着テープを用いての運転中ロール交換をギザギザの尖り部分での非常に僅かな引き裂き力値によって及びギザギザ面積の増加につれて連続して増す力で実現されることが判っている。従って破けは効果的に防止される。
【0076】
ドイツ特許出願公開第4,233,521A号明細書、ヨーロッパ特許出願公開第450,312A号明細書、同第566,880A号明細書、同第757,657A号明細書、米国特許第4,905,924A号明細書、同第6,432,241A号明細書、同第6,740,379A号明細書及び国際特許出願公開第91/08159号明細書には、(特に運転中に)平らなウエブ材料のロール交換するための接着テープの別の例を示している。これらのテープはそれぞれ上側及び下側に粘着剤を持っている。従って、上記の各明細書の少なくとも1つの、特に両方の接着剤層をシリコーン接着剤として持つことによって得られる本発明の実施態様も、この明細書において本発明にとって有利であることを説明した通り、本発明の対象である。
【0077】
さらに、いわば長手方向に“無限に”広がる接着テープの代わりに接着ラベル、換言すれば接着テープを長手方向で切断したものを使用することも有利であり得る。
【0078】
次に本発明の接着テープを例示的な図面を引用して更に詳細に説明する。図面は添付してある:
図1は本発明の接着テープの一つの実施態様の概略的断面図である(三層構造であり、接着テープの長手方向に対して横断方向を図示している。
図2は本発明の接着テープの別の一つの実施態様の概略的断面図である(五層構造であり、接着テープの長手方向に対して横断方向を図示している。)。
【0079】
図1に、シリコーン加工された表面を持つロールに巻かれた平らなウエブ材料並びにシリコーン表面を持つロールに巻かれた平らなウエブ材料を運転中にロール交換するのに適する本発明の接着テープを図示している。この接着テープは引き裂き可能な支持体(2)よりなる三層構造として構成されており、該支持体の上側は上側粘着剤(1)で被覆されそして下側は下側粘着剤層(2)で被覆されている。三層構造は、殆ど巻き解かれたロールのウエブを新しいロールに交換するための慣用の方法である。このような運転中のロール交換のとき、古いウエブの末端部を新しいロールのウエブの始まり部と連結する際に生じる負荷に耐えることができるために、引き裂き可能な支持体(2)がそれの二次元の広がりに沿って十分な機械的な耐負荷性を有する場合に使用することができる。
【0080】
接着テープは追加的に上側の粘着剤(1)を非粘着性に被覆するために剥離系(6)を有しており、その結果、接着テープの接着性の上側を貯蔵のときに保護する。剥離系としては慣用のあらゆる剥離紙、例えばシリコーン加工された剥離紙又はシリコーン加工されたフィルムを使用することができる。この場合、剥離系はワンパーツ又は複数のパーツ(図1には図示されていない)で構成されていてもよい。
【0081】
図2には、本発明の接着テープの特に有利な別の一つの実施態様を五層構造として図示している。この接着テープ系のこの構造は互いに接合されている引き裂き可能な支持体(12)及び引き裂き不可能な支持体(14)を有している。ここでは、この接合は別々の接合用粘着剤(15)として記載されており、この粘着剤は引き裂き可能な支持体(12)の上側が引き裂き不可能な支持体(14)の下側の一部と接合されている。従って、引き裂き不可能な支持体(14)はそれの上側を上側粘着剤(11)で被覆されておりそしてその下側の一部の所で、引き裂き不可能な支持体(14)に引き裂き可能な支持体‘12)を繋留する接合用粘着剤(15)で覆われている。引き裂き可能な支持体(12)の下側には、下側粘着剤層(13)が存在する。引き裂き可能な支持体(12)と接着剤層(13及び15)よりなる系はこの場合、引き裂き不可能な支持体(14)に押し付けられ或いは食い合わせて配置されている。
【0082】
更に図2に図示する実施態様は更に追加的に、上側の粘着剤(11)を非粘着的に被覆するために剥離系(16)を有している。特に有利には、ここに図示する二つの剥離系(16a/16b)があり、これらは長手方向において後ろの被覆物部分(16a)及び前の被覆物部分(16b)とに例えばミシン目又はスリットによって分割されている。このことは、接着テープを最初に新しいロールのウエブの最初の部分に貼り付けることができるという長所を有しており、そのために接着テープの後ろの被覆物部分(16a)の下の接着性領域だけが解放されそして古いロールのウエブと接合するための接着性領域が前の被覆物部分(16b)によって未だ被覆されておりそして従って保護されたままである。
【0083】
本発明は、ロールに巻き付けられた平らなウエブ材料をシリコーン加工された表面及びシリコーンよりなる表面に運転中ロール交換の過程で貼り付けるために本発明の接着テープを使用することも包含している。この接着テープの使用によって紙継ぎ法の効率を総合的に著しく向上される。
【0084】
更に本発明は、ロールに巻かれた平らな非極性のウエブ材料、特にシリコーン加工された表面又はシリコーンよりなる表面を持つ平らなウエブ材料を運転中にロール交換するウエブ継ぎ方法において、平らなウエブ材料の新しいロールの最上部ウエブの末端の裏側に本発明の接着テープ(少なくとも一部)を貼り付け、一方、接着テープの下側をその下にある新しいロールのウエブと貼り付けそしてこれによって確保し、その上でこうして準備された新しいロールを殆ど完全に巻き解かれた交換すべきロールの側に置きそして実質的に同じ表面速度に加速し、新しいロールが次に古いロールの最上部のウエブに対して押し付けられ、その際に接着テープの解放状態の粘着剤がウエブの実質的に同じ速度で古いウエブと貼り付けられ、他方、同時に引き裂き可能な系が引き裂けそして引き裂き可能な系の粘着剤が引き裂き可能な支持体の両方の引き裂け残留物で非接着的に被覆される、上記方法も提供する。
【0085】
この方法は、スリットを付けた又はミシン目を付けた被覆物(剥離材料)を持つ接着テープを使用するように構成するのが有利である。スリットを付けた被覆物から、裏側に貼り付けるとき最初に小さな部分だけを引き剥がしそしてその開放粘着剤部分にて接着テープを新しい紙ロールの最上部の紙ウエブの裏に貼り付け、他方、被覆物の大部分は運転中ロール交換のために使用する直前に引き剥がす。
【0086】
本発明の対象は、更に、本発明の接着テープを製造する方法において、シリコーン粘着剤を支持体材料の少なくとも片面に塗布しそしてこの支持体材料上から電子線を用いて架橋させる、上記方法に関する。既に上で説明したとおり、少なくとも10kGy、更に好ましくは少なくとも15kGy、特に好ましくは少なくとも20kGy、中でも少なくとも25kGyの電子線照射量で架橋させるのが有利である。更に有利には、架橋をミクロ剪断行程テスト(Mikroscherwegtest:テストC)で測定できる少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、特に好ましくは少なくとも75%、中でも少なくとも90%の弾性割合に相当する架橋度まで実施する。
[実験]
ゲルパーミッションクロマトグラフィー(GPC):
この明細書において重量平均分子量MW及び多分散性Dの表記はゲルパーミッションクロマトグラフィーの測定による。この測定は50μlの清澄濾過されたサンプル(サンプル濃度3g/L)について行う。溶離剤としてトルエンを使用する。測定は23℃で行う。使用される予備カラムとしてPSS-SDVカラム、5μ、103Å、内径(ID)8.0mm×50mmを使用する。分離するために、それぞれ内径8.0mm×300mmを有するPSS-SDVカラム、5μ、102Å並びに103Å及び105Å、を使用する(Polymer Standards Service社のカラム;示差屈折計Shodex RI71によって検出)。流速は1.0mL/分である。キャリブレーションはPDMS−標準に対して行う(ポリジメチルシロキサン−キャリブレーション)。
[接着力試験(テストA)]
この場合には、鋼鉄への接着力の測定を次のように実施する(tesa テストA1)。規定の接着基体(接着力板)として研磨した鋼鉄板を使用する。各測定の前にこの板をアセトンで洗浄する。試験すべきサンプルとして23μmの厚みの標準ポリエステル支持体にそれぞれの粘着剤を片面被覆する(粘着剤塗布量:50g/m)。被覆された標準ポリエステル支持体の20mmの幅のストリップを、加重(4kg)で接着基体に押しつける。その直後に接着テープを基体から180°の角度及び300mm/分の速度で剥がしそしてそのために室温で必要とされる力を測定する。測定値(N/cm)は3回の個別測定の平均値として得る。
【0087】
シリコーンへの接着力の測定は次のように実施する(tesa テスト A2)。規定の接着基体として片面がシリコーン加工されたPET−フィルム(50μm)を使用する。このフィルムを両面接着テープによってシリコーン加工されていない面にABS−板の上に固定する。試験すべきサンプルとして23μmの厚みの標準ポリエステル支持体にそれぞれの粘着剤を片面被覆する(粘着剤塗布量:50g/m)。被覆された標準ポリエステル支持体の20mmの幅のストリップを、加重(4kg)の下で、固定されたシリコーン加工されたPET−フィルムの上に押しつける。その直後に接着テープを基体から180°の角度及び300mm/分の速度で剥がしそしてそのために室温で必要とされる力を測定する。測定値(N/cm)は3回の個別測定からの平均値として得る。測定法(tesa テスト A2)のキャリブレーションのために、非接着性被覆物の試験のための市販の試験用接着テープ(tesa AG社の“tesa 7475“:使用書による鋼鉄への接着力:31.25N/25mm)をこの測定方法に相応して実施する。固定されたシリコーン加工されたPET−フィルムへのこの場合に測定された接着力は平均0.3N/cmである。
[粘着性/初期接着性(テストB)]
初期接着性の測定はサンプル試供品(tesa テストB1)及びループ粘着試験(tesa テストB2)によって行う。
【0088】
サンプル粘着性(tesa テストB1)による初期接着性を測定する場合、規定の接触面積及び規定の力を有するダイを接着剤上を進めそして一定の接触時間の後に規定の速度で再び離す。粘着性の目安として、ダイをサンプルから除くために消費される総合的な剥離エネルギー(N/mm)を記載する。この測定は23±1℃及び50±5%の相対湿度の環境で行う。試験すべきサンプルとして23μmの厚さの標準ポリエステル支持体にそれぞれのシリコーン系粘着剤が片面に塗布される(粘着剤塗布量:50g/m)。鋼鉄製板上にサンプルを気泡なしで固定することを両面接着テープを用いて行う。温度調整時間及び剥離増加時間は試験条件のもとで少なくとも12時間である。試験すべきサンプルを有する試験用板を固定装置中に置きそしてアセトンで清浄化されそして(10分間の)熱的状態調整されたダイを接着面の中心に進め、再び離しそしてその際に必要な力を測定する。測定値(N/mm)は10の個別の試験の平均値として得る。測定パラメーターとして1.5mm・s−1の剥離速度、0.01秒の接触時間及び0.7Nの押付け力を選択する。鋼鉄製ダイは2.0mmの直径を有する。測定装置としてSMS社(Stable Microsystem Ltd.)テクスチャー分析器TA.XT 2i 並びにTA.XT plusを使用する。
【0089】
ループ粘着試験(tesa テストB2)により粘着性を測定する場合には、ループ状に形成された規定の接触面積及び規定の力を有する試験用ストリップを接着剤の上に進めそして一定の接触時間の後に規定の速度で再び引き剥がす。粘着性の目安として、ループ状物をサンプルから除くために消費される力のピーク(N)で記載する。この測定は23±1℃及び50±5%の相対湿度の環境で行う。規定の接着基体として、両面接着テープによってABS−板に固定されたシリコーン加工された紙(71μm)を使用する。測定方法(tesa テストB2)の基体のキャリブレーションのために、剥離力を非接着性被覆物の試験のために市販の試験用接着テープ(tesa AG社の“tesa 7475“:使用書による鋼鉄への接着力:31.25N/25mm)によって測定する。剥離紙へのこの場合に測定される剥離力は平均3〜10cN/cmである。試験すべきサンプルとして23μmの厚さの標準ポリエステル支持体にそれぞれのシリコーン系粘着剤を片面に塗布する(粘着剤塗布量:50g/m)。追加的にサンプルを裏側から片面接着テープ(tesa 4124)によって補強する。測定値(N)は5つの個別測定からの平均値として得る。測定パラメーターとして600mm/分の測定速度、50msの方向変更遅れ及び0.15Nの押し付け力を選択する。その際に試験用ストリップは100mm(クランプ止め:40mm)の長さ及び10mmの幅を有している。規定の小さい測定面積を得るために、それぞれの試験体を長手方向において折り目を付ける。
[ミクロ剪断工程試験(テストC)]
この試験は40℃の温度をかけたまま接着テープの剪断強度を試験するために役立つ。
【0090】
測定用サンプルの調製:接着テープサンプル[粘着剤で被覆された23μmのPET−フィルム(50g/m)]を、研磨され、温度調整可能でそしてアセトンで浄化された鋼鉄製試験用板に貼り付け、次いで2kgの鋼鉄球及び10m/分の速度で6回、転がす。サンプルの接着面積(高さ×幅)は13mm×10mmであり、サンプルを垂直につり下げ、上部縁部の所で鋼鉄製試験用板を2mmだけ突き出させそして工程センサーのための支持体として役立つ安定な接着剤ストリップを用いて平らに補強されている。
測定:測定すべきサンプルの下端に100gの重量を負荷する。貼り付けられたサンプルを持つ鋼鉄製板を40℃に加熱する。行程センサーを用いて、15分の時間にサンプルが滑る行程を測定する。この最初の15分の後に重しを除きそして更に15分の時間内の応力弛緩を測定する。(15分後の剪断行程(μm)−30分後の剪断行程(μm)/15分後の剪断行程(μm))の比が架橋密度の目安を示す弾性割合(%)を示す。最大剪断行程は1000μmにセットし、もしこの数字を超えた場合には、試験を中止する。試験条件:室温23±1℃、相対湿度50±5℃。
【0091】
SAFT試験(剪断接着破壊温度: Shear Adhesion Failure Temperature)(テストD):
この試験は温度を負荷した下での接着テープの剪断強度の早い試験に役立つ。
【0092】
測定調整: 接着テープサンプル(23μmの厚さの標準ポリエステル支持体に被覆された粘着剤(50g/m)を、研磨され、温度調整可能でそしてアセトンで浄化された鋼鉄製試験用板に貼り付け、次いで2kgの鋼鉄球及び10m/分の速度で6回、転がす。サンプルの接着面積(高さ×幅)は13mm×10mmであり、サンプルを垂直につり下げ、上部縁部の所で鋼鉄製試験用板を2mmだけ突き出させそして工程センサーのための支持体として役立つ安定な接着剤ストリップを用いて平らに補強されている。
測定:測定すべきサンプルの下端に50gの重量を負荷する。貼り付けられたサンプルを持つ鋼鉄製板を初め25℃で9℃/分の速度デ200℃の最終温度に加熱する。行程センサーを用いて、サンプルが滑る行程を温度及び時間を関数として測定する。最大剪断行程は1000μmにセットし、もしこの数字を超えた場合には、試験を中止する。試験条件:室温23±1℃、相対湿度50±5℃。
【0093】
ポジティブ試験結果:
− 最終温度(200℃)に達した後の剪断行程をμmで示す。
【0094】
ネガティブ試験結果:
− 最大剪断行程(1000μm)に達した時の温度を℃で示す。
【0095】
実施例:
インデクス“PDMS”をポリジオルガノシロキサンについて以下に記載する。
【0096】
付加反応架橋性系:
[実施例A−1:参考組成物]
47%のアクリル酸、48%のブチルアクリレート及び5%のビニルカプロラクタムよりなるラジカル重合された骨格ポリマーを水、イソプロパノール及びアセトンよりなる1:1:1の混合物に溶解した599gの30%濃度溶液を、397gのEthomeen C-25 (製造元:Akzo社)及び2.9gのアルミニウムキレートと混合する。この骨格ポリマーを更に9×10g/molの重量平均分子量及び8の多分散性に特徴がある。こうして製造された粘着剤を水、イソプロパノール及びアセトンよりなる1:1:1の混合物に溶解した30%溶液として、プライマー処理した23μmの厚さのPET−フィルムに塗布する。室温で120分状態調整した後に、この材料見本を100℃で20分乾燥する。塗布量は乾燥後に50g/mである。
[実施例A−2a:DC7657(R)(Pt触媒での架橋のある第一の参考例]
接着剤DC7657(R)の説明:
Mw, PDMS = 7.68 x 105 g/mol、DPDMS = 2.18、Mw, MQ-樹脂 = 4670 g/mol、DMQ-樹脂= 2.51、成分PDMS (成分PDMS 及びQM-樹脂の合計を基準として) 49.25重量%、成分MQ−樹脂(成分PDMS 及びQM-樹脂の合計を基準として)50.75重量%、製造元: Dow Corning、置換基R=メチル。
【0097】
シリコーン組成物DC7657(R)を特定沸点のベンジン(沸点=60〜90℃)で45%の固形分含有量に希釈し、0.4%のSyl-Off 4000(Pt−触媒混合物)と混合しそして次にプライマー処理した23μmの厚さのPET−フィルムに塗布する。室温で30分状態調整した後に、この材料見本を120℃で15分乾燥する。塗布量は乾燥後に50g/mである。
[実施例A−2b:DC7657(R)(Pt触媒での架橋のある第二の参考例]
シリコーン組成物DC7657(R)を特定沸点のベンジン(沸点=60〜90℃)で45%の固形分含有量に希釈し、1.5%のSyl-Off 4000 (Pt−触媒混合物)と混合しそして次にプライマー処理した23μmの厚さのPET−フィルムに塗布する。室温で30分状態調整した後に、この材料見本を120℃で15分乾燥する。塗布量は乾燥後に50g/mである。
[実施例A−3a:DC7657(R)
シリコーン組成物DC7657(R)を特定沸点のベンジン(沸点=60〜90℃)で45%の固形分含有量に希釈しそして次にプライマー処理した23μmの厚さのPET−フィルムに塗布する。室温で30分状態調整した後に、この材料見本を120℃で15分乾燥する。塗布量は乾燥後に50g/mである。次いでこの材料見本を次の電子線パラメーターを用いて架橋させる:15kGy、135kV。
[実施例A−3b:DC7657(R)
シリコーン組成物DC7657(R)を特定沸点のベンジン(沸点=60〜90℃)で45%の固形分含有量に希釈しそして次にプライマー処理した23μmの厚さのPET−フィルムに塗布する。室温で30分状態調整した後に、この材料見本を120℃で15分乾燥する。塗布量は乾燥後に50g/mである。次いでこの材料見本を次の電子線パラメータを用いて架橋させる:20kGy、135kV。
[実施例A−3c:DC7657(R)
シリコーン組成物DC7657(R)を特定沸点のベンジン(沸点=60〜90℃)で45%の固形分含有量に希釈しそして次にプライマー処理した23μmの厚さのPET−フィルムに塗布する。室温で30分状態調整した後に、この材料見本を120℃で15分乾燥する。塗布量は乾燥後に50g/mである。次いでこの材料見本を次の電子線パラメータを用いて架橋させる:25kGy、135kV。
[実施例A−3d:DC7657(R)
シリコーン組成物DC7657(R)を特定沸点のベンジン(沸点=60〜90℃)で45%の固形分含有量に希釈しそして次にプライマー処理した23μmの厚さのPET−フィルムに塗布する。室温で30分状態調整した後に、この材料見本を120℃で15分乾燥する。塗布量は乾燥後に50g/mである。次いでこの材料見本を次の電子線パラメータを用いて架橋させる:50kGy、135kV。
【0098】
表1に前記の実施例の接着技術的性質を示す。
【0099】
【表1】

【0100】
実施例A−1は従来技術であるポリアクリレート粘着剤である。実施例A−2a〜bではシリコーン系粘着剤をPt−触媒を用いて架橋させている。これらの実施例は参考として役立つ。実施例3a〜dは電子線照射によって架橋されている。
【0101】
表1中の実施例A−2a〜b及びA−3a〜dは、ポリアクリレート参考例(実施例1)に比較していずれの場合にもシリコーン基体への著しく高い接着力を示すことを実証している。
【0102】
更にSAFT試験比較では、高温での良好な凝集性が電子線架橋された組成物によって達成されることを示している(実施例A−3b〜d)。特に全ての実施例によって、電子線照射量の増加がいずれの場合にも凝集性を高め(ミクロ剪断行程が短くなる)、熱剪断強度を改善し(SAFT−剪断行程が短くなる)そして同時にそれの粘着性に悪影響を及ぼさないことが明らかであり、他方、これに対して白金での触媒による架橋は粘着性を著しく損失する結果を示している。
【0103】
付加反応架橋した実施例(実施態様V1に相当する)では、90%以上の弾性割合が依然として実現され、その際にシリコーンへの接着力は2N/cmより大きく、サンプルテストでの粘着性値は0.1N/mmより大きくそしてループ試験では0.12Nより大きい粘着性値が実現される。
【0104】
縮合反応架橋性系:
[実施例K−1:参考組成物(実施例A−1と同じ)]
47%のアクリル酸、48%のブチルアクリレート及び5%のビニルカプロラクタムよりなるラジカル重合された骨格ポリマーを水、イソプロパノール及びアセトンよりなる1:1:1の混合物に溶解した599gの30%濃度溶液を、397gのEthomeen C-25 (製造元:Akzo社)及び2.9gのアルミニウムキレートと混合する。この骨格ポリマーを更に9×10g/molの重量平均分子量及び8の多分散性に特徴がある。こうして製造された粘着剤を水、イソプロパノール及びアセトンよりなる1:1:1の混合物に溶解した30%溶液として、プライマー処理した23μmの厚さのPET−フィルムに塗布する。室温で120分状態調整した後に、材料見本を100℃で20分乾燥する。塗布量は乾燥後に50g/mである。
[実施例K−2a:DC Q2−7735(R)(非粘着性のSi系接着剤の参考例)]
接着剤DC Q2−7735(R)の説明:
Mw, PDMS = 3.79 x 105 g/mol、DPDMS = 1.92、Mw, MQ-樹脂 = 2310 g/mol、DMQ-樹脂= 2.51、成分PDMS (成分PDMS 及びQM-樹脂の合計を基準として) 55.74重量%、成分MQ−樹脂(成分PDMS 及びQM-樹脂の合計を基準として)44.26重量%、製造元: Dow Corning、置換基R=メチル。
【0105】
シリコーン組成物DC Q2−7735(R)を特定沸点のベンジン(沸点=60〜90℃)で45%の固形分含有量に希釈しそして次にプライマー処理した23μmの厚さのPET−フィルムに塗布する。室温で30分状態調整した後に、この材料見本を120℃で15分乾燥する。塗布量は乾燥後に50g/mである。
[実施例K−2b:DC Q2−7735(R)(非粘着性のSi系接着剤の参考例)]
シリコーン組成物DC Q2−7735(R)を特定沸点のベンジン(沸点=60〜90℃)で45%の固形分含有量に希釈し、そして次にプライマー処理した23μmの厚さのPET−フィルムに塗布する。室温で30分状態調整した後に、この材料見本を120℃で15分乾燥する。塗布量は乾燥後に50g/mである。次いでこの材料見本を次の電子線パラメーターを用いて架橋させる:10kGy、135kV、10m/分。
[実施例K−2c:DC Q2−7735(R)(非粘着性のSi系接着剤の参考例)]
シリコーン組成物DC Q2−7735(R)を特定沸点のベンジン(沸点=60〜90℃)で45%の固形分含有量に希釈しそして次にプライマー処理した23μmの厚さのPET−フィルムに塗布する。室温で30分状態調整した後に、この材料見本を120℃で15分乾燥する。塗布量は乾燥後に50g/mである。次いでこの材料見本を次の電子線パラメーターを用いて架橋させる:15kGy、135kV、10m/分。
[実施例K−2d:DC Q2−7735(R)(非粘着性のSi系接着剤の参考例)]
シリコーン組成物DC Q2−7735(R)を特定沸点のベンジン(沸点=60〜90℃)で45%の固形分含有量に希釈しそして次にプライマー処理した23μmの厚さのPET−フィルムに塗布する。室温で30分状態調整した後に、この材料見本を120℃で15分乾燥する。塗布量は乾燥後に50g/mである。次いでこの材料見本を次の電子線パラメーターを用いて架橋させる:20kGy、135kV、10m/分。
[実施例K−3a:DC 7358(R)
接着剤DC 7358(R)の説明:
Mw, PDMS = 6.44 x 105 g/mol、DPDMS= 2.38、Mw, MQ-樹脂 = 2350 g/mol、DMQ-樹脂= 1.83、成分PDMS(成分PDMS 及びQM-樹脂の合計を基準として) 46.70重量%、成分MQ−樹脂(成分PDMS 及びQM-樹脂の合計を基準として)53.30重量%、製造元: Dow Corning、置換基R=メチル。
【0106】
シリコーン組成物DC 7358(R)を特定沸点のベンジン(沸点=60〜90℃)で45%の固形分含有量に希釈しそして次にプライマー処理した23μmの厚さのPET−フィルムに塗布する。室温で30分状態調整した後に、この材料見本を120℃で15分乾燥する。塗布量は乾燥後に50g/mである。
[実施例K−3b:DC 7358(R)
シリコーン組成物DC 7358(R)を特定沸点のベンジン(沸点=60〜90℃)で45%の固形分含有量に希釈しそして次にプライマー処理した23μmの厚さのPET−フィルムに塗布する。室温で30分状態調整した後に、この材料見本を120℃で15分乾燥する。塗布量は乾燥後に50g/mである。次いでこの材料見本を次の電子線パラメーターを用いて架橋させる:15kGy、135kV、10m/分。
[実施例K−3c:DC 7358(R)
シリコーン組成物DC 7358(R)を特定沸点のベンジン(沸点=60〜90℃)で45%の固形分含有量に希釈しそして次にプライマー処理した23μmの厚さのPET−フィルムに塗布する。室温で30分状態調整した後に、この材料見本を120℃で15分乾燥する。塗布量は乾燥後に50g/mである。次いでこの材料見本を次の電子線パラメーターを用いて架橋させる:20kGy、135kV、10m/分。
[実施例K−3d:DC 7358(R)
シリコーン組成物DC 7358(R)を特定沸点のベンジン(沸点=60〜90℃)で45%の固形分含有量に希釈しそして次にプライマー処理した23μmの厚さのPET−フィルムに塗布する。室温で30分状態調整した後に、この材料見本を120℃で15分乾燥する。塗布量は乾燥後に50g/mである。次いでこの材料見本を次の電子線パラメーターを用いて架橋させる:25kGy、135kV、10m/分。
[実施例K−4a:Silgrip PSA518(R)
接着剤Silgrip PSA518(R)の説明:
Mw, PDMS = 9.16 x 105g/mol、DPDMS= 2.80、Mw, MQ-樹脂 = 4110 g/mol、DMQ-樹脂= 2.27、成分PDMS(成分PDMS 及びQM-樹脂の合計を基準として) 51.20重量%、成分MQ−樹脂(成分PDMS 及びQM-樹脂の合計を基準として)48.80重量%、製造元:Momentive、置換基R=メチル及びフェニル。
【0107】
シリコーン組成物Silgrip PSA518(R)を特定沸点のベンジン(沸点=60〜90℃)で45%の固形分含有量に希釈しそして次にプライマー処理した23μmの厚さのPET−フィルムに塗布する。室温で30分状態調整した後に、この材料見本を120℃で15分乾燥する。塗布量は乾燥後に50g/mである。
[実施例K−4b:Silgrip PSA518(R)
シリコーン組成物Silgrip PSA518(R)を特定沸点のベンジン(沸点=60〜90℃)で45%の固形分含有量に希釈しそして次にプライマー処理した23μmの厚さのPET−フィルムに塗布する。室温で30分状態調整した後に、この材料見本を120℃で15分乾燥する。塗布量は乾燥後に50g/mである。次いでこの材料見本を次の電子線パラメーターを用いて架橋させる:15kGy、135kV、10m/分。
実施例K−4c:Silgrip PSA518(R)
シリコーン組成物Silgrip PSA518(R)を特定沸点のベンジン(沸点=60〜90℃)で45%の固形分含有量に希釈しそして次にプライマー処理した23μmの厚さのPET−フィルムに塗布する。室温で30分状態調整した後に、この材料見本を120℃で15分乾燥する。塗布量は乾燥後に50g/mである。次いでこの材料見本を次の電子線パラメーターを用いて架橋させる:20kGy、135kV、10m/分。
[実施例K−5a:Silgrip PSA6574(R)
接着剤Silgrip PSA6574(R)の説明:
Mw, PDMS = 1.00 x 106g/mol、DPDMS= 2.78、Mw, MQ-樹脂 = 4230 g/mol、DMQ-樹脂= 2.00、成分PDMS(成分PDMS 及びQM-樹脂の合計を基準として) 30.15重量%、成分MQ−樹脂(成分PDMS 及びQM-樹脂の合計を基準として)69.85重量%、製造元:Momentive、置換基R=メチル及びフェニル。
【0108】
シリコーン組成物Silgrip PSA6574(R)を特定沸点のベンジン(沸点=60〜90℃)で45%の固形分含有量に希釈しそして次にプライマー処理した23μmの厚さのPET−フィルムに塗布する。室温で30分状態調整した後に、この材料見本を120℃で15分乾燥する。塗布量は乾燥後に50g/mである。
[実施例K−5b:Silgrip PSA6574(R)
シリコーン組成物Silgrip PSA6574(R)を特定沸点のベンジン(沸点=60〜90℃)で45%の固形分含有量に希釈しそして次にプライマー処理した23μmの厚さのPET−フィルムに塗布する。室温で30分状態調整した後に、この材料見本を120℃で15分乾燥する。塗布量は乾燥後に50g/mである。次いでこの材料見本を次の電子線パラメーターを用いて架橋させる:15kGy、135kV、10m/分。
[実施例K−5c:Silgrip PSA6574(R)
シリコーン組成物Silgrip PSA6574(R)を特定沸点のベンジン(沸点=60〜90℃)で45%の固形分含有量に希釈しそして次にプライマー処理した23μmの厚さのPET−フィルムに塗布する。室温で30分状態調整した後に、この材料見本を120℃で15分乾燥する。塗布量は乾燥後に50g/mである。次いでこの材料見本を次の電子線パラメーターを用いて架橋させる:20kGy、135kV、10m/分。
[実施例K−5d:Silgrip PSA6574(R)
シリコーン組成物Silgrip PSA6574(R)を特定沸点のベンジン(沸点=60〜90℃)で45%の固形分含有量に希釈しそして次にプライマー処理した23μmの厚さのPET−フィルムに塗布する。室温で30分状態調整した後に、この材料見本を120℃で15分乾燥する。塗布量は乾燥後に50g/mである。次いでこの材料見本を次の電子線パラメーターを用いて架橋させる:25kGy、135kV、10m/分。
【0109】
表2に前記の実施例の接着技術的性質を示す。
【0110】
【表2】

【0111】
実施例K−1は、従来技術であるポリアクリレート粘着剤である。実施例K−2a〜dでは非粘着性のシリコーン系粘着剤を使用した。これらの実施例は参考として役立つ。
【0112】
表1中の実施例K−2a〜d、K−3a〜d、K−4a〜c及びK−3a〜dは、ポリアクリレート参考例(実施例1)に比較していずれの場合にもシリコーン基体への著しく高い接着力を示すことを実証している。
【0113】
更にSAFT試験比較では、高温での良好な凝集性が十分に電子線架橋された組成物によって達成されることを示している(実施例K−2c〜d、K−3c〜d、K−4b〜c及びK−5b〜d)。これに反して、電子線で後処理していないかあるいは僅かな照射量で後処理したシリコーン粘着剤はいずれの場合にも1000μmより著しく多い剪断行程を達成している。特に本発明の実施例によって、電子線照射量の増加がいずれの場合にも凝集性を高め(ミクロ剪断行程が短くなる)、熱剪断強度を改善し(SAFT−剪断行程が短くなる)そして同時にそれの粘着性に悪影響を及ぼさないことが明らかである。
【0114】
結果:
本発明の粘着テープの変法V1のために使用される様な(特に付加反応架橋性の)シリコーン粘着剤は、一般に従来技術によれば溶剤(トルエン又はトルエン/キシレン混合物)含有の接着剤としても100%系としても使用されそして市販の製品の場合にはそれぞれの製造元からこれらの状態で提供されている。このような系は従来技術によって白金触媒によって90〜120℃で架橋される。こうして架橋が可能である組成物は一般に、運転中でのロール交換のための接着剤として使用するのには十分でなく、かつ、架橋反応に依存していない低い粘着性を示す。何故ならば架橋点の数及び種類がビニル官能性及び水素官能性によって決められるからである。さらに、高い熱剪断強度を調整することも可能である。しかしながらこれらの系は欠点も有している。白金触媒は一方においては非常に高価であり、そしてもう一方においては不純物に化学的に非常に過敏に反応しそして汚染され易い。さらに、これらの化合物は追加的な加工段階でシリコーン接着剤中に組み入れなければならず、その後ではこれらが寿命、要するに加工時間を短縮させる。
【0115】
接着テープ変法V2に使用されるような(特に縮合反応架橋性の)粘着剤の十分に良好な粘着性は、既に溶剤の蒸発後にしばしば達成される。しかしながら未架橋のシリコーン接着剤は僅かな熱剪断強度しか示さない。窓用の用途は最高120℃までの範囲しか、しばしば90℃までしかカバーしていない。必要とされる熱剪断強度、特に250℃以上を達成するためには、シリコーン粘着剤を追加的に架橋反応に付すことが有利である。この架橋反応は従来技術の架橋法の場合には粘着性にマイナスに影響を及ぼす。通例では架橋反応は化学反応によっている。
【0116】
式(II)のポリシロキサン及びMQ−樹脂よりなるシリコーン接着剤の場合には、慣用の過酸化物が架橋剤として使用される。熱剪断強度に関しては、過酸化物で良好な結果がある程度達成できるが、一般に、粘着性を著しく下げることなく、凝集性を高めることができない。さらに過酸化物反応は別の欠点を伴う。第一には、過酸化物は貯蔵及び取扱に関して潜在的な危険なものに分類されている。さらに、加工段階の数並びに価格がシリコーン接着剤中への混入の必要性によって増加する。加えて、シリコーン接着剤の架橋のために使用できる過酸化物が少なくとも160℃の反応温度を必要としている。アミン系促進剤によってもたしかに、反応速度を早め或いは反応温度を下げることが可能であるが、紫外線安定性の低下がシリコーン粘着剤の黄変を伴う。さらに、その際に、シリコーン粘着剤が完全に架橋し、粘着性を完全に失い得る。
【0117】
驚くべきことにこの架橋は化学線、特に電子線によって、前述の慣用の方法に比較して顕著な長所を提供する。電子線硬化(電子線照射)の驚くべきで、かつ、予期できなかったプラスの点は白金触媒による架橋並びに過酸化物による架橋に比べて、シリコーン粘着剤の架橋、すなわち凝集が、粘着性を失うことなしに、広い範囲にわたって無段階で変更される事実にある。追加的に電子線照射量はインライン法で被覆の間に変え、あるいは適合させることができるので、被覆行程において接着テープを色々な塗布量で個々に架橋でき、製造できる。
【0118】
本発明によれば、接着テープ上のシリコーン接着剤は有利にも電子線架橋される。前述のように特徴付けられるシリコーン接着剤が電子線での架橋のときに所望の凝集性向上をもたらし、粘着性及び接着能に関する優れた性質が低減されないことは、驚くべきことであり、かつ、当業者に予期できなかったことである。
【0119】
適切な照射量範囲のエネルギーの豊富な放射線(電子線)の照射によって、粘着性、接着性、凝集性及び熱剪断強度というパラメータが所望の要求プロフィールに様々に最適化される。有利な照射限界内において本発明に従って特徴付けられるそれぞれの接着剤について、パラメータを要求全般に関して最適化する照射量を見出すことができる。
【0120】
従って、本発明に従って提供される接着テープは、シリコーン表面又はシリコーン加工された表面を持つ平らなウエブ材料を運転中ロール交換するという要求に驚くほどに適している。要求される性質プロフィールを調整しそして最適化することが達成される。驚くべきことに、シリコーン含有の表面に関して良好な粘着性を有しそして非常に良好な粘着性値と共に良好な凝集特性を有する接着テープを提供できる。
【0121】
本発明に従う接着テープで、シリコーン加工された平らなウエブ材料及びシリコーン表面を持つ平らなウエブ材料の運転中ロール交換を実施することに成功し、かつ、作業上の失敗も生じない。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明の接着テープの三層構造の一つの実施態様の概略的断面図であり、接着テープの長手方向に対して横断方向を図示している。
【図2】本発明の接着テープの五層構造の一つの実施態様の概略的断面図であり、接着テープの長手方向に対して横断方向を図示している。
【符号の説明】
【0123】
1・・・上側粘着剤
2・・・引き裂き可能な支持体
3・・・下側粘着剤
6・・・剥離系
11・・・上側粘着剤
12・・・引き裂き可能な支持体
13・・・下側粘着剤層
14・・・引き裂き不可能な支持体
15・・・接合用粘着剤
16・・・剥離系
16a、16b・・・被覆物部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種類の引き裂き可能な支持体と2つの接着剤層を有する平らなウエブ材料を運転中にロール交換するための粘着テープにおいて、接着剤の少なくとも1種類がシリコーン系粘着剤であることを特徴とする、上記粘着テープ。
【請求項2】
シリコーン系粘着剤が電子線架橋したシリコーン系接着剤である、請求項1に記載の粘着テープ。
【請求項3】
前記粘着剤が、ミクロ剪断行程テスト(Mikroscherwegtest:テストC)で測定できる少なくとも50%の弾性割合を有する少なくとも1つの架橋度を有する請求項2に記載の粘着テープ。
【請求項4】
シリコーン系粘着剤が
a)次式の構造を持つ
【化1】

[式中、2n+4個の置換基Rが互いに無関係に一価の炭化水素残基でありそしてnが整数である。」
少なくとも1種類のポリジオルガノシロキサン並びに
b)(R23SiO1/2−単位(“M−単位”)及びSiO4/2−単位(“Q−単位”)で構成される少なくとも1種類の樹脂(“MQ−樹脂”)、ただしM−単位の置換基R2が互いに無関係にアルキル基、アルケニル基、アルキルシリル基、水酸基又は水素である、
を含有する、請求項1〜3のいずれか一つに記載の粘着テープ。
【請求項5】
少なくとも1種類の引き裂き可能な支持体と2つの接着剤層を有する平らなウエブ材料を運転中にロール交換するための粘着テープにおいて、少なくとも1種類の接着剤が
a)次の一般式で表される
【化2】

「式中、両方のR1
基が互いに無関係に選択されたアルケニル基であり、
2n+4個の置換基Rが互いに無関係に一価の炭化水素残基でありそしてnが整数である。]
で表される少なくとも1種類のポリジオルガノシロキサン、
b)(R23SiO1/2−単位(“M−単位”)及びSiO4/2−単位(“Q−単位”)で構成される少なくとも1種類の樹脂(“MQ−樹脂”)、ただしM−単位の置換基R2が互いに無関係にアルキル基、アルケニル基、アルキルシリル基、水酸基又は水素であり、
c)ポリマー分子当たり平均して少なくとも2つの、珪素結合した水素原子を有しそしてオレフィン二重結合を有していない少なくとも1種類のオルガノ水素ポリシロキサン
を有するシリコーン系接着剤であることを特徴とする、上記粘着テープ。
【請求項6】
2つのR1が互いに無関係に選択された炭素原子数1〜14のアルケニル基、特にビニル基又はヘキセニル基である、請求項5に記載の粘着テープ。
【請求項7】
アルケニル基の二重結合が末端にあり、すなわち、アルケニル基が存在するSi−原子から見てアルケニル基の最も遠く離れた炭素原子と二番目に遠く離れた炭素原子との間に配置されている、請求項5又は6に記載の粘着テープ。
【請求項8】
nの平均値が、ポリジオルガノシロキサン(I)の重量平均分子量MWが7×105g/mol≦MW≦8×105g/molの範囲内にあるように選択されている、請求項5〜7のいずれか一つに記載の粘着テープ。
【請求項9】
ポリジオリガノシロキサン(I)の多分散性Dが2.0≦D≦2.2の範囲内にある、請求項5〜8のいずれか一つに記載の粘着テープ。
【請求項10】
少なくとも1種類の引き裂き可能な支持体と2つの接着剤層を有する平らなウエブ材料を運転中にロール交換するための粘着テープにおいて、接着剤の少なくとも1種類が
a)次の一般式で表される
【化3】

「式中、両方のR’基が互いに無関係に、水素並びに炭素原子数1〜6の分岐していないか又は分岐したアルキル残基及び/又はアルキルシリル残基及び/又はアルコキシシリル残基よりなる群から選択されており、
2n+4個の置換基Rが互いに無関係に一価の炭化水素残基でありそしてnが整数である。]
で表される少なくとも1種類のポリジオルガノシロキサン、
b)(R23SiO1/2−単位(“M−単位”)及びSiO4/2−単位(“Q−単位”)で構成される少なくとも1種類の樹脂(“MQ−樹脂”)、ただしM−単位の置換基R2が互いに無関係にアルキル基、アルケニル基、アルキルシリル基、水酸基又は水素である
を含有するシリコーン粘着剤であることを特徴とする、上記粘着テープ。
【請求項11】
両方の置換基R’が水素原子である、請求項10に記載の粘着テープ。
【請求項12】
nの平均値が、ポリジオルガノシロキサン(II)の重量平均分子量MWが6.4×105g/mol≦MW≦1.0×10g/molであるように選択される、請求項10又は11に記載の粘着テープ。
【請求項13】
ポリジオリガノシロキサン(II)の多分散性が2.3≦D≦2.8の範囲内にある、請求項10〜12のいずれか一つに記載の粘着テープ。
【請求項14】
置換基Rが互いに無関係に、炭素原子数1〜18の炭化水素残基の群から選択される、請求項1〜13のいずれか一つに記載の粘着テープ。
【請求項15】
置換基Rが互いに無関係に、メチル基、非置換のフェニル基及び置換フェニル基よりなる群から選択される、請求項1〜14のいずれか一つに記載の粘着テープ。
【請求項16】
MQ−樹脂が500g/mol≦MW≦100,100g/molの重量平均分子量MWを有するものである、請求項1〜15のいずれか一つに記載の粘着テープ。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか一つに記載の粘着テープを製造する方法において、シリコーン粘着剤が支持体材料の少なくとも片面に塗布されそしてこの支持体上で電子線によって架橋される、上記方法。
【請求項18】
少なくとも10kGy、更に好ましくは少なくとも15kGy、特に好ましくは少なくとも20kGy、中でも少なくとも25kGyの電子線照射量で架橋させる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
架橋を、ミクロ剪断行程テスト(Mikroscherwegtest:テストC)で測定できる少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、特に好ましくは少なくとも75%、中でも少なくとも90%の弾性割合に相当する架橋度まで実施する、請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−114445(P2009−114445A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−285423(P2008−285423)
【出願日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(507249591)テーザ・アクチエンゲゼルシャフト (52)
【Fターム(参考)】